以下、図面を参照して本発明の実施の形態(以下、実施形態という)について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る用紙束搬送装置10の構成を示す図である。用紙束搬送装置10は、複数の給紙部17、複数の給紙部17の給紙台16の各々から用紙を搬送する第1用紙搬送部12、第2用紙搬送部15、第3用紙搬送部45、電子制御部100などにより構成される。
第1用紙搬送部12は、第1用紙搬送ベルト22、第1用紙搬送ローラ28、サクションダクト24などにより構成される。給紙台16に積載された用紙のうち最上位の用紙は、サクションダクト24により第1用紙搬送ベルト22に吸着され、第1用紙搬送ローラ28に搬送される。第1用紙搬送ベルト22により搬送された用紙は、第1用紙搬送ローラ28により第1用紙搬送路32に搬送される。
第2用紙搬送部15は、第2用紙搬送ベルト36、および複数の給紙部17の各々に対応して設けられた第2用紙搬送ローラ30などにより構成される。第1用紙搬送ローラ28は、第1用紙搬送ベルト22により搬送された用紙を第1用紙搬送路32に搬送する。第2用紙搬送路34において対向した第2用紙搬送ローラ30は、第1用紙搬送ローラ28により第1用紙搬送路32から搬送された用紙と、上部の給紙台16の第2用紙搬送ローラ30により第2用紙搬送路34から搬送された用紙束を重ね合わせて下方向に搬送する。
対向する第2用紙搬送ローラ30の間には、第2用紙搬送ベルト36が配設される。第2用紙搬送ベルト36は、上部ベルト支持ローラ38aおよび下部ベルト支持ローラ38bにより、用紙束搬送装置10すべての第2用紙搬送ローラ30の間に第2用紙搬送ベルト36が配置されるように、上下方向に長く配設される。上部ベルト支持ローラ38aはモータにより駆動され、下部ベルト支持ローラ38bは、上部ベルト支持ローラ38aが駆動されることにより、第2用紙搬送ベルト36を介して駆動が伝達され従動される。
第2用紙搬送ローラ30はモータなどの駆動源に接続されておらず、対向する第2用紙搬送ローラ30が第2用紙搬送ベルト36を挟持している。第2用紙搬送ベルト36は上部ベルト支持ローラ38aが駆動されることにより摺動し、第2用紙搬送ローラ30は、この第2用紙搬送ベルト36が摺動されることにより従動する。電子制御部100は、第2用紙搬送ベルト36を駆動することより、第2用紙搬送ベルト36および第2用紙搬送ローラ30により用紙束が挟持された状態で用紙束を搬送する。
以上により、電子制御部100は、第1用紙搬送ベルト22および第1用紙搬送ローラ28に各々の給紙台16から順次搬送対象である用紙を搬送させ、第2用紙搬送ベルト36によって下方向に用紙束を形成しながら搬送させる。なお、第1用紙搬送部12、および第2用紙搬送部15は、用紙束を搬送する時間間隔によらず、常に同じ速度で用紙および用紙束を搬送する。
第3用紙搬送部45は、用紙束搬送装置10の下部に配設され、第3用紙搬送ローラ42、第3用紙搬送ベルト40などにより構成される。電子制御部100は、第3用紙搬送ベルト40を駆動することより、第3用紙搬送ベルト40および第3用紙搬送ローラ42により用紙束が挟持された状態で用紙束を搬送する。
電子制御部100は、第3用紙搬送部45を、同じ用紙束搬送装置10の第2用紙搬送部から搬送された用紙束、または別の用紙束搬送装置10の第2用紙搬送部から搬送された用紙束を搬送するように制御する。本実施形態においては、本図の用紙束搬送装置10の右側に別の用紙束搬送装置10が設けられている場合、電子制御部100は、第3用紙搬送部45に、その別の用紙束搬送装置10により搬送された用紙束を本図で右から左に搬送させ、本図の用紙束搬送装置10により搬送された用紙束を重ね合わせて図示しない後処理装置に搬送させる。
図2は、第1の実施形態に係る給紙部17およびその周辺の構成を示す図である。本実施形態においては、給紙台16に積載された用紙のうち最上位の用紙をエアにより第1用紙搬送ベルト22に吸着させて給紙台16から用紙を搬送するベルトサクション方式が採用されている。給紙部17の給紙台16に積載された用紙は、このベルトサクション方式を採用した第1用紙搬送部12により搬送され、第2用紙搬送部15により用紙が重ね合わされ用紙束として搬送される。
第1用紙搬送ベルト22の用紙搬送方向上流側には、給紙台16に積載された用紙のうち最上位に積載された用紙の高さを検出する用紙高さセンサ20が設けられている。用紙高さセンサ20は、回動可能なプレートおよびフォトセンサなどの光センサなどにより構成され、たとえば、給紙台16が充分に上方向に移動されていれば、給紙台16に積載された用紙のうち最上位の用紙によりプレートが回動され、これを光センサが検知することにより、給紙台16に積載された用紙のうち最上位の用紙の高さを検知する。
給紙台16は、後述する移動装置により給紙台支持部18が上下方向に移動させられることにより、同様に上下方向に移動させられる。給紙部17の電子制御部100は、用紙高さセンサ20の検知結果に基づいて、または後述する給紙のための給紙台16の移動制御のため、給紙台16を上下方向に移動する。
給紙台16の下方には、給紙台16に積載された用紙を検知する用紙無し検知部14が配設される。用紙無し検知部14は、フォトセンサなどの光センサにより構成され、給紙台16に設けられた図示しない検知孔を通して給紙台16に積載されている用紙を検知する。このようにして、用紙無し検知部14は、給紙台16に積載された最後の用紙が、用紙無し検知部14の検知範囲である検知孔を通過する位置まで搬送されることにより用紙が無くなった状態である用紙無し状態を検知する。電子制御部100は、用紙無し検知部14の検知結果の入力に基づいて、給紙部17に設けられた第1用紙搬送ベルト22などを制御する。
給紙台16の用紙搬送方向下流側には、給紙台16に積載された用紙の用紙搬送方向下流側端部にエアを吹き出すエア吹出ダクト26が配設される。エア吹出ダクト26のエア吹出口からエアが吹き出されることにより、給紙台16に積載された用紙のうち、第1用紙搬送ベルト22の用紙搬送面に近い用紙の用紙間に間隔を開けることができ、用紙の分離性を向上することができる。
第1用紙搬送ベルト22は、2つのローラの外周に取り付けられている。本図では左側の用紙搬送方向下流側のローラは、図示しないクラッチおよびギアなどを介してDCモータやステッピングモータなどのモータに接続されている。他方のローラはモータなどの駆動源に接続されておらず、第1用紙搬送ベルト22が摺動することにより従動する。第1用紙搬送ベルト22および2つのローラは、給紙台16に積載された用紙の用紙搬送方向側の上部に、第1用紙搬送ベルト22が給紙台16に積載された用紙と平行な用紙搬送面を持つように配設される。これにより、ローラを駆動することにより、第1用紙搬送ベルト22の用紙搬送面を、給紙台16に積載された用紙と平行に用紙搬送方向に移動することができる。
電子制御部100は、第1用紙搬送ベルト22を駆動するモータとローラの間に取り付けられた図示しないクラッチを、給紙部17の用紙を搬送するタイミングでモータの駆動をローラに伝達するように制御する。これにより、第1用紙搬送ベルト22の用紙搬送面が、給紙部17の用紙を搬送するタイミングで用紙搬送方向に移動するように制御される。
第1用紙搬送ベルト22は、用紙幅方向に複数設けられており、複数の第1用紙搬送ベルト22の間および外側には、下面に吸引用開口部を有するサクションダクト24が配設されている。サクションダクト24の吸引用開口部は、第1用紙搬送ベルト22の用紙搬送面の用紙搬送方向略全域にわたって形成され、また第1用紙搬送ベルト22の用紙搬送面よりも微小に上方に形成される。
サクションダクト24にはエアを吸引するための図示しないファンが設けられており、第1用紙搬送ベルト22の用紙搬送面近傍に設けられたサクションダクト24の吸引用開口部からエアを吸引する。サクションダクト24には図示しない制御用開口部および、図示しないモータまたはソレノイドなどの駆動手段により制御用開口部を遮蔽し、また遮蔽を解除する吸引制御部が設けられている。電子制御部100は、吸引制御部に動作信号を入力することにより、給紙台16の用紙を搬送するタイミングで制御用開口部を遮蔽し、吸引用開口部からエアを吸引することにより、給紙台16に積載された用紙のうち最上位の用紙を第1用紙搬送ベルト22の用紙搬送面に吸着させる。
以上により、電子制御部100は、給紙台16から用紙を搬送するタイミングで用紙搬送ベルトを駆動し、また吸引用開口部からエアを吸引することにより、給紙台16に積載された用紙のうち搬送対象である最上位の用紙を第1用紙搬送ベルト22の用紙搬送面に吸着させ、第1用紙搬送ローラ28へと搬送する。
第1用紙搬送ローラ28は、第1用紙搬送ベルト22により搬送された用紙を第1用紙搬送路32に搬送する。第2用紙搬送ローラ30は、第1用紙搬送ローラ28により第1用紙搬送路32から搬送された用紙と、上部の給紙部17の第2用紙搬送ローラ30により第2用紙搬送路34から搬送された用紙束を重ね合わせて挟持し、第2用紙搬送ベルト36は、重ね合わされた用紙束を下方向に搬送する。
図3は、第1の実施形態に係るニアエンプティ検知部13によりニアエンプティ状態が検知される前の状態を示す図である。給紙部17は、給紙台16を上下方向に移動する移動装置50を有している。移動装置50は、給紙台支持部18、給紙台支持部18に固定されたラックギア52、図示しないDCモータまたはステッピングモータなどのモータ、モータに取り付けられラックギア52に噛合するギア51を有している。ギア51はモータによって駆動され、これによりラックギア52、給紙台支持部18を介して給紙台16を上下方向に移動する。モータは、電子制御部100に接続されており、用紙束搬送装置10は、用紙高さセンサ20の検知結果に基づいて、給紙台16に積載された用紙を第1用紙搬送ベルト22に近づけるとき、または後述する給紙のための給紙台16の移動制御を行うときに、モータに駆動信号を入力してモータを作動させて給紙台16の移動制御を行う。
ラックギア52の上方には、ニアエンプティ検知部13が配設される。給紙台移動制御部は、用紙高さセンサ20の検知結果に基づいて給紙台16を上方に移動するためギア51を駆動すると、ラックギア52も上方に移動する。ラックギア52が上方に移動し、ニアエンプティ検知部13に当接することによって、ニアエンプティ検知部13は、給紙台16に積載された用紙が少なくなった状態であるニアエンプティ状態を検知する。本図においては、ラックギア52がニアエンプティ検知部13に当接していないため、ニアエンプティ状態は検知されない。
図4は、第1の実施形態に係るニアエンプティ検知部13によりニアエンプティ状態が検知された状態を示す図である。ラックギア52はニアエンプティ検知部13の下部のプレートに当接し、ニアエンプティ検知部13の本体に設けられたスイッチを解除することにより、ニアエンプティ検知部13はニアエンプティ状態を検知する。電子制御部100は、ニアエンプティ検知部13の検知結果に基づいて、用紙束搬送装置10を制御する。ニアエンプティ状態を検知するラックギア52の高さなどの条件は、ニアエンプティ状態を検知すべき用紙の数が給紙台16に積載されているときのラックギア52の高さを予め実験により調査することにより決定される。
図5は、第1の実施形態に係る用紙束搬送装置10において給紙台16の移動制御が行われた状態示す図である。本実施形態に係る用紙束搬送装置10は、上から順番に第1給紙台16Aから第10給紙台16Jの10個の給紙台16を有している。また、用紙束搬送装置10は、ユーザが押すことにより入力が可能な給紙台指定手段としてのボタン60、およびタッチパネルにより構成され、ユーザが画面に触れることにより入力が可能な画面62を有している。
複数の給紙台16が並列して設けられる用紙束搬送装置10において、給紙台16のすべてを最大限下降すると、すべての給紙台16において給紙が可能となるが、各々の給紙台16と、各々の給紙台16の用紙の積載面が対向する給紙台である対向給紙台との間隔を大きくすることはできず、ユーザは容易に給紙することができない。なお、給紙台16のすべてを最大限下降すると、最上段の給紙台16において、給紙部17の高さが広げられることとなる。しかし、たとえばこの最上段の給紙台16に給紙し、次にその下の給紙台16に給紙するために最上段の給紙台を上昇させる移動制御を行っても、最上段の給紙台16はすでに給紙されていることから給紙台16を大きく上昇させることはできない。このため、その下の給紙台16への用紙の積載を行う場合、その給紙台16と対向給紙台との間隔を大きく広げることができない。
このため、本実施形態において、電子制御部100は、用紙束搬送装置10の電源が投入されたとき、または、たとえば給紙台16のいずれかに用紙搬送エラーや、用紙無し状態、ニアエンプティ状態が発生するなどして、給紙台16から第1用紙搬送部12および第2用紙搬送部15による用紙搬送が停止されたときに、用紙束搬送装置10に設けられた複数の給紙台16のうち最下段の第10給紙台16Jを、ユーザによる用紙の積載を容易とする対象である積載対象給紙台として、最大限下降させる下降制御を行う。また、第10給紙台16Jの対向給紙台である第9給紙台16Iを下降させない。これにより、ユーザが給紙しやすい最下段の第10給紙台16Jと、その用紙積載面に対向する給紙台である対向給紙台としての第9給紙台16Iとの間隔を広げることができ、また、その後他の給紙台16に給紙するために給紙台16の移動制御を行う場合においても、ユーザによる第10給紙台16Jへの用紙の積載を容易なものとすることができる。
ユーザによりボタン60が押され、電子制御部100がボタン60の入力を受け付けると、電子制御部100は、現在積載対象給紙台となっている給紙台16の対向給紙台を、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。たとえば本図においてユーザによりボタン60が押されると、電子制御部100は、現在積載対象給紙台となっている第10給紙台16Jの対向給紙台である第9給紙台16Iを、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。また、再度ユーザによりボタン60が押されると、電子制御部100は、次に第8給紙台16Hを最大限下降させる。このように、ユーザによりボタン60が押されることにより、電子制御部100は、下から順番に給紙台16を順次最大限下降させる。これにより、ユーザは容易に下から順番に給紙台16に用紙の積載を行うことができる。
なお、ユーザは、用紙束搬送装置10の電源投入後で給紙台16からの用紙の搬送が停止された状態であれば、いつでもボタン60を押すことにより給紙台16の移動制御を実行させることができる。下降するよう移動制御された給紙台16がない場合は、たとえばユーザによりボタン60が押されることにより、電子制御部100は、まず最下段の給紙台16である第10給紙台16Jを、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行い、その後、ボタン60が繰り返し押されることにより、電子制御部100は、下から順番に給紙台16を順次積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。これにより、ユーザ自身により積載対象給紙台を指定してその積載対象給紙台を下降させ、対向給紙台との間隔を広げることができる。
ボタン60は、画面62の中に表示されてもよく、ユーザがタッチパネルである画面62に表示されたボタン60に触れることにより、60の入力がされると、電子制御部100は、上記と同様に、下から順番に給紙台16を順次最大限下降させてもよい。
なお、電子制御部100は、装置の電源が投入されたとき、または給紙台16からの用紙搬送が停止されたときに、一番上の給紙台である第1給紙台16Aを最大限下降させる下降制御を行ってもよいことは勿論である。この場合、ユーザによりボタン60が押されることにより、電子制御部100は、次に第2給紙台16Bを最大限下降させ、ボタン60が繰り返し押されることにより、上から順番に給紙台16を順次最大限下降させてもよいことは勿論である。
図6は、第1の実施形態に係る給紙台16の移動制御の処理を示すフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、用紙束搬送装置10の電源投入後、所定時間ごとに繰り返される。
電子制御部100は、給紙台16からの用紙搬送が停止されたか、または用紙束搬送装置10の電源が投入されたときであるかの判断を行う(S11)。用紙搬送が停止された、または用紙束搬送装置10の電源が投入されたと判断された場合(S11のY)、電子制御部100は、最下段の給紙台16である第10給紙台16Jを最大限下降させる(S12)。用紙搬送が停止されていない、または用紙束搬送装置10の電源が投入されたときでないと判断されない場合は(S11のN)、本フローチャートにおける処理を終了する。
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態に係る用紙束搬送装置10において、用紙無し状態の給紙台16が隣り合わない場合に給紙台16の移動制御が行われた状態を示す図である。なお、第1の実施形態と同様の箇所については説明を省略する。
用紙束搬送装置10の電源が投入されたとき、または給紙台16からの用紙の搬送が停止されたときには、給紙台16に用紙が積載されていない状態である用紙無し状態の給紙台16が存在する可能性がある。特に、用紙無し検知部14により、いずれかの給紙部において用紙無し状態が検知されることにより、第1用紙搬送部12および第2用紙搬送部15による給紙台16からの用紙の搬送が停止された場合は、いずれかの給紙台16が用紙無し状態であることとなる。このように、用紙無し状態の給紙台16が含まれている場合、その給紙台16に用紙を補充しなければならない可能性が高い。
ここで、用紙無し状態の給紙台16は、給紙台16が上昇され第1用紙搬送ベルト22に近接してしまっているため、ユーザは、給紙台16を下げるなどして第1用紙搬送ベルト22との間隔を確保した状態で、給紙台16に給紙しなければならない。このとき、用紙無し状態の給紙台16とその対向給紙台との間隔広げて、ユーザによる容易な用紙の積載を実現するため、本実施形態においては、用紙束搬送装置10の電源が投入されたとき、または給紙台16からの用紙の搬送が停止されたとき、用紙無し検知部14の検知結果から、いずれかの給紙台16が用紙無し状態であると判断された場合に、電子制御部100は、用紙無し状態と判断された給紙台16を、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。また、積載対象給紙台の対向給紙台を下降させない。
本図においては、第4給紙台16Dと第9給紙台16Iが用紙無し状態となった場合を示している。電子制御部100は、用紙束搬送装置10の電源が投入されたとき、または給紙台16からの用紙の搬送が停止されたときに、用紙無し検知部14の検知結果によって用紙無し状態と判断された第4給紙台16Dと第9給紙台16Iを、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。これにより、第4給紙台16Dは、対向給紙台としての第3給紙台16Cとの間隔を広げることができる。また、第9給紙台16Iは、対向給紙台としての第8給紙台16Hとの間隔を広げることができる。
以上により、本実施形態に係る用紙束搬送装置10における給紙台16の移動制御により、用紙無し状態の給紙台16とその対向給紙台との間隔を広げることができ、ユーザは用紙無し状態の給紙台16に容易に給紙することができる。また、給紙する必要のない給紙台16の移動も低減させることができることから、用紙束搬送装置10の信頼性を向上させることができる。
図8は、第2の実施形態に係る用紙束搬送装置10において、用紙無し状態の給紙台16が隣り合う場合に給紙台16の移動制御が行われた状態を示す図である。
用紙無し状態の給紙台16が隣り合う場合も、たとえば用紙無し状態の給紙台16をすべて最大限下降して、最上段の給紙台16から下方向に順次給紙する場合、最上段の給紙台16はすでに給紙されていることから給紙台16を大きく上昇させる移動制御を行うことはできないため、その下の給紙台16への用紙の積載を行う場合、その給紙台16と対向給紙台との間隔を大きく広げることができない。
したがって、本実施形態にかかる用紙束搬送装置10において、電子制御部100は、用紙無し状態の給紙台16が隣り合う場合、隣り合う用紙無し状態の給紙台16のうち最下段の給紙台16を、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。本図においては、第2給紙台16B、第3給紙台16C、および第4給紙台16Dが隣り合って用紙無し状態となっており、また、第7給紙台16G、第8給紙台16H、および第9給紙台16Iが隣り合って用紙無し状態となっている。この場合、電子制御部100は、これら隣り合う用紙無し状態の給紙台16のうち最下段である第4給紙台16Dおよび第9給紙台16Iを、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。これにより、次に第3給紙台16Cおよび第8給紙台16Hに給紙する場合に、第3給紙台16Cおよび第8給紙台16Hを積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行うことにより、第3給紙台16Cとその対向給紙台である第2給紙台16B、および第8給紙台16Hとその対向給紙台である第8給紙台16Hの間を広く広げることができる。以上より、本実施形態における用紙束搬送装置10によれば、用紙無し状態の給紙台16が隣り合う場合においても、ユーザによる容易な用紙の積載を実現することができる。
図9は、第2の実施形態にかかる用紙束搬送装置10において、ユーザによる積載対象給紙台を指定する給紙台指定手段を示す図である。
用紙束搬送装置10の装置表面には、第1ボタン66Aから第10ボタン66Jの10個のボタン66が配置されている。第1ボタン66Aから第10ボタン66Jは、それぞれ第1給紙台16Aから第10給紙台16Jに対応している。ユーザによりボタン66のいずれかが押されると、電子制御部100は、ボタン66の入力を受け付け、押されたボタン66に対応する給紙台16とその対向給紙台との間隔を広げる移動制御を行う。これにより、ユーザにより積載対象給紙台を指定することが可能となる。
たとえば、図8において、ユーザは、第4給紙台16Dに給紙した後、第3ボタン66Cを押すことにより、第2給紙台16Bを積載対象給紙台として指定することができる。電子制御部100は、第3ボタン66Cの入力を受け付けると、第3ボタン66Cに対応する給紙台である第3給紙台16Cを、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。この第3給紙台16Cに給紙した後、第2ボタン66Bを押すことにより、第2給紙台16Bを積載対象給紙台として最大限下降させることができる。
なお、ユーザは、用紙束搬送装置10の電源投入後で給紙台16からの用紙の搬送が停止された状態であれば、いつでもボタン66を押すことにより給紙台16の移動制御を実行させることができる。したがって、用紙無し状態やニアエンプティ状態の給紙台16がない場合においても、給紙したい給紙台16への用紙の積載を容易なものとするために、ユーザ自身により積載対象給紙台を指定してその積載対象給紙台を下降させ、対向給紙台との間隔を広げることができる。
図10は、第2の実施形態に係る給紙台16の移動制御の処理を示すフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、用紙束搬送装置10の電源投入後、所定時間ごとに繰り返される。
電子制御部100は、給紙台16からの用紙搬送が停止されたか、または用紙束搬送装置10の電源が投入されたときであるかの判断を行う(S21)。用紙搬送が停止された、または用紙束搬送装置10の電源が投入されたときであると判断された場合は(S21のY)、電子制御部100は、用紙無し検知部14の検知結果から、給紙台16のいずれかに用紙無し状態の給紙台16があるか否かを判断する(S22)。給紙台16のいずれかに用紙無し状態の給紙台16があると判断された場合は(S22のY)、電子制御部100は、用紙無し状態の給紙台16が隣り合う箇所があるか否かを判断する(S23)。
用紙無し状態の給紙台16が隣り合う箇所があると判断された場合は(S23のY)、電子制御部100は、隣り合わない用紙無し状態の給紙台16、および隣り合う用紙無し状態の給紙台16の最下段の給紙台16を、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う(S24)。これにより、隣り合わない用紙無し状態の給紙台16については、すべて下降させて各々の対向給紙部との間隔を広げることができる。また、隣り合う用紙無し状態の給紙台16については、そのうち最下段の給紙台16を下降させてその対向給紙部との間隔を広げることができる。
用紙無し状態の給紙台16が隣り合う箇所がないと判断された場合は(S23のN)、電子制御部100は、すべての用紙無し状態の給紙台16を、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う(S25)。これにより、すべての用紙無し状態の給紙台16と各々の対向給紙台との間隔を広げることができる。なお、用紙搬送が停止されていない、または用紙束搬送装置10の電源が投入されたときでないと判断された場合(S21のN)、および給紙台16のいずれにも用紙無し状態の給紙台16がないと判断された場合(S22のN)は、本フローチャートにおける処理を終了する。
(第3の実施形態)
図11は、第3の実施形態に係る用紙束搬送装置10において、用紙無し状態またはニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合わない場合に給紙台16の移動制御が行われた状態を示す図である。なお、前述の実施形態と同様の箇所については説明を省略する。
用紙束搬送装置10の電源が投入されたとき、または給紙台16からの用紙の搬送が停止されたときには、用紙無し状態の給紙台16だけでなく、給紙台16に積載された用紙が少なくなった状態であるニアエンプティ状態の給紙台16も存在する可能性がある。用紙無し状態の給紙台16に給紙しなければならない可能性は高いが、同様にニアエンプティ状態の給紙台16に給紙しなければならない可能性もまた高い。
ここで、用紙無し状態の給紙台16だけでなく、ニアエンプティ状態の給紙台16も、給紙台16が上昇され第1用紙搬送ベルト22に近接してしまっているため、ユーザは、給紙台16を下げるなどして第1用紙搬送ベルト22との間隔を確保した状態で、給紙台16に給紙しなければならない。このとき、用紙無し状態またはニアエンプティ状態の給紙台16とその対向給紙台との間隔を広げて、ユーザによる容易な用紙の積載を実現するため、本実施形態においては、用紙束搬送装置10の電源が投入されたとき、または給紙台16からの用紙の搬送が停止されたとき、用紙無し検知部14およびニアエンプティ検知部13の検知結果から、いずれかの給紙台16が用紙無し状態またはニアエンプティ状態であると判断された場合に、電子制御部100は、用紙無し状態またはニアエンプティ状態と判断された給紙台16を、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。
本図においては、第4給紙台16Dおよび第9給紙台16Iが用紙無し状態となっており、第2給紙台16Bおよび第7給紙台16Gがニアエンプティ状態となった場合を示している。この場合、電子制御部100は、用紙無し状態の第4給紙台16Dおよび第9給紙台16I、ニアエンプティ状態の第2給紙台16Bおよび第7給紙台16Gを、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。また、積載対象給紙台の対向給紙台を下降させない。
このように、用紙無し状態またはニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合わない場合は、電子制御部100は、用紙無し状態およびニアエンプティ状態の給紙台16すべてを、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。これにより、用紙無し状態またはニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合わない場合は、用紙無し状態およびニアエンプティ状態の給紙台16すべてを対向給紙部との間隔を広げることができる。
図12は、第3の実施形態に係る用紙束搬送装置10において、用紙無し状態またはニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合う場合に給紙台16の移動制御が行われた状態を示す図である。
用紙無し状態またはニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合う場合に、隣り合う用紙無し状態またはニアエンプティ状態の給紙台16のいずれにも用紙の積載を行う場合は、前述と同様に、その隣り合う給紙台16の最下段の給紙台16をまず下降させた方が、ユーザによるより容易な用紙の積載を実現することができる。このため、本実施形態においては、用紙束搬送装置10の電源が投入されたとき、または給紙台16からの用紙の搬送が停止されたときに、用紙無し状態またはニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合う箇所がある場合には、電子制御部100は、隣り合う用紙無し状態またはニアエンプティ状態の給紙台16の最下段の給紙台16を、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。
本図においては、第3給紙台16Cがニアエンプティ状態、第4給紙台16Dが用紙無し状態となっており、第3給紙台16Cと第4給紙台16Dが隣り合っている。また、第7給紙台16Gと第9給紙台16Iがニアエンプティ状態、第8給紙台16Hが用紙無し状態となっており、第7給紙台16G、第8給紙台16H、および第9給紙台16Iが隣り合っている。このため、電子制御部100は、まず、隣り合う第3給紙台16Cと第4給紙台16Dのうち最下段である第4給紙台16Dを、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。また、電子制御部100は、隣り合う第7給紙台16G、第8給紙台16H、第9給紙台16Iのうち最下段である第9給紙台16Iを、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。以上より、本実施形態における用紙束搬送装置10によれば、用紙無し状態の給紙台16が隣り合う場合においても、ユーザによる容易な用紙の積載を実現することができる。
なお、本実施形態においても、用紙束搬送装置10は、ボタン60またはボタン66により、対向給紙台との間隔を広げる積載対象給紙台の指定の入力を受け付けてもよいことは勿論である。
図13は、第3の実施形態に係る給紙台16の移動制御の処理を示すフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、用紙束搬送装置10の電源投入後、所定時間ごとに繰り返される。S31およびS32については、第1の実施形態および第2の実施形態と同様であるので説明を省略する。
用紙無し状態の給紙台16があると判断された場合には(S32のY)、電子制御部100は、ニアエンプティ状態の給紙台16があるか否かを判断する(S33)。ニアエンプティ状態の給紙台16があると判断された場合には(S33のY)、用紙無し状態の給紙台16およびニアエンプティ状態の給紙台16の両方が存在する状態であることから、電子制御部100は、用紙無し状態またはニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合う箇所があるか否かを判断する(S34)。用紙無し状態またはニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合う箇所があると判断された場合には(S34のY)、電子制御部100は、隣り合わない用紙無し状態の給紙台16およびニアエンプティ状態の給紙台16を、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。また、隣り合う用紙無し状態またはニアエンプティ状態の給紙台16のうち最下段の給紙台16を、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う(S35)。これにより、隣り合わない用紙無し状態またはニアエンプティ状態の給紙台16については、すべて下降させて各々の対向給紙部との間隔を広げることができる。また、隣り合う用紙無し状態またはニアエンプティ状態の給紙台16については、そのうち最下段の給紙台16を下降させてその対向給紙部との間隔を広げることができる。
用紙無し状態またはニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合う箇所がないと判断された場合には(S34のN)、電子制御部100は、用紙無し状態の給紙台16およびニアエンプティ状態の給紙台16のすべてを、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う(S36)。これにより、用紙無し状態の給紙台16およびニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合わない場合は、用紙無し状態の給紙台16およびニアエンプティ状態の給紙台16のすべてにおいて、各々の対向給紙台との間隔を広げることができる。
ニアエンプティ状態の給紙台16がないと判断された場合には(S33のN)、用紙無し状態の給紙台16のみが存在する状態であることから、電子制御部100は、用紙無し状態の給紙台16が隣り合う箇所があるか否かを判断する(S37)。用紙無し状態の給紙台16が隣り合う箇所があると判断された場合には(S37のY)、電子制御部100は、隣り合わない用紙無し状態の給紙台16を、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。また、隣り合う用紙無し状態の給紙台16のうち最下段の給紙台16を、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う(S38)。用紙無し状態の給紙台16が隣り合う箇所がないと判断された場合には(S37のN)、電子制御部100は、用紙無し状態の給紙台16のすべてを積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う(S39)。
用紙無し状態の給紙台16がないと判断された場合には(S32のN)、電子制御部100は、ニアエンプティ状態の給紙台16があるか否かを判断する(S40)。ニアエンプティ状態の給紙台16があると判断された場合には(S40のY)、ニアエンプティの給紙台16のみが存在する状態であることから、電子制御部100は、ニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合う箇所があるか否かを判断する(S41)。ニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合う箇所があると判断された場合には(S41のY)、電子制御部100は、隣り合わないニアエンプティ状態の給紙台16を、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。また、隣り合うニアエンプティ状態の給紙台16のうち最下段の給紙台16を、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う(S42)。ニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合う箇所がないと判断された場合には(S41のN)、電子制御部100は、ニアエンプティ状態の給紙台16のすべてを積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う(S43)。なお、給紙台16のいずれにも用紙無し状態またはニアエンプティ状態の給紙台16がないと判断された場合は(S40のN)、本フローチャートにおける処理を終了する。
(第4の実施形態)
図14は、第4の実施形態に係る用紙束搬送装置10において、用紙無し状態またはニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合う場合に給紙台16の移動制御が行われた状態を示す図である。なお、前述の実施形態と同様の箇所については説明を省略する。
用紙無し状態の給紙台16およびニアエンプティ状態の給紙台16の両方が存在する場合、用紙無し状態の給紙台16の方が給紙する必要性は高い。用紙無し状態の給紙台16およびニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合っていない場合は、用紙無し状態の給紙台16およびニアエンプティ状態の給紙台16のいずれも、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行うことができるが、用紙無し状態の給紙台16およびニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合う場合は、用紙無し状態の給紙台16およびニアエンプティ状態の給紙台16のうちいずれかが積載対象給紙台とされ、その他が積載対象給紙台とされないこととなる。この場合、ニアエンプティ状態の給紙台16が積載対象給紙台とされ、用紙無し状態の給紙台16が積載対象給紙台とされないと、給紙する必要性の高い給紙台16を先に給紙しやすくすることができないこととなってしまう。
このため、本実施形態では、用紙無し状態の給紙台16およびニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合う場合は、給紙の必要性の高い用紙無し状態の給紙台16を優先して積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。
本図においては、第3給紙台16Cがニアエンプティ状態、第4給紙台16Dが用紙無し状態となっており、第3給紙台16Cと第4給紙台16Dは隣り合っている。この場合、電子制御部100は、用紙無し状態の第4給紙台16Dを優先して積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。また、第7給紙台16G、第9給紙台16Iがニアエンプティ状態、第8給紙台16Hが用紙無し状態となっており、第7給紙台16G、第8給紙台16H、および第9給紙台16Iは隣り合っている。この場合、電子制御部100は、用紙無し状態の第8給紙台16Hを優先して積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。
このように、用紙無し状態の給紙台16およびニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合う場合に、用紙無し状態の給紙台16を優先して積載対象給紙台とすることにより、給紙の必要性の高い給紙台16から先に、給紙しやすいように給紙台16とその対向給紙台との間隔を広げることができ、ユーザの給紙工数の低減や、用紙束作成の生産性の向上を図ることができる。
図15は、第4の実施形態に係る用紙束搬送装置10において、用紙無し状態またはニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合う場合に給紙台16の移動制御が行われた状態を示す図であり、図15(a)及至(c)は、用紙無し状態またはニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合う異なるケースを示す図である。なお、用紙束搬送装置10において、第6給紙台16Fから第9給紙台16Iまでの4つの給紙台16において、用紙無し状態またはニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合うものとして以下説明する。
図15(a)では、第6給紙台16F、第7給紙台16G、および第9給紙台16Iがニアエンプティ状態となっており、第8給紙台16Hが用紙無し状態となっている。この場合、電子制御部100は、第8給紙台16Hを、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。
図15(b)では、第6給紙台16Fおよび第9給紙台16Iがニアエンプティ状態となっており、第8給紙台16Hおよび第8給紙台16Hが用紙無し状態となっている。このように、用紙無し状態またはニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合う場合において、さらに用紙無し状態の給紙台16が隣り合う場合、電子制御部100は、隣り合う用紙無し状態の最下段の給紙台16を、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。本図の場合、第7給紙台16Gと第8給紙台16Hでは、第8給紙台16Hが最下段の給紙台16となることから、電子制御部100は、第8給紙台16Hを積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。これにより、用紙無し状態またはニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合う場合においても、ユーザによるさらに容易な用紙の積載を実現することができる。
図15(c)では、第6給紙台16Fおよび第8給紙台16Hがニアエンプティ状態となっており、第7給紙台16Gおよび第9給紙台16Iが用紙無し状態となっている。このように、用紙無し状態またはニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合う場合において、さらに隣り合わない複数の用紙無し状態の給紙台16が存在する場合は、電子制御部100は、隣り合わない複数の用紙無し状態の給紙台16すべてを、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。本図の場合、用紙無し状態の第7給紙台16Gおよび第9給紙台16Iは隣り合わないので、電子制御部100は、第7給紙台16Gおよび第9給紙台16Iの両方を、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。これにより、より多くの用紙無し状態の給紙台16を、積載対象給紙台として対向給紙台との間隔を広げることができる。
なお、本実施形態においても、用紙束搬送装置10は、ボタン60またはボタン66により、対向給紙台との間隔を広げる積載対象給紙台の指定の入力を受け付けてもよいことは勿論である。
図16は、第4の実施形態に係る給紙台16の移動制御の処理を示すフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、用紙束搬送装置10の電源投入後、所定時間ごとに繰り返される。S51およびS52以外のステップについては、前述の実施形態と同様であるので説明を省略する。
用紙無し状態またはニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合う箇所があると判断された場合(S34のY)、電子制御部100は、まず、隣り合わない用紙無し状態の給紙台16およびニアエンプティ状態の給紙台16を、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う(S51)。次に、後述する、用紙無し状態の給紙台16およびニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合う場合の制御に移行する(S52)。
図17は、第4の実施形態に係る用紙無し状態の給紙台16およびニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合う場合の制御の処理を示すフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、図16において前述したS51の処理のあとに開始される。
電子制御部100は、用紙無し状態またはニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合う箇所において、用紙無し状態の給紙台16があるか否かを判断する(S61)。用紙無し状態の給紙台16があると判断された場合は(S61のY)、電子制御部100は、用紙無し状態またはニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合う箇所において、さらに用紙無し状態の給紙台16が隣り合う箇所があるか否かを判断する(S62)。
用紙無し状態の給紙台16が隣り合う箇所があると判断された場合は(S62のY)、電子制御部100は、用紙無し状態またはニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合う箇所の中で、隣り合わない用紙無し状態の給紙台16のすべてを、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。また、隣り合う用紙無し状態の給紙台16の最下段の給紙台16を、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う(S63)。これにより、より多くの用紙無し状態の給紙台16を、積載対象給紙台として対向給紙台との間隔を広げることができ、また、用紙無し状態の給紙台16が隣り合う場合においても、適切な給紙台16を積載対象給紙台とすることが可能となる。
用紙無し状態の給紙台16が隣り合わないと判断された場合は(S62のN)、電子制御部100は、用紙無し状態またはニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合う箇所の中で、用紙無し状態の給紙台16のすべてを、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。
なお、用紙無し状態またはニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合う箇所の中で、用紙無し状態の給紙台16がない場合は(S61のN)、電子制御部100は、隣り合うニアエンプティ状態の給紙台16の最下段の給紙台16を、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う(S65)。これにより、ニアエンプティ状態の給紙台16のみが隣り合う場合においても、適切な給紙台16を積載対象給紙台とすることが可能となる。
(第5の実施形態)
図18は、第5の実施形態に係る用紙束搬送装置10において、給紙台16の移動制御が行われた状態を示す図である。前述の実施形態と同様の箇所については説明を省略する。
本実施形態において、電子制御部100は、複数の給紙台16が複数の給紙台グループに割り当てられ、複数の給紙台グループのうち、割り当てられた給紙台16から用紙の搬送を行うことにより用紙束を作成する用紙束作成動作を行う給紙台グループの用紙束作成動作が終了すると、他の給紙台グループが前記用紙束作成動作を行うよう、用紙束作成動作を移行するグループ制御を行う。このグループ制御が行われることにより、複数の給紙台グループのうち1つの給紙台グループが用紙束作成動作を行っている間に、他の給紙台グループに割り当てられた給紙台16に用紙を補充することができる。たとえば、用紙束作成動作を行っている給紙台グループに割り当てられた給紙台16のうちいずれかの給紙台16が用紙無し状態となって、用紙束作成動作が終了される場合、用紙束作成動作を他の給紙台グループに移行させることができるので、用紙束の作成の生産性を向上させることができる。
このように用紙束作成動作が他の給紙台グループに移行されたときは、用紙束作成動作が終了された給紙台グループに割り当てられた給紙台16に給紙する必要がある場合が考えられる。特に、用紙束作成動作を行っている給紙台グループに割り当てられた給紙台16のいずれかの給紙台16が用紙無し状態となることにより用紙束作成動作が終了された場合は用紙の積載を必要とする可能性は高い。また、用紙束作成動作が他の給紙台グループに移行されたときに、用紙束作成動作が終了された給紙台グループに割り当てられた給紙台16のいずれかの給紙台16がニアエンプティ状態となっている場合も用紙の積載を必要とする可能性は高い。このため、本実施形態において、電子制御部100は、用紙束作成動作を移行したときに、用紙束作成動作を終了させた給紙台グループに割り当てられた給紙台16が用紙無し状態またはニアエンプティ状態となっている場合、その給紙台16を積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。また、用紙無し状態またはニアエンプティ状態となっている給紙台16が隣り合う場合は、それら隣り合う給紙台16の最下段の給紙台16を積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。これにより、用紙束作成動作が他の給紙台グループに移行されたときに、用紙束作成動作が終了された給紙台グループに割り当てられた給紙台16への用紙の積載を容易なものとすることができる。
本図において、第1給紙台16Aから第5給紙台16Eまでの5つの隣り合う給紙台16が、第1給紙台グループ68Aに割り当てられてるものとする。また、第6給紙台16Fから第10給紙台16Jまでの5つの隣り合う給紙台16が、第2給紙台グループ68Bに割り当てられているものとする。給紙台グループへの給紙台16の割り当ては、ユーザが画面62などを操作するなどして給紙台グループへ割り当てる給紙台16を指定することにより行うことができる。
第2給紙台グループ68Bの用紙束作成動作が行われている間は、第1給紙台グループ68Aの用紙束作成動作は行われない。第2給紙台グループ68Bの用紙束作成動作中に、たとえば第2給紙台グループ68Bに割り当てられた給紙台16が用紙無し状態となった場合のように、第2給紙台グループ68Bの用紙束作成動作を終了する必要が生じた場合、電子制御部100は、第2給紙台グループ68Bの用紙束作成動作を終了し、第1給紙台グループ68Aが用紙束作成動作を行うよう、用紙束作成動作を移行する。本図では、第8給紙台16Hが用紙無し状態となったため、電子制御部100が、第2給紙台グループ68Bによる用紙束作成動作を終了し、用紙束作成動作を第1給紙台グループ68Aに移行した状態を示している。また、本図では、第6給紙台16F、第7給紙台16G、第9給紙台16I、および第10給紙台16Jがニアエンプティ状態となっている。したがって、本図においては、第6給紙台16Fから第10給紙台16Jまで用紙無し状態またはニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合うこととなる。この場合、電子制御部100は、用紙束作成動作が終了された第2給紙台グループ68Bに割り当てられた給紙台16のうち、それら隣り合う給紙台16の最下段の第10給紙台16Jを、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。
本実施形態におけるフローチャートは、S31において電子制御部100が用紙束搬送動作が移行したか否かを判断し、S32からS43において用紙束作成動作が終了された給紙台グループに割り当てられた給紙台16については判断および処理が行われること以外は、図13に示されるフローチャートと同様である。
なお、本実施形態においても、用紙束搬送装置10は、ボタン60またはボタン66により、対向給紙台との間隔を広げる積載対象給紙台の指定の入力を受け付けてもよいことは勿論である。
(第6の実施形態)
図19は、第6の実施形態に係る用紙束搬送装置10において、給紙台16の移動制御が行われた状態を示す図である。前述の実施形態と同様の箇所については説明を省略する。
本実施形態においても、電子制御部100は、用紙束作成動作を他の給紙台グループへ移行するグループ制御を行う。このように用紙束作成動作が他の給紙台グループに移行されたときに、用紙束作成動作を終了させた給紙台グループに割り当てられた給紙台16に、用紙無し状態の給紙台16およびニアエンプティ状態の給紙台16が含まれる場合、用紙無し状態の給紙台16の方が、給紙の必要性が高い。このため、本実施形態において、電子制御部100は、用紙束作成動作を移行したときに、用紙束作成動作を終了させた給紙台グループに割り当てられた給紙台16が用紙無し状態またはニアエンプティ状態となっている場合、その給紙台16を積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。また、用紙無し状態またはニアエンプティ状態となっている給紙台16が隣り合う場合は、それら隣り合う給紙台16に含まれる用紙無し状態の給紙台16を優先して積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。これにより、用紙束作成動作が他の給紙台グループに移行されたときに、用紙束作成動作が終了された給紙台グループに割り当てられた給紙台16のうち給紙の優先度の高い用紙無し状態の給紙台16への用紙の積載を容易なものとすることができる。
本図においても、第1給紙台16Aから第5給紙台16Eまでの5つの隣り合う給紙台16が、第1給紙台グループ68Aに割り当てられてるものとする。また、第6給紙台16Fから第10給紙台16Jまでの5つの隣り合う給紙台16が、第2給紙台グループ68Bに割り当てられているものとする。給紙台グループへの給紙台16の割り当て方法は前述と同様である。
本図もまた、第8給紙台16Hが用紙無し状態となったため、電子制御部100が、第2給紙台グループ68Bによる用紙束作成動作を終了し、用紙束作成動作を第1給紙台グループ68Aに移行した状態を示している。また、第6給紙台16F、第7給紙台16G、第9給紙台16I、および第10給紙台16Jがニアエンプティ状態となっており、本図においては、第6給紙台16Fから第10給紙台16Jまで用紙無し状態またはニアエンプティ状態の給紙台16が隣り合うこととなる。この場合、電子制御部100は、それら隣り合う給紙台16うち用紙無し状態である第8給紙台16Hを、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行う。
本実施形態におけるフローチャートは、S31において電子制御部100が用紙束搬送動作が移行したか否かを判断し、S32からS43、S51、S52、S61からS65において用紙束作成動作が終了された給紙台グループに割り当てられた給紙台16については判断および処理が行われること以外は、図16および図17に示されるフローチャートと同様である。
なお、本実施形態においても、用紙束搬送装置10は、ボタン60またはボタン66により、対向給紙台との間隔を広げる積載対象給紙台の指定の入力を受け付けてもよいことは勿論である。
本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、各実施形態の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施形態として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。以下、そうした例をあげる。
使用する給紙台を指定する使用給紙台指定手段を有していてもよい。使用給紙台指定手段は、たとえば、画面62に表示された、複数の給紙台16に対応するボタンを含んでいてもよく、ユーザがこのボタンに触れることにより使用給紙台の指定の入力を行ってもよい。この場合、電子制御部100は、ユーザにより使用給紙台の指定の入力を受け付けた給紙台にのみ、上述の各実施形態における給紙台の移動制御を行う。
前述の各実施形態において、電子制御部100は、下降させられた対向給紙台を上昇させる移動制御を行うことにより、積載対象給紙台と対向給紙台との間隔を広げてもよい。たとえば、電子制御部100は、電源オフ時または電源投入時に、いったんすべての給紙台16を下降させ、その後、第9給紙台16Iを最大限上昇させる移動制御を行ってもよい。これによっても、ユーザによる用紙の積載を容易とすることができる。
また、前述の各実施形態において、電子制御部100は、積載対象給紙台を下降させ、その対向給紙台を上昇させる移動制御を行うことにより、積載対象給紙台と対向給紙台との間隔を広げてもよい。たとえば、ユーザによりボタン66が押され、電子制御部100が積載対象給紙台の指定を受け付けた場合、電子制御部100は、積載対象給紙台が上昇させられた状態で、その対向給紙台が下降させられた状態である場合、積載対象給紙台を下降させ、その対向給紙台を上昇させる移動制御を行ってもよい。これにより、積載対象給紙台およびその対向給紙台の位置にかかわらず、積載対象給紙台への用紙の積載を容易にすることができる。
前述の各実施形態において、用紙束搬送装置10は、対向給紙台との間隔が広げられた給紙台16をユーザに報知する報知手段を有していてもよい。これにより、給紙すべき給紙台16を容易に特定することが可能となる。報知手段は、視覚により認識可能な表示手段でもよく、聴覚により認識可能な音声出力手段でもよい。表示手段は、対向給紙台との間隔を広げた給紙台16に対応するボタン66を、LED(発光ダイオード)などにより点灯させてもよく、また、画面62に、対向給紙台との間隔を広げた給紙台16がどれかを表示してもよい。音声出力手段は、スピーカなどにより音声で対向給紙台との間隔を広げた給紙台16がどれかを出力してもよい。
前述の各実施形態において、ユーザによる積載対象給紙台の指定を受け付ける給紙台指定手段は、図20に示されるように、画面62に表示されたボタン72など、画面に表示された入力手段であってもよい。本図において、給紙台16に対応する番号が表示される給紙台番号表示欄70の横に、各々の給紙台番号に対応するボタン72が表示されている。ユーザは、このボタン72を押すことにより、積載対象給紙台を指定することができる。
第5の実施形態または第6の実施形態において、用紙束作成動作を終了させた給紙台グループに割り当てられた給紙台の最下段の給紙台を、積載対象給紙台として最大限下降させる移動制御を行ってもよい。これにより、用紙束作成動作が他の給紙台グループに移行されたときに、用紙束作成動作が終了された給紙台グループに割り当てられた給紙台16への用紙の積載を容易なものとすることができる。
10 用紙束搬送装置、 12 第1用紙搬送部、 13 ニアエンプティ検知部、 14 用紙無し検知部、 15 第2用紙搬送部、 16 給紙台、 17 給紙部、 45 第3用紙搬送部、 100 電子制御部。