JP2006290775A - 油性皮膚外用剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】エモリエント性を高めて乾燥を防ぐことで肌を保護する一方、紫外線や加齢などによってもたらされる肌の老化現象、とりわけシワやたるみといった現象を改善し、また製剤そのものの抗酸化性を高めることで、製品の安定性を飛躍的に向上させた油性皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】油性皮膚外用剤はスクワランにコエンザイムQ10を配合した系に、ビタミンE類及び/又はスクワレンを配合することによって著しく抗酸化性が高まり、この系に油溶性抗酸化物質を加えることによってエモリエント性を高めて乾燥を防ぐことで肌を保護する一方、紫外線や加齢などによってもたらされる肌の老化現象、とりわけシワやたるみといった現象を改善し、また製剤そのものの抗酸化性を高めることで、製品の安定性を向上させたもので、油性皮膚外用剤の商品としてのライフサイクルを長く保つことができ、産業上の利用可能性は大である。
【選択図】なし
【解決手段】油性皮膚外用剤はスクワランにコエンザイムQ10を配合した系に、ビタミンE類及び/又はスクワレンを配合することによって著しく抗酸化性が高まり、この系に油溶性抗酸化物質を加えることによってエモリエント性を高めて乾燥を防ぐことで肌を保護する一方、紫外線や加齢などによってもたらされる肌の老化現象、とりわけシワやたるみといった現象を改善し、また製剤そのものの抗酸化性を高めることで、製品の安定性を向上させたもので、油性皮膚外用剤の商品としてのライフサイクルを長く保つことができ、産業上の利用可能性は大である。
【選択図】なし
Description
本発明はスクワランに、コエンザイムQ10およびビタミンE類及び/又はスクワレンを配合したもの、及び該系に、ビタミンA類、油溶性ビタミンC類、スクワレンなどの油溶性抗酸化物質から選ばれる1種以上の抗酸化物質を更に配合してなることを特徴とする油性皮膚外用剤に関し、エモリエント性を高めて乾燥を防ぐことで肌を保護する一方、紫外線や加齢などによってもたらされる肌の老化現象、とりわけシワやたるみといった現象を改善し、また製剤そのものの抗酸化性を高めることで、製品の安定性を向上させた油性皮膚外用剤に関する。
今日の化粧品業界において、安全性の高い油性成分として認識されているスクワランは、各種クリーム・乳液などのスキンケア化粧品、石鹸・シャンプー・リンスなどのヘアケア化粧品、さらには化粧用オイル・日焼け用オイルなど、多くの化粧品に配合、使用されている。
通常の生活環境下においては肌表面からの水分・油分損失に起因する、さまざまな外的(冷暖房による影響など)・内的(老化など)要因によって皮膚の乾燥が起こる。このような肌の乾燥を防止、改善してエモリエント性を与えることを目的としたオイルとしてスクワランが用いられている。スクワランは生体適合性、展伸性、安全性、自然材料という点に優れていることから、各種化粧品、例えば各種クリーム、特に栄養及び薬用クリーム、乳液、化粧水、口紅、ファンデーション、パウダー類などほぼすべての化粧品に使用することができる。
通常の生活環境下においては肌表面からの水分・油分損失に起因する、さまざまな外的(冷暖房による影響など)・内的(老化など)要因によって皮膚の乾燥が起こる。このような肌の乾燥を防止、改善してエモリエント性を与えることを目的としたオイルとしてスクワランが用いられている。スクワランは生体適合性、展伸性、安全性、自然材料という点に優れていることから、各種化粧品、例えば各種クリーム、特に栄養及び薬用クリーム、乳液、化粧水、口紅、ファンデーション、パウダー類などほぼすべての化粧品に使用することができる。
スクワランの特徴を列記すると以下のようである。
(1)無色・無臭で肌に対する刺激性が極めて少なく、肌浸透性に優れている。
(2)静菌作用を有する。すなわち、スクワラン濃度70%において、大腸菌、赤痢菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、溶血性連鎖球菌、鷲口瘡カンジダ菌に対してその発育を完全に阻止する。白癬菌に対しては10%濃度で発育を完全に阻止する。
(3)細胞賦活作用を有する。肌の場合、角質の硬化を防ぎ、皮膚を柔軟にし、角質代謝をスムーズに促す作用がある。
(4)免疫力強化作用を有する。すなわち、生体防御を高めるとともに、免疫機構物質の活性を促進する。
(5)鎮痛作用を有する。鎮痛、鎮痒作用、火傷に対する治癒効果があるとされている。
(6)抗酸化性の高い構造を有している。単一精製油としては極めて安定な物質である。
多くの化粧品に使用されているスクワランは飽和炭化水素であるがゆえに、全く酸化を受けない化学的に極めて安定な物質と理解されているが、適切な使用または保存を怠ると酸化劣化を起こすことがある。
特にスクワラン単独100%を充填した化粧オイルの場合、使用の際に容器の口を肌につけたりすると、肌の雑菌が容器内に混入し腐敗臭を発生したり、窓際の直射日光のあたるところに保管するとスクワランが変質することがあるなどの酸化劣化に対して注意を要することはあまり知られていない。それ故スクワラン使用の油性皮膚外用剤の酸化安定性を高める配合技術が求められている。
(1)無色・無臭で肌に対する刺激性が極めて少なく、肌浸透性に優れている。
(2)静菌作用を有する。すなわち、スクワラン濃度70%において、大腸菌、赤痢菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、溶血性連鎖球菌、鷲口瘡カンジダ菌に対してその発育を完全に阻止する。白癬菌に対しては10%濃度で発育を完全に阻止する。
(3)細胞賦活作用を有する。肌の場合、角質の硬化を防ぎ、皮膚を柔軟にし、角質代謝をスムーズに促す作用がある。
(4)免疫力強化作用を有する。すなわち、生体防御を高めるとともに、免疫機構物質の活性を促進する。
(5)鎮痛作用を有する。鎮痛、鎮痒作用、火傷に対する治癒効果があるとされている。
(6)抗酸化性の高い構造を有している。単一精製油としては極めて安定な物質である。
多くの化粧品に使用されているスクワランは飽和炭化水素であるがゆえに、全く酸化を受けない化学的に極めて安定な物質と理解されているが、適切な使用または保存を怠ると酸化劣化を起こすことがある。
特にスクワラン単独100%を充填した化粧オイルの場合、使用の際に容器の口を肌につけたりすると、肌の雑菌が容器内に混入し腐敗臭を発生したり、窓際の直射日光のあたるところに保管するとスクワランが変質することがあるなどの酸化劣化に対して注意を要することはあまり知られていない。それ故スクワラン使用の油性皮膚外用剤の酸化安定性を高める配合技術が求められている。
スクワランの耐酸化性を向上させるためには、ビタミンE類を添加・配合することが有効であることは知られているが(特許文献1および特許文献2等を参照)、ビタミンE類を配合すると、不適切な使用・保管によって酸化が進行し、無色透明油液のスクワランが黄色〜褐色に着色してしまう。また異臭の原因にもなるため、商品価値を失ってしまう。
一方、ヒト生体内における内因性油溶性抗酸化物質として、コエンザイムQ10(別名:ユビキノン) が心筋、すい臓、肺に多く存在していることが知られている。コエンザイムQ10は、ヒト体内ではメバロン酸代謝経路のスクワレン合成段階途中のファルネシル2-リン酸から生合成される。コエンザイムQ10の化学構造は、以下に示すように、キノン環の側鎖にイソプレンが10個結合しているので、側鎖にイソプレン単位の構造を持つイソプレノイドとして分類されるものである。
コエンザイムQ10は皮膚中においては抗酸化成分としての役割を果たしており、皮膚の老化症状の一つであるシワの改善に有効である(非特許文献1等を参照)。
一般に皮膚のシワは加齢によるものと紫外線によるものの二通りがあり、加齢の場合は皮膚のヒアルロン酸が減り、かつコラーゲンが無秩序になることで保水性が低下、さらにはコラーゲン、エラスチンの活性化・産生速度が鈍ることに起因するが、コエンザイムQ10は、ヒアルロン酸を増加させ、皮膚の老化の改善作用を示す。
一方、紫外線による皮膚の老化は、酵素のイニシエーターが真皮の線維芽細胞に悪影響を及ぼし、コラーゲンを破壊する酵素コラーゲナーゼを増加させ、コラーゲンの破壊あるいはヒアルロン酸の減少をもたらすことになるが、コエンザイムQ10は、抗酸化成分として表皮のケラチン細胞及び真皮の線維芽細胞に対する紫外線照射の影響を低減し、光老化による固有の現象である深いシワを縮小し得る。さらに老化した皮膚では角質細胞の表面積が年齢とともに大きくなり、細かいシワが作られるが、コエンザイムQ10を皮膚に塗布することにより、その表面積を縮小させ、角質細胞の代謝促進をもたらすと言われている。しかしながら、この皮膚老化の改善作用を有するコエンザイムQ10は、生体内では高齢化に伴い減少することが確認されている。
一般に皮膚のシワは加齢によるものと紫外線によるものの二通りがあり、加齢の場合は皮膚のヒアルロン酸が減り、かつコラーゲンが無秩序になることで保水性が低下、さらにはコラーゲン、エラスチンの活性化・産生速度が鈍ることに起因するが、コエンザイムQ10は、ヒアルロン酸を増加させ、皮膚の老化の改善作用を示す。
一方、紫外線による皮膚の老化は、酵素のイニシエーターが真皮の線維芽細胞に悪影響を及ぼし、コラーゲンを破壊する酵素コラーゲナーゼを増加させ、コラーゲンの破壊あるいはヒアルロン酸の減少をもたらすことになるが、コエンザイムQ10は、抗酸化成分として表皮のケラチン細胞及び真皮の線維芽細胞に対する紫外線照射の影響を低減し、光老化による固有の現象である深いシワを縮小し得る。さらに老化した皮膚では角質細胞の表面積が年齢とともに大きくなり、細かいシワが作られるが、コエンザイムQ10を皮膚に塗布することにより、その表面積を縮小させ、角質細胞の代謝促進をもたらすと言われている。しかしながら、この皮膚老化の改善作用を有するコエンザイムQ10は、生体内では高齢化に伴い減少することが確認されている。
山本とStockerらによれば、LDL(ヒト低密度リポプロテイン)の中でユビキノールQ10(還元型コエンザイムQ10)が顕著に抗酸化性を発揮することが記載されているが、その後、α−トコフェロール(ビタミンE類)共存下では、ユビキノールQ10が消失したのち、α−トコフェロールが残存しているにもかかわらず、LDLの酸化は抑制できないとしている(非特許文献2)。
そこで、スクワランにコエンザイムQ10を配合してみたが、製剤の抗酸化性は不十分なものであった。
特開平10-95724号
特開平10-109922号
U.Hoppe,et al;Biofactors,9,pp371-378(1999)
山本順寛;"(3)抗酸化作用"Vitamin(Japan),75(5・6),279-282(2001)
M.K.Govind Rao and K.T.Achaya:J.Am.Oil Chem.,45,pp.296(1968)
そこで、スクワランにコエンザイムQ10を配合してみたが、製剤の抗酸化性は不十分なものであった。
本発明は上記の問題点を解決するものであり、その目的は、エモリエント性を高めて乾燥を防ぐことで肌を保護する一方、紫外線や加齢などによってもたらされる肌の老化現象、とりわけシワやたるみといった現象を改善し、また製剤そのものの抗酸化性を高めることで、製品の安定性を向上させたスクワランを主剤とする油性皮膚外用剤を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、スクワランにコエンザイムQ10を配合したものに、ビタミンE類及び/又はスクワレンを共存させると、スクワランにコエンザイムQ10を単独で加えたものよりも抗酸化性を飛躍的に向上させることを見出した。この事実は、山本らの結果とは全く異なるもので、新たな知見である。本発明はこの知見に基き、スクワランにコエンザイムQ10を配合したものに、ビタミンE類及び/又はスクワレンを共存させることによって抗酸化性を高め、更に該系にビタミンA類、油溶性ビタミンC類、スクワレンなどから選ばれる1種以上の油溶性抗酸化物質を配合することにより上記の抗酸化性効果が更に向上することを見出し本発明に到達したものである。
即ち本発明は(1)スクワランにコエンザイムQ10を配合したものに、ビタミンE類及び/又はスクワレンを配合したことを特徴とする、油性皮膚外用剤、(2)更に油溶性抗酸化物質を配合してなる、1記載の油性皮膚外用剤、(3)スクワランが鮫肝油由来品、植物由来品、又は化学合成品から選ばれるものである、1又は2記載の油性皮膚外用剤、(4)ビタミンE類がα−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、DL−α−トコフェロール、D−δ−トコフェロール、酢酸DL−α−トコフェロール、コハク酸DL−α−トコフェロール、DL−α−トコフェロールカルシウム、ニコチン酸DL−α−トコフェロール、リノール酸DL−α−トコフェロールから選ばれるものである、1、2又は3記載の油性皮膚外用剤、(5)油溶性抗酸化物質が、ビタミンA類、油溶性ビタミンC類、スクワレンからなる群から選ばれる1種以上である、1、2、3又は4記載の油性皮膚外用剤、(6)油性皮膚外用剤全量に対するコエンザイムQ10の配合量が0.01重量%から10.00重量%であり、油性皮膚外用剤全量に対するビタミンE類の配合量が0.01重量%から10.00重量%である、1、2、3、4又は5記載の油性皮膚外用剤、(7)油性皮膚外用剤全量に対する油溶性抗酸化物質の配合量が0.01重量%から10.00重量%である、2、3、4、5又は6記載の油性皮膚外用剤、(8)油溶性抗酸化物質であるビタミンA類が、レチノール、ビタミンA1アルコール、レチナール、ビタミンA1アルデヒド、ビタミンA1酸、酢酸レチノ−ル、ビタミンAアセテート、パルミチン酸レチノ−ル、ビタミンAパルミテート、ビタミンA油、およびビタミンA1酸のメチルエステル、エチルエステル、レチノールエステルから選ばれる1種以上である、2、3、4、5、6又は7記載の油性皮膚外用剤、(9)油溶性抗酸化物質である油溶性ビタミンC類が、テトラ2−へキシルデカン酸L−アスコルビル、モノステアリン酸アスコルビル、モノパルミチン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビルから選ばれる1種以上である、2、3、4、5、6、7又は8記載の油性皮膚外用剤、及び(10)スクワレンが、鮫肝油由来品、植物由来品、又は化学合成品から選ばれる1種以上である、1、2、3、4、5、6、7、8、又は9記載の油性皮膚外用剤、に関するものである。
即ち本発明は(1)スクワランにコエンザイムQ10を配合したものに、ビタミンE類及び/又はスクワレンを配合したことを特徴とする、油性皮膚外用剤、(2)更に油溶性抗酸化物質を配合してなる、1記載の油性皮膚外用剤、(3)スクワランが鮫肝油由来品、植物由来品、又は化学合成品から選ばれるものである、1又は2記載の油性皮膚外用剤、(4)ビタミンE類がα−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、DL−α−トコフェロール、D−δ−トコフェロール、酢酸DL−α−トコフェロール、コハク酸DL−α−トコフェロール、DL−α−トコフェロールカルシウム、ニコチン酸DL−α−トコフェロール、リノール酸DL−α−トコフェロールから選ばれるものである、1、2又は3記載の油性皮膚外用剤、(5)油溶性抗酸化物質が、ビタミンA類、油溶性ビタミンC類、スクワレンからなる群から選ばれる1種以上である、1、2、3又は4記載の油性皮膚外用剤、(6)油性皮膚外用剤全量に対するコエンザイムQ10の配合量が0.01重量%から10.00重量%であり、油性皮膚外用剤全量に対するビタミンE類の配合量が0.01重量%から10.00重量%である、1、2、3、4又は5記載の油性皮膚外用剤、(7)油性皮膚外用剤全量に対する油溶性抗酸化物質の配合量が0.01重量%から10.00重量%である、2、3、4、5又は6記載の油性皮膚外用剤、(8)油溶性抗酸化物質であるビタミンA類が、レチノール、ビタミンA1アルコール、レチナール、ビタミンA1アルデヒド、ビタミンA1酸、酢酸レチノ−ル、ビタミンAアセテート、パルミチン酸レチノ−ル、ビタミンAパルミテート、ビタミンA油、およびビタミンA1酸のメチルエステル、エチルエステル、レチノールエステルから選ばれる1種以上である、2、3、4、5、6又は7記載の油性皮膚外用剤、(9)油溶性抗酸化物質である油溶性ビタミンC類が、テトラ2−へキシルデカン酸L−アスコルビル、モノステアリン酸アスコルビル、モノパルミチン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビルから選ばれる1種以上である、2、3、4、5、6、7又は8記載の油性皮膚外用剤、及び(10)スクワレンが、鮫肝油由来品、植物由来品、又は化学合成品から選ばれる1種以上である、1、2、3、4、5、6、7、8、又は9記載の油性皮膚外用剤、に関するものである。
本発明による油性皮膚外用剤は、皮膚の抗酸化性能力を高め、シワやたるみの発生を予防し、かつ発生したシワやたるみの改善をすること、さらにはスクワラン単独に比べて、製剤そのものの抗酸化性を高め、製品の安定性を向上させることができる。
本発明ではビタミンE類及び/又はスクワレンの配合により、スクワラン及びコエンザイムQ10を安定化させ、その安定性に基づく抗しわ性、しわの改善や、持続性によりしわの改善の戻りを防ぐ、又活性酸素の捕捉と皮膚の保湿性を担うヒアルロン酸の産生促進及び刺激性が無いものとすることができる。
本発明の油性皮膚外用剤は、スクワランにコエンザイムQ10とビタミンE類及び/又はスクワレンを配合したもの、又は該系に、ビタミンA類、油溶性ビタミンC類、スクワレンなどから選ばれる1種以上の油溶性抗酸化物質を配合するものであって、皮膚の抗酸化性能力を高め、シワやたるみの発生を予防し、かつ発生したシワやたるみの改善をすること、さらにはスクワラン単独に比べて、製剤そのものの抗酸化性が高まり、製品の安定性が向上するものである。
本発明の油性皮膚外用剤は、スクワランにコエンザイムQ10とビタミンE類及び/又はスクワレンを配合したもの、又は該系に、ビタミンA類、油溶性ビタミンC類、スクワレンなどから選ばれる1種以上の油溶性抗酸化物質を配合するものであって、皮膚の抗酸化性能力を高め、シワやたるみの発生を予防し、かつ発生したシワやたるみの改善をすること、さらにはスクワラン単独に比べて、製剤そのものの抗酸化性が高まり、製品の安定性が向上するものである。
本発明で用いるスクワランは、鮫肝油由来品、オリーブ果実などの植物由来品および化学合成品のいずれも使用することができ、GC純度(ガスクマトグラフィー測定による純度)80.0重量%以上のもの、好ましくは刺激物質であるプリスタン(2,6,10,14-テトラメチルペンタデカン)を実質的に含まない、GC純度90.0%以上、特に好ましくはGC純度99.0%以上の高純度のスクワランが適する。
本発明の油性皮膚外用剤におけるコエンザイムQ10の配合量は、スクワラン、ビタミンE類及び/又はスクワレンを配合した系に対し、ビタミンA類、油溶性ビタミンC類、スクワレンなどの油溶性抗酸化物質から選ばれる1種以上の抗酸化物質の配合量により異なるが、油性皮膚外用剤全量に対し0.01重量%から10.00重量%の範囲で配合したものとする。好ましくは0.01重量%から1.00重量%であり、特に好ましくは0.01重量%から0.1重量%である。
また、本発明に用いる抗酸化物質の一つとして、ビタミンE(トコフェロール)を用いるが、該ビタミンEは、α-、β-、γ-、δ-の4つの異性体が存在し、そのいずれをも用いることができる。これらのビタミンEは、小麦胚芽油、大豆油、綿実油、落花生油、オリーブ油、トウモロコシ油、ゴマ油などの植物油、豚油、牛油などの動物油に存在し、植物により主成分が異なり、米国の小麦油はα体、ヨーロッパのものはβ体、大豆油はδ体、トウモロコシ油はγ体量が多く含有する。製法は小麦胚芽油、大豆油などを原料として、分子蒸留により得られた240℃以下の留出物をケン化し、不ケン化物を分子蒸留する抽出方法と、トリメチルヒドロキノン、臭化フィチルを脱水縮合して合成する方法がありいずれの方法も利用できる。経費吸収性は、α体が吸収もよく、ビタミンE活性が大である。各異性体の活性は、α体の活性を100とするとβ体10〜50、γ体10、δ体1である。
また、DL体ではD体が活性大であり、DL体は60〜65%、L体は25%ぐらいのビタミンE活性をもっており、本発明はいずれもこれを利用できる。
その他のビタミンE類としては、DL−α−トコフェロール、D−δ−トコフェロール、酢酸DL−α−トコフェロール、コハク酸DL−α−トコフェロール、DL−α−トコフェロールカルシウム、ニコチン酸DL−α−トコフェロール、リノール酸DL−α−トコフェロールがあり、これらも本発明のビタミンE類として利用できる。
また、本発明のビタミンE類の配合目的は、主に酸化防止剤として用いられているが、皮膚へは光障害の改善、抹消循環の促進や抗酸化作用による皮膚の老化防止作用としても有効である。これは、トコフェロールの6位のOH基は空気、光、紫外線により酸化されやすく、還元力が強いためである。
本発明では、ビタミンE類はスクワランとコエンザイムQ10の酸化防止を主目的として配合されるが、上記の生理活性効果も期待できる。
本発明におけるビタミンE類として用いられるものとしては、酢酸d−α−トコフェロール、酢酸DL−α−トコフェロール、天然ビタミンE、DL−α−トコフェロール、D−δ−トコフェロール、ニコチン酸DL−α−トコフェロール、(リノール/オレイン酸)DL−α−トコフェロール、リノール酸DL−α−トコフェロールが好ましく、中でもD−α−トコフェロール、D−β−トコフェロール、D−γ−トコフェロール、D−δ−トコフェロールを含有する天然ビタミンEが好ましい。
本発明におけるビタミンE類の配合量は、スクワラン、コエンザイムQ10(及びスクワレン)を配合した系に対し、ビタミンA類、油溶性ビタミンC類、スクワレンなどの油溶性抗酸化物質から選ばれる1種以上の抗酸化物質の配合量により異なるが、油性皮膚外用剤全量に対し0.01重量%から10.00重量%の範囲で配合したもの、好ましくは0.01重量%から5.00重量%であり、特に好ましくは0.01重量%から1.00重量%である。
また、DL体ではD体が活性大であり、DL体は60〜65%、L体は25%ぐらいのビタミンE活性をもっており、本発明はいずれもこれを利用できる。
その他のビタミンE類としては、DL−α−トコフェロール、D−δ−トコフェロール、酢酸DL−α−トコフェロール、コハク酸DL−α−トコフェロール、DL−α−トコフェロールカルシウム、ニコチン酸DL−α−トコフェロール、リノール酸DL−α−トコフェロールがあり、これらも本発明のビタミンE類として利用できる。
また、本発明のビタミンE類の配合目的は、主に酸化防止剤として用いられているが、皮膚へは光障害の改善、抹消循環の促進や抗酸化作用による皮膚の老化防止作用としても有効である。これは、トコフェロールの6位のOH基は空気、光、紫外線により酸化されやすく、還元力が強いためである。
本発明では、ビタミンE類はスクワランとコエンザイムQ10の酸化防止を主目的として配合されるが、上記の生理活性効果も期待できる。
本発明におけるビタミンE類として用いられるものとしては、酢酸d−α−トコフェロール、酢酸DL−α−トコフェロール、天然ビタミンE、DL−α−トコフェロール、D−δ−トコフェロール、ニコチン酸DL−α−トコフェロール、(リノール/オレイン酸)DL−α−トコフェロール、リノール酸DL−α−トコフェロールが好ましく、中でもD−α−トコフェロール、D−β−トコフェロール、D−γ−トコフェロール、D−δ−トコフェロールを含有する天然ビタミンEが好ましい。
本発明におけるビタミンE類の配合量は、スクワラン、コエンザイムQ10(及びスクワレン)を配合した系に対し、ビタミンA類、油溶性ビタミンC類、スクワレンなどの油溶性抗酸化物質から選ばれる1種以上の抗酸化物質の配合量により異なるが、油性皮膚外用剤全量に対し0.01重量%から10.00重量%の範囲で配合したもの、好ましくは0.01重量%から5.00重量%であり、特に好ましくは0.01重量%から1.00重量%である。
本発明に用いる油溶性抗酸化物質であるビタミンA類は、ビタミンA1を指していることもあるが、ビタミンA2などビタミンAの生理的効果をもった類縁物質も含めての総称であり、レチノ−ル(ビタミンA1アルコール)、レチナール(ビタミンA1アルデヒド)、ビタミンA1酸があり、ビタミンA1のエステルとしては、酢酸レチノ−ル(ビタミンAアセテート)、パルミチン酸レチノ−ル(ビタミンAパルミテート)及びビタミンA1酸のメチルエステル、エチルエステル、レチノ−ルエステルなどがありまたビタミンAを含む脂肪油として、ビタミンA油などそのいずれもを利用できる。
ビタミンA類は植物中のカロチンやクリプトキサンチンなどのプロビタミンAが、天然にはレチノール(ビタミンA1アルコール)および3−デヒドロレチノール(ビタミンA2アルコール)とそれらの誘導体(A1、A2アルデヒドおよびA1、A2酸)が存在し、利用できる。該ビタミンA1は主に各種魚類の肝油、動物の肝臓、卵黄、牛乳、黄色野菜などに存在する脂溶性ビタミンであり、淡水魚には3−デヒドロレチノール(ビタミンA2アルコール)が存在し、利用できる。ビタミンA類とその誘導体は皮膚の角化に関与しており、外用剤として用いると皮膚の再生を促進するので、皮膚の老化治療に有効である。
ビタミンA1は水にはほとんど溶けずに油脂類に溶解する。空気中で容易に酸化され、特に熱、光によって酸化されやすく、不安定であるが、油脂類の溶液中では比較的安定である。一方エステル類は比較的安定である。
本発明におけるビタミンA類として用いられるものとしては、酢酸レチノ−ル、パルミチン酸レチノ−ル、ビタミンA油が好ましい。
本発明におけるビタミンA類の配合量は、スクワラン、コエンザイムQ10、ビタミンE類及び/又はスクワレンを配合した系に対しては、油性皮膚外用剤の剤型、用途、使用感により適宜選ばれるが、油性皮膚外用剤全量に対し0.01〜10.00重量%の範囲で配合したもの、好ましくは0.01重量%から1.00重量%であり、特に好ましくは0.01重量%から0.50重量%である。
ビタミンA類は植物中のカロチンやクリプトキサンチンなどのプロビタミンAが、天然にはレチノール(ビタミンA1アルコール)および3−デヒドロレチノール(ビタミンA2アルコール)とそれらの誘導体(A1、A2アルデヒドおよびA1、A2酸)が存在し、利用できる。該ビタミンA1は主に各種魚類の肝油、動物の肝臓、卵黄、牛乳、黄色野菜などに存在する脂溶性ビタミンであり、淡水魚には3−デヒドロレチノール(ビタミンA2アルコール)が存在し、利用できる。ビタミンA類とその誘導体は皮膚の角化に関与しており、外用剤として用いると皮膚の再生を促進するので、皮膚の老化治療に有効である。
ビタミンA1は水にはほとんど溶けずに油脂類に溶解する。空気中で容易に酸化され、特に熱、光によって酸化されやすく、不安定であるが、油脂類の溶液中では比較的安定である。一方エステル類は比較的安定である。
本発明におけるビタミンA類として用いられるものとしては、酢酸レチノ−ル、パルミチン酸レチノ−ル、ビタミンA油が好ましい。
本発明におけるビタミンA類の配合量は、スクワラン、コエンザイムQ10、ビタミンE類及び/又はスクワレンを配合した系に対しては、油性皮膚外用剤の剤型、用途、使用感により適宜選ばれるが、油性皮膚外用剤全量に対し0.01〜10.00重量%の範囲で配合したもの、好ましくは0.01重量%から1.00重量%であり、特に好ましくは0.01重量%から0.50重量%である。
本発明に用いる油性抗酸化物質であるビタミンC類はその還元型と酸化型の可逆的相互変換によりビタミンE類の還元に寄与する。ビタミンC誘導体としては、アスコルビン酸の酢酸エステル、安息香酸エステル、高級脂肪酸エステル、リン酸エステル、硫酸エステルなどが利用できる。高級脂肪酸エステルは油溶性で、アスコルビン酸活性はL−アスコルビン酸とほとんど変わらず持続性があり、利用できる。また、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビルなども用いられる。
また、テトラ2-へキシルデカン酸アスコルビル、モノステアリン酸アスコルビル、モノパルミチン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビルなどの油溶性アスコルビン酸誘導体が利用できる。
前記した油溶性アスコルビン酸誘導体のうちでも、本発明では、油溶性ビタミンC類として、テトラ2−へキシルデカン酸アスコルビル、モノステアリン酸アスコルビル、モノパルミチン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビルが有効であり、好ましくはテトラ2−へキシルデカン酸アスコルビルが挙げられる。
本発明における油溶性ビタミンC類の配合量は、スクワラン、コエンザイムQ10、ビタミンE類及び/又はスクワレンを配合した系に対しては、油性皮膚外用剤の剤型、用途、使用感により適宜選ばれるが、油性皮膚外用剤全量に対し0.01重量%から10.00重量%の範囲で配合したものが好ましい。
また、テトラ2-へキシルデカン酸アスコルビル、モノステアリン酸アスコルビル、モノパルミチン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビルなどの油溶性アスコルビン酸誘導体が利用できる。
前記した油溶性アスコルビン酸誘導体のうちでも、本発明では、油溶性ビタミンC類として、テトラ2−へキシルデカン酸アスコルビル、モノステアリン酸アスコルビル、モノパルミチン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビルが有効であり、好ましくはテトラ2−へキシルデカン酸アスコルビルが挙げられる。
本発明における油溶性ビタミンC類の配合量は、スクワラン、コエンザイムQ10、ビタミンE類及び/又はスクワレンを配合した系に対しては、油性皮膚外用剤の剤型、用途、使用感により適宜選ばれるが、油性皮膚外用剤全量に対し0.01重量%から10.00重量%の範囲で配合したものが好ましい。
本発明において使用するスクワレンは、スクワランの原料であるが、ビタミンE類と同様の作用効果を有し、また油溶性抗酸化物質として有効である。
本発明で用いるスクワレンは、各粗原料に含まれ人体への悪影響が懸念されるPCB(ポリ塩化ビフェニル)類および水銀、鉛、カドミウムなどの重金属類で代表される不純物が、各原料からスクワレンの採取および精製工程で除去もしくは殆ど検出されないまで除去された品質で、無臭に近いものが好ましく、GC純度で99.0重量%以上が望ましい。スクワレンは主として健康食品素材としての「鮫肝油エキス加工食品」の原料として、単独でゼラチンカプセルに内包・使用されたり、他の抗酸化物質と組み合わされた商品として市販されている。スクワレンは、深海鮫肝油由来品、オリーブ果実や米ぬかなどの植物由来品、また化学合成品を用いることができる。
スクワレンは、ヒト生体内においてはコエンザイムQ10と共に生体生理活性物質であり、そのため内因性油溶性抗酸化物質として位置付けられる。
M.K.Govind Raoらはスクワレンの抗酸化能力を、オレイン酸メチルおよび、リノール酸メチルを用いてビタミンE類と比較検討し、初期段階ではビタミンE類よりも優れていると発表している(非特許文献3)。
本発明におけるスクワレンの配合量は、スクワラン、コエンザイムQ10(及びビタミンE類)を配合した系に対しては、油性皮膚外用剤の剤型、用途、使用感により適宜選ばれるが、油性皮膚外用剤全量に対し0.01重量%から10.00重量%の範囲で配合したもの、好ましくは0.01重量%から5.00重量%であり、特に好ましくは0.01重量%から3.00重量%である。
本発明で用いるスクワレンは、各粗原料に含まれ人体への悪影響が懸念されるPCB(ポリ塩化ビフェニル)類および水銀、鉛、カドミウムなどの重金属類で代表される不純物が、各原料からスクワレンの採取および精製工程で除去もしくは殆ど検出されないまで除去された品質で、無臭に近いものが好ましく、GC純度で99.0重量%以上が望ましい。スクワレンは主として健康食品素材としての「鮫肝油エキス加工食品」の原料として、単独でゼラチンカプセルに内包・使用されたり、他の抗酸化物質と組み合わされた商品として市販されている。スクワレンは、深海鮫肝油由来品、オリーブ果実や米ぬかなどの植物由来品、また化学合成品を用いることができる。
スクワレンは、ヒト生体内においてはコエンザイムQ10と共に生体生理活性物質であり、そのため内因性油溶性抗酸化物質として位置付けられる。
M.K.Govind Raoらはスクワレンの抗酸化能力を、オレイン酸メチルおよび、リノール酸メチルを用いてビタミンE類と比較検討し、初期段階ではビタミンE類よりも優れていると発表している(非特許文献3)。
本発明におけるスクワレンの配合量は、スクワラン、コエンザイムQ10(及びビタミンE類)を配合した系に対しては、油性皮膚外用剤の剤型、用途、使用感により適宜選ばれるが、油性皮膚外用剤全量に対し0.01重量%から10.00重量%の範囲で配合したもの、好ましくは0.01重量%から5.00重量%であり、特に好ましくは0.01重量%から3.00重量%である。
本発明の油性皮膚外用剤には、1種類もしくはそれ以上の油性成分、例えばエモリエント剤、抗炎症剤、抗酸化剤、抗菌剤などを配合、併用することも可能である。好ましくはアボカド油、アルモンド油、オリーブ油、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、ダイズ油、トウモロコシ油、杏仁油、桃仁油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、馬油、ミンク油、卵黄脂肪油、ククイナッツ油、小麦胚芽油、コメ胚芽油、シアバター、月見草油、ハイオレイックヒマワリ油、マカデミアナッツ油、卵黄油、コレステロール、フィトステロール、油溶性アルニカエキス、油溶性オトギリソウエキス、油溶性オドリコソウエキス、油溶性カモミラエキス、油溶性カロットエキス、カロット油、油溶性甘草エキス、油溶性サルビアエキス、油溶性シコンエキス、油溶性シナノキエキス、油溶性ショウキョウエキス、油溶性シラカバエキス、油溶性スギナエキス、油溶性セイヨウノコギリソウエキス、油溶性セージエキス、油溶性エウチグルミエキス、油溶性トウキエキス、油溶性トウキンセンカエキス、油溶性ニンジンエキス、油溶性ノバラエキス、油溶性ビワ葉エキス、油溶性ボダイジュエキス、油溶性ホップエキス、油溶性マロニエエキス、油溶性モモ葉エキス、油溶性ヨクイニンエキス、油溶性ローズマリーエキス、スフィンゴ脂質、セラミド類、グリチルレチン酸ステアリル等が挙げられる。
また、本発明の油性外用剤は、適宜水と界面活性剤、ゲル化剤等の原料を用い、また防腐剤、保湿剤、エモリエント剤、収斂剤、清涼剤、抗炎症剤、粘度調整剤、皮膜形成剤、皮膚保護剤などを用いることにより、乳液状やクリームなどといった乳化剤型に変えることが可能である。例えば、アスコルビン酸のリン酸エステルやアスコルビン酸グルコシドなどの水溶性のビタミンC類が使用できる。
また、本発明の油性外用剤は、適宜水と界面活性剤、ゲル化剤等の原料を用い、また防腐剤、保湿剤、エモリエント剤、収斂剤、清涼剤、抗炎症剤、粘度調整剤、皮膜形成剤、皮膚保護剤などを用いることにより、乳液状やクリームなどといった乳化剤型に変えることが可能である。例えば、アスコルビン酸のリン酸エステルやアスコルビン酸グルコシドなどの水溶性のビタミンC類が使用できる。
以下に本発明の実施例を挙げ、更に詳細を説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これら実施例に限定されるものではない。
<油脂酸化安定性試験>
自動油脂安定性試験装置(CDM試験装置;ランシマット743型 スイス・メトローム社製)を用いて、油性化粧料の製剤としての酸化安定性を確認した。
酸化安定性は、酸化価(AV)、過酸化物価(POV)などと並び、油脂の品質管理の中で最も重要な測定項目のひとつである。CDM試験(ランシマット法)は、公定法として、日本の基準油脂分析試験法(JOCS 2.5.1.2-1996)や、米国油化学協会(AOCS Cd12b-92)に採用されている。
操作としては、反応容器に油性化粧料なる試料を約3g入れ、加熱しながら空気を吹き込み強制酸化させ、排気を蒸留水に通気する。酸化が進むと揮発性分解生成物が導入されることによって導電率が急激に上昇する。この変曲点の前後に接線を引き、その交点までの時間を検出する。加熱温度は160℃、150℃、および140℃とし、それぞれの温度下で強制酸化させた際の酸化時間を測定する。温度と時間の関係を3点の直線で結び、室温25℃における酸化時間を直線上から割り出す。
<油脂酸化安定性試験>
自動油脂安定性試験装置(CDM試験装置;ランシマット743型 スイス・メトローム社製)を用いて、油性化粧料の製剤としての酸化安定性を確認した。
酸化安定性は、酸化価(AV)、過酸化物価(POV)などと並び、油脂の品質管理の中で最も重要な測定項目のひとつである。CDM試験(ランシマット法)は、公定法として、日本の基準油脂分析試験法(JOCS 2.5.1.2-1996)や、米国油化学協会(AOCS Cd12b-92)に採用されている。
操作としては、反応容器に油性化粧料なる試料を約3g入れ、加熱しながら空気を吹き込み強制酸化させ、排気を蒸留水に通気する。酸化が進むと揮発性分解生成物が導入されることによって導電率が急激に上昇する。この変曲点の前後に接線を引き、その交点までの時間を検出する。加熱温度は160℃、150℃、および140℃とし、それぞれの温度下で強制酸化させた際の酸化時間を測定する。温度と時間の関係を3点の直線で結び、室温25℃における酸化時間を直線上から割り出す。
[実施例1〜17 比較例1〜4]
比較例と実施例を対象とした25℃における酸化安定性(年)について、表-1に示す。
表-1 各種配合物の酸化安定性試験結果
実施例1における温度と酸化時間の関係を示した測定結果について、図1に示す。
比較例と実施例を対象とした25℃における酸化安定性(年)について、表-1に示す。
表-1 各種配合物の酸化安定性試験結果
実施例1における温度と酸化時間の関係を示した測定結果について、図1に示す。
比較例1〜3をみると、コエンザイムQ10、ビタミンEともにスクワランに対して酸化安定性を示す結果が得られた。特にビタミンEの酸化安定性はスクワラン単体での酸化安定性(年)の結果である6年をはるかに上回る、223年という想像を絶する酸化安定性を示した。この結果はコエンザイムQ10の酸化安定性をもはるかに上回る結果であり、ビタミンEは油性皮膚外用剤の「製剤酸化安定性の維持」には必要不可欠であることが示された。
一方、実施例1〜4により、コエンザイムQ10とビタミンEの混合系においては、比較例3に比べて、酸化安定性が高いレベルにあり、コエンザイムQ10とビタミンEの混合系において、酸化安定性を相乗的に若干増大させ、油性皮膚外用剤の「製剤酸化安定性の維持」という概念においては非常に有効である結果を示した。
比較例2と実施例1を比較すると、前述の山本らがLDLの酸化制御においてコエンザイムQ10が消失すると、α−トコフェロールが共存しても制御できないという実験結果とは全く異なり、コエンザイムQ10とα−トコフェロール(ビタミンE)共存系は、コエンザイムQ10単独系に比べて顕著な酸化制御効果があり、スクワラン、コエンザイムQ10、ビタミンE類の配合系における酸化安定性を飛躍的に高めることができることを明らかにした。
一方、実施例1〜4により、コエンザイムQ10とビタミンEの混合系においては、比較例3に比べて、酸化安定性が高いレベルにあり、コエンザイムQ10とビタミンEの混合系において、酸化安定性を相乗的に若干増大させ、油性皮膚外用剤の「製剤酸化安定性の維持」という概念においては非常に有効である結果を示した。
比較例2と実施例1を比較すると、前述の山本らがLDLの酸化制御においてコエンザイムQ10が消失すると、α−トコフェロールが共存しても制御できないという実験結果とは全く異なり、コエンザイムQ10とα−トコフェロール(ビタミンE)共存系は、コエンザイムQ10単独系に比べて顕著な酸化制御効果があり、スクワラン、コエンザイムQ10、ビタミンE類の配合系における酸化安定性を飛躍的に高めることができることを明らかにした。
次いで更にビタミンAを配合した実施例5〜9を比較してみると、ビタミンAは0.01から0.02%配合において、系の酸化安定性は上昇していたが、0.02%をピークに系全体の酸化安定性は下降傾向をたどっている。系の絶対的酸化安定性の上昇は、やはりビタミンEの配合および配合量が寄与していることがわかる。
さらに油溶性ビタミンCを配合した比較例4および比較例2を比較してみると、ビタミンEに比べて油溶性ビタミンCの酸化安定性はゼロではないものの、ほぼゼロに等しい程度であることが判明した。また、実施例10〜12が示した通り、ビタミンEを配合することで、系全体の酸化安定性は飛躍的に上昇していることがわかる。
最後にビタミンEに代わる抗酸化成分として、スクワレンを配合した実施例13〜17群について検証した。その結果、ビタミンEを配合した実施例1〜4群と遜色ない酸化安定性を示している。しかしながらスクワレン配合量が増加するにつれ、その酸化安定性の低下率はビタミンE配合の系に比べて若干早くなっていることも確認できる。スクワレンについては少量配合であれば、ビタミンEの代替物として高い酸化安定性を示すことが確認できた。
<皮膚科学的検討>
本発明における油性皮膚外用剤を使用した場合の皮膚の状態、とりわけ皮膚油分量、皮膚水分蒸散量、および皮膚のキメ数値を、しわの状態を示す指標として測定した実施例を示す。
被験者は日本人の20〜40歳代の女性を対象とし、朝晩のスキンケア(洗顔→化粧水→美容液)の後、右顔半分には何も塗布しない状態、左顔半分には比較例・実施例に示した内容の皮膚外用剤を塗布してもらい、下記内容について比較検討を行った。
尚、被験者数については下記に示した通りである。測定は原則として、湿度50±10%、温度22±1℃における環境下にて実施した。
1.比較例群・実施例群の塗布面を対象とした、使用前(0週)と使用後2週間目における比較、および使用前(0週)と使用後4週間目における比較
2.比較例群の塗布面と非塗布面の比較、および各実施例群の塗布面と非塗布面の比較
3.比較例群・実施例群の塗布面を対象とした群間比較
データ処理は集計/統計解析により実施した。統計解析手法としてDunnettのt−検定を用いた。(1)の比較については、対応のあるT検定にて有意差の有無を算出し、(2)(3)の比較については、対応のないT検定として有意差の有無について算出した。
本表では、それぞれ2週間目、4週間目の値を0週間目(すなわち使用前)の値で割り、0週間目の値「100±0%」を指標とした増加率・減少率を示した。
本発明における油性皮膚外用剤を使用した場合の皮膚の状態、とりわけ皮膚油分量、皮膚水分蒸散量、および皮膚のキメ数値を、しわの状態を示す指標として測定した実施例を示す。
被験者は日本人の20〜40歳代の女性を対象とし、朝晩のスキンケア(洗顔→化粧水→美容液)の後、右顔半分には何も塗布しない状態、左顔半分には比較例・実施例に示した内容の皮膚外用剤を塗布してもらい、下記内容について比較検討を行った。
尚、被験者数については下記に示した通りである。測定は原則として、湿度50±10%、温度22±1℃における環境下にて実施した。
1.比較例群・実施例群の塗布面を対象とした、使用前(0週)と使用後2週間目における比較、および使用前(0週)と使用後4週間目における比較
2.比較例群の塗布面と非塗布面の比較、および各実施例群の塗布面と非塗布面の比較
3.比較例群・実施例群の塗布面を対象とした群間比較
データ処理は集計/統計解析により実施した。統計解析手法としてDunnettのt−検定を用いた。(1)の比較については、対応のあるT検定にて有意差の有無を算出し、(2)(3)の比較については、対応のないT検定として有意差の有無について算出した。
本表では、それぞれ2週間目、4週間目の値を0週間目(すなわち使用前)の値で割り、0週間目の値「100±0%」を指標とした増加率・減少率を示した。
[実施例1、7、11、17 比較例5]
−皮膚油分量の測定−
測定機器 :CUTOMETER MPA580((株)インテグラル製)
検査内容 :被験者の眉2cm上部、および目尻3cm下部(頬中心部)を測定
統計解析方法:比較対象 0週と2週、0週と4週、比較例群の塗布面と非塗布面、各実施例群の塗布面と非塗布面、比較例群と実施例群の塗布面を対象とした群間比較
結果 :表3に記す
表3 皮膚油分量測定結果
表3の皮膚油分量測定結果に示されるように、比較例群・実施例群の塗布面を対象とした、使用前(0週)と使用後2週間目における比較、および使用前(0週)と使用後4週間目における比較では、比較例群、実施例群ともに油分量は増加している。
比較例群の塗布面と非塗布面の比較、および各実施例群の塗布面と非塗布面の比較では、それぞれの非塗布面の油分量に大きな変化は認められていないのに対し、それぞれの塗布面の油分量は増加している。
比較例群・実施例群の塗布面を対象とした群間比較では、それぞれ油分量は増加しているが、増加率での有意差は認められていない。
これらの結果から、比較例群・実施例群で使用された油性皮膚外用剤は、余計なべたつき感を与えることなく水分の蒸発を防ぐ一方で、適度な皮膚表面のエモリエント性を維持していることが窺える。
−皮膚油分量の測定−
測定機器 :CUTOMETER MPA580((株)インテグラル製)
検査内容 :被験者の眉2cm上部、および目尻3cm下部(頬中心部)を測定
統計解析方法:比較対象 0週と2週、0週と4週、比較例群の塗布面と非塗布面、各実施例群の塗布面と非塗布面、比較例群と実施例群の塗布面を対象とした群間比較
結果 :表3に記す
表3 皮膚油分量測定結果
表3の皮膚油分量測定結果に示されるように、比較例群・実施例群の塗布面を対象とした、使用前(0週)と使用後2週間目における比較、および使用前(0週)と使用後4週間目における比較では、比較例群、実施例群ともに油分量は増加している。
比較例群の塗布面と非塗布面の比較、および各実施例群の塗布面と非塗布面の比較では、それぞれの非塗布面の油分量に大きな変化は認められていないのに対し、それぞれの塗布面の油分量は増加している。
比較例群・実施例群の塗布面を対象とした群間比較では、それぞれ油分量は増加しているが、増加率での有意差は認められていない。
これらの結果から、比較例群・実施例群で使用された油性皮膚外用剤は、余計なべたつき感を与えることなく水分の蒸発を防ぐ一方で、適度な皮膚表面のエモリエント性を維持していることが窺える。
<皮膚水分蒸散量の測定>
i)測定機器 :CUTOMETER MPA580((株)インテグラル製)
ii)検査内容 :皮膚水分蒸散量(保湿性)被験者の耳朶下の付根と唇端を結んだ、耳朶下の付根から4cmの部分を測定
iii)統計解析方法:比較対象 0週と2週、0週と4週、比較例群の塗布面と非塗布面、各実施例群の塗布面と非塗布面、比較例群と実施例群の塗布面を対象とした群間比較
以上の条件により得られた結果を表4に示す。
表4 皮膚水分蒸散量測定結果
i)測定機器 :CUTOMETER MPA580((株)インテグラル製)
ii)検査内容 :皮膚水分蒸散量(保湿性)被験者の耳朶下の付根と唇端を結んだ、耳朶下の付根から4cmの部分を測定
iii)統計解析方法:比較対象 0週と2週、0週と4週、比較例群の塗布面と非塗布面、各実施例群の塗布面と非塗布面、比較例群と実施例群の塗布面を対象とした群間比較
以上の条件により得られた結果を表4に示す。
表4 皮膚水分蒸散量測定結果
表4の皮膚水分蒸散量測定結果に示されるように、比較例群・実施例群の塗布面を対象とした、使用前(0週)と使用後2週間目における比較、および使用前(0週)と使用後4週間目における比較では、比較例群、実施例群ともに水分蒸散量は減少している。
比較例群の塗布面と非塗布面の比較、および各実施例群の塗布面と非塗布面の比較では、それぞれ非塗布面の水分蒸散量はわずかに減少もしくは多少増えており、塗布面の水分蒸散量はかなり減少していて、減少率での有意差は顕著に認められ、油性皮膚外用剤を塗布した方は明らかに減少率が低い。すなわち水分蒸散が抑えられている。
比較例群・実施例群の塗布面を対象とした群間比較では、それぞれ水分蒸散量は減少しているが、減少率での有意差は認められていない。
これらの結果から、比較例群・実施例群で使用された油性皮膚外用剤は、皮膚表面を薄い油膜で覆うことで水分の蒸発を防ぐ役割を果たしている。この油膜は皮膚表面を覆う皮脂膜として、外界からの紫外線、雑菌など異物の侵入を防止し、水分の蒸発調節をすることで体温を調節し、肌の潤いを保っている。
比較例群の塗布面と非塗布面の比較、および各実施例群の塗布面と非塗布面の比較では、それぞれ非塗布面の水分蒸散量はわずかに減少もしくは多少増えており、塗布面の水分蒸散量はかなり減少していて、減少率での有意差は顕著に認められ、油性皮膚外用剤を塗布した方は明らかに減少率が低い。すなわち水分蒸散が抑えられている。
比較例群・実施例群の塗布面を対象とした群間比較では、それぞれ水分蒸散量は減少しているが、減少率での有意差は認められていない。
これらの結果から、比較例群・実施例群で使用された油性皮膚外用剤は、皮膚表面を薄い油膜で覆うことで水分の蒸発を防ぐ役割を果たしている。この油膜は皮膚表面を覆う皮脂膜として、外界からの紫外線、雑菌など異物の侵入を防止し、水分の蒸発調節をすることで体温を調節し、肌の潤いを保っている。
<皮膚のキメ数値解析>
i)測定機器 :ASA−03A キメ画像解析((株)アサヒバイオメッド製)
ii)検査内容 :キメ画像解析(3D皮膚解析)耳朶の下と小鼻を結んで、耳朶の下から7センチの部分でレプリカを採取。
iii)統計解析方法:比較対象 0週と2週、0週と4週、比較例群の塗布面と非塗布面、各実施例群の塗布面と非塗布面、比較例群と実施例群の塗布面を対象とした群間比較
以上の条件により得られた結果を表5に示す。
表5 皮膚のキメ数値解析
i)測定機器 :ASA−03A キメ画像解析((株)アサヒバイオメッド製)
ii)検査内容 :キメ画像解析(3D皮膚解析)耳朶の下と小鼻を結んで、耳朶の下から7センチの部分でレプリカを採取。
iii)統計解析方法:比較対象 0週と2週、0週と4週、比較例群の塗布面と非塗布面、各実施例群の塗布面と非塗布面、比較例群と実施例群の塗布面を対象とした群間比較
以上の条件により得られた結果を表5に示す。
表5 皮膚のキメ数値解析
表5の皮膚のキメは、得られたレプリカからそれぞれの項目に対して解析数値化したものである。ここで言うキメとは、皮膚表面に網目状に走っている細かい溝(皮溝)と、その皮溝に囲まれて三角形、ひし形・多角形などの形に隆起している部分(皮丘)のことを言い、単位面積当りにおけるキメの状態を下記の4つの項目で測定、解析した。
キメ体積率:単位面積当りに存在するキメの体積で、厳密には皮丘の高さ、すなわち弾力性を立体的に解析して体積という形で数値化したもの。体積が大きいほど皮丘が高く、規則的に整ったキメの状態であるといえる。
キメ最大深度:皮溝の深さを言う。
キメ最大幅:皮丘の幅を指す。一般に値が大きく、また公差も大きいほど、規則性に欠けたキメであると言える。一方、値は大きいが公差が小さいほど、立体的かつ規則的に整ったキメであると言える。
キメ個数:単位面積当りの皮丘の数を指す。キメ個数が多く、かつキメ最大幅の値の公差が小さいほど、細かく整ったキメであると言える。
表5の皮膚のキメ数値解析に示されるように、比較例群・実施例群の塗布面を対象とした、使用前(0週)と使用後2週間目における比較、および使用前(0週)と使用後4週間目における比較では、(1)キメ体積率では実施例群の方が増加している。(2)キメ最大深度では比較例群、実施例群ともに変化なし。(3)キメ最大幅では比較例群、実施例群ともに増加しており、かつ公差も小さい。中でも実施例7、11、17の増加が顕著である。(4)キメ個数では比較例群、実施例群ともに増加している。中でも実施例11の増加が顕著である。
比較例群の塗布面と非塗布面の比較、および各実施例群の塗布面と非塗布面の比較では、(1)キメ体積率では比較例群、実施例群ともに塗布面の値が増加している。中でも実施例群の塗布面の増加が顕著である。(2)キメ最大深度では比較例群、実施例群ともに変化なし。(3)キメ最大幅では比較例群、実施例群ともに塗布面の値が増加しており、かつ公差も小さい。中でも実施例7、11、17の塗布面の増加が顕著である。(4)キメ個数では比較例群、実施例群ともに塗布面の値が増加している。中でも実施例11の塗布面の増加が顕著である。
比較例群・実施例群の塗布面を対象とした群間比較では、(1)キメ体積率では比較例群、実施例群ともに増加している。中でも実施例1、7の増加が顕著である。(2)キメ最大深度では比較例群、実施例群ともに変化なし。(3)キメ最大幅では比較例群、実施例群ともに増加しており、かつ公差も小さい。中でも実施例11、17の増加が顕著である。(4)キメ個数では比較例群、実施例群ともに増加している。中でも実施例11増加が顕著である。
これらの結果から、本発明の油性皮膚外用剤は皮膚のキメ向上に寄与していることが窺える。これは実施例群で使用した油性皮膚外用剤が皮膚に浸透することを意味しており、その結果、スクワランやコエンザイムQ10、ビタミンE、スクワレン、さらにはビタミンA、油溶性ビタミンC、スクワレンなどの油溶性抗酸化物質が表皮や真皮に有効的に働きかけ、弾力・ハリのあるキメの整った肌をつくり出すことに繋がっている。
しわは紫外線、加齢、老化などにより表皮の油分量と水分量のバランスの異常を来たして小じわが発生し、さらに真皮、膠原繊維、弾力繊維、保水力が低下することによって大じわまで発展するが、本発明の油性皮膚外用剤を用いることによって、表皮、角質層の油分、水分量およびキメを整えるため小じわの発現が抑制され、その後大じわへの発展を予防できるものと予想される。
キメ体積率:単位面積当りに存在するキメの体積で、厳密には皮丘の高さ、すなわち弾力性を立体的に解析して体積という形で数値化したもの。体積が大きいほど皮丘が高く、規則的に整ったキメの状態であるといえる。
キメ最大深度:皮溝の深さを言う。
キメ最大幅:皮丘の幅を指す。一般に値が大きく、また公差も大きいほど、規則性に欠けたキメであると言える。一方、値は大きいが公差が小さいほど、立体的かつ規則的に整ったキメであると言える。
キメ個数:単位面積当りの皮丘の数を指す。キメ個数が多く、かつキメ最大幅の値の公差が小さいほど、細かく整ったキメであると言える。
表5の皮膚のキメ数値解析に示されるように、比較例群・実施例群の塗布面を対象とした、使用前(0週)と使用後2週間目における比較、および使用前(0週)と使用後4週間目における比較では、(1)キメ体積率では実施例群の方が増加している。(2)キメ最大深度では比較例群、実施例群ともに変化なし。(3)キメ最大幅では比較例群、実施例群ともに増加しており、かつ公差も小さい。中でも実施例7、11、17の増加が顕著である。(4)キメ個数では比較例群、実施例群ともに増加している。中でも実施例11の増加が顕著である。
比較例群の塗布面と非塗布面の比較、および各実施例群の塗布面と非塗布面の比較では、(1)キメ体積率では比較例群、実施例群ともに塗布面の値が増加している。中でも実施例群の塗布面の増加が顕著である。(2)キメ最大深度では比較例群、実施例群ともに変化なし。(3)キメ最大幅では比較例群、実施例群ともに塗布面の値が増加しており、かつ公差も小さい。中でも実施例7、11、17の塗布面の増加が顕著である。(4)キメ個数では比較例群、実施例群ともに塗布面の値が増加している。中でも実施例11の塗布面の増加が顕著である。
比較例群・実施例群の塗布面を対象とした群間比較では、(1)キメ体積率では比較例群、実施例群ともに増加している。中でも実施例1、7の増加が顕著である。(2)キメ最大深度では比較例群、実施例群ともに変化なし。(3)キメ最大幅では比較例群、実施例群ともに増加しており、かつ公差も小さい。中でも実施例11、17の増加が顕著である。(4)キメ個数では比較例群、実施例群ともに増加している。中でも実施例11増加が顕著である。
これらの結果から、本発明の油性皮膚外用剤は皮膚のキメ向上に寄与していることが窺える。これは実施例群で使用した油性皮膚外用剤が皮膚に浸透することを意味しており、その結果、スクワランやコエンザイムQ10、ビタミンE、スクワレン、さらにはビタミンA、油溶性ビタミンC、スクワレンなどの油溶性抗酸化物質が表皮や真皮に有効的に働きかけ、弾力・ハリのあるキメの整った肌をつくり出すことに繋がっている。
しわは紫外線、加齢、老化などにより表皮の油分量と水分量のバランスの異常を来たして小じわが発生し、さらに真皮、膠原繊維、弾力繊維、保水力が低下することによって大じわまで発展するが、本発明の油性皮膚外用剤を用いることによって、表皮、角質層の油分、水分量およびキメを整えるため小じわの発現が抑制され、その後大じわへの発展を予防できるものと予想される。
〔実施例2 実施例2−1,2−2,2−3,2−4,2−5〕
実施例2におけるコエンザイムQ10の配合量を変化させて本発明の油性皮膚外用剤に対するコエンザイムQ10の酸化安定性について調べ、表6にその結果を示した。
実施例2におけるコエンザイムQ10の配合量を変化させて本発明の油性皮膚外用剤に対するコエンザイムQ10の酸化安定性について調べ、表6にその結果を示した。
実施例2と実施例2-1から2-5を比較すると、ビタミンE一定量のもと、コエンザイムQ10を増量させた系では、どれも酸化安定性年数に顕著な変化は認められないことを確認した。
比較例2と実施例1との比較では、コエンザイムQ10とビタミンE共存系では、コエンザイムQ10単独系に比べて顕著な酸化制御効果があり、スクワラン、コエンザイムQ10、ビタミンE類の配合系における酸化安定性を飛躍的に高めることが明らかになっているが、本結果では、コエンザイムQ10の配合量に係わることなく、スクワラン、コエンザイムQ10、ビタミンE類の配合系における酸化安定性は高い位置でほぼ一定していると云える。
比較例2と実施例1との比較では、コエンザイムQ10とビタミンE共存系では、コエンザイムQ10単独系に比べて顕著な酸化制御効果があり、スクワラン、コエンザイムQ10、ビタミンE類の配合系における酸化安定性を飛躍的に高めることが明らかになっているが、本結果では、コエンザイムQ10の配合量に係わることなく、スクワラン、コエンザイムQ10、ビタミンE類の配合系における酸化安定性は高い位置でほぼ一定していると云える。
本発明の油性皮膚外用剤はスクワランにコエンザイムQ10を配合した系に、ビタミンE類及び/又はスクワレンを配合することによって著しく抗酸化性が高まり、この系に油溶性抗酸化物質を加えることによってエモリエント性を高めて乾燥を防ぐことで肌を保護する一方、紫外線や加齢などによってもたらされる肌の老化現象、とりわけシワやたるみといった現象を改善し、また製剤そのものの抗酸化性を高めることで、製品の安定性を向上させたもので、油性皮膚外用剤の商品としてのライフサイクルを長く保つことができ、産業上の利用可能性は大である。
Claims (10)
- スクワランにコエンザイムQ10を配合したものに、ビタミンE類及び/又はスクワレンを配合したことを特徴とする、油性皮膚外用剤。
- 更に油溶性抗酸化物質を配合してなる、請求項1記載の油性皮膚外用剤。
- スクワランが鮫肝油由来品、植物由来品、又は化学合成品から選ばれるものである、請求項1又は2記載の油性皮膚外用剤。
- ビタミンE類がα−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、DL−α−トコフェロール、D−δ−トコフェロール、酢酸DL−α−トコフェロール、コハク酸DL−α−トコフェロール、DL−α−トコフェロールカルシウム、ニコチン酸DL−α−トコフェロール、リノール酸DL−α−トコフェロールから選ばれるものである、請求項1、2又は3記載の油性皮膚外用剤。
- 油溶性抗酸化物質が、ビタミンA類、油溶性ビタミンC類、スクワレンからなる群から選ばれる1種以上である、請求項1、2、3又は4記載の油性皮膚外用剤。
- 油性皮膚外用剤全量に対するコエンザイムQ10の配合量が0.01重量%から10.00重量%であり、油性皮膚外用剤全量に対するビタミンE類の配合量が0.01重量%から10.00重量%である、請求項1、2、3、4又は5記載の油性皮膚外用剤。
- 油性皮膚外用剤全量に対する油溶性抗酸化物質の配合量が0.01重量%から10.00重量%である、請求項2、3、4、5又は6記載の油性皮膚外用剤。
- 油溶性抗酸化物質であるビタミンA類が、レチノール、ビタミンA1アルコール、レチナール、ビタミンA1アルデヒド、ビタミンA1酸、酢酸レチノ−ル、ビタミンAアセテート、パルミチン酸レチノ−ル、ビタミンAパルミテート、ビタミンA油、およびビタミンA1酸のメチルエステル、エチルエステル、レチノールエステルから選ばれる1種以上である、請求項2、3、4、5、6又は7記載の油性皮膚外用剤。
- 油溶性抗酸化物質である油溶性ビタミンC類が、テトラ2−へキシルデカン酸L−アスコルビル、モノステアリン酸アスコルビル、モノパルミチン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビルから選ばれる1種以上である、請求項2、3、4、5、6、7又は8記載の油性皮膚外用剤。
- スクワレンが、鮫肝油由来品、植物由来品、又は化学合成品から選ばれる1種以上である、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、又は9記載の油性皮膚外用剤。
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- 2005-04-08 JP JP2005111821A patent/JP2006290775A/ja active Pending
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