本発明の情報処理システムは、基本的に以下のような構成、および、機能を有する。代表的なシステムを図1に示す。図1において、振動検知装置Ki(i=1〜n)は、それぞれ鉄道線路の敷地内の線路の近傍、例えば、線路の防護柵上や枕木の上に所定間隔で設置される。設置間隔は、特に制限はないが、例えば、0.3mから10m程度とする。各振動検知装置Kiは、振動検知装置Kiに加わる振動に関する振動情報Viを送信する。振動情報Viは、振動検知部Viが検知した振動に関する情報であり、検知した振動の信号、振動の信号を加工した情報、振動の信号が正常か異常かに関する情報などの情報、あるいは組み合わされた情報等である。また、他の振動検知装置Kjの振動情報Vjを受信した振動検知装置Ki(i>j)は、振動情報Vjを他の振動検知装置に転送する。振動情報Viは、各振動検知装置により順次転送され、最後の振動検知装置Knを経て、サーバ装置100に伝送される。サーバ装置100においては、各振動検知装置Kiが送信した振動情報Vi(i=1〜n)を受信し、振動情報Viをそのまま、あるいは情報処理した後、出力する。出力形式は、ディスプレイによる線路状態の表示、警報音の発音、線路状態データの印刷、あるいは、電子データ形式の出力などである。また、本情報処理システムにおいて、1以上の振動検知装置とサーバ装置の組が複数組、存在していても良い。
振動検知装置Kiは、振動情報Viを送信するだけでなく、振動検知装置Kiの位置を示す場所情報や振動情報Viを検知した時刻情報も送信する。
図1において、踏切には、踏切状態検知装置F1、F2が設置されている。踏切状態検知装置F1、F2は、踏み切りの開閉状態を検知し、開閉状態に関する情報を送信する。開閉状態情報は、近傍にある振動検知装置により受信され、順次転送され、振動検知装置Knを経て、サーバ装置100に転送される。サーバ装置100においては、各踏切状態検知装置F1、F2が送信した開閉状態情報を受信し、開閉状態情報をそのまま、あるいは情報処理した後、出力する。出力形式は、ディスプレイによる踏み切りの状態の表示、警報音の発音、線路状態データの印刷、あるいは、電子データ形式の出力などである。
以下、本発明の情報処理システムの実施形態について図面を参照して順次説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素が同様の動作を行う場合には、再度の説明を省略する場合がある。
(実施の形態1)
本実施の形態において、本発明の情報処理システムは、図1に示すように、2以上の振動検知装置Kiとサーバ装置100の組を具備し、振動検知装置Kiは、振動情報Viを隣接する振動検知装置Ki+1に送信する。(なお、Kiとしては、便宜上、後述する振動検知装置番号KiのKiと同じ記号または番号を使用する。)振動情報Viは、異常であることを示す情報である。少なくとも1以上の振動検知装置Kiは、隣接する振動検知装置Ki−1から振動情報を受信する受信部を具備し、送信部は、前記受信部が受信した振動情報を他の隣接する振動検知装置Ki+1または前記サーバ装置100に転送する。また、踏切には、踏切状態検知装置F1、F2が設置されており、踏み切りの異常を監視し、異常が発生すると、異常を示すスイッチ情報を隣接する振動検知装置に送信する。スイッチ情報は、振動検知装置により転送されてサーバ装置100に届けられる。サーバ装置100では、受け取った振動情報Viやスイッチ情報に基づき、所定の出力を行う。
図2(A)は、本発明の情報処理システムに使用する振動検知装置Kiの構成を示すブロック図である。図2(A)において、振動検知装置Kiは、振動検知部10、送信部11、正常振動情報格納部12、判断部13、場所情報格納部14、時刻情報取得部15、および、受信部16を備えている。
振動検知部10は、鉄道線路の敷地内の線路の近傍、例えば、線路の防護柵上や枕木の上に設置されており、防護柵または枕木の振動を検知する。
正常振動情報格納部12は、防護柵または枕木の正常な振動に関する正常振動情報Vrを格納している。
判断部13は、振動検知部10が検知した振動が、正常振動情報Vrに基づいて正常であるまたは異常であるか否かを判断する。判断部13における判断が異常であるとの判断の場合には、判断部13は送信部11に指示を出し、送信部11は、異常であることを示す情報、または、異常であることを示す情報を含む振動情報Viを送信する。
場所情報格納部14は、振動検知装置Kiが設置されている場所を示す場所情報Piを格納しており、送信部11は、場所情報Piをも転送する。時刻情報取得部15は、異常発生時刻に関する情報である時刻情報Tiを取得する。送信部11は、時刻情報Tiをも転送する。
受信部16は、隣接する振動検知装置Ki−1から振動情報Vi−1を受信し、送信部11に渡し、送信部11は、受け取った振動情報Vi−1を他の隣接する振動検知装置Ki+1またはサーバ装置100に転送する。
次に振動検知装置Kiの更に詳しい動作について説明する。図4(A)に、振動検知部10が検知する振動波形の一例を示す。正常状態では、振動検知部10が検知する振動は小さく、振動波形の振幅値は閾値(M)、(−M)を越えない。時刻t0に、振動検知装置Kiになんらかの異常な力が加えられると、振動検知部10は、図4(A)に示したような振動波形を検知する。正常振動情報格納部12には、閾値(M)、(−M)が、正常振動情報Vrとして記憶されている。判断部13には、振動検知部10の検知波形データと閾値(M)、(−M)が供給される。判断部13は、振動検知部10の検知波形データと、閾値(M)、(−M)を比較し、前者が後者の範囲の閾値(M)〜(−M)を超えた場合、異常と判断し、送信部11に異常を伝える。図4(A)では、時刻t1において、検知波形データが閾値(M)を越えたので、判断部13は、時刻t1以降、一定時間Ta秒の間、異常指示を送信部11に対して行う。送信部11は、検知波形データの時刻t1から(t1+Ta)の部分のデータを振動情報Viとして取り込み、送信する。時刻t1から(t1+Ta)の部分のデータには、閾値(M)、(−M)を越える波形を含んでいるので、この点において、異常であることを示す情報を含んでいることになる。なお、振動情報Viは、検知波形データに限らない。他の例については後述する。
場所情報格納部14は、振動検知装置Kiの設置されている位置を示す場所情報Piを格納している。場所情報Piは、例えば、振動検知装置Kiの緯度と経度を表す情報とする。ただし、場所情報Piは、場所を示す識別子(ID)等、場所を特定できる情報であれば何でも良い。時刻情報取得部15は、内部に時計を持っており、現在時刻を出力している。送信部11は、振動情報Viを送信する前に、場所情報格納部14から場所情報Piを読み出し、時刻情報取得部15から現在時刻Tiを読み出し、振動情報Viと共に、送信する。
図5は、送信部11が送信する振動情報通信電文の一例である。振動情報通信電文は、アドレス情報と制御情報からなるヘッダ部と、振動検知装置番号、振動情報、場所情報、および、時刻情報からなるペイロード部、更に、誤り制御情報からなる。ヘッダ部のアドレスエリアは、受信先アドレス(RA)、送信アドレス(TA)、宛先アドレス(DA)、送信元アドレス(SA)エリアから成る。
図1の情報処理システムにおいて、各振動検知装置K1〜KnにはそれぞれアドレスAk1〜Aknが割り当てられ、サーバ装置100にはアドレスAsが割り当てられているものとする。送信元アドレス(SA)には、振動検知装置Ki自身のアドレスAkiを格納する。宛先アドレス(DA)には、サーバ装置100のアドレスAsを格納する。受信先アドレス(RA)には、振動検知装置Ki+1のアドレスAki+1、送信アドレス(TA)には、振動検知装置Ki自身のアドレスAkiを格納する。制御情報エリアには、電文種別コード、ペイロードのデータバイト数など、通信に必要な情報を格納する。電文種別コードは、振動情報通信電文であることを示すコード0とする。振動検知装置番号エリアには、振動検知装置番号Kiを格納する。線路に沿って振動検知装置に割り振られた一連番号などである。振動情報エリア1〜mには、図4(B)に示した振動情報の波形データを振動情報Viとして格納する。場所情報エリアには、場所情報Piを、時刻情報エリアには、時刻情報Tiをそれぞれ格納する。誤り制御情報エリアには、電文のデータに関する誤り検出符号、あるいは、誤り訂正符号が付加される。従って、以上のような振動情報通信電文は、最終宛先をサーバ装置100とし、隣接する振動検知装置Ki+1に向けて送信されることになる。
図2における受信部16は、隣接する振動検知装置Ki−1からの振動情報通信電文を受信する。すなわち、振動情報通信電文を受信すると電文内容を解析し、受信先アドレス(RA)エリアがアドレスAkiの場合に、電文を送信部11に渡し、他の振動検知装置宛の場合には、電文を破棄する。送信部11は、受信部16から電文を受け取ると、受信先アドレス(RA)エリアを隣接する振動検知装置Ki+1のアドレスAki+1に書き換え、送信アドレス(TA)エリアを自身のアドレスAkiに書き換えて送信する。従って、図5の振動情報通信電文の受信先アドレス(RA)エリアと送信アドレス(TA)エリアは、転送のたびに、アドレスが変わることになる。
送信部11は、送信電文の生成に使用するために、振動検知装置Ki自身のアドレスAki、振動検知装置番号Ki、および、隣接する転送先の振動検知装置Ki+1のアドレスAki+1を内部のメモリに記憶している。受信部16は、振動検知装置Ki自身のアドレスAkiを内部のメモリに記憶している。振動検知装置Knの場合は、転送先のアドレスとしてサーバ装置100のアドレスAsを記憶しており、振動情報通信電文の受信先アドレス(RA)にはアドレスAsを用いることになる。振動検知装置K1では、受信部16は無くともよい。
振動検知部10のためには、導電型や圧電方式による変位センサ、加速度センサ、歪ゲージなどが使用できる。振動検知部10が、外部に設けられた上記センサやゲージの出力である検知振動信号または検知振動情報を取り込むようにしてもよい。振動検知部10が、上記センサやゲージを内蔵しておき、振動検知部10の内部に設けた信号検知回路が、上記センサやゲージから検知振動信号または検知振動情報を取り込むようにも出来る。正常振動情報格納部12は、不揮発性の半導体メモリなどの記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体、例えば半導体RAMでも実現可能である。送信部11、判断部13、受信部16は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。送信部11、判断部13、受信部16の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。また、送信部11、受信部16は、無線通信手段を内蔵している。無線通信手段としては、ブルートゥース(登録商標)方式や無線LANなどの通信手段を使用できる。場所情報格納部14は、予め場所情報を記憶した不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。また、GPS回路を内蔵しておき、人工衛星からの電波により、場所情報を得て、送信部11に供給する形式でもよい。時刻情報取得部15は、時計を内蔵しておき、その時刻情報を供給するものでよい。時計は内部の水晶により時刻を発生させるもの、外部の電波により時刻を算出する電波時計方式などが適用できる。
以上のように構成すれば、振動検知装置K1を上流、振動検知装置Knを下流とすると、振動検知装置Ki(i=1〜n)が異常状態を検知した場合、異常を通知する振動情報通信電文は、下流の振動検知装置を順番に転送されて、サーバ装置100に届けられることになる。
次に、図3(A)と図6を用いて、サーバ装置100における振動情報の処理について説明する。サーバ装置100は、図3(A)に示すように、振動情報受信部30、振動情報出力部31、スイッチ情報受信部32、および、スイッチ情報出力部33を備えている。なお、スイッチ情報受信部32、および、スイッチ情報出力部33は、後述する踏み切りの監視に関するものであるので、ここでは説明せず、後で説明する。振動情報受信部30は、振動検知装置Knから送信される振動情報通信電文を専ら受信する。振動情報通信電文を受信すると、電文内容の解析を行う。電文のアドレスを調べ、受信先アドレス(RA)が、サーバ装置100のアドレスAsの場合、制御情報エリアの電文種別コードが0かどうか調べる。電文種別コードが1であれば電文を廃棄する。0であれば、振動情報通信電文であるので、電文を振動情報出力部31に渡す。
本実施の形態における振動情報通信電文は、異常状態発生の通知情報でもある。振動情報出力部31は、振動情報Viを出力する。出力の動作には様々な動作が考えられる。その一例を、以下に説明する。振動情報出力部31は、内部にメモリを有しており、メモリ内には異常状態を記録する異常状態表が形成、用意されている。異常状態表は、発生時刻情報、振動検知装置番号、場所情報、振動振幅値の欄を有している。振動情報出力部31は、受け取った振動情報通信電文の内容を解析し、異常状態に関する情報を、異常状態表に記載する。振動情報通信電文より、時刻情報Ti、振動検知装置番号Ki、場所情報Piを取り出し、異常状態表の該当欄に記載する。また、振動情報出力部31は、振幅計算器を備えており、振動情報1〜m内の振幅データを順番に調べ、正の最大値と負の最大値を選び、その差から振動振幅値を計算し、異常状態表の振動振幅値の欄に記載する。
振動情報出力部31は、振動情報通信電文により受け取った異常状態に関する情報を線路状況表示用の表示器(図示しない)に供給して表示し、異常状態発生時に発音器(図示しない)に警報情報を供給して警報音を発生させる。図6(A)、(B)は、表示画面の一例である。図6(A)は、どの振動検知装置においても異常が検知されていない状態である。時刻11:00には異常無しである。異常が発生すると、図6(B)の画面により、異常の発生状況が表示される。振動検知装置が異常を検知した時刻、振動検知装置番号、振動振幅の最大値、正常・異常の区別が、異常発生時刻の順に表示される。振動振幅の大きいものには×印が2つ表示される。また、異常が発生するたびに、異常表示内容が増え、発音器が警告音を発生するようにする。線路管理者は、発生した異常に対して、現場確認作業や事故復旧作業の処置を行い、作業完了後、振動情報出力部31をリセットして、異常状態表の記載内容を消去し、図6(A)のような正常表示に戻すことが出来る。
振動情報受信部30は、通常、無線通信手段と、MPUやメモリ等から実現され得る。振動情報受信部30の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。無線通信手段としては、ブルートゥース方式や無線LANなどの通信手段を使用できる。振動情報出力部31は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。振動情報出力部31の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。現在時刻表示のために、時計を内蔵しておき、その時刻情報を使用してもよい。
次に、踏切状態の監視について説明する。図2(B)は、踏切状態検知装置Fj(j=1、2)の構成を示すブロック図である。(なお、Fjとしては、便宜上、後述する踏切番号FjのFjと同じ記号または番号を使って説明する。)図2(B)において、踏切状態検知装置F1、F2は、スイッチ20、送信部21、正常スイッチ情報格納部22、判断部23、場所情報格納部24、および、時刻情報取得部25を備えている。スイッチ20は、踏み切りの開閉状態を検知する。踏切が開の場合、スイッチ20はOFF(0)、踏切が閉の場合、スイッチ20はON(1)とする。正常スイッチ情報格納部22は、正常な踏み切りの開閉に関する情報、すなわち、スイッチ20の正常な状態を表す正常スイッチ情報を記憶している。正常スイッチ情報は、電車の運行ダイヤに対応して踏み切りの開閉を単位時間ごとにデータ化したものであり、一例を図7(B)に示す。図7(B)の例においては、12:00(12時00分)から12:01の前までは、OFF(0)すなわち、踏み切りは開状態、12:01から12:02の前までは、ON(1)すなわち、踏み切りは閉状態、などである。判断部23は、スイッチが検知した踏み切りの開閉の状態を示す状態情報と正常スイッチ情報に基づいて、踏切の状態、即ち、スイッチ20の状態が、正常であるかまたは異常であるかを判断する。このために、スイッチ20と正常スイッチ情報格納部22の出力データを受け取って比較し、一致するかどうか判定する。一致している場合は正常(0)、不一致の場合が異常(1)と判断する。スイッチ20が、単位時間ごとに、図7(A)に示すような状態である場合、判断部23の判断は、単位時間ごとに、図7(C)のようになる。時刻12:03には、閉(1)であるべきところが、スイッチ20は開(0)になっているので、異常(1)と判断される。踏み切り上にトラックが突っ込んでいる場合などである。時刻12:14には、開(0)であるべきところが、スイッチ20は閉(1)になっているので、異常(1)と判断される。踏み切り開閉装置が故障の場合である。判断部23は、判断結果を送信部21に渡す。判断部21における判断が異常であるとの判断の場合、送信部21は、異常であることを示す情報であるスイッチ情報を送信する。
図2(B)の踏切状態検知装置Fjにおいて、場所情報格納部24は、踏切状態検知装置F1が設置されている場所を示す場所情報Pfjを格納している。場所情報Pfjは、例えば、踏切状態検知装置F1の緯度と経度を表す情報とする。場所情報Pfjは、例えば、踏切を識別する識別子(ID)等でも良い。時刻情報取得部25は、内部に時計を持っており、現在時刻を出力している。送信部21は、スイッチ情報を送信する前に、場所情報格納部24から場所情報Pfjを読み出し、時刻情報取得部25から現在時刻Tjを読み出し、スイッチ情報と共に、送信する。
図8は、送信部21が送信する踏切通信電文の一例である。踏切通信電文は、アドレス情報と制御情報からなるヘッダ部と、踏切番号、スイッチ情報、場所情報、時刻情報からなるペイロード部、および、誤り制御情報からなる。ヘッダ部のアドレスエリアは、受信先アドレス(RA)、送信アドレス(TA)、宛先アドレス(DA)、送信元アドレス(SA)エリアから成る。
図1の情報処理システムにおいて、踏切状態検知装置F1にはアドレスAfj(j=1)が割り当てられ、サーバ装置100には、既述の通りアドレスAsが割り当てられているものとする。送信元アドレス(SA)には、踏切状態検知装置F1自身のアドレスAf1を格納する。宛先アドレス(DA)には、サーバ装置100のアドレスAsを格納する。受信先アドレス(RA)には、踏切状態検知装置F1の近傍にある振動検知装置K2のアドレスAk2を格納し、送信アドレス(TA)には、踏切状態検知装置F1自身のアドレスAfj(j=1)を格納する。制御情報エリアには、電文種別コード、ペイロードのデータバイト数など、通信に必要な情報を格納する。電文種別コードは、踏切通信電文であることを示すコード1とする。踏切番号エリアには、踏み切り識別用の踏切番号F1を格納する。スイッチ情報エリアには、スイッチ情報Sj(j=1)を格納する。スイッチ情報Sj(j=1)は、図7(C)で説明した正常(0)または異常(1)のデータである。場所情報エリアには、場所情報Pfj(j=1)を、時刻情報エリアには、時刻情報Tfj(j=1)をそれぞれ格納する。誤り制御情報エリアには、電文のデータに関する誤り検出符号、あるいは、誤り訂正符号が付加される。従って、以上のような踏切通信電文は、最終宛先をサーバ装置100とし、隣接する振動検知装置K2に向けて送信されることになる。
次に、振動検知装置K2が行う、踏切通信電文に対する転送動作について説明する。図2における振動検知装置K2の受信部16は、隣接する踏切状態検知装置F1からの踏切通信電文を受信する。踏切通信電文を受信すると電文内容を解析し、受信先アドレス(RA)エリアがアドレスAk2の場合に、電文を送信部11に渡し、他の振動検知装置宛の場合には、電文を破棄する。送信部11は、受信部16から電文を受け取ると、電文種別コードに関わらず、受信先アドレス(RA)エリアを隣接する振動検知装置K3のアドレスAk3に書き換え、送信アドレス(TA)エリアを自身のアドレスAk2に書き換えて送信する。従って、図8の踏切通信電文の受信先アドレス(RA)エリアと送信アドレス(TA)エリアは、転送のたびに、アドレスが変わることになる。最終の振動検知装置Knにおいては、踏切通信電文の受信先アドレス(RA)エリアは、サーバ装置100のアドレスAs、送信アドレス(TA)エリアは、振動検知装置KnのアドレスAknとする。このように、送信部11における転送動作は、振動情報通信電文の転送動作の場合と基本的に同様でよい。
各振動検知装置K2〜Kn−1の送信部11は、踏切通信電文について転送電文を生成するためにも、振動検知装置Ki自身のアドレスAki、および、隣接する転送先の振動検知装置Ki+1のアドレスAki+1を内部に記憶している。受信部16は、振動検知装置Ki自身のアドレスAkiを内部に記憶している。振動検知装置Knの場合は、転送先のアドレスとしてサーバ装置100のアドレスAsを記憶しており、踏切通信電文の受信先アドレス(RA)にはアドレスAsを用いることになる。なお、振動検知装置K1が踏切通信電文を転送する場合は、受信部16が必要になる。
踏切状態検知装置F2の場合、アドレスAfj(j=2)が割り振られ、場所情報がPfj(j=2)であり、近傍の振動検知装置はKn−2である。基本的に踏切状態検知装置F1の場合と同様の動作を行う。踏切番号を踏切状態検知装置F2に対応した番号F2にするのは言うまでもない。以上のように構成すれば、振動検知装置K1を上流、振動検知装置Knを下流とすると、踏切状態検知装置F1、F2が異常状態を検知した場合、異常を通知する踏切通信電文は、下流の振動検知装置により順番に転送され、サーバ装置100に届けられることになる。
踏切状態検知装置Fjの各構成部分は、以下のように実現できる。スイッチ20は、マイクロスイッチのような機械的なスイッチや磁気や赤外光の変化を検出する電子的なスイッチが使用できる。正常スイッチ情報格納部22は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。送信部21、判断部23は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。送信部21、判断部23の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。また、送信部21は、無線通信手段を内蔵している。無線通信手段としては、ブルートゥース方式や無線LANなどの通信手段を使用できる。場所情報格納部24は、予め場所情報を記憶した不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。また、GPS回路を内蔵しておき、人工衛星からの電波により、場所情報を得て、送信部21に供給する形式でもよい。時刻情報取得部25は、時計を内蔵しておき、その時刻情報を供給するものでよい。時計は内部の水晶により時刻を発生させるもの、外部の電波により時刻を算出する電波時計方式などが適用できる。
次に、図3(A)と図9を用いて、サーバ装置100におけるスイッチ情報の処理について説明する。サーバ装置100は、図3(A)に示すように、振動情報受信部30、振動情報出力部31に加えて、スイッチ情報受信部32、および、スイッチ情報出力部33を備えている。スイッチ情報受信部32、および、スイッチ情報出力部33は、踏み切りの監視に関する処理を行う。スイッチ情報受信部32は、振動検知装置Knから転送される踏切通信電文を専ら受信する。踏切通信電文を受信した場合、電文内容の解析を行う。電文のアドレスを調べ、受信先アドレス(RA)が、サーバ装置100のアドレスAsの場合、制御情報エリアの電文種別コードが、0かどうか調べる。1であれば、踏切通信電文であるので、電文をスイッチ情報出力部33に渡す。本実施の形態1における踏切通信電文は、踏み切りの異常状態発生の通知情報でもある。
スイッチ情報出力部33は、スイッチ情報を出力するが、その動作と出力形態には種々の具体的形態がある。以下はその一例である。スイッチ情報出力部33は、内部にメモリを有しており、メモリ内に異常状態を記録する異常状態表が形成、用意されている。異常状態表は、発生時刻情報、踏切番号、場所情報、正常・異常の状態、開閉状態の欄を有している。スイッチ情報出力部33は、受け取った踏切通信電文の内容を解析し、異常状態に関する情報を、異常状態表に記載する。踏切通信電文より、時刻情報Tfi、踏切番号情報Fj、場所情報Pfiを取り出し、異常状態表の該当欄に記載する。
スイッチ情報出力部33は、踏切通信電文により受け取った異常状態に関する情報を踏み切り状況表示用の表示器(図示しない)に供給して表示し、異常状態発生時に発音器(図示しない)に警報情報を供給して警報音を発生させる。図9(A)、(B)は、表示画面の一例である。図9(A)は、どの踏切状態検知装置においても異常が検知されていない状態である。時刻11:00には異常無しであることが示されている。異常が発生すると、図9(B)の画面により、異常の発生状況が表示される。踏切状態検知装置が異常を検知した時刻、踏切番号、正常・異常の区別、踏み切りの状況が、異常発生時刻の順に表示される。また、異常が発生するたびに、発音器が警告音を発生するようにする。線路管理者は、発生した異常に対して、現場確認作業や事故復旧作業の処置を行い、作業完了後、スイッチ情報出力部33をリセットして、異常状態表の記載内容を消去し、図9(A)のような正常表示に戻すことが出来る。リセット前に新たな異常が検知されると、異常表示の行が増える。
サーバ装置100のスイッチ情報受信部32は、通常、無線通信手段と、MPUやメモリ等から実現され得る。スイッチ情報受信部32の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。無線通信手段としては、ブルートゥース方式や無線LANなどの通信手段を使用できる。スイッチ情報出力部33は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。スイッチ情報出力部33の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。現在時刻表示のために、時計を内蔵しておき、その時刻情報を使用してもよい。
上記説明では、踏切通信電文は、振動検知装置Kiにより転送されるようにしたが、図3(B)に示す伝達装置50によって転送されるようにしてもよい。伝達装置50は、受信部34と送信部35を有している。伝達装置50を介して踏切通信電文を転送する場合、踏切通信電文の受信先アドレス(RA)には、伝達装置50に割り振られたアドレスAdを適用する。受信部34は、受信した電文の受信先アドレス(RA)がAdの場合に、電文を送信部35に渡し、送信部35は、受信先アドレス(RA)を次の転送先のアドレスに書き換え、送信アドレス(TA)にアドレスAdを書き込み、送信する。踏切通信電文は、複数の伝達装置50を経てサーバ装置100に到達するようにしてもよいし、伝達装置50と振動検知装置を順次経由してサーバ装置100に到達するようにしてもよい。転送順序を予め決め、その順序に従って、次の転送先のアドレスを1つ前の各装置内に用意しておけばよい。
伝達装置50の受信部34と送信部35は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。受信部34、送信部35の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。また、受信部34、送信部35は、無線通信手段を内蔵している。無線通信手段としては、ブルートゥース方式や無線LANなどの通信手段を使用できる。伝達装置50を介して踏切通信電文を転送する踏切状態検知装置Fj、伝達装置50、および、振動検知装置Kiは、受信先になる伝達装置50のアドレスをそれぞれの送信部に保有しておくことはいうまでもない。伝達装置50の電波強度を高くしておけば、より少ない伝達装置50を経由して、踏切通信電文をサーバ装置100に届けることができ、通知の遅延時間が削減できる。
次に、図1の情報処理システムの各装置の動作をソフトウェアで実現する場合の、処理手順について説明する。
図10(A)は、振動検知装置Kiの処理手順のフローチャートである。ステップ(S100)において、転送すべき振動情報通信電文または踏切通信電文を受信したかどうか判定する。受信先アドレス(RA)が、自身のアドレスである場合、転送すべきとの判断になる。(S100)においてYesの場合、(S120)に進み、受信した電文の受信先アドレス(RA)、を次の振動検知装置のアドレスAki+1に、送信アドレス(TA)を自身のアドレスAkiに書き換える転送処理を行い送信する。(S100)においてNoの場合は転送すべき受信電文がない状態であり、(S101)に進む。(S101)において、振動検知部10は、センサやゲージが出力する検知振動情報を取り込み、(S102)に進む。(S102)において、正常振動情報格納部12から正常振動情報Vrを読み出し、(S103)に進む。(S103)において、検知振動情報が、正常振動情報Vrに基づき、正常であるか異常であるかどうかを判断し、(S104)に進む。(S104)において、判断結果が正常の場合、Noとなり、(S100)に戻る。判断結果が異常の場合は、(S104)においてYesとなり、(S105)に進む。(S105)において、振動情報通信電文の振動情報エリアに振動情報Viを格納し、(S106)に進む。(S106)において、振動情報通信電文の場所情報エリアに場所情報Piを格納し、(S107)に進む。(S107)において、振動情報通信電文の時刻情報エリアに時刻情報Tiを格納し、(S108)に進む。(S108)において、振動情報通信電文のヘッダエリアの受信先アドレス(RA)には、振動検知装置Ki+1のアドレスAki+1、送信アドレス(TA)には、振動検知装置Ki自身のアドレスAkiを格納し、制御情報エリアには、電文種別コード、ペイロードのデータバイト数など、通信に必要な情報を格納する。電文種別コードは、振動情報通信電文であることを示すコード0とする。振動検知装置番号エリアには、振動検知装置番号Kiを格納し、電文を完成させ、送信して、(S100)に戻る。なお、振動検知装置K1では、(S120)は不要であり、(S100)は削除または無処理としてもよい。振動検知装置Knでは、(S108)と(S120)における振動情報通信電文の受信先アドレス(RA)への記載アドレスは、サーバ装置100のアドレスAsとする。
図10(B)は、振動情報通信電文に対するサーバ装置100の処理動作のフローチャートである。ステップ(S300)において、振動情報通信電文を受信したかどうかを、電文の受信先アドレスと電文種別コードにより判定する。(S300)においてNoの場合、(S302)に進み、線路状況レポートとして、図6(A)に示した正常表示を行なわせるために、現在時刻情報と異常なしの情報、または、図6(A)に示した画面情報を、線路状況表示用の表示器に出力し、(S300)に戻る。正常表示されている場合は、時刻を更新して表示を継続する。(S300)においてYesの場合、異常を通知する振動情報通信電文であるので、(S301)に進む。(S301)においては、振動情報通信電文を解析して、振動情報Viを出力する。すなわち、電文より振動検知装置番号Ki、振動情報Vi、場所情報Pi、時刻情報Tiを出力して、異常状態表に記載し、異常発生時刻、振動検知装置番号、振動振幅値、異常状況を表示させる。
図11(A)は、踏切状態検知装置F1の処理手順のフローチャートである。ステップ(S200)において、スイッチ情報を送信する時刻になったかどうかを判定する。(S200)においてNoの場合、(S200)に戻る。(S200)においてYesの場合、(S201)に進み、踏切状態検知装置Fj(j=1)は、スイッチが出力するスイッチ情報を取り込み、(S202)に進む。(S202)において、正常スイッチ情報格納部22から正常スイッチ情報を読み出し、(S203)に進む。(S203)において、検知スイッチ情報が、正常スイッチ情報に基づき、正常であるか異常であるかどうかを判断し、(S204)に進む。(S204)において、判断結果が正常の場合、Noとなり、(S200)に戻る。判断結果が異常の場合は、Yesであり、(S205)に進む。(S205)において、踏切通信電文のスイッチ情報エリアにスイッチ情報を格納し、(S206)に進む。(S206)において、踏切通信電文の場所情報エリアに場所情報Pfjを格納し、(S207)に進む。(S207)において、踏切通信電文の時刻情報エリアに時刻情報Tfjを格納し、(S208)に進む。(S208)において、踏切通信電文のヘッダエリアの受信先アドレス(RA)には、近傍の振動検知装置K2のアドレスAk2、送信アドレス(TA)には、踏切状態検知装置F1自身のアドレスAfj(j=1)を格納し、制御情報エリアには、電文種別コード、ペイロードのデータバイト数など、通信に必要な情報を格納する。電文種別コードは、踏切通信電文であることを示すコード1とする。踏切番号エリアには、踏切番号Fj(j=1)を格納し、電文を完成させて送信し、(S200)に戻る。送信した踏切通信電文は、振動検知装置K2により受信され、以降、振動検知装置により順次サーバ装置100まで転送される。踏切状態検知装置F2も、ほぼ同様の動作を行う。ただし、j=2となり、受信先アドレス(RA)には、別の近傍の振動検知装置のアドレスとする。
図11(B)は、踏切通信電文に対するサーバ装置100の処理動作のフローチャートである。ステップ(S310)において、踏切通信電文を受信したかどうか判定する。(S310)においてNoの場合、(S312)に進み、踏切状況レポートとして、図9(A)に示した正常表示を行なわせるために、現在時刻情報と異常なしの情報、または、図9(A)に示した画面情報を、踏切状況表示用の表示器に出力する。正常表示されている場合は、時刻情報を更新して表示を継続する。(S310)においてYesの場合、電文種別コードが1であり、受信した電文が異常を通知する踏切通信電文であるので、(S311)に進む。(S311)においては、踏切通信電文を解析して、スイッチ情報を出力する。すなわち、電文より異常状態にある踏切番号Fj、スイッチ情報、場所情報、時刻情報を出力して異常状態表に記載し、異常発生時刻、異常場所、正常・異常状況、踏切開閉状態を出力して表示器に表示させる。
図3(B)の伝達装置50の場合、受信部34において、自身宛の踏切通信電文であるかどうかを、受信先アドレス(RA)と電文種別コードにより判定し、Yesであれば、送信部35において、受信先アドレス(RA)を転送先のアドレスに、送信アドレス(TA)を自身のアドレスに書き換えて送信する処理ステップを設ければよい。
振動検知装置の設置場所は、線路の防護柵や線路の枕木等に限らず、線路近傍であればよい。例えば、線路の軌道の下側、高架線路の支柱や鉄橋などの線路敷設構造物、線路を跨ぐ跨道橋の落下物防護柵、線路に迫った崖の斜面などでもよい。振動検知部10だけを所望の位置に設置し、他の部分を少し離れた位置に設置してもよい。
本実施の形態1では、振動検知部10の検知する振動信号に基づき、送信部11の内部で振動情報Viを生成するようにした。振動情報Viは、振動検知部10の検知する振動信号に基づく情報や振動信号に関係する情報である。上記実施の形態1では、振動情報Viとして振動波形のサンプルデータの内、異常状態になった部分を含むサンプルデータを例として説明したが、種々の形態の情報が適用できる。検知された振動波形のサンプルデータから計算される最大振幅値情報、周波数分析した成分スペクトルのエンベロープ形状と各スペクトルの大きさの情報、異常であることを表す最低1ビットの符号データ、などでもよい。これらの振動情報Viは、検知された振動波形のサンプルデータから、送信部11の内部で変換生成してもよい。また、振動検知装置10の内部で、振動信号波形を最大振幅値情報、周波数スペクトルの形態や大きさの情報などの他の形態に変換して、変換されたデータにより、判断部13が正常・異常の判断を行うようにもできる。この場合は、正常振動情報格納部12に格納する正常振動情報も同じように変換された形態の情報にする。振動情報Viが波形サンプルデータの場合、正常振動情報は、正常な波形サンプルデータとその許容範囲を示すデータの組みでもよい。また、判断部13の内部で、データ変換を行い、変換結果について、比較するようにしてもよい。正常か異常かを表す最低1ビットの符号データを振動情報Viとする場合は、判断部13から送信部11に与えられる判断結果の情報を、送信部11において振動情報Viとして使用できる。この場合は、振動検知部10からの出力信号または出力情報を、図2に示すように送信部11に供給してもよいが、供給しなくともよい。
本実施の形態1において、振動情報出力部31が行う、振動情報Viを出力する動作とは、振動情報通信電文から振動情報Viを取り出すことを指す。また、振動情報Viを取り出した後、そのまま、あるいは適切なデータ変換の後、異常状態表などに記憶したり、表示器へ供給したり、発音器に警報音を鳴らさせたり、プリンタへ有線あるいは無線通信により供給することも、振動情報Viを出力する動作の概念に含める。なお、この概念は、本発明の他の実施の形態3においても適用する。
踏切状態検知装置Fjにおいても、スイッチ20だけを所望の位置に設置し、他の部分を少し離れた位置に設置してもよい。スイッチ情報についても、上記説明のようにスイッチ20の開閉の状態情報そのものでもよいが、それに限らず、状態情報を変換した情報でもよい。スイッチ20が複数のスイッチを含み、複数のスイッチの状態全体をスイッチ情報とする場合、状態全体をコード化して表現することも可能である。このような変換は、スイッチ20の内部に設けた出力回路で行ってもよいし、送信部21の内部で行ってもよい。
本実施の形態1において、振動情報出力部33が行う、スイッチ情報を出力する動作とは、踏切通信電文からスイッチ情報を取り出すことを指す。また、スイッチ情報を取り出した後、そのまま、あるいは適切なデータ変換の後、異常状態表などに記憶したり、表示器へ供給したり、発音器に警報音を鳴らさせたり、プリンタへ有線あるいは無線通信により供給することも、スイッチ情報を出力する動作の概念に含める。なお、この概念は、本発明の他の実施の形態においても適用する。
図5において説明した振動情報通信電文のヘッダ部のアドレスエリアは、正常受信確認や異常受信の際に再送要求する場合などを考慮して、4つのアドレスエリアを設けたが、簡略化してもよい。振動検知装置番号Kiと送信元アドレスAkiを兼用し、送信元アドレス(SA)エリアを削除する。最も簡略化した場合、受信先アドレス(RA)エリアだけにしてもよい。図8の踏切通信電文でも同様に簡略化できる。各振動検知装置Kiや踏切状態検知装置Fjのアドレスは、予め与えられているものとしたが、図示しない通信装置により、サーバ装置100から各振動検知装置Kiや踏切状態検知装置Fjにアドレス通信電文により付与するようにしてもよい。このようにすれば、振動検知装置Kiや踏切状態検知装置Fjの数や設置場所が変更になった場合、アドレスの変更が容易になる。
(実施の形態2)
上記実施の形態1では、振動検知装置Kiや踏切状態検知装置Fjにおいて、異常発生の有無を判断したが、本実施の形態2では、図1の情報システムにおけるサーバ装置100が異常発生を判断する。
本実施の形態2に用いる振動検知装置Kiのブロック図を図12(A)に示す。図12(A)の振動検知装置Kiにおいては、異常発生の判断を行わない。振動検知装置Kiは、振動検知部10、送信部11、場所情報格納部14、時刻情報取得部15、受信部16を備えている。振動検知部10は、実施の形態1の場合と同様である。送信部11は、内部にタイマーを備えており、振動検知部10が検知する振動の信号から、所定の時間ごとに、振動情報Viを選択または抽出し、図5に示した振動情報通信電文の振動情報1〜mのエリアに格納する。振動情報1〜mのエリアのサイズは、抽出する振動情報Viを格納できる大きさであれば、大きくても小さくてもよい。送信部11は、振動情報Viの選択または抽出タイミングと同期して、場所情報格納部14から振動検知装置Kiの場所情報Piを、時刻情報取得部15から時刻情報Tiを取り込み、図5の場所情報エリアと時刻情報エリアに格納する。その他のエリアの記載内容は、実施の形態1で説明したのと同様であるので説明を省く。
振動情報Viは、図4(A)に示した振動検知部10の検知波形に基づき送信部11において生成される情報であるが、最も単純な情報は、検知波形自身である。送信部11は、時間tΔ毎に、検知波形を振動情報Viとして送信する。図4(C)を利用して説明する。送信部11は、内部に波形メモリを有しており、検知波形のサンプルを記憶してゆく。波形メモリは、最近の時間Δt分のサンプルを記憶しており、古いサンプルは消去される。送信部11が内蔵するタイマーが所定の時刻(ta+Δt)になると、送信部11は、時刻taから(ta+Δt)までの検知波形サンプル値を波形メモリから読み出して振動情報Viとして、振動情報1〜mのエリアに格納する。場所情報Piと時刻情報Tiを振動情報通信電文に格納し、振動情報通信電文を送信後、時刻(ta+2Δt)になると、時刻(ta+Δt)から(ta+2Δt)までの検知波形サンプル値を波形メモリから読み出して振動情報Viとして、振動情報1〜mのエリアに格納し、振動情報通信電文を完成させて送信する。このように、Δt時間ごとに、振動情報通信電文の送信を行う。以上の説明より明らかなように、本実施の形態2では、送信する振動情報Viは、異常状態を示していたり、異常な状態を含んでいたりする場合と、異常でない場合とがある。
受信部16は、実施の形態1で説明したのと同様に、近傍の振動検知装置からの振動情報通信電文を受信し、転送する。
図13(A)は、サーバ装置100が振動情報Viの正常・異常を判断する場合のブロック構成図である。サーバ装置100は、振動情報受信部30、振動情報出力部31に加えて、正常振動情報格納部36、判断部37を備えている。正常振動情報格納部36は、正常振動情報格納部12で説明したと同様の正常な振動に関する情報を保有している。振動情報受信部30が、何らかの電文を受信し、その電文がサーバ装置100宛であり、かつ、振動情報通信電文であると、電文に格納された情報を判断部37と振動情報出力部31に渡す。判断部37には、振動情報Viを渡す。判断部37は、振動情報Viと正常振動情報Vrとを比較し、振動情報Viが正常であれば、振動情報出力部31に「正常」の指示情報を渡し、振動情報Viが異常であると判断すると、振動情報出力部31に「異常」の指示情報を渡す。振動情報出力部31は、指示情報に従って、正常または異常の出力を行う。単に、正常、異常の区別を出力する場合もあるが、更に多様な出力形態がある。このような出力動作を、振動情報出力部31が行う、判断部13の判断結果を出力する動作と呼ぶことにする。
一例として図4(C)に示した振動情報Viの場合について、具体的に説明する。正常振動情報格納部37には、正常振動情報Vrとして、閾値(M)と(−M)が格納されている。判断部37は、受信部30から受け取った振動情報Viである、時刻taから(ta+tΔ)までの検知波形サンプル値と閾値(M)、(−M)とを比較し、閾値(M)〜(−M)の範囲を超えるサンプルがあるかどうか判断する。閾値(M)〜(−M)の範囲を超えるサンプルがあれば「異常」、なければ「正常」を、振動情報出力部31に対して出力する。「正常」であれば、振動情報出力部31は、受け取っている電文内の情報から時刻情報Tiを取り出し、図6(A)に示すような、線路状況レポートを表示器(図示せず)に表示させる。表示される時刻は、(ta+tΔ)である。判断結果が「異常」の場合、振動情報出力部31は、図6(B)のような線路状況レポートを表示器(図示せず)に表示させる。このために、受け取った電文内の情報から場所情報Pi、時刻情報Tiを使用し、振動情報Viのサンプル値の最大振幅値を計算して出力する。実施の形態1において説明した異常状態表のテーブルを振動情報出力部31内に設けて、異常に関する情報の履歴を記憶するようにしてもよい。図6(B)においては、「異常」と判断されるたびに、線路状況レポートに異常状況表示が1行ずつ増えてゆく。一旦、異常が発生すると、別の振動検知装置からの振動情報通信電文の振動情報Viが正常でも、図6(A)の正常表示は行わず、図6(B)の異常表示を続ける。また、異常が発生するたびに、発音器が警告音を発生するようにする。線路管理者は、発生した異常に対して、現場確認作業や事故復旧作業の処置を行い、作業完了後、振動情報出力部31をリセットして、異常状態表の記載内容を消去し、図6(A)のような正常表示に戻すことが出来る。異常状態表などについては、実施の形態1で説明したと同様でもよいので、説明を省く。
本実施の形態2における振動検知装置Kiの各構成要素の実施は、以下のように可能である。振動検知部10は、実施の形態1の場合と同様でよい。送信部11、受信部16は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。送信部11、受信部16の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。また、送信部11、受信部16は、無線通信手段を内蔵している。無線通信手段としては、ブルートゥース方式や無線LANなどの通信手段を使用できる。場所情報格納部14は、予め場所情報を記憶した不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。また、GPS回路を内蔵しておき、人工衛星からの電波により、場所情報を得て、送信部11に供給する形式でもよい。時刻情報取得部15は、時計を内蔵しておき、その時刻情報を供給するものでよい。時計は内部の水晶により時刻を発生させるもの、外部の電波により時刻を算出する電波時計方式などが適用できる。
振動情報受信部30は、通常、無線通信手段と、MPUやメモリ等から実現され得る。振動情報受信部30の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。無線通信手段としては、ブルートゥース方式や無線LANなどの通信手段を使用できる。正常振動情報格納部36は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。判断部37、振動情報出力部31は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。振動情報出力部31の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
本実施の形態2では、踏切の状態判断についても、踏切状態検知装置Fjで行わず、サーバ装置100において、正常・異常の判断を行う。図12(B)は、正常・異常判断を行わない場合の踏切状態検知装置Fjの構成図である。送信部21は、スイッチ20のON、OFF状態を取り込み、そのON、OFF状態に基づくスイッチ情報を送信する。送信は、所定の時間間隔で行う。時間間隔は、一定でも、変動してもよい。送信に用いる電文は、図8に示した踏切通信電文の形式でよい。スイッチ情報エリアには、スイッチ20の状態が正常か異常かではなく、スイッチ20のON、OFF状態のデータを書き込む。このとき、場所情報格納部24と時刻情報取得部25から場所情報Pfjと時刻情報Tfjを取り込み、図8に示した踏切通信電文に格納する。踏切通信電文のその他の部分は、実施の形態1の場合と同様である。生成された踏切通信電文は、振動検知装置や伝達装置50により転送され、サーバ装置100に届く。以上の説明より明らかなように、実施の形態2では、送信するスイッチ情報は、異常状態を示していたり、異常な状態を含んでいたりする場合と、異常でない場合とがある。
本実施の形態2における踏切通信電文の処理は、図13(A)に示したサーバ装置100において、スイッチ情報受信部32、スイッチ情報出力部33、正常スイッチ情報格納部38、判断部39により行われる。スイッチ情報受信部32が電文を受信すると、サーバ装置100自身宛の踏切通信電文かどうかを受信先アドレス(RA)と電文種別コードにより判断する。自身宛の場合、電文内容を判断部39とスイッチ情報出力部33に渡す。正常スイッチ情報格納部38は、正常スイッチ情報として、図7の情報の内、図7(B)に示した正常スイッチ情報の時刻とON、OFF情報をテーブルの形式で記憶している。判断部33は、電文中の時刻情報とスイッチ情報のデータと正常スイッチ情報とを比較する。すなわち、電文中の時刻情報の時刻における正常スイッチ情報を取り出す。例えば、時刻情報が12時1分30秒の場合、正常スイッチ情報では、ON(1)が正常である。電文中のスイッチ情報がON(1)であれば、踏切状態は閉(1)であり、正常状態と判断される。判断部39は、「正常」の指示をスイッチ情報出力部33に出力する。スイッチ情報出力部33は、時刻情報と「正常」の指示に基づき、踏切状態レポートを表示器(図示しない)に表示させる。図9(A)のような表示形式に従い、踏切状態レポートの表示は、時刻として、「12時1分30秒」と表示され、正常・異常としては、「異常なし」の表示となる。もし、電文中のスイッチ情報が12時1分30秒においてOFF(0)であれば、踏切状態は開(0)であり、正常スイッチ情報ON(1)とは不一致となり、異常状態と判断される。判断部39は、判断に従って、「異常」の指示をスイッチ情報出力部33に出力する。スイッチ情報出力部33は、踏切状態レポートの表示として、時刻として「12時1分30秒」、踏切番号には電文中の「踏切番号情報」、正常・異常としては、「×」、状態には「開」の表示を行い、警報音を発生させる。表示の形式は、図9(B)のようなものでよい。スイッチ情報出力部33が判断部39の判断結果を出力する動作としては、上記のように、「異常なし」、「異常」などの情報を出力する動作が基本的なものであるが、これに限られず、後述するように他の動作でもよい。
本実施の形態2における踏切状態検知装置Fjの各構成部分は、以下のように実現できる。スイッチ20は、機械的なスイッチや電子的なスイッチが使用できる。送信部21、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。送信部21の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。また、送信部21は、無線通信手段を内蔵している。無線通信手段としては、ブルートゥース方式や無線LANなどの通信手段を使用できる。場所情報格納部24は、予め場所情報を記憶した不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。また、GPS回路を内蔵しておき、人工衛星からの電波により、場所情報を得て、送信部21に供給する形式でもよい。時刻情報取得部25は、時計を内蔵しておき、その時刻情報を供給するものでよい。時計は内部の水晶により時刻を発生させるもの、外部の電波により時刻を算出する電波時計方式などが適用できる。
本実施の形態2におけるサーバ装置100のスイッチ情報受信部32は、通常、無線通信手段と、MPUやメモリ等から実現され得る。スイッチ情報受信部32の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。無線通信手段としては、ブルートゥース方式や無線LANなどの通信手段を使用できる。正常スイッチ情報格納部22は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。判断部39、スイッチ情報出力部33は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。判断部39、スイッチ情報出力部33の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
次に、本実施の形態2の場合の各装置の動作をソフトウェアで実現する場合の、処理手順について説明する。
図14(A)は、振動検知装置Kiの処理手順のフローチャートである。ステップ(S400)において、転送すべき振動情報通信電文または踏切通信電文を受信したかどうか判定する。いずれの電文でも受信すれば、(S400)においてYesであり、(S420)に進み、受信した電文の受信先アドレス(RA)、を次の振動検知装置のアドレスAki+1に、送信アドレス(TA)を自身のアドレスAkiに書き換える転送処理を行い送信する。(S400)においてNoの場合、転送すべき電文がないので、(S401)に進み、タイマーを参照し、送信時刻かどうか判定し、Noの場合、(S400)に戻る。Yesの場合、(S402)に進む。振動検知装置Kiは、振動検知部10におけるセンサやゲージが出力する検知振動情報を時刻の経過と共に所定時間分記憶している。図4(C)の場合は、最近のΔtの時間分が記憶される。(S402)において、上記所定時間分の検知振動情報を振動情報Viとして振動情報通信電文の振動情報1〜mのエリアに格納し(S403)に進む。(S403)において、振動情報通信電文の場所情報エリアに場所情報Piを格納し、(S404)に進む。(S404)において、振動情報通信電文の時刻情報エリアに時刻情報Tiを格納し、(S405)に進む。(S405)において、実施の形態1の場合と同様に、振動情報通信電文のヘッダエリアの受信先アドレス(RA)には、振動検知装置Ki+1のアドレスAki+1、送信アドレス(TA)には、振動検知装置Ki自身のアドレスAkiを格納し、制御情報エリアには、電文種別コード、ペイロードのデータバイト数など、通信に必要な情報を格納する。宛先アドレス(DA)、送信元アドレス(SA)も、実施の形態1の場合と同様である。電文種別コードは、振動情報通信電文であることを示すコード0とする。振動検知装置番号エリアには、振動検知装置番号Kiを格納し、電文を完成させて送信し、(S400)に戻る。なお、振動検知装置K1では、(S420)は不要であり、(S400)は削除または無処理としてもよい。振動検知装置Knでは、(S405)と(S420)における振動情報通信電文の受信先アドレス(RA)への記載アドレスは、サーバ装置100のアドレスAsとする。
図14(B)は、振動情報通信電文に対して判断処理を行うサーバ装置100の処理動作のフローチャートである。ステップ(S430)において、自身宛の振動情報通信電文を受信したかどうかを、受信先アドレス(RA)と電文種別コードにより判定する。(S430)においてNoの場合、(S430)に戻る。(S430)においてYesの場合、(S431)に進む。(S431)においては、振動情報通信電文の内容を解析する。すなわち、電文が搭載しているペイロードを調べ、その情報を取り出す。(S432)において、正常振動情報格納部36から正常振動情報Vrを読み出し、(S433)に進む。(S433)において、搭載されている振動情報Viが、正常振動情報Vrに基づき、正常であるか異常であるかどうかを判断し、(S434)に進む。(S434)において、判断結果が正常の場合、Noとなり、(S436)に進み、正常表示が行われている場合は、時刻のみ変更して正常表示を行わせたまま(S430)に戻る。すなわち、判断結果を表示の形で出力することになる。異常表示が行われている場合は、表示を継続する。判断結果が異常の場合は、Yesであり、(S435)に進む。(S435)において、異常発生時刻、振動検知装置の番号、異常振動の程度などを表示させ、(S430)に戻る。この場合も、判断結果を表示の形で出力することになる。
図15(A)は、踏切状態検知装置Fj(j=1)の処理手順のフローチャートである。ステップ(S500)において、スイッチ情報を送信する時刻になったかどうかを判定する。(S500)においてNoの場合、(S500)に戻る。(S500)においてYesの場合、(S501)に進み、踏切状態検知装置Fjは、スイッチが出力するスイッチ情報を取り込み、踏切通信電文のスイッチ情報エリアにスイッチ情報を格納し、(S502)に進む。(S502)において、場所情報Pfjを踏切通信電文の場所情報エリアに格納し、(S503)に進む。(S503)において、時刻情報Tfjを踏切通信電文の時刻情報エリアに格納し、(S504)に進む。(S504)において、踏切通信電文のヘッダエリアの受信先アドレス(RA)には、近傍の振動検知装置K2のアドレスAk2、送信アドレス(TA)には、踏切状態検知装置Fj自身のアドレスAfj(j=1)を格納し、制御情報エリアには、電文種別コード、ペイロードのデータバイト数など、通信に必要な情報を格納する。電文種別コードは、踏切通信電文であることを示すコード1とする。踏切番号エリアには、踏切番号Fj(j=1)を格納し、電文を完成させて送信し、(S500)に戻る。送信した踏切通信電文は、振動検知装置K2により受信され、以降、振動検知装置により順次サーバ装置100まで転送される。踏切状態検知装置F2も、ほぼ同様の動作を行う。ただし、j=2となり、受信先アドレス(RA)には、別の近傍の振動検知装置のアドレスとする。
図15(B)は、踏切通信電文に対して正常・異常の判断を行うサーバ装置100の処理動作のフローチャートである。ステップ(S530)において、踏切通信電文を受信したかどうか判定する。Noの場合、(S530)に戻る。(S530)において、受信先アドレス(RA)がAsであり、電文種別コードが1の場合には、受信電文は踏切通信電文であるのでYesであり、(S531)に進む。(S531)において、受信電文を解析する。具体的には、電文の格納情報を調べて取り出し、(S532)に進む。(S532)において、正常スイッチ情報格納部38から正常スイッチ情報を読み出し、(S533)に進む。(S533)において、受信したスイッチ情報が、正常スイッチ情報に基づき、正常であるか異常であるかどうかを判断し、(S534)に進む。(S534)において、判断結果が正常の場合、Noとなり、正常表示また異常表示の状態を維持し、(S530)に戻る。すなわち、判断結果を表示の形で出力することになる。判断結果が異常の場合は、Yesであり、(S535)に進む。(S535)においては、異常発生であるので、異常発生時刻、異常場所、異常状況、踏切開閉状態を表示させる。この場合も、判断結果を表示の形で出力することになる。
実施の形態1において図3(B)の伝達装置の処理ステップについて簡単に説明したが、図3(B)の伝達装置や本実施の形態2の図13(B)に示した伝達装置50の行う転送処理動作のフローチャートを、図15(C)に示す。(S550)において、自身宛の踏切通信電文であるかどうかを、受信先アドレス(RA)と電文種別コードにより判定し、Noであれば、(S550)に戻る。Yesであれば、(S551)に進み、受信先アドレス(RA)を転送先のアドレスに、送信アドレス(TA)を自身のアドレスに書き換えて(S552)に進み、(S552)において、転送電文を送信し、(S550)に戻る処理ステップを設ければよい。
振動検知装置の設置場所は、実施の形態1の場合と同様、線路の防護柵に限らない。振動情報Viやスイッチ情報も、実施の形態1の場合のように、種々の形態を適用できる。ただし、正常・異常の判断結果の情報が除外されることは言うまでもない。振動情報出力部31が行う、振動情報Viを出力する動作の概念についても、実施の形態1で説明したとおりである。振動情報出力部33が行う、スイッチ情報を出力する動作の概念についても、実施の形態1で説明したとおりである。
本実施の形態2では、所定時間ごとに、振動情報Viとスイッチ情報が送信される。サーバ装置100は、多数の振動検知装置Kiと踏切状態検知装置Fjからの受信電文を処理する必要があるので、高速の電文処理能力を備えることが望ましい。振動検知装置Kiの内、検知される振動信号の振幅が極めて小さい場合には、振動情報通信電文を送信しないようにしてもよい。このためには、振動検知装置Kiとして、実施の形態1で説明した図2(A)の構成とし、正常振動情報格納部12の格納する閾値(M)、(−M)の値を小さい値(m)、(−m)としておく。検知振動波形の振幅が(m)〜(−m)以内であれば、送信部11は、振動情報通信電文を送信しないので、通信の輻輳が減少し、サーバ装置100の処理能力も低減できる。この方式は、いわば、判断部の機能を前段の判断と後段の判断に2分割しているともいえる。
本実施の形態2において、振動情報出力部31は、判断部37における判断結果を出力する。この出力する動作とは、振動情報出力部31が判断結果に基づき、振動情報通信電文から取り出した電文内の情報や、正常・異常を表す判断部13からの指示の情報の内、何れか1つあるいは複数の情報を、そのまま、あるいは適切なデータ変換の後、異常状態表などに記憶したり、表示器へ供給したり、表示画面を変更したり、発音器に警報音を鳴らさせたり、プリンタへ有線あるいは無線通信により供給することも、判断結果を出力する動作の概念に含める。なお、この概念は、本発明の他の実施の形態4においても適用する。
本実施の形態2において、スイッチ情報出力部33は、判断部39における判断結果を出力する。この出力する動作とは、スイッチ情報出力部33が判断結果に基づき、踏切通信電文から取り出した電文内の情報や、正常・異常を表す判断部39からの指示の情報の内、何れか1つあるいは複数の情報を、そのまま、あるいは適切なデータ変換の後、異常状態表などに記憶したり、表示器へ供給したり、表示画面を変更したり、発音器に警報音を鳴らさせたり、プリンタへ有線あるいは無線通信により供給することも、判断結果を出力する動作の概念に含める。
(実施の形態3)
上記、実施の形態1、2は、鉄道線路の状態に対する正常・異常の監視を行う情報処理システムであった。本発明の技術は、造船所などの工場の状態を監視するためにも使用できる。図16は、その一例の構成図である。図16において、工場内の選択した位置に、振動検知装置KKi(i=1〜8)が設置される。設置位置は、工場内の機械装置、工場の地面、工場の建物の柱、梁などの構造物とする。情報収集装置200は、工場内を移動可能なロボット装置である。自律的に障害物を避けながら移動経路を移動する。外部から以上経路を指示され、他律的に移動経路を決めるものでもよい。振動検知装置KKiは、振動情報Viを近傍に送信する。情報収集装置200は、工場内を移動して、振動情報Viを集め、異常を知ると、異常情報を出力する。異常情報は、工場内の一角または、工場監視室内に設置された表示器に送信され、表示される。情報収集装置200上の表示器に表示してもよい。
本実施の形態3では、各振動検知装置KKiが振動の正常・異常を判断する場合について説明する。
図17(A)は、振動検知装置KKi(i=1〜8)のブロック構成図である。図17(A)において、振動検知装置KKiは、振動検知部10、送信部11、正常振動情報格納部12、判断部13、場所情報格納部14、時刻情報取得部15、受信部16を備えている。振動検知装置KKiは、図2(A)の振動検知装置KKiから、受信部16を省き、転送機能を省いたものである。送信する工場振動通信電文を図18に示す。各振動検知装置KKiから直接、情報収集装置200に振動情報Viを送信するので、転送が不要である。工場振動通信電文は、図5に示した振動情報通信電文から、受信先アドレス(RA)と送信アドレス(TA)のエリアを省いている。宛先アドレス(DA)には、情報収集装置200のアドレスArを格納し、送信元アドレス(SA)には、振動検知装置KKi自身のアドレスAkki(i=1〜8)を格納する。送信部11は、送信先のアドレスとしては、情報収集装置200のアドレスArを保有していればよく、転送関係のアドレスは不要である。その他の動作は、実施の形態1の振動検知装置Kiの動作と同様であるので、説明を省く。
図17(B)に、情報収集装置200の構成ブロック図を示す。情報収集装置200は、振動情報受信部130と振動情報出力部131から成る。振動情報受信部130と振動情報出力部131は、図2のサーバ装置100の場合と同様の動作を行う。振動情報受信部130は、工場振動通信電文を受信し、受信情報を振動情報出力部131に渡す。振動情報出力部131は、内部に、各振動検知装置KKi(i=1〜8)の状態、すなわち、時刻、振動検知装置番号、場所情報、振動振幅、正常・異常を記憶する工場状態表であるメモリを保有しており、各振動検知装置KKi(i=1〜8)の状態を記録する。受信情報中の振動情報Viは、異常の発生を表しており、工場振動通信電文は、異常発生を通知する電文である。振動情報出力部131は、異常発生の通知に対応して、すなわち、振動情報Viに対応して、出力情報を供給する。出力情報としては、工場状態表の情報の内、表示する情報とする。供給先は、別のデータ処理装置や表示器である。図19に表示形式の一例を示す。図19は、工場内の振動検知装置KKi(i=1〜8)に対する振動情報Viに基づき、時刻、振動検知装置番号、振動振幅、正常・異常の順に表示した例である。この例では、正常表示も異常表示も、1つの共通の表示形式により表示している。本実施の形態3では、異常状態と判断された振動検知装置KKi、図19の場合、振動検知装置番号2、3、6、7の状態だけが表示される。
本実施の形態3では、振動検知装置KKiの発信電波が弱い場合、情報収集装置200が遠方に位置していると、送信電波を受信できないことがある。工場が極めて大きい場合にも同様の事態が起きる。そこで、情報収集装置200が工場内を1週巡回する時間の間、工場振動通信電文の送信を繰り返すようにするのが好ましい。また、情報収集装置200に送信部を設け、振動検知装置KKiに受信部を設け、情報収集装置200の送信部は、工場振動通信電文を受信すると、送信元アドレスへ受信確認の電文を送信するようにしてもよい。振動検知装置KKiの受信部が確認電文を受信するまで、工場振動通信電文の送信を続けるので、振動情報Viの送信が確実に出来る。また、情報収集装置200の送信部が、最初に、工場振動通信電文の送信要求電文を周りに送信しながら巡回し、送信要求電文を受信した振動検知装置KKiは、異常がある場合に、異常を通知する工場振動通信電文を送信するようにしてもよい。情報収集装置200は、送信要求電文の送信直後、振動検知装置KKiの発信電波が弱まる前に工場振動通信電文を受信できる。異常発生時刻に情報収集装置200が近傍に位置しているとは限らない。そこで、振動検知装置KKiは、検知した異常状態に対応する振動情報Vi、異常発生時刻情報Tiを保存しておき、情報収集装置200が近傍に来て、送信要求電文を受信した時に、その振動情報Vi、異常発生時刻情報Tiを場所情報と共に工場振動通信電文により送信する。
本実施の形態3の振動検知装置KKiは、以下のように実現可能である。振動検知部10は実施の形態1と同様でよい。正常振動情報格納部12は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。送信部11、判断部13は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。送信部11、判断部13の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。また、送信部11は、無線通信手段を内蔵している。無線通信手段としては、ブルートゥース方式や無線LANなどの通信手段を使用できる。場所情報格納部14は、予め場所情報を記憶した不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。また、GPS回路を内蔵しておき、人工衛星からの電波により、場所情報を得て、送信部11に供給する形式でもよい。時刻情報取得部15は、時計を内蔵しておき、その時刻情報を供給するものでよい。時計は内部の水晶により時刻を発生させるもの、外部の電波により時刻を算出する電波時計方式などが適用できる。
本実施の形態3の情報収集装置200は、以下のように実現可能である。振動情報受信部130は、通常、無線通信手段と、MPUやメモリ等から実現され得る。振動情報受信部130の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。無線通信手段としては、ブルートゥース方式や無線LANなどの通信手段を使用できる。振動情報出力部131は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。振動情報出力部131の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。現在時刻表示のために、時計を内蔵しておき、その時刻情報を使用してもよい。
次に、本実施の形態3の情報処理システムの各装置の動作をソフトウェアで実現する場合の、処理手順について説明する。
図20(A)は、振動検知装置KKi(i=1〜8)の処理手順のフローチャートである。(S600)において、振動検知部10は、センサやゲージが出力する検知振動情報を取り込み、(S601)に進む。(S601)において、正常振動情報格納部12から正常振動情報Vrを読み出し、(S602)に進む。(S602)において、検知振動情報が、正常振動情報Vrに基づき、正常であるか異常であるかどうかを判断し、(S603)に進む。(S603)において、判断結果が正常の場合、Noとなり、(S600)に戻る。判断結果が異常の場合は、Yesであり、(S604)に進む。(S604)において、工場振動通信電文の振動情報エリアに振動情報Viを格納し、(S605)に進む。(S605)において、工場振動通信電文の場所情報エリアに場所情報Pkkiを格納し、(S606)に進む。(S606)において、工場振動通信電文の時刻情報エリアに時刻情報Tiを格納し、(S607)に進む。(S607)において、工場振動通信電文のヘッダエリアの宛先アドレス(DA)には、情報収集装置200のアドレスAr、送信元アドレス(SA)には、振動検知装置KKi自身のアドレスAkkiを格納し、制御情報エリアには、電文種別コード、ペイロードのデータバイト数など、通信に必要な情報を格納する。電文種別コードは、振動情報通信電文であることを示すコード0とする。振動検知装置番号エリアには、振動検知装置番号KKiを格納し、電文を完成させ、送信して、(S600)に戻る。
図20(B)は、工場振動通信電文に対する情報収集装置200の処理動作のフローチャートである。ステップ(S630)において、工場振動通信電文を受信したかどうか判定する。(S630)においてNoの場合、(S630)に戻る。(S630)においてYesの場合、(S631)に進み、受信した工場振動通信電文を解析して、異常が発生している振動検知装置の振動検知装置番号KKi、振動情報Vi、場所情報Pkki、時刻情報Tiを取り出し、(S632)において、異常を示す情報を含む振動情報Viを出力して、異常発生時刻、異常場所、異常状況を表示させる。具体的には、工場状態表に異常が起きた振動検知装置の振動検知装置番号KKi、振動情報Vi、場所情報Pkki、時刻情報Tiを記録し、表示する情報を表示器に出力する。
振動情報Viとして種々の形態が採りうることについては、実施の形態1において説明したのと同様である。振動情報出力部131が行う振動情報Viの出力動作の概念についても、実施の形態1において説明したのと同様である。
本実施の形態3では、工場内部における本発明の情報処理システムを説明したが、工場内部に限らず、屋外の造船所ヤード、造船所ドック周辺、一般の港の埠頭の貨物積み下ろし作業エリアなどでも、使用可能である。
(実施の形態4)
上記実施の形態3では、異常発生の有無の判断を各振動検知装置KKiにおいて行ったが、本実施の形態4においては、情報収集装置200において判断を行うようにする。
本実施の形態4に用いる振動検知装置KKiのブロック図を図21(A)に示す。図21(A)の振動検知装置KKiにおいては、異常発生の判断を行わない。振動検知装置KKiは、振動検知部10、送信部11、場所情報格納部14、時刻情報取得部15を備えている。振動検知部10は、実施の形態1の場合と同様である。送信部11は、内部にタイマーを備えており、振動検知部10が検知する振動の信号から、所定の時間ごとに、振動情報Viを選択または抽出し、図18に示した工場振動通信電文の振動情報1〜mのエリアに格納する。振動情報1〜mのエリアのサイズは、抽出する振動情報Viを格納できる大きさであれば、大きくても小さくてもよい。送信部11は、振動情報Viの選択または抽出タイミングと同期して、場所情報格納部14から振動検知装置KKiの場所情報Pkkiを、時刻情報取得部15から時刻情報Tiを取り込み、図18の場所情報エリアと時刻情報エリアに格納する。その他のエリアの記載内容は、実施の形態3で説明したのと同様であるので説明を省く。
振動情報Viは、図4(A)に示した振動検知部10の検知波形と同様の波形に基づき送信部11において生成される情報であるが、最も単純な情報は、検知波形自身であるが、既に実施の形態2において、図4(C)を利用して説明したので繰り返さない。送信部11は、時刻taから(ta+Δt)までの検知波形サンプル値や、時刻(ta+Δt)から(ta+2Δt)までの検知波形サンプル値を波形メモリから読み出して振動情報Viとして、振動情報1〜mのエリアに格納し、工場振動通信電文を完成させて送信する。
図21(B)は、情報収集装置200が振動情報Viの正常・異常を判断する場合のブロック構成図である。情報収集装置200は、振動情報受信部130、振動情報出力部131に加えて、正常振動情報格納部132、判断部133を備えている。正常振動情報格納部132は、正常振動情報格納部12で説明したと同様の正常な振動に関する情報を保有している。振動情報受信部130が、工場振動通信電文を受信すると、電文が情報収集装置200宛の場合、電文に格納された情報を判断部133と振動情報出力部131に渡す。判断部133には、振動情報Viを渡す。判断部133は、振動情報Viと正常振動情報Vrとを比較し、振動情報Viが正常であれば、振動情報出力部131に「正常」の指示情報を渡し、振動情報Viが以上であると判断すると、振動情報出力部131に「異常」の指示情報を渡す。振動情報出力部131は、内部に保有している工場状態表に、時刻情報Ti、振動検知装置番号KKi、場所情報Pkki、振動情報Viから算出した振動振幅値、正常または異常の判断結果を記載し、表示を行う情報を選んで出力する。
振動情報Viの処理は、一例として実施の形態2において、図4(C)と共に説明したものと同様でよい。正常振動情報格納部132には、正常振動情報Vrとして、閾値(M)と(−M)が格納されている。判断部133は、受信部130から受け取った振動情報Viである、時刻taから(ta+tΔ)までの検知波形サンプル値と閾値(M)、(−M)とを比較し、閾値(M)〜(−M)の範囲を超えるサンプルがあるかどうか判断する。閾値(M)〜(−M)の範囲を超えるサンプルがあれば「異常」、なければ「正常」を、振動情報出力部131に対して出力する。振動情報出力部131は、内部に保有している工場状態表の正常・異常欄に「正常」または「異常」の情報を記載する。また、振動情報Viのサンプル値の最大振幅値を計算して工場状態表に記載する。また、異常が発生するたびに、発音器が警告音を発生するようにする。
本実施の形態4における振動検知装置KKiの各構成要素の実施は、以下のように可能である。振動検知部10は、実施の形態1の場合と同様でよい。送信部11は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。送信部11の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。また、送信部11は、無線通信手段を内蔵している。無線通信手段としては、ブルートゥース方式や無線LANなどの通信手段を使用できる。場所情報格納部14は、予め場所情報を記憶した不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。また、GPS回路を内蔵しておき、人工衛星からの電波により、場所情報を得て、送信部11に供給する形式でもよい。時刻情報取得部15は、時計を内蔵しておき、その時刻情報を供給するものでよい。時計は内部の水晶により時刻を発生させるもの、外部の電波により時刻を算出する電波時計方式などが適用できる。
振動情報受信部130は、通常、無線通信手段と、MPUやメモリ等から実現され得る。振動情報受信部130の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。無線通信手段としては、ブルートゥース方式や無線LANなどの通信手段を使用できる。正常振動情報格納部132は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。判断部133、振動情報出力部131は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。振動情報出力部131の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
次に、本実施の形態4の場合の各装置の動作をソフトウェアで実現する場合の、処理手順について説明する。
図23(A)は、振動検知装置KKiの処理手順のフローチャートである。(S700)において、タイマーを参照し、送信時刻かどうか判定し、Noの場合、(S700)に戻る。Yesの場合、(S701)に進む。振動検知装置KKiは、振動検知部10におけるセンサやゲージが出力する検知振動情報を時刻の経過と共に所定時間分記憶している。図4(C)の場合は、最近のΔtの時間分が記憶されている。(S701)において、上記所定時間分の検知振動情報を振動情報Viとして工場振動通信電文の振動情報1〜mのエリアに格納し(S702)に進む。(S702)において、工場振動通信電文の場所情報エリアに場所情報Pkkiを格納し、(S703)に進む。(S703)において、工場振動通信電文の時刻情報エリアに時刻情報Tiを格納し、(S704)に進む。(S704)において、実施の形態3の場合と同様に、工場振動通信電文のヘッダエリアの宛先アドレス(DA)には、情報収集装置200のアドレスAr、送信元アドレス(SA)には、振動検知装置KKi自身のアドレスAkkiを格納し、制御情報エリアには、電文種別コード、ペイロードのデータバイト数など、通信に必要な情報を格納する。電文種別コードは、振動通信電文であることを示すコード0とする。振動検知装置番号エリアには、振動検知装置番号KKiを格納し、電文を完成させて送信し、(S700)に戻る。
図23(B)は、工場振動通信電文に対して判断処理を行う情報収集装置200の処理動作のフローチャートである。ステップ(S730)において、情報収集装置200自身宛の工場振動通信電文を受信したかどうかを、宛先アドレス(DA)と電文種別コードにより判定する。(S730)においてNoの場合、(S730)に戻る。(S730)においてYesの場合、(S731)に進む。(S731)においては、工場振動通信電文の内容を解析し、電文が搭載している情報を取り出す。(S732)において、正常振動情報格納部36から正常振動情報Vrを読み出し、(S733)に進む。(S733)において、搭載されている振動情報Viが、正常振動情報Vrに基づき、正常であるか異常であるかどうかを判断し、(S734)に進む。(S734)において、判断結果が正常の場合、Noとなり、(S736)に進み、工場状態表に時刻情報Ti、振動検知装置番号KKi、場所情報Pkki、および、振動振幅値を記載し、更に正常・異常の区別を「正常」と記載し、表示用の情報を表示器に出力して表示させ、(S730)に戻る。判断結果が異常の場合は、Yesであり、(S735)に進む。(S735)でも、工場状態表に時刻情報Ti、振動検知装置番号KKi、場所情報Pkki、および、振動振幅値を記載し、更に正常・異常の区別を「異常」と記載し、表示用の情報を表示器に出力して表示させ、(S730)に戻る。表示形式の一例を図22に示す。図22では、実施の形態3における図19の場合と異なり、正常の場合も、振動情報Viを検知した時刻と振動情報Viの振動振幅値が表示可能である。なぜなら、異常が起きていない振動検知装置からも、所定時間ごとに工場振動通信電文が送信され、情報収集装置200が受信するからである。以上のように、判断結果は、表示の形で出力される。
振動情報Viとして種々の形態が採りうることについては、実施の形態2において説明したのと同様である。振動情報出力部131が行う判断結果の出力動作の概念についても、実施の形態2において説明したのと同様である。また、本実施の形態4でも、実施の形態2で説明したのと同様に、振動検知装置KKiに前段の判断部の機能を設けて、振動波形が十分小さい場合は、工場振動通信電文を送信しないようにしてもよい。ただし、情報収集装置200が、振動検知装置KKiの近傍に移動しながら振動情報Viを収集するので、振動検知装置KKiが多数あっても、通信の輻輳や電文処理の集中は元々起こりにくい。
なお、本実施の形態4において、判断部133の判断結果を振動情報出力部131が出力する動作の概念については、実施の形態2において説明した概念と同様である。
(その他の実施の形態および補足)
上記各実施の形態において、場所情報として、GPSの緯度経度情報を一例として挙げたが、振動検知装置番号Ki、KKi、踏切番号Fjも場所情報の一種である。従って、情報処理システムの各地点の情報管理の運用上、重複する場合は、各電文の振動検知装置番号エリアや踏切番号エリアと場所情報エリアの一方を省いてもよい。逆に、GPSの緯度経度情報を場所情報とする場合、緯度経度を表示して、事故復旧に活用してもよい。故障修理車を派遣する際に、故障修理車のカーナビゲーション装置に、緯度経度情報を送信するような使用法を採用してもよい。
振動検知装置Ki、踏切状態検知装置Fj、振動検知装置KKiにおいて、内部の時計機能を省き、サーバ装置100や情報収集装置200までの通信遅延時間を記憶しておき、時刻情報エリアには転送遅延時間を格納して伝送し、サーバ装置100や情報収集装置200では、自身が有する内部時計の時刻から異常発生時刻を算出するようにしてもよい。サーバ装置100や情報収集装置200が、各振動検知装置Ki、踏切状態検知装置Fj、振動検知装置KKiからの通信遅延時間を記憶しておき、電文を受信した時刻と通信遅延時間から異常発生時刻を算出するようにしてもよい。この場合は、時刻情報の伝送は不要になる。
サーバ装置100の振動情報受信部30とスイッチ情報受信部32の無線受信回路は統合して、振動情報通信電文も踏切通信電文も受信するように構成してもよい。振動情報通信電文と踏切通信電文の処理は、1つのMPUとメモリ上で、プログラムにより処理するように構成してもよい。振動情報受信部30とスイッチ情報出力部33についても同様に1つのMPUとメモリ上で、プログラムにより処理するように構成してもよい。
本発明の振動検知装置においては、振動検知部10の検知する検知振動情報、および、上記検知振動情報に関連して送信部11が送信する振動情報としては、上記説明したように種々の形態がある。また、振動検知装置において正常、異常、何れか少なくとも一方の判断を行う場合と、サーバ装置100が判断を行う場合とがある。振動検知装置に振動検知部10とスイッチ20を設けて、振動の状況に加えてスイッチにより振動検知装置の状態を検知するようにもできる。あたかも、振動検知装置Kiと踏切状態検知装置Fjを同じ地点に設けているのに似る。図24に、本発明の振動検知装置のこのような構成の例を示す。
図24(A)は、図21の振動検知装置の振動検知部10に加えてスイッチ20を設け、送信部11が、振動情報Viに加えてスイッチ情報も送信するものである。振動情報通信電文には、スイッチ情報エリアを追加する。サーバ装置100では、振動情報Viの異常判断に加えて、スイッチ情報の異常判断も行われる。
図24(B)は、図2(A)の振動検知装置の振動検知部10に加えてスイッチ20を設け、送信部11が、振動情報Viに加えてスイッチ情報も送信するものである。振動情報通信電文には、スイッチ情報エリアを追加する。スイッチ情報は、振動の異常の判断時に、振動情報Viと共に送信される。サーバ装置100では、スイッチ情報の異常判断を行ってもよい。
図24(C)は、図2(B)の踏切状態検知装置のスイッチ20に加えて振動検知部10を設けたもので、送信部11が、スイッチ情報に加えて振動情報Viも送信するものである。踏切通信電文には、振動情報エリアを追加する。振動情報Viは、スイッチの異常の判断時に、スイッチ情報と共に送信される。サーバ装置100では、振動情報Viの異常判断を行ってもよい。振動情報通信電文にスイッチ情報エリアを追加した電文を送信してもよい。
図24(D)は、振動検知部10、正常振動情報格納部12、スイッチ20、正常スイッチ情報格納部22、送信部11を設け、判断部13が振動検知部10と正常振動情報格納部12の出力情報について比較して異常の有無を判断して判断情報D1を出力し、かつ、スイッチ20と正常スイッチ情報格納部22の出力情報について比較して異常の有無を判断して判断果情報D2を出力し、送信部11は、判断情報D1と判断情報D2に基づき振動情報通信電文と踏切通信電文を送信するようにした振動検知装置である。判断情報D1が異常の場合、振動情報通信電文の形式の電文を送信し、判断情報D2が異常の場合、踏切通信電文の形式の電文を送信する。振動情報通信電文のペイロード部にスイッチ情報エリアを追加した電文を、判断情報D1と判断情報D2何れかが異常の場合に送信するようにしてもよい。
図24(A)、(B)、(C)、(D)の振動検知装置に、場所情報格納部14と時間情報取得部15を追加してもよいことは言うまでもない。図24(A)、(B)、(C)、(D)の振動検知装置の送信部11が送信する振動情報Viとスイッチ情報には、既に説明した種々の情報の形態があり得ることは、上記各実施の形態の場合と同様である。例えば、送信データ量が比較的少ないのは、判断情報D1や判断情報D2を振動情報Viやスイッチ情報として送信する形態である。
また、上記各実施の形態において、各処理(各機能)は、単一の装置(システム)によって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置によって分散処理されることによって実現されてもよい。つまい、上記各実施の形態において、以下の方法が実現できれば良い。第一は、振動を検知する振動検知ステップと、振動検知ステップで検知した振動が、格納されている正常振動情報に基づいて正常であるまたは異常であるか否かを判断する判断ステップと、前記判断ステップにおける判断の結果を出力する出力ステップを具備する振動検知方法である。第二は、第一の方法に対して、スイッチのオンまたはオフを検知するスイッチ検知ステップをさらに具備し、前記判断ステップにおいて、前記スイッチ検知ステップで検知したスイッチのオンまたはオフが、格納されている正常スイッチ情報に基づいて、正常であるまたは異常であるか否かをも判断する振動検知方法である。さらに、第三は、第一、第二の方法に対して、前記出力ステップにおいて、前記判断ステップにおける判断の結果が異常であるとの判断の場合にのみ、異常であることを示す振動情報を出力する振動検知方法である。
また、上記各実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。
なお、上記プログラムにおいて、情報を送信する送信ステップや、情報を受信する受信ステップなどでは、ハードウェアによって行われる処理、例えば、送信ステップにおけるモデムやインターフェースカードなどで行われる処理(ハードウェアでしか行われない処理)は含まれない。
また、このプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、CD−ROMなどの光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。
また、このプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
また、上記各実施の形態において、一の装置に存在する2以上の通信手段(情報送信部など)は、物理的に一の媒体で実現されても良いことは言うまでもない。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。