本発明者が鋭意検討を行った結果、ドラム上に形成された静電潜像を、前記ドラムと一定間隔を保った現像ローラに直流電圧を重畳した交流電圧を印加することによって、前記現像ローラ上の非磁性一成分現像剤により現像を行い、その現像領域内には前記静電潜像担持体上流側の現像領域に向かって設定された遮蔽部材を有し、前記遮蔽部材は、現像領域に配置される静電潜像担持体側の表面の表面抵抗率を1013Ω/□以上1018Ω/□とし、現像剤担持体側表面の表面抵抗率の少なくとも一部分は10−1Ω/□以上10
3Ω/□以下とする構成よりなり、前記現像剤は、少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤を含有するトナー粒子と無機微粒子とを少なくとも有する非磁性一成分現像剤において、前記非磁性一成分現像剤は比誘電率が1.5以上8.0以下かつ、誘電正接tanδ×1000の値が1.5以上7.0以下である事を特徴とする非磁性一成分現像剤をフルカラー画像形成における少なくとも一色のトナーに使用することにより、掃き寄せ、トナー飛散、カブリ、雨降りを防止しながら画像濃度薄やボタ落ち、縦スジ等の画像欠陥を改善することが出来ることを見出し、本発明に至った。
以下に詳細を説明する。
本発明の非磁性一成分現像剤(以下、「本発明のトナー」ともいう)は、少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤を含有するトナー粒子と、外添剤としての無機微粒子とを少なくとも有する。
前記結着樹脂には、トナー粒子に用いられる公知の結着樹脂を用いることができる。前記結着樹脂としては、例えばスチレンやメタクリル酸エステルを単量体とする単重合体や共重合体等のビニル系樹脂が挙げられる。
前記着色剤には、カーボンブラック、マグネタイト等の黒色着色剤の他に、以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤等あらゆる顔料及び/又は染料を用いることができる。例えば本発明に係るトナーをフルカラー用トナーとして使用する場合には、次の様なものが挙げられる。
本発明のトナーに用いるマゼンタ用着色顔料としてはC.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、202、206、207、209;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35が挙げられる。
顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料と併用してその鮮明度を向上させた方が、フルカラー画像の画質の点からより好ましい。
本発明のトナーに用いるマゼンタ用染料としては例えば、C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパースバイオレット1などの油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28の如き塩基性染料が挙げられる。
本発明のトナーに用いるシアン用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2、3、15、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45又は下記構造式(1)で示される構造を有するフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料が挙げられる。
本発明のトナーに用いるイエロー用着色顔料としてはC.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、65、73、83;C.I.バットイエロー1、3、20等が挙げられる。
これら着色剤は、単独で、あるいは組み合わせて使用することができ、通常、電子写真特性的観点、及び透過性の観点から、結着樹脂成分100質量部に対して、0.1〜30質量部、好ましくは1.0〜20質量部で使用される。
また、これら顔料の分散性を改良する為にロジン処理等の分散性改良や、界面活性剤による処理などを行うのも好ましい。
例えば、ロジン化合物としては、天然ロジン(トール油ロジン、ガムロジン、ロッドロジンなど)、或いは天然ロジンから抽出して得られる精製ロジン(アビエチン酸など)、変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなど)、合成ロジン(スチレンアクリルロジン酸など)、さらには、上記ロジンのアルカリ金属塩やエステル化合物を挙げることができる。
上記の如きロジン化合物により、顔料を処理する方法としては、(1)ロジン化合物と顔料を乾式混合した後、必要に応じて溶融混練等の熱処理を施す乾式混合法、(2)顔料製造時の着色剤の合成溶液中にロジンのアルカリ水溶液を加えた後、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、またはマンガン等のレーキ金属塩を添加し、ロジンを不溶化することで着色剤表面に被覆処理を施す湿式処理法、等が挙げられる。
本発明においては、顔料中にロジン化合物を1〜30質量%、好ましくは3〜25質量%、より好ましくは5〜18質量%含有させることによって、分散性や帯電特性を一層良好なものとすることができる。例えばロジンの使用量が少ないと、トナーの比誘電率が小さくなり、ロジンの使用量が多いと、トナーの比誘電率が大きくなる。
本発明のトナーでは、定着オフセット防止のために、離型剤としてワックスを添加することが可能である。使用されるワックスとしては、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、アミドワックス、高級脂肪酸、エステルワックス及びこれらの誘導体、またはこれらのグラフト/ブロック化合物等が好ましく用いられる。これらのワックスは、定着時の離型性の向上を達成するために、トナー粒子中に一般的に、結着樹脂成分100質量部に対して1〜30質量部、より好ましくは5〜20質量部が使用される。
本発明のトナーには、トナーの帯電量を制御する為に荷電制御剤を使用することが可能である。荷電制御剤としては、例えばトナーを正帯電性に制御する場合は、脂肪酸金属塩等による変性物;トリブチルベンジジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩;アミン及びポリアミン系化合物;高級脂肪酸の金属塩;アセチルアセトン金属錯体;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート等が挙げられる。
また、トナーを負帯電性に制御する場合は、有機金属錯体、キレート化合物が有効である。このような荷電制御剤としては、サリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸、それらの誘導体の金属化合物、スルホン酸を側鎖に持つ高分子化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、珪素化合物、カリックスアレーンやモノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸系の金属錯体等が挙げられる。
前記荷電制御剤の使用量は、結着樹脂成分100質量部に対して0.1〜15.0質量部であり、好ましくは0.1〜10.0質量部である。
前記トナー粒子の製造法は、粉砕法や各種の重合法等の公知の製造方法を利用して製造することができ、特に限定されない。しかしながら、トナー粒子の製造法は、粒径分布の制御が容易で、尚且つトナー粒子の内部においてトナー材料が均一に分散したトナー粒子が得やすい、いわゆる懸濁重合法が好ましい。トナー粒子の製造方法について、上記懸濁重合法を例に挙げ、以下説明を加える。
まず重合性単量体中に、離型剤としてのワックス、極性樹脂、着色剤、荷電制御剤、重合開始剤、その他の添加剤を加え、ホモジナイザー、超音波分散機等によって均一に溶解または分散せしめて単量体系を調製する。得られた単量体系を、分散安定剤を含有する水系媒体中に、通常の撹拌機またはホモジナイザー、ホモミキサー等により分散せしめる。この際、好ましくは単量体の液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように、撹拌速度、時間を調整し造粒する。その後は、分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行えばよい。
重合には、通常、重合開始剤が使用される。重合開始剤は、重合開始時までの任意の時期に前記単量体系に添加すれば良い。重合温度は40℃以上、一般的には50℃〜90℃の温度が好ましい。また、重合反応の後半に昇温してもよく、さらに、現像剤定着時の臭いの原因等になる未反応重合性単量体、副生成物等を除去するために、反応後半または反応終了時に、水系媒体の一部を留去してもよい。
反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄、濾過により回収し乾燥する。懸濁重合法においては、通常、単量体系100質量部に対して水300質量部〜3000質量部を分散媒として使用するのが好ましい。
トナー粒子の粒度分布の制御や粒径の制御は、造粒時の系のpHの調整、難水溶性の無機塩や保護コロイド作用をする分散剤の種類や添加量を変える方法や、機械的装置条件、例えばロータの周速、パス回数、撹拌羽根形状等の撹拌条件や、容器形状または水系媒体中での固形分の濃度等を制御することにより行える。
本発明に用いられる結着樹脂を形成する重合性単量体としては、スチレン、o−(m−
、p−)メチルスチレン、m−(p−)エチレンスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;ブタジエン、イソプレン、シクロヘキサン、(メタ)アクリロニトリル、アクリル酸アミド等の単量体が好ましく用いられる。
また重合時には極性樹脂を添加しても良い。前記極性樹脂としては、結着樹脂に対して極性が高い樹脂であれば特に限定されない。極性樹脂としては、例えばスチレン(メタ)アクリル酸の共重合体、マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂が好ましく用いられる。
上記極性樹脂は、使用しなくても構わないが、使用するときは結着樹脂成分100質量部に対して極性樹脂が0.1〜30質量部であり、好ましくは1〜20質量部であることが、好適な範囲の比誘電率及び誘電正接のトナーを得る観点から好ましい。極性樹脂の使用量が少ないと、トナーの比誘電率が小さくなり、トナーの誘電正接が大きくなる。極性樹脂の使用量が多いと、トナーの比誘電率が大きくなり、トナーの誘電正接が小さくなる。
本発明のトナーの製造で使用される重合開始剤としては、パーオキシエステル系の過酸化物系重合開始剤が好適に用いられる。その中でも下記一般式(I)で表される重合開始剤が好適に用いられる(R1〜R4は炭素数1〜6のアルキル基であり、お互いに同じであっても異なっていても良い)。
上記重合開始剤としては、例えばt−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。
重合開始剤には、上記一般式(I)で表される重合開始剤以外の公知の重合開始剤を用いることも可能である。ただし、重合開始剤が上述のもので無い場合、内部に分散させた色材や離型剤等の分散状態や樹脂の分子量分布、重合末端による帯電性や重合開始剤の残渣が異なる為、比誘電率が大きくばらついたり、誘電正接tanδが大きくなってしまう恐れがあり、トナー飛散やカブリ等が悪化する恐れもある。
前記重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが、一般的には重合性単量体に対して0.5質量部以上20.0質量部以下である。重合開始剤の種類は、重合法により若干異なるが、10時間半減期温度を参考に単独または複数種類を混合し利用される。また、そのときの重合反応温度も使用する重合開始剤や目的とする重合度により適宜調整する事が望ましい。
本発明に用いられるトナー粒子の製造で、懸濁重合を利用する場合に用いる分散剤とし
ては、無機系酸化物や有機系化合物が挙げられる。
無機系酸化物としては、例えばリン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタ珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ、磁性体、フェライト等が挙げられる。
また有機系化合物としては、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン等が挙げられる。これらは、水相に分散させて使用される。
これらの分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜2.0質量部を使用するのが好ましい。
これらの分散剤は、市販のものをそのまま用いてもよいが、細かい均一な粒度を有する分散粒子を得るために、水系媒体中にて高速撹拌下にて前記無機系酸化物化合物を生成させて得ることもできる。例えばリン酸カルシウムの場合、高速撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合することで懸濁重合法に好ましい分散剤を得ることができる。
またこれらの分散剤の微細化のために、分散媒に対して0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用してもよい。具体的には市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤が使用できる。界面活性剤としては、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等が好ましく用いられる。
また、トナー粒子の製造では、前記単量体系に架橋剤を添加することも可能である。架橋剤としては二官能の架橋剤として、ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、及び以上のアクリレートをメタクリレートにかえたものが挙げられる。
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシ、ポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルアソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリールクロレンデート等が挙げられる。
これらに関しては、架橋剤の多量の添加は、トナーのMIの減少、トナーにおける外添剤の遊離率の増加、及びトナーの誘電正接の増加に繋がり、トナー劣化には有利になるが、定着不良や外添剤による部材汚染が発生する恐れがあり好ましくない。従って上記架橋剤は使用しなくても構わないが、使用するときには結着樹脂成分100質量部に対して0
.01〜20質量部であり、好ましくは0.1〜10質量部である。
外添剤としてトナー粒子の表面に含有させられる無機微粒子としては、珪素、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ジルコニウム、マンガン、セリウム、ストロンチウム等の酸化物粉体;及びチタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複合金属酸化物粉体;ホウ素、珪素、チタニウム、バナジウム、ジルコニウム、モリブデン、タングステン等の炭化物;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の炭酸塩、硫酸塩、燐酸塩;等の、トナーの流動特性の影響を与える公知の無機微粒子を挙げることが出来る。この中でも、トナーの流動性の向上のためには、シリカ粉体が好ましく(特にシリカ微粒子が好ましい)、これをトナー表面に含有させることが好ましい。
尚、シリカ微粒子のうち特に好ましいものは、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカである。本発明ではこれらの両方が使用可能であるが、表面及びシリカ微粒子の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2−等の製造残査のない乾式シリカの方が好ましい。
又、乾式シリカにおいては、その製造工程において、例えば、塩化アルミニウム、又は塩化チタンなど他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粒子を得ることも可能である。前記乾式シリカは、このような複合微粒子も包含する。
本発明に用いられるシリカ微粒子は、必要に応じて、疎水化、摩擦帯電性の制御などの目的のために、シランカップリング剤、有機ケイ素化合物等の処理剤で表面処理されていても良い。表面処理方法には、公知の方法が用いられ、シリカ粒子と反応あるいは物理吸着する処理剤で前記シリカ微粒子は表面処理される。
そのような処理剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、卜リメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び1分子当たり2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置するシロキサン単位にそれぞれ一個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。これらは一種あるいは二種以上の混合物で用いられる。
本発明のトナーに用いられる無機微粒子は、シリコーンオイルによって表面処理されたものを用いても良い。シリコーンオイルの表面処理法は公知のものが用いられるが、例えば無機微粉体とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直接混合しても良いし、ベースとなる微粉体にシリコーンオイルを噴霧する方法を用いても良い。或いは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解或いは分散させた後、無機微粉体を加えて混合し、溶剤を除去する方法でも良い。
本発明に使用されるシリコーンオイルとしては公知のものが用いられ、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコー
ンオイル、クロムフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が用いられる。
本発明のトナーには、無機微粒子の添加と同様の目的で有機粒子や複合粒子を添加することもできる。このような有機粒子や複合粒子としては、例えばポリアミド樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子、ウレタン粒子、メラミン−ホルムアルデヒド粒子、アクリル粒子等の樹脂粒子;ゴム、ワックス、脂肪酸系化合物、樹脂等と金属、金属酸化物、金属塩、カーボンブラック等の無機粒子とからなる複合粒子;ポリフッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂;フッ化カーボン等のフッ素化合物;ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩;脂肪酸、脂肪酸エステル等の脂肪酸誘導体;硫化モリブデン、アミノ酸及びアミノ酸誘導体等が挙げられる。
なお上記無機微粒子等は外添剤として使用することが可能であり、トナー粒子の製造後における任意の時点で外添することができる。例えばトナー粒子の分級や球形化を行う工程でトナー粒子に外添することもできる。
これら上記外添剤の使用量としては、トナー粒子100質量部に対して外添剤が0.1〜5.0質量部であり、好ましくは0.5〜3.0質量部であることが好ましい。
前記無機微粒子とトナー粒子との混合には、ヘンシェルミキサー等の混合機を用いて乾式混合する公知の方法を採用することができる。このときの混合条件は任意に設定でき、主に混合時間、攪拌羽根の形状、攪拌羽根の回転数、バッフル設定、トナー粒子投入量によって調整される。大まかに言えば、攪拌羽根の回転数が大きいと遊離率は小さくなり、回転数が小さいと遊離率が大きくなる。同様に混合時間が長いと前記遊離率は小さくなり、混合時間が短いと前記遊離率は大きくなる。
本発明のトナーは、比誘電率が1.5以上8.0以下である。比誘電率が1.5未満であると、トナーの正常な帯電がし難くなるために、トナー飛散やカブリが悪化してしまう恐れがある。また、比誘電率が8.0より大きい場合、トナーが過帯電となり易く、画像濃度薄や濃度ムラ、遮蔽部材にトナーが蓄積することによるボタ落ちが発生しやすくなる。この中で、更に好ましい範囲としては2.0以上5.0以下である。
本発明のトナーは、誘電正接tanδ×1000が1.5以上7.0以下である。誘電正接tanδ×1000が1.5未満であると、トナーの過帯電が促進され易くなるために画像濃度薄や濃度ムラ、遮蔽部材にトナーが蓄積することによるボタ落ちが発生しやすくなる。また、誘電正接tanδ×1000が7.0より大きい場合、トナーの帯電量の減衰が多くなり、トナー飛散やカブリが発生しやすくなる。この中で、更に好ましい範囲としては2.0以上5.5以下である。
本発明のトナーの比誘電率及び誘電正接tanδは、トナー中に含有される染顔料や荷電制御剤の種類、添加量、分散状態により変化させることが可能である。
本発明のトナーの比誘電率と誘電正接tanδは以下のように定義される。
トナー0.5gを秤量し、25,000kPa(260kgf/cm2)の荷重を1分間かけて、直径25mm、厚さ1mm以下(好ましくは、0.5〜0.9mm)の円盤状に成型し測定試料とする。この測定試料を、直径25mmの誘電率測定治具(電極)を装着したレオメータ、ARES(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製)に装着し、固定する。その後、3.43N(350g)の荷重をかけた状態で、1Vの電圧を印加し、100〜106Hzの周波数の範囲で、3回測定し平均値を算出し、誘電率の測定値を求める。
測定値に関しては、1kHz及び1MHzの周波数で校正後の4284AプレシジョンLCRメーター(アジレント・テクノロジー社製)を用いて、誘電率の測定値から誘電正接(tanδ)を算出する。比誘電率は、測定された誘電率を真空の誘電率で除して算出する。
さらに、本発明のトナーは、メルトインデックス(MI:g/10分)が5以上40以下であることが好ましく、10以上30以下がより好ましい。メルトインデックスが5未満では、外添剤がトナーから外れやすくなり、外添剤の遊離率が高くなったり、定着が弱くなることがある。このために、遮蔽部材を使用したときの画像濃度薄をトナーで補えなくなる恐れがある。また、その事により低温環境で定着不良を起こす恐れもある。
これに対し、画像濃度を出す様に定着温度を上げたりプロセススピードを落としたりすると、定着温度を上げた場合では機内昇温を起こしてトナーや各パーツが熱劣化を起こす恐れがあり、プロセススピードを落とした場合ではカブリが悪化するので好ましくない。
また、MIが40より高いと、トナー担持体(現像ローラ)と現像ブレード(ブレード)との摺擦に於いてトナー粒子が現像ブレードの表面に著しく融着し、この融着物によりトナー担持体上のトナーコート層にコートムラを生じ、これが現像ムラとなって画像上にスジを生じることがあるため好ましくない。更に、トナー劣化によるトナー飛散やカブリの悪化も懸念される。
これらのバランスを良好に保つには、トナーのMIは5以上40以下の範囲が好ましく、10以上30以下がより好ましい。従って、メルトインデックスが上記の範囲にあると、現像ブレードでのトナーの融着が低減され、本発明の実施例に示した画像形成装置と良好なマッチングを示す。
ここで、本発明のトナーのメルトインデックス(略称MIあるいはMFR)の測定方法は、日本工業規格の熱可塑性プラスチックの流れ試験方法JIS K7210の記載に従い、下記測定条件下、手動切り取り法で測定を行う。この時、測定値は10分値に換算する。
測定温度 :135℃
荷重 :1.2kg
本発明のトナーのMIは、例えば架橋剤の使用量によって調整することが可能である。
本発明のトナーにおける外添剤(無機微粒子)の遊離率は3%以上25%以下の範囲が好ましい。前記遊離率が3%未満であると、外添剤がトナー粒子にしっかり付着しているので初期の画像は良好であるが、寿命近くまで印字すると、トナー飛散やカブリが悪化する恐れがある。逆に、遊離率が25%より多くなると、初期からドラムや帯電部材などがトナーによって汚染される為に好ましくない。
本発明のトナーにおける外添剤の遊離率は、添加した無機微粒子のそれぞれの遊離率の総和で表される。前記遊離率を測定する方法は、トナー粒子に対して遊離している無機微粒子を検出することができる方法であれば特に限定されないが、トナー粒子の炭素原子に対する無機微粒子の遊離率を測定する方法が好ましい。
トナー粒子の炭素原子に対する外添剤の遊離率の測定には、トナーの分析方法として、電子写真学会年次大会(通算95回)、“Japan Hardcopy’97”論文集、「新しい外添評価方法−パーティクルアナライザによるトナー分析−」、鈴木俊之、高
原寿雄、電子写真学会主催、1997年7月9〜11日、に開示されているトナー分析方法を使用して行うことが好ましい。
このトナー分析方法は、トナー粒子をプラズマ中に導入することによりトナー粒子を励起させ、この励起に伴う発光スペクトルを検出することにより分析を行うものである。この分析方法によれば、複数元素の励起に伴う発光スペクトルを同時検出することが可能であり、さらに発光スペクトルの周期性についても測定することができる。
外添剤の遊離率を求める方法としては、同期性を利用する。
同一粒子中に含まれる元素は、同一周期で励起発光スペクトル(同期スペクトル)を生じるが、一方、外添剤の遊離物のようにトナー粒子に対して離れて存在する物の元素は、トナー粒子の炭素原子とは同期せずに単独で励起発光スペクトル(非同期スペクトル)を生じる。これらの各元素に由来する励起発光スペクトルの非同期/同期を相対的に求めることによって、トナー粒子に対する特定元素の遊離率が求められる。
本願では、トナー粒子に由来する炭素原子の励起に伴う発光スペクトルのカウント(個数)と、外添剤の例えばシリカに由来するSi原子の励起に伴う発光スペクトルのカウント(個数)の同期差に基づき、非同期の原子を遊離の外添剤としてとらえ、その相対比をもって外添剤の遊離率とする。
具体的な測定方法としては、横河電機(株)製パーティクルアナライザーPT1000を用い、以下の条件にて測定した後、C原子を基準としたSi原子等の外添剤の発光スペクトルカウントの同期性を以下の式に当てはめて遊離率を求めた。
<<横河電機(株)製PT1000の測定条件>>
・一回の測定におけるC原子検出数:500〜2,500
・ノイズカットレベル:1.5以下
・ソート時間:20digits
・ガス:O2 0.1%、Heガス
・分析波長:
C原子 :247.860nm
Si原子:288.160nm
Ti原子:334.900nm
Mg原子:285.210nm
その他、使用した外添剤中の無機の他の元素の分析波長を使用。
・使用チャンネル:
C原子:1又は2
Si原子:1〜4
Ti原子:1〜4
Mg原子:1又は2
・Si原子の遊離率
(C原子と同時に発光しなかったSi原子のカウント数)/(C原子と同時に発光したSi原子のカウント数+C原子と同時に発光しなかったSi原子のカウント数)×100
・外添剤の遊離率の総和
(例)外添剤でSiとTiを含有するものを使用した場合。
外添剤の遊離率の総和=Si原子の遊離率+Ti原子の遊離率
なお、「炭素原子と同時に発光」とは、用いられる分析装置やその設定条件等の種々の条件、及び炭素原子以外の検出対象原子の種類に応じて決定することができる。例えば、
無機微粒子中のケイ素原子、チタン原子、鉄原子、或いはスズ原子であれば、炭素原子に対して2.6msec以内に発光した場合に、炭素原子と同時に発光したとすることができる。
本発明のトナーにおける前記遊離率は、例えばトナー粒子と無機微粒子との混合条件によって調整することが可能である。
本発明のトナーは、静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、前記静電潜像担持体と一定間隔を保った現像剤担持体に直流電圧を重畳した交流電圧を印加することによって、前記現像剤担持体上の非磁性一成分現像剤により現像する現像工程を含む画像形成方法に用いられる。
本発明のトナーは、フルカラー画像形成方法のように、複数種のトナーを用いる画像形成方法にも用いることができる。この場合、本発明のトナーは、複数種のトナーのうちの少なくとも一つに用いられる。
本発明のトナーは、静電潜像を担持する静電潜像担持体(ドラム)上の静電潜像を、前記静電潜像担持体と一定間隔を保って静電潜像担持体に対して相対的に移動自在でありかつ現像剤を担持する現像剤担持体(現像ローラ)に、直流電圧を重畳した交流電圧を印加して前記現像剤担持体上の現像剤を前記静電潜像に向けて飛ばすことによって現像する現像工程である、ジャンピング現像法に用いられる。
ジャンピング現像法とは、現像ローラとドラムとの現像領域で、現像ローラとドラムとの間に印加された直流バイアスを重畳した交流バイアス電圧により、トナーが現像ローラとドラムとの間を往復運動し、最終的に潜像パターンに応じて選択的にトナーがドラム表面に移行して付着し、ドラムに形成された前記静電潜像が顕像化されるものである。
本発明のトナーが用いられる前記現像工程は、前述したジャンピング現像法であって、現像剤担持体の移動方向における上流側から現像剤担持体と静電潜像担持体とが対向する空間であって、現像剤担持体と静電潜像担持体との間で現像剤が飛翔し得る領域である現像領域に向けて延出し、かつ現像領域に配置される静電潜像担持体側の表面の表面抵抗率が1013Ω/□以上1018Ω/□以下であり、現像剤担持体側の表面の少なくとも一部分の表面抵抗率が10−1Ω/□以上103Ω/□以下である遮蔽部材によって、前記現像領域の一部が遮蔽される工程である。
ジャンピング現像法は、現像ローラとドラムとの間にトナーを飛翔させる現像法である為に、接触現像法と比較して、トナー飛散を起こし易く、掃き寄せも発生し易い。また、それを抑制しようと、現像領域に遮蔽部材を挿入すると、掃き寄せが改善され、トナー飛散、カブリ、雨降りも良化するが、画像濃度薄や画像上へのトナーのボタ落ち、縦スジ等の弊害を引き起こしやすい。
上記ジャンピング現像においては、現像領域における現像ローラとドラムとの間には、ギャップ(以下、「SDギャップ」という)を有している。SDギャップは、現像ローラ軸に回転可能に支持されたドラム突き当てコロによって、100〜500μmに設定されることが好ましく、より好ましくは300μm以下である。SDギャップが100μm未満であると、電界が現像剤担持体から静電潜像担持体へリークし易くなり、静電潜像を現像することが難しくなる。また、SDギャップが500μm以上であると、トナーがドラムに飛翔し難くなり、画像濃度薄やトナー飛散、掃き寄せが悪化しやすくなる傾向がある。
本発明のトナーが用いられる画像形成方法には、前記現像工程を含み、現像工程で形成されたトナー像を転写材に転写して定着させる公知の方法を採用することができる。例えば前記画像形成方法は、前記現像工程の他に、ドラムを帯電させる帯電工程、帯電したドラムに静電潜像を形成する静電潜像形成工程、現像によって形成されたトナー像を転写材に転写する転写工程、転写材に転写されたトナー像を転写材に定着させる定着工程、転写後のドラムの表面の付着物をドラムの表面から除去するクリーニング工程等の他の工程を含む。これらの工程には、公知の工程を採用することができる。
前記現像工程において用いられる現像ローラとしては、使用されるトナーの種類等に応じて適切な形態のものを用いれば良い。このような現像ローラとしては、例えば高硬度な樹脂をアルミのシリンダにコートしたものや、金属ローラの表面を高分子弾性体でコーティングしたり、金属芯金に高分子弾性体を一体成型したりして形成されている現像ローラが好ましくは挙げられる。中でも高分子弾性体を使用したものは、トナーの劣化が抑えられるために好ましく、アルミに樹脂コートをしたものも、品質の安定性やコストに優れるので好適に用いられる。
前記現像ローラにおける高分子弾性体としては、弾性を有する様々な高分子組成物が用いられる。例えばEPDM(エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体)、ウレタン、シリコーンゴム、ニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴムなどから選択された樹脂や、それら樹脂に電気抵抗調整材料として導電性微粒子、例えばカーボン、酸化チタン等を分散混合した物や、上述した樹脂にイオン性導電材料、例えば過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カルシウム、塩化ナトリウム等の無機イオン性導電物質を用いた電気的抵抗調整樹脂が用いられる。
また、アルミシリンダにコートされる高硬度の樹脂としては、フェノール樹脂中にカーボン、グラファイトを分散してスリーブに必要な導電性を維持しつつ硬度を上げたものが挙げられる。前記フェノール樹脂の塗膜は、アルミ素管に吹き付け法にて厚さ10〜20μm程度塗布する事により作製される。
これらの現像ローラの表面粗さ(JIS B0601−1994)は、Rz(μm)=1〜8、又はRa(μm)=0.1〜1.2であることが望ましい。前記現像ローラの表面粗度は、例えばコートする樹脂に粗粒子を入れたり、アルミ素管をブラスト処理する事により調整することが可能である。
前記現像工程では、上記現像ローラと、前記現像ローラに直接又は間接的に接触して現像ローラ上のトナー層の層厚を規制するブレードとを有する装置が用いられる。この装置には、非磁性一成分現像剤を用いるジャンピング現像法に用いられる公知の現像装置を用いることができる。前記ブレードについても、その形態については特に限定されないが、現像ローラに接触して設けられ現像ローラに担持されるトナーを規制して現像ローラ上におけるトナーコート量を制御するブレードであることが好ましい。このようなブレードとしては、可撓性の板状部材や、SUS、リン青銅等の金属板等、公知のブレードが用いられる。
前記画像形成方法において用いられる静電潜像担持体は、公知の感光体を用いることができる。前記静電潜像担持体には、例えばSe系でもアモルファスシリコン系でも使用可能であるが、フィルミングやドラム削れ等の高画質化や安全性の関係から、有機感光体を使用することが好ましい。
有機感光体には、導電性支持体と、導電性支持体上に形成される有機系の感光層とを有する公知の有機感光体を用いることができる。有機感光体を形成する樹脂としては、各種
ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテルアクリル樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリスルホン樹脂等などを用いることが出来る。
ドラムの表面を形成する表面層に用いられる結着樹脂の主成分としては、ポリカーボネート樹脂かポリアリレート樹脂がより好ましい。その理由としては、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂は構造上、他の電子写真感光体の表面層に使われる一般的な樹脂と比較して、機械的強度が高いことが考えられる。加えて、トナーや放電生成物との親和性も低く抑えられ、融着防止にも有効である。
また、前記現像工程においては、現像領域における現像ローラとドラムとの間に、現像時におけるトナーの飛翔を一部制限するような遮蔽部材を用いることが必要である。この遮蔽部材は、現像ローラとドラムとの間の、ドラムの回転上流部の方から樽型電界に規制を加えるように取り付けられていることが必要であり、より好ましくは現像領域において現像ローラとドラムの中心を結ぶ線を遮らない程度まで規制されているものが好ましい。
この現像領域の例を図2で説明する。
図2において101はドラム、102は現像ローラを表している。ドラム101における矢印は、ドラム101の表面の移動方向であるドラム101の回転方向を表しており、現像ローラ102における矢印は、現像ローラ102の表面の移動方向である現像ローラ102の回転方向を表している。また、103はドラム101と現像ローラ102の中心を結ぶ線(最接近部)であり、eは現像領域、Hは電気力線、(a)は電気力線がほぼ直線である範囲、(b)と(c)は樽型電界中で電気力線が現像領域外側に向かって弧を描いている範囲を表す。
この図中で遮蔽部材はdの方向から現像領域に挿入されていることが必要であり、その中でも遮蔽部材の先端がfの範囲であること、すなわち現像ローラ102の回転方向の上流側から延出した遮蔽部材が樽型電界における直線状の電気力線を遮断しない範囲であることが、画像濃度薄を抑えつつ掃き寄せやトナー飛散を低減させるためには好ましい。またこのとき、遮蔽部材はドラム上の現像領域においてドラムに接するように設置されているものが、掃き寄せを低減させるのに非常に効果的である。
この遮蔽部材は、薄板状やフィルム状のものが現像領域に挿入する為には好ましい。遮蔽部材は、現像領域に配置される静電潜像担持体側の表面の表面抵抗率が1013Ω/□以上1018Ω/□以下であり、現像剤担持体側の表面の少なくとも一部分の表面抵抗率が10−1Ω/□以上103Ω/□以下であることが必要である。
遮蔽部材の表面の表面抵抗率は、JIS C2151に準拠して20℃にて測定される。
前記遮蔽部材の静電潜像担持体側の表面における表面抵抗率が1013Ω/□以上1018Ω/□以下の部分に関して、材質としてはPETやPE、PPフィルム等の樹脂フィルムでも構わないし、金属薄板のような剛性を持ったものを樹脂等でコートしたものや表面処理したものでも使用可能である。その中でも、ドラムに当接させたときにドラムに傷をつけないことから、樹脂フィルムや樹脂コート部材の様な絶縁性弾性部材が好ましく、中でも剛性、耐薬品性、熱安定性、寸法変化や吸湿をし難いという観点からPP、PE、PET、PVF等のフィルム及びそれらを使ったコート部材がより好ましい。
また、これら絶縁性弾性部材が遮蔽部材における静電潜像担持体側の表面を占める割合は、静電潜像担持体側の表面の10%以上100%以下が好ましい。前記割合が10%未満であると、その他の部分で静電潜像担持体上の電荷がリークする等の弊害が現れる恐れがある。
前記遮蔽部材の現像剤担持体側の表面における表面抵抗率が10−1Ω/□以上103Ω/□以下の部分に関しては、導電性部材によって構成することができる。前記導電性部材としては、SUS板やリン青銅板等のような金属薄板の様なものでも、アルミ箔のような金属薄状のものでも構わない。
このように、遮蔽部材は少なくとも二層以上になっていることが必要であり、例えば樹脂フィルムと金属薄を貼りあわせ、ドラム側は樹脂フィルム、スリーブ側は金属薄となるように設置しても良く、遮蔽部材としては樹脂フィルムの片面に金属をスパッタリングしたものや金属薄板の片面に樹脂コートしたもの、薄板の片面は樹脂コート、もう片面は金属コートしたようなものでも構わない。
前記導電性部材が遮蔽部材における現像剤担持体側の表面を占める割合は、現像剤担持体側の表面の10%以上100%以下が好ましい。前記割合が10%未満であると、その他の部分でトナーの静電凝集が発生し、ボタ落ちや縦スジ等の弊害が現れる恐れがある。
図3に本発明における遮蔽部材の一例を示す。図3において、遮蔽部材は、ドラム及び現像ローラの軸方向に沿って現像領域全般に配置される幅を有する板状の部材であり、基層202と、この基層202の一方の面の表面に設けられた導電性層とを有する。導電性層は、基層202の一方の面の一端部から中央部にかけて設けられている。図3の遮蔽部材では、遮蔽部材の基層202として厚さ50μmのPETフィルムが使用され、その現像ローラ側の前記導電性層は、基層202の一方の表面の表面積の50%となるように設けられたアルミ蒸着層201である。この遮蔽部材では、例えば基層202表面の表面抵抗率は4.0×1017Ω/□であり、アルミ蒸着層201の表面抵抗率は1.5Ω/□である。
遮蔽部材のドラム側表面の表面抵抗率が1013Ω/□以上1018Ω/□以下である理由は、ドラム上の電荷がリークするのを防ぐ必要があるのと、前記遮蔽部材をドラムに接するように配置して掃き寄せやトナー飛散を最大限に抑制することが可能となるからである。
また、現像ローラ側表面の表面抵抗率が10−1Ω/□以上103Ω/□以下である理由は、前記遮蔽部材が現像領域内に挿入される為に、どうしても遮蔽部材上にトナーが蓄積されてしまう事から、前記遮蔽部材上にトナーが静電凝集しないようにする為である。このことから、現像ローラ側表面は一部分でも表面抵抗率が10−1Ω/□以上103Ω/□以下であれば遮蔽部材上でのトナーの静電凝集が抑制される為、有効である。
これらの理由により、前記遮蔽部材の構成としては、現像領域に挿入された部分のドラム側表面は全て絶縁性弾性部材、現像ローラ側表面は全て導電性部材となることが最も好ましい。
更に、トナーの蓄積を抑制するために、表面抵抗率が1013Ω/□以上1018Ω/□以下の部分にトナーと同電位を印加したり、AC電界をかけて遮蔽部材を振動させ、トナーの蓄積を最小限に抑えることが可能である。また、振動させる事においては、ギア等と連動させて遮蔽部材を振動させ、トナーの凝集を防ぐ事も有効である。遮蔽部材の振動は、遮蔽部材へのトナーの付着及び蓄積を防止するのに適当な振幅や周波数であれば特に
限定されない。
本発明のトナーを用いる現像工程や画像形成方法を行うための装置には、前述した静電潜像担持体、現像剤担持体、及び遮蔽部材を少なくとも有する画像形成装置を用いることができるし、また前述した静電潜像担持体、現像剤担持体、及び遮蔽部材を少なくとも有する画像形成ユニットを用いることができる。この画像形成ユニットは、具体的にはドラムと現像ローラと、その間にある遮蔽部材が上述のように配置されているものであり、尚且つ本発明のトナーが現像ローラに供給可能な状態であることを指す。画像形成ユニットにおけるドラムや現像ローラ、遮蔽部材は、それぞれ着脱可能でも、一体構成でも、現像時に前記のように配置されていれば良い。
本発明のトナーを用いる現像工程や画像形成方法は、上記要件を満たしている画像形成装置や画像形成ユニットであれば様々な形態において使用可能である。例えば、複写機やプリンター、FAX等の本体に一体化されている現像装置でも、ドラムとクリーナー、現像ローラ、トナー貯蔵容器が一体化されたプロセスカートリッジでも、現像ローラとトナー貯蔵容器を一体化したプロセスカートリッジとドラムユニットが別々になっている現像装置等のいずれの形態であっても、前述したトナー、ドラム、現像ローラ、及び遮蔽部材の要件を満足する装置であればいずれでも使用可能である。
本発明のトナーを用いる画像形成方法に用いられる画像形成ユニットの一例を図1に示す。
この画像形成ユニットは、トナーを収容するトナー容器1と、トナー容器1の開口部に回転自在に設けられトナー容器1中のトナーを担持するための現像ローラ4と、現像ローラ4に担持されたトナーを規制して現像ローラ4の表面にトナー層を形成するための層厚規制部材3と、トナー容器1に収容されているトナーを現像ローラ4に供給するためのトナー供給ローラ2と、現像ローラ4に対して所定の間隔αを介して対向して配置される静電潜像担持体であるドラム5と、現像ローラ4に交番電界を印加するためのバイアス印加手段6と、現像ローラ4の回転方向の上流側であり、またドラム5の回転方向の上流側から、現像ローラ4及びドラム5が対向する現像領域に延出する遮蔽部材7とを有する。
図1では非磁性一成分トナーTがトナー容器1に収納されていて、トナー供給ローラ2は現像ローラ4にトナーを供給すると同時に、現像ローラ4上の転写残のトナーを掻き取っている。現像ローラ4に供給されたトナーは層厚規制部材3によって現像ローラ4上に適度に薄層化され、同時に現像ローラ4上のトナー粒子を均一に帯電させる。現像ローラ4にはバイアス印加手段6によって直流電圧と交流電圧の重畳電界がかけられ、現像ローラとドラムの間αの間をトナーが飛翔してドラム5上の静電潜像が現像される。このとき、現像ローラとドラムの間αには遮蔽部材7が設置されていて、トナー飛散や掃き寄せに対する予防作用を更に良化させている。
このような画像形成ユニットはブラック単色のみの画像形成装置にも使用可能であるが、非磁性トナーということもあり、フルカラーのマシンに好適に用いる事ができる。このとき、画像形成装置はタンデム型のような、画像形成ユニットが直列に配置されたものでも、ドラムを一つだけ使用するロータリー型でも、中間転写を用いるものでも、本発明における非磁性一成分ジャンピング現像を実現できる構成のものであれば好適に使用する事が可能である。
前記画像形成ユニットは、前述したドラム、現像ローラ、及び遮蔽部材以外の他の構成要素をさらに有していても良い。このような他の構成要素としては、例えば静電潜像担持体を帯電させる帯電装置が挙げられる。
前記帯電装置には、コロナ放電の様に非接触でドラム表面を帯電させる非接触帯電方式のものと、ローラ状部材等をドラムに接触させ、これに電圧を印加してドラム表面を帯電させる接触帯電方式ものとに分かれる。前記帯電装置には、接触してドラム表面を帯電させる帯電部材を有することが好ましい。このような構成によれば、放電によってドラムの表面を帯電させる際のオゾンの発生を防止することができ、またより低い電圧でのドラムの表面の帯電が可能である。したがって、環境面及び省電力化及びドラムの劣化防止の観点から好ましい。
このような帯電部材としては、例えば芯金と、この芯金周面に形成される導電性の弾性層とを有する帯電ローラや、導電性スリーブと、この導電性スリーブ周面に磁力を発生させるマグネットロール等の磁力発生手段と、導電性スリーブ上に担持される導電性の磁性粒子とを有する磁気ブラシ帯電部材等の、公知の接触帯電部材が用いられる。
また、本発明のトナーは、ドラム上の転写残トナーを現像ローラを介してトナー容器に収容してドラム上から除去するクリーナーレスシステムにも好適に用いることが可能である。また一方で、前記画像形成ユニットには、前述した他の構成要素として、ドラムに接触して設けられドラム上の転写残トナーを除去するクリーニング部材を有することも可能である。このような構成によれば、一つの画像形成プロセスが終了し、次の画像形成プロセスが始まる前に、ドラム表面をクリーニングすることができ、帯電不良や潜像形成の阻害等に伴う画像不良を防止する上で好ましい。
このようなクリーニング部材としては、例えばゴム等の弾性ブレードや、回転自在なロール状のブラシ部材、弾性層によって表面が形成されるロール部材等、公知のクリーニング部材が用いられる。クリーニング部材は、一般に、ドラムに向けて開口する廃トナー容器の開口部に設けられ、除去した転写残トナーを廃トナー容器内に収容する。
前記画像形成ユニットのトナー供給部材(トナー供給ローラ)は、ブレード(層厚規制部材)の現像ローラの表面との当接部に対し現像ローラの回転方向上流側に当接され、かつ回転可能に支持されている。この構造としては、発泡骨格状スポンジ構造や芯金上にレーヨン、ナイロン等の繊維を植毛したファーブラシ構造のものが、現像ローラへのトナーの供給および未現像トナーの剥ぎ取りの点から好ましい。その中でも、材質としてはシリコーンゴム、ウレタンゴム、SBRゴム等のゴム部材やポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のプラスチックからなる基材を発泡させ、導電性を付与した発泡弾性体によるトナー供給ローラ等が好適に用いられる。このトナー供給ローラの現像ローラに対する当接幅としては、1〜8mmが好ましく、また現像ローラに対してその当接部において相対速度を持たせることがより好ましい。
前記画像形成ユニットのトナーを収容する容器に関しては、トナー容器に収容されているトナーを攪拌し、またトナー供給ローラに向けて搬送する攪拌装置やトナー供給ローラを具備したものであっても良いし、後からトナーの補給が可能となっている構成のものでも良く、公知のものが使用可能である。
また、前記画像形成ユニットや画像形成装置には、前述した他の構成要素として、帯電した静電潜像担持体に形成すべき画像に応じたレーザー等の光を照射して静電潜像を形成する静電潜像形成装置(露光装置)や、静電潜像担持体に形成されたトナー像を転写材に転写する転写装置や、転写後又はクリーニング後の静電潜像担持体に、静電潜像担持体の静電履歴を消去するための光を照射するための前露光装置や、転写材に転写されたトナー像を転写材に定着させるための定着装置等を有していても良い。これらの装置には、画像形成装置の構成要素として公知の各種装置を用いることができる。
次に、本発明のトナーが用いられる画像形成方法又は現像工程において使用される構成と本発明が解決する課題との関係について詳細に説明する。
まず、「掃き寄せ」の発生原因に関しては以下のように考えている。
図2の現像時において、トナーは電気力線Hに沿ってドラムと現像ローラの間を飛翔するが、そのときに現像領域bとcのところでは、トナーはドラムから現像ローラ、現像ローラからドラムへのベクトルの他に現像領域外へ向かうベクトルも持ち、何度も往復するうちにトナーは現像領域の端部に集まってしまう。但しこのとき、ドラムの進行方向(現像ローラの進行方向)は矢印のようになっている為、現像領域cのところではトナーが集まることは無い。
ところが、現像領域bのところにおいて、静電潜像での画像の末端が通過する際には、その画像末端にトナーが集中してしまう為に、掃き寄せという画像欠陥が発生すると考えられる。そのために遮蔽部材を現像領域のd方向からfの範囲に先端が来るように設置することにより掃き寄せが解消されていると考えている。そのとき、遮蔽部材の設置位置はドラムに近ければ近いほど掃き寄せ防止に効果がある。
更に付帯効果として、現像領域が減少するためか、SDギャップ間の乱気流が抑制される為かは不明であるが、本遮蔽部材を設置することによりカブリ、トナー飛散、雨降りの防止機能が若干良化する。
しかしながら弊害として、現像領域が減少することによる画像濃度薄や、遮蔽部材へのトナー付着が発生し、その付着によるボタ落ちや縦スジ等の画像弊害が発生しやすい。この「縦スジ」は遮蔽部材上に付着したトナーが塊となって現像ローラ上に均一にコートされたトナーを規制してしまう為に画像上に薄く白いスジ状に現れるものであって、トナー塊の位置によって画像上の白スジ発生個所も変わるものである。「ボタ落ち」は前記トナー塊が画像上に落ちたものである。
「トナー飛散」に関しては、トナー飛散は通常の接触現像でも発生するが、特にジャンピング現像においては、もともとトナーを飛翔させて現像する方式である事や、交流電界が現像時に働く為に、トナー飛散が非常に発生し易い。また、ジャンピング現像は、トナーを飛翔させる為、トナーの帯電分布や粒度分布が均一であることが必要であり、更に、環境変化や、現像初期と末期でのトナーの帯電量の変化が少ない事も必要である。
「画像濃度薄」に関しては、ひとつは遮蔽部材を現像領域に挿入しているために起こるもので、全体的に画像濃度が低下する。もうひとつは画像を出していくにつれてトナーの帯電量が増加する事により、同じ電荷量で現像していても、それに使われるトナー量が少なくなる為に濃度が出なくなっていく、いわゆるチャージアップ現象である。これは環境湿度が低いと顕著になる。この問題点は、濃度が低下するというものだが、さらに悪いことには、画像濃度が低下すると掃き寄せが顕在化し易いことであり、掃き寄せを改善するには画像濃度薄の問題も改善しなくてはならない。
「カブリ」に関しては、トナー劣化やトナーへの帯電付与が悪くなったりした時に、十分に帯電されないトナーがドラム上の非画像部で現像してしまう為に発生するものである。
「雨降り」に関しては、ドラム上の転写残トナーが十分にクリーニングされずに、画像部のドラム1周分経過した後の位置に雨が降ったようにトナーが現像されるものであって、いわゆるドラム融着の軽微なものと考えている。これはトナーの帯電量が高すぎたり、
外添剤等のクリーニング部材をすり抜けやすいものの影響によるものと考えられる。
これらの弊害に対して、本発明は、現像領域内には前記静電潜像担持体上流側の現像領域に向かって設定された遮蔽部材であって、現像領域に配置される静電潜像担持体側の表面の表面抵抗率が1013Ω/□以上1018Ω/□以下であり、現像剤担持体側の表面の少なくとも一部分の表面抵抗率が10−1Ω/□以上103Ω/□以下である遮蔽部材を用いることによって、また前記現像剤は少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤を含有するトナー粒子と無機微粒子とを少なくとも有する非磁性一成分現像剤において、前記非磁性一成分現像剤は比誘電率が1.5以上8.0以下かつ、誘電正接tanδ×1000の値が1.5以上7.0以下とする事によって改良した。
上記構成によれば、掃き寄せは遮蔽部材で改善できる。この時、遮蔽部材を使用しなければ画像後端にトナーが集まる事は困難であり、掃き寄せを改善するには画像濃度を極端に濃くしたり、SDギャップを極端に狭くするなどの、掃き寄せを目立たなくする方法が通常は採用される。よって遮蔽部材を使用することによる掃き寄せ改善は非常に効果がある。
しかしながらが、遮蔽部材を使用することの弊害として、現像領域に遮蔽部材が入る事によって現像できるトナーが減り、画像が濃度薄の傾向になることと、遮蔽部材にトナーが凝集していき、その凝集塊によって現像ローラ上の規制されたトナー層が乱され、画像上に白く太い縦スジが発生すること、前記凝集塊が落ちて画像上にボタ落ちが発生するという画像弊害が起こる。
画像濃度薄に関しては程度が酷くない事もあり、トナー内の色剤の分散性を上げ、記録材上でトナーが熱融着しやすくする事で、カブリやトナー飛散を悪化させる事無く改善できる。この時、単純に現像バイアスを上げるという様な、トナーを多く現像するような手法をとると、カブリやトナー飛散が悪化することがある。従ってこの時一番問題となるのが縦スジとボタ落ちの改善である。
本発明においては、遮蔽部材の現像ローラ側を導電性とすることで、遮蔽部材表面でのトナーの静電凝集が抑制される。また、トナー粒子の比誘電率を1.5〜8.0かつ、誘電正接tanδ×1000を1.5〜7.0とすることで現像での弊害を抑えつつ、トナーと遮蔽部材、またトナー同士の遮蔽部材上での静電凝集を抑制することができる。
また、トナーの比誘電率と誘電正接tanδ×1000を上記の範囲に調整すると、画出しを続けていてもトナー粒子の帯電量がほぼ一定に制御できるので、カブリやトナー飛散の抑制に有効である。更に、トナーの帯電が高くなりすぎたりしないので、雨降り抑制にも効果がある。
遮蔽部材に関しては、現像ローラやドラムの回転による気流を抑制するためにトナー飛散を起こさせない効果があり、そのために雨降り発生も抑制される。また、ドラム側は絶縁性のため、ドラム上の電荷のリークを防ぎつつドラムに接するように遮蔽部材を設定でき、気流をより一層抑制することも出来る。
但し、遮蔽部材は現像領域に挿入されている為、トナーが遮蔽部材上に蓄積されやすい。これは特に高印字で画出しをしている時に顕著に現れて、5%程度の印字率では問題なくても、それより高い印字率ではトナーが蓄積して、縦スジやボタ落ちを発生し易くなる。
これに対しては遮蔽部材の現像ローラ側表面を導電性にする事、トナー粒子の比誘電率
を1.5〜8.0とすること、及び誘電正接tanδ×1000を1.5〜7.0とすることにより、縦スジやボタ落ちを抑制できる。さらに遮蔽部材をAC電圧や駆動ギア等に連動させて振動させて遮蔽部材上のトナー蓄積を抑制すると、より効果的である。
以上により、本発明によれば、掃き寄せは主に遮蔽部材による現像領域の限定により主に改善され、トナー飛散に関しては遮蔽部材の気流抑制効果とトナーの帯電性により主に改善されている。また、カブリはトナーの帯電均一性により主に改善され、ボタ落ちは遮蔽部材二層構成による遮蔽部材上トナーの静電凝集抑制効果とトナーの帯電均一性により主に改善されている。また、画像濃度薄に関してはトナーの帯電均一性と軟化による濃度アップにより主に改善され、雨降りに関しては遮蔽部材の飛散防止効果とトナーの帯電均一性、外添剤付着性により主に改善されている。また、縦スジは遮蔽部材二層構成による遮蔽部材上トナーの静電凝集抑制効果とトナーの帯電均一性により主に改善されている。
以下、本発明を製造例及び実施例により具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。なお、以下の配合における部数は全て質量部である。
(着色剤の製造例)
C.I.ピグメントイエロー17顔料の製造工程において、顔料化する直前の溶液にロジン(荒川化学工業社製KE−100)を顔料に対して10質量%添加し、その後塩化カルシウムを顔料に対して25質量%添加して顔料を沈降させ、脱水・乾燥してロジン処理顔料(Y顔料1)を得た。同様にC.I.ピグメントブルー15:3を使ってC顔料1を、C.I.ピグメントレッド122を使ってM顔料1を作製した。カーボンブラックに関しても、上記と同様に、ファーネスブラック(デグサ社製プリンテックス(同社の登録商標)L6)の水分散液にロジンを10質量%添加して分散し、その後塩化カルシウムを25質量%添加してカーボンブラックをロジン処理し、脱水・乾燥してロジン処理顔料(BK顔料1)を得た。
(トナーA製造例)
イオン交換水400質量部に、0.1M−Na3PO4水溶液450質量部を投入し、50℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、10,000rpmにて撹拌した。これに1.0M−CaCl2水溶液68質量部を添加し、リン酸カルシウム塩を含む水系媒体を得た。
一方、
スチレン 80質量部
n−ブチルアクリレート 20質量部
Y顔料1 5質量部
飽和ポリエステル(酸価10mgKOH/g、ピーク分子量(Mp)11,000)
10質量部
エステルワックス(DSCのメインピーク=66℃) 12質量部
サリチル酸アルミニウム化合物(ボントロンE−84:オリエント化学工業社製)
1質量部
ジビニルベンゼン(以下、DVBともいう) 0.1質量部
上記処方を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、5,000rpmにて均一に溶解・分散した。これに、重合開始剤t−ブチルパーオキシピバレート5.5質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、これを、60℃(反応温度1)、N2雰囲気下において、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)にて10,000rpm
で撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。
その後、重合性単量体組成物を造粒させた分散系をパドル撹拌翼で撹拌しつつ、5時間経過時に昇温速度40℃/Hrで80℃に昇温し、5時間反応させた(反応温度2)。重合反応終了後、前記分散系から減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、前記分散系に塩酸を加えpHを1.4にし、6時間撹拌することで燐酸カルシウム塩を溶解した。この後、ろ過、イオン交換水による水洗、乾燥をして、トナー粒子aを得た。
このトナー粒子a100質量部に対し、疎水性シリカ微粉体(アエロジル社製R972)1.5質量部、酸化チタン(平均一次粒径0.27μm、ルチル型)0.2質量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で5分間乾式混合して、本発明のYトナーAとした。表1にトナーの物性値を示す。
同様に顔料をM顔料1としたものをMトナーA、C顔料1としたものをCトナーA、BK顔料1としたものをBKトナーAとした。MトナーA、CトナーA、及びBKトナーAの物性値はYトナーAと同じである。
(トナーB製造例)
上記YトナーA製造例において、Y顔料1のロジン処理を15質量%とした事以外は同様にして、YトナーBを作製した。トナーの物性値を表1に示す。
(トナーC製造例)
前記YトナーA製造例において、Y顔料1のロジン処理を20質量%とした事以外は同様にして、YトナーCを作製した。トナーの物性値を表1に示す。
(トナーD製造例)
前記YトナーA製造例において、Y顔料1のロジン処理を5質量%とし、重合開始剤として2,2‘−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を使用したこと以外は同様にして、YトナーDを作製した。トナーの物性値を表1に示す。
(トナーE製造例)
前記YトナーA製造例において、Y顔料1のロジン処理を無くし、重合開始剤として2,2‘−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を使用したこと以外は同様にして、YトナーEを作製した。トナーの物性値を表1に示す。
(トナーF製造例)
前記YトナーA製造例において、飽和ポリエステルを15質量部とした事以外は同様にして、YトナーFを作製した。トナーの物性値をは表1に示す。
(トナーG製造例)
前記YトナーA製造例において、飽和ポリエステルを20質量部とした事以外は同様にして、YトナーGを作製した。トナーの物性値を表1に示す。
(トナーH製造例)
前記YトナーA製造例において、飽和ポリエステルを5質量部とし、重合開始剤として2,2‘−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を使用したこと以外は同様にして、YトナーHを作製した。トナーの物性値をは表1に示す。
(トナーI製造例)
前記YトナーA製造例において、飽和ポリエステルを使用せず、重合開始剤として2,
2‘−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を使用したこと以外は同様にして、YトナーIを作製した。トナーの物性値をは表1に示す。
(トナーJ製造例)
前記YトナーA製造例において、DVBを0.3質量部とした事以外は同様にして、YトナーJを作製した。トナーの物性値を表1に示す。
(トナーK製造例)
前記YトナーA製造例において、DVBを0.2質量部とした事以外は同様にして、YトナーKを作製した。トナーの物性値を表1に示す。
(トナーL製造例)
前記YトナーA製造例において、DVBを0.05質量部とした事以外は同様にして、YトナーLを作製した。トナーの物性値を表1に示す。
(トナーM製造例)
前記YトナーA製造例において、DVBを使用しなかった事以外は同様にして、YトナーMを作製した。トナーの物性値を表1に示す。
(トナーN製造例)
スチレン−アクリル酸ブチル共重合体(重合開始剤:t−ブチルパーオキシピバレート)
(重量平均分子量(Mw):12万 数平均分子量(Mn):7,000 St/BA:80/20 融点(Tm):125℃) 100質量部
Y顔料1 5質量部
ステアリン酸ステアリルワックス(DSCのメインピーク=60℃) 10質量部
サリチル酸アルミニウム化合物(ボントロンE−84:オリエント化学工業社製)
2質量部
上記材料を予備混合した後に、130℃に設定した二軸混練押し出し機(東洋精機製作所製)によって溶融混練を行った。得られた混練物を冷却後、粗粉砕をし、得られた粗粉砕物をジェット気流を用いた粉砕機(ホソカワミクロン社製)によって微粉砕をし、得られた微粉砕物を更にDS分級機(日本ニューマチック工業社製)を用いて分級し、得られた分級品を最後にハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所製)で5分間の球形化処理を行い、トナー粒子を作った。このトナー粒子100質量部に対し、疎水性シリカ微粉体(アエロジル社製R972)1.5質量部、酸化チタン(平均一次粒径0.27μm、ルチル型)0.2質量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で5分間乾式混合して、トナーNを得た。トナーの物性値を表1に示す。
(トナーO製造例)
前記YトナーA製造例において、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)での乾式混合時間を15分にしたこと以外は同様にして、YトナーOを作製した。トナーの物性値を表1に示す。
(トナーP製造例)
前記YトナーA製造例において、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)での乾式混合時間を1分にしたこと以外は同様にして、YトナーOを作製した。トナーの物性値を表1に示す。
(トナーQ製造例)
前記YトナーA製造例において、重合開始剤として2,2‘−アゾビス(2,4−ジメ
チルバレロニトリル)を使用したこと以外は同様にして、YトナーQを作製した。トナーの物性値を表1に示す。
<実施例1>
評価機として、LBP−2510(キヤノン社製)を以下のように改造したものを使用した。評価機の現像器の構成に関しては、オリジナルのカートリッジに対して、図1のように、現像ローラ4上に装着されている帯電補助ローラ(不図示)を外し、トナーAを200g充填した。また、現像ローラ4の左右についているコロの直径を大きいものに変更し、現像ローラ4とドラム5間のSDギャップαを270μmとした。更に、現像ローラ4には直流と交流の重畳電圧をかけ、ジャンピング現像を行った。また、そのときの交番電界はピーク間の電圧で1,800V、周波数3,300Hzとした。
また、遮蔽部材7は、図3の様な構成で、基材を厚さ50μmのPETフィルム(表面抵抗率4×1017Ω/□)とし、現像ローラ側に、現像領域側より表面積の50%をアルミ蒸着したもの(表面抵抗率1.5×100Ω/□)を使用した。現像ローラの駆動ギアに遮蔽部材7を連動させて(不図示)、遮蔽部材7が振動するように設定した。
試験環境に関しては、常温常湿環境(23℃、60%RH)の環境とした。試験内容は、上記試験環境において、10%の印字比率の画像を3,000枚までプリントアウトし、その際、初期と100枚ごとに、白色画像を現像したベタ白画像、ベタ画像、ハーフトーン画像及びそれらの複合画像を出力した。試験の評価については、その画像上の掃き寄せ、トナー飛散、画像濃度薄、ボタ落ち、縦スジ、雨降り、カブリの評価を行った。結果を表2に示す。
尚、画像の評価は以下のように判断した。
(1)掃き寄せ
A:非常に良好 全く発生せず
B:良好 濃度差は認められるものの、目視で違和感の無いもの
C:実用上問題なし よく見れば分かるもの
D:やや難あり 目視ですぐ判別できるもの
(2)トナー飛散
A:非常に良好 全く飛散せず
B:良好 僅かに飛散している(凝視しないと見にくいレベル)
C:実用上問題なし トナーが飛散しているのが目視で確認できるレベル
D:やや難あり 現像カートリッジ周辺にトナーが飛散している
(3)画像濃度薄
通常の複写機用普通紙(75g/m2)の転写材を用いて、画出し試験においてベタ画像を出力し、その濃度を5点平均で測定することにより評価した。尚、画像濃度は「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分の画像に対する相対濃度を測定した。
A:非常に良好 1.40以上
B:良好 1.25以上、1.40未満
C:実用上問題なし 1.10以上、1.25未満
D:やや難あり 1.10未満
(4)ボタ落ち
A:非常に良好 全く発生せず
B:良好 目視でかすかなトナー塊の跡が全評価工程で数枚までのもの
C:やや難あり 目視で明らかなトナー塊の跡が全評価工程で数枚発生しているものや、かすかなものが多数発生しているもの
D:使用不可 明らかなトナー塊の跡が5枚以上あるもの
(5)縦スジ
A:非常に良好 全く発生せず
B:良好 目視でかすかなスジ状のムラが数本のもの
C:やや難あり 目視で薄くではあるが、全体が縦スジ状にムラになっているもの
D:使用不可 濃いスジ状のムラが発生しているもの。
(6)雨降り
A:非常に良好 全く発生せず
B:良好 目視でかすかな雨状スジが数本のもの
C:やや難あり 目視で明らかに分かる程度の雨状スジが数本のもの
D:使用不可 雨状スジが多数存在するもの
(7)カブリ
プリントアウト画像の白地部分の白色度に対する前記白地部分の白色度と転写紙の白色度との差の割合であるカブリ濃度(%)を算出し、耐久評価終了時の画像カブリを評価した。プリントアウト画像の白地部分の白色度及び転写紙の白色度は、「REFLECTMETER MODEL TC−6DS」(東京電色社製)により測定した。フィルターは、シアンの場合はアンバーライト、イエローの場合はブルー、マゼンタ及びブラックではグリーンフィルターを用いた。
A:非常に良好 0.5%未満
B:良好 0.5%以上乃至1.0%未満
C:実用上問題なし 1.0%以上乃至1.5%未満
D:やや難あり 1.5%以上
<実施例2>
トナーAの代わりにトナーBを使用すること以外は実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
<実施例3>
トナーAの代わりにトナーDを使用すること以外は実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
<実施例4>
トナーAの代わりにトナーFを使用すること以外は実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
<実施例5>
トナーAの代わりにトナーHを使用すること以外は実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
<実施例6>
トナーAの代わりにトナーJを使用すること以外は実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
<実施例7>
トナーAの代わりにトナーKを使用すること以外は実施例1と同様に評価した。結果を
表2に示す。
<実施例8>
トナーAの代わりにトナーLを使用すること以外は実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
<実施例9>
トナーAの代わりにトナーMを使用すること以外は実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
<実施例10>
トナーAの代わりにトナーNを使用すること以外は実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
<実施例11>
トナーAの代わりにトナーOを使用すること以外は実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
<実施例12>
トナーAの代わりにトナーPを使用すること以外は実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
<実施例13>
トナーAの代わりにトナーQを使用すること以外は実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
<実施例14>
トナーAを使用し、遮蔽部材7を振動しないように設定した以外は実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
<実施例15>
BKトナーのみLBP−2510(キヤノン社製)用のトナーを使用し、M、C、YはトナーAを使用したこと以外は実施例1と同様に評価した。なお、前記LBP−2510(キヤノン社製)用のトナーは、比誘電率=2.5、tanδ×1000=3.5、MI=9.0、遊離率=2.9であった。結果を表2に示す。
<比較例1>
トナーAの代わりにトナーCを使用すること以外は実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
<比較例2>
トナーAの代わりにトナーEを使用すること以外は実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
<比較例3>
トナーAの代わりにトナーGを使用すること以外は実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
<比較例4>
トナーAの代わりにトナーIを使用すること以外は実施例1と同様に評価した。結果を
表2に示す。
<比較例5>
遮蔽部材7を取り除いた事以外は実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
<比較例6>
遮蔽部材7を厚さ70μmのPETフィルムにしたこと以外は実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
<比較例7>
遮蔽部材7を厚さ100μmのSUS板にして実施例1と同様に評価したところ、ドラム上の電荷がリークし、画像が激しくムラになった。