JP2006307706A - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は内燃機関の空燃比制御装置に関し、触媒の下流に配置された酸素センサの出力信号を用いて空燃比をフィードバック制御する際、酸素センサの出力信号が急変するときの排気エミッションの悪化を抑制する。
【解決手段】 フィードバック制御の実行中、酸素センサの出力信号の急変を事前に予測する。酸素センサの出力信号の急変が予測されたら、フィードバック制御のフィードバック制御信号を通常時よりも減少させる。酸素センサの出力信号の急変は、フィードバック制御信号の積分値に基づいて予測することができる。
【選択図】 図3

Description

本発明は内燃機関の空燃比制御装置に関し、特に、触媒の下流側に理論空燃比の前後において出力値が急変する出力特性を有する酸素センサを配置し、酸素センサの出力信号に基づいて空燃比を制御する内燃機関の空燃比制御装置に関する。
従来、排気通路における触媒(三元触媒)の上流側にA/Fセンサを配置し、触媒の下流側にO2センサを配置し、これら2つの酸素センサの出力信号に基づいて空燃比を制御する装置が知られている(例えば特許文献1,2を参照)。A/Fセンサは空燃比に対してリニアな出力特性を有する酸素センサであり、O2センサは空燃比に対し理論空燃比を基準にしてリッチ側とリーン側とで出力が急変する出力特性を有する酸素センサである。このような2つの酸素センサを備えた空燃比制御装置(以下、従来装置という)では、A/Fセンサの出力信号に基づき、触媒に流入する排気ガスの空燃比が目標空燃比になるよう燃料量がフィードバック制御されている(以下、この制御をメインフィードバック制御という)。また、このメインフィードバック制御と併せて、O2センサの出力信号に基づきA/Fセンサの出力信号を補正する制御も行われている(以下、この制御をサブフィードバック制御という)。
従来装置は、メインフィードバック制御において、A/Fセンサの出力信号と目標空燃比に応じた目標信号との偏差からフィードバック制御信号を算出している。メインフィードバック制御で用いられる目標空燃比は、触媒が最も効率的に排気ガスを浄化することのできる空燃比(通常は理論空燃比)に設定されている。ところが、A/Fセンサのゼロ出力点のズレや出力特性の変化等、種々の要因により、メインフィードバック制御が実行されているにもかかわらず、排気ガスの実空燃比が理論空燃比に対してリッチ側、或いはリーン側に偏ることがある。触媒には酸素を吸蔵する能力があり、酸素の吸蔵/放出によって触媒雰囲気を理論空燃比近傍に保持している。しかし、排気空燃比が何れかの側に偏った傾向が継続すれば、やがて触媒の酸素吸蔵状態が枯渇状態になって排気ガス中のHCやCOを浄化できなくなったり(リッチ側に偏った場合)、逆に触媒の酸素吸蔵状態が飽和状態になってNOxを浄化できなくなったりしてしまう(リーン側に偏った場合)。
サブフィードバック制御は、メインフィードバック制御を補完し、内燃機関のエミッション特性を向上させるために実行される。従来装置は、サブフィードバック制御において、O2センサの出力信号と理論空燃比に応じた基準信号との偏差からA/Fセンサ出力の補正量を算出し、A/Fセンサの出力信号を補正している。これによれば、排気空燃比の理論空燃比からのずれがメインフィードバック制御のフィードバック制御信号に反映されることになるので、A/Fセンサのゼロ出力点のずれ等による空燃比制御のずれを補正して正確な空燃比制御を行うことが可能になる。
また、サブフィードバック制御は、排気エミッションが悪化しないように、触媒の酸素吸蔵状態を枯渇状態でも飽和状態でもない適正状態に保つための制御とも言える。上記の従来装置では、O2センサの出力信号がリーン出力からリッチ出力に反転したら、触媒内酸素吸蔵量を増大させるべく、排気空燃比がリーンになるように燃料量の補正が行われる。逆に、O2センサの出力信号がリッチ出力からリーン出力に反転したら、触媒内酸素吸蔵量を減少させるべく、排気空燃比がリッチになるように燃料量の補正が行われる。このように、O2センサの出力信号の反転に応じて燃料量を補正し、排気空燃比を反転させることで、触媒の酸素吸蔵状態を適正状態に保つことができる。
特開平7−197837号公報 特開2004−183585号公報
しかしながら、O2センサの出力信号が反転するのは触媒の酸素吸蔵状態が適正状態から外れるからであり、少なくともその瞬間は、排気エミッションの悪化が生じることになる。上記の従来装置のように積分動作(I動作)を含むサブフィードバック制御を行う場合には、そのフィードバック制御信号は積分動作によって段々と大きくなっていき、O2センサの出力信号の反転時に最大になる。燃料量はフィードバック制御信号に応じて補正されるため、従来装置では、触媒の酸素吸蔵状態が適正状態から外れている状況で燃料量が大きく補正されることになり、燃料量の過剰な増量或いは減量によって排気空燃比の理論空燃比からのずれが拡大し、排気エミッションが大きく悪化してしまうおそれがあった。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、触媒の下流に配置された酸素センサの出力信号を用いて空燃比をフィードバック制御する際、酸素センサの出力信号が急変するときの排気エミッションの悪化を抑制した内燃機関の空燃比制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の空燃比制御装置であって、
内燃機関の排気通路において触媒の下流に配置され、理論空燃比の前後において出力信号が急変する出力特性を有する酸素センサと、
前記酸素センサの出力信号が所定の基準信号に一致するように、前記酸素センサの出力信号を用いて空燃比をフィードバック制御するフィードバック制御手段と、
前記フィードバック制御の実行中に前記酸素センサの出力信号の急変を事前に予測する予測手段と、
前記酸素センサの出力信号の急変が予測されてから実際に前記酸素センサの出力信号が急変するまでの間、前記フィードバック制御によるフィードバック制御信号のゲインを通常時よりも低下させるゲイン調整手段と、
を備えることを特徴としている。
また、第2の発明は、第1の発明において、前記予測手段は、前記フィードバック制御信号の積分値に基づいて前記酸素センサの出力信号の急変を予測することを特徴としている。
第1の発明によれば、酸素センサの出力信号の急変に先立ってフィードバック制御のフィードバック制御信号のゲインを低下させるので、酸素センサの出力信号の急変時に空燃比が過度に増大或いは減少されることを抑制することができる。これにより、排気空燃比の理論空燃比からのずれは抑制され、排気エミッションの悪化は抑制される。
また、フィードバック制御のフィードバック制御信号の積分値は触媒の酸素吸蔵量に対応しているので、第2の発明によれば、酸素センサの出力信号の急変を的確に予測することができる。
[エンジンシステムの構成]
図1は本発明の実施の形態としての内燃機関の空燃比制御装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図である。本実施形態にかかる内燃機関2の燃焼室16には、吸気通路4と排気通路6が接続されている。燃焼室16と吸気通路4との接続部にはその連通状態を制御する吸気弁8が設けられ、燃焼室16と排気通路6との接続部にはその連通状態を制御する排気弁10が設けられている。吸気通路4にはエアクリーナ20が配置され、エアクリーナ20の下流には燃焼室16内へ流入する新気の量を調整する電子制御式のスロットル弁18が配置されている。吸気通路4の吸気弁8の近傍には、燃焼室16に燃料を供給するためのインジェクタ12が取り付けられている。排気通路6には排気ガス中の有害物質(HC、CO、NOx)を浄化するための三元触媒40が配置されている。
内燃機関2はその制御装置としてECU(Electronic Control Unit)30を備えている。ECU30は複数のセンサによって検出される内燃機関2の作動データに基づき内燃機関2の作動に係わる各種機器を総合的に制御する。ECU30の入力側にはA/Fセンサ32、O2センサ34、及びエアフローメータ36が接続されている。A/Fセンサ32は排気通路6において三元触媒40の上流に配置され、三元触媒40に流入する排気ガスの空燃比にリニアに対応する信号を出力する。O2センサ34は排気通路6において三元触媒40の下流に配置され、三元触媒40から流出する排気ガスの空燃比の状態(リーン或いはリッチ)を示す信号を出力する。O2センサ34は空燃比に対し理論空燃比を基準にしてリッチ側とリーン側とで出力が急変する出力特性を有している。また、エアフローメータ36はエアクリーナ20の直ぐ下流部分に設けられ、吸入空気流量に応じた信号を出力する。一方、ECU30の出力側にはインジェクタ12が接続されている。ECU30は、各センサ32,34,36からの信号に基づいて燃料噴射量や燃料噴射タイミングを演算し、インジェクタ12に駆動信号を供給している。なお、ECU30にはこれらのセンサ32,34,36やインジェクタ12以外にも複数のセンサや機器が接続されているが、ここではその説明は省略する。
[空燃比制御の説明]
ECU30は、内燃機関2の制御の一つとして、内燃機関2の運転中、排気ガスの空燃比が目標空燃比になるようにインジェクタ12から噴射される燃料量を制御する空燃比制御を実施している。空燃比制御は、A/Fセンサ32の出力信号に基づいて燃料量を制御するメインフィードバック制御と、O2センサ34の出力信号に基づいて燃料量を制御するサブフィードバック制御とからなる。図2はECU30が空燃比制御装置として機能する際の機能ブロック図である。以下、図2を参照しながら、ECU30により実行される空燃比制御について説明する。
(1)基本燃料量の算出
ECU30は、目標空燃比設定部102と基本燃料量算出部104を含んでいる。目標空燃比設定部102は、エンジン回転数やスロットル開度に基づき、内燃機関2に供給される混合気の目標空燃比afrefを設定する。基本燃料量算出部104は、エアフローメータ36の出力信号から得られた吸入空気量Gaを、目標空燃比設定部102で設定された目標空燃比afrefで割算することにより、基本燃料量firefを算出する。なお、吸入空気量Gaはサイクル毎に取得され、ECU30のメモリに記憶されていく。
(2)最終燃料量の算出
ECU30は、サブ燃料量補正部106とメイン燃料量補正部108を含んでいる。サブ燃料量補正部106は、基本燃料量算出部104で得られた基本燃料量firefに、後述するサブフィードバック制御によって得られたサブF/B補正燃料量fisfbを加算する。メイン燃料量補正部108は、サブ燃料量補正部106で補正された燃料量に、さらに、後述するメインフィードバック制御によって得られたメインF/B補正燃料量fimfbを加算する。こうして、基本燃料量firefにサブF/B補正燃料量fisfb及びメインF/B補正燃料量fimfbを加算して得られる燃料量(firef+fisfb+fimfb)が最終燃料量となり、この最終燃料量がインジェクタ12から噴射される。
(3)メインF/B補正燃料量の算出
メインF/B補正燃料量fimfbは、以下に説明するメインフィードバック制御を実行することにより得られる。ECU30は、メインフィードバック制御のための手段として、目標燃料量設定部110、実燃料量算出部114、吸入空気量遅延部112、F/B対象燃料量算出部116、除去燃料量設定部142、燃料偏差量算出部118、及びPIコントローラ120を含んでいる。
本実施形態にかかるメインフィードバック制御では、フィードバック制御の目標値として目標燃料量firef(i-n)が用いられる。目標燃料量firef(i-n)は、現時点(第iサイクル)からnサイクル前の基本燃料量firefである。基本燃料量firefは基本燃料量算出部104においてサイクル毎に算出され、ECU30のメモリに記憶されていく。目標燃料量設定部110は、メモリに記憶されている基本燃料量firefのうち、現時点からnサイクル前の基本燃料量firef(i-n)を読み出して目標燃料量として設定する。なお、nはインジェクタ12から燃料が噴射されてから、その燃料を含む排気ガスがA/Fセンサ32に到達するまでの時間(サイクル数)に相当している。
メインフィードバック制御では、A/Fセンサ32の出力信号が用いられる。A/Fセンサ32の出力信号は、電圧−空燃比マップによって空燃比abyfに変換される。実燃料量算出部114は、吸入空気量Ga(i-n)を空燃比abyfで割算することにより、空燃比abyfを燃料量(実燃料量)fiactに換算する。吸入空気量Ga(i-n)は、吸入空気量遅延部112によってECU30のメモリから読み出される。吸入空気量遅延部112は、メモリに記憶されている吸入空気量Gaのうち、現時点(第iサイクル)からnサイクル前の吸入空気量Ga(i-n)を読み出す。
F/B対象燃料量算出部116は、実燃料量算出部114で算出された実燃料量fiactから、除去対象燃料量を差し引くことにより、メインフィードバック制御の対象となる燃料量(F/B対象燃料量)fimを算出する。除去対象燃料量は、現時点(第iサイクル)からnサイクル前のサブF/B補正燃料量fisfb(i-n)である。サブF/B補正燃料量fisfbは、後述するサブフィードバック制御によってサイクル毎に算出され、ECU30のメモリに記憶されていく。除去燃料量設定部142は、メモリに記憶されているサブF/B補正燃料量fisfbのうち、現時点からnサイクル前のサブF/B補正燃料量fisfb(i-n)を読み出して除去対象燃料量として設定する。このように、実燃料量fiactからサブF/B補正燃料量fisfb(i-n)を差し引いてF/B対象燃料量fimとすることで、サブフィードバック制御による燃料量の補正の効果がメインフィードバック制御によって打ち消されるのを防止することができる。
燃料偏差量算出部118は、F/B対象燃料量算出部116で算出されたF/B対象燃料量fimと、目標燃料量設定部110で設定された目標燃料量firef(i-n)との燃料偏差量dfim(dfim=fim−firef(i-n))を算出する。
PIコントローラ120は、次式(1)で示すように、燃料偏差量算出部118で算出された燃料偏差量dfimを入力信号(メインフィードバック入力信号)とし、このメインフィードバック入力信号をPI制御することによってメインF/B補正燃料量fimfbを算出する。式(1)において、dfisumは燃料偏差量dfimの時間積分値である。また、GainpはP動作(比例動作)の比例ゲイン、GainiはI動作(積分動作)の積分ゲインである。
fimfb = Gainp・dfim + Gaini・dfisum ・・・(1)
算出されたメインF/B補正燃料量fimfbは、メイン燃料量補正部108へ出力される。
(4)サブF/B補正燃料量の算出
サブF/B補正燃料量fisfbは、以下に説明するサブフィードバック制御を実行することにより得られる。ECU30は、サブフィードバック制御のための手段として、電圧−空燃比変換マップ148、燃料量換算部134、吸入空気量遅延部132、基準空燃比設定部130、基準燃料量設定部136、燃料偏差量算出部138、PIコントローラ140、及びゲイン調整部150を含んでいる。
2センサ34の出力信号は、触媒40の下流における排気ガスの空燃比に応じて変化する。理論空燃比に対応するO2センサ34の出力信号(基準信号)は0.5Vであり、空燃比が理論空燃比よりもリッチのときにはO2センサ34の出力信号は0.5Vよりも大きく、空燃比が理論空燃比よりもリーンのときにはO2センサ34の出力信号は0.5Vよりも小さくなる。電圧−空燃比変換マップ148は、O2センサ34の出力信号(電圧値)を排気ガスの空燃比に変換するためのマップである。O2センサ34の出力信号oxsは、電圧−空燃比変換マップ148において空燃比afoxsに変換され、燃料量換算部134へ出力される。
燃料量換算部134は、吸入空気量Ga(i-m)を空燃比afoxsで割算することにより、空燃比afoxsを燃料量fisに換算する。吸入空気量Ga(i-m)は、吸入空気量遅延部132によってECU30のメモリから読み出される。吸入空気量遅延部132は、メモリに記憶されている吸入空気量Gaのうち、現時点(第iサイクル)からmサイクル前の吸入空気量Ga(i-m)を読み出す。なお、mはインジェクタ12から燃料が噴射されてから、その燃料を含む排気ガスがO2センサ34に到達するまでの時間(サイクル数)に相当している。
基準燃料量設定部136は、サブフィードバック制御の目標値としての基準燃料量fisrefを設定する。基準燃料量fisrefは、基準空燃比設定部130で設定される基準空燃比afoxsrefを吸入空気量Ga(i-m)で割算することによって算出される。基準空燃比設定部130は、O2センサ34の基準信号に対応する理論空燃比を基準空燃比afoxsrefとして設定している。
燃料偏差量算出部138は、燃料量換算部134で空燃比afoxsから換算された燃料量fisと、基準燃料量設定部136で設定された基準燃料量fisrefとの燃料偏差量dfis(dfis=fis−fisref)を算出する。この燃料偏差量dfisはO2センサ34の出力信号oxsと基準信号(0.5V)との偏差に基づく値であり、この燃料偏差量dfisがサブフィードバック制御におけるサブフィードバック入力信号となる。
PIコントローラ140は、次式(2)で示すように、燃料量換算部134で得られた燃料偏差量dfisをサブフィードバック入力信号とし、このサブフィードバック入力信号をPID制御することによって基本サブF/B補正燃料量fisfbbを算出する。式(2)において、Sdfisは燃料偏差量dfisの時間積分値であり、Ddfisは燃料偏差量dfisの時間微分値である。また、GpsfbはP動作(比例動作)の比例ゲイン、GisfbはI動作(積分動作)の積分ゲインである。
fisfbb = Gpsfb・dfis + Gisfb・Sdfis ・・・(2)
ゲイン調整部150は、次式(3)に示すように、PIコントローラ140で算出された基本サブF/B補正燃料量fisfbbに補正係数Ksfbをゲインとして乗算する。
fisfb = Ksfb・fisfbb ・・・(3)
上記式(3)によって得られた燃料量fisfbは、サブF/B補正燃料量としてサブ燃料量補正部106へ出力される。補正係数Ksfbは1以下の値をとる変数であり、ゲイン調整部150は、補正係数Ksfbの値を変化させてサブF/B補正燃料量fisfbのゲイン調整を行っている。サブF/B補正燃料量fisfbのゲイン調整の具体的内容については、後で詳細に説明する。
(5)サブF/B補正燃料量のゲイン調整
ECU30は、サブF/B補正燃料量fisfbのゲイン調整を、図3に示すルーチンに従って実行する。図3は、本実施形態において、ECU30が実行するサブF/B補正燃料量fisfbのゲイン調整のルーチンを示すフローチャートである。最初のステップS100では、PIコントローラ140によるPI制御によって基本サブF/B補正燃料量fisfbbが算出される。
次のステップS102では、O2センサ34の出力信号oxsがリーン側(0.5Vよりも小さい値)からリッチ側(0.5Vよりも大きい値)に、或いはリッチ側からリーン側に反転したか否か判定される。図5には、O2センサ34の出力信号oxsの変化と、それに伴うサブF/B補正燃料量fisfbの変化、及び、サブF/B補正燃料量fisfbの積算値sumsfbの変化が併せて示されている。上述のサブフィードバック制御が実行されることで、O2センサ34の出力信号oxsは周期的に変化している。
ステップS102の判定の結果、O2センサ34の出力信号oxsが反転した場合には、ステップS104に進む。ステップS104では、前回サイクル、すなわち、O2センサ34の出力信号oxsが反転する直前の積算値sumsfb(i-1)が読込まれ、図5に示すように、その絶対値が反転時積算値fsumsfbとして記憶される。積算値sumsfb(i)は後述するステップS116においてサイクル毎に更新され、ステップS104の処理が実行された後のステップS106でリセットされる。
次のステップS108では、ステップS104で記憶された反転時積算値fsumsfbを用い、次式(4)によって反転時積算値fsumsfbの平均値が学習される。式(4)において、fsumsfbg(i)は今回サイクルで得られた反転時積算値fsumsfbの学習値であり、fsumsfbg(i-1)は前回サイクルで得られた学習値である。
fsumsfbg(i) = fsumsfbg(i-1) + (fsumsfb - fsumsfbg(i-1))/8 ・・・(4)
式(4)では、反転時積算値fsumsfbを1/8なまし処理した値を平均値として学習している。
以上のステップS104、S106、S108の処理は、O2センサ34の出力信号oxsが反転した直後のサイクルのみ実行される。次回サイクルからは、再びO2センサ34の出力信号oxsが反転するまで、ステップS104、S106、S108の処理は省略されてステップS110以降の処理が実行される。
ステップS110では、現在の積算値sumsfbが反転時積算値の学習値fsumsfbgで割算され、その値の絶対値が触媒雰囲気係数Ksumsfbとして算出される。触媒雰囲気係数Ksumsfbは触媒40の雰囲気の変化を表しており、触媒雰囲気係数Ksumsfbが1に近づくほど、触媒40の酸素吸蔵状態が枯渇状態或いは飽和状態に近づいたこと、すなわち、O2センサ34の出力信号oxsの反転時期が近いことを示す。反転時積算値の学習値fsumsfbgは触媒40の最大酸素吸蔵量に対応し、積算値sumsfbは現在の酸素吸蔵量に対応しているので、触媒雰囲気係数Ksumsfbによれば、O2センサ34の出力信号oxsの反転を的確に予測することができる。
次のステップS112では、触媒雰囲気係数Ksumsfbに応じた補正係数Ksfbがマップから求められる。図4は、補正係数Ksfbを触媒雰囲気係数Ksumsfbから求めるためのマップの一例である。このマップでは、触媒雰囲気係数Ksumsfbが約0.5を超えるまでは補正係数Ksfbは1に設定され、触媒雰囲気係数Ksumsfbが約0.5を超えると補正係数Ksfbは徐々に小さくなるように設定されている。触媒雰囲気係数Ksumsfbが1を超えたら補正係数Ksfbは一定値に保持される。
ステップS114では、前掲の式(3)に示したように、ステップS112で求められた補正係数Ksfbがゲインとして基本サブF/B補正燃料量fisfbbに乗じられることで、サブF/B補正燃料量fisfbが算出される。補正係数Ksfbと触媒雰囲気係数Ksumsfbとの関係が図4のように設定されている結果、O2センサ34の出力信号oxsが反転してから暫くの間は、基本サブF/B補正燃料量fisfbbがそのままサブF/B補正燃料量fisfbとして出力される。しかし、O2センサ34の出力信号oxsの反転時期が近づくと、補正係数Ksfbの減少に伴い、基本サブF/B補正燃料量fisfbbよりも小さい値がサブF/B補正燃料量fisfbとして出力されることになる。
最後のステップS116では、ステップS114で算出されたサブF/B補正燃料量fisfbが前回サイクルの積算値sumsfb(i-1)に積算される。そして、積算により得られた値が今回サイクルの積算値sumsfb(i)として記憶される。
[本実施形態の空燃比制御装置の利点]
図6は、補正係数Ksfbを図4のように設定した場合のサブF/B補正燃料量fisfbの積算値sumsfbの時間変化(図中に実線で示す)と、補正係数Ksfbを常に1に固定した場合の積算値sumsfbの時間変化(図中に破線で示す)とを比較して示す図である。つまり、O2センサ34の出力信号の反転に先立ってサブF/B補正燃料量fisfbのゲインを低下させる場合の積算値sumsfbの時間変化と、ゲインを一定にしたままでの積算値sumsfbの時間変化とを比較して示す図である。
図6に示すように、O2センサ34の出力信号の反転に先立ってサブF/B補正燃料量fisfbのゲインを低下させることで、O2センサ34の出力信号の反転時における積算値sumsfbの大きさは小さくなる。これは、触媒40の酸素吸蔵状態が適正状態を外れてからO2センサ34の出力が反転するまでには遅れ時間が存在し、O2センサ34の出力信号の反転に先立ってサブF/B補正燃料量fisfbのゲインを低下させることで、遅れ時間内での燃料の過剰な増量或いは減量が抑制されることによる。遅れ時間内で供給された補正燃料量は空燃比を過度にリッチ化或いはリーン化させるものであり、その量が多いほど排気エミッションを悪化させることになる。本実施形態の空燃比制御装置によれば、O2センサ34の出力信号の反転時に燃料を過剰に増量或いは減量してしまうことを防止することができるので、排気空燃比の理論空燃比からのずれを抑制し、排気エミッションの悪化を抑制することができる。
[その他]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、上記実施形態のサブフィードバック制御では、O2センサ34の出力信号を用いて直接、燃料量を補正しているが、メインフィードバック制御で用いるA/Fセンサの出力信号を補正することで、間接的に燃料量を補正するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、基本サブF/B補正燃料量fisfbbに補正係数Ksfbを乗算したものをサブF/B補正燃料量fisfbとし、補正係数Ksfbを変化させることでサブF/B補正燃料量fisfbのゲイン調整を行っているが、P動作の比例ゲインGpsfbとI動作の積分ゲインGisfbの何れか一方、或いは双方を変化させることでサブF/B補正燃料量fisfbのゲイン調整を行ってもよい。
本発明の実施の形態としての内燃機関の空燃比制御装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図である。 本発明の実施の形態においてECUが空燃比制御装置として機能する際の機能ブロック図である。 本発明の実施の形態において実行されるサブF/B補正燃料量fisfbのゲイン調整のルーチンを示すフローチャートである。 補正係数Ksfbを触媒雰囲気係数Ksumsfbから求めるためのマップである 2センサの出力信号oxsの変化と、それに伴うサブF/B補正燃料量fisfbの変化、及び、サブF/B補正燃料量の積算値sumsfbの変化を併せて示す図である。 2センサ34の出力信号の反転に先立ってサブF/B補正燃料量fisfbを減少させる場合と、減少させない場合とで積算値sumsfbの時間変化を比較して示す図である。
符号の説明
2 内燃機関
4 吸気通路
6 排気通路
12 インジェクタ
16 燃焼室
30 ECU
32 A/Fセンサ
34 O2センサ
36 エアフローメータ
40 三元触媒

Claims (2)

  1. 内燃機関の排気通路において触媒の下流に配置され、理論空燃比の前後において出力信号が急変する出力特性を有する酸素センサと、
    前記酸素センサの出力信号が所定の基準信号に一致するように、前記酸素センサの出力信号を用いて空燃比をフィードバック制御するフィードバック制御手段と、
    前記フィードバック制御の実行中に前記酸素センサの出力信号の急変を事前に予測する予測手段と、
    前記酸素センサの出力信号の急変が予測されてから実際に前記酸素センサの出力信号が急変するまでの間、前記フィードバック制御によるフィードバック制御信号のゲインを通常時よりも低下させるゲイン調整手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  2. 前記予測手段は、前記フィードバック制御信号の積分値に基づいて前記酸素センサの出力信号の急変を予測することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の空燃比制御装置。
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