JP2006306995A - 重合性防曇剤、重合性防曇組成物および防曇コーティング剤 - Google Patents

重合性防曇剤、重合性防曇組成物および防曇コーティング剤 Download PDF

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Abstract

【課題】使用時の水かけ等による水膜形成が不要で、且つ充分な防曇性と強度を有する透明な防曇皮膜を、簡便に施すことが可能な、新規なウレタン結合含有グリセロール(メタ)アクリレート化合物を含む重合性防曇剤、重合性防曇組成物および防曇コーティング剤を提供することにある。
【解決手段】式(1)で表される重合性防曇剤。
【化1】
Figure 2006306995

(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は−(CH2n−を示す。ここで、nは1〜4の整数である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、重合性防曇剤、重合性防曇組成物および、重合性防曇剤を重合して得た防曇性重合体を含有する防曇コーティング剤に関する。
建築物の鏡や窓、自動車や自動二輪車の風防等に用いられるガラスや樹脂などの透明部材は、家屋において、風呂や台所といった水回り、戸外においては自動車のミラーや風防等といった、温度、湿度の変動を受けやすい環境で使用される。
このため、表面に曇りが発生しやすく、使用時の作業性を低下させる。また潜水用のゴーグルのように、使用中に曇りが発生した場合にも容易に除去することが出来ない用途もあり、高性能の防曇剤が求められている。
このような状況から、近年、防曇性を付与する材料や技術が盛んに研究され、種々提案されている。
例えば、ガラス製部材を防曇処理する方法として、基材表面の親水性を維持することで、水滴から水膜を形成し防曇を行う方法や、ガラス基材の表面に吸水性あるいは吸湿性ポリマーによる膜を形成させることによって、水滴が付着することを防いで防曇を行う方法などが提案されている。
このような水膜を保持させる方法として、特許文献1では、無機アルコキシドの加水分解物にシリカ等の無機フィラーを添加した親水性塗料組成物が知られ、特許文献2では、これに更に光触媒等を添加したものが知られている。
また、特許文献3、4では、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、セルロース、水ガラスなどのバインダー皮膜中に、界面活性剤や水溶性ポリマー等を分散させ、これを表面から溶出させるタイプの防曇剤が示されているほか、特許文献5には、表面に0.1〜50nmの凹凸構造を形成することにより、基材表面に水濡れ性を付与する防曇方法も提案されている。
しかしながら、これら既存の水膜保持型の防曇材は、使用時に水かけ等で表面に水膜を形成しなければ防曇性が得られないため不便であり、強度も不十分なため、使用するうちに防曇性が失われる等の欠点があった。
これに対し、水かけ等による水膜形成を必要としない防曇剤として、特許文献6の無機アルコキシド加水分解物とポリアクリル酸類またはポリアルキレンオキサイドからなる吸水性コーティング材を基材表面に塗布して防曇塗膜とした吸湿型防曇剤が知られ、また、これに光触媒等を添加し、親水性を増した防曇剤である、特許文献7の吸湿型防曇剤が知られている。
しかし、これらの従来型の吸湿型防曇剤は、吸湿により塗膜の強度が極度に低下するという問題があり、また塗膜の強度を高めるため、素材をハイブリッド化したものにおいては、ハイブリッド化による樹脂の白濁化や、防曇性の低下などの問題が発生しているため、最適なものが得られない問題があった。
このため、これらの問題を解決することのできる、新規な構造の化合物を用いた防曇剤の開発が熱望されていた。
特開2002−161239号公報 特開2002−285088号公報 特開2003−26960号公報 特開2003−192392号公報 特開2000−135755号公報 特開2000−44879号公報 特開2000−44885号公報
本発明の課題は、基材表面に、使用時の水かけ等による水膜形成が不要で、且つ充分な防曇性と強度を有する透明な防曇皮膜を、簡便に施すことが可能な、新規なウレタン結合含有グリセロール(メタ)アクリレート化合物からなる重合性防曇剤と重合性防曇組成物、並びに防曇コーティング剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を進めた結果、新規な構造の式(1)で示されるウレタン結合含有グリセロール(メタ)アクリレート化合物からなる重合性防曇剤、これを含んでなる重合性防曇組成物、および、重合性防曇剤を含む重合性原料を重合して得た防曇性重合体を含有する防曇コーティング剤が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、次の[1]〜[4]である。
[1]、式(1)で表される重合性防曇剤。
Figure 2006306995
(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は−(CH2n−を示す。ここで、nは1〜4の整数である。)
[2]、前記[1]項に記載の重合性防曇剤20〜90質量%と、式(2)で表される無機アルコキシド10〜80質量%含む重合性防曇組成物。
Figure 2006306995
(MはSi、Al、Ti、Zr、Ca、Fe、V、Sn、Li、Be、B、及びPからなる群から選択される無機原子であり、Yは炭素数1〜4のアルキル基であり、Xは脂肪族アルキル基、芳香族アルキル基、官能基を有する脂肪族アルキル基、官能基を有する芳香族アルキル基、又はハロゲン原子から選ばれるいずれかであり、aはMの原子価と同じ数であり、またmは1からaまでの整数である。)
[3]、式(1)で表される重合性防曇剤を含む重合性原料を重合して得た重量平均分子量5000〜1000000の防曇性重合体を20〜90質量%含有してなる防曇コーティング剤。
[4]、式(2)で表される無機アルコキシドを更に10〜80質量%含有してなる前記[3]項に記載の防曇コーティング剤。
本発明によれば、使用前の水かけ等が不用で、透明性に優れ、且つ防曇皮膜の形成後に充分な強度を有する新規な構造の式(1)で示されるウレタン結合含有グリセロール(メタ)アクリレート化合物を用いた重合性防曇剤、重合性防曇組成物および防曇コーティング剤が提供される。本発明の重合性防曇剤、重合性防曇組成物および防曇コーティング剤により処理して得られる防曇皮膜は、吸湿性の防曇皮膜であるため、水膜保持型防曇剤の防曇皮膜のように、使用に際して水かけ等を必要とせず、親水性成分の溶出による防曇性の喪失の問題が無いため、長期間に渡り防曇性が維持できる。また、本発明を用いて得られる防曇皮膜は、透明性と強度に優れるため、本発明の重合性防曇剤、重合性防曇組成物および防曇コーティング剤は、自動車の窓ガラス等の、耐久性を要求される透明な基材の表面に防曇皮膜を形成するために用いることができる。
本発明の重合性防曇剤は、式(1)
Figure 2006306995
(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は−(CH2n−を示す。ここで、nは1〜4の整数である。)
で表されるウレタン結合含有グリセロール(メタ)アクリレート化合物(以下、化合物(1)と略記することもある)である。
前記、化合物(1)の重合性防曇剤の具体例としては、例えば、グリセロール−1−メタクリロイルオキシエチルウレタン、グリセロール−1−メタクリロイルオキシプロピルウレタン等が挙げられ、合成のし易さからグリセロール−1−メタクリロイルオキシエチルウレタンが好ましく挙げられる。
本発明に用いられる新規な構造の化合物(1)を調製するには、例えば、式(3)
Figure 2006306995
(式中、R3及びR4は同一であっても異なっても良く、水素原子またはメチル基またはエチル基を表す。)
で表される環状ケタールと式(4)
Figure 2006306995
(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は−(CH2n−で示される基を示す。ここで、nは1〜4の整数である。)
で表される(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアナートとをウレタン化反応させ、式(5)
Figure 2006306995
(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は−(CH2n−で示される基を示す。ここで、nは1〜4の整数である。R3及びR4は同一であっても異なっても良く、水素原子またはメチル基またはエチル基を表す。)
で表される化合物を得、これを触媒の存在下に水含有溶媒中で加水開環反応させることにより得ることができる。
前記、式(3)で表される環状ケタールとしては、例えば、(R,S)−1,2−イソプロピリデングリセロール、(R,S)−sec−ブチリデングリセロール等が挙げられ、反応の容易さの点からは(R,S)−1,2−イソプロピリデングリセロールが好ましく挙げられる。このような環状ケタールとしては、市販品が用いられる他、グリセリンと式(6)
Figure 2006306995
(式中、R3及びR4は同一であっても異なっても良く、水素原子またはメチル基またはエチル基を表す。)
で表されるカルボニル化合物とを、塩酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸などの触媒存在下に、石油エーテル、ベンゼン、トルエンなどの溶媒中で環化反応させた合成物を用いることもできる。式(6)で表されるカルボニル化合物としては、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、3−ペンタノンが挙げられ、反応後の除去の容易さからアセトンが好ましく挙げられる。
前記、式(4)で表される(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアナートとしては、具体的には、メタクリロイルオキシエチルイソシアナート、メタクリロイルオキシプロピルイソシアナート等が挙げられ、入手の容易さの点からメタクリロイルオキシエチルイソシアナートが好ましく挙げられる。このようなイソシアナートは、市販品を用いても良いが、公知の合成方法を屈指することにより既知の原料から合成したものを用いても良い。
前記、式(5)で表される化合物としては、具体的には、(R,S)−1,2−イソプロピリデングリセロール−3−メタクリロイルオキシエチルウレタン、(R,S)−sec−ブチリデングリセロール−3−メタクリロイルオキシエチルウレタンが挙げられ、加水開環反応の際に、脱離基の揮発性が良い点からは(R,S)−1,2−イソプロピリデングリセロール−3−メタクリロイルオキシエチルウレタンが好ましく挙げられる。
前記、式(3)で表される環状ケタールと、式(4)で表される(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアナートとを、ウレタン化反応させる際の該環状ケタールの量は、該(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアナートに対し、モル比で1.1〜3倍量が好ましい。このウレタン化反応は、触媒を用いなくても進行するが、反応時間を短縮できる点から、ウレタン化反応用触媒を用いるのが好ましい。
前記、ウレタン化反応用触媒としては、例えば、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ジモルホリノメタン、エチルモルホリノ酢酸、N−(3−ジメチルアミノプロピル)モルホリン、N−メチルピペリジン、キノリン、1,2−ジメチルイミダゾール、N−メチルジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、1,4−ジアザビシクロオクタン、テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、テトラメチル−1,3−プロパンジアミン、ジメチルジエチル−1,3−プロパンジアミン、ペンタメチルジエチレンジアミン、テトラエチルメタンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)アジペート、ビス(2−ジエチルアミノエチル)アジペート、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジエチルシクロヘキシルアミン、メチルオクチルシクロヘキシルアミン、メチルドデシルシクロヘキシルアミンなどの3級アミン化合物;塩化スズ、テトラ−N−ブチルスズ、テトラフェニルスズ、トリ−n−ブチルスズアセテート、ジメチルジクロロスズ、ジ−n−ブチルスズジアセテート、ジ−n−ブチルジクロロスズ、ジ−n−ブチルスズジラウレート、ジ−n−ブチルスズジジラウリン酸メルカプチド、ビス(2−エチルヘキシル)スズオキシド、ジ−n−ブチルスズスルフィドなどの含スズ化合物が用いられ、反応生成物にウレタン化反応用触媒が残存した場合の安全性の点からは、3級アミン化合物が好ましく挙げられる。
ウレタン化反応用触媒を用いる場合の使用量は、(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアナート100質量部に対して通常0.001〜50質量部、好ましくは0.01〜30質量部、最も好ましくは0.1〜10質量部である。
前記、ウレタン化反応は、溶媒を用いずに行っても何ら問題は無いが、(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアナートに対して反応性をもたない溶媒を用いるのであれば溶媒存在下に行うこともできる。このとき用いられる溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ピリジン等が好ましく挙げられ、反応後の溶媒除去の容易さからアセトンが最も好ましく挙げられる。前記溶媒を用いる場合の使用量は、(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアナート100質量部に対して0.1〜1000質量部程度である。
前記、ウレタン化反応の反応温度は、通常0〜100℃、好ましくは25〜80℃、最も好ましくは40〜60℃の範囲である。反応温度が0℃より低い場合は、反応に長時間を要する恐れがある。反応温度が100℃を超える場合、重合等の副反応が起こり易くなる恐れがある。一方、反応時間は、反応温度、触媒の種類および量などの条件により異なるが、通常、6〜24時間程度であるのが好ましい。
以上のウレタン化反応により、式(5)で表されるウレタン結合含有グリセロール(メタ)アクリレート化合物前駆体を得ることができる。得られる式(5)で表されるウレタン結合含有グリセロール(メタ)アクリレート化合物前駆体を、触媒の存在下に水含有溶媒中で加水開環反応させる事により、式(1)で表されるウレタン結合含有グリセロール(メタ)アクリレート化合物単量体を得ることができる。
前記、加水開環反応に用いる触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、燐酸などの無機酸;p−トルエンスルホン酸などの有機酸が好ましく挙げられ、反応後の触媒除去の容易さの理由から、塩酸が特に好ましい。該触媒の使用量は、通常反応系全体に占める割合が、0.1〜10.0質量%となる量が好ましい。
前記、加水開環反応に用いる水含有溶媒としては、例えば、水単独または、メタノール、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミドなどの水可溶性の溶媒と水との混合溶媒が好ましく挙げられ、反応後の除去の容易さからメタノールと水との混合溶媒が最も好ましく挙げられる。
前記、加水開環反応の反応温度は、好ましくは0〜50℃の範囲である。反応温度が50℃を超える場合、エステルの加水分解反応またはエステル交換反応などの副反応が起こる恐れがある。また反応温度が0℃より低い場合、水分が固化する恐れがある。一方、反応時間は、反応温度、触媒の種類および量などの条件により異なるが、通常、1〜6時間程度が好ましい。
尚、加水開環反応の進行に伴い、反応系内にカルボニル化合物が副生成することがあるが、反応時間を短縮する目的で、副生成するカルボニル化合物を減圧留去などの手段により反応系内から除去することが好ましい。
以上のようにして、本発明に用いられる、式(1)で表されるウレタン結合含有グリセロール(メタ)アクリレート化合物からなる重合性防曇剤を得ることができる。このようにして得られた重合性防曇剤は、そのまま基材に塗布して防曇皮膜を形成させるために用いることもできるが、重合性防曇組成物または防曇コーティング剤を調製する際の原料として用いることもできる。
本発明は、式(1)で表されるウレタン結合含有グリセロール(メタ)アクリレート化合物からなる重合性防曇剤である。
本発明において、式(1)で表されるウレタン結合含有グリセロール(メタ)アクリレート化合物からなる重合性防曇剤を用いるにあたり、式(1)で表されるウレタン結合含有グリセロール(メタ)アクリレート化合物を単独で重合性防曇剤として用いても良いが、重合性防曇剤に、必要に応じて、化合物(1)と共重合可能な他の単量体、ラジカル開始剤、無機アルコキシド、重合性防曇組成物用の触媒、重合性防曇組成物用の溶媒を加えて、重合性防曇組成物として用いてもよい。
重合性防曇組成物に含有させることのできる、前記、化合物(1)と共重合可能な他の単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)クリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリル酸エステル;メチルビニルエーテル等の各種ビニルエーテル;その他、アクリルアミド、N,N’−ジメチルアクリルアミド、(メタ)アクリル酸、アリルアルコール、アクリロニトリル、アクロレイン、酢酸ビニル、ビニルスルホン酸ナトリウム、スチレン、クロロスチレン、ビニルフェノール、ビニルシンナメート、塩化ビニル、ビニルブロミド、ブタジエン、ビニレンカーボネート、イタコン酸、イタコン酸エステル、フマル酸、フマル酸エステル、マレイン酸、マレイン酸エステル等の各種ラジカル重合性モノマー;エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジビニルエーテル等の各種多官能性モノマー;N−メチロールアクリルアミド、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等の各種架橋性モノマーが挙げられ、これらの他の単量体を化合物(1)と共に重合性防曇組成物に含ませてもよい。
前記、化合物(1)と共重合可能な他の単量体を重合性防曇組成物に含ませる場合、その配合量は任意であって、適宜選択できるが、最良の防曇性を得るためには、化合物(1)が重合性防曇組成物全体に対して20〜90質量%含まれていることが望ましい。20質量%より少ないと充分な防曇性が得られない恐れがあるため好ましくない。
また特に架橋性モノマーを含ませる場合は、架橋性モノマー以外のモノマーに対して架橋性モノマーを0.1〜10質量%の範囲で含ませるのがよく、更には1〜5質量%の範囲で含ませるのがよい。
重合性防曇組成物に含ませることのできる、前記、ラジカル開始剤としては光、あるいは熱重合性のラジカル開始剤を含ませるのがよく、好ましくは2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル等のアゾ系開始剤や過酸化ベンゾイル等の過酸化物がラジカル開始剤として好ましく挙げられる。
ウレタン結合含有グリセロール(メタ)アクリレート化合物は、それ自身の持つ光重合性により、紫外線、可視光、電子線等により硬化反応が進行し、防曇皮膜を形成するため、必ずしもラジカル開始剤を重合性防曇組成物に含ませる必要はないが、硬化反応を促進させる点からは、ラジカル開始剤を含ませるのがよく、含量は重合性防曇組成物全体に対して0.1〜5質量%である。
重合性防曇組成物に含ませることのできる、前記、無機アルコキシドとしては、例えば式(2)で表される無機アルコキシドが好ましく挙げられる。
Figure 2006306995
式(2)で表される無機アルコキシドが重合性防曇組成物中にある場合、基材表面へ防曇皮膜を形成した際に、まず無機アルコキシドのアルコキシ基の加水分解を生じ、これによって生じた化合物(1)のヒドロキシ基の架橋反応によって、防曇皮膜の強度を顕著に向上する働きを持つため、本発明の重合性防曇組成物に好ましく含むことができる。
式(2)中、MはSi、Al、Ti、Zr、Ca、Fe、V、Sn、Li、Be、B、及びPからなる群から選択される無機原子であり、Yは炭素数1〜4のアルキル基であり、Xは脂肪族アルキル基、芳香族アルキル基、官能基を有する脂肪族アルキル基、官能基を有する芳香族アルキル基、又はハロゲン原子から選ばれるいずれかであり、aはMの原子価と同じ数であり、またmは1からaまでの整数である。
前記、Yの炭素数1〜4のアルキル基としては、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、加水分解後の揮発性の点から、好ましくはメチル基またはエチル基が挙げられる。
前記、Xの脂肪族アルキル基としては、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる、好ましくはメチル基またはエチル基が挙げられる。
前記、Xの芳香族アルキル基としては、具体的にはベンジル基、フェニル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基が挙げられる。
前記、Xの官能基を有する脂肪族アルキル基としては、具体的にはカルボキシル基、カルボニル基、アミノ基、ビニル基、エポキシ基等を有する炭素数1〜15の脂肪族アルキル基が挙げられ、好ましくはエポキシ基を有する炭素数2〜6の脂肪族アルキル基が挙げられる。
前記、Xの官能基を有する芳香族アルキル基としては、具体的にはカルボキシル基、カルボニル基、アミノ基、ビニル基、エポキシ基等を有する炭素数1〜15の芳香族アルキル基が挙げられ、好ましくはエポキシ基を有する炭素数2〜6の芳香族アルキル基が挙げられる。
前記、Xのハロゲン原子としては、具体的にはCl、Br等が挙げられ、好ましくはClが挙げられる。
このような式(2)で表される無機アルコキシドの具体例として、入手の容易さや使用に際しての環境への負荷等の観点から、MがSiである無機アルコキシドが好ましく挙げられ、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン等の無機アルコキシドが最も好ましく挙げられる。
本発明の重合性防曇組成物に、防曇皮膜の強度向上を目的として式(2)で表される無機アルコキシドを含ませる場合は、無機アルコキシドが重合性防曇組成物全体に対して10〜80質量%になるよう調製することが好ましい。無機アルコキシドが10質量%より少ないと防曇皮膜の強度向上の効果が充分に得られない場合があり、80質量%より多いと充分な防曇性が得られない場合がある。尚、本発明に用いられる化合物(1)は、その化学構造中にウレタン結合を有することにより、無機アルコキシドとの親和性に優れ、透明で均一な混合が可能であり、防曇皮膜の強化にも寄与することから、化合物(1)と無機アルコキシドを共に重合性防曇組成物に含むことは、実用上、特に好ましい。
重合性防曇組成物に含ませることのできる、前記、重合性防曇組成物用の触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸;酒石酸、マレイン酸、ドデシルコハク酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルナジック酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ジクロロコハク酸、クロレンド酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸及びこれらの無水物;から選ばれる触媒が好ましく挙げられる。
尚、重合性防曇組成物用の触媒は、必要に応じて適宜重合性防曇組成物に含有させることができ、重合性防曇剤全体に対して0.1〜5.0質量%程度加えることで、重合性防曇剤により形成される防曇皮膜の強化に役立つことがある。
重合性防曇組成物に含ませることのできる、前記、重合性防曇組成物用の溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、t−ブタノール、イソブタノール、n−ブタノール、2−メチルプロパノール、ペンタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶剤;n−ヘキサン等の炭化水素系溶剤;酢酸メチル等のエステル系溶剤;及びこれらの混合溶媒;から選ばれる溶媒を上げることが出来る。これらのうち、ウレタン結合含有グリセロール(メタ)アクリレート化合物の溶解性の観点からは、水が最も好ましい。
重合性防曇組成物用の溶媒を用いる場合は、例えば、重合性防曇組成物の全固形分濃度が30〜90質量%の範囲となるよう溶媒を使用することがよく、更に好ましくは50〜80質量%の範囲となるよう使用するのがよい。全固形分濃度が30質量%より希薄である場合には、重合性防曇組成物により防曇皮膜を形成したとき強度が弱くなることがあり、また90質量%より濃厚な場合は粘度が増大して取り扱いに不便なことがある。
本発明の重合性防曇組成物は、基材の表面に塗布して用いることで防曇皮膜を形成することができる。
防曇皮膜を形成することのできる基材は、本発明の重合性防曇組成物を塗布できるものであれば特に制限されないが、例えば、金属製、ガラス製、樹脂製、及びセメント系の素材からなる基材が好ましく挙げられ、ウレタン結合含有グリセロール(メタ)アクリレート化合物が、ウレタン結合、OH基を構造中に有しておりガラス、金属への密着性に優れる理由からは、塗布することのできる基材として、ガラス、金属がより好ましく挙げられる。基材の形態としては、例えば、洗面用、浴室用や自動車用等の鏡;建築物用や自動車用等の窓ガラス;潜水用ゴーグル等が挙げられる。
重合性防曇組成物を基材に塗布する方法は特に限定されないが、例えば、カーテンフローコーター法、ロールコーター法、スプレー法、ディップコート法、バーコーター法、スピンコーター法、刷毛塗り法等の公知の方法を用いて塗布し、基材の表面に厚さ100nm〜1mmの防曇皮膜を形成することができる。この際、必要に応じて、重合性防曇組成物を、重ねて塗布することは、自在に行ってよい。
重合性防曇組成物を塗布して基材上に形成した防曇皮膜は、例えば、80℃以上の温度、好ましくは90〜150℃の範囲で加熱乾燥させることで重合させることができ、また加熱が好ましくない場合は、波長254nmの紫外線(UV)を照射することによっても防曇皮膜を重合させることができる。
このようにして、本発明の重合性防曇組成物により処理した基材を得ることができる。
また、本発明では、式(1)で表される重合性防曇剤を、重合性防曇組成物にせずに、重合性防曇剤を含む重合性原料とし、これを重合して重量平均分子量5000〜1000000の防曇性重合体を得、この防曇性重合体を防曇コーティング剤全体に対して20〜90質量%含有してなる防曇コーティング剤を得ることが出来る。
この際、重合性原料は式(1)で表される重合性防曇剤、前記した化合物(1)と共重合可能な他の単量体、ラジカル開始剤、光重合開始剤を必要に応じて適宜含ませて調製することができる。重合性原料は、式(1)で表される重合性防曇剤単独で調製してよく、また必要があれば重合性原料中に式(1)で表される重合性防曇剤以外の成分として化合物(1)と共重合可能な他の単量体10〜80質量%を含有させて調製してもよい。
重合性原料の重合は、ラジカル重合または光重合により行うことができる。ラジカル重合を行うにあたっては、重合性防曇剤中にラジカル開始剤を含ませて行う。該ラジカル開始剤としては、例えば、過酸化ベンソイル、t−ブチルパーオキシネオデカノエートなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチルなどのアゾ化合物;から選ばれるラジカル開始剤が挙げられるが、作業性の観点から、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチルが好ましく挙げられる。
ラジカル開始剤の使用量は、重合性原料中の重合性防曇剤100質量部に対して通常0.1〜5.0質量部が好ましい。重合温度および重合時間は、ラジカル開始剤の種類や他の単量体の有無や種類等によって適宜選択して決定することができる。例えば、化合物(1)単独からなる重合性防曇剤を、ラジカル開始剤として2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチルを用いて重合させる場合には、重合温度は好ましくは50〜70℃、重合時間8〜48時間程度が適当である。
光重合を行うにあたっては、例えば、波長254nmの紫外線(UV)または加速電圧150〜300kVの電子線(EB)照射等により実施することができる。この際、光重合開始剤の使用は任意であるが、反応時間の点からは使用することが好ましい。
このとき重合性原料に含ませる光重合開始剤としては2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトンなどが挙げられるが、重合性防曇剤への溶解性等の点から2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノンが好ましく挙げられる。光重合開始剤を使用する場合の使用量は、重合性原料中の重合性防曇剤100質量部に対して通常0.1〜5.0質量部が好ましい。
これらの手段で重合性原料を重合することにより、重量平均分子量で5000〜1000000の防曇性重合体を得ることが出来る。
本発明の防曇コーティング剤は、重合性防曇剤を含む重合性原料をバルク状態で重合して得た重量平均分子量5000〜1000000の防曇性重合体に必要に応じて溶媒を加えることで得られる。
該溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、ジメチルアセトアミド、水及びこれら有機溶媒との混合物、他の各種極性溶媒が挙げられるが、取り扱いの点からメタノールが好ましく挙げられる。
この際、重合性防曇剤を含む重合性原料を重合して得た防曇性重合体に溶媒を加えるには、防曇性重合体の含量が、防曇コーティング剤全体に対して20〜90質量%となるように溶媒の量を調節して加えれば良い。
本発明の防曇コーティング剤には、前記、式(2)で示される無機アルコキシドを更に含有させて防曇コーティング剤としてもよい。式(2)で示される無機アルコキシドを更に含有させるには、防曇コーティング剤全体に対して10〜80質量%の無機アルコキシドを含有するように調製することが好ましい。無機アルコキシドが10質量%より少ないと防曇コーティング剤の、防曇皮膜の強度向上の効果が充分に得られない場合があり、80質量%より多いと防曇皮膜の強度が弱くなる場合がある。
防曇コーティング剤に、前記、式(2)で示される無機アルコキシドを含有させる場合には、場合により無機アルコキシドの加水分解を促進する触媒を合わせて含有させるとよい。無機アルコキシドの加水分解を促進する触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸;酒石酸、マレイン酸、ドデシルコハク酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルナジック酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ジクロロコハク酸、クロレンド酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸及びこれらの無水物;から選ばれる触媒が好ましく挙げられる。
尚、前記触媒は、無機アルコキシドと共に防曇コーティング剤全体に対して0.1〜5.0質量%程度加えることで、防曇コーティング剤を基材に塗布したとき防曇皮膜の強度を強化する。
本発明の防曇コーティング剤は、重合性防曇組成物と同様に基材の表面に塗布して用いることができる。
防曇コーティング剤を塗布することのできる基材は、本発明の防曇コーティング剤を塗布できるものであれば特に制限されないが、例えば、金属製、ガラス製、樹脂製、及びセメント系の素材からなる基材が好ましく挙げられ、ウレタン結合含有グリセロール(メタ)アクリレート化合物が、ウレタン結合、OH基を構造中に有しておりガラス、金属への密着性に優れる理由からは、塗布することのできる基材として、ガラス、金属がより好ましく挙げられる。基材の形態としては、例えば、洗面用、浴室用や自動車用等の鏡;建築物用や自動車用等の窓ガラス;潜水用ゴーグル等が挙げられる。
防曇コーティング剤を基材に塗布する方法は特に限定されないが、例えば、カーテンフローコーター法、ロールコーター法、スプレー法、ディップコート法、バーコーター法、スピンコーター法、刷毛塗り法等の公知の方法を用いて塗布し、基材の表面に厚さ100nm〜1mmの防曇皮膜を形成することができる。この際、必要に応じて、防曇コーティング剤を、重ねて塗布することなどは、自在に行ってよい。
防曇コーティング剤を塗布した物品は、例えば、80℃以上の温度、好ましくは90〜120℃の範囲で加熱乾燥させることで、物品の表面に形成した防曇皮膜を定着させることができる。
このようにして、本発明の防曇コーティング剤により基材を処理することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
製造例1
グリセロール−1−メタクリロイルオキシエチルウレタンの製造
グリセロール−1−メタクリロイルオキシエチルウレタンを製造するにあたり、まず[1]原料となる(R,S)−1,2−イソプロピリデングリセロール(化合物(3))を合成し、これを用いて、[2]前駆体である(R,S)−1,2−イソプロピリデングリセロール−3−メタクリロイルオキシエチルウレタン(化合物(5))をウレタン化反応により合成し、さらに[3]化合物(5)を加水開環反応することで、目的のグリセロール−1−メタクリロイルオキシエチルウレタンを得た。以下、詳細に説明する。
[1]化合物(3)の合成
(R,S)−1,2−イソプロピリデングリセロールは、M.Renoll,M.S.Newman,Org.Syn.Coll.3,502(1955)に従い、以下の合成方法により製造した。
カルシウム管、冷却管およびディーン−スターク(Dean−Stark)トラップを装着したナス型フラスコに、グリセリン(100g)、アセトン(300mL)、p−トルエンスルホン酸1水和物(3g)および石油エーテル(300mL)を加え、50℃に設定したオイルバス中で加熱還流させた。12時間後、生成水分量約23mLで、新たに水分が生成しなくなったことを確認した後、反応混合物を室温まで冷却した。次いで、酢酸ナトリウム3gを加えて更に30分間攪拌した後、エバポレータにより石油エーテルおよびアセトンを留去した。得られた粗生成物を、バス温度70℃、留分温度60℃、減圧度5mmHgの条件で減圧蒸留することにより、収量130.6g、収率91%で、無色透明液体の(R,S)−1,2−イソプロピリデングリセロールを得た。1H−NMRの測定結果を以下に示す。
1H−NMR(CDCl3);1.3−1.5ppm,d,CH3(6H) 1.9ppm,s,OH(1H) 3.5−4.3ppm,m,CH2CHCH2(5H)
[2]化合物(5)の合成
ナス型フラスコに、合成した(R,S)−1,2−イソプロピリデングリセロール6.60gおよびピリジン1mLを加え、メタクリロイルオキシエチルイソシアナート7.37g(昭和電工株式会社製)を秤取って、滴下ロートおよびカルシウム管を装着した。室温、遮光下において、メタクリロイルオキシエチルイソシアナートをゆっくりと滴下した。50℃に設定したオイルバス中で7時間反応させた。反応終了後、ピリジンおよび過剰の(R,S)−1,2−イソプロピリデングリセロールを減圧留去することにより、収量12.7g、収率93%で、白色固体の(R,S)−1,2−イソプロピリデングリセロール−3−メタクリロイルオキシエチルウレタンを得た。1H−NMRの測定結果を以下に示す。
1H−NMR(CDCl3);1.3−1.5ppm,d,CH3(6H) 1.9ppm,s,CH2=CH(CH3)(3H) 3.4−4.4ppm,m,OCH2CH2NH CH2CHCH2(9H) 5.1ppm,s,NH(1H) 5.6,6.1ppm,s,CH2=C(CH3)(2H)
[3]化合物(1)の合成
スクリュー管に、マグネチックスターラ、実施例1において合成した(R,S)−1,2−イソプロピリデングリセロール−3−メタクリロイルオキシエチルウレタン1.0g、メタノール3.9mLおよび4Nの塩酸100μLを加え、室温下30分間攪拌反応させたところ、懸濁液が透明溶液となった。更に60分間攪拌反応させた後、減圧乾燥により無色粘性液体のグリセロール−1−メタクリロイルオキシエチルウレタンを得た。収量は、852mg、収率は99%であった。1H−NMRの測定結果を以下に示す。
1H−NMR(D2O);1.8ppm,s,CH2=CH(CH3)(3H) 3.3−4.2ppm,m,OCH2CH2NH CH2CHCH2(9H) 5.6,6.0ppm,s,CH2=C(CH3)(2H)
実施例1
製造例1で得た重合性防曇剤であるグリセロール−1−メタクリロイルオキシエチルウレタン990mg、および市販のモノマーであるN−メチロールアクリルアミド10mgを混合し重合性原料とした。この重合性原料1000mgとメタノール/水混合溶媒(4/1 v/v)5mL及びアゾイソブチロニトリル40mgをねじ口試験管に秤取り、均一に混合して、窒素ガスで試験管内を置換した後に密栓し、70℃で24時間反応させることで重量平均分子量51000のグリセロール−1−メタクリロイルオキシエチルウレタン:N−メチロールアクリルアミド共重合体を含有する吸水性有機ポリマー溶液6.0gを得た。
この吸水性有機ポリマー溶液を0.5g取り、ガラス基板上にフィルムアプリケーター(規格:JISK5600、商品名:ドクターブレード、TP技研株式会社製)を用いて均一に塗布し、80℃で5分間加熱乾燥したところ、透明な塗膜(膜厚10μm)が得られた。得られた塗膜について、下記評価を行った。評価結果を表1に示した。
[塗膜外観]
塗膜の外観を3段階で評価した。
◎:無色透明であり、光沢も良好である。
○:着色、濁りがわずかにある。
×:不透明で濁りがある。
剥離:割れ、剥離等により塗膜を形成しない。
[防曇性評価]
塗膜を形成したガラス板を40℃のウォーターバスの上面に穴(直径10mm)を開けたアクリル板を載せた状態の装置に、塗膜の表面が蒸気に触れるようにして、蒸気を噴出する穴を塞ぐように載せ、塗膜の表面が曇り始めるまでの時間を測定した。
なお、膨潤、剥離等を生じ、計測不能な試料については、評価しなかった。
[塗膜強度]
尖らせた鉛筆の先端を塗膜に垂直に1kgfの荷重で押し当て、荷重を加えたまま鉛筆を引っ張り塗膜に傷が付くかを試験して硬度を判定した。例えば、5Hの鉛筆で傷がついた場合に塗膜硬度を4Hとして評価した。
なお、膨潤、剥離等を生じ、計測不能な試料については、評価しなかった。
[密着性評価]
塗膜にカッターで2mm四方の升目を25升つくり、これに粘着テ−プを貼り付けて剥がし、剥がした後に残った升目の数を計測した。
なお、膨潤、剥離等を生じ、計測不能な試料については、評価しなかった。
[耐水性]
基板に形成した塗膜を20℃の水中に3時間浸漬した後、外観の変化を目視により確認し、変化の程度を下記の3段階で評価した。
◎:顕著な変化なし。
○:膨潤、剥離がわずかにある。
×:膨潤、剥離、濁り等の変化を生ずる。
なお、膨潤、剥離等を生じ、計測不能な試料については、評価しなかった。
Figure 2006306995
実施例2
実施例1の重合性原料に替え、製造例1で得た重合性防曇剤であるグリセロール−1−メタクリロイルオキシエチルウレタン790mg、および市販のモノマーであるN−メチロールアクリルアミド10mg、メチルメタクリレート200mgを混合し重合性原料とし、実施例1の重量平均分子量51000のグリセロール−1−メタクリロイルオキシエチルウレタン:N−メチロールアクリルアミド共重合体を含有する吸水性有機ポリマー溶液に替え、重量平均分子量48000のグリセロール−1−メタクリロイルオキシエチルウレタン:N−メチロールアクリルアミド:メチルメタクリレート共重合体を含有する吸水性有機ポリマー溶液としたものを吸水性有機ポリマー溶液として用いた以外は、実施例1と同様に行い、各評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3
テトラエトキシシラン4.23gに水7.32g、リン酸6.52mg、メタノール910mgを加えて、40℃で4時間攪拌し、加水分解を行い、無機アルコキシド加水分解物溶液12.5gを得た。
実施例1の吸水性有機ポリマー溶液に替え、実施例1で得られた吸水性有機ポリマー溶液1.2gに更に無機アルコキシド加水分解物溶液650mgを混合して吸水性有機ポリマー溶液としたものを吸水性有機ポリマー溶液として用いた以外は、実施例1と同様に行い、各評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1
実施例1のグリセロール−1−メタクリロイルオキシエチルウレタンに替え、グリセロール−1−メタクリレート(製品名:ブレンマーGLM;日本油脂(株)製)を用いて重合性原料とし、実施例1の重量平均分子量51000のグリセロール−1−メタクリロイルオキシエチルウレタン:N−メチロールアクリルアミド共重合体を含有する吸水性有機ポリマー溶液に替え、重量平均分子量20000のグリセロール−1−メタクリレート:N−メチロールアクリルアミド共重合体を含有する吸水性有機ポリマー溶液としたものを吸水性有機ポリマー溶液として用いた以外は、実施例1と同様に行い、各評価を行った。結果を表1に示す。
比較例2
実施例1の吸水性有機ポリマー溶液に替え、比較例1で得られた重量平均分子量20000のグリセロール−1−メタクリレート:N−メチロールアクリルアミド共重合体を含有する吸水性有機ポリマー溶液1.2gに、実施例3で得られた無機アルコキシド加水分解物溶液650mgを混合して吸水性有機ポリマー溶液としたものを吸水性有機ポリマー溶液として用いた以外は、実施例1と同様に行い、各評価を行った。結果を表1に示す。
比較例3
実施例1のグリセロール−1−メタクリロイルオキシエチルウレタンに替え、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(和光純薬(株)製)を用いて重合性原料とし、実施例1の重量平均分子量51000のグリセロール−1−メタクリロイルオキシエチルウレタン:N−メチロールアクリルアミド共重合体を含有する吸水性有機ポリマー溶液に替え、重量平均分子量50000の2−ヒドロキシエチルメタクリレート:N−メチロールアクリルアミド共重合体を含有する吸水性有機ポリマー溶液としたものを吸水性有機ポリマー溶液として用いた以外は、実施例1と同様に行い、各評価を行った。結果を表1に示す。
比較例4
実施例1の吸水性有機ポリマー溶液に替え、比較例3で得られた重量平均分子量50000の2−ヒドロキシエチルメタクリレート:N−メチロールアクリルアミド共重合体を含有する吸水性有機ポリマー溶液1.2gに、実施例3で得られた無機アルコキシド加水分解物溶液650mgを混合して吸水性有機ポリマー溶液としたものを吸水性有機ポリマー溶液として用いた以外は、実施例1と同様に行い、各評価を行った。結果を表1に示す。

Claims (4)

  1. 式(1)で表される重合性防曇剤。
    Figure 2006306995
    (式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は−(CH2n−を示す。ここで、nは1〜4の整数である。)
  2. 請求項1記載の重合性防曇剤20〜90質量%と、式(2)で表される無機アルコキシド10〜80質量%含む重合性防曇組成物。
    Figure 2006306995
    (MはSi、Al、Ti、Zr、Ca、Fe、V、Sn、Li、Be、B、及びPからなる群から選択される無機原子であり、Yは炭素数1〜4のアルキル基であり、Xは脂肪族アルキル基、芳香族アルキル基、官能基を有する脂肪族アルキル基、官能基を有する芳香族アルキル基、又はハロゲン原子から選ばれるいずれかであり、aはMの原子価と同じ数であり、またmは1からaまでの整数である。)
  3. 式(1)で表される重合性防曇剤を含む重合性原料を重合して得た重量平均分子量5000〜1000000の防曇性重合体を20〜90質量%含有してなる防曇コーティング剤。
  4. 式(2)で表される無機アルコキシドを更に10〜80質量%含有してなる請求項3記載の防曇コーティング剤。


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