JP4576722B2 - ガスセンサ - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は,内燃機関の燃焼制御等に利用するガスセンサに関する。
【0002】
【従来技術】
内燃機関の燃焼制御に利用されるガスセンサとして,筒状ハウジングとこれに挿通配置されると共に内部にセンサ素子を挿入配置可能に構成した第1絶縁碍子と,該第1絶縁碍子の基端部端面に当接して配置された第2絶縁碍子とよりなるものが知られている。
上記第1絶縁碍子はハウジング内側面に突出形成された碍子受け面に対し環状パッキンを介して配置される。上記第2絶縁碍子は第1絶縁碍子の基端部端面に直接当接して配置される。
【0003】
【解決しようとする課題】
ところで,絶縁碍子は通常,絶縁性セラミック材料より構成される。
セラミックは圧縮には強いが引張には非常に弱い。また,セラミックは焼成の際に熱膨張や収縮が生じることから,表面に波状のうねりが発生する。
このため,第1,第2の絶縁碍子の当接部が第1絶縁碍子の受け面である環状パッキンと水平方向のずれを発生させる。従って,第1絶縁碍子に曲げ応力(引張応力)が発生し,これが原因となって第1絶縁碍子破損が生じることがあった。
【0004】
この破損を防止するために,特開平11−242013号等では第1と第2の絶縁碍子との間に緩衝材を設けることが提案されている。
しかしながら,緩衝材という別部材を設けることは組み立て工数の増大や,材料費の増大につながるため,好ましい解決策ではない。
【0005】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,第1絶縁碍子の破損が生じ難いガスセンサを提供しようとするものである。
【0006】
【課題の解決手段】
請求項1に記載の発明は,筒状のハウジングと該ハウジング内に挿入配置されると共に内部にセンサ素子を挿入配置可能に構成された第1絶縁碍子と,該第1絶縁碍子の基端部端面に直接当接して配置された第2絶縁碍子とよりなると共に,上記第1絶縁碍子は上記ハウジング内側面に突出形成された碍子受け面に対し環状パッキンを介して配置されており,
上記第1絶縁碍子と上記第2絶縁碍子との当接部は,上記環状パッキンの外形を第1絶縁碍子の基端部端面に対し投影した投影範囲内に,実質的に位置しており,
かつ,上記当接部は上記第1絶縁碍子の基端部端面,上記第2絶縁碍子の先端部端面の少なくとも一方を凸状に構成することにより形成してあることを特徴とするガスセンサにある。
【0007】
次に,本発明の作用につき説明する。
本発明のガスセンサにおける投影範囲は次のように定まる。
図2に示すごとく,環状パッキンの外形で最も径大な部分A,最も径細な部分Bを,ぞれぞれガスセンサの中心軸方向Gと平行な方向に延長し,第1絶縁碍子の基端部端面近傍のこれら二つの直線間が投影範囲Wとなる。
【0008】
上記の「外形」は環状パッキンの内径と外径との間に形成される,いわばパッキン領域の意味である。
そして,上記投影範囲Wの内部に第1絶縁碍子の基端部端面と第2絶縁碍子の先端部端面とが直接当接して形成された当接部が存在する。
また,ここに重要なことは,該当接部は,実質的に上記投影範囲W内に位置していることである。ここに実質的とは,上記投影範囲Wの幅,つまり環状パッキンの内径と外径との間の幅をYとすると,上記当接部が上記の幅Yの中心点の左右に1.0Yづつの許容範囲内にあることをいう(図2参照)。
【0009】
なお,第1と第2の絶縁碍子の当接部の形状は,点状,線状,環状,面状等となることがある。実施形態例に記載した例は当接部が環状となった例である。
また,複数の当接部が形成されることもある。
【0010】
このような要件が満たされることで,第1絶縁碍子の受け面である環状パッキンと力点である第1絶縁碍子と第2絶縁碍子の当接部の水平面のずれを防止することができ,従って,第1絶縁碍子に加わる曲げ応力(引張応力)を極小とすることが可能となる。そのため,セラミック製の第1絶縁碍子には曲げ応力(引張応力)がかかり難くなる。
よって,曲げ応力(引張応力)に弱い第1絶縁碍子の破損が生じ難くなり,例えばガスセンサ組付けの際に第1絶縁碍子を破損させることが生じ難く,ガスセンサ製造歩留まりを高めることができる。
【0011】
また,ガスセンサ使用中に大きな衝撃が加わっても,第1絶縁碍子の破損が生じ難いため,衝撃の加わり易い環境条件での使用に耐える耐久性に優れたガスセンサを得ることができる。
更に,第1と第2の絶縁碍子が直接当接し,緩衝材等を使用していないため,組立工数も増えず,材料費もかからないため好ましい。
以上,本発明によれば,第1絶縁碍子の破損が生じ難いガスセンサを提供することができる。
【0012】
なお,環状パッキンは,図1に示すごとく,第1絶縁碍子の段部とハウジングの碍子受け面との間,或いは図8に示すごとく,第1絶縁碍子の底部外縁とハウジングの碍子受け面との間に配置することができる。
また,本発明は,内燃機関の排気系に設置して内燃機関の燃焼制御に利用される酸素センサ,空燃比センサの他,NOxセンサ等の多くのセンサに対し適用することができる。
【0013】
また,本発明においては,上記当接部は,上記第1絶縁碍子の基端部端面,上記第2絶縁碍子先端部端面の少なくとも一方を凸状に構成することにより形成してある。
これにより,第1絶縁碍子と第2絶縁碍子との当接部を特定の位置に設けることができるため,当接部を確実に投影範囲内に納めることができる。
【0014】
次に,請求項に記載の発明は,筒状のハウジングと該ハウジング内に挿入配置されると共に内部にセンサ素子を挿入配置可能に構成された第1絶縁碍子と,該第1絶縁碍子の基端部端面に直接当接して配置された第2絶縁碍子とよりなると共に,上記第1絶縁碍子は上記ハウジング内側面に突出形成された碍子受け面に対し環状パッキンを介して配置されており,
また上記第1絶縁碍子と上記第2絶縁碍子とは2箇所の当接部において当接し,両当接部の中央位置は上記環状パッキンの外形を第1絶縁碍子の基端部端面に対し投影した投影範囲内に,実質的に位置していることを特徴とするガスセンサにある。
【0015】
このような要件が満たされることで,第1絶縁碍子の受け面である環状パッキンと力点である第1絶縁碍子と第2絶縁碍子の当接部の水平面のずれを防止することができ,従って,第1絶縁碍子に加わる曲げ応力(引張応力)を極小とすることが可能となる。そのため,セラミック製の第1絶縁碍子には曲げ応力(引張応力)がかかり難くなる。
よって,曲げ応力(引張応力)に弱い第1絶縁碍子の破損が生じ難くなる。その他は,請求項1と同様である。
以上,本発明によれば,第1絶縁碍子の破損が生じ難いガスセンサを提供することができる。
【0016】
なお,上記2箇所の当接部の中央位置の例としては,例えば実施形態例2の図5,図6に示すごとく,環状の当接部間の中央位置C等が挙げられる。
【0017】
【発明の実施の形態】
実施形態例1
本発明の実施形態例にかかるガスセンサにつき,図1〜図4を用いて説明する。
本例にかかるガスセンサ1は,図1,図2に示すごとく,筒状のハウジング10と該ハウジング10内に挿入配置されると共に内部にセンサ素子15を挿入配置可能に構成されたセラミック製の第1絶縁碍子11と,該第1絶縁碍子11の基端部端面110に直接当接して配置されたセラミック製の第2絶縁碍子12とよりなると共に,上記第1絶縁碍子11は上記ハウジング10の内側面101に突出形成された碍子受け面100に対し環状パッキン102を介して配置されている。
そして,上記第1絶縁碍子11と上記第2絶縁碍子12との当接部13は,上記環状パッキン102の外形を第1絶縁碍子11の基端部端面110に対し投影した投影範囲内Wに,実質的に位置している。
【0018】
以下,詳細に説明する。
本例のガスセンサは,図1,図2に示すごとく,筒状のハウジング10を有し,該ハウジング10の基端部側に大気側カバー171が,先端側に被測定ガス側カバー161,162が設けてある。
【0019】
ハウジング10の内側面101にはガスセンサ1の中心軸方向Gに向って突出形成されたテーパー面状の碍子受け面100が設けてある。この碍子受け面100に対し薄板よりなる金属製の環状パッキン102が配置され,この上に第1絶縁碍子11の外側面に設けた段部117が配置される。
第1絶縁碍子11の内部には積層型のセンサ素子15が挿通されている。また,センサ素子15と第1絶縁碍子11の内側面との間はガラス材料150で封止されている。
【0020】
第1絶縁碍子11は断面円形の筒状で,基端部側が径大部115,先端側が径細部116となるよう構成され,碍子受け面100に対して,径大部115と径細部116との境界となる段部117が当接される。
また,第2絶縁碍子12は第1絶縁碍子11の基端側端面110と大気側カバー171の肩部170との間に配設される。なお,第2絶縁碍子12は肩部170とは直接当接せず,両者間には皿バネ125が配置され,該皿バネ125の押圧力により基端側端面110に押圧固定される。
【0021】
第1絶縁碍子11の基端部端面110は凸部119が設けてあり,平面状の第2絶縁碍子12の先端部端面120に対し環状の当接部13を形成しつつ当接される。
ここに,環状パッキン102の投影範囲Wは,図2に示すごとく,環状パッキン102の外形で最も径大な部分A,最も径細な部分Bを,ぞれぞれガスセンサ1の中心軸方向Gと平行な方向に延長し,第1絶縁碍子11の基端部端面110近傍のこれら二つの直線間が投影範囲Wとなる。
この投影範囲Wの内部に上記環状の当接部13が存在する。この状態を図3に示した。
【0022】
本例の作用効果について説明する。
このように本例のガスセンサ1は,当接範囲Wの内部に第1と第2絶縁碍子11,12の当接部13が存在する。
【0023】
このような要件が満たされることで,第1絶縁碍子11の受け面である環状パッキン102と力点である第1絶縁碍子11と第2絶縁碍子12の当接部13の水平面のずれを防止することができる。
【0024】
従って,第1絶縁碍子11に加わる曲げ応力(引張応力)を極小とすることが可能となる。そのため,セラミック製の第1絶縁碍子11には曲げ応力(引張応力)がかかり難くなる。
よって,曲げ応力(引張応力)に弱い第1絶縁碍子の破損が生じ難くなり,例えばガスセンサ組付けの際に第1絶縁碍子を破損させることが生じ難く,ガスセンサ製造歩留まりを高めることができる。
【0025】
また,ガスセンサ1使用中に大きな衝撃が加わっても,第1絶縁碍子11の破損が生じ難いため,衝撃の加わり易い環境条件での使用に耐える耐久性に優れたガスセンサ1を得ることができる。
以上,本例によれば,第1絶縁碍子の破損が生じ難いガスセンサを提供することができる。
【0026】
また,本例のガスセンサ1は第1絶縁碍子11の基端側端面110に凸部119を設けた構成であるが,図4に示すごとく,反対に第1絶縁碍子11の基端側端面110を平面状に構成し,第2絶縁碍子12の先端側端面120に凸部129を設けた構成とすることもできる。
この場合も本例と同様の効果を得ることができる。
【0027】
なお,図2には,上記当接部13が上記投影範囲W内に実質的に位置していることの意味を示した。
即ち,図2の上方に示すごとく,上記投影範囲Wの幅,つまり環状パッキン102の内径と外径との間の幅をYとすると,上記当接部13の位置は上記幅Yの中心点Y0の左右に,1.0Yづつ許容範囲を有する。換言すれば,この許容範囲内に,上記当接部13が位置していることを,当接部13が環状パッキンの上記投影範囲W内に実質的に位置していることを意味する。
【0028】
実施形態例2
本例は,図5,図6に示すごとく,第1絶縁碍子11と第2絶縁碍子12との間に2箇所の当接部131,132があり,この当接部131,132の中央位置Cが投影範囲W内にあるガスセンサ1について説明する。
図5に示すごとく,第2絶縁碍子12の先端部端面120は平面状である。これと当接する第1絶縁碍子11の基端部端面110には二つの環状の凸部119が設けてある。
第1,第2絶縁碍子11,12は上記凸部119の位置において当接し,両者の接触する部分は図6に示すごとく環状の接触部131,132となる。
図6に示すごとく,両接触部131,132の中央位置Cは接触部131,132と同様に環状となる。
【0029】
また,本例にかかる環状パッキン102の幅は受け面100の幅よりも狭い。
この環状パッキン102の投影範囲Wは,図5に示すごとく,最も径大な部分A,最も径細な部分Bを,中心軸方向Gと平行な方向に延長し,第1絶縁碍子11の基端部端面110近傍のこれら二つの直線間に形成される。
図6に示すごとく,この投影範囲Wの外部に上記環状の当接部131,132が存在するが,中心位置Cは内部にある。
その他は実施形態例1と同様である。
【0030】
このように本例のガスセンサ1は,当接範囲Wの外部に第1と第2絶縁碍子11,12の当接部131,132が存在し,その中央位置Cは内部にある。
このような要件が満たされることで,第1絶縁碍子11の受け面である環状パッキン102と力点である第1絶縁碍子11と第2絶縁碍子12の当接部13の水平面のずれを防止することができる。
【0031】
従って,第1絶縁碍子11に加わる曲げ応力(引張応力)を極小とすることが可能となる。そのため,セラミック製の第1絶縁碍子11には曲げ応力(引張応力)がかかり難くなる。
よって,曲げ応力(引張応力)に弱い第1絶縁碍子の破損が生じ難くなる。
以上,本例によれば,実施形態例1と同様に,第1絶縁碍子の破損が生じ難いガスセンサを提供することができる。
【0032】
実施形態例3
本例は,図7(A),(B)に示すごとく,環状パッキン102の投影範囲Wと当接部13との具体的な位置関係などを示す具体例である。
本例において,上記環状パッキン102は内径R1が12mm,外径R2が14.5mmを有し,また環状に形成される上記当接部13の直径は13mmであり,環状パッキン102の投影範囲Wの範囲内に当接部13が位置している。
【0033】
また,第1絶縁碍子11の基端部端面110には,当接部13を形成することになる環状の凸部119を有する。該凸部119の外側には傾斜角αが10度の外斜面21が環状に形成されている。一方,上記凸部119の内側には傾斜角βが1度の略水平状の平面22が環状に形成されている。
外斜面21の先端と上記凸部119の頂点との間の高さH1は0.13mmである。
【0034】
また,当接部13は投影範囲W内に実質的に位置させれば良い。そして,本例における環状パッキン102の幅Yは1.25mmである。そのため,上記当接部13は上記の幅Yの中心点から,左右に1.0Y(=1.25mm)の範囲内に設ければ良いことになる。
図7(A)には,当接部13が上記中心点から内径方向へ1.0Yズレても良いことを示す範囲を黒太線Sで示した。
その他は,実施形態例1と同様であり,実施形態例1と同様の効果を得ることができる。
【0035】
実施形態例4
本例は,図8に示すごとく,環状パッキン102を,第1絶縁碍子11の径細部116の底部外縁216とハウジング10の碍子受け面210との間に配設した例を示す。
その他は実施形態例1と同様であり,実施形態例1と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,ガスセンサの第1及び第2絶縁碍子の当接の状態を示す説明図。
【図2】実施形態例1における,ガスセンサの当接部及び環状パッキン配置部分周辺の説明図。
【図3】実施形態例1における,当接部と投影範囲Wとの関係を示す説明図。
【図4】実施形態例1における,基端部端面に凸部が設けてあるガスセンサの要部説明図。
【図5】実施形態例2における,基端部端面に2つの凸部が設けてあるガスセンサの要部説明図。
【図6】実施形態例2における,当接部と投影範囲Wとの関係を示す説明図。
【図7】実施形態例3における,ガスセンサの(A)当接部及び環状パッキン配置部分周辺の説明図,(B)当接部の拡大説明図。
【図8】実施形態例4における,ガスセンサの当接部及び環状パッキン配置部分周辺の説明図。
【符号の説明】
1...ガスセンサ,
10...ハウジング,
100...碍子受け面,
101...内側面,
102...環状パッキン,
11...第1絶縁碍子,
110...基端部端面,
119...凸部,
12...第2絶縁碍子,
120...先端部端面,
13...当接部,

Claims (2)

  1. 筒状のハウジングと該ハウジング内に挿入配置されると共に内部にセンサ素子を挿入配置可能に構成された第1絶縁碍子と,該第1絶縁碍子の基端部端面に直接当接して配置された第2絶縁碍子とよりなると共に,上記第1絶縁碍子は上記ハウジング内側面に突出形成された碍子受け面に対し環状パッキンを介して配置されており,
    上記第1絶縁碍子と上記第2絶縁碍子との当接部は,上記環状パッキンの外形を第1絶縁碍子の基端部端面に対し投影した投影範囲内に,実質的に位置しており,
    かつ,上記当接部は上記第1絶縁碍子の基端部端面,上記第2絶縁碍子の先端部端面の少なくとも一方を凸状に構成することにより形成してあることを特徴とするガスセンサ。
  2. 筒状のハウジングと該ハウジング内に挿入配置されると共に内部にセンサ素子を挿入配置可能に構成された第1絶縁碍子と,該第1絶縁碍子の基端部端面に直接当接して配置された第2絶縁碍子とよりなると共に,上記第1絶縁碍子は上記ハウジング内側面に突出形成された碍子受け面に対し環状パッキンを介して配置されており,
    また上記第1絶縁碍子と上記第2絶縁碍子とは2箇所の当接部において当接し,両当接部の中央位置は上記環状パッキンの外形を第1絶縁碍子の基端部端面に対し投影した投影範囲内に,実質的に位置していることを特徴とするガスセンサ。
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