以下、本発明の一実施形態であるシート処理装置と、このシート処理装置を備えた画像形成装置の一形態である複写機とを図面に基づいて説明する。ただし、本発明のシート処理装置は、本実施形態のステイプル処理を行うシート処理装置には限定されず、シート処理装置は、単にシート積載部材にシートを積み重ねるだけの構成でもよく、穿孔処理等、他の処理を行う構成を付加してもよく、また、他の処理のみを行う構成や同じ処理を行う別の構成で実施してもよい。また、本発明の画像形成装置は、本実施形態の複写機には限定されず、ファクシミリ、プリンタ、これらの複合機等で実施されてもよい。
また、本実施形態のシート処理装置400は、複写機Aの装置本体500以外の印刷装置等に接続されてもよく、本実施形態のシート処理装置400は、装置本体500から分離可能な別筐体で構成しても、また、装置本体500の筐体内に分離不能に組み込まれてもよい。
<画像形成装置>
図1は本発明の一実施形態であるシート処理装置を備えた複写機の正面図である。本発明の画像形成装置である例えば複写機Aは、画像形成手段である例えばプリンタ部200と、シート処理装置である例えばシート処理装置400とを備えている。
複写機Aは、原稿の画像を読み取るリーダ部120と画像を形成するプリンタ部200とを装置本体500にまとめ、画像形成されたシートを整合してステイプル処理するシート処理装置400を、装置本体500に設けた空間SPに配置している。装置本体500の上部には、原稿を1枚ずつプラテンガラス102上に供給する自動原稿給送装置300(以下、「ADF」という)を後方側へ開閉可能に取り付けてある。
複写機Aは、リーダ部120で読み取った原稿画像をプリンタ部200でシートに複写する複写機として機能する他、外部のパソコン等から送られてきた画像データをプリンタ部200で受けて、シートに画像を印刷するプリンタとしても機能する。さらに、複写機Aは、リーダ部120で読み取った原稿画像のファクシミリ信号を他のファクシミリに送信したり、他のファクシミリからのファクシミリ信号を受信してプリンタ部200で印刷したりするファクシミリとしても機能する。
複数枚の原稿の画像を複写する場合、ADF300に原稿を積載して、1枚ずつ順次リーダ部120のプラテンガラス102上に搬送させ、停止させたスキャナユニット104の上方を通過させる。また、ADF300で扱えない原稿の画像を複写する場合、ADF300を後方側へ開いてプラテンガラス102上に原稿を直接載置し、スキャナユニット104を図中左右方向へ移動させる。いずれにせよ、スキャナユニット104のランプで照明された帯状の領域の画像が、ミラー105、106、107及びレンズ108を通してCCDイメージセンサ部109に結像し、CCDイメージセンサ部109によって線画像が読み取られて画像信号に光電変換され、画像データ化や画像処理等のデジタル処理が施される。
デジタル処理が施された画像信号は、プリンタ200の露光制御部201に送信されて、変調されたレーザ光の光信号に変換される。露光制御部201は、光信号を走査して感光体ドラム202に照射し、この照射光によって感光体ドラム202の表面に静電気の潜像が形成される。静電気の潜像は、現像器203でトナーを付着させて現像されることにより、感光体ドラム202にトナー像が形成される。
このトナー像の先端とタイミングを合わせて、シートカセット204、205からシートSが搬送され、転写部206にてトナー像がシートSに転写される。シートSに転写されたトナー像は、定着部207で高温加圧を受けてシートに定着される。定着完了したシートSは、シート排出部208を通じてシート処理装置400へ受け渡される。
シート処理装置400は、複写機Aの装置本体500の側部に形成された空間SPに、複写機の装置本体500からはみだすことなく収納されており、装置本体500のシート排出部208から受け取ったシートを処理トレイ410へ積載して仕分けたり、ステイプラユニット420(図3)によりステイプル処理(針綴じ)したりしてシート束を形成し、このシート束をスタックトレイ421へ排出して積載することができる。
シート処理装置400の下部にはレール部材440を設けてある。シート処理装置400は、レール部材440によって搬送方向に対して斜めに引き出して、ステイプラユニット420(図3)の針を補充することができる。
<シート処理装置>
図2はシート処理装置の主要部分を正面側から見た断面図、図3はシート処理装置装置の主要部分を上方から見た断面図、図4は処理トレイへシートを供給する状態の説明図、図5はシート上流側端ストッパーへシートを突き当てて整合する状態の説明図である。本実施形態のシート処理装置400は、処理積載部材である処理トレイ410と、シート積載部材である例えばスタックトレイ421と、搬送手段である例えばオフセットローラ407と、当接部材であるシート上流側端ストッパー411と、排出手段である例えばシート束排出部材413と、挟み込み手段である例えばシートクランプ部材412と、制御手段または演算制御装置である例えばCPU100と、シート押圧手段である例えばシート押圧部材600とを備えている。
図2に示すように、シート処理装置400は、シート受け入れ部401を通じて受け取ったシートSを処理トレイ410へ積載して、シートクランプ部材412で次々に挟み込むことにより、原稿枚数に対応した枚数のシート束を形成する。そして、形成されたシート束をステイプラユニット420でステイプル処理した後、シート束排出部材413を作動させてシート束をスタックトレイ421へ押し出して排出する。
スタックトレイ421は、モータを含む昇降駆動装置を備え、処理トレイ410の下方の空間を昇降して任意の高さ位置に位置決め停止が可能である。処理トレイ410へシートを積載・整合する過程では、スタックトレイ421が処理トレイ410に近い位置まで上昇して、処理トレイ410に積載されたシート束の先端側を支持する。処理トレイ410からスタックトレイ421へシート束を排出する過程では、スタックトレイ421が、図2に示すシート束受け取り高さに位置決めされ、シート束の排出後、排出されたシート束の厚みだけ下降して、シート束の最上面がシート束受け取り高さに位置決めされる。
シート受け入れ部401は、装置本体500のシート排出部208(図1)から排出されたシートSを受け取る。シート受け入れ部401で受け取ったシートSは、入口センサ403により先端を検知された後、搬送ローラ405によって搬送されて、図4に示すように、処理トレイ410へ供給される。その後、オフセットローラ407が下降して、図5に示すように、処理トレイ410へシートSを押し付けた状態で回転し、シートSを下流側へ更に搬送する。そして、シートSの後端が搬送ローラ405を抜けて、処理トレイ410へ乗ると、シート束排出センサ415(図2)が押し込まれて処理トレイ410上のシートSが検知される。その後、搬送ローラ405が停止、反転し、図5に示すように、シートSを上流側へ搬送してシート上流側端ストッパー411へ突き当てる。
図2に示すように、オフセットローラ407は、ゴムもしくは樹脂発泡体等、ゴムに近い弾性を持った弾性体材料を外周部に配置して全体が円筒形に形成され、オフセット軸511を中心にして回動可能なオフセットローラホルダー406に軸支されている。オフセットローラホルダー406は、ピックアップソレノイド433をONすることにより、図4に示す位置まで回動してオフセットローラ407を処理トレイ410から離間させる。また、オフセットローラホルダー406は、ピックアップソレノイド433をOFFすることにより、自重で落下して、図5に示す位置まで回動してオフセットローラ407を処理トレイ410上のシートSへ当接させ、このとき、オフセットローラ407がシートSを処理トレイ410に押し付けつつ回転してシートSを搬送可能となる。
ピックアップソレノイド433のON・OFFの動作量は、ソレノイドアーム512から離間レバー514を介してオフセット軸511を回動させ、オフセット軸511の回動がオフセットローラホルダー406を介してオフセットローラ407を上昇・下降させる。
図3に示すように、オフセットローラ407は、搬送ローラ405を駆動する正逆転可能な搬送モータ431によって共通に駆動される。搬送モータ431の回転は、ベルト523、ローラギア524、アイドラギア525、オフセットギア526を介して、オフセット軸511へ伝達され、オフセット軸511からオフセットプーリー527a、タイミングベルト522、オフセットプーリー527b、オフセットローラ軸550を介してオフセットローラ407へ伝達される。
搬送モータ431が正方向に回転すると、搬送モータ431の回転量に応じた距離だけ搬送ローラ405およびオフセットローラ407がシートを下流側へ搬送し、一方、搬送モータ431が逆方向に回転すると、搬送モータ431の回転量に応じた距離だけオフセットローラ407がシートを上流側へ搬送する。
オフセットローラ407は、また、オフセットモータ432の正転・逆転に応じて、オフセット軸511に沿った方向、すなわちシートSの幅方向へ移動して、側端位置決め壁416へ接近したり、遠ざかったりする。側端位置決め壁416は、処理トレイ410におけるステイプラユニット420側の縁に起立して設けたシート幅方向の端部の位置を規制する側端規制部材である。
オフセットモータ432の回転は、オフセットモータギア432aとオフセットラック515により直線運動に変換され、オフセット軸511に沿ってオフセットローラホルダー406を幅(矢印K)方向に移動させて、処理トレイ410とオフセットローラ407との間に挟みこんだシートSを側端位置決め壁416に突き当て可能である。ステイプラユニット420は、側端位置決め壁416に突き当てて処理トレイ410上に積み重ねたシート束の後端隅をステイプル処理(針綴じ)可能である。
図2に示すように、処理トレイ410の上流側端部には、シート搬送方向上流側のシートSの縁に突き当たってシートSの搬送方向の位置を規制する後端規制部材であるシート上流側端ストッパー411が設けられている。図4に示すようにシートSの先端が処理トレイ410へ供給された後、下降させたオフセットローラ407によって搬送されて処理トレイ410に後端まで乗ったシートSは、図5に示すように、オフセットローラ407を逆転させて上流側へ搬送され、シート上流側端ストッパー411に後端(オフセットローラ407により搬送される方向の先端)を突き当てることにより、その後端を整合される。
図2に示すように、処理トレイ410に沿って移動可能に取り付けられたシート束排出部材413は、シートクランプ部材412を回動自在に保持している。シートクランプ部材412は、シート上流側端ストッパー411に隣接して配置され、シート上流側端ストッパー411によって整合されたシートSの搬送方向上流側端部(後端)を挟み込んで、シートSを処理トレイ410上に位置決め固定する。
シートクランプ部材412は、不図示の付勢手段によって挟み込み方向に付勢され、クランプソレノイド434のONによって、付勢手段に逆らって開放方向に駆動される。クランプソレノイド434は、オフセットローラ407がシートを下流側へ搬送して回転を停止したとき、及びオフセットローラ407がシートの幅方向に移動するときにONとなり、レバー434aを介してシートクランプ部材412を上方へ回動して開放させる。
後述するように、シートクランプ部材412を開放させた状態(図5)で、オフセットローラ407を作動させ、シート上流側端ストッパー411によってシート後端を整合してシートクランプ部材412により挟み込ませる操作を繰り返すことにより、処理トレイ410上にシート束が形成される。シートクランプ部材412は、処理トレイ410上の積載済みシートの後端を挟み込むことにより、その上に次のシートSが供給されてオフセットローラ407によって下流側へ搬送されても、搬送されるシートSとの摩擦力に打ち勝って、積載済みシートを連れ送りさせない。
図2に示すように、シート束排出部材413は、シート束の後端をシートクランプ部材412で挟み込んだまま、処理トレイ410に沿って、スタックトレイ421へ向かって移動し、シート束を処理トレイ410からスタックトレイ421へ押し出して排出する。シート束排出部材413は、シート束排出モータ430の動力がラックとピニオンを介して伝達されることにより、スタックトレイ421にシートを排出する位置とシート上流側端ストッパー411付近のホームポジションとの間を往復移動する。シート束排出部材413は、通常、シート束排出モータ430の励磁によってホームポジションに固定されている。
<シート押圧部材>
図2に示すように、本実施形態のシート処理装置400では、シート上流側端ストッパー411とオフセットローラ407の間にシート押圧部材600を設けて、シートSを処理トレイ410へ押し付ける。シート押圧部材600は、支軸600bによって回動自在に軸支され、オフセットローラホルダー406を駆動するピックアップソレノイド433のON・OFFに応じて上昇・下降する。
言い換えれば、シート押圧部材600は、オフセットローラホルダー406と機構的に連動しており、ピックアップソレノイド433がONして離間レバー514を引き付けると、離間レバー514に当接するアーム部600aが駆動されて、支軸600bを中心にしてシート押圧部材600が回転し、図4に示すように、シート押圧部材600の押圧面600dが処理トレイ410から離間した高さ位置へ持ち上げられる。一方、ピックアップソレノイド433がOFFすると、オフセットローラ407およびシート押圧部材600の自重によって離間レバー514がスタックトレイ421側へ押し出され、これにより、支軸600bを中心にしてシート押圧部材600が下方へ回転して、図5に示すように、シート押圧部材600の押圧面600dが処理トレイ410(シートS)に当接する位置へ落下する。
本実施形態のシート処理装置では、図4に示すように、排出されるシートSの先端がオフセットローラ407の下部を通過したタイミングで、ピックアップソレノイド433がオフされており、オフセットローラ407は、シート搬送方向(図4の矢印方向)に回転しながら自重で下降してシートS上に着地(当接)し、所定時間シートSを搬送した後に逆転して、図5に示すように、シートSをシート上流側端ストッパー411まで搬送させる。そして、オフセットローラ407の下降動作と機構的に連動して、シート押圧部材600も支軸600bを中心に下降し、押圧面600dがシートS上に着地(当接)する。
これにより、シート上流側端ストッパー411へ向かって搬送されるシートSの後端近傍が、シート押圧部材600の押圧面600dによって処理トレイ410に押さえ付けられることとなり、シートSの上反りカールが大きい場合でも、シート押圧部材600の押圧面600dによって、シートクランプ部材412で十分にシートの後端を挟み込めるレベルまで、シートSのカールを矯正でき、シートSのカールした後端がシートクランプ部材412の挟み込み範囲を越えて、シートクランプ部材412がシート後端を挟み込み損なうことがない。
また、シート押圧部材600によってシート上流側端ストッパー411に近い位置でシートSを処理トレイ410に押さえ付けるので、シートSの上反りカールが大きい場合でも、シート上流側端ストッパー411にシートSの後端を確実に突き当ててシートSの後端を整合することが可能となり、シートSのカールした後端がシート上流側端ストッパー411の高さを越えて整合不能になることがない。
さらに、オフセットローラ407がオフセット軸511に沿って移動する際にも同じ下降位置でシートSを処理トレイ410に押さえ付け続け、オフセットローラ407に引き摺られて発生するシートSの回転に対してオフセットローラ407接触点から離れた位置で抵抗するから、シートSの回転に伴う整合の乱れが抑制され、オフセットローラ407と一体に移動する場合よりも小さな摩擦力(押圧力)でシートSの回転を防止できる。
従って、シート上流側端ストッパー411でシートSの後端を正確に整合して、シートクランプ部材412で確実にシートSの後端を挟み込み、重ねて排出されるシートSの下流側への搬送に伴う連れ送りを確実に防止することにより、シートSの後端の整合精度を高めるとともに、シート束の整合不良率を低下させ、整合不良に伴う処理のやり直しやジャム等の機械的なトラブルを減らして、シート処理装置および画像形成装置の稼働率を高めることができる。
また、処理トレイ410に搬送されたシートSを上流側へ逆走させてシート上流側端ストッパー411に整合する際に、オフセットローラ407とシート上流側端ストッパー411とのほぼ中央部を、シート押圧部材600の押圧面600dによって押圧することによりシートSの浮き上がりを妨げるので、シートSの後端がシート上流側端ストッパー411に当接するまでの距離よりもシートを多く搬送する様に設定しても、図5に示すように、シートSに座屈S1(二点鎖線)が生じない。
ここで、シート整合時に搬送されたシートSに座屈S1が生じると、座屈(S1)した状態で後述するシート搬送方向と交差する方向(以下、幅方向という)の整合が行われることとなり、シートSの後端の縁がシートクランプ部材412の開口に引っ掛かってシートが回転したり、破損したりする可能性が高まる。また、シート幅方向の整合が終了し、オフセットローラ407を上昇させてシートから離間させた際に、座屈(S1)したシートの反力で整合されたシートが飛び跳ねて動いてしまうため、シートSの搬送方向及び幅方向の整合精度が著しく低下してしまう。
この様に、シート押圧部材600の押圧面600dでシートSの座屈S1を防止した結果、予めシート搬送方向の上流側への戻し量(逆転量)を多めに設定する事が可能となる。つまり、シートSの後端がシート上流側端ストッパー411に到達した後にオフセットローラ407をシートS上で強制的に滑らせることにより、シートの種類による摩擦係数の違い、環境条件、オフセットローラ407の耐久性等を問わずシート上流側端ストッパー411に整合する際のシート後端の整合精度を高めることが可能となる。
この様に、オフセットローラ407及びシート押圧部材600が下降している際に、シート後端近傍をシート押圧部材600の押圧面600dで押圧し拘束してシートのカールを矯正している状態になっている為、指定された枚数のシートの整合処理が完了して、クランプソレノイド434で、シートクランプ部材412を閉じた際にシートクランプ部材412でシート束を確実に保持できる。
この様に、シート押圧部材600は、アーム部600aから離間レバー514を介して、オフセットローラ407と機構的に連動して持ち上げられるので、シート押圧部材600を昇降させる専用の駆動源や機構やセンサを設ける必要がなく、幅方向の移動を可能にしたオフセットローラ407の支持および駆動の機構に無理なくコンパクトに組み込むことができる。
この様に、上流側で軸支されたシート押圧部材600の先端部分が折れ曲がって下流側へ向かう自然な案内面600cを形成しているので、図4に示すように、処理トレイ410から離間してシートSの搬送経路650を確保した際に、シート押圧部材600でシートSを案内して、確実に処理トレイ410へ着地させることができる。
この様に、処理トレイ410へ搬送されるシートSの先端が、シート押圧部材600の案内面600cによってガイドされるので、シートSの先端カールが大きな時でも、オフセットローラ407に引っ掛ってシートS先端部にダメージを与えたり、又は、引っ掛って紙詰まりになることなく、処理トレイ410上へ確実に搬送される。
<シート処理装置の制御>
図6はシート処理装置の制御系の構成を示すブロック図、図7はシート処理装置における各種処理の制御フローチャート前半部分、図8はシート処理装置における各種処理の制御フローチャート後半部分、図9はシートの後端整合および側端整合の説明図、図10はオフセットローラのホームポジション復帰の説明図、図11はシートクランプ部材の開閉動作の説明図、図12はシート束排出部材による処理トレイからスタックトレイへのシート束排出の説明図、図13はシートサイズに応じたオフセットローラによる搬送距離の説明図である。
図6に示すように、CPU100は、内部にROM110、RAM121、シリアルインターフェイス部130等を内蔵している。ROM110には、図7、図8に示すフローチャートに対応する処理プログラム等が格納される。RAM121には、ROM110から読み出された処理プログラムが保持され、また、制御過程で順次発生する作業用データ、入力データ、通信データ、演算結果等がそのたびに書き込み/消去される。シリアルインターフェイス部130は、複写機の装置本体500Aの制御部140との間で制御データの授受を行うとともに、他のコンピュータやFAX受信部(図示せず)とも双方向の通信が可能である。
CPU100の入力ポートには、入口センサ403、シート束排出センサ415等のセンサが接続されている。また、CPU100の出力ポートには、搬送モータ431、オフセットモータ432、シート束排出モータ430、ピックアップソレノイド433、クランプソレノイド434等のモータ及びソレノイドが接続されている。
CPU100は、ROM110から処理プログラムを読み出してRAM121に保持させ、処理プログラムに従って、これらのセンサの出力を参照し、複写機Aの装置本体500の制御部140から送られてくる制御データに基づいて必要な演算処理を行い、これらの各種モータ、ソレノイド等を制御することにより、シート処理装置400の各部の制御を行う。
CPU100は、装置本体500からシートSが排出されるたびに、複写機の装置本体500Aの制御部140とシリアル通信をして、後続するシートの排出の有無を確認するとともに、処理トレイ410上に積載されたシートのサイズを把握し、図13に示すように、シートサイズに応じたオフセットローラ407のシート幅方向の移動量を設定してオフセットモータ432を制御する。これにより、オフセットローラ407は、処理トレイ410上に排出されているシートSのサイズに応じた量だけ移動し、シートの側部を側端位置決め壁416に確実に当接させる。
CPU100は、シートが所定枚数スタックトレイ421へ積載されるごとに、あるいはシート束が積載されるごとに、スタックトレイ421を下降させて、積載済みシートの最上面(積載面)を所定の高さ位置へ位置決める。これにより、積載進行とともに、積載したシート束の厚みだけスタックトレイ421が下降して積載面の高さがほぼ一定に維持される。
CPU100は、処理トレイ410へシートを積載する際には、シートの最上面(積載面)が処理トレイ410とほぼ一致する高さ位置までスタックトレイ421を上昇させて、処理トレイ410へ積載されたシートの先端側をスタックトレイ421(その積載面)によって支持させる。
次に、図1〜図6を用いて説明した各部の動作と制御を、図7、図8に示すフローチャートに基づいて、図9〜図13の動作説明図を参照しつつ説明する。なお、図9〜図11に示すオフセットローラ407は、図示を簡略化するために1対のオフセットローラホルダー406の間に位置しているが、図3に示したオフセットローラ407に対して、その構成、その動作、その機能に差はない。以下のフローチャートの説明は、シートがセンタ基準で搬送されてくるものとする。
装置本体500による画像形成動作が開始されると、図7に示すように、シート処理装置400のCPU100(図6)は、装置本体500からシート排出信号を受信したか否かをチェックする(S100)。このとき、オフセットローラ407は、停止状態で、図9の(a)に示すように、搬送されてくるシートSのセンタ基準に合わせた中央位置で待機している。この位置を待機位置と言う。なお、オフセットローラ407がシートに接触する位置を接触位置と言う。
ここで、シート排出信号を受信した場合(S100のYES)、CPU100は、ピックアップソレノイド433(図2)をオンして(S110)、図9の(a)に破線で示すように、オフセットローラホルダー406によって支えられているオフセットローラ407及びシート押圧部材600を引き上げ、オフセットモータ432によってシートサイズに応じた接触位置(図13参照)まで移動させる。
図13の(c)は、オフセットローラ407の待機位置と接触位置とが一致している場合の例である。図13の(b)は、図13の(c)よりシートSの幅サイズが大きい場合の例であって、オフセットローラ407は、破線で示した待機位置から距離Zだけ移動して、シートSの側端Saから距離Xの位置である接触位置に位置決めされる。図13の(a)は、図13(b)よりさらにシートの幅サイズが大きい場合の例であって、オフセットローラ407は、破線で示した待機位置から図13の(b)の場合より長い距離Zだけ移動して、シートSの側端Saから距離Xの位置である接触位置へ位置決めされる。
次に、CPU100は、搬送モータ431(図3)をオンして(S120)、搬送ローラ405およびオフセットローラ407を回転させ、搬送ローラ405が装置本体500の排紙方向と同じ方向にシートSを搬送できるようにする。その後、最初のシートSの先端が入口センサ403(図2)を通過して入口センサ403をオンにすると(S130のYES)、最初のシートSは搬送ローラ405に到達して搬送ローラ405から搬送力を受け、画像形成装置本体500の排紙部208(図1)から離れて(S140のYES)、シート処理装置400に渡される。
次に、CPU100は、搬送ローラ405によりシートSを処理トレイ410まで搬送しつつ、搬送ローラ405からシートSが抜けきらないうちに、ピックアップソレノイド433をオフさせ(S150)、図9の(a)に示すように、オフセットローラ407及びシート押圧部材600をシートSの上に着地させる。
この後、CPU100は、搬送モータ431を制御してオフセットローラ407によりシートSをシート搬送方向の下流側の所定位置まで搬送する(S160)。そして、シートSがシート搬送方向の下流側の所定位置まで搬送されると(S160のYES)、CPU100は、搬送モータ431の回転を停止して(S170)、シートSの搬送を停止させる。
次に、CPU100は、オフセットローラ407の回転が止まった時点でクランプソレノイド434をオンし(S180)、図11の(a)に示すように、シート上流側端ストッパー411近傍に設置されているシートクランプ部材412を開く。この後、CPU100は、搬送モータ431を搬送方向とは逆方向(上流側)に回転制御して、オフセットローラ407によってシートSをシート搬送方向の下流側の所定位置から上流側に引き戻し(S190)、シートSの後端をシート上流側端ストッパー411に当接させる。
なお、シートSの後端をシート上流側端ストッパー411に突き当てるときのオフセットローラ407の回転量は、画像形成装置本体500から送られてくる際に生じるシートSの斜行を考慮して、シートSのシート搬送方向の下流側への搬送を止めて上流側に引き戻すスイッチバック地点から、シート上流側端ストッパー411までの距離よりもシートSを多く搬送するように設定されている。従って、シート上流側端ストッパー411にシートSが突き当たると、シートSの移動が停止してシートSの表面でオフセットローラ407が空回りする。
次に、CPU100は、画像形成装置本体500からのサイズ情報により排出されるシートサイズをチェックし(S200)、排出されるシートサイズに応じて、シート幅方向を側端位置決め壁416までの距離Yと、オフセットローラ407をシート上を滑らせるための距離α(図には示していない)とを加えたオフセット移動量を算出する(S210)。
そして、CPU100は、オフセットモータ432(図3)を制御し、ピニオン432aとオフセットラック515を介して、オフセットローラ407を図9の(c)に示すように、側端位置決め壁416までオフセット移動させる(S220)。ここで、このようにオフセットローラ407が移動するとき、オフセットローラ407に接したシートSは、オフセットローラ407の摩擦力によって側端位置決め壁416の方に引き摺られ、紙押え700の下をくぐって、オフセットローラ407とともに移動する。
このとき、シートクランプ部材412は、シートSの移動の負荷とならないように、図11の(b)に示すように上方に回動してシートを開放している。なお、シートクランプ部材412は上向きになっていても、オフセットローラ407やオフセットローラホルダー406に干渉しないようになっている。
次に、オフセットローラ407は、シートSを側端位置決め壁416に突き当てた後も、シートSの上を若干滑りながら(S210)における距離αだけ移動して、1枚目のシートSの側端の整合が完了する。
上述したように、シートクランプ部材412は、オフセットローラ407が逆転している間にシートSを受け入れることができるように図11の(a)に示すように上方回動した位置に保持されており、この時、シート搬送方向の上流部のカールはシート押圧部材600で矯正されている。また、シートクランプ部材412は、シート幅方向の側端を整合するためオフセットローラ407とともにシートSが移動しているときには、シートSの移動の負荷にならないよう図11の(b)に示すように上方へ回動した位置に保持されている。
そして、図11の(b)に示すように、オフセットローラ407が側端位置決め壁416に近接する際、シート上流側端ストッパー411に突き当てられて搬送方向の上流側の整合がなされたシートSは、オフセットローラ407の摩擦力によって側端位置決め壁416方向に搬送され、紙押え700によってシートSのカールを矯正しながら、シート側端面を側端位置決め壁416に当接する事で幅方向の位置決めを行う。なお、シートSが側端位置決め壁416に突き当たった後、オフセットローラ407はシートS上を滑りながら側端位置決め壁416方向に所定量移動して停止する。
また、オフセットローラ407がシート幅方向へ移動する際に、シート押圧部材600は、図11の(b)に示すように、シート搬送方向のシート上流側端近傍の押圧位置で常にシートSを拘束する位置に止まるので、シート幅方向の整合時、シート側端が側端位置決め壁416に当接した際の衝撃でシートSが暴れてしまう事が少なくなり、また、シートクランプ部材412によってシートSを保持する動作が確実に行えるため、シート幅方向の整合精度を向上させることができる。
このようにして、1枚目のシートSの整合が完了すると、CPU100は、ピックアップソレノイド433(図3)をオンとし(S240)、図10の(a)に示すようにオフセットローラ407及びシート押圧部材600を持ち上げた後、クランプソレノイド434(図2参照)をオフする(S250)。これにより、図10の(b)に示すようにシートクランプ部材412が閉じられ、整合済みのシートSが処理トレイ410上に位置決め保持される。
言い換えれば、シートSの後端整合および側端整合が完了すると、ピックアップソレノイド433がオンされて、図10の(a)に示すように、オフセットローラ407及びシート押圧部材600が持ち上げられる。そして、シートクランプ部材412が、整合されたシートSを図10の(b)に示すように上方から押さえることにより、処理トレイ410に先に排出されたシートSは、この後、順次送られてくるシートSによりシート搬送方向の下流側に連れ送りされることを防ぎ、シートSが連れ送り等の影響を受けることなく所定の位置に保持される。
なお、上述(S240)の動作と(S250)の動作手順を逆にしても良い。すなわち、シートSの後端整合および側端整合が完了し、シートクランプ部材412で整合されたシートSを保持した後に、ピックアップソレノイド433がオンされて、オフセットローラ407及びシート押圧部材600を持ち上げられるようにしてもよい。いずれにしても、この後、順次送られてくるシートSによりシート搬送方向の下流側に連れ送りされることを防ぎ、シートSが連れ送り等の影響を受けることなく所定の位置に保持される。
次に、CPU100は、オフセットモータ432を制御して、図10の(b)に示すように、ピックアップソレノイド433によって持ち上げられた状態のオフセットローラ407をそのまま、(S100)で説明した待機位置であるホームポジションまで復帰移動させる(S260)。
この後、CPU100は、処理トレイ410上に収容されたシートSが複写原稿の最終ページに対応した最終のシートSか否かをチェックし(S270)、装置本体500から送られてきた情報に基づいて最終のシートSでないと判断した場合には(S270のNO)、S100に戻って次に装置本体500から送られるシート排出信号を受信する。そして、最後のシートSが処理トレイ410に収容されるまで、ここまでのフローを繰り返す。
これにより、シート処理装置400の制御部(CPU)は、画像形成装置本体500からシートSが排出される毎に、そのシートSの幅サイズを把握するとともにそのシートSに適したオフセット待機位置、及びオフセット量を算出して、オフセットローラ407が接触しているシートSを所定量送って、側端位置決め壁416に整合させることができる。
一方、CPU100が最終シートであると判断した場合(S270のYES)、処理トレイ410上に複写原稿に対応したシート束が形成されていることとなるので、次にステイプル処理が選択されているか否かをチェックし(S280)、選択されている場合には(S280のYES)、ステイプルユニット420(図3)を作動させてステイプル処理を実行する(S290)。
次に、ステイプル処理が選択されない場合(S280のNO)、あるいはステイプル処理が完了した後、CPU100は、シート束排出モータ430(図2)を制御して、シートクランプ部材412でシート束を掴んでいるシート束排出部材413(図4)を、図12に示すように、スタックトレイ421の方に前進させて、シート束SAを排出移動させる(S300)。
CPU100は、図12に実線で示すシート排出位置である処理トレイ410の先端部に到達すると、クランプソレノイド434を作動させて、スタックトレイ421上でシートクランプ部材412によるシート束SAの保持を解除して、シート束SAをスタックトレイ421に排出する(S310)。そして、CPU100は、シート束排出モータ430を制御して、シート束排出部材413をホームポジションに戻す(S320)。さらに、この後、CPU100は、搬送ローラ405、オフセットローラ407の回転を止めるため、搬送モータ431を停止させ(S330)、ピックアップソレノイド433をオフさせることにより(S340)、オフセットローラ407及びシート押圧部材600を下げて処理トレイ410に着地させ、一連の処理を終了する。
なお、本実施形態では、図7及び図8のフローチャートに示すRAM(またはROM)上に書かれたプログラムをCPUが読み出しながら制御を行っているが、制御プログラム上の処理をハードが行うように構成しても同様の効果が得られる。
また、以上のフローチャートの(S110)において、オフセットローラ407を接触位置に移動させているが、接触位置に移動させることなく、待機位置のままにしておいて、(S210)において、接触位置を算出してもよい。
<本実施形態のシート処理装置の効果>
以上説明したように、本実施形態のシート処理装置400は、処理トレイ410にシートが排出される際にオフセットローラ407を処理トレイ410から離間した位置で待機させ、オフセットローラ407の昇降動作に連動しているシート押圧部材600の押圧面600dが持ち上げられる事で、処理トレイ410に排出するシートの搬送経路が確保され、シート先端に腰が無い場合や、シート先端部が下カールしている場合などでも問題なくシートを処理トレイ410上に排出する事ができる。
また、その際に、排出するシートの先端部は、持ち上げられたシート押圧部材600の傾斜面600cでガイドされる為、排出されるシート先端の上カールが大きな場合でもオフセットローラ407に激突すること無く処理トレイ410上に案内することができる。
また、排出するシート先端がオフセットローラ407下部を通過した後のタイミングでオフセットローラ407を処理トレイ上に降下させる事で、オフセットローラ407の昇降動作に連動しているシート押圧部材600の押圧面600dが排出するシートの上面に当接するので、オフセットローラ407で処理トレイ410上に排出されたシート後端近傍がシート押圧部材600で押圧して拘束され、排出されたシートの後端部のカールが大きな場合でもシート押圧部材600でシートのカールを矯正することができ、シート上流側端ストッパー411に整合する際のシートクランプ部材412によるシート保持動作を確実に行える。従って、シート後端整合精度を高めることができる。
また、処理トレイ410に排出したシートをオフセットローラ407でシート上流側端ストッパー411に整合する際に、オフセットローラ407とシート上流側端ストッパー411のほぼ中央部をシート押圧部材600で押圧し拘束するので、処理トレイ410上に排出されたシートの後端が、シート上流側端ストッパー411に当接するまでの距離よりも多くの量を搬送するように設定しても、搬送されるシートに座屈が生じにくい。これに対して、シート搬送方向の整合時に、搬送されたシートに座屈が生じると、座屈した状態でシートの幅方向の整合が行われることとなり、シート幅方向の整合が終了してオフセットローラ407を上昇させ、整合したシートから離間させた際に、座屈したシートが飛び跳ねて動いてしまう事となる為、シート後端及びシート幅方向の整合精度が著しく低下してしまう。
この様に、シート押圧部材600でシートの座屈を防止した結果、予めシートの搬送方向の上流側への戻し量を多めに設定することが可能で、シートの後端がシート上流側端ストッパー411に到達した後は、オフセットローラ407とシート間で強制的にスリップさせているのでシートに座屈が生じず、シートの種類、環境条件、搬送手段の耐久性等を問わずシート上流側端ストッパー411及びシート側端位置決め壁416に整合する際のシート整合精度を高めることができる。
また、シートの搬送方向から交差する方向(幅方向)の整合時にオフセットローラ407がシートと共に移動した時にも、シート押圧部材600は、シートを搬送方向の上流側に整合する際の押圧位置に止まり、常にシートの搬送方向の上流端部を押圧し拘束するので、シート幅方向の整合時にシート側端が、側端位置決め壁416に当接した際の反力でシートが暴れてしまう事が少なくなり、又、シートクランプ部材412によるシートを保持する動作が確実に行えるので、シート幅方向の整合精度を向上させることが可能となる。
なお、これまでの説明では、シート押圧部材600はシート押圧部材600の自重でシートを拘束しているが、ばね等の弾性体部材によるばね圧でシート押圧部材600に押圧力を持たせてもよい。
また、これまでの説明では、装置本体500に備えられた制御部140とは個別独立したシート処理装置400のCPU100がオフセットローラ407等の動作を制御しているが、装置本体500の画像処理等を制御する制御部140がオフセットローラ407等のシート処理動作を制御してもよい。
<参考例のシート処理装置>
図14は参考例のシート処理装置の説明図である。
図14に示すように参考例のシート処理装置800は、処理トレイ806に複数枚のシートSを積載して、積載したシートSの後端の隅を不図示のステイプラユニットによってステイプル(針綴じ)処理することによりシート束を形成し、形成されたシート束を接合・離間が可能な排出ローラ811、812で挟み込んで、処理トレイ806から積載トレイ805へ送り出し排出する。
ここでは、処理トレイ806へシートS1を排出する排出ローラ801に同期して回転する整合ベルト802が設けられ、整合ベルト802の摩擦力によって、シートS1を整合突き当て部材803に対し突き当てることにより、シートS1の後端を整合している。整合ベルト802は、排出ローラ801に同期して回転するように、排出ローラ801が持つコロ804によって回転しているので、シートS1の後端は整合ベルト802からやや離れた位置に落下する。このままでは、整合ベルト802によるシートSの整合は行うことができないので、シートSを積載する積載トレイ805、及び、後処理を行う処理トレイ806に角度を付け、シートSが整合ベルト802の方向に対して落下するように構成している。
そして、積載トレイ805と処理トレイ806の傾斜だけでは、摩擦係数の不安定な再生紙や、静電気が帯電して貼り付きを起し易い紙や、上カールの大きい紙を使用した際にシートSが自重で整合ベルト802まで滑り落ちず、整合ベルト802の下側にうまく入り込まない可能性があるので、シートSの後端の近傍を拘束する回動可能なウエイト部材807を設け、シートSの後端の上カールをウエイト部材807で押しつぶすようにして、シートSが整合ベルト802の下側に入り込み易くしている。
しかし、参考例のシート処理装置では、上述した実施形態のシート処理装置400とは異なり、整合突き当て部材803へ向かってシートを搬送する整合ベルト802と整合突き当て部材803の間でシートS1を処理トレイ806に押し付ける部材が無いので、整合突き当て部材803に突き当たったシートS1を整合ベルト802でさらに搬送すると、シートS1が座屈を起こして上方へ膨らんだり、上カールの大きなシートの後端が整合ベルト802に巻きついて整合突き当て部材803に突き当たらなかったりする可能性がある。
ところで、参考例のシート処理装置のように、回動可能なウエイト部材807を設けたとしても、排紙ローラ801で搬送されるシートS1の先端に腰が無い場合や、シートS1の先端部が下カールしている場合などは、排出されるシートS1の先端部で、ウエイト部材807を持ち上げながら処理トレイ806に排出する事が出来ず、ウエイト部材807のところで紙詰まりしたり、処理トレイ806に排出されても整合不良になったりする可能性がある。
特許文献1に示されるシート処理装置では、この様な問題を防止するために、整合ベルトの内側に設けた整合ベルト移動手段を移動して整合ベルトを強制的に変形させ、シートに対する整合ベルトの接触位置を移動させることにより、処理トレイの入り口に近い位置でシートを拘束できるようにしている。言い換えれば、特許文献1に示されるシート処理装置は、接合することによってシートを処理トレイに沿って整合突き当て部材側へ搬送することも不可能とは言えない排出ローラ対と、整合突き当て部材との間へ下降してシートを処理トレイへ押さえ付ける整合ベルトとを備えている。
しかし、特許文献1に示されるシート処理装置ですら、整合ベルトは、当接部材へ向かってシートを搬送する搬送手段と当接部材の間でシートを処理トレイに押し付けるものではなく、むしろ、整合突き当て部材へシートを押し付けて座屈を引き起こす原因であるから、シートの後端近傍を押さえ付けて上カールや座屈を妨げることができない。また、整合ベルト移動手段を含む整合ベルトの駆動機構は、部品点数が増え、その分装置も大きくなりコスト的にも不利であった。
これに対して、上述した実施形態のシート処理装置400は、参考例や特許文献1のシート処理装置が解決し得なかった課題を解決するとともに、簡単な構成で省スペース化をはかり、シートの種類、環境条件、搬送手段の耐久性を問わずシート搬送上流側端の整合精度を向上させた安価なシート処理装置を提供することができる。
すなわち、シート処理装置400は、オフセットローラ407を処理トレイ410から離間した位置で待機させ、オフセットローラ407の昇降動作に連動しているシート押圧部材600が持ち上げられることで、処理トレイ410に排出するシートの搬送経路が確保されるので、シート先端に腰が無い場合や、シート先端部が下カールしている場合などでも問題なくシートを処理トレイ410に排出できる。その際に、排出するシートの先端は持ち上げられたシート押圧部材600の傾斜面でガイドされる為、シート先端の上カールが大きな場合でもオフセットローラ407に激突すること無くシートを処理トレイ410に排出できる。
また、排出するシート先端がオフセットローラ407下部を通過したタイミングでオフセットローラ407を処理トレイ410上に降下させ、オフセットローラ407の昇降動作に連動しているシート押圧部材600も降下して、移動するシートの上面に当接するので、処理トレイ410上に排出されて中央部分をオフセットローラ407で拘束されたシートの後端近傍がシート押圧部材600によって処理トレイ410に押し付けられるので、排出されたシートの後端のカールが大きな場合でも、シート押圧部材600の押圧面600dでシートのカールを矯正できる。従って、シートをシート上流側端ストッパー411に整合する際のシートクランプ部材412によるシートを保持する動作が確実に行える為、結果として、シート後端の整合精度を高めることができる。