JP2006303007A - 電界効果型トランジスタ - Google Patents

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Abstract

【課題】 半導体層として有機材料が使用され、トランジスタ特性の安定性およびオンオフ比が良好であり、かつ駆動電流の大きい電界効果型トランジスタを提供する。
【解決手段】 ゲート電極と、ゲート電極に接して配置されたゲート絶縁層と、ソース電極と、ドレイン電極と、該ゲート絶縁層に接して配置された半導体層と、から構成される電界効果型トランジスタであって、該半導体層が、該ゲート絶縁層に化学的に結合された第1の有機分子を含む第1の層と、該第1の層に電気的に接して配置され、第2の有機分子を含む第2の層とを有する電界効果型トランジスタに関する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、表示素子の駆動、論理回路などに用いられるトランジスタ、さらに、少なくともチャンネル領域を含む活性層としての半導体層が有機分子を含む材料により構成される電界効果型トランジスタに関する。
薄く、軽く、柔軟性に優れ、かつ壊れにくい携帯用の電子機器の実現、および、簡易なプロセスにより製造できる低価格な電子機器の実現を目的として、有機分子を含む材料を半導体層に用いた電界効果型トランジスタが種々検討されている。有機材料は一般に無機材料と比較して柔軟性に優れているという利点を有する他、たとえば印刷法、キャスト法、スピンコート法など、シリコンプロセスと比較して簡易で、工程中において必要とされる温度も低いプロセスによってデバイスが製造できる可能性が高いという利点も有する。
しかしながら、シリコン製のトランジスタと比較した場合、有機トランジスタは、デバイスを構成した際の半導体層の移動度が小さい点、オフ状態での漏れ電流値に対するオン状態の電流値の比率であるオンオフ比が小さい点、トランジスタ特性の安定性が低い点、駆動電圧が高い点、および駆動電流が小さい点などにおいて課題を有し、これらの課題を解決する為の提案が種々なされている。
特許文献1には、ゲート電極の上に形成されたゲート絶縁膜の上に、ソース電極およびドレイン電極を内蔵した有機半導体薄膜を配置することにより、非動作時のOFF電流を低減しつつ、高い電流駆動能力を維持することができる有機トランジスタの構造が開示されている。しかし、ゲート電極の上に形成されたゲート絶縁層の上に、ソース電極およびドレイン電極を内蔵した有機半導体薄膜を配置する上記の技術では、主としてチャンネル層となる有機半導体膜におけるゲート絶縁層側の領域は、該有機半導体膜の下部に設けられたゲート絶縁層と単に物理的に接しているのみである。単に物理的に接して形成された2層間の界面の密着性は一般に良好ではなく、熱やストレスなどに対する耐性が低い。特に無機材料と有機材料との界面においては密着性不良が顕著である。また、特に有機半導体薄膜が低分子材料を用いて形成される場合、該有機半導体膜の形成は結晶粒を形成しつつ進行するため、有機半導体膜と他の層との界面には大きな凹凸が生成し、該有機半導体膜においてチャンネルとなる領域と、ゲート絶縁膜との物理的接触面積が小さくなる。そのため、ゲート電界が有機半導体膜に及ぶ領域が小さくなる。また、ゲート絶縁膜とソース電極またはドレイン電極との間の領域、ソース電極とドレイン電極との間のチャンネル領域は、厚みが数nmレベルという極めて薄い構造を有するため、製造時または製造後にチャンネル領域の構造や組成の乱れが生じる可能性が高い。しかし、特許文献1においては、このような製造時の構造や組成の乱れ、および、デバイス使用時の熱やストレスなどに起因する構造や組成の乱れなどに対する耐性が低いことによるトランジスタ特性の安定性の低下についてはなんら認識されておらず、実用的なデバイスとしては安定性の点で課題を残している。
一方、特許文献2には、ゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極と、ゲート絶縁層と、半導体層とからなるトランジスタにおいて、特定の材料からなる高分子の層がゲート絶縁層を形成し、該ゲート絶縁層の上に配置される半導体層として特定の材料からなる高分子の層が結合されている構造が開示されている。該構造においては、特定の材料を用いて形成された半導体層とゲート絶縁層との界面における連続性が確保されることにより、ゲート絶縁層と半導体層との界面の安定性を向上させることができ、トランジスタ特性を低下させる界面トラップの減少効果が得られ、電界効果移動度向上や駆動電圧低減を図ることができる。しかし、特許文献2に開示される構造では、高分子からなるゲート絶縁層がゲート電極表面に物理的に接触しているのみであるため、ゲート絶縁層とゲート電極との界面の密着性は良好ではなく、熱やストレスなどに対する耐性も低い。また、ゲート絶縁膜とゲート電極とが有機−無機界面を形成することによってもゲート絶縁膜とゲート電極との界面における密着性は低下する傾向がある。したがって、半導体層とゲート絶縁層との界面における連続性および安定性を確保することにより、トランジスタ特性を低下させる要因(界面トラップ等)を減少させ、電界効果移動度向上や駆動電圧低減を図れたとしても、有機層の土台となるゲート電極とゲート絶縁膜との間に結合性はなくゲート電極とゲート絶縁膜との界面は不安定であるため、トランジスタ特性の安定性については懸念がある。この場合、製造時または使用時においてトランジスタの一部に構造的な乱れが生じた場合にはゲート絶縁膜と半導体層との界面の安定性にも悪影響が及ぼされることは明らかである。また、特許文献2に開示される構造においては、ゲート絶縁膜および半導体層に用いられ得る材料が極めて限定的であり、材料開発が急速に進展中である有機半導体材料の現状を鑑みると、材料的な応用展開の可能性が小さいことは有機材料を用いたトランジスタ開発においては不利である。
特開2004−79623号公報 特開平10−209459号公報
本発明は上記の課題を解決し、トランジスタ特性の安定性に優れた電界効果型トランジスタを提供することを目的とし、さらに、トランジスタ特性の安定性およびオンオフ比がともに良好で、かつ、駆動電流の大きな電界効果型トランジスタを提供することを目的とする。
本発明は、ゲート電極と、ゲート電極に接して配置されたゲート絶縁層と、ソース電極と、ドレイン電極と、該ゲート絶縁層に接して配置された半導体層と、から構成される電界効果型トランジスタであって、該半導体層が、該ゲート絶縁層に化学的に結合された第1の有機分子を含む第1の層と、該第1の層に電気的に接して配置され、第2の有機分子を含む第2の層とを有する電界効果型トランジスタに関する。
本発明はまた、上記のソース電極および/またはドレイン電極が第1の層に接して配置される電界効果型トランジスタに関する。
本発明においては、ゲート絶縁層と第1の有機分子との化学的な結合が、アミド結合、アゾメチン結合、シロキサン結合の少なくともいずれかにより形成されることが好ましい。
また、第2の有機分子が第1の有機分子と化学的に結合されていることが好ましい。
本発明においては、第1の有機分子と第2の有機分子との化学的な結合が、アミド結合、アゾメチン結合、シロキサン結合の少なくともいずれかにより形成されることが好ましい。
本発明における第2の層は、第2の有機分子としての結晶性の有機分子からなることが好ましい。また、第2の層が第2の有機分子としての重合体からなることも好ましい。
本発明における第1の有機分子は、フェニレン、オリゴフェニレン、チオフェン、オリゴチオフェン、フェニレンビニレン、オリゴフェニレンビニレン、チエニレンビニレン、オリゴチエニレンビニレンの少なくともいずれかの構造を含むことが好ましい。
また、本発明における第1の有機分子が、フェニレン、オリゴフェニレン、チオフェン、オリゴチオフェン、フェニレンビニレン、オリゴフェニレンビニレン、チエニレンビニレン、オリゴチエニレンビニレンの少なくともいずれかにおける水素がシアノ基および/またはフッ素に置換された構造を含むことも好ましい。
さらに、本発明における第1の有機分子が、ピリジン、オリゴピリジン、ピリミジン、オリゴピリミジンの少なくともいずれかの構造を含むことも好ましい。
本発明によれば、ゲート絶縁層と半導体層との界面近傍領域の欠陥を低減すると共に、経時的な欠陥の生成を抑止し、かつ、オンオフ比や駆動電流値などのトランジスタの駆動能力を良好に維持することができる。これにより、十分な駆動能力およびデバイスの安定動作という実用上不可欠な2つの性能を両立するデバイスを提供することが可能となる。
本発明の電界効果型トランジスタは、ゲート電極と、ゲート電極に接して配置されたゲート絶縁層と、ソース電極と、ドレイン電極と、該ゲート絶縁層に接して配置された半導体層とから構成され、該半導体層が、該ゲート絶縁層に化学的に結合された第1の有機分子を含む第1の層と、該第1の層に電気的に接して配置され、第2の有機分子を含む第2の層とを有する。電界効果型トランジスタにおいては、半導体層とゲート絶縁層との界面から半導体層に向かって数nm程度のチャンネル領域におけるキャリアの移動特性が特に重要と考えられている。チャンネル領域とは、ゲート電界によってキャリアが誘起され、半導体層とゲート絶縁層との界面に対して垂直方向に半導体層内に向かって広がったキャリアの通路を意味する。チャンネル領域における欠陥や、組成または構造の不均一領域は、キャリアをトラップしたり、キャリアの散乱源となってキャリアの移動を阻害したりするため、動作電圧の上昇、動作速度の低下、駆動電流の低下などを生じさせる。また、ゲート電界に依存しないキャリアの生成源となる場合もあるため、オフ電流の増加、オンオフ比の低下などを生じさせる。よって上記の欠陥や不均一領域の存在によりトランジスタ特性は著しく低下する。また、トランジスタの作製直後には良好なトランジスタ特性を示すものであっても、経時的に欠陥や不均一領域が生じてくると、トランジスタ特性は経時的に劣化していく。有機半導体層の厚さ自体が数nmの場合、ゲート電界によって誘起される電荷の量が十分でなく、十分な駆動電流を得ることは困難である。
本発明の電界効果型トランジスタにおいては、半導体層のチャンネル領域にあたる第1の層が第1の有機分子を含み、該第1の有機分子が化学的な結合によりゲート絶縁層に固定されるため、半導体層とゲート絶縁層との連続性が向上し、製造時におけるゲート絶縁層と半導体層との界面近傍領域の欠陥や、組成や構造の不均一領域の生成を低減すると共に、その後の使用時における経時的な欠陥、組成や構造の不均一領域の生成をも抑止する効果を有する。本発明においては、特に半導体層が薄い場合に小さなオフ電流特性が実現される。さらに、本発明における第2の層は、第1の層と電気的に接して配置されるため、該第2の層がキャリア源となることにより第1の層に十分なキャリアが供給され、トランジスタの駆動力の経時的な低下が抑制されるという効果も有する。これにより、十分な駆動電流とデバイスの安定動作という、実用上不可欠な2つの性能を両立する電界効果型トランジスタを提供することが可能となる。
第1の有機分子とゲート絶縁層表面との化学的な結合の態様を以下に例を挙げて述べる。第1の有機分子とゲート絶縁層表面との化学的な結合がアミド結合である場合、たとえばカルボキシル基とアミノ基との脱水縮合反応を利用して、ゲート絶縁層表面と第1の層における第1の有機分子とを化学的に結合させることができる。また、第1の有機分子とゲート絶縁層表面の結合がアゾメチン結合の場合、たとえばアルデヒド基とアミノ基の脱水縮合反応を利用して、ゲート絶縁層表面と第1の層における第1の有機分子とを化学的に結合させることができる。さらに、第1の有機分子とゲート絶縁層表面との結合がシロキサン結合の場合、たとえばシランカップリング剤と基材との反応と同様の官能基同士の化学反応、たとえば、水酸基とトリクロロシリル基、水酸基とメトキシ基、水酸基とエトキシ基などの反応を利用して、ゲート絶縁層表面と第1の層における第1の有機分子とを化学的に結合させることができる。上記のそれぞれの結合は、堅固である上、結合部位となる官能基は比較的容易にゲート絶縁層表面や第1の有機分子中に導入することが可能である。
本発明においては、第1の有機分子とゲート絶縁層とが化学的に結合していることに加え、第1の有機分子と第2の有機分子とが化学的に結合されていることが好ましい。この場合、第1の層とゲート絶縁層との界面における構造的な安定性が得られるとともに、第1の層と第2の層との界面においても構造的な安定性が高まるため、トランジスタ特性の経時的な安定性がさらに高まる。また、主としてキャリア源となる第2の層から第1の層への電荷の移動効率をさらに高めるという効果も得られる。
第1の有機分子と第2の有機分子との化学的な結合の態様を以下に例を挙げて述べる。第1の有機分子と第2の有機分子との結合がアミド結合である場合、たとえばカルボキシル基とアミノ基の脱水縮合反応を利用して第1の有機分子と第2の有機分子とを化学的に結合させることができる。また、第1の有機分子と第2の有機分子との結合がアゾメチン結合の場合、たとえばアルデヒド基とアミノ基の脱水縮合反応を利用して第1の有機分子と第2の有機分子とを化学的に結合させることができる。さらに第1の有機分子と第2の有機分子との結合がシロキサン結合の場合、たとえばシランカップリング剤と基材との反応と同様の官能基同士の化学反応、たとえば、水酸基とトリクロロシリル基、水酸基とメトキシ基、水酸基とエトキシ基などの反応を利用して第1の有機分子と第2の有機分子とを化学的に結合させることができる。上記のそれぞれの結合は、堅固である上、結合部位となる官能基は比較的容易に第1の有機分子や第2の有機分子中に導入することが可能である。
本発明の第2の層は、非晶質の材料で構成されても良く、また多結晶または単結晶の材料で構成されても良いが、該第2の層が第2の有機分子としての結晶性の有機化合物からなることが好ましい。この場合、第2の有機分子が規則正しく配列し、不純物が混入しにくいので、該有機分子がランダムに配置している場合と比較して結晶内の電荷が移動し易くなり、応答速度の向上、閾値電圧の低減、駆動電流の向上などのトランジスタ特性の向上効果が得られる。一方、第2の層を非晶質の材料で構成した場合には、多結晶の材料を用いる場合と比較して、第1の層に対する被覆性が高くなる効果が期待できる。
また、本発明において、第2の層が第2の有機分子としての重合体から構成されることが好ましい。この場合、重合体が溶媒に可溶であれば、該重合体の溶液を用いて塗布、スピンコート、インクジェット法による印刷などの方法により容易に薄膜を形成することが可能である。一方、重合体が溶媒に不溶または難溶である場合でも、該重合体のモノマーやオリゴマー、または前駆体が溶媒に可溶な場合には、該モノマーや該オリゴマー、または該前駆体の溶液を用いて、塗布、スピンコート、インクジェット法による印刷などの方法により、容易にモノマーやオリゴマー、または前駆体の薄膜を形成できる。該薄膜に、加熱、光照射、マイクロ波照射、電子線照射、または、粒子線照射のいずれか、または、これらの組み合わせなどの方法によってエネルギーを与えれば、上記のモノマーやオリゴマー、または前駆体を重合体に変性させることが可能であり、比較的容易に重合体の薄膜を形成することが可能である。ここで、光照射、マイクロ波照射、電子線照射、または、粒子線照射を用いる場合には、所定のマスクを通して照射を行なうことにより、照射部のみにおいてモノマー、オリゴマー、または前駆体を変性させた後に未照射部を除去して、所定のパターンを形成することが可能である。また、加熱によりモノマー、オリゴマー、または前駆体を変性させる場合、レーザーなどの光を照射して照射部のみを加熱することが可能であるため、照射部位の選択によって所定のパターンを形成できる。
以下、本発明に基づく電界効果型トランジスタの構造、構成材料、および製造方法の具体的な実施の形態について説明するが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
<電界効果型トランジスタの構造>
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る電界効果型トランジスタの構造を示す断面図である。基板125の上にゲート電極122が形成され、該ゲート電極122を埋設してゲート絶縁層121が形成されている。ゲート絶縁層121の上には、ゲート絶縁層121の表面と化学的に結合された第1の有機分子を含む第1の層123が形成されている。第1の層123の上には、ソース電極116とドレイン電極117が、ゲート電極122の上方の空間を挟んで対峙して、それぞれ第1の層123に接して配置されている。第1の層123の上には、少なくともゲート電極122の上方のチャンネル部に相当する領域を覆って、第2の層114が形成されている。
本発明において、第1の層に含まれる第1の有機分子がゲート絶縁層に化学的に結合されていることは、例えば、以下の方法によって調べることが出来る。まず、第2の層を、薬品による溶解などの化学的手法、イオンスパッタ法などの物理的手法などの方法により除去し、第1の層を露出させる。次に、第1の層に含まれる有機分子を溶解する溶媒に浸漬するか、浸漬しつつ超音波振動を与えるなどの方法による処理を行ない、ゲート絶縁層に化学的に結合されていない有機分子を除去する。次いで、該処理を施した後のゲート絶縁層表面を紫外線光電子分光法(UPS)、X線光電子分光法(XPS)、赤外吸収分光法(FTIR)、2次イオン質量分析法(SIMS)のいずれか、または、これらの組み合わせで分析し、第1の層に含まれる第1の有機分子が、ゲート絶縁層表面に化学的に存在することを確認することが出来れば、第1の層に含まれる第1の有機分子がゲート絶縁層と化学的に結合していることが示される。
図1の構造は一例であり、本発明は図1の構造に限定されないが、本発明においては、図1に示すような、ソース電極および/またはドレイン電極がゲート絶縁層に化学的に結合された有機分子を含む第1の層と該第1の層に接して配置された第2の層とに挟まれて位置する構成が好ましく採用され得る。
(実施の形態2)
本発明においては、第1の層が、ゲート絶縁層より上部の領域のうち、少なくともソース電極とドレイン電極との間の領域に配置されていれば良い。図2は、本発明の実施の形態2に係る電界効果型トランジスタの構造を示す断面図である。基板225、ゲート電極222、ゲート絶縁層221の構成は実施の形態1と同様である。本実施の形態においては、ソース電極216とドレイン電極217とが、ゲート電極222の上方に一定の空間を挟んで対峙し、それぞれゲート絶縁層221に接して配置されている。ゲート絶縁層221の表面と化学的に結合された第1の有機分子を含む第1の層223は、ゲート電極222の上方のソース電極216とドレイン電極217との間の領域にゲート絶縁層221に接して配置されている。第1の層223の上には、少なくともゲート電極222の上方のチャンネル部に相当する領域に、第2の層214が形成されている。
(実施の形態3)
本発明においては、ソース電極とドレイン電極とが第2の層に接するように形成されても良い。図3は、本発明の実施の形態3に係る電界効果型トランジスタの構造を示す断面図である。本実施の形態においては、ゲート絶縁層322の表面と化学的に結合された第1の有機分子を含む第1の層323、および、第2の層314が積層された構造の上に、少なくとも第2の層に接してソース電極316とドレイン電極317が配置されている。基板325、ゲート電極322、ゲート絶縁層321の構成は実施の形態1と同様である。ゲート絶縁層321の上に該ゲート絶縁層321の表面と化学的に結合された第1の有機分子を含む第1の層323が配置され、第1の層323の上に、該第1の層323に接して第2の層314が配置されている。さらに、ソース電極316とドレイン電極317が、ゲート電極322の上方に一定の空間を挟んで対峙して、それぞれ第2の層314に接して配置されている。
実施の形態1〜3の構造においては、第2の層がゲート電極の上方の領域(チャンネル領域)の広い範囲に形成されているが、本発明においては、第2の層が、第1の層と同様少なくともゲート電極の上方のチャンネル部に相当する領域を覆って形成されていれば良い。
(実施の形態4)
本発明においては、ゲート絶縁層の表面と化学的に結合された第1の有機分子を含む第1の層および第2の層が、ともにゲート絶縁層の上部の少なくともゲート電極の上方の領域を覆うように配置されていればよい。図4は、本発明の実施の形態4に係る電界効果型トランジスタの構造を示す断面図である。基板425、ゲート電極422、ゲート絶縁層421の構造は、実施の形態1と同様である。本実施の形態においては、ゲート絶縁層421の表面と化学的に結合された第1の有機分子を含む第1の層423が、実質的にゲート電極の上方の領域を覆う領域のみに配置され、第2の層414が、第1の層423を実質的に覆うように配置される。ソース電極416とドレイン電極417は、ゲート電極422の上方に一定の空間を挟んで対峙して、それぞれ第2の層414に接して配置されている。
本発明においては、第1の層に含まれる第1の有機分子と、第2の層に含まれる第2の有機分子とが化学的に結合していても良い。具体的には、たとえば図1〜図4に例示された構造の電界効果トランジスタにおいて、第1の層に含まれる第1の有機分子と第2の層に含まれる第2の有機分子とが化学的に結合している場合などが挙げられる。
第1の層に含まれる第1の有機分子と第2の層に含まれる第2の有機分子とが化学的に結合していることは、たとえば以下の方法により確認することが出来る。まず、第2の層に含まれる有機分子を溶解する溶媒に浸漬する方法や、該浸漬を行ないつつさらに超音波振動を与える方法などにより、第2の層に含まれる有機分子のうち、第1の層に含まれる第1の有機分子に化学的に結合されていない有機分子を除去する処理を行なう。次いで、該処理を施した後のゲート絶縁層表面を紫外線光電子分光法(UPS)、X線光電子分光法(XPS)、赤外吸収分光法(FTIR)、2次イオン質量分析法(SIMS)のいずれか、または、これらの組み合わせで分析し、第2の層に含まれる有機分子が第1の層の表面に存在することを確認する。
図1〜図4には示されていないが、本発明による電界効果型トランジスタにおいては、少なくとも第2の層を覆って保護膜が形成されていても良い。保護膜により、半導体層の外部からの有機材料そのものあるいは素子の動作に悪影響を及ぼす物質などの侵入を抑止することが可能であり、トランジスタ特性の劣化を抑止し、素子寿命をより長く保つことが可能となる。
本発明における第1の層の厚さは、0.5nm〜50nm、さらに1nm〜20nm、特に1nm〜10nmが好ましい。第1の層の厚さが0.5nm以上であればゲート絶縁層と半導体層との密着性が十分得られ、OFF電流を小さくする上で有利であり、50nm以下であれば製造コストの点およびON電流を大きく取る上で有利である。また、第2の層の厚さは、1nm〜500nm、さらに5nm〜100nm、特に5nm〜50nmが好ましい。第2の層の厚さが1nm以上であればキャリア源としての効果が十分期待でき、500nm以下であれば製造コストの点で有利である。
本発明におけるゲート電極のチャンネル方向の幅は、チャンネル長さにも依存するが、10nm〜1mm、さらに10nm〜100μm、特に100nm〜20μmが好ましい。また、ゲート電極の厚さは、10nm〜100μm、さらに50nm〜1μm、特に50nm〜200nmが好ましい。ソース電極およびドレイン電極の幅(すなわちチャンネル幅に相当する)は、100nm〜1cm、さらに1μm〜1mm、特に10μm〜300μmが好ましい。ソース電極およびドレイン電極の厚さは、10nm〜100μm、さらに50nm〜1μm、特に50nm〜200nmが好ましい。ゲート絶縁層の厚さは、0.5nm〜10μm、さらに1nm〜500nm、特に1nm〜50nmが好ましい。
<構成材料>
(第1の層)
本発明の電界効果型トランジスタにおける第1の層を構成する材料は、ゲート絶縁層表面に化学的に結合された第1の有機分子のみで構成されていることが好ましいが、第1の有機分子と同様の分子構造を有する材料(分子)と該第1の有機分子との混合物により、該第1の層が構成されてもよい。また、第1の有機分子と混合され得る材料の分子構造が該第1の有機分子と異なっていても、電子構造、特に、最高占有分子軌道(HOMO)のエネルギー値、最低非占有分子軌道(LUMO)のエネルギー値、および、フェルミ準位が、ゲート絶縁層表面に化学的に結合された第1の有機分子のHOMO、LUMO、およびフェルミ準位のエネルギー値とそれぞれ実質的に同様の値を持つ材料が用いられ得る。第1の層を構成する全分子数に対する、ゲート絶縁層表面に化学的に結合された第1の有機分子の組成比(分子数比)は、50%以上が好ましく、90%以上であることがより好ましい。但し、有機分子がゲート絶縁層表面に直接化学的に結合していないが、ゲート絶縁膜表面に化学的に結合された第1の有機分子に対して化学的に結合している場合は、ゲート絶縁層に化学的に結合しているものと解釈する。第1の層を構成する全分子数に対する第1の有機分子の組成比が大きいほど、第1の層とゲート絶縁層との界面および第1の層自体の構造的な安定性が高くなる。
本発明における第1の層に含まれる第1の有機分子としては、下記の式(1)〜式(4)、
Figure 2006303007
(ただし、nは1以上の整数、XおよびYは官能基を表わす)
に示す骨格構造を持ち、かつ、Xおよび/またはYがゲート絶縁層表面と化学的に反応して結合を形成する官能基であるものが好ましく用いられる。また、式(1)〜式(4)の構造にアルキル鎖や官能基などがさらに付加された有機分子であっても良い。式(1)〜式(4)の有機分子にアルキル鎖を導入した場合には、第1の有機分子の溶媒への溶解度が高まるという効果が得られ、また、カルボキシル基、硫酸基、水酸基などを含む官能基を付加した場合には、水や極性溶媒への溶解度を向上させることが可能であるため、溶液から成長させる方法を用いて第1の有機分子を含む第1の層を製造することが可能となる。
また、他の好ましい分子としては、式(1)〜式(4)の構造に付加する官能基として、フッ素、シアノ基などを有する分子も例示できる。この場合、第1の層が電子伝導性を示し易くなる。
また、下記に示す式(5)〜式(10)、
Figure 2006303007
(ただし、nは1以上の整数、XおよびYは官能基を表わす)
に示す骨格構造を持ち、かつ、Xおよび/またはYがゲート絶縁層表面と化学的に反応して結合を形成する官能基であるものが好ましく用いられる。更に、他の好ましい分子としては、式(5)〜式(10)のそれぞれの構造のピリジン環をピリミジン環に置き換えた構造の分子が例示できる。また、式(5)〜式(10)の構造の分子、または、式(5)〜式(10)のそれぞれの構造のピリジン環をピリミジン環に置き換えた構造の分子に、さらにアルキル鎖や官能基などが付加された分子であっても良い。たとえば、アルキル鎖を付加した場合には非極性溶媒への溶解度を向上させることが可能であるし、カルボキシル基、硫酸基、水酸基などを含む官能基を付加した場合には水や極性溶媒への溶解度を向上させることが可能であり、第1の層の製造方法として溶液から成長させる方法を用いることが可能となる。
式(1)〜式(10)の構造の分子、あるいは、式(5)〜式(10)のそれぞれの構造のピリジン環をピリミジン環に置き換えた構造の分子において、nは、1以上の整数であり、nは、好ましくは1以上かつ1000以下、より好ましくは2以上かつ100以下、さらに好ましくは3以上かつ10以下である。nが1以上、さらに2以上、特に3以上であれば電子の非局在性が高まるという利点がある。またnが1000以下、さらに100以下、特に10以下であれば、溶媒への溶解性が高く、溶液からの成長法が採用できるため、真空蒸着による気相成長法などの真空雰囲気が必要な方法と比べて製造コストの点で優れるという利点がある。
XまたはYで示される官能基については、該Xまたは該Yのいずれかがゲート絶縁層表面と化学的に反応し、第1の層とゲート絶縁層との間に化学的な結合を形成できれば良く、XおよびYはゲート絶縁層表面の状態に応じて適宜選択される。たとえば、ゲート絶縁層がシリコン酸化膜、酸化タンタル膜などの酸化物からなる場合、一般にゲート絶縁層表面は水酸基を有する。また、シリコン酸化膜、酸化タンタル膜などの酸化物の表面を酸素プラズマや水蒸気プラズマなどに晒したり、シリコン酸化膜、酸化タンタル膜などの酸化物を硫酸中で煮沸したりするなどの湿式処理を施すことにより、酸化物表面に水酸基を高密度で導入することが可能である。ゲート絶縁層表面が水酸基を有する場合には、XまたはYで示される官能基として、シランカップリング反応で用いられるような官能基、たとえば、クロロシリル基、メトキシシリル基、エトキシシリル基などが好ましく採用され得る。またこの他の例として、ゲート絶縁層表面がカルボキシル基を有する場合には、XまたはYで示される官能基としてアミノ基が好ましく採用され得る。さらにゲート絶縁層表面がアミノ基を有する場合には、XまたはYで示される官能基としてカルボキシル基が好ましく採用され得る。ここでカルボキシル基とアミノ基とが組み合わされる場合には、脱水縮合反応によりゲート絶縁層と第1の有機分子との間にアミド結合が形成される。さらに他の例として、ゲート絶縁層表面がアルデヒド基を有する場合には、XまたはYで示す官能基としてアミノ基、ゲート絶縁層表面がアミノ基を有する場合には、XまたはYで示す官能基としてアルデヒド基がそれぞれ好ましく採用され得る。ここでアルデヒド基とアミノ基とが組み合わされる場合には、脱水縮合反応によりゲート絶縁層と第1の有機分子との間にアゾメチン結合が形成される。
また、第1の層は、式(1)〜式(4)または式(5)〜式(10)によって表される第1の有機分子、および/または、式(5)〜式(10)のそれぞれの構造のピリジン環をピリミジン環に置き換えた構造の第1の有機分子を、複数積層して構成しても良い。式(1)〜式(4)または式(5)〜式(10)によって表される分子、あるいは、式(6)〜式(10)のそれぞれの構造のピリジン環をピリミジン環に置き換えた構造の分子において、nの数値が過剰に大きい分子では、溶媒への溶解性が低下する場合がある為、分子を溶解させた溶液から第1の層を形成することが困難となる。nが比較的小さな分子を用いることで溶液からの成長法により第1の層を作製することが可能となり、真空蒸着法などの真空雰囲気が必要な製造方法と比較して製造コストが安価になる。また、nが比較的小さな分子を積層することにより、分子鎖長レベルで極めて厳密に厚さが制御された第1の層を形成することが容易となる。nが比較的小さい分子とは、たとえばnが10以下の分子であり、6以下の分子が好ましく、3以下の分子が特に好ましい。
また、第1の層の構造の別の例としては、第1の有機分子としての電子伝導性または正孔伝導性を示す有機半導体の低分子が該低分子に設けられた側鎖を介してゲート絶縁層と化学的に結合された構造であってもよい。このような構造の第1の層は、該低分子に設けられた側鎖の末端にゲート絶縁層表面と化学的に反応して結合を形成し得る官能基を持つ分子を用い、ゲート絶縁層表面と該低分子とを反応させて作製することができる。また、該低分子と反応して化学結合を形成する官能基を末端に持つ自己組織化膜を予めゲート絶縁層表面に形成しておき、該低分子をゲート絶縁層表面の官能基と反応させて第1の層を作製しても良い。該低分子の具体例としては、正孔伝導性の有機半導体であるピレンや各種フタロシアニンなどの他、電子伝導性の有機半導体であるペリレンやフラーレンなどが好ましく挙げられる。
第1の有機分子の好ましい具体例としては、たとえば、フェニレン、オリゴフェニレン、チオフェン、オリゴチオフェン、フェニレンビニレン、オリゴフェニレンビニレン、チエニレンビニレン、オリゴチエニレンビニレンのいずれかの構造を含む分子が挙げられる。これらの分子はパイ電子共役系分子構造を有し、非局在性の電子を有する。従って、上記の分子を単独または2種以上の組み合わせで含有する場合、第1の層は、比較的良好な電子供与性の半導体層として作用する。
第1の有機分子の別の好ましい具体例としては、フェニレン、オリゴフェニレン、チオフェン、オリゴチオフェン、フェニレンビニレン、オリゴフェニレンビニレン、チエニレンビニレン、オリゴチエニレンビニレンのいずれかの構造の水素のいずれかが、シアノ基、または、フッ素のいずれかに置換された構造を含む分子が挙げられる。これらの分子もまたパイ電子共役系分子構造を有し、非局在性の強い電子を有する。また、これらの分子においては、シアノ基またはフッ素の存在により分子としては電子受容性の性質を示す。従って、上記の分子を単独または2種以上の組み合わせで含有する場合、第1の層は、比較的良好な電子受容性の半導体層として作用する。
第1の有機分子のさらに別の好ましい具体例としては、ピリジン、オリゴピリジン、ピリミジン、オリゴピリミジンのいずれかの構造を含む分子が挙げられる。これらの分子もまたパイ電子共役系分子構造を有し、非局在性の強い電子を有する。また、これらの分子においては、窒素の存在により分子としては電子受容性の性質を示す。従って、上記の分子を単独または2種以上の組み合わせで含有する第1の層は、比較的良好な電子受容性の半導体層として作用する。
第1の層において、第1の有機分子以外の構成材料として用いられ得る材料としては、例えば下記のような、電子受容性または電子供与性の有機材料が好ましく挙げられる。電子受容性の材料としては、ピリジンおよびその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、キノリンおよびその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、ベンゾフェナンスロリン類およびその誘導体によるラダーポリマー、シアノ−ポリフェニレンビニレンなどの高分子、フッ素化無金属フタロシアニン、フッ素化金属フタロシアニン類およびその誘導体、ペリレンおよびその誘導体(PTCDA、PTCDIなど)、ナフタレン誘導体(NTCDA、NTCDIなど)、バソキュプロインおよびその誘導体などの低分子が利用され得る。
電子供与性の材料としては、フェニレンおよびその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、チオフェンおよびその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、フェニレン−ビニレンおよびその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、チエニレン−ビニレンおよびその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、カルバゾールおよびその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、ビニルカルバゾールおよびその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、ピロールおよびその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、アセチレンおよびその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、イソチアナフェンおよびその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、ヘプタジエンおよびその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、無金属フタロシアニン、金属フタロシアニン類およびそれらの誘導体、ジアミン類、フェニルジアミン類およびそれらの誘導体、ペンタセンなどのアセン類やピレンおよびコロネンなどを含む炭素縮合環系化合物およびその誘導体、ポルフィリン、無金属ポルフィリンや金属ポルフィリンおよびそれらの誘導体、シアニン色素、メロシアニン色素、スクアリリウム色素、キナクリドン色素、アゾ色素、アントラキノン、ベンゾキノン、ナフトキノンなどのキノン系色素およびそれらの誘導体などが利用され得る。金属フタロシアニンや金属ポルフィリンの中心金属としては、マグネシウム、亜鉛、銅、銀、アルミニウム、ケイ素、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、スズ、白金、鉛などの金属、金属酸化物、金属ハロゲン化物が用いられ得る。
特に、第1の層が、第1の有機分子と他の有機分子との混合物により構成される場合には、混合される他の有機分子の分子構造が第1の有機分子の分子構造と異なっていても良く、この場合、混合される他の有機分子の電子構造、特に、最高占有分子軌道(HOMO)のエネルギー値、最低非占有分子軌道(LUMO)のエネルギー値、および、フェルミ準位が、第1の有機分子のHOMO、LUMO、フェルミ準位のエネルギー値と実質的に同様の値を持つ材料が好ましく用いられ得る。また、第1の分子および混合される他の有機分子が電子受容性材料である場合、少なくともLUMOおよびフェルミ準位が実質的に同様の値を持つ材料が用いられ得る。具体的には、第1の有機分子のLUMOおよびフェルミ準位と、該第1の有機分子と混合される有機分子のLUMOおよびフェルミ準位とのエネルギーの差の絶対値がそれぞれ1eV以下であることが好ましく、さらに0.5eV以下、特に0.2eV以下であることがより好ましい。また、第1の分子および混合される他の有機分子が電子供与性材料である場合、少なくともHOMOおよびフェルミ準位が実質的に同様の値を持つ材料が用いられ得る。具体的には、第1の有機分子のHOMOおよびフェルミ準位と、該第1の有機分子と混合される有機分子のHOMOおよびフェルミ準位とのエネルギーの差の絶対値がそれぞれ1eV以下であることが好ましく、さらに0.5eV以下、特に0.2eV以下であることがより好ましい。好ましい材料としては、例えば下記のような、電子受容性または電子供与性の有機材料が挙げられる。
(第2の層)
本発明における第2の層は第2の有機分子を含むことを特徴とする。第2の有機分子は第1の有機分子と同様の分子構造を有することが好ましい。ここで、第1の有機分子と第2の有機分子とが同様の分子構造を有する場合、第1の層と第2の層とは互いに近い組成の分子で形成されることとなる。本発明における第1の層はキャリアをスムーズに輸送できることが必要とされるため、安定な構造を有し、キャリアの移動の妨げとなる構造欠陥や不純物の量ができる限り低減されていることが必要である。よって、第1の層はキャリア源として形成される第2の層と比べて製造条件がより厳密に制御される。半導体層が単層として形成される場合には、該半導体層全体に対して厳密な製造条件を適用することが要求されるが、本発明においては第1の層および第2の層が順次形成されるため、第1の層のみを厳密な製造条件のもとに形成すればよい。よって、厳密な製造条件が適用されるべき層の厚みを単層の場合よりも小さくでき、製造コストの点で有利である。なお、第1の層と第2の層とが同一組成からなる場合であっても、両層が順次形成される場合には両層の間には実質的に界面が形成される。該界面はたとえば電子顕微鏡による断面観察等により確認することができる。
本発明においては、第2の有機分子の分子構造が第1の有機分子の分子構造と異なっていても良く、この場合、第2の有機分子の電子構造、特に、最高占有分子軌道(HOMO)のエネルギー値、最低非占有分子軌道(LUMO)のエネルギー値、および、フェルミ準位が、第1の有機分子のHOMO、LUMO、フェルミ準位のエネルギー値と実質的に同様の値を持つ材料が好ましく用いられ得る。好ましい材料としては、例えば下記のような、電子受容性または電子供与性の有機材料が挙げられる。
電子受容性の材料としては、ピリジンおよびその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、キノリンおよびその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、ベンゾフェナンスロリン類およびその誘導体によるラダーポリマー、シアノ−ポリフェニレンビニレンなどの高分子、フッ素化無金属フタロシアニン、フッ素化金属フタロシアニン類およびその誘導体、ペリレンおよびその誘導体(PTCDA、PTCDIなど)、ナフタレン誘導体(NTCDA、NTCDIなど)、バソキュプロインおよびその誘導体などの低分子が利用されうる。
電子供与性の材料としては、フェニレンおよびその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、チオフェンおよびその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、フェニレン−ビニレンおよびその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、チエニレン−ビニレンおよびその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、カルバゾールおよびその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、ビニルカルバゾールおよびその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、ピロールおよびその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、アセチレンおよびその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、イソチアナフェンおよびその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、ヘプタジエンおよびその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、無金属フタロシアニン、金属フタロシアニン類およびそれらの誘導体、ジアミン類、フェニルジアミン類およびそれらの誘導体、ペンタセンなどのアセン類やピレンおよびコロネンなどを含む炭素縮合環系化合物およびその誘導体、ポルフィリン、無金属ポルフィリンや金属ポルフィリンおよびそれらの誘導体、シアニン色素、メロシアニン色素、スクアリリウム色素、キナクリドン色素、アゾ色素、アントラキノン、ベンゾキノン、ナフトキノンなどのキノン系色素およびそれらの誘導体などが利用され得る。金属フタロシアニンや金属ポルフィリンの中心金属としては、マグネシウム、亜鉛、銅、銀、アルミニウム、ケイ素、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、スズ、白金、鉛などの金属、金属酸化物、金属ハロゲン化物が用いられ得る。
特に、第1の有機分子が電子受容性を呈する場合には、第1の有機分子のLUMOおよびフェルミ準位と第2の有機分子のLUMOおよびフェルミ準位とのそれぞれのエネルギーの差の絶対値がそれぞれ1eV以下、さらに0.5eV以下、特に0.2eV以下であることが好ましい。また、第1の有機分子が電子供与性を呈する場合には、第1の有機分子のHOMOおよびフェルミ準位と第2の有機分子のHOMOおよびフェルミ準位とのそれぞれのエネルギーの差の絶対値がそれぞれ1eV以下、さらに0.5eV以下、特に0.2eV以下であることが好ましい。
たとえば、第1の有機分子が式(1)で示される構造を有する場合には、第2の有機分子としてはオリゴフェニレンなどが好ましく例示でき、第1の有機分子が式(3)で示される構造を有する場合は、第2の有機分子としてはオリゴチオフェンなどが好ましく例示できる。また、第1の有機分子が式(6)または式(7)で示される構造を有する場合は、第2の有機分子としてはオリゴピリジンなどが好ましく例示できる。
さらに、第1の有機分子がピレン、各種フタロシアニン、ペリレン、または、フラーレンであって、これらの分子に設けられた側鎖を介してゲート絶縁層と第1の層とが化学的に結合される場合は、それぞれピレン、各種フタロシアニン、ペリレン、フラーレンが第2の有機分子として好ましく例示できる。
本発明においては、第1の有機分子と第2の有機分子とが化学的に結合していることが構造の安定性の面で好ましい。たとえば、第1の有機分子の末端が水酸基である場合、第2の有機分子の主鎖および/または側鎖の末端に、シランカップリング反応で用いられるような官能基、たとえば、クロロシリル基、メトキシシリル基、エトキシシリル基などを導入することにより、脱水縮合反応によってシロキサン結合を形成させ、第1の有機分子と第2の有機分子とを化学的に結合させることが出来る。
この他の例としては、第1の有機分子の末端にカルボキシル基を有する場合、第2の有機分子として、主鎖および/または側鎖の末端の官能基としてアミノ基を有する分子が用いられ、第1の有機分子の末端にアミノ基を有する場合、第2の有機分子として、主鎖および/または側鎖の末端の官能基としてカルボキシル基を有する分子が用いられる。カルボキシル基とアミノ基とが組み合わされる場合には、脱水縮合反応によりゲート絶縁層と第1の層の有機分子との間にアミド結合が形成される。
さらに他の例としては、第1の有機分子の末端にアルデヒド基を有する場合、第2の有機分子として、主鎖および/または側鎖の末端の官能基としてアミノ基を有する分子が用いられ、第1の有機分子の末端にアミノ基を有する場合、第2の有機分子として、主鎖および/または側鎖の末端の官能基としてアルデヒド基を有する分子が用いられる。アルデヒド基とアミノ基とが組み合わされる場合には、脱水縮合反応によりゲート絶縁層と第1の有機分子との間にアゾメチン結合が形成される。
本発明においては、第2の有機分子が第1の有機分子と化学的に結合している場合、第2の層の構成分子のうち第1の層に接している分子の総数に対する、第1の有機分子と化学的に結合された分子の組成比(分子数比)は、50%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。但し、第1の有機分子に直接化学的に結合していないが、第1の有機分子に化学的に結合された有機分子に対して化学的に結合している有機分子は、第1の有機分子に化学的に結合しているものと解釈する。第2の層の構成分子のうち第1の層に接している分子の総数に対する、第1の有機分子と化学的に結合された分子の組成比が大きい程、第1の層と第2の層との間の界面および第2の層自体の構造的な安定性が高くなる。
(基板)
本発明において使用される基板は、その上部に形成される材料を安定に保持できるものであれば、材質や厚さは特に限定されない。例えば、ガラス類、樹脂類、ステンレスなど金属類や合金、紙、布などが挙げられる。
(ゲート電極)
ゲート電極の材料としては公知の導電性材料が用いられうるが、たとえば金、白金、アルミニウムなどの金属類、合金類などが用いられ、透明電極としては、たとえば、酸化インジウムスズ(ITO)やフッ素ドープされた酸化スズ、酸化亜鉛などの金属酸化物が用いられる。ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチアジルなどの導電性高分子を用いてもよい。
(ソース電極およびドレイン電極)
ソース電極およびドレイン電極の材料は、公知のトランジスタ、IC、LSIまたはTFTに用いられている材料を使用できる。また、ソース電極およびドレイン電極の材料は、半導体層との間の電気的性質(オーミック性やショットキー性など)に応じて適宜選択される。たとえば導電性高分子材料やカーボンナノチューブなども用いられ得る。
(ゲート絶縁層)
ゲート絶縁層には公知の材料が用いられる。たとえば、シリコン酸化物、窒化シリコンなどの無機物質のほか、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、UV硬化性樹脂などの光硬化性樹脂、などの有機材料が用いられる。ゲート絶縁層は、金属や半導体材料の酸化や窒化の他、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、塗布法などにより作製される。
<電界効果型トランジスタの製造>
本発明の電界効果型トランジスタはたとえば以下の方法により作製することができる。基板上に、公知の方法でゲート電極用材料の薄膜を形成した後、フォトリソグラフィー法などの方法により所望の形状に加工する。次いで、ゲート電極を覆ってゲート絶縁層を形成する。このときフォトリソグラフィー法などの方法によりゲート絶縁層を所望の形状に加工しても良い。ゲート絶縁層は、ゲート電極を覆って別の材料で形成しても良いし、ゲート電極を酸化することによって形成しても良い。また、ゲート電極を覆って金属膜を形成した後、該金属膜の一部または全部を酸化してゲート絶縁層としても良い。ゲート電極の酸化の方法は、熱酸化や陽極酸化などの方法が利用できる。
次いで、本発明の第1の層を形成する。第1の層の製造法としては溶液から成長させる方法が好ましく例示できる。具体的には、第1の層の構成材料としての所定の材料を所定の溶媒に溶解させ、原料溶液を作製する。次いで、ゲート電極およびゲート絶縁層を形成した基板を、第1の層を形成するために必要な所定の時間、該原料溶液に浸漬した後、基板を該原料溶液から引き上げ、所定の溶媒で洗浄する。
第1の層の別の製造法としては、第1の層の構成材料としての所定の材料を気化させて蒸気を生成させ、ゲート絶縁層表面を該蒸気に晒して成長させる方法がある。より具体的には、第1の層を構成する分子を加熱して蒸気を生成させ、該蒸気が直接または間接的に到達する位置にゲート電極およびゲート絶縁層を形成した基板を配置する。たとえば、真空排気されるか、または不活性ガスで置換されたチャンバー内に、加熱機構を施し、第1の層の構成材料としての所定の材料を入れた容器と、ゲート電極およびゲート絶縁層を形成した基板を配置し、第1の層の構成材料としての所定の材料を入れた容器を加熱し、該材料の蒸気を生成させる。第1の層を形成するために必要な所定の時間、該蒸気に基板を晒した後、基板を所定の溶媒で洗浄する。
更に別の製造方法としては、第1の層を構成する所望の分子の構成単位となる小さな分子を順次化学反応により積層して、最終的に所望の分子をゲート絶縁層表面上に合成する方法がある。より具体的には、たとえば式(1)の構造で示され、n=1、Xがトリメトキシシリル基およびYがカルボキシル基である分子Aと、式(1)の構造で示され、n=2、XおよびYが共にアミノ基である分子Bとを順次シリコン酸化膜のゲート絶縁層上に供給し、化学反応で結合させる方法が挙げられる。この場合、分子Aまたは分子Bの層を形成する方法としては、溶液から成長させる方法、蒸気に晒す方法のいずれの方法も採用され得る。
上記以外の他の製造方法としては、第1の層において、チャネルの機能を担う低分子と化学反応により化学結合を形成する官能基を末端に持つ自己組織化膜とを予めゲート絶縁層表面に形成しておき、該低分子を該官能基と反応させて第1の層を形成させても良い。
具体的には、たとえば、ゲート電極およびゲート絶縁層を形成した基板を、アリルトリエトキシシラン溶液に所定の時間浸漬し、アリルトリエトキシシランとゲート絶縁層のシリコン酸化膜とを反応させてアリルトリエトキシシランの単分子膜を形成した後、該単分子膜表面のビニル基を酸化してカルボキシル基に変換し、更にπ電子共役系有機化合物であるピレンのメタノール溶液に該基板を浸漬して、ピレンとカルボキシル基との間でエステル化させる方法などが挙げられる。
さらに、たとえば、ゲート電極およびゲート絶縁層を形成した基板を、アミノプロピルトリメトキシシランのベンゼン溶液に所定の時間浸漬し、アミノプロピルトリメトキシシランとゲート絶縁層のシリコン酸化膜とを反応させてアミノプロピルトリメトキシシランの単分子膜を形成した後、更にフラーレンのベンゼン溶液に該基板を浸漬して、フラーレンとアミノ基の間で化学結合させる方法なども好ましく例示できる。
この他、第1の有機分子が容易に化学結合し得るゲート絶縁層表面を形成する方法としては、ヒドラジン蒸気雰囲気下でゲート絶縁層表面に対して紫外線照射を行ない、該ゲート絶縁層表面にアミノ基を導入する方法や、特定のガス雰囲気下で、コロナ放電によりゲート絶縁層表面にアミノ基、カルボキシル基を導入する方法なども好ましく採用され得る。ゲート絶縁層表面にアミノ基を導入できる場合、該アミノ基と、たとえばカルボキシル基あるいはアルデヒド基を有する第1の有機分子とが化学結合を形成できる。また、カルボキシル基が導入できる場合、該カルボキシル基と、たとえばアミノ基を有する第1の有機分子とが化学結合を形成できる。紫外線照射を行なう際やプラズマに晒す際には、マスク等の方法を用いて紫外線またはプラズマを部分的に遮蔽することにより、ゲート絶縁層表面に導入する官能基のパターンを形成できる。この場合、第1の有機分子はゲート絶縁層表面に導入された該官能基の上に選択的に形成されるため、結果として第1の有機分子のパターンを形成できる。
なお、第1の有機分子とゲート絶縁層との間に化学的な結合を形成する工程において、化学結合の形成、または、化学反応の促進のために、加熱、光照射、マイクロ波照射、電子線照射、または粒子線照射を行なっても良い。
次いで、ソース電極およびドレイン電極を形成する。ソース電極およびドレイン電極の形成方法は特に限定されないが、蒸着法、CVD法、スピンコート法、インクジェット法などの公知の製膜方法と、シャドウマスクあるいはフォトリソグラフィー法などの公知のパターン形成方法が用いられ得る。
次いで、本発明の第2の層を形成する。第2の層を形成する方法としては、蒸着法やCVD法などの他、スピンコート法、スプレイ法、スクリーン印刷法、インクジェットプリント法などの公知の方法が利用され得る。第2の層の形成方法としては、モノマー、オリゴマー、または、前駆体からなる材料の層をまず形成した後、加熱、光照射、マイクロ波照射、電子線照射、または、粒子線照射などの方法により重合体へと変性させる方法を用いても良い。好適な方法としては、これらに限定されるわけではないが、たとえば、水溶性スルホニウム塩ポリマー、またはアルコキシ基を有する有機溶媒可溶性ポリマーを原料として用いる方法がある。たとえば、ポリフェニレン−ビニレンおよびその誘導体は、ポリパラキシレンテトラヒドロチオフェニウムクロライドおよびその誘導体から変性が可能であり、ポリチエニレン−ビニレンおよびその誘導体は、ポリジメチルチオフェンテトラヒドロチオフェニウムクロライドおよびその誘導体から変性が可能であり、ポリ(ピリジルビニレン)およびその誘導体は、ポリジメチルピリジンテトラヒドロチオフェニウムクロライドおよびその誘導体から変性が可能であり、変性の方法としては加熱などの方法が用いられる。ここで、第2の層の材料としてポリマーを用いる場合、該ポリマーが可溶な溶媒が限定されたり、溶解度が著しく小さかったりする場合があり、重合度(分子量)が大きいほどこの傾向が顕著になる。これに対し、モノマー、オリゴマー、または前駆体は、一般に溶媒に対する可溶性が高いので溶媒の選択の範囲が広い。
第2の層の材料としてモノマー、オリゴマー、または前駆体を用い、光照射、マイクロ波照射、電子線照射、または、粒子線照射によって重合反応を進行させて第2の層を形成する場合には、所定のマスクを通して照射を行ない、照射部のみ第2の層の材料を重合させたのち、未照射部のモノマー、オリゴマー、または前駆体を除去することで所定のパターンを形成することが可能である。また、加熱により重合するモノマーなどを用いる場合には、レーザーなどの光を照射して照射部のみを加熱することが可能であるので、上記の方法と同様にして所定のパターンを形成できる。
本発明において第1の有機分子と第2の有機分子とを化学結合により結合させる場合、蒸着法、スピンコート法、スプレイ法、スクリーン印刷法、インクジェットプリント法などの方法で第2の層を形成する過程において、第1の有機分子と第2の有機分子との間で化学結合を形成しても良く、第2の層を形成した後に、さらに加熱、光照射、マイクロ波照射、電子線照射、または粒子線照射を行なって第1の有機分子と第2の有機分子との間で化学結合を形成させても良い。
[実施例]
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
基板としてのガラス板の上に、蒸着法により膜厚約150nmの金薄膜を形成し、フォトリソグラフィー法により幅50μmの形状に加工して、ゲート電極とした。次いで、ゲート電極を埋設して、膜厚約50nmのシリコン酸化膜をCVD法で形成し、ゲート絶縁層とした。次いで、ペリレンテトラカルボキシリックアシッドのテトラヒドロフラン溶液(10μM)にジシクロヘキシルカルボジイミド(40μM)とジメチルアミノピリジン(微量)を添加して作製した溶液に、ゲート電極およびゲート絶縁層を形成した基板を約24時間浸漬し、ペリレンテトラカルボキシリックアシッドとゲート絶縁層のシリコン酸化膜表面の水酸基とを反応させて第1の層の分子膜を形成した。次に、第1の層の分子膜の上に、ペリレンテトラカルボキシリックアンハイドライドの薄膜(厚さ約50nm)を真空蒸着法により形成した。次に、シャドウマスクを介して150nmの厚さの金を蒸着し、ゲート電極の上方の領域に、互いに50μm離して配置(すなわちチャンネル長さ50μm)されたソース電極およびドレイン電極を形成した。50μm離れて対向している部分の総延長(すなわちチャンネル幅に相当)は1mmであった。以上の工程で、本発明による電界効果型トランジスタが作製された。
(比較例1)
半導体層として、真空蒸着法で作製したペリレンテトラカルボキシリックアンハイドライド(膜厚約60nm)のみを用いた他は実施例1と同様の方法で、トップコンタクト型トランジスタを作製した。
実施例1および比較例1で作製されたトランジスタのソース−ドレイン電極間における電流電圧特性のゲート電圧依存性を、プローバーおよび半導体パラメータアナライザを用いて測定したところ、実施例1では比較例1と比較して長寿命であることを確認した。
(実施例2)
実施例1と同様の方法で、基板としてのガラス板の上に、ゲート電極、ゲート絶縁層、および、第1の層を作製した。次に、シャドウマスクを介して150nmの厚さの金を蒸着し、互いに50μm離して配置(すなわちチャンネル長さ50μm)されたソース電極およびドレイン電極を形成した。50μm離れて対向している部分の総延長(すなわちチャンネル幅に相当)は1mmであった。次に、ソース電極とドレイン電極との間の領域(チャンネル領域)を少なくとも覆うように、ペリレンテトラカルボキシリックアンハイドライドの薄膜(厚さ約50nm)を真空蒸着法により形成した。以上の工程で、本発明による電界効果型トランジスタが作製された。
(比較例2)
半導体層として、真空蒸着法で作製したペリレンテトラカルボキシリックアンハイドライド(膜厚約60nm)のみを用いた他は実施例2と同様の方法でトップコンタクト型トランジスタを作製した。
実施例2および比較例2で作製されたトランジスタのソース−ドレイン電極間における電流電圧特性のゲート電圧依存性を、プローバーおよび半導体パラメータアナライザを用いて測定したところ、実施例2では比較例2と比較してオンオフ比、駆動電流、寿命共に優れていることを確認した。
(実施例3)
実施例1と同様の方法で、ゲート電極およびゲート絶縁層を形成した基板を作製した。次いで、アリルトリクロロシランのビシクロヘキシル溶液(5mM)にゲート電極およびゲート絶縁層を形成した基板を20分間浸漬し、アリルトリクロロシランとゲート絶縁層表面の水酸基とを反応させてアリルトリエトキシシランの分子膜を形成した。次に該分子膜を形成した基板を過マンガン酸カリウムとクラウンエーテルのベンゼン溶液にリフラックス条件下で5分間浸漬し、表面のビニル基を酸化してカルボキシル基に変換した。更にピレンメタノール(すなわち、ピレンの側鎖として、−CH2OHを有する有機化合物)のキシレン溶液にジシクロヘキシルカルボジイミドを添加した溶液に、該基板を浸漬し、ピレンメタノールとカルボキシル基とをエステル化させて化学結合を形成させた。次に、シャドウマスクを介して150nmの厚さの金を蒸着し、互いに50μm離して配置(すなわちチャンネル長さ50μm)されたソース電極およびドレイン電極を形成した。50μm離れて対向している部分の総延長(すなわちチャンネル幅に相当)は1mmであった。次に、ソース電極とドレイン電極の間の領域(チャンネル領域)を少なくとも覆うように、ピレンの薄膜(厚さ約50nm)を真空蒸着法により形成した。以上の工程で、本発明による電界効果型トランジスタが作製された。
(比較例3)
半導体層として、真空蒸着法で作製したピレン(膜厚約60nm)のみを用いた他は実施例3と同様の方法でトップコンタクト型トランジスタを作製した。
実施例3および比較例3で作製されたトランジスタのソース−ドレイン電極間における電流電圧特性のゲート電圧依存性を、プローバーおよび半導体パラメータアナライザを用いて測定したところ、実施例3では比較例3と比較してオンオフ比、駆動電流、寿命共に優れていることを確認した。
(実施例4)
実施例1と同様の方法で、ゲート電極およびゲート絶縁層を形成した基板を作製した。次いで、ゲート電極およびゲート絶縁層を形成した基板を5質量%のアミノプロピルトリメトキシシランのトルエン溶液に60分浸漬して、ゲート絶縁層上の水酸基とアミノプロピルトリメトキシシランとの反応により分子膜を形成した。次いで、該分子膜を形成した基板を0.5mMのジカルボキシアルデヒドターチオフェンのアセトニトリル溶液に10分間浸漬し、引き上げた後、真空中120℃で20分間加熱し、その後、アセトニトリルで洗浄し、該分子膜の表面のアミノ基とジカルボキシアルデヒドターチオフェンとの反応により第1の層を形成した。次に、シャドウマスクを介して150nmの厚さの金を蒸着し、互いに50μm離して配置(すなわちチャンネル長さ50μm)されたソース電極およびドレイン電極を形成した。50μm離れて対向している部分の総延長(すなわちチャンネル幅に相当)は1mmであった。次に、ソース電極とドレイン電極とを形成した基板を1mMのジアミノビフェニルのアセトニトリル溶液に10分間浸漬し、引き上げた後、真空中120℃で20分間加熱し、その後、アセトニトリルで洗浄し、第1の層表面のアルデヒド基とジアミノビフェニルとの反応により分子層を形成した。更に、該分子層を形成した基板を0.5mMのジカルボキシアルデヒドターチオフェンのアセトニトリル溶液に10分間浸漬し、引き上げた後、真空中120℃で20分間加熱し、その後、アセトニトリルで洗浄し、該ジアミノビフェニルの反応による分子層表面のアミノ基とジカルボキシアルデヒドターチオフェンとを反応させた。これにより、ジアミノビフェニルとジカルボキシアルデヒドターチオフェンとの反応物による第2の層が形成された。以上の工程で、本発明による電界効果型トランジスタが作製された。
(比較例4)
半導体層として、スピンコート法で作製したポリチオフェン(膜厚約60nm)のみを用いた他は実施例4と同様の方法でトップコンタクト型トランジスタを作製した。
実施例4および比較例4で作製されたトランジスタのソース−ドレイン電極間における電流電圧特性のゲート電圧依存性を、プローバーおよび半導体パラメータアナライザを用いて測定したところ、実施例4では比較例4と比較してオンオフ比、駆動電流、寿命共に優れていることを確認した。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明によれば、オンオフ比や駆動電流値などのトランジスタの駆動能力を良好に維持し、十分な駆動能力およびデバイスの安定動作という実用上不可欠な2つの性能を両立する電界効果型トランジスタの提供が可能となる。
本発明の実施の形態1に係る電界効果型トランジスタの構造を示す断面図である。 本発明の実施の形態2に係る電界効果型トランジスタの構造を示す断面図である。 本発明の実施の形態3に係る電界効果型トランジスタの構造を示す断面図である。 本発明の実施の形態4に係る電界効果型トランジスタの構造を示す断面図である。
符号の説明
114,214,314,414 第2の層、116,216,316,416 ソース電極、117,217,317,417 ドレイン電極、121,221,321,421 ゲート絶縁層、122,222,322,422 ゲート電極、123,223,323,423 第1の層、125,225,325,425 基板。

Claims (10)

  1. ゲート電極と、ゲート電極に接して配置されたゲート絶縁層と、ソース電極と、ドレイン電極と、前記ゲート絶縁層に接して配置された半導体層と、から構成される電界効果型トランジスタであって、前記半導体層が、前記ゲート絶縁層に化学的に結合された第1の有機分子を含む第1の層と、前記第1の層に電気的に接して配置され、第2の有機分子を含む第2の層とを有する電界効果型トランジスタ。
  2. 前記ソース電極および/または前記ドレイン電極が前記第1の層に接して配置される、請求項1に記載の電界効果型トランジスタ。
  3. 前記ゲート絶縁層と前記第1の有機分子との化学的な結合が、アミド結合、アゾメチン結合、シロキサン結合の少なくともいずれかにより形成される、請求項1または2に記載の電界効果型トランジスタ。
  4. 前記第2の有機分子が前記第1の有機分子と化学的に結合してなる、請求項1または2に記載の電界効果型トランジスタ。
  5. 前記第1の有機分子と前記第2の有機分子との化学的な結合が、アミド結合、アゾメチン結合、シロキサン結合の少なくともいずれかにより形成される、請求項4に記載の電界効果型トランジスタ。
  6. 前記第2の層が前記第2の有機分子としての結晶性の有機分子からなる、請求項1〜5のいずれかに記載の電界効果型トランジスタ。
  7. 前記第2の層が重合体からなる、請求項1〜5のいずれかに記載の電界効果型トランジスタ。
  8. 前記第1の有機分子が、フェニレン、オリゴフェニレン、チオフェン、オリゴチオフェン、フェニレンビニレン、オリゴフェニレンビニレン、チエニレンビニレン、オリゴチエニレンビニレンの少なくともいずれかの構造を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の電界効果型トランジスタ。
  9. 前記第1の有機分子が、フェニレン、オリゴフェニレン、チオフェン、オリゴチオフェン、フェニレンビニレン、オリゴフェニレンビニレン、チエニレンビニレン、オリゴチエニレンビニレンの少なくともいずれかにおける水素がシアノ基および/またはフッ素に置換された構造を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の電界効果型トランジスタ。
  10. 前記第1の有機分子が、ピリジン、オリゴピリジン、ピリミジン、オリゴピリミジンの少なくともいずれかの構造を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の電界効果型トランジスタ。
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