JP2006300920A - ガスセンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】第1絶縁碍子及び第2絶縁碍子の破損の発生を防ぐことができるガスセンサを提供すること。
【解決手段】被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するセンサ素子2と、該センサ素子2を挿嵌保持する第1絶縁碍子11と、該第1絶縁碍子11の基端面110に先端面120を当接して配置されると共にセンサ素子2の基端部22を覆う第2絶縁碍子12と、第1絶縁碍子11を嵌入保持するハウジング10とを有するガスセンサ1。第1絶縁碍子11の基端面110と第2絶縁碍子12の先端面120との少なくとも一方は、平面状の研削面3を有する。該研削面3において、基端面110と先端面120とが接触している。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の燃焼制御等に利用するガスセンサに関する。
内燃機関の燃焼制御に利用されるガスセンサ9として、図17に示すごとく、ハウジング90と、これに挿通配置されると共に内部にセンサ素子8を挿入配置可能に構成した第1絶縁碍子91と、該第1絶縁碍子91の基端面910に当接して配置された第2絶縁碍子92とよりなるものが知られている。
上記第1絶縁碍子91及び上記第2絶縁碍子92は通常、絶縁性セラミック材料より構成されている。セラミック部材の成形密度のバラツキ、焼成時の受熱量のバラツキ等により、セラミックには焼成の際に部位による収縮率のバラツキが生じてしまう。そのため、微視的に見ると、上記第1絶縁碍子91の基端面910と第2絶縁碍子92の先端面920とに波状のうねりが発生してしまう。
このうねりにより、上記第1絶縁碍子91と上記第2絶縁碍子92との当接部93と、上記第1絶縁碍子91の受け面である環状パッキン94とが、上記ガスセンサ9の軸方向における同一軸線上に位置しなくなる場合がある。その結果、上記第1絶縁碍子91に曲げ応力(引張応力)が発生し、これが原因となって上記第1絶縁碍子91が破損してしまうおそれがある。
そのため、上記当接部93が、ハウジング90の碍子受け面900に配設された環状パッキン94の外形を上記ガスセンサ9の軸方向に、第1絶縁碍子91の基端面910へ投影した投影範囲T内に位置しているガスセンサ9が提案されている(特許文献1参照)。該ガスセンサ9によれば、環状パッキン94に対する上記当接部93の水平方向(上記ガスセンサ9の軸方向に直交する方向)のズレを防止することができるため、上記第1絶縁碍子91に加わる曲げ応力を極小とすることができる。それ故、上記第1絶縁碍子91の破損が生じにくいガスセンサ9を得ることができる。
しかしながら、上記ガスセンサ9は、上記うねりが除去されているわけではないため、当接部93を微視的に見ると、うねりの山同士における曲面と曲面との接触であり、この微小な当接部93にて荷重を受けることとなる。これにより、上記第1絶縁碍子91又は上記第2絶縁碍子92が破損してしまうおそれがある。
また、セラミック部材の表面やその近傍には、気孔、微小亀裂等の潜在的欠陥が多数あるため、上記第1絶縁碍子91の基端面910や上記第2絶縁碍子92の先端面920にも、気孔、微小亀裂等の潜在的欠陥が多数存在することとなる。それ故、この潜在的欠陥部分に荷重がかかると、この潜在的欠陥を起点として、第1絶縁碍子91や第2絶縁碍子92が破損してしまうおそれがある。
特開2001−343355号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、第1絶縁碍子及び第2絶縁碍子の破損の発生を防ぐことができるガスセンサを提供しようとするものである。
本発明は、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するセンサ素子と、該センサ素子を挿嵌保持する第1絶縁碍子と、該第1絶縁碍子の基端面に先端面を当接して配置されると共に上記センサ素子の基端部を覆う第2絶縁碍子と、上記第1絶縁碍子を嵌入保持するハウジングとを有し、
上記第1絶縁碍子の上記基端面と上記第2絶縁碍子の上記先端面との少なくとも一方は、平面状の研削面を有し、
該研削面において、上記基端面と上記先端面とが接触していることを特徴とするガスセンサにある(請求項1)。
次に、本発明の作用効果につき説明する。
上記第1絶縁碍子の上記基端面と上記第2絶縁碍子の上記先端面との少なくとも一方は、平面状の上記研削面を有している。そして、この研削面において上記基端面と上記先端面とが接触している。これにより、上記基端面と上記先端面との接触面積が極小となることを防ぐことができ、上記第1絶縁碍子と上記第2絶縁碍子との間の局所的な応力の集中を回避することができる。即ち、上記基端面と上記先端面との双方にうねりが形成された場合、これらのうねりの山同士が当接することにより、上記基端面と上記先端面とが微小面積において接触するという不具合を回避することができる。
そのため、上記第1絶縁碍子の基端面と上記第2絶縁碍子の先端面との当接部に過大な応力が作用することを防ぐことができ、上記第1絶縁碍子及び上記第2絶縁碍子の破損の発生を防ぐことができる。
また、上記研削面は、上記第1絶縁碍子の基端面又は上記第2絶縁碍子の先端面を研削することにより得られたものであるため、セラミック部材の表面又はその近傍に多数形成されやすい気孔、微小亀裂等の潜在的欠陥を除去することができる。したがって、気孔、微小亀裂等の潜在的欠陥に起因する上記第1絶縁碍子又は上記第2絶縁碍子の破損の発生を防ぐことができる。
以上のごとく、本発明によれば、第1絶縁碍子及び第2絶縁碍子の破損の発生を防ぐことができるガスセンサを提供することができる。
本発明(請求項1)において、上記ガスセンサは、内燃機関の排気系に設置して内燃機関の燃焼制御に利用される酸素センサ、空燃比センサ、及びNOxセンサ等の多くのセンサに対し適用することができる。
また、上記第1絶縁碍子の基端面及び上記第2絶縁碍子の先端面の直径は、例えば、それぞれ15mm、17mm程度とすることができる。
また、上記第1絶縁碍子及び上記第2絶縁碍子の材料として、例えば、Al23等の絶縁性のセラミック材料等を用いることができる。
また、上記研削面は、ラップ盤又は研削機を用いて形成することができる。
本明細書においては、上記ガスセンサにおいて、排気管等に挿入する側を先端側とし、その反対側を基端側として説明する。
上記研削面は、上記第1絶縁碍子の上記基端面及び上記第2絶縁碍子の上記先端面に形成してなることが好ましい(請求項2)。
この場合には、上記研削面は、上記第1絶縁碍子の基端面及び上記第2絶縁碍子の先端面を研削することにより得られたものであるため、上述した研削面形成の効果をより確実に発揮することができる。即ち、この場合には、上記第1絶縁碍子の基端面と上記第2絶縁碍子の先端面とは、互いに平面同士で接触することとなるため、広い接触面積を有することとなる。そのため、当接面にかかる荷重を分散することができ、第1絶縁碍子及び第2絶縁碍子の破損の発生をより確実に防ぐことができる。
上記研削面は、上記ガスセンサの径方向に沿った長さが0.5mm以上であることが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記基端面と上記先端面との接触面積が極小となることを充分に防ぐことができるため、上述した研削面形成の効果を充分に発揮することができる。
一方、上記長さが0.5mm未満の場合には、上述した研削面形成の効果を充分に発揮することが困難となるおそれがある。
また、任意の方向に計測した上記研削面の凹凸のプロファイルを計測方向に沿って0.5mm毎の小領域に区切り、各小領域におけるそれぞれの最高点を繋いで包絡うねり曲線を得たとき、該包絡うねり曲線のうねり幅が5μm以下であることが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記研削面が充分な平面度を有することとなり、上述した研削面形成の効果を充分に発揮することができる。即ち、上記のうねり幅であれば、上記第1絶縁碍子と上記第2絶縁碍子との当接部に荷重がかかったとき、うねりの山がわずかに変形するだけで面接触の状態となる。そのため、上記第1絶縁碍子の基端面と上記第2絶縁碍子の先端面との間の局所的な応力の集中を充分に回避することができる。
一方、上記うねり幅が5μmよりも大きい場合は、上述した研削面形成の効果を充分に発揮することが困難となる。即ち、上記基端面と上記先端面との間の局所的な応力の集中が回避される面接触の状態となる前に、上記第1絶縁碍子又は上記第2絶縁碍子に破損が発生してしまうおそれがある。
上記第1絶縁碍子の基端面には、先端側に後退した凹部が形成されており、上記第2絶縁碍子の先端面には、上記凹部に嵌合可能な凸部が形成されており、上記第1絶縁碍子と上記第2絶縁碍子とは、上記凹部と上記凸部とを嵌合させた状態で上記基端面と上記先端面とを当接させていることが好ましい(請求項5)。
この場合には、本発明の効果を充分に発揮することができる。
上記凹部と上記凸部とは、上記第1絶縁碍子及び上記第2絶縁碍子の位置決めをするために形成される。ここで、上記基端面と上記先端面とに、それぞれ上記凹部と上記凸部とを形成する場合には、上記第1絶縁碍子及び上記第2絶縁碍子の内部の粒子密度にバラツキが比較的生じ易い。そのため、上記第1絶縁碍子及び上記第2絶縁碍子の部位によっては、焼成の際の収縮率が不均一となり、上記基端面や上記先端面にうねりが形成されたり、セラミック部材の表面又はその近傍に気孔、微小亀裂等の潜在的欠陥が形成されたりし易い。
即ち、上記のように上記凹部と上記凸部とが形成されているガスセンサにおいては、上記研削面を形成しないと、上記基端面と上記先端面とが当接することにより上記第1絶縁碍子及び上記第2絶縁碍子に破損が発生するおそれがある。したがって、特に上記凹部と上記凸部とを有するガスセンサにおいては、上記研削面形成の効果を充分に発揮することができる。
(実施例1)
本発明の実施例にかかる内燃機関の燃焼制御等に利用するガスセンサにつき、図1〜図
5を用いて説明する。
本例のガスセンサ1は、自動車エンジンの排気系に設置され、エンジンの燃焼制御に利用される。
また、ガスセンサ1は、図1に示すごとく、被測定ガス中の酸素濃度を検出するセンサ素子2と、該センサ素子2を挿嵌保持する第1絶縁碍子11と、該第1絶縁碍子11の基端面110に先端面120を当接して配置されると共にセンサ素子2の基端部22を覆う第2絶縁碍子12と、第1絶縁碍子11を嵌入保持するハウジング10とを有する。
また、図1〜図3に示すごとく、第1絶縁碍子11の基端面110及び第2絶縁碍子12の先端面120の両方に平面状の研削面3が設けてある。
そして、該研削面3において、基端面110と先端面120とが接触している。
また、図4、図5に示すごとく、第1絶縁碍子11の基端面110には先端側へ後退した凹部111が形成され、第2絶縁碍子12の先端面120には上記凹部111に嵌合可能な凸部121が形成されている。
そして、第1絶縁碍子11と第2絶縁碍子12とは、上記凹部111と上記凸部121とを嵌合させた状態で基端面110と先端面120とを当接させている。ここで、基端面110と先端面120とは凹部111又は凸部121が形成されていない部分(図4における斜線部分)において互いに当接している。したがって、研削面3は凹部111又は凸部121の形成部分以外の基端面110及び先端面120に形成されている。
研削面3は凹部111及び凸部121以外の基端面110及び先端面120の全面にわたって形成することが好ましいが、図3に示すごとく、一部分であっても良い。このとき、研削面3は、図3に示すごとく、ガスセンサ1の径方向に沿った長さLが0.5mm以上である。
また、周方向については、長さLよりも充分に長く、研削面3が形成されている。
また、研削面3は、任意の方向に計測した研削面3の凹凸のプロファイルを計測方向に沿って0.5mmごとの小領域に区切り、各小領域におけるそれぞれの最高点を繋いで包絡うねり曲線を得たとき、該包絡うねり曲線のうねり幅が5μm以下となっている(後述する実施例5参照)。
ガスセンサ1は、図1に示すごとく、ハウジング10の基端側101に設けた大気側カバー141と、ハウジングの先端側102に設けた二重の被測定ガス側カバー131,132とを有する。
そして、センサ素子2の基端部22側は大気側カバー141内の第2絶縁碍子内12に、先端部21側は被測定ガス側カバー131、132内に位置する。
ハウジング10の内部には、筒状の第1絶縁碍子11が配設され、この内部にセンサ素子2の中央部が挿通固定されている。該中央部と第1絶縁碍子11との間はガラス封着材17により封止されている。
また、大気側カバー141の基端部は、ゴムブッシュ18によって塞がれている。ゴムブッシュ18には4つの端子収納穴180が設けてあり、各端子収納穴には4本のリード線16が挿通配置されている。
また、第2絶縁碍子12は、第1絶縁碍子11の基端面110と大気側カバー141の肩部143との間に配設される。なお、第2絶縁碍子12と肩部143との間には、両者間を広げる方向に付勢された皿バネ19が配設されており、該皿バネ19の付勢力により第2絶縁碍子12が第1絶縁碍子11に押圧されている。
また、図1に示すごとく、第1絶縁碍子11はハウジング10の内側面に突出形成された碍子受け面103に対し環状パッキン4を介して配置されている。
また、センサ素子2の先端部21は排気ガス中に露出しており、該先端部21において排気ガス成分による電気化学的反応が生じる。先端部21には、電極が設けられており、該電極により、上記電気化学的反応により発生した電気信号を探知して、リード線16から上記電気信号を外部に取り出すことにより、ガス濃度を検知している。
また、第1絶縁碍子11及び第2絶縁碍子12はAl23等からなる絶縁性セラミック材料により形成されている。
また、研削面3は、ラップ盤又は研削機を用いて形成することができる。
次に、本例の作用効果につき説明する。
第1絶縁碍子11の基端面110及び第2絶縁碍子12の先端面120が、平面状の研削面3を有している。そして、この研削面3において、基端面110と先端面120とが接触している。これにより、第1絶縁碍子11の基端面110と第2絶縁碍子12の先端面120との接触面積が極小となることを充分に防ぐことができ、第1絶縁碍子11と第2絶縁碍子12との間の局所的な応力の集中を充分に回避することができる。それ故、基端面110と先端面120との双方にうねりが形成された場合、これらのうねりの山同士が当接することにより、基端面110と先端面120とが微小面積にて接触するという不具合を充分に回避することができる。
そのため、第1絶縁碍子11の基端面110と第2絶縁碍子12の先端面120との当接部に過大な応力が作用することを充分に防ぐことができ、第1絶縁碍子11及び第2絶縁碍子12の破損の発生を充分に防ぐことができる。
特に、第1絶縁碍子11の基端面110と第2絶縁碍子12の先端面120の両方が研削面3を有しており、互いに平面同士で接触することとなるため、広い接触面積を有することとなる。そのため、当接面にかかる荷重を分散することができ、第1絶縁碍子11及び第2絶縁碍子12の破損の発生をより確実に防ぐことができる。
また、研削面3は、第1絶縁碍子11の基端面110又は第2絶縁碍子12の先端面120を研削することにより得られるものであるため、セラミック部材の表面又はその近傍に多数形成されやすい気孔、微小亀裂等の潜在的欠陥を充分に除去することができる。したがって、気孔、微小亀裂等の潜在的欠陥に起因する第1絶縁碍子11及び第2絶縁碍子12の破損の発生を充分に防ぐことができる。
また、研削面3は、ガスセンサの径方向に沿った長さLが0.5mmである。これにより、基端面110と先端面120との接触面積が極小となることを充分に防ぐことができるため、上述した研削面3形成の効果を充分に発揮することができる。
また、研削面3は、上記包絡うねり曲線のうねり幅が5μm以下となっている。そのため、研削面3が充分な平面度を有することとなり、上述した研削面3形成の効果を充分に発揮することができる。
即ち、上記のうねり幅であれば、第1絶縁碍子11と第2絶縁碍子12との当接部に荷重がかかったとき、うねりの山がわずかに変形するだけで面接触の状態となる。そのため、第1絶縁碍子11の基端面110と第2絶縁碍子12の先端面120との間の局所的な応力の集中を充分に回避することができる。
また、第1絶縁碍子11と第2絶縁碍子12とは、凹部111と凸部121とを嵌合させた状態で基端面110と先端面120とを当接させている。そのため、本発明の効果を充分に発揮することができる。
即ち、基端面110と先端面120とに、それぞれ凹部111と凸部121とを形成するため、第1絶縁碍子11及び第2絶縁碍子12の内部の粒子密度にバラツキが生じることがある。これにより、第1絶縁碍子11及び第2絶縁碍子12の部位によっては、焼成の際の収縮率が不均一となり、基端面110及び先端面120にうねりが形成されたり、セラミック部材の表面又はその近傍に気孔、微小亀裂等の潜在的欠陥が形成されたりする場合がある。
即ち、本例のように凹部111と凸部121とが形成されているガスセンサ1においては、研削面3を形成しないと、基端面110と先端面120とが当接することにより第1絶縁碍子11及び第2絶縁碍子12に破損が発生するおそれがある。したがって、特に凹部111と凸部121とを有するガスセンサ1においては、研削面3形成の効果を充分に発揮することができる。
以上のごとく、本例によれば、第1絶縁碍子及び第2絶縁碍子の破損の発生を防ぐことができるガスセンサを提供することができる。
(実施例2)
本例は、図6(b)、図7(b)に示すごとく、第1絶縁碍子11の基端面110に研削面3を設け、第2絶縁碍子12の先端面120は研削しない場合のガスセンサ1の例である。
その他は、実施例1と同様である。
本例の場合にも、第1絶縁碍子11の基端面110と第2絶縁碍子12の先端面120との接触面積が極小となることを防いで、局所的な応力の集中を防ぐことができる。これにより、第1絶縁碍子11及び第2絶縁碍子12の破損の発生を防ぐことができる。
また、第1絶縁碍子11の基端面110又は第2絶縁碍子12の先端面120を研削することにより、気孔、微小亀裂等の潜在的欠陥に起因する第1絶縁碍子11及び第2絶縁碍子12の破損の発生を防ぐことができる。
また、実施例1の場合に比べて、第1絶縁碍子11の基端面110だけを研削すれば良いため、生産効率を向上させることができる。
ここで、図6(a)、図7(a)に示すごとく、仮に、第1絶縁碍子11の基端面110と第2絶縁碍子12の先端面120とのいずれもが研削されてないとした場合について考える。この場合、基端面110及び先端面120には、微視的(例えばミクロンオーダー)に見ると、うねりが形成されることとなるが、そのうねりの山同士が当接する場合、その接触面31の中心における応力P0は、以下の式1で与えられる。
0 3=6/π3×R-2×((1−ν2)/E)-2×f ・・・(式1)
尚、図7(a)のように巨視的に見ると、凸面と凹面との当接のように見える場合にも、微視的に見ると、図6(a)に示すごとく、うねりの山同士の当接となることは充分にある。
一方、本例のように、一方の面、即ち、第1絶縁碍子11の基端面110に研削面3を設けた場合における接触面31の中心での応力P1は、図6(b)、図7(b)に示すごとく、うねりの山と平面との接触となると考えると、以下の式2で与えられる。
1 3=3/(2×π3)×R-2×((1−ν2)/E)-2×f ・・・(式2)
ここで、図6に示すごとく、Rはうねりの山の曲面がすべて同一の曲率半径と仮定した場合の曲率半径、νはポアソン比、Eはヤング率、fは第1絶縁碍子11と第2絶縁碍子12とに作用する荷重である。
式1、式2より、P1とP0との比をとると、P1/P0=0.63となり、約37%の応力が低減することがわかる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
尚、本例においては、基端面110に研削面3を設けて先端面120には設けていない場合を示したが、先端面120に研削面3を設けて基端面110には設けない場合にも、同様の効果を得ることができる。
(実施例3)
本例は、図8、図9に示すごとく、第1絶縁碍子11の基端面110及び第2絶縁碍子12の先端面120に研削面3を設ける場合と設けない場合とにおいて、第1絶縁碍子11又は第2絶縁碍子12の耐荷重強度を調査した例である。
試験方法としては、第2絶縁碍子12を、基端側を下にして支承治具6に載置し、その先端面120に基端面110を当接させた状態で第1絶縁碍子11を第2絶縁碍子12に組み合わせる。そして、第1絶縁碍子11の先端側から押圧治具5を被せると共に、支承治具6に向かって荷重Fをかける。この荷重Fを徐々に大きくしていったとき、第1絶縁碍子11又は第2絶縁碍子12に破損又は亀裂が発生した時点の荷重Fを測定する。
本例では、比較試料として、第1絶縁碍子11の基端面110及び第2絶縁碍子12の先端面120のどちらも研削しないものを作製し、試料1として、基端面110に研削面3を設け、先端面120は研削しないもの(実施例2に相当)を作製した。
また、試料2として、基端面110は研削せず、先端面120には研削面3を設けたものを作製し、試料3として、基端面110及び先端面120のどちらにも研削面3を設けたもの(実施例1に相当)を作製した。
また、いずれの試料についても20個ずつ作製した。
そして、それぞれの試料につき上記の試験方法にて試験を行なった結果、第1絶縁碍子11又は第2絶縁碍子12の破損又は亀裂が発生したときの破損荷重Fと該破損荷重Fにて破損又は亀裂が発生した度数とを図9に示す。
尚、破損及び亀裂の判別は、染色検査にて行なった。
図9(a)〜(d)より、試料1又は試料2において第1絶縁碍子11又は第2絶縁碍子12の破損が発生する度数は、比較試料よりも、低荷重での破損の発生が少なくなっていることがわかる。即ち、基端面110又は先端面120の少なくとも一方に研削面3を設けたほうが、どちらも研削しない場合よりも第1絶縁碍子11又は第2絶縁碍子12が破損し難いことがわかる。
更に、図9(d)に示すごとく、基端面110と先端面120とのどちらにも研削面3を設けるほうが、第1絶縁碍子11及び第2絶縁碍子12の破損の発生を、より一層防ぐことができることがわかる。
(実施例4)
本例は、図10、図11に示すごとく、第1絶縁碍子11の基端面110に研削面3を設ける場合と設けない場合とにおいて、実施例3と同様の方法にて、第1絶縁碍子11又は第2絶縁碍子12の耐荷重強度を調査した例である。
尚、第2絶縁碍子12の先端面120には研削面3を設けていない。
また、図10は説明の便宜上、基端面110のうねりを大きく描いている。
本例では、比較試料として、図10(a)に示すごとく、第1絶縁碍子11の基端面110を研削しないものを作製し、試料1として、図10(b)に示すごとく、基端面110に、ガスセンサ1の径方向に沿った長さLを0.15≦L<0.5mmとした研削面3を設けたものを作製した。
また、試料2として、図10(b)に示すごとく、基端面110に、上記長さLを0.5≦L≦1.0mmとした研削面3を設けたものを作製し、試料3として、図10(c)に示すごとく、基端面110の全面にわたって研削したものを作製した。
また、いずれの試料についても20個ずつ作製した。
図11(a)〜(d)より、第1絶縁碍子11の基端面110に研削面3が設けられている試料1、試料2及び試料3は、基端面110が研削されていない比較試料と比較して、低荷重での破損の発生が少なくなっていることがわかる。
また、図11(b)〜(d)より、上記長さLを大きくするほど、低荷重での破損の発生が少なくなっていることがわかる。即ち、上記長さLを大きくするほど、第1絶縁碍子11又は第2絶縁碍子12は破損し難くなることがわかる。
また、図11(c),(d)より、上記長さLをL≧0.5とすれば、基端面110の全面にわたって研削面3を設けた場合と略同等な効果を得ることができ、低荷重での破損の発生が少なくなることがわかる。即ち、研削面3は、必ずしも基端面110の全面にわたって設ける必要はなく、0.5mm以上の上記径方向に沿った長さLで研削面3を形成すれば良いことがわかる。
(実施例5)
本例は、図12〜図16に示すごとく、研削を行なう前後の第1絶縁碍子11の基端面110及び第2絶縁碍子12の先端面120の平面度を確認した例である。即ち、研削を行なう前後において、基端面110及び先端面120のうねりのプロファイルを測定した結果である。
上記測定には、触針式の表面粗さ計を用いた。
尚、図13〜図16におけるグラフの一目盛は、縦軸が5μm、横軸が0.5mmを表している。
また、図13、図14はそれぞれ図12(a)におけるA−A’方向のプロファイル、B−B’方向のプロファイルであり、図15、図16はそれぞれ図12(b)におけるC−C’方向のプロファイル、D−D’方向のプロファイルである。
また、図13〜図16において、それぞれ、(a)は第1絶縁碍子11の基端面110及び第2絶縁碍子12の先端面120に研削を行なう前の状態を示す図であり、(b)は基端面110及び先端面120に研削を行なった後の状態を示す図である。
また、図中の細線P1はうねりのプロファイルであり、太線P2は該プロファイルの計測方向に沿って0.5mm毎の小領域に区切り、各小領域におけるそれぞれの最高点を繋いで得た包絡うねり曲線を示している。
図12、図13(a)、図14(a)、図15(a)、図16(a)より、基端面110及び先端面120のどちらも研削しない場合は、基端面110はガスセンサ1の外周に向かうほど、うねりの凸量が大きくなり、先端面120はガスセンサ1の中心に向かうほど、うねりの凸量が大きくなることがわかる。
また、図13〜図16より、基端面110及び先端面120に研削を行なう前においては、うねり幅Wは15〜25μm程度であるが、研削を行なった後は、基端面110及び先端面120のうねりは確実に減少しており、上記包絡うねり曲線(太線P2)はうねり幅Wが5μm以下となっていることがわかる。
実施例1における、ガスセンサの断面説明図。 実施例1における、第1絶縁碍子の基端面と第2絶縁碍子の先端面の断面説明図。 実施例1における、第1絶縁碍子の基端面の研削面3と第2絶縁碍子の先端面の研削面3との接触部の断面説明図。 実施例1における、(a)第1絶縁碍子の基端面の説明図、(b)第2絶縁碍子の先端面の説明図。 実施例1における、センサ素子を挿嵌保持した第1絶縁碍子及び第2絶縁碍子の正面図。 実施例2における、(a)第1絶縁碍子の基端面のうねりの山と第2絶縁碍子の先端面のうねりの山との接触面の断面説明図、(b)第1絶縁碍子の基端面に形成された研削面と第2絶縁碍子の先端面のうねりの山との接触面の断面説明図。 (a)従来例における、第1絶縁碍子の基端面と第2絶縁碍子の先端面との接触部の断面説明図、(b)実施例2における、第1絶縁碍子の基端面と第2絶縁碍子の先端面との接触部の断面説明図。 実施例3における、第1絶縁碍子及び第2絶縁碍子に荷重をかける方法を示す説明図。 実施例3における、(a)比較試料の測定結果を示す図、(b)試料1の測定結果を示す図、(c)試料2の測定結果を示す図、(d)試料3の測定結果を示す図。 実施例4における、(a)比較試料の断面説明図、(b)試料1又は試料2の断面説明図、(c)試料3の断面説明図。 実施例4における、(a)比較試料の測定結果を示す図、(b)試料1の測定結果を示す図、(c)試料2の測定結果を示す図、(d)試料3の測定結果を示す図。 実施例5における、(a)第1絶縁碍子の基端面の説明図、(b)第2絶縁碍子の先端面の説明図。 実施例5における、(a)研削する前の図12(a)のA−A’方向のプロファイル、(b)研削面を設けた後の図12(a)のA−A’方向のプロファイルをそれぞれ表す線図。 実施例5における、(a)研削する前の図12(a)のB−B’方向のプロファイル、(b)研削面を設けた後の図12(a)のB−B’方向のプロファイルをそれぞれ表す線図。 実施例5における、(a)研削する前の図12(b)のC−C’方向のプロファイル、(b)研削面を設けた後の図12(b)のC−C’方向のプロファイルをそれぞれ表す線図。 実施例5における、(a)研削する前の図12(b)のD−D’方向のプロファイル、(b)研削面を設けた後の図12(b)のD−D’方向のプロファイルをそれぞれ表す線図。 従来例における、ガスセンサの断面説明図。
符号の説明
1 ガスセンサ
10 ハウジング
11 第1絶縁碍子
12 第2絶縁碍子
110 基端面
120 先端面
2 センサ素子
22 基端部
3 研削面

Claims (5)

  1. 被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するセンサ素子と、該センサ素子を挿嵌保持する第1絶縁碍子と、該第1絶縁碍子の基端面に先端面を当接して配置されると共に上記センサ素子の基端部を覆う第2絶縁碍子と、上記第1絶縁碍子を嵌入保持するハウジングとを有し、
    上記第1絶縁碍子の上記基端面と上記第2絶縁碍子の上記先端面との少なくとも一方は、平面状の研削面を有し、
    該研削面において、上記基端面と上記先端面とが接触していることを特徴とするガスセンサ。
  2. 請求項1において、上記研削面は、上記第1絶縁碍子の上記基端面及び上記第2絶縁碍子の上記先端面に形成してなることを特徴とするガスセンサ。
  3. 請求項1又は2において、上記研削面は、上記ガスセンサの径方向に沿った長さが0.5mm以上であることを特徴とするガスセンサ。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項において、任意の方向に計測した上記研削面の凹凸のプロファイルを計測方向に沿って0.5mm毎の小領域に区切り、各小領域におけるそれぞれの最高点を繋いで包絡うねり曲線を得たとき、該包絡うねり曲線のうねり幅が5μm以下であることを特徴とするガスセンサ。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項において、上記第1絶縁碍子の基端面には、先端側に後退した凹部が形成されており、上記第2絶縁碍子の先端面には、上記凹部に嵌合可能な凸部が形成されており、上記第1絶縁碍子と上記第2絶縁碍子とは、上記凹部と上記凸部とを嵌合させた状態で上記基端面と上記先端面とを当接させていることを特徴とするガスセンサ。
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