JP2006299847A - 内燃機関およびその点火栓配置方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 多点着火式の内燃機関において、隣接気筒間で燃焼室周辺部に配置した点火栓どうしが位置的な干渉を生じる。
【解決手段】 燃焼室中央に設けた第1の点火栓11に関して略対称位置となる吸排気弁両側方の燃焼室周辺領域にそれぞれ第2、第3の点火栓12,13を配置した内燃機関において、平面視にて、前記第2、第3の点火栓の取付中心部を通る線と、2個の吸気弁の弁開口部中心を通る線と、2個の排気弁の弁開口部中心を通る線とが、それぞれ主軸線に対して同一方向に傾き角を有するように、第2、第3の点火栓、吸気弁および排気弁を配置する。
【選択図】図2
【解決手段】 燃焼室中央に設けた第1の点火栓11に関して略対称位置となる吸排気弁両側方の燃焼室周辺領域にそれぞれ第2、第3の点火栓12,13を配置した内燃機関において、平面視にて、前記第2、第3の点火栓の取付中心部を通る線と、2個の吸気弁の弁開口部中心を通る線と、2個の排気弁の弁開口部中心を通る線とが、それぞれ主軸線に対して同一方向に傾き角を有するように、第2、第3の点火栓、吸気弁および排気弁を配置する。
【選択図】図2
Description
本発明は、火花点火式内燃機関に関し、特に気筒あたりに複数の点火栓を備えた多点着火式内燃機関またはその点火栓配置方法に関する。
多点着火式内燃機関の従来技術として、特許文献1または特許文献2に開示されたようなものが知られている。この内燃機関では、主軸方向に沿って気筒あたりに3個の点火栓を設け、多点着火とすることで、特に燃焼が滞りがちな排気還流時の燃焼期間の短縮を図っている。
特開平4−107647号公報
特開平6−88530号公報
前記従来技術では、隣接気筒間で、燃焼室の周辺部に位置する点火栓どうしが近接しており、シリンダヘッド上で点火栓を挿入するための空間を確保する必要から気筒間の間隔を大きくせざるを得ず、この結果として機関の重量や寸法が増大してしまうという問題を生じる。あるいは、隣接する点火栓を互いに干渉しない燃焼室領域に設けようとすると、それだけ吸気弁または排気弁の弁径を小さくしなければならないので、吸排気効率および出力性能が損なわれる。
本発明は、気筒列を形成する複数の気筒毎に、吸気弁と排気弁とをそれぞれ概略主軸方向に沿って2個ずつ配置し、前記吸気弁および排気弁に包囲された燃焼室中央領域に第1の点火栓を設けると共に、第1の点火栓に関して略対称位置となる吸排気弁両側方の燃焼室周辺領域にそれぞれ第2、第3の点火栓を配置した内燃機関である。
本発明では、前記のような多点着火式内燃機関において、平面視にて、前記第2、第3の点火栓の取付中心部を通る線と、2個の吸気弁の弁開口部中心を通る線と、2個の排気弁の弁開口部中心を通る線とが、それぞれ主軸線に対して同一方向に傾き角を有するように、第2、第3の点火栓、吸気弁および排気弁を配置した。
また、本発明は、前記のような多点着火式内燃機関の点火栓配置方法を提供するものであって、平面視にて、前記第2、第3の点火栓の取付中心部を通る線と、2個の吸気弁の弁開口部中心を通る線と、2個の排気弁の弁開口部中心を通る線とが、それぞれ主軸線に対して同一方向に傾き角を有するように、第2、第3の点火栓、吸気弁および排気弁を配置することによって、隣り合う気筒間で隣接する第2、第3の点火栓を側面視にて部分的に重複しうる位置に設けられるようにした点火栓の配置方法を要旨とする。
本発明では、前記の構成により、各気筒に直列的に配列した3個の点火栓と都合4個の吸排気弁とを、概ね気筒中心線のまわりに前記傾き角だけ回転させた態様となる。これにより、隣り合う気筒間で隣接する第2、第3の点火栓は、気筒列中心線を基準にすれば互い違いの配置となるので、これら二つの点火栓の位置的な干渉を回避することができ、これにより気筒間の間隔を最小限にすることができる。また、前記隣接する二つの点火栓をそれぞれの気筒の燃焼室の最外周領域に位置させることができるので、吸気弁や排気弁の弁径を最大限に確保することができる。
加えて、本発明によれば前記隣接する二つの点火栓に対して均等に冷却水流を供給できるので、点火栓毎の冷却状態の相違を回避して安定した着火性能を発揮させることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお各図において共通する部分には互いに同一の符号を付して示すこととする。図1は本発明が適用可能な内燃機関の概略構成を示している。図中の1は複数の気筒を主軸方向に配設した気筒列を有する多気筒内燃機関の本体、2はその吸気通路、3は吸入ポート部、4はスロットル弁、5は排気ポート部、6は吸気弁、7は排気弁、8は燃料噴射弁、9は燃焼室、10はピストン、11〜13は点火栓である。また、20はコントロールユニット、21は吸入空気量センサ、22はクランク角センサである。23はシリンダ内にスワールを生起するための制御弁であり、コントロールユニット20からの指令に基づき、比較的低負荷の運転条件下で吸気通路2の流路面積を絞ってシリンダへの吸気流速を高めることにより吸気スワールを生起する構成となっている。
コントロールユニット20は、CPUおよびその周辺装置からなるマイクロコンピュータにより構成されており、運転状態検出装置としての前記各センサ21、22からの入力に基づいて内燃機関の運転状態を判断し、燃料の噴射時期、噴射量、点火時期がそれぞれ所定の目標値に一致するように燃料噴射弁8および点火栓11〜13の作動を制御する。
図2以下に、前記3個の点火栓11〜13の配置の詳細を示す。なお、本明細書の記載において、点火栓の配置状態を説明するために「正面視」「平面視」「側面視」という用語を使用する。「正面視」は内燃機関の正面ないしは主軸方向の視点、「平面視」は燃焼室上方ないしはシリンダ軸線方向の視点、「側面視」はシリンダ側面ないしは前記主軸およびシリンダ軸線に直交する方向の視点を示している。
この実施形態の内燃機関は図2に平面視にて示したように気筒あたりに吸気弁6と排気弁7とをそれぞれ主軸方向に沿って2個ずつ配置した4弁構成となっている。3個の点火栓のうち、中央に位置する第1の点火栓11は、前記都合4個の吸気弁6または排気弁7に包囲された燃焼室9の中央領域に位置する。これに対して、第2、第3の点火栓12,13は、前記第1の点火栓11に関して略対称位置となる吸気弁6および排気弁7の両側方の燃焼室9の周辺領域に位置する。
また、各気筒において、前記第2、第3の点火栓12,13の取付中心部を通る線Lpと、2個の吸気弁6の弁開口部中心を通る線Liと、2個の排気弁7の弁開口部中心を通る線Loとが、それぞれ主軸線ないしは気筒列中心線L1に対して同一方向に傾き角θ1を有するように、第2、第3の点火栓12,13、吸気弁6および排気弁7を配置してある。なお、この場合、前記線Lp,Li,Loは互いにほぼ同一の傾き角θ1を設定してあるが必ずしも同一にする必要はない。
さらに、この実施形態では、前記第2、第3の点火栓12,13を、図3に示したように、その放電電極部12a,13aが側面視にてシリンダ内側方向を向くように傾斜させて取り付けてある。
前記実施形態の構成によれば、隣接気筒のそれぞれの燃焼室周辺領域にあって隣り合う第2、第3の二つの点火栓12,13が気筒列中心線L1に対して互い違いの配置となり、これにより互いの位置的干渉を回避できることから、気筒間の間隔を最小限にすることができ、機関重量および寸法を低減することができる。また、この点火栓配置によれば吸気弁6または排気弁7の弁径を最大限に確保できるので、出力性能が損なわれるようなこともない。さらに、この実施形態では燃焼室周辺領域に位置する前記第2、第3の点火栓12,13の放電電極部12a,13aをシリンダ内側方向を向くように傾斜させたことにより、低温始動時においても点火後の初期火炎の広がりをより均一にでき、燃焼安定性を高められると共に、燃焼期間を確実に短縮することができる。
図4〜図7は前記燃焼改善効果を実験的に確認した結果を示している。図4と図5はそれぞれ低温始動時における空燃比(A/F)と図示平均有効圧(Pi)の変動率または着火遅れ時間との関係を調べたもので、図中の細線は燃焼室中央の点火栓のみによる1点着火の場合、太線は前記実施形態の3個の点火栓による3点着火の場合を示している。図示されるように、本実施形態による3点着火では、同一のPi変動率において1点着火よりも希薄側の空燃比で運転することが可能であり、または希薄空燃比域まで着火遅れが少なく、それだけ燃焼安定性が高められている。図6と図7は、それぞれ燃焼終了時期と排出HC量または排気温度との関係を示したものである。図6に示されるように、本実施形態の3点着火によれば、中央の点火栓のみによる1点着火または中央の点火栓を除く2点着火の場合に比較して、燃焼期間が短縮されることから、燃焼終了時期をより遅らせることができ、これにより排出HC濃度が低減している。また、図7に示されるように、燃焼終了時期を遅らせたことにより、1点着火または2点着火の場合に比較して排気温度をより高くすることができ、これにより排気浄化触媒の活性化を促進することができる。したがって、低温始動時の排気エミッション性能も改善される。
また、隣接気筒間で隣り合う第2の点火栓12と第3の点火栓13の取付位置が干渉しないように配置した構成により、個々の点火栓に対する冷却性能を改善できる効果も得られる。すなわち、一般に多気筒の水冷式内燃機関ではシリンダヘッドの一方の端部から他方の端部へと向かって気筒列方向に冷却水が流れるように冷却水ジャケットが形成される。したがって、従来例のように冷却水の流れ方向に対して気筒間で隣接する点火栓同士が同一直線上に並んでいると、下流側のものが相対的に冷却不足となって点火性能が損なわれるおそれを生じる。これに対して、本発明の構成によれば、2つの隣接する点火栓12と13の位置的干渉を回避した構成に基づき、各点火栓への冷却水の流れを均等にして適切な冷却を行うことができる。
さらに前記構成においては、図2に示したように、前記2個の吸気弁6のうち平面視にて気筒列中心線L1に近い側の吸気弁(以下「内側吸気弁」という。)は、他方の吸気弁に比較すると、気筒列方向で見て燃焼室のより外周域に位置している。すなわち、燃焼室側方に位置する吸入ポート部3の出口に当たる吸気弁口部は、気筒中心からより遠い位置に開口している。したがって、前記制御弁23(図1参照)を、内側吸気弁6からスワールを導入する構成とすることにより、より効果的なスワールを生起させることができる。
一方、このようにしてスワールを生起する構成においては、図8に示したように第2または第3の点火栓12,13を、正面視にて気筒中心線L2に対して傾き角θ2を有するように傾斜させて、スワールの流れに対して放電電極部12aまたは13aが対向するように図るとよい。ただし傾き角θ2を設定するのは、2個の点火栓12,13のうち何れか一方のみでもよい。本出願人の知見によれば、このようにスワールの流れに対して放電電極部12aまたは13aが向かい合うように前記傾き角θ2の方向を定めることにより、着火性が向上し、着火遅れ期間をより短縮することができる。
1 内燃機関の本体
2 吸気通路
3 吸入ポート部
4 スロットル弁
5 排気ポート部
6 吸気弁
7 排気弁
8 燃料噴射弁
9 燃焼室
10 ピストン
11 第1の点火栓
11a 放電電極部
12 第2の点火栓
12a 放電電極部
13 第3の点火栓
13a 放電電極部
L1 気筒列中心線
L2 気筒中心線
2 吸気通路
3 吸入ポート部
4 スロットル弁
5 排気ポート部
6 吸気弁
7 排気弁
8 燃料噴射弁
9 燃焼室
10 ピストン
11 第1の点火栓
11a 放電電極部
12 第2の点火栓
12a 放電電極部
13 第3の点火栓
13a 放電電極部
L1 気筒列中心線
L2 気筒中心線
Claims (5)
- 気筒列を形成する複数の気筒毎に、吸気弁と排気弁とをそれぞれ主軸方向に沿って2個ずつ配置し、前記吸気弁および排気弁に包囲された燃焼室中央領域に第1の点火栓を設けると共に、第1の点火栓に関して略対称位置となる吸排気弁両側方の燃焼室周辺領域にそれぞれ第2、第3の点火栓を配置した内燃機関において、
平面視にて、前記第2、第3の点火栓の取付中心部を通る線と、2個の吸気弁の弁開口部中心を通る線と、2個の排気弁の弁開口部中心を通る線とが、それぞれ主軸線に対して同一方向に傾き角を有するように、第2、第3の点火栓、吸気弁および排気弁を配置したこと
を特徴とする内燃機関。 - 前記第2、第3の点火栓を、その放電電極部が側面視にてシリンダ内側方向を向くように傾斜させた請求項1に記載の内燃機関。
- 前記第2または第3の点火栓は、一方の吸気弁から導入されるスワールの流れに対してその放電電極部が向かい合う方向に傾斜させてある請求項1または請求項2に記載の内燃機関。
- 前記2個の吸気弁のうち、平面視にて気筒列の中心線に近い側の吸気弁を介してスワールを導入するようにした請求項1から請求項3の何れかに記載の内燃機関。
- 気筒列を形成する複数の気筒毎に、吸気弁と排気弁とをそれぞれ主軸方向に沿って2個ずつ配置し、前記吸気弁および排気弁に包囲された燃焼室中央領域に第1の点火栓を設けると共に、第1の点火栓に関して略対称位置となる吸排気弁両側方の燃焼室周辺領域にそれぞれ第2、第3の点火栓を配置した内燃機関の点火栓配置方法であって、
平面視にて、前記第2、第3の点火栓の取付中心部を通る線と、2個の吸気弁の弁開口部中心を通る線と、2個の排気弁の弁開口部中心を通る線とが、それぞれ主軸線に対して同一方向に傾き角を有するように、第2、第3の点火栓、吸気弁および排気弁を配置することによって、隣り合う気筒間で隣接する第2、第3の点火栓を側面視にて部分的に重複しうる位置に設けられるようにしたことを特徴とする内燃機関の点火栓配置方法。
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