JP2006308503A - 被測定体の清浄度測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 画像認識装置等の特別な装置を要することなく、ガラス基板等の被測定体の清浄度を高速に且つ簡便に測定する。
【解決手段】
ガラス基板等の被測定体1の表面に液滴10をディスペンサ2により滴下する。被測定体1は、予めある程度の洗浄仕上げがされているため、滴下された液滴10は時間の経過とともに円形に広がっていく。被測定体1の下部にはスケールであるスクリーン3が配置され、被測定体1の上部から光を供給すると、液滴10の像がスクリーン3に投影される。スクリーン3にはX軸及びY軸からなる目盛Mが形成されており、当該目盛Mとスクリーン3に投影された液滴10の像とに基づいて、被測定体1の清浄度を測定する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、透明性の被測定体を洗浄した後に、その清浄度を測定する被測定体の清浄度測定方法に関するものである。
光学素子は、透明性のガラス基板に対して切断、研磨、成膜等の工程を繰り返し行って得られるものであり、その製造過程において、主に有機汚れ、他にもパーティクルや不純物等(以下、総称して「汚れ」という)が基板表面に付着することになる。基板表面に汚れが付着していると、光学的機能が損なわれることになる。そこで、最終的には、基板表面の洗浄を行い、汚れを除去する必要がある。
上記の洗浄が行われる基板等(以下、被測定体という)は、洗剤による洗浄や超音波洗浄等が行われ、その後リンスが行われる。そして、リンス後に乾燥処理を行って洗浄工程が終了する。被測定体にはかかる洗浄が行われるが、洗浄後の被測定体の清浄度(洗浄度)は高いものでなくてはならない。例えば、リンス液の汚損や、乾燥処理を行うときに乾燥ムラが生じていた場合には、被測定体の清浄度が低いため、光学的機能が損なわれることになる。そこで、被測定体の洗浄工程が終了したときには、被測定体の清浄度の検査を行い、清浄度が低い被測定体については再度の洗浄が行われる。
このため、被測定体の清浄度を測定する必要があるが、その測定方法として、被測定体表面に液滴を滴下して、被測定体表面と液滴との接触角を測定する方法(接触角法)及び被測定体表面に滴下された液滴が広がった後の面積を画像認識して清浄度を測定する方法が、例えば特許文献1に開示されている。
特開2004−351255号公報
特許文献1に記載されているように、接触角法は被測定体の側方から光学式顕微鏡を使用して、液滴の高さ及び半径から接触角を算出し、接触角が基準角度以下であるか否かによって基板の清浄度を測定している。このとき、液滴の高さを測定するために、光学式顕微鏡の光軸を高精度に調整する必要があり、従って光軸調整のために時間がかかることになる。測定を開始するまでに長い時間がかかるとタイムロスという問題だけではなく、長時間の経過により被測定体表面に滴下した液滴の一部又は全部が蒸発してしまい、正確な測定を行うことができないという問題がある。また、光軸調整には高い熟練度が必要となり、測定者によっては異なる結果が生じるという問題もある。さらに、接触角法では光学式顕微鏡が必要となるため、コストがかかることになる。
また、特許文献1には、被測定体表面で広がった後の液滴の面積から被測定体表面の清浄度を測定する方法も開示されている。この方法では、液滴を含む所定エリアを光学式画像認識装置により画像認識し、所定エリアのうち広がった液滴を含むエリアの面積と含まないエリアの面積との光学的差異から、液滴の濡れ性を測定している。従って、画像認識を行うために専用の光学式画像認識装置が必要になるという問題がある。
そこで、本発明は、簡便に且つ高速に被測定体の清浄度を測定することができる被測定体の清浄度測定方法を提供することを目的とする。
本発明の被測定体の清浄度測定方法は、洗浄された透明性の被測定体表面に液滴を滴下し、前記被測定体表面に広がった前記液滴の像を、前記被測定体表面の下部に配置され、目盛を有するスクリーンに投影し、このスクリーンに投影された前記液滴の像の大きさと前記目盛とに基づいて前記被測定体の清浄度を測定することを特徴とする。
本発明の被測定体の清浄度測定方法は、画像認識装置等の特別な装置を必要とすることなく、簡便に且つ高速に被測定体の清浄度を測定することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1に示されるように、本発明の被測定体の清浄度測定方法は、被測定体1とディスペンサ2とスクリーン3と保持部材4とを有し、これらを使用して被測定体1の清浄度の測定が行われる。
被測定体1はガラス基板等の透明な部材であり、予め高い洗浄力で洗浄が行われ、リンス及び乾燥処理がされているものとする。被測定体1を洗浄する方法としては、洗剤による洗浄や超音波洗浄等の洗浄方法を適用することができる。このとき、被測定体1は、複数の被測定体1を収容可能な治具(図示せず)に収容されて洗浄が行われる。従って、一度の洗浄で複数の被測定体1が洗浄されることになる。そして、洗浄後の複数の被測定体1の中から任意の1つの被測定体1を選択して、当該被測定体1の洗浄度を測定する。勿論、上記のように複数の被測定体1を一度に洗浄するものに限定されず、被測定体1を1枚ずつ洗浄して(毎葉式)、夫々清浄度の測定を行うものであってもよい。
ディスペンサ2は液滴10を吐出するものであり、1回の吐出量は必ず一定量となるように制御される。液滴10としては主に純水が使用されるが、純水に限定されることはない。純水は予め清浄度測定のための専用のものを用意してもよいが、例えば洗浄工程の最後の工程で使用された純水を使用してもよい。一般に、被測定体を洗浄するときには、洗浄仕上げのレベルを高いものにするために、1つの洗浄槽ではなく複数の洗浄槽を使用し、複数工程に分けて被測定体の洗浄を行う。従って、最初の工程では被測定体を洗浄したときに洗浄水が汚れることになるが、最後の工程で使用される純水はほとんど汚れることはない。かかる純水は清浄度測定の利用に供することもできるため、清浄度測定のための専用の純水によらなくても、被測定体を洗浄する最後の工程の純水を使用して清浄度の測定を行うこともできる。
スクリーン3は、図2に示されるように、横軸(X軸)及び縦軸(Y軸)の2軸の目盛Mを有する平面状の非透明性のスケールである。スクリーン3は被測定体1の下部に配置され、被測定体1の上部から自然光等の光が供給されると、被測定体1に滴下された液滴10の像がスクリーン3に投影される。
保持部材4は被測定体1を固定して保持するための部材であり、保持部材4に形成されている保持部4Aにより被測定体1を当接して保持を行う。そして、保持部材4はスクリーン3の目盛MのX軸方向及びY軸方向に可動する構成を採用する。例えば、保持部材4がX軸方向及びY軸方向に動作可能とするためにガイドレールを設けて、X軸方向及びY軸方向に保持部材4を動作させる送りねじを設けてもよい。勿論、保持部材4がX軸方向及びY軸方向に可動するものであれば、任意の可動機構を使用することができる。このとき、被測定体1を保持する保持部材4が可動するため、スクリーン3は固定されているものとする。逆に、被測定体1を保持する保持部材4を固定する場合は、スクリーン3は可動する構成を採用する。
ところで、図1において、被測定体1の液滴10が滴下されている面の反対面1Rとスクリーン3の目盛Mが形成されている面3Fとの間にはある程度の間隔が設けられている。スクリーン3には被測定体1の液滴10の像が投影されるため、上記の2つの面(1R、3F)が当接していると、スクリーン3に投影された液滴10の像を視認することができない。そこで、被測定体1の上記反対面1Rとスクリーン3の目盛Mが形成されている面3Fとの間は、良好な視認性を確保する程度に適度に離間しているものとする。なお、被測定体1は透明性の部材であるため、被測定体1にある程度の厚みが存するものであれば、スクリーン3に投影された液滴10の像を視認することができるため、この場合は、上記した2つの面(1R、3F)が当接していてもよい。
以上の構成を採用したときの具体的な洗浄度測定方法について説明する。最初に、高い洗浄度で仕上げられた被測定体1の端部を保持部材4の当接部4Aに当接するように載置する。そして、図1に示されるように、被測定体1の表面にディスペンサ2から液滴10を滴下する。ここで、高い位置から被測定体1の表面に液滴10を滴下すると、位置エネルギーが運動エネルギーに変化し、被測定体1の表面にエネルギーを持って衝突する。液滴10の被測定体1への衝突のエネルギーが高すぎると、液滴10そのものが分散してしまうため、被測定体1の清浄度の測定を行うことができなくなる。そこで、液滴10が分散しない程度の高さからディスペンサ2は液滴10を滴下する。
被測定体1の表面の清浄度が低い場合には、表面の濡れ性が低いため、液滴10は広がらないか、又は広がったとしても大きく広がらない(接触角は大きい)。逆に、被測定体1の表面の清浄度が高い場合には、表面の濡れ性が高いため、液滴10は大きく広がることになる(接触角は小さい)。そこで、被測定体1の清浄度の測定は、液滴10を被測定体1に滴下して所定時間が経過した後の、液滴10と被測定体1との接触面の大きさに基づいて判断することができる。
すなわち、被測定体1の清浄度の判定は被測定体1の濡れ性に基づいて行われることになるが、濡れ性は液滴10の接触角により得ることができる。液滴10の接触角をθ、液滴10の容積をV、液滴10の液底の半径をrとしたときに、「tan(θ/2)=V/r」の式が成立することは知られている。従って、ディスペンサ2からの吐出量(すなわち、液滴10の容積V)は一定であるため、液滴10の接触角θは、液滴10の半径rにより得られることになる。つまり、液滴10の液底の半径rが大きくなるに従って、液滴10の接触角θは小さくなり(被測定体1の濡れ性が高い)、もって被測定体1の清浄度が高いと判定することができる。逆に、液滴10の半径rが小さくなるに従って、液滴10の接触角θは大きくなり(被測定体1の濡れ性が低い)、もって被測定体1の清浄度が低いと判定することができる。
ここで、液滴10と被測定体1との接触面は、そのまま液滴10の像としてスクリーン3に投影される。従って、スクリーン3に投影された液滴10の像の半径を測定することにより、液滴10の液底の半径を得ることができ、被測定体1の清浄度を測定することができる。なお、以下では、液滴10の像の直径を測定の基準としているが、勿論、液滴10の像の直径を測定できれば、液滴10の像の半径を得ることができる。
ここで、上述したように、被測定体1はある程度の洗浄仕上げがされているため、液滴10と被測定体1との接触面は円形の状態を維持している。従って、液滴10と被測定体1との接触面の接触面の大きさは、スクリーン3に投影される液滴10の像の円の直径を測定することにより得ることができる。なお、被測定体1の汚れによっては、液滴10は円形に広がらず、無方向・無定形に広がる可能性もある。しかし、この場合にあっては、液滴10の像がスクリーン3に投影されるため、その像を視認すれば、被測定体1の清浄度が低いことが一見して把握することができる。
液滴10の直径を測定するために、スクリーン3に投影された液滴10の像が、スクリーン3に形成されている目盛Mによって測定可能なように位置調整を行う。このため、目盛MのX軸及びY軸の中心(原点位置)と円形である液滴10の像の中心とが一致するように、スクリーン3又は保持部材4のうち何れか一方を動かして調整する。図1の例では、スクリーン3は固定されており、被測定体1を保持する保持部材4は可動するため、上記中心が一致するように保持部材4を動かして調整を行う。ここで、液滴10の像はスクリーン3において、その境界部の明暗が異なって投影されることになる。すなわち、被測定体1の液滴10は上部から供給される光に対して凸レンズの役割果たすことになるため、液滴10の像の境界部において明暗のパターンが異なることになる。従って、液滴10の像の境界線はスクリーン3の目盛Mの上に現れることになる。この液滴10の境界線が、液滴10と被測定体1との接触面の大きさと一致する。
そして、液滴10の境界線を目安として、円形である液滴10の像の中心とスクリーン3に設けられている目盛Mの原点位置とを位置合わせする。このとき、液滴10の像の境界線と目盛MのX軸及びY軸との交点が、目盛Mの原点位置を中心として全て等しい距離となるように保持部材4を動かして調整する。これにより、目盛MのX軸及びY軸の中心と液滴10の像の中心とを位置合わせすることができる。
このとき、測定者は、目盛Mの原点位置と液滴10の像の中心とが位置合わせされると同時に、液滴10の像の直径を認識することができる。つまり、液滴10の像の境界線が目盛MのX軸(又はY軸)と交わる2つの交点間の直線の長さは液滴10の像の直径そのものであるため、液滴10の像と目盛Mとにより液滴10の直径を把握することができる。そして、再洗浄が必要であるか否かの閾値を予め設定しておき、液滴10の直径が閾値以上であれば、被測定体1の濡れ性が高いため再洗浄の必要がないと判定し、閾値以下であれば、被測定体1の濡れ性が低いため再洗浄の必要があると判定することができる。このとき、上記の閾値を目盛Mに付して明示しておくと、測定者は液滴10の像と目盛Mとを視認した瞬間に再洗浄が必要であるか否かを判定することができる。例えば、目盛MのX軸又はY軸の何れか一方、若しくはX軸及びY軸の2つの軸に閾値を付しておく。すると、目盛Mに付された閾値よりも液滴10の像の境界線が超えていれば、再洗浄が必要ない程度にまで被測定体1の濡れ性が良いと、超えていなければ、再洗浄が必要である程度にまで被測定体1の濡れ性が悪いと、即座に判定することができる。
なお、閾値を設定する方法としては、上述した「tan(θ/2)=V/r」の式を用いて設定することができる。液滴10として純水を使用した場合に、各種物質表面と純水との接触角は一般に知られている。例えば、被測定体1としてガラス基板を使用したときには、ガラス表面と純水との接触角は「0°〜5°」である。従って、ディスペンサ2から吐出する液滴10の量(液滴10の容積V)が一定であり、接触角θも上記のように定まるため、液滴10の液底の半径(液滴10の像の半径)rを決定することができる。これにより、液滴10の清浄度を測定するための基準となる閾値を設定することが可能となる。
以上説明したように、本発明は、液滴の像が目盛のどの位置を指しているかを目視することにより、液滴の広がり度合いを一見して明確に把握することができ、もって基板の清浄度を簡便に測定することができる。また、接触角法のように光軸合わせは必要なく、スクリーンの目盛の中心と液滴の像の中心とが一致するように調整すれば被測定体の清浄度を測定することができる。従って、短時間で測定をすることができ、高い熟練度も必要ない。さらに、液滴の面積比をもって清浄度を測定する必要がないため、光学式画像認識装置等の特別な装置を使用して画像処理を行う必要もない。このため、被測定体を保持する保持部材を動かして調整するのみで、基板の清浄度を極めて簡便で且つ高速に測定することができる。
1 被測定体 2 ディスペンサ
3 スクリーン 4 保持部材
10 液滴 M 目盛
3 スクリーン 4 保持部材
10 液滴 M 目盛
Claims (4)
- 洗浄された透明性の被測定体表面に液滴を滴下し、前記被測定体表面に広がった前記液滴の像を、前記被測定体表面の下部に配置され、目盛を有するスクリーンに投影し、このスクリーンに投影された前記液滴の像の大きさと前記目盛とに基づいて前記被測定体の清浄度を測定することを特徴とする被測定体の清浄度測定方法。
- 前記目盛は横軸と縦軸とからなるものであって、前記被測定体又は前記スクリーンの何れか一方を固定し、他方を動かして前記スクリーンに投影された前記液滴の像の円の中心と前記目盛の中心とが一致する位置に調整し、前記液滴の像の直径が基準値以上であるか否かに基づいて前記被測定体の清浄度を測定することを特徴とする請求項1記載の被測定体の清浄度測定方法。
- 前記液滴は純水であることを特徴とする請求項1記載の被測定体の清浄度測定方法。
- 前記純水は、前記被測定体の洗浄を行った最後の工程で使用された純水であることを特徴とする請求項3記載の被測定体の清浄度測定方法。
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2005
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