JP2006291580A - 浮体利用の簡易防水板 - Google Patents

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Abstract

【課題】故障する可能性のある回転部品や複雑な構造や電気的エネルギーを使用せず、故障の原因となるゴミを除いて、深夜や休日に増水しても確実に防水し、水がひいたら自然に復帰する故障がなく操作人員不要の防水板を提供する。
【解決手段】
防水板を立ち上げるエネルギーとして、増水につれて下流より雨水排水管を逆流してくる水、又は近傍に設けた雨水排水桝の格子蓋より流れ落ちる水を排水管にてピットの下部より導き、該ピットに載置した浮体の浮力により防水板を立ち上げる。頂部に防水板を立設した浮体の屋根を傾斜面とし、ピット上部には傾斜誘導材を設ける。浮体が上昇するにつれて傾斜誘導材を介して発生する水平力で防水板の凸条歯は構築物に設けた受け枠の弾性帯に押圧される。
【選択図】図1

Description

本発明は大雨や異常潮位等による増水の際に構築物の内部へ水が浸入するのを防ぐ防水板に関する。
従来よりビル、地下街等の施設に設置する防水板は、その出入り口において両側の壁に垂直軸を介して防水板を左右方向に開閉する機種、または床面に設けた水平軸を介して防水板を垂直方向に回転させて床面から起立させる機構のものがある。
しかしながら、いずれの機構も操作人員が必要であるとか電気的エネルギーを使用しているため、深夜や休日、災害時にありがちな停電のため作動しないとかいうことが多い。
そこで、操作人員不要、電気不使用の防水扉というものが提供されている。
例えば、防水扉の起立装置というのがあるが、これは防水扉両側方の摺設板の水密性と摺動性に問題があった。(特許文献1参照。)。
又、防水板の自動操作機構というのがあるが、これは心無い人達が投げ込んだタバコの吸殻やガム等のゴミが浸入して挿通路で目詰まりを起こして防水板が浮上しないとか、浮上したとしても挿通路と防水板との隙間や防水板の側方の隙間からの漏水に問題があった。(特許文献2参照。)。
特開平9−137631 特開平11−2077
本発明は、以上に述べた従来の防水戸の構成が有していた問題点を解決しようとするものであり、作動エネルギーとして押し寄せてくる水を利用し、ゴミの浸入を防止して故障をなくし、深夜や休日でも作動するように操作人員不要とし、増水初期及び増水時の水密性を高めることを目的としたものである。
そして本発明は上記の目的を達成するために、構築物の防水する位置に受け枠を設け、該受け枠と同じ巾の防水板を立設した箱型の浮体を載置して地中に埋設した箱型のピットと、格子蓋を嵌めて泥溜まり部を有する雨水排水桝とを排水管で接続する構成としたものである。
又、前記ピットの上部に傾斜誘導材を備え、傾斜屋根を有する前記箱型浮体の頂部に防水板を立設した構成としたものである。
それから、前記受け枠は、両側の縦枠に併設したガイド溝と弾性帯を有し、前記ガイド溝には上下にガイド溝より深い凹地よりなるストッパ部を有し、前記弾性帯の下端をつなぐ弾性帯を横枠に設け、前記防水板は、前記受け枠のガイド溝を上下に摺動する突起体よりなるガイドを前記ストッパ部と同位置に備え、前記弾性帯と同位置にガイドより高さの低い凸条歯を備えた構成としたものである。
上記解決手段による作用は次の通りである。すなわち浮体を載置したピットに故障の原因となるゴミが浸入するのを防ぐために、格子蓋を嵌めて泥溜まりを有する雨水排水桝と該ピットとを排水管で接続することにより、心無い人達により雨水桝に投げ込まれたタバコの吸殻やガム等の浮くゴミと沈むゴミとを、水の浮力を利用して雨水排水桝の中で上下に分離し、排水管を通じてピットに流れ込まないようにする。
又、第2の解決手段による作用は、ピットの上部に傾斜誘導材を備え、防水板を立設した箱型浮体の屋根を傾斜面にすることにより、増加する水の浮力で浮き上がって前記傾斜誘導材に達すると防水板は斜めに浮き上がって行く。
そして、第3の解決手段による作用は、防水板に設けたガイドが受け枠のガイド溝を摺り上り、4箇所のガイドがストッパ部にはまり込むと、ガイドはストッパ部の水平な上壁面を滑って奥の方へ押し込まれる。同時に防水板に設けた凸条歯が受け枠に設けた弾性帯に押圧されて食い込み初期水密性が確保される。
以下、本発明の実施例について図1〜図8に基づいて説明する。
図1において、構築物8の防水する位置に受け枠15を設け、該受け枠と同じ巾の防水板3を立設した箱型の浮体2を載置したピット1を地中に埋設し、近傍に設けた格子蓋5を嵌めて泥溜まり部6を有する雨水排水桝4と、該ピットとを排水管7で接続する。
この構成により、心無い人達により格子蓋より投げ込まれたタバコの吸殻やガム等の浮くゴミ、沈むゴミ等を、増水してきた水により上下に分離して、故障の原因となるゴミがピットに浸入するのを防止出来るものである。
また、図2〜図5において、ピット内の水位の上昇とともに浮体2に立設した防水板3のガイド20がガイド溝18に沿って摺り上がり、浮体2の傾斜屋根11がピット1の上部に備えた傾斜誘導材10に達すると浮体2は斜めに押し上げられる。直後に4箇所のガイド20が受け枠15に設けられたストッパ部21に嵌まり込み、ガイド20はストッパ部21の水平な上壁面を滑って奥の方へ押し込まれる。同時に凸条歯221、222が弾性帯191、192に食い込んで防水板3の初期水密性が確保される。
そして、押し寄せてくる水が構築物8に浸入する前の増水初期水位13の段階で防水板3が立ち上がり、水密性も確保されているため、構築物8内の人達はあわてることなく構築物内に居ても良いし、防水板3をまたいで外に出ても良い。
それから、水位が上昇し、想定増水水位14に達するまでは防水板3に水圧も加わり凸条歯はより強く弾性帯に押圧される。
この段階で水が引いたら、ストッパ部21に嵌まり込んでいたガイド20は水位の低下とともに自然にストッパ部21から滑り降りて、浮体2は元のようにピット1の床に載置される。このため深夜、休日等でも操作人員不要で防水板3が作動される。
それと、大雨洪水注意報等が出た際に、防水板3を前もって立ち上げておくことが可能なように、また、試運転も可能なように、バルブ25を設けて雨水排水桝4へホース等で水を溜めることが出来るようにしておいても良い。この構成により、性能に不安を持つ人は試運転をしてみても良いし、前日の退社前に防水板を立ち上げたままにしておけば、安心して帰宅することも出来る。
それから、想定増水水位14以上に増水しそうな水勢の場合には構築物の内部に居る人が図6の逆L型防水板24を手で持ち上げて対処する。この場合は防水板に凸条歯がないため水密性は少し悪くなる。
なお使用材料としては、防水板や浮体やピットや受け枠は腐食しにくく強度のあるステンレス鋼(SUS304)等とし、弾性帯は耐久性や弾力性に優れたクロロプレンゴムやシリコンゴム、ウレタンゴムや独立気泡の発泡ゴム等が適当であろう。また、ガイド20や傾斜誘導材10等摩擦抵抗の発生する箇所には滑りを良くするためフッ素樹脂等を使用しても良い。
より安価にするために箱型の浮体は発泡スチロールで作り、出隅部が欠けないようにアングル等で補強しても良い。また、ピットはコンクリート製としても良い。また、ステンレス薄板で製作した浮体に穴があいても中に水を入れないために、または、補強鋼材の代わりに内部を価格の安いウレタンフォームや発泡スチロール等で充填しても良い。
浮体の重心が重い防水板の方へ偏心して、浮き上がる際にガイド溝やピットの周壁に防水板や浮体の角が斜めに押圧されて摩擦抵抗が発生するため、2箇所の角にL型鋼よりなるガイドレールを立設し、前記2本のガイド溝と該2本のL型ガイドレールに沿って箱型の浮体がスムーズに上昇するようにしても良い。また、偏心を少なくするように全体の寸法や角度、使用材料等に調整は必要となる。
実施の一例を各部の寸法を基に述べてみる。
防水しようとするビルの1階の出入り口の巾を2m、想定増水水位を今までのその地域の経験上1階の床面より例えば0.3mとする。箱型浮体の屋根の傾斜を45度、間口巾を2m、高さを0.7mと0.3m、奥行きを0.4m、防水板の高さを浮体の頂部より0.4m、板厚は1m位までの水圧に耐えるもの、自重を80kgとし、各部の摩擦抵抗を0と想定する。
その際発生する浮力は自重を引くと320kgとなるが、160kgの力で受け枠に押圧されるため充分の水密性が得られる。また、ビルの中の人が防水板をまたいで外へ出る際に、防水板の上に脚を載せたとしても160kgの浮力があるため沈むことはなく安全である。
本発明の浮体利用の簡易防水板の構成を示す断面図。 同受け枠と浮体の断面図。 同受け枠と防水板の構成を示す斜視図。 同縦枠と防水板の拡大横断面図。 同横枠と防水板の拡大縦断面図。 同縦枠と防水板の拡大横断面図。 同横枠と防水板の拡大縦断面図。 同逆L型防水板の拡大断面図。
符号の説明
1 ピット
2 浮体
3 防水板
4 雨水排水桝
5 格子蓋
6 泥溜まり部
7 排水管
8 構築物床面
9 通路床面
10 傾斜誘導材
11 傾斜屋根
12 点検蓋兼床板(錠付き)
13 増水初期水位
14 想定増水水位
15 受け枠
16 縦枠
17 横枠
18 ガイド溝
191 弾性帯(縦)
192 弾性帯(横)
20 ガイド
21 ストッパ部
221 凸条歯(縦)
222 凸条歯(横)
23 カバー
24 逆L型防水板
25 バルブ

Claims (3)

  1. 構築物の防水する位置に受け枠を設け、該受け枠と同じ巾の防水板を立設した箱型の浮体を載置して地中に埋設した箱型のピットと、格子蓋を嵌めて泥溜まり部を有する雨水排水桝とを排水管で接続したことを特徴とする浮体利用の簡易防水板。
  2. 前記ピットの上部に傾斜誘導材を備え、傾斜屋根を有する前記箱型浮体の頂部に防水板を立設したことを特徴とする請求項1記載の浮体利用の簡易防水板。
  3. 前記受け枠は、左右の縦枠に併設したガイド溝と弾性帯を有し、前記ガイド溝にはガイド溝より深い凹地よりなるストッパ部を有し、前記弾性帯の下端をつなぐ弾性帯を横枠に設け、前記防水板は、前記受け枠のガイド溝を上下に摺動する突起体よりなるガイドを前記ストッパ部と同位置に備え、前記弾性帯と同位置にガイドより高さの低い凸条刃を備えたことを特徴とする請求項1、2記載の浮体利用の簡易防水板。
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