JP2006296478A - ガイドワイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】先端部の柔軟性を確保しつつ、操作性に優れ、第1ワイヤと第2ワイヤとの接合強度が高いガイドワイヤを提供すること。
【解決手段】ガイドワイヤ1は、先端側に配置された線状の第1ワイヤ2と、その基端側に溶接により接合された線状の第2ワイヤ3とで構成されるワイヤ本体10を備える。第1ワイヤ2の先端部外周には、X線造影性を有するコイルが設置されている。第1ワイヤ2の基端部は、長手方向に沿って外径がほぼ一定であり、第2ワイヤの先端部は、その先端から基端方向に向かって外径が漸増するテーパ部16で構成されている。第1ワイヤ2の基端の外径と第2ワイヤ3の先端の外径は同一である。両ワイヤ2、3は、この外径が同一な端面同士を溶接して接合されており、該接合部14の外周には、第1ワイヤ2の基端部外周面とテーパ部16の外周面との角度の差を緩和する金属被覆層6が形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、ガイドワイヤ、特に血管や胆管のような体腔内にカテーテルを導入する際に用いられるガイドワイヤに関する。
ガイドワイヤは、例えばPTCA術(Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty:経皮的冠状動脈血管形成術)のような、外科的手術が困難な部位の治療、または人体への低侵襲を目的とした治療や、心臓血管造影などの検査に用いられるカテーテルを誘導するのに使用される。PTCA術に用いられるガイドワイヤは、ガイドワイヤの先端をバルーンカテーテルの先端より突出させた状態にて、バルーンカテーテルと共に目的部位である血管狭窄部付近まで挿入され、バルーンカテーテルの先端部を血管狭窄部付近まで誘導する。
さらに、ガイドワイヤは、胆管や膵管の病変部治療において、例えば次のような方法にて、胆管、膵管病変部付近まで各治療デバイスを誘導するために使用される。
[1]ERCP(endoscopic retrograde cholangiopancreatography)
内視鏡を十二指腸の下行部まで挿入し、その内視鏡でVator乳頭を正面に見ながら、造影カニューレを胆管、膵管に挿入し、造影剤を注入しX線撮影する方法。
[2]EST(endoscopic sphincterotomy)
十二指腸乳頭開口部に切開用のパピロトームを挿入し、高周波で乳頭括約筋を切開する方法。
[3]EPBD(endoscopic papillary balloon dilation)
内視鏡を経由して乳頭をバルーンで拡張し、胆管胆石を廃除する方法。
PTCA術を必要とする血管は、複雑に湾曲しており、バルーンカテーテルを血管に挿入する際に用いるガイドワイヤには、適度の曲げに対する柔軟性と復元性、基端部における操作を先端側に伝達するための押し込み性およびトルク伝達性(これらを総称して「操作性」という)、さらには耐キンク性(耐折れ曲がり性)等が要求される。それらの特性の内、適度の柔軟性を得るための構造として、ガイドワイヤの細い先端芯材の回りに曲げに対する柔軟性を有する金属コイルを備えたものや、柔軟性と復元性を付与するためガイドワイヤの芯材にNi−Ti等の超弾性線を用いたものがある。
従来、ガイドワイヤは、基端から先端まで一本の芯材で構成され、該芯材にはガイドワイヤの操作性を高めるために比較的弾性率の高い材料が用いられたものが多いが、その影響としてガイドワイヤ先端部の柔軟性が失われる傾向にあった。また、ガイドワイヤの先端部の柔軟性を得るために、芯材の材料に比較的弾性率の低い材料を用いると、ガイドワイヤの基端側における操作性が失われる。このように、必要とされる柔軟性および操作性を両立することは困難とされていた。
また、上述した経内視鏡手技で使用されるガイドワイヤは、内視鏡が体腔内で湾曲していることや、鉗子起上台でガイドワイヤが曲げられること、造影剤が固着した状態でカテーテルと交換を行なうこと、などの悪条件下で使用されるため、トルク伝達性や、押し込み力(押し込み性:プッシャビリティ−)が損なわれる。また、組み合わせるデバイスによっては、外径の細いガイドワイヤを使用する必要がある。しかし、外径が細くなると、ガイドワイヤの剛性が低くなり、トルク伝達性や、押し込み力が低下し、目的部位まで各治療デバイスを誘導することが困難になるという問題がある。
このような欠点を改良するため、例えば芯材にNi−Ti合金線を用い、その先端側と基端側とに異なった条件で熱処理を施し、先端部の柔軟性を高め、基端側の剛性を高めたガイドワイヤが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、このような熱処理による柔軟性の制御には限界があり、先端部では十分な柔軟性が得られても、基端側では必ずしも満足する剛性が得られないことがあった。
また、先端側に配置された可撓性を有する第1のワイヤと、基端側に配置された剛性が高い第2のワイヤと、第1のワイヤと第2のワイヤとを接続し溝およびスリットを有する管状の接続部材とからなり、接続部材は先端側から基端側に向かって徐々に剛性が高くなるよう構成されたガイドワイヤが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
このようなガイドワイヤは、先端側と基端側とにそれぞれ所望の特性を有するワイヤを配置することができるが、両ワイヤを管状の接続部材を介して接続するので、両ワイヤの接合強度を高くすることができず、トルク伝達性が十分に得られないという問題がある。また、ワイヤの接続作業に手間がかかるという製造上の問題もある。
特公平4−60675号公報 特開平10−118005号公報
本発明の目的は、先端部の柔軟性を確保しつつ、操作性に優れ、第1ワイヤと第2ワイヤとの接合強度が高いガイドワイヤを提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(6)の本発明により達成される。また、下記(7)〜(14)であるのが好ましい。
(1) 先端側に配置された線状の第1ワイヤと、前記第1ワイヤの基端側に配置された線状の第2ワイヤとを備え、前記第1ワイヤの基端と前記第2ワイヤの先端とを溶接により接合してなるワイヤ本体を有し、
前記第1ワイヤの基端部は、長手方向に沿って外径がほぼ一定であり、第2ワイヤの先端部は、その先端から基端方向に向かって外径が漸増するテーパ部で構成されており、前記第1ワイヤの基端の外径と前記第2ワイヤの先端の外径が同一であり、
前記第1ワイヤと前記第2ワイヤの接合面の外周部には、前記第1ワイヤの基端部外周面と前記テーパ部の外周面との角度の差を緩和する金属被覆層が形成されていることを特徴とするガイドワイヤ。
(2) 先端側に配置された線状の第1ワイヤと、前記第1ワイヤの基端側に配置された線状の第2ワイヤとを備え、前記第1ワイヤの基端と前記第2ワイヤの先端とを溶接により接合してなるワイヤ本体を有し、
前記第1ワイヤの基端部は、長手方向に沿って外径がほぼ一定であり、第2ワイヤの先端部は、その先端から基端方向に向かって外径が漸増するテーパ部で構成されており、前記第1ワイヤの基端の外径と前記第2ワイヤの先端の外径が同一であり、
前記第1ワイヤと前記第2ワイヤの接合面の外周部には、その外径が基端方向に向かって漸増するテーパ状部分を有し、かつ当該テーパ状部分のテーパ角度が前記テーパ部のテーパ角度より小さい金属被覆層が形成されていることを特徴とするガイドワイヤ。
(3) 前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとは、同一または同種の金属材料で構成されている上記(1)または(2)に記載のガイドワイヤ。
(4) 前記第1ワイヤおよび前記第2ワイヤは、それぞれ、超弾性合金で構成されている上記(3)に記載のガイドワイヤ。
(5) 前記金属被覆層は、前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとの溶接により生じた溶融金属の固化物に機械加工を施して得られたものである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のガイドワイヤ。
(6) 前記金属被覆層の平均厚さは、1〜100μmである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のガイドワイヤ。
(7) 前記第1ワイヤの少なくとも先端側の部分を覆う螺旋状のコイルを有する上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のガイドワイヤ。
(8) 前記第1ワイヤの先端部に、X線造影性を有する造影部を有する上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のガイドワイヤ。
(9) 前記第1ワイヤおよび/または前記第2ワイヤの外周に、樹脂被覆層が設けられている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のガイドワイヤ。
(10) 前記第2ワイヤの外周に、摩擦を低減し得る樹脂材料で構成された樹脂被覆層が設けられている上記(1)ないし(9)のいずれかに記載のガイドワイヤ。
(11) 前記第1ワイヤの外周に、柔軟性に富む材料で構成された樹脂被覆層が設けられている上記(1)ないし(10)のいずれかに記載のガイドワイヤ。
(12) 前記樹脂被覆層は、熱可塑性エラストマー、シリコーン樹脂またはフッ素系樹脂で構成されている上記(9)ないし(11)のいずれかに記載のガイドワイヤ。
(13) 前記第1ワイヤの先端は、露出することなく前記樹脂被覆層に覆われている上記(9)ないし(12)のいずれかに記載のガイドワイヤ。
(14) ガイドワイヤの少なくとも先端部の外面に親水性材料がコーティングされている上記(1)ないし(13)のいずれかに記載のガイドワイヤ。
本発明のガイドワイヤによれば、柔軟性に富んだ第1ワイヤと、第1ワイヤより剛性が高い第2ワイヤとを溶接により接合したことにより、ガイドワイヤの先端側には柔軟性を十分に確保して安全性を高め、ガイドワイヤの基端側には十分な剛性が得られ、押し込み性、トルク伝達性および追従性に優れたガイドワイヤを得ることができる。
また、第1ワイヤと第2ワイヤとの剛性の差は、主にワイヤの外径の差によるものであるため、両ワイヤを同一または同種の材料で構成することができる。その結果、第1ワイヤと第2ワイヤとの接合強度を高くすることができる。そのため、ガイドワイヤに曲げや引張り等の応力が作用した場合でも、第1ワイヤと第2ワイヤとの接合部が離脱することがなく、信頼性が高い。
特に、第1ワイヤと第2ワイヤとを溶接により接合(連結)し、この溶接部の周囲に金属被覆層を形成したことにより、溶接部の結合強度がさらに高くなり、第2ワイヤから第1ワイヤへねじりトルクや押し込み力をより確実に伝達することができる。
また、ガイドワイヤに曲げやねじりが作用したとき、溶接部の周囲に金属被覆層が存在するため、応力が溶接部の周囲に分散され、溶接部に応力集中することが防止される。そのため、曲げやねじりの応力が溶接部の前後で円滑に伝達され、急峻なキンク(折れ曲がり)やねじれ等を有効に防止することができる。
さらに、本発明のガイドワイヤによれば、第1ワイヤより剛性が高い第2ワイヤを接合したことにより、外径が細いガイドワイヤでも先端側はより柔軟であり、基端端は剛性が高いものとすることができるため、十分な押し込み力およびトルク伝達性が得られ、湾曲したカテーテル内、内視鏡内、血管、胆管、膵管等の体腔内で優れた操作性を発揮する。
また、樹脂被覆層、特に摩擦を低減し得る材料で構成された樹脂被覆層を設けた場合には、カテーテル内などにおけるガイドワイヤの摺動性が向上し、ガイドワイヤの操作性をより良好なものとすることができる。ガイドワイヤの摺動抵抗が低くなることで、ガイドワイヤのキンクやねじれ、特に溶接部付近におけるキンクやねじれをより確実に防止することができる。
以下、本発明のガイドワイヤについて添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のガイドワイヤの実施形態を示す縦断面図、図2は、本発明のガイドワイヤにおけるワイヤ本体の接合部付近を拡大して示す縦断面図である。なお、説明の都合上、図1および図2中の右側を「基端」、左側を「先端」という。また、図1および図2中では、理解を容易にするため、ガイドワイヤの長さ方向を短縮し、ガイドワイヤの太さ方向を誇張して模式的に図示しており、長さ方向と太さ方向の比率は実際とは異なる。
図1に示すガイドワイヤ1は、カテーテル(内視鏡も含む)の内腔に挿入して用いられるカテーテル用ガイドワイヤであって、先端側に配置された第1ワイヤ2と、第1ワイヤ2の基端側に配置された第2ワイヤ3とを溶接により接合(連結)してなるワイヤ本体10と、螺旋状のコイル4とを有している。ガイドワイヤ1の全長は、特に限定されないが、200〜5000mm程度であるのが好ましい。
第1ワイヤ2は、柔軟性または弾性を有する線材で構成されている。第1ワイヤ2の長さは、特に限定されないが、20〜1000mm程度であるのが好ましい。
本実施形態では、第1ワイヤ2は、その外径が一定である部分と、外径が先端方向へ向かって漸減しているテーパ状の部分(外径漸減部)とを有する。後者は、一箇所でも二箇所以上でもよく、図示の実施形態では、一箇所の外径漸減部15を有している。
このような外径漸減部15を有することにより、第1ワイヤ2の剛性(曲げ剛性、ねじり剛性)を先端方向に向かって徐々に減少させることができ、その結果、ガイドワイヤ1は、先端部に良好な柔軟性を得て、血管等への追従性、安全性が向上すると共に、折れ曲がり等も防止することができる。
外径漸減部15のテーパ角度(外径の減少率)は、ワイヤ長手方向に沿って一定でも、長手方向に沿って変化する部位があってもよい。例えば、テーパ角度(外径の減少率)が比較的大きい箇所と比較的小さい箇所とが複数回交互に繰り返して形成されているようなものでもよい。
第1ワイヤ2の基端側の部分(外径漸減部15より基端側の部分)は、その外径が第1ワイヤ2の基端まで一定となっている。
第1ワイヤ2の基端には、第2ワイヤ3の先端が例えば溶接により接続(連結)されている。第2ワイヤ3は、柔軟性または弾性を有する線材で構成されている。第2ワイヤ3の長さは、特に限定されないが、20〜4800mm程度であるのが好ましい。
第2ワイヤ3の先端部には、その先端(第2ワイヤ3の最先端)から基端方向に向かって外径が漸増するテーパ部16が形成されている。そして、第2ワイヤ3のテーパ部16より基端側においては、その外径はワイヤ長手方向に沿ってほぼ一定である。そして、第2ワイヤ3の先端(テーパ部16の先端)の外径は、第1ワイヤ2の基端の外径と同一である。
このように、第1ワイヤ2の平均外径が第2ワイヤ3の平均外径より小さいことにより、ガイドワイヤ1は、その先端側である第1ワイヤ2上では柔軟性に富み、基端側である第2ワイヤ3上では比較的剛性が高いものとなるので、先端部の柔軟性と優れた操作性(押し込み性、トルク伝達性等)とを両立することができる。そして、第2ワイヤ3の先端部にテーパ部16を有することにより、第2ワイヤ3から第1ワイヤ2への物理的特性、特に弾性が滑らかに変化し、両ワイヤ2、3の接合部(接合面)14の前後において優れた押し込み性やトルク伝達性が発揮され、耐キンク性も向上する。
第1ワイヤ2および第2ワイヤ3の構成材料は、特に限定されず、それぞれ、例えば、ステンレス鋼(例えば、SUS304、SUS303、SUS316、SUS316L、SUS316J1、SUS316J1L、SUS405、SUS430、SUS434、SUS444、SUS429、SUS430F、SUS302等SUSの全品種)、ピアノ線、コバルト系合金などの各種金属材料を使用することができるが、そのなかでも特に、擬弾性を示す合金(超弾性合金を含む。)が好ましい。より好ましくは超弾性合金である。
超弾性合金は、比較的柔軟であるとともに、復元性があり、曲がり癖が付き難いので、第1ワイヤ2を超弾性合金で構成することにより、ガイドワイヤ1は、その先端側の部分に十分な柔軟性と曲げに対する復元性が得られ、複雑に湾曲・屈曲する血管に対する追従性が向上し、より優れた操作性が得られるとともに、第1ワイヤ2が湾曲・屈曲変形を繰り返しても、第1ワイヤ2に備わる復元性により曲がり癖が付かないので、ガイドワイヤ1の使用中に第1ワイヤ2に曲がり癖が付くことによる操作性の低下を防止することができる。
擬弾性合金には、引張りによる応力−ひずみ曲線のいずれの形状も含み、As、Af、Ms、Mf等の変態点が顕著に測定できるものも、できないものも含み、応力により大きく変形(歪)し、応力の除去により元の形状にほぼ戻るものは全て含まれる。
超弾性合金の好ましい組成としては、49〜52原子%NiのNi−Ti合金等のNi−Ti系合金、38.5〜41.5重量%ZnのCu−Zn合金、1〜10重量%XのCu−Zn−X合金(Xは、Be、Si、Sn、Al、Gaのうちの少なくとも1種)、36〜38原子%AlのNi−Al合金等が挙げられる。このなかでも特に好ましいものは、上記のNi−Ti系合金である。なお、Ni−Ti系合金に代表される超弾性合金は、後述する樹脂被覆層8、9の密着性にも優れている。
コバルト系合金は、ワイヤとしたときの弾性率が高く、かつ適度な弾性限度を有している。このため、コバルト系合金で構成されたワイヤは、トルク伝達性に優れ、座屈等の問題が極めて生じ難い。コバルト系合金としては、構成元素としてCoを含むものであれば、いかなるものを用いてもよいが、Coを主成分として含むもの(Co基合金:合金を構成する元素中で、Coの含有率が重量比で最も多い合金)が好ましく、Co−Ni−Cr系合金を用いるのがより好ましい。このような組成の合金を用いることにより、前述した効果がさらに顕著なものとなる。また、このような組成の合金は、弾性係数が高く、かつ高弾性限度としても冷間成形可能で、高弾性限度であることにより、座屈の発生を十分に防止しつつ、小径化することができ、所定部位に挿入するのに十分な柔軟性と剛性を備えるものとすることができる。
Co−Ni−Cr系合金としては、例えば、28〜50wt%Co−10〜30wt%Ni−10〜30wt%Cr−残部Feの組成からなる合金や、その一部が他の元素(置換元素)で置換された合金等が好ましい。置換元素の含有は、その種類に応じた固有の効果を発揮する。例えば、置換元素として、Ti、Nb、Ta、Be、Moから選択される少なくとも1種を含むことにより、第2ワイヤ3の強度のさらなる向上等を図ることができる。なお、Co、Ni、Cr以外の元素を含む場合、その(置換元素全体の)含有量は30wt%以下であるのが好ましい。
また、Co、Ni、Crの一部は、他の元素で置換してもよい。例えば、Niの一部をMnで置換してもよい。これにより、例えば、加工性のさらなる改善等を図ることができる。また、Crの一部をMoおよび/またはWで置換してもよい。これにより、弾性限度のさらなる改善等を図ることができる。Co−Ni−Cr系合金の中でも、Moを含む、Co−Ni−Cr−Mo系合金が特に好ましい。
Co−Ni−Cr系合金の具体的な組成としては、例えば、[1]40wt%Co−22wt%Ni−25wt%Cr−2wt%Mn−0.17wt%C−0.03wt%Be−残部Fe、[2]40wt%Co−15wt%Ni−20wt%Cr−2wt%Mn−7wt%Mo−0.15wt%C−0.03wt%Be−残部Fe、[3]42wt%Co−13wt%Ni−20wt%Cr−1.6wt%Mn−2wt%Mo−2.8wt%W−0.2wt%C−0.04wt%Be−残部Fe、[4]45wt%Co−21wt%Ni−18wt%Cr−1wt%Mn−4wt%Mo−1wt%Ti−0.02wt%C−0.3wt%Be−残部Fe、[5]34wt%Co−21wt%Ni−14wt%Cr−0.5wt%Mn−6wt%Mo−2.5wt%Nb−0.5wt%Ta−残部Fe等が挙げられる。本発明でいうCo−Ni−Cr系合金とはこれらの合金を包含する概念である。
第1ワイヤ2と第2ワイヤ3とは、異なる材料で構成されていてもよいが、同一または同種(合金において主とする金属材料が等しい)の金属材料で構成されているのが好ましい。これにより、接合部(溶接部)14の接合強度がより高くなり、接合部14の外径が小さくても、離脱等を生じることなく、優れたトルク伝達性等を発揮する。
この場合、第1ワイヤ2および第2ワイヤ3は、それぞれ、前述した超弾性合金で構成されているのが好ましく、その中でもNi−Ti系合金で構成されているのがより好ましい。これにより、ワイヤ本体10のテーパ部16より先端側において優れた柔軟性を確保するとともに、ワイヤ本体10の基端側の部分では、十分な剛性(曲げ剛性、ねじり剛性)を確保することができる。その結果、ガイドワイヤ1は、優れた押し込み性やトルク伝達性を得て良好な操作性を確保しつつ、先端側においては良好な柔軟性、復元性を得て血管、胆管、膵管への追従性、安全性が向上する。
第1ワイヤ2の先端部外周には、コイル4が配置されている。このコイル4は、線材(細線)を螺旋状に巻回してなる部材であり、第1ワイヤ2の少なくとも先端側の部分を覆うように設置されている。図示の構成では、第1ワイヤ2の先端側の部分は、コイル4の内側のほぼ中心部に挿通されている。また、第1ワイヤ2の先端側の部分は、コイル4の内面と非接触で挿通されている。接合部14は、コイル4の基端より基端側に位置している。
なお、図示の構成では、コイル4は、外力を付与しない状態で、螺旋状に巻回された線材同士の間にやや隙間が空いているが、図示と異なり、外力を付与しない状態で、螺旋状に巻回された線材同士が隙間なく密に配置されていてもよい。
コイル4は、金属材料で構成されているのが好ましい。コイル4を構成する金属材料としては、例えば、ステンレス鋼、超弾性合金、コバルト系合金や、金、白金、タングステン等の貴金属またはこれらを含む合金(例えば白金−イリジウム合金)等が挙げられる。特に、貴金属のようなX線不透過材料で構成した場合には、ガイドワイヤ1にX線造影性が得られ、X線透視下で先端部の位置を確認しつつ生体内に挿入することができ、好ましい。また、コイル4は、その先端側と基端側とを異なる材料で構成してもよい。例えば、先端側をX線不透過材料のコイル、基端側をX線を比較的透過する材料(ステンレス鋼など)のコイルにて各々構成してもよい。なお、コイル4の全長は、特に限定されないが、5〜500mm程度であるのが好ましい。
コイル4の基端部および先端部は、それぞれ、固定材料11および12により第1ワイヤ2に固定されている。また、コイル4の中間部(先端寄りの位置)は、固定材料13により第1ワイヤ2に固定されている。固定材料11、12および13は、半田(ろう材)で構成されている。なお、固定材料11、12および13は、半田に限らず、接着剤でもよい。また、コイル4の固定方法は、固定材料によるものに限らず、例えば、溶接でもよい。また、血管等の体腔の内壁の損傷を防止するために、固定材料12の先端面は、丸みを帯びているのが好ましい。
本実施形態では、このようなコイル4が設置されていることにより、第1ワイヤ2は、コイル4に覆われて接触面積が少ないので、摺動抵抗を低減することができ、よって、ガイドワイヤ1の操作性がより向上する。
なお、本実施形態の場合、コイル4は、線材の横断面が円形のものを用いているが、これに限らず、線材の断面が例えば楕円形、四角形(特に長方形)等のものであってもよい。
ガイドワイヤ本体10を構成する第1ワイヤ2と第2ワイヤ3とは、溶接により接続、固定されている。これにより、簡単な方法で、第1ワイヤ2と第2ワイヤ3との接合部(溶接部)14に高い接合強度が得られ、よって、ガイドワイヤ1は、第2ワイヤ3からのねじりトルクや押し込み力が確実に第1ワイヤ2に伝達される。
第1ワイヤ2と第2ワイヤ3との溶接方法としては、特に限定されず、例えば、摩擦圧接、レーザを用いたスポット溶接、バットシーム溶接等の突き合わせ抵抗溶接などが挙げられるが、比較的簡単で高い接合強度が得られることから、突き合わせ抵抗溶接が特に好ましい。
前述したように、第1ワイヤ2の基端の外径と第2ワイヤ3の先端(テーパ部16の先端)の外径とは同一であり、従って、両ワイヤ2、3の接合端面の形状(好ましくは円形)は一致している。従って、両ワイヤ2、3を溶接するために付き合わせた際、外径差による段差は生じない。
そして、両ワイヤ2、3を溶接により接合した後、両ワイヤ2、3の接合部14の外周部に、金属被覆層6が形成される。以下、この金属被覆層6の形状について説明する。
図2に示すように、接合部14の先端側は、外径がほぼ一定の第1ワイヤ2であり、接合部14の基端側は、外径が基端方向に向かって漸増する第2ワイヤ3のテーパ部16であり、金属被覆層6は、これらにまたがるように形成されている。そして、金属被覆層6は、その全部または一部が、外径が基端方向に向かって漸増するテーパ状部分61で構成されている。
ここで、テーパ部16のテーパ角度(ワイヤの軸線に対する外周面の角度)をα、金属被覆層6のテーパ状部分61のテーパ角度をβとすると、α>βの関係が成り立っている(図2参照)。すなわち、金属被覆層6は、第1ワイヤ2の基端部外周面とテーパ部16の外周面との角度の差を緩和するように形成されている。
このような金属被覆層6を形成したことにより、接合部14の前後(先端側と基端側)における急峻な角度の変化(剛性の変化)を緩和して、溶接部14における応力集中を排除または緩和することができるとともに、第2ワイヤ3から第1ワイヤ2への物理的特性、特に剛性と弾性が滑らかに変化し、両ワイヤ2、3の接合部14の前後において優れた押し込み性やトルク伝達性が発揮され、耐キンク性も向上する。
金属被覆層6は、両ワイヤ2、3の溶接により生じた溶融金属(溶融物)の固化物で構成されている。従って、金属被覆層6の構成材料は、第1ワイヤ2の構成金属と第2ワイヤ3の構成金属の双方を含む。特に、前述したように、第1ワイヤ2と第2ワイヤ3とが同一または同種の金属材料で構成されている場合には、金属被覆層6の構成材料もそれらと同様の金属組成となる。
また、金属被覆層6は、前記溶融金属の固化物に対し機械加工を施して得られたものであるのが好ましい。これにより、金属被覆層6を所望の形状や表面性状にすることができ、ガイドワイヤ1の押し込み性、トルク伝達性、耐キンク性をより向上することができる。なお、機械加工としては、例えば、研削、研磨、レーザ加工等のうちの1種または2種以上を組み合わせて行うことができる。また、機械加工に代えて、あるいは機械加工の後に、エッチング等の化学処理を施してもよい。
金属被覆層6の平均厚さは、特に限定されないが、1〜100μm程度であるのが好ましく、1〜30μm程度であるのがより好ましい。金属被覆層6の厚さが薄すぎると、上述した金属被覆層6の機能を十分に発揮することができないおそれがあり、また厚さが厚すぎると、第1ワイヤ2、第2ワイヤ3間での物理的特性(剛性、弾性等)の移行が滑らかに変化しないおそれがある。
金属被覆層6のワイヤ長手方向の長さは、特に限定されないが、0.5〜2.0mm程度であるのが好ましく、0.5〜1.0mm程度であるのがより好ましい。
このような金属被覆層6は、例えば次のようにして形成される。
第1ワイヤ2と第2ワイヤ3とは、例えばバット溶接機によって、所定の電圧を印加されながら第1ワイヤ2の基端と第2ワイヤ3の先端とが加圧接触される。この加圧接触により、接触部分には薄い(例えば0.01〜50μm程度)溶融層が形成され、この溶融層が冷却固化すると接合部14が形成され、第1ワイヤ2と第2ワイヤ3とが強固に接合される。この溶接の際に、接合部14を含む所定の領域(例えば、接合部14から前後0.2〜8mm程度の範囲)に外径が増大した隆起部分が形成される。この隆起部分は、第1ワイヤ2および第2ワイヤ3の溶融物が固化したものである。
この溶融物の隆起部分を適度に除去して整形する(形状を整える)ことにより、所望形状の金属被覆層6を得る。整形方法としては、隆起部分に対し、例えば、研削、研磨、レーザ加工等の機械加工や、エッチング等の化学処理が挙げられる。機械加工を施した後、仕上げ等の目的で化学処理を施してもよい。このような整形により、金属被覆層6の外周面は、実質的に平滑な面とすることができる。
金属被覆層6は、第1ワイヤ2および第2ワイヤ3の溶融固化物を整形したものとして説明したが、これに限らず、溶融固化物を一部分残して凸状とし、またはほぼ取り除いた後に、その表面に別の金属被覆物を上記したように被覆して構成したものでもよい。この場合、別の金属被覆物としては、第1ワイヤ2や第2ワイヤ3と同じ種類の材料にて形成することができる。また、金属被覆層6の代わりに、プラスチックによる被覆層(樹脂被覆層)を形成してもよい。もちろん、金属被覆層6の全部または一部をプラスチック等による被覆層で被覆した構成でもよい。
金属被覆層6のテーパ状部分61は、図2に示すように、その外径が基端方向に向かって直線的に漸増しているが、テーパ状部分61は、凹面を形成していてもよく、または逆に凸面を形成していてもよい。
図1に示すように、ワイヤ本体10は、その外周面(外表面)の全部または一部を覆う樹脂被覆層8、9を有している。図示の実施形態では、第1ワイヤ2および第2ワイヤ3の外周に、それぞれ、樹脂被覆層8および9が設けられている。
これらの樹脂被覆層8、9は、種々の目的で形成することができるが、その一例として、ガイドワイヤ1の摩擦(摺動抵抗)を低減し、摺動性を向上させることによってガイドワイヤ1の操作性を向上させることがある。
また、図示と異なり、樹脂被覆層8または9が、金属被覆層6の外周を覆うように設けられていてもよい。これにより、ワイヤ本体10の外径変化(テーパ角度の変化)をさらに緩和することができ、ガイドワイヤ1の押し込み性、トルク伝達性、耐キンク性をより向上することができるとともに、ガイドワイヤ1の長手方向の移動操作性を向上することができる。
ガイドワイヤ1の摩擦(摺動抵抗)の低減を図るためには、樹脂被覆層8、9は、以下に述べるような摩擦を低減し得る材料で構成されているのが好ましい。これにより、ガイドワイヤ1とともに用いられるカテーテルの内壁との摩擦抵抗(摺動抵抗)が低減されて摺動性が向上し、カテーテル内でのガイドワイヤ1の操作性がより良好なものとなる。また、ガイドワイヤ1の摺動抵抗が低くなることで、ガイドワイヤ1をカテーテル内で移動および/または回転した際に、ガイドワイヤ1のキンク(折れ曲がり)やねじれ、特に接合部14付近におけるキンクやねじれをより確実に防止することができる。
このような摩擦を低減し得る材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(PET、PBT等)、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂(PTFE、ETFE等)、またはこれらの複合材料が挙げられる。
その中でも特に、フッ素系樹脂(またはこれを含む複合材料)を用いた場合には、ガイドワイヤ1とカテーテルの内壁との摩擦抵抗(摺動抵抗)をより効果的に低減し、摺動性を向上させることができ、カテーテル内でのガイドワイヤ1の操作性がより良好なものとなる。また、これにより、ガイドワイヤ1をカテーテル内で移動および/または回転した際に、ガイドワイヤ1のキンク(折れ曲がり)やねじれ、特に溶接部付近におけるキンクやねじれをより確実に防止することができる。
また、フッ素系樹脂(またはこれを含む複合材料)を用いた場合には、焼きつけ、吹きつけ等の方法により、樹脂材料を加熱した状態で、ワイヤ本体10への被覆を行うことができる。これにより、ワイヤ本体10と、樹脂被覆層8、9との密着性は特に優れたものとなる。
また、樹脂被覆層8、9がシリコーン樹脂(またはこれを含む複合材料)で構成されたものであると、樹脂被覆層8、9を形成する(ワイヤ本体10に被覆する)際に、加熱しなくても、ワイヤ本体10に確実かつ強固に密着した樹脂被覆層8、9を形成することができる。すなわち、樹脂被覆層8、9をシリコーン樹脂(またはこれを含む複合材料)で構成されたものとする場合、反応硬化型の材料等を用いることができるため、樹脂被覆層8、9の形成を室温にて行うことができる。このように、室温にて樹脂被覆層8、9を形成することにより、簡便にコーティングができるとともに、溶接部14における第1ワイヤ2と第2ワイヤ3との接合強度を十分に維持した状態にてガイドワイヤの操作ができる。
また、樹脂被覆層8、9(特に先端側の樹脂被覆層8)は、ガイドワイヤ1を血管等に挿入する際の安全性の向上を目的として設けることもできる。この目的のためには、樹脂被覆層8、9は柔軟性に富む材料(軟質材料、弾性材料)で構成されているのが好ましい。
このような柔軟性に富む材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(PET、PBT等)、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、シリコーン樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー等の熱可塑性エラストマー、ラテックスゴム、シリコーンゴム等の各種ゴム材料、またはこれらのうちに2以上を組み合わせた複合材料が挙げられる。
特に、樹脂被覆層8、9が前述した熱可塑性エラストマーや各種ゴム材料で構成されたものである場合には、ガイドワイヤ1の先端部の柔軟性がより向上するため、血管等への挿入時に、血管内壁等を傷つけることをより確実に防止することができ、安全性が極めて高い。
このような樹脂被覆層8、9は、それぞれ、2層以上の積層体でもよい。また、樹脂被覆層8と樹脂被覆層9とは、同一材料で構成されていても、異なる材料で構成されていてもよい。例えば、ガイドワイヤ1の先端側に位置する樹脂被覆層8は、前述した柔軟性に富む材料(軟質材料、弾性材料)で構成し、ガイドワイヤ1の基端側に位置する樹脂被覆層9は、前述した摩擦を低減し得る材料で構成することができる。これにより、摺動性(操作性)の向上と安全性の向上の両立を図ることができる。
樹脂被覆層8、9の厚さは、特に限定されず、樹脂被覆層8、9の形成目的や構成材料、形成方法等を考慮して適宜されるが、通常は、樹脂被覆層8、9共に、厚さ(平均)が1〜100μm程度であるのが好ましく、1〜30μm程度であるのがより好ましい。樹脂被覆層8、9の厚さが薄すぎると、樹脂被覆層8、9の形成目的が十分に発揮されないことがあり、また、樹脂被覆層8、9の剥離が生じるおそれがある。また、樹脂被覆層8、9の厚さが厚すぎると、ワイヤ本体10の物理的特性に影響を与えるおそれがあり、また樹脂被覆層8、9の剥離が生じるおそれがある。
なお、本発明では、ワイヤ本体10の外周面(表面)に、樹脂被覆層8、9の密着性を向上するための処理(粗面加工、化学処理、熱処理等)を施したり、樹脂被覆層8、9の密着性を向上し得る中間層を設けたりすることもできる。
ガイドワイヤ1の少なくとも先端部の外面には、親水性材料がコーティングされているのが好ましい。本実施形態では、ガイドワイヤ1の先端からテーパ部16の基端付近に至るまでの領域におけるガイドワイヤ1の外周面に、親水性材料がコーティングされている。これにより、親水性材料が湿潤して潤滑性を生じ、ガイドワイヤ1の摩擦(摺動抵抗)が低減し、摺動性が向上する。従って、ガイドワイヤ1の操作性が向上する。
親水性材料としては、例えば、セルロース系高分子物質、ポリエチレンオキサイド系高分子物質、無水マレイン酸系高分子物質(例えば、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体のような無水マレイン酸共重合体)、アクリルアミド系高分子物質(例えば、ポリアクリルアミド、ポリグリシジルメタクリレート−ジメチルアクリルアミド(PGMA−DMAA)のブロック共重合体)、水溶性ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
このような親水性材料は、多くの場合、湿潤(吸水)により潤滑性を発揮し、ガイドワイヤ1とともに用いられるカテーテルの内壁との摩擦抵抗(摺動抵抗)を低減する。これにより、ガイドワイヤ1の摺動性が向上し、カテーテル内でのガイドワイヤ1の操作性がより良好なものとなる。
図3は、本発明のガイドワイヤの他の実施形態を示す縦断面図である。以下、図3に示すガイドワイヤについて説明するが、図1および図2に示すガイドワイヤと同様の事項にいてはその説明を省略し、相違点を中心に説明する。また、説明の都合上、図3中の右側を「基端」、左側を「先端」という。また、図3中では、理解を容易にするため、ガイドワイヤの長さ方向を短縮し、ガイドワイヤの太さ方向を誇張して模式的に図示しており、長さ方向と太さ方向の比率は実際とは異なる。
図3に示すガイドワイヤ1は、コイル4を有さない以外は、図1および図2に示すガイドワイヤ1と同様である。すなわち、図3に示すガイドワイヤ1は、先端側に配置された第1ワイヤ2と、第1ワイヤ2の基端側に配置された第2ワイヤ3とを溶接により接合(連結)してなるワイヤ本体10を有し、第1ワイヤ2と第2ワイヤ3との接合部14の外周部は、金属被覆層6により覆われている。
ワイヤ本体10の先端側の部分(第1ワイヤ2の外周面)および基端側の部分(第2ワイヤ3の外周面)は、それぞれ、樹脂被覆層8および9により被覆されている。
樹脂被覆層8、9の形成目的や構成材料等については、前記と同様である。本実施形態では、特に、ガイドワイヤ1の先端側に位置する樹脂被覆層8を、前述した柔軟性に富む材料(軟質材料、弾性材料)で構成し、ガイドワイヤ1の基端側に位置する樹脂被覆層9を、前述した摩擦を低減し得る材料で構成するのが好ましい。これにより、摺動性(操作性)の向上と安全性の向上の両立を図ることができからである。この場合の具体例としては、樹脂被覆層8をポリウレタンで構成し、樹脂被覆層9をフッ素系樹脂(PTFE、ETFE等)で構成する場合が挙げられる。
また、樹脂被覆層8は、第1ワイヤ2の先端を露出することなく覆っており、しかも、樹脂被覆層8の先端は、丸みを帯びた形状であるのが好ましい。これにより、ガイドワイヤ1を血管等の体腔に挿入する際、その内壁の損傷をより有効に防止し、安全性を高めることができる。
樹脂被覆層8中には、造影性を有する材料(前記X線不透過材料等)によるフィラー(粒子)が分散され、これにより造影部を構成するようにしてもよい。
また、ガイドワイヤ1の少なくとも先端部の外面には、親水性材料がコーティングされているのが好ましい。本実施形態では、ガイドワイヤ1の先端からテーパ部16の基端付近に至るまでの領域におけるガイドワイヤ1の外周面に、親水性材料がコーティングされている。これにより、親水性材料が湿潤して潤滑性を生じ、ガイドワイヤ1の摩擦(摺動抵抗)が低減し、摺動性が向上する。従って、ガイドワイヤ1の操作性が向上する。
また、親水性材料は、樹脂被覆層8の外表面の一部または外表面の全面のみに形成されていてもよい。なお、親水性材料の具体例については、前記と同様である。
図4および図5は、それぞれ、本発明のガイドワイヤ1をPTCA術に用いた場合における使用状態を示す図である。
図4および図5中、符号40は大動脈弓、符号50は心臓の右冠状動脈、符号60は右冠状動脈開口部、符号70は血管狭窄部(病変部)である。また、符号30は大腿動脈からガイドワイヤ1を確実に右冠状動脈に導くためのガイディングカテーテル、符号20はその先端部分に拡張・収縮自在なバルーン201を有する狭窄部拡張用のバルーンカテーテルである。以下の操作は、X線透視下で行われる。
図4に示すように、ガイドワイヤ1の先端をガイディングカテーテル30の先端から突出させ、右冠状動脈開口部60から右冠状動脈50内に挿入する。さらに、ガイドワイヤ1を進め、先端から右冠状動脈50内に挿入し、先端が血管狭窄部70を超えた位置で停止する。これにより、バルーンカテーテル20の通路が確保される。なお、このとき、ガイドワイヤ1の接合部14(金属被覆層6)は、大動脈弓40の下行大動脈側(生体内)に位置している。
次に、図5に示すように、ガイドワイヤ1の基端側から挿通されたバルーンカテーテル20の先端をガイディングカテーテル30の先端から突出させ、さらにガイドワイヤ1に沿って進め、右冠状動脈開口部60から右冠状動脈50内に挿入し、バルーン201が血管狭窄部70の位置に到達したところで停止する。
次に、バルーンカテーテル20の基端側からバルーン拡張用の流体を注入して、バルーン201を拡張させ、血管狭窄部70を拡張する。このようにすることによって、血管狭窄部70の血管に付着堆積しているコレステロール等の堆積物は物理的に押し広げられ、血流阻害が解消できる。
以上、本発明のガイドワイヤを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、ガイドワイヤを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明のガイドワイヤの用途は、上述したPTCA術において使用される場合に限られず、例えば血管造影や経内視鏡手技などに使用される。
本発明のガイドワイヤの実施形態を示す縦断面図である。 本発明のガイドワイヤにおけるワイヤ本体の接合部付近を拡大して示す縦断面図である。 本発明のガイドワイヤの他の実施形態を示す縦断面図である。 本発明のガイドワイヤの使用例を説明するための模式図である。 本発明のガイドワイヤの使用例を説明するための模式図である。
符号の説明
1 ガイドワイヤ
10 ワイヤ本体
2 第1ワイヤ
3 第2ワイヤ
4 コイル
6 金属被覆層
61 テーパ状部分
8、9 樹脂被覆層
11、12、13 固定材料
14 接合部(溶接部)
15 外径漸減部
16 テーパ部
20 バルーンカテーテル
201 バルーン
30 ガイディングカテーテル
40 大動脈弓
50 右冠状動脈
60 右冠状動脈開口部
70 血管狭窄部

Claims (6)

  1. 先端側に配置された線状の第1ワイヤと、前記第1ワイヤの基端側に配置された線状の第2ワイヤとを備え、前記第1ワイヤの基端と前記第2ワイヤの先端とを溶接により接合してなるワイヤ本体を有し、
    前記第1ワイヤの基端部は、長手方向に沿って外径がほぼ一定であり、第2ワイヤの先端部は、その先端から基端方向に向かって外径が漸増するテーパ部で構成されており、前記第1ワイヤの基端の外径と前記第2ワイヤの先端の外径が同一であり、
    前記第1ワイヤと前記第2ワイヤの接合面の外周部には、前記第1ワイヤの基端部外周面と前記テーパ部の外周面との角度の差を緩和する金属被覆層が形成されていることを特徴とするガイドワイヤ。
  2. 先端側に配置された線状の第1ワイヤと、前記第1ワイヤの基端側に配置された線状の第2ワイヤとを備え、前記第1ワイヤの基端と前記第2ワイヤの先端とを溶接により接合してなるワイヤ本体を有し、
    前記第1ワイヤの基端部は、長手方向に沿って外径がほぼ一定であり、第2ワイヤの先端部は、その先端から基端方向に向かって外径が漸増するテーパ部で構成されており、前記第1ワイヤの基端の外径と前記第2ワイヤの先端の外径が同一であり、
    前記第1ワイヤと前記第2ワイヤの接合面の外周部には、その外径が基端方向に向かって漸増するテーパ状部分を有し、かつ当該テーパ状部分のテーパ角度が前記テーパ部のテーパ角度より小さい金属被覆層が形成されていることを特徴とするガイドワイヤ。
  3. 前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとは、同一または同種の金属材料で構成されている請求項1または2に記載のガイドワイヤ。
  4. 前記第1ワイヤおよび前記第2ワイヤは、それぞれ、超弾性合金で構成されている請求項3に記載のガイドワイヤ。
  5. 前記金属被覆層は、前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとの溶接により生じた溶融金属の固化物に機械加工を施して得られたものである請求項1ないし4のいずれかに記載のガイドワイヤ。
  6. 前記金属被覆層の平均厚さは、1〜100μmである請求項1ないし5のいずれかに記載のガイドワイヤ。
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