JP2005247595A - 複合焼成体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 優れた電子移動性、酸化還元活性、可視光応答性、光触媒活性など新たな機能的物性を有し、次世代の高機能ハイブリッド素材となり得る複合体およびその製造方法の提供。
【解決手段】 式(1)で示される、無機金属化合物(A)と多官能性有機化合物(B)とを反応させて得られる化合物(C)であって、金属元素と多官能性有機基が共有結合を介して結合している多次元有機・無機複合体化合物を減圧下で焼成して得られる複合焼成体により課題を解決できる。
【化1】
Figure 2005247595

【選択図】 図1

Description

本発明は、複合焼成体およびその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは無機金属元素と多官能性有機基が共有結合を介して結合している多次元有機・無機複合体化合物を減圧下に焼成して得られる複合焼成体およびその製造方法並びにその利用に関するものである。
従来から、無機材料の有する堅牢性と有機材料の有する多彩な性質を利用するため有機・無機ハイブリッド化合物は化粧品(コア・シェル材料)、コーテイング材料(無機粒子−高分子複合体)、電子材料(ゾル−ゲルバインダー)、界面改質材(各種カップリング剤)など様々な分野に提供されている。例えば、ガラス等の表面改質に用いられるシランカップリング剤は有機基を導入したシリル化合物であり、無機物表面に有機基を効果的に導入し、塗料等の有機材料によるコーティングを容易なものに改質する。
また、工業製品として有用な樹脂形成体は、その強度を向上させるためにフュームドシリカ等のフィラーを添加して形成能および強度を両立した有機・無機ハイブリッド材料として用いられている。これらはバルク体でのハイブリッド材料を提供している。
一方、分子性のハイブリッド材料としては、金属錯体が挙げられる。これらは金属元素に有機物が配位結合を介して形成された化合物である。これらは光機能材料、酸化還元触媒等への応用が盛んに研究されている。
しかし、前者のバルク体ハイブリッド材料は有機材料の特性と無機材料の特性との単なる加算的特性を発現するに過ぎず、一方、金属錯体のような分子性ハイブリッド材料は機能の中心は金属元素が担っており、有機配位子は金属の活性を制御する機能しか持ちあわせていない場合が多い。
そこで、本発明者は、先に、無機金属化合物と多官能性有機化合物とを反応させて得られる金属元素と多官能性有機基が共有結合を介して結合している新規な有機・無機ハイブリッド材料であって、新たな機能的物性を有し、次世代の高機能ハイブリッド素材となり得る有機・無機複合体化合物を提供した(特許文献1参照)。
特開2002−053669
本発明の第1の目的は、本発明者が先に提案した前記有機・無機複合体化合物を原料として得られる新規なハイブリッド材料であって、新たな機能的物性を有し、次世代の高機能ハイブリッド素材となり得る複合体を提供することであり、本発明の第2の目的は、そのような複合体を容易に製造できる方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決することを目的として鋭意研究した結果、本発明者が先に提案した前記有機・無機複合体化合物を減圧下にて焼成することにより、新たな機能的物性を有し、次世代の高機能ハイブリッド素材となり得る複合体を得ることに成功し、本発明を完成させた。
上記課題を解決するための請求項1の複合焼成体は、式(1)で示される、無機金属化合物(A)と多官能性有機化合物(B)とを反応させて得られる化合物(C)であって、金属元素と多官能性有機基が共有結合を介して結合している多次元有機・無機複合体化合物を減圧下で焼成して得られることを特徴とする。
Figure 2005247595
(ただし、式(1)中、Mは金属元素を示し、R1 はアルコキシ基、ハロゲンイオン、カルボン酸陰イオン、アセチルアセトン等の錯形成基を示し、n1はR1の金属元素Mに対する置換数n1≧2を示す。また式中R2 はアルキル基、置換アルキル基、アルキルベンゼン基、フェニル基、置換フェニル基、ナフチル基、置換ナフチル基、アリル基等の非共役有機基あるいは共役有機基を示し、Xはヒドロキシル基、アミノ基、チオール基等の金属元素と共有結合を形成する置換基を示し、n2はR2 に対する置換数n2≧2を示す。)
本発明の請求項2の複合焼成体は、請求項1記載の複合焼成体において、形状が、粒子、結晶構造体、薄膜、厚膜である多次元有機・無機複合体化合物を用いることを特徴とする。
本発明の請求項3の複合焼成体は、請求項1あるいは請求項2記載の複合焼成体において、前記多次元有機・無機複合体化合物に、別途有機化合物を添加して得られる多次元有機・無機複合体化合物を用いることを特徴とする。
本発明の請求項4の複合焼成体は、請求項1あるいは請求項2記載の複合焼成体において、前記多次元有機・無機複合体化合物に、別途無機化合物を添加して得られる多次元有機・無機複合体化合物を用いることを特徴とする。
本発明の請求項5の複合焼成体は、請求項1あるいは請求項2記載の複合焼成体において、前記多次元有機・無機複合体化合物に、別途有機化合物および無機化合物を添加して得られる多次元有機・無機複合体化合物を用いることを特徴とする。
本発明の請求項6の複合焼成体は、請求項1あるいは請求項2記載の複合焼成体において、金属種または多官能性有機基が異なる請求項1あるいは請求項2記載の多次元有機・無機複合体化合物、および別途添加した有機化合物もしくは別途添加した無機化合物が異なる請求項3から請求項5のいずれかに記載の多次元有機・無機複合体化合物から選択される少なくとも2種以上の化合物を混合して得られる多次元有機・無機複合体化合物を用いることを特徴とする。
本発明の請求項7の複合焼成体は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の複合焼成体において、電子移動性を有することを特徴とする。
本発明の請求項8の複合焼成体は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の複合焼成体において、酸化還元活性を有することを特徴とする。
本発明の請求項9の複合焼成体は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の複合焼成体において、可視光応答性を有することを特徴とする。
本発明の請求項10の複合焼成体は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の複合焼成体において、光触媒活性を有することを特徴とする。
本発明の請求項11は、式(1)で示すように、無機金属化合物(A)と多官能性有機化合物(B)とを、溶媒の存在下に反応させて得られる新規化合物(C)である、金属元素と多官能性有機基が共有結合を介して結合している多次元有機・無機複合体化合物を減圧下で焼成することを特徴とする複合焼成体の製造方法に関する。
Figure 2005247595
(ただし、式(1)中、Mは金属元素を示し、R1 はアルコキシ基、ハロゲンイオン、カルボン酸陰イオン、アセチルアセトン等の錯形成基を示し、n1はR1の金属元素Mに対する置換数n1≧2を示す。また式中R2 はアルキル基、置換アルキル基、アルキルベンゼン基、フェニル基、置換フェニル基、ナフチル基、置換ナフチル基、アリル基等の非共役有機基あるいは共役有機基を示し、Xはヒドロキシル基、アミノ基、チオール基等の金属元素と共有結合を形成する置換基を示し、n2はR2 に対する置換数n2≧2を示す。)
本発明の請求項12は、請求項11記載の複合焼成体の製造方法において、400〜800℃で焼成することを特徴とする。
本発明の請求項1の複合焼成体は、前記式(1)で示される、無機金属化合物(A)と多官能性有機化合物(B)とを反応させて得られる化合物(C)であって、金属元素と多官能性有機基が共有結合を介して結合している多次元有機・無機複合体化合物を減圧下で焼成して得られることを特徴とするものであり、
例えば前記多次元有機・無機複合体化合物を、減圧下、約400〜800℃で焼成すると有機骨格が炭化して得られる微小な炭化物マトリックス中に酸化金属および/または金属硫化物のナノサイズクラスターが均一に分散した新規な複合焼成体が得られ、この複合焼成体は優れた電子移動性、酸化還元活性、可視光応答性、光触媒活性などを示し、これら新規機能により電子、光的特性が確認されたことより、電子移動性を有する材料、酸化還元活性を有する材料、可視光応答性を有する材料、光触媒活性を有する材料などの電子材料や光機能材料など種々の用途に適用可能である、という顕著な効果を奏する。
本発明の請求項2の複合焼成体は、請求項1記載の複合焼成体において、形状が、粒子、結晶構造体、薄膜、厚膜である多次元有機・無機複合体化合物を用いることを特徴とするものであり、色々の方法で得られる色々の形状の多次元有機・無機複合体化合物を用いて多様なニーズに応じることができる特性などの異なる複合焼成体を提供できる、というさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項3の複合焼成体は、請求項1あるいは請求項2記載の複合焼成体において、前記多次元有機・無機複合体化合物に、別途有機化合物を添加して得られる多次元有機・無機複合体化合物を用いることを特徴とするものであり、多様なニーズに応じることができる特性などの異なる複合焼成体を提供できる、というさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項4の複合焼成体は、請求項1あるいは請求項2記載の複合焼成体において、前記多次元有機・無機複合体化合物に、別途無機化合物を添加して得られる多次元有機・無機複合体化合物を用いることを特徴とするものであり、多様なニーズに応じることができる特性などの異なる複合焼成体を提供できる、というさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項5の複合焼成体は、請求項1あるいは請求項2記載の複合焼成体において、前記多次元有機・無機複合体化合物に、別途有機化合物および無機化合物を添加して得られる多次元有機・無機複合体化合物を用いることを特徴とするものであり、多様なニーズに応じることができる特性などの異なる複合焼成体を提供できる、というさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項6の複合焼成体は、請求項1あるいは請求項2記載の複合焼成体において、金属種または多官能性有機基が異なる請求項1あるいは請求項2記載の多次元有機・無機複合体化合物、および別途添加した有機化合物もしくは別途添加した無機化合物が異なる請求項3から請求項5のいずれかに記載の多次元有機・無機複合体化合物から選択される少なくとも2種以上の化合物を混合して得られる多次元有機・無機複合体化合物を用いることを特徴とするものであり、多様なニーズに応じることができる特性などの異なる複合焼成体を提供できる、というさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項7の複合焼成体は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の複合焼成体において、電子移動性を有することを特徴とするものであり、電子移動性を有する材料として利用することができる、というさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項8の複合焼成体は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の複合焼成体において、酸化還元活性を有することを特徴とするものであり、酸化還元活性を有する材料として利用することができる、というさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項9の複合焼成体は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の複合焼成体において、可視光応答性を有することを特徴とするものであり、可視光応答性を有する材料として利用することができる、というさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項10の複合焼成体は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の複合焼成体において、光触媒活性を有することを特徴とするものであり、光触媒活性を有する材料として利用することができる、というさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項11は、前記式(1)で示すように、無機金属化合物(A)と多官能性有機化合物(B)とを、溶媒の存在下に反応させて得られる新規化合物(C)である、金属元素と多官能性有機基が共有結合を介して結合している多次元有機・無機複合体化合物を減圧下で焼成することを特徴とする複合焼成体の製造方法に関するものであり、本発明の複合焼成体を容易に製造できる、という顕著な効果を奏する。
本発明の請求項12は、請求項11記載の複合焼成体の製造方法において、400〜800℃で焼成することを特徴とするものであり、本発明の複合焼成体を容易に経済的に製造できるという、さらなる顕著な効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明は、新規な複合焼成体の高次構造化に関する。
本発明で用いる、無機金属化合物(A)と多官能性有機化合物(B)とを反応させて得られる無機金属元素と多官能性有機基が共有結合を介して結合している無機金属元素―多官能性有機基直接相互作用を有する多次元有機・無機複合体化合物は、金属−有機骨格間に強い相互作用をもたらす。
図14に示すように金属元素M1に与えられた刺激(光、酸化還元など)により発生した電荷やスピンなどが共有結合を介して伝達し金属元素M2に伝わる。電荷が伝わる場合は多次元有機・無機複合体化合物は電気導電体となり、またスピンが伝わる場合は多次元有機・無機複合体化合物は磁性材料となり得る。
図14に示した有機骨格Rはこれらの伝達経路の制御因子となっており、有機骨格Rを適切に選択することにより、電気的特性を電気導電体から半導体、不導体まで制御することが可能となり、さらに磁気的特性、触媒的特性をも制御可能に保持させることができる。
本発明の複合焼成体は、前記多次元有機・無機複合体化合物を、減圧下、約400〜800℃で焼成することにより得られる。焼成すると有機骨格が炭化し、炭化して得られる微小な炭化物マトリックス中に酸化金属および/または金属硫化物のナノサイズクラスターが均一に分散した本発明の新規な複合焼成体が得られる。
この複合焼成体は優れた電子移動性、酸化還元活性、可視光応答性、光触媒活性などを示し、これら新規機能により電子、光的特性が確認されたことより、電子材料や光機能材料など種々の用途に適用可能である。
本発明の好適な実施態様においては、R1 はメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、t-ブトキシ基、メトキシエトキシ基等のアルコキシ基、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等の、ハロゲンイオン、酢酸根、酒石酸根、シュウ酸根等のカルボン酸陰イオン、アセチルアセトン、エチレンジアミン四酢酸、ノルボルネン等の錯形成化合物、硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン等の無機イオンからなる群より選択される。
本発明の好適な実施態様においては、R2 はアルキル基、置換アルキル基、アルキルベンゼン基、フェニル基、置換フェニル基、ナフチル基、置換ナフチル基、アリル基、アレン基、ビフェニル基、トラン基、ビフェニルエーテル基、ビフェニルスルフィド基、ビフェニルスルホネート基、スチルベン基等の非共役、共役有機基からなる群より選択される。
本発明の好適な実施態様においては、Xはヒドロキシル基、アミノ基、チオール基等の金属元素と共有結合可能な置換基より選択される。
本発明に用いる金属元素Mは安定金属元素であれば特に制限を有するものではないが、本発明の好適な実施態様においては、好ましくは、金属元素Mは第一周期遷移金属元素、第二周期遷移金属元素、第三周期遷移金属元素さらにランタノイド元素からなる群より選択される。
本発明に用いる金属元素は具体的には、例えば、スカンジウム、チタニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ディスプロシウム、ホロニウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム等を挙げることができる。また、これ以外の金属元素としては、アルミニウム、珪素、ガリウム、ゲルマニウム、インジウム、スズ、タリウム、鉛等が挙げられる。
本発明に用いる無機金属化合物は、上記金属元素の化合物であれば特に制限を有するものではないが、好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、t-ブトキシ基、メトキシエトキシ基等が置換した金属アルコキシド、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等が置換した、金属ハロゲン化物、酢酸根、酒石酸根、シュウ酸根等が置換した金属カルボン酸塩、アセチルアセトン、エチレンジアミン四酢酸、ノルボルネン等が置換した金属錯体、金属硝酸塩、金属硝酸塩、金属リン酸塩等の無機金属塩等が挙げられる。
本発明に用いる多官能性有機化合物は上記金属元素と共有結合可能な官能基を有していれば特に制限を有するものではないが、好ましくは多価アルコール等の水酸基を複数有する化合物、多価アミン等のアミノ基を複数有する化合物、多価チオール等のチオール基を複数有する化合物が挙げられる。また、これらの官能基の置換数も制限を有するものではないが、好ましくは1〜10置換、より好ましくは2〜4置換である。
本発明に用いる多官能性有機化合物の中心骨格は、上記官能基を有していれば特に制限を有するものではないが、好ましくは、鎖長1〜16の直鎖または分岐アルキル基、これらにハロゲン、ニトロ基、アリル基等を含む置換アルキル基、前記アルキル基を単数もしくは複数含むアルキルベンゼン基、フェニル基、ハロゲン、ニトロ基、アリル基等を含む置換フェニル基、ナフチル基、ハロゲン、ニトロ基、アリル基等を含む置換ナフチル基、アリル基、アレン基、ビフェニル基、トラン基、ビフェニルエーテル基、ビフェニルスルフィド基、ビフェニルスルホネート基、スチルベン基等が挙げられ、より好ましくは共役系有機化合物である。
本発明の好適な実施態様においては、多次元有機―無機複合体化合物(C)は、無機金属化合物(A)と多官能性有機化合物(B)を溶媒の存在下で混合することによって得られる。
本発明に用いる溶媒は入手容易なものであれば特に制限を有しないが、好ましくは、石油エーテル、n-ペンタン、n-ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン、四塩化炭素、ベンゼン、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸アミル、メチルエチルケトン、アセトン、ブタノール、イソプロパノール、エタノール、メタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、和光純薬株式会社、関東化学株式会社、東京化成株式会社等から入手することができる。また、好ましくはこれら溶媒は公知の方法により脱水蒸留して用いる。
また、溶媒に対する反応試剤の濃度は特に制限を有するものではないが、好ましくは溶剤に対して0.1〜90質量%、さらに好ましくは1〜20質量%である。また、結晶構造体を得る場合には低濃度が好ましく、薄膜、厚膜を形成させる場合には中〜高濃度が望ましい。
本発明の好適な実施態様においては、多次元有機―無機複合体化合物(C)は、無機金属化合物(A)に対し、多官能性有機化合物(B)の当量は0.1〜10となる。
また、金属元素Mに対する多官能性有機化合物の混合量は特に制限を有するものではないが、好ましくは0.1〜10当量、さらに好ましくは0.5〜5当量である。
本発明で用いる多次元有機・無機複合体化合物の粒子の大きさは、直径1nm〜5μm、好ましくは5nm〜1μm、より好ましくは10nm〜500nmである。
上記粒子は、反応試剤の混合比、溶媒の種類、濃度、反応温度、反応時間等の合成条件により制御されるが、粒子生成後、機械的粉砕法などの公知の方法を用いても作製し得る。
多次元有機・無機複合体化合物の粒子のサイズは、レーザードップラー型粒度分布測定器、透過型電子顕微鏡などを用いて測定できる。
本発明で用いる多次元有機・無機複合体化合物の結晶構造体の大きさは、長径10nm〜5cm、好ましくは50nm〜1cm、より好ましくは100nm〜1mmである。
多次元有機・無機複合体化合物の結晶構造体のサイズは、レーザードップラー型粒度分布測定器、透過型電子顕微鏡などを用いて測定できる。また、結晶構造は粉末X線解析装置、単結晶X線回折装置、電子線回折装置などを用いて解析できる。
本発明で用いる多次元有機・無機複合体化合物の薄膜、厚膜の膜厚は、1nm〜5mm、好ましくは5nm〜100μm、より好ましくは10nm〜10μmである。
多次元有機・無機複合体化合物の薄膜、厚膜のサイズは、膜厚測定装置、透過型電子顕微鏡、走査電子顕微鏡での断面観測などを用いて測定できる。
多次元有機・無機複合体化合物の薄膜、厚膜は各種基板上に形成される。基板として特に制限を有しないが、好ましくは、アルミニウム、ステンレス、金、銀、銅等の金属基板、単結晶シリコン、ガリウム−砒素結晶体等の半導体基板、ガラス基板、陶器基板が挙げられる。また、基板表面は各種カップリング剤など公知の方法を用いて表面処理をしてもよい。
本発明で用いる他種有機化合物含有多次元有機・無機複合体化合物は、他種有機物を複合体合成時に反応試剤と共に添加するか、もしくは複合体合成後に溶媒に分散させた複合体中に添加したり、複合体を他種有機化合物蒸気に暴露または他種有機化合物を機械的混練することによって得ることができる。
また、他種有機化合物の添加量に制限はないが、好ましくは、複合体100質量部に対し0.01〜1000質量部、さらに好ましくは0.1〜100質量部添加する。
他種有機化合物の種類については制限はないが、好ましくは、C60等のフラーレン類、テトラチアフルバレン類、テトラシアノキノジメタン類等の電子授受機能を有する化合物、クラウンエーテル類、アザクラウンエーテル類、カリックスアレン類等のイオン捕捉化合物等が挙げられる。
本発明で用いる他種無機化合物含有多次元有機・無機複合体化合物は他種無機化合物を複合体合成時に反応試剤と共に添加するか、もしくは複合体合成後に溶媒に分散させた複合体中に添加するか、複合体を他種無機化合物蒸気に暴露または他種無機化合物を機械的混練することによって得ることができる。
また、他種無機化合物の添加量に制限はないが、好ましくは、複合体100質量部に対し0.01〜1000質量部、さらに好ましくは0.1〜100質量部添加する。
他種無機化合物の種類については制限はないが、好ましくは、ヨウ素等のハロゲン元素、フェロセン等のメタロセン化合物類、クロロフィル等のポルフィリン化合物類等の電子授受機能を有する化合物、フタロシアニン類等の色素化合物等が挙げられる。
本発明で用いる異種混合無機物含有多次元有機・無機複合体化合物は、異種の無機金属化合物と異種の多官能性有機化合物を溶媒の存在下で同時混合し反応させることによって得ることができる。
もしくは、すでに合成し得た異種の多次元有機・無機複合体化合物を逐次混合し、機械的混練によっても得ることができる。
また、混合する種類、数等に制限はないが、好ましくは同時混合の場合は無機金属化合物と多官能性有機化合物合わせて3〜10種、逐次混合の場合は異種多次元有機・無機複合体化合物を3〜10種、さらに好ましくは同時混合の場合は無機金属化合物3〜5種、逐次混合の場合は異種多次元有機・無機複合体化合物を3〜5種混合する。
また、異種混合無機化合物含有多次元有機・無機複合体化合物は、上記に示した他種有機化合物含有多次元有機・無機複合体化合物、他種無機化合物含有多次元有機・無機複合体化合物のそれぞれ、もしくは双方を用いてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は、実施例に限定されない。
(多次元有機・無機複合体化合物の合成および複合焼成体の製造)
アルゴン雰囲気下、サマリウム(III)クロリド1.0mmolを無水エタノール20mLに溶解させた溶液と、ハイドロキノン(2b)もしくは4,4’−ビスフェノール(2c)1.5mmolと、1,8−(ヂエチルアミノ)ナフタレン(以下、PSと称す)3.0mmolを無水エタノール10mLに溶解した溶液とを混合し、24時間常温で攪拌し多次元有機・無機複合体化合物を合成した。生成した沈殿物をメンブレンフィルタで濾過し、ソックスレー抽出器を用いて無水エタノールで洗浄した。得られた生成物を24時間60℃で真空乾燥し多次元有機・無機複合体化合物6b、6cを得た(式2参照)。
得られた多次元有機・無機複合体化合物6b、6cを2g磁製るつぼに入れて減圧下、温度を変化(400、500、600、700、800℃、昇温速度10℃/min)させて1時間焼成して本発明の複合焼成体7b、8cを得た(式2参照)。
Figure 2005247595
合成した多次元有機・無機複合体化合物6b、6cおよび本発明の複合焼成体7b、8cの構造決定、物性評価を下記の機器分析により行った。
(機器分析)
(1)FT−IRスペクトル
パーキン−エルマーFTIR1760−X Infrared FourirTransform Spectrometerを用いてKBr錠剤法により測定した。
(2)元素分析(C,H,N)
ヤナコ機器開発研究所 CHNCORDER MT−6、MTA−620 AUSTSAMPLERを用いて測定した。
(3)元素分析(S)
ヤナコ機器開発研究所 微量ハロゲン、硫黄分析装置YS−10型を用い、固体検量線法により測定した。
(4)ICP発光分析
島津製作所 シーケンシャル型プラズマ発光分析装置ICP−1000を用いて測定した。
(5)CP/MAS 13C−NMRスペクトル
BRUKER AVANCE−DSX400(400MHz)型固体核磁気共鳴吸収装置を用いて測定した。
(6)透過型電子顕微鏡(TEM)
日本電子 JEM−3010電子顕微鏡を用い、コロジオン膜張付きメッシュを用い、加速電圧300kVで測定した。
(7)粉末X線結晶回折
理学電機 X線回折装置MiniFlexを用い、線源にCu−Kα(30kV、15mA)を用いて測定した。
(8)UV−VISスペクトル
日立製作所 U−4000自記分光光度計を用いて拡散反射法で300〜800nmの波長領域を測定した。
(9)ESRスペクトル
日本電子 JEM−TE200ESR SPECTROMETERを用い、マイクロ波変調幅0.5mT、掃引磁場領域84〜584mT、時定数0.1s、測定温度293Kの条件で測定した。また、光源にはHOYA−SCHOTT製Megalight100ハロゲンランプ(150w)を使用した。
前記多次元有機・無機複合体化合物6b、6cを得る合成反応は速やかに進行し、前記多次元有機・無機複合体化合物6b、6cが得られた。これらの組成および構造を明らかにするため、元素分析、IRスペクトルの測定を行った。元素分析結果を表1に、IRスペクトルの測定結果を表2にそれぞれ示す。
Figure 2005247595
Figure 2005247595
表1、表2から多次元有機・無機複合体化合物6b、6cの元素分析値は式2で示される理論値に比較的近い値を示し、導入した有機基に由来する吸収が確認された。
多次元有機・無機複合体化合物6b、6cは緑色を呈しており、ハイブリッドポリマー骨格内において容易に電子励起を生じていることが示唆された。そこでUV−VISスペクトルを測定した(図1参照)。
その結果、フェニル環を有する多次元有機・無機複合体化合物6bに全波長に渡る強い吸収が認められ、サマリウム原子間を共役系有機骨格でリンクすることによって、交互骨格内で電子励起を強く誘発することが示唆された。
そこで次にESRスペクトルの測定を行った(図2参照)。
その結果337mT(g=2.0032)に有機ラジカル種に基づくシグナルが観測され、ポリマー骨格内で容易に電子移動を生じていることが判明した。
本発明の複合焼成体7b、8cの元素分析結果を表3に示す。
Figure 2005247595
表3から骨格内の有機基が炭化していることが示唆された。
そこで、粉末X線回折の測定を行った。複合焼成体7bの粉末X線回折の結果を図3に、複合焼成体8cの粉末X線回折の結果を図4に示す。
その結果、いずれも700℃以上で焼成した複合焼成体には酸化サマリウムに由来するピークが確認され、骨格内に含有するサマリウムの一部が酸化物を形成していることが判った。一方、600℃以下で焼成した複合焼成体はアモルファスであることが判明した。炭化が充分に進行しかつ酸化物の少ない微小炭素クラスター−サマリウム複合焼成体を得るためには約600℃程度の焼成温度が適していることが判った。
本発明の複合焼成体7b、8cの形状を確認するためにTEM観察を行った結果、図5に複合焼成体7b(400〜800℃焼成体)について、図6に複合焼成体8c(400〜800℃焼成体)についてそれぞれ示す。
その結果、フェニル環を有する系の本発明の複合焼成体7b(400〜800℃焼成体)は不定形であったのに対し、ビフェニル骨格を有する系の本発明の複合焼成体8c(400〜800℃焼成体)では焼成温度が高くなるにしたがって粒子の凝集が生じていることが判った。また、双方の系において700℃、800℃焼成体には、密度の高い微粒子が凝集していることが確認され、元素分析、粉末X線回折の結果を考慮すると、この微粒子は酸化サマリウムであると考えられる。一方、600℃焼成体(7b:600℃、8c:600℃)においても3nm以下の見掛けの密度の高い微粒子の形成が認められたことから、600℃焼成体においても骨格の中のサマリウムは酸化物となっていると考えられる。しかしながら、この酸化物はナノサイズのクラスターであるため、粉末X線回折において酸化物のピークを示さなかったものと考えられる。
以上の結果より600℃焼成体は炭化物マトリックス中に3nmの酸化サマリウムクラスターが均一に分散している微小炭素クラスター−酸化サマリウムクラスター複合体を形成していることが判明した。
次に、微小炭素クラスター−酸化サマリウムクラスター複合体の電子物性を評価するためにUV−VISスペクトル[図7(7b)、図8(8c)参照]、ESRスペクトル(図9(7b)、図10(8c)参照)の測定を行った。
その結果、UV−VISスペクトルには全ての系において全波長領域に渡る吸収が認められ、特に500〜700℃焼成体の吸収強度が強いことが判り、有機骨格が充分に炭化していることが判った。
一方、ESRスペクトルにおいては、全ての焼成体において、有機ラジカル種に由来するシグナルが337mT(g=2.0032)に認められ、特に600℃焼成体(7b:600℃、8c:600℃)においてシグナルが極めて強いことが認められた。
そこで、検定試料にTEMPOを使用し、微分吸収線に二重積分法によってスピン量を算出したところ、7b:600℃焼成体が1.05×1017/g、8c:6000℃焼成体が7.47×1018/gとなり、導電性高分子であるtrans−ポリアセチレンのスピン量1020/gには及ばないものの、本複合体は骨格内で容易に電子移動を生じていることが判明した。
また、サマリウムの含有量に対するスピン量の比率は、7b:600℃焼成体が0.16%、8c:600℃焼成体が0.22%であった。よって、ビフェニル骨格を有する系は、シグナル強度、総スピン数ともにフェニル環を有する系を上回ったことから、複合体骨格内の炭素含有量が多い系、すなわち骨格内で形成される炭素クラスラーのサイズが大きい方が、効果的に電子移動経路を拡張すると考えられる。
次に、微小炭素クラスター−酸化サマリウムクラスター複合体間の電子移動によって生成したアニオン種およびカチオン種が特定の機能サイトに電荷分離して存在すると、本複合体が外部との酸化還元反応を引き起こす可能性がある。そこで最も電子移動能の高かったビフェニル骨格を有する系の8c:600℃焼成体系の酸化還元能を検討するために、各種酸化・還元剤(トリエチルアミン、ハイドロキノン、ベンゾフェノン)の存在下でESRスペクトルの測定を行った(図11参照)。
その結果、酸化剤の添加に対してはシグナル強度が減少し、還元剤の添加に対してはシグナル強度が増大することが確認され、観測されたラジカル種は炭素クラスター上に生成したアニオン種であることが判った。すなわち、酸化剤の添加で炭素クラスター上のアニオン種は消費されることでシグナル強度が減少し、還元剤の添加により炭素クラスター上に電子が供給されることによりアニオン種由来のシグナル強度が増大するものと考えられる。本複合体が外部の系に対して電子授受を行うことは、複合体内部において電荷分離状態が発現していることを示しており、その結果、複合体表面で外部との酸化・還元反応を引き起こすものと考えられる。
また、微小炭素クラスター−酸化サマリウムクラスター複合体は可視光全域における幅広い吸収と、高い電荷分離能力を有していることから、電子移動能の可視光応答性は発現することが期待されるため、可視光照射下での8c:600℃焼成体系のESRスペクトル測定を行った(図12参照)。
その結果、可視光の照射時においてシグナル強度が減少することが判り、本複合体骨格内の電子移動が光応答性を示すことが判った。
還元力の強いハイドロキノンを用いた系の方がスピン数が増大していたことから、還元剤の還元力とスピン数の変化に比例関係があることが示唆された。そこで還元剤添加後のスピン数の変化量をX軸に、還元剤のHOMOのポテンシャルをY軸にとれば、Y切辺が複合体の限界酸化ポテンシャルを示すものと考えられる。そこでab−initio分子軌道計算(RHF/6−311Gdp)により求めたトリエチルアミンのHOMOのポテンシャル(−10.55eV)とハイドロキノンのHOMOのポテンシャル(−8.05eV)とをそれぞれの還元剤を添加したときのスピン変化量に対してプロットした(図13参照)結果、本複合体の限界酸化ポテンシャルは−12.08eVとなった。
これは水のHOMOのポテンシャル(−13.63eV)に近い値であり、本複合体は水の酸化分解反応を進行させる可能性があることが示唆された。
そこで600℃焼成体(4,4’−ビフェノール、ハイドロキノン)各々50mgを水10mLの中に入れ、1時間ハロゲンランプ(150w)を照射し、水の分解について試験した。
その結果、双方の系において酸素の発生が認められ、水の酸化分解が進行することが判った。ガス検知器およびガス検知管(北川式)を用いて、発生量を定量した結果、4,4’−ビフェノールを用いた系が0.3mmol、ハイドロキノンを用いた系が0.15mmolであり、電子的効果が高い系、すなわち、骨格内で形成される炭素クラスターのサイズの大きい方が酸化機能が高いことが判った。
以上のように本複合体は、可視光吸収によって電荷分離した正孔が強い酸化力を示すことが判った。これらの結果は、還元雰囲気下の焼成により、酸素欠損、酸素過飽和状態などの欠陥部位を有する金属酸化物クラスターが生成し、金属酸化物のバンド構造内に新たなアクセプター準位、ドナー準位が形成することで、可視光での電子励起を実現し、酸化物クラスターの伝導帯順位が、炭素クラスターのフェルミ準位より高いエネルギー状態にあるため、酸化物クラスターからの励起電子が効率よく炭素クラスターに供給されていくことで効果的な電子分離状態が生じるものと考えられる。すなわち、強い酸化力を示したサイトは酸化サマリウムクラスター上に存在すると考えられる。
このように、本複合体は、酸化サマリウムクラスターと微小炭素クラスターの協奏的効果によって、効率のよい電荷分離を実現しており、微小炭素クラスター−酸化サマリウムクラスター複合体は、全く新規な光機能性複合体として機能することが判った。
(他の多次元有機・無機複合体化合物の合成および複合焼成体の製造)
アルゴン雰囲気下、サマリウム(III)イソプロポキサイド1.0mmolを無水THF20mLに溶解させた溶液と、ハイドロキノン(2b)もしくは4,4’−ビスフェノール(2c)1.5mmolを、無水THFmLに溶解した溶液とを混合し、24時間常温で攪拌し多次元有機・無機複合体化合物を合成した。生成した沈殿物をメンブレンフィルタで濾過し、ソックスレー抽出器を用いて無水THFで洗浄した。得られた生成物を24時間60℃で真空乾燥し多次元有機・無機複合体化合物3b、3cを得た。
得られた多次元有機・無機複合体化合物3b、3cを2g磁製るつぼに入れて減圧下、温度を変化(400、500、600、700、800℃、昇温速度10℃/min)させて1時間焼成して本発明の複合焼成体を得た。
本発明の複合焼成体は、実施例1の本発明の複合焼成体7b、8cとほぼ同じ性能を有していた。
(他の多次元有機・無機複合体化合物の合成および複合焼成体の製造)
サマリウムに替えて、ハフニウムを用いた以外は実施例1、2と同様にして多次元有機・無機複合体化合物を得た。
得られた多次元有機・無機複合体化合物を実施例1、2と同様にして焼成して本発明の複合焼成体を得た。
本発明の複合焼成体は、実施例1、2の本発明の複合焼成体とほぼ同じ性能を有していた。
(他の多次元有機・無機複合体化合物の合成および複合焼成体の製造)
式(3)に示したようにレニウム(III)クロリドと4−ヒドロキシチオフェノールとの反応を行って前駆体を合成し、次いで式(4)に示したようにこの前駆体とマンガン(II)クロリドを反応させて黒色の多次元有機・無機複合体を得た。
得られた多次元有機・無機複合体化合物を実施例1、2と同様にして焼成して本発明の複合焼成体を得た。
本発明の複合焼成体は、実施例1、2の本発明の複合焼成体とほぼ同じ性能を有していた。
Figure 2005247595
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(他の多次元有機・無機複合体化合物の合成および複合焼成体の製造)
式(5)に示したようにモリブデン(V)クロリドと4−ヒドロキシチオフェノールとの反応を行って前駆体を合成し、式(6)に示したようにタングステン(IV)クロリドと4−ヒドロキシチオフェノールとの反応を行って他の前駆体を合成し、式(7)に示したようにこれらの前駆体とクロム(II)クロリドを反応させて多次元有機・無機複合体を得た。
得られた多次元有機・無機複合体化合物を実施例1、2と同様にして焼成して本発明の複合焼成体を得た。
本発明の複合焼成体は、実施例1、2の本発明の複合焼成体とほぼ同じ性能を有していた。
Figure 2005247595
Figure 2005247595
Figure 2005247595
本発明の複合焼成体は、前記式(1)で示される、無機金属化合物(A)と多官能性有機化合物(B)とを反応させて得られる化合物(C)であって、金属元素と多官能性有機基が共有結合を介して結合している多次元有機・無機複合体化合物を減圧下で焼成して得られることを特徴とするものであり、
例えば前記多次元有機・無機複合体化合物を、減圧下、約400〜800℃で焼成すると有機骨格が炭化して得られる微小な炭化物マトリックス中に酸化金属および/または金属硫化物のナノサイズクラスターが均一に分散した新規な複合焼成体が得られ、この複合焼成体は優れた電子移動性、酸化還元活性、可視光応答性、光触媒活性などを示し、これら新規機能により電子、光的特性が確認されたことより、電子移動性を有する材料、酸化還元活性を有する材料、可視光応答性を有する材料、光触媒活性を有する材料などの電子材料や光機能材料など種々の用途に適用可能である、という顕著な効果を奏するものであり、
本発明の製造方法により、本発明の複合焼成体を容易に製造できる、という顕著な効果を奏するので、産業上の利用価値が高い。
本発明の多次元有機・無機複合体化合物のUV−VISスペクトルを示すグラフである。 図1に示した本発明の多次元有機・無機複合体化合物のESRスペクトルを示すグラフである。 本発明の複合焼成体の粉末X線回折ペクトルを示すグラフである。 本発明の他の複合焼成体の粉末X線回折ペクトルを示すグラフである。 本発明の複合焼成体の粒子の透過電子顕微鏡画像を示す。 本発明の他の複合焼成体の粒子の透過電子顕微鏡画像を示す。 本発明の複合焼成体のUV−VISスペクトルを示すグラフである。 本発明の他の複合焼成体のUV−VISスペクトルを示すグラフである。 本発明の複合焼成体のESRスペクトルを示すグラフである。 本発明の他の複合焼成体のESRスペクトルを示すグラフである。 還元剤添加後の本発明の複合焼成体のESRスペクトルを示すグラフである。 可視光照射下の本発明の複合焼成体のESRスペクトルを示すグラフである。 還元剤のHOMOポテンシャルと複合焼成体のスピン濃度の関係を示すグラフである。 金属元素M1に与えられた刺激(光、酸化還元など)により発生した電荷やスピンなどが共有結合を介して伝達し金属元素M2に伝わる状況を模式的に示す説明図である。

Claims (12)

  1. 式(1)で示される、無機金属化合物(A)と多官能性有機化合物(B)とを反応させて得られる化合物(C)であって、金属元素と多官能性有機基が共有結合を介して結合している多次元有機・無機複合体化合物を減圧下で焼成して得られることを特徴とする複合焼成体。
    Figure 2005247595
    (ただし、式(1)中、Mは金属元素を示し、R1 はアルコキシ基、ハロゲンイオン、カルボン酸陰イオン、アセチルアセトン等の錯形成基を示し、n1はR1の金属元素Mに対する置換数n1≧2を示す。また式中R2 はアルキル基、置換アルキル基、アルキルベンゼン基、フェニル基、置換フェニル基、ナフチル基、置換ナフチル基、アリル基等の非共役有機基あるいは共役有機基を示し、Xはヒドロキシル基、アミノ基、チオール基等の金属元素と共有結合を形成する置換基を示し、n2はR2 に対する置換数n2≧2を示す。)
  2. 形状が、粒子、結晶構造体、薄膜、厚膜である多次元有機・無機複合体化合物を用いることを特徴とする請求項1記載の複合焼成体。
  3. 前記多次元有機・無機複合体化合物に、別途有機化合物を添加して得られる多次元有機・無機複合体化合物を用いることを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の複合焼成体。
  4. 前記多次元有機・無機複合体化合物に、別途無機化合物を添加して得られる多次元有機・無機複合体化合物を用いることを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の複合焼成体。
  5. 前記多次元有機・無機複合体化合物に、別途有機化合物および無機化合物を添加して得られる多次元有機・無機複合体化合物を用いることを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の複合焼成体。
  6. 金属種または多官能性有機基が異なる請求項1あるいは請求項2記載の多次元有機・無機複合体化合物、および別途添加した有機化合物もしくは別途添加した無機化合物が異なる請求項3から請求項5のいずれかに記載の多次元有機・無機複合体化合物から選択される少なくとも2種以上の化合物を混合して得られる多次元有機・無機複合体化合物を用いることを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の複合焼成体。
  7. 電子移動性を有することを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれかに記載の複合焼成体。
  8. 酸化還元活性を有することを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれかに記載の複合焼成体。
  9. 可視光応答性を有することを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれかに記載の複合焼成体。
  10. 光触媒活性を有することを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれかに記載の複合焼成体。
  11. 式(1)で示すように、無機金属化合物(A)と多官能性有機化合物(B)とを、溶媒の存在下に反応させて得られる新規化合物(C)である、金属元素と多官能性有機基が共有結合を介して結合している多次元有機・無機複合体化合物を減圧下で焼成することを特徴とする複合焼成体の製造方法。
    Figure 2005247595
    (ただし、式(1)中、Mは金属元素を示し、R1 はアルコキシ基、ハロゲンイオン、カルボン酸陰イオン、アセチルアセトン等の錯形成基を示し、n1はR1の金属元素Mに対する置換数n1≧2を示す。また式中R2 はアルキル基、置換アルキル基、アルキルベンゼン基、フェニル基、置換フェニル基、ナフチル基、置換ナフチル基、アリル基等の非共役有機基あるいは共役有機基を示し、Xはヒドロキシル基、アミノ基、チオール基等の金属元素と共有結合を形成する置換基を示し、n2はR2 に対する置換数n2≧2を示す。)
  12. 400〜800℃で焼成することを特徴とする請求項11記載の複合焼成体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006291046A (ja) * 2005-04-11 2006-10-26 Univ Of Tokyo 燃料電池用炭化水素系ポリマー
JP2008071584A (ja) * 2006-09-13 2008-03-27 Toyota Motor Corp 電子伝達メディエータ修飾酵素電極及びこれを備える生物燃料電池
JP2015063523A (ja) * 2013-09-03 2015-04-09 ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. ハードマスク

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