JP2006300050A - エンジンの燃料噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジンの始動に際し燃料噴射弁による適正な燃料噴射をいち早く行わせ、ひいてはエンジンの始動性向上を実現する。
【解決手段】交流発電機10は、エンジンのクランク軸から駆動力が付与されることで交流の電力を発生する。交流発電機10の電力はレギュレータ12によって例えば14Vの電圧に調整される。ECU20において、電源IC23は電源電圧VCCを生成し、マイコン25は電源電圧VCCの供給を受けて動作する。マイコン25からのポンプ駆動信号によりトランジスタ27がONされることで、燃料ポンプ6に対しての通電が行われる。また、電源IC23の出力側とトランジスタ27のベースとを接続するようにして電気経路L1が設けられており、この電気経路L1を通じての電気的な出力によってもトランジスタ27をONさせることができる。
【選択図】 図2
【解決手段】交流発電機10は、エンジンのクランク軸から駆動力が付与されることで交流の電力を発生する。交流発電機10の電力はレギュレータ12によって例えば14Vの電圧に調整される。ECU20において、電源IC23は電源電圧VCCを生成し、マイコン25は電源電圧VCCの供給を受けて動作する。マイコン25からのポンプ駆動信号によりトランジスタ27がONされることで、燃料ポンプ6に対しての通電が行われる。また、電源IC23の出力側とトランジスタ27のベースとを接続するようにして電気経路L1が設けられており、この電気経路L1を通じての電気的な出力によってもトランジスタ27をONさせることができる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、エンジンの燃料噴射装置に関するものである。
この種の燃料噴射装置では、燃料タンクから供給される燃料を燃料ポンプにて加圧し、その加圧燃料を燃料噴射弁によりエンジンに噴射供給するようにしている。この場合、燃料ポンプや燃料噴射弁の駆動はマイコン(マイクロコンピュータ)等にて構成される電子制御装置により制御される。
また、例えば自動二輪車では、車載電源としてのバッテリを搭載していない車両も多く存在しており、エンジン始動時には、ユーザのキック操作等により外力が加えられることでエンジンのクランク軸が回転する。そして、そのクランク軸の回転により発電機(マグネト発電機)が発電を開始し、それに伴い電子制御装置やその他電気部品への給電が行われる。この場合、発電機にて生じた電力は電源回路に供給され、電源回路にて生成される電源電圧VCCが所定値(例えば5V)まで上昇するとマイコン等の動作が開始される。そして、燃料ポンプや燃料噴射弁が駆動される。
その詳細を図7を用いて説明する。なお図7において、(a)は電源電圧VCCの推移を、(b)はマイコンから出力されるポンプ駆動信号を、(c)は燃料ポンプにより加圧される燃圧(燃料圧力)の推移を、(d)は燃料噴射弁に印加される駆動電圧の推移を、それぞれ示す。
図7において、ユーザによるキック操作等が行われると、発電機による発電が開始され、電源電圧VCCが上昇するとともに、燃料噴射弁の駆動電圧が上昇する。そして、タイミングt11では、電源電圧VCCが所定値(5V)に達することでマイコンが起動されて初期化処理が行われる。初期化処理が完了した後、タイミングt12では、マイコンによってポンプ駆動信号としてON信号が出力され、所定の遅れ時間を経た後、タイミングt13で燃料ポンプによる燃料加圧が開始される。タイミングt13以降、燃圧が図示の如く上昇する。また、燃料噴射弁による燃料噴射に関しては、マイコンの起動後、行程判別が完了することでマイコンによって燃料噴射弁の駆動信号が出力され、タイミングta,tbでそれぞれ燃料噴射が行われる。
しかしながら、上記の如く燃料噴射制御が行われる場合、例えばタイミングtaでは、燃料噴射弁が開弁駆動されても燃圧が未だ上昇しておらず、実際の燃料噴射が不十分なものとなる。そのため、エンジン始動性が低下してしまう。
また、例えば特許文献1では、エンジンの始動操作が開始された後、発電機の出力電圧が設定値に達した時に初回の噴射指令を発生させる。そしてこれにより、始動操作後において有効な初回噴射をいち早く行わせ、その後点火動作が行われるまでの間に十分な気化時間を確保してエンジンの始動性を向上させるようにしていた。
しかしながら、上記特許文献1の場合、初回噴射(すなわち、初回の燃料噴射弁の駆動)をいち早く行わせたとしても、その時点では上述のとおり燃圧が十分に上昇しておらず、燃料噴射が不十分なものとなる。したがって、所望とするエジン始動性が実現できないという問題があった。
特開2004−162691号公報
本発明は、エンジンの始動に際し燃料噴射弁による適正な燃料噴射をいち早く行わせ、ひいてはエンジンの始動性向上を実現することができるエンジンの燃料噴射装置を提供することを主たる目的とするものである。
本発明では、基本動作としてエンジンの回転に伴い発電機が発電を行い、発電機からの給電によりマイコン等の演算装置が作動する。演算装置は起動後においてポンプ駆動信号を出力し、これにより燃料ポンプが駆動されて燃料が加圧される。そして、その加圧燃料が燃料噴射弁に供給されて燃料噴射が行われる。
また特に、本燃料噴射装置では、演算装置を迂回して電気経路を設け、該電気経路を通じての出力により燃料ポンプを駆動させる構成とした。そのため、エンジン始動時において演算装置の起動、同演算装置での初期化処理、同演算装置によるポンプ駆動信号の出力を待つことなく、前記電気経路を通じての電気的な出力により燃料ポンプの駆動が開始される。したがって、エンジン始動時における燃圧の上昇が早められ、燃料噴射弁による適正な燃料噴射をいち早く行わせることができる。以上により、エンジンの始動性向上が実現できる。
燃料噴射装置の電源系の構成として、発電機にて生じた電力を所定電圧に調整するレギュレータと、該レギュレータにより調整された電圧から所定の電源電圧を生成する電源回路とを備え、電源電圧の供給により演算装置が動作するようにした構成が考えられる。かかる構成において、上記のとおりエンジン始動時における燃圧の上昇を早めるには、次の(1)〜(3)の構成を採用すると良い。
(1)電源回路の出力側と燃料ポンプの駆動回路部とを接続するようにして前記電気経路を設ける。これにより、電源回路にて生成された電源電圧が燃料ポンプの駆動回路部に直接的に印加されるようになり、電源電圧が演算装置が通常動作する所定値に達し更に演算装置での所定の初期化処理等が完了するよりも早いタイミングで燃料ポンプの駆動を開始することができる。
(2)レギュレータの出力側と燃料ポンプの駆動回路部とを接続するようにして前記電気経路を設ける。これにより、レギュレータにて調整された所定電圧が燃料ポンプの駆動回路部に直接的に印加されるようになり、電源電圧が演算装置が通常動作する所定値に達し更に演算装置での所定の初期化処理等が完了するよりも早いタイミングで燃料ポンプの駆動を開始することができる。
(3)発電機と燃料ポンプの駆動回路部とを接続するようにして前記電気経路を設ける。これにより、発電機から燃料ポンプの駆動回路部に対して直接的に給電が行われるようになり、電源電圧が演算装置が通常動作する所定値に達し更に演算装置での所定の初期化処理等が完了するよりも早いタイミングで燃料ポンプの駆動を開始することができる。
また更に、上記したレギュレータと電源回路との間の電気経路に、レギュレータを介しての給電により電荷を蓄える蓄電手段を設けた構成では、蓄電手段の高電位側の端子と燃料ポンプの駆動回路部とを接続するようにして前記電気経路を設けると良い。これにより、蓄電手段の充電電圧が燃料ポンプの駆動回路部に直接的に印加されるようになり、電源電圧が演算装置が通常動作する所定値に達し更に演算装置での所定の初期化処理等が完了するよりも早いタイミングで燃料ポンプの駆動を開始することができる。
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。本実施の形態では、自動二輪車用のエンジン制御システムへの適用例を説明することとしており、図1に本システムの概要を示す。なお本例では、自動二輪車はバッテリを備えておらず、ユーザがキック式の始動装置をキック操作することでクランク軸に初期回転が付与され、それに伴いエンジンが始動されるようになっている。
図1において、エンジン1には吸気管2と排気管3とが接続され、吸気管2には燃料噴射弁4が設けられている。燃料タンク5内の燃料は電動式の燃料ポンプ6によって汲み上げられるとともに、所定の燃圧に加圧されて燃料噴射弁4に供給される。また、エンジン1のシリンダヘッドには点火プラグ7が設けられており、点火装置8を通じて点火プラグ7に高電圧が印加されることにより当該点火プラグ7の対向電極間に放電火花が発生し、エンジン燃焼室内に吸入された燃料が燃焼に供される。
ECU(電子制御ユニット)20は、エンジン1の各種制御を実施するための中枢部をなすものであり、このECU20にはエンジン回転速度やエンジン負荷等を検出するためのセンサから各種検出信号が逐次入力される。そして、ECU20は、前記検出信号に基づいてエンジン運転状態を把握するとともに該運転状態に基づいて燃料噴射弁4、燃料ポンプ6、点火装置8の駆動を制御する。
また、図2には、本システムの電気系の構成を示す。図2において、交流発電機10は、エンジンのクランク軸(図示略)から駆動力が付与されることで交流の電力を発生するものあり、具体的には単相マグネト発電機にて構成されている。交流発電機10にて発生する電力によりヘッドライトやリアライト等の点灯装置11が駆動される。交流発電機10の電力はレギュレータ12によって例えば14Vの電圧に調整された後、イグニッションスイッチ13を介してECU20に供給される。
ECU20には、レギュレータ12から供給される電力が電源端子T1を介して取り込まれる。ECU20において、電源端子T1には、ダイオード21を介して蓄電手段としてのコンデンサ22が接続されており、コンデンサ22において高電位となる端子側(すなわちダイオード21のカソード側)は電源IC23に接続されている。電源IC23は、マイコン用の電源電圧VCC(例えば5V)を生成するための電源回路を構成している。電源IC23の出力側にはコンデンサ24が接続されている。
マイコン25は、CPU、ROM、RAM等よりなる周知の演算装置を構成するものであり、電源電圧VCCの供給を受けて動作し、都度のエンジン運転状態等に基づいて燃料噴射弁4、燃料ポンプ6、点火装置8等の駆動を最適に制御する。図2には、駆動対象として燃料ポンプ6を示している。マイコン25の出力側は、燃料ポンプ6への通電を制御するトランジスタ27に接続されており、その間に抵抗R1が設けられている。そして、マイコン25から出力されるポンプ駆動信号によりトランジスタ27がONされることで、燃料ポンプ6に対しての通電が行われる。なお、トランジスタ27により燃料ポンプ6の駆動回路部が構成されている。
かかる場合、通電により燃料ポンプ6が駆動され、燃料タンク5内の燃料が燃料配管を通じて汲み上げられるとともに所定の燃圧に加圧され、燃料噴射弁4に供給される。そして、この状態で燃料噴射弁4がON(通電)されると、該燃料噴射弁4から燃料噴射が行われる。
図2の構成では特に、前記マイコン25から出力されるポンプ駆動信号以外に、マイコン25を迂回して設けた電気経路L1を通じての電気的な出力によっても、トランジスタ27をONさせることができるようになっている。より具体的には、電源IC23の出力側とトランジスタ27のベースとを接続し、その間に抵抗R2を備えた電気経路L1が設けられており、電源IC23にて生成される電源電圧VCCがトランジスタ27のベースに印加される。したがって、電源電圧VCCが上昇して電気経路L1の電圧レベルがトランジスタ27のON電圧を上回った時にトランジスタ27がONされ、それに伴い燃料ポンプ6が駆動される。なお、電気経路L1の抵抗R2の抵抗値は、マイコン25からトランジスタ27への経路上の抵抗R1の抵抗値に比べて大きい値に設定されている。
次に、エンジン始動時における燃料噴射動作について図3のタイムチャートを用いて説明する。図3において、(a)は電源電圧VCCの推移を、(b)はトランジスタ27のON/OFFを、(c)は燃料ポンプ6により加圧される燃圧(燃料圧力)の推移を、(d)は燃料噴射弁4に印加される駆動電圧の推移を、それぞれ示す。なお(c)には、比較のため、従来技術における燃圧の変化一点鎖線で示している。
さて、ユーザによりエンジン1がキック始動されると、それに伴い交流発電機10による発電が開始され、電源電圧VCCが上昇するとともに、燃料噴射弁4の駆動電圧が上昇する。そして、電源電圧VCCが所定値(例えば4V)に達すると、迂回電気経路L1からの通電により、タイミングt1でトランジスタ27がONし、燃料ポンプ6への通電が開始される。その後、所定の遅れ時間を経た後、燃料ポンプ6による燃料加圧が開始される(タイミングt2)。タイミングt2以降、燃圧が図示の如く上昇する。その後、マイコン起動後の初期化処理を経てポンプ駆動信号が出力される状態になると、抵抗R1,R2の抵抗値の大小関係(R1<R2)に基づき、以降は迂回電気経路L1ではなく、マイコン25からの経路の信号出力が支配的となる。
また、燃料噴射弁4による燃料噴射に関しては、マイコン25の起動後、行程判別が完了することでマイコン25によって燃料噴射弁4の駆動信号が出力され、タイミングt3,t4でそれぞれ燃料噴射が行われる。かかる場合、タイミングt3,t4での燃料噴射時には、燃圧が十分に上昇しており、燃料噴射弁4の開弁動作によって適正な燃料噴射が行われる。
因みに、従来構成の場合には、前記図7で説明したとおり電源電圧VCCの上昇、マイコン起動後の初期化処理、ポンプ駆動信号の出力などを待って燃料ポンプによる燃料加圧が始まるため、燃圧の上昇が遅れる。これに対して本実施の形態の場合、マイコン25の起動や初期化処理に関係なく燃料ポンプ6による燃料加圧が始まるため、早期の燃圧上昇が可能となる。
以上詳述した本実施の形態によれば、マイコン25を迂回して設けた電気経路L1を通じての出力により燃料ポンプ6を駆動させる構成としたため、エンジン始動時における燃圧の上昇を早め、燃料噴射弁4による適正な燃料噴射をいち早く行わせることができる。これにより、エンジンの始動性向上が実現できる。
本発明は上記実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施しても良い。
上記実施の形態では、電源IC23の出力側とトランジスタ27のベースとを接続するようにして電気経路L1を設け、この電気経路L1を通じての出力により燃料ポンプ6を駆動させる構成としたが、これを以下のように変更する。なお、以下の各図において、上記実施の形態と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。トランジスタ27のベースに通じる2経路に各々設けた抵抗R1,R2も、上記実施の形態に準ずるものである。
(ア)図4に示すように、コンデンサ22の高電位側の端子とトランジスタ27のベースとを接続するようにして電気経路L2を設ける。これにより、コンデンサ22の充電電圧によりトランジスタ27がONされるようになり、従来技術に比べて早期に燃料ポンプ6の駆動を開始することができる。
(イ)図5に示すように、レギュレータ12の出力側とトランジスタ27のベースとを接続するようにして電気経路L3を設ける。これにより、レギュレータ12にて調整された所定電圧によりトランジスタ27がONされるようになり、従来技術に比べて早期に燃料ポンプ6の駆動を開始することができる。
(ウ)図6に示すように、交流発電機10とトランジスタ27のベースとを接続するようにして電気経路L4を設ける。これにより、交流発電機10からの給電によりトランジスタ27がONされるようになり、従来技術に比べて早期に燃料ポンプ6の駆動を開始することができる。なお、電気経路L4には逆流防止用のダイオード31が設けられている。
1…エンジン、4…燃料噴射弁、6…燃料ポンプ、10…交流発電機、12…レギュレータ、20…ECU、22…コンデンサ、23…電源IC、25…マイコン、27…トランジスタ、L1〜L4…電気経路。
Claims (5)
- エンジンの回転に伴い発電する発電機と、燃料を加圧しその加圧燃料を燃料噴射弁に供給するための電動式の燃料ポンプと、前記発電機からの給電により作動し前記燃料ポンプを駆動するためのポンプ駆動信号を出力する演算装置とを備えたエンジンの燃料噴射装置において、
前記演算装置を迂回して電気経路を設け、該電気経路を通じての出力により前記燃料ポンプを駆動させる構成としたことを特徴とするエンジンの燃料噴射装置。 - 前記発電機にて生じた電力を所定電圧に調整するレギュレータと、該レギュレータにより調整された電圧から所定の電源電圧を生成する電源回路とを備え、前記電源電圧の供給により前記演算装置が動作する構成とした燃料噴射装置において、
前記電源回路の出力側と前記燃料ポンプの駆動回路部とを接続するようにして前記電気経路を設けたことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの燃料噴射装置。 - 前記発電機にて生じた電力を所定電圧に調整するレギュレータと、該レギュレータにより調整された電圧から所定の電源電圧を生成する電源回路とを備え、前記電源電圧の供給により前記演算装置が動作する構成とした燃料噴射装置において、
前記レギュレータの出力側と前記燃料ポンプの駆動回路部とを接続するようにして前記電気経路を設けたことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの燃料噴射装置。 - 前記発電機にて生じた電力を所定電圧に調整するレギュレータと、該レギュレータにより調整された電圧から所定の電源電圧を生成する電源回路とを備え、前記電源電圧の供給により前記演算装置が動作する構成とした燃料噴射装置において、
前記発電機と前記燃料ポンプの駆動回路部とを接続するようにして前記電気経路を設けたことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの燃料噴射装置。 - 前記発電機にて生じた電力を所定電圧に調整するレギュレータと、該レギュレータにより調整された電圧から所定の電源電圧を生成する電源回路と、前記レギュレータと前記電源回路との間の電気経路に設けられ前記レギュレータを介しての給電により電荷を蓄える蓄電手段とを備え、前記電源電圧の供給により前記演算装置が動作する構成とした燃料噴射装置において、
前記蓄電手段の高電位側の端子と前記燃料ポンプの駆動回路部とを接続するようにして前記電気経路を設けたことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの燃料噴射装置。
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