JP2010216268A - 自動車用内燃機関の始動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】素早く快適な始動性能を実現する自動車用内燃機関の始動制御装置を提供する。
【解決手段】一次コイルと二次コイルとが電磁結合されてなる点火トランスTの二次電圧に基づいて、点火プラグPGが放電する自動車用内燃機関に設けられ、スタータ6を始動回転させるバッテリBTと、点火トランスTをパルス制御する点火回路5Aとの間に配置され、両者間の電気接続を接断する開閉回路3と、スタータの始動回転時に、開閉回路3を非接続状態に制御するコンピュータ回路2と、開閉回路3の接続状態で充電される一方、開閉回路3の非接続状態では放電されるキャパシタ1と、を設け、点火回路5Aは、始動回転時には、キャパシタ1の出力電圧によって駆動されるよう構成した。
【選択図】図2
【解決手段】一次コイルと二次コイルとが電磁結合されてなる点火トランスTの二次電圧に基づいて、点火プラグPGが放電する自動車用内燃機関に設けられ、スタータ6を始動回転させるバッテリBTと、点火トランスTをパルス制御する点火回路5Aとの間に配置され、両者間の電気接続を接断する開閉回路3と、スタータの始動回転時に、開閉回路3を非接続状態に制御するコンピュータ回路2と、開閉回路3の接続状態で充電される一方、開閉回路3の非接続状態では放電されるキャパシタ1と、を設け、点火回路5Aは、始動回転時には、キャパシタ1の出力電圧によって駆動されるよう構成した。
【選択図】図2
Description
本発明は、素早く快適な始動特性を実現した自動車用内燃機関の始動制御装置に関するものである。
従来の一般的な自動車では、例えば、交差点での信号待ちで停車すると、エンジンがアイドリング運転状態となり、その間も、燃料を浪費し続けていた。そこで、所定条件下、燃焼室への燃料供給を停止してエンジンを停止させて、排気ガスの排出量を抑えると共に、燃費の改善を図るアイドリングストップ制御が提案されている(例えば、特許文献1〜特許文献6)。
このようなアイドリングストップ制御では、図8に示すように、(A)始動クランキング動作及び(B)ファーストアイドル動作を経て(C)走行動作を開始した後は、(D)一時停止動作→(E)再始動クランキング動作→(F)再始動アイドル動作→(C)走行動作→(D)一時停止動作を繰り返すことになる。
しかしながら、始動クランキング時や、特に、再始動クランキング時における始動特性が悪いと、せっかくアイドリングストップ制御を採用しても、排ガスの抑制効果が不十分となると共に、クランキング時の電力消費のために燃費向上の要請に応えきれないという問題がある。また、運転者としても、一時停車後の再発車動作が円滑でないと、少なからず不快感を覚える。
本発明は、この問題点に鑑みてなされたものであって、素早く快適な始動性能を実現する自動車用内燃機関の始動制御装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明者は、始動クランキング時及び再始動クランキング時における燃焼動作について詳細に検討した。その結果、(a)クランキング時にバッテリからスタータに流れる大電流(例えば100〜300A程度)のために、バッテリ電圧が降下して、点火トランスの二次エネルギーが不足気味になること、(b)しかも、エンジン始動時は、燃焼不安定要素も多いので、燃焼状態が安定せずクランキング時間が長引く傾向となること、(c)一方、エンジン始動時に点火トランスへの供給電圧を所定レベルに維持するだけで、始動性能が顕著に改善されること、(d)また、点火トランスへの供給電圧を所定レベルに維持すると、二次エネルギーも安定化するので、一点火サイクル中に点火プラグを繰返し放電させる多重点火も可能となること、を見出して本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、一次コイルと二次コイルとが電磁結合されてなる点火トランスの二次電圧に基づいて、点火プラグが放電する自動車用内燃機関に設けられ、スタータを始動回転させるバッテリと、前記点火トランスをON/OFF制御する点火回路との間に配置され、両者間の電気接続を接断する開閉回路と、スタータの始動回転時に、前記開閉回路を非接続状態に制御するコンピュータ回路と、前記開閉回路の接続状態で充電される一方、前記開閉回路の非接続状態では放電されるキャパシタと、を設け、前記点火回路は、前記始動回転時には、前記キャパシタの出力電圧によって駆動されるよう構成されている。
本発明では、スタータの始動回転時には、点火回路がキャパシタの出力電圧によって駆動されるので、バッテリ電圧の低下の影響を受けることがなく、始動性能が大きく改善される。
図1は、本発明の効果を確認した実験結果を示す図面であり、バッテリ電圧VBと、点火トランスの二次電圧V2及び二次エネルギーPWとの関係を示している。なお、スイッチングトランジスタのON時間τは、常に一定値としている。
図示の通り、バッテリ電圧VBが所定レベルより低下すると、二次電圧V2や二次エネルギーPWが低下するが、二次電圧V2は、二次コイルに数pFのコンデンサを並列接続して実測された値である。また、二次エネルギーPWは、二次コイルにツェナーダイオードを並列接続して実測したエネルギー値(二次電圧V2*二次電流I2の時間積分値)である。
なお、この実験結果では、バッテリ電圧が11.5V程度で、二次電圧V2や二次エネルギーPWが飽和しているが、それは、点火トランスが飽和傾向となること、及び、一次コイルのON電流を制限する保護回路が機能するためである。
何れにしても、本発明では、バッテリと点火トランスとの間に昇圧回路が設けられているので、スタータが起動するクランキング時にバッテリ電圧が低下しても、昇圧回路の出力電圧が一定値に維持されることで、点火トランスの二次電圧や二次エネルギーを所望レベルに維持することができる。
本発明では、好ましくは、前記点火回路と前記キャパシタとの間に、双方向に機能するDC−DCコンバータを配置すべきである。このような構成を採ると、適宜な昇圧動作又は降圧動作によって、所定レベルの出力電圧を生成することができる。
すなわち、このDC−DCコンバータは、前記コンピュータ回路から出力されるPWM信号に基づいて、所定レベルの電圧を出力するよう構成されているのが好ましい。
また、前記コンピュータ回路は、自動車各部を総合的に制御するメインコンピュータ回路に制御されて動作している場合と、前記点火回路を含んで自動車各部を総合的に制御している場合とが典型的な構成である。ここで、好ましくは、前者のメインコンピュータ回路や後者のコンピュータ回路においてアイドリングストップ制御をすべきであり、一時停車時には、所定の条件下、燃焼室への燃料供給が停止される。一方、再発車時には、例えば、ブレーキ操作の解除を検出して、クランキング動作が開始される。
上記した本発明によれば、自動車用内燃機関における素早く快適な始動性能を実現することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。図2は、自動車用の始動制御装置EQUを、その周辺装置と共に図示した回路ブロック図である。
図示の通り、この始動制御装置EQUは、鉛バッテリBTのバックアップ電源として機能するキャパシタ1と、キャパシタ1を充放電する充放電回路2と、クランキング時にOFF動作する開閉回路3と、自動車全体を電子制御するECU(Electronic Control Unit)たる車両コントローラ4と、点火プラグを点火放電させる点火回路5Aと、を有して構成されている。なお、ここで、クランキング時には、始動クランキング時だけでなく、再始動クランキング時を含んでおり、この点は、以下の場合も同じである。
充放電回路2は、ノイズフィルタ9と、DC−DCコンバータ10と、DC−DCコンバータ10を通電制御するCPU11と、を含んで構成されている。また、開閉回路3は、スイッチング素子Qと、ドライバ回路13と、を含んで構成されている。スイッチング素子Qは、Nチャネル・パワーMOSFETで構成され、そのドレイン端子とソース端子の間には寄生ダイオードDが存在している。
また、スイッチング素子Qのゲート端子には、充放電回路2のCPU11から制御パルスCTLが供給されており、開閉回路3のスイッチング素子Qは、クランキング時にOFF動作し、それ以外では、ON動作するよう制御されている。
図示の通り、DC−DCコンバータ10の入力電圧及び入力電流と、出力電圧及び出力電流とは、CPU11に把握可能に構成されている。そして、CPU11は、適宜に設定したPWM波を、ドライバ回路12を経由してDC−DCコンバータ10に供給して、所望レベルの昇圧電圧又は降圧電圧を生成している。
充放電回路2のCPU11は、開閉回路3のドライバ回路13を経由して、スイッチング素子QをON/OFF制御すると共に、開閉回路3の入力電圧と出力電流を把握している。また、CPU11には、2つの温度検出部20,14と、リセット部15とが接続されている。ここで、温度検出部20は、開閉回路3の異常発熱を検出する部分であり、温度検出部14は、充放電回路2の異常発熱を検出する部分である。
また、充放電回路2のリセット部15は、電源投入時にCPU11をリセットする電源リセット機能と、システム暴走時にCPU11をリセットするウォッチドッグタイマ機能とを有している。
また、充放電回路2のCPU11は、CAN(Control Area Network)又はLIN(Local Interconnect Network)等の通信手段16を経由して、車両コントローラ4に接続されている。また、車両コントローラ4は、起動回路17を経由して、CPU11に起動指令CMDを供給し、これを受けたCPU11は、DC−DCコンバータ10の降圧動作又は昇圧動作を実行している。ここで、起動とは、CPU11のソフトウェア処理の開始を意味し、車両コントローラ4は、制御電源18が正常に機能している状態で、起動指令CMDをCPU11に供給する。
一方、CPU11は、起動指令CMDにより起動されたソフトウェア処理に基づいて、通信手段16を介して車両コントローラ4と交信し、車両コントローラの指示に基づいて、各タイミングでの動作内容を決定して実行している。具体的には、クランキング時には、DC−DCコンバータ10を降圧動作状態で機能させ(図4(a)(b))、その後の運転時には、DC−DCコンバータ10を、昇圧動作状態で機能させている(図4(c)(d))。
ところで、充放電回路2には、制御電源18が設けられており、制御電源18は、鉛バッテリBTから受けたバッテリ電圧に基づいて、所定レベルに安定化された各種の電源電圧を生成し、これを充放電回路2の各部に給電している。なお、バッテリ電圧の給電は、運転者によるスタートキー操作に応答して素早く開始され、その後は、自動車の一時停止時(図8(D))も含めて、給電状態が維持される。
制御電源18の出力電圧は、開閉回路3の制御電源19に供給されている。そして、制御電源19は、制御電源18の出力電圧に基づいて、所定レベルに安定化された電源電圧を生成し、これを開閉回路3の各部に給電している。
この実施例では、電気負荷は、開閉回路3によって、第一電気負荷と第二電気負荷とに二分されている。第一電気負荷は、点火プラグを点火放電させるための点火回路5Aを含んでおり、点火回路5Aは、クランキング時には、キャパシタ1の電圧を受けて動作する。一方、第二電気負荷5Bは、クランキング時も含めて鉛バッテリBTの電圧を受けている。なお、クランキング時に鉛バッテリBTの電圧を受けて回転するスタータ6と、自動車運転時に鉛バッテリBTを充電するオルタネータ7とが、電気負荷5Bに並列的に接続されている。
図3は、双方向に機能するDC−DCコンバータ10と点火回路5Aの回路例を示す回路図である。図示の通り、このDC−DCコンバータ10は、スイッチング素子Q1,Q2と、チョークコイルLと、バックアップ電源たる第一コンデンサC1(キャパシタ1)と、第二コンデンサC2と、で構成されている。ここで、第二コンデンサC2の両端電圧は、ノイズフィルタ9を経由して、点火回路5Aに供給されている。また、スイッチング素子QがON状態である限り、第二コンデンサC2には、ノイズフィルタ9を経由してオルタネータ7の出力電圧が供給されている。
スイッチング素子Q1,Q2は、何れもNチャネル・パワーMOSFETで構成されている。そして、スイッチング素子Q1のソース端子と、スイッチング素子Q2のドレイン端子とが直結され、2つのスイッチング素子Q1,Q2の直結点と、第二コンデンサC2の非グランド側端子との間にチョークコイルLが接続されている。また、スイッチング素子Q1のドレイン端子と、スイッチング素子Q2のソース端子との間に、第一コンデンサC1が接続され、スイッチング素子Q2のソース端子は、コンデンサC1,C2の一方側端子と共にグランドに接続されている。
2つのスイッチング素子Q1,Q2のゲート端子には、駆動パルスSG1,SG2が供給されている。駆動パルスSG1,SG2は、スイッチング素子Q1,Q2のON時間を制御するPWM(Pulse Width Modulation)波であって、充放電回路2のCPU11から、ドライバ回路12を経由して供給される。なお、駆動パルスSG1,SG2には、2つのスイッチング素子Q1,Q2の貫通電流を防止するデッドタイムが設けられている(図4参照)。
点火回路5Aは、点火プラグPG−1〜PG−nと、自動車運転時に点火プラグPG−1〜PG−nを放電させる点火トランスT−1〜T−nと、点火トランスT−1〜T−nの一次コイルL1の電流をON/OFF制御するトランジスタTr−1〜Tr−nとで構成されている。各トランジスタTr−1〜Tr−nのベース端子には、車両コントローラ4から点火パルスIG−1〜IG−nが供給され、各トランジスタTr−1〜Tr−nのOFF遷移時に、二次コイルL2に誘起される高電圧に基づいて、点火プラグPG−1〜PG−nが放電するよう構成されている。なお、トランジスタTrは、実際には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)や、その他の電力制御用トランジスタが使用される。
以上の構成を有する始動制御装置EQUでは、クランキング時だけ、開閉回路3のスイッチング素子QがOFF状態とされ、その後は、スイッチング素子Qが定常的にON状態とされる。そのため、DC−DCコンバータ10は、自動車の運転時には、オルタネータ7の出力電圧を受けて、第一コンデンサC1を昇圧充電する一方、クランキング時には、第一コンデンサC1に充電されたバックアップ電圧を降圧放電して、点火回路5Aの電源電圧を生成している。
図4は、以上の動作を説明する概略図である。先ず、開閉回路3のスイッチング素子QがON状態である自動車運転時に実行される昇圧充電動作について説明する。なお、図4(a)〜図4(b)に示す動作は、通信手段16を経由して車両コントローラ4から受けた情報や、自ら取得した電圧・電流情報に基づいて、充放電回路2のCPU11の制御により実行される。すなわち、CPU11は、所定の出力電圧を生成するべく、適宜なパルス幅を有する駆動パルスSG2と、その相補信号である駆動パルスSG1を出力する。
そして、駆動パルスSG2がHレベルであるタイミングでは、オルタネータ7の出力電圧に基づいて、図4(a)の矢印の向きでチョークコイルLに充電電流が流れる。そして、その後、駆動パルスSG2がLレベルに遷移し、デッドタイムを経て駆動パルスSG1がHレベルに遷移すると、チョークコイルLの誘起電圧と、オルタネータ7の出力電圧とが重畳されて第一コンデンサC1が昇圧充電される(図4(b))。
そして、その後も、図4(a)と図4(b)の動作を繰り返すので、第一コンデンサC1は、駆動パルスSG2のパルス幅に対応した電圧レベルに昇圧充電される。なお、駆動パルスSG1は、必ずしも必須ではなく、図4(b)のタイミングでは寄生ダイオードを経由して第一コンデンサC1を充電したのでも良い。
続いて、始動クランキング時や再始動クランキング時の動作について、図4(c)〜図4(d)に基づいて説明する。なお、以下の動作は、車両コントローラ4に制御される充放電回路2のCPU11によって実行される。
先に説明した通り、クランキング時には、充放電回路2のCPU11は、開閉回路3のスイッチング素子QをOFF状態に制御するので、チョークコイルLに、バッテリBTの出力電圧が供給されることはない。
そのため、駆動パルスSG1がHレベルとなるタイミングでは、第一コンデンサC1の電圧が、スイッチング素子Q1を経由して放電し、チョークコイルLには、図4(c)の矢印の向きで、第一コンデンサC1の放電電流が流れる。そして、その後、駆動パルスSG1がLレベルに遷移した後、駆動パルスSG2がHレベルに遷移すると、チョークコイルLの誘起電圧に基づいて、第二コンデンサC2が降圧充電される(図4(d))。
そして、その後も、図4(c)と図4(d)の動作を繰り返すので、第二コンデンサC2は、駆動パルスSG1のパルス幅に対応した電圧レベルに降圧充電される。
ところで、始動クランキング時や再始動クランキング時には、バッテリBTから直流電流を受けてスタータ6が始動回転するので、バッテリBTの出力電圧が大幅に低下する。しかし、本実施例では、バッテリBTと点火回路5Aとが切り離される上に、DC−DCコンバータ10が降圧動作によって第二コンデンサC2の両端電圧が一定値に維持されるので、点火回路5Aへの供給電圧が低下することはない。なお、エンジン始動時にスタータ6に流れ込む電流は、エンジンの排気量や回転速度などにより異なるが、普通車では100〜300A程度であり、始動特性を改善することの技術的価値は高い。
このように、本実施例では、クランキング動作時にDC−DCコンバータ10を降圧動作させて点火回路5Aへの供給電圧を安定化させるので、始動特性を大幅に改善することができる。また、本実施例の構成によれば、エンジン始動時も含めて、一点火サイクル中に点火プラグを繰返し放電させる多重点火制御を採ることもできる。そして、本発明を一回の爆発行程で多重点火を行うマルチ点火システムに適用することで、特にエンジン始動時等の燃焼混合気の濃度にバラツキが生じている場合であっても安定燃焼を実現できる。
以上、DC−DCコンバータ10の回路構成について具体的に説明したが、特に、図3の回路構成に限定されるものではない。
図5(a)は、DC−DCコンバータ10の別の回路例を示す回路図である。図示の通り、このDC−DCコンバータは、ブリッジ型に接続されたスイッチング素子Q1〜Q4と、チョークコイルLと、第一コンデンサC1と、第二コンデンサC2とで構成されている。この実施例でも、第二コンデンサC2の両端電圧は、ノイズフィルタ9を経由して、点火回路5Aに供給されている。また、開閉回路3のスイッチング素子QがON状態であれば、第二コンデンサC2には、オルタネータ7の出力電圧が供給される。
スイッチング素子Q1〜Q4は、何れもNチャネル・パワーMOSFETで構成されている。そして、スイッチング素子Q1のソース端子と、スイッチング素子Q2のドレイン端子が直結され、スイッチング素子Q1のドレイン端子と、スイッチング素子Q2のソース端子との間に、第二コンデンサC2が接続されている。
同様に、スイッチング素子Q3のソース端子と、スイッチング素子Q4のドレイン端子が直結され、スイッチング素子Q3のドレイン端子と、スイッチング素子Q4のソース端子との間に、第一コンデンサC1が接続されている。
そして、スイッチング素子Q2とスイッチング素子Q4のドレイン端子間に、チョークコイルLが接続されている。また、スイッチング素子Q2とスイッチング素子Q4のソース端子は互いに接続され、第一と第二コンデンサC1,C2の一方側端子と共にグランドに接続されている。
図5(a)に示す双方向DC−DCコンバータ10は、上記の通りに構成されているので、自動車運転時には、第一コンデンサC1を、昇圧充電又は降圧充電することができる。また、クランキング時についても、電気負荷への供給電圧を降圧又は昇圧することができる。
図5(b)は、第一コンデンサC1を昇圧充電する動作を説明する図面であり、この昇圧充電時には、スイッチング素子Q1が定常的にON状態となる。そして、駆動パルスSG4がHレベルであって、スイッチング素子Q4がON状態であるタイミングでは、矢印に示す通り、オルタネータ7⇒スイッチング素子Q1⇒チョークコイルL⇒スイッチング素子Q4の経路でチョークコイルLに充電電流が流れる。
その後、スイッチング素子Q4がOFF状態となり、スイッチング素子Q3がON状態となると、チョークコイルLの誘起電圧と、オルタネータ7の出力電圧とが重畳されて第一コンデンサC1が昇圧充電される。
そして、その後も、図5(b)の左右に示す動作を繰り返すので、第一コンデンサC1は、駆動パルスSG4に基づいて昇圧充電される。なお、この実施例でも駆動パルスSG3は、必ずしも必須ではなく、スイッチング素子Q3の寄生ダイオードを経由して第一コンデンサC1を充電したのでも良い。
続いて、図5(c)に基づいて、第一コンデンサC1を降圧充電する動作を説明する。いま、駆動パルスSG1がHレベルであって、スイッチング素子Q1がON状態であるタイミングでは、矢印に示す通り、オルタネータ7⇒スイッチング素子Q1⇒チョークコイルL⇒スイッチング素子Q3⇒第一コンデンサC1の経路で第一コンデンサC1が充電される。
その後、スイッチング素子Q1がOFF状態となり、スイッチング素子Q2がON状態となると、スイッチング素子Q2⇒チョークコイルL⇒スイッチング素子Q3⇒第一コンデンサC1の経路で第一コンデンサC1が降圧充電される。
そして、その後も、図5(c)の左右に示す動作を繰り返すので、第一コンデンサC1は、駆動パルスSG1のパルス幅に対応した電圧レベルに降圧充電される。なお、上記の説明では、スイッチング素子Q3の寄生ダイオードを利用して第一コンデンサC1を充電する旨説明しているが、スイッチング素子Q3を定常的にON状態にしたのでも良いのは勿論である。
以上、図5(b)及び図5(c)では、オルタネータ7から第一コンデンサC1に向けた自動車運転時のエネルギー移動について説明した。一方、クランキング時においては、第一コンデンサC1から点火回路5Aに向けて、同様の動作によってエネルギー移動が実行される。したがって、図5(a)の回路構成によれば、クランキング時においても、スイッチング素子Q1〜Q4を適宜にON/OFF制御することで、適宜に昇圧動作又は降圧動作を実行することができる。
続いて、DC−DCコンバータ10の更に別の回路例を、図6(a)に基づいて説明する。図6(a)に示す回路は、図5(a)のスイッチング素子Q4を除去すると共に、スイッチング素子Q3を短絡させたのと実質的に同じである。そして、自動車運転時には、第一コンデンサC1が降圧充電され(図6(b))、クランキング時には、第一コンデンサC1が昇圧放電されて(図6(c))、点火回路5Aの電源電圧が生成される。
以上、図2に示す始動制御装置EQUについて、各部の回路構成を詳細に説明したが、具体的な記載内容は特に本発明を限定するものではない。例えば、図7は、図2の基本回路構成A−1の他に、変形回路構成A−2〜A−3,B−1〜B−3を例示したものである。
基本回路構成A−1では、充放電回路2を制御するCPU11が、開閉回路3を開閉制御するのに対して、変形回路構成A−2では、車両コントローラ4(ECU)が、開閉回路3を直接的に開閉制御している。
また、変形回路構成A−3は、充放電回路2を設けない回路例である。この変形回路構成A−3では、自動車運転時に開閉回路3がON状態となって、オルタネータ7の出力によって大容量のキャパシタ1が充電される。一方、クランキング時には、開閉回路3がOFF状態となり、キャパシタ1の出力電圧によって点火回路5Aが駆動される。この変形回路構成A−3では、クランキング時に、点火回路5Aへの供給電圧を一定値に維持できないが、回路構成が簡易である点で優れている。
ところで、図6の下段に示す回路構成B−1,B−2,B−3は、上段の回路構成A−1,A−2,A−3の変形例である。すなわち、上段の回路構成A−1〜A−3では、電気負荷5A,5Bを、開閉回路3を介して二分しているが、下段の回路構成では、電気負荷5を1つにまとめると共に、開閉回路3を介して、バッテリBTと電気負荷5とを分離している。
以上、図7では六個の回路構成を例示したが、何れの回路構成でも開閉回路3は、クランキング時にOFF状態となり、その後の運転時にはON状態となるよう制御される。
本発明は、低燃費で環境に優しい自動車エンジンに好適に利用される。
L1 一次コイル
L2 二次コイル
T 点火トランス
PG 点火プラグ
BT バッテリ
1 キャパシタ
2 コンピュータ回路
3 開閉回路
5A 点火回路
L2 二次コイル
T 点火トランス
PG 点火プラグ
BT バッテリ
1 キャパシタ
2 コンピュータ回路
3 開閉回路
5A 点火回路
Claims (5)
- 一次コイルと二次コイルとが電磁結合されてなる点火トランスの二次電圧に基づいて、点火プラグが放電する自動車用内燃機関に設けられ、
スタータを始動回転させるバッテリと、前記点火トランスをON/OFF制御する点火回路との間に配置され、両者間の電気接続を接断する開閉回路と、
スタータの始動回転時に、前記開閉回路を非接続状態に制御するコンピュータ回路と、
前記開閉回路の接続状態で充電される一方、前記開閉回路の非接続状態では放電されるキャパシタと、を設け、
前記点火回路は、前記始動回転時には、前記キャパシタの出力電圧によって駆動されるよう構成されたことを特徴とする内燃機関の始動制御装置。 - 前記点火回路と前記キャパシタとの間に、双方向に機能するDC−DCコンバータを配置した請求項1に記載の始動制御装置。
- DC−DCコンバータは、前記コンピュータ回路から出力されるPWM信号に基づいて、所定レベルの電圧を出力するよう構成されている請求項1又は2に記載の始動制御装置。
- 前記コンピュータ回路は、自動車各部を総合的に制御するメインコンピュータ回路に制御されて動作している請求項1〜3の何れかに記載の始動制御装置。
- 前記コンピュータ回路は、前記点火回路を含んで自動車各部を総合的に制御している請求項1〜3の何れかに記載の始動制御装置。
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2009
- 2009-03-13 JP JP2009060577A patent/JP2010216268A/ja not_active Withdrawn
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