JP2006306645A - 多孔質材の製造方法、及び緑化用の多孔質材 - Google Patents

多孔質材の製造方法、及び緑化用の多孔質材 Download PDF

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Abstract

【課題】
植物を植え付けることができる多孔質材の提供と、ヒートアイランド現象を予防するために、土を使用しないで、建物の壁面や屋上などを敷設作業も簡単で、外観上も美しく緑化することができる緑化用の多孔質材を提供する。
【解決手段】
焼成時に熔融しない骨格成分と、焼成時に熔融する熔融成分を含有するスラリーを調整する行程と、該スラリーに繊維及び気泡を混入する行程と、成形する行程と、乾燥する工程と、400〜1300℃の焼成温度で焼成する行程と、を具備するゲル化剤を含まない多孔質材の製造方法によって製造された多孔質材を用い、該多孔質材の表面部に植物を植裁したことを特徴とする緑化用の多孔質材とした。
【選択図】図5

Description

本発明は、ゲル化剤を含まない多孔質材の製造方法、及び建物の壁面や屋上に張設することができる植物が植裁された緑化用の多孔質材に関する。
都市活動におけるエネルギー消費の増大や緑地の減少により、さらには、都市部などでコンクリートやアスファルト舗装などで地表を覆った結果、水分の蒸発による温度低下がなくなり、日中蓄えた熱を夜間に充分に放出できなくなり、夜になっても気温が下がらなくなって、都心部の気温が上昇し、郊外と比較して等温線を描くと都市部だけが島のように見えることから、ヒートアイランド(熱の島)といわれている。
このようなヒートアイランド現象を防ぐための一つの解決方法としてビルの屋上の緑化が進められている。それに伴って、ビルの屋上を緑化するための方法が種々考案されている。例えば、特許文献1においては、「コンクリート層の上部に土層を設け、この土層のさらに上部に有孔の人口シートを敷設してなることを特徴とする人口植裁の敷設構造」が開示されている。特許文献1の方法は、建物の屋上のコンクリート上に土を敷き、その上にシートを敷いて保水性を持たせて、植物を植えようとするものである。
特許文献2には、「保水性、透水性、強度、及び、耐久性を有する多孔質の無機材料からなる薄板状の植生基盤材を構造物の屋上に敷設するとともに、当該植生基盤材上に耐乾燥性植物を直接植裁してなることを特徴とする屋上緑化構造物。」が開示されている。特許文献2の多孔質の無機材料からなる薄板状の植生基盤材には、粒径が1.5〜5.0mmの範囲にあり、0.1〜500μmの多数の細孔を有する粒子骨材の表面の一部又は全部を、10〜100μmの通孔を有する多孔質結晶化ガラスによって被覆するとともに、それらの粒子骨材同士を当該多孔質結晶化ガラスによって部分的に結合させ、それらの粒子骨材間に100〜5000μmの孔隙を形成した焼結体を植生基盤材として用いている。
特許文献3には、「粒径が5〜15mmの範囲にある粗粒骨材にガラスを配合したものを成形するとともに焼成してなるセラミックス板状の植生基盤材であって、前記粗粒骨材の表面の一部又は全部が、10〜100μmの通孔を有する多孔質結晶化ガラスによって被覆されるとともに、それらの粗粒骨材同士が当該多孔質結晶化ガラスによって部分的に結合せられ、かつ、それらの粗粒骨材間に0.4〜10mmの連続孔隙が多数形成されることにより、保水性、透水性、強度、及び、耐久性を兼ね備え、ベンケイソウ科セダム属植物等の体乾燥性植物を植裁できるように構成したことを特徴とする緑化用植生基盤材。」が開示されている。
以上のように、ヒートアイランド現象を防止するための方法が種々開示されているが、特許文献1のシートを敷いて保水性を持たせて、植物を植える方法のように、保水性が良すぎるとシートに微生物が繁殖して異臭を発したり、あるいは、雨等によってシートとコンクリートの間の土が流出する等の問題があり、植物の繁殖以外の問題の発生が考えられる。また、特許文献2、及び3に開示されている植生基盤材上に植物を植裁する方法においては、植生基盤材の内部に植物の根が入り難く、植生基盤材の表面にのみ繁殖して、折角植物が繁殖しても植生基盤材から植物が剥がれ易いと云う欠点を有している。このために土を使用しないで、建物の壁面や屋上を簡単に美しく緑化することができる緑化用の資材の出現が望まれている。
特開平7−127011号公報 特開2001−161159号公報 特開2002−335747号公報
植物を植え付けることができる多孔質材の提供と、ヒートアイランド現象を予防するために、土を使用しないで、建物の壁面や屋上などを敷設作業も簡単で、外観上も美しく緑化することができる緑化用の多孔質材を提供する。
本発明者等は上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、植物を植裁するための多孔質材の新たな製造方法、さらに、本願発明方法で製造した多孔質材を用いて緑化用の多孔質材の製造に成功した。
本発明の第1の特徴は、a.焼成時に熔融しない骨格成分と、焼成時に熔融する熔融成分を含有するスラリーを調整する行程と、
b.該スラリーに繊維及び気泡を混入する行程と、
c.成形する行程と、
d.乾燥する工程と、
e.400〜1300℃の焼成温度で焼成する行程と、
を具備することを特徴とするゲル化剤を含まない多孔質材の製造方法である。ゲル化剤が含まれていないので、ゲル化剤を溶解する時間、ゲル化剤を硬化させる時間が必要でなくなり、多孔質材の製造時間が短縮できる。
本発明の第2の特徴は、前記熔融成分は、前記スラリー中の固形分の全量に対して5〜70重量%含むことを特徴とする請求項1に記載のゲル化剤を含まない多孔質材の製造方法である。ゲル化剤が含まれていないことより、硬度が低く、植物の発育がよい上に、焼成後粒状にして使用することもできる。
本発明の第3の特徴は、多孔質材の表面部に植物が植裁されていることを特徴とする緑化用の多孔質材である。多孔質材の表面部に植物が植裁されており、そのまま建物の屋上に張設することによって、簡単に屋上等を緑化することができ、ヒートアイランド現象を防止することができる。
本発明の第4の特徴は、植物を植裁するために、植物の種粒を投入する孔が穿設されていることを特徴とする緑化用の多孔質材である。多孔質材の気泡剤によって生ずる孔のみでは根の張りが充分でなく、また、種を蒔きやすくするために、予め多孔質材に孔を穿設して、穿設した孔に種粒を投入して孔の中で充分に根を張らせた上で建物の屋上や、壁面、あるいは河川の堤防に敷設することができる。
本発明の第5の特徴は、植物を植裁するために、種粒を投入する線状溝が凹設されていることを特徴とする緑化用の多孔質材である。多孔質材の表面に溝を縦、横、又は縦横交叉させて凹設することによって、蒔いた種粒が多孔質材の表面から流れ難くすることができると共に、根を縦横に張らせる効果がある。
本発明の第6の特徴は、多孔質材の表面部又は穿設した溝又は孔に種粒を播種して発芽させ、発芽した植物が植裁されていることを特徴とする請求項3に記載の緑化用の多孔質材である。充分に植物が繁殖した緑化用の多孔質材を提供することによって、ビル等の緑化作業を早く、簡単にすることができる。
本発明の第7の特徴は、請求項3又は請求項6のいずれかに記載の緑化用の多孔質材がゲル化剤を含む材料で製造された多孔質材であることを特徴とする緑化用の多孔質材である。硬度の高い多孔質材を必要とする場所に敷設するためにゲル化剤を含む多孔質材を用いて植物を植裁した緑化用の多孔質材を提供することができる。
本発明の第8の特徴は、請求項3又は請求項6のいずれかに記載の緑化用の多孔質材がゲル化剤を含まない材料で製造された多孔質材であることを特徴とする緑化用の多孔質材である。硬度の低い多孔質材を必要とする場所に敷設するためにゲル化剤を含まない多孔質材を用いて植物を植裁した緑化用の多孔質材を提供することができる。
ゲル化剤を含まない多孔質材は製造が早く、経済的である。軽量の多孔質材に植物を植裁することによって、建物の屋上や壁面、河川の堤防などに緑化用の多孔質材を簡単に、早く敷設することができる。多孔質材に予め孔や溝を穿設しておくことによって、種の流失が防止できるとともに、確実に発芽させることができる。多孔質材の孔や溝の中で根がしっかりと張って、植生された植物が多孔質材に強固に張り付くようになる。さらに、水を吸収した多孔質材は、蒸発による気化熱により温度を下げる効果を有しているので、ヒートアイランド現象を防ぐのに適している。
本発明の植物を植裁するための緑化用の多孔質材の製造方法と植物を植裁した緑化用の多孔質材について、以下に実施例を上げて更に詳しく説明する。
本発明の好ましい態様においては、前記熔融成分は、前記スラリー中の固形分の全量に対して5〜70重量%含むようにする。熔融成分を5重量%以上含むことで、400〜1300℃という低い温度での焼成においても焼成体が充分な強度を有するようになる。その理由は、おそらくは、液相焼結機構がこのような低い温度でも働くようになるためと考えられる。熔融成分を70%以上とすると、焼成時に溶液成分が軟化温度に達すると焼成体を構成する成分の大部分が融液化し、熔融粘性が下がりすぎて収縮や変形が大きくなり、気孔を維持できなくなってしまうため70重量%以下とする。
本発明において、「焼成時に溶融しない骨格成分」とは、焼成時に他の成分と反応するしないとにかかわらず、粒子を残存する成分のことを言う。例えば、カオリナイト。ハロサイト、モンモリロナイト、セリサイト、バイロフィライト、タルク等のアルミノケイ酸
塩、石英、ワラストナイト等が好適に利用できる。
本発明において、「焼成時に熔融する熔融成分」とは、焼成時に他の成分と反応する、若しくはその成分単味で溶融し、粒子として残存しない成分のことを言い。例えば、長石ややガラスなどが好適に利用できる、
本発明において、「焼成時に熔融しない骨格成分と、焼成時に溶融する熔融成分とを含有するスラリー」の調製は、基本的には、上記で規定される「焼成時に溶融しない骨格成分」と「焼成時に溶融する熔融成分」を水に懸濁させることにより行う。ここにおいて、「焼成時に溶融しない骨格成分」及び「焼成時に溶融する熔融成分」の双方を予め備える原料を水に懸濁させても良い。このような原料としては、窯業原料として一般に利用されている粘土鉱物原料や、粘土鉱物の原料山から採掘された原料から粘土類や珪石などの利用される部分を抽出された後に残り、通常は利用されずに廃棄されるキラ、ガラスビンや蛍光灯や廃棄された車の窓ガラスやガラス工場から排出されるガラスなどの種々のガラス屑。タイル工場からはいしゅゆされるタイル屑や釉薬汚泥、火力発電所で石炭を燃やした後に排出される石炭灰(フライアッシュ)、製鉄所等から排出される熔融スラグ、下水の浄化施設等から排出される汚泥を焼却処理した後に排出される汚泥の焼却灰など、産業廃棄物として出されているものも有効に利用できる。
スラリーに焼成時に溶融する熔融成分を含有させ、かつ気泡を混入したことにより、400〜1300℃という低い温度による焼成で、曲げ強度1MPa以上の充分な強度を有しつつ、気孔率60%以上の軽量な多孔質材が提供可能となる。また、400〜1300℃という低い温度により焼成可能となるので、意匠性を向上させるために施釉を行う場合に、焼成を一度ですますことができる。
本発明において、「ゲル化剤」とは、以下に示すいずれか1種以上のゲル化反応を生じさせる材料をいう。
(1)モノマーの重合硬化反応
(2)水和硬化反応
(3)特定の塩析反応
モノマーの重合硬化反応の場合の「ゲル化剤」はそのモノマーであり、例えば、メタアクリルアミド、アクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、エチレングリコール等が好適に利用できる。水和硬化反応の場合の「ゲル化剤」は水和硬化する物質であり、例えば、寒天、ゼラチン、アルギン酸塩、カラギーナン、ペクチン、ガム類等が好適に利用できる。この中で寒天、ゼラチン、カラギーナン、ペクチン、ガム類は溶解のために適当な温度に加熱する必要があり、その後冷却もしくは常温に放置することでゲル化の特性を発揮する。例えば、寒天は約80℃以上で加熱溶解後、約40℃以下にしてゲル化する。同様にゼラチンは約30℃以上、カラギーナン、ペクチンは約40℃以上で加熱溶解後、約20℃以下とすることでゲル化する。またアルギン酸塩は常温の水で容易に溶解し、塩化カルシウムや硫酸カルシウムなどカルシウムイオンを含むものをpHを調整して微量添加することによりゲル化する。また、特定の塩析反応としては、水ガラスとセメントの反応によるゲル化や、水ガラスと炭酸水酸化ナトリウムなどの酸との反応などが利用される。コスト面から「ゲル化剤」としては、寒天、ゼラチン、アルギン酸、水ガラスを使用するのが好ましい。
本発明において、「粘土類」とは、雑粘土(アルミナ分が少ないもの、Fe2O3を多く含むもの等)や、工業生産の過程で発生するアルミナ分を含んだ廃棄物(ただし有害物質を含まないもの、例えば研磨材屑)等を含めて粘土類とする。
本発明において、「気泡を混入する」方法には、例えば、スラリー中に気泡剤として一般に知られている界面活性剤を加えた後、機械的攪拌を行う、超音波等による振動を与える、多孔板(体)に気体を吹き込む、化学反応により気泡を生じさせるなどの方法が利用できる。ここで界面活性剤として陰イオンの界面活性剤が好ましく使用され、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、脂肪酸塩などが利用でき、また、陰イオン性界面活性剤と両性界面活性剤を混合して使用することも可能であり、両性界面活性剤としてラウリルジメチルカルボキシメチルベタインなどが利用できるが、これらの例に限定されるものではない。
スラリー中の「焼成時に溶融しない骨格成分」と「熔融時に溶融する熔融成分」の粉砕粒径が細かいほどスラリーの気泡量は大きくなるが、粉砕時間、粉砕コスト、焼成時の反応性を考慮すると平均粒径で5〜25μmが好適である。
本発明における、「成形する行程」は、例えば、流動性をもった含気泡スラリーを鋳型に流し込むスリップキャスト、圧力鋳込み、含気泡スラリーの流動性が低下し、その可塑性や保形性が高くなった状態のものを使用した射出成形、押し出し成形などが可能であるが、これらの方法に限定されるものではない。また、形状もタイルのような50mm×100mm角などの小さな板状のものやサイディングやパネルなどの900mm×1800mmのような大きな形状のもの、また型の形状により凹凸の面上を造ることや、衛生陶器や洗面化粧台のボールのような様々な形状の多孔質窯業建材を作成することが可能で、その大きさや形状は限定されるものではない。また、成形の際に使用する型の材質は一般に鋳込み用の型として使用されている、石膏型、金型、樹脂型などいずれも使用可能でその材質による制限はない。
本発明における、「乾燥する工程」は、50℃〜150℃程度で行う。「成形する行程」、「乾燥する工程」を行った後に、施釉行程を行ってもよい。本発明の多孔質材において、その表面を釉薬、塗料等で覆うことにより、意匠を付与したり、吸水しない面、汚れやすい面を付与する事ができる。
本発明における、「焼成する行程」は400〜1300℃の焼成温度で行う。その温度は、スラリー成分の構成物とその比により適宜選択する。本発明における多孔質材においては、溶融する成分が、その焼成温度で骨格成分を結びつけて緻密な構造を造る。焼成時に溶融する成分が10〜70重量%の範囲で含まれる調合の中で、例えば下記の実施例に示すような調合および焼成温度を選ぶことで、気孔率60%以上で曲げ強度が1MPa以上となるような多孔質材を作成することができる。このようにして作成した多孔体は、1400℃以上の焼成温度により作成したアルミナや窒化珪素の多孔体と同等気孔率に対して同等の強度を有する。
長石屑60重量%、粘土類40重量%に対し、水55重量%を加えて、平均粒径20μm、粘性500mPa・sのスラリーを調整した。このスラリーにパルプ繊維を3重量%を加えて攪拌した後、起包剤としてアニオン性界面活性剤、エマールAD25R(花王製)を1.0重量%加え、泡立て器を用いて機械的な攪拌により容積が3.0倍になるまで起包した。この含気泡スラリーを300×300×20mmの型内に鋳込み乾燥機中で80℃で乾燥した後に離型して、これを1050℃焼成し、多孔質焼成体を得た。
このようにして製造した多孔質体を水銀圧入法により気孔率を測定したところ、この多孔質体の気孔率は87%であった。またこの基材部の断面をSEMを用いて観察したところ、その平均気孔径は約60μmであった。さらに、この多孔質材の曲げ強度を測定した結果、1MPaであった。
長石屑60重量%、粘土類40重量%に対し、水55重量%を加えて、平均粒径15μm、粘性500mPa・sのスラリーを調整した。このスラリーにパルプ繊維を3重量%を加えて攪拌した後、起包剤としてアニオン性界面活性剤、エマールAD25R(花王製)を1.5重量%加え、泡立て器を用いて機械的な攪拌により容積が2.5倍になるまで起包した。この含気泡スラリーを300×300×20mmの型内に鋳込み乾燥機中で80℃で乾燥した後に離型して、これを1050℃焼成し、多孔質焼成体を得た。この多孔質体の気孔率は65%、平均気孔径は約45μmであった。さらに、この多孔質材の曲げ強度を測定した結果、1.5MPaであった。
長石屑55重量%、粘土類35重量%、アルミナを主成分とする廃棄物10重量%の混合物に対して水54重量%を加えポットミルで粉砕し、平均粒径10μm、粘性300Pa・sのスラリーを調整した。このスラリーに寒天を0.35重量%加えて攪拌した後、オートクレーブを用いて105℃飽和蒸気下で5分間加熱溶解した。このスラリーに気泡剤としてアニオン性界面活性剤、エマールADー25R(花王製)を0.3重量%加え、泡立て器を用いて機械的な攪拌により容積が3.0倍になるまで起泡した。この攪拌の間、スラリーの温度は約70℃に管理し、寒天がゲル化しないようにした。寒天がゲル化を開始する約40〜50℃の温度に下がる前に、この含気泡スラリーを型に鋳込み成形した。約30分室温で放置し、成形体の温度が下がりゲル化したものを離型し、60℃の乾燥機で3時間乾燥した。この乾燥体を1030℃で焼成し多孔質体を得た。
この多孔質体の気孔率は91%で嵩比重は0.61であった。また、平均気孔径は約100μmであった。さらに、この多孔質材の曲げ強度を測定した結果、4MPaであった。
実施例3と同様の方法で調整した寒天溶解スラリーに、同じ起泡剤を0.25重量%添加し、容積比が2.5倍になるように起泡し、その他は実施例3と同様の方法で多孔質材を製造した。この多孔質体の気孔率は88%、嵩比重は0.70,平均気孔径は約50μmであった。さらに、この多孔質材の曲げ強度を測定した結果、6MPaであった。
上記各実施例の方法で製造された縦100×横100×厚さ20mmの大きさの多孔質材をガラス容器に入れた後、多孔質材の約3分の1が浸漬する程度の水を入れて、多孔資材の表面に西洋芝の種を蒔いた後、約25℃の部屋に14日間放置して、育成状況を観察した。その結果、7日後の発芽率は90%に達し、14日後にはほぼ全粒が発芽して、約50mm位にまで成長した。また、多孔質材の表面に種を蒔いてから数mmの厚さになるように砂を被せて、表面の乾燥を防ぐことにより、発芽率を高めることができる。このように植物を植裁した緑化用の多孔質材200はそのまま建物の屋上や、壁面に張設することができる。
上記の実施例で得られた縦11が100mm、横12が100mm、厚さ13が20mmの大きさの多孔質材100の表面に、図1に示すように等間隔の縦線14と横線15を引く。縦14,横15の間隔は孔の大きさ、植裁する植物によって適宜変更する。縦線14、横線15の交点に図2に示すように孔16を穿設する。穿設する孔16の大きさは植裁する植物の種類、蒔く種の個数などによって適宜変更することができるが、0.2mm〜10mm位までが望ましい。穿設する孔16の深さ17は植裁する植物の種類、種の個数などによって適宜変更することができるが、多孔質材100の3分の1位までが望ましい。図1の多孔質材の場合、0.5〜15mm位の深さが適当である。しかし、河川の堤防などに敷設する場合は、多孔質材100に穿設する種蒔き用の孔の深さ17は多孔質材100の底部を貫通する貫通孔16であっても良い。多孔質材を貫通する孔の場合は、根が多孔質材100の貫通した孔の底部からでて、堤防の土にしっかりと根付いて多孔質材100を堤防に強固に固定することができる。水を吸収した多孔質材は、蒸発による気化熱で温度を下げる効果があり、さらに、その表面に植物を植裁することによって、その効果をさらに高めることができる。
上記各実施例の方法で製造された縦100×横100×厚さ20mmの大きさの多孔質材を用いて、図2に示すように、多孔質材の表面に直径5.0mm、深さ8.0mm、の孔16を144個、穿設するか、又は図3に示すように、多孔質材の表面に幅2.0mm、深さ3.0mmの線状溝20を縦14,横15に凹設してガラス容器に入れた後、多孔質材の約3分の1が浸漬する程度の水を入れて、多孔資材の孔に西洋芝の種を3〜5粒、線状溝20の場合は3〜5粒づつ適当な間隔をおいて蒔いた後、約25℃の部屋に14日間放置して、育成状況を観察した。その結果、7日後の発芽率は90%に達し、14日後にはほぼ全粒が発芽して、図4に示すように約50mm位にまで成長した。このように植物を生育させた状態の多孔質材を建物の緑化用の多孔質材200として使用することができる。又、種を蒔いた後に砂を数mm被せてもよい。 更に、大きな孔を穿設して種を蒔き植物を育成させると、図5に示すように多孔質材の孔から表面に根が張り出して、植物が多孔質材上により強固に植裁される。このように植物を植裁した緑化用の多孔質材200はそのまま建物の屋上や、壁面に張設することができる。
孔や、多孔質材の表面に線状溝を穿設しなくても植物の根が張ることができるが、孔や線状溝を穿設することによって、根の張り方がより強固にすることができる。図2に示す孔の他、図3に示すように多孔質材の裏面20に示すように線状溝20を設けても良い。多孔質材の表面に設ける線状溝20は、正方形に限らず、菱形や三角形の模様に穿設しても良い。
さらに、多孔質材の裏面21にゴム等22を貼設することによって、多孔質材を強化すると共に、建物の屋上などに張設しやすくすることもできる。水を吸収した多孔質材は、蒸発による気化熱で温度を下げる効果を有しており、建物の屋上やその周囲に多孔質材を張設することによって、ヒートアイランド現象を効率よく防止することができる。
緑化用の多孔質材に植裁する植物としては、野芝、高麗芝、姫高麗芝、ビロード芝などの日本芝、あるいはペレニアルライグラス、ブルーグラス、フェスク等の西洋芝を好適に例示することができる。芝以外では耐乾燥性植物として、例えば、マツバギク、タイケン、レイコウ等のツルナ科植物、マルバマンネングサ、メキシコマンネングサ、オノマンネングサ、タイトゴメ、ツルマンネングサ等のベンケイソウ科セダム植物等を例示することができる。このような植物は、河川敷の堤防、建物の屋上、壁面など、植物を植裁した緑化用の多孔質材を使用する目的、用途に応じて緑化用の多孔質材に植裁する植物を適宜選択することができる。
また、多孔質材の大きさは上記に限定されるものではない。例えば、前記多孔質材の1.5mm〜30mmのフレーク(焼成前の多孔質材を小さく切って焼成したもの、あるいは、多孔質材の粉砕物)に植物の種を植え付けるか、容器に上記フレークを詰めて植物の種を蒔いて、植物を育成することもできる。
孔を穿設する位置を決めるために多孔質材の表面に等間隔に縦線、横線を引いた多孔質材の斜視図である。 植物の種を蒔くための孔を穿設した多孔質材の斜視図である。 植物の種を蒔くための溝を凹設した多孔質材の斜視図である。 多孔質材の孔に蒔いた種が発芽して、植物が生育した状態を示す緑化用の多孔質材の斜視図である。 植物が生育して植物の根が多孔質材の表面に根付いた状態を示す緑化用の多孔質材の斜視図である。 裏面にゴムを貼設した多孔質材の斜視図である。
符号の説明
100:多孔質材
200:緑化用の多孔質材
11:縦
12:横
13:厚さ
14:縦
15:横
16:孔
17:深さ
18:植物
19:植物の根
20:溝
21:裏面
22:ゴム

Claims (8)

  1. a.焼成時に熔融しない骨格成分と、焼成時に熔融する熔融成分を含有するスラリーを調整する行程と、
    b.該スラリーに繊維及び気泡を混入する行程と、
    c.成形する行程と、
    d.乾燥する工程と、
    e.400〜1300℃の焼成温度で焼成する行程と、
    を具備することを特徴とするゲル化剤を含まない多孔質材の製造方法。
  2. 前記熔融成分は、前記スラリー中の固形分の全量に対して5〜70重量%含むことを特徴とする請求項1に記載のゲル化剤を含まない多孔質材の製造方法。
  3. 多孔質材の表面部に植物が植裁されていることを特徴とする緑化用の多孔質材。
  4. 植物を植裁するために、種粒を投入する孔が穿設されていることを特徴とする緑化用の多孔質材。
  5. 植物を植裁するために、種粒を投入する線状溝が凹設されていることを特徴とする緑化用の多孔質材。
  6. 多孔質材の表面部又は穿設した溝、又は孔に種粒を投入して発芽させ、発芽した植物が植裁されていることを特徴とする請求項3に記載の緑化用の多孔質材。
  7. 請求項3又は請求項6のいずれかに記載の緑化用の多孔質材がゲル化剤を含む材料で製造された多孔質材であることを特徴とする緑化用の多孔質材。
  8. 請求項3又は請求項6のいずれかに記載の緑化用の多孔質材がゲル化剤を含まない材料で製造された多孔質材であることを特徴とする緑化用の多孔質材。





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