JP2006299199A - 光学フィルム用樹脂組成物及び光学フィルム - Google Patents

光学フィルム用樹脂組成物及び光学フィルム Download PDF

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宏至 平池
Takahiko Sawada
貴彦 澤田
Kazunari Yagi
一成 八木
Isao Higuchi
勲夫 樋口
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Abstract

【課題】 成形後に得られるフィルムに形成される欠点が少なく、耐熱性、低比重性、低複屈折性、低光弾性係数及び低波長分散性に優れる光学フィルムを得ることが可能な光学フィルム用樹脂組成物及び光学フィルムを提供する。
【解決手段】メタロセン系触媒及び助触媒を用いて重合されてなる熱可塑性ノルボルネン系樹脂を含有する光学フィルム用樹脂組成物であって、前記メタロセン系触媒に由来する金属の含有量が0.1ppm以下、かつ、助触媒に由来する金属の含有量が5ppm以下である光学フィルム用樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、成形後に得られるフィルムに形成される欠点が少なく、耐熱性、低比重性、低複屈折性、低光弾性係数及び低波長分散性に優れる光学フィルムを得ることが可能な光学フィルム用樹脂組成物及び光学フィルムに関する。
近年、コンピューター等の表示装置としては、ブラウン管式のCRT(Cathod Ray Tube)とともに、液晶表示装置(Liquid Crystal Display:LCD)が多く用いられている。このような液晶表示装置は、通常、液晶分子を封入した電極が組み込まれたガラスセルに、透明な粘着剤を介して位相差フィルムが貼り合わされ、更にその上に粘着剤を介して偏光板が貼り合わされた構成となっている。
このような液晶表示装置に用いられる位相差フィルムや偏光板を構成する光学フィルムの原材料としては、一般的にポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリサルホン系樹脂、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂等の熱可塑性樹脂が用いられており、位相差フィルムとしてはポリカーボネート系樹脂が、偏光板として変性セルロース系樹脂が主として工業的に用いられている。
しかしながら、これらの熱可塑性樹脂は、光弾性係数が高く、特に大型の液晶パネル等のように、偏光子の収縮応力が大きくなる場合には、偏光子の変形に伴って屈折率の異方性が生じ、表示ムラを起こすという問題があった。
一方、光弾性係数が低く、耐熱性、低比重性、低複屈折性、低波長分散性等に優れた樹脂として、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂が近年注目を集めており、このような熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂を用いた光学フィルムとして、特許文献1に、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物及び熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂を成形、延伸して得られる複屈折層を有する位相差フィルムが開示されている。
しかしながら、このような熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂は、重合する過程でゲル成分が発生し、押出成形等の方法で位相差フィルム用の原反フィルム等の光学フィルムを製造した場合に、ゲル成分に起因する欠点が位相差フィルムの表面に形成されてしまうという問題があった。
このような問題を解決するため、押出成形を行う際に、ゲル成分を除去することを目的として、焼結させた金属からなるディスクをポリマーフィルタとして用いることが知られている。しかしながら、この方法でも、熱可塑性ノルボルネン系樹脂に含まれるゲルを完全に除去することができず、逆にフィルタが目詰まりを起こして、連繰性を低下させてしまうことで押出成形の特徴である連続生産性が損なわれていた。
一方、熱可塑性ノルボルネン系樹脂における触媒金属量を規定した光学フィルムが研究されており、例えば、特許文献2には、重合触媒に由来する遷移金属の含量を1ppm以下とした熱可塑性ノルボルネン系重合体水素添加物が開示されている。しかしながら、このような熱可塑性ノルボルネン系重合体水素添加物は、金属膜との接着性を向上させることを主な目的としており、ゲル成分に起因する欠点の発生を防止するという観点では依然として不充分なものであった。また、使用する樹脂についても、熱可塑性ノルボルネン系樹脂の水添物に限定されており、熱可塑性ノルボルネン系樹脂全体に用いることができる技術ではなかった。
特許第3273046号公報 特許第3151862号公報
本発明は、上記現状に鑑み、成形後に得られるフィルムに形成される欠点が少なく、耐熱性、低比重性、低複屈折性、低光弾性係数及び低波長分散性に優れる光学フィルムを得ることが可能な光学フィルム用樹脂組成物及び光学フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、メタロセン系触媒及び助触媒を用いて重合されてなる熱可塑性ノルボルネン系樹脂を含有する光学フィルム用樹脂組成物であって、前記メタロセン系触媒に由来する金属の含有量が0.1ppm以下、かつ、助触媒に由来する金属の含有量が5ppm以下である光学フィルム用樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討した結果、光学フィルムの原料となる熱可塑性ノルボルネン系樹脂に含まれるメタロセン触媒由来の金属及び助触媒由来の金属の含有量を所定の値以下とすることで、成形後に得られる光学フィルムに形成される欠点が極めて少なく、光学フィルム用樹脂として良好に用いることが可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の光学フィルム用樹脂組成物は、メタロセン系触媒に由来する金属の含有量が1ppm以下、かつ、助触媒に由来する金属の含有量が10ppm以下である。
光学フィルム用樹脂組成物に重合時の触媒に由来する金属が含まれると、脱溶剤工程やペレタイズ工程等の高温プロセスにおいてゲルの発生を促進し、成形後に得られるフィルムに、ゲルに由来する欠点が生じる原因となる。
本発明の光学フィルム用樹脂組成物は、メタロセン系触媒に由来する金属及び助触媒に由来する金属の含有量が上記範囲内であることから、成形後に得られる光学フィルムに欠点が発生することなく、光学特性に優れた光学フィルムを得ることができる。
本発明の光学フィルム用樹脂組成物は、メタロセン系触媒に由来する金属の含有量の上限が1ppmである。1ppmを超えると、光学フィルムを製造した場合に、メタロセン系触媒に由来する金属に起因する欠点が多く発生し、得られる光学フィルムは、光学特性に劣るものとなる。好ましい上限は0.1ppmである。
なお、上記メタロセン系触媒に由来する金属の含有量は、ICP発光分析を行うことにより測定することができる。
上記メタロセン系触媒としては特に限定されず、例えば、ジメチルシリル−ビス−(1−インデニル)−ジルコニウム−ジクロライド、ジメチルゲルミル−ビス−(1−インデニル)−ジルコニウム−ジクロライド、フェニルメチルシリル−ビス−(1−インデニル)−ジルコニウム−ジクロライド、フェニルビニルシリル−ビス−(1−インデニル)−ジルコニウム−ジクロライド、1−シラシクロブチル−ビス−(1’−インデニル)−ジルコニウム−ジクロライド、エチレン−ビス−(1−インデニル)−ジルコニウム−ジクロライド、ジフェニルシリル−ビス−(1−インデニル)−ハフニウム−ジクロライド、フェニルメチルシリル−ビス−(1−インデニル)−ハフニウム−ジクロライド、ジメチルシリル−ビス−(1−インデニル)−ハフニウム−ジクロライド、ジフェニルシリル−ビス−(1−インデニル)−ジルコニウム−ジクロライド、ジフェニルメチレン−(9−フルオレニル)−シクロペンタジエニル−ジルコニウム−ジクロライド、イソプロピレン−(9−フルオレニル)−シクロペンタジエニル−ジルコニウム−ジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(メチルシクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(イソプロピルシクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−インデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリル−ビス−(2−メチル−ベンズインデニル)−ジルコニウム−ジクロライド、又は、これらの混合物が挙げられる。
上記メタロセン系触媒のなかでも、ジメチルシリル−ビス−(1−インデニル)−ジルコニウム−ジクロライド、フェニルメチルシリル−ビス−(1−インデニル)−ジルコニウム−ジクロライド、フェニルビニルシリル−ビス−(1−インデニル)−ジルコニウム−ジクロライド、1−シラシクロブチル−ビス−(1’−インデニル)−ジルコニウム−ジクロライド、エチレン−ビス−(1−インデニル)−ジルコニウム−ジクロライド、ジフェニルシリル−ビス−(1−インデニル)−ジルコニウム−ジクロライド、ジフェニルメチレン−(9−フルオレニル)−シクロペンタジエニル−ジルコニウム−ジクロライド、イソプロピレン−(9−フルオレニル)−シクロペンタジエニル−ジルコニウム−ジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウム−ジクロライド、イソプロピリデン(メチルシクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウム−ジクロライド、イソプロピリデン(イソプロピルシクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウム−ジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−インデニル)ジルコニウム−ジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−ベンゾインデニル)ジルコニウム−ジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル−インデニル)ジルコニウム−ジクロライド、ジメチルシリル−ビス−(2−メチル−ベンズインデニル)−ジルコニウム−ジクロライド、又は、これらの混合物が好適である。
上記メタロセン系触媒に由来する金属とは、上記メタロセン系触媒に含まれる金属成分のことをいう。上記メタロセン系触媒に由来する金属としては、例えば、ジルコニウム、チタン、ハフニウム等が挙げられる。
本発明の光学フィルム用樹脂組成物は、助触媒に由来する金属の含有量の上限が10ppmである。10ppmを超えると、光学フィルムを製造した場合に、助触媒に由来する金属に起因する欠点が多く発生し、得られる光学フィルムは、光学特性に劣るものとなる。好ましい上限は5ppmである。
なお、上記助触媒に由来する金属の含有量は、ICP発光分析を行うことにより測定することができる。
上記助触媒としては特に限定されず、例えば、アルミノキサン等が挙げられる。
上記アルミノキサンとしては、例えば、下記一般式(1)で表される線状及び/又は下記一般式(2)で表される環状のアルミノキサン等を用いることができる。
Figure 2006299199
Figure 2006299199
上記一般式(1)、(2)中、Rは炭素原子数1〜6のアルキル基、特にメチル基、エチル基、イソブチル基、ブチル基、ネオペンチル基、フェニル基又はベンジル基を表し、なかでも、メチル基が好適である。nは2〜50、特に5〜40の整数である。なお、アルミノキサンの正確な構造は知られていない。
上記助触媒に由来する金属とは、上記助触媒に含まれる金属成分のことをいう。上記助触媒に由来する金属としては、例えば、アルミニウム等が挙げられる。
上記熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、メタロセン系触媒及び助触媒を用いて重合されてなるものであれば特に限定されないが、ノルボルネン系モノマーと非環状オレフィン系モノマーとの共重合体が好ましい。
なお、上記ノルボルネン系モノマーと非環状オレフィンモノマーとからなる共重合体は、メタロセン系触媒及び助触媒に由来する金属の存在下で特異な分解機構を示すことよって、ゲルが発生しやすくなると考えられ、このような機構によって発生したゲルが、ポリマーフィルタを用いた除去・粉砕を行った場合に目詰まりの要因となるが、本発明の光学フィルム用樹脂組成物では、メタロセン系触媒及び助触媒に由来する金属の含有量が少なく、かつ、ポリマーフィルタを用いた除去処理を行う必要もないことから、上記ノルボルネン系モノマーと非環状オレフィンモノマーとからなる共重合体を熱可塑性ノルボルネン系樹脂として用いることにより、本発明の効果を充分に発揮することができる。
上記ノルボルネン系モノマーとしては特に限定されず、例えば、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5,5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−5−メチル−2−ノルボルネン、6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチル−1,4:5,8−エチリデン−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−クロロ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−シアノ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−ピリジル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−メトキシカルボニル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,4−ジメタノ−1,4,4a,4b,5,8,8a,9a−オクタヒドロフルオレン、5,8−メタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−2,3−シクロペンタジエノナフタレン、4,9:5,8−ジメタノ−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ベンゾインデン、4,11:5,10:6,9−トリメタノ−3a,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a,11,11a−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタアントラセン等が挙げられる。
上記オレフィン系モノマーとしては特に限定されず、例えば、エチレン、α−オレフィン等の直鎖状オレフィン系モノマーや、シクロペンテン、シクロオクテン、5,6−ジヒドロジシクロペンタジエン等の環状オレフィン系モノマー等が挙げられる。
上記ノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマーとの共重合体のうち、市販されているものとしては、例えば、商品名「APEL」(三井化学社製)、商品名「TOPAS」(チコナ社製)等が挙げられる。
上記ノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマーとを共重合させることで、上記共重合体を得ることができ、その構造や共重合比は特に限定されない。
上記熱可塑性ノルボルネン系樹脂の数平均分子量の好ましい下限は1万、上限は10万である。上記範囲内であると、得られる熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムの力学強度と成形性とのバランスが非常によくなる。
なお、上記数平均分子量は、クロロホルムに溶解した試料を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置を用いて、40℃にて測定し、標準ポリスチレンの分子量に換算することにより求めることができる。
本発明の光学フィルム用樹脂組成物は、得られる光学フィルムの耐熱性、耐紫外線性、平滑性及び成形性等を向上させるために、機能を損なわない範囲でフェノール系、リン系等の老化防止剤、フェノール系等の熱劣化防止剤、アミン系等の帯電防止剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤等の添加剤を添加してもよい。
本発明の光学フィルム樹脂組成物は、上述したように、メタロセン系触媒及び助触媒を用いて熱可塑性ノルボルネン系樹脂を重合した後、例えば、溶媒に溶解したり、ペレット化することにより製造することができる。
本発明の光学フィルム用樹脂組成物を製造する場合に、メタロセン系触媒に由来する金属の含有量を0.1ppm以下、かつ、助触媒に由来する金属の含有量を5ppm以下とする方法としては特に限定されないが、例えば、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂を重合する際に活性の高い触媒を用いて、得られる熱可塑性ノルボルネン系樹脂中のメタロセン系触媒及び助触媒に由来する金属の含有量を少なくする方法;光学フィルム樹脂組成物の製造プロセスにおいて触媒除去を行うことにより、メタロセン系触媒及び助触媒に由来する金属の含有量を少なくする方法が挙げられるが、光学フィルム樹脂組成物の製造プロセスにおいて触媒除去を行うことが好ましい。
上記光学フィルム樹脂組成物の製造プロセスにおける触媒除去の方法としては特に限定されないが、触媒が均一系の場合は触媒停止剤を加えることにより、触媒成分を固体化し、濾過等の手段を用いて取り除く方法が好ましい。
本発明の光学フィルム用樹脂組成物を製造する場合は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂の合成プロセス中でメタロセン系触媒及び助触媒に由来する金属の含有量を基準値以下とすることが好ましいが、ペレット化を行った後に基準値を超えるメタロセン系触媒及び助触媒に由来する金属が残留する場合は、他の方法によって金属を除去する必要がある。
ペレット化した後も、メタロセン系触媒及び助触媒に由来する金属の含有量が基準値を超える場合に、上記金属を除去する方法としては特に限定されないが、得られたペレットを溶媒に溶解して溶液とした後、上記溶液を濾過することによりゲル成分を除去する方法を行うことが好ましい。上記金属は、ゲル成分内に多く含まれているため、このような処理を行うことで、上記金属が除去され、メタロセン系触媒及び助触媒に由来する金属が少ないペレットを得ることができる。なお、残留したメタロセン系触媒及び助触媒に由来する金属は、重合後の脱溶剤工程やペレタイズ工程等の高温プロセスにおいて樹脂劣化の原因ともなるが、このような処理を行うことで、樹脂の劣化も防止することができる。
上記ペレットを溶解、濾過する際に用いる溶媒としては、例えば、シクロパラフィン系の溶剤や芳香族系の溶剤が好適である。また、上記ペレットに含まれる樹脂の構造によっては室温での溶解が困難である場合は、加熱を行っても良い。この場合は高沸点の溶剤が必要となるが、沸点が高すぎると、後の乾燥工程において乾燥時間が長期化したり、濾過時のハンドリングが悪化したりすることから好ましくない。具体的には例えば、トルエン、キシレン、メチルシクロヘキサン等が好適に用いられる。
本発明の光学フィルム用樹脂組成物は、メタロセン系触媒及び助触媒に由来する金属の含有量が少なく、かつ、含まれる異物の量も少ないことから、ポリマーフィルタ等を用いて異物を除去する必要がなく、ポリマーフィルタが目詰まりを起こすことによる生産性の低下等の問題がない。
本発明の光学フィルム用樹脂組成物を用いることにより、光学フィルムを製造することができる。このような光学フィルムもまた本発明の1つである。
本発明の光学フィルム用樹脂組成物を成形して光学フィルムを作製する方法としては特に限定されず、従来公知の製膜法を用いることができ、例えば、溶融押出製膜法、カレンダー製膜法、溶液キャスト(流延)製膜法等が挙げられる。
更に、本発明の光学フィルムは、各種の液晶ディスプレイに使用されている位相差フィルムに用いることができる。本発明の光学フィルムを延伸処理して得られる位相差フィルムも本発明の対象である。
上記延伸処理の方法としては特に限定されず、例えば、縦一軸延伸、横一軸延伸、同時二軸延伸、逐次二軸延伸等の延伸方法が挙げられる。また、連続方式であってもバッチ方式であってもよい。
また、上記光学フィルムの耐熱性、耐紫外線性、平滑性及び成形性等を向上させるために、上記樹脂組成物にフェノール系、リン系等の老化防止剤、フェノール系等の熱劣化防止剤、アミン系等の帯電防止剤、脂肪族アルコールのエステル、多価アルコールの部分エステルや高級脂肪酸、及び、これらのアミド等の滑剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤等が本発明の目的を損なわない範囲で添加されてもよい。
本発明によれば、成形後に得られるフィルムに形成される欠点が少なく、耐熱性、低比重性、低複屈折性、低光弾性係数及び低波長分散性に優れる光学フィルムを得ることが可能な光学フィルム用樹脂組成物及び光学フィルムを提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(1)メタロセン系触媒及び助触媒を用いた熱可塑性ノルボルネン系重合体の合成
3Lのオートクレーブに、ノルボルネンを85重量%含有するデカリン溶液1.8Lを導入し、エチレンを徐々に加圧しながら導入して、内圧が0.7MPaで平衡となるようにした。次に、メチルアルミノキサン(アルドリッチ社製)の10%トルエン溶液を15mL反応器に導入した後、更にジメチルシリル−ビス−(2−メチル−ベンズインデニル)−ジルコニウム−ジクロライド0.3mgを反応容器へ導入し、溶解させた
次いで、反応容器を70℃で加熱、攪拌しながら1時間反応させた。このとき、エチレンの圧力を0.7MPaに保持した。反応終了後、反応溶液を多量のアセトン溶液へ再沈殿させ、白色の固体を濾別した。得られた固体をグラスフィルター上に入れ、10重量%の塩酸とアセトンとで交互に洗浄し、熱可塑性ノルボルネン系重合体を得た。
(2)光学フィルム用ノルボルネン系樹脂及び光学フィルムの作製
80℃に加熱したメチルシクロヘキサン97.5重量部に対して、得られた熱可塑性ノルボルネン重合体2.5重量部を添加して、樹脂溶液を調製し、孔径3μmのPTFEフィルタを用いて濾過を行った。得られた溶液について、エバポレーターを用いて溶媒を除去した後、真空オーブンを用いて130℃で2時間乾燥することにより、光学フィルム用ノルボルネン系樹脂を得た。
次いで、トルエン75重量部に対して得られた光学フィルム用ノルボルネン系樹脂25重量部を添加して、トルエン溶液を調製した後、キャスト法により光学フィルムを作製した。
(実施例2)
実施例1で得られた熱可塑性ノルボルネン系重合体を原料として、プラスト押出機(東洋精機社製)によりペレタイズを行い、樹脂ペレットを得た。得られた樹脂ペレットを用いて実施例1と同様の濾過工程を行うことにより、光学フィルムを得た。
(比較例1)
熱可塑性ノルボルネン系重合体をメチルシクロヘキサンに溶解して濾過する工程を行わず、そのまま光学フィルム用ノルボルネン系樹脂として用いた以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを作製した。
(評価)
実施例1、2及び比較例1で得られた光学フィルム用ノルボルネン系樹脂、樹脂ペレット及び光学フィルムについて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
(1)金属残量
実施例及び比較例で用いた光学フィルム用ノルボルネン系樹脂及び樹脂ペレットについて、ICP分光分析装置を用いてICP発光分析を行うことにより、ジルコニウム及びアルミニウムの含有量を測定した。
(2)ゲル分率
実施例1及び2の濾過工程において、フィルタ上に捕捉されたゲルの重量を測定し、濾過に用いた樹脂の量から、ゲル分率を算出した。
(3)欠点数
得られた光学フィルムの表面を目視にて観察し、100μm以上の大きさの欠点をカウントした。なお、欠点数は20cm×25cmの枚葉を5枚測定したものの平均値を、mあたりに換算したものとした。
Figure 2006299199
表1に示すように、実施例1及び2で用いた光学フィルム用ノルボルネン樹脂は、濾過工程を行ったことにより、ジルコニウムは検出下限(0.05ppm)以下、アルミニウムが5ppm以下であり、欠点数についても、1〜2個/mであることから、光学フィルムとして用いるのに充分なものであることがわかる。これに対して、比較例1で用いた光学フィルム用ノルボルネン樹脂は、ジルコニウム及びアルミニウムの含有量が何れも多いものであり、光学フィルムの欠点数も極めて多いものとなっていることから、光学フィルムとして好適に用いることができないものであることがわかる。
また、実施例1で得られた光学フィルムと比較例1で得られた光学フィルムとを比較すると、濾過工程において除去したゲル成分中に、金属成分が含まれていることがわかる。これは金属成分がゲル発生の原因となっていることを示唆しているものといえる。
本発明によれば、成形後に得られるフィルムに形成される欠点が少なく、耐熱性、低比重性、低複屈折性、低光弾性係数及び低波長分散性に優れる光学フィルムを得ることが可能な光学フィルム用樹脂組成物及び光学フィルムを提供することができる。

Claims (5)

  1. メタロセン系触媒及び助触媒を用いて重合されてなる熱可塑性ノルボルネン系樹脂を含有する光学フィルム用樹脂組成物であって、
    前記メタロセン系触媒に由来する金属の含有量が1ppm以下、かつ、助触媒に由来する金属の含有量が10ppm以下である
    ことを特徴とする光学フィルム用樹脂組成物。
  2. 熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマーとの共重合体であることを特徴とする請求項1記載の光学フィルム用樹脂組成物。
  3. メタロセン系触媒に由来する金属は、ジルコニウムであることを特徴とする請求項1又は2記載の光学フィルム用樹脂組成物。
  4. 助触媒に由来する金属は、アルミニウムであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の光学フィルム用樹脂組成物。
  5. 請求項1、2、3又は4記載の光学フィルム用樹脂組成物を用いてなることを特徴とする光学フィルム。
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