JP2006303445A - 積層型圧電素子及びこれを用いた燃料噴射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】積層型圧電ユニット(以下、単にユニットともいう)を積み重ねたユニット積層体を含み、ユニットが伸縮しても、第1外側ユニット電極同士、あるいは第2外側ユニット電極同士間の導通を良好に維持し、かつ短絡も防止できる積層型圧電素子を提供する。
【解決手段】積層型圧電素子1は、積層型圧電ユニット2を積層方向に積み重ねたユニット積層体6を含む。各ユニット2は、第1外側ユニット電極24及び第2外側ユニット電極25を有する。第1外側ユニット電極24同士は、ユニット2の外側面21から離間して配置された第1電極棒42を含み、導通を保ったまま積層方向に変形移動可能な柔軟性を有する第1導通路41で導通されている。また、第2外側ユニット電極25同士も、ユニット2の外側面21から離間して配置された第2電極棒45を含み、導通を保ったまま積層方向に変形移動可能な柔軟性を有する第2導通路44で導通されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、積層型圧電素子及びこれを用いた燃料噴射装置に関する。
圧電磁器組成物からなる圧電焼結体層とこれに接する内部電極層とを交互に積層してなる積層型圧電ユニットを用いた積層型圧電素子、あるいは積層型圧電ユニットを圧電焼結体層及び内部電極層の積層方向に複数積み重ねたユニット積層体を用いた積層型圧電素子が知られている。このような積層型圧電素子は、振動や圧力等を検知するセンサとして用いられたり、直流電圧あるいは交流電圧を印加して、変位あるいは振動を生じさせる圧電アクチュエータとして利用されている。この圧電アクチュエータの用途としては、例えば、超音波モータや精密位置決め用アクチュエータ、燃料噴射装置など様々な用途がある。
ところで、このような積層型圧電素子に用いられている積層型圧電ユニットでは、通常、多数の内部電極層のうち1層おきの内部電極層と導通する第1外側ユニット電極と、この第1の電極に導通していない残りの1層おきの内部電極層と導通する第2外側ユニット電極とを有している。そして、積層型圧電ユニットを積み重ねてユニット積層体とする場合には、各々の積層型圧電ユニットにおける第1外側ユニット電極同士を互いに導通するとともに、第2外側ユニット電極同士を互いに導通する。
例えば、特許文献1に示された積層型圧電セラミックでは、従来例として、積層型圧電セラミック単体を積み重ねるに当たり、外部電極(第1外側ユニット電極、第2外側ユニット電極に相当)の端部同士をハンダなどの導電体で形成された外部電極接続部で接続しているものが開示されている(特許文献1の図6参照)。また、単体間接続導電体であるリード線を外部電極にそれぞれハンダ付けして、外部電極同士を接続しているものも開示されている(特許文献1の図2参照)
特開2000−269562号公報
しかしながら、上述の特許文献1の図6に示されているように、外部電極の端部同士をハンダなどの弾性変形困難な材質からなる外部電極接続部で剛に接続している場合には、各々の積層型圧電セラミック単体の伸縮による変形で、この外部電極接続部(ハンダ)が疲労して亀裂が入るなどして断線しやすい。
一方、上述の特許文献1の図2に示されているように、単体間接続導電体であるリード線を外部電極にそれぞれハンダ付けして、外部電極同士を接続する場合にも不具合が生じる虞がある。即ち、リード線を張力をが掛かった状態に張った場合には、各々の積層型圧電セラミック単体の伸縮により、リード線にかかる張力が変動してリード線が破断したり、リード線と外部電極とのハンダ付け部分が疲労して破断する虞がある。逆に、リード線を張力がかからないように緩く張った場合には、撓んだリード線が他の部分に接触して短絡を生じる虞がある。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、積層型圧電ユニットを積み重ねたユニット積層体を含む積層型圧電素子において、積層型圧電ユニットが伸縮しても、第1外側ユニット電極同士、あるいは第2外側ユニット電極同士間の導通を良好に維持し、かつ短絡も防止できる積層型圧電素子を提供することを目的とする。また、このような積層型圧電素子を用いた燃料噴射装置を提供することを目的とする。
そしてその解決手段は、圧電焼結体層と内部電極層とを交互に積層してなる積層型圧電ユニットを、上記圧電焼結体層及び内部電極層の積層方向に複数積み重ねてなるユニット積層体を含み、各々の上記積層型圧電ユニットが、上記積層方向に延びる外側面上に位置し、上記内部電極層と互いに1層おきに導通する第1外側ユニット電極及び第2外側ユニット電極を有する積層型圧電素子であって、上記積層型圧電ユニットに属する上記第1外側ユニット電極とこの積層型圧電ユニットに隣接する積層型圧電ユニットに属する上記第1外側ユニット電極との間を導通する第1導通路であって、これらの積層型圧電ユニットの外側面から離間して配置された第1離間導通部を含み、上記第1外側ユニット電極同士の導通を保ったまま、上記積層型圧電素子動作時の上記ユニット積層体の伸縮に追動可能に構成してなる第1導通路と、上記積層型圧電ユニットに属する上記第2外側ユニット電極とこの積層型圧電ユニットに隣接する積層型圧電ユニットに属する上記第2外側ユニット電極との間を導通する第2導通路であって、これらの積層型圧電ユニットの外側面から離間して配置された第2離間導通部を含み、上記第2外側ユニット電極同士の導通を保ったまま上記積層がた圧電素子動作時の上記ユニット積層体の伸縮に追動可能に構成してなる第2導通路と、上記第1離間導電部及び第2離間導電部の少なくともいずれかを上記積層型圧電ユニットの外側面から離間した所定位置に保持する1または複数の離間保持部材と、を備える積層型圧電素子である。
本発明の積層型圧電素子では、隣り合う積層型圧電ユニットについて、第1外側ユニット導体同士を、第1導通路で導通している。また、第2外側ユニット導体同士を第2導通路で導通している。
しかも、第1導通路は、第1外側ユニット電極同士の導通を保ったまま、積層型圧電素子動作時のユニット積層体の伸縮に追動可能に構成してなる。同様に、第2導通路は、第2外側ユニット電極同士の導通を保ったまま、積層型圧電素子動作時のユニット積層体の伸縮に追従可能に構成してなる。
このため、各積層型圧電ユニットがそれぞれ伸縮しても、このような柔軟性を有する第1導通路を介して第1外側ユニット導体同士が導通しているので、第1外側ユニット電極の端部同士をハンダなどが直接接続している場合と異なり、断線を生じることがない。同様に、このような第2導電体を介して第2外側ユニット導体同士が導通しているので、断線を生じることがない。
第1導通路は、積層型圧電ユニットの外側面から離間して配置された第1離間導電部を含んでいる。同様に、第2導通路は、積層型圧電ユニットの外側面から離間して配置された第2離間導電部を含んでいる。さらに、本発明では、離間保持部材が、この第1離間導電部あるいは第2離間導電部を保持しているので、保持された第1離間導電部あるいは第2離間導電部が、互いにあるいは他の部材と接触して短絡するなどの不具合をも防止することもできる。
なお、本発明の積層型圧電素子は、圧電アクチュエータとして用いて、変位や振動を発生させることができる。また、振動センサや圧力センサとして、振動の有無や大きさ、圧力変化の大きさ等を検知に利用することができる。
また、第1離間導電部あるいは第2離間導電部を保持する離間保持部材は、いずれかの積層型圧電ユニットに保持されるようにすることができる。あるいは2つの積層型圧電ユニットに保持されるようにすることもできる。さらに、ケース部材を有する積層型圧電素子において、このケース部材に保持されるようにすることもできる。
また、第1導通路としては、第1離間導電部を含み、第1外側ユニット電極同士の導通を保ったまま、積層型圧電素子動作時のユニット積層体の伸縮に対して追動できるように構成されていれば、適宜の構成を採ることができる。例えば、柔軟性のあるリード線を用い、このリード線の両端をそれぞれ異なる第1外側ユニット電極にハンダ付けし、リード線の途中部分を積層型圧電ユニットから離間する形態としたものが挙げられる。また、剛性のある導体棒と、導体棒の一端部と第1外側ユニット電極とをハンダ付けによりリード線で結ぶ一方、導体棒の他端部と他の第1外側ユニット電極とをハンダ付けにより他のリード線で結ぶ構成としたものも挙げられる。また、帯状の導電メッシュを第1外部ユニット電極上及びこれよりも積層方向に余らせて貼り付けておき、導体棒の一端部と第1外側ユニット電極に貼り付けた導電メッシュの余剰部分とをハンダ付けによりリード線で結ぶ一方、導体棒の他端部と他の第1外側ユニット電極に貼り付けた他の導電メッシュの余剰部分とをハンダ付けにより他のリード線で結ぶ構成としたものも挙げられる。第2導通路についても同様である。
さらに、上記の積層型圧電素子であって、前記離間保持部材は、隣り合う前記積層型圧電ユニット同士の境界を跨ぐようにして前記ユニット積層体の外側に位置し、上記境界を挟んで隣り合う上記積層型圧電ユニットの、前記第1外側ユニット電極同士を導通する前記第1導通路のうちの前記第1離間導通部、及び、前記第2外側ユニット電極同士を導通する前記第1導通路のうちの前記第2離間導通部を、積層型圧電ユニットの外側面から離間して保持してなる積層型圧電素子とすると良い。
本発明の積層型圧電素子では、離間保持部材が積層型圧電ユニット同士の境界を跨ぐようにしてユニット積層体の外側に位置しており、離間保持部材は第1,第2離間導通部を保持している。このため、この離間保持部材よりも積層方向に見て一方側に位置する積層型圧電ユニットにおける第1外側ユニット電極と、他方側に位置する積層型圧電ユニットにおける第1外側ユニット電極とを、その中間の位置で、保持している第1離間導電部を含む第1導通路を介して導通させることができる。このため、第1外側ユニット電極同士の導通を短い距離で行うことができるから、コンパクト、低抵抗で第1外側ユニット電極同士を導通することができる。第2外側ユニット電極についても同様である。
さらに、上記いずれかに記載の積層型圧電素子であって、前記離間保持部材は、前記積層型圧電ユニットに保持されてなる積層型圧電素子とすると良い。
本発明の積層型圧電素子では、離間保持部材は、積層型圧電ユニットに保持されているので、自身が保持している第1導通路の第1離間導体部あるいは第2導通路の第2離間導体部と積層型圧電ユニットとの位置関係を容易かつ適切に決めることができる。
さらに、上記積層型圧電素子であって、前記ユニット積層体及び前記離間保持部材を包囲するケース部材を有し、上記離間保持部材は、上記ケース部材内における前記積層型圧電ユニットの上記積層方向に直交する積層直交方向の位置を規制する位置規制部材を兼ねる積層型圧電素子とすると良い。
本発明の積層型圧電素子は、離間保持部材が位置規制部材を兼ねている。従って、部材の数も低減できる。また、結果として、ケース部材と第1離間導体部や第2離間導電体部の位置関係をも容易に決定できるので、ケース部材と第1外側ユニット電極や第1導通路との間の絶縁、あるいはケース部材と第2外側ユニット電極や第2導通路との間の絶縁をも容易に図ることができる。
さらに他の解決手段は、上記いずれか1項に記載の積層型圧電素子を用いた燃料噴射装置である。
本発明の燃料噴射装置は、前述の積層型圧電素子を用いているので、信頼性の高い燃料噴射装置とすることができる。
本発明の実施の形態のうち、ケース付き積層型圧電素子にかかる実施例を図1〜図12を参照して、また、燃料噴射装置にかかる実施例を図13,図14を参照して説明する。
本実施例1にかかるケース付きの積層型圧電素子1を図1に示す。この積層型圧電素子1は、円筒状のケース部材9内にユニット積層体6を挿入保持したものである。このユニット積層体6は、積層型圧電ユニット2(2A,2B,2C)を、後述する積層方向STに三段に積み重ねたものであり、積層型圧電ユニット2同士の境界部分には、スペーサ5(5A,5B)が配置されてスペーサ付きユニット積層体6Sとなっている。さらにこのスペーサ付きユニット積層体6Sは、モールド樹脂8で包囲されてモールド済ユニット積層体7とされている。
積層型圧電ユニット2を三段に積み重ねたユニット積層体6(図8参照)は、後端面6T2(図1中、下端)において、裏蓋11に当接している。一方、先端面6T1(図1中、上端)は、断面凸字状のプッシュロッド13に当接している。このプッシュロッド13は、径大のベース部14と径小のロッド部15とからなる。このロッド部15は、表蓋10のロッド挿通孔10Hを貫通して、この表蓋10よりも突出している。また、このロッド部15の周囲には、複数の皿バネ12が積層されて弾性体を構成しており、表蓋10とプッシュロッド13のベース部14とを離間させ、積層型圧電ユニット2(ユニット積層体6)を積層方向STに圧縮するようにベース部14を付勢している。なお、表蓋10及び裏蓋11は、円筒状のケース部材9に溶接して固定されている。
後述するように、積層型圧電ユニット2(2A,2B,2C)は、それぞれ第1外側ユニット電極24(24A,24B,24C)及び第2外側ユニット電極25(25A,25B,25C)を有している(図3参照)。一方、スペーサ5(5A,5B)は、第1電極棒42(42A,42B)及び第2電極棒45(45A,45B)を保持している。そして、第1外側ユニット電極24(24A,24B,24C)と第1電極棒42(42A,42B)は、柔軟性のある第1接続リード43(43A,43B,43C,43D)で互いに接続されている。また、第2外側ユニット電極25(25A,25B,25C)と第2電極棒45(45A,45B)とは、柔軟性のある第2接続リード46(46A,46B,46C,46D)で互いに接続されている。従って、積層型圧電ユニット2A,2B,2Cは、電気的に並列に接続されている。また、第1電極棒42(42A)は外部リード17に、第2電極棒45(45A)は外部リード18に接続している。このため、外部リード17,18間に電圧を印加することで、積層型圧電ユニット2(2A,2B,2C)をそれぞれ伸縮させることができる。上述したように、積層型圧電ユニット2A,2B,2Cは互いに積み重ねられているので、この積層型圧電素子1では、この伸縮の変位が足し合わされて、プッシュロッド13のロッド部15の変位として取り出すことができる。
ここで、積層型圧電ユニット2(2A,2B,2C)について、図3を参照して説明する。この積層型圧電ユニット2は、概略、4つの外側面21を有する直方体形状をなしている。その4つの外側面21のうち、対向する取出し電極形成面21A,21Bには、Agを主体とし直線状に延びた第1外側ユニット電極24及び第2外側ユニット電極25が形成されている。
この積層型圧電ユニット2は、図3(b)に示すように、平板状の圧電焼結体層2Pと内部電極層2E(2EA,2EB)とが、交互に積層された形態を有している。また、内部電極層2EBと内部電極層2EAとは、交互に配置されている。このうち、内部電極層2EBは、取出し電極形成面21Bからは引き下がる一方、取出し電極形成面21Aに露出する形態にされており、取出し電極形成面21Aに形成された第1外側ユニット電極24と導通している。これとは逆に、内部電極層2EAは、取出し電極形成面21Aからは引き下がる一方、取出し電極形成面21Bに露出する形態にされており、取出し電極形成面21Bに形成された第2外側ユニット電極25と導通している。
なお、本実施例では、圧電焼結体層2P及び内部電極層2Eが積層された方向(図3中、上下方向)を積層方向STとし、これに直交する方向(圧電焼結体層2Pあるいは内部電極層2Eの拡がり方向)を積層直交方向VSと呼ぶこととする。
この積層型圧電ユニット2のうち、圧電焼結体層2Pは、公知の圧電セラミックの組成物(例えば、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸バリウムなど)のほか、ニオブ酸アルカリ金属を主成分とする圧電磁器組成物など各種の圧電磁器組成物を用いることができる。また、内部電極層2E(2EA,2EB)も、公知の導電体(例えば、Ag,Pd,Pt,Ag−Pd,Ag−Pt,Cu,Niなど)を用いることができる。本実施例では、圧電焼結体層2Pにニオブ酸アルカリ金属を主成分とする圧電磁器組成物を用い、内部電極層2E(2EA,2EB)にPtを用いている。また、圧電焼結体層2Pは、その厚さ方向のうち、内部電極層2EAから内部電極層2EBに向かう方向に分極されている。このため、内部電極層2EAを内部電極層2EBに対して相対的に正電位とすることで、圧電焼結体層2Pそれぞれを厚さ方向に延ばす(厚さを厚くする)変形が生じる。つまり、第1外側ユニット電極24を第2外側ユニット電極25に対して正電位とすることで、積層型圧電ユニット2を積層方向STに伸張させることができる。
この積層型圧電ユニット2のうち、第1外側ユニット電極24の外側には、Cuからなるメッシュ状の第1メッシュ導体26がハンダ付けによって接続されている。なお、この第1メッシュ導体26には、一端または両端に、第1外側ユニット電極24に固定されていない自由状態の第1延出部26Eを有している。また同様に、第2外側ユニット電極25の外側にも、Cuからなるメッシュ状の第2メッシュ導体27がハンダ付けによって接続されている。この第2メッシュ導体27にも、一端または両端に、第2外側ユニット電極25に固定されていない第2延出部27Eを有している。
また、この積層型圧電ユニット2のうち、両側の端部23,23は、それぞれ面取りされており、概略、四角錐台の形状とされている。なお、四角錐台の形状とされた両側の端部23,23には、内部電極は形成されておらず、電圧を印加しても変形しない不活性層となっている。
ついで、スペーサ5について、図4を参照して説明する。このスペーサ5は、PEEK,PA等の絶縁性樹脂からなり、ロ字状の環状部51と、この環状部51から互いに略120度の角度を持って配置され、径方向外方に向けて突出する3つの突出当接部52(52A,52B,52C)を備えている。
このうち、環状部51の中央には、略四角孔形状のユニット挿入孔51Hを有している。図1及び図5を参照すると容易に理解できるように、このユニット挿入口51Hに、積層型圧電ユニット2同士の対向する端部23,23を挿入することにより、環状部51が、積層型圧電ユニット2、特に積層型圧電ユニット2同士の境界を跨ぐように配置される。
さらに詳細には、ユニット挿入孔51Hには、両方の開口端に向けて拡径する当接面53を備えている。このため、図5(b)に示すように、積層型圧電ユニットの端部同士、例えば積層型圧電ユニット2Aの端部23A2と積層型圧電ユニット2Bの端部23B1とを、環状部51内に挿入し、積層型圧電ユニット2Aの端面22A2と積層型圧電ユニット2Bの端面22B1とを当接させた状態で、端部23A2,23B1の錐面23SA2,23SB1がそれぞれ環状部51の当接面53に当接する形態とされている。
積層型圧電ユニット2Aの端面22A2と積層型圧電ユニット2Bの端面22B1とは、接着剤3を介して互いに固定されている。また、端部23A2,23B1の錐面23SA2,23SB1と、環状部51の当接面53とも、それぞれ接着剤3を介して当接固着されている。
このような積層型圧電ユニット2同士の積み重ね、スペーサ5の配置、及び積層型圧電ユニット2やスペーサ5の接着については、接着ジグADを用いて以下のようにして行う。接着ジグADは、図6に示すように、上面AD1Uが平坦なベースAD1と、円柱状の内周面AD2Sを有する略円筒形状の筒部材AD2と、上述の内周面AD2S内に挿入可能な略円柱形状の外形を有する押圧コラムAD3とを含んでいる。
まず、積層型圧電ユニット2同士の積み重ね、及びスペーサ5の配置の工程を以下のようにして行う。即ち、積層型圧電ユニット2C、スペーサ5B、積層型圧電ユニット2B、スペーサ5A、積層型圧電ユニット2Aをこの順に、接着ジグADの筒部材AD2内に挿入する。具体的には、まず、筒部材AD2内に、積層型圧電ユニット2Cを挿入し、その図6中下方の端面22C2を、ベースADの上面AD1Uに当接させる。さらに、スペーサ5Bを挿入し、積層型圧電ユニット2Cの図6中上方の端部23C1が、スペーサ5Bのユニット挿入孔51HB内に挿入されるように、積層型圧電ユニット2Cの積層直交方向VS(図6において、上下方向に直交する方向)の位置を調整する。
スペーサ5は、前述したように、3つの突出当接部52(52A,52B,52C)を備えている(図4参照)。一方、筒部材AD2の内周面AD2Sは、3つの突出当接部52A,52B,52Cに外接する円とほぼ同径とされている。従って、このスペーサ5Bを筒部材AD2内に挿入すると、図7に示すように、3つの突出当接部52AB,52BB,52CBが、それぞれ筒部材AD2の内周面AD2Sに当接あるいはごく接近した状態に配置される。これにより、スペーサ5Bの積層直交方向VSの位置がほぼ決定される。すると、このスペーサ5Bに端部23C1が挿入され保持された積層型圧電ユニット2Cの積層直交方向VSの位置も決定されることとなる。具体的には、積層型圧電ユニット2Cの積層直交方向VSの中心2XC(及びユニット積層体6の積層直交方向の中心6X)が、筒部材AD2の軸線AX2にほぼ一致するように、積層型圧電ユニット2Cが積層直交方向VSについて位置決めされる。特に、積層型圧電ユニット2Cの端部23C1の積層直交方向VSの中心が、軸線AX2にほぼ一致するように、端部23C1が積層直交方向VSについて位置決め配置される。なお、積層型圧電ユニット2Cの図中上方の端部23C1(錐面23S、端面22)には接着剤3を塗布しておく。これにより、端部23C1の錐面23Sは、スペーサ5Bの当接面53に接着剤3を介して当接する。
その後、さらに、積層型圧電ユニット2Bの図中下方の端部23B2が、スペーサ5Bのユニット挿入孔51HB内に挿入されるように、積層型圧電ユニット2Bを筒部材AD2内に挿入する。なお、積層型圧電ユニット2Bの端部23B2(錐面23S、端面22)にも接着剤3を塗布しておく。これにより、積層型圧電ユニット2Cの端面22C1と、積層型圧電ユニット2Bの端面22B2とが接着剤3を介して当接するとともに、端部23B2の錐面23Sも、スペーサ5Bの当接面53に接着剤3を介して当接する。
さらに、積層型圧電ユニット2Bの端部23B2の積層直交方向VSの中心2XBが、軸線AX2にほぼ一致するように、端部23B2が積層直交方向VSについて位置決め配置される。このようにすることで、積層型圧電ユニット2Cの端部23C1と、積層型圧電ユニット2Bの端部23B2の積層直交方向VSの位置を揃えることもできている。
しかも、本実施例1では、略直方体形状の積層型圧電ユニット2を用い、スペーサ5Bの略四角孔形状のユニット挿入孔51HB内に、積層型圧電ユニット2Cの端部23C1と積層型圧電ユニット2Bの端部23B2とを挿入しているので、積層型圧電ユニット2Cと積層型圧電ユニット2Bとの間の軸線AX2の周りの周方向の位置をも揃えることができている。
ついで、スペーサ5Aを筒部材AD2内に挿入し、その後、積層型圧電ユニット2Aを挿入する。これにより、積層型圧電ユニット2Bの端部23B1の積層直交方向VSの中心も、軸線AX2にほぼ一致するように、端部23B1が積層直交方向VSについて位置決め配置される。また、積層型圧電ユニット2Aの端部23A2の積層直交方向VSの中心も、軸線AX2にほぼ一致するように、端部23A2が積層直交方向VSについて位置決め配置される。
さらに、積層型圧電ユニット2Cの端部23C1と、積層型圧電ユニット2Bの端部23B2の積層直交方向VSの位置を揃えることもできている。
しかも、略四角孔形状のユニット挿入孔51HA内に、積層型圧電ユニット2Bの端部23B1と積層型圧電ユニット2Aの端部23A2とを挿入しているので、積層型圧電ユニット2Bと積層型圧電ユニット2Aとの間の軸線AX2の周りの周方向の位置をも揃えることができている。
なお、積層型圧電ユニット2B,2Aの端部23B1,23A2(錐面23S、端面22)にもそれぞれ接着剤3を塗布しておき、端面同士及びスペーサ5Aの当接面53と接着剤3を介して当接させる。
さらに、筒部材AD2内に押圧コラムAD3を挿入し、積層型圧電ユニット2Aの図6中上側の端面22A1に、下面AD3Dを当接させて、3つの積層型圧電ユニット2A,2B,2Cに軸線AX2に沿う押圧力FSを加え、この状態のまま加熱して接着剤3を硬化させる。これにより、積層型圧電ユニット2A,2B,2Cの端面同士が互いに接着されるとともに、スペーサ5A,5Bの当接面53と積層型圧電ユニット2A,2B,2Cの端部23(錐面23S)とが接着される。これにより、3つの積層型圧電ユニット2A,2B,2Cからなるユニット積層体6が出来上がる(図8参照)。
なお、このユニット積層体6には、スペーサ5A,5Bも一体的に取り付けられており、スペーサ付きユニット積層体6Sとなっている。また、スペーサ5A,5Bの電極棒挿通孔52BH,52CH(図4参照)には、それぞれSnメッキを表面に施したCuからなる直棒状の第1電極棒42(42A,42B)あるいは第2電極棒45(45A,45B)を挿入し保持させる。
この第1電極棒42及び第2電極棒45を用いて、積層型圧電ユニット2の第1外側ユニット電極24及び第2外側ユニット電極25を、それぞれ外部リード17,18に接続する。具体的には、図9(a)に示すように、外部リード17を第1電極棒42Bにハンダ付けする。また、外部リード18を第2電極棒45Bにハンダ付けする。さらに、第1電極棒42Bと第1電極棒42Aとを、第1中間リード19のハンダ付けにより導通させる。同様に、第2電極棒45Bと第2電極棒45Aとを、第2中間リード20のハンダ付けにより導通させる。
一方、積層型圧電ユニット2の第1外側ユニット電極24を、図9(b)に示すように、柔軟性のある第1接続リード43を介して第1電極棒42に接続する。具体的には、第1外側ユニット電極24を覆うようにハンダ付けした第1メッシュ導体26のうちの第1延出部26Eと、第1電極棒42とを、第1接続リード43を介してハンダ付けにより接続する。
同様に、第2外側ユニット電極25を、柔軟性のある第2接続リード46を介して第2電極棒45に接続する。具体的には、第2外側ユニット電極25を覆うようにハンダ付けした第2メッシュ導体27のうちの第2延出部27Eと、第2電極棒45とを、第2接続リード46を介してハンダ付けにより接続する。
かくして、第1外側ユニット電極24同士は、図9(b)に示すように、第1接続リード43、第1電極棒42、及び第1接続リード43からなる第1導通路41を通じて、互いに導通することとなる。また、第2外側ユニット電極25同士は、第2接続リード46、第2電極棒45、及び第2接続リード46からなる第2導通路44を通じて、互いに導通することとなる。しかも本実施例では、第1電極棒42が、積層型圧電ユニット2の外側面21から離間した状態で、スペーサ5の突出当接部52Bに保持されている。また、第2電極棒45も、積層型圧電ユニット2の外側面21から離間した状態で、スペーサ5の突出当接部52Cに保持されている。このため、確実に、第1導通路41と第2導通路44(第1電極棒42と第2電極棒45)とを離間して短絡を防止できるほか、他の部材との短絡も防止することができている。
さらに、第1導通路41は、柔軟な第1接続リード43を含んでいるから、第1外側ユニット電極24同士の導通を保ったまま、ユニット積層体6の伸縮に対して追動することが可能とされている。同様に、第2導通路44は、柔軟な第2接続リード46を含んでいるから、第2外側ユニット電極25同士の導通を保ったまま、ユニット積層体6の伸縮に対して追動することが可能となっている。
このため、積層型圧電ユニット2A,2B,2Cがそれぞれ伸縮しても、このような柔軟性を有する第1導通路41を介して第1外側ユニット導体24同士が導通しているので、断線などを生じることがない。同様に、このような第2導電体44を介して第2外側ユニット導体25同士が導通しているので断線を生じることがない。
特に、本実施例では、第1メッシュ導体26に第1延出部26Eを、第2メッシュ導体27に第2延出部27Eを設けており、この第1,第2延出部26E,27Eも柔軟性を有しているから、積層型圧電ユニット2A,2B,2Cがそれぞれ伸縮しても断線を生じることがない。
また、本実施例では、スペーサ5を積層型圧電ユニット2同士の境界を跨ぐようにしてユニット積層体6の外側に位置させている。具体的には、スペーサ5Aを積層型圧電ユニット2A,2Bの境界を跨ぐように位置させている。また、スペーサ5Bを積層型圧電ユニット2B,2Cの境界を跨ぐようにに位置させている。このため、2つの積層型圧電ユニットの第1外側ユニット電極24同士を、それらの中間の位置で、保持している第1電極棒42を含む第1導通路41を介して導通させることができる。このため、第1外側ユニット電極24同士の導通を短い距離で行うことができるから、コンパクト、低抵抗で第1外側ユニット電極24同士を導通することができる。
第2外側ユニット電極25についても同様に、2つの積層型圧電ユニットの第2外側ユニット電極25同士を、それらの中間の位置で、保持している第2電極棒45を含む第2導通路46を介して導通させることができる。このため、第2外側ユニット電極25同士の導通を短い距離で行うことができるから、コンパクト、低抵抗で第2外側ユニット電極25同士を導通することができる。
また、本実施例では、スペーサ5が積層型圧電ユニット2に保持されている。このため、スペーサ5自身が保持している第1電極棒42あるいは第2電極棒45と積層型圧電ユニット2A,2B,2Cとの位置関係は、突出当接部52B,52Cに形成した電極棒挿通孔52BH,52CHの位置によって自動的に適切な位置に決めることができる。
ついで、ユニット積層体6(スペーサ付きユニット積層体6S)の周囲に、柔軟性のあるモールド樹脂8を形成する。具体的には、図10,図11に示すように、モールドジグMDを用いて樹脂モールドを行う。このモールドジグMDは、上面MD1Uが平坦なベースMD1と、このベースMD1の上面MD1U上に配置される第1筒部材MD2及び第2筒部材MD3とを有している。この第1筒部材MD2及び第2筒部材MD3は、概略、長円を軸線方向に延ばした形状の孔を有する部材を、長円の長径及び軸線に沿って半割した形状を有しており、第1筒部材MD2の内周面MD2Sと、第2筒部材MD3の内周面MD3Sとを対向させて配置することで、略長円を軸線方向に延ばした形状の積層体保持孔MDHが形成される。但し、内周面MD2S及び内周面MD3Sには、径方向外側に向けて凹設された位置決め溝MD2SI,MD3SIが2箇所ずつ形成されている。この位置決め溝MD2SIとMD3SIとで形成される概略円環状の溝の最大外径は、3つの突出当接部52A,52B,52Cに外接する円CRとほぼ同径とされている。さらに、第1筒部材MD2のうち、突出当接部52Aの両側に位置する部位は、この突出当接部52Aを挟むようにして内部に、具体的には、積層体保持孔MDHの位置決め溝MD2SIに突出する2つの突出部MD2Tが設けられている。この突出部MD2Tを設けておくことで、この部分に樹脂モールドが行われないため、後述するように(図12(b)参照)、外部リード17,18をモールド樹脂8の側面に沿わせ、かつ、突出当接部52Aの両側にそれぞれ配置する形態に容易にすることができる。
このモールドジグMDを用いて、以下のようにして樹脂モールドを行う。即ち、スペーサ付きユニット積層体6SをベースMD1の上面MD1U上に立てる。ついで、本実施例では、下から積層型圧電ユニット2A,2B,2Cとなるように配置する。その上で、第1筒部材MD2及び第2筒部材MD3の内周面MD2S及び内周面MD3Sで、このスペーサ付きユニット積層体6Sを挟むようにして、第1筒部材MD2と第2筒部材MD3とを密着させ、積層体保持孔MDHを構成する。この際、スペーサ5A,5Bの突出当接部52A,52B,52Cがそれぞれ、位置決め溝MD2SI,MD3SIに嵌るように配置する。
これにより、図11に示すように、スペーサ5A,5Bの突出当接部52A,52B,52Cが、それぞれ位置決め溝MD2SI,MD3SIに当接、あるいはごく接近した状態に保持される。従って、スペーサ5の積層直交方向VSの位置がほぼ決定される。すると、このスペーサ5に端部23がそれぞれ挿入保持された積層型圧電ユニット2の積層直交方向VSの位置も決定されることとなる。具体的には、積層型圧電ユニット2の積層直交方向VSの中心2X,2XA(及びユニット積層体6の積層直交方向の中心6X)が、第1筒部材MD2の内周面MD2S及び第2筒部材MD3の内周面MD3Sがなす孔の軸線AX3にほぼ一致するように、積層型圧電ユニット2(ユニット積層体6,スペーサ付きユニット積層体6S)が積層直交方向VSについて位置決めされる。なお、図10においては図示していないが、外部リード17,18は、積層体保持孔MDH内から図中上方に飛び出る形態に保持しておく。
その後、第1筒部材MD2の内周面MD2S及び第2筒部材MD3の内周面MD3Sがなす積層体保持孔MDH内に、硬化後にも柔軟性を有する絶縁性樹脂(例えば、シリコン樹脂、エポキシ樹脂)となる未硬化樹脂を流し込み、これを硬化させてモールド樹脂8とする。
これにより、図12に示す形態のモールド済ユニット積層体7が出来上がる。なお、図12(b)は、外部リード17,18をモールド樹脂8の側面に沿わせて折り曲げた状態を示している。このモールド済ユニット積層体7は、外形が、概略、長円を軸線AX3方向に延ばした長円柱形状をなしている。一方、この図12から容易に理解できるように、スペーサ5Aの3つの突出当接部52AA,52BA,52CA、及び、スペーサ5Bの3つの突出当接部52AB,52BB,52CBは、モールド樹脂8の長円柱側面8TSから露出している。さらに、突出当接部52ABは長円柱側面8TSよりも突出している。
また、3つの積層型圧電ユニット2A,2B,2C(ユニット積層体6)はモールド樹脂8内に埋め込まれ、外力や水分、油分などから保護されている。なお、上記では、積層型圧電ユニット2A,2B,2Cの周囲を直接モールド樹脂8が取り囲む形態としたが、積層型圧電ユニット2A,2B,2Cの外側面21を予め、あるいはユニット積層体6を形成した後に、絶縁コーティング層で被覆してから、モールド樹脂8で覆うようにしても良い。このモールド済ユニット積層体7は、これ自身を単独で積層型圧電素子として利用することもできる(後述する実施例2参照)。
さらに、裏蓋11を溶接したケース部材9内に、このモールド済ユニット積層体7を挿入し、裏蓋11に積層型圧電ユニット2Cの端面22C2(ユニット積層体6の後端面6T2)を当接させる(図1参照)。外部リード17,18をケース部材9の図示しないリード挿通孔を通じて外部に取り出し、このリード挿通孔にゴムブッシュ16を嵌め込んでシールする。また、プッシュロッド13のベース部14を、積層型圧電ユニット2Aの端面22A1(ユニット積層体6の先端面6T1)に当接させ、ロッド部15を皿バネ12に挿通する。さらに、ロッド部15をロッド挿通孔10Hに挿通した状態で、表蓋10をケース部材9に溶接して、弾性的に3つの積層型圧電ユニット2A,2B,2C(ユニット積層体6)に予備加重を掛けた状態に固定する。このようにして、図1に示す積層型圧電素子1が完成する。
なお、スペーサ5A,5Bは、前述したように、3つの突出当接部52(52A,52B,52C)を備えている(図4参照)。一方、ケース部材9の内周面9Sは、3つの突出当接部52A,52B,52Cに外接する円とほぼ同径とされている。従って、モールド済ユニット積層体7をケース部材9内に挿入すると、図2に示すように、スペーサ5(5A,5B)の3つの突出当接部52A,52B,52Cが、それぞれケース部材9の内周面9Sに当接あるいはごく接近した状態に配置される。これにより、スペーサ5の積層直交方向VSの位置がほぼ決定される。すると、このスペーサ5に端部23が挿入され保持された積層型圧電ユニット2の積層直交方向VSの位置も決定されることとなる。具体的には、積層型圧電ユニット2の積層直交方向VSの中心2X(及びユニット積層体6の積層直交方向の中心6X)が、ケース部材9の内周面9Sの軸線AXにほぼ一致するように、積層型圧電ユニット2が積層直交方向VSについて位置決めされる。
一般に、積層型圧電素子が駆動対象に衝突するなどにより自身の軸線方向に大きな衝撃力を受けた場合、積層型圧電ユニット2あるいはユニット積層体6が弓なりに変形し、極端な場合には座屈する虞がある。これに対し、本実施例の積層型圧電素子1では、このような衝撃力を受けた場合にも、このスペーサ5の突出当接部52(52A,52B,52C)が、ケース部材9の内周面9Sに当接して変形を防ぐため、弓なりの変形及び座屈を防止することができる。このため、信頼性の高い積層型圧電素子1となる。
また、本実施例の積層型圧電素子1において、スペーサ5は、第1電極棒42を積層型圧電ユニット2の外側面21から離間した所定位置に保持する離間保持部材としての役割と、ケース部材9内における積層型圧電ユニット2の積層直交方向VSの位置を規制する位置規制部材としての役割とを兼ねている。このため、別途の部材でこれらを構成する場合に比して、部材の数を低減できている。また、ケース部材9と第1電極棒42や第2電極棒45の位置関係をも容易に決定できるので、ケース部材9と第1外側ユニット電極24や第1導通路41との間の絶縁、あるいはケース部材9と第2外側ユニット電極25や第2導通路44との間の絶縁をも容易に図ることができている。
ついで、本発明の第2の実施例について説明する。上述の実施例1では、単独でも積層型圧電素子として使用しうるモールド済ユニット積層体7を、ケース部材9内に挿入して使用した積層型圧電素子1を例示した。これに対し、本実施例2では、このモールド済ユニット積層体7(図12参照)を、積層型圧電素子として使用し、燃料噴射装置110の駆動に使用する。従って、モールド済ユニット積層体7の形状や構造、製造方法は、既に実施例1において説明したものと同様であるから説明を省略し、燃料噴射装置110について説明する。
図13に示す燃料噴射装置110は、内燃機関の燃焼室内に高圧の燃料を噴射するための装置である。軸線AX4に沿って延びる略円筒形状の本体部材115は、その先端側(図中左側)のノズル保持部115Nにおいて、ノズル部材111を保持している。また、本体部材115のうち、円筒状の圧電素子包囲部115P内には、前述のモールド済ユニット積層体7(図12参照,積層型圧電素子)が挿入、保持されている。さらに詳細には、圧電素子包囲部115P内のうち、先端部分(図中左端部分)には、径大のベース部116Bと径小のロッド部116Rとからなるピストン116、及びロッド部116Rに挿通された皿バネ118を備えており、ベース部116Bより先端側(図中左側)に、シリンダ室115Cを構成している。また、ピストン116には、モールド済ユニット積層体7(ユニット積層体6)の後端面6T2(積層型圧電ユニット2C端面22C2)が当接している。また、圧電素子包囲部115P内に挿入されたモールド済ユニット積層体7(ユニット積層体6)の先端面6T1(積層型圧電ユニット2A端面22A1)は、圧電素子包囲部115Pの後端部分に固定された封口板119に当接している。このモールド済ユニット積層体7(ユニット積層体6)は、皿バネ118の弾性力により、常時、圧縮応力が掛かるように付勢されている。また、ピストン116のベース部116Bの周囲には、シール溝116Mが凹設されており、この中にOリング117が嵌め込まれてシリンダ室115Cのシールを行っている。
ノズル部材111の内部には、ニードル112が摺動可能に収納されている。ノズル部材111の先端(図中左端)には、噴出口111Nが開口し、この噴出口111Nはニードル112の先端部112Sによって開閉可能となっている。またノズル部材111のうち後端側(図中右側)には、噴出口111Nよりも径大の環状室111Pを備える。この環状室111Pには、ニードル112のピストン部112Pが、その周囲と環状室111Pの壁面との間にオリフィス114を形成して配置されている。ニードル112のピストン部112P内にはバネ保持孔112PNが形成されている。このバネ保持孔112PN内には、コイルバネ113が挿入保持されて、本体部材115のノズル保持部115Nと圧電素子包囲部115Pとを区画する仕切壁部115Wに当接しており、ニードル112を先端側(図中左側)に付勢している。
また、本体部材115及びノズル部材111には、外部と環状室111Pとを結ぶ燃料供給口115F,111Fが形成されており、この燃料供給口115F,111Fを通じて、高圧に加圧された燃料が、環状室111Pに供給される。さらに、本体部材115の仕切壁部115Wには、バネ保持孔112PNと圧電素子包囲部115Pとを連通する連通孔115Tを備えている。従って、環状室111Pに供給された燃料は、オリフィス114を通じて、バネ保持孔112PN、連通孔115T、圧電素子包囲部115Pのシリンダ室115Cにも充填される。
積層型圧電素子であるモールド済ユニット積層体7の外部リード線17,18は、本体部材115のリード挿通孔115Lを介して外部に取り出されている。この外部リード線17,18に電圧を印加すると、モールド済ユニット積層体7が伸長し、シリンダー室115Cの圧力が高まり、ニードル112が先端側に移動して閉弁する。一方、モールド済ユニット積層体7の印加電圧を低下させて収縮させると、シリンダー室115Cの圧力が低下し、燃料供給口115F,111Fから供給された燃料の圧力により、ニードル112のピストン部112Pが後端側にコイルバネ113を圧縮しながら移動するので、開弁してノズル部材111の噴出口111Nから燃料が噴射される。
この燃料噴射装置110は、ノズル部材111が燃焼室を臨むようにして、内燃機関の燃焼室天井壁に取り付けられ、噴出口111Nから燃料を燃焼室内に向けて噴出するようにして用いられる。
なお、この燃料噴射装置110(モールド済ユニット積層体7)の駆動は、図示しない駆動回路により行われる。具体的には、図示しないコントロールユニットにおいて、内燃機関の吸入空気量や回転数に応じて燃料噴射量を演算し、このコントロールユニットで演算した燃料噴射量に対応するパルス信号をパルス発生器で生成し、このパルス信号に応じた電圧を駆動回路を介して燃料噴射装置110(モールド済ユニット積層体7)に印加する。
ここで、モールド済ユニット積層体7と、本体部材115の圧電素子包囲部115Pとの関係について説明する。実施例1において説明したように、モールド済ユニット積層体7は、前述したように、3つの突出当接部52(52A,52B,52C)を有するスペーサ5A,5Bを備えている(図12,図4参照)。一方、圧電素子包囲部115Pの内周面115PSは、3つの突出当接部52A,52B,52Cに外接する円とほぼ同径とされている。従って、モールド済ユニット積層体7を圧電素子包囲部115P内に挿入すると、図14に示すように、スペーサ5(5A,5B)の3つの突出当接部52A,52B,52Cが、それぞれ圧電素子包囲部115Pの内周面115PSに当接あるいはごく接近した状態に配置される。これにより、圧電素子包囲部115P内において、スペーサ5の積層直交方向VSの位置がほぼ決定される。すると、このスペーサ5に端部23が挿入され保持された積層型圧電ユニット2の積層直交方向VSの位置も決定されることとなる。具体的には、積層型圧電ユニット2の積層直交方向VSの中心2X(及びユニット積層体6の積層直交方向の中心6X)が、圧電素子包囲部115Pの軸線AX4にほぼ一致するように、積層型圧電ユニット2が、従って、モールド済ユニット積層体7が、積層直交方向VSについて位置決めされる。
前述したように、一般に、積層型圧電素子が自身の軸線方向に大きな衝撃力を受けた場合、積層型圧電ユニット2あるいはユニット積層体6が弓なりに変形し、極端な場合には座屈する虞がある。これに対し、本実施例2の燃料噴射装置110では、積層型圧電素子であるモールド済ユニット積層体7が大きな衝撃力を受けた場合にも、このスペーサ5の突出当接部52(52A,52B,52C)が、圧電素子包囲部115Pの内周面115PSに当接して変形を防ぐため、弓なりの変形及び座屈を防止することができる。このため、信頼性の高い燃料噴射装置110となる。
さらに、本実施例2の燃料噴射装置110では、実施例1と同じモールド済ユニット積層体7(ユニット積層体6)を用いている。従って、実施例1と同じく、積層型圧電ユニット2の第1外側ユニット電極24同士は、第1接続リード43、第1電極棒42、及び第1接続リード43からなる第1導通路41を通じて、互いに導通している(図9(b)参照)。また同様に、第2外側ユニット電極25同士も、第2接続リード46、第2電極棒45、及び第2接続リード46からなる第2導通路44を通じて、互いに導通している。しかも、第1電極棒42が、積層型圧電ユニット2の外側面21から離間した状態で、スペーサ5の突出当接部52Bに保持されている。第2電極棒45も、積層型圧電ユニット2の外側面21から離間した状態で、スペーサ5の突出当接部52Cに保持されている。このため、確実に、第1導通路41と第2導通路44(第1電極棒42と第2電極棒45)とを離間して短絡を防止できるほか、他の部材との短絡も防止することができている。
さらに、第1導通路41は、柔軟な第1接続リード43を含んでいるから、第1外側ユニット電極24同士の導通を保ったまま、ユニット積層体6の伸縮に対して追動することが可能とされている。同様に、第2導通路44は、柔軟な第2接続リード46を含んでいるから、第2外側ユニット電極25同士の導通を保ったまま、ユニット積層体6の伸縮に対して追動することが可能となっている。
このため、積層型圧電ユニット2A,2B,2Cがそれぞれ伸縮しても、このような柔軟性を有する第1導通路41を介して第1外側ユニット導体24同士が導通しているので、断線などを生じることがない。同様に、このような第2導電体44を介して第2外側ユニット導体25同士が導通しているので断線を生じることがない。
特に、第1メッシュ導体26に第1延出部26E、及び、第2メッシュ導体27に第2延出部27Eを設けてあるので、この第1,第2延出部26E,27Eも柔軟性を有しているから、積層型圧電ユニット2A,2B,2Cがそれぞれ伸縮しても断線を生じることがない。
かくして、モールド済ユニット積層体7(ユニット積層体6)を用いた本実施例2の燃料噴射装置110では、積層型圧電素子における短絡や断線の生じにくい、高い信頼性を有するものとなっている。
以上において、本発明を実施例1,2に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、前述の実施例1,2では、直棒状の第1,第2電極棒42,45を用い、この第1,第2電極棒42,45と、第1,第2外側ユニット電極24,25を第1,第2接続リード43,46で接続するようにした。しかし、柔軟性のあるリード部材を介して、第1外側ユニット電極24同士あるいは第2外側ユニット電極25同士を接続するようにしても良い。
また、前述の実施例1では、ユニット積層体6の周囲にモールド樹脂8を設けてモールド済ユニット積層体7とし、さらに、ケース部材9に挿入した形態の積層型圧電素子1を例示した。しかし、モールド樹脂8を設けないで、ユニット積層体6のまま、ケース部材9に挿入した積層型圧電素子とすることもできる。この場合でも、第1導通路41や第2導通路44を設けたことにより、第1外側ユニット電極24同士、あるいは第2外側ユニット電極25同士を断線することなく導通することができる。
また、前述の実施例2でも、モールド済ユニット積層体7を、本体部材115の圧電素子包囲115Pに挿入して燃料噴射装置110とした例を示した。しかし、モールド樹脂8を設けないで、ユニット積層体6のまま、圧電素子包囲115Pに挿入した燃料噴射装置とすることもできる。この場合でも、第1導通路41や第2導通路44を設けたことにより、第1外側ユニット電極24同士、あるいは第2外側ユニット電極25同士を断線することなく導通することができる。
また、前述の実施例1,2では、スペーサ5を、積層型圧電ユニット2同士の境界部分に配置したが、例えば、各積層型圧電ユニット2の積層方向STの中央部にそれぞれスペーサを配置し、このスペーサに第1,第2電極棒などを保持させて、第1,第2導通路を構成するようにしても良い。
実施例1にかかるケース付き積層型圧電素子の内部構造を示す縦断面図である。 ケース部材と積層型圧電ユニットとスペーサとの関係を示す、図1におけるP−P’矢視断面図である。 実施例1,2の積層型圧電素子に用いる積層型圧電ユニットを示し、(a)は斜視図、(b)は内部構造を示す縦断面図である。 実施例1,2の積層型圧電素子に用いるスペーサを示し、(a)は斜視図、(b)は断面図である。 (a)は、実施例1,2の積層型圧電素子の製造工程のうち、積層型圧電ユニットを積み重ねる積み重ね工程、及び接着を行う接着工程を経てユニット積層体を製造する様子を模式的に示す説明図であり、(b)は接続部分について拡大して示す部分破断断面図である。 実施例1,2の積層型圧電素子の製造工程のうち、積み重ね工程及び接着工程において、スペーサと接着ジグとの関係を模式的に示す説明図である。 接着ジグと積層型圧電ユニットとスペーサとの関係を示すR−R’矢視断面図である。 実施例1,2にかかる積層型圧電素子に用いるスペーサ付きユニット積層体の斜視図である。 実施例1,2にかかる積層型圧電素子に用いるユニット積層体において、(a)は各々の積層型圧電ユニットの電極棒同士の接続の様子を示す斜視図、(b)は各々の積層型圧電ユニットの電極と電極棒との接続の様子を模式的に示す説明図である。 実施例1,2の積層型圧電素子の製造工程のうち、モールド工程におけるユニット積層体(積層型圧電ユニット)及びスペーサとモールドジグとの関係を模式的に示す説明図である。 モールドジグと積層型圧電ユニットとスペーサとの関係を示すS−S’矢視断面図である。 実施例1,2にかかる積層型圧電素子(樹脂モールドされたユニット積層体)の斜視図であり、(a)は外部リードを延ばした状態、(b)は外部リードを屈曲させてモールド樹脂に沿わせた状態を示す。 実施例2にかかる積層型圧電素子を装着した燃料噴射装置の構造を示す説明図である。 燃料噴射装置における圧電素子保持部と積層型圧電ユニットとスペーサとの関係を示すT−T’矢視断面図である。
符号の説明
1 積層型圧電素子
2,2A,2B,2C 積層型圧電ユニット
2X,2XA,2XB,2XC (積層型圧電ユニットの積層直交方向の)中心
2P 圧電焼結体層
2E,2EA,2EB 内部電極層
21 (積層型圧電ユニットの)外側面
22,22A1,22A2,22B1,22B2,22C1,22C2,222 端面(境界)
23,23A1,23A2,23B1,23B2,23C1 端部
23S,23SA2,23SB1 錐面
24,24A,24B,24C 第1外側ユニット電極
25,25A,25B,25C 第2外側ユニット電極
3 接着剤
ST 積層方向
VS 積層直交方向
41,41A,41B 第1導通路
42,42A,42B 第1電極棒(第1離間導通部)
44,44A,44B 第2導通路
45,45A,45B 第2電極棒(第2離間導通部)
5,5A,5B スペーサ(離間保持部材、位置規制部材)
52,52A,52AA,52AB,52B,52BA,52BB,52C,52CA,52CB 突出当接部
52BH,52CHH 電極棒挿通孔
53(積層型圧電ユニットの端部の錐面との)当接面
6 ユニット積層体
6X ユニット積層体の積層直交方向の)中心
6T1 先端面
6T2 後端面
6S スペーサ付きユニット積層体
7 モールド済ユニット積層体(積層型圧電素子)
8 モールド樹脂(樹脂包囲部材)
8TS 長円柱側面
9 ケース部材(ケース部材、包囲部材)
9S (ケース部材の)内周面
AX (ケース部材の内周面の)軸線
110 燃料噴射装置
111 ノズル部材
112 ニードル
115 本体部材
115P 圧電素子包囲部(包囲部材)
AX4 (圧電素子包囲部の内周面の)軸線
115PS (圧電素子包囲部の)内周面
AD 接着ジグ
AD2 筒部材
AD2S (筒部材の)内周面
AX2 (筒部材の内周面の)軸線
MD モールドジグ
MD2 第1筒部材
MD2S (第1筒部材の)内周面
MD2SI (第1筒部材の内周面の)位置決め溝
MD3 第2筒部材
MD3SD (第2筒部材の)内周面
MD3SI (第2筒部材の内周面の)位置決め溝
MDH 第1筒部材、第2筒部材の内周面で構成される積層体保持孔
AX3 (第1筒部材及び第2筒部材の内周面の)軸線

Claims (5)

  1. 圧電焼結体層と内部電極層とを交互に積層してなる積層型圧電ユニットを、上記圧電焼結体層及び内部電極層の積層方向に複数積み重ねてなるユニット積層体を含み、
    各々の上記積層型圧電ユニットが、
    上記積層方向に延びる外側面上に位置し、上記内部電極層と互いに1層おきに導通する第1外側ユニット電極及び第2外側ユニット電極を有する積層型圧電素子であって、
    上記積層型圧電ユニットに属する上記第1外側ユニット電極とこの積層型圧電ユニットに隣接する積層型圧電ユニットに属する上記第1外側ユニット電極との間を導通する第1導通路であって、
    これらの積層型圧電ユニットの外側面から離間して配置された第1離間導通部を含み、
    上記第1外側ユニット電極同士の導通を保ったまま、上記積層型圧電素子動作時の上記ユニット積層体の伸縮に追動可能に構成してなる
    第1導通路と、
    上記積層型圧電ユニットに属する上記第2外側ユニット電極とこの積層型圧電ユニットに隣接する積層型圧電ユニットに属する上記第2外側ユニット電極との間を導通する第2導通路であって、
    これらの積層型圧電ユニットの外側面から離間して配置された第2離間導通部を含み、
    上記第2外側ユニット電極同士の導通を保ったまま上記積層がた圧電素子動作時の上記ユニット積層体の伸縮に追動可能に構成してなる
    第2導通路と、
    上記第1離間導電部及び第2離間導電部の少なくともいずれかを上記積層型圧電ユニットの外側面から離間した所定位置に保持する1または複数の離間保持部材と、を備える
    積層型圧電素子。
  2. 請求項1に記載の積層型圧電素子であって、
    前記離間保持部材は、
    隣り合う前記積層型圧電ユニット同士の境界を跨ぐようにして前記ユニット積層体の外側に位置し、
    上記境界を挟んで隣り合う上記積層型圧電ユニットの、
    前記第1外側ユニット電極同士を導通する前記第1導通路のうちの前記第1離間導通部、及び、
    前記第2外側ユニット電極同士を導通する前記第1導通路のうちの前記第2離間導通部を、
    積層型圧電ユニットの外側面から離間して保持してなる
    積層型圧電素子。
  3. 請求項1または請求項2に記載の積層型圧電素子であって、
    前記離間保持部材は、
    前記積層型圧電ユニットに保持されてなる
    積層型圧電素子。
  4. 請求項3に記載の積層型圧電素子であって、
    前記ユニット積層体及び前記離間保持部材を包囲するケース部材を有し、
    上記離間保持部材は、上記ケース部材内における前記積層型圧電ユニットの上記積層方向に直交する積層直交方向の位置を規制する位置規制部材を兼ねる
    積層型圧電素子。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の積層型圧電素子を用いた燃料噴射装置。
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