JP2006291062A - 室温硬化型樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ウレタンプレポリマーを含有する組成物と、平均径50〜300nm、繊維長5〜50μmである炭素繊維とを有する室温硬化型樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
また、本発明者は、ウレタン系樹脂組成物に微粉末シリカを用いる場合、微粉末シリカが微量な水分によって大きな影響を受け、揺変性が安定しにくいという問題、および、微粉末シリカは取り扱い中、空中に舞い散り人がこれを吸い込んでしまうなどの作業性に関する問題があることを見出した。
(1)ウレタンプレポリマーを含有する組成物と、平均径50〜300nm、繊維長5〜50μmである炭素繊維とを有する室温硬化型樹脂組成物。
(2)前記炭素繊維の量が、前記炭素繊維以外の成分100質量部に対して、0.9〜5質量部である上記(1)に記載の室温硬化型樹脂組成物。
本発明の室温硬化型樹脂組成物は、
ウレタンプレポリマーを含有する組成物と、平均径50〜300nm、繊維長5〜50μmである炭素繊維とを有する室温硬化型樹脂組成物である。
ウレタンプレポリマーは、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させて得られる反応生成物であって、イソシアネート基を分子末端に含有するポリマーである。
ポリイソシアネート化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリオール化合物は、特に限定されず、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、その他のポリオール、および、これらの混合ポリオールが挙げられる。
ポリオール化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,14−テトラデカンジアミン、1,16−ヘキサデカンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1−シクロヘキシルアミノ−3−アミノプロパン、3−アミノメチル−3,3,5−トリメチル−シクロヘキシルアミン、ノルボルナンジアミン(NBDA)、メタキシリレンジアミン(MXDA)が挙げられる。
有機金属系触媒としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズラウレート、オクチル酸亜鉛、ネオデカン酸鉛、オクチル酸鉛、オクチル酸コバルト、有機ビスマス化合物が挙げられる。
第三級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルグアニジン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリンが挙げられる。
老化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系の化合物が挙げられる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料が挙げられる。
接着付与剤としては、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂が挙げられる。
脱水剤としては、例えば、アシロキシシリル基含有ポリシロキサンが挙げられる。
炭素繊維は、平均径50〜300nm、繊維長5〜50μmのものである。
気相法炭素繊維の原料となる有機化合物としては、例えば、トルエン、ベンゼン、ナフタレン、エチレン、アセチレン、エタン、天然ガス、一酸化炭素等のガス、および、それらの混合物が挙げられる。中でもトルエン、ベンゼンのような芳香族炭化水素が好ましい。
気相法炭素繊維は、その製造について、特に制限されない。例えば、有機化合物と有機遷移金属化合物を気化して、予め500〜1300℃に加熱した水素などの還元性ガスと混合し、800〜1300℃に加熱した反応炉へ供給して反応させることにより得られうる。
また、気相法炭素繊維の接着表面積を増加させる方法としては、例えば、気相法炭素繊維の表面に付着したタールなどの有機物を除くために不活性雰囲気中で900〜1300℃で熱処理する方法;振動ミル、ジェットミルを用いた乾式粉砕;ビーズミルなどを用いた湿式粉砕が挙げられる。
接着付与剤としては、例えば、あらかじめ混合させたウレタンプレポリマーとエポキシ樹脂とケチミンとを含有する添加剤が挙げられる。このような添加剤を有することにより、接着性により優れる。
添加剤に含有されるウレタンプレポリマーは、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させて得られる反応生成物であって、イソシアネート基を分子末端に含有するポリマーである。
Ra、または、Rbで表される有機基は、アルキル基、シクロアルキル基であるのが好ましい。アルキル基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。中でも、RaおよびRbは、メチル基であるのが好ましい態様の1つである。
ポリオール化合物としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、その他のポリオール、および、これらの混合ポリオールが挙げられる。これらの具体例は、本発明に使用される組成物に含有されるウレタンプレポリマーの原料のポリオール化合物と同様である。
添加剤用のウレタンプレポリマーは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。ウレタンプレポリマーの組み合わせとしては、例えば、TMXDIとポリカーボネートポリオールとから得られうるウレタンプレポリマー、および、TMXDIと1,1,1−トリメチロールプロパンとから得られうるウレタンプレポリマーの組み合わせが挙げられる。
エポキシ樹脂は、特に制限されず、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型のようなビスフェニル基を有するエポキシ化合物、ポリアルキレングリコール型、アルキレングリコール型のエポキシ化合物、ナフタレン環を有するエポキシ化樹脂、フルオレン基を有するエポキシ化合物のような2官能型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、DPPノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、テトラフェニロールエタン型のような3官能以上のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ダイマー酸のような合成脂肪酸のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;N,N,N′,N′−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、N,N−ジグリシジルアニリン、トリグリシジル−p−アミノフェノールのようなグリシジルアミノ型エポキシ樹脂が挙げられる。
ケチミンは、加水分解により、第一級アミンを生成しうる化合物である。使用されるケチミンは、特に限定されない。なお、本発明では、ケトンまたはアルデヒドと、アミンとから導かれるC=N結合(ケチミン結合)を有する化合物をケチミンと称する。したがって、本発明において、ケチミンは、−HC=N結合を有するアルジミンも含むものとする。
カルボニル化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
脂肪族系ポリアミンとしては、例えば、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メンセンジアミン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、分子両末端のプロピレン分岐炭素にアミノ基が結合したポリプロピレングリコール(PPG)、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、1,2−ジアミノプロパン、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、H2N(CH2CH2O)2(CH2)2NH2のようなアミン窒素にメチレン基が結合したポリエーテル骨格のジアミン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、メタキシリレンジアミン(MXDA)、ポリアミドアミン、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(1,3BAC)、1−シクロヘキシルアミノ−3−アミノプロパン、3−アミノメチル−3,3,5−トリメチル−シクロヘキシルアミン、ノルボルナンジアミン(NBDA)が挙げられる。これらの中でも、硬化速度が速いことから、ノルボルナンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、メタキシリレンジアミン、H2N(CH2CH2O)2(CH2)2NH2、ポリアミドアミンが好ましい。
ポリアミンは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
mは0、1、2、3のいずれかを表す。
被着体としては、例えば、モルタル、コンクリート;ポリエステルのような繊維が挙げられる。施工方法は、特に制限されず、例えば、刷毛、コテ、ローラー、ガン(塗布装置)を用いて施工することができる。
本発明の室温硬化型樹脂組成物は、炭素繊維を揺変剤として有する。本発明の室温硬化型樹脂組成物は、垂直面に施工されても施工後垂れにくく揺変性に優れる。本発明の室温硬化型樹脂組成物は、炭素繊維が少量の場合であっても、本発明の室温硬化型樹脂組成物は高い揺変性を示すことができる。これに対して、従来、使用されている粉末シリカは、水分によって影響を受けやすく、ウレタン系樹脂組成物の揺変性を安定させることができなかった。
また、本発明の室温硬化型樹脂組成物は、接着性に優れる。本発明の室温硬化型樹脂組成物は、揺変性を高くするために炭素繊維の量を多く有する場合も接着性が低下することはなく、驚くべきことに炭素繊維を添加しない場合より優れた接着性を発現することができる。これに対し、従来、用いられているコロイダル状炭酸カルシウムは、揺変性を出すためには、ウレタン系樹脂組成物に多量に添加しなければならない。このような多量のコロイダル状炭酸カルシウムの使用は、ウレタン系樹脂組成物から得られる硬化物を硬くし、接着性を悪化させていた。
また、炭素繊維は取り扱い中に空中に飛び散ることが少なく、本発明の室温硬化型樹脂組成物は、作業性に優れる。
このように、本発明によれば、水平面に施工されるようなウレタンプレポリマーを含有する組成物を、垂直面に施工することが可能な室温硬化型樹脂組成物とすることができる。ウレタンプレポリマーを含有する組成物に、炭素繊維を添加することにより得られうる室温硬化型樹脂組成物には、揺変性が付与され、接着性が優れるものとなるからである。
(1)ウレタンプレポリマー1の調製
ポリカーボネートジオール(ブラクセル CD220、ダイセル化学工業社製、重量平均分子量2000)100gと、TMXDI(日本サイテックインダストリーズ社製)をNCO/OHモル比が2.0となるよう24.4gで混合し、錫触媒存在下で、窒素気流中、80℃で8時間かくはんしながら反応させた。反応終了後、酢酸エチルを290.3g添加し、目的とするウレタンウレポリマー1(NCO基含有率0.88質量%)を得た。
ノルボルナンジアミン(NBDA、三井化学社製)100gと、メチルイソプロピルケトン(MIPK)200gとを、トルエン200gとともにフラスコに入れ、生成する水を共沸により除きながら20時間反応させてケチミンを得た。
上記のように調製したウレタンプレポリマー1を107.3gと、ウレタンプレポリマー2〔1,1,1−トリメチロールプロパン(TMP)とTMXDIとの反応物(NCO/OHモル比=2.0)であるサイセン3174、日本サイテックインダストリーズ社製〕を33.8gと、エポキシ樹脂としてのビスA型エポキシ樹脂(EP4100、旭電化工業社製)を50.0gとを混合した(なお、ウレタンプレポリマー1およびウレタンプレポリマー2に含有される固形分は50.0gである)。さらにこれに上記のように調製したケチミン34.3g(ウレタンプレポリマー1およびウレタンプレポリマー2のイソシアネート基とエポキシ樹脂のエポキシ基との合計に対して、生成するアミンがモル比で1.0となる量)を添加し、室温、窒素雰囲気下で均一に混合し、接着性付与剤を得た。
第1表に示す各成分を、第1表に示す量(単位は質量部)で23℃、55%RHの条件下で混合し、各室温硬化型樹脂組成物を調製した。
得られた各室温硬化型樹脂組成物について、下記の方法で、チクソインデックスおよびはく離強度を評価した。結果を第1表に示す。
3−1.チクソインデックス
得られた室温硬化型樹脂組成物の調製直後(初期)の粘度を、No.5ローターを用いたBS型粘度計を使用して20℃、回転速度1rpmおよび10rpmで測定し、チクソインデックスを求めた。チクソインデックスは、回転速度1rpmおよび10rpmで計測される粘度比〔チクソインデックス=(1rpmでの粘度)/(10rpmでの粘度)〕である。チクソインデックスの値が高いほど揺変性が高い。チクソインデックスの値が3以上の場合、揺変性に優れるといえる。
(1)試験体の作製
被着体として縦25cm、横25mmのモルタル板1枚と、同じ大きさのポリエステル不織布のシート1枚とを使用した。
得られた室温硬化型樹脂組成物を23℃、55%RHの条件下でモルタル板に0.2kg/m2となるように塗布し、これにシートを張り合わせたものを試験体1とした。
(2)はく離強度の測定
試験体1を23℃、55%RHの条件下で7日間養生して硬化させた。
次に、硬化後の試験体について、180°ピール引張試験を引張速度50mm/minの条件で行ってはく離力を測定し、その平均値を求め、この値をはく離強度とした。
・1液型ウレタン系防水材樹脂組成物:EU−ONE、横浜ゴム社製
・2液型ウレタン系防水材樹脂組成物:U−8000、横浜ゴム社製
・接着性付与剤:上記のように調製した接着性付与剤
・炭素繊維:VGCF(アスペクト比1〜500、繊維径150nm、繊維長10〜20μm)、昭和電工社製
・微粉末シリカ:アエロジルRY200、日本アエロジル社製
・コロイダル状炭酸カルシウム:カルファイン200、丸尾カルシウム社製
また、実施例1〜4は比較例1〜5に比べてチクソインデックスの値が高く、揺変性に優れる。特に、炭素繊維の量が少ない実施例1において、チクソインデックスの値が3以上と、炭素繊維の量が少量であっても優れた揺変性を発現した。また、実施例1〜4は高いはく離強度を示し、接着性に優れる。さらに、驚くべきことに、実施例1〜3の結果から、炭素繊維の量を増やしても接着性をより優れたものとすることができることが分かった。このように本発明の室温硬化型樹脂組成物から得られうる硬化物は、揺変性、作業性、接着性に優れることが分かる。
これに対して、比較例1は、揺変剤を含有しないため、揺変性が低い。微粉末シリカを含有する比較例2は、揺変性、接着性がともに低い。比較例3は、コロイダル状炭酸カルシウムの量が10質量部と少ないため揺変性に劣る。コロイダル状炭酸カルシウムの量を30質量部に増やした比較例4は、比較例3に比べて、チクソインデックスの値は高くなるが、コロイダル状炭酸カルシウムの量が多くなったことにより、接着性が低くなってしまった。
Claims (2)
- ウレタンプレポリマーを含有する組成物と、平均径50〜300nm、繊維長5〜50μmである炭素繊維とを有する室温硬化型樹脂組成物。
- 前記炭素繊維の量が、前記炭素繊維以外の成分100質量部に対して、0.9〜5質量部である請求項1に記載の室温硬化型樹脂組成物。
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