JP2006312983A - ダイナミックダンパ - Google Patents

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Abstract

【課題】 打音による聴感上の不快感を抑制可能なダイナミックダンパを提供すること。
【解決手段】 入力される振動が特に大きい場合には、マス部材2が大きく振動して第1方向規制板9に当たり打音が発生することがあるが、第1方向規制板9において取付部11と反対側の一端9aが自由端とされている。その結果、従来のダイナミックダンパのように、第1方向規制板がZ方向両端の取付部と一体的に設けられ、第1方向規制板の両端が取付部により固定される場合に比較して、打音の音色を不快感の低い音色に変化させることができるので、打音による聴感上の不快感を抑制できる。
【選択図】 図2

Description

本発明はダイナミックダンパに関し、特に、打音による聴感上の不快感を抑制可能なダイナミックダンパに関するものである。
従来より、車両においては、エンジンや回転軸等から発生する有害振動を低減するために、種々のダイナミックダンパが使用されている。このダイナミックダンパは、問題となる有害振動のピーク周波数に合わせてその共振周波数(固有振動数)をチューニングしておくことにより、その有害振動を効果的に低減できるものである。
近年においては、車両に搭載されるシートは多様化し、また剛性不足等が原因となってシート振動の問題が発生していることから、例えば特許文献1に記載されるように、シートバックにもダイナミックダンパが使用されつつある。
図6はその具体例を示したもので、車両のシート200と、シートバック201に取り付けられたダイナミックダンパ202とを示す図である。ダイナミックダンパ202は、図7に詳しく示しているように質量の大きい1つの塊であるマス部材204と、上下各一対のゴム状弾性体から構成される防振基体206とを有している。
ダイナミックダンパ202は、上下各一対の取付部208を有するブラケット210を介して車両のシートバック201に取り付けられるようになっている。上下各一対の取付部208には、それぞれ中央部にボルト孔209が形成されている。ブラケット210は、車両のシートバック201の取付位置に重ね合わされて、ボルト孔209に挿通される固定ボルトによりシートバック201に固着される。ダイナミックダンパ202によれば、マス部材204と防振基体206とにより構成される振動系の共振作動によって、車両のシートバック201に発生する有害振動を抑制する構造となっている。
ここで、車両用シートのシートバックに発生する有害振動のピーク周波数は、一般的に10Hzから30Hz程度である。マス部材204と防振基体206とにより構成される振動系の共振周波数を上述の有害振動のピーク周波数にチューニングするため、振動系を構成する防振基体206には、ばね定数kが低いゴム状弾性体が用いられる。その結果、振動入力時に、マス部材204がブラケット210に対して大きく相対変位し易い。
したがって、図7に示すように、ブラケット210には、マス部材204の一面に対しY方向に離隔して対向する規制板212が設けられている。このような規制板212を設けることにより、振動入力時におけるマス部材204のブラケット210に対する相対変位量を規制し、マス部材204と他の部材と相互干渉を防止して、損傷を防止することができる。
すなわち、振動入力時に、マス部材204がブラケット210に対し大きく相対変位すると、マス部材204が規制板212に当たり、それ以上の相対変位が規制されるが、このときマス部材204とブラケット210との間で打音が発生する。従来のダイナミックダンパ202においては、この打音を緩和するために、ウレタン系の緩衝材213をマス部材204表面に設け、マス部材204とブラケット210との間に生じる衝撃を和らげるなどの工夫が凝らされていた。
特開2004−245314号公報
しかしながら、図7(b)に示すように、従来のダイナミックダンパ202において、マス部材204の一面に対向する規制板212は、その両端が取付部208に連結され、その取付部208によりシートバック201に固定されていた。すなわち規制板212はその両端が固定端とされていたため、規制板212に発生する打音が周波数の高い耳障りなものとなり、マス部材204表面に緩衝材213を設けたとしても、打音による聴感上の不快感を充分に低減できなかった。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、打音による聴感上の不快感を抑制可能なダイナミックダンパを提供することを目的としている。
この目的を達成するために請求項1記載のダイナミックダンパは、質量体としてのマス部材と、車両用シートのシートバックの支持部に取り付けられるブラケットと、前記ブラケットと前記マス部材とを連結すると共にゴム状弾性体から構成される防振基体とを備えたものであって、前記ブラケットは、互いに分離独立して前記マス部材に連結されると共に前記シートバックに取り付けられる取付部を有する第1ブラケットと第2ブラケットとから構成され、前記第1ブラケットと第2ブラケットとの少なくとも一方は、前記マス部材に対し第1方向に離隔して対向する規制部を有し、前記規制部において前記取付部と反対側の一端が自由端であることを特徴とする。
請求項2記載のダイナミックダンパは、請求項1記載のダイナミックダンパにおいて、前記第1ブラケットと第2ブラケットとは同一形状を有する。
請求項3記載のダイナミックダンパは、請求項1または2に記載のダイナミックダンパにおいて、前記第1ブラケットに設けられた規制部は、前記第1方向に垂直な第2方向における前記マス部材の一端部に対向し、前記第2ブラケットに設けられた規制部は、前記第2方向における前記マス部材の他端部に対向し且つ前記第1ブラケットに設けられた規制部との間に間隙を有する。
請求項4記載のダイナミックダンパは、請求項1から3のいずれかに記載のダイナミックダンパにおいて、前記第1ブラケットと第2ブラケットとは、前記支持部に設けられた支持部側嵌合部と嵌合するブラケット側嵌合部をそれぞれ有する。
請求項5記載のダイナミックダンパは、請求項4記載のダイナミックダンパにおいて、前記ブラケット側嵌合部と前記支持部側嵌合部とは、いずれか一方が他方に突出する突起で構成され、他方が前記突起と嵌合する窪みで構成される。
請求項1記載のダイナミックダンパによれば、第1方向の振動入力によりマス部材がブラケットに対し第1方向に相対変位すると、マス部材が規制部に当たり相対変位量が規制されると共に、打音が発生する場合がある。ここで、規制部において取付部と反対側の一端が自由端とされているので、規制部の両端が固定端である場合に比較して、打音の音色を不快感の低い音色に変化させることができ、打音による聴感上の不快感を抑制できるという効果がある。
請求項2記載のダイナミックダンパによれば、請求項1記載のダイナミックダンパの奏する効果に加え、前記第1ブラケットと第2ブラケットとは同一形状を有するので、ブラケットの種類が半減して安価であるとともに管理が容易であるという効果がある。
請求項3記載のダイナミックダンパによれば、請求項1または2に記載のダイナミックダンパの奏する効果に加え、第2ブラケットに設けられた規制部は、第1ブラケットに設けられた規制部との間に間隙を有するので、規制部が、間隙を有さない一体的なものである場合に比較して、規制部全体の面積が小さい。よって、マス部材が規制部に当たったときに発生する打音の音量が低減し、打音による聴感上の不快感を抑制できるという効果がある。
請求項4記載のダイナミックダンパによれば、請求項1から3のいずれかに記載のダイナミックダンパの奏する効果に加え、前記第1ブラケットと第2ブラケットとは、前記支持部に設けられた支持部側嵌合部と嵌合するブラケット側嵌合部をそれぞれ有するので、第1ブラケットと第2ブラケットとが、支持部に対し回動または揺動することを抑制できるという効果がある。第1ブラケットと第2ブラケットとは、分離独立してマス部材に連結され、マス部材の振動が防振基体を介してそれぞれに伝えられるので、支持部に設けられた支持部側嵌合部と嵌合するブラケット側嵌合部を備えない場合には、第1ブラケットと第2ブラケットとが支持部に対し回動または揺動しやすいのである。
請求項5記載のダイナミックダンパによれば、請求項4記載のダイナミックダンパの奏する効果に加え、前記ブラケット側嵌合部と前記支持部側嵌合部とは、いずれか一方が他方に突出する突起で構成され、他方が前記突起と嵌合する窪みで構成されるので、第1ブラケットと第2ブラケットとがシートバックの支持部に対し取付位置にある状態では、支持部の面に沿った方向における突起の移動が、窪みの内面によって規制される。よって、支持部に対する第1ブラケットと第2ブラケットとの回動または揺動が確実に抑制されるという効果がある。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の1実施の形態におけるダイナミックダンパ1の底面図であり、図2はダイナミックダンパ1の側面図であり、図3はダイナミックダンパの上面図である。
このダイナミックダンパ1は、車両用シートのシートバックに取り付けられ、シートバックの振動を抑制するための防振装置であり、図1から図3に示すように、質量体としてのマス部材2と、車両用シートのシートバックに取り付けられるブラケット3と、これらを連結すると共にゴム状弾性体から構成される防振基体4とを主に備えている。なお、ダイナミックダンパ1のシートバックへの取り付け位置については、図6に示す従来のダイナミックダンパと同様であるため、図示を省略する。
マス部材2は、図1に示す平面視において長方形状の面を有する矩形ブロック状の金属製のマス本体2aと、マス本体2aの側面に溶接された金属製の受面部材2bと、このマス本体2aおよび受面部材2bの表面を被覆する被覆ゴム層14とからなり、所定の質量mを有する。
なお、以下、図1及び図3に示す平面視において、マス本体2aの長方形状の面の短手方向(図1左右方向)をX方向と称し、長手方向(図1上下方向)をZ方向と称する。またX方向およびZ方向に垂直な方向(図1の紙面垂直方向)をY方向と称する(図2参照)。ダイナミックダンパ1は、X方向が車両の左右方向に相当し、Y方向が車両の前後方向に相当し、Z方向が車両の上下方向に相当するように、車両のシートバックに取り付けられる。なお、Y方向が請求項の第1方向に相当し、Z方向が請求項の第2方向に相当するものである。
また、マス部材2は、図2に示すように、Y方向に垂直な一対の幅広面5と、その一対の幅広面5間を接続する側面部6とを有する。側面部6は、一対の幅広面5に対して垂直な側面6aと、一方の幅広面5のZ方向における両端側から突出し、X方向に平行でY方向に対して傾斜する傾斜部6bとを有する。傾斜部6bには、防振基体4の一端が連結される受面7が設けられる。
ブラケット3は、図2に示すように、互いに分離独立してマス部材2に連結される第1ブラケット3aと第2ブラケット3bとから構成される。ここで「互いに分離独立」とは、互いの表面が非接触である状態をいう。なお、第1ブラケット3aと第2ブラケット3bとは互いに同一形状を有し、図1に示すように、ダイナミックダンパ1において、マス部材2のZ方向両側に互いに対称的に連結される。また、第1ブラケット3aと第2ブラケット3bとは、それぞれ第1方向規制板9と、立上部10と、取付部11とを一体的に有する。
第1方向規制板9は、マス部材2の一方の幅広面5に対しY方向に離隔して対向し、Y方向に垂直な板状の部材である。また、図2、図3に示すように、第1ブラケット3aに設けられた第1方向規制板9と第2ブラケット3bに設けられた第1方向規制板9において、それぞれの間には間隙Gが設けられ、後述する取付部11側と反対側の一端9aがそれぞれ自由端とされている。
また、第1ブラケット3aに設けられた第1方向規制板9は、マス部材2の一方の幅広面5のZ方向における一端部に対向し、第2ブラケット3aに設けられた第1方向規制板9は、マス部材2の一方の幅広面5のZ方向における他端部に対向する。第1ブラケット3aと第2ブラケット3bとに設けられた第1方向規制板9により、Y方向におけるマス部材2のブラケット3に対する相対変位量が規制される。
立上部10は、第1方向規制板9の一端9aと反対側の端部からマス部材2の側面部6に沿って立ち上がる部材である。また、立上部10は、第1方向規制板9側の端部であって、X方向に平行且つY方向に対し傾斜する支持壁部10aと、第1方向規制板9と反対側の端部であってX方向およびY方向に平行な連結部10bとからなる。支持壁部10aには、防振基体4の他端が連結される支持面10cが設けられる(図2参照)。立上部10により、Z方向におけるマス部材2のブラケット3に対する相対変位量が規制される。
取付部11は、立上部10の第1方向規制板9とは反対側の端部から延出され、貫通孔12と、回動防止ピン13とが形成されている。図5を参照して後述するように、第1ブラケット3aおよび第2ブラケット3bは、貫通孔12に挿通される固定ボルト21aとナット21bとにより車両用シートのシートバックの支持部20に取り付けられる。
ここで、図3に示すように、一対の貫通孔12および一対の回動防止ピン13は、Z方向に平行なマス部材2の中心線lzとX方向に平行なマス部材2の中心線lxとの交点Oを基準として互いに対称位置となるように、第1ブラケット3aと第2ブラケット3bとに設けられている。なお、貫通孔12と回動防止ピン13とのさらなる構成については、図5を参照して後に詳細に説明する。
また、本実施形態では、薄肉の被覆ゴム層14がマス部材2とブラケット3とに被着されて、マス部材2の外周面の全体およびブラケット3の一部を被覆していると共に、この被覆ゴム層14と一体的に防振基体4が形成されている。すなわち、被覆ゴム層14と防振基体4とは、所定の成形金型の成形キャビティにマス部材2とブラケット3を位置決めセットした状態で該成形キャビティにゴム材料を射出充填し、加硫することによって成形されており、かかる加硫成形と同時にマス部材2とブラケット3とに対して加硫接着されている。
防振基体4は、マス部材2に設けられた受面7とブラケット3に設けられた支持面10cとの間を連結するものである。ダイナミックダンパ1は、マス部材2と防振基体4とからなる振動系の共振周波数を、シートバックに発生する有害振動のピーク周波数に合わせてチューニングしておくことにより、シートバックに発生する有害振動を効果的に低減できるものである。
振動系の共振周波数は、前記式1に基づいて決定される。より具体的には、X方向の共振周波数fxは、防振基体4のX方向のばね定数kxとマス部材2の質量mとに基づいてチューニングされ、Y方向の共振周波数fyは、防振基体4のY方向のばね定数kyとマス部材2の質量mとに基づいてチューニングされる。マス部材2の質量mは共通であるため、X方向の共振周波数fxに比較してY方向の共振周波数fyを大とするためには、防振基体4のX方向のばね定数kxに対するY方向のばね定数kyの比を高くする必要がある。
防振基体4が連結される受面7と支持面10cはX方向に平行なので、ブラケット3に対してマス部材2がX方向へ相対変位させられると、防振基体4には剪断変形が及ぼされる。一方、受面7と支持面10cはY方向に対し傾斜し、Y方向から見たときに受面7と支持面10cが重なり部分Lを有するように防振基体4が連結される。したがって、ブラケット3に対してマス部材2がY方向へ相対変位させられると、受面7と支持面10cとに連結された防振基体4には圧縮または引張り変形が及ぼされる。
よって、防振基体4のX方向のばね定数kxに対する、Y方向のばね定数kyの比が大となる。その結果、マス部材2と防振基体4とからなる振動系において、X方向の共振周波数を所定の周波数域にチューニングしつつ、そのX方向の共振周波数よりも大きな周波域にY方向の共振周波数をチューニングすることが可能となる。例えば、シートバックにおいてX方向に発生する有害振動のピーク周波数が19Hzであり、Y方向に発生する有害振動のピーク周波数が29Hzである場合、X方向に対するY方向のピーク周波数の比が約1.5倍なので、防振基体4のばね比(ky/kx)を約1.5とすることにより、マス部材2と防振基体4とからなる振動系の共振周波数を、X方向に19Hz、Y方向に29Hzとなるようにチューニングする。これにより、ダイナミックダンパ1は、X方向に発生する所定の周波数域の有害振動と、そのX方向の共振周波数よりも大きな周波数域のY方向に発生する有害振動とを同時に低減することができる。
また、マス部材2に設けられる受面7とブラケット3に設けられる支持面10cとは互いに平行に構成される。これにより、ブラケット3に対しマス部材2が相対変位される際に、防振基体4におけるひずみの分布が不均一となって部分にひずみが集中することが抑制できるので、耐久性が確保される。
また、受面7がマス部材2の側面部6(傾斜部6b)に設けられ、支持面10cはマス部材2の側面部6に向かって立ち上がる立上部10の第1方向規制板側9の端部に設けられているので、ダイナミックダンパ1がY方向に大型化するのを抑制することができる。
すなわち、本実施形態のダイナミックダンパ1のように、防振基体4のばね定数kxに対するY方向のばね定数kyの比を大きくするためには、例えば、マス部材2の幅広面5と、その幅広面5に対向しY方向に垂直な第1方向規制板9との間に防振基体4を連結することが考えられる。しかしながら、このように構成すると、マス部材2の幅広面5とブラケット3の第1方向規制板9との間に防振基体4を介在させるための大きな間隙を設ける必要があるため、ダイナミックダンパがY方向(車両の前後方向)に大型化することが避けられず、シートバックに取り付けるものとして好ましくない。
これに対し、本実施形態のダイナミックダンパ1によれば、マス部材2の側面部6に設けられた受面7と、その側面部6に向かって立ち上がる立上部10に設けられた支持面10cとの間に防振基体4を介在させているので、ダイナミックダンパ1がY方向(車両の前後方向)に大型化するのを抑制できるのである。
また、ブラケット3において、第1方向規制板9と取付部11との間に設けられる立上部10を有効に利用し、立上部10の第1方向規制板9側の端部を、Y方向に対し傾斜させ且つX方向に平行とすることにより支持面10c(支持壁部10a)が設けられているので、支持面10cを設けるために新たなスペースや部材を要せず、ダイナミックダンパ1をコンパクト且つコスト的に有利とすることができる。
次に、マス部材2を構成するマス本体2aと受面部材2bとについて、主に図2を参照しつつ詳細に説明する。マス本体2aは、矩形ブロック状に構成され、XY平面に平行な一対の側面に、受面部材2bが溶接されている。
受面部材2bは、マス本体2aの側面に取り付けられる外接面2cと、Y方向に対し所定の角度で傾斜し且つX方向に平行な受面構成面2dとを有する部材であって、外接面2cに対し受面構成面2dが屈曲された金属板で構成される。なお、受面部材2bによりマス部材2の側面部6に傾斜部6bが形成される。また、受面構成面2dにより、Y方向に対し所定の角度で傾斜し且つX方向に平行な受面7が構成される。
図4を参照して、Y方向に対する受面7の角度θと、防振基体4のばね定数kとの関係について説明する。図4(a)は、マス部材2の側面部6を拡大して示す図であって、受面7がY方向に対し角度θ1で傾斜する状態を示す図である。図4(b)は、マス部材2の側面部6を拡大して示す図であって、受面7がY方向に対し角度θ2(θ2>θ1)で傾斜する状態を示す図である。
図4に示すように、受面7および支持面10cのY方向に対する角度θが大となるほど、Y方向における防振基体4の弾性変形において、圧縮または引張り成分の割合が大となるので、Y方向のばね定数kyがX方向のばね定数kxに比して高くなる。すなわち、受面7と支持面10cをX方向に平行に保ちつつ、Y方向に対する角度θのみを調整することにより、X方向のばね定数kxは変えずに、Y方向のばね定数kyのみを可変とすることができる。
したがって、本実施形態のダイナミックダンパ1のチューニングに際しては、まず、X方向の共振周波数fxが所望の周波数となるように、防振基体4の容積や剛性が選択される。その後、受面7および支持面10cをX方向に平行に保ちつつ、Y方向に対する角度θのみを調整することで、X方向の共振周波数fxは変えずに、Y方向の共振周波数fyを所望の周波数にチューニングすることができる。
さらに、本実施形態のダイナミックダンパ1によれば、マス本体2aと受面部材2bとは別体であることから、チューニングの際には、受面部材2bのみを取り替えることにより、受面7のY方向に対する角度θを変更して、Y方向の共振周波数fyをチューニングできる。一方、マス本体2aとしては、入手が容易な矩形ブロック状のものを共通して用いることができるので、コスト的に有利である。受面部材2bを別体とせずにマス本体2aに一体的に設けられる場合には、受面7の角度を変えた複数種類のマス本体2aを準備しなければならないので、マス本体2aの準備にコストを要するのである。
また、マス本体2aとしては、入手が容易な矩形ブロック状のものを共通して用いることができるので、目的とする共振周波数に応じて、Y方向に対する受面7の角度が調整された複数種類のダイナミックダンパを、それぞれ少量生産する場合には、コスト的に有利となる。受面7を構成するための傾斜部6bを一体的に備えたマス本体2aを加工するためには、複数の鋳型を要したり、熱鍛や冷鍛などの別工程を要するからである。
図5を参照して、本実施形態のダイナミックダンパ1の取付構造について説明する。図5は、シートバックの支持部20と、支持部20に取り付けられたダイナミックダンパ1とのX方向に垂直な断面を示す断面図である。ここで、支持部20は、車両のシートバックに固定される部材である。
図5に示すように、第1ブラケット3aと第2ブラケット3bとにはそれぞれY方向に貫通する貫通孔12が設けられている。第1ブラケット3aと第2ブラケット3bとに設けられた一対の貫通孔12には、これら第1ブラケット3aと第2ブラケット3bとを支持部20に取り付けて固定するための固定ボルト21が挿通される。一方、支持部20には、貫通孔12に挿通された固定ボルト21aが挿通される一対の取付孔22が設けられる。
上記貫通孔12および取付孔22に挿通された固定ボルト21aには、支持部20の裏面側においてナット21bが螺合される。これにより、第1ブラケット3aおよび第2ブラケット3bと支持部20とが締結される。
また、図5に示すように、第1ブラケット3aと第2ブラケット3bとが支持部20に対し取付位置にある状態において、その第1ブラケット3aと第2ブラケット3bの支持部20に対向する面には、後述する窪み部23と嵌合する突起である回動防止ピン13がそれぞれ設けられる。
一方、支持部20には、第1ブラケット3aと第2ブラケット3bがその支持部20に対し取付位置にある状態で、第1ブラケット3aと第2ブラケット3bとにそれぞれ設けられた一対の回動防止ピン13と嵌合する一対の窪み部23が予め設けられている。
上述のように構成されたダイナミックダンパ1の第1ブラケット3aおよび第2ブラケット3bを車両のシートバックに固定された支持部20に取り付ける際には、固定ボルト21aとナット21bとによる締結に先立って、第1ブラケット3aと第2ブラケット3bとに設けられた一対の回動防止ピン13を、支持部20に予め設けられた窪み部23に嵌合させる。
これにより、車両のシートバックに固定された支持部20に対する取付位置にダイナミックダンパ1の第1ブラケット3aと第2ブラケット3bとを容易に位置決めすることができる。さらに、位置決め後においては、回動防止ピン13の移動が窪み部23の内面によって規制され、支持部20の面に沿った方向における移動が抑制されるので、第1ブラケット3aと第2ブラケットとが、支持部20に対し回動または揺動することが確実に抑制される。よって、位置決めされた状態において、貫通孔12および取付孔22に固定ボルト21aを挿通し、その固定ボルト21aにナット21bを螺合する作業を安定的に行うことができる。よって、取り付け作業が容易になる。
ここで、図1から図3を参照して説明したように、マス部材2のZ方向両側に互いに対称的に連結された第1ブラケット3aと第2ブラケット3bとに設けられた一対の回動防止ピン13とは、Z方向に平行なマス部材2の中心線lzとX方向に平行なマス部材2の中心線lxとの交点Oを基準として互いに対称位置に配置されているので、ダイナミックダンパ1にZ方向およびX方向の方向性を生じさせない。よって、ダイナミックダンパ1の取付時において、一対の回動防止ピン13を支持部20に予め設けられた窪み部23に嵌合させる際には、ダイナミックダンパ1のZ方向およびX方向における方向性を確認する必要が無いので、取り付け作業がより容易となる。
これに対し、従来のダイナミックダンパにおいては、回動防止ピンが、ダイナミックダンパのZ方向については対称位置であって、X方向については同位置に設けられていたので(図7参照)、回動防止ピンのためにダイナミックダンパに左右の方向性が発生していた。その結果、取付時において、支持部に予め設けられた窪み部に一対の回動防止ピンを嵌合させる際には、ダイナミックダンパの左右の方向性を逐一確認して配置しなければならないので、取り付け作業が煩雑となっていたのである。
また、第1ブラケット3aと第2ブラケット3bとに設けられた一対の貫通孔12は、交点Oを基準として互いに対称位置に配置されているので、回動防止ピン13と同様に、ダイナミックダンパ1にZ方向およびX方向の方向性を生じさせない。よって、ダイナミックダンパ1を支持部20へ取り付ける際には、ダイナミックダンパ1のZ方向およびX方向における方向性を確認する必要が無く、取り付け作業が容易となる。
また、第1ブラケット3aと第2ブラケット3bには、共に防振基体4を介してマス部材2に連結されているので、車両用シートのシートバックに振動が入力され、マス部材2と防振基体4とにより構成される振動系が共振すると、その影響を受けて、防振基体4から振動が加えられる。ここで、第1ブラケット3aと第2ブラケット3bとが互いに分離している場合、第1ブラケット3a及び第2ブラケット3bは、それぞれ固定ボルト21aとナット21bにより一箇所において締結されているだけである。よって、ブラケットが一体に構成されている場合に比較して、防振基体4からの振動の影響を受け易く、固定ボルト21aの軸心回りの回動および揺動などのがたつきが発生し易い。
したがって、支持部20に設けられた一対の窪み部23と嵌合する一対の回動防止ピン13を第1ブラケット3aと第2ブラケット3bとに設け、支持部20に対する第1ブラケット3aと第2ブラケット3bとの移動を抑制することにより、第1ブラケット3aと第2ブラケット3bとが互いに分離している場合においても、振動入力時における回動または揺動などのがたつきの発生が抑制される。
また、入力される振動が特に大きい場合には、マス部材2が大きく振動して第1方向規制板9に当たり打音が発生することがあるが、第1方向規制板9において取付部11と反対側の一端9aが自由端とされている。その結果、従来のダイナミックダンパのように(図6、図7参照)、第1方向規制板がZ方向両端の取付部と一体的に設けられ、第1方向規制板の両端が取付部により固定される場合に比較して、打音の音色を不快感の低い音色に変化させることができるので、打音による聴感上の不快感を抑制できる。
また、第2ブラケット3bに設けられた第1方向規制板9は、第1ブラケット3aに設けられた第1方向規制板9との間に間隙Gを有するので、第1方向規制部が、間隙を有さない一体的なものである場合に比較して、第1方向規制部全体の面積が小さい。よって、マス部材2が第1方向規制板9に当たったときに発生する打音の音量が低減し、打音による聴感上の不快感を抑制できる。
また、一対の回動防止ピン13は、交点Oを基準として互いに対称位置となるように第1ブラケット3aと第2ブラケット3bとに配置されるものであるので、第1ブラケット3aと第2ブラケット3bとして互いに同一形状のものを用いることができ、ブラケットの種類が半減して安価であるとともに管理が容易である。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、本実施の形態であるダイナミックダンパ1においては、ブラケット側嵌合部が突起(回動防止ピン13)で構成され、支持部側嵌合部が窪み(窪み部23)で構成されていたが、逆にブラケット側嵌合部が窪みで構成され、支持部側嵌合部が突起で構成されてもよい。
本発明の1実施の形態におけるダイナミックダンパの底面図である。 図1に示すダイナミックダンパの側面図である。 図1に示すダイナミックダンパの上面図である。 (a)は、マス部材の側面部を拡大して示す図であって、受面がY方向に対し角度θ1で傾斜する状態を示す図であり、(b)は、マス部材の側面部を拡大して示す図であって、受面がY方向に対し角度θ2で傾斜する状態を示す図である。 シートバックの支持部と、支持部に取り付けられたダイナミックダンパとのX方向に垂直な断面を示す断面図である。 従来のダイナミックダンパが車両用シートのシートバックに取り付けられた状態を示す図である。 従来のダイナミックダンパを示す図であり(a)はダイナミックダンパの底面図であり、(b)はダイナミックダンパの側面図である。
符号の説明
1 ダイナミックダンパ
2 マス部材
3 ブラケット
3a 第1ブラケット
3b 第2ブラケット
4 防振基体
9 第1方向規制板(規制部)
9a 一端(取付部と反対側の一端)
11 取付部
13 回動防止ピン(ブラケット側嵌合部,突起)
20 支持部
21a 固定ボルト(固定部材)
23 窪み部(支持部側嵌合部,窪み)
201 シートバック
G 間隙
Y Y方向(第1方向)
Z Z方向(第2方向)

Claims (5)

  1. 質量体としてのマス部材と、車両用シートのシートバックの支持部に取り付けられるブラケットと、前記ブラケットと前記マス部材とを連結すると共にゴム状弾性体から構成される防振基体とを備えるダイナミックダンパにおいて、
    前記ブラケットは、互いに分離独立して前記マス部材に連結されると共に前記シートバックに取り付けられる取付部を有する第1ブラケットと第2ブラケットとから構成され、
    前記第1ブラケットと第2ブラケットとの少なくとも一方は、前記マス部材に対し第1方向に離隔して対向する規制部を有し、前記規制部において前記取付部と反対側の一端が自由端であることを特徴とするダイナミックダンパ。
  2. 前記第1ブラケットと第2ブラケットとは同一形状を有することを特徴とする請求項1記載のダイナミックダンパ。
  3. 前記第1ブラケットに設けられた規制部は、前記第1方向に垂直な第2方向における前記マス部材の一端部に対向し、前記第2ブラケットに設けられた規制部は、前記第2方向における前記マス部材の他端部に対向し且つ前記第1ブラケットに設けられた規制部との間に間隙を有するものであることを特徴とする請求項1または2に記載のダイナミックダンパ。
  4. 前記第1ブラケットと第2ブラケットとは、前記支持部に設けられた支持部側嵌合部と嵌合するブラケット側嵌合部をそれぞれ有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のダイナミックダンパ。
  5. 前記ブラケット側嵌合部と前記支持部側嵌合部とは、いずれか一方が他方に突出する突起で構成され、他方が前記突起と嵌合する窪みで構成されることを特徴とする請求項4記載のダイナミックダンパ。
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