JP2006294266A - 燃料電池用固体電解質材料及び燃料電池 - Google Patents

燃料電池用固体電解質材料及び燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 低含水率状態においてもプロトン伝導性を保持し、また、吸水による機械的強度の低下を抑制した固体電解質材料、及びこれを含む固体電解質膜を備える燃料電池を提供する。
【解決手段】 含窒素ヘテロ環を含む主骨格を有し且つ親水性基と疎水性基の両方を含む高分子化合物からなる燃料電池用固体電解質材料、並びにこれを含む固体電解質膜を備える燃料電池。
【選択図】 なし

Description

本発明は、燃料電池用固体電解質材料、これを用いた燃料電池に関する。
燃料電池は、燃料と酸化剤を電気的に接続された2つの電極に供給し、電気化学的に燃料の酸化を起こさせることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。火力発電とは異なり、カルノーサイクルの制約を受けないので、高いエネルギー変換効率を示すものである。燃料電池は、通常、電解質膜を燃料極及び酸化剤極で挟持した基本構造を有する単セルを複数積層して構成されており、中でも、電解質膜として固体高分子電解質膜を用いた固体高分子電解質型燃料電池は、小型化が容易であること、低い温度で作動すること、などの利点があることから、特に携帯用、移動体用電源として注目されている。
従来、固体高分子型燃料電池の電解質膜としては、高いプロトン伝導性を有し、また、耐酸化性に優れることから、ナフィオン(商品名、デュポン社製)に代表されるパーフルオロスルホン酸樹脂膜が一般的に用いられてきた。しかし、パーフルオロスルホン酸樹脂膜は、フッ素系樹脂を材料とするため高価であり、燃料電池のコスト削減を阻む要因の一つとなっている。
そのため、安価な材料を用いた電解質膜の開発が進められており、例えば、ポリベンゾイミダゾール(PBI)に代表される含窒素ヘテロ環を主鎖骨格とする高分子は、スルホン酸やリン酸等のプロトン伝導性化合物との複合化又はスルホン酸基やリン酸基等のプロトン伝導性基の導入が可能であり、また、耐熱性や機械的特性等にも優れることから注目されている。含窒素ヘテロ環を主鎖骨格とする高分子化合物からなる固体電解質材料としては、例えば、S−OH結合を有する基とP−OH結合を有する基の両方を含むもの(特許文献1)等が提案されている。
特開2003−178772号公報
特許文献1に記載の固体電解質材料は、S−OH結合を有する基とP−OH結合を有する基の両方を含み、耐酸化性と耐熱性の両方を兼ね備えるものであるが、S−OH結合を有する基とP−OH結合を有する基が共に親水性を有するため、燃料電池の始動時や高温条件下における運転時等、電解質膜内の含水量が低下する際に膜内の水分が膜全体に拡散してしまう。その結果、プロトン伝導部位であるS−OH部位及びP−OH部位、特に、プロトン伝導部位として中心的に機能するS−OH結合部位に充分な水分が行き届かないことによって、プロトン伝導性が低下してしまう場合がある。
また、従来、電解質材料のプロトン伝導性を向上させるために、電解質材料に導入するプロトン伝導性部位の量を増やす試みがなされている。しかしながら、プロトン伝導性部位の導入量増加に伴って電解質材料の吸水量も増加し、電解質材料の機械的強度が低下するという問題があり、電解質材料のプロトン伝導性の向上と機械的強度を両立させることは難しかった。
本発明は、上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、低含水率状態においてもプロトン伝導性を保持し、また、吸水による機械的強度の低下を抑制した固体電解質材料を提供することを目的とする。また、前記固体電解質材料を含む固体電解質膜を備える燃料電池を提供する。
本発明により提供される燃料電池用固体電解質材料は、含窒素ヘテロ環を含む主骨格を有し且つ親水性基と疎水性基の両方を含む高分子化合物からなることを特徴とするものである。
本発明の燃料電池用固体電解質材料は、親水性基同士及び疎水性基同士の引き合う作用と親水性基と疎水性基間の反発作用によって、親水ドメイン、疎水ドメインを効率的に形成する。このように親水ドメイン、すなわち、プロトン伝導路が効率よく形成されることから、本発明の固体電解質材料は、優れたプロトン伝導性を発現することが可能である。
しかも、固体電解質材料中に形成される親水ドメイン及び疎水ドメインが明確化されることによって、低含水率状態においては、親水ドメインに優先的に水分が集まる。そのため、低含水率状態においても、プロトン伝導路には、水分が存在することとなり、プロトン伝導性の低下を抑制することが可能である。
さらに、導入される親水性基が少ないこと及び疎水性基による撥水作用によって吸水量が抑えられているため、吸水に伴う電解質材料の機械的強度の低下を抑制することも可能である。
親水ドメイン及び疎水ドメインを効率良く形成することが可能なことから、前記高分子化合物は、主骨格を形成する含窒素ヘテロ環に親水性基と疎水性基の両方が結合した繰り返し単位を含むことが好ましい。
また、プロトン伝導性に優れ且つ含窒素ヘテロ環を含む主骨格への導入が容易であることから、前記親水性基は、スルホン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、ボロン酸基及びカルボン酸基からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む基であることが好ましい。
前記疎水性基としては、少なくとも一部がフッ素化された炭化水素基が挙げられる。
本発明の燃料電池用固体電解質材料は、固体電解質膜材料として好適に用いることができ、本発明の固体電解質材料を用いた固体電解質膜を備えた燃料電池は、優れた電池特性を示す。
本発明によれば、低含水率状態においてもプロトン伝導性を保持することができる燃料電池用固体電解質材料を得ることができる。
すなわち、本発明により得られる燃料電池用固体電解質材料を用いた電解質膜は、燃料電池の始動時や高温条件下における運転時等、固体電解質膜内の含水率が低下した状態においても優れたプロトン伝導性を示すものである。しかも、本発明の燃料電池用固体電解質材料は吸水量が抑えられているため、吸水による機械的強度の低下も抑制することが可能である。
本発明により得られる固体電解質材料は、膜−電極接合体を構成する電解質膜の材料として好適であり、本発明の固体電解質材料を用いた膜−電極接合体を備えた燃料電池は、優れた電池特性を発現することが可能である。
本発明の燃料電池用固体電解質材料は、含窒素ヘテロ環を含む主骨格を有し且つ親水性基と疎水性基の両方を含む高分子化合物からなることを特徴とするものである。
本発明の燃料電池用固体電解質材料は、親水性基と疎水性基の両方を含むことによって、親水性基同士間、疎水性基同士間の引き合う作用、及び、親水性基と疎水性基間の反発作用が生じ、親水ドメインと疎水ドメインが効率良く且つ明確に分離して形成される。親水ドメインは、プロトン伝導性に寄与する親水性基が集合、連続することによって形成されるものであり、プロトン伝導路として機能する。すなわち、親水ドメインが効率良く形成される本発明の固体電解質材料は、プロトン伝導性に優れるものである。
また、明確に分離した親水ドメインと疎水ドメインが形成されることによって、水分が親水ドメインに集中するため、低含水率状態においても、プロトン伝導に必要とされる水分がプロトン伝導路近傍に豊富に存在することとなる。従って、本発明の固体電解質材料によれば、電池運転始動時や高温条件下における電池運転等、従来の電解質材料ではプロトン伝導性が低下してしまう低含水率状態においても、プロトン伝導性を保持することが可能である。しかも、含水率が充分な状態では、従来の電解質材料と少なくとも同等以上のプロトン伝導性を発現することが可能である。
さらに、上記のようなプロトン伝導路の効率的な形成及び水分コントロールによって、電解質材料に導入するプロトン伝導性基(親水性基)量を増大させなくても、プロトン伝導性を高く保持することができる上に、プロトン伝導性基の増加に伴う吸水量の増加がないため、機械的強度を保つことが可能である。
また、本発明の固体電解質材料は、主骨格構造中に含窒素ヘテロ環を含む高分子化合物からなるものであることから耐熱性を有し、高温条件下(例えば、80〜100℃以上)における使用が可能である。ここで「主骨格」とは、ポリマー鎖中の繰り返し単位の連鎖構造を意味し、主鎖骨格だけでなく、繰り返し単位の連鎖からなるグラフト状の側鎖骨格もこれに含まれる。
本発明の燃料電池用固体電解質材料における含窒素ヘテロ環としては、例えば、含窒素五員環であるピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾールや、含窒素六員環であるピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、チアゾリン、オキサゾリンや、これら五員環または六員環と縮環したヘテロ環であるインドール、ベンゾピラゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾ(イソ)チアゾール、ベンゾ(イソ)オキサゾール、キノリン、キノキザリン等が挙げられるが、このうち、ベンゾイミダゾールが好ましい。ベンゾイミダゾール構造を主骨格に含む高分子化合物としては、例えば、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスイミダゾールなどを挙げることができる。
通常、ポリベンゾイミダゾールは、芳香族二塩基酸および芳香族テトラミンから製造することができ、例えば、ポリ−2,2’−(m−フェニレン)−5,5’−ビベンゾイミダゾール、ポリ−2,2’−(p−フェニレン)−5,5’−ビベンゾイミダゾール、ポリ−2,2’−(ピリジレン−3”,5”)−5,5’−ビベンゾイミダゾール、ポリ−2,2’−(フリーレン−2”,5”)−5,5’−ビベンゾイミダゾール、ポリ−2,2’−(ナフチレン−1”,6”)−5,5’−ビベンゾイミダゾール、ポリ−2,2’−(ビフェニレン−4”,4”)−5,5’−ビベンゾイミダゾール、ポリ−2,2’−アミレン−5,5’−ビベンゾイミダゾール、ポリ−2,2’−オクタメチレン−5,5’−ビベンゾイミダゾール、ポリ−2,6’−(m−フェニレン)−ジイミダゾールベンゼン、ポリ−2,6’−(p−フェニレン)−ジイミダゾールベンゼン、ポリ−2’,2’−(m−フェニレン)−5,5’−ジ(ベンゾイミダゾール)エーテル、ポリ−2’,2’−(p−フェニレン)−5,5’−ジ(ベンゾイミダゾール)エーテル、ポリ−2’,2’−(m−フェニレン)−5,5’−ジ(ベンゾイミダゾール)スルフィド、ポリ−2’,2’−(p−フェニレン)−5,5’−ジ(ベンゾイミダゾール)スルフィド、ポリ−2’,2’−(m−フェニレン)−5,5’−ジ(ベンゾイミダゾール)スルホン、ポリ−2’,2’−(p−フェニレン)−5,5’−ジ(ベンゾイミダゾール)スルホン、ポリ−2’,2’−(m−フェニレン)−5,5’−ジ(ベンゾイミダゾール)メタン、ポリ−2’,2’−(p−フェニレン)−5,5’−ジ(ベンゾイミダゾール)メタン、ポリ−2’,2”−(m−フェニレン)−5,5”−ジ(ベンゾイミダゾール)−プロパン−2,2、ポリ−2’,2”−(p−フェニレン)−5,5”−ジ(ベンゾイミダゾール)−プロパン−2,2、ポリ−2,2’−(m−フェニレン)−5,5”−ジ(ベンゾイミダゾール)−エチレン−1,2、および、ポリ−2,2’−(p−フェニレン)−5,5”−ジ(ベンゾイミダゾール)−エチレン−1,2などが挙げられる。
また、ポリベンゾビスイミダゾールの例としては、ポリ−2,6’−(m−フェニレン)ベンゾビスイミダゾール、ポリ−2,6’−(p−フェニレン)ベンゾビスイミダゾール、ポリ−2,6’−(ピリジレン−2”,6”)ベンゾビスイミダゾール、ポリ−2,6’−(ピリジレン−3”,5”)ベンゾビスイミダゾール、ポリ−2,6’−(ナフチレン−1”,6”)ベンゾビスイミダゾール、ポリ−2,6’−(ナフチレン−2”,7”)ベンゾビスイミダゾールなどを挙げることができる。
これらポリベンゾイミダゾール及びポリベンゾビスイミダゾールは、1つの繰り返し単位内に2つの側鎖を導入することが可能である。ポリベンゾイミダゾールとしては、ポリ−2,2’−(m−フェニレン)−5,5’−ビベンゾイミダゾールおよびポリ−2,2’−(p−フェニレン)−5,5’−ビベンゾイミダゾールが好ましい。また、ポリベンゾビスイミダゾールとしては、ポリ−2,6’−(m−フェニレン)ベンゾビスイミダゾールおよびポリ−2,6’−(p−フェニレン)ベンゾビスイミダゾールが好ましい。
また、本発明の燃料電池用固体電解質材料は、親水性基と疎水性基を両方含むことを特徴とするものである。親水性基及び疎水性基は、主骨格からペンダント状にぶら下がった側鎖として含まれていることが好ましい。側鎖として含まれていることによって、親水性基及び疎水性基の運動性が高くなり、より明確な親水ドメイン及び疎水ドメインが形成され、本発明による効果を充分に高めることができる。
本発明において、親水性基は、スルホン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、ボロン酸基、カルボン酸基等の酸性基のような、プロトンを伝導することが可能な部位を有するものである。中でも、スルホン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、ボロン酸基及びカルボン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものが好ましい。スルホン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、ボロン酸基及びカルボン酸基は、優れたプロトン伝導性を有するからである。また、主骨格を形成する含窒素ヘテロ環中の窒素に容易に導入することができるという利点を有する。具体的には、スルホン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、ボロン酸基、カルボン酸基(以下、これらをまとめてプロトン伝導性部位ということがある)等の酸性基、或いは、これらのような酸性基を有する炭化水素基が挙げられる。ここで、炭化水素基としては脂肪族基や芳香族基が挙げられ、脂肪族基はヘテロ原子、分岐構造や環状構造を含んでいてもよく、不飽和結合を有していてもよい。また、芳香族基は、ヘテロ原子を含んでいてもよく、置換基や脂環式構造を含んでいてもよい。
側鎖としての運動性の高さや主骨格への導入の容易さの観点から、親水性基として好ましくは、プロトン伝導性部位を有する脂肪族基であり、特にプロトン伝導性部位を有するアルキル基が好ましい。プロトン伝導性部位を有するアルキル基としては、炭素数が1〜6であることが好ましく、中でも末端にプロトン伝導性部位を有するものが好ましい。ここでアルキル基は、ヘテロ原子を含んでいてもよいし、分岐構造を有していてもよい。
疎水性基は、当該疎水性基を有する高分子化合物内に共存している親水性基に対して、親水性の度合いに相対的な差を有するものであり、好ましい具体例としては、例えば、少なくとも一部がフッ素化された炭化水素基(ヘテロ原子を含んでいてもよい)を含むもの、又は全フッ素化アルキル基を含むもの等が挙げられる。中でも、少なくとも一部がフッ素化されたアルキル基を含むものが好ましく、例えば、少なくとも一部がフッ素化されたアルキル基を末端構造若しくは分岐構造として有する脂肪族基や、少なくとも一部がフッ素化されたアルキル基を有する芳香族基や、少なくとも一部がフッ素化されたアルキル基そのもの等が挙げられる。ここで、少なくとも一部がフッ素化されたアルキル基とは、少なくとも1つの水素原子がフッ素置換された構造を有するアルキル基であり、フッ素化される位置は特に限定されない。脂肪族基はヘテロ原子、分岐構造や環状構造を含んでいてもよく、不飽和結合を有していてもよい。また、芳香族基は、ヘテロ原子を含んでいてもよく、置換基や脂環式構造を含んでいてもよい。アルキル基は、ヘテロ原子を含んでいてもよいし、分岐構造を有していてもよい。
側鎖としての運動性の高さや主骨格への導入の容易さの観点から、疎水性基として特に好ましくは、少なくとも一部がフッ素化されたアルキル基そのものである。少なくとも一部がフッ素化されたアルキル基は、炭素数が1〜20、特に1〜6であることが好ましく、中でも少なくとも末端がフッ素化されているものが好ましい。具体的には、−CH2−(CX2−CF3で表される基が好ましい。ここで、XはH(水素)或いはF(フッ素)、nは0〜18の数を表す。−(CX2−は、分岐構造を含んでいてもよい。
高分子化合物内の親水性基及び疎水性基の存在比は特に限定されるものではないが、親水性基:疎水性基(モル比)=10〜60:5〜50の範囲であることが好ましく、特に、20〜40:10〜40の範囲であることが好ましい。親水性基と疎水性基の存在比が上記範囲内である場合、親水ドメイン及び疎水ドメインがバランスよく形成され、プロトン伝導性と機械的強度のバランスがとれた高分子化合物が得られる。一方、親水性基と疎水性基の存在比が上記範囲外である場合には、充分なプロトン伝導性が得られない、或いは、吸水に伴う機械的強度の低下や低含水率におけるプロトン伝導性の低下が生じてしまうなどの問題が生じるおそれがある。
本発明の燃料電池用固体電解質材料は、含窒素ヘテロ環を含む主骨格を有し、親水性基と疎水性基の両方を含むものであれば、繰り返し単位の構造は特に限定されない。親水性基及び疎水性基の両方を含む高分子化合物を得ることができれば、例えば、親水性基及び疎水性基ともに含まない繰り返し単位、親水性基のみを含む繰り返し単位、疎水性基のみを含む繰り返し単位等を組み合わせて含むものであってもよいが、親水性基及び疎水性基の両方を含む繰り返し単位を含むことが好ましい。親水性基及び疎水性基の両方を含む繰り返し単位を含むことによって、高分子化合物における親水性基及び疎水性基の割合が大きくなるため、より効率的に親水ドメイン、疎水ドメインが形成されるからである。また、プロトン伝導性と機械的強度と成膜性のバランスが取れた固体電解質材料を得ることができるという利点もある。
親水性基及び疎水性基の両方を含む繰り返し単位としては、主骨格を形成する含窒素ヘテロ環に親水性基及び疎水性基が結合したものが好ましい。このような主骨格を形成する含窒素ヘテロ環に親水性基及び疎水性基の両方を含む繰り返し単位は、高分子化合物を構成する全繰り返し単位中50〜100モル%、特に70〜95モル%含まれることが好ましい。
親水性基及び疎水性基の両方を含む好ましい繰り返し単位として、具体的には下記式(1)で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2006294266
式(1)で表される繰り返し単位は、主骨格を形成する部分が、ポリ−2,2’−(m−フェニレン)−5,5’−ビスベンゾイミダゾールよりなり、2つベンゾイミダゾールの窒素原子に各々、親水性基(ブチルスルホン酸基)、疎水性基((トリフルオロメチル)ブチル基)が結合した構造を有している。
式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物の合成方法としては、特に限定されず、例えば、ポリ−2,2’−(m−フェニレン)−5,5’−ビスベンゾイミダゾールの窒素原子に、一般的な方法に準じてブチルスルホン酸基及び(トリフルオロメチル)ブチル基を導入することにより合成することができる。含窒素ヘテロ環を含む主骨格を有するポリマーに、親水性基及び疎水性基を導入する場合には、通常、親水性基及び疎水性基は、式(1)のように主骨格の窒素部分に導入されることとなるが、親水性基及び疎水性基の導入位置は特に限定されるものではない。また、高分子化合物を構成する全繰り返し単位が式(1)で表されるように、親水性基及び疎水性基の両方が結合しているとは限らない。
また、高分子化合物の合成方法は、予めブチルスルホン酸基のような親水性基を有するモノマーと、(トリフルオロメチル)ブチル基のような疎水性基を有するモノマーとを、重合する方法でもよい。
本発明の固体電解質材料の分子量は、特に限定されないが、通常、重量平均分子量が1,000〜1,000,000、特に3,000〜200,000の範囲であることが好ましい。重量平均分子量が1,000未満の場合、或いは、1,000,000を超える場合、成膜性が低下してしまい、膜を形成することが困難になるおそれがある。
本発明の固体電解質材料は、代表的には燃料電池用電解質膜の材料として用いられるが、その他の分野においても利用可能である。燃料電池用電解質膜の材料として用いる場合には、一般的な固体電解質材料に適用されるのと同様の方法により成膜し、通常、その両面に触媒層とガス拡散層とからなる電極を設けて、膜−電極接合体とすることができる。この膜−電極接合体は、さらにその外側に、燃料及び酸化剤流路が画成されたセパレータを設けることによって燃料電池用セルとし、燃料電池を構成することができる。
燃料としては、水素ガスや水素を発生させるガス等のガス状燃料、及びメタノール等のアルコール水溶液等の液体状燃料を用いることができ、酸化剤としては、空気等の酸素を含むガス状酸化剤を用いることができる。
(実施例)
<燃料電池用固体電解質材料の合成>
まず、ポリベンゾイミダゾール(ポリ−2,2’−(m−フェニレン)−5,5’−ビベンゾイミダゾール、以下、PBIという)1.5gをジメチルアセトアミド(DMAc)3.0gに溶解し、窒素雰囲気下、室温(約23℃)で1時間攪拌した。次いで、PBIに対して2倍モルの水素化リチウム(LiH)0.11gを加え、85℃で3時間攪拌した。その後、3倍モルのBr(CHCF1.86g/DMAc溶液をゆっくりと滴下し、7時間攪拌した。
続いて、1,4−ブタンサルトン0.11gを反応溶液に加え、24時間攪拌した。反応溶液をアセトン中に投じて沈殿させ、濾過後、一晩減圧乾燥した。得られた沈殿物を、アセトンで2日間ソックスレー洗浄し、さらに一晩減圧乾燥して、ブチルスルホン酸基及び(トリフルオロメチル)ブチル基を有するPBIを得た(式(1)参照)。得られたPBIのアルキルスルホン酸化率(ブチルスルホン酸化率)、フロロアルキル化率((トリフルオロメチル)ブチル化率)を表1に示す。
尚、式(1)では、繰り返し単位中の2つのベンゾイミダゾールの窒素原子にそれぞれ、ブチルスルホン酸基、1−トリフルオロメチルブチル基が結合した場合を示したが、実際には、繰り返し単位の全てがこのような構造を有するとは限らない。
<固体電解質膜の作製>
得られた固体電解質材料の5重量%DMAc溶液を作製し、舟形のテフロンシートに流延し、常圧、50℃で4日間、さらに真空50℃で1日間乾燥することで、固体電解質膜を得た。
(比較例)
上記実施例において、Br(CHCFを加えない以外は同様の方法で固体電解質材料を合成した。得られた固体電解質材料のアルキルスルホン酸化率(ブチルスルホン酸化率)を表1に示す。得られた固体電解質材料を用いて、実施例同様、固体電解質膜を作製した。
[固体電解質材料膜の評価]
(1)含水率の測定
実施例及び比較例の固体電解質膜について、80℃、90%RHにおける含水率を以下の式に従い算出した。結果を表1に示す。
Figure 2006294266
(2)プロトン伝導度の測定
実施例及び比較例の固体電解質膜について、80℃、90%RHにおけるプロトン伝導度を、インピーダンスアナライザー(横河ヒューレットパッカード(株)製、YHP4192A)を用いて750mVで複素インピーダンス測定を行い、コール−コールプロットにより直流成分を読取ってプロトン伝導度を算出した。結果を表1に示す。
(3)引張り試験
実施例及び比較例の固体電解質膜の引張強度(MPa)を、室温(約25℃)、湿度50%RHの下、JIS K7127に準じ、ダンベル型の試験片を用いて測定した。
Figure 2006294266
表1からわかるように、アルキルスルホン酸とフロロアルキル基の両方を含む実施例の固体電解質膜は、アルキルスルホン酸のみを有する比較例と比べて、含水率が低いにもかかわらず、高いプロトン伝導度を示した。これは、実施例の固体電解質膜が低含水率状態においても有効なプロトン伝導経路を形成していることを示唆するものである。
また、含水率が低い実施例は、比較例と比べて引張強度が高く、プロトン伝導性が向上した上に膜の機械的強度を保持していることがわかる。

Claims (5)

  1. 含窒素ヘテロ環を含む主骨格を有し且つ親水性基と疎水性基の両方を含む高分子化合物からなる、燃料電池用固体電解質材料。
  2. 前記高分子化合物は、主骨格を形成する含窒素ヘテロ環に親水性基と疎水性基の両方が結合した繰り返し単位を含む、請求項1に記載の燃料電池用固体電解質材料。
  3. 前記親水性基は、スルホン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、ボロン酸基及びカルボン酸基からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む基である、請求項1又は2に記載の燃料電池用固体電解質材料。
  4. 前記疎水性基は、少なくとも一部がフッ素化された炭化水素基である、請求項1乃至3のいずれかに記載の燃料電池用固体電解質材料。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の燃料電池用固体電解質材料を含む固体電解質膜を備える燃料電池。
JP2005109105A 2005-04-05 2005-04-05 燃料電池用固体電解質材料及び燃料電池 Pending JP2006294266A (ja)

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