JP2006305602A - ろう付性に優れた熱交換器用アルミニウム合金材、及びそれを用いた熱交換器用ヘッダー - Google Patents
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Abstract
【課題】 ろう付時の製造コストを上昇させること無く安定したろう付を可能とし、ろう付性に優れた熱交換器用アルミニウム合金材、及びそれを用いた熱交換器用ヘッダーを提供する。
【解決手段】 ろう付組成物からなる塗膜2が、アルミニウム合金基材1と接する下層21、及び上層22からなる2コート塗膜とされており、Si粉末を含む層を下層21に配し、Al若しくはAl−Si系合金粉末を含む層を上層22に配してなる構成としている。これにより、ヘッダー等のようにろう材を多量に必要とし、ろう付用組成物が多量に塗布されて用いられる部材であっても、高いろう付性を実現できる熱交換器用アルミニウム合金材1が安価に得られる。従って、熱交換器用アルミニウム合金材1が用いられる熱交換器の信頼性が向上し、また、製造コストを低減することが可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】 ろう付組成物からなる塗膜2が、アルミニウム合金基材1と接する下層21、及び上層22からなる2コート塗膜とされており、Si粉末を含む層を下層21に配し、Al若しくはAl−Si系合金粉末を含む層を上層22に配してなる構成としている。これにより、ヘッダー等のようにろう材を多量に必要とし、ろう付用組成物が多量に塗布されて用いられる部材であっても、高いろう付性を実現できる熱交換器用アルミニウム合金材1が安価に得られる。従って、熱交換器用アルミニウム合金材1が用いられる熱交換器の信頼性が向上し、また、製造コストを低減することが可能となる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ろう付性に優れた熱交換器用アルミニウム合金材、及びそれを用いた熱交換器用ヘッダーに関する。
従来、ラジエータやヒータコア等の水冷式の自動車用熱交換器に用いられるヘッダー材では、片面にAl-Si系ろう材、もう一方の面にJIS規定7072合金などの犠牲陽極皮材をクラッドしたブレージングシートが使用されており、ベアフィン材と組み合わされ、ろう付けされて使用されている。
また、コンデンサ等のカーエアコン用材料においては、押出し多穴管と、両面にろう材をクラッドした、所謂クラッドフィン材が組み合わされ、ろう付けされて使用されている。これらの熱交換器におけるろう付け方法として従来、真空ろう付け方法と、ろう付け前にフラックスを塗布し、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中でろう付けする方法の2種類が知られている。
また、コンデンサ等のカーエアコン用材料においては、押出し多穴管と、両面にろう材をクラッドした、所謂クラッドフィン材が組み合わされ、ろう付けされて使用されている。これらの熱交換器におけるろう付け方法として従来、真空ろう付け方法と、ろう付け前にフラックスを塗布し、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中でろう付けする方法の2種類が知られている。
また、最近では、これらのようなクラッド材を使用することなくろう付けする技術が開発されてきており、例えば、アルミニウム、銅、黄銅、鋼などの表面にSi、Cu、Geとフラックスからなる組成物を塗布してろう付けする方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
この特許文献1に記載の技術は、カーエアコンのコンデンサなどに応用され、押出多穴管に塗布したろう材組成物とベアフィンと組み合わせにより接合した熱交換器が実用化されており、以下のような過程でろう付が進行する。
(1)ろう付け熱処理の昇温課程においてフラックスが加熱されて活性化する。
(2)活性化したフラックスがアルミニウム合金材料表面とSi粉末表面の酸化皮膜を破壊する。
(3)酸化皮膜が破壊された後、それぞれの金属が接触することにより固相拡散が進行し、Al-Si合金共晶組成となった部分から溶解し、ろう材層を形成する。
この特許文献1に記載の技術は、カーエアコンのコンデンサなどに応用され、押出多穴管に塗布したろう材組成物とベアフィンと組み合わせにより接合した熱交換器が実用化されており、以下のような過程でろう付が進行する。
(1)ろう付け熱処理の昇温課程においてフラックスが加熱されて活性化する。
(2)活性化したフラックスがアルミニウム合金材料表面とSi粉末表面の酸化皮膜を破壊する。
(3)酸化皮膜が破壊された後、それぞれの金属が接触することにより固相拡散が進行し、Al-Si合金共晶組成となった部分から溶解し、ろう材層を形成する。
また、ろう付用組成物がSiとフッ化物系フラックスを含み、さらにAl及び不可避不純物を含んでおり、Si含有量がフッ化物系フラックスを除く元素の合計含有量に対して重量%で3〜15%とされ、且つ、フッ化物系フラックスを除く元素の合計とフッ化物系フラックスとが重量比で99.9:0.1〜70:30の割合の範囲で配合されたろう付用組成物を用いて、窒素ガス雰囲気中でアルミニウム合金材をろう付するものが提案されている(例えば、特許文献2)。
特表平6−504485号公報
特開平5−177386号公報
特許文献1及び2に記載された熱交換器用アルミニウム合金材では、ろう材としてSi粉末が含有されてなるろう付用組成物を、アルミニウム合金材の表面に塗布してろう付を行う構成となっている。
しかしながら、特許文献1及び2に記載された熱交換器用アルミニウム合金材の構成では、特にヘッダープレート材等のように厚みがあり、ろう材を多量に必要とする部材のろう付を行う際には、チューブ材等のようにろう材が少量で済む部材にも多量のろう材を供給することになる。ろう材量を多くしたい場所においてSi粉末の塗布量を増加すると、少ない場所と同じ比率のフラックス量ではろう付けができず、フラックスの比率を増やさざるを得ない状況となる問題がある。例えば、粉末ろう付けにおいてはアルミニウム表面にシリコン粉末が接触することになるので、ある一定量以上のろう材(Si粉末)を塗ってもアルミニウム表面に接触できるろう材には限度があり、過剰に塗布したろう材(Si粉末)がろう付けに寄与しないばかりか、ろう付けの阻害要因となってしまうとともに、製造コストが上昇してしまうという問題がある。
以下に、ろう付け用組成物のろう付け時の状態を更に詳細に説明する。
Al合金からなる熱交換器のヘッダーなどの被ろう付材に塗布された純Si粉末においては、Siの融点が1427℃であるが、ろう付け加熱を通してSiと被ろう付材のAlが相互拡散して低融点(Al−Si系2元状態図の固相線温度577℃)のAl−Siろう合金を形成する。
拡散を通しての金属原子間または原子間の反応は、被ろう付材のAlに対して最前線に位置する(界面に位置する)Si粒しか関与せず、仮に多くのSi粒を添加しても未反応のSi粒子が残留するだけに終始するので、微細なSi粒子の場合に、供給したSi粉末の量の割にはろう付け後に生成されるフィレット形成に関与できるろう材が少ないという事情があった。これはSiが生成する酸化皮膜の影響も一因をなしている。
従って、純Siの微細粉末では充分なフィレットが得難く、フラックスの酸化皮膜破壊作用を促進する技術の登場が望まれている。
ここで例えば、フラックスの添加量を増加させると、上述の酸化皮膜の破壊作用を促進できるが、無駄なフラックスが増えてコストが上昇するだけでなく、ろう付け時に熱交換器部品を組み立てる初期組立段階での継手間の隙間が無駄なフラックスの介在により大きくなり、ひいては、ろうの充填性を阻害する問題がある。
Al合金からなる熱交換器のヘッダーなどの被ろう付材に塗布された純Si粉末においては、Siの融点が1427℃であるが、ろう付け加熱を通してSiと被ろう付材のAlが相互拡散して低融点(Al−Si系2元状態図の固相線温度577℃)のAl−Siろう合金を形成する。
拡散を通しての金属原子間または原子間の反応は、被ろう付材のAlに対して最前線に位置する(界面に位置する)Si粒しか関与せず、仮に多くのSi粒を添加しても未反応のSi粒子が残留するだけに終始するので、微細なSi粒子の場合に、供給したSi粉末の量の割にはろう付け後に生成されるフィレット形成に関与できるろう材が少ないという事情があった。これはSiが生成する酸化皮膜の影響も一因をなしている。
従って、純Siの微細粉末では充分なフィレットが得難く、フラックスの酸化皮膜破壊作用を促進する技術の登場が望まれている。
ここで例えば、フラックスの添加量を増加させると、上述の酸化皮膜の破壊作用を促進できるが、無駄なフラックスが増えてコストが上昇するだけでなく、ろう付け時に熱交換器部品を組み立てる初期組立段階での継手間の隙間が無駄なフラックスの介在により大きくなり、ひいては、ろうの充填性を阻害する問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、ろう付時の製造コストを上昇させること無く安定したろう付を可能とし、ろう付性に優れた熱交換器用アルミニウム合金材、及びそれを用いた熱交換器用ヘッダーを提供することを目的とする。
本出願人は、ろう付性に優れた熱交換器用アルミニウム合金材を得るべく検討を重ね、以下の構成の熱交換器用アルミニウム合金材、及びそれを用いた熱交換器用ヘッダーを得るに至った。
請求項1に記載の発明は、Al粉末、Si粉末、及びAl−Si系合金粉末を含み、且つフッ化物系フラックスとバインダを含むろう付用組成物が塗布されたアルミニウム合金材において、前記ろう付組成物からなる塗膜が、アルミニウム合金基材と接する下層、及び上層からなる2コート塗膜とされており、Si粉末を含む層を前記下層に配し、Al若しくはAl−Si系合金粉末を含む層を前記上層に配してなることを特徴とするろう付性に優れた熱交換器用アルミニウム合金材に関する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の塗膜中において、前記下層及び上層を合わせたSiの含有量が22g/m2以上であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の塗膜において、前記下層及び上層を合わせたAl粉末、Si粉末、及びAl-Si系合金粉末の合計塗布量が110g/m2以下であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の塗膜中において、前記下層に含まれるSiの含有量が、前記塗膜中に含まれるAlの含有量に対して、重量比で80%以下であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れかに記載の上層のAl−Si系合金粉末中のSi含有量の割合が、重量比で50%以下であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明の熱交換器用ヘッダーは、請求項1〜5の何れかに記載のろう付性に優れた熱交換器用アルミニウム合金材からなることを特徴とする。
請求項1に記載の発明は、Al粉末、Si粉末、及びAl−Si系合金粉末を含み、且つフッ化物系フラックスとバインダを含むろう付用組成物が塗布されたアルミニウム合金材において、前記ろう付組成物からなる塗膜が、アルミニウム合金基材と接する下層、及び上層からなる2コート塗膜とされており、Si粉末を含む層を前記下層に配し、Al若しくはAl−Si系合金粉末を含む層を前記上層に配してなることを特徴とするろう付性に優れた熱交換器用アルミニウム合金材に関する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の塗膜中において、前記下層及び上層を合わせたSiの含有量が22g/m2以上であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の塗膜において、前記下層及び上層を合わせたAl粉末、Si粉末、及びAl-Si系合金粉末の合計塗布量が110g/m2以下であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の塗膜中において、前記下層に含まれるSiの含有量が、前記塗膜中に含まれるAlの含有量に対して、重量比で80%以下であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れかに記載の上層のAl−Si系合金粉末中のSi含有量の割合が、重量比で50%以下であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明の熱交換器用ヘッダーは、請求項1〜5の何れかに記載のろう付性に優れた熱交換器用アルミニウム合金材からなることを特徴とする。
本発明のろう付性に優れた熱交換器用アルミニウム合金材では、ろう付組成物からなる塗膜が、アルミニウム合金基材と接する下層、及び上層からなる2コート塗膜とされており、Si粉末を含む層を前記下層に配し、Al若しくはAl−Si系合金粉末を含む層を前記上層に配してなる構成としている。
これにより、ヘッダープレート等のようにろう材を多量に必要とし、ろう付用組成物が多量に塗布されて用いられる部材であっても、高いろう付性を実現できる熱交換器用アルミニウム合金材が安価に得られる。
従って、熱交換器用アルミニウム合金材が用いられる熱交換器の信頼性が向上し、また、製造コストを低減することが可能となる。
これにより、ヘッダープレート等のようにろう材を多量に必要とし、ろう付用組成物が多量に塗布されて用いられる部材であっても、高いろう付性を実現できる熱交換器用アルミニウム合金材が安価に得られる。
従って、熱交換器用アルミニウム合金材が用いられる熱交換器の信頼性が向上し、また、製造コストを低減することが可能となる。
以下、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金材(以下、アルミ合金材と略称することがある)の実施の形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態のアルミ合金材1は、Al粉末、Si粉末、及びAl−Si系合金粉末を含み、且つフッ化物系フラックスとバインダを含むろう付用組成物が塗布されており、該ろう付組成物からなる塗膜2が、アルミ合金基材1aと接する下層21、及び上層22からなる2コート塗膜とされており、Si粉末を含む層を下層21に配し、Al若しくはAl−Si系合金粉末を含む層を上層22に配して概略構成されている。
図1に示すように、本実施形態のアルミ合金材1は、Al粉末、Si粉末、及びAl−Si系合金粉末を含み、且つフッ化物系フラックスとバインダを含むろう付用組成物が塗布されており、該ろう付組成物からなる塗膜2が、アルミ合金基材1aと接する下層21、及び上層22からなる2コート塗膜とされており、Si粉末を含む層を下層21に配し、Al若しくはAl−Si系合金粉末を含む層を上層22に配して概略構成されている。
また、本実施形態の熱交換器用アルミニウム合金材1では、塗膜2中において、下層21及び上層22を合わせたSiの含有量が22g/m2以上として構成されている。
また、本実施形態の熱交換器用アルミニウム合金材1では、前記塗膜2は、下層21及び上層22を合わせたAl粉末、Si粉末、及びAl-Si系合金粉末の合計塗布量が110g/m2以下として構成されている。
また、本実施形態の熱交換器用アルミニウム合金材1では、塗膜2中において、下層21に含まれるSiの含有量が、塗膜2に含まれるAlの含有量に対して、重量比で80%以下、より好ましくは50%以下となるように構成されている。
また、本実施形態の熱交換器用アルミニウム合金材1では、上層22のAl−Si系合金粉末中のSi含有量の割合が、重量比で50%以下、より好ましくは35%となるように構成されている。
本実施形態の熱交換器用アルミニウム合金材1は、図2に示すような、熱交換器11に組み込まれるヘッダー12をなす合金材として用いることができる。
また、本実施形態の熱交換器用アルミニウム合金材1では、前記塗膜2は、下層21及び上層22を合わせたAl粉末、Si粉末、及びAl-Si系合金粉末の合計塗布量が110g/m2以下として構成されている。
また、本実施形態の熱交換器用アルミニウム合金材1では、塗膜2中において、下層21に含まれるSiの含有量が、塗膜2に含まれるAlの含有量に対して、重量比で80%以下、より好ましくは50%以下となるように構成されている。
また、本実施形態の熱交換器用アルミニウム合金材1では、上層22のAl−Si系合金粉末中のSi含有量の割合が、重量比で50%以下、より好ましくは35%となるように構成されている。
本実施形態の熱交換器用アルミニウム合金材1は、図2に示すような、熱交換器11に組み込まれるヘッダー12をなす合金材として用いることができる。
図2に示す熱交換器11は、離間して左右に配置されている一対のヘッダータンク(ヘッダー)12a、12bと、これらヘッダータンク12a、12bの間に互いに並行に間隔をあけて設けられたアルミニウム合金製の複数の扁平型のチューブ13と、これら隣接するチューブ13とチューブ13の間に架設されるように設けられた波形のフィン14とから概略構成されている。
そして、熱交換器11において、ヘッダータンク12a、12bとチューブ13は、ヘッダータンク12a、12bの側面に複数整列形成された図示略のスロット(差込孔)に各チューブ13の端部を差し込み、差込部分の周りに配置したろう材を用いて両者を相互にろう付するとともに、チューブ13とフィン14は、チューブ13の上下面に塗布したろう付け用組成物を用いて両者を相互にろう付けすることで組み立てられている。
そして、熱交換器11において、ヘッダータンク12a、12bとチューブ13は、ヘッダータンク12a、12bの側面に複数整列形成された図示略のスロット(差込孔)に各チューブ13の端部を差し込み、差込部分の周りに配置したろう材を用いて両者を相互にろう付するとともに、チューブ13とフィン14は、チューブ13の上下面に塗布したろう付け用組成物を用いて両者を相互にろう付けすることで組み立てられている。
以下に、本実施形態のアルミ合金材1の各構成、及び成分組成についての詳細を説明する。
[アルミ合金基材]
アルミ合金基材1aは、本実施形態のアルミ合金材1の基材であり、Alに、必要に応じて強度特性や耐エロージョン性等を向上させるための各種元素が添加されてなる。
アルミ合金基材1aは、本実施形態のアルミ合金材1の基材であり、Alに、必要に応じて強度特性や耐エロージョン性等を向上させるための各種元素が添加されてなる。
[ろう付用組成物]
ろう付用組成物は、アルミ合金基材1aの表面に塗布されて、下層21及び上層22からなる塗膜2を形成するものであり、下層21及び上層22に含有される粉末に、後述するフッ化物系フラックス及びバインダが配合されてなる。
図1に示すように、下層21は、アルミ合金基材1aに接して形成され、後述するSi粉末を含む層が配されている。
上層22は、下層21の表面(つまり、アルミ合金基材1aとは反対面)に接して形成され、後述するAl若しくはAl-Si系合金粉末を含む層が配されている。
なお、図1では、塗膜2をアルミ合金基材1aの両面に配した例を示しているが、塗膜2をアルミ合金基材1aの片面にのみ配した構成としても良い。
以下に、本実施形態で用いるろう付組成物の成分組成について詳述する。
ろう付用組成物は、アルミ合金基材1aの表面に塗布されて、下層21及び上層22からなる塗膜2を形成するものであり、下層21及び上層22に含有される粉末に、後述するフッ化物系フラックス及びバインダが配合されてなる。
図1に示すように、下層21は、アルミ合金基材1aに接して形成され、後述するSi粉末を含む層が配されている。
上層22は、下層21の表面(つまり、アルミ合金基材1aとは反対面)に接して形成され、後述するAl若しくはAl-Si系合金粉末を含む層が配されている。
なお、図1では、塗膜2をアルミ合金基材1aの両面に配した例を示しているが、塗膜2をアルミ合金基材1aの片面にのみ配した構成としても良い。
以下に、本実施形態で用いるろう付組成物の成分組成について詳述する。
「Si粉末及びAl−Si系合金粉末」
Si粉末は、後述するフラックス及びバインダとともにろう付用組成物をなし、Si及び不可避的不純物からなる粉末ろうであり、ろう材層を形成する。
Si粉末は、本実施形態のアルミ合金材1では下層21の成分組成として用いられており、下層21はアルミ合金基材1aの表面と接して設けられ、下層21の表面に接して上層22が設けられている。
Si粉末は、後述するフラックス及びバインダとともにろう付用組成物をなし、Si及び不可避的不純物からなる粉末ろうであり、ろう材層を形成する。
Si粉末は、本実施形態のアルミ合金材1では下層21の成分組成として用いられており、下層21はアルミ合金基材1aの表面と接して設けられ、下層21の表面に接して上層22が設けられている。
Al-Si系合金粉末は、後述するフラックス及びバインダとともにろう付用組成物をなし、Siと残部Al及び不可避不純物とからなる合金粉末ろうであり、ろう材層を形成する。
Al-Si系合金粉末は、本実施形態のアルミ合金材1では上層22の成分組成として用いられており、上層22は、上述の下層21の表面に接して設けられている。
Al-Si系合金粉末は、本実施形態のアルミ合金材1では上層22の成分組成として用いられており、上層22は、上述の下層21の表面に接して設けられている。
Si粉末の含有量は、下層21及び上層22を合わせた総含有量が22g/m2以上であることが好ましい。
Si粉末の総含有量が22g/m2未満だと、下層21及び上層22からなる2コート構成によるろう付性向上の効果が得られにくく、また、製造コストが上昇する虞がある。
Si粉末の総含有量が22g/m2未満だと、下層21及び上層22からなる2コート構成によるろう付性向上の効果が得られにくく、また、製造コストが上昇する虞がある。
塗膜2の、アルミ合金基材1aに対するAl粉末、Si粉末、及びAl-Si系合金粉末の合計塗布量は、下層21及び上層22を合わせて110g/m2以下であることが好ましい。
合計塗布量が110g/m2を超えると、アルミ合金基材1aへのSi粉末の塗布量が増えるため、ろう付用組成物中のフラックス比率を増加させる必要があり、製造コストが上昇してしまう。一定量以上のろう材(Si粉末)を塗ってもアルミ合金基材1aの表面に接触できるろう材には限度があるため、過剰に塗布したSi粉末はろう付けに寄与しないばかりか、ろう付けの阻害要因となってしまうとともに、製造コストが上昇してしまう。
また、合計塗布量が110g/m2を超えると、アルミ合金基材1aの成形前に、Al粉末、Si粉末、及びAl-Si系合金粉末を塗布して使用する場合等に、例えばチューブを挿入するスロット(孔)のプレス加工時の、塗膜2の剥離量が多くなり、熱交換器の製造工程においてトラブルの要因となる虞がある。塗膜2の剥離量が多いと、接合部に有効に働くろう材を失うとともに、ヘッダー加工工程において剥離物が異物となり、プレス不具合が生じる虞がある。塗膜2が若干剥離する程度であれば、ろう付性に大きな影響は無いが、剥離物(異物)が蓄積された場合に、プレス不具合が生じる虞がある。
合計塗布量が110g/m2を超えると、アルミ合金基材1aへのSi粉末の塗布量が増えるため、ろう付用組成物中のフラックス比率を増加させる必要があり、製造コストが上昇してしまう。一定量以上のろう材(Si粉末)を塗ってもアルミ合金基材1aの表面に接触できるろう材には限度があるため、過剰に塗布したSi粉末はろう付けに寄与しないばかりか、ろう付けの阻害要因となってしまうとともに、製造コストが上昇してしまう。
また、合計塗布量が110g/m2を超えると、アルミ合金基材1aの成形前に、Al粉末、Si粉末、及びAl-Si系合金粉末を塗布して使用する場合等に、例えばチューブを挿入するスロット(孔)のプレス加工時の、塗膜2の剥離量が多くなり、熱交換器の製造工程においてトラブルの要因となる虞がある。塗膜2の剥離量が多いと、接合部に有効に働くろう材を失うとともに、ヘッダー加工工程において剥離物が異物となり、プレス不具合が生じる虞がある。塗膜2が若干剥離する程度であれば、ろう付性に大きな影響は無いが、剥離物(異物)が蓄積された場合に、プレス不具合が生じる虞がある。
下層21のSi粉末量は、塗膜2に含有されるAl量に対する含有量が、重量比で80%以下が好ましく、50%以下が最も好ましい。
下層21のSi粉末量の、塗膜2に含有されるAl量に対する含有量が80%を超えると、拡散対象のAlが不足するため、ろう付性が低下する。
下層21のSi粉末量の、塗膜2に含有されるAl量に対する含有量が80%を超えると、拡散対象のAlが不足するため、ろう付性が低下する。
上層22に配されるAl-Si系合金粉末は、その組成成分において、Siの割合が重量比で50%以下が好ましく、35%以下が最も好ましい。
上層22に配されるAl-Si系合金粉末中のSiの割合が50%を超えると、Al-Si系合金粉末そのもののろう形成性が低下し、ろう付性(ろう形成性)が低下する。
上層22に配されるAl-Si系合金粉末中のSiの割合が50%を超えると、Al-Si系合金粉末そのもののろう形成性が低下し、ろう付性(ろう形成性)が低下する。
Alは、Al−Si系合金粉末の酸化皮膜の成長を抑制し、特に後述するフッ化物系フラックスの効果を有効に作用させる。
[フッ化物系フラックス]
フッ化物系フラックスは、後述するバインダとともに、粉末ろうに配合され、ろう付用組成物をなす。
フッ化物系フラックスは、K1−3AlF4−6、ZnF2、KZnF3、K2SiF6の内、何れかを単独、或いは2種類以上を混合した成分の粉末を用いることが好ましい。
また、上述したフッ化物系フラックスの他、例えば、他のAl含有フッ化物系フラックスやZn含有フッ化物系フラックスを用いても良い。
フッ化物系フラックスは、後述するバインダとともに、粉末ろうに配合され、ろう付用組成物をなす。
フッ化物系フラックスは、K1−3AlF4−6、ZnF2、KZnF3、K2SiF6の内、何れかを単独、或いは2種類以上を混合した成分の粉末を用いることが好ましい。
また、上述したフッ化物系フラックスの他、例えば、他のAl含有フッ化物系フラックスやZn含有フッ化物系フラックスを用いても良い。
上述のろう付用組成物には、更に、アクリル系樹脂等からなるバインダが配合され、このバインダを含むSi粉末を用いたろう付用組成物がアルミ合金基材1aの表面に下層21として塗布される。また、下層21の表面には、Al若しくはAl-Si系合金粉末を用いてフッ化物系フラックス及びバインダが配合されたろう付用組成物が、上層22として設けられる。
上述のろう付用組成物には、Siを有する粉末ろうが含まれるため、ろう付けの際は、Siがアルミ合金基材の表面から内部に侵入することによってSi拡散層が形成され、また、アルミ合金基材の表面に溶融したろう材層が形成される。
なお、フッ化物系フラックスは、下層21及び上層22の何れか一方、又は両方に必要であり、バインダは、下層21及び上層22の両方に必要である。
なお、フッ化物系フラックスは、下層21及び上層22の何れか一方、又は両方に必要であり、バインダは、下層21及び上層22の両方に必要である。
図2に示すように、本実施形態のアルミ合金材1を用いた熱交換器11の組立、ろう付を行う際は、ろう付用組成物が塗布されてなる塗膜2(下層21及び上層22)が表面に設けられたヘッダータンク12a、12bに、チューブ13及びフィン材14を組み付けた後、窒素雰囲気中等の適当な雰囲気で適温に加熱してろう材を溶解させる。
ろう付熱処理は、580℃乃至610℃程度で行うことが好ましく、保持時間は1分乃至10分程度が好ましい。
ろう付時の温度が580℃未満だと、ろう材及びアルミ合金基材の一部溶解が進まず、良好なろう付を行うことが困難になる。
ろう付時の温度が610℃を超えると、著しい侵食が生じる虞がある。
ろう付熱処理は、580℃乃至610℃程度で行うことが好ましく、保持時間は1分乃至10分程度が好ましい。
ろう付時の温度が580℃未満だと、ろう材及びアルミ合金基材の一部溶解が進まず、良好なろう付を行うことが困難になる。
ろう付時の温度が610℃を超えると、著しい侵食が生じる虞がある。
上述の熱交換器11の構造によれば、チューブ13を差し込むためのスロット(図示略)が側面に設けられたヘッダータンク12a、12bにチューブ13が接合されているので、組立品全体のろう付け後の強度を高くすることができる。
なお、図2に示す例では、ヘッダータンクの形状は断面四角形状となっているが、これには限定されず、例えば、丸型パイプ状のヘッダータンクであっても良い。
また、ヘッダータンクは1つの部材(1ピース)からなる構成である必要は無く、例えば、縦割り半パイプ状のヘッダータンク半体を組み合わせてパイプ状とした構造の、2ピース型のヘッダータンク等であっても良く、適宜決定すれば良い。
また、ヘッダータンクは1つの部材(1ピース)からなる構成である必要は無く、例えば、縦割り半パイプ状のヘッダータンク半体を組み合わせてパイプ状とした構造の、2ピース型のヘッダータンク等であっても良く、適宜決定すれば良い。
図3は、本実施形態のアルミ合金材を自動車用ラジエータに適用する場合の一例を説明するものである。
ラジエータ21は、上部タンク及び下部タンクと、これらのタンクを接続する複数のチューブと、該複数のチューブの間に配置されたフィン材とから構成される。図3においてはこの構造のラジエータ21の上部タンク(ヘッダー)22、チューブ23及びフィン材24の部分断面構造を示している。
図示例のラジエータ21において、本実施形態のろう付性に優れた熱交換器用アルミニウム合金材を上部タンクに用いた構成とした場合には、図2に示す熱交換器11の場合と同様に、組立品全体のろう付け後の強度を高くすることができる。
ラジエータ21は、上部タンク及び下部タンクと、これらのタンクを接続する複数のチューブと、該複数のチューブの間に配置されたフィン材とから構成される。図3においてはこの構造のラジエータ21の上部タンク(ヘッダー)22、チューブ23及びフィン材24の部分断面構造を示している。
図示例のラジエータ21において、本実施形態のろう付性に優れた熱交換器用アルミニウム合金材を上部タンクに用いた構成とした場合には、図2に示す熱交換器11の場合と同様に、組立品全体のろう付け後の強度を高くすることができる。
以上、説明したように、本実施形態のろう付性に優れた熱交換器用アルミニウム合金材1によれば、ろう付組成物からなる塗膜2が、アルミ合金基材1aと接する下層21、及び上層22からなる2コート塗膜とされており、Si粉末を含む層を下層21に配し、Al若しくはAl−Si系合金粉末を含む層を上層22に配してなる構成としている。
これにより、ヘッダープレート等のようにろう材を多量に必要とし、ろう付用組成物が多量に塗布されて用いられる部材であっても、高いろう付性を実現できる熱交換器用アルミニウム合金材が安価に得られる。
従って、熱交換器用アルミニウム合金材が用いられる熱交換器の信頼性が向上し、また、製造コストを低減することが可能となる。
これにより、ヘッダープレート等のようにろう材を多量に必要とし、ろう付用組成物が多量に塗布されて用いられる部材であっても、高いろう付性を実現できる熱交換器用アルミニウム合金材が安価に得られる。
従って、熱交換器用アルミニウム合金材が用いられる熱交換器の信頼性が向上し、また、製造コストを低減することが可能となる。
以下に、本発明にかかる熱交換器用アルミニウム合金材の実施例について説明する。
下記表1に示す各実施例及び比較例の成分組成条件で、本発明に係るアルミ合金材(実施例)、及び従来のアルミ合金材(比較例)を作製し、以下の各項目について評価を行った。
下記表1に示す各実施例及び比較例の成分組成条件で、本発明に係るアルミ合金材(実施例)、及び従来のアルミ合金材(比較例)を作製し、以下の各項目について評価を行った。
[作製工程]
アルミニウム合金基材として、3003、調質O材、板厚1mmの板材を用いた。
ろう付用組成物として、各実施例及び比較例に示す各成分組成の粉末ろうを用い、この粉末ろうにノコロックフラックスとして、日本ソルベイ株式会社製 NOCOLOK FLUX(登録商標)を20g/m2配合した。バインダとして、アクリル樹脂系バインダを用い、粉末ろう(ろう材+フラックス)に対して、重量比で20%の量を配合した。
図1に示すように、アルミ合金基材の表面に、各成分組成のろう付用組成物を、バーコーターを用いて塗布した後、150℃の温度で5分間乾燥させることにより、本発明に係るアルミ合金材及び従来のアルミ合金材を、成分組成毎に得た。
アルミニウム合金基材として、3003、調質O材、板厚1mmの板材を用いた。
ろう付用組成物として、各実施例及び比較例に示す各成分組成の粉末ろうを用い、この粉末ろうにノコロックフラックスとして、日本ソルベイ株式会社製 NOCOLOK FLUX(登録商標)を20g/m2配合した。バインダとして、アクリル樹脂系バインダを用い、粉末ろう(ろう材+フラックス)に対して、重量比で20%の量を配合した。
図1に示すように、アルミ合金基材の表面に、各成分組成のろう付用組成物を、バーコーターを用いて塗布した後、150℃の温度で5分間乾燥させることにより、本発明に係るアルミ合金材及び従来のアルミ合金材を、成分組成毎に得た。
[ろう付性の評価]
各成分組成の塗膜を有した塗布板材を水平材(60mm×25mm)とし、ベア(未塗布)板材を垂直材(55mm×25mm)として使用し、逆T字型流動性試験にてろう付性の評価を行った。
塗膜厚を含むろう付前の上記水平材板厚を「t0」、ろう付後の水平材板厚を「t」、ろう付前の水平材の膜厚を「L」として、次式(1)にて流動係数Kを求めた。
K=(t0−t)/L・・・(1)
上記(1)式を用いて、各実施例及び比較例毎の流動係数Kを算出し、以下の評価基準で判定した。
(1)◎:流動係数Kが0.8以上であった。
(2)○:流動係数Kが0.7以上0.8未満であった。
(3)△:流動係数Kが0.6以上0.7未満であった。
(4)×:流動係数Kが0.6未満であった。
各成分組成の塗膜を有した塗布板材を水平材(60mm×25mm)とし、ベア(未塗布)板材を垂直材(55mm×25mm)として使用し、逆T字型流動性試験にてろう付性の評価を行った。
塗膜厚を含むろう付前の上記水平材板厚を「t0」、ろう付後の水平材板厚を「t」、ろう付前の水平材の膜厚を「L」として、次式(1)にて流動係数Kを求めた。
K=(t0−t)/L・・・(1)
上記(1)式を用いて、各実施例及び比較例毎の流動係数Kを算出し、以下の評価基準で判定した。
(1)◎:流動係数Kが0.8以上であった。
(2)○:流動係数Kが0.7以上0.8未満であった。
(3)△:流動係数Kが0.6以上0.7未満であった。
(4)×:流動係数Kが0.6未満であった。
[成形性の評価]
上記作製工程にて作製した各実施例及び比較例のサンプル板材に、手動プレスポンチを用いて大きさが5mm×15mmの角孔を成形加工した後、角孔周辺部の塗膜剥離状況を観察し、以下の評価基準で成形性を判定した。
(1)◎:剥離が無かった。
(2)○:剥離が殆どみられなかった。
(3)△:剥離が若干みられた。
上記作製工程にて作製した各実施例及び比較例のサンプル板材に、手動プレスポンチを用いて大きさが5mm×15mmの角孔を成形加工した後、角孔周辺部の塗膜剥離状況を観察し、以下の評価基準で成形性を判定した。
(1)◎:剥離が無かった。
(2)○:剥離が殆どみられなかった。
(3)△:剥離が若干みられた。
各実施例及び比較例の組成成分、及び評価試験結果の一覧を表1に示す。
表1に示すように、実施例1〜6の欄に記載した例では、塗膜を、Si粉末からなる下層と、Al若しくはAl−Si系合金粉末を含む上層とからなる2コート塗膜とし、Siの総含有量を22g/m2以上とするとともに、塗膜総量を110g/m2以下としており、ろう付性及び成形性の評価が◎又は○であった。また、実施例1〜6では、Si下層含有量のAl含有量に対する比を重量比で80%以下とするとともに、上層のAl−Si系合金粉末中のSi含有量を50%以下としており、ろう付性の評価が上述の結果となった。
また、実施例7及び8では、Si下層含有量のAl含有量に対する比が80%を超えており、ろう付性の評価が△であったものの、成形性の評価は◎であった。
実施例9では、上層に含まれるAl−Si粉末中のSiの割合が60%であり、ろう付性の評価が△であったものの、成形性の評価は○であった。
実施例10では、塗膜総量が132g/m2であり、成形性の評価が△であったものの、ろう付性の評価は◎であった。
実施例11では、Si総含有量が22g/m2未満であり、ろう付性の評価は△であったものの、成形性の評価は○であった。
実施例9では、上層に含まれるAl−Si粉末中のSiの割合が60%であり、ろう付性の評価が△であったものの、成形性の評価は○であった。
実施例10では、塗膜総量が132g/m2であり、成形性の評価が△であったものの、ろう付性の評価は◎であった。
実施例11では、Si総含有量が22g/m2未満であり、ろう付性の評価は△であったものの、成形性の評価は○であった。
これに対し、比較例1では、純Si粉末からなる下層のみの1層構成としたため、成形性の評価が◎であったものの、ろう付性の評価が×となった。
上記結果により、アルミ合金材表面のろう付用生成物からなる塗膜を、Si粉末からなる下層と、Al若しくはAl−Si系合金粉末を含む上層とからなる2コート塗膜とし、Siの総含有量を22g/m2以上とするとともに、塗膜総量を110g/m2以下とした場合に、高い成形性を有するとともに、ろう付性に優れた熱交換器用アルミニウム合金材が得られることが明らかとなった。
1…熱交換器用アルミニウム合金材(アルミ合金材)、1a…アルミ合金基材、2…塗膜(ろう付用組成物)、21…下層、22…上層、11…熱交換器、12a、12b…ヘッダータンク(ヘッダー)、21…ラジエータ、22…上部タンク(ヘッダー)
Claims (6)
- Al粉末、Si粉末、及びAl−Si系合金粉末を含み、且つフッ化物系フラックスとバインダを含むろう付用組成物が塗布されたアルミニウム合金材において、
前記ろう付組成物からなる塗膜が、アルミニウム合金基材と接する下層、及び上層からなる2コート塗膜とされており、
Si粉末を含む層を前記下層に配し、
Al若しくはAl−Si系合金粉末を含む層を前記上層に配してなることを特徴とするろう付性に優れた熱交換器用アルミニウム合金材。 - 前記塗膜中において、前記下層及び上層を合わせたSiの含有量が22g/m2以上であることを特徴とする請求項1に記載のろう付性に優れた熱交換器用アルミニウム合金材。
- 前記塗膜は、前記下層及び上層を合わせたAl粉末、Si粉末、及びAl-Si系合金粉末の合計塗布量が110g/m2以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のろう付性に優れた熱交換器用アルミニウム合金材。
- 前記塗膜中において、前記下層に含まれるSiの含有量が、前記塗膜中に含まれるAlの含有量に対して、重量比で80%以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のろう付性に優れた熱交換器用アルミニウム合金材。
- 前記上層のAl−Si系合金粉末中のSi含有量の割合が、重量比で50%以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のろう付性に優れた熱交換器用アルミニウム合金材。
- 請求項1〜5の何れかに記載のろう付性に優れた熱交換器用アルミニウム合金材からなることを特徴とする熱交換器用ヘッダー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005131860A JP2006305602A (ja) | 2005-04-28 | 2005-04-28 | ろう付性に優れた熱交換器用アルミニウム合金材、及びそれを用いた熱交換器用ヘッダー |
Applications Claiming Priority (1)
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