JP2006291046A - 燃料電池用炭化水素系ポリマー - Google Patents

燃料電池用炭化水素系ポリマー Download PDF

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Abstract

【課題】 高耐久性を有する燃料電池電解質膜用炭化水素ポリマー、該ポリマーを用いた燃料電池電解質膜、該電解質膜を用いた燃料電池の提供。
【解決手段】 ある繰返単位を有する炭化水素系ポリマーであって、該繰返単位は、該繰返単位を4つ連続してなる計算オリゴマーについての量子化学計算法によるHOMOの値が、式Iで表される繰返単位を4つ連続してなる比較オリゴマーに関して前記量子化学計算法によって得られた比較HOMO値よりも低いことを特徴とする、炭化水素系ポリマーにより、上記課題を解決する。
【化1】
Figure 2006291046

【選択図】 なし

Description

本発明は、高耐久性を有する炭化水素系ポリマー、特に燃料電池の材料、例えば燃料電池の電解質膜などの各種材料に用いられる、高耐久性炭化水素ポリマーに関する。また、本発明は、該ポリマーの選出方法に関する。
化石資源の枯渇の懸念又は環境への関心などから、エネルギー変換効率が高く且つNOx又はSOx排出が少ないなどの利点を有する燃料電池、例えば固体高分子形燃料電池(PEFC)が、新規エネルギー源として期待されている。
PEFCは、電極及び電解質膜から構成される。電解質膜は、PEFCの耐久性を決める構成要素であると考えられている(非特許文献1又は2を参照のこと)。PEFCの電解質膜として一般的に、Nafion(登録商標)などのフッ素系ポリマーが用いられるが、70〜120℃程度の高温で使用される場合、耐久性が問題となる。
そのため、Nafion(登録商標)に代わるポリマー、例えば、低コスト及び高耐熱性を有するスルホン化芳香族炭化水素系ポリマーが、現在数多く研究されている(非特許文献1を参照のこと)。
Bae, et al., Solid State Ionics 2002, 147, 1-2。 T. N. Buchi, et al., Electrochim. Acta 1995, 40。 Hickner, M. A., et al., Chem. Revs. 2004, 104, 4587-4611。
しかしながら、スルホン化芳香族炭化水素系ポリマーは、電解質膜の劣化原因と考えられる過酸化水素又はそれに由来するOHラジカルの攻撃に弱いことが知られている。
そこで、本発明の目的は、高耐久性を有する炭化水素系ポリマー、特に燃料電池用材料、特に燃料電池電解質として用いられる炭化水素ポリマー、該ポリマーを用いた燃料電池用材料、燃料電池電解質膜及び/又は燃料電池を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、次の事項を見出した。
即ち、様々なスルホン化芳香族炭化水素系ポリマーの劣化原因が、ポリマーの分解にあることを見出した。また、ポリマーの分解原因が、過酸化水素から生成するOHラジカルであると考えた。
通常、カソードでは酸素がプロトン、電子と反応し、水となる。しかし、この反応過程の中で、又は酸素がアノードへ透過し2電子とだけ反応した場合、過酸化水素が生成される。過酸化水素は、高温、酸性条件下で、分解し、OHラジカルとなり、このOHラジカルがポリマーを分解・劣化させるものと考えられる。したがって、OHラジカルからの攻撃に対して耐性を有するポリマーが、高耐久性を有する燃料電池電解質膜用炭化水素ポリマーであることを本発明者らは見出した。また、これに基づいて、本発明者らは、以下の発明を見出した。
<1> ある繰返単位を有する炭化水素系ポリマーであって、該繰返単位を4つ連続有してなる計算オリゴマーについての量子化学計算法によるHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)の値が、式Iで表される繰返単位を4つ連続有してなる比較オリゴマーに関して前記量子化学計算法によって得られた比較HOMO値よりも低いことを特徴とする炭化水素系ポリマー。
Figure 2006291046
<2> 上記<1>において、計算オリゴマーについての量子化学計算法によるHOMOの位置が、該計算オリゴマーの主鎖の中心部にないのがよい。特に、HOMOの位置が、計算オリゴマーの第2又は第3の繰返単位のいずれかに局在しないのがよい。
<3> 上記<1>又は<2>において、計算オリゴマーについての量子化学計算法によるHOMOの値の絶対値が、比較HOMO値の絶対値の1.1倍以上、好ましくは1.15倍以上、より好ましくは1.2倍以上であるのがよい。
<4> 上記<1>〜<3>のいずれかにおいて、計算オリゴマーにおいて、量子化学計算法によるLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が、該計算オリゴマーに局在しないのがよい。即ち、LUMOは、計算オリゴマーにおいて均一分散しているのがよい。また、LUMOの位置は、HOMOの位置と同じ位置でないのがよい。なお、LUMOが局在化していたとしても、計算オリゴマーの1番目及び/又は4番目の繰返単位のいずれかであればよい。
<5> 上記<1>〜<4>のいずれかにおいて、計算オリゴマーにおいて、量子化学計算法によるLUMOが計算オリゴマーの2番目又は3番目の繰返単位のいずれかに局在するものを除くのがよい。
<6> 上記<1>〜<5>のいずれかにおいて、ポリマーがプロトン伝導性を有するのがよい。
<7> 上記<1>〜<6>のいずれかにおいて、ポリマーを燃料電池用材料として用いるのがよい。
<8> 上記<1>〜<7>のいずれかにおいて、ポリマーを燃料電池電解質膜として用いるのがよい。
<9> 式II(式中、A及びBは各々独立に、0〜4個の置換基を示す)で表される繰返単位を有するポリマー。
Figure 2006291046
<10> 上記<9>において、ポリマーを燃料電池用材料として用いるのがよい。
<11> 上記<9>又は<10>において、ポリマーを燃料電池電解質膜として用いるのがよい。
<12> 式IIIで表される繰返単位(式中、Xは単結合を含む二価の基を示す。Xとして、例えば、単結合、S、O、SO、CO、1〜12個の炭素を有する2価の結合基(例えば、−(CH−又は−(CF−(n又はmは各々独立に1〜12の整数を示す。なお、−(CH−又は−(CF−において、H又はFの代わりに各種の置換基を有してもよい))を挙げることができるがこれに限定されない。A'及びB'は各々独立に、0〜4個の置換基を示す。)を有し、該繰返単位は、該繰返単位を4つ連続してなる計算オリゴマーについての量子化学計算法によるHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)の値が、式Iで表される繰返単位を4つ連続してなる比較オリゴマーに関して前記量子化学計算法によって得られた比較HOMO値よりも低いことを特徴とする炭化水素系ポリマー。
Figure 2006291046
<13> 上記<12>において、計算オリゴマーについての量子化学計算法によるHOMOの位置が、該計算オリゴマーの主鎖の中心部にないのがよい。特に、HOMOの位置が、計算オリゴマーの第2又は第3の繰返単位のいずれかに局在しないのがよい。
<14> 上記<12>又は<13>において、計算オリゴマーについての量子化学計算法によるHOMOの値の絶対値が、比較HOMO値の絶対値の1.1倍以上、好ましくは1.15倍以上、より好ましくは1.2倍以上であるのがよい。
<15> 上記<12>〜<14>のいずれかにおいて、量子化学計算法が半経験的量子計算法のPM5であり、HOMO値が、比較HOMO値よりも−1.5eV、好ましくは−2.5eV、より好ましくは3eV低いのがよい。
<16> 上記<12>〜<15>のいずれかにおける計算オリゴマーにおいて、量子化学計算法によるLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が、該計算オリゴマーに局在しないのがよい。即ち、LUMOは、計算オリゴマーにおいて均一分散しているのがよい。また、LUMOの位置は、HOMOの位置と同じ位置でないのがよい。なお、LUMOが局在化していたとしても、計算オリゴマーの1番目及び/又は4番目の繰返単位のいずれかであればよい。
<17> 上記<12>〜<16>のいずれかにおける計算オリゴマーにおいて、量子化学計算法によるLUMOが計算オリゴマーの2番目又は3番目の繰返単位のいずれかに局在するものを除くのがよい。
<18> 上記<12>〜<17>のいずれかにおいて、ポリマーがプロトン伝導性を有するのがよい。
<19> 上記<12>〜<18>のいずれかにおいて、ポリマーを燃料電池用材料として用いるのがよい。
<20> 上記<12>〜<19>のいずれかにおいて、ポリマーを燃料電池電解質膜として用いるのがよい。
<21> 上記<1>〜<20>のいずれかのポリマーを有する燃料電池用材料。
<22> 上記<1>〜<20>のいずれかのポリマーを有する燃料電池用電解質膜。
<23> 上記<1>〜<20>のいずれかのポリマーを有する燃料電池。
<24> 高耐久性ポリマーの選出方法であって、該方法は、
ポリマーの繰返単位を4つ連続してなる計算オリゴマーについての量子化学計算法による計算HOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)値を計算する工程;
上記式Iで表される繰返単位を4つ連続してなる比較オリゴマーに関して上記と同じ量子化学計算法による比較HOMO値を計算する工程;及び
計算HOMO値と比較HOMO値とを比較して、計算HOMO値が比較HOMO値よりも低い場合、繰返単位を有するポリマーを高耐久性ポリマーとして選出する選出工程;を有する、上記方法。
<25> 上記<24>において、計算オリゴマーについての量子化学計算法によるHOMOの位置が、該計算オリゴマーの主鎖の中心部にないポリマーを高耐久性ポリマーとして選出するのがよい。特に、HOMOの位置が、計算オリゴマーの第2又は第3の繰返単位のいずれかに局在しないポリマーを高耐久性ポリマーとして選出するのがよい。
<26> 上記<24>又は<25>において、計算オリゴマーについての量子化学計算法によるHOMOの値の絶対値が、比較HOMO値の絶対値の1.1倍以上、好ましくは1.15倍以上、より好ましくは1.2倍以上であるのがよい。
<27> 上記<24>〜<26>のいずれかにおいて、計算オリゴマーに関する量子化学計算法によるLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が、該計算オリゴマーに局在しない場合、繰返単位を有するポリマーが高耐久性である工程をさらに有するのがよい。即ち、LUMOは、計算オリゴマーにおいて均一分散しているのがよく、そのような繰返単位を有するポリマーが高耐久性を有する。また、LUMOの位置は、HOMOの位置と同じ位置でないのがよく、そのような繰返単位を有するポリマーが高耐久性を有する。なお、LUMOが局在化していたとしても、計算オリゴマーの1番目及び/又は4番目の繰返単位のいずれかであれば、該繰返単位を有するポリマーは、高耐久性を有することができる。
<28> 上記<24>〜<27>のいずれかにおいて、計算オリゴマーに関する量子化学計算法によるLUMOが、計算オリゴマーの2番目又は3番目の繰返単位のいずれかに局在する場合、該繰返単位を有するポリマーを除く工程をさらに有するのがよい。
<29> OHラジカル耐性を有するポリマーの選出方法であって、該方法は、
イオン交換基を有する繰返単位のみからなるホモポリマーの0.15wt%水溶液を調製する工程;
水溶液に1.5wt%過酸化水素を加え、60℃の条件下に置く工程;
60℃に置いた時点を0時間とし、1時間後に前記水溶液から少量サンプリングしイソプロパノールを加えて反応を停止させて生成物を得る工程;及び
得られた生成物の分子量を測定する工程;を有し、
生成物の分子量を用いたホモポリマー分子量で標準化した値((生成物の分子量)/(用いたホモポリマー分子量)*100)が50以上、好ましくは60以上、より好ましくは80以上、最も好ましくは100であるとき、繰返単位を有するポリマーはOHラジカル耐性を有すると判断される、上記方法。
<30> 上記<29>において、得られた生成物の残存イオン交換基量を測定する工程;をさらに有し、残存イオン交換基量が50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、最も好ましくは99%以上であるとき、繰返単位を有するポリマーはOHラジカル耐性を有すると判断するのがよい。
<31> 上記<29>又は<30>における、繰返単位を有するポリマーにおいて、上記<24>〜<28>のいずれかの特徴を有するのがよい。
本発明により、高耐久性を有する炭化水素系ポリマー、特に燃料電池用材料、特に燃料電池電解質として用いられる炭化水素ポリマー、該ポリマーを用いた燃料電池用材料、燃料電池電解質膜及び/又は燃料電池を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、高耐久性を有する炭化水素系ポリマー、特に燃料電池用材料、より特に燃料電池電解質膜として用いられる炭化水素系ポリマーに関する。
ここで「炭化水素系ポリマー」とあるのは、例えばNafion(登録商標)などの、主鎖が炭素とハロゲン元素のみからなるハロゲン化ポリマーを除くポリマーを意味する。特に、本発明において、「炭化水素系ポリマー」は、繰返単位においてベンゼン環を有する芳香族炭化水素系ポリマーであるのがよい。
本発明のポリマーは、プロトン伝導性を有するのがよい。なお、プロトン伝導性は、−50℃〜200℃のいずれかの温度において且ついずれかの水蒸気圧環境下において、0.001S/cm以上、好ましくは0.01S/cm以上であるのがよい。
本発明のポリマーは、ある繰返単位(説明のため、繰返単位「A」とする)を有し、且つ該繰返単位「A」を4つ連続してなる計算オリゴマー(AAAA)の量子化学計算法によるHOMO計算値が、上記式Iで表される繰返単位(説明のため、繰返単位「B」とする)を4つ連続してなる比較オリゴマー(BBBB)の比較HOMO値よりも低いことを特徴とする。
本発明のポリマーについて、より詳細に説明する。
本願において「計算オリゴマー」は、ある繰返単位(「A」)が4つ連続してなるオリゴマー(「AAAA」)であって、量子化学計算法による計算を行うためだけに用いられる。即ち、「計算オリゴマー」とは、量子化学計算による計算結果を得るためだけの、ある繰返単位を4つ連続して有するオリゴマーをいう。この「計算オリゴマー」に関して、ある量子化学計算法を用いて、HOMOを計算する。この計算値が、比較HOMO値(比較オリゴマー(BBBB)についての、同じ量子化学計算法によるHOMO値)よりも低い値であれば、「A」で表される繰返単位を有するポリマーは、高耐久性を有する。
好ましくは、「計算オリゴマー」のHOMO計算値の絶対値が、比較HOMO値の絶対値の1.1倍以上、好ましくは1.15倍以上、より好ましくは1.2倍以上であるのがよい。HOMO値は一般に「負」の値である。したがって、絶対値を比較した場合、その値が1.1倍以上、好ましくは1.15倍以上、より好ましくは1.2倍以上であることにより、該繰返単位を有するポリマーは、OHラジカル耐性を有し、且つ高耐久性を有することができる。
なお、比較オリゴマー(BBBB)の繰返単位「B」を有するポリマーは、後述の実施例に示すように、ある所定のOHラジカル耐性を示す。したがって、ある所定のラジカル耐性を示すポリマーよりも高OHラジカル耐性を示す(低HOMO値を有する)ポリマーは、高耐久性を示す。
ここで、「A」で表される繰返単位を有するポリマーとは、「A」のみからなるホモポリマーであっても、「A」以外の繰返単位と「A」とを有するコポリマーであってもよい。コポリマーの場合、各種コポリマー、例えばブロックコポリマー、交互コポリマー、グラフトコポリマー、ランダムコポリマーであってもよい。
本発明のポリマーは、HOMO及びLUMOがいずれにも局在しないのが最も好ましい。HOMOの位置は、主鎖の中心部、特に計算オリゴマーの第2又は第3の繰返単位のいずれかに局在しないのがよい。また、LUMOの位置は、主鎖、特に主鎖の中心部に局在しないのがよい。換言すると、LUMOは均一に分散するのがよい。
HOMOの位置が主鎖の中心に局在すると、該局在化したHOMOの位置にOHラジカルによる攻撃を受ける。攻撃を受けることにより、主鎖の中心部からポリマーが切断又は破断することとなるため、ポリマーはOHラジカル耐性、即ち耐久性を有しない傾向にある。また、LUMOの位置は、HOMOの位置と同じ位置でないのがよい。
LUMOが主鎖、特に主鎖の中心部に局在しないことにより、ポリマーは、OHラジカルに由来する他のラジカル(例えばCOOラジカル)への耐性、即ち高耐久性を示す。また、本発明のポリマーは、LUMOが計算オリゴマーの第1及び/又は第4の繰返単位のいずれかに局在していてもよい。換言すると、本発明のポリマーは、LUMOが計算オリゴマーの第2又は第3の繰返単位のいずれかに局在しないのがよい。LUMOが第2又は第3の繰返単位のうちのいずれかに局在、即ちポリマーの中心又はその付近に存在すると、燃料電池を使用する際の反応過程で生じるOHラジカルに由来する他のラジカルが該第2又は第3の繰返単位(ポリマーの中心又はその付近)を攻撃する可能性が高くなる。したがって、中心部分にOHラジカルに由来する他のラジカルの攻撃を受けたポリマーは、該中心部分で切断又は破断するため、このような状況を有するポリマーは、耐久性が低下する傾向にある。なお、LUMOが計算オリゴマーの第1及び/又は第4の繰返単位のいずれかに局在する場合、即ち、LUMOがポリマーの末端又はその周辺、特にポリマー末端から数えて第1番目の繰返単位のいずれかに存在する場合、OHラジカルに由来する他のラジカルは、該末端又はその周辺を攻撃する。攻撃を受けたポリマーは、該末端部分が切断又は破断することとなるが、中心部分に攻撃を受けた場合よりも耐久性を有する傾向にある。
量子化学計算法は、各種の方法、例えば、各種の半経験的量子化学計算法、各種のab−initio法などを用いることができる。いずれの場合であっても、計算対象となる「計算オリゴマー」と「比較オリゴマー」とは、同一の方法を用いることを要する。
また、本発明は、上記式II(式中、A及びBは各々独立に、0〜4個の置換基を示す)で表される繰返単位を有するポリマー、特に燃料電池用材料、特に燃料電池電解質として用いられるポリマーを提供する。
上記式IIで表される繰返単位を有するポリマーは、プロトン伝導性を有し、且つ計算オリゴマーについての量子科学計算法によるHOMOの値が比較HOMO値よりも低いという特徴を有する。また、LUMOに関しても、上記式IIで表される繰返単位を有するポリマーは、計算オリゴマーの第1及び/又は第4の繰返単位に局在するか、又は第2又は第3の繰返単位に局在しない。
式IIにおいて、Aは0〜4個の置換基を表し、Bは0〜4個の置換基を表す。なお、置換基として、特に限定されないが、−CHなどを挙げることができる。
また、本発明は、上記式IIIで表される繰返単位を有する炭化水素系ポリマーであって、該繰返単位は、該繰返単位を4つ連続してなる計算オリゴマーについての量子化学計算法によるHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)の値が、式Iで表される繰返単位が4つ連続してなる比較オリゴマーに関して前記量子化学計算法によって得られた比較HOMO値よりも低いことを特徴とする、炭化水素系ポリマーを提供する。
Figure 2006291046
式III中、Xは、単結合を含む二価の基を示す。Xとして、例えば、単結合、1〜12個の炭素を有する2価の結合基(例えば、−(CH−又は−(CF−(n又はmは各々独立に1〜12の整数を示す。なお、−(CH−又は−(CF−において、H又はFの代わりに各種の置換基を有してもよい))を挙げることができるが、これらに限定されない。また、A'及びB'は各々独立に、0〜4個の置換基を示す。A'及びB'として−CHなどの基を挙げることができるが、これに限定されない。
上述したポリマーは、燃料電池用材料として用いるのがよい。特に、上述したポリマーは、燃料電池電解質膜として用いるのがよい。なお、燃料電池電解質膜は、上述のポリマーのみからなってもよく、該ポリマーを有してなってもよい。
また、本発明は、上述のポリマーを有する燃料電池を提供する。
本発明は、上述したポリマー、即ち高耐久性ポリマーを選出する方法を提供する。
本発明の方法は、ポリマーの繰返単位を4つ連続してなる計算オリゴマーについての量子化学計算法によるHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)計算値を計算する工程;
上記式Iで表される繰返単位を4つ連続してなる比較オリゴマーに関して上記と同じ量子化学計算法による比較HOMO値を計算する工程;及び
HOMO計算値と比較HOMO値とを比較して、計算HOMO値が比較HOMO値よりも低い場合、繰返単位を有するポリマーを高耐久性ポリマーとして選出する選出工程;を有する。
本発明の方法において、計算オリゴマーについての量子化学計算法によるHOMOの値の絶対値が、比較HOMO値の絶対値の1.1倍以上、好ましくは1.15倍以上、より好ましくは1.2倍以上であるのがよい。
また、計算オリゴマーに関する量子化学計算法によるLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が、計算オリゴマーの1番目及び/又は4番目の繰返単位のいずれかに局在する場合、繰返単位を有するポリマーを高耐久性ポリマーとして選出する第1の選出精査工程をさらに有するのがよい。
さらに、計算オリゴマーに関する量子化学計算法によるLUMOが、計算オリゴマーの2番目又は3番目の繰返単位のいずれかに局在する場合、該繰返単位を有するポリマーを高耐久性ポリマーから除く第2の選出精査工程をさらに有するのがよい。
本発明のHOMO値又はLUMOなどの量子化学計算方法について、説明する。
量子化学計算方法は、市販のコンピュータソフトを用いて行うことができる。なお、計算に際して、計算オリゴマー(比較オリゴマー)を、分子力学計算法MMなどにより最適化し、その後にAM1、PM3又はPM5法などを用いて、HOMO値又はLUMOの位置を計算する。また、HOMO及びLUMOにおける電子密度を計算し、それらの位置を求める。
また、OHラジカルの計算オリゴマー(比較オリゴマー)へのアクセスのしやすさ、及びOHラジカル−計算オリゴマー(比較オリゴマー)の反応経路の計算を行うこともできる。
OHラジカルの計算オリゴマー(比較オリゴマー)へのアクセスのしやすさについては、例えば、次のように行うことができる。
まず、計算オリゴマーとOHラジカルの構造最適化を分子力学計算法MM法、ついでPM3法により、別々に行う。次に、OHラジカルを攻撃の対象とする原子から2Åの距離において、計算オリゴマー(比較オリゴマー)と平行に付加する付加体についての各原子の位置を最適化する。最適化計算で得られたエネルギーの計算値を用いて、異なる原子の場合の計算結果と比較する。簡単に言うとこの計算ではOHラジカルがポリマーから特定の距離に存在する時の安定性の検討を行うことができる。エネルギーの値が低ければOHラジカルがその原子に接近しやすいことを意味している。
OHラジカル−計算オリゴマー(比較オリゴマー)の反応経路の計算については、例えば、次のように行うことができる。
まず、計算オリゴマーとOHラジカルの構造最適化を分子力学計算法MM法、ついでPM3法により、別々に行う。次に、OHラジカルを攻撃の対象とする原子から2Åの距離において、0.1Åのステップで初期状態からOHラジカルをSPESに近づけながら構造の最適化を行い、エネルギー変化のプロットを得る(1Åまで)。同様にOHラジカルをSPESから遠ざける計算(3Åまで)も行い、エネルギーの値が最も高い、遷移状態の構造を探る。
エネルギーのプロファイルにより遷移状態の構造を見積もり、さらに計算精度を上げ(OHラジカルとSPESの距離)、遷移状態を探る。
得られた遷移状態の構造が正しいかどうかを確認するためにIRスペクトル計算を行う。周波数の負の値に1個しかピークが存在しなければその遷移状態が正しいことがわかる。
確認された構造を用いて、構造最適化を行いながら0.005ÅステップでOHラジカルがSPESに近づくか又は遠ざかる計算を行う。これにより、縦軸がエネルギー、横軸が反応経路、のプロットが得られる(遷移状態が開始点・スタートポイントで、"左"と"右"に計算していくような計算仕方です)。このように、反応経路の計算を行うことにより、反応の活性化エネルギー、エンタルピー変化を求めることができる。
また、本発明は、OHラジカル耐性を有するポリマーの選出方法を提供する。
この方法は、イオン交換基を有する繰返単位のみからなるホモポリマーの0.15wt%水溶液を調製する工程;記水溶液に1.5wt%過酸化水素を加え、60℃の条件下に置く工程;記60℃に置いた時点を0時間とし、1時間後に水溶液から少量サンプリングしイソプロパノールを加えて反応を停止させて生成物を得る工程;及び得られた生成物の分子量を測定する工程;を有する。さらに、本発明の方法は、生成物の分子量を用いたホモポリマー分子量で標準化した値((生成物の分子量)/(用いたホモポリマー分子量)*100)が50以上、好ましくは60以上、より好ましくは80以上、最も好ましくは100であるとき、繰返単位を有するポリマーはOHラジカル耐性を有すると判断する。
ここで、「イオン交換基」とは、プロトンを容易に脱離する基をいい、例えばスルホン酸基などを挙げることができる。また、生成物の分子量を、用いたホモポリマー分子量で標準化する計算法は、上述のように、次の式により求めることができる。
標準化した値=(生成物の分子量)/(用いたホモポリマー分子量)*100。
また、本発明は、得られた生成物の残存イオン交換基量を測定する工程;をさらに有し、残存イオン交換基量が50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、最も好ましくは99%以上であるとき、繰返単位を有するポリマーはOHラジカル耐性を有すると判断するのがよい。
なお、本発明の「OHラジカル耐性を有するポリマーの選出方法」は、上述の「高耐久性ポリマーを選出する方法」の各特徴を有してもよい。
以下、実施例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
<ポリマー合成>
以下に示す、a)〜f)の繰返単位を有するポリマー(以下、それぞれ、「SPES−a」〜「SPES−f」と表す)を合成し、1H NMR、FT−IR、CHNS元素分析により同定を行った。
Figure 2006291046
<加速耐性試験>
上記で得たポリマーの水溶液(0.15wt%)に過酸化水素(1.5wt%)を加え、60℃の条件下で加速耐性試験を行った。30分毎にサンプリングし、ラジカル反応を停止させるためにイソプロパノールを加えて、乾燥させた。得られた分解生成物中に含まれる脱離スルホン酸基量をイオン分光分析(IPC)で測定した。また、ゲル透過クロマトグラム(GPC)を用いて分解に伴う分子量の変化を測定した。本試験(OHラジカルテスト)と比較するため、ポリマーSPES−aの耐熱性テスト(120℃、24時間)も行った。
図1は、ポリマーSPES−aの各試験前の状態(「initial」で表されるスペクトル)と、加速耐性試験(OHラジカルテスト)後のIRスペクトル(「OH・test」で表される)と耐熱性テスト後のIRスペクトル(「Heat test」で表される)とを比較する図である。
図1から、次のことがわかる。即ち、耐熱性テスト後のスペクトル(ピークの位置)は、試験前の状態と変化がないことがわかる。これは、ポリマーSPES−aが高温において耐久性を有することを示している。一方、加速耐性試験(OHラジカルテスト)後のIRスペクトルは、2900cm−1付近にCH、CH由来のピークが観察される。これから、OHラジカルによりポリマーが分解され、且つポリマーSPES−aがOHラジカルに弱いことがわかる。
図2は、IPCの測定結果を示す。縦軸は、全体のスルホン酸基に対して脱離したスルホン酸基の割合を示す。図2から、スルホン酸基の脱離率は、最大でも30%程度であり、過激な試験を行った割には、比較的低いことがわかった。
図3は、GPCの結果を示す。図3の縦軸は、分子量で標準化した値であり、この値が100%に近い程、ポリマーの分解が抑制されていることを示す。図3から、用いるモノマーによりポリマーの耐性が異なることがわかった。時間に伴い、分子量分布のピークが低分子量の領域にシフトすることがわかった。ポリマー6種のうち、ポリマーSPES−bが一番、分解されていない、即ちOHラジカル耐性があることがわかった。
<分解機構>
IPCの結果(図2)とGPCの結果(図3)とを比較すると、分子量の減少がスルホン酸基の脱離量より大きいことがわかる。例えば、SPES−bにおいて、スルホン酸基の脱離量が10mol%程度である一方、分子量の減少は約40%(Normalized Mwの値は約60%)であった。このことから、スルホン酸基の脱離反応よりも主鎖切断反応の方が進行しやすいことがわかる。
<主鎖切断のシミュレーション>
<<Mw/Mnの経時変化>>
図4に、SPES−a(図4(a))、SPES−b(図4(b))、及びSPES−c(図4(c))の分解パターンを示す。横軸は滞留時間、縦軸は、相対分布を示す。図4(a)〜(c)からわかるように、図3で示したOHラジカル耐性によって、分解パターンが異なることがわかる(図4中、「耐性:中」などは、図3で示したOHラジカル耐性の度合いを示す)。
高耐性のSPES−bの分布は、低分子量の領域にシフトするのに対し、低耐性のSPES−cの分布は、低分子量領域に複数のピークが観察された。加速耐性試験のサンプルから得た多分散性(Mw/Mn)の値を図5に示す。Boseらの分解モデル(Bose, et al., Macromol. Theo and Sim. 2004, 13, 453-473)を作成し、末端切断(耐性が高い)と中心切断(耐性が低い)という2つの分解機構の計算を行った。その結果を図6に示す。高耐性ポリマーのMw/Mn値に比べて、低耐性ポリマーのMw/Mn値の変化は急激であり、分解が進行しやすいことが図6からわかる。
<<構造耐性と切断パターンの関係>>
末端切断の結果では、ポリマーの分子量分布は、低分子量領域にシフトするだけで、分子量分布のピークは単峰型であった。一方、中心切断の結果では、分子量分布のシフトが若干しか見られないものの、低分子量領域に複数のピークが観察された。この結果から、高耐性ポリマーは、中心から切断されにくく、末端から分解していくことがわかる。一方、低耐性ポリマーは、末端及び中心の双方からポリマーの分解が進行すると考えられる。
GPCの結果より、ポリマーの分解反応は、末端切断と中心切断との双方が同時に進行するものと考えられ、分子構造により切断箇所の速度が異なることがわかった。これらの現象を再現するためモデル拡張を行った結果、ポリマーSPES−cの分解パターン(図4(c))を再現することができた(図7参照のこと)。また、図示しないが、単峰型の分解パターンを有するポリマーSPES−bについても、その分解パターン(図4(b))を再現することができた。
<量子化学計算>
CAChe Worksystem Pro6.1を用いて、ポリマーSPES−a〜ポリマーSPES−fの4mer構造(繰返単位が4つであるオリゴマー)を作成し、半経験的量子化学計算法(AM1、PM3、PM5)を用いて、各オリゴマーとOHラジカルとの反応経路、OHラジカルの付加体形成の安定化エネルギー、分子軌道エネルギーの計算を行った。溶媒効果を考慮する計算ではCOSMO法を用いた。
<<ポリマーの反応性>>
半経験的量子化学計算を用いたポリマーへのOHラジカルの接近に対する安定化エネルギーの計算結果を図8に示す。図8から、OHラジカルは、スルホン基又はスルホン酸基がついている炭素原子の付近よりも、ベンゼン環の他の炭素原子・エーテル結合の炭素原子に付加した方が安定であることがわかる。この結果は、上述した結果を再現し、主鎖切断反応が進行しやすいことを支持している。立体障害を作る置換基が存在すると(例えば、SPES−d)、OHラジカルが主鎖に近づきにくくなることがわかる。
分子軌道エネルギー計算では、溶媒効果や鎖長によって、HOMOとLUMOの形が変化しないことがわかった。
<<耐性指標>>
ポリマーSPES−a〜ポリマーSPES−fについて、電子の与えやすさを表すパラメータであるHOMOエネルギーを計算した。図9は、HOMO計算値を横軸に、分解30分後の分子量の割合を縦軸にした、耐性指標を表す図である。図9から、HOMOエネルギーが低いもの(横軸の右側にいく程、HOMOエネルギーが低い)が、分子量の割合が高いこと、即ちOHラジカル耐性を有することがわかる。要するに、図9は、電子を与えにくい分子構造、つまりHOMOエネルギーの低い構造を有するポリマーが、高いOHラジカル耐性及び高い耐久性をもたらすことを示す。
なお、ポリマーSPES−cは、LUMOが第2又は第3の繰返単位に局在する。このため、中心切断が容易に進行するため、低い耐性を示すものと考えられる。
ポリマーSPES−aの各試験前の状態(「initial」で表されるスペクトル)と、加速耐性試験(OHラジカルテスト)後のIRスペクトル(「OH・test」で表される)と耐熱性テスト後のIRスペクトル(「Heat test」で表される)とを比較する図である。 IPCの測定結果を示す図である。 GPCの結果を示す図である。 SPES−a((a))、SPES−b((b))、及びSPES−c((c))の分解パターンを示す図である。 加速耐性試験のサンプルから得た多分散性(Mw/Mn)の値を示す図である。 2つの分解機構の計算結果を示す図である。 モデル拡張により、ポリマーSPES−cの分解パターンを再現できることを示す図である。 半経験的量子化学計算を用いたポリマーへのOHラジカルの接近に対する安定化エネルギーの計算結果を示す図である。 HOMO計算値を横軸に、分解30分後の分子量の割合を縦軸にした、耐性指標を表す図である。

Claims (29)

  1. ある繰返単位を有する炭化水素系ポリマーであって、該繰返単位を4つ連続してなる計算オリゴマーについての量子化学計算法によるHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)の値が、式Iで表される繰返単位を4つ連続してなる比較オリゴマーに関して前記量子化学計算法によって得られた比較HOMO値よりも低いことを特徴とする炭化水素系ポリマー。
    Figure 2006291046
  2. 前記計算オリゴマーについての量子化学計算法によるHOMOの位置が、該計算オリゴマーの主鎖の中心部にない請求項1記載のポリマー。
  3. 前記計算オリゴマーについての量子化学計算法によるHOMOの値の絶対値が、比較HOMO値の絶対値の1.1倍以上である請求項1又は2記載のポリマー。
  4. 前記計算オリゴマーにおいて、前記量子化学計算法によるLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が、該計算オリゴマーに局在しない請求項1〜3のいずれか1項記載のポリマー。
  5. 前記計算オリゴマーにおいて、前記量子化学計算法によるLUMOが前記計算オリゴマーの2番目又は3番目の繰返単位のいずれかに局在するものを除く請求項1〜4のいずれか1項記載のポリマー。
  6. 前記ポリマーがプロトン伝導性を有する請求項1〜5のいずれか1項記載のポリマー。
  7. 前記ポリマーを燃料電池用材料として用いる請求項1〜6のいずれか1項記載のポリマー。
  8. 前記ポリマーを燃料電池電解質膜として用いる請求項1〜7のいずれか1項記載のポリマー。
  9. 式II(式中、A及びBは各々独立に、0〜4個の置換基を示す)で表される繰返単位を有するポリマー。
    Figure 2006291046
  10. 前記ポリマーを燃料電池用材料として用いる請求項9項記載のポリマー。
  11. 前記ポリマーを燃料電池電解質膜として用いる請求項9又は10記載のポリマー。
  12. 式IIIで表される繰返単位(式中、Xは単結合を含む二価の基を示し、A'及びB'は各々独立に、0〜4個の置換基を示す。)を有し、該繰返単位は、該繰返単位を4つ連続してなる計算オリゴマーについての量子化学計算法によるHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)の値が、式Iで表される繰返単位を4つ連続してなる比較オリゴマーに関して前記量子化学計算法によって得られた比較HOMO値よりも低いことを特徴とする炭化水素系ポリマー。
    Figure 2006291046
  13. 前記計算オリゴマーについての量子化学計算法によるHOMOの位置が、該計算オリゴマーの主鎖の中心部にない請求項12記載のポリマー。
  14. 前記計算オリゴマーについての量子化学計算法によるHOMOの値の絶対値が、比較HOMO値の絶対値の1.1倍以上である請求項12又は13記載のポリマー。
  15. 前記計算オリゴマーにおいて、前記量子化学計算法によるLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が、該計算オリゴマーに局在しない請求項12〜14のいずれか1項記載のポリマー。
  16. 前記計算オリゴマーにおいて、前記量子化学計算法によるLUMOが前記計算オリゴマーの2番目又は3番目の繰返単位のいずれかに局在するものを除く請求項12〜15のいずれか1項記載のポリマー。
  17. 前記ポリマーがプロトン伝導性を有する請求項12〜16のいずれか1項記載のポリマー。
  18. 前記ポリマーを燃料電池用材料として用いる請求項12〜17のいずれか1項記載のポリマー。
  19. 前記ポリマーを燃料電池電解質膜として用いる請求項12〜18のいずれか1項記載のポリマー。
  20. 請求項1〜19のいずれか1項記載のポリマーを有する燃料電池用材料。
  21. 請求項1〜19のいずれか1項記載のポリマーを有する燃料電池用電解質膜。
  22. 請求項1〜19のいずれか1項記載のポリマーを有する燃料電池。
  23. 高耐久性ポリマーの選出方法であって、該方法は、
    ポリマーの繰返単位を4つ連続してなる計算オリゴマーについての量子化学計算法による計算HOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)値を計算する工程;
    式Iで表される繰返単位を4つ連続してなる比較オリゴマーに関して前記量子化学計算法による比較HOMO値を計算する工程;及び
    前記計算HOMO値と比較HOMO値とを比較して、計算HOMO値が比較HOMO値よりも低い場合、前記繰返単位を有するポリマーを高耐久性ポリマーとして選出する選出工程;を有する、上記方法。
    Figure 2006291046
  24. 前記計算オリゴマーについての量子化学計算法によるHOMOの位置が、該計算オリゴマーの主鎖の中心部にないポリマーを高耐久性ポリマーとして選出する請求項23記載の方法。
  25. 前記計算オリゴマーについての量子化学計算法によるHOMOの値の絶対値が、比較HOMO値の絶対値の1.1倍以上である請求項23又は24記載の方法。
  26. 前記計算オリゴマーに関する前記量子化学計算法によるLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が、該計算オリゴマーに局在しない場合、前記繰返単位を有するポリマーが高耐久性である工程をさらに有する請求項23〜25のいずれか1項記載の方法。
  27. 前記計算オリゴマーに関する前記量子化学計算法によるLUMOが前記計算オリゴマーの2番目又は3番目の繰返単位のいずれかに局在する場合、前記繰返単位を有するポリマーを除く工程をさらに有する請求項23〜26のいずれか1項記載の方法。
  28. OHラジカル耐性を有するポリマーの選出方法であって、該方法は、
    イオン交換基を有する繰返単位のみからなるホモポリマーの0.15wt%水溶液を調製する工程;
    前記水溶液に1.5wt%過酸化水素を加え、60℃の条件下に置く工程;
    前記60℃に置いた時点を0時間とし、1時間後に前記水溶液から少量サンプリングしイソプロパノールを加えて反応を停止させて生成物を得る工程;及び
    得られた生成物の分子量を測定する工程;を有し、
    生成物の分子量を用いたホモポリマー分子量で標準化した値((生成物の分子量)/(用いたホモポリマー分子量)*100)が50以上であるとき前記繰返単位を有するポリマーはOHラジカル耐性を有すると判断される、上記方法。
  29. 得られた生成物の残存イオン交換基量を測定する工程;をさらに有し、
    残存イオン交換基量が50%以上であるとき前記繰返単位を有するポリマーはOHラジカル耐性を有すると判断される請求項27記載の方法。
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