実施の形態1.
図1は本実施形態に係る加熱調理器の斜視図である。図1において、本体1の天面には耐熱ガラス製のトッププレート2が備えられ、このトッププレート2の上面には被加熱物を載置する載置部として、円形状の左載置部3、右載置部4、中央載置部5がそれぞれ備えられている。また、トッププレート1の上面には左載置部3に対応した加熱出力等の情報を表示する表示手段としての左加熱表示部6が本体手前側の左載置部3の近傍位置に配置されている。同様に右載置部4に対応した加熱出力等の情報を表示する表示手段としての右加熱表示部7が本体手前側の右載置部4の近傍位置に、中央載置部5に対応した加熱出力等の情報を表示する表示手段としての中央加熱表示部8が本体手前側の中央載置部5の近傍位置にそれぞれ配置されている。
このように、それぞれの載置部に対応して加熱出力等の情報を表示する表示手段が、本体手前側に配置されることにより、使用者は本体手前側から操作を行うため、調理器を操作しながら各載置部に対応した表示手段を目視可能となり操作性が向上されている。また、表示手段が各載置部の近傍位置に配置されていることにより、表示手段に表示されている情報がどの載置部に対応したものかがすぐに理解でき、使い勝手が向上される。
トッププレート2の下方には矩形状のケース9が配設され、このケース9内の本体手前側左右には左載置部3、右載置部4の下方に加熱手段としての誘導加熱コイル(図示せず)が、本体奥側中央には中央載置部5の下方に加熱手段としてのニクロム線ヒータ(図示せず)がそれぞれ設けられている。さらに、本体1の前面パネル10には誘導加熱コイルの加熱出力を調整する加熱調整スイッチ11、12やニクロム線ヒータの加熱出力を調整する加熱調整スイッチ13等が設けられ、操作部を構成している。
図2は図1中のX1−X1線に沿って示す縦断面図である。図2において、トッププレート2の左載置部3下方に左誘導加熱コイル14が設けられ、その下部には円形状のコイル支持板15が配置される。また、コイル支持板15の下部にはフェライト16が設けられ、コイル支持板15のフェライト16の間には通気孔17が形成される。また、トッププレート2の下面には被加熱物(a或いはb)の温度を検出する温度検出器18が配設される。そして、コイル支持板15の外周部近傍に左誘導加熱コイル14の加熱出力等の情報を表示する左加熱表示部6が設けられる。
左加熱表示部6はプリント基板19に実装される複数の発光素子20及び発光素子20の上部に配置され、かつトッププレート2の下面に当接される光拡散手段である光拡散シート21から構成する。この発光素子20としては、ランプやLED等が考えられるが、比較的少ない消費電力で、大きさも小さく、高輝度な光度の得られるLEDを用いると表示手段が小型化できる利点がある。また光拡散手段としては、樹脂で形成されたシート状の光拡散板や光拡散シートのほかにも、レンズなどの広角的に発光素子の光を視認できるように構成し得る光学材料を使用することができる。
前述のプリント基板19は、基板取付け部材22に取付けられる。そして、加熱表示部6の近傍であって、取付け部材22の加熱表示部6から見て左誘導加熱コイル14側の壁体23側に、トッププレート2の下面に当接された温度検知手段24が設けられている。また、本実施形態ではコイル保持板15に基板取付け部材22が取り付け可能となっており、加熱手段である左誘導加熱コイル14の上部に配設された左載置部3と対応して加熱出力等の情報を表示する表示手段が、本体手前側に配置させやすくでき、また、調理器本体への表示手段の取付構造を簡易化することが可能となっている。
図3は、図1中のX2−X2線に沿って示す縦断面図である。図3においては、トッププレート2の下にニクロム線ヒータ25が配設され、その下部には円形状のヒータ支持板26が設けられている。また、ヒータ支持板26の外周部近傍にニクロム線ヒータ25の加熱状態を表示する中央加熱表示部8が設けらている。また、中央加熱表示部8はプリント基板27に実装される複数の発光素子28及び発光素子28の上部に配置され、トッププレート2の下面に当接される光拡散手段である光拡散シート29から構成されている。この発光素子28も前述同様にランプやLED等が考えられるが、比較的少ない消費電力で、大きさも小さく、高輝度な光度の得られるLEDを用いると表示手段が小型化できる利点がある。また光拡散手段としては、樹脂で形成されたシート状の光拡散板や光拡散シートのほかにも、レンズなどの広角的に発光素子の光を視認できるように構成し得る光学材料を使用することができる。
そして、前述のプリント基板27は、基板取付け部材30に取付られる。また、中央加熱表示部8の近傍であって、取付け部材30の加熱表示部8から見てニクロム線ヒータ25側の壁体31側に、トッププレート2の下面に当接された温度検知手段32が設けられている。
このような構成の本実施形態における加熱調理器の概略構成を示すブロック図を図4に示す。図4に示すように、本実施形態における加熱調理器は概略、左誘導加熱コイル14、右誘導加熱コイル(図示せず)、ニクロム線ヒータ25などからなる加熱手段37、その上方の各載置部に載置された被加熱物の温度を検知する温度検出器18等から構成された温度検知手段38、誘導加熱コイルの加熱出力を調整する加熱調整スイッチ11、12やニクロム線ヒータの加熱出力を調整する加熱調整スイッチ13等からなる前面パネル10に設けられた操作部39、左加熱表示部6、右加熱表示部7、中央加熱表示部8等から構成される表示手段40、及び表示手段40の近傍に備えられた温度検出手段24や32等から構成される過熱防止用温度検知手段41と、温度検知手段38、操作部39、過熱防止用温度検知手段41の出力が入力され、これらの入力に基づいて加熱手段37や表示手段40を制御する制御部42から構成されている。
次に、本実施形態における加熱調理器の動作を図1〜4を併用して説明する。例えば、図2に示すように左載置部3に被加熱物(a或いはb)を置き、その後操作部39の操作により加熱手段37での加熱を開始させると、この操作信号は制御部42に送られ、制御部42はこの操作に基づいた加熱出力で左誘導加熱コイル14を動作させ、被加熱物を加熱する。また制御部42は、動作中の左誘導加熱コイル14の加熱出力情報を左加熱表示部6に表示させる。
ここで、表示手段への温度の伝導は、鍋自体がコイルで誘導加熱されるため、その発熱量は鍋が一番大きい。そして、鍋の熱はトッププレート2に伝導し、トッププレートから表示手段に伝わる。ここで仮に使用者が調理中の被加熱物である鍋などを、図2の点線で示されたaの位置から誤って左載置部3の位置から外れて左加熱表示部6の上部近傍や、その上部にかかるように図2のbで示す位置に載置して加熱を行ってしまった場合、鍋と表示手段とのあいだの距離が短くなり、表示手段への熱の伝導が大きくなる。このとき本実施形態では光拡散シート21がトッププレートに接触配置されているため、この光拡散シート21が最も熱の影響を受ける。そして、鍋の加熱が進むにつれ、同様に表示手段に伝導する熱量も大きくなる。この熱量が表示手段の耐熱温度を超えたとき、表示手段が熱変形を起こし、情報の表示性が著しく損なわれてしまう。しかし本実施形態では、表示手段40の近傍に過熱防止用温度検知手段41である温度検知手段24が設けられているため、温度検知手段24の検知温度が高くなり、その検知温度が表示手段40の耐熱温度以下である所定温度に至った場合、その温度検知信号を受けた制御部42は左誘導加熱コイル14への通電を断電して、鍋の加熱動作を停止させる。
このように、本実施形態では、温度検知手段24と制御部42により、表示手段40に伝導する熱が表示手段40の耐熱温度以下である所定温度に至った場合、加熱手段37への通電を断電して、鍋の加熱動作を停止させる温度過昇防止装置として作用するため、表示手段40が熱変形を起こし、情報の表示性が著しく低下してしまうことを防止できる。
また、本実施形態では、表示手段40である加熱表示部6から見て加熱手段37である左誘導加熱コイル14側、つまり表示手段40と加熱手段37の間の表示手段40近傍に過熱防止用温度検知手段41である温度検知手段24が設けられているため、使用者が調理中の被加熱物である鍋などを、誤って左載置部3の位置から外れて載置する場合も、左載置部3側から温度が伝わって来るケースが多く、より良好に表示手段40が熱変形を起こして情報の表示性が著しく低下してしまうことを防止できる。
さらに、図2において基板取付け部材22の形状・寸法のバラツキ又は本体1への基板取付け部材22の組立て・実装性の関係で、トッププレート2の下面と壁体23との間に空隙(図2中のA部)が出来る可能性もある。このような隙間が生じた場合、誘導加熱では被加熱物自体を発熱させる構成であっても、加熱コイルに電流が流れることにより発熱が起こっており、熱が空隙を通じて左加熱表示部6へ伝わり、表示手段にダメージを与えることも考えられる。しかし表示手段40と加熱手段37の間の表示手段40近傍に過熱防止用温度検知手段41である温度検知手段24が設けられている構成であれば、表示手段に伝導する前に熱が過熱防止用温度検知手段41で検知され、表示手段40の耐熱温度以下で加熱手段への通電が停止されるため、このようなケースであっても表示手段40が熱変形を起こして情報の表示性が著しく低下してしまうことを防止できる。
なお、加熱手段37への通電を断電して、鍋の加熱動作を停止させる所定温度としては、加熱動作停止後にオーバーシュートにより上昇する温度上昇分を表示手段40の耐熱温度より差し引いた温度以下であるのがよい。このように構成することで、表示手段40が熱変形を起こして情報の表示性が著しく低下してしまうことを確実に防止できる。
また、例えば中央載置部5に被加熱物(図示せず)を置き、操作部39の操作により加熱手段37での加熱を開始させると、この操作信号は制御部42に送られ、制御部42はこの操作に基づいた加熱出力でニクロム線ヒータ25動作させる。また制御部42は、動作中のニクロム線ヒータ25の加熱出力状態を中央加熱表示部8に表示させる。
ここで、表示手段への熱伝導について考えると、ニクロム線ヒータのように、加熱手段そのものが発熱し、その熱によって被加熱物を加熱する加熱方式の場合、ニクロム線ヒータ25の発熱がトッププレート2を介して被加熱物である鍋に伝導する。このため、ヒータ式の加熱手段近傍では、トッププレートの温度が上昇しやすい。また使用者が調理中の被加熱物である鍋などを、誤って中央載置部5の位置から外れて中央加熱表示部8の上部近傍や、その上部にかかるように載置して加熱を行ってしまった場合、トッププレート2を介した表示手段40への熱の伝導はさらに大きなものとなる。
また、図3に示す基板取付け部材30の形状・寸法のバラツキ又は本体1への基板取付け部材30の組立て・実装性の関係で、トッププレート2の下面と壁体31との間に空隙(図3中のA部)が出来る可能性も考えられ、このような場合、例えば鍋を中央載置部5の所定位置に置き、鍋の一部が中央加熱表示部8にかからないようして調理を行なっても、ニクロム線ヒータ25の熱が空隙を通じて中央表示部8へ伝わる恐れもある。このようなケースはヒータの発熱温度が500℃近い非常に高温になることを考えると、ヒータによる加熱手段近傍は非常に苛酷な環境となる。
しかし本実施形態であっても、温度検知手段32と制御部42により、表示手段40に伝導する熱が表示手段40の耐熱温度以下である所定温度に至った場合、加熱手段37への通電を断電して、鍋の加熱動作を停止させる温度過昇防止装置として作用するため、表示手段40が熱変形を起こし、情報の表示性が著しく低下してしまうことを防止できる。
また、本実施形態でも、表示手段40である中央加熱表示部8から見て加熱手段37であるニクロム線ヒータ25側、つまり表示手段40と加熱手段37の間の表示手段40近傍に過熱防止用温度検知手段41である温度検知手段32が設けられているため、より良好に表示手段40が熱変形を起こして情報の表示性が著しく低下してしまうことを防止できる。
さらに、このようなヒータを用いる加熱手段37であっても、加熱手段37への通電を断電して、鍋の加熱動作を停止させる所定温度としては、加熱動作停止後にオーバーシュートにより上昇する温度上昇分を表示手段40の耐熱温度より差し引いた温度以下であるのがよい。このように構成することで、表示手段40が熱変形を起こして情報の表示性が著しく低下してしまうことを確実に防止できる。
なお、右載置部4、右加熱表示部7等のケース9内部における構成は、本実施形態では図2に示す左載置部3、左加熱表示部6等のケース9内部における構成と同様であるため、説明を割愛する。
以上のように、各加熱表示部6、7、8の近傍の温度が所定温度に至った場合に、温度過昇防止装置の電力遮断機能を働かせて誘導加熱コイル14やニクロム線ヒータ25への通電を断電するように構成した。これにより、表示手段40である各加熱表示部6、7、8の構成部品の熱変形を防止し、表示手段40の表示性を低下させることがなく、加熱状態が容易に分かるように表示できるため、使い勝手を向上維持することができる。
なお、表示手段40の温度過昇防止機構を有する構成としては、本実施形態では、誘導加熱コイルによる加熱手段と、ヒータによる加熱手段の両者を備える構成としたが、これに限られるものではない。ヒータによる加熱手段のみを備える加熱調理器に表示手段40の温度過昇防止機構を設けた場合、ヒータ加熱手段はその周囲近傍の温度環境が非常に過酷なものとなるため、表示手段40の温度保護機構として非常に有用である。
また、逆に誘導加熱コイルによる加熱手段のみを備える加熱調理器に表示手段40の温度過昇防止機構を設けた場合、もともと、加熱コイルの発熱による影響はヒータによる発熱の影響の大きさに比べて非常に小さいため、表示手段の使用環境として、非常に適している。それに加えて、トッププレートの平滑性から、万が一、使用者が被加熱物を載置部に正確に乗せられていないにもかかわらず、表示手段40側にずれたまま加熱を行うことがあっても、表示手段40の温度保護が図れるため、表示手段40の温度保護機構として非常に有用である。
また、本実施形態では温度検知手段24及び温度検知手段32と制御部42により、温度過昇防止装置として機能させたが、このような構成に限るものではなく、例えば加熱手段37に電力を供給する導線の間にサーモスタットにより構成した過熱防止用温度検知手段41を設けても良い。このようにサーモスタットによって過熱防止用温度検知手段41を構成しても、予め定められた所定温度で加熱手段に供給する電力が遮断され、表示手段40の熱からの保護を図ることが可能となる。そして、所定温度より温度が低下すると、再び加熱手段への電力の供給を行い得るため、表示手段40の耐熱温度以下に保ちながら、加熱調理を続けられ得る。
さらに、過熱防止用温度検知手段41によって所定温度が検出され、加熱手段への電力の供給を遮断した際には、表示手段40に備えられた発光素子を、通常使用時とは異なる表示方法、例えば全ての発光素子を点滅表示させるなどの方法で、加熱手段への電力の供給が遮断されたことを報知するようにしても良い。このような構成にすれば、使用者が加熱手段への電力の供給が遮断されていることを表示手段の表示情報により知ることができ、故障等と誤解することがなくなり、使い勝手が向上する。
また、ブザーなどの発音報知手段を設け、加熱手段への電力の供給を遮断した際には、音により報知するように構成しても良い。このような構成にすれば、使用者がたまたま調理器の近くから離れた位置にいても、加熱手段への電力の供給が遮断されたことを音により知ることができ、いち早い対処が可能となる。もちろん加熱手段への電力の供給が遮断されたことを表示手段と発音報知手段の両者を用いて、使用者に知らせる構成であれば、これら両者の効果をともに得ることができる。
実施の形態2.
実施の形態1と同じ構成を有した加熱調理器において、本実施形態では、過熱防止用温度検知手段41で、表示手段40の耐熱温度以下で設定された所定温度が検知された場合、制御部42は加熱手段37に供給する電力を遮断するのではなく、操作部39で使用者が操作した加熱出力よりも小さい加熱出力に低減させる。
過熱防止用温度検知手段41で、表示手段40の耐熱温度以下で設定された所定温度が初めて検知された際、制御部42は第一段階として操作部39で使用者が操作した加熱出力よりも所定の割合、例えば1割低減させた加熱出力とする。同時に制御部42内部に備えられたタイマーを動作させ所定時間、例えば1分が経過した時点で、過熱防止用温度検知手段41で検知される温度を判定する。この時点で、まだ所定温度以上の温度が検知されていれば、さらに1割加熱出力を低減させ、再びタイマーを動作させる。そして、所定時間経過後の過熱防止用温度検知手段41での検知温度が所定温度より低くなるまで前述のような動作を繰り返す。そして、過熱防止用温度検知手段41での検知温度が所定温度より低くなったら、その加熱出力を維持する。
このように過熱防止用温度検知手段41で、表示手段40の耐熱温度以下で設定された所定温度が初めて検知されると、加熱出力を所定の割合で低減すると同時に、時間を計測して所定時間経過した時点での温度を再び過熱防止用温度検知手段41で検知し、所定温度以上であることが検知されれば、加熱出力を所定の割合で低減する動作を繰り返すため、加熱出力が止められてしまうことがなく、使用者は連続して調理を行うことができる上、表示手段40の熱からの保護を図ることが可能となる。
なお、本実施形態では、過熱防止用温度検知手段41で、表示手段40の耐熱温度以下で設定された所定温度以上の温度が検知されるごとに、加熱出力を所定の割合で低減する構成としたが、例えば、過熱防止用温度検知手段41で検知される温度を基に、特定の温度範囲を通過する時間などを計測しておき、所定温度以上に達した時点で、その温度上昇率の大きさに応じて加熱出力を低減する割合の大小を変化させるように構成しても良い。このように構成すれば、表示手段40の熱からの保護をより確実に図ることが可能となる。
また、初めに所定の割合で電力を低減させた後、次に過熱防止用温度検知手段41で検知される温度が所定温度以上であった場合、所定温度と検知温度との差の大小により加熱出力を低減する割合の大小を変化させるように構成しても良い。このように構成しても、表示手段40の熱からの保護をより確実に図ることが可能となる。
実施の形態3.
本実施形態においては、本体外観は実施の形態1の図1に示したものと同様である。図5は、本実施形態における加熱調理器の図1中のX1−X1線に沿って示す縦断面図である。図5において、基板取付部材22の壁体23の上方に開口部33を設けて第1の風路34を形成し、左加熱表示部6の光拡散シート21をトッププレート2の下面から所定距離だけ離して第2の風路35を形成する。こうした構成において、加熱調整スイッチ11や12等をオンした場合、調理器内部に気流を発生させる送風手段である冷却ファン(図示せず)の風が通気孔17から左誘導加熱コイル14の上部を沿って、第1の風路34から第2の風路35を通じて流れていく。したがって、調理中に鍋(図示せず)の一部が左載置部3から外れた場合、即ち左加熱表示部6の上に置かれた場合、鍋からの熱がトッププレート2へ伝わるが、表示手段を構成するプリント基板19、複数の発光素子20、光拡散シート21には、空気層による断熱層が介在するため、トッププレート2から表示手段に温度が伝わりにくくなる。また、冷却ファンの風が第1の風路34から第2の風路35を通じて光拡散シート21等へ流れるために、表示手段が効率的に冷却される。そして、表示手段を冷却した空気は本体1の排気孔36を通じて外部へ排出されるため、冷却風が滞ることなく流れることが可能である。また、左誘導加熱コイル14からの熱は、風と一緒になって排気口36を通じて本体1の外部へ排出される。
以上のように、表示手段をトッププレート2と隙間を設けて設置することにより、空気層による断熱層が介在し、トッププレート2から表示手段に温度を伝わりにくくすることができる。また、この隙間に送風手段により発生された気流が通過するように構成することにより、トッププレート2及び表示手段を冷却する効果があり、より表示手段の過熱が良好に防止される。
なお、前述の実施形態1では、壁体23の上方に開口部33が発生し、加熱手段である左誘導加熱コイル14の熱の表示手段への影響の問題について述べたが、本実施形態のように加熱手段である左誘導加熱コイル14を送風手段である冷却ファンにより冷却する構成により、加熱手段である左誘導加熱コイル14の熱は冷却されるため、表示手段に熱的ダメージを与えるような発熱が起こることも防止される。
また、本実施形態では、冷却風が加熱手段から表示手段へと流れる構成について説明したが、送風手段により発生される気流の風路構成により、表示手段から加熱手段に気流が流れるように構成しても良い。このように構成すれば、加熱手段の発熱の影響を表示手段が受けることを極力抑えることが可能となる。特にこのような構成は加熱手段自身が発熱して被加熱物を加熱するヒータ加熱手段において非常に有用である。
実施の形態4.
本実施形態は、前述の各実施の形態を組み合わせたものである。本実施形態も、本体外観は実施の形態1の図1に示したものと同様である。図6は、本実施形態における加熱調理器の図1中のX1−X1線に沿って示す縦断面図である。図6に示すように、本実施形態では、表示手段が送風手段により発生される気流中に配置されると共に、過熱防止用温度検知手段である温度検知手段24が設けられている。本実施形態では、温度検知手段24もトッププレート2から隙間を設けて配置されており、実質的に表示手段がトッププレートから受ける熱の影響と同様の熱を検知することができる。また、左誘導加熱コイル14から流れてくる気流中に表示手段と共に配置されることで、気流の温度も検知することができる。
このような構成により、前述の実施の形態3と同様に、空気層による断熱層が介在し、トッププレート2から表示手段に温度を伝わりにくくすることができる。また、この隙間に送風手段により発生された気流が通過するように構成することにより、トッププレート2及び表示手段を冷却する効果があり、より表示手段の過熱が良好に防止される。
また、空気層による断熱層が介在してもトッププレート2から温度の影響を防止しきれなかった場合でも、過熱防止用温度検知手段である温度検知手段24によって表示手段の耐熱温度より低い所定温度が検出されたときに、実施の形態1や実施の形態2のように、加熱手段である誘導加熱コイル14への電力の供給を低減或いは停止するため、表示手段が熱変形を起こして情報の表示性が著しく低下してしまうことを防止できる。
図7に本実施形態における加熱手段と表示手段の位置関係を示す上方からの概要構成を示す。同図に示すように誘導加熱コイル14を支持するコイル支持板15の上端面には、トッププレート2とのわずかな隙間を形成する開口部33のためにスペーサ部43a、43b、43c、43dが備えられている。コイル支持板15の中央には被加熱物の温度を検知するための温度検知手段18がトッププレート2に接触した状態で設けられている。そして、コイル支持板15に設けられた通気孔17から、送風手段により発生された気流が矢印で示すように温度検知手段24を通過した後、表示手段を構成する複数の発光手段20等を冷却する。このように本実施形態では、送風手段により発生された気流が加熱手段を通過した後、温度検知手段24を通り、表示手段を冷却することとなるため、例えば、加熱手段である誘導加熱コイル14などに機器異常が発生して、誘導加熱コイル14が異常加熱された場合であっても、いち早く温度検知手段24により温度異常を検知して誘導加熱コイル14への電力の供給を低減或いは停止することができるため、安全性も向上することが可能となる。
また、誘導加熱により加熱する加熱手段とヒータ加熱により加熱する加熱手段の両者を備えるような調理器においては、加熱手段自身が非常に高温に発熱するヒータ加熱手段への送風は、実施の形態3で説明したように表示手段から加熱手段に気流が流れるようにし、加熱手段自身があまり発熱しない誘導加熱による加熱手段への送風は加熱手段から表示手段に気流が流れるように風路を構成しても良い。このように構成すれば、加熱手段の発熱の影響を表示手段が受けることを極力抑えることが可能となるとともに、誘導加熱による加熱手段側では誘導加熱コイル14などに機器異常が発生して、誘導加熱コイル14が異常加熱された場合であっても、いち早く温度検知手段24により温度異常を検知して誘導加熱コイル14への電力の供給を低減或いは停止することができるため、安全性も向上することが可能となるという効果を同時に得ることができる。
実施の形態5.
本実施形態は、前述の実施の形態1、2、及び4における応用例である。本実施形態では図4を用いて説明を行う。前述の実施の形態1、2、及び4において、過熱防止用温度検知手段41で検知される温度情報を用いて、表示手段40の過熱保護を行うだけでなく、被加熱物の温度を検知する温度検知手段38と同様に加熱手段37の加熱出力制御に使用するように構成する。
例えば加熱手段37が誘導加熱コイルのように被加熱物を誘導加熱によって加熱する方式のものであった場合、被加熱物である鍋が鍋ぞりという現象を起こし、鍋の中央部がトッププレート2より離れ、鍋のふち側の底面のみがトッププレート2に接触しているという状態を起こすときがある。このようなとき、誘導加熱による発熱は鍋自身で発生するため、加熱手段の中央部に備えられた温度検知手段38より、コイルのふち側に設けられた過熱防止用温度検知手段41の方が正確に被加熱物の温度を検知できる状態が発生する。
よって本実施形態では、制御部42が温度検知手段38と過熱防止用温度検知手段41から入力されてくる両者の温度を比較し、検知温度の高い方の温度を被加熱物の温度として加熱手段37の加熱出力を制御するように構成されている。このように構成することで、表示手段が耐熱温度以上の温度にさらされることを防止しながら、同時に正確な加熱出力制御を行い得る加熱調理器とすることが可能となる。
なお、本実施形態のように、過熱防止用温度検知手段41で検知される温度情報を用いて、被加熱物の温度を検知する構成においては、図6に示した温度検出手段24をトッププレート2から隙間を設ける構成より、過熱防止用温度検知手段41である温度検出手段24をトッププレート2に接触させておく方が被加熱物の温度を検知しやすくなるため有用である。
実施の形態6.
本実施形態では、前述の各実施の形態において適用可能な表示手段の応用例を説明する。図8に本実施形態における表示手段の概要斜視図を示す。同図に示す表示手段40は、プリント基板19上に複数の発光素子20が固定されており、その複数の発光素子20を保護するための保護ケース44が固定されている。そして、保護ケース44の上部には光拡散手段としての光拡散シート21が固定されている。
本実施形態における表示手段40の特徴的な構成は、過熱防止用温度検出手段としての温度検知手段24も、発光素子20が固定されたプリント基板19と同一の基板上に固定されていることである。このような構成により、複数の発光素子20に電力を供給する配線や、温度検知手段24の出力信号を制御部に入力するための各配線を接続する接続口となるコネクタ形状を異ならせておくことで両端に接続コネクタ47を有する配線46により正確に発光素子20や温度検知手段24を機器に接続することが可能となるため、接続間違いなども防止することが可能になると共に、機器の組立工程における組立作業性が向上する。
また、このようなコネクタを図8に示すように一つのコネクタ45にまとめる事なども可能である。このように同一基板上にまとめることで、配線を接続すべきコネクタを一つのコネクタにまとめることが可能となり、表示手段ユニットの小型化を図ることができる上、組立作業性の簡易化を図ることも可能になる。さらに、プリント基板19上に発光素子20や温度検知手段24を固定する作業は機械による自動化が可能なため、トッププレートと発光素子20の距離関係とトッププレートと温度検知手段24の距離関係をより均一化でき、温度検知性能のバラツキが抑えられ、調理器自体の信頼性を向上することが可能となる。
このように構成された本実施形態の調理器にとりつけた際の表示手段部分の断面図を図9に示す。同図において、調理器に配置する場合、例えば左加熱表示部6を例に挙げて説明すると、トッププレート2の透光性部分48を複数の発光素子20が配設された部分の長さに対応して設けておき、温度検知手段24が設けられた部分はトッププレート2を非透光性部分としておくことで、表示手段40で加熱出力などの情報を表示したときに使用者に良好に情報表示を行うことができる上、使用者が視認の必要のない温度検知手段24などは、機器の外部から見えなくなるため、製品としての見栄えが向上される。
そして、本実施形態では温度検知手段24が、光拡散手段である光拡散シート21に接触するように設けられると共に、保護ケース44内部に備えられているため、組み付け中に作業者が誤って光発光素子20や温度検出手段24を折ってしまうというような問題も解決できる。また温度検知手段24が、光拡散シート21に接触するように設けられているので、トッププレート2との距離が一番近いため、最もトッププレート2からの温度の影響を受けやすい光拡散シート21の温度を検知することができると同時に、保護ケース44内部に収められた発光素子20と同様の環境下に置かれるため、例えば光拡散シート21の耐熱温度は超えていないものの保護ケース44内部の温度が異常に高温になり発光素子20等の温度がその耐熱温度を超えてしまうようなケースでも温度保護を図ることが可能となる。
さらに、過熱防止用温度検知手段である温度検出手段24を上部の光拡散シート21等に接触させておく場合、図10に示すように光拡散シート21と温度検出手段24の接触状態を維持するために、温度検知手段24に上方向に押圧力を与えるバネ49等の押圧部材を設けても良い。このように構成すれば、温度検知手段24とその上部に配設された部材との接触状態を良好に保つことができるため温度応答性を高めることが可能となる。なお、図10では温度検知手段24を接触させておく部材として光拡散シート21に接触している例を挙げて説明したが、トッププレート2と温度検知手段24を接触させておくような構成においても、ここで説明したような構成が適用可能なことは言うまでもない。
実施の形態7.
本実施形態では、前述の実施の形態6で説明した表示手段の更なる応用例を説明する。図11に本実施形態における表示手段の概要斜視図を、図12に本実施形態における表示手段の断面図を示す。同図に示す表示手段40は、前述の実施の形態同様、プリント基板19上に複数の発光素子20が固定されており、その複数の発光素子20を保護するための保護ケース44が固定されている。そして、保護ケース44の上部には光拡散手段としての光拡散シート21が固定されている。また、過熱防止用温度検出手段としての温度検知手段24も、発光素子20が固定されたプリント基板19と同一の基板上に固定されている。
本実施形態における表示手段40の特徴的な構成は、前述の複数の発光素子20と温度検知手段24と保護ケース44が同一のプリント基板19に設けられており、このプリント基板19を内部に配置し、そのまま調理器本体に取付けを可能とする表示装置ユニットケース50が備えられて表示装置ユニットを形成していることである。この表示装置ユニットケース50は表示手段40を調理器本体に取付けるための取付部51を有しており、これにより、表示装置ユニットを簡単に調理器本体に固定することができる。
このような構成により、実施の形態6で説明したように、各配線に接続する接続口を一つのコネクタにまとめる事や、接続間違いなども防止することが可能になると共に、機器の組立工程における組立作業性が向上する。さらに、温度検知性能のバラツキが抑えられ、調理器自体の信頼性を向上することが可能となる。また、これらに加え、本実施形態のような構成であれば、組立作業者の技能により表示装置ユニットケース50の調理器への取付状態がまばらになることが防止できるため、表示装置ユニットケース50の調理器への取付状態の均一化、言うなれば調理器への温度検知手段24の取付状態の均一化も図ることができるため、調理器としての温度検知手段24による温度検知性能のバラツキが抑えられ、調理器自体の信頼性をより向上することが可能となる。
また、前述の実施の形態4のように、送風手段により発生された気流中に表示手段が配設される場合は、図13に示すように、表示装置ユニットケース50内部に気流が通過することを可能とする通風孔53を設けておくと、表示手段40のケース50内部も冷却する効果が得られるため、表示手段の過熱が良好に防止される。
また、このように、表示装置ユニットケース50に通風孔53が設けられている場合は、複数の発光素子20を保護する保護ケース44にも通風孔54が設けられている構成でも良い。このように構成することで、発光素子20を冷却する効果が得られるため、表示手段40の過熱がより良好に防止される。
また、表示装置ユニットケース50を用いる構成において、表示装置ユニットの底部をプリント基板19によって構成することも可能である。図14に表示装置ユニットの底部をプリント基板19によって構成した場合の表示手段の断面概要図を示す。同図に示すように、表示装置ユニットケース50には、プリント基板19を嵌め込んで保持することが可能な嵌め込み部52を有するため、表示装置ユニットの底部をプリント基板19で構成でき、これにより表示手段40自体の放熱性が向上される。また表示装置ユニットの組み立て性も簡易化できる。
また、このような表示手段40を送風手段により発生された気流中に配設する場合は、図15に示すように、前述同様、表示装置ユニットケース50内部に気流が通過することを可能とする通風孔53を設けておくと、表示手段40のケース50内部も冷却する効果が得られるため、表示手段の過熱が良好に防止される。同様に、表示装置ユニットケース50に通風孔53が設けられている場合は、複数の発光素子20を保護する保護ケース44にも通風孔54が設けられている構成でも良い。このように構成することで、発光素子20を冷却する効果が得られるため、表示手段40の過熱がより良好に防止される。そして図15に示すような構成であれば、表示装置ユニットの底部がプリント基板19によって構成されているので、表示手段40自体の放熱性もより向上できる。
1 本体、2 トッププレート、3 左載置部、4 右載置部、5 中央載置部、6 左加熱表示部(表示手段40)、7 右加熱表示部(表示手段40)、8 中央加熱表示部(表示手段40)、11 左加熱調整スイッチ(操作部39)、12 右加熱調整スイッチ(操作部39)、13 中央加熱調整スイッチ(操作部39)、14 左誘導加熱コイル(加熱手段37)、18 温度検出器(温度検知手段38)、19 プリント基板、20 発光素子、21 光拡散シート、24 温度検知手段(過熱防止用温度検知手段41)、25 ニクロム線ヒータ(加熱手段37)、27 プリント基板、28 発光素子、29 光拡散シート、32 温度検知手段(過熱防止用温度検知手段41)、33 開口部、34 第1の風路、35 第2の風路、制御部42。