請求項1に記載のパチンコ機において、始動口に遊技玉が入る(入賞する)と、乱数発生手段が乱数を出力する。この乱数に基づいて、図柄設定手段が表示手段に表示するための図柄を設定する。表示手段は、複数の図柄を表示可能にされており、図柄設定手段は乱数発生手段により出力された乱数に対応して、複数の図柄を設定するのである。例えば、表示手段が3つの図柄を表示させるもののとき、乱数の値が「50」であれば”4,5,C”、「120」であれば”B,4,5”のように設定する(以下、この例に沿って説明をする)。こうして設定された図柄は、図柄制御手段によって変動表示が行なわれた後、同じく図柄制御手段によって表示手段に停止されて出力される。
変動表示とは、表示手段に様々な図柄を表示させ、表示された各図柄を次々と別の図柄に変更させるものであって、例えば、初めに表示装置に”A,2,6”と表示させた後、この3つの図柄を夫々A→B→C→…、2→3→4→…、6→7→8→…等と変動させて行く。この変動表示を行なってから、図柄設定手段によって設定された複数(ここでは3個)の図柄、例えば”4,5,C”を表示する。但し、設定された図柄”4,5,C”は一度に表示されるのではなく、1つの図柄については、他の図柄よりも前記変動表示の終了を遅らせて、表示される。例えば、”4,5”が一度に表示されて(このとき、右図柄は変動表示を続行中)後から”C”が表示されたり、左中右の3図柄が一つずつ表示されるといった具合である。
こうして表示された複数の図柄が、予め設定された特定の配列になったときには、入賞確率が高くされる。すなわち、遊技者にとって有利な状態となる訳である。つまり、当該パチンコ機においては、始動入賞時に発生される乱数の値に応じて入賞確率が変動される。この乱数の値については、遊技者に直接、報知するのではなく、図柄制御手段が表示手段に出力する図柄の配列によって間接的に知らされる。そして、表示手段に出力される図柄は、始動入賞時に出力された乱数に応じて図柄設定手段によって設定されるのである。
そして更に、当該パチンコ機においては、乱数発生手段によって出力された乱数の値が、表示手段に、特定の配列を表示させる値であった場合、及び前記1つの図柄のみ該特定の配列とは異なる複数の図柄を設定させる値であった場合(つまり先んじて停止表示される予定の2つの図柄が、特定の配列の内の2図柄と一致する、いわゆるリーチ状態になる場合)には、報知画像出力手段が、その乱数が発生された直後に、画像を出力する。遊技者は、この画像が出力されることにより、表示手段に停止表示される図柄の内、先んじて停止される2図柄が、特定の図柄の内の2つの図柄と一致することを実際に停止表示される以前の時点にて知る。
従い、請求項1に記載のパチンコ機によれば、表示手段の出力内容が、リーチ状態になることを、実際に停止表示される以前の時点にて遊技者に知らせることができる。これにより遊技者は、乱数発生手段が乱数を発生させた直後から、3つの図柄が全て停止されるまでの間、期待感を持続させることができる。
また、報知動作として、表示手段に画像を出力する、という態様を採用しているため、周知のように様々な電子音、遊技玉の排出音等が氾濫するパチンコホールにおいても遊技者は報知に気付くことができる。
そして、画像の表示は、図柄の変動表示とは独立に行なわれるものであって、例えば、変動表示のさせ方を変えたり、実際にリーチ状態となった段階にて残る図柄の変動時間を伸ばしたりしないので、遊技時間が徒に伸びず、パチンコ機の稼働率が悪化するのを防ぐことができる。
しかも、リーチ状態になることの報知が、遊技域に設けられた表示手段に画像を出力させることにより行なわれるので、遊技者は視線を大きく移動させることなく、この報知動作に気付くことができる。
なお、報知するために表示手段に出力される画像は、図柄の変動表示に先んじて表示手段の画面全体に大きく表示させる「リーチになる!!」という文字(この場合には遅くとも、図柄の変動表示を行なう際に表示が消される。また、長時間表示させておくと遊技時間が長くなってしまうので、この場合には遊技者が報知に気付く範囲で極力短時間にするべきである)でも良いし、変動表示の際にも報知動作を継続するために、表示手段の画面の片隅(変動表示を妨げない位置)に小さく表示される「リーチ」等の文字でも良い。またこれらのような文字ではなく、例えばハートやスペード等のマークや、点滅されたりアニメーション風にされたりすることにより図柄の変動表示と識別可能にされた動的な画像、でもよい。
また「乱数が発生された直後」の「直後」とは、遊技者にとって感じられない(若しくは気にならない)程度の時間をおいて後、という意味である。始動入賞の発生から図柄の変動表示までのおおよその流れを示すと、始動入賞→乱数発生→図柄設定→変動表示、となるので、「乱数発生」と「図柄設定」の間にて乱数値の判定を行ない、報知する画像を出力するとよい。また、これら一連の処理は、後述する[実施例]にて代表されるように、いわゆるコンピュータシステムを用いて行なうのが一般的であることから、図柄設定に掛かる時間は遊技者にとっては殆ど気にならない。従い「図柄設定」が完了してから、乱数値の判定を行ない、報知する画像を出力しても良い。また、「変動表示」の仕方に趣向を凝らし、始動入賞してから報知する画像が表示されるまでの時間が、遊技者にとって、気にならないようにすれば、その変動表示の最中に、報知する画像を出力しても良い。
報知する画像を出力させる期間については、出力されていることを遊技者が認知できる程度に短くしても良いし、或は、実際にリーチ状態になるまで表示させていても良い。だが「リーチ状態になることを報知する」という趣旨から、遅くとも図柄設定手段により設定された図柄が全て表示されるまでには停止されるのが適当である。
請求項2に記載のパチンコ機は、請求項1に記載のパチンコ機において、更に乱数発生手段によって発生された乱数を、所定個数、保持する始動入賞記憶手段と、報知画像に対応する変動表示が開始されると、その変動表示が報知画像に対応したものであることを遊技者に報知するための対応画像を表示手段に出力する対応画像出力手段とを設けたものである。そして報知画像出力手段は、報知画像の出力を、画像の出力の端緒となった乱数に対応して行なわれる変動表示が開始された後に停止させる。
始動入賞記憶手段の役目は、既に変動表示がなされている状態や大当たり状態等の、変動表示を開始できない状態において発生した始動入賞を、保持しておくことである。変動表示が開始できる状態になると、例えば図柄設定手段が、保持された乱数を参照して図柄を設定し、図柄制御手段が変動表示を開始する。
この始動入賞記憶手段が存在すると、請求項1のパチンコ機と同様、リーチ状態になることが早い時点にて判るものの、始動入賞記憶手段に乱数が複数保持された場合に、その保持数だけ行なわれる変動表示の内、どれがリーチ状態になるかが判り辛くなる。例えば、保持数が3つある場合に、その一番最後に発生された乱数のみが、リーチ状態にするものであった場合には、初めに行なわれる2回の変動表示の間もずっと報知画像が表示されたままとなる。また、3個目に加えて1個目もリーチ状態になる乱数であった場合にも、同様の表示がされ、3個目のみがリーチ状態になる場合と区別がつかない。
そこで当該パチンコ機では、対応画像出力手段が、報知画像に対応する変動表示が開始された時点にて対応画像を表示手段に出力する。この対応画像が表示されることにより、遊技者はその時点にて行なわれている変動表示がリーチ状態になるか否かを知ることができる。
なお、対応画像としては、変動表示中に表示されることから、表示手段の片隅に小さく表示されるものであるのが望ましい。また、既に表示されている報知画像を覆い隠す画像を、対応画像として出力して、あたかも報知画像が点滅したかのように見せても良い。
請求項3に記載のパチンコ機は、請求項1または請求項2に記載のパチンコ機において、更に擬似報知手段を設け、乱数が当該パチンコ機をリーチ状態にする値でない場合にも、報知画像出力手段が出力する画像と同じ画像を、所定の確率にて表示手段に出力する。つまり表示手段に画像を表示する、という報知動作が行なわれても、リーチ状態にならない場合がある。
従い、請求項3に記載のパチンコ機によれば、画像が表示手段に出力されたにも拘らず、リーチ状態にならない場合もあるという、意外性を備えた機種とすることができ、また遊技者が報知動作に飽きるのを防止することもできる。
なお「予め設定された所定の確率」は、低い確率(例えば1/100程度)であることが望ましい。すなわち、リーチ状態にならないのに報知動作がなされる、という事態が頻発すると、報知動作そのものの信頼性を損ねるからである。
請求項4に記載のパチンコ機は、請求項1から請求項3に何れか記載のパチンコ機において、更に報知抑制手段を設けたものである。報知抑制手段は、報知画像出力手段により画像が表示される場合に、予め設定された所定の確率にて、この画像の表示を抑制する。ここで抑制とは、報知画像が表示されないように妨害したり、様々な別画像を表示手段に出力して、報知画像が表示されたことが判らないようにしたりすることである。つまり遊技者からみれば、報知動作が行なわれなかったときにも、リーチ状態になる場合があるというパチンコ機となる。
従い、請求項4に記載のパチンコ機によれば、画像が表示手段に出力されなかったにも拘らず、リーチ状態になる場合もあるという、請求項3に記載の発明とは逆の意外性を備えた機種とすることができる。
なお「予め設定された所定の確率」は、請求項3に記載の確率と無関係であるが、請求項3の確率と同様に低い確率(例えば1/100程度)であることが望ましい。すなわち、リーチ状態になるのに報知動作がなされない、という事態が頻発すると、報知画像出力手段による報知動作が滅多に行なわれなくなり、従来技術の、期待感が長続きしないという課題を再発させるからである。
以下に本発明の一実施例について図面と共に説明する。
まず、図2は本発明の一実施例であるパチンコ機2の前面を表す構成図である。図2に示すように、パチンコ機2では、遊技盤面に設けられた遊技域4の中央上部に、様々な画像を表示する、表示手段としての表示装置6が配設されており、その下方には遊技玉を受け入れ易い開き状態に変化可能な変動入賞装置8が配設されている。
表示装置6は、表示装置6と変動入賞装置8との間に設けられた始動口10a及び変動入賞装置8自身の左右に設けられた始動口10b、10cの何れかに遊技玉が入賞すると、図3に示すように、横方向に並設された数字及びアルファベットからなる3つの図柄Z1,Z2,Z3を夫々所定時間だけ変更して表示し、所定時間経過後に各図柄Z1〜Z3をZ1,Z3,Z2の順で停止して表示するいわゆるスロットと呼ばれる表示を行なう。なお、図3において図柄Z1〜Z3が表示される領域の上には、横長の長方形の領域Gがあり、ここには、後述する処理により、図柄Z1及びZ3がリーチ状態になると判定された際に「リーチ」という文字が表示される。なお、本図においては領域Gには「リーチ」と表示されているがこれは説明の都合上、表示した様子を示しているのであり、パチンコ機2においてはZ1〜Z3が”1,2,3”と表示されているときに「リーチ」と表示されることはない。
図2に戻り、表示装置6の下部には、図柄の変更表示中に、更に始動口10a〜10cへ発射玉が入賞すると、その入賞回数に応じた数(最大4個)だけ点灯する4個のLEDからなる始動記憶表示器12が設けられており、当該パチンコ機2においては、表示装置6の図柄の変化が停止したときに、始動記憶表示器12を形成するLEDが点灯していれば、その点灯が1つ消されて、表示装置6での図柄の変更表示が再開される。
なお、図2において、14は表示装置6の上部に設けられた天入賞口(一般入賞口)、16a、16b及び18a、18bは、夫々、表示装置6及び変動入賞装置8の左右に設けられた袖入賞口(一般入賞口)、20a〜20fは発射玉の転動誘導部材としての風車、22は遊技域4へ発射するパチンコ玉を貯留すると共に入賞に応じた景品玉が排出される上部受け皿、24は入賞状態に応じた発音がなされるスピーカである。また、26はパチンコ玉を発射するために回動操作される発射ハンドルであり、図示しない発射装置によって1分間に100個の割合でパチンコ玉が発射されるように設定されている。
一方、変動入賞装置8は、パチンコ機2の遊技盤面に取り付けられたものであり、前面の中央上部に、ソレノイド(図示せず)によって開閉される開閉板28が設けられている。そして、表示装置6に停止して表示された3つの図柄の組み合わせが特定の当たり態様の組み合わせ(例えば、”7,7,7”)の時に、図2に示すように開閉板28が前方に開かれ、これによって特別入賞口としての大入賞口30が形成されて、当該パチンコ機2が通常状態よりも入賞確率の高い大当たり状態となる。そして開閉板28は、表示装置6に表示される図柄が揃ってから所定時間経過するか、或いは大入賞口30に発射玉が10個入賞したと検出されるかのどちらかが成立すると閉じるようにされている。
また、大入賞口30はその内部が3つに仕切られており、その中央部は大当たり状態を継続させるための特定領域32となっている。特定領域32を遊技玉が通過した場合には、開閉板28を閉じた後に再び開閉板28を開放して大当たり状態が継続するようになっている。なお、このパチンコ機2において、大当たり状態の間に開閉板28が開閉する最大回数は16回に設定されている。
次に、パチンコ機2の遊技盤裏面に設けられた制御装置34について、図4を用いて説明する。制御装置34は、始動口10aに入賞した発射玉を検出する始動入賞スイッチ36a、始動口10bに入賞した発射玉を検出する始動入賞スイッチ36b、始動口10cに入賞した発射玉を検出する始動入賞スイッチ36c、大入賞口30に入賞した発射玉を検出する大入賞口用カウントスイッチ38、大入賞口30の特定領域32を通過した発射玉を検出する継続入賞スイッチ40、及び発射ハンドル26が回動操作されてパチンコ玉が発射されているときにオンする発射ハンドルスイッチ42、からの各検出信号を入力する入力回路44と、入力回路44を介して取得した前記各検出信号に基づいて表示装置6や変動入賞装置8等を制御するための制御プログラムを実行するCPU46と、CPU46が実行する制御プログラムを格納するROM48と、CPU46が処理するデータを一時記憶すると共に電源が切られた場合でも記憶内容を保持可能なバックアップ機能を有するRAM50と、CPU46が表示装置6に表示させる画像の画像データを格納する画像ROM52と、CPU46からの指令に基づいて、表示装置6、始動記憶表示器12、変動入賞装置8の開閉板28を開閉させるためのソレノイド54、及びパチンコ機2の遊技域4に設けられたランプからなる電飾装置56へ、夫々駆動信号を出力すると共に、図示しないホール管理コンピュータに接続された外部情報端子58へ当該パチンコ機2が大当たり状態であることや大当たり状態の継続回数等を表す情報信号を出力する出力回路60と、アンプ62を介してスピーカ24から発音させるサウンドジェネレータ64と、前記各部を接続するバス66と、を備えている。
なお、パチンコ機2の遊技盤裏面には、各入賞口に入賞した発射玉を回収するための回収路(図示せず)が設けられており、始動入賞スイッチ36aと大入賞口用カウントスイッチ38は、夫々、始動口10aの下部と変動入賞装置8の下部とに夫々配置された回収路に取り付けられている。そして、始動入賞スイッチ36b、36cは、変動入賞装置8の内部において始動口10b、10cの周囲に夫々設けられており、継続入賞スイッチ40は、変動入賞装置8の内部において大入賞口30の下部に設けられている。
また、画像ROM52には、表示装置6に図柄Z1〜Z3を表示させるための図柄データと、表示装置6に様々な画像を表示させるための画像データとが格納されている。
このように構成された制御装置34において、CPU46は、遊技処理を実行することにより、当該パチンコ機2の全体制御を行なう。そこで以下、CPU46が実行する遊技処理について説明する。
まず、図5は、遊技処理を表すフローチャートである。この遊技処理の実行が開始されると、まずステップ(以下、単にSと記す)110にて、始動入賞記憶があるか否かを判定する。つまり、過去において、発生した始動口10a〜10cへの入賞が保持されているかを調べる。始動入賞の有無は、始動入賞処理にて始動入賞スイッチ36a〜36cの状態を随時監視することにより知ることができる。始動入賞処理は、スイッチ36a〜36cがONされた場合に必要な諸処理を行なう。この始動入賞処理について図6を用いて詳しく説明する。
図6は始動入賞処理を表すフローチャートである。まずS210にて始動入賞があったか否かを判定する。つまり、始動入賞スイッチ36a〜36cがONされたかどうかをチェックする。なお、実際には当該始動入賞処理は、後述するタイマ割り込みによって起動され、その都度、始動入賞スイッチ36a〜36cがONされたか否かを判定し、ONされていればS220以降の処理を行なう。従い、変動表示中とか、大当たり中といった遊技状態に拘らず、始動入賞があったときに当該処理は行なわれる。
始動入賞が発生していれば、S220に進んで、乱数を出力させる。乱数は、ここではCPU46が具備するクロックに基づいて駆動される5つのループカウンタ(以下、単にカウンタともいう)の値から抽出される5個の数値である。より詳しくは、例えば2msec毎にタイマー割り込みを掛け、その都度、第1のカウンタの値を1増加させる。第1のカウンタの値は400になる毎にゼロに戻されて、0〜399の400個の値を出力させる。第2、及び第3のカウンタも略同様のものであり、こちらは共に0〜15の計16個の値を出力する。第4のカウンタは、第3のカウンタの値がゼロになる毎に1増加されて0〜15の値を出力させ、第5のカウンタは、第4のカウンタの値がゼロになる毎に1増加されて0〜15の値を出力させる。つまりこの乱数出力も、CPU46が実行するプログラムにて行なわれる訳であるが、ここでは その説明を省略する。そしてこのS220の処理が本発明の乱数発生手段としての処理に相当する。つまり、これら5つのカウンタの値に基づいて表示装置6に表示される図柄が設定されるのである。具体的には、第3〜第5のカウンタの値が夫々Z1〜Z3の図柄に対応する。この対応関係を[表1]に示す。
こうして発生された乱数は、第1〜第5カウンタの5つの値を1組として4組までRAM50に格納されていく。これが始動入賞記憶である。そして1組格納する毎に始動記憶表示器12のLEDを一つ点灯させていく。
続いてS230に進み、S220にて出力された乱数に基づいて遊技処理にて設定されるZ1の図柄及びZ3の図柄が、当たり態様の同位置の図柄と一致する(2図柄のみ表示された状態にて、いわゆるリーチ状態になる態様)か否かを判定する。つまり、[表1]のように乱数の値と図柄との対応関係は、Z1、Z3は共通であるので、第3カウンタの値と第5カウンタの値が同じか否かを判定する。
同じであればS240に進み、領域Gに報知画像として「リーチ」の文字を出力する。これらS230、S240の処理が、本発明の報知画像出力手段としての処理に相当する。一致していなければS240を跳ばして始動入賞処理を終了する。
ここで図5の遊技処理に戻る。S120では、始動入賞処理のS220にて出力された乱数から前述の[表1]に基づいて、表示装置6に出力する図柄を実際に設定する。但し、第1のカウンタの値が100若しくは300のときには、第3〜第5のカウンタの値に関係なく、当たり態様にて表示させるものとし、第2のカウンタの16種類の値に対応して表示される図柄が決定する。この対応関係を[表2]に示す。
このようにパチンコ機2においては、当たり態様は”1,1,1”や”F,F,F”のように図柄がそろったものが当たり態様とされている。そして、これらの内の1つが表示装置6に出力されると、開閉板28が開かれる。なお、第1のカウンタの値が100でも300でもないときに、第3〜第5カウンタが、当たり態様の組み合せにする値を出力させる場合(第3〜第5カウンタの値が全て2のとき等)があるが、この場合は、本来設定されるべき図柄を差し替えて、当たり態様にならないようにする。例えば、第3〜第5カウンタの値が全て2のとき、[表1]によれば”2,2,2”が設定される筈であるが、Z3を差し替えて「3」を設定する。このS120の処理が、本発明の図柄設定手段としての処理に相当する。
こうして図柄の設定が完了すると、S130に進み、この設定された3つの図柄(以下、単に設定図柄と言う)を表示装置6に出力するスロット表示処理を行なう。前記したように、表示装置6は液晶ディスプレイであって、スロットマシンのようなドラムも停止ボタンもないが、スクロール表示によって上方から下方に多数の図柄を流れるように表示した後、設定図柄を表示して行く様子が、スロットマシンを髣髴とさせるので、こう呼ぶことにする。このスロット表示処理の内容を図7に示す。
図7は、スロット表示処理の内容を示すフローチャートである。本処理は、更にこの中にて左図柄変動処理(S310)、右図柄変動処理(S320)、中図柄変動処理(S330)を行ない、これらの各内容は、いずれも、1回の処理にて夫々の図柄を少しずつ変化させ、複数回夫々の処理を繰り返すことによりスクロール表示等を行ない、最終的に設定図柄の内の一つを表示するというものになっている。すなわち、本処理が起動されるとまずS310にて左図柄変動処理を行なってZ1の図柄を変化させ、次にS320の右図柄変動処理を行なってZ2の図柄を変化させ、続いてS330に示す中図柄変動処理を行なってZ3の図柄を変化させる。なお、前記したように3つの図柄は、Z1、Z3、Z2の順序にて止められるので、他の図柄に先んじて停止された図柄については各処理を行なわず、素通りするものとする。
そしてS340にて、左図柄つまりZ1が停止されたか否かを判定する。停止していれば、S350に進み、Z1及びZ3の図柄が停止されたときにリーチとなるか否かを判定する。つまり、始動入賞処理のS230にて行なったのと同じ判定を行なう。リーチになるのであれば、S360に移行して前記始動入賞処理のS240にて出力された報知画像、すなわち「リーチ」表示を消す。
なお、領域Gに「リーチ」が表示されていないときには、Z1が停止されても、S360の処理は行なわれないものとする。続くS370では始動入賞時に発生されてRAM50に記憶されている乱数の中に、リーチ図柄を発生させるものがあるか否かを判定する。なお、当該処理を起動させる原因となった乱数はRAM50から消去されているものとする。リーチになる乱数があれば、S360にて一旦出力停止された報知画像を再び表示装置6に出力する。
続いてS390にてZ1,Z2,Z3の設定図柄が全て表示されたか否かを判定し、されていればスロット表示処理を終了し、表示されていなければ、S310に戻って、S310〜S330の処理を設定図柄が表示されるまで繰り返す。
なお、S340にて左図柄がまだ停止されていないと判定されたとき、S350にてZ1とZ3の図柄が同じ(つまりリーチ)にならないと判定されたとき、若しくはS370にて始動入賞記憶としてのRAM50内の記憶の中に、リーチになる乱数が保持されていないと判定された場合には、このS390に直行する。
このように左図柄変動処理、右図柄変動処理、及び中図柄変動処理が時分割処理にて行なわれるが如く、段階的に少しずつ行なわれていくことにより、表示装置6には、あたかもスロットマシンが稼働しているかのような表示がなされる。そして、図柄のスクロールがZ1→Z3→Z2の順に停止されて、設定図柄が表示される。Z1,Z3の図柄が同じ場合には、Z1が停止された時点にて報知画像を一旦消して、始動入賞記憶内の乱数の中に、リーチにするものがある場合にのみ、再び報知画像を出力する。
遊技者から見ると、このスロット表示処理は、「リーチ」と表示されていないときには、単にスロット表示をする処理であるが、「リーチ」と表示されている場合には、スロット表示をするだけでなく、「リーチ」表示がどの変動表示に対応するものであるかをS350〜S360の処理にて、一旦「リーチ」表示を消すか否かにより報知する処理となっている。もしZ1が停止されたときに「リーチ」表示が消えれば現在の表示装置に対する報知画像であり、消えなければ他の始動入賞記憶に対応する報知画像であることが判る。つまりS350〜S360の処理は、本発明の対応画像出力手段としての処理に相当する。
ここで図5の遊技処理に戻る。こうして設定図柄が表示装置6に出力されると、S140に進み、その表示された図柄が[表2]に示した16種類の当たり図柄の内のどれかになっているか否かを判定する。なっていなければS110に戻って再び始動入賞記憶があるか否かを判定し、なっていれば、S150の大当たり処理を行なう。この大当たり処理の内容を図8に示す。
図8は、大当たり処理を示すフローチャートである。当該処理が起動されると、まずS610にて表示装置6に動画を出力する。この動画は、始動入賞と共に表示されたスロット表示などの画像に代わり、大当たり状態の間中、表示装置6に出力されるものである。続くS620にて、ソレノイド54を駆動し、開閉板28を開放する。
次に、S630に進み、開閉板28の開放を中断するかどうかを判定する。この判定基準は、前記したようにパチンコ機2では二つあり、その一つは開閉板28が開かれてから所定時間(ここでは25秒)経過したこと、もう一つは大入賞口30に遊技玉が10個入賞したこと、である。この少なくとも一方が成立した際に、S640に進み、開閉板28を閉じる。どちらも成立しない場合には、S630を繰り返して待機する。
S640にて開閉板28を閉じると、続くS650及びS660にて、大当たり状態を終了させるか否かの判定を行なう。まずS650では継続入賞スイッチ40に基づき、特定領域32を遊技玉が通過したかどうかを判定し、通過していなければS670に進んで動画の出力を停止した上で当該大当たり処理を終了させる。通過していれば、S660にて、この大当たり処理が起動されてから開閉板28が16回開かれたかどうかを判定する。まだ16回に達していなければS620に戻って大入賞口30を再び形成し、16回開いたならば、当該大当たり処理を終了させる。
つまり、大当たり処理では、パチンコ機2を大当たり状態にし、また大当たり状態においては表示装置6に動画を出力し、上記条件に基づいて大当たり状態を終わらせて通常状態に戻す処理を行なう。図5に戻り、こうして大当たり処理が終わると、S110に移行して再び始動入賞を待つ。このようにパチンコ機2では、S110〜S150の処理を繰り返されることにより、遊技状態を様々に遷移されていく。
以上のような構成からなり、図5〜図8に示したような処理を行なうパチンコ機2によれば、遊技者は、当該パチンコ機2がリーチ状態になることを、実際にZ1及びZ3が停止される以前の時点にて知ることができる。これにより遊技者は、始動入賞が発生し、乱数が出力された直後から、3つの図柄が全て停止されるまでの間、期待感を持続させることができる。
また、報知動作として、表示装置6に「リーチ」と表示する、という態様を採用しているため、様々な電子音、遊技玉の排出音等が氾濫するパチンコホールにおいても遊技者は報知に気付くことができる。そして遊技中は元々、遊技者は、表示装置6を見ているのが普通であるため、視線を大きく移動させることなく報知に気付くことができる。
そして、画像の表示は、図柄の変動表示とは独立に行なわれるものであって、例えば、変動表示のさせ方を変えたり、実際にリーチ状態となった段階にて残る図柄の変動時間を伸ばしたりしないので、遊技時間が徒に伸びない。従い、パチンコ機2の稼働率が悪くなるのを防止できる。
なお、始動入賞を複数個保持できる機種においては、変動表示中に「リーチ」と表示されていても、この変動表示がリーチになるのか、RAM50に保持されている他の乱数がリーチになるのかが判りにくい。これに対しパチンコ機2では、始動入賞を4個保持する機種であるにも拘らず、表示中の「リーチ」が、現在行なわれている変動表示に相当するものか否かを、図柄Z1が表示された時点で遊技者に報知できる。すなわちZ1が停止された時点にて「リーチ」表示が消えれば、変動表示中のものがリーチになることが判り、消えなければ、保持されている他の乱数に対応する変動表示がリーチになることが判る。なお、消えた後に再び「リーチ」と表示されたときには、変動表示中のものがリーチになり且つ更にリーチになるものがRAM50に保持されていることが判る。
以上、本発明の一実施例であるパチンコ機2について説明してきたが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく様々な態様で実施しうる。
例えば、図6の始動入賞処理の中などにて、本発明の擬似報知手段に相当する処理を行なっても良い。すなわち、第1及び第3カウンタの値が互いに異なる場合(パチンコ機2がリーチ状態にならない場合)にも、領域Gに「リーチ」と表示する。つまりこれが擬似報知である。こうするとパチンコ機2は、「リーチ」と表示装置に出力されたにも拘らず、リーチ状態にならない場合もあるという、意外性を備えた機種となる。また遊技者が報知動作に飽きるのを防止することもできる。なお、始動入賞時には常に「リーチ」と表示されると、報知動作の意義が喪失してしまうので、擬似報知がなされる確率は低くしておくのが望ましい。
この処理を行なう簡単な方法としては、例えば第1カウンタの値が5以下ならば無条件で「リーチ」と表示するようにすると良い。こうすると、偶然、第3及び第5カウンタの値が互いに等しい場合が、本来の正しい報知動作をする処理となり、異なる場合が、擬似報知手段としての処理となる。擬似報知手段としての処理のみにしたければ、第3及び第5カウンタの値が等しいときにはZ3(またはZ1)の図柄を差し替えて、リーチ状態にならないようにすれば良い。もちろん、別のカウンタを用意して、そのカウンタの値が所定値になったときには擬似報知をするようにしてもよい。
この擬似報知動作とは逆に、リーチになる場合に報知動作が、所定の確率にて防止されるようにしても良い。具体的には、第1カウンタの値が100〜110の値になったときには、図5のS140とS150の間に、領域Gに「リーチ」の文字が表示される前の状態の画像を表示する、という新たな処理を設ける。この処理が本発明の報知抑制手段としての処理に相当する。こうすると「リーチ」表示は、極めて短い間のみ行なわれることになるため、実際には「リーチ」と表示されているにも拘らず遊技者には認識できない。こうすると、遊技の楽しさを倍増することができる。つまり、始動入賞時に報知動作がなされなかったので、ハズレであると遊技者が思っていると、意に反してリーチ状態になるので、リーチ状態になったときの喜びが更に大きくなる。
また、パチンコ機2では変動表示と「リーチ」との対応関係を示すために図柄Z1が停止された時点にて「リーチ」表示を一旦消去したが、別の方法によっても良い。例えば、領域Gに表示させる文字を例えば「リーチ」から「これがリーチになる!」に変更しても良い。また、変動表示のさせ方を変えても良い。例えば、「リーチ」表示に対応した変動表示をする場合には、初めに図柄を逆方向にスクロールさせてから行なうと、対応関係を報知することができる。
なおパチンコ機2では、「リーチ」表示されてからその変動表示の図柄Z1が停止されるまでの間に、更に始動入賞があり且つその始動入賞時に発生された乱数がリーチになる値である場合には、既に領域Gには「リーチ」と表示されているので、更に「リーチ」と表示しても遊技者には判らない。判るのは、そのときに行なわれている変動表示の図柄Z1が停止して、「リーチ」表示が一旦消されて、再び表示されたときである。但し、始動入賞が2回以上あったときには、実際にその始動入賞に対応する変動表示が行なわれ、図柄Z1が停止したときである。これを、乱数が発生した時点にて報知するようにしても良い。例えば、発生した乱数が、リーチ状態にするものであると判定されたときには、領域Gの表示を一旦消してから「リーチ」と表示するようにするとこれを達成できる。こうすると、「リーチ」と表示されている状態にて再びリーチとなる乱数が発生した場合には、その都度、「リーチ」表示が一旦消えて、また表示される。これにより、遊技者はリーチになる乱数が複数発生されたことが判る。