JP2006298818A - エトキシ含有マグネシウム化合物、固体触媒成分、オレフィン重合用触媒、及びポリオレフィンの製造方法 - Google Patents

エトキシ含有マグネシウム化合物、固体触媒成分、オレフィン重合用触媒、及びポリオレフィンの製造方法 Download PDF

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省二朗 棚瀬
Takehito Konakazawa
岳仁 小中澤
Kiyokazu Katayama
清和 片山
Hideaki Noda
英昭 野田
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Abstract

【課題】立体規則性等の性能を低下させることなく、重合活性が高く、パウダー性状の優れたポリオレフィンを与えるオレフィン重合用触媒の担体、この担体を用いた固体触媒成分及び該触媒成分を用いたポリオレフィンの製造方法を提供する。
【解決手段】上記担体は、金属マグネシウム、エタノール、及びマグネシウム1グラム原子に対し、0.0001グラム原子以上の量のハロゲン原子を含むハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物とから得られるエトキシ含有マグネシウム化合物である。但し、反応におけるエタノールの量は下記のモル比の範囲である。 COH(I)/Mg=6〜32 COH(F)/Mg=3〜16 COH(E)/COH(I)=0.1〜0.8(ここで、COH(I)は反応初期に投入するエタノール量を、COH(F)は反応終了後のエタノール量を、COH(E)は留去するエタノール量を示す)
【選択図】図2

Description

本発明は、オレフィンの単独重合又は共重合に有用なエトキシ含有マグネシウム化合物、固体触媒成分、オレフィン重合用触媒、及びオレフィンの単独重合体又は共重合体を製造する方法に関する。
従来、エチレン又はプロピレン等を単独重合又は共重合させる触媒としては塩化マグネシウムやマグネシウムアルコキシドを粉砕せずにオレフィン重合用触媒の担体原料として用いる技術が広範に実施されていて、触媒活性の向上や重合体のパウダー形態改良等が図られている。
例えば、生成ポリマーの粒径、形状等のモルフォロジー改良を目的としてシリカ等の無機酸化物上にマグネシウム化合物を担持させる方法(特許文献1)や、マグネシウム化合物を一旦アルコール等の溶媒に溶解させた後、再び析出させたものを用いる方法(特許文献2)が知られているが、担持処理や溶解、析出処理が必須となるため工程的にも極めて煩雑になる上、触媒の性能安定性にもかけるという欠点がある。
また、金属マグネシウム、アルコール及び特定量のハロゲンを反応させて得られるマグネシウム化合物を担体として用いる方法(特許文献3)が開発されているが、重合活性や得られる担体や重合パウダーの性状(平滑性、破砕率、嵩密度)が必ずしも十分でない場合があった。
特開昭63−280707号公報 特開昭58−811号公報 特開平4―130107号公報
本発明は、上記観点からなされたものであり立体規則性等の性能を低下させることなく、重合活性が高く、パウダー性状(平滑性、破砕率、嵩密度)の優れたポリオレフィンを与えるエトキシ含有マグネシウム化合物、固体触媒成分、オレフィン重合用触媒、及びポリオレフィンの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の製法により得られるエトキシ含有マグネシウム化合物を用いることにより、本目的が達成できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下に示すエトキシ含有マグネシウム化合物、固体触媒成分、オレフィン重合用触媒、及びポリオレフィンの製造方法を提供する。
1.金属マグネシウム、エタノール、及びマグネシウム1グラム原子に対し、0.0001グラム原子以上の量のハロゲン原子を含むハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物を反応させ、
エトキシ含有マグネシウム化合物の反応生成率が95%以下の段階から、エタノールを留去し、
この反応におけるエタノールの量が下記のモル比であるエトキシ含有マグネシウム化合物の製造方法。
OH(I)/Mg=6〜32
OH(F)/Mg=3〜16
OH(E)/COH(I)=0.1〜0.8
(ここで、COH(I)は反応初期に投入するエタノール量を、COH(F)は反応終了後のエタノール量を、COH(E)を留去するエタノール量を示す)
2.1記載の製造方法により得られるエトキシ含有マグネシウム化合物。
3.下記(a)及び(b)を反応させて得られる固体触媒成分。
(a)2記載のエトキシ含有マグネシウム化合物
(b)下記一般式(I)に示すチタン化合物
Ti(OR4−n・・・・・(I)
(式中、Xはハロゲン原子であり、Rは炭素数1〜10の炭化水素基であり、それらは互いに同じでも異なってもよい。nは0〜4の整数である。)
4.さらにハロゲン化合物(c)を反応させる3記載の固体触媒成分。
5.前記ハロゲン化合物(c)が四塩化ケイ素である4記載の固体触媒成分。
6.さらに電子供与性化合物(d)を反応させる3〜5のいずれか記載の固体触媒成分。
7.下記(A)及び(B)を含むオレフィン重合用触媒。
(A)3〜6のいずれか記載の固体触媒成分
(B)有機金属化合物
8.さらに電子供与性化合物(C)を含む7記載のオレフィン重合用触媒。
9.7又は8記載のオレフィン重合用触媒を用いるポリオレフィンの製造方法。
本発明によれば、立体規則性等の性能を低下させることなく、重合活性が高く、パウダー性状(平滑性、破砕率、嵩密度)の優れたポリオレフィンを与えるマグネシウム化合物、固体触媒成分、オレフィン重合用触媒、及びポリオレフィンの製造方法を提供することができる。
本発明は、(A)固体触媒成分、(B)有機金属成分、及び必要に応じて(C)電子供与性化合物を含む触媒を用いてポリオレフィンを製造する。
以下に、各触媒成分、調製方法、重合方法等について説明する。
〔I〕各触媒成分
(A)固体触媒成分
固体触媒成分は、(a)エトキシ含有マグネシウム化合物、(b)チタン化合物、及び必要に応じて(c)ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物及び/又は(d)電子供与性化合物を反応させて得られる。
(a)エトキシ含有マグネシウム化合物
本発明のエトキシ含有マグネシウム化合物(以下単にマグネシウム化合物ともいう)は、金属マグネシウム、エタノール、及びマグネシウム1グラム原子に対し、0.0001グラム原子以上の量のハロゲン原子を含むハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物を反応させ、マグネシウム化合物の反応生成率が95%以下の段階から、エタノールを留去して得られる。このとき、エタノールの量は下記のモル比の範囲である。
OH(I)/Mg=6〜32
OH(F)/Mg=3〜16
OH(E)/COH(I)=0.1〜0.8
(ここで、COH(I)は反応初期に投入するエタノール量を、COH(F)は反応終了後のエタノール量を、COH(E)を留去するエタノール量を示す)
エタノール量は、好ましくは、COH(I)/Mg=6.5〜16、COH(F)/Mg=3.5〜10、COH(E)/COH(I)=0.1〜0.7である。
エタノールを留去する段階は、好ましくは、マグネシウム化合物の反応生成率が85%以下の段階である。エタノールは、例えば、反応系に窒素等の不活性ガスを流通させたり、還流冷却管の温度を上昇することにより留去できる。COH(F)は、エタノールの留去により調整できる。
また、反応温度は好ましくは65℃以上である。65℃以上でエタノール量の調整による本発明の効果が顕在化する。
本発明では、上記の反応において、エタノール量がマグネシウムに対して特定の量となる様に反応の過程でエタノールを留去する。元来、金属マグネシウム、エタノール及びハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物の反応で得られるマグネシウム化合物は板状結晶が多数、凝集した粒子を形成する。しかし、反応を通じ、特に反応の後期、エタノール量が多すぎると、粒子全体、特に表面近傍の板状結晶のサイズが大きくなるため、マグネシウム化合物の平滑性が低下し、得られる重合パウダーも破砕しやすくなる。さらに詳細は不明であるが、この形状変化に対応して触媒活性も低下する。一方、エタノールが少なすぎると、撹拌が不良になり、主に凝集した粒子が発生してマグネシウム化合物の粒径分布が広くなり平滑性も低下し、詳細は不明であるが、触媒活性も不充分となる。また、エタノール留去を開始する時期が遅れると、マグネシウム化合物の表面が平滑になり難く、活性向上効果も低くなる。
金属マグネシウムの形状等は特に限定されない。任意の粒径の金属マグネシウム、例えば顆粒状、リボン状、粉末状等の金属マグネシウムを用いることができる。
エタノールの純度及び含水量も限られないが、含水量の多いエタノールを用いると金属マグネシウムの表面に水酸化マグネシウムが生成されるので、含水量が1%以下、特に2000ppm以下のエタノールを用いることが好ましい。より良好なモルフォロジーを得るためには、水分が少なければ少ないほど好ましく、一般的には200ppm以下が望ましい。
ハロゲンの種類については特に限定されないが、塩素、臭素又はヨウ素、特にヨウ素が好適に使用される。
ハロゲン含有化合物の種類に限定はなく、ハロゲン原子を含む化合物であればいずれのものでも使用できる。この場合、ハロゲン原子の種類についても限定されないが、塩素、臭素又はヨウ素であることが好ましい。ハロゲン含有化合物の中ではハロゲン含有金属化合物が特に好ましい。ハロゲン含有化合物として、具体的には、MgCl、MgI、Mg(OC)Cl、Mg(OC)I、MgBr、CaCl、NaCl、KBr等を好適に使用できる。これらの中では、特にMgClが好ましい。これらの状態、形状、粒度等は特に限定されず、任意のものでよく、例えばエタノール系溶媒中の溶液で用いることができる。
ハロゲン又はハロゲン含有化合物の使用量は、金属マグネシウム1モルに対して0.0001グラム原子以上、好ましくは0.0005グラム原子以上、さらに好ましくは0.001グラム原子以上のハロゲン原子を含む量である。0.0001グラム原子未満の場合、ハロゲン又はハロゲン含有化合物を反応開始剤として用いる量と大差なく、得られたマグネシウム化合物(a)を触媒の担体として用いた場合、活性や生成ポリマーのモルフォロジー等が不良となる。
ハロゲン使用量の上限については特に定めないが、所望のマグネシウム化合物(a)が得られる範囲で適宜選択すればよい。一般には、0.06グラム原子未満である。
本発明においては、ハロゲン及びハロゲン含有化合物はそれぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、ハロゲンとハロゲン含有化合物を併用してもよい。このようにハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物を2種以上併用する場合も、含まれる全ハロゲン原子の量は上記と同じである。本発明の製造方法においては、ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物の使用量を適宜選択することにより、マグネシウム化合物(a)の粒径を自由にコントロールすることが可能である。
金属マグネシウム、エタノール及びハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物との反応自体は、エタノール量及びその留去を上記のようにする以外には公知の方法と同様に実施することがきる。
即ち、水素ガスの発生が認められなくなるまで(通常、10〜30時間)反応させてマグネシウム化合物を得る。
具体的にはハロゲンとしてヨウ素を用いる場合、金属マグネシウム、エタノール中に固体状のヨウ素を投入し、その後に加熱し反応する方法、金属マグネシウム、エタノール中にヨウ素のエタノール溶液を滴下投入後加熱する方法、金属マグネシウム、エタノール溶液を加熱しつつヨウ素のエタノール溶液を滴下する方法等が挙げられる。この場合、ヨウ素のエタノール溶液に含まれるエタノールもエタノールの反応初期量に含まれる。
いずれの方法も、不活性ガス(例えば、窒素ガス、アルゴンガス)雰囲気下で、場合により不活性有機溶媒(例えば、n−ヘキサン等の飽和炭化水素)を用いて行うことが好ましい。金属マグネシウム、エタノール、ハロゲンの投入については、最初から各々全量投入しておく必要はなく、分割して投入してもよい。エタノールを分割して投入する場合、分割したエタノールの総量がエタノールの反応初期量となる。
好ましくは、エタノールを最初から全量投入しておき、金属マグネシウムを数回に分割して投入する。この場合、水素ガスの一時的な大量発生を防ぐこともでき、安全面から非常に望ましい。また、反応槽も小型化することが可能となる。さらには、水素ガスの一時的な大量発生により引き起こされるエタノールやハロゲンの飛沫同伴を防ぐことも可能となる。分割する回数は、反応槽の規模を勘案して決めればよいが、操作の煩雑さを考えると通常5〜10回である。
また、反応自体は、バッチ式、連続式のいずれでもよいことは言うまでもない。さらに、変法として、最初から全量投入したエタノール中に金属マグネシウムを先ず少量投入し、反応により生成した生成物を別の槽に分離して除去した後、再び金属マグネシウムを少量投入するという操作を繰り返すことも可能である。
こうして得られたマグネシウム化合物(a)を、次の固体触媒成分(A)の合成に用いる場合、乾燥させたものを用いてもよく、また濾過後ヘプタン等の不活性溶媒で洗浄したものを用いてもよい。いずれの場合においても、得られたマグネシウム化合物(a)は、粉砕又は粒径分布をそろえるための分級操作をすることなく以下の工程に用いることができる。
得られるマグネシウム化合物(a)は球状に近く、しかも粒径分布がシャープである。さらには、粒子一つ一つをとってみても、球形度のばらつきは小さい。またこれらのマグネシウム化合物は単独でも良いし、2種以上組み合わせて用いてもよい。また、シリカ、アルミナ、ポリスチレン等の支持体に担持して用いてもよく、ハロゲン等との混合物として用いてもよい。
(b)チタン化合物
チタン化合物としては、特に制限はないが、一般式(I)で表される化合物を好ましく用いることができる。
Ti(OR4−n ・・・・・(I)
(式中、Xはハロゲン原子であり、Rは炭素数1〜10の炭化水素基であり、それらは互いに同じでも異なってもよい。nは0〜4の整数である。)
一般式(I)において、Xはハロゲン原子を示し、その中でも塩素原子及び臭素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。Rは炭化水素基を示し、飽和基や不飽和基であってもよく、直鎖状のものや分枝鎖を有するもの、又は環状のものであってもよく、特にアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基及びアラルキル基等が好ましく、直鎖又は分岐鎖のアルキル基が特に好ましい。−ORが複数存在する場合にはそれらは互いに同じでも異なってもよい。Rの具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、アリル基、ブテニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。nは0〜4の整数を示す。
一般式(I)で示されるチタン化合物の具体例としては、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトライソブトキシチタン、テトラシクロヘキシロキシチタン、テトラフェノキシチタン等のテトラアルコキシチタン;四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン等のテトラハロゲン化チタン;メトキシチタントリクロリド、エトキシチタントリクロリド、プロポキシチタントリクロリド、n−ブトキシチタントリクロリド、エトキシチタントリブロミド等のトリハロゲン化アルコキシチタン;ジメトキシチタンジクロリド、ジエトキシチタンジクロリド、ジイソプロポキシチタンジクロリド、ジ−n−プロポキシチタンジクロリド、ジエトキシチタンジブロミド等のジハロゲン化ジアルコキシチタン;トリメトキシチタンクロリド、トリエトキシチタンクロリド、トリイソプロポキシチタンクロリド、トリ−n−プロポキシチタンクロリド、トリ−n−ブトキシチタンクロリド等のモノハロゲン化トリアルコキシチタン等を挙げることができる。これらの中で、重合活性の面から、高ハロゲン含有チタン化合物、特に四塩化チタンが好ましい。これらのチタン化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(c)ハロゲン化物
本発明には、必要に応じてハロゲン化物が用いられる。ハロゲン化物としては、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、四塩化スズ、塩化水素等が挙げられ、これらの中で特に四塩化ケイ素が好ましい。これらのケイ素化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(d)電子供与性化合物
本発明には、必要に応じて電子供与性化合物が用いられる。電子供与性化合物を用いると得られるポリオレフィンの立体規則性が向上し好ましい。電子供与性化合物としては、アルコール類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸、マロン酸、有機酸又は無機酸のエステル類、モノエーテル、ジエーテル又はポリエーテル等のエーテル類等の含酸素電子供与体や、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアネート等の含窒素電子供与体を挙げることができる。これらの中では、多価カルボン酸のエステル類が好ましく、さらに好ましくは、芳香族多価カルボン酸のエステル類である。重合活性の面から、特に芳香族ジカルボン酸のモノエステル及び/又はジエステルが好ましい。また、エステル部の有機基が直鎖、分岐又は環状の脂肪族炭化水素が好ましい。
具体的には、フタル酸、ナフタレン−1,2−ジカルボン酸、ナフタレン−2,3−ジカルボン酸、5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸、5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2,3−ジカルボン酸、インダン−4,5−ジカルボン酸、インダン−5,6−ジカルボン酸等のメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、4−メチルヘキシル、2−エチルヘキシル、3−エチルヘキシル、4−エチルヘキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルペンチル、3−エチルペンチル等のジアルキルエステルが挙げられる。これらの中では、フタル酸ジエステル類が好ましく、また、エステル部の有機基の炭素数が4以上の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素が好ましい。この具体例としては、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジ−n−ヘプチル、フタル酸ジエチル等を好ましく挙げることができる。また、これらの化合物はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)有機アルミニウム化合物
有機アルミニウム化合物(B)としては、特に制限はないが、アルキル基、ハロゲン原子、水素原子、アルコキシ基を有するもの、アルミノキサン及びそれらの混合物を好ましく用いることができる。具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムモノクロリド、ジイソプロピルアルミニウムモノクロリド、ジイソブチルアルミニウムモノクロリド、ジオクチルアルミニウムモノクロリド等のジアルキルアルミニウムモノクロリド;エチルアルミニウムセスキクロリド等のアルキルアルミニウムセスキハライド;メチルアルミノキサン等の鎖状アルミノキサン等を挙げることができる。これらの有機アルミニウム化合物の中では、炭素数1〜5の低級アルキル基を有するトリアルキルアルミニウム、特にトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム及びトリイソブチルアルミニウムが好ましい。また、これらの有機アルミニウム化合物はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)電子供与性化合物
本発明には、さらに必要に応じて電子供与性化合物(B)が用いられる。この電子供与性化合物を用いると得られるポリオレフィンの立体規則性が向上し好ましい。電子供与性化合物としては、アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物、窒素含有化合物、リン含有化合物、酸素含有化合物を用いることができる。このうち特にアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物を用いることが好ましい。
アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物の具体例としては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、エチルイソプロピルジメトキシシラン、プロピルイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、イソプロピルイソブチルジメトキシシラン、ジ−t−ブチルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルエチルジメトキシシラン、t−ブチルプロピルジメトキシシラン、t−ブチルイソプロピルジメトキシシラン、t−ブチルブチルジメトキシシラン、t−ブチルイソブチルジメトキシシラン、t−ブチル(s−ブチル)ジメトキシシラン、t−ブチルアミルジメトキシシラン、t−ブチルヘキシルジメトキシシラン、t−ブチルヘプチルジメトキシシラン、t−ブチルオクチルジメトキシシラン、t−ブチルノニルジメトキシシラン、t−ブチルデシルジメトキシシラン、t−ブチル(3,3,3−トリフルオロメチルプロピル)ジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルプロピルジメトキシシラン、シクロヘキシルイソブチルジメトキシシラン、ジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシル−t−ブチルジメトキシシラン、シクロペンチルメチルジメトキシシラン、シクロペンチルエチルジメトキシシラン、シクロペンチルプロピルジメトキシシラン、シクロペンチル−t−ブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロペンチルシクロヘキシルジメトキシシラン、ビス(2−メチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ビス(2,3−ジメチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、α−ナフチル−1,1,2−トリメチルプロピルジメトキシシラン、n−テトラデカニル−1,1,2−トリメチルプロピルジメキシシラン、1,1,2−トリメチルプロピルメチルジメトキシシラン、1,1,2−トリメチルプロピルエチルジメトキシシラン、1,1,2−トリメチルプロピルイソプロピルジメトキシシラン、1,1,2−トリメチルプロピルシクロペンチルジメトキシシラン、1,1,2−トリメチルプロピルシクロヘキシルジメトキシシラン、1,1,2−トリメチルプロピルミリスチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、s−ブチルトリメトキシシラン、アミルトリメトキシシラン、イソアミルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、ノルボルナントリメトキシシラン、インデニルトリメトキシシラン、2−メチルシクロペンチルトリメトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、メチルシクロペンチル(t−ブトキシ)ジメトキシシラン、イソプロピル(t−ブトキシ)ジメトキシシラン、t−ブチル(t−ブトキシ)ジメトキシシラン、(イソブトキシ)ジメトキシシラン、t−ブチル(t−ブトキシ)ジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、クロロトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、1,1,2−トリメチルプロピルトリメトキシシラン、1,1,2−トリメチルプロピルイソプロポキシジメトキシシラン、1,1,2−トリメチルプロピル(t−ブトキシ)ジメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、トリメチルフェノキシシラン、メチルトリアリロキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリスアセトキシシラン、ジメチルテトラエトキシジシロキサン等が挙げられる。これらの有機ケイ素化合物はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機ケイ素化合物は、Si−O−C結合を有しないケイ素化合物とO−C結合を有する有機化合物を予め反応させて用いてもよいし、オレフィンの重合の際に反応させて、Si−O−C結合を有する有機ケイ素化合物としてもよい。具体的には、例えば、四塩化ケイ素とアルコールとを反応させる。
窒素含有化合物の具体例としては、2,6−ジイソプロピルピペリジン、2,6−ジイソプロピル−4−メチルピペリジン、N−メチル2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の2,6−置換ピペリジン類;2,5−ジイソプロピルアゾリジン、N−メチル2,2,5,5−テトラメチルアゾリジン等の2,5−置換アゾリジン類;N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルメチレンジアミン等の置換メチレンジアミン類;1,3−ジベンジルイミダゾリジン、1,3−ジベンジル−2−フェニルイミダゾリジン等の置換イミダゾリジン類等が挙げられる。
リン含有化合物の具体例としては、トリエチルホスファイト、トリn−プロピルホスファイト、トリイソプロピルホスファイト、トリn−ブチルホスファイト、トリイソブチルホスファイト、ジエチルn−ブチルホスファイト、ジエチルフェニルホスファイト等の亜リン酸エステル類等である。酸素含有化合物の具体例としては、2,2,6,6−テトラメチルテトラヒドロフラン、2,2,6,6−テトラエチルテトラヒドロフラン等の2,6−置換テトラヒドロフラン類;1,1−ジメトキシ−2,3,4,5−テトラクロロシクロペンタジエン、9,9−ジメトキシフルオレン、ジフェニルジメトキシメタン等のジメトキシメタン誘導体等が挙げられる。
酸素含有化合物の具体例としては、2,2,5,5−テトラメチルテトラヒドロフラン、2,2,5,5−テトラエチルテトラヒドロフラン等の2,5−置換テトラヒドロフラン類;1,1−ジメトキシ−2,3,4,5−テトラクロロシクロペンタジエン、9,9−ジメトキシフルオレン、ジフェニルジメトキシメタン等のジメトキシメタン誘導体等が挙げられる。
〔II〕固体触媒成分の調製
固体触媒成分(A)の調製方法としては、マグネシウム化合物(a)、チタン化合物(b)、必要に応じてハロゲン化物(c)、さらに必要に応じて電子供与性化合物(d)を接触させて反応させればよいが、以下のような使用量、条件及び手順で接触、反応させるのが好ましい。
チタン化合物(b)の使用量は、マグネシウム化合物(a)のマグネシウム1モルに対して、通常0.5〜100モル、好ましくは1〜50モルである。ハロゲン化物(c)の使用量は、マグネシウム化合物(a)のマグネシウム1モルに対して、通常0.01〜10モル、好ましくは0.05〜1モルである。電子供与性化合物(d)の使用量は、マグネシウム化合物(a)のマグネシウム1モルに対して、通常0.01〜10モル、好ましくは0.05〜0.15モルである。
接触温度は、通常−20〜200℃、好ましくは20〜150℃であり、接触時間は、通常1分〜24時間、好ましくは10分〜6時間である。
接触手順については特に問わない。例えば、各成分を炭化水素等の不活性溶媒の存在下で接触させてもよいし、予め炭化水素等の不活性溶媒で各成分を希釈して接触させてもよい。不活性溶媒としては、例えば、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素又はこれらの混合物を挙げることができる。
また、チタン化合物の接触を2回以上行い、触媒担体としての役割をするマグネシウム化合物に十分担持させるとよい。
以上の接触で得られた固体触媒成分は、炭化水素等の不活性溶媒で洗浄してもよい。この不活性溶媒は、上記と同じでよい。
洗浄方法としては、特に制限はないが、デカンテーション、濾過等が好ましい。不活性溶媒の使用量、洗浄時間、洗浄回数についても特に制限はないが、マグネシウム化合物1モルに対して、通常100〜100000ミリリットル、好ましくは1000〜50000ミリリットルの溶媒を使用し、通常1分〜24時間、好ましくは10分〜6時間洗浄する。この比が前記範囲を逸脱すると洗浄が不完全になることがある。
このときの圧力は、溶媒の種類、洗浄温度等により、その範囲は変化するが、通常0〜50kg/cmG、好ましくは0〜10kg/cmGである。また、洗浄操作中は、洗浄の均一性及び洗浄効率の面から攪拌を行うことが好ましい。尚、得られた固体触媒成分は、乾燥状態又は炭化水素等の不活性溶媒中で保存することもできる。
〔III〕重合
本発明における触媒の成分の使用量については、特に制限はないが、固体触媒成分(A)は、チタン原子に換算して、反応容積1リットル当たり、通常0.00005〜1ミリモル用いられ、有機アルミニウム化合物(B)は、アルミニウム/チタン原子比が通常1〜1000、好ましくは10〜500となる量が用いられる。この原子比が前記範囲を逸脱すると触媒活性が不十分となることがある。また、電子供与性化合物(C)を用いるときは、電子供与性化合物(C)/有機アルミニウム化合物(B)のモル比が、通常0.001〜5.0、好ましくは0.01〜2.0、より好ましくは0.05〜1.0となる量が用いられる。このモル比が前記範囲を逸脱すると十分な触媒活性及び立体規則性が得られないことがある。ただし、予備重合を行う場合は、さらに低減することができる。
本発明に用いられるオレフィンとしては、一般式(II)
−CH=CH ・・・・・(II)
で表されるα−オレフィンが好ましい。一般式(II)において、Rは水素原子又は炭化水素基であって、炭化水素基は飽和基や不飽和基であってもよいし、直鎖状のものや分枝鎖を有するもの、又は環状のものであってもよい。具体的にはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン等を挙げることができる。これらのオレフィンは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記オレフィンの中で、特にエチレン、プロピレンが好適である。
本発明におけるオレフィンの重合においては、重合活性、立体規則性及び重合体パウダー形態の面から、所望に応じ、先ずオレフィンの予備重合を行ったのち、本重合を行ってもよい。この場合、固体触媒成分(A)、有機アルミニウム化合物(B)及び必要に応じて電子供与性化合物(C)を、それぞれ所定の割合で混合してなる触媒の存在下に、オレフィンを通常0〜100℃の範囲の温度において、常圧〜5MPa程度の圧力で予備重合させ、次いで触媒と予備重合生成物との存在下に、オレフィンを本重合させる。
本重合における重合形式については特に制限はなく、溶液重合、スラリー重合、気相重合、バルク重合等のいずれにも適用可能であり、さらに、回分式重合や連続重合のどちらにも適用可能であり、異なる条件での2段階重合や多段重合にも適用可能である。
反応条件については、その重合圧は、特に制限はなく、重合活性の面から、通常大気圧〜8MPa、好ましくは0.2〜5MPa、重合温度は、通常0〜200℃、好ましくは30〜100℃の範囲で適宜選ばれる。重合時間は原料のオレフィンの種類や重合温度によって左右され一概に定めることができないが、通常5分〜20時間、好ましくは10分〜10時間程度である。
分子量は、連鎖移動剤の添加、好ましくは水素の添加を行うことで調節することができる。また、窒素等の不活性ガスを存在させてもよい。本発明の方法においては、(A)成分と(B)成分と(C)成分とを所定の割合で混合し、接触させたのち、ただちにオレフィンを導入して重合をおこなってもよいし、接触後、0.2〜3時間程度熟成させたのち、オレフィンを導入して重合を行ってもよい。さらに、この触媒成分は不活性溶媒やオレフィン等に懸濁して供給することができる。
重合後の後処理は常法により行うことができる。即ち、気相重合法においては、重合後、重合器から導出されるポリマー粉体に、その中に含まれるオレフィン等を除くために、窒素気流等を通過させてもよいし、また、所望に応じて押出機によりペレット化してもよく、その際、触媒を完全に失活させるために、少量の水、アルコール等を添加することもできる。また、バルク重合法においては、重合後、重合器から導出されるポリマーから完全にモノマーを分離したのち、ペレット化することができる。
実施例及び比較例で得られたマグネシウム化合物及び重合体の特性は次のようにして求めた。結果を表1に示す。
(1)マグネシウム化合物の平均粒径(D50
マグネシウム化合物を炭化水素中に懸濁した状態にして、光散乱法により粒径を測定し、これから求めた粒径分布を対数正規確率紙上にプロットし、50%粒子径を平均粒径(D50)とした。
(2)マグネシウム化合物の平滑度(Sm)
乾燥後のマグネシウム化合物を走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製JSM−25SIII)にて、加速電圧5KV、300倍で撮影し、ネガを得た。次に、このネガを透過法にて画像処理した。画像処理は、画像解析装置(nexsus社製)により、20画素(1画素を1.389μm×1.389μmとした)以下の粒子をカットし、残りの粒子約2000個について行ない、粒子の投影図における周囲長L、粒子の投影面積に等しく、粒子とそれに近似した楕円を重ねた際に、楕円輪郭と粒子の輪郭で形成されるエリアについて、楕円輪郭より内部にある面積と外部にある面積の総和が最小になるように近似した楕円の周囲長Lを求め、下記式で算出した(図1参照)。
Sm=(L/L
(式中、Lは走査型電子顕微鏡にて撮影し画像処理して求められるマグネシウム化合物の投影図における周囲長を示し、Lはマグネシウム化合物粒子の投影面積に等しく、粒子とそれに近似した楕円を重ねた際に、楕円輪郭と粒子の輪郭で形成されるエリアについて、楕円輪郭より内部にある面積と外部にある面積の総和が最小になるように近似した楕円の周囲長を示す。)
(3)立体規則性[mmmm]
重合体を1,2,4−トリクロロベンゼンに溶解し、13C−NMR(日本電子(株)製EX−400)を用いて130℃にてプロトン完全デカップリング法により測定したメチル基のシグナルを用いて定量した。本発明で用いられるアイソタクチックペンタッド分率[mmmm]とは、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等の“Macromolecules、6、925(1973)”で提案された13C核磁気共鳴スペクトルにより測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位での、アイソタクチック分率を意味する。また、本13C核磁気共鳴スペクトルの測定におけるピークの帰属決定法は、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等の“Macromolecules、8、687(1975)”で提案された帰属に従った。
(4)重合パウダーの平均粒径(D50’)
標準篩を用いて測定した重合パウダーの粒径分布を対数正規確率紙上にプロットし、50%粒子径を平均粒径(D50’)とした。
(5)嵩密度(AD)
JIS K6721に準拠して測定した。
(6)重合パウダーの平滑度(Sm’)
重合パウダーを偏光顕微鏡(OLYMPUS社製BHS−751P)にて30倍で撮影したものを画像処理した。画像処理は、画像解析装置(nexsus社製)により、20画素(1画素を0.0813mm×0.0813mm)以下の粒子をカットし、残りの粒子約2000個について行ない、粒子の投影図における周囲長L、粒子の投影面積に等しく、粒子とそれに近似した楕円を重ねた際に、楕円輪郭と粒子の輪郭で形成されるエリアについて、楕円輪郭より内部にある面積と外部にある面積の総和が最小になるように近似した楕円の周囲長Lを求め、下記式で算出した。
Sm’=(L/L
(式中、Lは走査型電子顕微鏡にて撮影し画像処理して求められる重合パウダーの投影図における周囲長を示し、Lは重合パウダーの投影面積に等しく、粒子とそれに近似した楕円を重ねた際に、楕円輪郭と粒子の輪郭で形成されるエリアについて、楕円輪郭より内部にある面積と外部にある面積の総和が最小になるように近似した楕円の周囲長を示す。)
(7)換算フローアビリティー(FA)
FA測定値/ADから求めた。FA(流動度)は、単位時間当りに重合パウダーが流動する体積を示し、この値が大きい程、重合パウダーの流動性が良好であることを意味する。尚、FAは、重合パウダーを容量357ミリリットルのシリンダーに充填した後、シリンダー下部のゲート(ゲート径=20mm)を開けてから、全量が流出するまでの時間を測定し、FA=シリンダー容量(ml)/全量流出時間(sec)を求めた。
(8)安息角
ターンテーブル形安息角測定器を用いて、一定量の試料を円板に落下させ、測定棒を山の角度に合わせて角度を測定し、これを安息角とした。
尚、この値が小さい程、重合パウダーの流動性が良好であることを意味する。
(9)パウダー破砕率
重合パウダーを一部取り出し、その全量Wを測定した。ルーペで観察しながら、略球状のものと、ヒビ割れしたり、潰れたり、複数のパウダーが融着して変形したものとに別けて、略球状のパウダーのみの質量W1を測定した。これらW及びW1から、パウダー破砕率を下記式から求めた。
パウダー破砕率=100(W−W1)/W(重量%)
実施例及び比較例において、COH(F)、COH(E)及びマグネシウム化合物の反応生成率は以下のようにして求めた。
(1)COH(E)
発生する水素ガスを排気する下流ラインに液体Nトラップをつけて、留去したエタノールを回収し、重量を求めた。
(2)COH(F)
反応式(Mg+2COH→Mg(OC)+H)から反応消費量と前述の留去量COH(E)が明確であるため、次式から求めた。
OH(F)/Mg
=COH(I)/Mg−(COH(E)/Mg+2)
(3)マグネシウム化合物の反応生成率(反応率)
発生したHの積算モル数と生成するMg化合物のモル数が等しいことから、下記式より求めた。
反応率(%)=H(モル)/2Mg(モル)
ここで、発生H量は湿式流量計を用いて測定した。
〔実施例1〕
(1)マグネシウム化合物の調製
窒素で置換した内容積0.5リットルの攪拌器付三つ口フラスコに脱水処理したエタノール121g(2.63モル)、ヨウ素0.8g(6.3ミリグラム原子)及び金属マグネシウム8g(0.33モル)を投入し、350rpmで撹拌しながら反応温度を78℃まで上昇させた後、ヨウ素添加から計測して3時間後(反応率:70モル%)から8時間後まで、反応溶液を一定の流量で窒素ブローさせながら、反応系から30g(0.66モル)のエタノールを留去し、マグネシウム化合物を得た。反応系に残ったエタノールは61g(1.32モル)であった。
(2)固体触媒成分の調製
窒素で置換した内容積0.5リットルの攪拌器付三つ口フラスコに上記(1)で得たマグネシウム化合物16g、脱水処理したオクタンを80ミリリットル加えた。40℃に加熱して四塩化ケイ素2.4ミリリットル(23ミリモル)を加え、20分間攪拌し、フタル酸ジノルマルブチル3.4ミリリットル(13ミリモル)加えた。溶液を80℃まで昇温し、引き続き滴下ロートを用いて四塩化チタンを77ミリリットル(0.70モル)滴下した。内温を125℃とし1時間攪拌し担持操作とした。その後脱水オクタンを用いて十分洗浄を行った。さらに四塩化チタンを122ミリリットル(1.11モル)加え、内温を125℃とし2時間攪拌し2回目の担持操作とした。その後脱水オクタンを用いて十分洗浄を行い固体触媒成分を得た。
(3)プロピレンスラリー重合
内容積1リットルの攪拌機付ステンレス製オートクレーブを十分乾燥し、窒素置換の後、内部に脱水処理した500ミリリットルのヘプタンを加えた。さらにトリエチルアルミニウム2.0ミリモル、続いてジシクロペンチルジメトキシシラン0.25ミリモルを加え、上記(2)で調製した固体触媒成分をTi当たりで0.0025ミリモル加え、水素0.1MPa導入し、続いてプロピレンを導入した。全圧を0.8MPaとし、温度80℃で1時間、重合を実施した。その後降温、脱圧し内容物を取り出し、2リットルのメタノールに投入の後、真空乾燥しポリプロピレンを得た。
(4)破砕率の測定
200L−Novolen型気相重合槽を用い、上記(2)で得た固体触媒成分を1.35g/hr、トリエチルアルミニウムを120mmol/hr、シクロヘキシルジメトキシシランを34.8mmol/hr、水素/プロピレンを3NL/kgの割合で連続的に重合槽に供給しながら、70℃で1.5時間連続重合を実施した。得られた重合パウダーについて、破砕率を測定した。
〔実施例2〕
(1)マグネシウム化合物の調製
ヨウ素の代わりに無水塩化マグネシウムを0.30g(6.3ミリグラム原子)を用いたこと以外は〔実施例1〕(1)と同様に行った。尚、反応開始から3時間後の反応率は68モル%であった。反応系に残ったエタノールは61g(1.32モル)であった。
(2)固体触媒成分の調製
上記のマグネシウム化合物を用いたこと以外は〔実施例1〕(2)と同様に行った。
(3)プロピレン重合
上記の固体触媒成分を用いたこと以外は〔実施例1〕(3)と同様に行った。
〔実施例3〕
(1)マグネシウム化合物の調製
窒素で置換した内容積0.5リットルの攪拌器付三つ口フラスコに脱水処理したエタノール152g(3.29モル)、ヨウ素0.8g(6.3ミリグラム原子)及び金属マグネシウム8g(0.33モル)を投入し、350rpmで撹拌しながら反応温度を78℃まで上昇させた後、ヨウ素添加から計測して3時間後(反応率:70モル%)から8時間後まで、反応溶液を一定の流量で窒素ブローさせながら、エタノールを反応系から61g(1.32モル)のエタノールを留去し、マグネシウム化合物を得た。反応系に残ったエタノールは61g(1.32モル)であった。
(2)固体触媒成分の調製
上記のマグネシウム化合物を用いたこと以外は〔実施例1〕(2)と同様に行った。
(3)プロピレン重合
上記の固体触媒成分を用いたこと以外は〔実施例1〕(3)と同様に行った。
〔実施例4〕
(1)マグネシウム化合物の調製
窒素で置換した内容積0.5リットルの攪拌器付三つ口フラスコに脱水処理したエタノール152g(3.29モル)、ヨウ素0.8g(6.3ミリグラム原子)及び金属マグネシウム8g(0.33モル)を投入し、350rpmで撹拌しながら反応温度を78℃まで上昇させた後、ヨウ素添加から計測して3時間後(反応率:71モル%)から8時間後まで、反応溶液を一定の流量で窒素ブローさせながら、エタノールを反応系から30g(0.66モル)のエタノールを留去し、マグネシウム化合物を得た。反応系に残ったエタノールは91g(1.97モル)であった。
(2)固体触媒成分の調製
上記のマグネシウム化合物を用いたこと以外は〔実施例1〕(2)と同様に行った。
(3)プロピレン重合
上記の固体触媒成分を用いたこと以外は〔実施例1〕(3)と同様に行った。
〔実施例5〕
(1)マグネシウム化合物の調製
窒素で置換した内容積0.5リットルの攪拌器付三つ口フラスコに脱水処理したエタノール303g(6.58モル)、ヨウ素0.8g(6.3ミリグラム原子)及び金属マグネシウム8g(0.33モル)を投入し、350rpmで撹拌しながら反応温度を78℃まで上昇させた後、ヨウ素添加から計測して3時間後(反応率:69モル%)から8時間後まで、反応溶液を一定の流量で窒素ブローさせながら、エタノールを反応系から182g(3.95モル)のエタノールを留去し、マグネシウム化合物を得た。反応系に残ったエタノールは91g(1.97モル)であった。
(2)固体触媒成分の調製
上記のマグネシウム化合物を用いたこと以外は〔実施例1〕(2)と同様に行った。
(3)プロピレン重合
上記の固体触媒成分を用いたこと以外は〔実施例1〕(3)と同様に行った。
〔実施例6〕
(1)マグネシウム化合物の調製
エタノールを留去し始める時間を4時間(反応率:85モル%)とした以外は〔実施例1〕(1)と同様に行った。反応系に残ったエタノールは61g(1.32モル)であった。
(2)固体触媒成分の調製
上記のマグネシウム化合物を用いたこと以外は〔実施例1〕(2)と同様に行った。
(3)プロピレン重合
上記の固体触媒成分を用いたこと以外は〔実施例1〕(3)と同様に行った。
〔比較例1〕
(1)マグネシウム化合物の調製
エタノール留去を行わなかったこと以外は〔実施例1〕(1)と同様に行った。反応系に残ったエタノールは91g(1.97モル)であった。
(2)固体触媒成分の調製
上記のマグネシウム化合物を用いたこと以外は〔実施例1〕(2)と同様に行った。
(3)プロピレン重合
上記の固体触媒成分を用いたこと以外は〔実施例1〕(3)と同様に行った。
(4)破砕率の測定
上記の固体触媒成分を用いたこと以外は〔実施例1〕(4)と同様に行った。
〔比較例2〕
(1)マグネシウム化合物の調製
エタノール留去量を9g(0.20ミリモル)とした以外は〔実施例1〕(1)と同様に行った。
反応系に残ったエタノールは82g(1.77モル)であった。
(2)固体触媒成分の調製
上記のマグネシウム化合物を用いたこと以外は〔実施例1〕(2)と同様に行った。
(3)プロピレン重合
上記の固体触媒成分を用いたこと以外は〔実施例1〕(3)と同様に行った。
〔比較例3〕
(1)マグネシウム化合物の調製
窒素で置換した内容積0.5リットルの攪拌器付三つ口フラスコに脱水処理したエタノール121g(2.63モル)、ヨウ素0.8g(6.3ミリグラム原子)及び金属マグネシウム8g(0.33モル)を投入し、350rpmで撹拌しながら反応温度を78℃まで上昇させた後、ヨウ素添加から計測して6.5時間後(反応率:98モル%)から8時間後まで、反応溶液を一定の流量で窒素ブローさせながら、エタノールを反応系から38g(0.82モル)のエタノールを留去し、マグネシウム化合物を得た。反応系に残ったエタノールは53g(1.15モル)であった。
(2)固体触媒成分の調製
上記のマグネシウム化合物を用いたこと以外は〔実施例1〕(2)と同様に行った。
(3)プロピレン重合
上記の固体触媒成分を用いたこと以外は〔実施例1〕(3)と同様に行った。
〔比較例4〕
(1)マグネシウム化合物の調製
窒素で置換した内容積0.5リットルの攪拌器付三つ口フラスコに脱水処理したエタノール121g(2.63モル)、ヨウ素0.8g(6.3ミリグラム原子)及び金属マグネシウム8g(0.33モル)を投入し、350rpmで撹拌しながら反応温度を78℃まで上昇させた後、ヨウ素添加から計測して3時間後(反応率:70モル%)から8時間後まで、反応溶液を一定の流量で窒素ブローさせながら、エタノールを反応系から61g(1.32モル)のエタノールを留去し、マグネシウム化合物を得た。反応系に残ったエタノールは30g(0.66モル)であった。
(2)固体触媒成分の調製
上記のマグネシウム化合物を用いたこと以外は〔実施例1〕(2)と同様に行った。
(3)プロピレン重合
上記の固体触媒成分を用いたこと以外は〔実施例1〕(3)と同様に行った。
〔比較例5〕
(1)マグネシウム化合物の調製
窒素で置換した内容積0.5リットルの攪拌器付三つ口フラスコに脱水処理したエタノール546g(11.85モル)、ヨウ素0.8g(6.3ミリグラム原子)及び金属マグネシウム8g(0.33モル)を投入し、350rpmで撹拌しながら反応温度を78℃まで上昇させた後、ヨウ素添加から計測して3時間後(反応率:67モル%)から8時間後まで、反応溶液を一定の流量で窒素ブローさせながら、エタノールを反応系から243g(5.27モル)のエタノールを留去し、マグネシウム化合物を得た。反応系に残ったエタノールは273g(5.92モル)であった。
(2)固体触媒成分の調製
上記のマグネシウム化合物を用いたこと以外は〔実施例1〕(2)と同様に行った。
(3)プロピレン重合
上記の固体触媒成分を用いたこと以外は〔実施例1〕(3)と同様に行った。
Figure 2006298818
本発明の製造方法で得られるマグネシウム化合物は、オレフィン重合用の固体触媒成分の担体として有用であり、オレフィン重合用触媒の材料として、ポリオレフィンの製造に使用できる。
本発明のマグネシウム化合物粒子に近似した楕円の一例を示す図である。 本発明の一実施形態にかかるオレフィン重合用触媒の製法を示す図である。

Claims (9)

  1. 金属マグネシウム、エタノール、及びマグネシウム1グラム原子に対し、0.0001グラム原子以上の量のハロゲン原子を含むハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物を反応させ、
    エトキシ含有マグネシウム化合物の反応生成率が95%以下の段階から、エタノールを留去し、
    この反応におけるエタノールの量が下記のモル比であるエトキシ含有マグネシウム化合物の製造方法。
    OH(I)/Mg=6〜32
    OH(F)/Mg=3〜16
    OH(E)/COH(I)=0.1〜0.8
    (ここで、COH(I)は反応初期に投入するエタノール量を、COH(F)は反応終了後のエタノール量を、COH(E)を留去するエタノール量を示す)
  2. 請求項1記載の製造方法により得られるエトキシ含有マグネシウム化合物。
  3. 下記(a)及び(b)を反応させて得られる固体触媒成分。
    (a)請求項2記載のエトキシ含有マグネシウム化合物
    (b)下記一般式(I)に示すチタン化合物
    Ti(OR4−n・・・・・(I)
    (式中、Xはハロゲン原子であり、Rは炭素数1〜10の炭化水素基であり、それらは互いに同じでも異なってもよい。nは0〜4の整数である。)
  4. さらにハロゲン化合物(c)を反応させる請求項3記載の固体触媒成分。
  5. 前記ハロゲン化合物(c)が四塩化ケイ素である請求項4記載の固体触媒成分。
  6. さらに電子供与性化合物(d)を反応させる請求項3〜5のいずれか一項記載の固体触媒成分。
  7. 下記(A)及び(B)を含むオレフィン重合用触媒。
    (A)請求項3〜6のいずれか一項記載の固体触媒成分
    (B)有機金属化合物
  8. さらに電子供与性化合物(C)を含む請求項7記載のオレフィン重合用触媒。
  9. 請求項7又は8記載のオレフィン重合用触媒を用いるポリオレフィンの製造方法。
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