JP2018079246A - ガイドワイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】コイルが配置された湾曲部の柔軟性および復元性を維持することができるとともに、押し込み性およびトルク伝達性を維持することができるガイドワイヤを提供すること。【解決手段】ガイドワイヤ1は、可撓性を有するとともに長手方向の軸が湾曲した湾曲部25を先端部に有する長尺のワイヤ本体10と、素線411が螺旋状に巻回されて形成されたコイル4であってワイヤ本体10のうちの少なくとも湾曲部25の外周に配置され湾曲部25を覆うコイル4と、を備える。湾曲部25の内側に配置された素線411の横断面における軸11方向の長さD11は、湾曲部25の外側に配置された素線411の横断面における軸11方向の長さD12よりも短い。【選択図】図2

Description

本発明は、ガイドワイヤに関し、特に血管や胆管のような生体管腔内にカテーテルを導入する際に用いられるガイドワイヤに関する。
ガイドワイヤは、例えばPTCA(Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty:経皮的冠状動脈血管形成術)のような、外科的手術が困難な部位の治療、または人体への低侵襲を目的とした治療や、心臓血管造影などの検査に用いられるカテーテルを誘導するために使用される。PTCAに用いられるガイドワイヤは、ガイドワイヤの先端をバルーンカテーテルの先端より突出させた状態で、バルーンカテーテルと共に目的部位である冠状動脈の狭窄部付近まで挿入され、バルーンカテーテルの先端部を血管狭窄部付近まで誘導する。
また、PTA(Percutaneous Transluminal Angioplasty)の場合においても、フェモラール、イリアック、リーナル、シャントなどの末梢血管の狭窄・閉塞部位を再開通させるために、PTCAと同じように、ガイドワイヤは、バルーンカテーテルを狭窄部まで誘導する。
さらに、ガイドワイヤは、胆管や膵管の病変部治療において、例えば次のような方法において、胆管、膵管病変部付近まで各治療デバイスを誘導するために使用される。
1.ERCP(endoscopic retrograde cholangiopancreatography)
内視鏡を十二指腸の下行部まで挿入し、その内視鏡でVator乳頭を正面に見ながら、造影カニューレを胆管、膵管に挿入し、造影剤を注入しX線撮影する方法。
2.EST(endoscopic sphincterotomy)
十二指腸乳頭開口部に切開用のパピロトームを挿入し、高周波で乳頭括約筋を切開する方法。
3.EPBD(endoscopic papillary balloon dilation)
内視鏡を経由して乳頭をバルーンで拡張し、胆管胆石を廃除する方法。
PTCAを必要とする血管は、複雑に湾曲している。そのため、バルーンカテーテルを血管に挿入する際に用いるガイドワイヤには、適度の曲げに対する柔軟性と復元性、基端部における操作を先端側に伝達するための押し込み性およびトルク伝達性、さらには耐キンク性(耐折れ曲がり性)等が要求される。
また、ガイドワイヤは、所望の形状に変形(リシェイプ:形状付け)されて用いられることがある。すなわち、術者は、誘導するカテーテル等の先端部を血管の形状に対応させたり、分岐した血管に円滑に誘導したりするために、ガイドワイヤの先端部を予め所望の形状に曲げて使用することがある。このように、ガイドワイヤの先端部を所望の形状に曲げることは、例えばリシェイプや予備成形などと呼ばれる。
ここで、特許文献1には、コアシャフトと、コアシャフトの少なくとも先端部を巻回するコイル素線から形成されたコイル体と、を有するガイドワイヤが開示されている。特許文献1に記載されたコイル体は、基端から先端方向に向かって直線状態を有している。この直線状態の先端側に、屈曲部が設けられている。屈曲部内のコアシャフトは、屈曲部と同じ屈曲角度を有している。つまり、特許文献1に記載されたガイドワイヤでは、コアシャフトおよびコイル体は、予め屈曲された屈曲部を有している。また、屈曲部内のコイル体とコアシャフトとは、合成樹脂やロウ材などが用いられた固着部材により互いに固着されている。
特開2012−34967号公報
しかし、特許文献1に記載されたガイドワイヤにおいては、コイル体の屈曲形状を安定化させ、血管選択性を高めることができる一方で、屈曲部内のコイル体とコアシャフトとが固着部材により互いに固着されているため、コイル体が設けられた部分の柔軟性が低下するという問題がある。柔軟性が低下すると、復元性が低下するおそれがある。すなわち、ガイドワイヤが例えばガイディングカテーテルなどに挿入されたときに、屈曲部において塑性変形が生ずるおそれがある。そうすると、ガイドワイヤの先端部がガイディングカテーテルを通過した後に、屈曲部の形状が復元しないおそれがある。また、屈曲部内のコイル体とコアシャフトとが固着部材により互いに固着されているため、ガイドワイヤが生体管腔内に挿入されたときにコイル体に求められる押し込み性およびトルク伝達性が低下するという問題がある。
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、コイルが配置された湾曲部の柔軟性および復元性を維持することができるとともに、押し込み性およびトルク伝達性を維持することができるガイドワイヤを提供することを目的とする。
前記課題は、本発明によれば、可撓性を有するとともに長手方向の軸が湾曲した湾曲部を先端部に有する長尺のワイヤ本体と、素線が螺旋状に巻回されて形成されたコイルであって前記ワイヤ本体のうちの少なくとも前記湾曲部の外周に配置され前記湾曲部を覆うコイルと、を備え、前記湾曲部の内側に配置された前記素線の横断面における前記軸方向の長さは、前記湾曲部の外側に配置された前記素線の前記横断面における前記軸方向の長さよりも短いことを特徴とするガイドワイヤにより解決される。
前記構成によれば、長尺のワイヤ本体は、可撓性を有するとともに長手方向の軸が湾曲した湾曲部を先端部に有する。ワイヤ本体の先端部に設けられた湾曲部の外周には、コイルが配置されている。コイルは、素線が螺旋状に巻回されて形成されており、湾曲部を覆っている。湾曲部の内側に配置されたコイルの素線の横断面におけるワイヤ本体の軸方向の長さは、湾曲部の外側に配置されたコイルの素線の横断面におけるワイヤ本体の軸方向の長さよりも短い。これにより、コイルは、力学的負荷が抑えられた自然状態において湾曲した形状を維持することができる。コイルおよびワイヤ本体が互いに固着されているわけではないため、コイルおよびワイヤ本体が湾曲部において固着部材により互いに固着された場合と比較すると、コイルの柔軟性が損なわれるが抑えられる。そのため、コイルが配置された湾曲部の柔軟性が維持される。
また、湾曲部の柔軟性が維持されるため、ガイドワイヤがガイディングカテーテルに挿入された場合であっても、湾曲部において塑性変形が生ずることが抑えられる。そのため、ガイドワイヤの先端部がガイディングカテーテルを通過すると、コイルは、力学的負荷が抑えられた自然状態に戻る。そのため、湾曲した形状が安定的に維持されるとともに、湾曲部の復元性が維持される。
また、このような柔軟性を維持することができるコイルがガイドワイヤの先端部に設けられているため、ガイドワイヤの先端部において不本意な変形(曲げ)が生ずることが抑えられ、ガイドワイヤは生体管腔内において容易かつ確実に進むことができる。そのため、ガイドワイヤの基端側において与えられた押し込み力およびトルクは、ガイドワイヤの先端側に確実に伝達される。すなわち、ガイドワイヤの押し込み性およびトルク伝達性が維持される。また、血管の屈曲部や狭窄部における通過性や、血管の分岐部における血管選択性が向上する。さらに、不本意な変形が生ずることが抑えられ、耐キンク性が維持される。
好ましくは、前記湾曲部の内側に配置された前記素線の前記横断面における前記軸方向の長さは、前記湾曲部の内側に配置された前記素線の前記横断面における前記軸方向に対して垂直な方向の長さ以下であることを特徴とする。
前記構成によれば、湾曲部の内側に配置されたコイルの素線の横断面の形状は、円だけには限定されず、例えば楕円や長方形などであってもよい。これにより、コイルの素線の形状や加工の自由度が向上する。
好ましくは、前記湾曲部の内側に配置された前記素線の前記横断面の形状は、楕円であることを特徴とする。
前記構成によれば、湾曲部の内側に配置されたコイルの素線の横断面の形状が楕円であるため、湾曲部の内側に配置されたコイルにおいて、滑らかな表面が実現される。これにより、湾曲部の内側に配置されたコイルが例えば血管壁やカテーテルなどに引っ掛かることが抑えられる。
好ましくは、前記湾曲部の内側に配置された前記素線の前記横断面の形状は、円であることを特徴とする。
前記構成によれば、湾曲部の内側に配置されたコイルの素線の横断面の形状が円であるため、湾曲部の内側に配置されたコイルにおいて、滑らかな表面が実現される。これにより、湾曲部の内側に配置されたコイルが例えば血管壁やカテーテルなどに引っ掛かることが抑えられる。
好ましくは、前記湾曲部の内側および前記湾曲部の外側に配置された前記素線の前記横断面の形状は、楕円であることを特徴とする。
前記構成によれば、湾曲部の内側および湾曲部の外側に配置されたコイルの素線の横断面の形状が楕円であるため、コイルの素線の全体にわたる横断面の形状を楕円に形成することが可能である。これにより、コイルを容易に製造することが可能である。例えば、楕円の短軸方向が、湾曲部の内側に配置された素線の横断面におけるワイヤ本体の軸方向に沿っている。一方で、楕円の長軸方向が、湾曲部の外側に配置された素線の横断面におけるワイヤ本体の軸方向に沿っている。これによれば、湾曲部の内側に配置されたコイルの素線の横断面におけるワイヤ本体の軸方向の長さは、湾曲部の外側に配置されたコイルの素線の横断面におけるワイヤ本体の軸方向の長さよりも短くなる。このような配置は、例えばコイルの素線を素線の軸を中心として捻ることにより実現可能である。そのため、コイルを湾曲部の外周に容易に配置することが可能である。
好ましくは、前記湾曲部の内側および前記湾曲部の外側に配置された前記素線の前記横断面の形状は、円であることを特徴とする。
前記構成によれば、湾曲部の内側および湾曲部の外側に配置されたコイルの素線の横断面の形状が円であるため、コイルの素線の全体にわたる横断面の形状を円に形成することが可能である。これにより、コイルを容易に製造することが可能である。例えば、湾曲部の内側に配置された素線の直径は、湾曲部の外側に配置された素線の直径よりも短い。これによれば、湾曲部の内側に配置されたコイルの素線の横断面におけるワイヤ本体の軸方向の長さは、湾曲部の外側に配置されたコイルの素線の横断面におけるワイヤ本体の軸方向の長さよりも短くなる。このような配置は、素線のうちで直径が相対的に短い部分が湾曲部の内側に配置され、素線のうちで直径が相対的に長い部分が湾曲部の外側に配置されることにより実現可能である。
好ましくは、前記湾曲部の内側および前記湾曲部の外側のいずれか一方に配置された前記素線の前記横断面の形状は、楕円であり、前記湾曲部の内側および前記湾曲部の外側のいずれか他方に配置された前記素線の前記横断面の形状は、円であることを特徴とする。
前記構成によれば、湾曲部の内側および湾曲部の外側に配置されたコイルにおいて、滑らかな表面が実現されるとともに、コイルの素線の形状や加工の自由度が向上する。
好ましくは、前記湾曲部の内側において隣り合う前記素線同士の間の距離は、前記湾曲部の外側において隣り合う前記素線同士の間の距離以上であることを特徴とする。
前記構成によれば、湾曲部の内側において隣り合う素線同士の間の距離が湾曲部の外側において隣り合う素線同士の間の距離以上であるため、ガイドワイヤの先端部は、湾曲部の内側の方向に曲がりやすい。すなわち、ガイドワイヤの先端部は、湾曲部の内側の領域が狭くなるように曲がりやすい。そのため、ガイドワイヤが生体管腔内に挿入されたときに、湾曲部の内側の領域が広がることが抑えられる。これにより、ガイドワイヤの押し込み性およびトルク伝達性が向上する。
好ましくは、前記湾曲部の外側において隣り合う前記素線同士は、互いに接触していることを特徴とする。
前記構成によれば、湾曲部の外側において隣り合う素線同士は、互いに接触している。すなわち、外力が付与されていない状態において、湾曲部の外側において隣り合う素線同士は、隙間なく密に配置されている。そのため、例えば治療デバイスや血管壁などが、隣り合う素線同士の間に噛み込んだり、引っ掛かったりすることが抑えられる。これにより、コイルが伸びたり切れたりして破損することが抑えられる。また、湾曲部の外側において隣り合う素線同士が互いに接触しているため、湾曲部の外側に配置された素線同士の距離が広がることが抑えられ、ガイドワイヤの押し込み性が向上する。
好ましくは、前記湾曲部の内側において隣り合う前記素線同士は、互いに接触していることを特徴とする。
前記構成によれば、湾曲部の内側に配置された素線同士の距離が広がることが抑えられ、ガイドワイヤの押し込み性が向上する。
本発明によれば、コイルが配置された湾曲部の柔軟性および復元性を維持することができるとともに、押し込み性およびトルク伝達性を維持することができるガイドワイヤを提供することができる。
本発明の実施形態に係るガイドワイヤを表す断面図である。 本実施形態の第1コイル部を拡大して表した拡大図である。 素線の横断面の形状の第1変形例を表す断面図である。 素線の横断面の形状の第2変形例を表す断面図である。 素線の横断面の形状の第3変形例を表す断面図である。 本実施形態の第1変形例に係るガイドワイヤを表す断面図である。 本実施形態の第2変形例に係るガイドワイヤを表す断面図である。 本実施形態の第3変形例に係るガイドワイヤを表す断面図である。 本実施形態の第4変形例に係るガイドワイヤを表す断面図である。 本実施形態の第5変形例に係るガイドワイヤを表す断面図である。 本実施形態の第6変形例に係るガイドワイヤを表す断面図である。
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施形態に係るガイドワイヤを表す断面図である。
図2は、本実施形態の第1コイル部を拡大して表した拡大図である。
なお、説明の便宜上、図1および図2中の右側を「基端」、左側を「先端」という。また、図1および図2では、理解を容易にするため、ガイドワイヤの長さ方向が短縮され、ガイドワイヤの太さ方向が誇張して模式的に図示されている。つまり、長さ方向と太さ方向の比率は、実際とは異なる。また、図2では、樹脂被覆層が省略されている。これらは、図7〜図10においても同様である。
図1に示すガイドワイヤ1は、カテーテル(内視鏡も含む)の管腔に挿入して用いられるカテーテル用ガイドワイヤであって、ワイヤ本体10と、ワイヤ本体10の先端部に設置された螺旋状のコイル4と、を備える。ガイドワイヤ1は、血管の屈曲部や狭窄部における通過性の向上や、血管の分岐部における血管選択性の向上を目的として、冠動脈貫通用カテーテルなどと併用されてもよい。ワイヤ本体10は、先端側に配置された第1ワイヤ2と、第1ワイヤ2の基端側に配置された第2ワイヤ3と、を有する。第1ワイヤ2および第2ワイヤ3は、好ましくは溶接により互いに接合(連結)されている。ガイドワイヤ1の全長は、特に限定されないが、好ましくは例えば約200〜5000mm程度である。
ワイヤ本体10は、可撓性を有するとともに、長手方向の軸11が湾曲した湾曲部25を有する長尺のワイヤである。湾曲部25は、ワイヤ本体10の先端部に設けられている。すなわち、湾曲部25は、ワイヤ本体10の先端側に配置された第1ワイヤ2の先端部に設けられている。図1に表したように、湾曲部25の外径D1は、例えば約1〜6mm程度である。また、湾曲部25の最先端と、ワイヤ本体10の軸11が直線状に伸びた直線部と湾曲部25との境界部と、の間の距離D2は、例えば約0.5〜6mm程度である。本願明細書において「最先端」とは、ガイドワイヤ1やワイヤ本体10の先端部のうちで、基端側から先端側に向かってみたときに最も先端側に位置する部分、あるいはガイドワイヤ1が血管等に挿入された際に最も先行する部分をいう。湾曲部25の長さは、特に限定されないが、20〜100mm程度であることが好ましく、30〜80mm程度であることがより好ましく、30〜60mm程度であることがさらに好ましい。
第1ワイヤ2は、柔軟性または弾性を有する線材で形成されている。第1ワイヤ2の長さは、特に限定されないが、好ましくは例えば約20〜1000mm程度である。本実施形態では、第1ワイヤ2は、第1径一定部21と、テーパ部22と、第2径一定部23と、を有する。第1径一定部21の外径(直径)は、ほぼ一定である。第1径一定部21は、先端部において湾曲部25を有する。すなわち、湾曲部25は、第1径一定部21の先端部に設けられている。テーパ部22は、第1径一定部21よりも基端側に位置している。テーパ部22の外径(直径)は、先端方向に向かって漸減している。第2径一定部23は、テーパ部22よりも基端側に位置している。第2径一定部23の外径(直径)は、第1径一定部21の外径よりも大きく、ほぼ一定である。第1径一定部21、テーパ部22、および第2径一定部23は、第1ワイヤ2の先端側から基端側に向かってこの順に配置されている。なお、第1径一定部21は、外径が相対的に大きい部分と、外径が相対的に小さい部分と、を有していてもよい。また、第1径一定部21は、外径が漸減あるいは漸増するテーパ部や、平板状に形成された平板部などを有していてもよい。この詳細については、後述する。
第1ワイヤ2では、テーパ部22を介して第1径一定部21と第2径一定部23とが形成されていることにより、第1ワイヤ2の剛性(曲げ剛性、ねじり剛性)は、先端方向に向かって徐々に減少する。その結果、ガイドワイヤ1は、先端部において良好な柔軟性を得て、血管等への追従性、安全性を向上させると共に、折れ曲がり等を防止することができる。
テーパ部22のテーパ角度(外径の減少率)は、ワイヤ本体10の長手方向に沿って一定でもよく、長手方向に沿って変化してもよい。例えば、テーパ角度が比較的大きい箇所と、テーパ角度が比較的小さい箇所と、が複数回交互に繰り返して形成されていてもよい。また、このようなテーパ部は、ワイヤ本体10の長手方向に沿って複数箇所に設けられていてもよい。
第1ワイヤ2の基端(第2径一定部23の基端)には、第2ワイヤ3の先端が好ましくは溶接により接続(連結)されている。つまり、第2ワイヤ3は、接合部(接合面)6において第1ワイヤ2に接続(連結)されている。第2ワイヤ3は、柔軟性または弾性を有する線材で形成されている。
第1ワイヤ2と第2ワイヤ3との溶接方法としては、特に限定されず、例えば、摩擦圧接、レーザを用いたスポット溶接、バットシーム溶接やアプセット溶接等の突き合わせ抵抗溶接などが挙げられる。これらの中において、突き合わせ抵抗溶接は、比較的簡単で高い接合強度が得られることから特に好ましい。
本実施形態では、第2ワイヤ3の外径(直径)は、長手方向に沿ってほぼ一定である。
第2ワイヤ3の外径は、第1ワイヤ2の第2径一定部23の外径とほぼ等しい。これにより、第1ワイヤ2の第2径一定部23の基端と、第2ワイヤ3の先端と、が接合された際、接合部6の外周に第1ワイヤ2と第2ワイヤ3との間の外径差による段差は、ほとんど生じない。これにより、第1ワイヤ2と第2ワイヤ3との接合部6において、連続した面が構成される。
第2ワイヤ3は、第1ワイヤ2の第1径一定部21の外径よりも大きい外径を有する。第2ワイヤ3の外径は、例えば、第1ワイヤ2の第1径一定部21の外径の1.02〜5倍程度である。
第2ワイヤ3の長さは、特に限定されないが、20〜4800mm程度であることが好ましく、1400〜3000mm程度であることがより好ましい。
第1ワイヤ2の平均外径は、第2ワイヤ3の平均外径よりも小さい。これにより、ガイドワイヤ1は、先端側に配置された第1ワイヤ2上では柔軟性に富んだ性質を有し、基端側に配置された第2ワイヤ3上では比較的剛性が高い性質を有する。そのため、ガイドワイヤ1は、先端部の柔軟性と、優れた操作性(押し込み性、トルク伝達性等)と、を両立することができる。
第1ワイヤ2および第2ワイヤ3の構成材料としては、特に限定されず、それぞれ、例えば、ステンレス鋼(例えば、SUS304、SUS303、SUS316、SUS316L、SUS316J1、SUS316J1L、SUS405、SUS430、SUS434、SUS444、SUS429、SUS430F、SUS302等SUSの全品種)、ピアノ線、コバルト系合金、擬弾性を示す合金(超弾性合金を含む)などの各種金属材料が挙げられる。そのなかでも特に、第1ワイヤ2および第2ワイヤ3の構成材料は、擬弾性を示す合金(超弾性合金を含む)であることが好ましく、より好ましくは超弾性合金である。
超弾性合金は、比較的柔軟であるとともに、復元性を有し、曲がり癖が付き難い性質を有する。そのため、第1ワイヤ2の材料として超弾性合金が使用されることにより、ガイドワイヤ1は、先端側の部分に十分な柔軟性と曲げに対する復元性を得ることができる。また、複雑に湾曲・屈曲する血管等に対する追従性が向上し、ガイドワイヤ1は、より優れた操作性を得ることができる。第1ワイヤ2が湾曲・屈曲変形を繰り返しても、第1ワイヤ2に備わる復元性により曲がり癖が付かないので、ガイドワイヤ1の使用中に第1ワイヤ2に曲がり癖が付くことによる操作性の低下が防止される。
擬弾性合金には、引張りによる応力−ひずみ曲線のいずれの形状も含まれ、As、Af、Ms、Mf等の変態点が顕著に測定できるものも、できないものも含まれる。また、擬弾性合金には、応力により大きく変形(歪)し、応力の除去により元の形状にほぼ戻るものは全て含まれる。
超弾性合金の好ましい組成としては、49〜52原子%NiのNi−Ti合金等のNi−Ti系合金、38.5〜41.5重量%ZnのCu−Zn合金、1〜10重量%XのCu−Zn−X合金(Xは、Be、Si、Sn、Al、Gaのうちの少なくとも1種)、36〜38原子%AlのNi−Al合金等が挙げられる。このなかでも特に好ましいものは、上記のNi−Ti系合金である。なお、Ni−Ti系合金に代表される超弾性合金は、後述する樹脂被覆層8、9との密着性にも優れている。
コバルト系合金は、ワイヤとして使用されたときに高い弾性率を有し、かつ適度な弾性限度を有している。このため、コバルト系合金で構成されたワイヤは、トルク伝達性に優れ、座屈等の問題が極めて生じ難い。コバルト系合金は、構成元素としてCoを含むものであれば、いかなるものであってもよいが、Coを主成分として含むもの(Co基合金:合金を構成する元素中で、Coの含有率が重量比で最も多い合金)が好ましく、Co−Ni−Cr系合金であることがより好ましい。このような組成の合金が用いられることにより、前述した効果がさらに顕著なものとなる。また、このような組成の合金は、高い弾性係数を有し、かつ高弾性限度としても冷間成形可能で、高弾性限度を有する。これにより、ワイヤの座屈の発生が十分に防止されつつ、ワイヤの小径化が可能である。また、ワイヤは、所定部位の挿入に対して十分な柔軟性と剛性とを備えることができる。
Co−Ni−Cr系合金は、例えば、28〜50wt%Co−10〜30wt%Ni−10〜30wt%Cr−残部Feの組成からなる合金や、その一部が他の元素(置換元素)で置換された合金等であることが好ましい。置換元素の含有は、その種類に応じた固有の効果を発揮する。例えば、置換元素として、Ti、Nb、Ta、Be、Moから選択される少なくとも1種が含まれることにより、第2ワイヤ3の強度のさらなる向上等が図られる。なお、Co、Ni、Cr以外の元素が含まれる場合、置換元素全体の含有量は30wt%以下であることが好ましい。
また、Co、Ni、Crの一部は、他の元素で置換されてもよい。例えば、Niの一部がMnで置換されてもよい。これにより、例えば、加工性のさらなる改善等が図られる。また、Crの一部がMoおよび/またはWで置換されてもよい。これにより、弾性限度のさらなる改善等が図られる。コバルト系合金は、Co−Ni−Cr系合金の中でも、Moを含む、Co−Ni−Cr−Mo系合金であることが特に好ましい。
Co−Ni−Cr系合金の具体的な組成としては、例えば、(1)40wt%Co−22wt%Ni−25wt%Cr−2wt%Mn−0.17wt%C−0.03wt%Be−残部Fe、(2)40wt%Co−15wt%Ni−20wt%Cr−2wt%Mn−7wt%Mo−0.15wt%C−0.03wt%Be−残部Fe、(3)42wt%Co−13wt%Ni−20wt%Cr−1.6wt%Mn−2wt%Mo−2.8wt%W−0.2wt%C−0.04wt%Be−残部Fe、(4)45wt%Co−21wt%Ni−18wt%Cr−1wt%Mn−4wt%Mo−1wt%Ti−0.02wt%C−0.3wt%Be−残部Fe、(5)34wt%Co−21wt%Ni−14wt%Cr−0.5wt%Mn−6wt%Mo−2.5wt%Nb−0.5wt%Ta−残部Fe等が挙げられる。本発明でいうCo−Ni−Cr系合金とは、これらの合金を包含する概念である。
第1ワイヤ2と第2ワイヤ3とは、互いに異なる材料で構成されていてもよく、同一または同種の金属材料で構成されていてもよい。ここで、「同種」とは、合金において主とする金属材料が等しいことをいう。これにより、接合部6の接合強度がより高くなり、接合部6の外径が小さくても、第1ワイヤ2と第2ワイヤ3との離脱等が生ずることが抑えられ、優れたトルク伝達性等が発揮される。
この場合、第1ワイヤ2および第2ワイヤ3は、それぞれ、前述した超弾性合金で構成されていることが好ましく、その中でもNi−Ti系合金で構成されていることがより好ましい。これにより、ワイヤ本体10の先端側において優れた柔軟性が確保されるとともに、ワイヤ本体10の基端側の部分では、十分な剛性(曲げ剛性、ねじり剛性)が確保される。その結果、ガイドワイヤ1は、優れた押し込み性やトルク伝達性を得て良好な操作性を確保しつつ、先端側においては良好な柔軟性、復元性を得て血管、胆管、膵管への追従性、安全性を向上させることができる。
第1ワイヤ2と第2ワイヤ3とが互いに異なる材料で構成される場合、第1ワイヤ2は、前述した超弾性合金で構成されていることが好ましく、特にNi−Ti系合金で構成されていることが好ましい。第2ワイヤ3は、前述したステンレス鋼で構成されていることが好ましい。
また、第1ワイヤ2と第2ワイヤ3とがそれぞれ、金属組成や物理的特性の異なる擬弾性合金同士、あるいはステンレス鋼同士で構成されていてもよい。
なお、上記では、第1ワイヤ2と第2ワイヤ3とが接合された態様を例に挙げて説明したが、ワイヤ本体10は、接合部のない一部材のワイヤであってもよい。その場合のワイヤの構成材料としては、前述と同様の材料が挙げられる。ワイヤの構成材料は、特にステンレス鋼、コバルト系合金、擬弾性合金であることが好ましい。
ワイヤ本体10の先端部の外周には、ワイヤ本体10の先端部を覆うようにコイル4が配置されている。コイル4の設置により、カテーテルの内壁や生体表面に対するワイヤ本体10の表面の接触面積が少なくなる。これにより、摺動抵抗が低減される。その結果、ガイドワイヤ1の操作性がより向上する。
コイル4は、先端側に位置する第1コイル部(先端側コイル部)41と、第1コイル部41の基端側に位置する第2コイル部(基端側コイル部)42と、を有する。
第1コイル部41は、素線(細線)411が螺旋状に巻回された部材であり、第1ワイヤ2の少なくとも先端側の部分を覆うように設置されている。すなわち、第1ワイヤ2の先端部には湾曲部25が設けられているため、第1コイル部41は、ワイヤ本体10のうちの少なくとも湾曲部25の外周に配置され、湾曲部25を覆っている。図1および図2に表したガイドワイヤ1では、第1ワイヤ2の先端側の部分は、第1コイル部41の内側のほぼ中心部に挿通されている。また、第1ワイヤ2の先端側の部分は、第1コイル部41の内面と非接触で挿通されている。すなわち、第1コイル部41は、第1ワイヤ2から離れた状態(第1ワイヤ2と非接触の状態)で第1ワイヤ2の少なくとも先端側の部分を覆っている。
第2コイル部42は、素線(細線)421が螺旋状に巻回された部材であり、第1コイル部41よりも基端側の部分であって第1ワイヤ2の先端側の部分を覆うように設置されている。具体的には、第2コイル部42は、第1径一定部21のうちで湾曲部25よりも基端側の部分を覆うように設置されている。図1および図2に表したガイドワイヤ1では、第1径一定部21のうちで湾曲部25よりも基端側の部分は、第2コイル部42の内側のほぼ中心部に挿通されている。また、第1ワイヤ2の第1径一定部21のうちで湾曲部25よりも基端側の部分は、第2コイル部42の内面と非接触で挿通されている。すなわち、第2コイル部42は、第1ワイヤ2から離れた状態(第1ワイヤ2と非接触の状態)で第1径一定部21のうちの湾曲部25よりも基端側の部分を覆っている。
第1コイル部41と第2コイル部42との境界部43では、第1コイル部41の素線411と第2コイル部42の素線421とが半田で固定されていることが望ましい。なお、第1コイル部41の素線411と第2コイル部42の素線421とは、半田以外には、溶接により互いに接合されたり、接着剤により互いに固定されたりしてもよい。
また、第1コイル部41と第2コイル部42との境界部43では、第1コイル部41の素線411と第2コイル部42の素線421とが、互いの隙間に入り込むように(噛み合うように)配置されていることが好ましい。これにより、第1コイル部41と第2コイル部42との境界部43では、第1コイル部41と第2コイル部42とが互いに重なった部分が形成されるので、第1コイル部41および第2コイル部42の接合強度が十分に確保されるとともに、第2コイル部42から第1コイル部41への剛性の変化が緩やかになる。その結果、第1コイル部41と第2コイル部42との境界部43の前後におけるガイドワイヤ1の柔軟性が徐々に変化し、かつ応力集中が防止される。これにより、耐キンク性や安全性が向上する。
図1および図2に表したように、第1コイル部41において、湾曲部25の内側に配置された素線411の外径は、湾曲部25の外側に配置された素線411の外径よりも小さい。この場合において、境界部43およびその近傍における内側の素線411の外径と外側の素線411の外径との差は、湾曲部25の最先端およびその近傍における内側の素線411の外径と外側の素線411の外径との差よりも小さいことが好ましい。すなわち、境界部43およびその近傍における内側の素線411の外径は、湾曲部25の最先端およびその近傍における内側の素線411の外径よりも大きいことが好ましい。これにより、第1コイル部41と第2コイル部42との固定強度が向上する。また、湾曲部25の内側に配置された素線411の外径は、湾曲部25の最先端に向かって徐々に変化することが好ましく、例えば3回〜10回程度の巻回が行われた位置で最小になることが好ましい。
なお、上記では、コイル4として、第2コイル部42が第1コイル部41の基端側に設けられた実施形態を説明したが、コイル4として、第1コイル部41のみがワイヤ本体10の先端部に設置されていてもよい。
また、本実施形態の場合、素線411および素線421の横断面の形状は、それぞれ、円であるが、これだけには限定されない。素線411および素線421の少なくともいずれかの横断面の形状は、例えば楕円、四角形(特に長方形)等であってもよい。本願明細書において「素線の横断面」とは、素線の長手方向に延びる軸に対して垂直な平面で切断したときの切り口(切断面)をいう。なお、素線411の横断面の形状の詳細については、後述する。
また、図1に表したガイドワイヤ1の第2コイル部42では、外力を付与しない状態で、螺旋状に巻回された素線同士が隙間なく密に配置されているが、これと異なり、素線同士の間にやや隙間が空いていてもよい。第1コイル部41における素線同士の関係については、後述する。
第1コイル部41(素線411)および第2コイル部42(素線421)の構成材料は、金属材料、樹脂材料のいずれでもよい。但し、素線411および素線421のうちの少なくとも素線421は金属材料で構成されていることが好ましく、素線411および素線421の双方が金属材料で構成されていることがより好ましい。
素線411および素線421を構成する金属材料としては、それぞれ、第1ワイヤ2および第2ワイヤ3の構成材料で挙げた材料と同様のものが挙げられる。また、その他の金属として、例えば、コバルト系合金、金、白金、タングステン等の貴金属またはこれらを含む合金(例えば白金−イリジウム合金)等が挙げられる。特に、素線411および素線421が貴金属のようなX線不透過材料で構成された場合には、ガイドワイヤ1の先端部にX線造影性が得られる。これにより、術者は、X線透視下で先端部の位置を確認しつつガイドワイヤ1を生体内に挿入することができる。
また、第1コイル部41(素線411)と第2コイル部42(素線421)とが、互いに異なる材料で構成されていてもよい。その好ましい例としては、素線411がNi−Ti合金等の超弾性合金で構成され、素線421がステンレス鋼で構成される場合が挙げられる。この場合には、コイル4におけるトルク伝達性、押し込み性が確保されるとともにコイル4の先端側においてより柔軟性に富む性質が得られる。第1コイル部41および第2コイル部42が互いに異なる材料で構成される他の例としては、素線411がX線不透過材料で構成され、素線421がX線を比較的透過する材料(ステンレス鋼等)で構成される場合が挙げられる。
第1コイル部41(素線411)および第2コイル部42(素線421)が共にX線造影性を有さない場合には、別途X線造影性を有するマーカが設置されていてもよい。後述するように、樹脂被覆層8中にX線不透過材料によるフィラーを分散することは、その一例である。
図1に示すように、コイル4は、ワイヤ本体10に対し3箇所で固定されている。すなわち、第1コイル部41の末端部は、固定材料(固定部)51により第1ワイヤ2の末端に固定されている。本願明細書において「末端部」あるいは「末端」とは、最先端とは異なり、ワイヤ本体10の長手方向の軸11に沿ってみたときの終端をいう。本実施形態に係るガイドワイヤ1では、湾曲部25が設けられているため、末端部は、最先端よりも基端側に位置する。第2コイル部42の基端部は、固定材料(固定部)53により第1ワイヤ2の途中(第1径一定部21とテーパ部22の境界付近)に固定されている。境界部43は、固定材料(固定部)52により第1ワイヤ2の途中に固定されている。コイル4がこのような箇所でワイヤ本体10に固定されることにより、ガイドワイヤ1の先端部(コイル4が存在する部位)の柔軟性が損なわれることなく、第1コイル部41および第2コイル部42がそれぞれ確実に固定される。
固定材料51、52および53は、それぞれ、半田(ろう材)で構成されている。なお、固定材料51、52および53は、半田に限らず、接着剤でもよい。また、コイル4のワイヤ本体10に対する固定方法は、前記のような固定材料によるものに限らず、例えば、溶接でもよい。また、血管等の生体管腔の内壁の損傷を防止するために、固定材料51の先端面(末端面)は、丸みを帯びていることが好ましい。
図1に示すように、ワイヤ本体10は、外周面(外表面)の全部または一部を覆う被覆層として、樹脂被覆層8、9を有している。図1に表した実施形態では、樹脂被覆層8がコイル4の外周に設けられている。また、樹脂被覆層9が第1ワイヤ2の一部および第2ワイヤ3の外周に設けられている。特に図1に表したガイドワイヤ1では、樹脂被覆層8内に素線411および素線421の全部または一部が設けられている。
樹脂被覆層8、9は、種々の目的で設けられている。一例として、樹脂被覆層8、9は、ガイドワイヤ1の摩擦(摺動抵抗)を低減し、摺動性を向上させることによってガイドワイヤ1の操作性を向上させることがある。
ガイドワイヤ1の摩擦(摺動抵抗)の低減を図るためには、樹脂被覆層8、9は、以下に述べるような摩擦を低減し得る材料で構成されていることが好ましい。これにより、ガイドワイヤ1とともに用いられるカテーテルの内壁とガイドワイヤ1との摩擦抵抗(摺動抵抗)が低減されて摺動性が向上し、カテーテル内でのガイドワイヤ1の操作性がより良好になる。また、ガイドワイヤ1の摺動抵抗が低くなることで、ガイドワイヤ1がカテーテル内で移動および/または回転した際に、ガイドワイヤ1のキンク(折れ曲がり)やねじれ、特に接合部6付近におけるキンクやねじれがより確実に防止される。
このような摩擦を低減し得る材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(PET、PBT等)、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂(PTFE、ETFE等)、またはこれらの複合材料が挙げられる。
その中でも特に、フッ素系樹脂(またはこれを含む複合材料)が用いられた場合には、ガイドワイヤ1とカテーテルの内壁との摩擦抵抗(摺動抵抗)がより効果的に低減され、摺動性が向上し、カテーテル内でのガイドワイヤ1の操作性がより良好になる。また、これにより、ガイドワイヤ1がカテーテル内で移動および/または回転した際に、ガイドワイヤ1のキンク(折れ曲がり)やねじれ、特に溶接部付近におけるキンクやねじれがより確実に防止される。
また、フッ素系樹脂(またはこれを含む複合材料)が用いられた場合には、焼きつけ、吹きつけ等の方法により、樹脂材料が加熱された状態で、ワイヤ本体10への被覆が行われる。これにより、樹脂被覆層8、9は、特に優れた密着性を有する。
また、樹脂被覆層8、9の材料としてシリコーン樹脂(またはこれを含む複合材料)が用いられた場合には、樹脂被覆層8、9がコイル4やワイヤ本体10に被覆される際に、加熱されなくても、確実かつ強固に密着した樹脂被覆層8、9が形成される。すなわち、樹脂被覆層8、9の材料としてシリコーン樹脂(またはこれを含む複合材料)が用いられた場合には、反応硬化型の材料等を用いることが可能になるため、樹脂被覆層8、9は室温にて形成される。このように、室温にて樹脂被覆層8、9が形成されることにより、簡便にコーティングができるとともに、接合部6における第1ワイヤ2と第2ワイヤ3との接合強度が十分に維持された状態にてガイドワイヤ1の操作を行うことが可能になる。
また、他の一例として、樹脂被覆層8、9(特に先端側の樹脂被覆層8)は、ガイドワイヤ1が血管等に挿入される際の安全性の向上を目的として設けられる。この目的のためには、樹脂被覆層8、9は柔軟性に富む材料(軟質材料、弾性材料)で形成されていることが好ましい。
このような柔軟性に富む材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(PET、PBT等)、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、シリコーン樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー等の熱可塑性エラストマー、ラテックスゴム、シリコーンゴム等の各種ゴム材料、またはこれらのうちに2以上を組み合わせた複合材料が挙げられる。
特に、樹脂被覆層8、9の材料として前述した熱可塑性エラストマーや各種ゴム材料が用いられた場合には、ガイドワイヤ1の先端部の柔軟性がより向上する。そのため、血管等への挿入時に、血管内壁等が傷つけられることがより確実に防止され、安全性が極めて高くなる。
このような樹脂被覆層8、9は、それぞれ、2層以上の積層体でもよい。また、樹脂被覆層8と樹脂被覆層9とは、同一材料で形成されていても、互いに異なる材料で形成されていてもよい。例えば、ガイドワイヤ1の先端側に位置する樹脂被覆層8は、前述した柔軟性に富む材料(軟質材料、弾性材料)で形成される。また、ガイドワイヤ1の基端側に位置する樹脂被覆層9は、前述した摩擦を低減し得る材料で形成される。これにより、摺動性(操作性)の向上と安全性の向上の両立が図られる。
樹脂被覆層8、9の厚さは、特に限定されず、樹脂被覆層8、9の形成目的や構成材料、形成方法等を考慮して適宜設定される。通常は、樹脂被覆層8、9の厚さ(平均)は、共に1〜100μm程度であることが好ましく、1〜30μm程度であることがより好ましい。樹脂被覆層8、9の厚さが薄すぎると、樹脂被覆層8、9の形成目的が十分に発揮されないことがあり、また、樹脂被覆層8、9の剥離が生じるおそれがある。一方で、樹脂被覆層8、9の厚さが厚すぎると、ガイドワイヤ1の物理的特性に影響を与えるおそれがあり、また樹脂被覆層8、9の剥離が生じるおそれがある。
なお、本実施形態では、コイル4やワイヤ本体10の外周面(表面)に、樹脂被覆層8、9の密着性を向上するための処理(粗面加工、化学処理、熱処理等)が施されていたり、樹脂被覆層8、9の密着性を向上し得る中間層が設けられたりしていてもよい。
樹脂被覆層8は、コイル4の先端(固定材料51を含む)を露出することなく覆っており、しかも、樹脂被覆層8の先端は、丸みを帯びた形状であることが好ましい。これにより、ガイドワイヤ1が血管等の生体管腔内に挿入される際、生体管腔の内壁の損傷がより有効に防止され、安全性が高くなる。
また、樹脂被覆層8中には、造影性を有する材料(前記X線不透過材料等)によるフィラー(粒子)が分散されていてもよい。これにより、樹脂被覆層8に造影部が形成される。
ガイドワイヤ1の少なくとも先端部の外面には、親水性材料がコーティングされていることが好ましい。本実施形態では、ガイドワイヤ1の先端からテーパ部22の基端付近に至るまでの領域におけるガイドワイヤ1の外周面に、親水性材料がコーティングされている。これにより、親水性材料が湿潤して潤滑性を生じ、ガイドワイヤ1の摩擦(摺動抵抗)が低減され、摺動性が向上する。従って、ガイドワイヤ1の操作性が向上する。なお、樹脂被覆層8は、このような潤滑性を生ずるコーティング層として設けられていてもよい。
親水性材料としては、例えば、セルロース系高分子物質、ポリエチレンオキサイド系高分子物質、無水マレイン酸系高分子物質(例えば、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体のような無水マレイン酸共重合体)、アクリルアミド系高分子物質(例えば、ポリアクリルアミド、ポリグリシジルメタクリレート−ジメチルアクリルアミド(PGMA−DMAA)のブロック共重合体)、水溶性ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
このような親水性材料は、多くの場合、湿潤(吸水)により潤滑性を発揮し、ガイドワイヤ1とともに用いられるカテーテルの内壁とガイドワイヤ1との摩擦抵抗(摺動抵抗)を低減する。これにより、ガイドワイヤ1の摺動性が向上し、カテーテル内でのガイドワイヤ1の操作性がより良好になる。
本実施形態に係るガイドワイヤ1は、例えばPTCA(Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty:経皮的冠状動脈血管形成術)のような、外科的手術が困難な部位の治療、または人体への低侵襲を目的とした治療や、心臓血管造影などの検査に用いられるカテーテルを誘導するために使用される。PTCAを必要とする血管は、複雑に湾曲している。そのため、本実施形態に係るガイドワイヤ1のように、例えばバルーンカテーテルが血管に挿入される際に用いられるガイドワイヤには、適度の曲げに対する柔軟性と復元性、基端部における操作を先端側に伝達するための押し込み性およびトルク伝達性、さらには耐キンク性(耐折れ曲がり性)等が要求される。
これに対して、本実施形態に係るガイドワイヤ1において、ワイヤ本体10は、長手方向の軸11が湾曲した湾曲部25を先端部に有する。また、コイル4は、ワイヤ本体10のうちの少なくとも湾曲部25の外周に配置され、湾曲部25を覆っている。そして、図2に表したように、湾曲部25の内側に配置された素線411の横断面における軸11方向の長さD11は、湾曲部25の外側に配置された素線411の横断面における軸11方向の長さD12よりも短い。本願明細書において「軸方向の長さ」とは、軸に沿う方向の長さ、あるいは軸上の任意の点(接点)における接線の方向の長さをいう。
本実施形態では、長さD11および長さD12は、ワイヤ本体10を介して対向する素線411の中心同士を結ぶ線L2と、軸11と、の交点P1(接点)における接線L3の方向の長さである。図2に表した例では、素線411の横断面の形状が円であるため、湾曲部25の内側および外側に配置された素線411の横断面における軸11方向の長さD11、D12は、素線411の外径(直径)に相当する。
本実施形態によれば、湾曲部25の内側に配置された素線411の横断面における軸11方向の長さD11が、湾曲部25の外側に配置された素線411の横断面における軸11方向の長さD12よりも短いため、コイル4は、力学的負荷が抑えられた自然状態において湾曲した形状を維持することができる。コイル4およびワイヤ本体10が湾曲部25において互いに固着されているわけではないため、コイルおよびワイヤ本体が湾曲部において固着部材により互いに固着された場合と比較すると、コイル4の柔軟性が損なわれることが抑えられる。そのため、コイル4が配置された湾曲部25の柔軟性が維持される。
また、湾曲部25の柔軟性が維持されるため、ガイドワイヤ1がガイディングカテーテルに挿入された場合であっても、湾曲部25において塑性変形が生ずることが抑えられる。そのため、ガイドワイヤ1の先端部(コイル4が存在する部位)がガイディングカテーテルを通過すると、コイル4は、力学的負荷が抑えられた自然状態に戻る。そのため、湾曲した形状が安定的に維持されるとともに、湾曲部25の復元性が維持される。
また、このような柔軟性を維持することができるコイル4がガイドワイヤ1の先端部に設けられているため、ガイドワイヤ1の先端部において不本意な変形(曲げ)が生ずることが抑えられ、ガイドワイヤ1は生体管腔内において容易かつ確実に進むことができる。そのため、ガイドワイヤ1の基端側において与えられた押し込み力およびトルクは、ガイドワイヤ1の先端側に確実に伝達される。すなわち、ガイドワイヤ1の押し込み性およびトルク伝達性が維持される。また、血管の屈曲部や狭窄部における通過性や、血管の分岐部における血管選択性が向上する。さらに、不本意な変形が生ずることが抑えられ、耐キンク性が維持される。
また、湾曲部25の内側に配置された素線411の横断面の形状が円であるため、湾曲部25の内側に配置されたコイル4において、滑らかな表面が実現される。これにより、湾曲部25の内側に配置されたコイル4が例えば血管壁やカテーテルなどに引っ掛かることが抑えられる。
さらに、湾曲部25の内側および湾曲部25の外側に配置された素線411の横断面の形状が円であるため、コイル4の素線411の全体にわたる横断面の形状を円に形成することが可能である。これにより、コイル4を容易に製造することが可能である。このとき、湾曲部25の内側に配置された素線411の直径は、湾曲部25の外側に配置された素線411の直径よりも短い。これによれば、湾曲部25の内側に配置された素線411の横断面における軸11方向の長さD11を、湾曲部25の外側に配置された素線411の横断面における軸11方向の長さD12よりも短くすることが可能である。このような配置は、素線411のうちで直径が相対的に短い部分が湾曲部25の内側に配置され、素線411のうちで直径が相対的に長い部分が湾曲部25の外側に配置されることにより実現可能である。
図2に表したように、外力が付与されていない状態において、湾曲部25の内側において隣り合う素線411同士は、隙間なく密に配置されている。すなわち、湾曲部25の内側において隣り合う素線411同士は、互いに接触している。そのため、湾曲部25の内側に配置された素線411同士が広がることが抑えられ、ガイドワイヤ1の押し込み性が向上する。
また、外力が付与されていない状態において、湾曲部25の外側において隣り合う素線411同士は、隙間なく密に配置されている。そのため、例えば治療デバイスや血管壁などが隣り合う素線411同士の間に噛み込んだり、引っ掛かったりすることが抑えられる。これにより、コイル4が伸びたり切れたりして破損することが抑えられる。また、湾曲部25の外側において隣り合う素線411同士が互いに接触しているため、湾曲部25の外側に配置された素線411同士が広がることが抑えられ、ガイドワイヤ1の押し込み性が向上する。
図2に表したように、湾曲部25における第1コイル部41の内径(コイル内径)は、第1コイル部41の長手方向に沿ってほぼ一定である。これにより、第1コイル部41の内面と第1ワイヤ2との間の空間(クリアランス)が略一定に確保され、湾曲部25の柔軟性が維持される。また、湾曲部25における第1コイル部41の外径(コイル外径)は、湾曲部25以外における第1コイル部41の外径よりも小さい。本願明細書において「コイル部の外径(コイル外径)」とは、コイル部の素線の外径ではなく、素線が螺旋状に巻回されたコイル部全体の外径をいう。
これにより、ガイドワイヤ1の先端部は、湾曲部25の内側の方向に曲がりやすい。そのため、ガイドワイヤ1が生体管腔内に挿入されたときに、湾曲部25の内側の領域が広がることが抑えられる。これにより、ガイドワイヤ1の押し込み性およびトルク伝達性が向上する。
なお、湾曲部25における第1コイル部41の内径は、湾曲部25以外における第1コイル部41の内径よりも大きくてもよい。そして、湾曲部25における第1コイル部41の外径は、第1コイル部41の長手方向に沿ってほぼ一定であってもよい。この場合には、湾曲部25における第1コイル部41の内面と第1ワイヤ2との間に、より大きい空間(クリアランス)が確保され、湾曲部25においてより柔軟性が確保される。
また、第1コイル部41の外径は、先端方向に向かって漸減していてもよい。この場合には、第1コイル部41の外径の減少に伴い、ガイドワイヤ1の外径も先端に向かって徐々に減少する。そのため、ガイドワイヤ1の生体内(カテーテル内)への挿入操作に際しての操作性が向上するとともに、ガイドワイヤ1の外径の減少により、柔軟性が徐々に増し、かつ応力集中が防止される。これにより、耐キンク性や安全性が向上する。
第1コイル部41の最大外径Dmaxは、0.25〜0.89mm程度であることが好ましく、0.25〜0.46mm程度であることがより好ましい。第1コイル部41の最小外径Dminは、0.10〜0.86mm程度であることが好ましく、0.15〜0.38mm程度であることがより好ましい。また、最大外径Dmaxと最小外径Dminとの比Dmin/Dmaxは、0.3〜0.95程度であることが好ましく、0.44〜0.83程度であることがより好ましい。最大外径Dmaxおよび最小外径Dminがこのような範囲であると、前述した効果がより顕著に発揮される。また、第1コイル部41の最大外径Dmaxは、第2ワイヤ3の直径とほぼ等しいことが好ましい。
また、特に湾曲部25の形状が楕円の長軸半径にあたる場合には、湾曲部25の最先端(図2では、接点P1の近傍の部分)における第1コイル部41の外径が最小外径Dminになることが好ましい。これにより、湾曲部25において最も曲率が大きい部分で第1コイル41の素線411が密に配置されるため、ガイドワイヤ1の先端に位置する湾曲部25でガイドワイヤ1の手元からの押し込み力が向上する。
コイル4の全長L0は、特に限定されないが、5〜500mm程度であることが好ましく、30〜300mm程度であることがより好ましい。また、第1コイル部41の長さをL1としたとき、L1/L0は、0.05〜0.9であることが好ましい。また、湾曲部25における第1コイル部41の長さは、1.5〜10mm程度あることが好ましい。
素線411の最大直径dmaxは、0.23〜0.87mm程度であることが好ましく、0.23〜0.44mm程度であることがより好ましい。素線411の最小直径dminは、0.06〜0.20mm程度であることが好ましく、0.08〜0.15mm程度であることがより好ましい。また、最大直径dmaxと最小直径dminとの比dmin/dmaxは、0.1〜0.9程度であることが好ましく、0.18〜0.44程度であることがより好ましい。最大直径dmaxおよび最小直径dminがこのような範囲であると、最小外径Dminおよび最大外径Dmaxの条件とも相まって、前述した効果がより顕著に発揮される。
第2コイル部42の外径(コイル外径)は、長手方向に沿ってほぼ一定である。これにより、ガイドワイヤ1がカテーテル内や生体内へ挿入される際の挿入抵抗がより低減される。この場合、第2コイル部42のコイル外径は、前述した第1コイル部41の最大外径Dmaxとほぼ等しいことが好ましい。
第2コイル部42を構成する素線421の横断面積は、長手方向に沿ってほぼ一定であるが、これに限らず、先端方向に向かって漸減していてもよく、あるいは漸増していてもよい。本実施形態では、第2コイル部42を構成する素線421の横断面の形状が円である。また、素線421の直径は、第2コイル部42の全長にわたりほぼ一定である。
また、前述した第1コイル部41の基端部の素線411の直径(好ましくは最大直径dmax)は、第2コイル部42の先端部の素線421の直径とほぼ等しい。これにより、第1コイル部41と第2コイル部42との境界部43において、コイル4の剛性変化がより少なくなる(緩やかになる)。そのため、境界部43の前後におけるガイドワイヤ1の柔軟性が徐々に変化し、かつ応力集中が防止される。これにより、耐キンク性や安全性が向上する。
第2コイル部42の内径(コイル内径)は、第2コイル部42の長手方向に沿ってほぼ一定であってもよく、先端方向に向かって漸増していてもよく、先端方向に向かって漸減していてもよい。特に、第2コイル部42の内径は、第2コイル部42の長手方向に沿って一定であること、または先端方向に向かって漸増していることが好ましい。
以上のような構成により、第1コイル部41の曲げ弾性は、第2コイル部42の曲げ弾性よりも小さい。これにより、ガイドワイヤ1の柔軟性は、第2コイル部42から第1コイル部41にかけて徐々に増し、ガイドワイヤ1の先端部における耐キンク性、操作性および安全性がさらに向上する。
図3は、素線の横断面の形状の第1変形例を表す断面図である。
図3(a)は、湾曲部25の外側に配置された素線411Aの横断面を表す断面図である。図3(b)は、湾曲部25の内側に配置された素線411Aの横断面を表す断面図である。なお、図3(a)および図3(b)における縦方向は、軸11の方向に相当する。これは、図4(a)〜図5(b)において同様である。
図3(b)に表したように、本変形例において、湾曲部25の内側に配置された素線411Aの横断面における軸11方向の長さD32は、湾曲部25の内側に配置された素線411Aの横断面における軸11方向に対して垂直な方向の長さD33よりも短い。具体的には、湾曲部25の内側に配置された素線411Aの横断面の形状は、楕円である。図3(b)に表した例では、湾曲部25の内側に配置された素線411Aの横断面における軸11方向の長さD32は、楕円の短軸417Aの長さに相当する。また、湾曲部25の内側に配置された素線411Aの横断面における軸11方向に対して垂直な方向の長さD33は、楕円の長軸416Aの長さに相当する。
本変形例のように、湾曲部25の内側に配置された素線の横断面の形状は、円だけには限定されず、楕円であってもよい。これにより、コイル4の素線の形状や加工の自由度が高くなる。また、湾曲部25の内側に配置された素線411Aの横断面の形状が楕円であるため、湾曲部25の内側に配置されたコイル4において、滑らかな表面が実現される。これにより、湾曲部25の内側に配置されたコイル4が例えば血管壁やカテーテルなどに引っ掛かることが抑えられる。
また、図3(a)に表したように、本変形例において、湾曲部25の外側に配置された素線411Aの横断面における軸11方向の長さD31は、楕円の長軸416Aの長さに相当する。つまり、本変形例では、湾曲部25の内側および外側に配置された素線411Aの横断面の形状が楕円である。
これによれば、コイル4の素線411Aの全体にわたる横断面の形状を楕円に形成することが可能である。これにより、コイル4を容易に製造することが可能である。このとき、楕円の短軸417A方向が、湾曲部25の内側に配置された素線411Aの横断面における軸11方向に沿っている。一方で、楕円の長軸416A方向が、湾曲部25の外側に配置された素線411Aの横断面における軸11方向に沿っている。これによれば、湾曲部25の内側に配置された素線411Aの横断面における軸11方向の長さD32は、湾曲部25の外側に配置された素線411Aの横断面における軸11方向の長さD31よりも短くなる。このような配置は、例えばコイル4の素線411Aを素線411Aの軸を中心として捻ることにより実現可能である。そのため、コイル4を湾曲部25の外周に容易に配置することが可能である。
図4は、素線の横断面の形状の第2変形例を表す断面図である。
図4(a)は、湾曲部25の外側に配置された素線411Bの横断面を表す断面図である。図4(b)は、湾曲部25の内側に配置された素線411Bの横断面を表す断面図である。
図4(b)に表したように、本変形例において、湾曲部25の内側に配置された素線411Bの横断面における軸11方向の長さD35は、湾曲部25の内側に配置された素線411Bの横断面における軸11方向に対して垂直な方向の長さD36と同じである。具体的には、湾曲部25の内側に配置された素線411Bの横断面の形状は、円である。つまり、湾曲部25の内側に配置された素線411Bの横断面における軸11方向の長さD35は、円の直径417Bに相当する。また、湾曲部25の内側に配置された素線411Bの横断面における軸11方向に対して垂直な方向の長さD36は、円の直径417Bに相当する。
本変形例によれば、湾曲部25の内側に配置された素線411Bの横断面の形状が円であるため、湾曲部25の内側に配置されたコイル4において、滑らかな表面が実現される。これにより、湾曲部25の内側に配置されたコイル4が例えば血管壁やカテーテルなどに引っ掛かることが抑えられる。
また、図4(a)に表したように、本変形例において、湾曲部25の外側に配置された素線411Bの横断面の形状は楕円である。つまり、本変形例では、湾曲部25の外側に配置された素線411Bの横断面の形状は、楕円であり、湾曲部25の内側に配置された素線411Bの横断面の形状は、円である。湾曲部25の外側に配置された素線411Bの横断面における軸11方向の長さD34は、楕円の長軸416Bの長さに相当する。そして、湾曲部25の内側に配置された素線411Bの横断面における軸11方向の長さD35は、湾曲部25の外側に配置された素線411Bの横断面における軸11方向の長さD34よりも短い。
これによれば、湾曲部25の内側および湾曲部25の外側に配置されたコイル4において、滑らかな表面が実現されるとともに、コイル4の素線411Bの形状や加工の自由度が高くなる。
図5は、素線の横断面の形状の第3変形例を表す断面図である。
図5(a)は、湾曲部25の外側に配置された素線411Cの横断面を表す断面図である。図5(b)は、湾曲部25の内側に配置された素線411Cの横断面を表す断面図である。
図5(b)に表したように、本変形例において、湾曲部25の内側に配置された素線411Cの横断面における軸11方向の長さD38は、湾曲部25の内側に配置された素線411Cの横断面における軸11方向に対して垂直な方向の長さD39よりも短い。具体的には、湾曲部25の内側に配置された素線411Cの横断面の形状は、楕円である。図5(b)に表した例では、湾曲部25の内側に配置された素線411Cの横断面における軸11方向の長さD38は、楕円の短軸417Cの長さに相当する。また、湾曲部25の内側に配置された素線411Cの横断面における軸11方向に対して垂直な方向の長さD39は、楕円の長軸418Cの長さに相当する。
本変形例のように、湾曲部25の内側に配置された素線の横断面の形状は、円だけには限定されず、楕円であってもよい。これにより、図3(a)および図3(b)に関して前述した効果と同じ効果が得られる。
また、図5(a)に表したように、本変形例において、湾曲部25の外側に配置された素線411Cの横断面の形状は円である。つまり、本変形例では、湾曲部25の外側に配置された素線411Cの横断面の形状は、円であり、湾曲部25の内側に配置された素線411Cの横断面の形状は、楕円である。湾曲部25の外側に配置された素線411Cの横断面における軸11方向の長さD37は、円の直径416Cに相当する。そして、湾曲部25の内側に配置された素線411Cの横断面における軸11方向の長さD38は、湾曲部25の外側に配置された素線411Cの横断面における軸11方向の長さD37よりも短い。
これによれば、湾曲部25の内側および湾曲部25の外側に配置されたコイル4において、滑らかな表面が実現されるとともに、コイル4の素線411Cの形状や加工の自由度が高くなる。
図6は、本実施形態の第1変形例に係るガイドワイヤを表す断面図である。
なお、図6は、本変形例の第1コイル部を拡大して表した拡大図に相当する。
本変形例に係るガイドワイヤ1Aにおいて、ワイヤ本体10Aの第1ワイヤ2Aは、第1径一定部251と、第2径一定部253と、テーパ部252と、を湾曲部25に有する。第1径一定部251の外径(直径)は、ほぼ一定である。第2径一定部253は、第1径一定部251よりも先端側に位置している。第2径一定部253の外径(直径)は、第1径一定部251の外径よりも小さく、ほぼ一定である。テーパ部252は、第1径一定部251と第2径一定部253との間に位置している。テーパ部252の外径(直径)は、先端方向に向かって漸減している。第1径一定部251、テーパ部252、および第2径一定部253は、第1ワイヤ2Aの基端側から先端側(基端側から最先端を介して末端側)に向かってこの順に配置されている。
テーパ部252のテーパ角度(外径の減少率)は、ワイヤ本体10Aの長手方向に沿って一定でもよく、長手方向に沿って変化してもよい。例えば、テーパ角度が比較的大きい箇所と、テーパ角度が比較的小さい箇所と、が複数回交互に繰り返して形成されていてもよい。
第1ワイヤ2Aの基端側の部分(すなわち第1径一定部251)の外径は、第1ワイヤ2Aの基端まで一定となっている。第1径一定部251の長さは、第1コイル部41の長さよりも短いことが好ましい。他の構造は、図1および図2に関して前述したガイドワイヤ1の構造と同様である。
本変形例によれば、テーパ部252を介して第2径一定部253と第1径一定部251とが形成されていることにより、第1ワイヤ2Aの剛性(曲げ剛性、ねじり剛性)が先端方向に向かって徐々に減少する。その結果、ガイドワイヤ1Aは、先端部において良好な狭窄部の通過性および柔軟性を得て、血管等への追従性、安全性を向上させると共に、折れ曲がり等を防止することができる。また、図1および図2に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
図7は、本実施形態の第2変形例に係るガイドワイヤを表す断面図である。
なお、図7は、本変形例の第1コイル部を拡大して表した拡大図に相当する。
本変形例に係るガイドワイヤ1Bにおいて、ワイヤ本体10Bの第1ワイヤ2Bは、第1径一定部251と、第2径一定部253と、テーパ部252と、平板部254と、を湾曲部25に有する。すなわち、図6に関して前述した第1ワイヤ2Aと比較して、本変形例の第1ワイヤ2Bは、平板部254をさらに有する。平板部254は、第2径一定部253の先端側(具体的には末端側)に位置し、平板状に形成されている。第1径一定部251、テーパ部252、第2径一定部253、および平板部254は、第1ワイヤ2Bの基端側から先端側(基端側から最先端を介して末端側)に向かってこの順に配置されている。
平板部254は、平板状(リボン状)をなしており、所望の形状に変形(リシェイプ:形状付け)されて用いられることがある。すなわち、術者は、誘導するカテーテル等の先端部を血管の形状に対応させたり、分岐した血管に円滑に誘導したりするために、ガイドワイヤの先端部を予め所望の形状に曲げて使用することがある。このように、ガイドワイヤの先端部を所望の形状に曲げることは、リシェイプあるいは予備成形などと呼ばれる。
平板部254の長さは、特に限定されないが、5〜200mm程度であることが好ましく、10〜150mm程度であることがより好ましい。他の構造は、図6に関して前述した第1ワイヤ2Aと同様である。
本変形例に係るガイドワイヤ1Bによれば、第1ワイヤ2Bは、長手方向の軸11が予め湾曲した湾曲部25を有するとともに、平板部254を有する。これにより、リシェイプが容易かつ確実に行われ、ガイドワイヤ1Bがカテーテル内や生体内に挿入される際の操作性が格段に向上する。また、図1および図2に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
図8は、本実施形態の第3変形例に係るガイドワイヤを表す断面図である。
なお、図8は、本変形例の第1コイル部を拡大して表した拡大図に相当する。
本変形例に係るガイドワイヤ1Cにおいて、ワイヤ本体10Cの第1ワイヤ2Cでは、湾曲部25の全体にわたって平板部254Aが配置されている。平板部254Aの主面の法線は、湾曲部25の外側および内側に向かって延びている。すなわち、図8では、第1ワイヤ2Cの主面ではなく端面が表されている。平板部254Aの基端側には、図6に関して前述した第1径一定部251、第2径一定部253、およびテーパ部252の少なくともいずれかが設けられていてもよい。他の構造は、図1および図2に関して前述したガイドワイヤ1の構造と同様である。
本変形例によれば、平板部254Aの主面の法線が湾曲部25の外側に向かって延びているため、ガイドワイヤ1Cの基端側において与えられた押し込み力は、ガイドワイヤ1Cの先端側の比較的広い面積の部分に伝達される。そのため、ガイドワイヤ1Cの基端側において与えられた押し込み力は、狭窄部などに伝わりやすい。これにより、ガイドワイヤ1Cの押し込み性か向上する。
図9は、本実施形態の第4変形例に係るガイドワイヤを表す断面図である。
なお、図9は、本変形例の第1コイル部を拡大して表した拡大図に相当する。
本変形例に係るガイドワイヤ1Dにおいて、ワイヤ本体10Dの第1ワイヤ2Dの外径(直径)は、長手方向に沿ってほぼ一定である。すなわち、本変形例の第1ワイヤ2Dは、図1および図2に関して前述した第1ワイヤ2の構造と同様である。
本変形例に係るガイドワイヤ1Dでは、湾曲部25の内側において隣り合う素線411同士の間の距離は、湾曲部25の外側において隣り合う素線411同士の間の距離以上である。図9に表した例では、湾曲部25の内側において隣り合う素線411同士の間の距離D13は、湾曲部25の外側において隣り合う素線411同士の間の距離D14よりも長い。具体的には、湾曲部25の内側において隣り合う素線411同士の間には、隙間が存在する。一方で、湾曲部25の外側において隣り合う素線411同士は、互いに接触している。他の構造は、図1および図2に関して前述したガイドワイヤ1の構造と同様である。
本変形例によれば、ガイドワイヤ1Dの先端部は、湾曲部25の内側の方向に曲がりやすい。すなわち、ガイドワイヤ1Dの先端部は、湾曲部25の内側の領域が狭くなるように曲がりやすい。そのため、ガイドワイヤ1Dが生体管腔内に挿入されたときに、湾曲部25の内側の領域が広がることが抑えられる。これにより、ガイドワイヤ1Dの押し込み性およびトルク伝達性が向上する。
図10は、本実施形態の第5変形例に係るガイドワイヤを表す断面図である。
なお、図10は、本変形例の第1コイル部を拡大して表した拡大図に相当する。
本変形例に係るガイドワイヤ1Eにおいて、ワイヤ本体10Eの第1ワイヤ2Eは、複数の湾曲部を有する。具体的には、第1ワイヤ2Eの先端部には、第1湾曲部25Aと、第2湾曲部25Bと、第3湾曲部25Cと、が設けられている。第1湾曲部25A、第2湾曲部25B、および第3湾曲部25Cは、第1ワイヤ2Eの基端側から先端側に向かってこの順に配置されている。つまり、第2湾曲部25Bは、第1湾曲部25Aと、第3湾曲部25Cと、の間に配置されている。
本変形例の第1ワイヤ2Eは、第1径一定部251Aと、第2径一定部253Aと、テーパ部252Aと、を有する。第1径一定部251Aの外径は、ほぼ一定である。第2径一定部253Aは、第1径一定部251Aよりも先端側に位置している。第2径一定部253Aの外径は、第1径一定部251Aの外径よりも小さく、ほぼ一定である。テーパ部252Aは、第1径一定部251Aと第2径一定部253Aとの間に位置し、第1湾曲部25Aと、第2湾曲部25Bと、第3湾曲部25Cと、を形成している。すなわち、第1湾曲部25A、第2湾曲部25B、および第3湾曲部25Cは、第1ワイヤ2Eのテーパ部252Aに設けられている。テーパ部252Aの外径は、先端方向に向かって漸減している。第1径一定部251A、テーパ部252A、および第2径一定部253Aは、第1ワイヤ2Eの基端側から先端側に向かってこの順に配置されている。
第1ワイヤ2Eの長手方向の軸11Aは、第1径一定部251Aの長手方向の軸111と、第2径一定部253Aの長手方向の軸112と、テーパ部252Aの長手方向の軸113と、を有する。第1径一定部251Aの長手方向の軸111は、第2径一定部253Aの長手方向の軸112と平行である。
なお、本変形例の第1ワイヤ2Eは、第1径一定部251Aと、第2径一定部253Aと、テーパ部252Aと、を必ずしも有していなくともよい。例えば図2に表したように、第1ワイヤ2Eの外径は、全体にわたってほぼ一定であってもよい。また、第2径一定部253Aの先端側には、平板部が設けられていてもよい。
本変形例の第1コイル部41Aは、素線(細線)411が螺旋状に巻回された部材であり、第1ワイヤ2Eの少なくとも先端側の部分を覆うように設置されている。すなわち、第1ワイヤ2Eの先端部には、第1湾曲部25A、第2湾曲部25B、および第3湾曲部25Cが設けられているため、第1コイル部41Aは、ワイヤ本体10Eのうちの少なくとも第1湾曲部25A、第2湾曲部25B、および第3湾曲部25Cの外周に配置され、第1湾曲部25A、第2湾曲部25B、および第3湾曲部25Cを覆っている。
図10に表したように、第1湾曲部25A、第2湾曲部25B、および第3湾曲部25Cのそれぞれの内側に配置された素線411の横断面における軸113方向の長さD11は、第1湾曲部25A、第2湾曲部25B、および第3湾曲部25Cのそれぞれの外側に配置された素線411の横断面における軸113方向の長さD12よりも短い。本変形例では、素線411の横断面の形状が円であるため、第1湾曲部25A、第2湾曲部25B、および第3湾曲部25Cのそれぞれの内側および外側に配置された素線411の横断面における軸113方向の長さD11、D12は、素線411の外径(直径)に相当する。なお、図3〜図5に関して前述したように、第1コイル部41Aの素線の横断面の形状は、円だけには限定されず、楕円であってもよい。
本変形例によれば、第1ワイヤ2Eが複数の湾曲部を有する場合であっても、図1および図2に関して前述した効果と同様の効果が得られる。すなわち、コイル4は、力学的負荷が抑えられた自然状態において湾曲した形状を維持することができる。コイル4およびワイヤ本体10Eが第1湾曲部25A、第2湾曲部25B、および第3湾曲部25Cにおいて互いに固着されているわけではないため、コイルおよびワイヤ本体が湾曲部において固着部材により互いに固着された場合と比較すると、コイル4の柔軟性が損なわれることが抑えられる。そのため、コイル4が配置された第1湾曲部25A、第2湾曲部25B、および第3湾曲部25Cの柔軟性が維持される。
また、第1湾曲部25A、第2湾曲部25B、および第3湾曲部25Cの柔軟性が維持されるため、ガイドワイヤ1Eがガイディングカテーテルに挿入された場合であっても、第1湾曲部25A、第2湾曲部25B、および第3湾曲部25Cにおいて塑性変形が生ずることが抑えられる。そのため、ガイドワイヤ1Eの先端部(コイル4が存在する部位)がガイディングカテーテルを通過すると、コイル4は、力学的負荷が抑えられた自然状態に戻る。そのため、湾曲した形状が安定的に維持されるとともに、第1湾曲部25A、第2湾曲部25B、および第3湾曲部25Cの復元性が維持される。
また、このような柔軟性を維持することができるコイル4がガイドワイヤ1Eの先端部に設けられているため、ガイドワイヤ1Eの先端部において不本意な変形(曲げ)が生ずることが抑えられ、ガイドワイヤ1Eは生体管腔内において容易かつ確実に進むことができる。そのため、ガイドワイヤ1Eの基端側において与えられた押し込み力およびトルクは、ガイドワイヤ1Eの先端側に確実に伝達される。すなわち、ガイドワイヤ1Eの押し込み性およびトルク伝達性が維持される。また、血管の屈曲部や狭窄部における通過性や、血管の分岐部における血管選択性が向上する。さらに、不本意な変形が生ずることが抑えられ、耐キンク性が維持される。
また、本変形例によれば、第1湾曲部25Aの柔軟性、第2湾曲部25Bの柔軟性、および第3湾曲部25Cの柔軟性を互いに異ならせたり、あるいは同じにしたりすることが可能である。これにより、ガイドワイヤ1Eの先端部における柔軟性の自由度が高くなる。そのため、ガイドワイヤ1Eの押し込み性およびトルク伝達性が向上したり、血管の分岐部における血管選択性が向上したりする。また、複数の湾曲部を有する形状のリシェイプが容易かつ確実に行われ、ガイドワイヤ1Eがカテーテル内や生体内に挿入される際の操作性が格段に向上する。
図11は、本実施形態の第6変形例に係るガイドワイヤを表す断面図である。
なお、図11は、本変形例の第1コイル部を拡大して表した拡大図に相当する。
本変形例に係るガイドワイヤ1Fにおいて、ワイヤ本体10Fの第1ワイヤ2Fは、複数の湾曲部を有する。具体的には、第1ワイヤ2Fの先端部には、第1湾曲部25Dと、第2湾曲部25Eと、第3湾曲部25Fと、が設けられている。第1湾曲部25D、第2湾曲部25E、および第3湾曲部25Fは、第1ワイヤ2Fの基端側から先端側に向かってこの順に配置されている。つまり、第2湾曲部25Eは、第1湾曲部25Dと、第3湾曲部25Fと、の間に配置されている。
本変形例の第1ワイヤ2Fは、第1径一定部251Bと、第2径一定部253Bと、テーパ部252Bと、を有する。第1径一定部251Bの外径は、ほぼ一定である。第2径一定部253Bは、第1径一定部251Bよりも先端側に位置している。第2径一定部253Bの外径は、第1径一定部251Bの外径よりも小さく、ほぼ一定である。テーパ部252Bは、第1径一定部251Bと第2径一定部253Bとの間に位置し、第1湾曲部25Dと、第2湾曲部25Eと、第3湾曲部25Fと、を形成している。すなわち、第1湾曲部25D、第2湾曲部25E、および第3湾曲部25Fは、第1ワイヤ2Fのテーパ部252Bに設けられている。テーパ部252Bの外径は、先端方向に向かって漸減している。第1径一定部251B、テーパ部252B、および第2径一定部253Bは、第1ワイヤ2Fの基端側から先端側に向かってこの順に配置されている。
第1ワイヤ2Fの長手方向の軸11Bは、第1径一定部251Bの長手方向の軸111Aと、第2径一定部253Bの長手方向の軸112Aと、テーパ部252Bの長手方向の軸113Aと、を有する。第2径一定部253Bの長手方向の軸112Aは、第1径一定部251Bの長手方向の軸111Aと平行であるとともに、第1径一定部251Bの長手方向の軸111Aの延長線上に存在する。
なお、本変形例の第1ワイヤ2Fは、第1径一定部251Bと、第2径一定部253Bと、テーパ部252Bと、を必ずしも有していなくともよい。例えば図2に表したように、第1ワイヤ2Fの外径は、全体にわたってほぼ一定であってもよい。また、第2径一定部253Bの先端側には、平板部が設けられていてもよい。
本変形例の第1コイル部41Bは、素線(細線)411が螺旋状に巻回された部材であり、第1ワイヤ2Fの少なくとも先端側の部分を覆うように設置されている。すなわち、第1ワイヤ2Fの先端部には、第1湾曲部25D、第2湾曲部25E、および第3湾曲部25Fが設けられているため、第1コイル部41Bは、ワイヤ本体10Fのうちの少なくとも第1湾曲部25D、第2湾曲部25E、および第3湾曲部25Fの外周に配置され、第1湾曲部25D、第2湾曲部25E、および第3湾曲部25Fを覆っている。
図11に表したように、第1湾曲部25D、第2湾曲部25E、および第3湾曲部25Fのそれぞれの内側に配置された素線411の横断面における軸113方向の長さD11は、第1湾曲部25D、第2湾曲部25E、および第3湾曲部25Fのそれぞれの外側に配置された素線411の横断面における軸113方向の長さD12よりも短い。本変形例では、素線411の横断面の形状が円であるため、第1湾曲部25D、第2湾曲部25E、および第3湾曲部25Fのそれぞれの内側および外側に配置された素線411の横断面における軸113方向の長さD11、D12は、素線411の外径(直径)に相当する。なお、図3〜図5に関して前述したように、第1コイル部41Aの素線の横断面の形状は、円だけには限定されず、楕円であってもよい。
本変形例によれば、第2径一定部253Bの軸112Aが第1径一定部251Bの軸111Aの延長線上に存在するため、ガイドワイヤ1Fがカテーテルに挿入されると、第1湾曲部25D、第2湾曲部25E、および第3湾曲部25Fが広がる。すなわち、ガイドワイヤ1Fの先端部の幅(あるいは高さ)D41がカテーテルの内径より大きい場合には、ガイドワイヤ1Fがカテーテルに挿入されると、第1湾曲部25D、第2湾曲部25E、および第3湾曲部25Fが押し広げられる。そのため、第2径一定部253Bは、カテーテルの管壁から管中心部へ向かって延びる。そのため、固定材料51が設けられた部分は、カテーテルの管壁に接触することなく進むことできる。これにより、図10に関して前述した効果が得られるととともに、カテーテルに設けられた治療用の側孔からガイドワイヤ1Fが飛び出すことが抑えられる。また、カテーテル内でのガイドワイヤ1Fの操作性がより良好になる。
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F・・・ガイドワイヤ、 2、2A、2B、2C、2D、2E、2F・・・第1ワイヤ、 3・・・第2ワイヤ、 4・・・コイル、 6・・・接合部、 8、9・・・樹脂被覆層、 10、10A、10B、10C、10D、10E、10F・・・ワイヤ本体、 11、11A、11B・・・軸、 21、21A・・・第1径一定部、 22、22A・・・テーパ部、 23、23A・・・第2径一定部、 24、24A・・・平板部、 25・・・湾曲部、 25A、25D・・・第1湾曲部、25B、25E・・・第2湾曲部、25C、25F・・・第3湾曲部、 41、41A・・・第1コイル部、 42・・・第2コイル部、 43・・・境界部、 51、52、53・・・固定材料、 111、111A、112、112A、113、113A・・・軸、 251、251A、251B・・・第1径一定部、 252、252A、252B・・・テーパ部、 253、253A、253B・・・第2径一定部、 254、254A・・・平面部、 411、411A、411B、411C・・・素線、 416A、416B・・・長軸、 416C・・・直径、 417A・・・短軸、 417B・・・直径、 417C・・・短軸、 418C・・・長軸、 421・・・素線、 D1・・・外径、 D11、D12、D31、D32、D33、D34、D35、D36、D37、D38、D39・・・長さ、 D13、D14・・・距離、 D2・・・距離、 D41・・・幅、 Dmax・・・最大外径、 dmax・・・最大直径、 Dmin・・・最小外径、 dmin・・・最小直径、 L0・・・全長、 L1・・・長さ、 L2・・・線、 L3・・・接線、 P1・・・交点(接線)

Claims (10)

  1. 可撓性を有するとともに長手方向の軸が湾曲した湾曲部を先端部に有する長尺のワイヤ本体と、
    素線が螺旋状に巻回されて形成されたコイルであって前記ワイヤ本体のうちの少なくとも前記湾曲部の外周に配置され前記湾曲部を覆うコイルと、
    を備え、
    前記湾曲部の内側に配置された前記素線の横断面における前記軸方向の長さは、前記湾曲部の外側に配置された前記素線の前記横断面における前記軸方向の長さよりも短いことを特徴とするガイドワイヤ。
  2. 前記湾曲部の内側に配置された前記素線の前記横断面における前記軸方向の長さは、前記湾曲部の内側に配置された前記素線の前記横断面における前記軸方向に対して垂直な方向の長さ以下であることを特徴とする請求項1に記載のガイドワイヤ。
  3. 前記湾曲部の内側に配置された前記素線の前記横断面の形状は、楕円であることを特徴とする請求項2に記載のガイドワイヤ。
  4. 前記湾曲部の内側に配置された前記素線の前記横断面の形状は、円であることを特徴とする請求項2に記載のガイドワイヤ。
  5. 前記湾曲部の内側および前記湾曲部の外側に配置された前記素線の前記横断面の形状は、楕円であることを特徴とする請求項2に記載のガイドワイヤ。
  6. 前記湾曲部の内側および前記湾曲部の外側に配置された前記素線の前記横断面の形状は、円であることを特徴とする請求項2に記載のガイドワイヤ。
  7. 前記湾曲部の内側および前記湾曲部の外側のいずれか一方に配置された前記素線の前記横断面の形状は、楕円であり、前記湾曲部の内側および前記湾曲部の外側のいずれか他方に配置された前記素線の前記横断面の形状は、円であることを特徴とする請求項2に記載のガイドワイヤ。
  8. 前記湾曲部の内側において隣り合う前記素線同士の間の距離は、前記湾曲部の外側において隣り合う前記素線同士の間の距離以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のガイドワイヤ。
  9. 前記湾曲部の外側において隣り合う前記素線同士は、互いに接触していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のガイドワイヤ。
  10. 前記湾曲部の内側において隣り合う前記素線同士は、互いに接触していることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のガイドワイヤ。
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