JP2006289830A - プレス成形用耐熱クッション材およびその製造方法 - Google Patents

プレス成形用耐熱クッション材およびその製造方法 Download PDF

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Naoki Takao
直樹 高尾
Masanao Orihara
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Abstract

【課題】 成形プレス用耐熱クッション材の提供。
【解決手段】 ポリエチレンテレフタレート/架橋剤の残渣がない架橋ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートの構成のプレス成形用クッション材であって、クッション材の使用時に樹脂ダレが生じないものであること、両外層のポリエチレンテレフタレートがHr(J/g)=Hm−Hcで定義される実質結晶融解熱量Hr(J/g)が15(J/g)以上であることにより示される、結晶化度を高めた耐熱性のものであることを特徴とするプレス成形用耐熱クッション材。上記の成形プレス用耐熱クッション材の製造方法であって、まずポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートの構成の積層シートを製造し、該積層シートに電子線を照射して中間層であるポリエチレン層を架橋することを特徴とする製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えばビルドアップ多層プリント基板のようなプリント基板の基板キュアリング工程でプレス圧を均一にするために使用するプレス成形用耐熱クッション材に関する。
ビルドアップ積層プリント基板の製造にクッション材を用いる技術は、例えば特許文献1〜11のものがある。そのうち、特許文献1、2、11はクッション材そのものに係る。特許文献1は、ハード・クッション層と、これに接着層を介して積層一体化された表面に離型層を有するソフト・クッション層とを具備して構成された成形プレス用クッション材であり、特許文献2は、ふっ素ゴム層を有しているクッション材本体と、その表面に接着一体化した離型性を有する表面層とからなる成形プレス用クッション材である。特許文献11は、繊維基材の片面又は両面に対し、1種又は2種以上の繊維からなるバットを1層又は2層以上積層し、ニードリングにて基材とバット繊維を絡合一体化した成形プレス用耐熱クッション材であり、該クッション材が、熱伝導性繊維を含み、該熱伝導性繊維が、目付4000g/mの製品としたときの90〜140℃間における昇温速度が、3.6℃/min以上となる繊維であることを特徴とするものである。
実開昭58−7646号公報 特開平6−278153号公報 特開平7−288383号公報 特開平8−37373号公報 特開平8−162769号公報 特開平9−8457号公報 特開平9−29773号公報 特開平10−303552号公報 特開2003−1656号公報(第0003段) 特開2003−31942号公報(第0028段) 特開2003−71867号公報
例えばビルドアップ多層プリント基板のようなプリント基板を熱プレスで成形する場合、成形材料を熱盤と熱盤との間に挟み込んで一定の圧力と熱をかける方法が一般に用いられている。このようなプレス成形は、通常、被成形物と直接接触する面に金属鏡面板を配置する一方、被成形物の全面に均等な圧力と熱を加えるために、熱盤と鏡面板との間に平板状のクッション材を介在させた状態で行われている。このようなクッション材に要求される機能上の特性としては、クッション性、熱伝導性、耐熱性、耐久性等が挙げられる(特許文献2の従来技術の欄参照)。
このような使用目的のための成形プレス用クッション材の従来品は、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)(TPX)/エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)または低密度ポリエチレン(LDPE)/ポリ(4-メチル-1-ペンテン)(TPX)が主体であったが、スキン層の耐熱温度が200℃程度のため使用に耐えられなかった。またコア層の低密度ポリエチレンが溶融して液ダレを起こしビルドアップ積層プリント基板のようなプリント基板を汚染することがあった。そのため、耐熱性のある延伸ポリエチレンテレフタレート(O-PET)を使用し、O-PET/接着剤(AD)層/化学架橋LDPE/接着剤(AD)層/O-PETの構成とすることが行われている。
しかし、近年は、生産性向上の観点から熱盤間に多数の積層構成体を積載して成形したり、成形時間短縮のために昇温速度を上昇させて成形したり、ビルドアップ多層プリント基板を成形したりすることが行われており、このような成形を上記の化学架橋したコア層をもつクッション材を使用すると、クッション材中の架橋剤の残渣が使用時において気化してしまい、多層プリント基板に悪影響を与えてしまうという問題があった。
本発明は、耐熱性・クッション性を持った樹脂ダレなどの問題がないシート(成形プレス用耐熱クッション材)を提供することを目的とする。
本発明は、以下の(1)〜(3)のプレス成形用耐熱クッション材を要旨とする。
(1) ポリエチレンテレフタレート/架橋剤の残渣がない架橋ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートの構成のプレス成形用クッション材であって、クッション材の使用時に樹脂ダレが生じないものであること、両外層のポリエチレンテレフタレートが下記式で定義される実質結晶融解熱量Hr(J/g)が15(J/g)以上であることにより示される、結晶化度を高めた耐熱性のものであることを特徴とするプレス成形用耐熱クッション材。
Hr(J/g)=Hm−Hc
ただし、
Hr(J/g):ポリエチレンテレフタレート層の実質結晶融解熱量
Hc:示差走査熱量計を用い、10℃/minの昇温速度で測定を行い、ファーストランで現れるポリエチレンテレフタレートの結晶化に伴う発熱量
Hm:同じくファーストランで現れるポリエチレンテレフタレートの結晶融解に伴う吸熱量
(2) 該架橋ポリエチレンが電子線照射により架橋されたものである上記(1)のプレス成形用耐熱クッション材。
(3) 両外層のポリエチレンテレフタレートが、延伸による配向結晶あるいは加熱処理により結晶化度を高めた耐熱性のものである上記(1)または(2)のプレス成形用耐熱クッション材。
本発明は、以下の(4)〜(6)のプレス成形用耐熱クッション材の製造方法を要旨とする。
(4) 上記(1)の成形プレス用耐熱クッション材の製造方法であって、まずポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートの構成の積層シートを製造し、該積層シートに電子線を照射して中間層であるポリエチレン層を架橋することを特徴とする製造方法。
(5) 10Mrad以上の電子線を照射する上記(4)の成形プレス用耐熱クッション材の製造方法。
(6) 延伸による配向結晶および/または加熱処理により両外層のポリエチレンテレフタレートの結晶化度を高める上記(4)または(5)の成形プレス用耐熱クッション材の製造方法。
本発明のクッション材の構成は、ポリエチレンテレフタレート/架橋低密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートであって、中間層は電子線照射により架橋されたものである。化学架橋ではなく、電子線照射により架橋することによって、架橋密度を正確にコントロールできる、クッション材中の架橋剤の残渣が使用時において気化してしまい、多層プリント基板に悪影響を与えてしまうという問題がないなどのメリットがある。
また、本発明のクッション材の両外層のPETの結晶化度を高めることによって、PETの結晶化度が低いとPET層の耐熱性が損なわれる、ガラス転移点付近(70℃)で軟化し熱板やプリント基板と融着をおこし、リリース性が著しく低下する、さらに、使用時クッション材が収縮を起こし、多層プリント基板の仕上がりに悪影響を与えてしまうという問題がないなどのメリットがある。
すなわち、本発明の構成の中間層は電子線照射により架橋すること、ならびに、両外層のPETの結晶化度を高めることによって、例えばビルドアップ多層プリント基板のようなプリント基板の基板キュアリング工程でプレス圧を均一にするために使用するクッション材を提供することができる。
ビルドアップ多層プリント基板のようなプリント基板の基板キュアリング工程でプレス圧を均一にするために使用するクッション材においては、予め形成した電子部品接続用配線などの損傷を防止できるように、コア層については加熱時に確実に軟化させることができるものでなければならない。
このようなクッション材に要求される機能上の特性としては、クッション性、熱伝導性、耐熱性、耐久性等が挙げられるが、さらに詳細には以下のような特性が挙げられる。
樹脂やセパレータプレートから簡単に汚染なくリリースすることができる。
最高実用温度150℃以上で数時間以上。
不純物が固着しない。
X−Y軸の収縮が非常に低く、静電気を減少する。
本質的に不活性であり、ガスの発生、プレートの残留、層間の癒着、真空システムの汚染がない。
オゾン減少化学物質やフッ素が含まれていない。
本発明のプレス成形用耐熱クッション材は、ポリエチレンテレフタレート/架橋剤の残渣がない架橋ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートの構成をもち、中間層は、電子線照射により架橋したものである。
架橋剤の分解残渣としてクミルアルコール、アセトフェノン、メチルスチレン、水分等が発生することが知られている。クッション材にこれらが残留すると、使用時に、これらが揮散して、プリント基板を汚染したり、クッション材中で発泡して、プリント基板の平滑性を損なうという傾向があった。
本発明のクッション材は電子線により架橋処理を行うため架橋剤を用いない。従って架橋剤の分解残渣が残留しておらず、使用時にこれらが揮散して、プリント基板を汚染することがない。
さらに、電子線照射による架橋処理は電子線量を正確に制御できるため架橋密度を正確に制御できる。架橋剤を用いた化学架橋では、設定温度のムラを生じやすく、架橋密度がばらつき、コア層については溶融による樹脂ダレをおこすことがあった。
また、本発明のプレス成形用耐熱クッション材は、両外層のポリエチレンテレフタレート(PET)は下記で定義される実質結晶融解熱量Hr(J/g)が15(J/g)以上であることにより示される、結晶化度を高めた耐熱性のものである。
ポリエチレンテレフタレート層の実質結晶融解熱量Hr(J/g)はHm−Hcと定義される。
すなわち、クッション材のポリエチレンテレフタレート層(PET層)を剥がし、これを試料とし、示差走査熱量計を用い、10℃/minの昇温速度で測定を行い、ファーストランで現れるポリエチレンテレフタレートの結晶化に伴う発熱量Hc(J/g)を求め、同じくファーストランで現れるポリエチレンテレフタレートの結晶融解に伴う吸熱量Hm(J/g)を求める。
Hm−Hcを実質結晶融解熱量Hr(J/g)とする。
図1、2に示すDSCチャートは次の2種類のポリエチレンテレフタレートフィルムに関するものである。
A.キャスト成形(Tダイ式押出成形)したポリエチレンテレフタレート(図1)
B.キャスト成形(Tダイ式押出成形)したポリエチレンテレフタレートを加熱処理したもの(図2)
このチャートにおいては、結晶融解熱Hm(J/g)は、A、Bとも大差ないが、Aにおいては結晶化に伴う発熱量Hc(J/g)が現れている。
一方Bにおいては結晶化に伴う発熱量Hc(J/g)は現れていない。
従って、Hm(J/g)−Hc(J/g)で定義した実質結晶融解熱量Hr(J/g)はBの方が大きくなる。Hr(J/g)が大きな値を取るということは、実質的に示差走査熱量計による分析前における試料の結晶化度が大きいものであったということを意味する。本発明のプレス成形用耐熱クッション材はこの値が15(J/g)以上である。Hrの値が15(J/g)未満であると、ポリエチレンテレフタレート層の耐熱性が十分でないとともに、収縮性が大きくなり、また良好なリリース性が付与されない。
本発明で使用するポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートとして、PET/接着剤(AD)/LDPE/接着剤(AD)/PET=20μm/10μm/200μm/10μm/20μmの積層シートが例示される。
使用するポリエチレンテレフタレートに関して、ポリエチレンテレフタレートは5〜50μmのフィルムであり、市販のO-PETを用いてもよいが、押出成形用PET原料を用いて製造することもできる。すなわち、(1)市販のO-PETフィルム、(2)市販の無延伸PETフィルム、あるいは下記の(3)を押出成形して得られる無延伸PETフィルム、(3)押出成形用PET原料の、いずれもが使用可能であるが、上記の(1)、(2)はドライラミネート、あるいは押出ラミネートにより、コア層となるLDPEと貼り合わせる。ただし、(2)を使う場合、ラミネートの前あるいは後で熱処理か延伸処理により実質結晶融解熱量Hrを増加させなければならない。
(3)を使う場合、Tダイ式押出成形法あるいはインフレ式押出成形法でフィルム化し、(1)または(2)を製造し、これを上記したと同じようにして使用することができるし、共押出法によりLDPEと積層し、直接積層シートとすることもできる。共押出の後で延伸処理をすると、実質結晶融解熱量Hrが増加し、そのまま使用可能であるが、延伸処理を行わない場合は、熱処理により実質結晶融解熱量Hrを増加させる必要がある。
ポリエチレンテレフタレートとして、カネボウ合繊(株)製「ベルペットPBK-1」固有粘度:0.7dl/g、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムとして、二村化学(株)製「FE3001」16μm、ポリエチレンとして、LDPE 住友化学工業(株)製「スミカセンF102」MI=0.3g/10分、ρ=0.922g/cm3が例示される。
ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンは接着しにくく、接着性樹脂、あるいは接着剤を両層間に存在させる必要があり、本発明で使用する多層フィルムまたはシートにおいて、層間剥離強度を高めるなどの目的で、各層間に接着性樹脂層を介在させる。接着性樹脂(単に、「接着剤」ともいう)としては、押出加工が可能で、かつ、各樹脂層に良好な接着性を示すものであることが好ましい。
接着性樹脂としては、例えば、不飽和ジカルボン酸変性ポリエチレン、三井化学(株)製「アドマーSF731」MI=2.6g/10分、ρ=0.922g/cm3、酸変性ポリオレフィン樹脂(無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂)、三菱樹脂(株)製「モディックS525」、グリシジル基含有エチレンコポリマー、日本石油化学(株)製「レクスパールRA3150」、住友化学(株)製「ボンドファースト2C、E、B」、熱可塑性ポリウレタン、クラレ(株)製「クラミロン1195L」、ポリアミド・アイオノマー、三井デュポン(株)製「AM7926」、ポリアクリルイミド樹脂、ローム・アンド・ハース製「XHTA」、三井化学(株)製「アドマーNF550」〔酸変性線状低密度ポリエチレン、MFR=6.2g/10分(温度190℃、荷重2160g荷重)〕、三菱化学(株)製「モディックS5255」などを挙げることができる。
ドライラミネートで用いるポリウレタン系アンカーコート剤として、大日精化工業(株)製「セイカダイン2710A」が例示される。
上記ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートの製造方法の好ましい態様について説明する。
[共押出法]
Tダイ式3種5層共押出機を用いて“ポリエチレンテレフタレート/接着性樹脂/ポリエチレン/接着性樹脂/ポリエチレンテレフタレート”の構成の多層シートを得る。
[押出ラミネート法]
押出ラミネーターを用いて、まず、“ポリエチレンテレフタレート/接着性樹脂/ポリエチレン”の構成の積層シートを製造する。次いで再度押出ラミネーターを用いて“ポリエチレンテレフタレート/接着性樹脂/ポリエチレン/接着性樹脂/ポリエチレンテレフタレート”の構成の多層シートを得る。もちろん、タンデム式押出ラミネート法を用いて一度の操作で目的とする多層シートを得るようにしてもよい。
[ドライラミネート法]
ドライラミネーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートに接着剤を塗布し、これにポリエチレンシートを貼り合わせる。次いで再度ドライラミネーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートに接着剤を塗布し、これに先ほど得られた積層フィルムを貼り合わせ、“ポリエチレンテレフタレート/接着性樹脂/ポリエチレン/接着性樹脂/ポリエチレンテレフタレート”の構成の多層シートを得る。
次いでプレス用耐熱クッション材の製造方法について説明する。
(1) まずポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートの構成の多層シートを製造する。共押し出し法で製造する際には、ポリエチレンテレフタレート層とポリエチレン層との間に接着性樹脂を介在させる。また、押出ラミネート法を用いる場合には、ポリエチレンシートの両面に二軸延伸ポリエチレンテレフタレートをラミネートする。この場合、ポリエチレンテレフタレート層とポリエチレン層との間に接着性樹脂、あるいは接着剤を介在させる。
(2) EB(電子線)照射によるコア層への耐熱性付与
次いで該積層シートに電子線を照射して中間層であるポリエチレン層を架橋する。10Mrad以上の電子線を照射することによりコア層に耐熱性が付与される。ポリエチレンテレフタレートはポリプロピレンのようにEB照射による分子鎖の破断がなく、強度維持が可能である。
(3) 加熱処理によるポリエチレンテレフタレートの結晶化度向上、ならびに耐熱性向上
積層シートをたとえば180℃に保たれたチャンバー内においてロール間を移動させることによりに累計3分間程熱処理する。
熱処理は、この方法のみではなく、他の方法も考えられる。また、180℃、3分となっているが、この条件に限定されないが通常ポリエチレンテレフタレートの結晶化ピーク温度付近での処理が最も有効である。
なお、本発明のプレス用耐熱クッション材の製造方法は本発明の請求項1に記載の特性が満足できるのであれば、前記方法に限定されるものではない。たとえば、両外層の結晶化度を高めるためには、延伸処理、熱処理を採用できるが、どの段階でこの処理を行ってもよい(積層前、積層後)。さらにもともと延伸処理されたフィルムを用いることができる。また、電子線架橋もどの段階でこの処理を行ってもよい(積層前、積層後)。さらにもともと電子線架橋処理されたフィルムを用いることができる。
上記のようにして製造されたプレス用耐熱クッション材は、たとえばプレス条件150〜240℃、0.5〜3hr、30〜70kg/cm の真空プレスで使用される。
本願発明の詳細を実施例で説明する。本願発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
[共押出法による積層シート1、2の製造]
・積層シート1
Tダイ式共押出機を用い、ポリエチレンテレフタレート/接着性樹脂/低密度ポリエチレン/接着性樹脂/ポリエチレンテレフタレート=20μm/10μm/200μm/10μm/20μmの積層シート1を得た。なお、接着性樹脂としては、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三井化学(株)製 アドマーQF580,密度:0.895,MFR:7.5)を用いた。
・積層シート2
積層シート1を180℃に保たれたチャンバー内においてロール間を移動させることにより累計3分間熱処理して、積層シート2とした。
[押出ラミネートによる積層シート3、4の製造]
・積層シート3
Tダイ式押出機を用い厚み200μmの低密度ポリエチレンシート1を得た。押出ラミネート機を用いて低密度ポリエチレンシート1の両面に市販の厚み12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(O-PET)をラミネートし、積層シート3とした。なお低密度ポリエチレンシート1と二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(O-PET)の間には接着性樹脂として、積層シート1を製造する際に用いたと同じ無水マレイン酸変性ポリプロピレンを用いた。また、接着性樹脂層の厚みはそれぞれ10μmとした。
・積層シート4
Tダイ式押出機を用い厚み200μmの低密度ポリエチレンシート1を得た。押出ラミネート機を用いて、低密度ポリエチレンシート1の両面に市販の厚み12μmの未延伸ポリエチレンテレフタレートをラミネートし、積層シート4とした。なお低密度ポリエチレンシート1と未延伸ポリエチレンテレフタレートの間には接着剤として、積層シート1を製造する際に用いたと同じ無水マレイン酸変性ポリプロピレンを用いた。また、接着層の厚みはそれぞれ10μmとした。
[実施例1〜4、比較例1〜5]
前記したようにして得られた積層シート1〜4の両面に、電子線照射装置(キュアトロン:日新ハイボルテージ社製)を用いて電子線照射を行った。
なお、電子線照射強度は表1に示すとおりである。このようにして得られたクッション材の特性を以下のようにして評価した。この結果を表1に示す。
[ポリエチレンテレフタレート層の実質結晶融解熱量Hr(J/g)]
クッション材のポリエチレンテレフタレート層を剥がし、これをサンプルとする。示差走査熱量計を用い、10℃/minの昇温速度で測定を行い、ファーストランで現れるポリエチレンテレフタレートの結晶化に伴う発熱量Hr(J/g)を求める。同じくファーストランで現れるポリエチレンテレフタレートの結晶融解に伴う吸熱量Hm(J/g)を求める。Hm−Hcを実質結晶融解熱量Hr(J/g)とする。
[クッション材の熱変形度]
熱機械分析(TMA分析)
セイコー電子工業社製「TMA120C」を用い試験片に、300cc/min窒素気流中で0.5mmφの針状プローブに10gfの荷重をかけて、10℃/分で室温から250℃まで昇温した。この際の針状プローブの変位を記録し、240℃における針状プローブの針入深さを読み取りこれを、熱変形度D(μm)とする。
[熱収縮性]
クッション材を10cm×10cm角に切り出しこれを150℃のオーブンに3分間保ち、縦横の収縮率を次式により算出する。
{(10−X)/10}×100= 熱収縮率(%)
なお、Xは、150℃のオーブン中に3分間保った後の試料の寸法(cm)である。また、表1においては、(クッション材の縦方向の収縮率)/(クッション材の横方向の収縮率)として表記した。
Figure 2006289830
[評価]
実質結晶融解熱量Hr(J/g)の数値が高いほど好ましいが、上限がある。ポリエチレンテレフタレートの完全結晶の結晶融解熱は121J/gであり、これ以上の値は取りえない。比較例1、2、4ではHrが高く現れており両外層は結晶性の要件を満たしているものの、これら比較例では中間層への電子線照射強度が十分でないことによる欠点が現れている。
すなわち、比較例1は、両外層の結晶化度は良好であるが、中間層への電子線照射強度が低く架橋密度不十分である。比較例2は、両外層の結晶化度は良好であるが、中間層への電子線照射なく架橋密度不十分である。比較例3は、中間層への電子線照射強度良好で架橋密度十分であるが、両外層の結晶化度が低くシートの熱収縮性が大である。比較例4は、両外層の結晶化度は良好であるが、中間層への電子線照射強度が低く架橋密度不十分である。比較例5は中間層への電子線照射強度良好で架橋密度十分であるが、両外層の結晶化度が低くシートの熱収縮性が大である。
[ビルドアップ多層配線基板の製作]
実施例1〜4、比較例1〜5で得られたクッション材をプリプレグの上下に用い、200℃、50Kg/cmで30分プレスした。この操作終了後のクッション材の状態を観察するとともに得られた硬化物の状態を観察したこの結果を表2に示す。
Figure 2006289830
[評価]
比較例1,2および4はクッション層が流出し、製品は汚染されていた。比較例3および5は、クッション材の状態は良好であったが、クッション材の収縮が影響したためか、得られたプリプレグ硬化物の状態は歪みが若干見られ、良好とはいえなかった。
本発明によれば耐熱性・クッション性に優れるとともに樹脂ダレなどの問題がない成形プレス用耐熱クッション材を提供することができる。また、該クッション材を、プリント配線板用積層板、プリント配線板、CSPおよびフラットパネルディスプレイなどの製造におけるプレス成形時のクッション材に用いることにより、高品質の製品を得ることができ、また多段成形した場合であっても、製品の品質の低下および生産性が低下することなく、大量生産が可能となる。
キャスト成形したポリエチレンテレフターレートのDSCチャートである。 キャスト成形したポリエチレンテレフターレートをアニーリング処理したもののDSCチャートである。

Claims (6)

  1. ポリエチレンテレフタレート/架橋剤の残渣がない架橋ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートの構成のプレス成形用クッション材であって、クッション材の使用時に樹脂ダレが生じないものであること、両外層のポリエチレンテレフタレートが下記式で定義される実質結晶融解熱量Hr(J/g)が15(J/g)以上であることにより示される、結晶化度を高めた耐熱性のものであることを特徴とするプレス成形用耐熱クッション材。
    Hr(J/g)=Hm−Hc
    ただし、
    Hr(J/g):ポリエチレンテレフタレート層の実質結晶融解熱量
    Hc:示差走査熱量計を用い、10℃/minの昇温速度で測定を行い、ファーストランで現れるポリエチレンテレフタレートの結晶化に伴う発熱量
    Hm:同じくファーストランで現れるポリエチレンテレフタレートの結晶融解に伴う吸熱量
  2. 該架橋ポリエチレンが電子線照射により架橋されたものである請求項1のプレス成形用耐熱クッション材。
  3. 両外層のポリエチレンテレフタレートが、延伸による配向結晶あるいは加熱処理により結晶化度を高めた耐熱性のものである請求項1または2のプレス成形用耐熱クッション材。
  4. 請求項1の成形プレス用耐熱クッション材の製造方法であって、まずポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートの構成の積層シートを製造し、該積層シートに電子線を照射して中間層であるポリエチレン層を架橋することを特徴とする製造方法。
  5. 10Mrad以上の電子線を照射する請求項4の成形プレス用耐熱クッション材の製造方法。
  6. 延伸による配向結晶および/または加熱処理により両外層のポリエチレンテレフタレートの結晶化度を高める請求項4または5の成形プレス用耐熱クッション材の製造方法。
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