JP5487149B2 - 波長分散測定装置及びそれを用いた波長分散測定方法 - Google Patents

波長分散測定装置及びそれを用いた波長分散測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、光パルスの波長分散を測定する波長分散測定装置等の技術分野に関し、特に伝送レートが数十Gbit/sの高速光通信システムにおける光ファイバネットワークの光伝送路を伝搬する光パルスの波長分散を測定する波長分散測定装置及びそれを用いた波長分散測定方法に関する。
近年、データ通信は光ファイバを介したものに移行しつつあり、これに伴い、データの伝送速度も従来より飛躍的に高まっている。近い将来、このような光ファイバを介した高速光通信システムにおいて、超短光パルスを用い、現時点での伝送速度より高速な数十Gbit/sもしくはそれ以上の伝送速度で通信を行うことが検討されている。
ところで、高速光通信システムにおけるデータ通信を行う場合、常にクロストークや伝送エラーが発生するという問題がある。
しかしながら、データの伝送速度がより高速となるに従い、個々の光パルスの幅と、互いに前後する光パルスの間隔が狭くなり、上述したクロストークや伝送エラーが、信頼性の高いデータ通信を行う際、以下に説明するように非常に重要な問題となる。
光が物質中を進行する速度は、伝搬する物質の屈折率によって決まるため、物質の屈折率が大きいほど光の速度は遅くなる。ガラス、半導体、光学結晶等の物質の屈折率は、光の周波数(空気中の波長)によって変化する。そのため、光の速度は波長に依存することになる。この屈折率の波長依存性により、光パルスが物質中を進行する間に波形が歪み、光パルスの時間幅が広がる要因となることが知られている。さらに、光ファイバに代表される光導波路では、コア及びクラッドの各々の形状・寸法に応じて、光導波路の実効屈折率が決まるため、光導波路における光の速度が波長に依存する。したがって、光導波路の構造も光パルスの時間幅が広がる要因となる。
このように、光の波長に応じて光速度が異なる、という特性を、以下、波長分散、あるいは単に分散と称する。
このように、光パルスが光ファイバ中を進行する間に、上述した波長分散により光パルスの波形が歪んだり、光パルスの時間幅が広がるが、従来の伝送速度では、光パルスの幅も前後の光パルスの間隔も波長分散に比較して広いため、特に大きな問題とはならない。
しかし、データの伝送速度が数十Gbit/s以上となり高くなると、波長分散が前後の光パルスの間隔より広くなり、前後の光パルス同士が干渉するなどして、クロストークや伝送エラーが生じてしまう。このため、現状の技術のままで単に伝送速度を高めようとしたのでは、より高速度で信頼性の高いデータ通信は実現できない。
上述した高速光通信システムにおける波長分散を除去(或いは制御)するためには、まず当該高速光通信システムに使用する各種光コンポーネント等の波長分散を測定して、各部材の波長分散の特性を把握する必要がある。
例えば、スペクトル位相の変化から波長分散を求めるため、各種コンポーネントのスペクトル位相を測定する周波数シフタを用いたスペクトルシアリング干渉計を用いた波長分散測定装置がある(例えば、特許文献1参照)。
このスペクトルシアリング干渉計では、スペクトル位相を一義的に計測可能とする目的として、光パルスのcos成分及びsin成分を各々水平偏光成分及び垂直偏光成分に変換し、偏波分離を行うことによって直交二成分を同時に計測するため、空間光学系を用いて干渉計を構成している。
スペクトルシアリング干渉計においては、干渉計の一部を構成する光ファイバ内を、光パルスが直線偏光により伝搬される。
このスペクトルシアリング干渉計において、cos成分及びsin成分の直交二成分を発生させるためには、直線偏光を円偏光に変換する必要がある。
この円偏光は、縦及び横に直交する水平偏光及び垂直偏光の2つの直交偏光の重ね合わにより形成されている。水平偏光と垂直偏光との間には90°の位相差がある。
したがって、偏光ビームスプリッタを用いて、円偏光を水平偏光と垂直偏光とに空間分離することにより、 cos成分とsin成分との直交二成分を得ることができる。
上述したように、波長分散の測定には、複数の波長帯におけるcos成分とsin成分との直交二成分を得る必要がある。
これに対して、光ファイバにおいては、光ファイバの光学長に応じた特定波長の光のみが、円偏光から楕円偏光に変化されずに伝搬され、それ以外の波長の光を円偏光から楕円偏光に変化して伝搬され、直交二成分を安定した状態にて維持することができず、高い精度にて直交二成分を得ることができない。
このため、円偏光が楕円偏光に変化しないように、直交二成分の分離に関わる光路に空間光学系を用いることにより、該当する全ての波長の光に対して円偏光を安定に伝搬させ、cos成分とsin成分との直交二成分を高い精度にて発生させている。
特開2007−85981号公報
しかしながら、特許文献1の波長分散測定装置は、精度よく光パルスの直交二成分を得ることができるが、空間光学系を用いているため、光ファイバと空間光学系との間における光の入出力により、光損失が発生する。この光損失により、光の強度が低下してしまい、測定感度が低減するという問題がある。
また、特許文献1の波長分散測定装置は、空間光学系を用いているため、装置の構成が複雑となり、かつ空間光学系に必要な部品を配置する必要性あるため小型化できないという問題がある。
また、特許文献1の波長分散測定装置は、空間光学系を用いて偏光の選別により直二成分を得ているため、直二成分以外の複数の位相成分、例えば、ラジアン単位での位相角度が0、π及びαとなる3つの位相成分を発生するように光学系を拡張することは困難である。ここで、αとは、0とπとの間、すなわち0より大きく、πよりも小さい任意の位相角度を示している。
上述した0、π及びαとなる3つの位相成分を用いて、波長分散の特性の精度を低下させる背景成分となる非干渉成分(非干渉光成分、すなわちDC成分に相当)を、数値演算により除去することができる。
しかし、特許文献1の波長分散測定装置では、0とπとの直交二成分のみが発生可能であり、任意の位相角度αの位相成分を発生させることができない。
したがって、特許文献1の波長分散測定装置では、非干渉成分を除去するために、干渉計の各分岐経路への光強度分布を、常に50:50に一致するように干渉計を最適化する必要がある。このため、分岐経路への光強度分布を常に50:50に保持するための安定化機構が必要となり、装置が複雑となり大型化することになり、小型化を行うことが困難となる。
そこで、本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、装置を小型化することが可能であり、かつ非干渉成分の影響を受けることなく、光パルスの波長分散の測定を確実かつ高安定に実現する波長分散測定装置等を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、測定対象から入射される被測定光信号を伝搬する、偏波保持特性を有する光ファイバで構成された入射経路(入射光ファイバ1)と、前記入射経路に接続された第1入射端から被測定光信号を入射し、当該被測定光信号を第1入出射端から出射し、また当該第1入出射端から入射される合波被測定光信号を第1出射端から出力する光循環部(光循環部2)と、一端が前記第1入出射端に接続された、偏波保持特性を有する光ファイバで構成された第1接続経路(光ファイバ3)と、前記第1接続経路の他端に接続された第2入出射端から前記被測定光信号を、第1被測定光信号及び第2被測定光信号の2つに分離し、前記第1被測定光信号を第3の入出射端から出射し、また前記第1被測定光信号と同一の偏光方向であり、かつ当該第1被測定光信号に対し、予め設定した周波数分シフトさせた前記第2被測定光信号を第4の入出射端から出射し、一方、前記第3の入出射端から入射される第1被測定反射光信号と、前記第4入出射端から入射される第2被測定反射光信号を第1被測定反射光信号に対して前記周波数分シフトさせた信号とを合波し、この合波による干渉結果として前記合波被測定光信号を、前記第2入出射端から出射する光分岐結合部(光分岐結合部4)と、一端が前記第3入出射端に接続された、偏波保持特性を有する光ファイバで構成された第1分岐経路(光ファイバ5)と、一端が前記第4入出射端に接続された、偏波保持特性を有する光ファイバで構成された第2分岐経路(光ファイバ6)と、前記第1分岐経路の他端に接続された第5入出射端から入射される第1被測定光信号を全反射し、前記第1被測定反射光信号として前記第5入出射端から前記第1分岐経路へ出射する第1終端部(第1終端部11)と、前記第2分岐経路の他端に接続された第6入出射端から入射される前記第2被測定光信号を全反射し、前記第2被測定反射光信号として前記第6入出射端から前記第2分岐経路へ出射する第2終端部(第2終端部12)と、前記第1分岐経路及び前記第2分岐経路のいずれか一方に設けられ、設けられた分岐経路を伝搬する光測定光信号の位相α(ラジアン単位、αは実数であり0≦α≦2π、iは整数であり3≦i)を周期的に変化させる光位相シフタ(光位相シフト部8)と、前記第1出射端に接続され、前記合波被測
定光信号を伝搬させる光ファイバで構成された測定結合用経路(出射光導入光ファイバ13)と、前記測定結合用経路に接続された第2入射端から前記合波被測定光信号を入射し、前記合波被測定光信号を通過させる周波数範囲を掃引し、前記合波被測定光信号から前記周波数範囲のスペクトル成分を抽出する周波数分解を行い、周波数分解の結果を成分被測定光信号として第2出射端から出射する光周波数掃引部(光周波数掃引部14)と、前記第2出射端に接続され、前記成分被測定光信号を伝搬させる光ファイバで構成された出射光経路(出射光ファイバ15)と、前記出射光経路に接続された第3の入射端から前記成分被測定光信号を入射し、該成分被測定光信号を電気信号に変換し、変換結果を干渉信号とする光検出部(光検出部16)と、前記光位相シフタの位相の変化に同期させ、前記位相シフタの位相を変化させる一周期内においてiが増加される毎に、前記第1被測定光信号と前記第2被測定光信号との位相αにおける光成分に対応する前記干渉信号を時系列的に取得する制御部(制御部17)とを有することを特徴とする。
上記課題を解決するため、請求項2に記載の発明は、前記iの取り得る値の範囲がmである場合、前記制御部が、前記第i光成分の各々に対し、周波数成分毎の測定間隔を1/mとする補間処理を行うことにより、全干渉信号のデータ点数をm倍とすることを特徴とする。
上記課題を解決するため、請求項3に記載の発明は、前記αの要素の総数が3以上(i≧3)であり、前記制御部が、当該要素から3つの要素として、位相αの第1光成分、位相αの第2光成分及び位相αの第3光成分を抽出し、当該第1光成分、当該第2光成分及び当該第3光成分の各々から前記干渉信号を取得することを特徴とする。
上記課題を解決するため、請求項4に記載の発明は、前記制御部が、前記第1光成分の前記干渉信号を受信する第1受信部と、前記第2光成分の前記干渉信号を受信する第2受信部と、前記第3光成分の前記干渉信号を受信する第3受信部とを有していることを特徴とする。
上記課題を解決するため、請求項5に記載の発明は、前記αの要素の総数が20以上(i≧20)であることを特徴とする。
上記課題を解決するため、請求項6に記載の発明は、前記第1終端部または前記第2終端部のいずれかまたは双方の終端部の反射率が可変であり、前記制御部が、前記光分岐結合部に入射される前記第1被測定反射光信号と前記第2被測定反射光信号との光強度の差分を、前記第1光成分の干渉信号及び第2光成分の干渉信号との波形における直流成分の電圧値により検出し、当該電圧値が予め設定した閾値を超える場合、反射率が可変な前記終端部の反射率を、前記電圧値が前記閾値以下となるように制御することを特徴とする。
上記課題を解決するため、請求項7に記載の発明は、前記第1分岐経路または第2分岐経路のいずれかまたは双方に光強度調整部が介挿されており、前記制御部が、前記光分岐結合部に入射される前記第1被測定反射光信号と前記第2被測定反射光信号との光強度の差分を、前記第1光成分の干渉信号及び第2光成分の干渉信号との波形の電圧値により検出し、当該電圧値が予め設定した閾値を超える場合、前記光強度調整部により、前記第1被測定反射光信号と前記第2被測定反射光信号とにおける反射率の強度の差分である前記電圧値を、前記閾値以下となるよう制御することを特徴とする。
上記課題を解決するため、請求項8に記載の発明は、前記第1分岐経路及び前記第2分岐経路のいずれか一方に設けられ、前記第1分岐経路と前記第2分岐経路との光路長差を調節する光遅延部をさらに有することを特徴とする。
上記課題を解決するため、請求項9に記載の発明は、前記第1分岐経路及び前記第2分岐経路のいずれか一方に前記光遅延部が設けられ、前記位相シフタが他方に設けられることを特徴とする。
上記課題を解決するため、請求項10に記載の発明は、前記第1分岐経路及び前記第2分岐経路のいずれか一方に、前記光遅延部及び光位相シフタが一体化して設けられていることを特徴とする。
上記課題を解決するため、請求項11に記載の発明は、前記制御部が、測定範囲における測定周波数の掃引毎に、測定単位として前記干渉信号毎に前記第1光成分、第2光成分及び前記第3光成分をデータグループとして時系列に取得することを特徴とする。
上記課題を解決するため、請求項12に記載の発明は、前記光結合部の前記第3出射端から出射する前記合波光信号を第1光ファイバを介して前記第6入射端から入射し、校正用光源の出射端から出射する校正光を第7出射端から入射し、前記合波信号もしくは前記校正光のいずれかを選択して前記第5出射端から出射する光入力切替部を有し、該光入力切替部で選択した前記合波光信号もしくは前記校正光を第2光ファイバを介して前記光周波数挿引部の前記第4入射端に入射させ、前記結合用経路中に、前記結合用経路を伝搬する光として前記合波被測定光信号と前記構成用光源の出射端から出射する前記校正光とを切替える手段を有することを特徴とする。
上記課題を解決するため、請求項13に記載の発明は、前記測定結合用経路を偏波保持特性を有する光ファイバで構成し、前記測定結合用経路の後段に、前記合波被測定光信号の偏光方向を制御する偏波コントローラを挿入し、当該偏波コントローラと前記光周波数掃引部との間を偏波保持特性を有する第3光ファイバにより接続していることを特徴とする。
上記課題を解決するため、請求項14に記載の発明は、前記請求項1から請求項13のいずれかの波長分散測定装置を用いて、測定対象の波長分散を求める波長分散測定方法であって、前記測定対象である光伝送路の波長分散を評価する部分に分岐部を設け、偏波制御部が該分岐部より得られる被測定光信号の偏波を直線偏波に制御し、前記波長分散測定装置内を伝搬する偏光軸に揃え、該波長分散測定装置に前記入射経路を介して被測定光信号を入射させ、前記第1光成分及び前記第2光成分の前記干渉信号から被測定光信号のスペクトル位相の変化分を求め、前記測定対象における波長分散を評価することを特徴とする。
上記課題を解決するため、請求項15に記載の発明は、前記請求項1から請求項13のいずれかの波長分散測定装置を用いて、測定対象の波長分散を求める波長分散測定方法であって、前記測定対象の出射端から出射される光信号の偏波を直線偏波に制御し、前記波長分散測定装置内を伝搬する偏光軸に揃えた被測定光信号とし、当該測定対象が複数の波長チャンネルを含む場合には、前記測定対象から出射される前記被測定光信号から、単一の波長チャンネルの光信号を抽出し、抽出した前記被測定光信号を前記波長分散装置に入射して、当該被測定対象における波長分散を評価することを特徴とする。
この発明によれば、空間光学系を使用せず、偏波保持特性を有する光ファイバの第1分岐経路及び第2分岐経路によって、波長分散測定装置の干渉計を構成しているため、従来例のように、光ファイバと空間光学系との間における光の入出力による光損失が発生せず、被測定光信号の光の強度を低下させることが無くなる。
また、この発明によれば、空間光学系を用いていないため、装置の構成が簡易となり、かつ空間光学系において必要とされていた部品を配置する必要性がなく、装置を小型化することが可能となる。
また、この発明によれば、偏波維持特性を有する光ファイバによって、被測定光信号の偏波を維持させた状態で装置内を伝搬させ、干渉計を構成する第1分岐経路及び第2分岐経路において、第1分岐経路に伝搬される第1被測定光信号対し、第2分岐経路に伝搬される第2被測定光信号の位相差を時系列に、ラジアン単位で0からπの間で周期的に切り替えることにより、安定した同一の偏波状態の第1及び第2被測定光信号から、非干渉成分の影響を受けることなく行えるため、各々異なる位相シフト量の第i光成分から干渉要素を抽出することができ、従来に比較して光パルスの波長分散の測定を、高精度かつ高感度に行うことができる。
光パルスからスペクトル位相の変化分Δφ(ν)の測定を説明するための図である。 周波数シフトしていない第1被測定光信号と、周波数シフトさせた第2被測定光信号との波形を示す図である。 第1の実施形態による波長分散測定装置の構成例を示すブロック図である。 光循環部2の他の構成例を示す図である。 光分岐結合部4の他の構成例を示す図である。 第1の実施形態における、光周波数掃引部14の周波数掃引動作と、これに対応した光位相シフト部8の位相シフトの動作と、制御部17における光検出部16からの電気信号のサンプリングとにおける動作のタイミングを示す波形図である。 第2の実施形態における、光周波数掃引部14の周波数掃引動作と、これに対応した光位相シフト部8の位相シフトの動作と、制御部17における光検出部16からの電気信号のサンプリングとにおける動作のタイミングを示す波形図である。 第3の実施形態による波長分散測定装置の構成例を示すブロック図である。 本発明の波長分散測定装置を用いて、光ファイバ伝送路を伝搬する光パルスの分散パラメータを測定する測定方法を説明する図である。 本発明の波長分散測定装置を用いて、光部品を伝搬する光パルスの分散パラメータを測定する測定方法を説明する図である。 入射する光の偏光方向がバンドパス光フィルタを構成する光ファイバの単一の偏光軸(例えば、スロー軸)に一致するように調節するための構成例を示す。 本発明の波長分散測定装置を用い、光パルス伝送路を伝搬する、光信号発生器で発生した光パルスの分散パラメータを測定する方法を説明する図である。 第8の実施形態による波長分散測定装置の構成例を示すブロック図である。
以下、本発明の好適な実施の形態を図面を用いて説明する。なお、本実施形態は、例えば東京−大阪間の幹線光ファイバ伝送路、都市部でのメトロ光ファイバネットワーク網等、波長多重伝送を併用する光ネットワーク等の光ファイバ伝送路を伝搬する光パルスの波長分散特性を評価するための波長分散測定装置及び当該波長分散測定装置を用いた波長分散測定方法に本発明を適用した場合の実施形態である。
[波長分散]
先ず、本実施形態における波長分散測定装置にて測定する波長分散について説明する。
本実施形態では、上述したように光ファイバ伝送路を伝搬する光パルスのスペクトル位相を測定し、光ファイバ伝送路にて生じる波長分散の特性評価を行う。特に、本実施形態は10GBit/s〜40GBit/s程度の高速光通信システムにおいて使用する光ファイバ伝送路の波長分散の特性評価を行う場合に好適な実施形態について説明する。
光ファイバ伝送路の波長分散を評価するには、周波数−波数の関係、すなわち分散関係が重要となる。この関係より光が光ファイバ伝送路を伝搬する際の速度が求まる。この速度は、光パルスの重心が移動するスピードを指し”群速度”と呼ばれる。群速度の波長(周波数)依存性が波長分散をあらわす。
この群速度は、周波数−波数特性曲線の傾き(微分係数)として与えられ、真空や空気中では、周波数−波数特性は直線となり、群速度は周波数によらず一定であるが、ガラス・半導体・金属などの物質中では周波数−波数特性は直線にならず、群速度は周波数に応じて変化する。光パルスが伝搬する光ファイバ伝送路は、主としてガラスで形成されているので、ガラスの特性に応じた波長分散が生じると共に、コア及びクラッドの形状と寸法に応じた波長分散を生じ、光パルスの周波数(波長と言い換えてよい)に応じて群速度は変化することとなる。
ここで、光パルスは単一の波長だけでなく、さまざまな波長成分を含んでいるので、群速度が波長に依存すると光ファイバ伝送路中を伝搬するにつれて光パルスの幅が広がってしまい、光パルスの波形が歪み、前後の光パルスで信号が重なりクロストークが生じ、エラーが発生してしまう。
波長分散は、伝搬する光ファイバなどの媒質の伝搬方向の長さに比例して増大するため、光ネットワークが普及し、光ファイバや光部品で構成された経路の長さが増加するに従い、光パルスの歪みが大きく広がることになり、深刻な問題となる。
そのため、波長分散を補償することが、光ネットワークを構築して運用する際に重要な課題となる。この波長分散を補償するためには、この波長分散の程度を評価することが必要である。
この光ファイバ伝送路の波長分散の特性である分散パラメータ(dispersion parameter)Dは、以下に示す式(1)により表される。分散パラメータの単位は、例えばps/nm/kmである。この式(1)において、Δτgは群遅延時間差、Lは光が伝搬する距離、Δλは波長差である。
Figure 0005487149
本実施形態においては、分散パラメータDは、例えば光ファイバ伝送路や光部品の長さである。光が伝搬する距離Lは既知であるため、波長差に対する群遅延時間差が求まれば、分散パラメータDを算出することができる。
上記波長差は、周波数差Δνにより、以下の式(2)として表される。式(2)において、νは周波数であり、cは光の速度である。
Figure 0005487149
式(2)を式(1)に代入することにより、以下に示す式(3)を得る。
Figure 0005487149
ところで、光の周波数は非常に高く、電気的測定により光の電界の振動を測定することは、例えば、波長1500nmの光の周波数は200THz(テラヘルツ)に相当し、現状の技術では不可能である。そこで、光の位相を測定する手段として、干渉計が用いられる。
この干渉計では、入射光はビームスプリッタで2方向に分割され、各々の光は独立の経路を通過した後、再び一つに結合される。分割された光が各々の経路を伝搬することによる位相差を、結合後の干渉光の強度として測定することができる。
従って、本実施形態では、光ファイバ伝送路を伝搬している光パルス自身の一部を取り出して、当該取り出した光パルスの一部を周波数シフタ(AOFS:acousto-optic frequency shifter)でΔνだけ周波数シフトさせた光パルスを用いて、元の光パルスと干渉させて得られた干渉フリンジを強度および位相に極座標変換することにより、元の光パルスの位相の周波数微分を求めることができ、群遅延時間を測定することができる。
以下、図を用いてより具体的に説明する。図1は、光パルスからスペクトル位相の変化分Δφ(ν)の測定を説明するための図である。
図1(A)は、光ファイバ伝送路を伝搬している光パルスの波形を示す図であり、横軸を時間t、縦軸を信号強度Iで表した光パルスの時間波形である。同図に示す例では、光パルスは25ps(40Gbit/s)毎にON、OFFを繰り返すような光パルスであるものとする。光ファイバ伝送路や光部品を伝搬後のスペクトル位相をφ(ν)とし、Δνの周波数差に対するスペクトル位相の変化分がΔφ(ν)であるとすると、群遅延時間差Δτgは以下の式(4)で表される。ここで、スペクトル位相は、一般に光パルスチャープ(pulse chirp)と呼ばれ、周波数の関数として位相がどのように変化していくかを記述するものであり、ここでは光ファイバ伝送路によって生じた位相変化を示すものである。
Figure 0005487149
式(4)を式(3)に代入することにより、以下に示す式(5)で表す関係式が導かれる。
Figure 0005487149
この式(5)式により、光ファイバ伝送路や光部品中を伝搬した光パルスに対して、周波数差Δνに対するスペクトル位相の変化分を求めることにより、光ファイバ伝送路や光部品における分散パラメータDが求まり、波長分散を評価することができる。分散スロープなどの高次の波長分散は分散パラメータの周波数依存性として表われるため、全ての次数の波長分散が式(5)により評価できる。
また、図1(B)に光パルスの位相の周波数νの依存特性を示す。測定対象である光ファイバ伝送路の光パルスは二次の分散を有しており、さらに同図に示す如く上に凸形状を有する放物線で示されるように位相が変化する。周波数をΔνだけ微小シフトさせた場合には図中の点線で示すように、このシフトによりスペクトル位相もΔφだけ変化する。
このスペクトル位相の変化分Δφの値は、周波数シフトしていない元の光パルス(図中実線)を微分した値と等価となる。従って、スペクトル位相の変化分Δφを周波数のシフト量Δνで除算することにより、式(4)で示すように群遅延時間差Δτgを求めることができる。
[スペクトルシアリング干渉計]
スペクトルシアリング干渉計においては、干渉計が備える2本の分岐経路により、入力される光パルスを、偏光方向を同一に保持させて2つに分岐し、いずれか一方の分岐経路を伝搬する光パルスに対して周波数シフトを与える。
図1(C)に光パルスの強度スペクトル波形を示す。同図は電界Rに対する周波数νの依存特性を示すものであり、実線で示す如く、周波数シフトしていない元の光パルスは中心周波数νで電界Rが最大(ピーク)となるスペクトルを有することがわかる。一方、周波数をΔνだけ微小シフトさせた場合(点線で図示)には、強度スペクトルのピークはシフトするが、波形は変化しないことがわかる。つまり、周波数を微小シフトさせても電界Rの値は変化がないため、絶対値で示される元の光パルスのパワースペクトルを、周波数をΔνだけ微小シフトさせた光パルスのパワースペクトルにより近似することができる。
このため、この周波数シフトにより生じる干渉フリンジのスペクトルを取得し、図1(B)に示される周波数差Δνに対するスペクトル位相の変化分Δφ(ν)を、すなわち光パルスを微分した値と等価な値として測定することができる。その結果、得られたスペクトル位相の変化分Δφ(ν)を式(5)に代入することにより分散パラメータを算出し、波長分散を評価することができる。このスペクトルシアリング干渉計の詳細については、参考文献(OPTICS LETTERS Vol.19, No.4, pp.287-289, February 15, 1994,"Analysis of ultrashort pulse-shape measurement using linear interferferometers"), VictorWong and Ian Walmsley)に示されている。
以下、上記参考文献に示される構成に加えて、背景成分となる非干渉成が存在しない場合を想定し、直交二成分を検出することにより、一義的な位相の測定を含めた本実施形態によるスペクトルシアリング干渉計による波長分散の評価の基礎原理について説明する。
次に、非干渉成分が存在する場合に、ラジアン単位で位相シフトを0、π、αとして測定した位相成分(光成分)により背景成分となる非干渉成分を除去して直交二成分を求める方法を、後述する干渉成分に重畳した非干渉成分の除去の項において説明する。


波長分散を評価する対象となる光ファイバ伝送路や光部品を伝搬した光パルスを被測定光信号として、この被測定光信号を光分岐部により、偏光方向を同一に保持させた状態で2つの分岐経路に分離する。これら2つの分岐経路の一方に伝搬する被測定光信号をπ/2位相シフトさせ、2つの分岐経路、例えば第1分岐経路を伝搬する第1被測定光信号と第2分岐経路を伝搬する第2被測定光信号とを合波するよう干渉計を構成する。ここで、本実施形態においては、後に詳述するように、反射型のスペクトルシアリング干渉計の構成を対象としている。この反射型のスペクトルシアリング干渉計においては、干渉計の終端部が測定光を反射させることにより、干渉を発生させる経路を往復させる構成となっている。このため、一方向の場合に対し、測定光が同一の経路を2回伝搬することになる。すなわち、第1被測定光信号は第1分岐経路を往路で終端部方向に伝搬し、終端部にて反射して復路で第1分岐経路を第1被測定反射光信号として伝搬することで2度伝搬する。同様に、第2被測定光信号は第2分岐経路を往路で終端部方向に伝搬し、終端部にて反射して復路で第2分岐経路を第2被測定反射光信号として伝搬することで2度伝搬する。したがって、第1被測定光信号または第2被測定光信号のいずれか一方に加わるπ/2位相シフトは、往路及び復路のそれぞれにおいてπ/4ずつ与えられ、往復でπ/2となるように与えられる構成となっている。これにより、片方向にて0度及び45度に位相を変更するため、一度に0度から90度に変化させるのに対し、位相を変更させるための印加電圧を約半分に低下させることができ、省電力を実現することができる。
第1分岐経路を伝搬する第1被測定光信号の電界の時間波形を以下の式(6)により表す。この式(6)において、tは時間であり、νは被測定光信号の中心周波数である。
Figure 0005487149
この式(6)においては、直交二成分を表す第1被測定光信号の時間波形が示され、上段の行が直交二成分の一方の成分であるcos成分、下側の行が直交二成分の他方の成分であるsin成分を示している。また、|E1cos(t)|、|E1sin(t)|の各々は電界の包絡線の絶対値を表している。ここで、第1被測定光信号における第1光成分であるcos成分とcos成分に対して位相がπ/2異なる第2の光成分であるsin成分とは偏光方向が同一である。
Ψは時間領域表記での位相であり、波長分散に関係する項を含んでいる。また、式(6)において、信号変調フォーマットに依存する位相成分は省略している。
スペクトル干渉計においては、式(6)の電界の時間波形を分光して、すなわちフーリエ変換を行って、中心周波数νを原点としたスペクトルに変換し、以下の式(7)を得る。
Figure 0005487149
次に、第2分岐経路を伝搬する第2被測定光信号には、中心周波数νに対してΔνの周波数シフトを与える。この周波数シフトΔνは微少であり、ν≫Δνの関係にある。ここで、本実施形態においては、上述したように、反射型のスペクトルシアリング干渉計の構成であるため、第2被測定光信号は第2分岐経路を往復して伝搬することになる。そのため、本実施形態は、第2被測定光信号には周波数シフトΔνを与えるが、位相シフトと同様に、往路及び復路のそれぞれの片方向の伝搬において周波数シフトΔν/2ずつ与え、往復でΔνを第2被測定光信号に与える構成となっている。この反射型のスペクトルシアリング干渉計を用いることにより、一方向の伝搬のみで干渉信号を生成する透過型のスペクトルシアリング干渉計に対して、周波数シフト量を容易に倍とすることができる。
図2は周波数シフトしていない第1被測定光信号と、周波数シフトさせた第2被測定光信号との信号強度を示す波形図であり、横軸が周波数を示し、縦軸が光信号の強度を示している。周波数シフトが200MHzの図2(a)に対し、図2(b)は周波数シフト量が倍の400MHzとなっている。図2(a)の場合、周波数シフトを与えた光信号と周波数シフトを与えない光信号との裾(テイル)が重なることで干渉を起こす部分(Q)がある。このため、図1(b)における周波数シフトを与えた光信号と周波数シフトを与えない光信号と分離が不十分となり、スペクトル位相Δφを正確に測定できない場合がある。一方、周波数シフト量が増加することにより、例えば図2(b)に示すように周波数シフト量がΔν/2が倍となってΔνとなれば、周波数シフトを与えた光信号と周波数シフトを与えない光信号との裾が重なることを抑制することができる。
このとき、単純に周波数シフト量を200MHzを400MHzと倍にすることが考えられるが、このような処理を行うと位相シフトして出力される信号強度の効率が低下してしまい、測定される干渉信号の強度が低下し、測定精度が低下することになる。
また、周波数分離の分解能を向上させることが考えられるが、周波数分離の分解能を向上させるためには新たなバンドパスフィルタを生成する必要があるため、容易に行うことはできない。
これに対して、本実施形態においては、被測定光を周波数シフトさせる構成を往復させて通過させることにより、容易に、第2被測定光信号の周波数シフトを倍として与えることができる。このため、測定される干渉信号の強度を低下させず、すなわち第2被測定光信号に対して信号強度の減衰を与えずに、測定精度の低下を抑制して信号の分離を行っている。また、第2被測定光信号の周波数シフト量が倍となるため、周波数軸上における光信号の分離の特性を向上させ、現在の光周波数挿引部におけるバンドパスフィルタを使用して実質的に周波数分解能を向上させることができる。
上述したように干渉計の光路を往復して伝搬した後において、第2分岐経路を伝搬する第2被測定光信号の電界の時間波形は、以下の式(8)により表される。第1被測定光信号に対して、第2被測定光信号におけるcos成分の位相差が0度、sin成分の位相差が90度であることに対応し、sin成分には位相差π/2(90度)が付加されている。ここで、sin成分による干渉成分(干渉フリンジ)のパワースペクトルを得るため、第2被測定光信号に、π/2の位相差を与え、sin成分としている。また、第2被測定光信号における第1光成分であるcos成分とcos成分に対して位相がπ/2異なる第2の光成分であるsin成分とは偏光方向が同一である。
Figure 0005487149
上記式(8)をフーリエ変換して、中心周波数νを原点としたスペクトルに変換すると、以下の式(9)が得られる。
Figure 0005487149
上述したように、周波数シフトΔν(往路Δν/2、復路Δν/2であり、往復でΔν)を微少としたことから、式(9)においてはcos成分及びsin成分の各々に対して、以下に示す式(10)の近似式を適用した。
Figure 0005487149
第1分岐経路を伝搬する第1被測定光信号と第2分岐経路を伝搬する第2被測定光信号とが干渉計の光路を往復して伝搬した後に、第1被測定光反射信号及び第2被測定反射光信号を50:50の比で再び結合部により合波し、合波後の合波被測定光信号を光検出部により検出すると、第1測定光反射信号と第2被測定光反射信号との干渉によるパワースペクトルが得られる。ここで、干渉計の光路を往復して伝搬した後における第1被測定反射光信号及び第2被測定反射光信号の合波後の比が50:50であるため、背景成分となる非干渉成分は存在しない。
再結合後のcos成分及びsin成分の干渉成分のパワースペクトルを、それぞれ|Ecos(ν)|、|Esin(ν)|として、式(7)及び式(9)の電界スペクトルにおける偏光方向が同一の第1被測定反射光信号及び第2被測定反射光信号の各cos成分、またsin成分同士を重ね合わせて絶対値の自乗を求めることにより、cos成分の干渉成分、sin成分の干渉成分の各々のパワースペクトルが以下の式(11)のように求められる。
Figure 0005487149
上記式(11)において、周波数シフトΔνが式(4)及び式(5)における周波数差Δνに等しいとみなして、以下に示す式(12)のように位相差を表す項が周波数差Δνに対するスペクトル位相の変化分Δφ(ν)に等しいとした。
Figure 0005487149
次に、式(11)を変形することで、スペクトル位相の変化分Δφ(ν)に対応するcos成分及びsin成分の項が以下の式(13)に示すように得られる。ここで、上記再結合を行う際、第1被測定反射光信号と第2被測定反射光信号との偏光方向が同一であり、第1被測定反射光信号及び第2被測定反射光信号におけるcos成分とsin成分との偏光方向も同一である。
Figure 0005487149
第1被測定反射光信号及び第2被測定反射光信号におけるcos成分とsin成分との干渉における干渉フリンジ成分は式(13)における|Ecos(ν)|、|Esin(ν)|に含まれている。
また、本実施形態においては、上記式(13)を得るために第1被測定反射光信号及び第2被測定反射光信号との再結合を行う際、すでに述べたように第1被測定反射光信号及び第2被測定反射光信号のいずれか一方を、他方に対して位相を0度と90度とに交互にシフトさせている。この位相のシフトは、光位相シフタである光位相シフト部に対して、位相のシフト量を制御する電圧である位相シフト電圧を、位相を0度と90度とのシフト量となる電圧として時間的に交互に印加して行う。また、この位相のシフトを干渉計の光路の往復のそれぞれにおいて行った後においても、第1被測定反射光信号と第2披測定反射光信号との偏光方向は同一である。
この結果、式(8)の被測定光信号におけるcos成分(上段)とsin成分(下段)とを交互に取得する。この光位相シフト部は、本実施形態において、第2分岐経路に設けられ、上述したように、印加される位相シフト電圧により、第1分岐経路を伝搬する第1被測定光信号の位相に対し、往路及び復路において第2分岐経路を伝搬する第2被測定光信号の位相差を0度(cos成分取得)と45度(sin成分取得)との2値にて交互に変化させている。したがって、第1被測定反射光信号及び第2被測定反射光信号の合波において、第1被測定反射光信号及び第2被測定反射光信号の位相差が0度と90度と交互に変化するため、cos成分の干渉成分とsin成分の干渉成分とが交互に取得されることになる。そして、交互に取得した一対のcos成分とsin成分との干渉成分のパワースペクトルを、以下の式(14)に代入することにより、周波数差Δνに対するスペクトル位相の変化分Δφ(ν)が、一価関数のtan−1により−πからπの範囲で一義的に求められる。ここで、cos成分とsin成分との一対とは、周波数毎にスペクトル位相の変化分Δφ(ν)を求める単位要素である。
Figure 0005487149
式(14)において、最右辺の式を得るために、第1分岐経路を伝搬する第1被測定光信号(及び第1被測定反射光信号)と、第2分岐経路を伝搬する第2被測定光信号(及び第2被測定反射光信号)との各々におけるcos成分及びsin成分のパワーを等しいとし、以下の式(15)を適用した。
Figure 0005487149
上記スペクトル位相の変化分Δφ(ν)は、0から2πの範囲において周期的に折りたたまれているため、unwarp処理により展開することで、この位相の折りたたみが解除される。
以上のようにして、スペクトルシアリング干渉計を用いて、周波数差Δνに対するスペクトル位相の変化分Δφ(ν)を測定し、式(5)に代入することで分散パラメータDを算出し、光ファイバ伝送路や光部品などにおける波長分散の特性の評価を行う。
一方、スペクトル干渉計による分散パラメータDの測定では、測定したスペクトル位相φ(ν)を周波数微分して群遅延時間を求めることにより、分散パラメータDを算出することができる。ただし、この周波数微分を行うと、スペクトル位相における測定ノイズも同時に微分されてしまい、測定ノイズを微分した鋭いスパイクノイズが群遅延時間に重畳してしまい、分散パラメータを算出する際の精度を低下させることになる。
このように、スペクトル干渉計においては、分散パラメータを精度良く検出できない欠点がある。このため、本願発明においては、スペクトルシアリング干渉計を用いて、周波数差Δνに対するスペクトル位相の変化分Δφ(ν)を測定することにより、高精度に波長分散を評価している。
[干渉成分に重畳した非干渉成分の除去]
上述した「スペクトルシアリング干渉計」において、cos成分の干渉成分及びsin成分の干渉成分の各々のパワースペクトルを示す式(11)の導出において、第1分岐経路を伝搬する第1被測定反射光信号と、第2分岐経路を伝搬する第2被測定反射光信号との合波後のパワーを等しいとしている。すなわち、式(11)の導出の部分ですでに記載したが、スペクトルシアリング干渉計の分岐比及び合波比は共に50:50であり、干渉フリンジの背景成分となる非干渉成分は存在していないことを想定している。
実際に非干渉成分が存在しない状態とするため、異なる波長に対して、常に分岐比及び合波比を50:50に保持することが要求され、スペクトルシアリング干渉計を構成する全ての要素の波長依存性を考慮し、構成として極めて特殊なスペクトルシアリング干渉計の設計が必要となる。
このような特殊な構成のスペクトルシアリング干渉計は、構成のための要素が複雑となるとともに要素数も増大することなり、実用上において装置が大型化するため、好ましくない。また、分岐比及び合波比が変動する(揺らぐ)ことの無いように、温度を一定に保つことで、構成する要素の熱膨張によるスペクトルシアリング干渉計の経路長の変動や、熱光学効果による構成する要素の屈折率の変動を抑制するための安定化機構が必要となる。
しかしながら、3つの位相成分を用いて、波長分散の特性の精度を低下させる背景成分となる非干渉成分を、数値演算により除去することができる(除去の方法については後に詳述)。
この非干渉成分の除去に用いる3つの位相成分を得るため、位相シフタで発生する位相シフトを0及びπ/2の2値に限定するのではなく、互いに異なる3値以上の位相シフトを位相シフタに発生させる。
そして、この互いに異なる3値以上の位相シフトに対し、背景成分となる非干渉成分が重畳した干渉フリンジを測定する。そして、測定した干渉フリンジにおける非干渉成分を、数値演算により除去することができ、直交二成分からスペクトル位相の変化分を求めることが可能となる。この方法を用いることにより、分岐比及び合波比を共に50:50に保持したり、温度による変動を抑制するための安定化機構を導入する必要がなく、スペクトルシアリング干渉計を小型化して簡便に制作することが可能となる。
上述したように、位相シフトの値が互いに異なる3値以上の位相シフト、例えば3値の位相シフトに対し、非干渉成分が重畳した干渉フリンジを測定し、直交二成分からスペクトル位相の変化分を導出する処理の手順を以下に説明する。また、互いに位相シフトの値が異なる4値以上の位相位相シフトを使用する場合においても、以下に説明する3値の位相シフトを用いた処理の手順と同様な手順により、背景成分となる非干渉成分を除去して、スペクトル位相の変化分を高い精度で求めることができる。
以下の説明において、位相シフトの値が互いに異なる3種を、0、π及びαとして説明する。ここで、位相シフトの値はラジアンで示し、αは0より大きくπより小さい任意の値(0<α<π)である。
上述した互いに値が異なる3値の位相シフトの各々の干渉パワースペクトルは、背景成分となる非干渉成分が干渉成分に重畳し、行列式において下記の式(16)として表される。この式(16)は、位相シフトが0及びπ/2における干渉成分の干渉パワースペクトルを示す式(11)に置き換わる表式である。
Figure 0005487149
上記式(16)の左辺において、上部から下部に向かって順に、位相シフト0、π及びαでの非干渉成分が重畳した干渉フリンジである。ここでは、例えば、位相シフトを0、π、αの順番で交互に切り替える。具体的には、0→π→α→0→π→α…と、0→π→αを一周期として繰り返される。
また、上記式(16)の右辺において、第1項(Iback(ν))が各々の背景成分となる非干渉成分を表し、第2項(Iint(ν)cos[…])が干渉成分を表している。この非干渉成分は、位相シフトには依存せずに、光パルスの周波数νのみに依存する。
上述した各位相シフトの干渉成分には、cos関数の変数部に各々位相シフト(0、π、α)が含まれている。
また、式(16)の位相シフトが0とπとにおける非干渉成分が重畳した干渉フリンジにより、cos干渉成分(位相シフト0)と背景成分となる干渉成分とが、以下に示す式(17)として与えられる。
Figure 0005487149
sin干渉成分(位相シフトπ/2)を求める処理は、以下の手順にしたがって行う。
まず、三角関数の加法定理を用いて、sin干渉成分を以下の式(18)として表す。
Figure 0005487149
上記式(16)の3行目の式に、式(17)の2行目の式を代入することで、以下に示す式(19)が得られる。
Figure 0005487149
そして、式(18)に対して、式(17)の1行目に示したcos成分と式(19)とを代入して、sin干渉成分を表す以下に示す式(20)が得られる。
Figure 0005487149
次に、式(17)の1行目の式と、式(20)とにより、スペクトル位相の変化分Δφ(ν)と、パワースペクトルIint(ν)との各々が、以下に示す式(21)、式(22)により得られる。なお、パワースペクトルは、図1の電界強度Rの自乗に等しい。
Figure 0005487149
Figure 0005487149
上述したように、本発明においては、互いに異なる値の3値の位相シフトに対し、非干渉成分が重畳した干渉フリンジを測定することにより、非干渉成分を除去した直交二成分からスペクトル位相の変化分を求めることができる。
[波長分散測定装置の構成及び機能]
<第1の実施形態>
次に、図3を参照して、本実施形態による波長分散測定装置の構成及び機能を説明する。図3は、本実施形態による波長分散測定装置の構成例を示すブロック図である。
この図3において、波長分散測定装置は、入射経路としての入射光ファイバ1、光循環部2、接続光ファイバ3、光分岐結合部4、第1光分岐経路としての第1光ファイバ5、第2光分岐経路としての第2光ファイバ6、光遅延部7、光位相シフタとしての光位相シフト部8、終端部11、終端部12、出射光導入光ファイバ13、光周波数掃引部14、出射光経路としての出射光ファイバ15、光検出部16、制御部17、位相制御線18、掃引周波数制御線19及び検出制御線20を備える。ここで干渉計における光の伝搬する経路の距離は、光分岐結合部4の入出射端から終端部までと、終端部から入出射端までの往復の光路の距離となる。
入射光ファイバ1は、一端が波長分散を評価する評価対象である光ファイバ伝送路または光部品から光パルスを入射し、他端が光分岐部2の入射端(第1入射端)に接続されている。ここで、波長分散を評価する評価対象の光ファイバ伝送路または光部品を伝搬した光パルスを、入射光ファイバ1を介して波長分散測定装置に入射し、入射した光パルスを被測定光信号とし、出入射端(第1入出射端)に一端が接続された接続光ファイバ3を介して光循環部2へ出射する(矢印S1)。
また、光循環部2から第1光ファイバ5の第1終端部11まで、また光循環部2から第2光ファイバ6の第2終端部12までを被測定光信号が往復して伝搬することになる。ここで、光循環部2から光分岐結合部4を介して終端部(終端部11及び終端部12)へ、被測定光の伝搬する往路の方向を進行方向とし、終端部から光分岐結合部4を介して光循環部2へ戻る復路を反射方向(後退方向)として説明する。このため、光分岐結合部4から終端部11へ進行する第1被測定光信号に対し、終端部11にて反射して光分岐結合部4へ戻る光を第1被測定反射光信号とし、一方、光分岐結合部4から終端部12へ進行する第2被測定光信号に対し、終端部12にて反射して光分岐結合部4へ戻る光を第2被測定反射光信号として説明する。
光循環部2は、進行方向において、接続光ファイバ3の他端に接続された第1入射端(第1入射端)から、当該接続光ファイバ3を介して被測定光信号が入射されると、この入射された被測定光信号を、第1入出射端(第1入出射端)に一端が接続されている接続光ファイバ3に対して出射する(矢印S2)とともに、反射方向において接続光ファイバ3の上記一端から第1入出射端に入射される合波被測定光信号を、第1出射端(第1出射端)に接続されている出射光導入光ファイバ13に対して出射する(矢印S12)。この光循環部2に用いる光部品としては、例えば、光ファイバサーキュレータがある。
また、図4は、光循環部2の構成例を示す図であり、光サーキュレータ以外の光部品を用いた構成例を示している。図4の光循環部2は、光アイソレータ21及び2×1光カプラ22を有している。この2×1光カプラ22は、第1入射端に対応する入射端から入射される被測定光信号を、第1入出射端としての端子から出射し、第1入出者端としての端子から入射される合波被測定光信号を、第1出射端としての端子から、出射光導入光ファイバ13に対して出射する。また、第1入出射端に対応する端子には、反射光としての合波被測定光信号を、被測定光の光源に対して戻さないように、光アイソレータ21が配置されている。また、サーキュレータは伝搬させる周波数の帯域が狭いため、測定するための帯域が非常に広がっている場合に、図4の構成であれば、光サーキュレータに対して広い帯域をカバーすることができる。
光分岐結合部4は、第1入出射端(第2入出射端)が接続光ファイバ3の他端に接続され、接続光ファイバ3から入射される被測定光信号を2つに分岐し、分岐した一方の光束を第1被測定光信号とし、分岐した他方の光束を第2被測定光信号とする。また、光分岐結合部4は、第1被測定光信号を第2入出射端(第3入出射端)から第1光ファイバ5に対して出射し(矢印S3)、一方、第2被測定光信号を第3入出射端(第4入出射端)から第2光ファイバ6に対して出射する(矢印S4)。ここで、第1被測定光信号は式(6)に示す時間波形であり、式(7)に示す周波数スペクトルを有している。第2被測定光信号は式(8)に示す時間波形であり、式(9)に示す周波数スペクトルを有している。
光分岐結合部4は、第2入出射端に光ファイバ5の他端が接続され、第3入出射端に第2光ファイバ6の他端が接続されている。
また、光分岐結合部4は、第1被測定光信号と第2被測定光信号とが異なる周波数となるように、第1被測定光信号と第2被測定光信号との間に周波数シフト差を発生させる。例えば、本実施形態において、光分岐結合部4は、第2入出射端から第1光ファイバ5へ出射する第1被測定光信号と、他の出射端である第3入出射端から第2光ファイバ6へ出射する第2被測定光信号との間に、キャリア周波数差Δν/2を発生させる。このとき、光分岐結合部4は、第1被測定光信号に対しては周波数シフトを行わず、第2被測定光信号に対してキャリア周波数差Δν/2を与える。このとき、第1被測定光信号と第2被測定光信号とは同一の偏光方向である。
光分岐結合部4は、例えば、AOFS(acousto-optic frequency shifter:音響光学型周波数シフタ)を用いている。このAOFSの0次光出力ポートが第1光ファイバ5の一端と接続され、1次光出力ポートが第2光ファイバ6の一端と接続されている。AOFSは、周波数Δν/2の高周波が供給された場合、0次光出力ポートから周波数シフトされない第1被測定光信号を出力し、一方、1次光出力ポートから周波数Δν/2だけ周波数シフトされた第2被測定光信号を出力する。
また、光分岐結合部4は、第1終端部11により反射されて第2入出射端から入射された第1被測定反射光信号(矢印S9)と、第2終端部12から反射された第3入出射端から入射される第2被測定反射光信号(矢印S10)とを再結合し、再結合により干渉成分を取得するため、第1被測定反射光信号と第2被測定反射光信号との偏光方向を同一として出射する(矢印S12)。
第1被測定反射光信号は第1光ファイバ5を介して光分岐結合部4の第2入出射端に入射され、第2被測定反射光信号は第2光ファイバ6を介して光分岐結合部4の第3入出射端に入射される。
また、第1光ファイバ5の経路中には、光遅延部7が介挿されている。この光遅延部7は、第1光ファイバ5と第2光ファイバ6との光路長差を同じにする目的で、他方に対して光路長が短い方の光ファイバに設けられ、光路長差を解消する調整のための遅延を被測定光信号に与えている。
このように、光遅延部7を設けて光路長差を解消することにより、第1光ファイバ5と第2光ファイバ6との間において生ずる光路長の揺らぎを低減することができるため、式(14)におけるスペクトル位相の変化分Δφ(ν)の測定精度を向上させることができる。
なお、第1光ファイバ5と第2光ファイバ6との光路長差が測定精度に対して影響を与えない程度であれば、光遅延部7を設ける必要性はない。
第1終端部11は、第1光ファイバ5の他端(終端)に設けられた全反射ミラーであり、第1光ファイバ5を伝搬してきた第1被測定光信号(矢印S5)を全反射し、第1被測定反射光信号として、伝搬方向を反転させて第1光ファイバ5に対して反射方向に出射する(矢印S7)。
また、第2光ファイバ6の経路中には、光位相シフト部8が介挿されている。この光位相シフト部8は、第2光ファイバ6を伝搬する第2被測定光信号と第2被測定反射光信号の位相を、一定の第1周期において0からπ/2(ラジアン単位)の間で連続的に位相シフトさせる。すなわち、光位相シフト部8は、第1光ファイバ5を伝搬する第1被測定光信号と、第2光ファイバ6を伝搬する第2被測定光信号との間に与える位相差を、一定の第1周期において0からπ/2(ラジアン単位)の間で連続的に変化させ、かつ、第1光ファイバ5を伝搬する第1被測定反射光信号に対し、第2光ファイバ6を伝搬する第2被測定反射光信号との間に与える位相差を、一定の第1周期において0からπ/2(ラジアン単位)の間で連続的に変化させている。これにより、光分岐結合部4に対し、反射方向において第1被測定反射光信号及び第2被測定反射光信号が入射される際、往路で0度及び45度の位相差を与え、復路で0からπ/2(ラジアン単位)との間で連続的に変化させている。これにより、光分岐結合部4に対し、第1終端部11、第2終端部12の各々から反射された第1被測定反射光信号及び第2被測定反射光信号が入射される際、往路で0からπ/2の位相差が与えられ、復路でも0からπ/2の位相差が与えられているため、第1被測定反射信号に対して第2被測定光反射信号が、0からπの間で位相が連続的にシフトされることになる。ここで、光位相シフト部8は、第1被測定光信号に対して第2被測定光信号の位相をシフトさせるが、シフト後も第2被測定光信号の偏光方向を、第1被測定光信号と同一として出射する。
これにより、光分岐結合部4に反射方向において入射される際、第1光ファイバ5を伝搬する第1被測定反射光信号と第2光ファイバ6を伝搬する第2被測定反射光信号との間の位相差が0の場合を0成分検出モード、位相差がπの場合をπ成分検出モード、さらに位相差がαの場合をα成分検出モードとする。式(16)の行列における1行目、2行目及び3行目の各々の表式が、それぞれ0成分検出モード、π成分検出モード、α成分検出モードで干渉成分に被干渉成分が重畳した干渉フリンジに対応している。
ここで、上述したように、光分岐結合部4から出射される第1被測定光信号と第2被測定光信号との偏光方向は同一であり、かつ第1被測定光信号に対して光位相シフト部8により位相差を0からπ/2の間で位相シフトされた第2被測定光信号との偏光方向も同一であり、また、第1被測定反射光信号に対して光位相シフト部8により位相差を0からπ/2の間で位相シフトされた第2被測定反射光信号との偏光方向も同一である。
したがって、光位相シフト部8により、往復で与えられる位相差の合計を0からπの間で順次変化させることで、位相差が0の場合の0成分検出モード、πの場合のπ成分検出モード、あるいはαの場合のα成分検出モードのいずれかを選択することができる。
本実施形態においては、第2被測定反射光信号の第1被測定反射光信号に対する位相シフトが0の場合、第1被測定反射光信号と第2被測定反射光信号とで0成分の干渉が起こり、第2被測定反射光信号の第1被測定反射光信号に対する位相シフトがπの場合、第1被測定反射光信号と第2被測定反射光信号とでπ成分の干渉が起こり、第2被測定反射光信号の第1被測定反射光信号に対する位相シフトがαの場合、第1被測定反射光信号と第2被測定反射光信号とでα成分の干渉が起こる。
すなわち、光分岐結合部4は、第2被測定反射光信号の位相シフトが0の場合、第1被測定反射光信号と第2被測定反射光信号との0成分における干渉成分を合波被測定光信号として出力し、第2被測定反射光信号の位相シフトがπの場合、第1被測定反射光信号と第2被測定反射光信号とのπ成分における干渉成分を合波被測定光信号として出力し、第2被測定反射光信号の位相シフトがαの場合、第1被測定反射光信号と第2被測定反射光信号とのα成分における干渉成分を合波被測定光信号として出力する。
この光位相シフト部8には、例えば、電気光学結晶(例えばLiNb03)を用いた位相シフタを用いることができ、印加する位相シフト電圧(後述するV、Vπ/2、Vα/2)を変化させることにより、位相のシフト量を0からπ/2の間で連続して変化させることができる。本実施形態においては、位相シフトが連続的に変化させるとしているが、これに限るものではなく、離散的に変化させる(例えば、0→α→πの3値で変化させる)場合にも、本実施形態による波長分散測定装置を構成することができる。
また、光分岐結合部4には、図5に示す構成を用いても良い。図5は、光分岐結合部4の他の構成を示す図である。
この図5において、光分岐結合部4は、2×1光カプラ41と、SAW(surface acoustic wave:表面弾性波)フィルタ42とを有している。2×1光カプラ41は、分岐された光が出射される2つの端子の一方に、SAWフィルタ42が設けられており、このSAWフィルタ42により2つの端子間における周波数シフトを発生する。そして、SAWフィルタ42は、例えば、第1被測定光信号に対して第2被測定信号に、また第1被測定反射光信号に対して第2被測定反射光信号に、各々ν/2の周波数シフトを与える。
なお、本実施形態においては、光遅延部7が第1光ファイバ5に介挿され、また光位相シフト部8が第2光ファイバ6に接続された構成としているが、実際には、第1光ファイバ5及び第2光ファイバ6のうちいずれか光路長の短い光ファイバに光遅延部7を介挿し、他方に光位相シフト部8を接続するようにする。
上述したように、光遅延部7と光位相シフト部8との各々を、それぞれ異なる光ファイバの光路中に挿入することにより、光遅延部7と光位相シフト部8との間を残留反射光が往復することを防止することができる。このため、残留反射光が往復して共振することにより発生するスペクトルリップルを除去することができる。
光周波数掃引部14は、入射端(第4入射端)が結合用光ファイバ6の他端に接続され、出射端(第4出射端)が出射光ファイバ15の一端に接続されている。光周波数掃引部14は、例えば、チューナブルバンドパスフィルタであり、周波数掃引周期(設定された測定周波数の範囲で周波数の掃引を行う周期)の開始を示すトリガ信号により、所定の測定周波数の範囲において周波数を変化させる掃引を行う。光周波数掃引部14は、通過させるバンドパス周波数幅の中心周波数を上記測定周波数の範囲において時系列に変化させる。また、光周波数掃引部14は、出射光導入光ファイバ13から入射される合波被測定光信号から、上記バンドパス周波数幅に対応した周波数の干渉要素を取り出す処理、すなわち合波被測定光信号の周波数分解(スペクトル分解)を行う。光周波数掃引部14は、周波数分解後の成分被測定光信号(周波数毎のスペクトル強度を示す信号)を出射端から、出射光ファイバ15に対して出射する。
第1被測定反射光信号及び第2被測定反射光信号を合波した合波被測定光信号の周波数数分解に用いる周波数は、上記バンドパス周波数幅における中心周波数とする。上記周波数分解において、周波数分解における周波数毎(異なる周波数における)の0成分、π成分及びα成分の干渉要素(干渉成分及びこの干渉成分に重畳した非干渉成分)を検出することになる。光周波数挿引部14は、出射端に出力光ファイバ15の一端が設けられている。
第2終端部12は、第2光ファイバ6の他端(終端)に設けられた、第1終端部11と同様に全反射ミラーであり、第2光ファイバ6を伝搬してきた第2被測定光信号(矢印S6)を全反射し、第2被測定反射光信号として、伝搬方向を反転させて第2光ファイバ6に対して反射方向に出射する(矢印S8)。
第1終端部11及び第2終端部12は、例えば、シリコン基板あるいはガラス基板にAl(アルミニウム)、Ag(銀)、Au(金)などの金属膜、あるいは誘電体膜(単層あるいは多層)などをコーティングした反射鏡を用いても良い。また、第1光ファイバ5及び第2光ファイバ6の他端の終端面に金属をコーティングして反射面を形成し、この反射面を第1終端部11、第2終端部12として用いても良い。
光検出部16は、入射端(第3入射端)が出射光ファイバ15の他端と接続されている。光検出部16は、出射光ファイバ15から入射される成分被測定光信号を、電気信号に変換して、変換結果を非干渉成分を含む(非干渉成分が重畳された)干渉信号として制御部17に対し、検出制御線20を介して出力する。
ここで、成分被測定光信号は、光位相シフト部8が位相のシフト量を0としている場合、対応する周波数の0成分の干渉要素であり、光位相シフト部8が位相のシフト量をπとしている場合、対応する周波数のπ成分の干渉要素であり、光位相シフト部8が位相のシフト量をαとしている場合、対応する周波数のα成分の干渉要素である。
また、本実施形態において、入射光ファイバ1、接続光ファイバ3、第1光ファイバ5、第2光ファイバ6のそれぞれは、偏波保持特性を有する偏波保持光ファイバ(PMF :Polarization Maintaining Fiber)が用いられている。これら入射光ファイバ1、接続光ファイバ3、第1光ファイバ5、第2光ファイバ6のそれぞれの偏光軸はすべて同一方向に揃えられた状態とし、第1被測定光信号、第2被測定光信号、第1被測定反射光信号及び第2被測定反射光信号の偏光方向を揃えて同一とし、第1被測定反射光信号及び第2被測定反射光信号を合波する光分岐結合部4に入射されるようにしている。
したがって、光分岐結合部4にて合波する第1被測定反射光信号及び第2被測定反射光信号の偏波方向は同一に揃えられている。このため、被測定光信号は、図示しない偏波コントローラを用い、波長分散を評価する対象の光ファイバ伝送路を伝搬直後の被測定光信号の偏波を直線偏波とし、その偏光軸を入射光ファイバ1の偏光軸(例えば、スロー軸)に揃えた後に、入射光ファイバ1に入射される。
また、出射光導入光ファイバ13及び出射光ファイバ15に対しても、偏波保持光ファイバを用いても良い。
制御部17は、光周波数掃引部14から、周波数制御線19を介して入力される周波数掃引周期の開始点を示すトリガ信号に同期し、光位相シフト部8に対して第1周期毎に印加する位相シフト電圧を連続的に変化させることで、位相シフトを行わせるため、位相制御線18を介して光位相シフト部8へこの位相シフト電圧を供給する。
すなわち、測定周波数がn点である場合、周波数掃引周期をnで除算して得た第1周期毎に繰り返して連続的に位相シフト電圧を変化させる処理を上記トリガ信号に同期して行う。
また、制御部17は、検出制御線20を介して光検出部16から、この第1周期に同期して、0成分、π成分及びα成分の干渉信号を、位相シフト電圧の変化に対応させて順次受信する。
例えば、本実施形態においては、0成分→α成分→π成分の順番に、測定周波数を測定周波数の数nで乗算した1つの周波数を測定する第1の周期内で、それぞれ第1周期に同期して、周期的に受信するものとする。この第1の周期内において位相シフト電圧を0成分→α成分→π成分を連続的に順次変化させ、この変化させる処理を周波数掃引周期内において第1周期毎に繰り返すことになる。
そして、制御部17は、この時系列に取得した0成分、π成分及びα成分の干渉要素を一組として、各周波数における分散パラメータを演算するための非干渉成分を含む干渉スペクトルのデータとして用いる。
次に、制御部17は、式(16)の非干渉成分が重畳した0成分の干渉信号、π成分の干渉信号及びα成分の干渉信号の3値のの位相シフトによる干渉成分に入力すべき0成分、π成分、α成分の電気信号を得る。
さらに、制御部17は、式(16)及び三角関数の加法定理を用いて得られた式(17)、式(19)及び式(20)により、周波数毎の一対のcos成分及びsin成分のパワースペクトルを得て、式(21)により、周波数毎の位相の変化分Δφ(ν)を得ることができる。そして、制御部17は、この位相の変化分Δφ(ν)を式(5)に代入することにより、周波数毎の分散パラメータを算出する。
上述したように、本実施形態においては、測定周波数の範囲における周波数の掃引の開始を、光周波数掃引部14から供給されるトリガ信号によって通知するものとする。
また、制御部12が第1周期のn倍を周波数掃引周期とし、この周波数掃引周期の開始を示すトリガ信号を生成し、光周波数掃引部14へトリガ信号を出力し、測定周波数の範囲において、周波数の掃引を制御する構成としても良い。
また、周波数掃引周期を連続させず、周期間に予め設定した一定時間を設けて、周波数掃引周期の開始点及び終了点各々のトリガ信号を用いることにより、開始点と終了点とを同時刻に設定する必要がなく、開始点と終了点との間に周波数を掃引の初期値に戻す時間を設けることができる。このため、終了点と開始点とがタイミング的に同一の場合(終了された後、時間を設けることなく開始される場合)のように、開始点から初期値への変化を行うために、周波数の変化する時間により、周波数掃引周期における最初の第1周期が短くなることが無くなり、測定時間の制御をさらに高精度化することができる。
次に、本実施形態における図3に示す波長分散測定装置の被測定光信号を測定する動作を、図6を用いて説明する。図6は、光周波数掃引部14の周波数掃引動作と、これに対応した光位相シフト部8の位相シフトの動作と、制御部17における光検出部16からの干渉信号のサンプリングとにおける動作のタイミングを示す波形図である。
すなわち、図6(a)は、縦軸が電圧であり、横軸が時間であり、光周波数掃引部14の出力するトリガ信号の出力タイミングを示す図である。この図6(a)において、光周波数掃引部14から出力されるトリガ信号のHレベル(V)およびLレベル(V)は、各々TTL制御(TTL(Transistor Transistor Logic)インターフェースを用いた制御)に適合するように設定される。
図6(b)は、縦軸が周波数であり、横軸が時間であり、光周波数掃引部14の掃引において出力するパスバンドの中心周波数の時間変化を示している。この図6(b)において、νは掃引開始の周波数(測定周波数の範囲における最低周波数)であり、νは掃引停止の周波数(測定周波数の範囲における最大周波数)である。このため、周波数νから周波数νが測定周波数の範囲、すなわち周波数を掃引する範囲となる。
図6(c)は、縦軸が電圧であり、横軸が時間であり、位相差を第1周期Δtで変化させる、光位相シフト部8に印加する位相シフト電圧の波形を示す図である。位相シフト電圧Vは位相シフトを0(0成分検出モード)とする際の電圧であり、位相シフト電圧Vπ/2は位相シフトをπ(π成分検出モード)とする際の電圧である。また、位相シフトのシフト量をα(α成分検出モード)とする際の電圧をVα/2とすると、本実施形態においては、Vα/2はVより大きくVπ/2よりも小さい、すなわちV<Vα/2<Vπ/2である。制御部12は、第1周期Δtに対して周期的に正弦波的形状に位相シフト電圧を変化させ、光シフト位相部8へ印加する。光位相シフト部8を往復で合計2回通過するので、一回の通過により発生する位相シフトは、各々の位相成分での位相シフトの半分で良いため、必要とする電圧は透過型のスペクトルシアリング干渉計に比較して半分に低減できる。
図6(d)は、縦軸が電圧であり、横軸が時間であり、制御部17が光検出部16からの非干渉信号が重畳された干渉信号を時系列データとして受信するサンプリング周期のタイミングを示す図である。
図6(c)及び図6(d)については、第1周期を明確に記載するため、図6(a)及び図6(b)の横幅の時間スケールを拡大し、一部の時間範囲のみを示している。
光周波数掃引部14は、トリガ信号を発生し、時間「Tl+1−T」の周波数掃引周期において、トリガ信号を制御部17に対して出力するとともに、合波被測定光信号の周波数分解を行うために、周波数νから周波数νまでの周波数を線形に増加させる掃引の処理を開始する。ここで、ユーザが実際の測定の前に掃引変化を測定し、時間に対する掃引された周波数の線形性が達成されないことを検出した場合、掃引の周波数の校正を行い、周波数掃引の非線形性を補正する。また、本実施形態において、低周波側から高周波側への周波数の掃引を行っているが、高周波側から低周波側に周波数の掃引を行うよう構成しても良い。また、タイミング制御は、TTL制御に限るものではなく、例えばCMOS(Metal Oxide Semiconductor )インターフェースを用いても良い。
制御部17は、トリガ信号が供給されると、このトリガ信号に同期して、第1周期Δt毎に光位相シフト部8へ電圧Vから電圧Vπ/2までの位相シフト電圧を連続的に順次出力する処理を開始する。本実施形態においては、位相シフト電圧Vから供給を開始しているが、位相シフト電圧Vπ/2から供給を開始するように構成しても良い。
この結果、光位相シフト部8は、供給される位相シフト電圧Vから位相シフト電圧Vπ/2までの変化により、第1光ファイバ5を進行方向に伝搬する第1被測定光信号の位相に対し、第2光ファイバ6を進行方向に伝搬する第2被測定光信号の位相を、0からπ/2の範囲で連続的に変化させ、また第1光ファイバ5を反射方向に伝搬する第1被測定反射光信号の位相に対し、第2光ファイバ6を反射方向に伝搬する第2被測定反射光信号の位相を0からπ/2の範囲において連続的に順次変化させる。
光検出部17は、第1周期Δt毎に連続して変化する位相シフトにともない、各周波数における干渉要素を有する(位相シフトのシフト量が0、π及びαの各々に対応する干渉要素を有する)成分被測定光信号を連続的に干渉信号として、制御部12に対して供給する。
そして、制御部17は、第1周期Δtに同期して、当該第1周期Δt内において一定のサンプリング間隔で、上記成分被測定光信号をサンプリングすることにより、各測定周波数における0成分の干渉要素を有する成分被測定光信号、α成分の干渉要素を有する成分被測定光信号、及びπ成分の干渉要素を有する成分被測定光信号の各々を、この順序に従って得ることができる。ここで、制御部17は、上述した一定のサンプリング間隔において、位相シフト電圧を順次変化させ、位相シフト電圧V、Vα/2及びVπ/2の各々を出力したタイミングに同期して、成分被測定光信号をサンプリングし、それぞれを0成分の干渉要素、α成分の干渉要素、π成分の干渉要素として得る。
すなわち、制御部17は、第2被測定信号の位相シフトの位相量を第1周期において0→π→0と連続して変化させるに伴い、測定周期である第1周期毎に1組の0成分、α成分及びπ成分の干渉要素をこの順序で得ることができる。これにより、測定周波数の範囲内にて、n個の第1周期Δtから、n組の0成分、α成分及びπ成分の干渉要素が得られる。
位相シフトのシフト量が0、α及びπの干渉成分の決定精度を向上させるため、位相シフト電圧が第1周期において0→π→0として変化する間に、制御部17は、成分被測定光信号の20点のサンプリングを行う。すなわち、本実施形態において、制御部17は、第1周期Δtにおいて、20種の成分被測定光信号に対応する、シフト量が異なる20成分の干渉フリンジデータを取得する。
そして、制御部17は、スペクトル位相の変化分Δφ(ν)とパワースペクトルIint(ν)を求める際、20成分の干渉フリンジデータから0成分、π成分及びα成分に対応する3種を、位相シフト電圧V、Vα/2及びVπ/2の各々を出力したタイミングに基づいて、サンプリングした複数の干渉フリンジデータから抽出し、式(21)及び式(22)に代入する。ここで、測定周波数がn点の場合、周波数掃引周期において周波数を1回掃引することにより、総サンプリング数は20×n(光成分)となる。
制御部17は、一定の時間間隔のサンプリング周期により、0成分、α成分及びπ成分の干渉要素を順次サンプリングして測定する。このため、サンプリングに用いるクロック信号(電気信号)及び成分被測定光信号を受信する受信ポートを一系統設けて、制御部17を構成すれば良く、波長分散測定装置を簡便に構成することができる。
図6(d)は、n個の測定周波数の第1周期毎に20回のサンプリングを行った場合における1番目の測定周波数の測定点、すなわちサンプリングタイミングt1,1からt1,20、及びn番目の測定周波数の測定点、すなわちサンプリングタイミングtn,1からtn,20が示している。
ここで、各第1周期内にサンプリング行う測定点が20点ある場合、サンプリングタイミングの変化に伴う測定点毎の掃引周波数の変化を無視することができなくなる。このため、各第1周期内における測定点毎の掃引周波数の変化を補正して、得られる干渉フリンジデータ各々の周波数精度を維持する必要がある。
本実施形態においては、測定点毎の掃引周波数の変化を補正するため、制御部17は以下の処理を行う構成としている。
制御部17は、線形補完を用いて各サンプリング点において、各成分、すなわち0成分、α成分及びπ成分の干渉フリンジデータを生成し、周波数掃引周期内の20×n個のサンプリングタイミング各々に対して、20成分の干渉フリンジデータを求める。したがって、制御部12は、上述した線形補間を行うプログラムを記憶するメモリ、あるいは線形補間を実行するための回路を有している。
図3には記載されていないが、本実施形態の波長分散測定装置は、線形補間を行うために用いる、20×n個の測定された干渉フリンジデータを記憶する記憶部を備えている。制御部17は、この記憶部に対して、測定した20×n個の干渉フリンジデータを、識別情報(例えば、上述したi番目の第1周波数におけるj番目の測定点かを示すサンプリングタイミングti,j)とともに順次書き込んで記憶させ、周波数掃引周期が終了した時点で、各干渉フリンジデータを読み出して線形補間を行う。ここで、iは1以上でありn以下(1≦i≦n)の整数、jは1以上であり20以下(1≦j≦20)の整数である。
図6(d)においては、位相シフトのシフト量が0の場合の0成分、αの場合のα成分及びπの場合のπ成分の各々は、サンプリングタイミングti,1、ti,6、ti,11のそれぞれにおいて測定された干渉フリンジデータが対応している。ここで、制御部12は、スペクトル位相の変化分Δφ(ν)の算出に用いるα成分の位相量の位相校正を行う。
ここで、各位相成分の0成分、α成分及びπ成分各々には、サンプリングタイミングti,1、ti,6、ti,11の干渉フリンジデータが対応する。ここで、iは1以上であり、かつn以下(1≦i≦n)の整数である。本実施形態においては、位相量の位相校正を行い、サンプリングタイミングti,6に対応するαは、ラジアンを単位として0.418436πである。ここで、上述した位相校正は、以下の方法により行う。
連続する同一間隔のサンプリングタイミングに対して、位相が線形に変化するため、サンプリングタイミングt1,1の干渉フリンジデータの値を位相が0成分の値とし、サンプリングデータt1,11の干渉フリンジデータの値を位相がπ成分の値とすることにより、これらの位相に対応する三角関数がサンプリングタイミングの関数として一義的に決定される。このサンプリング関数の逆関数により、サンプリングタイミングti,5における干渉フリンジデータの値に対する位相値が求まる。すなわち、このサンプリングタイミングの関数の逆関数から求められた位相値がα成分の位相値の位相校正された値となる。前述のjが大きくなるほど、サンプリングタイミングによる位相値の分解能が向上するため、上記α成分のフリンジデータの最大値および最小値が真の最大値および最小値に近づくことになり、α成分の位相を決定する精度が高くなる。
また、サンプリング点数が少ない場合(本実施形態においては20個より減少させた場合)、上述した干渉フリンジデータの補間の精度が低下することで、位相シフトのシフト量である0、α及びπの決定精度が劣化してしまい、スペクトル位相の変化分Δφ(ν)もしくはパワースペクトルIint(ν)の算定結果(横軸を周波数として、縦軸に変化分Δφ(ν)、パワースペクトルIint(ν)の各々をプロットしたグラフ)にリップルが生じることになる。
しかしながら、掃引周波数におけるある周波数において、スペクトル位相の変化分Δφ(ν)もしくはパワースペクトルIint(ν)でのリップルの相対強度が1ppm未満であれば、他の周波数においても、リップルの相対強度が1ppm未満となることが期待され、測定精度の高い波長分散の評価が可能となる。
本実施形態においては、第1周期内における干渉成分、すなわちサンプリング点数を20、位相量αの計算桁数を小数点以下6桁としているが、このサンプリング点数及び小数点以下の桁数に限定されることなく、必要とするリップルの相対強度をどの程度まで許容できるかにより、リップルの相対強度をどの程度まで低減するかを決定して設定し、サンプリング点数及び小数点以下の桁数を設定すれば良い。なお、位相量πの計算桁数の小数点以下の桁数も位相量αと同様に、リップルの相対強度の低減に応じて決定して設定することが必要なのは言うまでもない。
また、本実施形態においては、上述した位相量αの干渉フリンジデータとして、サンプリングタイムti,6ので測定された成分被測定光信号を用いたが、このサンプリングタイムに限定するものでなく、位相量0及びπ以外の位相シフトであれば、測定された20個の内のいずれを用いても良い。ここで、通常、位相シフトの位相量が接近した値でなければ、位相量の誤差が縮小されるため、リップルの相対強度に与える影響は小さい。
このため、サンプリングタイムti,jの各々において、リップルの相対強度を観察し、リップルの相対強度が必要とする許容範囲にあるサンプリングタイムを、位相量αのサンプリングに用いるかを決定すれば良い。
また、位相シフトの位相量の異なる干渉成分を複数計測し、位相差決定の精度を向上することに対する、位相シフト干渉計による画像処理への応用に関しては、「Applied Optics Vol.39,No.4,pp.585-591,February 1,2000,"Phase-shifting interfermetry with uncalibrated hase shifts,"Xin Chen,Maureen Gramaglia, and John A.Yeazell(参考文献2)」に示されている。
例えば、第1周期の数nが1000であり、周波数掃引周期Tl+1−Tlが1s(秒)とした場合、位相シフト電圧の切替え周期である第1周期Δtは、1秒をn、すなわち1000で除算すると1msとなる。また、サンプリングタイミングの間隔は、第1周期の時間1msを、第1周期における測定点(サンプリング点)の数20で除算すると、50μsとなる。すでに述べたように、線形補間により、位相シフトの各位相量の成分の干渉フリンジデータの総数は、nに20を乗算して20000となる。
このため、周波数成分毎の測定間隔を1/20とする補間処理を行うこととなり、各位相成分毎の干渉信号のデータ点数を20倍とし、20倍とされた光成分の干渉フリンジデータから任意のデータを選択し、波長分散の評価に用いることができる。周波数の掃引が線形的に行われるため、時間経過により測定周波数に対応する位相量を線形関係により決定することができる。その結果、各位相成分に対応する干渉フリンジデータを、容易に補間することができる。
また、被測定光信号は100GHz間隔のITU(International TelecommunicationUnion)グリッドに従うものとして、周波数掃引範囲ν−νを100GHzとする。例えば、被測定光信号がITUグリッドのCバンド31番チャンネルに割り当てられている場合、周波数νおよび周波数νは各々193.05THzおよび193.15THzとなる。この場合、サンプリング間隔は、周波数間隔に換算すると、50MHzとなる。
スペクトル位相の変化分Δφ(ν)の測定精度を向上させるため、各サンプリング点での位相を精度良く求める必要がある。このため、光周波数掃引部9でのバンドパス周波数幅は、上記サンプリング間隔の半分以下の狭さとすることが好ましい。
バンドパス周波数幅が狭いほど、周波数分解の分解能を高くすることができ、周波数に対するスペクトル位相の変化分Δφ(ν)を、高い精度により測定することができる。
ただし、バンドパス周波数幅を狭くすることにより、光検出部11に入射する光量が減少し、測定ノイズの影響が強くなることに注意する必要がある。
しかしながら、本実施形態による反射型スペクトルシアリング干渉計においては、被測定光信号を一方向のみに進行させて伝搬させる透過スペクトルシアリング干渉計に比較し、周波数シフト量を容易に倍とすることができる。この結果、周波数シフトさせていない第1被測定反射光信号と、周波数シフトさせた第2被測定反射光信号との分離を、図2(b)に示したように十分に行うことが可能となるため、バンドパスフィルタの周波数分解能を、実効的に増加させることとなる。したがって、本実施形態によれば、光量を減少させることなく、透過型スペクトルシアリング干渉計に比較して周波数分解能を向上させることができる。
本実施形態においては、バンドパス周波数幅をサンプリング周波数(サンプリング間隔)の1/2、すなわち25MHzとする。このとき、光周波数掃引部9に用いるバンドパス光フィルタのフィネスは、ピーク間隔を透過ピークの半値全幅で除算した値、すなわち4000となる。ここで、光分岐結合部4に対して供給する高周波の周波数(Δν/2)を200MHzとする。このため、第1被測定反射光信号の周波数に対する第2被測定反射光信号の周波数の周波数シフト(Δν)は、干渉計の光路の往復にて400MHzとなる。
ヘテロダインスペクトル干渉計を用いで位相ゆらぎを測定すると、干渉計の経路に使用する光ファイバ長が1m程度であると、位相が180度程度ゆらぐのに要する時定数は5s程度である。したがって、周波数掃引周期が1secに設定されている場合、干渉計の波長分散の評価に対する位相ゆらぎの影響は少ないと予想される。
また、測定精度を向上させるために位相ゆらぎをさらに低減する必要がある場合、周波数掃引周期をさらに短くすればよい。例えば、周波数掃引周期を約0.1secにまで短縮することにより、周波数分散における位相ゆらぎの影響を無視することができる。
また、本実施形態において、光周波数掃引部9が線形に周波数を掃引するとして説明したが、一組の0成分、α成分及びπ成分のサンプリングを行う期間において、掃引が停止されて、一組の0成分、α成分及びπ成分のサンプリングを行う期間において、測定周波数が同一の周波数となるよう、ステップ状に周波数の掃引を行うようにしても良い。
このステップ状に周波数の掃引を行う構成であれば、一組の0成分、α成分及びπ成分の各々の間において、周波数変化が無く、すでに説明した線形補間を行う必要がなくなるため、線形補間を行う構成を空間的に配置する必要がなく、波長分散測定装置の構造をより簡易化することができ、装置を小型化することができる。
さらに、本実施形態においては、従来例のように空間光学系を用いることなく干渉計を校正しているため、光ファイバと空間光学系とのとの間での光の入出力における光損失が発生することがなく、光の強度の低下を抑制し、干渉成分の測定感度を維持し、波長分散を測定することができる。
また、本実施形態においては、位相シフトにおける位相量変化の範囲を、0からπとして説明したが、位相量を0からπ以上2π以下の範囲で変化させるように構成しても良い。特に、位相シフトにおける位相量を0から2πの範囲で変化させることにより、位相シフタ8における位相シフトの位相量の周波数依存性を掃引周波数の全領域で行うことが可能となり、掃引する周波数の全領域で位相の決定精度を向上させることができる。
ただし、この場合、第1周期におけるサンプリング点数を増加、例えばサンプリング点数を20から40に増加させることにより、位相シフトの位相量の決定精度を上げる必要がある。
また、本実施形態によれば、すでに述べたように、反射型スペクトルシアリング干渉計を用いているため、干渉計における第1光ファイバ5及び第2光ファイバ6の各々の分岐経路を、被測定光信号が進行方向(第1被測定光信号、第2被測定光信号)及び反射方向(第1被測定反射光信号、第2被測定反射光信号)に往復して伝搬するため、周波数シフト量を容易に従来の倍とすることができ、周波数シフトさせていない被測定反射光信号と、周波数シフトさせた被測定反射光信号との周波数軸上における重なりを抑止し、周波数分解の際に周波数軸上における波形の分離特性を向上させるため、周波数分解能を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、一定の周波数分解能を得るため、光分岐結合部4に対して供給する高周波を半分とすることができ、倍の周波数を供給する場合に比較して省電力化することができる。
さらに、本実施形態によれば、光位相シフト部8においても位相シフトの量を、往復でαとなるように、片方向ではα/2と半分とすることができるため、印加する電圧を低下させることができ、装置の簡易化とともに低電圧化を行うことができる。
また、本実施形態において、第1終端部11または第2終端部12のいずれかまたは双方の終端部の反射率を可変として構成しても良い。
そして、制御部17は、光分岐結合部4に対して入射される第1被測定反射光信号と第2被測定反射光信号との光強度の差分を、第1光成分の干渉信号及び第2光成分の干渉信号とにより検出する。このとき、制御部17は、この検出した光強度の差分が予め設定した閾値を超える場合、反射率が可変な終端部の反射率を、差分が閾値以下となるように制御する。反射率が可変な終端部は、例えば、反射板として、厚さが位置を変更するごとに徐々に異なるように、厚さが位置により異なるように、厚さの変化に傾きを有するように金属または誘電体膜を基板にコーティングし、どの位置の膜を使用するかにより、反射率の制御を行う。
光強度の測定において、制御部17は、干渉信号を検出する際、フォトディテクタを使用すると、出力される電圧値において、干渉成分は交流電圧成分として検出し、一方、光強度が異なる成分は直流成分として検出することになる。したがって、制御部17は、直流成分が検出されなくなるように、反射板において反射に使用される位置を変更する(反射板のコーティングした膜の厚さを変更する)制御を行う。このとき、光検出部16には交流から直流までの光信号を検出可能なディテクタを用い、また、反射率を変更可能な終端部に反射板を制御部17からの制御信号により可動できる機構を設ける必要がある。
上述した反射率の変更処理は、温度変化により光強度の平衡性が崩れた場合に、リアルタイムに制御する場合の構成である。
また、作成した後に光強度の平衡性を調整するため、作業者が制御部17により干渉信号の測定を行いつつ、対応する反射率となるように、反射板の膜厚を調整するようにしても良い。
また、光強度の平衡性の制御として、上述したように、終端部の反射率を変更するのではなく、第1光ファイバ5または第2光ファイバ6のいずれか、または双方に光強度調整部を介挿し、この光強度調整部により、第1光ファイバ5を伝搬する第1被測定光信号及び第1被測定反射光信号と、第2光ファイバ6を伝搬する第2被測定光信号及び第2被測定反射光信号との光強度が同様となるように、制御部17が調整するように構成しても良い。
光強度の測定については、上述した終端部の反射率を変更する場合と同様であり、光強度調整部としては、アッテネータなどを用いる。
そして、制御部17は、光分岐結合部4に対して入射される第1被測定反射光信号と第2被測定反射光信号との光強度の差分を、第1光成分の干渉信号及び第2光成分の干渉信号とにより検出する。このとき、制御部17は、この検出した差分が予め設定した閾値を超える場合、アッテネータにおける光の減衰率を差分が閾値以下となるように制御する。
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態による波長分散測定装置の説明を行う。第2の実施形態は、第1の実施形態と同様の構成であるが、図3の構成において、制御部17に並列に設けた3つの受信ポート(後述する受信ポートP1、P2及びP3)により、1組の0成分、α成分及びπ成分を、並列に受信する構成を有している。
図7は、光周波数掃引部9の周波数掃引動作と、これに対応した光位相シフト部8の位相シフトの動作と、制御部12における光検出部11からの干渉信号のサンプリングとにおける動作のタイミングを示す波形図である。
図7(a)は、縦軸が電圧であり、横軸が時間であり、光周波数掃引部14の出力するトリガ信号の出力タイミングを示す図である。この図7(a)において、光周波数掃引部14から出力されるトリガ信号のHレベルおよびLレベルは、各々TTL制御に適合するように設定される。
図7(b)は、縦軸が周波数であり、横軸が時間であり、光周波数掃引部14の掃引において出力する共振周波数の時間変化を示している。この図7(b)において、νは掃引開始の周波数(測定周波数の範囲における最低周波数)であり、νは掃引停止の周波数(測定周波数の範囲における最大周波数)である。
図7(c)は、縦軸が電圧であり、横軸が時間であり、光位相シフト部8に印加する位相差を第1周期Δtで変化させる位相シフト電圧の波形を示す図である。位相シフト電圧Vは位相シフトを0度(0成分検出モード)とする際の電圧であり、位相シフト電圧Vπ/2は位相シフトをπ(π成分検出モード)とする際の電圧である。また、0成分及びπ成分の検出を行う位相シフト電圧は、第1周期Δt内において正弦波的に変化する。ここで、αは、ラジアン単位で示す位相量であり、0<α<πして範囲が設定された実数である。したがって、αは0<α<πの範囲において変化する。
図7(d)は、縦軸が電圧であり、横軸が時間であり、制御部17が光検出部16から出力される電気信号である干渉信号を、受信ポートP1、受信ポートP2及び受信ポートP3から並列に時系列データとして受信するサンプリング周期のタイミングを示す図である。本実施形態においては、受信ポートP1が0成分の成分被測定光信号を受信し、受信ポートP2がπ成分の成分被測定光信号を受信し、受信ポートP3がα成分の成分被測定光信号を受信する。
図7(c)及び図7(d)については、第1周期Δtを明確に記載するため、図7(a)及び図7(b)の横幅の時間スケールを拡大し、一部の時間範囲のみを示している。
制御部17は、光検出部16から、位相シフト電圧Vが出力されているとき、受信ポートP1により0成分の成分被測定光信号を受信し、位相シフト電圧Vπ/2が出力されているとき、受信ポートP2によりπ成分の成分被測定光信号を受信し、位相シフト電圧Vα/2が出力されているとき、受信ポートP3によりα成分の成分被測定光信号を受信する。
第2の実施形態も、第1の実施形態と同様に、nを1000とし、周波数掃引周期は1sとし、受信ポートP1から受信ポートP3各々のサンプリング周期は1msecである。
制御部17では、A/D(アナログ/デジタル)変換を行い、光検出部16から電気信号である干渉信号の電圧レベルをデジタルデータとして取得する。制御部17は、電気信号である干渉信号をA/D(アナログ/デジタル)変換処理するA/D変換回路を有している。
したがって、制御部17における干渉信号のA/D変換を行うA/D変換回路の動作速度が、サンプリング周期を短縮したい場合の制限要因となる可能性がある。しかし、本実施形態では、受信ポートP1、受信ポートP2及び受信ポートP3の三系統受信を採用することにより、各受信ポートのサンプリング速度が1ポートのみで受信する場合の1/3となるため、A/D変換回路の動作速度の制限を3倍に上昇させることができる。この場合、制御部17は、受信ポートP1から入力される干渉信号をA/D変換処理するA/D変換回路と、受信ポートP2から入力される干渉信号をA/D変換処理するA/D変換回路と、受信ポートP3から入力される干渉信号をA/D変換処理するA/D変換回路との3個のA/D変換回路を有している。受信ポートP1、受信ポートP2及び受信ポートP3の各々は、干渉信号の1系統、すなわちそれぞれ1個の受信ポートから構成されている。
また、1つの受信ポートにおいて、0成分、π成分及びα成分の各々の測定タイミングを交互に振り分ける必要が無くなるため、データ処理プログラムが簡単になり、データ処理速度を向上させることができる。
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態による波長分散測定装置の説明を行う。図8は第3の実施形態の構成例を示すブロック図である。第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、第1の実施形態と異なる構成について以下に説明する。
第1光ファイバ5と第2光ファイバ6との光路長差を解消する光遅延部7及び被測定光信号の位相をシフトする光位相シフト部8を用いる場合、第1の実施形態の場合には光遅延部7及び光位相シフト部8の各々を異なる光ファイバに接続している。
図3に示す第1の実施形態の構成との対比から判るように、光遅延部7及び光位相シフト部8の各々を異なる光ファイバに設ける必要は無いため、第3の実施形態においては、光遅延部7及び光位相シフト部8とを合体させて一体化し、光遅延部7の光の伝搬を遅延させる機能と、光位相シフト部8の光の位相差をシフトさせる機能とを有する光遅延・光位相シフト部47を、第1光ファイバ5または第2光ファイバ6のいずれか一方に設ける構成としている。第1光ファイバ5または第2光ファイバ6のいずれか一方が他方より光路長が短い場合、一方に光遅延・光位相シフト部47設けて、他方に対する光路長差を補正する。これにより、光遅延部7及び光位相シフト部8とを一体化した光遅延・光位相シフト部47を用いて、第1の実施形態に比較して装置をより小型化することができる。
また、光遅延部7及び光位相シフト部8とを合体させて一体化することにより、光遅延部7と光位相シフト部8とを分離して同一の光ファイバに設ける場合に比較して、光ファイバに発生する残留反射光を低減することができる。このため、第1の実施形態において示した残留反射光の共振によるスペクトルリップルを、より低いレベルに抑制することができる。
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態による波長分散測定装置の説明を行う。図9は、第1の実施形態から第4の実施形態のいずれかによる波長分散測定装置を用いて、光ファイバ伝送路を伝搬する光パルスの分散パラメータを測定する測定方法を説明する図である。この図において、波長分散測定装置66が、第1の実施形態から第3の実施形態のいずれかによる波長分散測定装置である。
モニタ用光分岐部62は、光ファイバ伝送路61の経路中において、波長分散を評価する位置に配置され、光ファイバ伝送路61に伝搬する光パルスを被測定光信号として抽出し、モニタ用光ファイバ63を介して偏波コントローラ64へ出射する。
このとき、モニタ用光分岐部62は、光ファイバ伝送路61における伝搬に影響を与えてしまう程に減衰させないように、光ファイバ伝送路61において伝搬する光パルスのパワーの一部を抽出する。本実施形態において、モニタ用光分岐部62は、光ファイバ伝送路61に伝搬される光パルスのパワーの一部、例えば10%を被測定光信号として、モニタ用光ファイバ63に分岐させる。すなわち、モニタ用光分岐部62の分岐によって、光ファイバ伝送路61を伝搬する光パルスと、モニタ用光ファイバ63を伝搬する被測定光信号とのパワー分岐比は9:1となる。モニタ用光ファイバ63には、例えば、標準分散の単一モード光ファイバを用いる。
偏波コントローラ64は、被測定光信号の偏波状態を直線偏波とし、その偏光軸を入射用光ファイバ65(図3または図8の入射光ファイバ1)の偏光軸(例えば、スロー軸)に揃えた後に、入射用光ファイバ65に被測定光信号を出射する。
入射用光ファイバ65は、偏波保持光ファイバが用いられており、偏光軸が波長分散測定装置66内部の偏波保持光ファイバ(第1光ファイバ5、第2光ファイバ6)との偏光軸に揃える。
以上により、本実施形態においては、光ファイバ伝送路61における波長分散を測定する際、実際に光ファイバ伝送路61を伝搬する光パルスを利用して波長分散の測定を行うため、従来のように専用の光源を用意し、この光源から測定用の光パルスを光ファイバ伝送路61の入射端から入射し、光ファイバ伝送路61の出射端から出力される測定用の光パルスを取り出し、この測定用の光パルスを取り出して波長分散の測定を行う必要が無くなる。
光ファイバ伝送路61の全体における波長分散の測定だけでなく、光ファイバ伝送路61の任意の位置にて、その位置までの距離の波長分散を測定することができ、波長分散の測定位置の自由度を向上させることができる。
また、空間光学系を用いていないため、装置自体が小型化でき、装置を携帯して任意の光ファイバ伝送路の任意の個所において、情報を伝送する役割を担って伝搬する光パルスを用い、この光パルスをモニタするため、特に測定用の光源を必要とすることなく、微小周波数シフトに対するスペクトル位相の変化分Δφ(ν)を測定することにより、光ファイバ伝送路61の波長分散を評価することができる。
<第5の実施形態>
次に、第5の実施形態による波長分散測定装置の説明を行う。図10は、第1の実施形態から第4の実施形態のいずれかによる波長分散測定装置を用いて、光部品を伝搬する光パルスの分散パラメータを測定する測定方法を説明する図である。この図において、波長分散測定装置78が、第1の実施形態から第4の実施形態のいずれかによる波長分散測定装置である。
本実施形態において、被測定対象の光部品の波長分散を測定する際、測定用の特別な光源を用意するのではなく、通常、情報伝達のために伝送する光パルスを光ファイバ伝送路に出力する光送信機を、光源71として用いる。このように、光源71は光ファイバ伝送路に用いられる光源であり、本実施形態においては、干渉信号を光パルスに変換する光トランシーバを用いる。光源71は、入射用光ファイバ72に対して光パルスを被測定光信号として出射する。
入射用光ファイバ72は、被測定対象74としての光部品が配置される光ファイバ伝送路に用いられるのと同様の光ファイバにより構成する。この入射用光ファイバ72には、入射光制御部73が介挿されている。
入射光制御部73は、入射用光ファイバ72を伝搬する被測定光信号のパワー及び偏光状態を制御し、入射用光ファイバ72を介して、制御後の被測定光信号を被測定対象74の入射端に対して出射する。
被測定光信号のパワーを制御することにより、被測定対象74における波長分散のパワー依存性、すなわち波長分散の程度とパワーとの関係を測定して評価することができる。
また、被測定光信号の偏光状態を制御することにより、波長分散の偏光状態依存性、すなわち偏光状態と波長分散の程度との関係を測定して評価することができる。
被測定対象74は、出射端に出射用光ファイバ75の一端が接続され、入射端から入射された被測定光信号を出射端から出射用光ファイバ75に対して出射する。
出射用光ファイバ75は、被測定対象74としての光部品が配置される光ファイバ伝送路に用いられるのと同様の光ファイバにより構成する。
偏波コントローラ76は、入射端に出射用光ファイバ75の他端が接続され、被測定対象74からの被測定光信号が入射される。また、偏波コントローラ76は、出射端に入射用光ファイバ77の一端が接続されている。この入射用光ファイバ77は、偏波保持光ファイバが用いられており、偏光軸が波長分散測定装置78内部の偏波保持光ファイバ(第1光ファイバ5、第2光ファイバ6)との偏光軸に揃える。
偏波コントローラ76は、被測定光信号の偏波状態を直線偏波とし、その偏光軸を入射用光ファイバ77(図3または図8の入射光ファイバ1)の偏光軸(例えば、スロー軸)に揃えた後に、入射用光ファイバ77に被測定光信号を出射する。
また、被測定対象74としては反射型の光部品であっても良い。反射型の光部品である場合、被測定対象74における入射端と出射端とは同一となり、被測定対象74への入射用光ファイバ72と、被測定対象74からの出射用光ファイバ75とはサーキュレータを介して接続することになる。
上述のように、本実施形態によれば、空間光学系を使用せずに、装置を小型化することができ、装置を携帯していずれの場所においても、被測定対象とする光部品内を伝搬した光信号を被測定光信号とし、微小周波数シフトに対するスペクトル位相の変化分Δφ(ν)を測定することにより、実際に光部品内を伝搬する光パルスを用いて測定対象とする光部品の波長分散を評価することができる。
<第6の実施形態>
次に、第6の実施形態による波長分散測定装置の説明を行う。第6の実施形態による波長分散測定装置は、第1の実施形態から第5の実施形態のいずれの構成においても実施することが可能であり、以下図3を用いて説明する。
第6の実施形態は、図3における光周波数掃引部14に入射される合波被測定光信号の偏光方向を、光周波数掃引部14におけるバンドパス光フィルタの偏光軸に一致する制御を行い、スペクトル分解特性を向上させる構成となっている。以下の説明において、第1の実施形態から第5の実施形態と異なる構成のみの説明を行う。
光周波数掃引部14には、周波数に対する分解能を向上させるため、バンドパス周波数幅が狭く、フィネスが高いバンドパス光フィルタを用いる。
このバンドパス光フィルタの一例として、光ファイバ中にQ値の高い共振器を設けて構成された光素子がある。
このように、バンドパス光フィルタ自身が光ファイバで構成されていると、すでに説明した実施形態1から実施形態5の波長分散測定装置の構成をさらに小型化かつ軽量化するのに有利となる。
一方、バンドパス光フィルタにおいて、偏波保持光ファイバを用いず、偏波非保持光ファイバ(以下、光ファイバ)を用いた場合、固定状態などにより光ファイバに対して歪が印加されると、入射する光の偏光方向に対して屈折率が異なる偏光依存性が発生する。この結果、バンドパス光フィルタにおいて、偏光方向によってバンドパス周波数幅が拡がったり、バンドパス周波数帯が単一でなく偏光方向に依存して複数存在し、周波数分解能が劣化するという問題が発生する。
このバンドパス光フィルタに偏光依存性が発生する問題を解決するため、バンドパス光フィルタで構成された光周波数掃引部14の前段に偏波コントローラを設け、入射する光の偏光方向がバンドパス光フィルタを構成する光ファイバの特定の偏光軸に一致するように調節し、偏光依存性を解消する構成とすればよい。ここでは、偏波コントローラは、入射される合波被測定光信号の偏光方向を、バンドパス光フィルタに用いる光ファイバのスロー軸に一致させるものとする。
図11に、入射する光の偏光方向がバンドパス光フィルタを構成する光ファイバの単一の偏光軸(例えば、スロー軸)に一致するように調節するための構成例を示す。図11における光ファイバ81は図3の出射光導入光ファイバ13に対応し、図11における84を光周波数掃引部とした場合は、図3の光周波数掃引部14に対応し、図11における光ファイバ85は偏波非保持光ファイバであり、図3の出射光ファイバ15に対応している。
本実施形態においては、偏光を制御する目的のため、図11の入射側の光ファイバ81及び接続光ファイバ83は偏波保持光ファイバとする。偏波コントローラ82は、入射端に対して光ファイバ81の出射端が接続され、出射端に接続光ファイバ83の入射端が接続されている。また、偏波コントローラ82は、光ファイバ81を介して入射される合波被測定光信号の偏光方向を光周波数掃引部84におけるバンドパス光フィルタを構成する光ファイバのスロー軸に一致させた後、接続光ファイバ83に対して出射する。
これにより、光周波数掃引部84は、接続光ファイバ83を介して、内部のバンドパス光フィルタを構成する光ファイバのスロー軸に偏光特性が一致した合波被測定光信号を、光循環部2を介して光分岐結合部4から入射する。
そして、84が光周波数掃引部の場合、光周波数掃引部84は、測定周波数の範囲においてバンドパス周波数幅を掃引することにより、合波被測定光信号を周波数分解して、成分被測定光信号として、光ファイバ85を介して光検出部16に対して出射する。
上述したように、偏波コントローラ82が合波被測定光信号の偏光方向を、光周波数掃引部84におけるバンドパス光フィルタを構成する光ファイバの偏光軸に合わせることにより、偏光方向によるスペクトル分解特性の劣化を防止することができ、周波数分解特性の精度を向上させることができる。
なお、光周波数掃引部84におけるバンドパス光フィルタを構成する光ファイバが偏波保持光ファイバである場合、光ファイバ81を偏波保持光ファイバとすることにより、偏波コントローラ82を省略することができる。すなわち、入射側の光ファイバ81の偏光方向と、光周波数掃引部84におけるバンドパス光フィルタを構成する光ファイバとの偏光方向とを揃えて、直接に接続すればよい。
以上により、波長分散測定装置の全ての光の伝送経路を光ファイバベースとする光部品で構成する場合において、光周波数掃引部84における周波数分解(スペクトル分解特性)の精度の劣化を防止することができる。
<第7の実施形態>
次に、第7の実施形態による波長分散測定装置の説明を行う。第7の実施形態による波長分散測定装置は、第1の実施形態から第3の実施形態のいずれかの波長分散測定装置を用い、光信号発生器で発生した光パルスの分散パラメータを測定する。図12は、第1の実施形態から第3の実施形態のいずれかの波長分散測定装置を用い、光パルス伝送路を伝搬する、光信号発生器91で発生した光パルスの分散パラメータを測定する方法を説明する図である。
また、この図9において、波長分散測定装置97が第1の実施形態から第3の実施形態のいずれかの波長分散測定装置である。
図12に示す分散パラメータの測定系は、光信号発生器91、光ファイバ伝送路92、偏波コントローラ93、光ファイバ94、波長チャンネル選択フィルタ95、入射用光ファイバ96及び波長分散測定装置97とから構成されている。光ファイバ94及び入射用光ファイバ96は、偏波保持光ファイバが用いられる。
光信号発生器91は、光トランスポンダ/光トランシーバ及び波長合成器を備えて構成されており、光ネットワークに用いられる光伝送装置における光パルスを発生する光信号発生部として機能する。
また、光信号発生器91は、光出力端が光ファイバ伝送路92の一端に接続されている。
光ファイバ伝送路92は、光ネットワークに使用される光ファイバケーブルが構成の基本要素であり、全長が使用の対象とする光ネットワークに応じて決定される。例えば、海底光ファイバネットワークの場合には、光ファイバ伝送路92の全長が1000km以上となることがある。
また、光ファイバ伝送路92の全長が長くなり、伝送路の途中に光中継装置を介挿される際、光中継装置を通した光パルスの分散パラメータを評価する必要があり、この場合、光ファイバ伝送路92には光増幅器など光中継装置に用いられる機器が介挿される。
本実施形態における光信号発生器91は、構成要素の光トランスポンダ/光トランシーバが、例えば、連続発信する半導体レーザと、伝送するデータに従ってこの半導体レーザの出射光をコーディング、すなわち変調するための光変調器とを有している。この光変調器は、データの変調フォーマットとして、例えば、10Gbps−NRZ(non−riturn to zero)強度変調、または40Gbps−DQPSK(differential quadrature phase−shift keying)変調を用いる。
したがって、本実施形態において測定対象とする被測定光信号には、上述した10Gbps−NRZや40Gbps−DQPSK等の変調フォーマットの光信号が含まれる。ただし、本実施形態において測定対象とする被測定光信号は、これらの変調フォーマットに限られず、その他QAM(quadrature amplitude modulation)などの研究開発段階にある、これから実用化される変調フォーマットのものも含む。
光ファイバ伝送路92は、他端が偏波コントローラ93の光入力端へ接続されている。
偏波コントローラ93は、光ファイバ伝送路92から光入射端に入射される被測定光信号の偏波状態を直線偏波に変換し、被測定光信号の偏光軸を入射用光ファイバ96(図3または図8の入射光ファイバ1)の偏光軸(例えば、スロー軸)に揃えた後、被測定光信号を光出射端に一端が接続されている光ファイバ94へ出射する。
波長チャンネル選択フィルタ95は、光入射端に対して光ファイバ94の他端が接続されており、光ファイバ94を介して偏波コントローラ93から被測定光信号が入射される。
この波長チャンネル選択フィルタ95は、入射される被測定光信号から、波長分散測定装置97において評価する対象となる波長チャンネルの光信号を選択的に透過させ、波長分散測定装置97に対する被測定光信号として、光出射端から出射する。
また、波長チャンネル選択フィルタ95は、図12において、偏波コントローラ92の後段に配置されているが、偏波コントローラ92の前段に配置するようにしても良い。
すなわち、偏光軸を入射用光ファイバ96に合わせた被測定光信号が、波長チャンネル選択フィルタ95により、偏波状態が著しく変化してしまう場合、上述したように、波長チャンネルを選択した後、波長チャンネルの光信号の偏光軸を揃える処理が行われるように、波長チャンネル選択フィルタ95の後段に偏波コントローラ93を配置する構成が好ましい。この場合、光ファイバ伝送路92と光ファイバ94との間に波長チャンネル選択フィルタ95が設けられ、光ファイバ94と入射用光ファイバ96との間に偏波コントローラ93が設けられる。また、この波長チャンネル選択フィルタ95の後段に偏波コントローラ93を配置する構成の場合には、光ファイバ94は、偏波保持光ファイバである必要はない。
上述した本実施形態による波長分散測定装置によれば、波長チャンネル選択フィルタ95が透過する周波数チャネルを変化させることにより、光信号発生器91を構成する光トランスポンダ/光トランシーバのチャープ特性を評価することができる。このチャープ特性(周波数チャープ量)の評価を行う場合、光ファイバ伝送路92に代え、より短い短尺(例えば、数メートル)の光ファイバパッチコードを用いても良い。この光ファイバパッチコードは、標準分散単一モード光ファイバ、または分散シフト光ファイバなどの光ファイバで構成されている。
なお、本実施形態において用いた波長チャンネル選択フィルタ95は、波長多重伝送において用いられる多重された波長チャンネルのいずれかの周波数を選択する用途で用いており、本発明の他の実施形態においても使用が可能である。
例えば、第4の実施形態の波長分散測定装置において、モニタ用分岐部62の後段、すなわちモニタ用分岐部62と波長分散測定装置66との間に、波長チャンネル選択フィルタ95を設けることで、多重された波長チャンネルのいずれか一つの波長チャネルの被測定光信号を抽出し、この一つの波長チャネルの波長分散特性を評価することができる。
<第8の実施形態>
次に、図13を参照して、第8の実施形態による波長分散測定装置の構成及び機能を説明する。図13は、第8の実施形態による波長分散測定装置の構成例を示すブロック図である。第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、第1の実施形態と異なる構成及び動作について以下に説明する。
図13において、本実施形態の波長分散測定装置は、図3の第1の実施形態の波長分散装置の光循環部2と光周波数掃引部14との間に光入力切替部101が介挿される構成となっている。また、本実施形態の波長分散測定装置には、校正用光源103が設けられている。
このため、本実施形態においては、図3の第1の実施形態による波長分散測定装置における結合用経路である結合用光ファイバ13が、接続光ファイバ107、光入力切替部101、接続光ファイバ102、校正用光源103及び接続光ファイバ104に置き換えられている。
本実施形態においては、光循環部2の第1出射端に接続光ファイバ107の一端が接続されている。光入力切替部101は、2つの光入射端のいずれか一方(第6入射端)が接続光ファイバ107の他端に接続され、2つの光入射端の他方(第7入射端)が接続光ファイバ102の一端に接続されている。接続光ファイバ102の他端は校正用光源103の光出射端に接続されている。光入力切替部101の出射端(第5出射端)には接続光ファイバ104の一端が接続されており、接続光ファイバ104の他端は光周波数挿引部14の入射端に接続されている。また光入力切替部101には、2つの光入射端から入射される光信号のいずれかを光出射端から出射するかの制御信号が光入力切替制御線105を介して、制御部17から供給される。
校正用光源103は、光出射端が接続光ファイバ102の他端に接続され、制御部17からの周波数制御を行う制御信号が供給される校正用光源制御線106の一端が接続されている。制御部17には、校正用光源制御線106の他端が接続されている。
光入力切替部101は、制御部17からの光入力を2つの光入射端のいずれから行うか、すなわち光循環部2からの被測定光信号を光周波数挿引部14へ供給するか、あるいは校正用光源103の出力する校正光を光周波数挿引部14へ供給するかを制御する制御信号が供給される光入力切替制御線105の一端が接続されている。制御部17には、光入力切替制御105の他端が接続されている。
上述した波長分散測定装置において、制御部17は、接続光ファイバ107を介して光循環部2から入射される被測定光信号と、接続光ファイバ102を介して校正用光源103から入射される校正光と、のいずれを光周波数掃引部14の光入射端へ出射するかを制御する電気信号(制御信号)を、光入力切替制御線105を介し、光入力切替部101へ出力する。
そして、光入力切替部101は、接続光ファイバ102から入射される校正光を出力することを示す制御信号が制御部12から供給された場合、接続光ファイバ102から入射される校正光を光出射端から、接続光ファイバ104を介して光周波数掃引部9の光入射端へ出射する。
ここで、光周波数掃引部14は、接続光ファイバ104から入射される校正光を、すでに第1の実施形態において説明した被測定光信号に対する周波数掃引と同様の処理を行い、出射光光ファイバ10を介して、掃引によって得られた成分被測定光信号を光検出部11へ出射する。
そして、光検出部11は、接続光ファイバ104を通過する光信号として校正光を選択した状態において、出射光光ファイバ15から入射される校正光を電気信号に変換して、この変換した電気信号を制御部12へ出力する。
制御部12は、校正用光源103の出射する校正光の光周波数を変化させ、入力される電気信号を測定する。この結果、周波数掃引部14において周波数掃引される光周波数の校正を行うことができ、測定する光周波数の変動を解消することができる。
例えば、光周波数掃引部14には、光ファイバエタロンを用いたチューナブル光フィルタが用いられている。このチューナブル光フィルタは、一般的に、光ファイバエタロンの透過光周波数をPZT(preparation of lead zirconate titanate)などの圧電素子で光ファイバを伸縮させることにより、透過光周波数を可変としている。この圧電素子を用いたチューナブル光フィルタは、圧電素子の駆動電圧の変動、あるいはコントローラの電圧変動により、掃引周波数が変動してしまう。
したがって、この掃引光周波数の変動により、成分測定光信号の周波数の変動を解消するために、校正用光源103の校正光の周波数に対して、チューナブル光フィルタの掃引光周波数(透過周波数)のずれを校正する必要がある。
校正用光源103は、制御部12から校正用光源制御線106を介して送信される制御信号(制御コマンドまたは制御電気信号)により、接続光ファイバ102に出射する校正光の周波数を制御する。
制御部17は、光入力切替部101における被測定光信号と校正光とのいずれを出射するかの制御を、光周波数掃引部14における周波数掃引及び校正用光源103の校正光の光周波数の制御と同期させることにより、被測定光信号の波長分散測定と、被測定光信号の周波数の校正とを交互に、もしくは一定の時間間隔毎に測定光周波数の校正を行うことができる。光周波数掃引部14の掃引周波数の変動の状態に応じて校正の間隔を調整するば良い。これにより、光周波数掃引部14を透過する光周波数がずれたとしても、校正光により周波数のずれを校正することができ、正確に周波数毎の分散パラメータを測定することができる。
制御部17は、光周波数掃引部14の透過させる周波数帯が掃引ごとに変動することを、校正用光源103の出力する校正光が光周波数掃引部14から透過される際に強度が最大になる波長を決定することにより検出している。
また、光周波数掃引部14の透過する光周波数のずれが測定精度に比較して大きくない場合、予め設定した一定の時間毎に被測定光信号の周波数の校正を行うようにしても良い。
校正用光源103の構成としては、波長校正・波長安定化制御がなされているもので、例えば、以下に示す5種類の構成のいずれかを用いると良い。
(1)単一縦モードにて発振するレーザ素子からなる構成
(2)単一縦モードで発振し、互いに発振波長が異なる複数のレーザ素子を用い、互いに異なる発振波長のいずれを校正光とするかを光スイッチにより選択する構成(ここで、光スイッチの切替は制御部17により制御される)
(3)単一縦モードで発振し、発振波長が可変であるチューナブルレーザ素子であり、発振波長を制御部17からのコマンド(制御命令)あるいは電気制御信号に従って可変する構成(ここで、コマンドは発振波長を示す制御データであり、電気制御信号は例えば発振波長に対応した電圧値などである)
(4)広帯域光源からの光信号を光フィルタにより透過させ、透過した光のピーク波長あるいは周波数幅を制御部17からのコマンドあるいは電気制御信号に従って可変する構成
(5)縦モードがマルチモードであるレーザ素子あるいは光周波数コム(optical frequency comb)光源であり、ピーク波長の周波数周期を制御部17からのコマンドあるいは電気制御信号にしたがって可変する構成
また、本実施形態における校正用光源103の構成は、上述した(1)から(5)の構成に限定するものではない。
また、本実施形態にの説明における光周波数の構成機能を付加する構成については、第1の実施形態による波長分散測定装置に基づいて説明したが、本発明の第1の実施形態以外の他の実施形態による波長分散測定装置に対しても容易に適用できる。
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
1…入射光ファイバ 2…光循環部 3,83…接続光ファイバ 4…光分岐結合部 5…第1光ファイバ 6…第2光ファイバ 7…光遅延部 8…光位相シフト部 11…第1終端部 12…第2終端部 13…出射光導入光ファイバ 14,84…光周波数掃引部 15…出射光ファイバ 16…光検出部 17…制御部 18…位相制御線 19…周波数制御線 20…検出制御線 47…光遅延・光位相シフト部 61…光ファイバ伝送路 62…モニタ用光分岐部 63…モニタ用光ファイバ 64,76,82,93…偏波コントローラ、 65,72,77,96…入射用光ファイバ、 66,78,97…波長分散測定装置 71…光源 73…入射光制御部 74…被測定対象 75…出射用光ファイバ 81,85,94…光ファイバ 91…光信号発生器 92…光ファイバ伝送路 93…偏波コントローラ 95…波長チャンネル選択フィルタ 101…光入力切替部 103…校正用光源 102,104,107…接続光ファイバ 105…入力切替制御線 106…校正用光源制御線

Claims (15)

  1. 測定対象から入射される被測定光信号を伝搬する、偏波保持特性を有する光ファイバで構成された入射経路と、
    前記入射経路に接続された第1入射端から被測定光信号を入射し、当該被測定光信号を第1入出射端から出射し、また当該第1入出射端から入射される合波被測定光信号を第1出射端から出力する光循環部と、
    一端が前記第1入出射端に接続された、偏波保持特性を有する光ファイバで構成された第1接続経路と、
    前記第1接続経路の他端に接続された第2入出射端から前記被測定光信号を、第1被測定光信号及び第2被測定光信号の2つに分離し、前記第1被測定光信号を第3の入出射端から出射し、また前記第1被測定光信号と同一の偏光方向であり、かつ当該第1被測定光信号に対し、予め設定した周波数分シフトさせた前記第2被測定光信号を第4の入出射端から出射し、一方、前記第3の入出射端から入射される第1被測定反射光信号と、前記第4入出射端から入射される第2被測定反射光信号を第1被測定反射光信号に対して前記周波数分シフトさせた信号とを合波し、この合波による干渉結果として前記合波被測定光信号を、前記第2入出射端から出射する光分岐結合部と、
    一端が前記第3入出射端に接続された、偏波保持特性を有する光ファイバで構成された第1分岐経路と、
    一端が前記第4入出射端に接続された、偏波保持特性を有する光ファイバで構成された第2分岐経路と、
    前記第1分岐経路の他端に接続された第5入出射端から入射される第1被測定光信号を全反射し、前記第1被測定反射光信号として前記第5入出射端から前記第1分岐経路へ出射する第1終端部と、
    前記第2分岐経路の他端に接続された第6入出射端から入射される前記第2被測定光信号を全反射し、前記第2被測定反射光信号として前記第6入出射端から前記第2分岐経路へ出射する第2終端部と、
    前記第1分岐経路及び前記第2分岐経路のいずれか一方に設けられ、設けられた分岐経路を伝搬する光測定光信号の位相α(ラジアン単位、αは実数であり0≦α≦2π、iは整数であり3≦i)を周期的に変化させる光位相シフタと、
    前記第1出射端に接続され、前記合波被測定光信号を伝搬させる光ファイバで構成された測定結合用経路と、
    前記測定結合用経路に接続された第2入射端から前記合波被測定光信号を入射し、前記
    合波被測定光信号を通過させる周波数範囲を掃引し、前記合波被測定光信号から前記周波数範囲のスペクトル成分を抽出する周波数分解を行い、周波数分解の結果を成分被測定光信号として第2出射端から出射する光周波数掃引部と、
    前記第2出射端に接続され、前記成分被測定光信号を伝搬させる光ファイバで構成された出射光経路と、
    前記出射光経路に接続された第3の入射端から前記成分被測定光信号を入射し、該成分被測定光信号を電気信号に変換し、変換結果を干渉信号とする光検出部と、
    前記光位相シフタの位相の変化に同期させ、前記位相シフタの位相を変化させる一周期内においてiが増加される毎に、前記第1被測定光信号と前記第2被測定光信号との位相αにおける光成分に対応する前記干渉信号を時系列的に取得する制御部と
    を有することを特徴とする波長分散測定装置。
  2. 前記iの取り得る値の範囲がmである場合、
    前記制御部が、
    前記第i光成分の各々に対し、周波数成分毎の測定間隔を1/mとする補間処理を行うことにより、全干渉信号のデータ点数をm倍とする
    ことを特徴とする請求項1に記載の波長分散測定装置。
  3. 前記αの要素の総数が3以上(i≧3)であり、
    前記制御部が、当該要素から3つの要素として、位相αの第1光成分、位相αの第2光成分及び位相αの第3光成分を抽出し、当該第1光成分、当該第2光成分及び当該第3光成分の各々から前記干渉信号を取得する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の波長分散測定装置。
  4. 前記制御部が、前記第1光成分の前記干渉信号を受信する第1受信部と、前記第2光成分の前記干渉信号を受信する第2受信部と、前記第3光成分の前記干渉信号を受信する第3受信部とを有していることを特徴とす請求項に記載の波長分散測定装置。
  5. 前記αiの要素の総数が20以上(i≧20)であることを特徴とする請求項3に記載の波長分散測定装置。
  6. 前記第1終端部または前記第2終端部のいずれかまたは双方の終端部の反射率が可変であり、
    前記制御部が、前記光分岐結合部に入射される前記第1被測定反射光信号と前記第2被測定反射光信号との光強度の差分を、前記第1光成分の干渉信号及び第2光成分の干渉信号との波形における直流成分の電圧値により検出し、当該電圧値が予め設定した閾値を超える場合、反射率が可変な前記終端部の反射率を、前記電圧値が前記閾値以下となるように制御することを特徴とする請求項から請求項5のいずれか一項に記載の波長分散測定装置。
  7. 前記第1分岐経路または第2分岐経路のいずれかまたは双方に光強度調整部が介挿されており、
    前記制御部が、前記光分岐結合部に入射される前記第1被測定反射光信号と前記第2被測定反射光信号との光強度の差分を、前記第1光成分の干渉信号及び第2光成分の干渉信号との波形の電圧値により検出し、当該電圧値が予め設定した閾値を超える場合、前記光強度調整部により、前記第1被測定反射光信号と前記第2被測定反射光信号とにおける反射率の強度の差分である前記電圧値を、前記閾値以下となるよう制御することを特徴とする請求項から請求項5のいずれか一項に記載の波長分散測定装置。
  8. 前記第1分岐経路及び前記第2分岐経路のいずれか一方に設けられ、前記第1分岐経路
    と前記第2分岐経路との光路長差を調節する光遅延部をさらに有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の波長分散測定装置。
  9. 前記第1分岐経路及び前記第2分岐経路のいずれか一方に前記光遅延部が設けられ、前記位相シフタが他方に設けられることを特徴とする請求項8に記載の波長分散測定装置。
  10. 前記第1分岐経路及び前記第2分岐経路のいずれか一方に、前記光遅延部及び光位相シフタが一体化して設けられていることを特徴とする請求項8に記載の波長分散測定装置。
  11. 前記制御部が、測定範囲における測定周波数の掃引毎に、測定単位として前記干渉信号毎に前記第1光成分、第2光成分及び前記第3光成分をデータグループとして時系列に取得することを特徴とする請求項から請求項10のいずれかに記載の波長分散測定装置。
  12. 前記光結合部の前記第3出射端から出射する前記合波光信号を第1光ファイバを介して前記第6入射端から入射し、校正用光源の出射端から出射する校正光を第7出射端から入射し、前記合波信号もしくは前記校正光のいずれかを選択して前記第5出射端から出射する光入力切替部を有し、
    該光入力切替部で選択した前記合波光信号もしくは前記校正光を第2光ファイバを介して前記光周波数挿引部の前記第4入射端に入射させ、前記結合用経路中に、前記結合用経路を伝搬する光として前記合波被測定光信号と前記構成用光源の出射端から出射する前記校正光とを切替える手段を有することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれかに記載の波長分散測定装置。
  13. 前記測定結合用経路を偏波保持特性を有する光ファイバで構成し、前記測定結合用経路の後段に、前記合波被測定光信号の偏光方向を制御する偏波コントローラを挿入し、当該偏波コントローラと前記光周波数掃引部との間を偏波保持特性を有する第3光ファイバにより接続していることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の波長分散測定装置。
  14. 前記請求項から請求項13のいずれかの波長分散測定装置を用いて、測定対象の波長分散を求める波長分散測定方法であって、
    前記測定対象である光伝送路の波長分散を評価する部分に分岐部を設け、偏波制御部が該分岐部より得られる被測定光信号の偏波を直線偏波に制御し、前記波長分散測定装置内を伝搬する偏光軸に揃え、該波長分散測定装置に前記入射経路を介して被測定光信号を入射させ、前記第1光成分及び前記第2光成分の前記干渉信号から被測定光信号のスペクトル位相の変化分を求め、前記測定対象における波長分散を評価することを特徴とする波長分散測定方法。
  15. 前記請求項1から請求項13のいずれかの波長分散測定装置を用いて、測定対象の波長分散を求める波長分散測定方法であって、
    前記測定対象の出射端から出射される光信号の偏波を直線偏波に制御し、前記波長分散測定装置内を伝搬する偏光軸に揃えた被測定光信号とし、当該測定対象が複数の波長チャンネルを含む場合には、前記測定対象から出射される前記被測定光信号から、単一の波長チャンネルの光信号を抽出し、抽出した前記被測定光信号を前記波長分散装置に入射して、当該被測定対象における波長分散を評価することを特徴とする波長分散測定方法。
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