JP2006308832A - 反射防止膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】各種ディスプレイの表示画面の最前面に適用される反射防止膜であり、単層構造でありながら低反射光強度を達成する低屈折率と高硬度で耐擦傷性に優れた反射防止膜を提供する。
【解決手段】微細な円柱状空間122を均一に含有するシリカと、活性エネルギー線で硬化された樹脂とを含有する反射防止膜12であって、反射防止膜においては、シリカの微細な円柱状空間と、シリカと樹脂界面との間の空間とを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、CRTディスプレイ等、各種ディスプレイの表示画面の最表面に適用される反射防止膜に関する。
最近では、携帯電話やカーナビゲーションシステム等屋外で使用する機器の普及に伴い、ディスプレイは外光等が入射するような環境下で使用されている。この外光等の入射光は、ディスプレイ表面等において反射され、反射像が表示光と混合して表示品質の低下を起こしている。また一方、コンピュータのディスプレイと対面している時間も長くなり、この反射像等による表示品質の低下が目の疲労等を引き起こしているとも云われている。更に、液晶ディスプレイの省電力化に伴い、ディスプレイ表面の反射像を低減し、表示画像を明確にすることも要求されてきている。そのような背景から、最近では反射率を低減する様にディスプレイの最表面に反射防止膜が配置されている。
これらのディスプレイへの反射防止機能の付与については、最近はディスプレイの平面化や大型化等に伴って、プラスチックフィルムの基材表面に反射防止膜を設けて形成した反射防止フィルムを貼る形式が一般になっている。この反射防止フィルムは、反射防止の光学理論に基づいて、基材上に金属酸化物等からなる高屈折率層と低屈折率層とを積層させた複層構成のもの、あるいは有機フッ素化合物や無機化合物等の低屈折率層のみを設けた単層構成のものがある。
多層型の反射防止膜は、層構成を組み合わせて反射防止性能を向上させることが可能であり、単層型と比べて高性能化を図り易い。しかしながら、高コストとなる欠点がある。一方、単層型の反射防止膜は、多層型と比べて層構成が単純なので、生産性やコストパフォーマンスに優れているだけでなく、可視光の広範囲に渡って低い反射率を実現し易い特性があるので、工業的にはより好ましい。しかし単層構造の場合には、より低屈折率が望まれ、かつ機械強度や耐擦傷性の良い材料が望まれている。
低屈折率膜を得る具体的手段としては、屈折率の低いフッ素を含有する材料を用いる手法と、膜中に空孔を設け、空気の低屈折率を利用する手法とに大別される。上記の低屈折率を達成する具体的な材料としては、フッ素含有有機材料、低屈折率の微粒子等が挙げられ、これらの材料を単独にあるいは組み合わせて使用することが提案されている。
例えば、特許文献1では、フッ素含有有機材料を用いることが提案されている。特許文献2では、フッ素含有有機材料と低屈折率微粒子を用いることが提案されている。特許文献3では、フッ素含有有機材料とアルコキシシランを用いることが提案されている。しかし、これらのフッ素含有有機材料を用いた場合は、表面硬度が不十分なために耐擦傷性に劣り、傷が付き易い欠点がある。
一方、特許文献4では、アルコキシシランと低屈折率微粒子を用いることが提案されている。特許文献5では、多孔質シリカとバインダーを含有する反射防止膜について開示されているが低屈折率膜としては不十分である。また、球状の中空シリカ粒子が特許文献6に開示されており、この中空シリカ粒子を用いた反射防止フィルムについても特許文献7に開示されている。しかしながら、これら球状中空シリカ粒子を用いた反射防止膜でも、十分な低屈折率が達成されておらず、更なる低屈折率膜の出現が望まれていた。
特開平2−19801号公報 特開平6−230201号公報 特開平7−331115号公報 特開平8−211202号公報 特開平7−48527号公報 特開2001−233611号公報 特開2004−258267号公報
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、屈折率が低くかつ高硬度で耐磨耗性に優れた反射防止膜を提供することを目的とする。即ち、本発明の目的は、単層構造でありながら低反射光強度を達成する低屈折率と高硬度で耐擦傷性に優れた反射防止膜を提供することである。
本発明は鋭意研究を重ねた結果、単層構造でありながら低反射光強度を達成する低屈折率と高硬度で耐擦傷性に優れた反射防止膜を提供することに至った。
即ち、本発明は以下のとおりである。
本発明の反射防止膜は、(A)直径1nm〜20nmの微細な円柱状空間を有するシリカと、(B)活性エネルギー線で硬化された樹脂と、を含有する反射防止膜であって、前記シリカと前記樹脂との間の体積比(A:B)が80:20〜20:80であり、前記反射防止膜における前記シリカ及び前記樹脂の占有体積(A+B)と前記反射防止膜における前記シリカ及び前記樹脂以外の体積(C)の比(A+B:C)が75:25〜50:50であり、前記反射防止膜の表面から少なくともいずれかの深さにおける前記表面に略平行な面において、前記シリカの占有面積が30%以上であることを特徴とする。ここで、シリカ及び樹脂以外の体積、すなわち空間(C)は、シリカ(A)及び樹脂(B)が占める領域以外の残った領域であって、シリカ中に存在する微細な円柱状空間と、シリカ(A)と樹脂(B)との界面に存在する不定型空間とからなる領域である。
本発明の反射防止膜においては、前記シリカと前記樹脂との間の体積比(A:B)が60:40〜30:70であり、前記反射防止膜における前記シリカ及び前記樹脂の占有体積(A+B)と前記反射防止膜における前記シリカ及び前記樹脂以外の体積(C)の比(A+B:C)が70:30〜50:50であることが好ましい。
本発明の反射防止膜においては、前記シリカの円柱状空間の直径が1nm〜10nmであることが好ましい。
本発明の反射防止膜においては、前記シリカの円柱状空間がシリカにより閉塞されていることが好ましい。
本発明の反射防止膜においては、前記シリカの円柱状空間が互いに略平行に平均5〜20本凝集して構成されることが好ましい。
本発明の反射防止膜においては、前記樹脂は、平均粒子径が15nm以下の微粒子シリカが分散した構造で存在することが好ましい。
本発明の反射防止膜は、基体上に、変性多孔性シリカゾルを用いてシリカ薄膜を形成し、前記薄膜の表面上に活性エネルギー線硬化型樹脂を塗布して硬化してなることを特徴とする。
本発明の反射防止膜は、単層でありながら、屈折率が低く、高硬度で耐擦傷性に優れており、各種ディスプレイ用反射防止膜として好適である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の実施の形態において、「シリカ」には、微粒子シリカ、粒状シリカ、粒状シリカゾルなどの種々の形態のシリカを包含し、それぞれの説明に応じて適宜形態を含めた形で表記する。
まず、本発明の反射防止膜の構成から説明する。本発明の反射防止膜は、必要に応じて選択された基板面上に、予め変性多孔性シリカゾルを用いてシリカ(A)の薄膜を形成させ、その薄膜表面上に活性エネルギー線硬化型樹脂を塗布・硬化(B)したものである。その構成としては、膜厚全体において変性多孔性シリカ成分が含有され、そのシリカ間空間が活性エネルギー線で硬化される樹脂で包埋され、該樹脂とシリカ界面に一部空間が残された構成となっている。
本発明ではシリカ(A)として、多孔性シリカゾルを変性した変性多孔性シリカゾルを用いる。以下に多孔性シリカゾル、変性多孔性シリカゾル、紫外線硬化型樹脂の順に説明する。
(多孔性シリカゾル)
本発明の変性多孔性シリカゾルを調製する際には、その原料として多孔性シリカゾルを使用する。多孔性シリカゾルは、その内部に微細な円柱状空間を有する微粒子のシリカゾルである。この微粒子のサイズ、及び微細な円柱状空間のサイズは、反射防止膜が透明である必要があるので、拡散反射光を生じさせないサイズ、所謂ナノサイズであることが必要である。このような多孔性シリカゾルについては、例えば特開2003−253154号公報等にナノサイズの円柱状細孔が規則的に並んだ多孔性シリカゾルとして記載されている。
本発明に使用される多孔性シリカゾルは、ナノサイズの円柱状細孔が規則的に並んだ多孔性シリカゾルであり、界面活性剤が形成する分子集合体をテンプレートとして、シリカ源の重縮合を行うことにより調製されるものである。この溶液からテンプレートを除去した後に、溶媒を乾燥させると多孔性シリカが得られる。
以下に本発明に使用される多孔性シリカゾルの調製方法について詳細に説明する。予め、界面活性剤を所定濃度及び所定温度で調整して分子集合体溶液を作成する。これとは別に、シリカ源を溶媒に溶解あるいは分散した溶液を作成する。これらの両液を均一に撹拌混合して、前記の分子集合体をテンプレートにしたシリカ源・テンプレート集合体を形成させる。この集合体含有液を、通常100℃以下の温度で所定時間シリカ源を重縮合反応させると、多孔性シリカ・テンプレート複合体が得られる。この多孔質シリカ・テンプレート複合体溶液から、テンプレートを種々の手段で除去することにより、透明な多孔性シリカゾルが得られ、この多孔性シリカゾルの溶剤を乾燥させると、多孔性シリカが得られる。本発明の反射防止膜を作成するに当たっては、この多孔性シリカゾルを用いる。
本発明におけるシリカ源としては、ケイ素酸化物及びその前駆体であり、縮合や重合して最終的にシリカになるものを用いることができる。具体的には、テトラエトキシシランやメチルトリエトキシシラン、ジメチルトリエトキシシラン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン等のアルコキシドや活性シリカを単独又は併用して用いることができる。
活性シリカは安価で安全性が高いため特に好ましい。活性シリカは、水ガラスをイオン交換したり、水ガラスから有機溶剤で抽出したりする等して調製することができる。例えば水ガラスをH+型カチオン交換体と接触させて調製する場合、Naが少なく安価であるため、3号水ガラスを用いるのが工業的に好ましい。イオン交換する場合には、カチオン交換体として、例えばスルホン化ポリスチレンジビニルベンゼン系の強酸性交換樹脂(例えば、ローム&ハース製アンバーライトIR−120B)が好ましい。
本発明におけるテンプレート源としては、四級アンモニウム系等のカチオン性、アニオン性、非イオン性、両性界面活性剤やドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン等のアミンやアミンオキサイド等の中性テンプレート等が使用できる。好ましくは旭電化製のアデカプルロニックL・P・F・Rシリーズのようなトリブロック系や旭電化製のアデカPEGシリーズのようなポリエチレングリコール、アデカプルロニックTRシリーズのようなエチレンジアミンベース型等の非イオン性界面活性剤である。
非イオン性界面活性剤としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドからなるトリブロック系の非イオン性界面活性剤が好ましい。特に、構造式HO(C24O)a−(C36O)b−(C24O)cH(但し、a、cは10〜110を、bは30〜70を示す)で示されるもの、あるいは構造式R(OCH2CH2nOH(但し、Rは炭素数12〜20のアルキル基を、nは2〜30を示す)で示されるものが好ましい。具体的には、旭電化製プルロニックP123(HO(C24O)20−(C36O)70−(C24O)20H)、P103(HO(C24O)17−(C36O)60−(C24O)17H)、P85、P65等やポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等を挙げることができる。
本発明の多孔性シリカゾルの調製時に使用される溶媒としては、水あるいは水と有機溶剤の混合溶媒のいずれを用いてもよい。有機溶剤の具体例としては、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類等が挙げられ、より具体的には、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等のグリコールエーテル類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル類が挙げられる。好ましい有機溶媒は、アルコール類であり、特にエタノールやメタノール等の低級アルコールが好ましい。
多孔性シリカゾルを調製する反応に用いられる溶剤組成は、テンプレート種、シリカ源種及び選択した溶媒種により異なるが、凝集や沈殿等が生じない、あるいは粒子径が大きくならない範囲を選ぶことが必要である。
また、粒子の凝集や沈殿を防ぐために低分子PVA等の安定化剤を加えても良い。さらに、凝集や沈殿を起こさない範囲内であれば溶媒中にpH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、表面張力調整剤、湿潤剤、及び防錆剤を加えてもよい。
一例を挙げて更に説明すると、シリカ源として活性シリカを、テンプレートとしてプルロニックP123(旭電化製)を、溶媒として水を用いる場合は、次のような組成が好ましい。P123/SiO2の重量比は、0.01/1〜30/1の範囲、より好ましくは0.1/1〜5/1の範囲である。反応時の水/P123の重量比は、10/1〜1000/1の範囲、より好ましくは20/1〜300/1の範囲が良い。安定化剤として、NaOHをNaOH/SiO2の重量比として1×10−4/1〜0.15/1の範囲で加えても良い。プルロニックP103等を用いる場合も、同様の組成を用いることができる。
シリカ源溶液とテンプレート溶液の混合は、0〜80℃で撹拌しながら行う。反応は常温でも容易に進行するが、必要に応じて加温下で行っても良い。反応時間としては0.5〜100時間の範囲が良い。反応時のpHは、2〜12の範囲が良く、pHの制御のためにNaOH、アンモニア等のアルカリや塩酸、酢酸、硫酸等の酸を加えても良い。
反応触媒として、アンモニア、アミン、アルカリ金属水素化物、第四級アンモニウム化合物、アミン系カップリング剤等、塩基性を示す化合物を用いても良い。
次に、テンプレートの除去方法について説明する。このようにして得られた多孔性シリカ・テンプレート複合体溶液から、テンプレートを除去して多孔性シリカゾルを得る方法としては、例えば、多孔性シリカ・テンプレート複合体溶液を溶剤と攪拌混合してテンプレート除去する方法、カラム等を通過させて除去する方法等が使用可能である。テンプレートは、完全に除去する必要はないが、残存量が多孔性シリカに対して10重量%以下とすると好ましい。テンプレートを除去しないと、本発明においては、後述する変性反応時に泡の発生や反応阻害の原因になるので、除去することが必要である。
本発明において、テンプレート除去方法としては、限外濾過装置を用いる方法が、多孔性シリカゾルの変性が少なく、またそのまま取り扱うことができるので好ましい。限外濾過は大気圧中以外にも加圧、減圧どちらで行ってもよい。限外濾過用の膜の材質としては、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリオレフィン、セルロース等を用いることができ、その形状は、中空糸型や平膜型、スパイラル型、管型等の何れでも良い。限外濾過膜の材質として、好ましくはPAN膜、セルロース膜、荷電膜等の親水性膜である。荷電膜には、正荷電膜、負荷電膜があり、正荷電膜としては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリオレフィン等の有機重合体や無機物質に4級アンモニウム塩基等の正荷電基を導入した膜が挙げられる。負荷電膜としては、有機重合体や無機物質にカルボキシル基やスルホン酸基等の負荷電基を導入した膜が挙げられる。
限外濾過を行う際、粒子の凝集を防ぐためにNaOH等のアルカリや低分子PVA等の安定化剤を加えても良いし、Na2SO3等のナトリウム塩やNH3HCO3といったアンモニウム塩等の粘度調整剤を加えても良い。除去に用いる溶剤は、テンプレートを溶解するものであれば良く、取り扱いが簡単な水やテンプレートの溶解力が高い有機溶媒であれば良い。
除去温度はテンプレートのミセル形成温度以下に冷却するのが好ましい。ミセル形成温度以下に冷却することによりテンプレートが解離し、濾過膜を通りやすくなる。ここでいうミセル形成温度とは、任意の濃度において温度を上昇したときに、テンプレートが溶液中でミセルを形成し始める温度のことを意味する。実際には用いる溶剤やテンプレートにより異なるが、好ましくは60℃〜2℃の範囲である。この温度範囲であれば、溶剤が凍結することもなく、好ましい。
更に本発明に使用される多孔性シリカゾルの特性について、以下に詳細に説明する。
本発明における多孔性シリカゾルの平均粒子径は、透過型電子顕微鏡で確認でき、その短径は10〜50nmの範囲が好ましく、より好ましくは15〜35nmの範囲である。長径は20〜500nmの範囲が好ましく、好ましくは50〜300nmの範囲である。また、平均短径と平均長径のアスペクト比については、透明性や平滑性、本発明における多孔性シリカゾルの特性を満足する調整を考慮して、2〜30が好ましく、より好ましくは4〜15である。
また、この多孔性シリカゾルであるシリカは、内部に微細な円柱状空間を有しており、その微細な円柱状空間の両末端(開口部)の直径は、円柱状空間の中央部の直径とほぼ同一であり、その末端は開放系となっている。従って、適宜の温度で多孔性シリカゾルから溶媒を徐去すると、多孔性シリカゾルの形態とほとんど変化の無い多孔性シリカが得られ、この多孔性シリカは、窒素吸着測定法で細孔径分布と細孔容積が測定可能である。
この方法において、本発明に使用される微細な円柱状空間の直径を求めた場合に、直径は、多孔性シリカの調製及び変性反応のしやすさの観点から、1nm〜20nmの範囲が好ましく、より好ましくは1nm〜10nmの範囲である。
微細な円柱状空間の好ましい平均長さは、20nm〜500nmの範囲、より好ましくは50〜300nm範囲である。平均長さがこの範囲にあると、微細な円柱状空間の利用効率が高く、反射防止膜として必須である薄膜(厚さ95〜130nm)としたときの製膜性に優れ、平滑性や均一性に優れた膜が得られる。
また、好ましい細孔容積は、0.3〜2.0ml/gの範囲が好ましく、より好ましくは0.3〜2.0ml/gの範囲である。細孔容積がこの範囲にあると、微細な円柱状空間の利用効率が高く、薄膜としたときの製膜性に優れ、平滑性や均一性に優れた膜が得られる。
また、この多孔性シリカは、微細な円柱状空間が、複数本が平行に凝集した状態が好ましい。多孔性シリカを調製する観点から、より好ましくは5〜20本が平行に凝集した状態である。凝集することにより、反射防止膜中の多孔性シリカをより緻密にすることができるので、多孔性シリカ内の微細な円柱状空間の利用効率が良く、より低い屈折率にすることが可能となる。また、緻密になることにより、機械強度が上がって耐擦傷性もよくなる。
(変性多孔性シリカゾル)
本発明の変性多孔性シリカゾルについて説明する。本発明の変性多孔性シリカゾルは、上記で例示した多孔性シリカゾルを後述する方法で変性したものである。以下に、変性多孔性シリカゾルを得る方法について説明する。
上記で得た多孔性シリカゾルは、その内部に微細な円柱状空間を有しており、この微細な円柱状空間の両末端は中央部とほぼ同じ直径で開口している。この多孔性シリカを薄膜の形態に加工しても同様に開口している。従って、活性エネルギー線硬化型樹脂を塗布(オーバーコート)する際に、活性エネルギー線硬化型樹脂が、両末端から進入して円柱状空間を埋めてしまう現象が発生する。本発明においては、この現象を防止するために、多孔性シリカゾルの段階で、両末端の直径をより小さくする目的で、粒状シリカゾルとバインダーを用いて変性が行われる。
まず、この変性に用いられる粒状シリカゾルとバインダーについて説明する。
本発明に使用される粒状シリカゾルの粒子径は、その目的が多孔性シリカに含有される微細な円柱状空間が活性エネルギー線硬化型樹脂で充填されないように、その細孔の開口を塞ぐことにあるので、多孔性シリカゾルの両末端の直径と同じ大きさの粒状シリカゾルで閉鎖することが好ましいが、活性エネルギー線硬化型樹脂の進入を防止できるのであればこの限りでない。また、粒状シリカゾルの形状は多孔性シリカの細孔口を塞ぐことができれば、球状、扁平状、鎖状等形状は特に限定されない。
本発明に使用される多孔性シリカゾル開孔部と粒状シリカゾルを繋ぐバインダーとしては、加水分解性の有機珪素化合物である、一般式RnSi(OR′)(4−n)(この式中、R及びR′はアルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基等の炭化水素基、n=0,1,2又は3)で表されるアルコキシシランを用いることができ、特にテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランが好ましい。
上記アルコキシシランは、総シリカ合計に対して0〜120重量部が好ましく、より好ましくは10〜50重量部になるように添加する。本発明では、上記アルコキシシランの使用は必ずしも必須でないが、変性反応が進行し易いので少量添加する方が望ましい。
次に、多孔性シリカゾルを粒状シリカゾルとバインダーで変性する変性方法ついて一例を挙げて説明するが、この方法に限定されるものではない。上記の多孔性シリカゾルに粒状シリカゾルを混合し、バインダーとしてテトラエトキシシラン溶液を加えて反応させる。この反応は、常温でも容易に反応するが、加熱下で行うこともでる。反応時間は、特に制限が無いが通常は50時間以内である。
変性反応としては、テトラエトキシシラン等の加水分解反応と、多孔性シリカゾルの表面において粒状シリカゾル、加水分解物及び多孔性シリカゾルの間で重縮合反応が起こり、多孔性シリカゾルの周囲を粒状シリカゾルが覆って、多孔性シリカゾルの開孔された細孔径をより小さくする。この時に完全に塞ぐ必要はなく、次の工程で使用される活性エネルギー線硬化型樹脂が微細な円柱状空間内に侵入しなければ良い。この変性処理後の円柱状空間の両端部の直径は、最大でも20nm以下であり、より好ましくは10nm以下である。
この変性により、活性エネルギー線硬化型樹脂をオーバーコートした場合に、変性多孔性シリカ内部の微細な円柱状空間が空間として保たれる。このようにして得た本発明の変性多孔性シリカゾルを、適宜の温度で溶媒を乾燥させると、透明な多孔性シリカ膜が得られる。
次に、本発明における反射防止膜の塗設方法の一例について説明する。はじめに、上記の微細な円柱状空間を有する変性多孔性シリカゾルを基材等に塗布して、この塗膜を適宜の温度で硬化させて第一塗工膜を形成させる。次に、この塗膜の表面に活性エネルギー線硬化型樹脂溶液等をオーバーコートして、これを活性エネルギー線で硬化させて反射防止膜を形成させる。
オーバーコートの目的は、第一塗工で形成された変性多孔質シリカ膜のシリカ以外の空間(つまり、微細な円柱状空間以外の空間)を、活性エネルギー線硬化型樹脂等で埋めることにより、以下の効果を発揮させることにある。即ち、膜表面の平面平滑性を向上させると同時に硬度を向上させて耐擦傷性に優れた膜とすること、及び第一塗工膜の屈折率が低すぎる場合も含めて、基材との光学理論に基づく相関関係から最適屈折率に調整することにある。
次に、オーバーコート液の材料である、活性エネルギー線硬化型樹脂等について詳細に説明する。
(活性エネルギー線硬化型樹脂)
本発明における、活性エネルギー線硬化型樹脂について説明する。本発明において、活性エネルギー線硬化型樹脂とは、紫外線や電子線のような活性エネルギー線照射により架橋反応等を経て硬化するタイプの樹脂をいう。活性エネルギー線硬化型樹脂としては、紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の活性エネルギー線照射によって硬化する樹脂でもよい。
紫外線硬化性樹脂としては、紫外線によって光重合開始剤から発生するラジカルにより重合が進む、所謂アクリレート系硬化樹脂、光酸発生剤(通称PAG)により発生するイオンで重合が進むエポキシ系硬化樹脂等がある。以下、より好ましいアクリレート系樹脂を中心に説明する。
具体的には、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂及び紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物に、更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させて容易に形成されるものを挙げることができ、特開昭59−151110号公報に記載のものを用いることも効果的である。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させて容易に形成されるものを挙げることができ、特開昭59−151112号公報に記載のものを用いることも効果的である。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させて生成するものを挙げることができ、特開平1−105738号公報に記載のものを用いることができる。
本発明において使用することができる市販の紫外線硬化型樹脂としては、例えばアデカオプトマーKR・BYシリーズ:KR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(旭電化(株)製);コーエイハードA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(広栄化学(株)製);セイカビームPHC2210(S)、PHC X−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(大日精化工業(株)製);KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(ダイセル・ユーシービー(株)製);RC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(大日本インキ化学工業(株)製);オーレックスNo.340クリヤ(中国塗料(株)製);サンラッドH−601、RC−750、RC−700、RC−600、RC−501、RC−611、RC−612(三洋化成工業(株)製);SP−1509、SP−1507(昭和高分子(株)製);RCC−15C(グレース・ジャパン(株)製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(東亞合成(株)製)等が挙げられ、この中から適宜選択して使用できる。
本発明において、活性エネルギー線硬化型樹脂と共に用いる重合開始剤は、硬化手段である活性エネルギー線の種類(紫外線、可視光、電子線等)に応じて適宜選択することができる。例えば、紫外線を使用する場合には、紫外線により活性化するラジカル発生剤や光酸発生剤等の光重合開始剤を単独あるいは混合して使用できる。
光重合開始剤の具体例としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、キサントフルオレノン、ベンズアルデヒド、アントラキノン、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4−ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−チオキサントン、カンファーキノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,2−エトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジベンゾイル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、p−メトキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−クロロチオキサントン、アントラキノン、フェニルジスルフィド、各種光酸発生剤(東洋合成製:各種PGA)、その他PGA(例えば、“塗料の研究”No141 Dec 2003に記載のもの)等が挙げられる。
また、光重合を促進させるために光重合開始剤と共に光増感剤や光促進剤を使用してもよい。光増感剤の具体例としては、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、各種光酸発生剤等を挙げることができる。
さらに、本発明に関わる活性エネルギー線硬化型樹脂には、必要に応じて、更に、重合禁止剤、消泡剤、レベリング剤、分散剤、可塑剤、帯電防止剤、界面活性剤、非反応性ポリマー等を、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
例えば、フッ素系界面活性剤やフッ素系レベリング剤等を添加することができる。これらの活性剤やレベリング剤は、反射防止膜中におけるシリカ粒子の均一分散性を良くするため、それに伴う反射光強度の低減や耐擦傷性の改善ができる。
活性エネルギー線硬化型樹脂塗工液の有機溶媒としては、一般の樹脂塗料に用いられている希釈用の有機溶媒であれば特に制限はないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系化合物;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸メトキシエチル等のエステル系化合物;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、ジオキサン等のエーテル系化合物;トルエン、キシレン等の芳香族化合物;ペンタン、ヘキサン等の脂肪族化合物;塩化メチレン、クロロベンゼン、クロロホルム等のハロゲン系炭化水素;メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール等のアルコール化合物等を挙げることができる。
本発明における塗工方法は、公知の方法で塗布することができる。具体的には、通常一般的に使用されるグラビアコート、スピンコート、ダイコート、転写コート、ディップコート、及びスプレーコート等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化型樹脂において、光硬化反応により硬化皮膜層を形成するための光源としては、紫外線、可視光線、レーザー、電子線、エックス線等の広範囲の活性エネルギー線を使用することができるが、これらの中でも、紫外線を用いることが実用面からは好ましい。具体的な紫外線発生源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は100〜2000mJ/cmの範囲が適当であるが、特にこの範囲にこだわらない。また、先に挙げた増感剤を用いることによって効率よく硬化させることも可能である。
なお、本発明は反射防止膜であり、直接ディスプレイに塗布することも可能であり、反射防止フィルムとするとは限らない。本発明の反射防止膜を含む反射防止フィルムとして使用する場合には、基材として透明プラスチックフィルムもしくはシートを用い、この基材の表面に反射防止膜(低屈折率膜)を形成することによって製造することができる。なお、反射防止膜は、基材の片面に反射防止膜を形成しても基材の両面に反射防止膜を形成させてもよい。更に、必要に応じて、基材の表面にハードコート層を介して反射防止膜を形成してもよい。
本発明の反射防止膜を反射防止フィルムとする際に用いられる基材について説明する。本発明に使用する基材は特に限定されるものではなく、公知の透明プラスチックフィルムもしくはシートの中から適宜選択して用いることができる。例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、アクリル、ナイロン、フッソ樹脂、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン等のフィルムもしくはシートを挙げることができる。
(反射防止膜)
以下に本発明の反射防止膜の膜構成について、詳細に説明する。本発明の反射防止膜は、内部に微細な円柱状空間(細孔)を多数含有するシリカゾルが形成する、網目状形態(例えば、たたみ鰯状の形態)に相互に空間を保ちつつ連なるシリカ(A)、シリカ(A)以外の空間を埋める活性エネルギー線で硬化された樹脂(B)及び(B)で埋めきらずに残した空間(C)で構成される。シリカ(A)は、本発明の変性多孔性シリカゾルを用いて、適宜の塗布工程により薄膜状で得られる。このままの状態では、屈折率が低すぎたり、耐擦傷性が低い場合が多いので、シリカ(A)以外の空間を活性エネルギー線で硬化された樹脂(B)で固定し、耐擦傷性を向上させるものである。また、同時に(A)、(B)及び(C)の体積構成比を適宜選択して、必要に応じた屈折率を調整することができる。
ここで、本発明に係る反射防止膜の構造について詳細に説明する。
本発明に係る反射防止膜は、例えば図1に示すような構造を有する。すなわち、基体11上に設けられた反射防止膜12は、変性多孔性シリカ粒子121を含んでいる。この変性多孔性シリカ粒子121は、図2(a),(b)に示すように、複数の微細な円柱状空間122を有する。また、反射防止膜12は、活性エネルギー線で硬化された樹脂で占められた領域(樹脂充填領域)123と、活性エネルギー線で硬化された樹脂で占められていない領域(樹脂未充填領域)124とを含む。
本発明に係る反射防止膜は、シリカにより囲まれて閉塞した微細な円柱状空間を複数有するシリカゾルが、以下に記述するシリカ空間構造をなし、このシリカゾル以外の主たる空間を活性エネルギー線で硬化された樹脂で占められた膜構造を有する。シリカ空間構造とは、変性多孔性シリカゾルが、重複した乱れた網目構造(例えば、たたみ鰯状構造)のシリカ連続層を形成した構造を意味する。また、シリカ以外の空間のすべてを、活性エネルギー線で硬化された樹脂で占めなくても良く、必要に応じて一部であれば空間のままでも良い。
このシリカ空間構造は、本発明において使用する変性多孔性シリカゾルを用いて、適宜の塗布工程を経ることにより薄膜状で得られる。この状態のシリカ膜において、シリカ以外の空間を、活性エネルギー線硬化型樹脂で充填し、この樹脂を硬化することにより、屈折率を大きくし、さらにシリカ粒子間の結合強度を向上させて耐擦傷性を向上させる。このように、本発明に係る反射防止膜における構造によれば、必要とする屈折率の調整と、耐擦傷性の向上とを図ることが可能となる。
この際に、本発明に係る反射防止膜における微細な円柱状空間を有するシリカゾルを同質のシリカで被覆し、閉鎖した空間とすることにより、液体状の活性エネルギー線硬化型樹脂の微細な円柱状空間への侵入を防止することができる。これにより、微細な円柱状空間内の空気(空気は極めて小さい屈折率を有する)により低屈折率化を図ることができる。同時に活性エネルギー線硬化型樹脂でシリカ間を充填することにより、必要とする屈折率の調整が可能となる。
本発明の反射防止膜の体積構成比としては、耐擦傷性及び屈折率の観点から、(A):(B)が80:20〜20:80であり、好ましくは60:40〜30:70である。また、(A+B):Cは、耐擦傷性及び屈折率の観点から、75:25〜50:50の範囲であり、好ましくは70:30〜50:50である。(A)、(B)及び(C)の体積構成比は、後述する方法で試料の超薄切片を作成し、透過型電子顕微鏡(例えば、HD−2000等:日立サイエンスシステムズ社製、商品名)を用いて求めることができる。すなわち、透過型電子顕微鏡において、X線による元素分析が行われ、顕微鏡により得られた画像とその元素分析の結果で得られたデータとにより、(A)、(B)及び(C)の体積構成比を求めることができる。この試料の超薄切片の作成方法としては、例えば反射防止膜を含めた基板全体をエポキシ樹脂で包埋し、反射防止膜側が薄くなる方向で楔型形状に切り出し、得られたものの両面をポリッシング装置(例えば、LLCF−700等:岡本工作機械製作所社製、商品名)を用いてポリッシングすることにより作成することができる。
また、シリカ(A)が含有する円柱状空間の直径(細孔)は、空間利用効率及び多孔性シリカゾルの調製の観点から、1nm〜20nmの範囲が好ましく、より好ましくは2nm〜10nmである。これらの円柱状空間の直径は、透過型電子顕微鏡を用いて、反射防止膜を基板と共にエポキシ樹脂で包埋し、断面を切り出して両面を研磨したサンプルより求めることができる。
本発明においては、上記の活性エネルギー線硬化型樹脂に微粒子シリカを添加することもできる。微粒子シリカを添加することにより、活性エネルギー線硬化型樹脂が硬化する時に生じる硬化歪みを緩和するだけでなく、表面の平滑性向上の効果がある。微粒子シリカの平均粒子径としては、膜の強度の観点から、15nm未満、好ましくは8nm未満である。また、外観等の問題から、微粒子シリカは均一分散させる方が好ましい。
以下に、本発明を実施例によってより具体的に説明する。但し、ここでは一例としてPETフィルム面上に反射防止膜を設ける反射防止フィルムとしてのケースについて、説明するがこれに限定されるものではない。また本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
・多孔性シリカゾルの合成
あらかじめH+型にしておいたカチオン交換樹脂(アンバーライト、IR−120B)600gを精製水600g に分散した中に、3号水ガラス(SiO2=29重量%、Na2 O=9.5重量%)200gを精製水400gで希釈した溶液を加えた。これを、十分撹拌した後、カチオン交換樹脂を濾別し、活性シリカ水溶液900gを得た。この活性シリカ水溶液のSiO2 濃度は5.1重量%であった。この活性シリカ水溶液を精製水3100gで希釈した。
これとは別に、50gの旭電化製プルロニックP123を精製水450gに溶解させ、これに上記の希釈済み活性シリカ水溶液2580gを、26℃の湯浴中で撹拌しながら添加した。この混合物のpHは4.3であった。このときの、水/P123の重量比は60/1で、P123/SiO2 の重量比は1.7/1であった。この混合物を33℃で30分撹拌後、80℃で静置して24時間反応させた。この溶液から限外濾過装置を用いてP123の除去と同時に濃縮を行って、SiO2濃度が3.5重量%の透明な多孔性シリカゾルを得た。この多孔性シリカゾルを95℃で48時間真空乾燥して多孔性シリカを得た。
以下、参考としてこの試料の特性を測定した。窒素吸着測定(日本ベル:BELSORP18PLUS)をした結果、平均細孔直径は8nm、細孔容積は0.81ml/gであり、またX線回折図には、結晶に伴う明確なピークは見られなかった。さらに透過型電子顕微鏡(日立H−7100)による観察の結果、平均粒子直径22nm、平均粒子長さ210nmで平均アスペクト比9.5の屈曲した棒状粒子と直線状の棒状粒子の混合物であった。一方この試料を真空下にヨウ素メチルとNメチルピロリドンとの混合溶剤を吸着含浸させて測定したシリカ比重は2.0であった。これらの結果より、上記で合成した多孔性シリカの細孔体積空間率は62%であることがわかった。
・変性多孔性シリカゾルの合成
次に、上記で得た多孔性シリカゾルを、小粒子径シリカゾルとテトラエトキシシラン(TEOS)を用いて以下のように変成処理を施した。即ち、上記で得た多孔性シリカゾル20gに水分散系でSiO2 濃度が10重量%の小粒子径シリカゾル(日産化学工業製、ST−OXS)3.5gを加えて均一混合し、更に10重量%のTEOSのエタノール溶液を1.2g加えた。次にエタノールを加えて総シリカゾル濃度として1重量%にした調整した後に、希硝酸を用いてpHを3.5に調整して40℃で48時間超音波攪拌を行った。
この変性多孔性シリカゾルを35℃で120時間反応後、更に95℃で48時間真空乾燥し多孔性シリカを得た。
以下、参考としてこの試料の特性を測定した。窒素吸着測定をした結果、平均細孔直径は3nm、細孔容積は0.48ml/gであり、透過型電子顕微鏡による観察の結果、平均粒子直径33nm、平均粒子長さ225nmで平均アスペクト比6.8の屈曲した棒状粒子と直線状の棒状粒子の混合物であった。この試料を真空下にヨウ素メチルとNメチルピロリドンとの混合溶剤を含浸させて測定したシリカ比重は2.0であった。これらの結果より、上記の変性多孔性シリカの細孔体積空間率は49%であることがわかった。
・反射防止膜の作成
上記で得た変性多孔性シリカゾルを、エタノールで希釈して濃度0.6重量%とした後に、厚み100μで表面をコロナ処理したPETフィルムの面上に、スピンコーターを用いて1125回転の条件で塗布した。これを98℃で48時間熱処理して塗布膜を有するフィルムを得た。
この塗布膜を有するPETフィルムの塗膜面の反射光強度をUV−VIS測定器で測定した結果、最低反射光強度(但し、拡散反射光強度を除く。以下同様)は1.09%(波長:530nm)であった。また走査型電子顕微鏡による断面観察から膜厚は113nmであった。この結果より、PETフィルム面上に作成した塗布膜は、屈折率が1.17(波長:530nm)であることがわかった。これよりこの塗布膜は、屈折率より平均してシリカが38体積%で空気が62体積%の多孔性シリカ膜であることがわかった。(但し、反射光強度の測定に先だってPETフィルムの裏面を1000番の耐水ペーパーで処理し、屈折率1.69(波長:530nm)の紫外線型樹脂に黒染料を混合した黒インキをコート後に紫外線で硬化して、裏面の反射光を無くしてから測定した。また、別途作成した無孔性シリカゾルを同様にしてPETフィルムに塗布して求めた乾燥シリカ膜の屈折率は1.44(波長:530nm)であり、ここで用いたPETフィルムの屈折率は、それぞれ1.69(波長:530nm)であった。)
次に上記で得たフィルムの塗布膜の面上に、下記組成の紫外線硬化型樹脂溶液をスピンコーターにて1000回転の条件でオーバーコートした後に、80℃で1時間乾燥してから120W/cmのエネルギーの高圧水銀灯を使用して、照射距離150mmで30秒間照射して硬化した。更にその上から同様にして紫外線硬化型樹脂溶液をオーバーコートしてから同条件で硬化した。これを繰り返し、紫外線硬化型樹脂溶液を1回、2回、3回オーバーコートしたフィルムを得た。各々のサンプルの最低反射光強度と各々のサンプルの走査型電子顕微鏡で測定した膜厚は、以下のとおりであった。
−1回目の最低反射光強度は、0.53%(波長:430nm)であり、走査型電子顕微鏡による断面観察から厚みは113nmであった。また紫外線で硬化した樹脂が表面まで充填されていないことがわかった。
−2回目の最低反射光強度は、0.1%以下(波長:580nm)であり、走査型電子顕微鏡による断面観察から厚みは113nmであった。また紫外線で硬化した樹脂が表面まで充填されていることがわかった。
−3回目の反射光強度は、最低反射光強度が無く、波長800nmにおける反射光強度が最も低くその強度は0.43%であり、走査型電子顕微鏡による断面観察から厚みは143nmあった。また紫外線で硬化された樹脂がシリカ膜より30nm厚く表面を覆っていることがわかった。
オーバーコート2回目の本発明の塗布膜分析は以下のとおりであった。即ち、このフィルムの超薄切片を切り出して透過型電子顕微鏡で観察した結果、シリカ中の微細な円柱状空間に紫外線で硬化した樹脂は存在せず、シリカと紫外線で硬化された樹脂との界面に不定形空間が存在することがわかった。更にこのフィルムの裏面を平滑なガラス板上に貼り付け、塗布膜の表面から50nmの深さまでポリシング装置を用いて研磨した後に、研磨面をアルゴンスパッタリングしてから、SEM−EDX(日立S4500−EDX)で撮影し画像解析した結果、シリカの占有面積は41%であることがわかった。
また、この塗膜を反射分光膜厚計(大塚電子:FE−3000)で測定・解析した結果、この塗膜の屈折率は、1.28(波長:580nm)であることがわかった。なお、この屈折率値は、工業的に入手可能な物質の中で最も低屈折率であるフッ素系ポリマー(旭硝子:サイトップ)の屈折率値1.34より小さい値であった。
以上のことより、オーバーコート2回目の本発明の塗布膜は、シリカ(A)が38体積%、紫外線で硬化された樹脂(B)が20体積%、シリカ中の微細な円柱状多孔性空間が37体積%、シリカと紫外線硬化型樹脂と界面の不定形空間が5体積%で、(C)が42体積%であることがわかった。(別途に下記組成の紫外線硬化型樹脂をPETフィルム面上に塗布して硬化後に屈折率を求めた結果は、1.54(波長:580nm)であり、使用したPETフィルムの屈折率を別途に求めた結果は、1.68(波長:580nm)であった。)
次に、反射防止膜の硬度を求めるために、スチールウール(0000番、日本スチールウール社製)を用いて、100g荷重で10往復(速度1cm/秒)擦り、発生する傷の有無を目視で確認した結果、ほとんど傷は確認されなかった。
(紫外線硬化型樹脂液組成及び濃度)
−硬化成分:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート40重量%;6官能ウレタンアクリレート(イソホロンとペンタエリスリトールトリアクリレートとの縮合物)35重量%;ペンタエリスリトールジアクリレート20重量%;アクリロイルモルホリン5重量%
−添加剤:フッ素系界面活性剤(エフトップ−EF122A:三菱マテリアル社製)5重量部、フッ素系レベリング剤(フロラード−FC4430:住友3M社製)5重量部
−光開始剤:イルガキュア−184(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)3重量部
−溶剤:エタノール50重量%、酢酸エチル40重量%、トルエン10重量%
−濃度:上記の硬化成分、添加剤及び光開始剤の総合計が0.48重量%
(実施例2)
・多孔性シリカゾルの合成
あらかじめH+型にしておいたカチオン交換樹脂100gを精製水100g に分散した中に、3号水ガラス(SiO2=29重量%、Na2O=9.5重量%)33gを精製水67gで希釈した溶液を加えた。これを十分撹拌した後、カチオン交換樹脂を濾別し、活性シリカ水溶液150gを得た。この活性シリカ水溶液のSiO2 濃度は5.5重量%であった。
これとは別に、14gの旭電化製プルロニックP127を精製水1710gに溶解させ、これに26℃の湯浴中で撹拌しながら上記の活性シリカ水溶液150gを添加した後に、0.015モル/リットルのNaOH水溶液25mlを加えた。この混合物のpHは9.3であった。このときの、水/P127の重量比は135/1で、P123/SiO2 の重量比は1.7/1であった。この混合物を25℃で30分撹拌後、90℃で静置して24時間反応させた。この溶液から限外濾過装置を用いてP127の除去と同時に濃縮して、SiO2 濃度3.3重量%の透明な多孔性シリカゾルを得た。この多孔性シリカゾルを85℃で48時間真空乾燥して多孔性シリカを得た。
以下、参考としてこの試料を窒素吸着測定した結果、平均細孔直径は6nm、細孔容積は0.87ml/gであり、またX線回折図には、結晶の伴う明確なピークは見られなかった。さらに透過型電子顕微鏡による観察の結果、平均粒子直径21nm、平均粒子長さ162nmで平均アスペクト比7.7の屈曲した棒状粒子と直線状の棒状粒子の混合物であった。一方この試料を真空下にヨウ素メチルとNメチルピロリドンとの混合溶剤を吸着含浸させて測定したシリカ比重は2.0であった。これらの結果より、上記で合成した多孔性シリカの細孔体積空間率は63%であることがわかった。
・変性多孔性シリカゾルの合成
次に、上記で得た多孔性シリカゾルを、小粒子径シリカゾルとTEOSを用いて以下のように変成処理を施した。即ち、上記で得た多孔性シリカゾル20gを、超音波ホモジナイザーを用いて24時間処理した後に、水分散系でSiO2 濃度が10重量%の小粒子径シリカゾル6.6gを加えて均一混合し、更に10重量%のTEOSのエタノール溶液を1.3g加えた。次にエタノールを加えて総シリカゾル濃度として1重量%に調整した後に、40℃で48時間超音波攪拌を行った。この変性多孔性シリカゾルを40℃で120時間反応後、更に105℃で48時間乾燥し、変性多孔性シリカを得た。
以下、参考としてこの試料の特性を測定した。
窒素吸着測定をした結果、平均細孔直径は3nm、細孔容積は0.56ml/gであり、透過型電子顕微鏡による観察の結果、平均粒子直径29nm、平均粒子長さ186nmで平均アスペクト比6.4の屈曲した棒状粒子と直線状の棒状粒子の混合物であった。この試料を真空下にヨウ素メチルとNメチルピロリドンとの混合溶剤を含浸させて測定したシリカ比重は2.0であった。これらの結果より、上記の変性多孔性シリカの細孔体積空間率は53%であることがわかった。
・反射防止膜の作成
上記で得た変性多孔性シリカゾルを、エタノールで希釈して濃度0.6重量%とした後に、厚み100μで表面をコロナ処理したPETフィルムの面上に、スピンコーターを用いて1125回転の条件で塗布した。これを98℃で48時間熱処理して塗布膜を有するフィルムを得た。この塗布膜を有するPETフィルムの塗膜面の反射光強度をUV−VIS測定器で測定した結果、最低反射光強度は1.28%(波長:540nm)であった。また走査型電子顕微鏡による断面観察から膜厚は116nmであった。この結果より、PETフィルム面上に作成した塗布膜は、屈折率が1.16(波長:540nm)であることがわかった。これよりこの塗布膜は、平均してシリカが36体積%で空気が64体積%の多孔性シリカ膜であることがわかった。
次に上記で得たフィルムの塗布膜の面上に、実施例1で用いた紫外線硬化型樹脂溶液をスピンコーターにて1000回転の条件でオーバーコートした後に、80℃で1時間乾燥してから120W/cmのエネルギーの高圧水銀灯を使用して、照射距離150mmで30秒間照射して硬化した。更にその上から同様にして紫外線硬化型樹脂溶液をオーバーコートしてから同条件で硬化した。これを繰り返し、紫外線硬化型樹脂溶液を1回、2回、3回オーバーコートしたフィルムを得た。各々のサンプルの最低反射光強度と各々のサンプルの走査型電子顕微鏡で測定した膜厚は、以下のとおりであった。
−1回目の最低反射光強度は、0.69%(波長:430nm)であり、走査型電子顕微鏡による断面観察から厚みは116nmであった。また紫外線で硬化した樹脂が表面まで充填されていないことがわかった。
−2回目の最低反射光強度は、0.1%以下(波長:590nm)であり、走査型電子顕微鏡による断面観察から厚みは116nmであった。また紫外線で硬化した樹脂が表面まで充填されていることがわかった。
−3回目の反射光強度は、最低反射光強度が無く、波長800nmにおける反射光強度が最も低くその強度は0.56%であり、走査型電子顕微鏡による断面観察から厚みは151nmあった。また紫外線で硬化された樹脂がシリカ膜より35nm厚く表面を覆っていることがわかった。
オーバーコート2回目の本発明の塗布膜分析は以下のとおりであった。即ち、このフィルムの超薄切片を切り出して透過型電子顕微鏡で観察した結果、シリカ中の微細な円柱状空間に紫外線で硬化した樹脂は存在せず、シリカと紫外線で効果された樹脂との界面に不定形空間が存在することがわかった。更にこのフィルムの裏面を平滑なガラス板上に貼り付け、塗布膜の表面から70nmの深さまでポリシング装置を用いて研磨した後に、実施例1と同様にしてSEM−EDXで撮影し画像解析した結果、シリカの占有面積は38%であることがわかった。
また、この塗膜を反射分光膜厚計で測定・解析した結果、この塗膜の屈折率は、1.27(波長:590nm)であることがわかった。
以上のことより、オーバーコート2回目の本発明の塗布膜は、シリカ(A)が36体積%、紫外線で硬化された樹脂(B)が22体積%、シリカ中の微細な円柱状多孔性空間が38体積%、シリカと紫外線硬化型樹脂と界面の不定形空間が4体積%で、空間(C)が42体積%であることがわかった。
次に、反射防止膜の硬度を求めるために、スチールウールを用いて、100g荷重で10往復(速度1cm/秒)擦り、発生する傷の有無を目視で確認した結果、ほとんど傷は確認されなかった。
(実施例3)
・多孔性シリカゾルの合成
あらかじめH+型にしておいたカチオン交換樹脂(アンバーライト、IR−120B)100gを精製水100g に分散した中に、3号水ガラス(SiO2=29重量%、Na2O=9.5重量%)33gを水67gで希釈した溶液を加えた。これを、十分撹拌した後、カチオン交換樹脂を濾別し活性シリカ水溶液150gを得た後に、アンモニア水でPH10.8に調整した。別途、6.7gのセチルトリメチルアンモニウムクロリドを水850gに溶解させ、22℃湯浴中で撹拌しながら上記の活性シリカ水溶液150gを添加した。この混合物を33℃で1時間撹拌後、65℃で静置して24時間反応させた。この溶液から限外濾過装置を用いてセチルトリメチルアンモニウムクロリドの徐去と同時に濃縮を行って、Si02濃度が3.3重量%の透明な多孔性シリカを得た。この多孔性シリカゾルを65℃で48時間真空乾燥して多孔性シリカを得た。
以下、参考としてこの試料の特性を測定した。
窒素吸着測定をした結果、平均細孔直径は10nm、細孔容積は0.92ml/gであり、X線回折図には、結晶に伴う明確なピークは見られなかった。また透過型電子顕微鏡による観察の結果、平均粒子直径24nm、平均粒子長さ290nmで平均アスペクト比12の屈曲した棒状粒子と直線状の棒状粒子の混合物であった。更にこの試料を真空下にヨウ素メチルとNメチルピロリドンとの混合溶剤を吸着含浸させて測定したシリカ比重は2.0であった。これらの結果より、上記で合成した多孔性シリカの細孔体積空間率は64%であることがわかった。
・変性多孔性シリカゾルの合成
次に、上記で得た多孔性シリカゾル20gを、超音波洗浄器を用いて25℃で200時間処理した後に、水分散系でSiO2濃度が10重量%の小粒子径シリカゾル6.6gを加えて均一混合し、更に10重量%のTEOSのエタノール溶液を1.3g加えた。次にエタノールを加えて総シリカゾル濃度として1重量%に調整した後に、40℃で48時間超音波攪拌を行った。この変性多孔性シリカゾルを40℃で120時間反応後、更に95℃で48時間真空乾燥し変性多孔性シリカを得た。
以下、参考としてこの試料の特性を測定した。
窒素吸着測定をした結果、平均細孔直径は3nm、細孔容積は0.61ml/gであり、透過型電子顕微鏡による観察の結果、平均粒子直径33nm、平均粒子長さ315nmで平均アスペクト比9.5の屈曲した棒状粒子と直線状の棒状粒子の混合物であった。この試料を真空下にヨウ素メチルとNメチルピロリドンとの混合溶剤を含浸させて測定したシリカ比重は2.0であった。これらの結果より、上記で変性した変性多孔性シリカの細孔体積空間率は55%であることがわかった。
・反射防止膜の作成
上記で得た変性多孔性シリカゾルを、エタノールで希釈して濃度0.6重量%とした後に、厚み100μで表面をコロナ処理したPETフィルムの面上に、スピンコーターを用いて1125回転の条件で塗布した。これを98℃で48時間熱処理して塗布膜を有するフィルムを得た。
この塗布膜を有するPETフィルムの塗膜面の反射光強度をUV−VIS測定器で測定した結果、最低反射光強度は1.28%(波長:520nm)であった。また走査型電子顕微鏡による断面観察から膜厚は115nmであった。この結果より、PETフィルム面上に作成した塗布膜は、屈折率が1.16(波長:520nm)であることがわかった。これよりこの塗布膜は、平均してシリカが35体積%で空気が65体積%の多孔性シリカ膜であることがわかった。
次に、上記で得たフィルムの塗布膜の面上に、実施例1で用いた紫外線硬化型樹脂溶液をスピンコーターにて1000回転の条件でオーバーコートした後に、80℃で1時間乾燥してから120W/cmのエネルギーの高圧水銀灯を使用して、照射距離150mmで30秒間照射して硬化した。更にその上から同様にして紫外線硬化型樹脂溶液をオーバーコートしてから同条件で硬化した。これを繰り返し、紫外線硬化型樹脂溶液を1回、2回、3回オーバーコートしたフィルムを得た。各々のサンプルの最低反射光強度と各々のサンプルの走査型電子顕微鏡で測定した膜厚は、以下のとおりであった。
−1回目の最低反射光強度は、0.48%(波長:430nm)であり、走査型電子顕微鏡による断面観察から厚みは115nmであった。また紫外線で硬化した樹脂が表面まで充填されていないことがわかった。
−2回目の最低反射光強度は、0.1%以下(波長:590nm)であり、走査型電子顕微鏡による断面観察から厚みは115nmであった。また紫外線で硬化した樹脂が表面まで充填されていることがわかった。
−3回目の反射光強度は、最低反射光強度が無く、波長800nmにおける反射光強度が最も低くその強度は0.64%であり、走査型電子顕微鏡による断面観察から厚みは139nmあった。また紫外線で硬化された樹脂がシリカ膜より24nm厚く表面を覆っていることがわかった。
オーバーコート2回目の本発明の塗布膜分析は以下のとおりであった。即ち、このフィルムの超薄切片を切り出して透過型電子顕微鏡で観察した結果、シリカ中の微細な円柱状空間に紫外線で硬化した樹脂は存在せず、シリカと紫外線で効果された樹脂との界面に不定形空間が存在することがわかった。更にこのフィルムの裏面を平滑なガラス板上に貼り付け、塗布膜の表面から30nmの深さまでポリシング装置を用いて研磨した後に、実施例1と同様にしてSEM−EDX撮影し画像解析した結果、シリカの占有面積は41%であることがわかった。
また、この塗膜を反射分光膜厚計で測定・解析した結果、この塗膜の屈折率は、1.29(波長:590nm)であることがわかった。
以上のことより、オーバーコート2回目の本発明の塗布膜は、シリカ(A)が35体積%、紫外線で硬化された樹脂(B)が25体積%、シリカ中の微細な円柱状多孔性空間が37体積%、シリカと紫外線硬化型樹脂と界面の不定形空間が3体積%で、(C)が40体積%であることがわかった。
次に、反射防止膜の硬度を求めるために、スチールウールを用いて、100g荷重で10往復(速度1cm/秒)擦り、発生する傷の有無を目視で確認した結果、ほとんど傷は確認されなかった。
以上の実施例で示したように、本発明の反射防止膜は単層構造でありながら、低反射光強度を達成する低屈折率、と高硬度で耐擦傷性に優れたものである。また、実施例で作成された反射防止膜フィルムは、種々のディスプレイ前面板の最前面に接着層を介して接着され、あるいは樹脂板やガラス板に接着して前面板として使用されるがこれに限定されるものではない。
(比較例1)
実施例1で得た多孔性シリカゾルを変性しないまま用い、以下実施例1と同様の操作を行った。
・反射防止膜の作成
実施例1で得た多孔性シリカゾルを、同様にしてPETフィルムの面上に塗布した。これを98℃で48時間熱処理して塗布膜を有するフィルムを得た。
この塗膜面の反射光強度をUV−VIS測定器で測定した結果、最低反射光強度は1.48%(波長:530nm)であった。また走査型電子顕微鏡による断面観察から膜厚は115nmであった。この結果より、PETフィルム面上に作成した塗布膜は、屈折率が1.15(波長:530nm)であることがわかった。これよりこの塗布膜は、平均してシリカが35体積%で空気が65体積%の多孔性シリカ膜であることがわかった。
この段階で膜の硬度を求めるために、スチールウールを用いて実施例1と同様にして、発生する傷の有無を目視で確認した結果、全面に渡って多くの傷が確認された。
次に、上記で得たフィルムの塗布膜の面上に、実施例1と同様にして紫外線硬化型樹脂溶液をオーバーコートした後に、80℃で1時間乾燥してから120W/cmのエネルギーの高圧水銀灯を使用して、照射距離150mmで30秒間照射して硬化した。更にその上から同様にして紫外線硬化型樹脂溶液をオーバーコートしてから同条件で硬化した。これを繰り返し、紫外線硬化型樹脂溶液を1回、2回、3回オーバーコートしたフィルムを得た。各々のサンプルの最低反射光強度と各々のサンプルの走査型電子顕微鏡で測定した膜厚は、以下のとおりであった。
−1回目の最低反射光強度は、0.95%(波長:480nm)であり、走査型電子顕微鏡による断面観察から厚みは101nmであった。また紫外線で硬化した樹脂が表面まで充填されていないことがわかった。
−2回目の最低反射光強度は、1.42%(波長:570nm)であり、走査型電子顕微鏡による断面観察から厚みは101nmであった。また紫外線で硬化した樹脂が表面まで充填されていることがわかった。
−3回目の反射光強度は、最低反射光強度が無く、波長800nmにおける反射光強度が最も低くその強度は0.87%であり、走査型電子顕微鏡による断面観察から厚みは143nmあった。また紫外線で硬化された樹脂がシリカ膜より28nm厚く表面を覆っていることがわかった。
このフィルムの超薄切片を切り出して透過型電子顕微鏡で観察した結果、シリカ中の微細な円柱状空間に紫外線で硬化した樹脂が存在した。また、この塗膜を反射分光膜厚計で測定・解析した結果、この塗膜の屈折率は、1.42(波長:580nm)であった。
以上のことより、比較例の塗布膜は、シリカ(A)が37体積%、紫外線で硬化された樹脂(B)が48体積%、シリカ中の微細な円柱状多孔性空間が13体積%、シリカと紫外線硬化型樹脂と界面の不定形空間が2体積%で、(C)が15体積%であった。本発明の反射防止膜と比較して、オーバーコート2回目の最低反射光強度は、1.42%(波長:570nm)と不十分であった。 次に反射防止膜の硬度を求めるために、スチールウール(0000番、日本スチールウール社製)を用いて、実施例1と同様にして発生する傷の有無を目視で確認した結果、ほとんど傷は確認されなかった。
以上のように、比較例のこの膜は耐擦傷性が十分であるが、最も重要な反射防止効果は不十分であった。この理由は、本発明の膜より屈折率が高いことが原因である。
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態においては、成分(A)と成分(B)の体積構成比を透過型電子顕微鏡法で求めた場合について説明しているが、本発明に係る反射防止膜における成分(A)と成分(B)の体積構成比を屈折率測定法で求めても良く、反射防止膜を燃焼させてシリカを分離した後に窒素吸着法や、他の方法と併用した方法で求めることができる。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。
本発明に係る反射防止膜における空間を説明するための図である。 本発明に係る反射防止膜に使用する多孔性シリカにおける微細な円柱状空間を説明するための断面図であり、(a)は縦断面図であり、(b)は横断面図である。
符号の説明
11 基体
12 反射防止膜
121 変性多孔性シリカ粒子
122 円柱状空間
123 樹脂充填領域
124 樹脂未充填領域

Claims (7)

  1. (A)直径1nm〜20nmの微細な円柱状空間を有するシリカと、
    (B)活性エネルギー線で硬化された樹脂と、
    を含有する反射防止膜であって、前記シリカと前記樹脂との間の体積比(A:B)が80:20〜20:80であり、前記反射防止膜における前記シリカ及び前記樹脂の占有体積(A+B)と前記反射防止膜における前記シリカ及び前記樹脂以外の体積(C)の比(A+B:C)が75:25〜50:50であり、前記反射防止膜の表面から少なくともいずれかの深さにおける前記表面に略平行な面において、前記シリカの占有面積が30%以上であることを特徴とする反射防止膜。
  2. 前記シリカと前記樹脂との間の体積比(A:B)が60:40〜30:70であり、前記反射防止膜における前記シリカ及び前記樹脂の占有体積(A+B)と前記反射防止膜における前記シリカ及び前記樹脂以外の体積(C)の比(A+B:C)が70:30〜50:50であることを特徴とする請求項1記載の反射防止膜。
  3. 前記シリカの円柱状空間の直径が1nm〜10nmであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の反射防止膜。
  4. 前記シリカの円柱状空間がシリカにより閉塞されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の反射防止膜。
  5. 前記シリカの円柱状空間が互いに略平行に平均5〜20本凝集して構成されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の反射防止膜。
  6. 前記樹脂は、平均粒子径が15nm以下の微粒子シリカが分散した構造で存在することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の反射防止膜。
  7. 基体上に、変性多孔性シリカゾルを用いてシリカ薄膜を形成し、前記薄膜の表面上に活性エネルギー線硬化型樹脂を塗布して硬化してなることを特徴とする反射防止膜。
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