JP2006308531A - 波長分散測定方法および装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】被測定素子の光路長差変動に対して耐性を持つ波長分散測定の実現。
【解決手段】波長可変光源からの光を2光束に分岐し、2光束の一方を第1光周波数シフタおよび被測定素子を含む第1光路に伝搬させ、他方の光束を第2光周波数シフタを含む第2光路に伝搬させる。第1光路を伝搬した光と第の光路を伝搬した光とを合波し干渉させて測定干渉信号を取得する。参照光源からの参照光を2光束に分岐し、参照光の2光束の一方の光束を第1光路に伝搬させ、他方の光束を第2光路に伝搬させる。第1光路を伝搬した参照光と第2光路を伝搬した参照光とを合波し干渉させて参照干渉信号を取得する。参照干渉信号に対する測定干渉信号の相対位相を波長可変光源の波長を変化させつつ記録し、記録された相対位相を光周波数について微分して、被測定素子の波長分散を測定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ピコ秒程度またはそれ以下の光パルスを扱う光素子、特に光ファイバが装着された光素子の波長分散特性を、波長可変光源を用いて測定する波長分散測定の方法および装置に関する。
ここで「波長分散」とは、その光部品を伝搬する光の波長(または周波数)に依存して、その光の伝搬速度が変化する現象をいう。本発明は特に、このような波長分散を高い波長分解能(光周波数分解能)で測定する方法および装置として好適である。
ピコ秒以下の時間幅の光パルスの発生・伝達または処理に関る光学素子において、その波長分散特性が光パルスの形状に大きく影響し得ることは、すでに良く知られている。すなわち、波長分散特性のうちで、群速度または群遅延分散と称される部分が、光パルスの変形に直接関与する。光学素子における光信号の伝搬速度(群速度)が光の波長毎に異なると、その光学素子の通過に要する時間、いわゆる群遅延時間が波長に依存して変化する。ここで、例えば、長波長ほど群遅延時間が短い光学素子を光パルスが通過する場合、その通過後にはパルス中の短波長成分が長波長成分に対して相対的に遅れることとなり、結果的に光パルスの時間幅の拡がりをきたす。以上が、群速度分散または群遅延分散による光パルスの変形の直観的な説明である。
一般に光学素子が、光の角周波数ω(波長λとの間に、cを真空中の光速度として、ω=2πc/λの関係がある)について伝達関数T(ω)を持つとき、その光学素子の群遅延時間τ(ω)と群遅延分散D(ω)は、T(ω)の位相φ(ω)を用いて、各々次式で表される。
τ(ω)=dφ(ω)/dω (1)
D(ω)=dτ(ω)/dω (2)
例えば、一定の群遅延分散Dを持つ光学素子において、パルス幅(全半値幅)tのガウス型の光パルスの通過後の時間幅は、t[1+(4D1n2/t )1/2に拡がることが知られている。これから明らかなように、光パルスの拡がりの抑制のためには、D=0、すなわち光学素子の群遅延分散Dを零にすることが必要である。
さて、上記の式(2)により、群遅延時間τ(ω)を測定すれば、その微分を取ることにより群遅延分散Dを知ることができる。この様な群遅延時間の測定に用いられる測定器が、波長分散測定器である。現在最も普及している変調法による波長分散測定器の構成例を、図11に示す。この従来の変調法による測定方法に関する文献は、例えば、非特許文献1に見出される。以下に、図11を参照しつつ、その従来の波長分散測定方法についてその概要を述べる。
図11の構成において、波長可変光源701を出射した波長λの単色連続光は、変調信号源732により駆動される変調器731を通過するが、その際に変調器731において変調信号源732による変調周波数fを持つ正弦波状の強度変調を受ける。変調器731を出力した正弦波変調光は、被測定素子702を通過した後、光検出器733によって光電変換される。かくして光検出器733から出力される周波数fの正弦波を、位相計734に給電し、変調信号源732から出力した正弦波に対する位相遅れΦを位相計734で読み取る。この相対位相Φから、次式(3)により、その波長λにおける群遅延時間τが求められる。
τ=Φ/(2πf) (3)
このような測定を、波長可変光源701の波長λを順次変化させつつ行なうことにより、各波長λまたは光(角)周波数ωについての群遅延時間τ(ω)が得られる。
図11の従来構成では、しかしながら、被測定素子702を通過する光は、厳密には単色光ではない。良く知られているように、変調器731における変調によって、入射単色光の線スペクトルの両側には、各々上記の変調周波数fの間隔を置いた側帯波が生成される。これら側帯波を含んだ光が、その被測定素子702を通過している。その結果、本測定での波長分解能は、光周波数にして変調周波数fの程度となることは明らかである。
ここで、上記の式(3)を考察すると、群遅延時間τは変調周波数fに反比例している。そのため、群遅延時間τの検出感度を上げようとすると、高い変調周波数を用いることが必要となる。位相計734の位相比較精度は、現実的に、2πの1/1000〜1/3000程度である。従って、例えば1ps (ピコ秒)の群遅延時間の検出には、少なくとも0.3〜1GHzの変調を必要とする。このように、波長分解能は、変調周波数fに制限される結果、高い波長分解能と高い群遅延時間精度とを同時に得ることはできない。ただ、特性が波長に対して急峻に変化するような光学素子では、一般に群遅延時間の大きな変化も伴うのであるから、この制約は必ずしもそれ自体不都合なわけではない。
図11に示す従来構成における真の不都合は、被測定素子702に応じて、または同一の被測定素子702にあっても各波長における特性の急峻さに応じて、適切な波長分解能の下での測定を行い難い点にある。なぜならば、図11の構成では、波長分解能が、位相計734の電気的特性の制約により、大幅な変更が困難な変調周波数fによって決まってしまうからである。
これに加えて、この従来方法では、波長分解能は、被測定素子702の伝達関数T(ω)の大きさ、即ちその素子における損失、若しくは利得の波長依存性の影響をこうむるという問題がある。これを説明すると、線スペクトルの両側に生じる2つの上記側帯波に対する振幅透過率をa、aで表わすとし、これら両者に差があると、位相計734の読みに、δΦ= tan−1[(a−a)/(a+a)]だけの偏差を生ずる。この偏差は、いずれかの側帯波が失われると、π/4、群遅延時間にすれば、1/(8f)にも及ぶ。逆に、この偏差を位相計734の上述した実用精度(位相比較精度)内に留めるためには、2つの側帯波間の損失(利得)差を、0.11〜0.04dB以内に抑える必要がある。この条件を充たすためには、いきおい変調周波数fの値を低く設定せざるを得ず、その結果、必然的に群遅延時間精度の低下を招くことになる。
さらに、この従来方法では、大きな損失を持つ被測定素子702を取扱うのが難しかった。これは、その被測定素子702の損失により光検出器733への入射光量が大幅に低下すると、その低下に比例してその光検出器733から出力する正弦波電気信号のレベルが減少するので、後段の位相計734による位相比較に困難を来すからであった。この結果、この従来方法では、被測定素子702に許容される損失は、実用的に30dB内外に留まっていた。
この従来方法に伴う上述した諸問題は、変調光の波形観測に基づいて、群遅延時間を直接測定しようとする方針(コンセプト)そのものに起因している。光検出器733への入射光量の大幅な低下は、正確な(強度)波形観測を阻害するので、許されなかった。また、変調側帯波という光周波数を異にする光を同時に伝搬させるので、それら光の周波数間隔、即ち変調周波数、或いはそれら光に対する損失・利得、の均一性が問題となっていた。この観点に立って、この従来方法の問題点を克服すべく、干渉法による分散測定方法が提案されている。この干渉法による分散測定方法による構成例を図12に示す。この干渉法に関する初期の文献は、例えば、非特許文献2に見出される。以下に図12を参照しつつ、干渉法による従来の波長分散測定方法についてその概要を述べる。
図12の構成において、波長可変光源701を出射した波長λの単色連続光は、前段の光カップラー703により二分されて、その一方の単色連続光は被測定素子702を通過した後、後段の光カップラー704に達する。前段の光カップラー703により二分された他方の単色連続光は、参照遅延部705を通過の後、後段の光カップラー704に達する。後段の光カップラー704に達した2つの光は合波されて干渉し、続いて光検出器706に入射して光電変換される。光検出器706から出力された干渉信号は、波形記録器735により記録される。
このような測定を、波長可変光源701の波長λを変化させつつ行なうことにより、各波長λまたは光(角)周波数ωについての干渉信号SΣ(ω)が得られる。この干渉信号は、次式(4)により表される。
Figure 2006308531
ここで、E(ω)、S(ω)は、被測定素子702を通過した光の電界および強度、また、E(ω)、S(ω)は、参照遅延部705を通過した光の電界および強度、ΔTは参照遅延部705による遅延時間である。
干渉法によるこのような信号の解析手法が、非特許文献3に開示されている。上記の式(4)の信号に逆フーリエ変換を施し、“見なし時間”τ上の時系列に変換すると、3つの孤立した波形に分離することができる。そのうちの、中心に位置する波形は、直流的加算項S(ω)+S(ω)に由来し、両光電界E(ω)、E(ω)の自己相関関数の和になる。
その中心に位置する波形の左右には、上記の式(4)の右辺第3項の干渉項に由来する、2つの“波形”g(τ+ΔT)、およびg (−τ+ΔT)が現れる。これらはいずれも、次式(5)の2つの光電界E(ω)、E(ω)の相互相関関数から誘導された波形である。
Figure 2006308531
うち左側のg(τ+ΔT)を抜きだし、“見なし時間”上、ΔTだけ遅らせれば、上記の式(5)の相互相関関数g(τ)が、独立した形で得られる。これにフーリエ変換を施せば、光周波数軸上にコリレーションG(ω)=E(ω)E (ω)が得られる。
今、両光電界E(ω)、E(ω)の間の差異は、E(ω)に乗ぜられている被測定素子702の伝達関数T(ω)のみであり、そのため、そのコリレーションは
(ω)=T(ω)S(ω) (6)
に帰される。これから、被測定素子702の伝達関数T(ω)が得られる。この伝達関数の位相φ(ω)から、上記の式(1)に従って群遅延時間τ(ω)が得られる。この際、複素数の伝達関数T(ω)の大きさ(絶対値)a(ω)=|T(ω)|から数値的に独立に、その位相φ(ω)=arg T(ω)を算定できる。また、伝達関数の大きさa(ω)は、光の振幅についての損失・利得であり、通常の光(強度)についての損失・利得の1/2乗である。従って、仮にコリレーションG(ω)を観測する光検出器706に、上述した図11の従来例と同様の30dBのダイナミックレンジを仮定すると、許容レンジは、大きさaについて30dB、その2乗で与えられる損失については60dBとなる。このようにして、今まで述べた従来例の干渉法では、被測定素子702における大損失も許容し、また損失若しくは利得の波長依存性の影響をこうむることのない群遅延時間の測定が実現されている。
しかしながら、上述した従来の干渉法による波長分散測定方法には、以下のような問題がある。
その第1の点は、一般に、波長可変光源701を出射した波長λの単色連続光は、前段の光カップラー703により二分され、後段のカップラー704に達して合波されるまでの、2つの光路の間の長さ変動の影響をこうむる点にある。即ち、従来の干渉法では、前段の光カップラー703により二分されてたどる、被測定素子702側の光路Aと参照遅延部705側の光路Bの双方の長さに高い安定性が要求される。波長分散測定器は、いうまでもなく、被測定素子702を含めた光路一般の群遅延を測定するので、その光路の長さが、群遅延測定精度程度には安定していることが、当然に要請される。実際、図11に示した変調法においては、群遅延時間の目標精度に光速を乗じた程度、典型的には100μm前後の光路長の安定性で足りる。しかるに、これに対して、図12の従来の干渉法では、測定波長の数10分の1、例えば測定波長が可視〜近赤外波長域の場合、優に0.1μm以下の長さ安定度が要求される。この値は測定波長のみで決まり、群遅延時間の目標精度には全然依らない。
ここで、被測定素子702側の光路Aと参照遅延部705側の光路Bの長さの変動が、どのような効果を持つかについて説明を加える。この効果を見るためには、上記の式(4)において、参照遅延部705による時間遅延ΔTが変動したとして、その影響を見ればよい。なぜなら、上記2つの光路A,Bの相対的な長さ変動は、その変動値を光速で除すと、時間遅延ΔTの変動と等価となるからである。
上記の式(4)において、ΔTは
Figure 2006308531
の形で、干渉項中に現れている。ここで、ΔTが2π/ω変化しただけで、角括弧内の位相が2π回り、干渉項の持ち得る全ての情報が失われてしまう。このΔTの変動を、光速を乗ずることで光路長の変化に引き直すと、丁度光の波長λに等しくなる。このため、2つの光路A,Bの相対的な長さの差、すなわち光路長差には、光の波長の数10分の1の、所謂、干渉計精度の安定度が要求される。
光路長にその程度の干渉計精度の安定性を持たせることは、被測定素子702以外の箇所については、技術的に十分達成可能である。しかしながら、被測定素子702についての対処には、以下の理由で大きな困難を伴う。本来、被測定素子702は、それ自体は測定装置には属さず、非破壊的に交換・装着されるべき性質の要素であり、そのため、光路長の安定化のために、その素子自体に改変を加えることは許されない。その光路長安定化のためには、振動対策、あるいは温度安定化といった受動的な対策を、施すことができるに留まる。このような対策も、被測定素子702の装着が繁雑、あるいは温度到達までの待機が長時間に及ぶと、単位時間当たりに処理できる被測定素子702の個数、即ち測定器の実質的なスループットの低下を招く。そのため、安定化策は軽微に留めざるを得ず、現実的に、被測定素子702の光路長に長期にわたる干渉計精度の安定性は、望み得ない。
このような事情下での測定を実現するために、従来の干渉法では、いきおい短時間のうちに測定を終了する構成を採らざるを得ない。すなわち、被測定素子702の光路長が一定に留まっている間に、測定を完了することで、その光路長変動に対処する訳である。測定は、波長可変光源701の波長λを変化させつつ行なうのであるから、その短時間測定はその光源の波長を高速に掃引することに他ならない。ここに、少なくとも以下の2つの問題が懐胎される。
それら問題の第1は、測定感度の制限である。確かに、波長が高速に掃引され、測定が短時間に完了することは、測定器として高いスループットが得られることであり、それ自体は望ましい性質である。しかし、その反面、過度に短い測定時間は、信号対雑音比の低下を来す。一般に、信号対雑音比は、信号採取時間の平方根に比例して向上するからである。波長可変光源701を高速に掃引しつつ行う従来例方法の測定容態においては、その光源の波長を時間的に連続的に変化させつつ、所定の波長(光周波数)に達した時刻の、その光検出器706からの干渉信号出力を、波形記録器735に記録する。ここにおいて、その干渉信号出力電圧の読み取り・採取に関るサンプリングゲート時間を長くして、実質的な信号採取時間を増そうとすると、測定点に対する波長純度が低下する。なぜならば、その光源の波長は常に変化しているからである。一般に高速掃引光源下における測定時間の利用効率は、隣接波長点間の光源波長の移動時間に対する上記サンプリングゲート時間の比となる。測定点の波長純度の確保のために、この値は通常1/10程度以下に留める必要がある。言い換えれば、実際の信号採取時間は全測定時間の1割程度であって、残余の9割は光源の波長が所定値に達するのを、ただ待ち続けていることになる。このため、被測定素子702が大損失を有するなど、光が微弱になる場合には、長い測定時間をかけて高感度の測定を行うことが困難であった。
加えて、従来の干渉法では、隣接波長点の間隔が、測定波長分解能の目標値の1/3に設定される必要がある。このことは、上述した干渉信号の解析手法において、逆フーリエ変換後の見なし時系列上で、3つの孤立した波形を分離して得るための要件である。そのため、測定波長範囲を目標波長分解能で除した数の、更に3倍の測定点数を要する。元来、測定時間の利用効率が1/10程度に満たない上に、3倍細かい波長点について信号測定を行うのであるから、個々の波長点についての信号採取時間は、尚更短くならざるを得ない。この結果、高い信号対雑音比での測定が非常に困難となる。
また、光路長変動対策のために、全測定時間が制限されているのであるから、測定点数が増せば、当然、個々の波長点に割り当てる信号採取時間を減らさざるを得ない。同一の波長分解能でも測定波長範囲が増せば測定波長点数は増し、また、同一の測定波長範囲については波長分解能を高めれば測定波長点数が増す。前者の測定波長範囲の増加については、狭い波長範囲毎の信号測定を行った後に、得られた群遅延データを組み合わせて、総体として広い波長範囲についての測定を実現する方策がとれる。しかし、後者の波長分解能の向上についてはそのような便法は採り難く、個々の波長点の信号採取時間をあえて保とうとするならば、その分、一回の測定の掃引波長範囲を狭めざるを得ない。これはいささか繁雑である。
しかも、本来目的とする群遅延に対する精度を保とうとする場合には、個々の波長点の信号採取時間を単に保持するだけでは全く不十分であり、波長分解能の2乗に反比例して信号採取時間を増す必要がある。この結果、従来の干渉法の場合、一回の掃引当りの波長範囲は、目標波長分解能の3乗に比例して狭くなってしまう。多数のこのような狭い波長範囲の測定結果を組み合わせるのは、大変繁雑である。その上、同時に波長可変光源701を高速に掃引する際の、掃引速度を変える必要も生ずるが、実際のところ、掃引速度の設定可能範囲には制限がある。そのため、従来の干渉法では波長分解能の高い測定に多大の困難が伴う。
従来の干渉法の問題の第2は、測定波長点精度に係わる問題である。上記第1の問題は、仮に波長可変光源701が理想的であっても生ずる問題であった。ところが、その波長可変光源701は、特に設定波長の精度において、理想からはほど遠い現状にある。そのため、測定波長点の個々について、波長可変光源701が実際に出力した光の波長を、別個の高精度波長計によって記録するか、さらに歩を進めてその波長計の読みをその光源に帰還して波長確度を高めることが望ましい。ところが、高速波長掃引動作を行う波長可変光源には、実際にこれが行えない。なぜなら、現状の適用可能な高精度波長計は、長い測定時間を要するからである。例えば、干渉縞係数法に基づく波長計の場合には、干渉計の鏡の機械的掃引を伴い、その掃引の速度制限により、1GHzの光周波数確度の測定には100ms程度を要し、測定時間は波長(光周波数)確度に反比例して増加する。こうした測定頻度は、高速掃引動作中の波長可変光源701の刻々の出力波長の較正には、全く不十分である。
他に、格段に迅速な高精度波長測定方法として、波長安定化基準光源との合波時の干渉信号を計数するビート法が考えられるが、このビート法においては、計数可能な光周波数差の上限により、測定波長範囲が限られている。例えば、20GHzまでのビートを計数し得たとしても、1.5μm波長帯での測定範囲は、僅かに0.15nmに過ぎない。この測定波長範囲は、波長可変光源701の波長変化を追跡するためは、全く不足しており、従って、従来の干渉法では、このようなビート法による波長較正も行い得ない。
刻々の、すなわち測定波長点毎の波長較正を行えない結果、従来法では、高い波長確度が期待できない。同時に、参照遅延部705の遅延量ΔTが大きい場合には、これにより伝達関数の位相、ひいては群遅延時間にも高い測定精度は望めない。なぜならば、大きなΔTの下では、測定に関る位相には、ωΔTの光周波数(波長)に依存して急峻に変化する項が重畳され、測定波長点の僅かな偏差が大きな位相偏差を生ずるからである。
ここで、従来法でこの問題を看過し得ない理由は、従来法には、必ず大きなΔTに設定されねばならないという制約があるからである。すなわち、上記の式(4)の信号に関る上記解析方法は、必ず、被測定素子702における最大の群遅延を更に越えるΔTを用いることを要請する。この結果、従来法では、測定波長点の波長精度を非常に高く保つことが、常に枢要であるにもかかわらず、各点の波長を測定中に実際に較正する手段を欠いている。このような事情により、従来法は、波長可変光源701の性能に全面的に依拠せざるを得ず、適用可能な波長可変光源が極めて限定され、さらにその光源の動作如何によっては、測定結果に大きな誤差を生じるおそれを多分に有している。
以上述べたところの、波長可変光源701の高速掃引に伴う問題に加えて、従来の干渉法には、上述した干渉信号解析方法に付随する制限がある。先ず、既に述べたように、参照遅延部705の遅延量ΔTは、必ず被測定素子702における最大の群遅延よりも大きい必要があり、これを裏返すと、遅延量ΔTが一定の参照遅延部705の下では、測定可能な被測定素子702の遅延量、即ち長さが限られる。長い被測定素子702の許容のためには、遅延量ΔTを大きめに設定せざるを得ない。しかし、その場合は、短尺の被測定素子702に対しては、ΔTが過大となり、上述したように、波長可変光源701の波長誤差に伴う測定誤差の発生を、いたずらに招くこととなる。
さらに問題となる点を説明する。信号解析法におけるフーリエ変換について、測定点を等刻み(均一の刻み)の光周波数に対して設けることが、高速フーリエ変換(FFT)アルゴリズムの使用上、好都合である。しかしながら、このために、被測定素子702の波長特性の最も急峻な部分に対してのみ必要な光周波数刻みでのデータ採取を、波長掃引範囲の全てにわたって強いられることとなる。
さらに実際は、類似の事情が上述した参照遅延量ΔTに関る条件にも、暗黙裏に含まれている。大きな遅延量ΔTに伴う位相変化ωΔTを一意的に分解するためには、隣接測定点間の位相変化をπ未満に留める必要があり、測定光周波数間隔Δνは、必然的に、1/(2ΔT)未満に細かく設定されねばならない。この条件に上述した遅延量ΔTの設定条件を組み合わせる結果、個々の被測定素子702に対してのみならず、測定可能な最も急峻な波長特性、即ち最大の群遅延を有する被測定素子の測定に必要な測定光周波数刻みで、常に、全波長掃引範囲についてデータ採取を行わざるを得ない。これは、極めて非効率的である。
このような干渉信号のデータ処理に関る問題の所以は、従来法が同一周波数の光の干渉を観測している点にある。今、同一光周波数の2光が合波・干渉して静的な干渉光を生成したと想定すると、一般に、その干渉光の大きさを観測しただけでは、2光の大きさもそれらの間の相対的位相差も知ることはできない。さらに仮に、その2光の大きさが与えられたとしても、相対的位相差には、符号の不定性が残る。なぜならば、干渉光の大きさは、その位相差を引数とする余弦関数に比例し、その余弦関数は偶関数だからである。この事実のため、従来例の干渉法においては、全データ点についての干渉信号の採取完了後に、データ解析により、初めて各波長点での相対的位相差を求め得るものであった。
干渉光の大きさから、一般に相対的位相差を求めるには、位相差に意図的な変化を与えつつ、少なくとも3回、大きさを測定する必要がある。この変化を90°ステップで静的に与える方法は、4位法として良く知られているが、それ以外に、2光間の遅延を掃引するか、または、2光間に光周波数の差を設けても同様の効果を得ることができる。特に後者の2光間に光周波数の差を設ける場合では、一定の光周波数差ΔFを設け、時間的に正弦波的に変化する干渉光の大きさと、周波数ΔFの基準正弦波とを共に位相計に与えれば、2光間の相対的位相差を直接、位相計の読みとして得ることができる。すなわち、各波長点毎の相対的位相差が、何らのデータ解析を経ることなく、個々に直に得られることが知られている。このように干渉する2光の間に、光周波数の差を設ける干渉計は、ヘテロダイン干渉計と称され、これと対照的に、従来例の干渉計は、ホモダイン干渉計と呼ばれる。
ヘテロダイン干渉計は、従来から(光路)長さ計測の目的で広く用いられている。このような計測目的で用いる場合、基準となる固定光路長差の干渉計による干渉信号を上記位相計に与える基準正弦波とし、測距すべき光路を1つの腕(測距腕)とする別の干渉計による干渉信号の位相を求めることが行われる。このような構成は、例えば、非特許文献4に開示されている。
上記のような長さ計測構成の測距腕に、被測定素子を挿入し、光源の波長を変化させつつ、干渉信号の位相を記録すれば、波長分散測定法に転用できる。これによれば、被測定素子の伝搬位相は、個々の波長点に対し、上記で説明したように位相計の読みとして直ちに得られるので、測定波長点の選び方は全く任意となる。かくして、従来の干渉法における干渉信号のデータ処理に関る問題は解消される。しかしながら、上述したより大きな問題は、何らの解決も見ることがない。依然として、被測定素子の光路長変動に耐性を持たず、その結果、高速の波長掃引を強いられることに変わりない。
Luis Zenteno "Group delay dispersion measurements in InGaAsp 1.3-μm optical amplifiers" IEEE Journal of Lightwave Technology 誌、7巻(1989年)、1号39−44頁、 M. S. Leong and et. al "Direct measurement of second-order dispersion in short optical fibers using whitelight Interfermetry"Electronics Letters 誌、20巻(1984年)、18号751−752頁 Mitsuo Takeda and et. al "Fourier-transform method of fringe-pattern analysis for computer-based topography and interferometry" Journal of Optical Society of America 誌、72巻(1982年)、1号156−160頁 Dai Xiaoil and et. al "High-accuracy absolute distance measurement by means of wavelengh scanning heterodyne interferometry" Measurement Science Technology 誌、9 巻(1998年)、1031−1035頁
以上述べたように、従来の干渉法による波長分散測定方法には、
(1)被測定素子の光路長変動に耐性を有さず、高速の波長掃引を強いられる結果、測定時間を長くとって感度を改善することが不可能であり、
(2)さらに、同じ理由により、掃引中の波長較正が行えないため、波長確度が非保証であり、
また、加えてホモダイン干渉計による方法においては、
(3)干渉信号のデータ処理に伴い、均一の光周波数刻みによる極めて多点の測定を常に要し、被測定素子に適応して測定点の密度を調整して効率的に測定する自由度を欠く、
という解決すべき課題があった。
本発明の目的は、従来技術における上記のような課題を解決し、被測定素子の光路長差変動に対して耐性を持ち、測定時間を任意に長くとって高感度化が可能であり、かつ現行の波長計による掃引中の波長較正も可能であり、さらに、測定点毎の位相が随時得られ、任意の波長点分布についての測定を実行できる、波長分散測定方法および波長分散測定装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の波長分散測定方法は、波長可変光源を用いて被測定素子の波長分散を測定する方法であって、前記波長可変光源からの光を2光束に分岐し、前記2光束の一方の光束を第1の光周波数シフタおよび前記被測定素子を含む第1の光路に伝搬させ、前記2光束の他方の光束を前記第1の周波数シフタの周波数シフトとは異なる周波数シフトを有する第2の光周波数シフタを含む第2の光路に伝搬させ、前記第1の光路を伝搬した光と前記第2の光路を伝搬した光とを合波し干渉させて測定干渉信号を取得し、参照光源からの参照光を2光束に分岐し、参照光の前記2光束の一方の光束を前記第1の光路に伝搬させ、参照光の前記2光束の他方の光束を前記第2の光路に伝搬させ、前記第1の光路を伝搬した参照光の光束と前記第2の光路を伝搬した参照光の光束とを合波し干渉させて参照干渉信号を取得し、前記参照干渉信号に対する前記測定干渉信号の相対位相を前記波長可変光源の波長を変化させつつ記録し、記録された前記相対位相を光周波数について微分して、前記被測定素子の波長分散を測定することを特徴とする。
前記波長可変光源に由来する光と、前記参照光源に由来する光を、伝搬方向の差異に基づいて分離して受光し、個別の干渉信号を得るために、前記波長可変光源からの光と、前記参照光源からの光が、前記第1の光路および前記第2の光路において、互いに逆方向に伝搬する構成をとることができる。
このとき、逆行する光による光源への影響を防ぐために、前記波長可変光源からの光と前記参照光源からの光に、前記2光束への分岐の前に、それぞれ光アイソレータを作用させるのが好ましい。
同じく、個別の干渉信号を、偏光の差異に基づいて分離して得るために、前記波長可変光源からの光と、前記参照光源からの光が、前記第1の光路および前記第2の光路において、互いに直交する偏波を有する構成をとることもできる。
同じく、個別の干渉信号を、波長の差異に基づいて分離して得るために、前記第1の光路を伝搬した光と前記第2の光路を伝搬した光の合波・干渉光に、波長分波器を作用させて、前記測定干渉信号と前記参照干渉信号を分離して得る構成をとることもできる。
同じく、個別の干渉信号を、時刻の差異に基づいて分離して得るために、前記波長可変光源からの光と前記参照光源からの光から、第1の光スイッチにより交番的に一者が選択され、その光が前記2光束に分岐されて前記第1の光路と前記第2の光路を伝搬し、それら2光の合波・干渉光から、前記第1の光スイッチに同期した第2の光スイッチにより、前記測定干渉信号と前記参照干渉信号を分離して得る構成をとることもできる。
被測定素子における反射に伴う波長分散を測定するために、前記波長可変光源からの光と前記参照光源からの光から、光スイッチにより交番的に一者が選択され、その選択された光が前記2光束に分岐されて前記第1の光路と前記第2の光路を伝搬し、それら2光の合波・干渉光を再び前記光スイッチに戻し、前記波長可変光源に戻る光として前記測定干渉信号を、また、前記参照光源に戻る光として前記参照干渉信号を、それぞれ得る構成をとることもできる。
この場合、前記2光束の一方の光束が前記第1の光路を伝搬し前記被測定素子内で反射して該光路を戻り、前記2光束の他方の光束が前記第2の光路を伝搬し該光路の端部で反射して該光路を戻り、前記第1の光路を伝播して戻った光と前記第2の光路を伝播して戻った光とを合波・干渉させた2光の合波・干渉光を再び前記光スイッチに戻す構成をとることもできる。
直交する2つの偏波毎の波長分散を同時に測定するために、前記測定干渉光を直交2偏波に分離し、各偏波について測定干渉信号を得る構成を付加し、前記参照干渉信号に対する偏波毎の測定干渉信号の相対位相を前記波長可変光源の波長を変化させつつ記録することもできる。
上記目的を達成するため、本発明の波長分散測定装置は、波長可変光源と、参照光源と、前記波長可変光源および前記参照光源からの光をそれぞれ2光束に分岐する光分波手段と、前記2光束の一方の光束が伝搬する第1の光周波数シフタおよび波長分散測定の対象である被測定素子を含む第1の光路と、前記2光束の他方の光束が伝搬する前記第1の周波数シフタの周波数シフトとは異なる周波数シフトを有する第2の光周波数シフタを含む第2の光路と、前記第1の光路を伝搬した光と前記第2の光路を伝搬した光とを合波し干渉させて測定干渉信号および参照干渉信号を取得する光合波手段と、前記参照干渉信号に対する前記測定干渉信号の相対位相を前記波長可変光源の波長を変化させつつ記録し、記録された前記相対位相を光周波数について微分して、前記被測定素子の波長分散を測定する位相計とを具備することを特徴とする。
ここで、前記光分波手段と前記光合波手段はそれぞれ同一機能の第1と第2の光合分波手段であり、前記波長可変光源からの光と、前記参照光源からの光が、前記第1の光路および前記第2の光路において、互いに逆方向に伝搬するように、前記波長可変光源からの光が前記第1の光合分波手段に入射され、前記参照光源からの光が前記第2の光合分波手段に入射される配置構成とすることができる。
また、前記波長可変光源からの光と前記参照光源からの光に、前記2光束への分岐の前に作用させる、それぞれ個別の光アイソレータを有することは好ましい。
また、前記光合波手段から得られる前記測定干渉信号と前記参照干渉信号とを分離する波長分波器を有することは好ましい。
あるいはまた、前記波長可変光源からの光と前記参照光源からの光とを前記光分波手段に対して交番的に選択出射する第1の光スイッチと、前記第1の光路と前記第2の光路それぞれ伝搬してきた2光の合波・干渉光を、前記第1の光スイッチに同期して交番的に別々のポートへ選択出射する第2の光スイッチとを有する構成とすることができる。
これに代えて、前記波長可変光源からの光と前記参照光源からの光とを前記光分波手段に対して交番的に選択出射する光スイッチと、前記第1の光路を伝搬した光と前記第2の光路を伝搬した光とを合波・干渉させた2光の合波・干渉光を再び前記光スイッチに戻す光学手段とを有する構成としてもよい。
あるいは、前記測定干渉光を直交2偏波に分離して各偏波についてそれぞれ測定干渉信号を取得する偏波分離器を有する構成も好ましい。
本発明によれば、被測定素子の光路長差変動に耐性を持つので、測定時間を任意に長くとって感度の高い計測が行える。また、本発明では、現行の波長計による掃引中の波長較正も可能で、波長可変光源に自体には、著しく高い光周波数確度を要求しないので、波長可変光源を自由度に選択して、伝達関数の位相、ひいては群遅延時間について高精度の測定が行える。さらに、本発明では、測定点毎の位相が随時得られるので、任意に選んだ波長点分布について、効率的に測定を行える。
また、非測定素子の損失の許容量(感度)として、従来例の干渉法は従来例の変調法に比べて略100倍の損失許容量があるが、本発明では、その従来例の干渉法の約10倍の損失許容量がある。
さらに、本発明では、測定光と参照光を分離・検出するために、光路の差異、伝搬方向の差異、偏光の差異、波長の差異、さらに時刻の差異に基づく構成が存し、実施上の広い自由度を有する。さらに、本発明に係る参照光源は、固定波長光源で十分であり、波長安定度が高い例えば半導体DFBレーザを用いて低コストに実施できるので、工業的に大きな効果が得られる。
(基本構成)
従来の干渉法におけるホモダイン干渉計に替えて、ヘテロダイン干渉計を用いれば、測定波長点毎の位相が随時得られ、任意の波長点分布についての測定が実現する。しかしながらこれだけでは、依然として、被測定素子の光路長変動に耐性を持たず、結果、高速の波長掃引を強いられることに変わりはない。
その問題の根源は、旧来のヘテロダイン干渉計において、位相の比較のために位相計に与える基準信号として、別個に設けた固定光路長差の干渉計による干渉信号を用いていることにある。固定光路長差に対して、被測定素子の光路長が変動にすれば、必然的に測定される伝搬位相は変化し、この変化は波長の変化に伴う位相変化と原理的に区別できない。この問題の解決のためには、被測定素子の光路長の変動に追随して変化する干渉信号を上記基準信号として用いることが必要である。
ここにおいて、本発明者は考究を進め、被測定素子を含む干渉計に、別個に設けた固定波長光を伝搬させ、その固定波長光による干渉信号を、基準信号として上記位相計に与えれば、被測定素子の光路長変動の影響が著しく緩和され、従来法に関る問題に十分な解決を与えることを見出すに至ったものである。
以下に、本発明のかかる原理に基づく本発明の基本構成を、図面を参照して詳述する。
図1は、本発明の波長分散測定方法の基本構成を示す。図1において、波長可変光源101から出力された光(測定光)は、前段の半透鏡(ハーフミラー)103に達し、2光束に分岐される。半透鏡103で分岐されたうちの一方の光束は、第1の光周波数シフタ108に入射し、ここでこの周波数シフタの駆動周波数Fだけ光周波数が上方に遷移されて、その周波数シフタ108を出射し、さらに被測定素子102を通過し、第1の反射鏡113を経て後段の半透鏡104に達する光路をたどる。半透鏡103で分岐されたうちの他方の光束は、第2の反射鏡114を経て第2の光周波数シフタ109に入射し、ここでその周波数シフタの駆動周波数F+ΔFだけ光周波数が上方に遷移されて、その周波数シフタ109を出射し、さらに参照遅延部105を通過し、後段の半透鏡104に達する光路をたどる。各々、後段の半透鏡104に達したこれら測定光の2光束は、その半透鏡104において再び合波された後、第1の開口115を経て第1の光検出器106により受光・検出される。
一方、波長可変光源101に対してほぼ直角方向に配置された参照光源107から出力された光(参照光)は、上記の前段の半透鏡103に達して2光束に分岐される。半透鏡103で分岐されたうちの一方の光束は、上記の第1の光周波数シフタ108に入射し、ここで光周波数がFだけ上方に遷移され、さらに上記の被測定素子102を通過し、上記の第1の反射鏡113を経て上記の後段の半透鏡104に達する光路をたどる。半透鏡103で分岐されたうちの他方の光束は、上記の第2の反射鏡114を経て上記の第2の光周波数シフタ109に入射し、ここで光周波数がF+ΔFだけ上方に遷移され、さらに上記の参照遅延部105を通過し、上記の後段の半透鏡104に達する光路をたどる。各々、後段の半透鏡104に達したこれら参照光の2光束は、その半透鏡104において再び合波された後、第2の開口116を経て第2の光検出器110により受光・検出される。
第2の光検出器110の出力(参照干渉信号)は、位相ロックループ(PLL)111を経て振幅が安定化され、周波数ΔFの基準正弦波として位相計112に供給される。他方、上記の第1の光検出器106の出力(測定干渉信号)は、位相計112に給電され、参照干渉信号(周波数ΔFの基準正弦波)に対する、測定干渉信号の相対位相が、位相計112の読みとして得られる。
位相計112の読みとして得られる上記相対位相を、位相計112内の、または外部の記録装置(図示しない)で記録しつつ、波長可変光源101の波長を掃引する。かくして得られた測定波長(光周波数)点毎の位相データは、位相測定の常として、値域(−π,π)に折り畳まれている。これに、先ず、連続性を仮定した上で位相を滑らかに開くアンラップ操作(phase unwrapping process)を施した後、前述の式(1)に則って数値微分を施せば、被測定素子102の群遅延時間が得られる。
被測定素子102の挿入前について上記の相対位相を、測定装置固有の背景データとしてあらかじめ記録して置き、その被測定素子102の挿入後の相対位相から、その背景データを減算した後に、上記の数値微分を施せば、上記2つの半透鏡103,104の間の2つの光路の位相不平衡の影響を除去して、被測定素子102の群遅延時間が正確に得られる。この際、上記のアンラップ操作は、減算前の相対位相の各々、あるいは減算後に得られた相対位相の差、のいずれに対して行っても良い。また、装置固有の背景データの採取は、原理的には、測定装置の組立て後、例えば製品出荷前に、一回だけ実施すれば事足りる。このような装置固有の偏差の除去は、本発明に限らず、従来の干渉法でも行える一般的な手法である。
次に、本発明により、被測定素子102の光路長変動への耐性が付与される理由を、図2を参照しつつ詳述する。図2は本発明による光路長変動への耐性の原理を示す図であり、干渉信号の時間波形を描いたグラフである。グラフ最上段の波形Aは、第1の光検出器106が出力する測定干渉信号を示す。この測定干渉信号は、周波数2πΔFtの正弦波であり、その位相φ(λ)は、前段の半透鏡103にて2光束に分岐され、後段の半透鏡104に達して再び合波される迄の2つの光路の間の伝搬位相の差の、測定波長λにおける値となる。グラフにおいて上から2段目の波形Bは、第2の光検出器110の出力する参照干渉信号であり、同じく周波数2πΔFtの正弦波であり、参照波長λにおける上記2つの光路の伝搬位相差φ(λ)をその位相として持つ。これら2つの同一周波数の正弦波(2πΔFt)の間の位相差、すなわち上記相対位相は、φ(λ)−φ(λ)であり、これが位相計112の読みとして得られて記録される。すなわち、2光路の伝搬位相差の、測定波長λと参照波長λにおける差分が、直接、位相計112の読みとして得られる。
この構成において、参照波長λを一定に保ちつつ、測定波長λだけを変化させれば、各測定波長点における伝搬位相差の差分が得られる。今、参照波長λは一定であるから、測定波長λの関数としての伝搬位相差を、加算定数φ(λ)だけの不定性をもって定め得ることとなる。上記の式(1)の示すように、群遅延に寄与するのは伝搬位相φの波長(光周波数)による変化であるから、このφ(λ)の不定性は、波長分散測定法には何らの不都合も来さない。
被測定素子102の伝搬位相は、2つの光路の一方に加算的に付加されるので、その被測定素子102の挿入前後の伝搬位相差測定の差をとることにより、被測定素子102だけの伝搬位相が単離され、前述のように、これに上記の式(1)に則った数値微分を施すことで、その被測定素子102の郡遅延時間τ(ω)が得られる。以上が、本発明による被測定素子102の群遅延時間の測定原理である。
ここで、被測定素子102、あるいはより一般的に上記2つの光路の何処かにおいて、遅延時間の変動Δτを伴う光路長変動が生じた場合を考えるとしよう。図2のグラフにおいて下から2段目の波形Cは、この場合の第2の光検出器110からの参照干渉信号を示している。その参照信号の位相φ(λ)は、遅延時間変動Δτに伴いωΔτだけ増加し、その結果、参照干渉信号は図中上から2段目の状態から、時間的に進んで現れることとなる。なおここで、ωは参照波長λの光角周波数である。このような位相変化による信号の移動(進み)は、図2で2周期近くに及んでおり、このような大きな位相変化をきたす光路長変動は、従来の干渉法の全く許容し得ないものであった。
図2のグラフの最下段の波形Dは、上記のように光路長変動が生じた場合に、第1の光検出器106から出力される測定干渉信号を示している。その測定干渉信号の位相φ(λ)は、この場合、ωΔτだけ増加し、上記参照干渉信号と同様に、図中最上段の状態に比して時間的に進んで現れることとなる。ここで、ωは測定波長λの光角周波数である。このような測定干渉信号上の位相変化も、言うまでもなく、従来の干渉法では全く許容し得ないものであった。
これに対し、本発明が依拠するのは、これら光路長変動に非常に敏感な2つの干渉信号の間の、相対位相であることに注目されたい。その相対位相の上記光路長変動による変動は、上記2つの干渉信号の位相の進みの間の差であるから、(ω−ω)Δτと算定される。この相対位相の変動(ω−ω)Δτと元々の測定干渉信号の位相変動ωΔτの比ρとして、次式(7)を得る。
Figure 2006308531
ω、ωは共に正であるから、常に比|ρ|<1である。すなわち、相対位相においては光路長変動の影響が、元々の干渉信号に比して抑圧されて現れる。
しかも、現在得られる波長掃引光源を用いる本発明の波長分散測定においては、波長差λ−λが、波長λないしλ自体に比べて極く小さいのが通例である。本発明の方法を必要とするような高波長分解能を必要とする被測定素子は、そもそも狭帯域の素子であって、広い帯域について波長分散の測定を要求することは希である。したがって、実際には、測定波長λの掃引範囲は比較的狭くて良く、加えて、一般的に、参照波長λも被測素子の動作波長範囲内に設定されるべきものである。なぜなら、動作波長範囲外の光を被測定素子が伝達することは、一般に保証されないからである。これらの理由の結果、上記の比ρは、本発明の測定対象として想定される種類の被測定素子における、動作帯域とその中心波長の比に近似することとなる。
想定される被測定素子として、例えば一般的な波長多重通信用の光濾波器にあっては、帯域/中心波長比は1/100以下、高密度波長多重通信用の光濾波器に至っては、1/1000以下である。したがって、上記の比ρは、高々1%以下であり、そのため、本発明によれば、従来例の干渉法に比して、少なくとも100倍以上の光路長変動を許容できることになる。そのため、例え、図2に例示したような2周期近くの干渉信号の移動が生じていたとしても、本発明における相対位相へのそれによる影響は、高々0.02周期分の差異にとどまる。この値は、本発明による干渉法の測定を阻害しない範囲に十分おさまっている。
但し、僅か0.02周期分であっても位相角としては7.2°の差異であるから、そのときの光路長変動は、位相計112の読みに十分に反映され検知される。このことは群遅延時間を測定する波長分散測定器として、当然の振舞いである。光路長変動により、被測定素子102中の伝搬遅延の変化が、実際に生じているのであり、これが例え数波長分の長さ、例えば、1.5μm波長帯では10fs(フェムト秒)台の伝搬遅延の変化であっても、なお位相計112で検知される。このことは、本発明の干渉法の群遅延時間検出能の高さの証左に他ならない。
逆に、本発明においては、どこまでの相対位相の変化が許容され得るかを次に考察する。一般に位相は、2πを法(modulus)とする剰余系としてのみ測定可能である。このような位相測定に伴う事情のために、本発明の上述の動作においても、アンラップ操作が必要である。ここで、位相角にしてπ(ラジアン)以上、即ち光路長変動により、半周期分以上の相対位相の差異が隣接測定点との間に生じると、上記のアンラップ操作が正しく行えず、相対位相値が不定となり、測定は失敗に帰する。
このような事態に立ち至る光路長変動量は、本発明の場合、少なくとも波長の50倍以上である。これは例えば、1.5μm波長帯では、75μm、伝搬遅延にして250fsに相当し、このような大きい光路長変化が、隣接測定点間で突然発生することは、自然に放置された状態の被測定素子において、現実にはあり得ない。従って、本発明によれば、慮外の光路長変動により測定が失敗に帰するという可能性は殆んどなく、その結果、光路長変動による測定失敗への懸念は払拭され、実用上、光路長変動に耐性を有する測定方法が実現される。
ここまでで、本発明の基本構成とその動作原理をつまびらかにしたので、以下では、図面を参照して、本発明の各種の実施形態について詳述する。
まず、前述の式(7)から分かるように、本発明では、参照波長λが測定波長λに近い程、光路長変動への耐性が高い。一方、一般に本発明では、参照光と測定光を、各々個別の光検出器で受光する必要があり、しかもこの際、各光検出器への所期の目的外の光の混入の抑圧が非常に重要である。図1の基本構成では、参照光と測定光の2光を空間的に分離して、伝搬させて検出している。このような構成では、2光の完全な分離検出が容易に行える。しかしながら、この基本構成では、2光が被測定素子102中で別個の平行光路に沿って伝搬しており、場合によっては、これが問題となる局面(ケース)があると考えられる。その第1は、被測定素子102が非常に細い場合には、2光をその後に分離可能なように被測定素子102中を平行に伝搬させることは実際には困難である。その第2は、2光は厳密には被測定素子102中で異なる光路をたどるから、万一、光路長変動がこれら2光路に等しい変化を与えない場合、そのような光路長変動へは耐性を持たない。このような事態は、空間的に大きい不均一を示す被測定素子102では、容易に起こり得る。このような問題の払拭のためには、参照光と測定光の2光が被測定素子中で同一の光路をたどることが必要であり、これを行うと同時に、2光を分離検出するための実施形態の構成が、以下のように種々考え得る。
(第1の実施形態)
被測定素子中で、参照光と測定光の2光に同一の光路をたどらせる構成において、2光を分離する方策として、伝搬方向による分離または偏波による分離が考えられる。これらを各々行なった構成を、図3および図4に示す。
図3は、本発明の第1の実施形態における、伝搬方向による分離を利用した構成例を示す。図3において、波長可変光源301から出力された光(測定光)は、第1の半透鏡303に達して2光束に分岐される。第1の半透鏡(ハーフミラー)303で分岐されたうちの一方の光束は、第1の光周波数シフタ308に入射し、ここでその周波数シフタの駆動周波数Fだけ光周波数が上方に遷移されて、周波数シフタ308を出射し、さらに被測定素子302を通過し、第1の反射鏡313を経て第2の半透鏡304に達する光路をたどる。第1の半透鏡303で分岐されたうちの他方の光束は、第2の反射鏡314を経て第2の光周波数シフタ309に入射し、ここでその周波数シフタの駆動周波数F+ΔFだけ光周波数が上方に遷移されて、周波数シフタ309を出射し、さらに参照遅延部305を通過して、上記の第2の半透鏡304に達する光路をたどる。各々、第2の半透鏡304に達したこれら測定光の2光束は、第2の半透鏡304において再び合波された後、第1の光検出器306により受光・検出され、電気信号に変換される。
一方、第2の半透鏡304の近傍に配置された参照光源307から出力された光(参照光)は、上記の第2の半透鏡304に達して2光束に分岐される。第2の半透鏡304で分岐されたうちの一方の参照光束は、上記の第1の反射鏡313を経て被測定素子302を通過し、さらに第1の光周波数シフタ308に入射し、ここで光周波数がFだけ上方に遷移され、上記の第1の半透鏡303に達する光路をたどる。すなわち、被測定素子302において、測定光の第1の光束と同一の光路を、その第1の光束に対して相対する方向(逆方向)に伝搬する。またここで、第1の光周波数シフタ308は、相反的な素子であるので、遡行する向きに入射した参照光に対しても、測定光に対するのと同一の光周波数の変化を与える。この作用は、下記の第2の光周波数シフタ309においても同様である。第2の半透鏡304で分岐されたうちの参照光束の他方は、参照遅延部305を通過し、第2の光周波数シフタ309に入射し、ここで光周波数がF+ΔFだけ上方に遷移され、さらに第2の反射鏡314を経て第1の半透鏡303に達する光路をたどる。各々、第1の半透鏡303に達したこれら参照光の2光束は、第1の半透鏡303において再び合波された後、第2の光検出器310により受光・検出され、電気信号に変換される。
第2の光検出器310の出力(参照干渉信号)は、位相ロックループ(PLL)311を経て振幅が安定化され、周波数ΔFの基準正弦波として位相計312に供給される。第1の光検出器306の出力(測定干渉信号)は位相計312に給電され、参照干渉信号(周波数ΔFの基準正弦波)に対する測定干渉信号の相対位相が、位相計312の読みとして得られる。位相計312の読みとして得られる相対位相を、位相計312内の、または外部の記録装置(図示しない)で記録しつつ、波長可変光源301の波長を掃引する。このようして得られた測定波長(光周波数)点毎の位相データに、アンラップ操作を施した後、前述の式(1)に則って数値微分を施せば、被測定素子302の群遅延時間が得られる。被測定素子302の挿入前について、相対位相を、測定装置固有の背景データとしてあらかじめ記録しておき、その被測定素子302の挿入後の相対位相から、その背景データを減算した後に、上記の数値微分を施せば、2つの半透鏡303,304の間の2つの光路の位相不平衡の影響を除去して、被測定素子302の群遅延時間が正確に得られる。
図4は、本発明の第1の実施形態における、偏波による分離を利用した構成例を示す。図4において、波長可変光源301から出力された光(測定光)は、紙面に平行な偏波面を有する。この測定光が第1の半透鏡303に達して2光束に分岐される。第1の半透鏡303で2光束に分岐されたうちの一方の測定光の光束は、第1の光周波数シフタ308に入射し、ここで光周波数が遷移されてから出射し、その後、被測定素子302を通過し、第1の反射鏡313を経て第2の半透鏡304に達する光路をたどる。第1の半透鏡303で2光束に分岐されたうちの他方の測定光の光束は、第2の反射鏡314を経て第2の光周波数シフタ309に入射し、ここで光周波数が遷移されてから出射し、その後、参照遅延部305を通過し、第2の半透鏡304に達する光路をたどる。各々、第2の半透鏡304に達したこれら測定光の2光束は、第2の半透鏡304において再び合波された後、第1の偏光子315および第2の偏光子316に達する。
ここで第1の偏光子315は、波長可変光源301が有する偏光を透過するように設定され、その背後には第1の光検出器306が設置されている。一方、第2の偏光子316は、波長可変光源301が有する偏光を透過しないように設定され、その背後には第2の光検出器310が設置されている。従って、第2の半透鏡304で合波された測定光の2光束は、第1の光検出器306のみにより受光・検出され、その光検出器306に測定干渉信号の発生が現れる。
一方、参照光源307は第1の半透鏡303の近傍に波長可変光源301とほぼ直角方向に配置され、その参照光源307から出力された光(参照光)は、紙面は垂直な偏波面を有し、この参照光が第1の半透鏡303に達して2光束に分岐される。第1の半透鏡303で2光束に分岐されたうちの一方の参照光の光束は、第1の光周波数シフタ308に入射してここで光周波数の遷移を受け、被測定素子302を通過し、さらに第1の反射鏡313を経て第2の半透鏡304に達する光路をたどる。第1の半透鏡303で2光束に分岐されたうちの参照光の光束の他方は、第2の反射鏡314を経て第2の光周波数シフタ309に入射してここで光周波数の遷移を受け、さらに参照遅延部305を通過し、第2の半透鏡304に達する光路をたどる。各々、第2の半透鏡304に達したこれら参照光の2光束は、第2の半透鏡304において再び合波された後、第1の偏光子315および第2の偏光子316に達する。
ここで参照光の偏波は、測定光の偏波に直交しているので、第2の半透鏡304において合波された参照光の2光束は、2つの偏光子315および316のうち、第2の偏光子316のみを透過して、第2の光検出器310のみにより受光・検出され、その光検出器310に参照干渉信号の発生が現れる。
その後、測定干渉信号および参照干渉信号からの、被測定素子302の群遅延時間の算出動作については、上述の図3の構成の動作に徴して明らかであるから、その説明は割愛する。
(第2の実施形態)
参照光と測定光の2光が、被測定素子中で同一の光路をたどるのであれば、光ファイバ等の光路が導波路構造によって規定されている試料も測定対象にできる。しかし、これら導波型の光素子に、図3、図4に示した構成におけるような空間を伝搬する光束を結合して伝搬させようとすると、それに関わる光軸の調整が実際には容易でない。また、その結合に関る光学部品の特性、例えばレンズの分散も問題となる。そこで、本発明を適用した装置の測定用干渉計の全てを、始めからこのような導波型の素子、典型的には、光ファイバ部品を用いて構築する構成が考えられる。このような構成においては、被測定素子への光の結合は、光ファイバ同士の突合に帰され、極めて容易にこれを行うことができる。しかし、このような光ファイバ干渉計構成においては、被測定素子のみならず干渉計を構成する他所の光ファイバ部分においても光路長変動が生じ得るので、光路長変動に無対策の方法では、その導入が難しかった。
これに対して、本発明は、既に述べた通り、光路長変動への耐性が高いため、このような光ファイバ干渉計構成を懸念なく導入することができる。
また、導波型の部品が使用可能なことにより、参照光と測定光の2光の分離・検出については、第1の実施形態の構成と比べて、より選択の幅が拡がる。例えば、アレイ導波路構成の波長分離器を用いれば、近接した波長の2光を容易に分離することができる。本発明の第2の実施形態として、そのような波長分離素子を用いて、波長による2光の分離を行った導波型構成の例を図5に、また第1の実施形態の伝搬方向による分離を、光ファイバ干渉計を用いて行なった導波型構成の例を、図6に示す。
図5において、波長可変光源401から出力された光(測定光)と、参照光源407から出力された光(参照光)とが、第1の波長合分波器417によって合波された後、第1の光カップラー403に達して2光束に分岐される。第1の光カップラー403で分岐されたうちの一方の光束は、第1の光周波数シフタ408に入射し、ここでその周波数シフタの駆動周波数Fだけ光周波数が上方に遷移されて、周波数シフタ408を出射し、さらに被測定素子402を通過して、第2の光カップラー404に達する。第1の光カップラー403で分岐されたうちの他方の光束は、第2の光周波数シフタ409に入射し、ここでその周波数シフタの駆動周波数F+ΔFだけ光周波数が上方に遷移されて、周波数シフタ409を出射し、さらに参照遅延部405を通過し、第2の光カップラー404に達する光路をたどる。各々、第2の光カップラー404に達したこれら2光は、第2の光カップラー404において再び合波された後、第2の波長合分波器418に入射する。
第2の波長合分波器418は、測定光と参照光を波長の差異によって分離し、前者の測定光を第1の光検出器406に、後者の参照光を第2の光検出器410に供給する。これにより、合波され、あとで分離された測定光の2光束は、第1の光検出器406のみにより受光・検出され、その光検出器406に測定干渉信号の発生が現れる。一方、合波され、あとで分離された参照光の2光束は、第2の光検出器410のみにより受光・検出され、その光検出器410に参照干渉信号の発生が現れる。その後、これら測定干渉信号および参照干渉信号からの、被測定素子402の群遅延時間の算出動作については、既述の第1の実施形態に準ずるので、その詳細な説明は省略する。
次に、図6の構成を説明する。図6において、波長可変光源401から出力された光(測定光)は、第1の光アイソレータ419を通過した後、第1の光カップラー403に達して2光束に分岐される。第1の光カップラー403で分岐されたうちの測定光の一方の光束は、第1の光周波数シフタ408に入射し、ここで光周波数が遷移されて出射し、さらに被測定素子402を通過し、第2の光カップラー404に達する。第1の光カップラー403で分岐されたうちの測定光の他方の光束は、第2の光周波数シフタ409に入射し、ここで光周波数が遷移されて出射し、参照遅延部305を通過した後、第2の光カップラー404に達する。各々、第2の光カップラー404に達したこれら測定光の2光束は、第2の光カップラー404において再び合波された後、第1の光検出器406により受光・検出される。
第2の光カップラー404において合波された測定光は、第1の光検出器406のみならず、第2の光アイソレータ420側の光路にも供給される。この測定光が、もし参照光源407に注入されると、その光源の動作に影響を及ぼし得る。実はこの防止のために、第2の光アイソレータ420が挿入されている。すなわち、第2の光アイソレータ420は非相反素子であって、参照光源407から第2の光カップラー404に向かって伝搬する光は透過するが、それに逆行する光は阻止する。これにより、合波された測定光が、参照光源407に達することを防いでいる。
一方、参照光源407から出力された光(参照光)は、第2の光アイソレータ420を通過した後、第2の光カップラー404に達して2光束に分岐される。第2の光カップラー404で分岐されたうちの参照光の一方の光束は、被測定素子402を通過し、さらに第1の光周波数シフタ408に入射し、ここで光周波数の遷移を受けた後に、第1の光カップラー403に達する。第1の光周波数シフタ408は相反的な素子であるので、相対する向き(逆方向)に入射した参照光に対しても、測定光に対するのと同一の光周波数の変化を与える。この作用は、以下の第2の光周波数シフタ409においても同様である。第2の光カップラー404で分岐されたうちの参照光の他方の光束は、参照遅延部405を通過し、さらに第2の光周波数シフタ409に入射して、ここで光周波数の遷移を受け、然る後、第1の光カップラー403に達する。各々、第1の光カップラー403に達したこれら参照光の2光束は、第1の光カップラー403において再び合波された後、第2の光検出器410により受光・検出される。ここで、合波された参照光が、波長可変光源401に達することが無いように、第1の光アイソレータ419が波長可変光源401の前面に挿入されているのである。
第1の光検出器406に発生した測定干渉信号、および、第2の光検出器410に発生した参照干渉信号からの、被測定素子402の群遅延時間の算出動作については、既述の第1の実施形態に準ずるので、その詳細な説明は省略する。
(第3の実施形態)
上述の第2の実施形態によれば、光ファイバ等の導波型の光素子の測定が実現されるが、しかし、未だ十分に一般的な解決には至っていない。例えば、図5の第2の実施形態の第1の構成においては、測定光と参照光を波長の差異によって分離するので、参照光に等しいかまたは非常に近い波長での測定が行えない。他方、図6の第2の実施形態の第2の構成においては、被測定素子中を双方向に光が通過する必要があるため、例えば光アイソレータの如き、一方向性の光素子を被測定素子として測定することは困難である。
より汎用的に、参照光と測定光の2光の分離・検出を行う方法として、両光に時刻の差異を設ける、所謂時間多重法が適用できる。このような時刻による2光の切換・分離を行う構成例を、本発明の第3の実施形態として、図7および図8に示す。
図7において、波長可変光源501から出力された光(測定光)と、参照光源507から出力された光(参照光)は、第1の光スイッチ521の2つの入力端に各々入射する。第1の光スイッチ521は、切換信号源523によって駆動され、上記2つの入力端を交番的に出力端に接続する。その結果、第1の光スイッチ521の出力端には、波長可変光源501の出力光と参照光源507の出力光が、時間的に交互に伝達されて現れる。
このような時間多重された光は、第1の光カップラー503に達して2光束に分岐される。第1の光カップラー503で分岐されたうちの一方の光束は、第1の光周波数シフタ508に入射し、ここでその周波数シフタの駆動周波数Fだけ光周波数が上方に遷移されて、周波数シフタ508を出射し、さらに被測定素子502を通過して、第2の光カップラー504に達する光路をたどる。第1の光カップラー503で分岐されたうちの他方の光束は、第2の光周波数シフタ509に入射し、ここでその周波数シフタの駆動周波数F+ΔFだけ光周波数が上方に遷移されて、周波数シフタ509を出射し、さらに参照遅延部505を通過し、第2の光カップラー504に達する光路をたどる。各々、第2の光カップラー504に達したこれら2光は、第2の光カップラー504において再び合波された後、第2の光スイッチ522の入力端に入射する。
第2の光スイッチ522は、上記の切換信号源523によって駆動され、第2の光スイッチ522の入力端が交番的に2つの出力端に接続する。その結果、第2の光スイッチ522の2つの出力端には、波長可変光源501に由来する光と参照光源507に由来する光が、時間多重を解かれて現れる。
第2の光スイッチの2つの出力端には、第1の光検出器506と第2の光検出器510が各々接続されている。2つの光スイッチ521,522は、同一の切換信号源523によって同期して駆動されるので、波長可変光源501からの測定光は第1の光検出器506に、また、参照光源507からの参照光は第2の光検出器510に供給される。これにより、第2の光カップラー504において合波された測定光の2光束は、第1の光検出器506のみにより受光・検出され、第1の光検出器506に測定干渉信号の発生が現れる。一方、第2の光カップラー504において合波された参照光の2光束は、第2の光検出器510のみにより受光・検出され、第2の光検出器510に参照干渉信号の発生が現れる。
その後、測定干渉信号および参照干渉信号からの、被測定素子502の群遅延時間の算出動作については、既述の第1の実施形態に準じて行う。ただ、この際、位相計512の所期の動作のためには、位相計512の2つの入力端に、比較される2つの正弦波が同時に供給される必要がある。この条件を充たすために、切換信号源523の発生する切換信号の周波数Nは、位相計512に与えられる正弦波の周波数ΔFに比して、十分高い必要がある。実用的には、2つの周波数NとΔFとの間に、10倍程度以上の差を設けるのが良い。即ち、例えば、100kHzのΔFに対しては、光スイッチ521,522の切換周波数を、1MHz以上にすれば十分である。この程度の速度の切換型光スイッチは、例えば電気光学効果等に基づく公知の技術によって容易に実現できる。
以上述べた図7の第1の構成においては、光スイッチ521および522の2個の光スイッチを要する。光路を折り返す構成によれば、1個だけの光スイッチを用いて等価な動作を行わせることができる。この第2の構成例を、図8に示す。
図8において、波長可変光源501から出力された光(測定光)は、第1の光サーキュレーター524に入射する。第1の光サーキュレーター524は、3つの端子を有し、各端子からの入射光を、図8中の矢印の向きに隣接した端子に伝達して出射する機能を持つ。従って、第1の光サーキュレーター524に入射した測定光は、光スイッチ521に接続された端子から出射される。一方、参照光源507から出力された光(参照光)は、第2の光サーキュレーター525に入射し、上記第1の光サーキュレーター524と同様の機能により、光スイッチ521に接続された端子から出射される。
光スイッチ521は、切換信号源523によって駆動され、2つの分枝端子を交番的に主枝端子に接続する。その結果、光スイッチ521の主枝端子には、波長可変光源501の出力光と参照光源507の出力光が、時間的に交互に伝達されて現れる。
このような時間多重された光は、第3の光サーキュレーター526に入射し、第1の光サーキュレーター524と同様の機能により、第1の光カップラー503に接続された端子から出射され、第1の光カップラー503に達して2光束に分岐される。第1の光カップラー503で分岐されたうちの一方の光束は、第1の光周波数シフタ508に入射し、ここでその周波数シフタの駆動周波数Fだけ光周波数が上方に遷移されて、周波数シフタ508を出射し、さらに被測定素子502を通過して、第2の光カップラー504に達する光路をたどる。第1の光カップラー503で分岐されたうちの他方の光束は、第2の光周波数シフタ509に入射し、ここでその周波数シフタの駆動周波数F+ΔFだけ光周波数が上方に遷移されて、周波数シフタ509を出射し、その後、参照遅延部505を通過し、第2の光カップラー504に達する光路をたどる。各々、第2の光カップラー504に達したこれら2光は、第2の光カップラー504において再び合波された後、光ファイバーを介して上記の第3の光サーキュレーター526に戻される。
戻されたその合波光は、第3の光サーキュレーター526の機能により、光スイッチ521の主枝端子に戻される。光スイッチ521の主枝端子は、この復路時にあっても、上記の往路時と同じ分枝端子への接続を保持している。その結果、光スイッチ521の2つの分枝端子には、波長可変光源501に由来する光と参照光源507に由来する光が、時間多重を解かれて現れる。即ち、測定光は第1の光サーキュレーター524に、また、参照光は第2の光サーキュレーター525に戻される。これら光は、その光サーキュレーター524、および525の機能により、各々対応する、第1の光検出器506、および第2の光検出器510にそれぞれ供給される。以上の動作により、第2の光カップラー504において合波された測定光の2光束は、第1の光検出器506のみにより、受光・検出され、第1の光検出器506に測定干渉信号の発生が現れる。一方、第2の光カップラー504において合波された参照光の2光束は、第2の光検出器510のみにより受光・検出され、第2の光検出器510に参照干渉信号の発生が現れる。
その後、測定干渉信号および参照干渉信号からの、被測定素子502の群遅延時間の算出動作については、上述の第3の実施形態の第1の構成に準じて行う。
(第4の実施形態)
以上で本発明の主要な実施形態について説明した。以下では、本発明の波長分散測定方法に付加的な機能を加えた実施形態を本発明の第4の実施形態として説明する。第4の実施形態において、2つの偏波を同時に分離測定する第1の構成を図9に、光ファイバグレーティング(FBG)のような反射型の素子を被測定素子として測定する第2の構成を図10に示す。
2つの偏波の同時測定機能は、比較的容易に付与し得る。図4に示した第1の実施形態の第2の構成、即ち、参照光と測定光の2光を、それぞれの偏波に基づいて分離・検出する構成を除けば、上記各実施形態の全ての構成にその同時測定機能を付加することができる。ここでは、その一例として、図6に示した第2の実施形態の第2の構成に2つの偏波の同時測定機能を付加した場合を、図9に例示する。
図9において、波長可変光源601から出力された光(測定光)は、第1の光アイソレータ619を通過した後、第1の光カップラー603に達して2光束に分岐される。第1の光カップラー603で分岐されたうちの一方の光束は、第1の光周波数シフタ608に入射し、ここで光周波数が遷移されて出射し、その後、被測定素子602を通過し、第2の光カップラー604に達する。第1の光カップラー603で分岐されたうちの他方の光束は、第2の光周波数シフタ609に入射し、ここで光周波数が遷移されて出射し、参照遅延部605を通過した後、第2の光カップラー604に達する。各々、第2の光カップラー604に達したこれら測定光の2光束は、第2の光カップラー604において再び合波される。
第2の光カップラー604で合波された測定光は、偏波分離器627に入射し、ここで互いに直交する2つの偏光成分に分離され、この各々の偏波成分が、2つの第1の光検出器606、および第3の光検出器628により受光・検出される。この際、参照遅延部605側の光路を経た測定光は、上記直交する2つの偏光成分の両方を有することが必要である。これを安定に実現するためには、第1の光アイソレータ619から偏波分離器627までの光路を、偏波保持型の導波路により形成し、その導波路にその主軸から45°若しくは135°回転した偏光面を持つように、波長可変光源601の出力を結合・入射すれば良い。
一方、参照光源607から出力された光(参照光)は、第2の光アイソレータ619を通過した後、第2の光カップラー604に達して2光束に分岐される。第2の光カップラー604で分岐されたうちの参照光の一方の光束は、被測定素子602を通過し、さらに第1の光周波数シフタ608に入射し、ここで光周波数の遷移を受けた後に、第1の光カップラー603に達する。第2の光カップラー604で分岐されたうちの参照光の他方の光束は、参照遅延部605を通過し、さらに第2の光周波数シフタ609に入射して、ここで光周波数の遷移を受け、然る後、第1の光カップラー603に達する。各々、第1の光カップラー603に達したこれら参照光の2光束は、第1の光カップラー603において再び合波された後、第2の光検出器610により受光・検出される。以上の動作において、第1の光アイソレータ619、および第2の光アイソレータ620の機能は、上述した第2の実施形態の第2の構成に準ずる。
第2の光検出器610の出力(参照干渉信号)は、位相ロックループ611を経て振幅が安定化され、2つの位相計612および629にそれぞれ、周波数ΔFの基準正弦波として供給される。一方、第1の光検出器606の出力(第1の測定干渉信号)は、第1の位相計612に給電され、参照干渉信号に対する、第1の測定干渉信号の相対位相、即ち1つの偏波成分の相対伝搬位相が、第1の位相計612の読みとして得られる。また、第3の光検出器628の出力(第2の測定干渉信号)は、第2の位相計629に給電され、参照干渉信号に対する、第2の測定干渉信号の相対位相、即ち他の偏波成分の相対伝搬位相が、第2の位相計629の読みとして得られる。これら読みとして得られる2つの相対位相を適切な記録手段(図示しない)を用いて記録しつつ、波長可変光源601の波長を掃引する。このようにして得られた測定波長(光周波数)点毎の2つの位相データに、各々アンラップ操作を施した後、前述の式(1)に則って数値微分を施せば、被測定素子602の、2つの直交偏波成分毎の群遅延時間が得られる。
被測定素子602の挿入前について上記2つの相対位相を、測定装置固有の背景データとしてあらかじめ記録しておき、被測定素子602の挿入後の2つの相対位相から、その背景データをそれぞれ減算した後に、上記の数値微分を施せば、2つの光カップラー603,604の間の2つの光路の位相の不平衡、および偏波依存性の影響を除去して、被測定素子602の群遅延時間が偏波成分毎に正確に得られる。
次に、図10の第2の構成を説明する。反射型の素子の測定機能は、図3に示した第1の実施形態の第1の構成、ならびに図5に示した第2の実施形態の第1の構成、即ち、参照光と測定光の2光を、伝搬方向に基づいて分離・検出する構成を除けば、上記の各実施形態の全ての構成に付加することができる。ただし、被測定素子および参照遅延部の中点において光路を折り返し、反射により戻る光の分離に光サーキュレーターを用いる必要がある。上記においてこれに最も近似した構成は、図8に示した第3の実施形態の第2の構成である。そこで、ここでは、その第3の実施形態の第2の構成に、反射型素子の測定機能を付加した場合を、図10に例示する。
図10において、波長可変光源601から出力された光(測定光)は、第1の光サーキュレーター624に入射する。第1の光サーキュレーター624に入射した測定光は、上述した光サーキュレーターの機能により光スイッチ621に接続された端子から出射される。一方、参照光源607から出力された光(参照光)は、第2の光サーキュレーター625に入射し、同様の光サーキュレーターの機能により、光スイッチ621に接続された端子から出射される。
光スイッチ621は、切換信号源623によって駆動され、2つの分枝端子を交番的に主枝端子に接続する。その結果、光スイッチ621の主枝端子には、波長可変光源601の出力光と参照光源607の出力光が、時間的に交互に伝達されて現れる。
このような時間多重された光は、光カップラー603に達して2光束に分岐される。光カップラー603で分岐されたうちの一方の光束は、第1の光周波数シフタ608に入射し、ここでその周波数シフタの駆動周波数Fだけ光周波数が上方に遷移されて、周波数シフタ608を出射し、被測定素子602に入射する。被測定素子602で反射した時間多重光は、第1の光周波数シフタ608を再び通過した後、光カップラー603に戻る。光カップラー603で分岐されたうちの他方の光束は、第2の光周波数シフタ609に入射し、ここでその周波数シフタの駆動周波数F+ΔFだけ光周波数が上方に遷移されて、周波数シフタ609を出射し、その後、参照遅延部605を通過して端面鏡(反射鏡)630に達する。端面鏡630で反射された光は、参照遅延部605を経て、第2の光周波数シフタ609を再び通過し、光カップラー603に戻る。
各々、光カップラー604に戻ったこれら2光は、光カップラー604において再び合波された後、光スイッチ621の主枝端子に戻される。光スイッチ621の主枝端子は、この復路時にあっても、上記往路時と同じ分枝端子への接続を保持している。その結果、光スイッチ621の2つの分枝端子には、波長可変光源601に由来する光と参照光源607に由来する光が、時間多重を解かれて現れる。即ち、測定光は第1の光サーキュレーター624に、また、参照光は第2の光サーキュレーター625に戻される。これら戻り光は、光サーキュレーター624、および625の機能により、各々、対応する第1の光検出器606、および第2の光検出器610に供給される。以上の動作により、光カップラー603において合波された測定光の2光束は、第1の光検出器606のみにより受光・検出され、第1の光検出器606に測定干渉信号の発生が現れる。一方、光カップラー603において合波された参照光の2光束は、第2の光検出器610のみにより受光・検出され、第2の光検出器610に参照干渉信号の発生が現れる。
その後、測定干渉信号および参照干渉信号からの、被測定素子502の群遅延時間の算出動作については、上述の第3の実施形態の第2の構成に準じて行えば良い。但し、本例の場合には、位相計612に与えられる正弦波の周波数は、2ΔFであるので、上述の第3の実施形態の場合の2倍になる。これは本構成では、分岐された2光束の各々が、再び合波される迄に、都合2回、同一の周波数シフタを通過するためである。この結果、本例の場合の光スイッチ621の切換周波数は、上述の第3の実施形態の場合の、2倍とするのが望ましい。
以上論述したように、参照光と測定光の2光の分離・検出に関る方式のうちで、2つの偏波の同時測定機能と、反射型の素子の測定機能の2つの付加機能の両方を共に行えるのは、平行光路による空間的な分離、波長による分離、および時間による分離の3つである。これらの3つの方策の内で、導波型光素子に適用可能なのは後の2者(波長による分離、および時間による分離)であり、さらに参照光と測定光を同一の波長とできるのは、時間による分離法による場合である。従って、時間による分離方式は、本発明の実施形態中、最も汎用性に富むといえる。
(その他の実施形態)
上記では、本発明の好適な実施形態を例示して説明したが、本発明の実施形態は上記例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内であれば、その構成部材等の置換、変更、追加、個数の増減、形状の設計変更等の各種変形、上述した実施形態の部分的組み合わせは、全て本発明の実施形態に含まれる。
本発明の波長分散測定の基本構成を示す光路図である。 本発明による光路長変動への耐性の原理を示す波形図である。 本発明の第1の実施形態における測定光と参照光が対向伝搬する構成を示す光路図である。 本発明の第1の実施形態における測定光と参照光を偏波分離する構成を示す光路図である。 本発明の第2の実施形態における測定光と参照光を波長分離する構成を示す光路図である。 本発明の第2の実施形態における測定光と参照光が対向伝搬する構成を示す光路図である。 本発明の第3の実施形態における測定光と参照光を時間分離する第1の構成を示す光路図である。 本発明の波長分散測定方法の第3の実施形態における測定光と参照光を時間分離する第2の構成を示す光路図である。 本発明の第4の実施形態における2つの偏波を同時に分離測定する構成を示す光路図である。 本発明の第4の実施形態における反射型の被測定素子を測定する構成を示す光路図である。 従来の波長分散測定の変調法の構成例を示す光路図である。 従来の波長分散測定の干渉法の構成例を示す光路図である。
符号の説明
101 波長可変光源
102 被測定素子
103,104 半透鏡
105 参照遅延部
106 光検出器
107 参照光源
108,109 光周波数シフタ
110 光検出器
111 位相ロックループ
112 位相計
113,114 反射鏡
115,116 開口
301 波長可変光源
302 被測定素子
303,304 半透鏡
305 参照遅延部
306 光検出器
307 参照光源
308,309 光周波数シフタ
310 光検出器
311 位相ロックループ
312 位相計
313,314 反射鏡
315,316 偏光子
401 波長可変光源
402 被測定素子
403,404 光カップラー
405 参照遅延部
406 光検出器
407 参照光源
408,409 光周波数シフタ
410 光検出器
411 位相ロックループ
412 位相計
417,418 波長合分波器
419,420 アイソレータ
501 波長可変光源
502 被測定素子
503,504 光カップラー
505 参照遅延部
506 光検出器
507 参照光源
508,509 光周波数シフタ
510 光検出器
511 位相ロックループ
512 位相計
521,522 光スイッチ
523 切換信号源
524,525,526 光サーキュレーター
601 波長可変光源
602 被測定素子
603,604 光カップラー
605 参照遅延部
606 光検出器
607 参照光源
608,609 光周波数シフタ
610 光検出器
611 位相ロックループ
612 第1の位相計
619,620 アイソレータ
621 光スイッチ
623 切換信号源
624,625 光サーキュレーター
627 偏波分離器
628 光検出器
629 第2の位相計
630 端面鏡
701 波長可変光源
702 被測定素子
703,704 光カップラー
705 参照遅延部
706 光検出器
731 変調器
732 変調信号源
733 光検出器
734 位相計
735 波形記録器

Claims (16)

  1. 波長可変光源を用いて被測定素子の波長分散を測定する方法において、
    前記波長可変光源からの光を2光束に分岐し、
    前記2光束の一方の光束を第1の光周波数シフタおよび前記被測定素子を含む第1の光路に伝搬させ、
    前記2光束の他方の光束を前記第1の周波数シフタの周波数シフトとは異なる周波数シフトを有する第2の光周波数シフタを含む第2の光路に伝搬させ、
    前記第1の光路を伝搬した光と前記第2の光路を伝搬した光とを合波し干渉させて測定干渉信号を取得し、
    参照光源からの参照光を2光束に分岐し、
    参照光の前記2光束の一方の光束を前記第1の光路に伝搬させ、
    参照光の前記2光束の他方の光束を前記第2の光路に伝搬させ、
    前記第1の光路を伝搬した参照光の光束と前記第2の光路を伝搬した参照光の光束とを合波し干渉させて参照干渉信号を取得し、
    前記参照干渉信号に対する前記測定干渉信号の相対位相を前記波長可変光源の波長を変化させつつ記録し、
    記録された前記相対位相を光周波数について微分して、前記被測定素子の波長分散を測定する
    ことを特徴とする波長分散測定方法。
  2. 前記波長可変光源からの光と、前記参照光源からの光が、前記第1の光路および前記第2の光路において、互いに逆方向に伝搬する
    ことを特徴とする請求項1に記載の波長分散測定方法。
  3. 前記波長可変光源からの光と前記参照光源からの光に、前記2光束への分岐の前に、それぞれ個別の光アイソレータを作用させる
    ことを特徴とする請求項2に記載の波長分散測定方法。
  4. 前記波長可変光源からの光と、前記参照光源からの光が、前記第1の光路および前記第2の光路において、互いに直交する偏波を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の波長分散測定方法。
  5. 前記第1の光路を伝搬した光と前記第2の光路を伝搬した光の合波・干渉光に、波長分波器を作用させて、前記測定干渉信号と前記参照干渉信号を分離して得る
    ことを特徴とする請求項1に記載の波長分散測定方法。
  6. 前記波長可変光源からの光と前記参照光源からの光とが、第1の光スイッチにより交番的に選択出射され、
    前記交番的に選択出射され光が2光束に分岐され、
    前記2光束の一方の光束が前記第1の光路を伝搬し、
    前記2光束の他方の光束が前記第2の光路を伝搬し、
    前記第1の光路と前記第2の光路それぞれ伝搬してきた2光の合波・干渉光を、前記第1の光スイッチに同期して交番的に別々のポートへ選択出射する第2の光スイッチにより、前記測定干渉信号と前記参照干渉信号を分離して取得する
    ことを特徴とする請求項1に記載の波長分散測定方法。
  7. 前記波長可変光源からの光と前記参照光源からの光とが、光スイッチにより交番的に選択出射され、
    前記交番的に選択出射され光が2光束に分岐され、
    前記2光束の一方の光束が前記第1の光路を伝搬し、
    前記2光束の他方の光束が前記第2の光路を伝搬し、
    前記第1の光路を伝搬した光と前記第2の光路を伝搬した光とを合波・干渉させた2光の合波・干渉光を再び前記光スイッチに戻し、
    前記光スイッチを介して前記波長可変光源に戻る光として前記測定干渉信号を取得し、
    前記光スイッチを介して前記参照光源に戻る光として前記参照干渉信号を得る
    ことを特徴とする請求項1に記載の波長分散測定方法。
  8. 前記測定干渉光を直交2偏波に分離して、各偏波についてそれぞれ測定干渉信号を取得し、
    前記参照干渉信号に対する偏波毎に前記測定干渉信号の相対位相を前記波長可変光源の波長を変化させつつ記録する
    ことを特徴とする請求項1から3、および5から7のいずれかに記載の波長分散測定方法。
  9. 前記波長可変光源からの光と前記参照光源からの光とが、光スイッチにより交番的に選択出射され、
    前記交番的に選択出射され光が2光束に分岐され、
    前記2光束の一方の光束が前記第1の光路を伝搬し前記被測定素子内で反射して該光路を戻り、
    前記2光束の他方の光束が前記第2の光路を伝搬し該光路の端部で反射して該光路を戻り、
    前記第1の光路を伝播して戻った光と前記第2の光路を伝播して戻った光とを合波・干渉させた2光の合波・干渉光を再び前記光スイッチに戻し、
    前記光スイッチを介して前記波長可変光源に戻る光として前記測定干渉信号を取得し、
    前記光スイッチを介して前記参照光源に戻る光として前記参照干渉信号を得る
    ことを特徴とする請求項1に記載の波長分散測定方法。
  10. 波長可変光源と、
    参照光源と、
    前記波長可変光源および前記参照光源からの光をそれぞれ2光束に分岐する光分波手段と、
    前記2光束の一方の光束が伝搬する第1の光周波数シフタおよび波長分散測定の対象である被測定素子を含む第1の光路と、
    前記2光束の他方の光束が伝搬する前記第1の周波数シフタの周波数シフトとは異なる周波数シフトを有する第2の光周波数シフタを含む第2の光路と、
    前記第1の光路を伝搬した光と前記第2の光路を伝搬した光とを合波し干渉させて測定干渉信号および参照干渉信号を取得する光合波手段と、
    前記参照干渉信号に対する前記測定干渉信号の相対位相を前記波長可変光源の波長を変化させつつ記録し、記録された前記相対位相を光周波数について微分して、前記被測定素子の波長分散を測定する位相計と
    を具備することを特徴とする波長分散測定装置。
  11. 前記光分波手段と前記光合波手段はそれぞれ同一機能の第1と第2の光合分波手段であり、前記波長可変光源からの光と、前記参照光源からの光が、前記第1の光路および前記第2の光路において、互いに逆方向に伝搬するように、前記波長可変光源からの光が前記第1の光合分波手段に入射され、前記参照光源からの光が前記第2の光合分波手段に入射される配置構成を有することを特徴とする請求項10に記載の波長分散測定装置。
  12. 前記波長可変光源からの光と前記参照光源からの光に、前記2光束への分岐の前に作用させる、それぞれ個別の光アイソレータを有することを特徴とする請求項11に記載の波長分散測定装置。
  13. 前記光合波手段から得られる前記測定干渉信号と前記参照干渉信号とを分離する波長分波器を有することを特徴とする請求項10に記載の波長分散測定装置。
  14. 前記波長可変光源からの光と前記参照光源からの光とを前記光分波手段に対して交番的に選択出射する第1の光スイッチと、
    前記第1の光路と前記第2の光路それぞれ伝搬してきた2光の合波・干渉光を、前記第1の光スイッチに同期して交番的に別々のポートへ選択出射する第2の光スイッチと
    を有することを特徴とする請求項10に記載の波長分散測定装置。
  15. 前記波長可変光源からの光と前記参照光源からの光とを前記光分波手段に対して交番的に選択出射する光スイッチと、
    前記第1の光路を伝搬した光と前記第2の光路を伝搬した光とを合波・干渉させた2光の合波・干渉光を再び前記光スイッチに戻す光学手段と
    を有することを特徴とする請求項10に記載の波長分散測定装置。
  16. 前記測定干渉光を直交2偏波に分離して各偏波についてそれぞれ測定干渉信号を取得する偏波分離器を有することを特徴とする請求項10から15のいずれかに記載の波長分散測定装置。
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