JP2006296352A - 機能性梅干し及び機能性梅干しの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来の梅干しに比べてさらに機能性を高めた梅干しを提供する。
【解決手段】 塩漬け用の塩の種類を変えて塩付けすることにより、梅干しの機能性、すなわち、健康の増進に寄与する梅干し、例えば、ヘリコバクターピロリ菌の運動能を抑えるリグナン類の含有量が高められた梅干しを提供する。具体的には、従来から用いられている塩化ナトリウムの含有量が高い塩で塩漬けするのではなく、塩化ナトリウム含有量が80.0%以上あって、塩に含まれるマグネシウムとカルシウム含有量の総量が、ナトリウム含有量に対して1.0%以上である塩を用いて塩漬けする。
【選択図】なし
【解決手段】 塩漬け用の塩の種類を変えて塩付けすることにより、梅干しの機能性、すなわち、健康の増進に寄与する梅干し、例えば、ヘリコバクターピロリ菌の運動能を抑えるリグナン類の含有量が高められた梅干しを提供する。具体的には、従来から用いられている塩化ナトリウムの含有量が高い塩で塩漬けするのではなく、塩化ナトリウム含有量が80.0%以上あって、塩に含まれるマグネシウムとカルシウム含有量の総量が、ナトリウム含有量に対して1.0%以上である塩を用いて塩漬けする。
【選択図】なし
Description
本願発明は、機能性梅干し及び機能性梅干しの製造方法に関する。より具体的には、健康増進に寄与しうるいわゆる機能性を高めた梅干し及びその製造方法に関する。
古来、中国大陸から漢方薬として渡ってきた梅干しは制菌、解毒、整腸作用を有することが良く知られており、日本在来のサプリメントであるとも考えられる。サプリメントの大きな特徴は、個々の商品の機能が絞られており(例えば、ビタミンCは抗酸化作用・美白作用、β−カロチンは癌抑制作用等)、消費者が各人の状況に合わせて食することが出来る点である。また、医学的に証明された効能が広く消費者に認知されるに至り、需要が急速に増大してきている。
梅干しには抗ガン作用、抗酸化作用、糖尿病抑制作用、高血圧抑制作用といった非常に優れた医学的効能が秘められていることが科学的に証明され、更に個々の効能が梅干しに含まれる特定の物質による作用であることが明らかとなってきている。例えば、特開2004−352652号公報には、ヘリコバクターピロリの運動能を阻害する物質が梅干しから抽出されることが開示されている。
また、特開2004−222599号公報や特開2004−222598号公報には、従来からある梅の効能に加えてカルシウム分や鉄分が強化されたいわゆる特定保健用食品としての梅干しが開示されている。
さらに、本願発明者の研究によっても梅干しの製造過程を科学的に工夫することにより、含有される効能成分が異なる製品を製造することが可能であることが判ってきた。
そこで、本願発明者らは、梅干しに使用する塩について種々の検討を重ねたところ、特定の塩を用いることにより従来にないまろやかな味が醸し出されるとともに胃潰瘍の原因であると言われているヘリコバクターピロリ菌に対して抗菌力があるとされるリグナン類が増加することが見出され、本願発明を完成するに至った。
本願発明は、塩漬けに用いる梅の塩の種類を変化させて、梅干しの機能性を高める方法に係るものであって、具体的には、塩漬けに用いる塩に含まれる塩化ナトリウム含有量及びマグネシウム含量並びにカルシウム含量を変化させて、梅干しの機能性、例えば梅干しの有する胃潰瘍抑制作用を高める方法である。
さらに具体的に言うと、本願発明は、当該塩に含まれる塩化ナトリウム含量が80.0%以上でマグネシウム及びカルシウム含量の総量が塩化ナトリウム含量に対して1.0%以上である塩を用いて塩漬けする方法である。このような塩として、例えばフランス国ゲランドの塩田で採取された粗塩が好ましく用いられる。
このような塩を用いて塩漬けすることによって、ヘリコバクターピロリの運動能を抑制すると言われているリグナン類や増強させることができる。すなわち、本願発明はリグナン類の含有量を高めることによって、胃潰瘍の発生抑制や治癒に貢献しうる梅干しを提供する。
本願発明によれば、梅干し中に存在するリグナン類が増強され、健康に対してより優れた効果を発揮するいわゆる機能性梅干しが提供される。
本願発明は、梅干しの有する機能を増強させる手段として考え出された方法であって、梅干しを作る際に用いられる塩漬け用の塩の種類を変えて、梅干しの有する機能を増強させることを目的としている。ここで梅干しの有する機能とは、主として人の健康に作用する機能であって、ピロリ菌の運動抑制能作用すなわち胃潰瘍抑制作用が例示される。言い換えると、本願発明は、このような機能に関与する成分を増加・増強させることを目的としている。
梅干しの製造方法としては、例えば次の方法が挙げられる。梅の実に漬け込み用の塩(これを塩漬け用の塩という)をまぶして重りを掛けて約1ヶ月間漬け込む。その後、実を天日干しする(本願発明においては、ここまでを塩漬けと称する)。塩漬けの際、紫蘇を用いる場合もある。また、天日干しした梅を種々の調味液につけ込む方法があるが、いずれの方法であってもよい。しかし、塩漬けせずに調味液に梅の実を漬け込む場合には、本発明の目的を達成することができない恐れが高く、塩漬けすることが必須の工程であると言える。なお、実際の食用においては、天日干しされた梅の実をそのまま食する方が効果を期待できる。
使用する塩漬け用の塩は、化合物としての塩化ナトリウムを意味するのではなく、実際に梅干しの製造に使われる意味での塩を意味し、化学的には塩化ナトリウム(NaCl)だけでなく、その他にマグネシウム(Mg)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、ヨウ素(I)など塩化ナトリウム以外に種々の成分を含有しているものを言う。これら塩化ナトリウム以外の成分は、用いる塩の原料、例えば、海水を原料とするもの、岩塩を原料とするものなどによっても異なるが、いずれの原料を用いても差し支えない。また、海水を原料としたものであっても、海水の採取地によってもそれらの成分は異なり、その製造法によってもその組成が異なるが、原料の種類や製造法に制約されるものではない。
目的とする機能によって最適な塩を選択する必要があるが、塩の選択の基準として、ひとつには塩化ナトリウムの含有量と塩に含まれるマグネシウム及びカルシウムの含有量(総量)が挙げられる。また、マグネシウム及びカルシウムの含有量については単にそれらの絶対値を指標とするのではなく、ナトリウム含有量との比を指標とするのが良い。塩化ナトリウムの含有量が極端に少ない場合には、塩漬けするだけでは十分な柔らかさを得ることができない場合がある。また、マグネシウム及びカルシウムの含有量が少ない場合には、目的とする機能を増強できない恐れがあり、一方で、両者の含有量が多い場合には苦みを帯びる恐れがある。
ナトリウム含有量について言えば、ヘリコバクターピロリの運動能を抑える物質であるリグナン類を増強するためには、少なくとも用いる漬込用の塩中に塩化ナトリウムが80%以上が必要であり、好ましくは85%以上90%以下あるのがよい。さらに、マグネシウム及びカルシウムの含有量は、両者の合計量が塩中のナトリウム含有量に対して1.0%以上、好ましくは1.5%以上であって、その合計量が10%以下、好ましくは5%以下、望ましくは3%以下である。なお、これらの値は通常の保存状態にある塩における数値であって、乾燥減量の値を勘案したものではない。通常の保存状態にある塩の乾燥減量は、ほぼ7〜10%程度であるので、塩化ナトリウム含有量は乾燥後の塩に対して、85%〜95%である塩が好ましいと言える。
このような塩の選択は、通常、商業的には、塩の製造方法、塩の産地等を指標として行われる場合が多く、上記条件を満たす代表的な例として、フランス国のゲランドと呼ばれる塩田で製造される塩が挙げられる。もちろん、商業的に流通している塩以外にも、化学的に上記範囲の塩となるように、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムを用いて調整した合成的な塩を用いてもその効果は期待できるが、収穫採取された塩の方が望ましい。また、カルシウム、マグネシウムについては塩化物以外の物質、例えば硫酸塩や臭化物、ヨウ化物を用いることもできるが、硫酸塩は苦みの原因となる恐れがあり、臭化物やヨウ化物では健康上好ましくない。もっとも、これらの物質は健康上好ましくない範囲で含有されていたとしても問題はない。
塩漬けに使用する塩の量は、用いる梅の質量に対して通常20〜25%、望ましくは少なくとも15%以上であるが、ナトリウムに換算して、梅100gに対して少なくとも6000mg以上が必要である。
本願発明において、塩漬けする方法や塩漬けする期間について特に制約を受けるものではなく、上記で例示した方法をはじめとして、従来から行われている塩漬けされた梅干しを得る方法に準じて行えばよい。
こうして得られた天日干しされた梅干しには、いわゆる並塩と称される最も汎用されている塩を用いて製造された梅干しに比べて約4〜5倍程度のリグナン量、すなわち、梅干し1kg当たり5mg以上、望ましくは8mgのリグナン量が含有される。なお、このときの梅干しは水分含量がほぼ5〜10%であって、水分含量が10%以下とした場合に上記量のリグナン類が含有されることになる。
このように本願発明では、塩漬けに用いる塩の組成を変化させることによって、梅の機能性を変えることを可能とするものであって、例えば、適度なナトリウム含有量及びナトリウムに対するカルシウム及びマグネシウム組成比を有する塩を用いることによって、ヘリコバクターピロリの運動能を抑える物質であるリグナン類を増強させることができる。具体的には、原料である梅の実に対し所定量以上のナトリウムを用いると共にナトリウムに対するカルシウム及びマグネシウム組成比が一定以上となるように塩漬けすることによって、リグナン類、具体的には、(+)−シリンガレシノール(syringaresinol)、(+)−ヤンガビン(yangabin)、(+)−マグノリン(magnolin)及び(+)−オイデスミン(eudesmin)の総含有量を増加させることができる。なお、得られた梅干し中におけるこれらの組成比は、塩の種類やその他の条件によって変化することもある。しかし、本願発明においてはそれらの組成比は問われない。
次に本願発明について、下記実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本願発明は下記実施例に限定されるものではない。
下記に示す塩を使い、各種梅干しを作製した。これらの梅干しについての食感や外観を調べた。梅干しの製造方法は、塩漬けのみによる方法で実施した。原料となる梅の実は、和歌山県みなべ町(旧南部町・南部川村)産の「南高梅」(梅の木から生理落下したもの)を20kg用いた。
用いた塩
〔塩A〕並塩(ダイヤソルト株式会社製):塩化ナトリウム95.0%以上、乾燥減量2.1%以下、カリウム0.25%以下、マグネシウム0.04〜0.1%、カルシウム0.1%以下
〔塩B〕乳清ミネラル塩(販売者:協同乳業):塩化ナトリウム55.4%、乳清ミネラル22.0%(ナトリウム0.045%、カリウム0.155%、カルシウム0.11%、マグネシウム0.012%)、カリウム11.0%、クエン酸0.1%、タンパク加水分解物1.5%
〔塩C〕ゲラントの塩(粗塩:レ・サリネ・ド・ゲラント製):塩化ナトリウム86.1%、マグネシウム0.47%、カルシウム0.24%、カリウム0.13%
〔塩D〕海洋深層水塩(商品名「天海の塩」株式会社天塩製):塩化ナトリウム75.9%、マグネシウム0.7%、カルシウム0.06%、カリウム0.3%
〔塩E〕雪塩(株式会社パラダイスプラン社製 商品名):塩化ナトリウム63.9%、マグネシウム2.8%、カルシウム0.6%、カリウム、0.8%
〔塩F〕煎り塩(商品名「宗谷の塩」エムアールエム株式会社製):塩化ナトリウム68.6%、マグネシウム2.9%、カリウム0.9%、カルシウム1.1%
〔塩G〕あらびき塩(商品名「あらびき天日塩」:共栄商事株式会社製):塩化ナトリウム97.2%、カルシウム0.1%、マグネシウム及びカリウム0.1%以下
〔塩A〕並塩(ダイヤソルト株式会社製):塩化ナトリウム95.0%以上、乾燥減量2.1%以下、カリウム0.25%以下、マグネシウム0.04〜0.1%、カルシウム0.1%以下
〔塩B〕乳清ミネラル塩(販売者:協同乳業):塩化ナトリウム55.4%、乳清ミネラル22.0%(ナトリウム0.045%、カリウム0.155%、カルシウム0.11%、マグネシウム0.012%)、カリウム11.0%、クエン酸0.1%、タンパク加水分解物1.5%
〔塩C〕ゲラントの塩(粗塩:レ・サリネ・ド・ゲラント製):塩化ナトリウム86.1%、マグネシウム0.47%、カルシウム0.24%、カリウム0.13%
〔塩D〕海洋深層水塩(商品名「天海の塩」株式会社天塩製):塩化ナトリウム75.9%、マグネシウム0.7%、カルシウム0.06%、カリウム0.3%
〔塩E〕雪塩(株式会社パラダイスプラン社製 商品名):塩化ナトリウム63.9%、マグネシウム2.8%、カルシウム0.6%、カリウム、0.8%
〔塩F〕煎り塩(商品名「宗谷の塩」エムアールエム株式会社製):塩化ナトリウム68.6%、マグネシウム2.9%、カリウム0.9%、カルシウム1.1%
〔塩G〕あらびき塩(商品名「あらびき天日塩」:共栄商事株式会社製):塩化ナトリウム97.2%、カルシウム0.1%、マグネシウム及びカリウム0.1%以下
(製造方法1)
梅の実を洗浄したのち余分な水分を除去した。次にポリエチレン製のつけ込み容器の底全体に満遍なく塩をまぶし、その上に梅の実を入れ、再度塩をまぶすという作業を繰り返し、梅の実が全部入ったら残りの塩を一番上に覆うようにまぶした。その後、約5kgの重りを載せ、21日間放置した。塩の使用量は、梅の質量に対して20%又は25%の量とした。その後、梅を取り出し、直射日光下で3日間自然乾燥させた。表1には用いた塩中の塩化ナトリウム量(質量%)、K/Na量比、Ca/Na量比、Mg/Na量比及び(Ca+Mg)/Na量比を示してある。
梅の実を洗浄したのち余分な水分を除去した。次にポリエチレン製のつけ込み容器の底全体に満遍なく塩をまぶし、その上に梅の実を入れ、再度塩をまぶすという作業を繰り返し、梅の実が全部入ったら残りの塩を一番上に覆うようにまぶした。その後、約5kgの重りを載せ、21日間放置した。塩の使用量は、梅の質量に対して20%又は25%の量とした。その後、梅を取り出し、直射日光下で3日間自然乾燥させた。表1には用いた塩中の塩化ナトリウム量(質量%)、K/Na量比、Ca/Na量比、Mg/Na量比及び(Ca+Mg)/Na量比を示してある。
(製造方法2)
漬込用の塩として、表2に示すような割合(表には、梅に対する使用量を記した)で、煎り塩〔塩F〕及びあらびき塩〔塩G〕、グラニュー糖、醸造酢(酸度10%の市販品、ナトリウム、カリウム、カルシウムはほとんど含まない)、食用95度アルコールを予め混合したものを準備した。次にポリエチレン製のつけ込み容器の底に約1cmの厚さで塩を層状に入れ、その上に梅の実を1層になるように入れ、次いで梅の表面を覆うように塩をまぶした。そして梅の実が6層となるように同様の作業をさらに5回繰り返して、残りの塩をその上からまぶした後、約5kgの重りを載せ、21日間放置した。その後、梅を取り出し、直射日光下で3日間自然乾燥させた。表2には用いた塩中の塩化ナトリウム量(質量%)、K/Na量比、Ca/Na量比、Mg/Na量比及び(Ca+Mg)/Na量比を示してある。
漬込用の塩として、表2に示すような割合(表には、梅に対する使用量を記した)で、煎り塩〔塩F〕及びあらびき塩〔塩G〕、グラニュー糖、醸造酢(酸度10%の市販品、ナトリウム、カリウム、カルシウムはほとんど含まない)、食用95度アルコールを予め混合したものを準備した。次にポリエチレン製のつけ込み容器の底に約1cmの厚さで塩を層状に入れ、その上に梅の実を1層になるように入れ、次いで梅の表面を覆うように塩をまぶした。そして梅の実が6層となるように同様の作業をさらに5回繰り返して、残りの塩をその上からまぶした後、約5kgの重りを載せ、21日間放置した。その後、梅を取り出し、直射日光下で3日間自然乾燥させた。表2には用いた塩中の塩化ナトリウム量(質量%)、K/Na量比、Ca/Na量比、Mg/Na量比及び(Ca+Mg)/Na量比を示してある。
製造方法1及び2で得られた梅干し(サンプル1〜サンプル13)について、各梅干しの硬度および塩度、Brix糖度、酸度を調べた。硬度は、藤原製作所製の果実硬度計KM型により、塩度、酸度は京都電子工業(株)製の塩度・酸度計(多検体チェンジャCHA-500・電位差自動滴定装置AT-510・電動ビュッレットAPB-510 3機器からなる)により、Brix糖度は、Brix糖度計((株)アタゴ製 品番IH-50)により、それぞれ測定した。その結果を表3にまとめた。
さらに、各梅干しについて3名の官能パネラーが、甘味、酸味、塩味、苦み、旨味、まろやかさ、硬さ、口触り、見た目について評価した。評価は次の基準で行った。すなわち、甘味は、甘みなしを0,ややありを1とし、酸味は、弱いを0,普通を1,やや強いを2,強いを3とし、塩味は、弱いを0,やや弱いを1,普通を2,強いを3として、苦みは、なしを0,ややありを1,ありを2として、旨味は、旨味なしを0,やや旨味ありを1、まろやかさは、まろやかさなしを0,ややありを1,ありを2とし、硬さは、やや軟らかいを0,軟らかいを1,普通を2,かたいを3とし、口触りについては、悪いを0,やや悪いを1,良いを2,かたいを3とし、そして見た目については、悪いを0,少し悪いを1,普通を2,良いを3とした。これらの結果を表4にまとめた。
〔ヘリコバクターピロリ菌の運動能抑制能〕
次に試作した梅干しについて、ヘリコバクターピロリ菌の運動能抑制能を調べた。各梅干1kgにつきジクロロメタン1.5Lを用いて24時間還流・抽出を行った。溶媒を減圧除去後、ジクロロメタン抽出物を得た。このジクロロメタン抽出物に100mLの水を加え、続いて5w/v%炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて水層と有機層に分離させ、さらに酸性部、フェノール性部、中性部に分離させて各転溶部を得た。その後、GC−MSによる分析を行い、4種類のリグナン、すなわち(+)−シリンガレシノール(syringaresinol)(分子量418)、(+)−ヤンガビン(yangabin)(分子量446)、(+)−マグノリン(magnolin)(分子量416)及び(+)−オイデスミン(eudesmin)(分子量386)について測定した。これらの物質は特開2002−360207号に開示された物質であり、その分析には当該公報が参照される。その結果を表5及び図1並びに図2に示す。なお、図1及び図2は、4種類のリグナン類の組成比を示しているが、各図においてはそれぞれ、分子量の小さい化合物から分子量が大きな化合物へと左から右へと順に並べて示してある。また、各図にTraceと示された梅干しはリグナン含有量が少なかったため、存在比が算出できなかった。
次に試作した梅干しについて、ヘリコバクターピロリ菌の運動能抑制能を調べた。各梅干1kgにつきジクロロメタン1.5Lを用いて24時間還流・抽出を行った。溶媒を減圧除去後、ジクロロメタン抽出物を得た。このジクロロメタン抽出物に100mLの水を加え、続いて5w/v%炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて水層と有機層に分離させ、さらに酸性部、フェノール性部、中性部に分離させて各転溶部を得た。その後、GC−MSによる分析を行い、4種類のリグナン、すなわち(+)−シリンガレシノール(syringaresinol)(分子量418)、(+)−ヤンガビン(yangabin)(分子量446)、(+)−マグノリン(magnolin)(分子量416)及び(+)−オイデスミン(eudesmin)(分子量386)について測定した。これらの物質は特開2002−360207号に開示された物質であり、その分析には当該公報が参照される。その結果を表5及び図1並びに図2に示す。なお、図1及び図2は、4種類のリグナン類の組成比を示しているが、各図においてはそれぞれ、分子量の小さい化合物から分子量が大きな化合物へと左から右へと順に並べて示してある。また、各図にTraceと示された梅干しはリグナン含有量が少なかったため、存在比が算出できなかった。
これら各実施例によると、梅干しの製造において、塩の種類、特に、サンプル3、ゲランドの塩(塩C)を用いることで、ピロリ菌の運動抑制能を増強させることが見出された。また、ナトリウム量が少ないと十分にやわらかくすることができなかったり、目的とするリグナン類が増強されなかったりすることが分かった。そして、マグネシウムやカルシウム含有量が多くなると苦みが増したりする恐れもあることが理解される。さらに、製造方法2によれば、ナトリウム量が少ない場合やマグネシウム及びカルシウムの総量がナトリウム量に比べて高い場合においても、アルコールを添加することによって、わずかながらでもリグナン類の含有量を高められる可能性があることが窺えた。このように、塩の種類を変えることによって、梅干しの機能性を高められることが理解される。
本発明は、健康により役にたつ機能性食品としての意義を有する梅干しを提供する。
Claims (10)
- 塩漬けに用いる梅の塩の種類を変化させて、梅干しの機能性を高める方法。
- 塩漬けに用いる塩に含まれる塩化ナトリウム含量及びカルシウム含量並びにマグネシウム含量を変化させて、梅干しの有する胃潰瘍抑制作用を高める方法。
- 塩漬けに用いる塩に含まれる塩化ナトリウム含量が80.0%以上でカルシウム及びマグネシウム含量の総量が塩化ナトリウム含量に対して1.0%以上であることを特徴とする機能性梅干しの製造方法。
- 少なくとも梅の実100gに対してナトリウムとして6g以上の塩を用いることを特徴とする請求項3に記載の機能性梅干しの製造方法。
- 塩漬けに用いる塩は、フランス国ゲランドの塩田で採取された粗塩である請求項3又は4のいずれかに記載の機能性梅干しの製造方法。
- (+)−シリンガレシノール(syringaresinol)、(+)−ヤンガビン(yangabin)、(+)−マグノリン(magnolin)及び(+)−オイデスミン(eudesmin)の総量を高める請求項3〜5のいずれかに記載の機能性梅干しの製造方法。
- (+)−シリンガレシノール(syringaresinol)、(+)−ヤンガビン(yangabin)、(+)−マグノリン(magnolin)及び(+)−オイデスミン(eudesmin)の総量を梅干し1kg中に5mg以上とする請求項6に記載の機能性梅干しの製造方法。
- (+)−シリンガレシノール(syringaresinol)、(+)−ヤンガビン(yangabin)、(+)−マグノリン(magnolin)及び(+)−オイデスミン(eudesmin)の総量が、梅干し1kg中少なくとも5mg以上である機能性梅干し。
- 塩化ナトリウム含量が80.0%以上かつマグネシウム及びカルシウム含量の総量が塩化ナトリウム含量に対して1.0%以上である塩を用いて塩漬けされた請求項8に記載の機能性梅干し。
- 前記塩は、フランス国ゲランドの塩田で採取された粗塩である請求項9に記載の機能性梅干し。
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CN102372721A (zh) * | 2010-08-26 | 2012-03-14 | 苏州宝泽堂医药科技有限公司 | 一种木兰脂素的制备方法 |
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