本発明は、銀行や郵便局等で扱われる紙幣や単票、証書、OCR用紙等の紙葉を処理する装置内に設けられた紙葉搬送路の構造に関するものである。
図10は従来の紙葉搬送路を示す斜視図である。図において、101a,b,cは搬送ベルト、102a,b,cは前記搬送ベルト101との間で紙葉103の受渡しを行う搬送ベルト、104a,b,cは前記搬送ベルト101が掛けられる搬送用プーリ、105a,b,cは前記搬送ベルト102が掛けられる搬送用プーリである。106は前記搬送用プーリ104を回転させるためのシャフト、107は前記搬送用プーリ105を回転させるためのシャフトであり、このシャフト106,107に搬送用プーリ104,105が図示しないスプリングピン等により固定されている。108は走行ガイドで、搬送ベルト101と搬送ベルト102の間にできる隙間に設けられる。この走行ガイド108は、紙葉搬送路の幅に合わせた長さを持ち、搬送ベルト101と搬送ベルト102の隙間に紙葉が入り込まないように紙葉をガイドするものである。
特開平07−267425号公報
従来の紙葉搬送路の走行ガイドは、図10に示すように搬送ベルト間で直線的に紙葉を受渡しするような搬送路では、板を曲げたもので対応可能である。しかしながら、搬送路同志が合流する箇所や搬送路間で急な角度が付いてしまうような場合、板金では1枚で走行ガイドが形成できず、2枚以上の板金を溶接する必要性が発生したりして、コストが高いものとなったり、コストを下げようとすると、ガイドとしての性能を満足できないものとなってしまうことがあった。また、プラスチック樹脂で形成することで、溶接の手間は省くことができるが、複雑な形状のものを少量ずつ多種類作る必要があるので、コストを下げることはできないものであった。
上述した課題を解決するため、本発明は、搬送用プーリにベルトを掛けて該ベルトにより紙葉を搬送したり、搬送用ローラにより紙葉を搬送する紙葉搬送路において、紙葉の搬送方向に隣接する搬送用プーリや搬送用ローラのシャフトの間を連結するように板状の走行ガイドを設け、かつ、紙葉搬送路の幅に合わせて、同じ形状の走行ガイドを紙葉の搬送方向に対して左右方向に並べたことを特徴とする。そして、前記走行ガイドの一方のシャフトを支持する箇所は、該シャフトの径よりわずかに大きい径を持つ穴とし、他方のシャフトを支持する箇所は、紙葉の搬送方向はシャフトの径より大きい長さを持ち、紙葉の厚み方向はシャフトの径よりわずかに大きい長さを持つ長穴とする。なお、上述したシャフトの径よりわずかに大きい径の穴とは、該シャフトが滑らかに回転できる程度にシャフトに対して寸法差を持たせた径の穴である。また、上述した長手方向にシャフトの径より大きい長さを持った長穴とは、走行ガイドで連結される2本のシャフト間ピッチ誤差を吸収できる長さを持った長穴である。ここで、この長穴の短手方向の長さは、シャフトが滑らかに回転できる程度に該シャフトに対して寸法差を持たせてある。
以上説明したように、本発明は、搬送用プーリやローラのシャフトの間を連結するように板状の走行ガイドを設けることとし、かつ同じ形状の走行ガイドを複数用いて、紙葉の搬送方向に対する左右方向の幅に対応するようにしたので、個々の走行ガイドの形状は単純なものとすることができる。また、幅が異なる紙葉搬送路であっても、走行ガイドの数で対応することができるので、作成する種類を減らすことができ、単純な形状の走行ガイドを数多く作ることで量産効果が発生するので、低コスト化も期待できる。
以下の本発明の最良の実施の形態である第1乃至6の実施の形態について説明する。
図1は本発明の紙葉搬送路の実施例1の形態を示す斜視図、図2は図1に示す実施例1の形態の紙葉搬送路の側面図である。なお、紙葉搬送路は、紙葉を搬送ベルトで挟み込んで搬送するものであるが、図1では挟み込む一方の側の搬送ベルトおよびそれに付随するプーリ等は図示していない。図において、1(1a,1b,1c)は搬送ベルト、2(2a,2b,2c)は前記搬送ベルト1との間で紙葉21の受渡しを行う搬送ベルト、3は前記搬送ベルト1と対向配置される搬送ベルト、4は前記搬送ベルト2と対向配置される搬送ベルトである。5(5a,5b,5c)は前記搬送ベルト1が掛けられる搬送用プーリ、6(6a,6b,6c)は前記搬送ベルト2が掛けられる搬送用プーリ、7は前記搬送ベルト3が掛けられる搬送用プーリ、8は前記搬送ベルト4が掛けられる搬送用プーリである。なお、上側の搬送ベルト3,4も、下側の搬送ベルト1,2と同様に3本ずつ設けられ、搬送用プーリ7,8も3個ずつ設けられる。9は前記搬送用プーリ5を回転させるためのシャフト、10は前記搬送用プーリ6を回転させるためのシャフト、11は前記搬送用プーリ7を回転させるためのシャフト、12は前記搬送用プーリ8を回転させるためのシャフトであり、このシャフト9,10,11,12に搬送用プーリ5,6,7,8が図示しないスプリングピン等により固定されている。搬送ベルト1は、搬送用プーリ5と図示しない搬送用プーリとの間にそれぞれ伸ばして張られており、図示しない動力用モータより伝達された回転がシャフト9に伝達され、搬送ベルト1が周回するようになっている。同様に、搬送ベルト2は、搬送用プーリ6と図示しない搬送用プーリとの間にそれぞれ伸ばして張られており、図示しない動力用モータより伝達された回転がシャフト10に伝達され、搬送ベルト2が周回するようになっている。
なお、搬送ベルト3,4も同様に駆動されるようになっている。13は板状の走行ガイドで、搬送用プーリ5a,6aと搬送用プーリ5b,6bの間、搬送用プーリ5b,6bと搬送用プーリ5c,6cの間、そして、搬送用プーリ5a,6aと搬送用プーリ5c,6cと図示しないサイドフレームとの間で、シャフト9とシャフト10を連結するように設けられる。この走行ガイド13は、紙葉の搬送方向に対して平行に延在してシャフト9とシャフト10を連結し、かつ、シャフト9およびシャフト10に対して直角に取り付けられる。この走行ガイド13のシャフト10に支持される側は、該シャフト10の径よりわずかに大きい径の穴13aが開けられ、この穴13aにシャフト10を通して走行ガイド13の一方の側を支持している。また、走行ガイド13のシャフト9に支持される側は、搬送ベルト1の伸張方向には該シャフト9の径より余裕を持たせた長さを持ち、搬送ベルト1上を搬送される紙葉21の厚み方向にはシャフト9の径よりわずかに大きい長さを持った長穴13bが開けられ、この長穴13bにシャフト9を通して走行ガイド13の他方の側を支持している。
ここで、上述した穴13aの径は、シャフト10が滑らかに回転できる程度に該シャフト10に対して寸法差を持たせた径である。また、長穴13bの長手方向の長さは、走行ガイド13で連結される2本のシャフト9,10間ピッチ誤差をシャフト9が長穴13bの中を動くことで吸収できる長さである。なお、この長穴13bの短手方向の長さは、シャフト9が滑らかに回転できる程度に該シャフト9に対して寸法差を持たせてある。
これにより、シャフト9およびシャフト10は滑らかに回転可能である。シャフト9およびシャフト10は、搬送ベルト1,2上を搬送される紙葉21の厚みを吸収するために、該紙葉21の厚み方向に移動可能であり、シャフト9やシャフト10が移動する際、走行ガイド13はシャフト9およびシャフト10を支点に回転することになる。この時、シャフト9とシャフト10の間隔が変化するが、シャフト9側を長穴13bで支持しているので、間隔の変化を吸収することができる。
このように、走行ガイド13は、シャフト9およびシャフト10に対して、搬送される紙葉の厚み方向にはガタが出ず、かつシャフト9および10の紙葉の厚み方向への移動の妨げにならないようになっている。なお、搬送ベルト1,2と対向する搬送ベルト3,4側にもシャフト11とシャフト12との間を連結するように走行ガイド13が設けられ、シャフト11,12と走行ガイド13の関係はシャフト9,10と走行ガイド13の関係と同じである。
ここで、走行ガイド13のガイド面13cは、紙葉との接触面であり、搬送されてくる紙葉が突き当たらないように両端を斜めに切り落としておき、かつ、表面を滑らかにつなげ、バリ等をなくし、摩擦係数が小さくなるようにする必要がある。また、穴13a,長穴13bは、シャフト9,10が高速に回転しても摩耗しないようにする必要がある。このため、走行ガイド13は、高摺動性材料でしかも耐摩耗性のあるプラスチック樹脂で形成する。
なお、図1では、搬送ベルトを3本がけとし、走行ガイドを4個使用しているが、搬送ベルトを2本がけとし、走行ガイドを3個としてもよい。また、搬送ベルトの数はこれに限るものではない。さらに、走行ガイドの数を増やしても減らしてもよい。次に、上述した本発明の紙葉搬送路の実施例1の形態における紙葉の搬送動作について説明する。
図示しない動力用モータを回転させて、シャフト9,10,11,12を矢印a方向に回転させると、搬送ベルト1,2,3,4の紙葉搬送面が矢印b方向に周回を開始し、紙葉21も矢印b方向に搬送される。搬送ベルト1と搬送ベルト2の間、および搬送ベルト3と搬送ベルト4の間には隙間があるが、走行ガイド13がシャフト9とシャフト10の間、およびシャフト11とシャフト12の間を連結するように設けられているので、搬送される紙葉21は、この搬送ベルトの隙間の箇所では走行ガイド13のガイド面13cによってガイドされて、搬送ベルト間の隙間に入り込むことなく隣接する搬送ベルトへと受け渡される。なお、シャフト9,10,11,12を矢印c方向に回転させた場合は、紙葉21は矢印d方向に搬送され、このときも、搬送される紙葉21は、搬送ベルトの隙間の箇所では走行ガイド13のガイド面13cによってガイドされて、搬送ベルト間の隙間に入り込むことなく隣接する搬送ベルトへと受け渡される。
以上説明したように、本発明の紙葉搬送路の実施例1の形態によれば、搬送用プーリのシャフトの間を連結するように走行ガイドを設けることとし、かつ同じ形状の走行ガイドを複数用いて、紙葉の搬送方向に対する左右方向の幅に対応するようにしたので、個々の走行ガイドの形状は単純なものとすることができ、かつ一体成形化するよりもフレキシビリティに富み、搬送ベルト間の位置関係の違いに容易に対応でき、しかも量産効果が共通化により発生するので、低コスト化も期待できる。
図3は本発明の紙葉搬送路の実施例2の形態を示す斜視図、図4は図3に示す実施例2の形態の紙葉搬送路の側面図である。図1および図2に示す実施例1の形態では、1本の紙葉搬送路について説明したが、この図3および図4に示す実施例2の形態では、2本の搬送路を1本に合流させる紙葉搬送路について説明する。
図において、1(1a,1b,1c),2(2a,2b,2c)は搬送ベルト、3は前記搬送ベルト1と対向配置される搬送ベルト、4は前記搬送ベルト2と対向配置される搬送ベルトである。14,15は前記搬送ベルト1,3の組で構成される搬送路および搬送ベルト2,4の組で構成される搬送路を搬送される紙葉21を受けてこれを搬送する搬送ベルトである。
5(5a,5b,5c)は前記搬送ベルト1が掛けられる搬送用プーリ、6(6a,6b,6c)は前記搬送ベルト2が掛けられる搬送用プーリ、7は前記搬送ベルト3が掛けられる搬送用プーリ、8は前記搬送ベルト4が掛けられる搬送用プーリ、16は前記搬送ベルト14が掛けられる搬送用プーリ、17は前記搬送ベルト15が掛けられる搬送用プーリである。
なお、搬送ベルト1,2と対向する搬送ベルト3,4も、該搬送ベルト1,2と同様に3本ずつ設けられ、搬送用プーリ7,8も3個ずつ設けられる。また、搬送ベルト14,15も3本ずつ設けられ、搬送用プーリ16,17も3個ずつ設けられる。9は前記搬送用プーリ5を回転させるためのシャフト、10は前記搬送用プーリ6を回転させるためのシャフト、11は前記搬送用プーリ7を回転させるためのシャフト、12は前記搬送用プーリ8を回転させるためのシャフト、18は前記搬送用プーリ16を回転させるためのシャフト、19は前記搬送用プーリ17を回転させるためのシャフトであり、このシャフト9,10,11,12,18および19に搬送用プーリ5,6,7,8,16および17が図示しないスプリングピン等により固定されている。
搬送ベルト1は、搬送用プーリ5と図示しない搬送用プーリとの間にそれぞれ伸ばして張られており、図示しない動力用モータより伝達された回転がシャフト9に伝達され、搬送ベルト1が周回するようになっている。同様に、搬送ベルト2は、搬送用プーリ6と図示しない搬送用プーリとの間にそれぞれ伸ばして張られており、図示しない動力用モータより伝達された回転がシャフト10に伝達され、搬送ベルト2が周回するようになっている。
なお、搬送ベルト3,4,14そして15も同様に駆動されるようになっている。13Pは走行ガイドで、搬送用プーリ5a,6aと搬送用プーリ5b,6bの間、搬送用プーリ5b,6bと搬送用プーリ5c,6cの間、そして、搬送用プーリ5a,6aと搬送用プーリ5c,6cと図示しないサイドフレームとの間で、シャフト9とシャフト10を連結するように設けられる。
この走行ガイド13Pのシャフト10に支持される側は、該シャフト10の径よりわずかに大きい径の穴13aが開けられ、この穴13aにシャフト10を通して走行ガイド13の一方の側を支持している。また、走行ガイド13Pのシャフト9に支持される側は、搬送ベルト1上を搬送される紙葉21の搬送方向にはシャフト9の径より余裕を持たせた長さを持ち、紙葉21の厚み方向にはシャフト9の径よりわずかに大きい長さを持った長穴13bが開けられ、この長穴13bにシャフト9を通して走行ガイド13の他方の側を支持している。
ここで、上述した穴13aの径は、シャフト10が滑らかに回転できる程度に該シャフト10に対して寸法差を持たせた径である。また、長穴13bの長手方向の長さは、走行ガイド13Pで連結される2本のシャフト9,10間ピッチ誤差をシャフト9が長穴13bの中を動くことで吸収できる長さである。なお、この長穴13bの短手方向の長さは、シャフト9が滑らかに回転できる程度に該シャフト9に対して寸法差を持たせてある。これにより、シャフト9およびシャフト10は滑らかに回転可能である。
シャフト9およびシャフト10は、搬送ベルト1,2上を搬送される紙葉21の厚みを吸収するために、該紙葉21の厚み方向に移動可能であり、シャフト9やシャフト10が移動する際、走行ガイド13Pはシャフト9およびシャフト10を支点に回転することになる。この時、シャフト9とシャフト10の間隔が変化するが、シャフト9側を長穴13bで支持しているので、間隔の変化を吸収することができる。
このように、走行ガイド13Pは、シャフト9およびシャフト10に対して、搬送される紙葉の厚み方向にはガタが出ず、かつシャフト9および10の紙葉の厚み方向への移動の妨げにならないようになっている。なお、搬送ベルト2が掛けられた搬送用プーリ7のシャフト11と搬送ベルト14が掛けられた搬送用プーリ16のシャフト18との間、および搬送ベルト4が掛けられた搬送用プーリ8のシャフト12と搬送ベルト15が掛けられた搬送用プーリ17のシャフト19との間を連結するように走行ガイド13Q,Rが設けられ、シャフト11,18と走行ガイド13Qの関係およびシャフト12,19と走行ガイド13Rの関係はシャフト9,10と走行ガイド13Pの関係と同じである。
ここで、走行ガイド13P,Q,Rのガイド面は、紙葉との接触面であり、搬送されてくる紙葉が突き当たらないように両端を斜めに切り落としておき、かつ、表面を滑らかにつなげ、バリ等をなくし、摩擦係数が小さくなるようにする必要がある。また、穴13a,長穴13bは、シャフト9,10が高速に回転しても摩耗しないようにする必要がある。このため、走行ガイド13P,Q,Rは、高摺動性材料でしかも耐摩耗性のあるプラスチック樹脂で形成する。
このとき、走行ガイド13Pのガイド面13Pcは、搬送ベルト1,3に挟まれて搬送される紙葉を搬送ベルト14,15の間に送り、かつ、搬送ベルト2,4に挟まれて搬送される紙葉を搬送ベルト14,15の間に送れるように、頂点が尖った三角形の形状を有する。また、この走行ガイド13Pに対向する走行ガイド13Q,Rのガイド面13Qc,Rcは、頂点が丸まった三角形の形状を有する。
なお、実施例1の形態と同様に、図3では、搬送ベルトを3本がけとし、走行ガイドを4個使用しているが、搬送ベルトを2本がけとし、走行ガイドを3個としてもよい。また、搬送ベルトの数はこれに限るものではない。さらに、走行ガイドの数を増やしても減らしてもよい。次に、上述した本発明の紙葉搬送路の実施例2の形態における紙葉の搬送動作について説明する。
図示しない動力用モータを回転させて、シャフト9,10,11,12,18および19を矢印a方向に回転させると、搬送ベルト1,2,3,4,14および15の紙葉搬送面が矢印b方向に周回を開始し、紙葉21も矢印b方向に搬送される。搬送ベルト1と搬送ベルト3に挟まれて搬送される紙葉21は、走行ガイド13Pのガイド面13Pcの形状および走行ガイド13Qのガイド面13Qcの形状に沿って搬送ベルト14と搬送ベルト15の間にガイドされ、該搬送ベルト14と搬送ベルト15に挟まれて搬送される。また、搬送ベルト2と搬送ベルト4に挟まれて搬送される紙葉21は、走行ガイド13Pのガイド面13Pcの形状および走行ガイド13Rのガイド面13Rcの形状に沿って搬送ベルト14と搬送ベルト15の間にガイドされ、該搬送ベルト14と搬送ベルト15に挟まれて搬送される。
以上説明したように、本発明の紙葉搬送路の実施例2の形態によれば、搬送用プーリのシャフトの間を連結するように走行ガイドを設けることとし、かつ同じ形状の走行ガイドを複数用いて、紙葉の搬送方向に対する左右方向の幅に対応するようにしたので、図3,図4に示すように2本の搬送路を1本に合流させるような複雑な紙葉搬送路であっても、個々の走行ガイドの形状は単純なものとすることができる。
図5は本発明の紙葉搬送路の実施例3の形態を示す斜視図、図6は図5に示す実施例3の形態の紙葉搬送路の側面図である。図1,図2に示す実施例1の形態および図3,図4に示す実施例2の形態では、紙葉搬送路は搬送ベルトを対向配置して形成するものとしたが、搬送ローラを対向配置したり、搬送ベルトと搬送ローラを対向配置するものとしてもよい。この実施例3の形態では、搬送ベルトと搬送ローラを対向配置したものについて説明する。
図において、1(1a,1b,1c)は搬送ベルト、2(2a,2b,2c)は前記搬送ベルト1との間で紙葉21の受渡しを行う搬送ベルトである。5(5a,5b,5c)は前記搬送ベルト1が掛けられる搬送用プーリ、6(6a,6b,6c)は前記搬送ベルト2が掛けられる搬送用プーリである。22は前記搬送ベルト1と対向配置される搬送用ローラ、23は前記搬送ベルト2と対向配置される搬送用ローラである。なお、これら搬送用ローラ22,23は搬送ベルト1,2に対応して3個ずつ設けられる。
9は前記搬送用プーリ5を回転させるためのシャフト、10は前記搬送用プーリ6を回転させるためのシャフト、24は前記搬送用ローラ22を回転させるためのシャフト、25は前記搬送用ローラ23を回転させるためのシャフトであり、このシャフト9,10,24,25に搬送用プーリ5,6,搬送用ローラ22,23が図示しないスプリングピン等により固定されている。
搬送ベルト1は、搬送用プーリ5と図示しない搬送用プーリとの間にそれぞれ伸ばして張られており、図示しない動力用モータより伝達された回転がシャフト9に伝達され、搬送ベルト1が周回するようになっている。同様に、搬送ベルト2は、搬送用プーリ6と図示しない搬送用プーリとの間にそれぞれ伸ばして張られており、図示しない動力用モータより伝達された回転がシャフト10に伝達され、搬送ベルト2が周回するようになっている。
26は走行ガイドで、搬送用プーリ5a,6aと搬送用プーリ5b,6bの間、搬送用プーリ5b,6bと搬送用プーリ5c,6cの間、そして、搬送用プーリ5a,6aと搬送用プーリ5c,6cと図示しないサイドフレームとの間で、シャフト9とシャフト10を連結するように設けられる。この走行ガイド26のシャフト9に支持される側は、ラジアルボールベアリング27等の軸受けを介してシャフト9に走行ガイド26を支持しており、ラジアルボールベアリング27は走行ガイド26にはめ込まれている。
また、走行ガイド26のシャフト10に支持される側も、ラジアルボールベアリング28を介してシャフト10に走行ガイド26を支持しているが、走行ガイド26のラジアルボールベアリング28を支持する箇所には、搬送ベルト1上を搬送される紙葉21の厚みの方向に対して搬送方向の長さを長くした長穴26aを開けて、この長穴26aでラジアルボールベアリング28を支持する。
この長穴26aの長手方向の長さは、走行ガイド26で連結される2本のシャフト9,10間ピッチ誤差をシャフト10を支持するラジアルボールベアリング28が長穴26aの中を動くことで吸収できる長さである。また、この長穴26aの短手方向の長さは、ラジアルボールベアリング28が長穴26aの長手方向に滑らかに移動でき、かつ、シャフト10の回転に同期してラジアルボールベアリング28の外輪が回転してしまわないような長さとする。これにより、シャフト9およびシャフト10は滑らかに回転可能である。
シャフト9およびシャフト10は、搬送ベルト1,2上を搬送される紙葉21の厚みを吸収するために、該紙葉21の厚み方向に移動可能であり、シャフト9やシャフト10が移動する際、走行ガイド26はシャフト9およびシャフト10を支点に回転することになる。この時、シャフト9とシャフト10の間隔が変化するが、ラジアルボールベアリング28を長穴26aで支持しているので、間隔の変化を吸収することができる。
このように、走行ガイド26は、シャフト9およびシャフト10に対して、搬送される紙葉の厚み方向にはガタが出ず、かつシャフト9および10の紙葉の厚み方向への移動の妨げにならないようになっている。30は走行ガイドで、シャフト24とシャフト25を連結するように設けられる。
この走行ガイド30のシャフト24に支持される側は、ラジアルボールベアリング31を介してシャフト24に走行ガイド30を支持しており、ラジアルボールベアリング31は走行ガイド30にはめ込まれている。また、走行ガイド30のシャフト25に支持される側も、ラジアルボールベアリング32を介してシャフト25に走行ガイド30を支持しているが、走行ガイド30のラジアルボールベアリング32を支持する箇所には、搬送ベルト1上を搬送される紙葉21の厚みの方向に対して搬送方向の長さを長くした長穴30aを開けて、この長穴30aでラジアルボールベアリング32を支持する。
この長穴30aの長手方向の長さは、走行ガイド30で連結される2本のシャフト24,25間ピッチ誤差をシャフト25を支持するラジアルボールベアリング32が長穴30aの中を動くことで吸収できる長さである。また、この長穴30aの短手方向の長さは、ラジアルボールベアリング32が長穴30aの長手方向に滑らかに移動でき、かつ、シャフト25の回転に同期してラジアルボールベアリング32の外輪が回転してしまわないような長さとする。これにより、シャフト24およびシャフト25は滑らかに回転可能である。
シャフト24およびシャフト25は、搬送ベルト1,2上を搬送される紙葉21の厚みを吸収するために、該紙葉21の厚み方向に移動可能であり、シャフト9やシャフト10が移動する際、走行ガイド30はシャフト24およびシャフト25を支点に回転することになる。この時、シャフト24とシャフト25の間隔が変化するが、ラジアルボールベアリング32を長穴30aで支持しているので、間隔の変化を吸収することができる。
このように、走行ガイド30は、シャフト24およびシャフト25に対して、搬送される紙葉の厚み方向にはガタが出ず、かつシャフト24および25の紙葉の厚み方向への移動の妨げにならないようになっている。ここで、走行ガイド26のガイド面26bおよび走行ガイド30のガイド面30bは、紙葉との接触面であり、搬送されてくる紙葉が突き当たらないように両端を斜めに切り落としておき、かつ、表面を滑らかにつなげ、バリ等をなくし、摩擦係数が小さくなるようにする必要がある。
このとき、各シャフトをラジアルボールベアリングで支持することで、実施例1の形態や実施例2の形態で用いたプラスチック樹脂でなく、板金で形成可能となる。なお。実施例1の形態や実施例2の形態のように、搬送ベルトを対向配置した紙葉搬送路においても、各シャフトをラジアルボールベアリング等の軸受けで支持することとすれば、走行ガイドを板金で形成できる。また、実施例3の形態において、走行ガイドをプラスチック樹脂とすれば、ラジアルボールベアリング等の軸受けを介在させない構造とすることができる。
次に、上述した本発明の紙葉搬送路の実施例3の形態における紙葉の搬送動作について説明する。図示しない動力用モータを回転させて、シャフト9,10,24,25を矢印a方向に回転させると、搬送ベルト1,2の紙葉搬送面が矢印b方向に周回を開始するとともに、搬送用ローラ22,23が矢印a方向に回転し、紙葉21が矢印b方向に搬送される。搬送ベルト1と搬送ベルト2の間、および搬送用ローラ22と搬送用ローラ23の間には隙間があるが、走行ガイド26がシャフト9とシャフト10の間、走行ガイド30がシャフト24とシャフト25の間を連結するように設けられているので、搬送される紙葉21は、この隙間の箇所では走行ガイド26のガイド面26bおよび走行ガイド30のガイド面30bによってガイドされて、隙間に入り込むことなく隣接する搬送ベルトへと受け渡される。
なお、シャフト9,10,24,25を矢印c方向に回転させた場合は、紙葉21は矢印d方向に搬送され、このときも、搬送される紙葉21は、隙間の箇所では走行ガイド26のガイド面26bおよび走行ガイド30のガイド面30bによってガイドされて、隙間に入り込むことなく隣接する搬送ベルトへと受け渡される。
以上説明したように、本発明の紙葉搬送路の実施例3の形態によれば、搬送用ローラのシャフトの間を連結するように走行ガイドを設けることとし、かつ同じ形状の走行ガイドを複数用いて、紙葉の搬送方向に対する左右方向の幅に対応するようにしたので、図6に示すように搬送用ローラと搬送ベルトを対向配置してなる紙葉搬送路であっても、個々の走行ガイドの形状は単純なものとすることができる。
また、走行ガイドとシャフトの間にラジアルボールベアリングを介在させることで、走行ガイドを板金で形成できる。なお、走行ガイドとシャフトの間に介在させる軸受けは、ラジアルボールベアリングに限るものではなく、樹脂製のブッシュや含油軸受け等でもよい。
図7は本発明の紙葉搬送路の実施例4の形態を示す説明図で、図7(a)は走行ガイドの斜視図、図7(b)は走行ガイドの側面図である。なお、走行ガイド以外の構造は図1〜図6で説明した紙葉搬送路と同じであるので、ここではその説明を省略する。40は搬送用プーリや搬送用ローラのシャフト41,42の間を連結するように設けられる走行ガイドである。この走行ガイド40のシャフト41に支持される側は、走行ガイド40のガイド面40aと反対側の面が開口した溝40bが設けられ、この溝40bには、シャフト41を滑らかに回転可能な状態に支持し、かつ開口部から該シャフト41が不用意に外れないようにフック40cが形成される。
このフック40cは、その内径はシャフト41の径よりわずかに大きい径を持ち、該シャフト41を滑らかに回転可能に支持するとともに、その開口している部分はシャフト41の径より小さく、通常はシャフト41が外れることはない。そして、組み立て等の際には、フック40cを弾性変形させて、開口している部分をシャフト41の径より大きくして、走行ガイド40に対してシャフト41を取り外し可能にすることができる。
走行ガイド40のシャフト42に支持される側は、紙葉の搬送方向には該シャフト42の径より余裕を持たせた長さを持ち、紙葉の厚み方向にはシャフト42の径よりわずかに大きい長さを持った長穴形状で、この長穴の端部がガイド面40aと反対側の面方向に開口した鉤状溝40dが設けられ、この鉤状溝40dにシャフト42が入っている。
なお、鉤状溝40dの長穴形状の部分の長手方向の長さは、走行ガイド40で連結される2本のシャフト41,42間ピッチ誤差をシャフト42が鉤状溝40dの中を動くことで吸収できる長さである。また、この鉤状溝40dの長穴形状の部分の短手方向の長さは、シャフト42が滑らかに回転できる程度に該シャフト42に対して寸法差を持たせてある。
この実施例4の形態の走行ガイド40は、シャフト41およびシャフト42を支持する箇所がガイド面40aと反対側の面が開口した溝40bおよび鉤状溝40dとなっているので、シャフト41,42に対して走行ガイド40を容易に取り付けることが可能である。すなわち、まず、シャフト42に対して走行ガイド40の鉤状溝40dをその開口部からはめる。次に、シャフト41と溝40bの位置を合わせ、フック40cを弾性変形させて、その開口している部分をシャフト41の径より大きくして、該シャフト41に溝40bをはめる。シャフト41が所定の位置にはまると、フック40cの開口している部分はシャフト41の径より小さくなり、また、シャフト42は鉤状溝40dの開口部でない箇所に位置しているので、シャフト41,42から走行ガイド40は不用意に外れることはなく、シャフト41,42は走行ガイド40に対して回転可能である。なお、紙葉の搬送動作については、図1〜図6で説明した第1〜実施例3の形態と同じである。
以上説明したように、本発明の紙葉搬送路の実施例4の形態によれば、搬送用プーリや搬送用ローラのシャフトの間を連結するように設ける走行ガイドにおいて、一方のシャフトを支持する箇所をガイド面と反対側の面が開口した溝とし、他方のシャフトを支持する箇所を鉤状溝としたので、シャフトに対して走行ガイドを容易に取り付けることが可能である。また、溝にフックを設けたので、走行ガイドがシャフトから不用意に外れることが防止される。
図8は本発明の紙葉搬送路の実施例5の形態を示す説明図で、図8(a)は走行ガイドの斜視図、図8(b)は走行ガイドの側面図である。なお、走行ガイド以外の構造は図1〜図6で説明した紙葉搬送路と同じであるので、ここではその説明を省略する。45は搬送用プーリや搬送用ローラのシャフト46,47の間を連結するように設けられる走行ガイドである。ここで、シャフト46の走行ガイド45が取り付けられる位置には、該走行ガイド45の厚みよりわずかに広い幅を持った溝46aが設けてある。
この走行ガイド45のシャフト46に支持される側は、該シャフト46の溝46aが設けられている位置の径よりわずかに大きい幅を持ち、走行ガイド45のガイド面45aと反対側の面が開口した溝45bが設けられ、この溝45bにシャフト46が入っている。なお、この溝45bの開口部は、シャフト46の溝46aの径より若干狭い幅とする。
また、走行ガイド45のシャフト47に支持される側は、紙葉の搬送方向には該シャフト47の径より余裕を持たせた長さを持ち、紙葉の厚み方向にはシャフト47の径よりわずかに大きい長さを持った長穴形状で、この長穴の端部がガイド面45aと反対側の面方向に開口した鉤状溝45cが設けられ、この鉤状溝45cにシャフト47が入っている。
ここで、上述した溝45bの幅は、シャフト45が滑らかに回転できる程度に該シャフト46の溝46aに対して寸法差を持たせた径である。また、鉤状溝45cの長穴形状の部分の長手方向の長さは、走行ガイド45で連結される2本のシャフト46,47間ピッチ誤差をシャフト47が鉤状溝45cの中を動くことで吸収できる長さである。なお、この鉤状溝45cの長穴形状の部分の短手方向の長さは、シャフト47が滑らかに回転できる程度に該シャフト47に対して寸法差を持たせてある。
この実施例5の形態の走行ガイド45は、シャフト46およびシャフト47を支持する箇所がガイド面45aと反対側の面が開口した溝45bおよび鉤状溝45cとなっているので、シャフト46,47に対して走行ガイド45を容易に取り付けることが可能である。すなわち、まず、シャフト47に対して走行ガイド45の鉤状溝45cをその開口部からはめる。次に、シャフト46の溝46aと走行ガイド45の溝45bの位置を合わせ、溝45bの開口部からシャフト41をはめる。このとき、溝45bの開口部の幅はシャフト46の溝46aの径より若干狭いが、走行ガイド45をプラスチック樹脂で形成することで、走行ガイド45を弾性変形させながら、シャフト46に溝45bをはめることが可能である。これにより、シャフト46,47は走行ガイド45に対して回転可能である。なお、紙葉の搬送動作については、図1〜図6で説明した第1〜実施例3の形態と同じである。
以上説明したように、本発明の紙葉搬送路の実施例5の形態によれば、搬送用プーリや搬送用ローラのシャフトの間を連結するように設ける走行ガイドにおいて、一方のシャフトを支持する箇所をガイド面と反対側の面が開口した溝とし、他方のシャフトを支持する箇所を鉤状溝としたので、シャフトに対して走行ガイドを容易に取り付けることが可能である。また、シャフトに溝を設け、この溝に走行ガイドをはめているので、走行ガイドがシャフトのスラスト方向に移動したり、倒れたりすることを防止可能である。
図9は本発明の紙葉搬送路の実施例6の形態を示す斜視図である。実施例1の形態で説明した走行ガイド13、実施例2の形態で説明した走行ガイド13P,Q,R、実施例3の形態で説明した走行ガイド26,30、実施例4の形態で説明した走行ガイド40そして実施例5の形態で説明した走行ガイド45は、例えば自動取引装置の紙幣入出金装置内の紙葉搬送路に使われ、使われる箇所によって例えば走行ガイド13と走行ガイド13Pといったようにその形状が異なる。このように形の異なる走行ガイドでも、一つの型で成形可能であり、異なる型の走行ガイドを一つの型で成形するにあたり、装置の組み立て単位、例えばモジュール単位、ユニット単位、装置単位毎に分けて、各組み立て単位毎に1つの型で形の異なる走行ガイドが成形できるようにする。
図9は1つの型で形の異なる走行ガイドを成形した一例を示し、例えばあるモジュールで走行ガイド13、走行ガイド13P,Q,R、走行ガイド45を使う場合、これを一体に成形するものとする。ここで、各走行ガイドにおいてそのゲート部50は、ガイド面と反対側の非紙葉接触面側にくるようにし、組み立ての際は、このゲート部50より走行ガイドを切り離す。
以上説明したように、本発明の紙葉搬送路の実施例6の形態によれば、複数の走行ガイドを1つの型で一度に成形可能としたので、低コスト化ができる。このとき、ユニット単位、モジュール単位、装置単位で形の異なる走行ガイドであっても1つの型で成形することにしたので、例えばあるユニットの組み立ての際に、必要な走行ガイドは一か所に集まっていてバラバラにならず、さらに、ゲート部を走行ガイドの非紙葉接触面側にもってくることで、ゲートのバリが残っていても紙葉走行性能上悪影響がないので、バリ取り作業を省くことができ、組み立て作業性が向上する。
本発明の紙葉搬送路の実施例1の形態を示す斜視図
図1に示す実施例1の形態の紙葉搬送路の側面図
本発明の紙葉搬送路の実施例2の形態を示す斜視図
図3に示す実施例2の形態の紙葉搬送路の側面図
本発明の紙葉搬送路の実施例3の形態を示す斜視図
図5に示す実施例3の形態の紙葉搬送路の側面図
本発明の紙葉搬送路の実施例4の形態を示す説明図
本発明の紙葉搬送路の実施例5の形態を示す説明図
本発明の紙葉搬送路の実施例6の形態を示す斜視図
従来の紙葉搬送路を示す斜視図
符号の説明
1,2,3,4 搬送ベルト
5,6,7,8 搬送用プーリ
9,10,11,12 シャフト
13 走行ガイド
13a 穴
13b 長穴
13c ガイド面