JP2006284947A - 遮光膜用感光性樹脂組成物、遮光膜の作製方法、転写材料及びその製造方法 - Google Patents

遮光膜用感光性樹脂組成物、遮光膜の作製方法、転写材料及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 薄膜で高い黒濃度を得、遮光性に優れると共に、露光後の加熱硬化性に優れ、高解像度の像の形成が可能な遮光膜用感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 バインダー樹脂、光酸発生剤及び架橋剤と共に、黒色剤として金属粒子及び/又は金属化合物粒子を含有している。
【選択図】 なし

Description

本発明は、遮光性の膜形成に好適な遮光膜用感光性樹脂組成物、並びにこれを用いた遮光膜の作製方法、転写材料及びその製造方法に関する。
近年、例えば液晶表示素子や固体撮像素子として組み合わせ、カラー画像を得ることを目的としたカラーフィルタが注目を浴びている。このカラーフィルタは、二種以上の画素(R(赤)、G(緑)、B(青)、遮光膜(ブラックマトリクスなど)や、透明部分、透明画素などが組み合わされてなるカラー画像層で構成される。
カラーフィルタの製造方法としては、従来は、カラーフィルタを設置する対象面に着色剤を含有する感光性樹脂溶液を塗布し、その塗布膜をパターン状に露光して画素層を形成し、次いでその画素層の上に、他の色の着色剤を含有する感光性樹脂溶液を塗布し、この塗布膜をパターン状に露光して最初の画素層と着色の異なる画素層を形成する工程を繰り返し行なう方法が一般的に利用されてきた。
これに対し、別に用意した支持体シート(仮支持体)の上に、着色剤を含有する感光性樹脂溶液を塗布して着色感光性樹脂層を形成して構成された、色が異なる複数枚の感光性転写シート(転写材料)を用意し、まず一枚の感光性転写シートをカラーフィルタ設置対象面に載せて着色感光性樹脂層を転写し、これをパターン状に露光して画素層を形成し、次いでその画素層を覆うようにして更に、他の色の感光性転写シートを重ねて着色感光性樹脂層を転写し、これをパターン状に露光して最初の画素層と着色の異なる画素層を形成する工程を繰り返し行なう方法が提案され、近年ではかかる方法の利用が増えている。この方法による場合、高い均質性と高精度の膜厚均一性を有する着色感光性樹脂層で構成された画素層を形成することができる。
上記のいずれの方法でも、カラーフィルタを構成する着色画素の作製には、画素形成用のパターン状に切り抜かれたフォトマスクを用い、その開口部分を通過させて感光性樹脂層を露光し、その露光部分を硬化させ、次いで未露光部(未硬化部)を現像液で現像処理して除去する方法が利用される。
しかしながら、従来の転写材料の場合、感光性樹脂層は、光重合開始剤、光重合性モノマー、アクリル系重合バインダー、光重合禁止剤、顔料等を含んでラジカル重合系に構成されており、このような感光性樹脂層を有する面を露光すると、感光性樹脂層の深さ方向(厚み方向)で深さに伴なう光の減衰により反応率が異なり、層表面から離れたガラス等の基板側、具体的には基板と感光性樹脂層との界面付近では著しく反応率が低下してほとんど重合硬化しないため、現像処理した際に細線画像にサイドエッチが入りやすく、細線ができない、あるいは現像ラチチュードが狭いという問題があった。
特に、遮光膜(ブラックマトリクスなど)の用途では高い遮光性能が要求されるが、黒濃度が高くなるほど層厚に伴なう光の減衰は大きくなり、サイドエッチの発生や現像ラチチュードの低下はより顕著となる。
かかる問題に対して、バインダー、光酸発生剤、及び光酸発生剤の作用により架橋する架橋剤(メラミン系樹脂など)等を含む感光性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これは、光を受けて光酸発生剤から生成する酸(I→I-+H+)の触媒作用によって酸反応性分子(架橋剤)から架橋体を生成して重合硬化するものである(PAG;Photo Acid Generator)。
この場合、感光性樹脂層の黒濃度が高いときには、やはり露光時に発生する酸の発生量は層表面付近で多く、層表面から離れた基板との界面付近では少なくなるため、さらに加熱処理を施すことによって酸の拡散を促進し、層表面から厚み方向に向かって架橋反応が促され、基板との界面近傍に至るまで感光性樹脂層の重合硬化を良好に行なうことができる。
特開2002−351075号公報
しかしながら、酸の触媒作用を利用したPAGでは、加熱処理により拡散(加熱拡散)する酸(H+)は、層の厚み方向のみならず、あらゆる方向(厚み方向である縦方向に対する横方向など)に拡散していくため、高濃度で高硬度の膜が得られても細線を形成するのは難しい。また、現像ラチチュードの点でも不充分である。結果的に、ボケた画像しか得られない。特に高い黒濃度の膜に構成しようとする場合には、感光性樹脂層はある程度の厚みが必要であり、充分な重合硬化性を得るには露光後の加熱に長時間を要するばかりか、加熱時間が長くなると層内に酸が広く拡散し、ボケの程度も悪化してしまう。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、薄膜で高い黒濃度が得られ、遮光性に優れると共に、短時間での加熱硬化性に優れ、高解像度の像を形成することができる遮光膜用感光性樹脂組成物、薄膜で黒濃度が高く、遮光性及び短時間での加熱硬化性に優れた膜の形成を可能とする転写材料及びその製造方法、並びに、薄膜で黒濃度が高く遮光性能に優れた遮光膜を高解像度に形成し得、加熱拡散による硬化をより短い時間で行ない得る遮光膜の作製方法を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
本発明は、前記PAGを利用して高解像度で高濃度の黒パターンを形成する場合において、高濃度化と光酸発生剤から生成する酸の層厚方向以外の方向への拡散の抑制には、金属系粒子が有効であるとの知見を得、かかる知見に基づいて達成されたものである。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> バインダー樹脂と、光を吸収して酸を発生する光酸発生剤と、前記光酸発生剤の作用により架橋する架橋剤と、金属粒子及び/又は金属化合物粒子とを含有することを特徴とする遮光膜用感光性樹脂組成物である。
<2> 顔料を更に含む前記<1>に記載の遮光膜用感光性樹脂組成物である。
<3> 前記顔料がカーボンブラック又は黒鉛である前記<2>に記載の遮光膜用感光性樹脂組成物である。
<4> 膜厚1.0μmの遮光膜を形成した際の光学濃度が4.0以上である前記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の遮光膜用感光性樹脂組成物である。
<5> 表示装置を構成する遮光膜の形成に用いられる前記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の遮光膜用感光性樹脂組成物である。
<6> 仮支持体上に、少なくとも1層の、バインダー樹脂と、光を吸収して酸を発生する光酸発生剤と、前記光酸発生剤の作用により架橋する架橋剤と、金属粒子及び/又は金属化合物粒子とを含有する感光性樹脂層を有することを特徴とする転写材料である。
<7> 遮光膜の形成に用いられる前記<6>に記載の転写材料である。
<8> 表示装置を構成する遮光膜の形成に用いられる前記<6>又は<7>に記載の転写材料である。
<9> 基板上に、前記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の遮光膜用感光性樹脂組成物を塗布し、乾燥させて感光性樹脂層を形成する工程と、形成された前記感光性樹脂層をパターン状に露光する工程と、形成された前記感光性樹脂層を加熱する工程と、少なくとも前記露光後の前記感光性樹脂層を現像して未露光部を除去する工程とを含むことを特徴とする遮光膜の作製方法である。
<10> 前記塗布は、スリット状ノズルを有する塗布装置を用いて行なう前記<9>に記載の遮光膜の作製方法である。
<11> 前記<6>〜<8>のいずれか1つに記載の転写材料を用いて、仮支持体上の少なくとも1層の感光性樹脂層を基板に転写する工程と、転写された前記感光性樹脂層をパターン状に露光する工程と、転写された前記感光性樹脂層を加熱する工程と、少なくとも前記露光後の前記感光性樹脂層を現像して未露光部を除去する工程とを含むことを特徴とする遮光膜の作製方法である。
<12> 前記<6>〜<8>のいずれか1つに記載の転写材料の製造方法であって、仮支持体上に、スリット状ノズルを有する塗布装置を用いた塗布により感光性樹脂層を塗設することを特徴とする転写材料の製造方法である。
本発明によれば、薄膜で高い黒濃度が得られ、遮光性に優れると共に、短時間での加熱硬化性に優れ、高解像度の像を形成することができる遮光膜用感光性樹脂組成物、薄膜で黒濃度が高く、遮光性及び短時間での加熱硬化性に優れた膜の形成を可能とする転写材料及びその製造方法、並びに、薄膜で黒濃度が高く遮光性能に優れた遮光膜を高解像度に形成し得、加熱拡散による硬化をより短い時間で行ない得る遮光膜の作製方法を提供することができる。
以下、本発明の遮光膜用感光性樹脂組成物、遮光膜の作製方法、並びに転写材料及びその製造方法について詳細に説明する。
<遮光膜用感光性樹脂組成物>
本発明の遮光膜用感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂と、光酸発生剤と、架橋剤と、金属粒子及び/又は金属化合物粒子とを少なくとも含んでなり、必要に応じて、着色剤や界面活性剤等のその他の成分を用いて構成することができる。
本発明の遮光膜用感光性樹脂組成物においては、光を受けて光酸発生剤から生成する酸(H+)の触媒作用によって後述のバインダー樹脂と架橋剤(例えば酸架橋性のメチロール化メラミン樹脂)との間で架橋反応を起こさせると共に、さらに加熱処理を加えることにより酸の拡散を促進させることで、層の表面から基板界面付近の層深部に向かって架橋反応が促され、表面から厚み方向の層深部に至る感光性樹脂層が充分に重合硬化する(PAG)。そのため、黒濃度が高濃度であっても基板界面まで充分に架橋反応させ得ると共に、現像の許容度が広く、一方で成分の混合、塗布、乾燥工程での架橋反応は抑えられ、露光部と未露光部の現像液に対する溶解性のコントラストを充分に大きくとることができる。したがって、薄膜で高濃度、高精細な遮光膜(ブラックマトリックスなど)を得ることができる。
さらに、本発明の遮光膜用感光性樹脂組成物は、後述するように、金属粒子や金属化合物粒子を黒色剤として含み、薄膜で高濃度が得られるので、前記PAGによる場合に、酸の拡散は薄い層中で起こることから加熱拡散による硬化を短時間で行なえると共にパターンの線太りも生じ難い。したがって、薄膜で高濃度を有しかつ高解像度の遮光膜(ブラックマトリックスなど)が得られる。
−バインダー樹脂−
本発明の遮光膜用感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂の少なくとも1種を含有する。このバインダー樹脂は、パターン露光で後述の光酸発生剤から生成する酸の触媒作用で後述の架橋剤と架橋体(ポリマー)をつくって硬化させるものである。
バインダー樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、ノボラック樹脂(フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等)、ポリヒドロキシスチレン等の公知のバインダー樹脂の中から適宜選択することができる。
本発明では特に、(メタ)アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合体が好ましく、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステル、又はカルボキシル基含有モノマーを構成単位として含む共重合体がより好ましい。柔軟さを付与する点で、(メタ)アクリル系が好ましく、弱アルカリ現像適正の付与の点で、カルボキシル基を含有することが好ましい。
なお、(メタ)アクリルは、アクリル又はメタクリルの両方をとり得ることを示す。以下同様である。
上記の中でも、特にメタクリル酸メチル及びベンジルメタクリレートの少なくとも1つを含む共重合体が好ましい。メタクリル酸メチル及びベンジルメタクリレートの少なくとも1つを含む共重合体には、メタクリル酸メチルを含む共重合体、ベンジルメタクリレートを含む共重合体、メタクリル酸メチル及びベンジルメタクリレートを含む共重合体等が挙げられる。
前記メタクリル酸メチルを含む共重合体には、メタクリル酸/メタクリル酸メチル共重合体(共重合比:14〜17.6モル%/82.4〜86モル%、重量平均分子量20,000〜140,000)、メタクリル酸/メタクリル酸メチル/エチルアクリレート共重合体(共重合比:5〜10モル%/70〜60モル%/25〜30モル%、重量平均分子量20,000〜140,000)等が挙げられる。
前記ベンジルメタクリレートを含む共重合体には、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体(共重合比:25〜37モル%/75〜63モル%、重量平均分子量20,000〜150,000)、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体(共重合比:20モル%/17.8モル%/62.2モル%、重量平均分子量20,000〜140,000)等が挙げられる。
前記メタクリル酸メチル及びベンジルメタクリレートを含む共重合体には、メタクリル酸/メタクリル酸メチル/ベンジルメタクリレート共重合体(共重合比:14.6〜27.2モル%/79.1〜32.7モル%/16.3〜40モル%、重量平均分子量20,000〜150,000)、メタクリル酸/メタクリル酸メチル/ベンジルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート共重合体(共重合比:10〜15モル%/70〜65モル%/10モル%/10モル%、重量平均分子量20,000〜150,000)等が挙げられる。
従来より市販のネガ型レジスト組成物によく使用されているクレゾールノボラック樹脂やポリヒドロキシスチレン及びその誘導体は露光後、ベーク後に着色してしまうが、このような露光後、ベーク処理時での着色が少なく、光透過率が低下しない点で、上記したメタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/メタクリル酸メチル/ベンジルメタクリレート共重合体等が特に好ましい。
前記バインダー樹脂の遮光膜用感光性樹脂組成物における含有量としては、該組成物の全固形分に対して、10〜90質量%が好ましく、20〜70質量%がより好ましい。
−光酸発生剤−
本発明の遮光膜用感光性樹脂組成物は、光酸発生剤の少なくとも1種を含有する。この光酸発生剤は、パターン状に露光した際に酸(H+)を発生し、架橋反応による重合硬化を促進させるものである。
光の照射により酸を発生する光酸発生剤には、有機ハロゲン化合物、オニウム塩、スルホン酸エステル等が挙げられる。これらの中では、有機ハロゲン化合物が好ましく、特にハロメチル化トリアジン化合物、ハロメチル化オキサジアゾール化合物が好ましい。
前記ハロメチル化トリアジン化合物としては、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。但し、本発明においては、これらに限定されるものではない。
Figure 2006284947
前記一般式(1)中、R1及びR2は、各々独立にハロメチル基を表し、Yは炭素数5以上の有機基を表す。
前記ハロメチル基としては、例えば、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、ジクロロメチル基、ジブロモメチル基などが挙げられ、前記炭素数5以上の有機基としては、例えば、置換基を有していてもよい、フェニル基、ナフチル基、スチリル基、スチリルフェニル基、フリルビニル基、四級化アミノエチルアミノ基などが挙げられる。
以下、ハロメチル化トリアジン化合物の具体例〔例示化合物(2)〜(23)〕を列挙する。
Figure 2006284947
Figure 2006284947
Figure 2006284947
Figure 2006284947
前記一般式(1)で表されるハロメチル化トリアジン化合物の中でも、好ましいものは下記一般式(24)、(25)、又は(26)で表される化合物である。
Figure 2006284947
前記一般式(24)中のR1及びR2は、各々独立にハロメチル基を表し、Rは炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。nは、Rの個数を表すものであり、0〜3の整数である。
Figure 2006284947
前記一般式(25)中のR1及びR2は、各々独立にハロメチル基を表し、Rは炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。nは、Rの個数を表すものであり、0〜3の整数である。
Figure 2006284947
前記一般式(26)中のR1及びR2は、各々独立にハロメチル基を表し、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。nは、Rの個数を表すものであり、0〜1の整数である。
上記の一般式(24)〜(26)で表される化合物の中でも、好ましいものは各々の一般式において、R1及びR2がトリクロロメチル基であって、Rが炭素数1〜2のアルキル基であって、更に一般式(24)及び(25)ではnが0〜2の整数、一般式(26)では0〜1の整数である化合物である。
前記ハロメチル化オキサジアゾール化合物としては、下記一般式(27)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2006284947
前記一般式(27)中、R3はハロメチル基を表し、Zは置換基を有していてもよいベンゾフリル基又はベンゾフリルビニル基を表す。
以下、ハロメチル化オキサジアゾール化合物の具体例〔例示化合物(28)〜(45)〕を列挙する。
Figure 2006284947
Figure 2006284947
Figure 2006284947
前記一般式(27)で表されるハロメチル化オキサジアゾール化合物の中でも、好ましいのは下記一般式(46)で表される化合物である。
Figure 2006284947
前記一般式(46)中のR3はハロメチル基を表し、Rは炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。nは、Rの個数を表すものであり、0〜2の整数である。更に好ましいのは、R3がトリクロロメチル基であって、Rが炭素数1〜2のアルキル基又はアルコキシ基であって、nが0〜1の整数である化合物である。
光酸発生剤の遮光膜用感光性樹脂組成物中における含有量としては、該組成物の固形分に対して、0.05〜15質量%、好ましくは5〜15質量%である。光酸発生剤の量が前記範囲であると、露光により充分な酸を発生してバインダー樹脂と後述の架橋剤との架橋反応が良好に行なえ、現像後の残膜率が高く、耐熱性、耐薬品性等を具えた画像を形成することができる。
−架橋剤−
本発明の遮光膜用感光性樹脂組成物は、架橋剤の少なくとも1種を含有する。この架橋剤は、露光時に前記光酸発生剤から生成する酸の触媒作用により架橋反応を起こして硬化する作用を有する。すなわち、既述のバインダー樹脂との間で架橋反応して架橋体を形成し、露光部を硬化して画像化することができる。
架橋剤としては、架橋性基を少なくとも1種含む置換基(以下、「架橋性置換基」と称する。)を有する化合物が挙げられる。
前記架橋性置換基の具体例としては、下記(i)〜(vi)が挙げられる。
(i)ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アセトキシアルキル基等のヒドロキシアルキル基又はその誘導体;
(ii)ホルミル基、カルボキシアルキル基等のカルボニル基又はその誘導体;
(iii)ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジメチロールアミノメチル基、ジエチロールアミノメチル基、モルホリノメチル基等の含窒素基含有置換基;
(iv)グリシジルエーテル基、グリシジルエステル基、グリシジルアミノ基等のグリシジル基含有置換基;
(v)ベンジルオキシメチル基、ベンゾイロキシメチル基等のアリルオキシアルキル基やアラルキルオキシアルキル基等の芳香族誘導体;
(vi)ビニル基、イソプロペニル基等の重合性多重結合含有置換基;
等を挙げることができる。
上記のうち、本発明における架橋剤の架橋性置換基としては、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基等が好ましく、特にアルコキシメチル基が好ましい。
前記架橋性置換基を有する架橋剤としては、例えば、
(i)メチロール基含有メラミン化合物、メチロール基含有ベンゾグアナミン化合物、メチロール基含有ウレア化合物、メチロール基含有グリコールウリル化合物、メチロール基含有フェノール化合物等のメチロール基含有化合物;
(ii)アルコキシアルキル基含有メラミン化合物、アルコキシアルキル基含有ベンゾグアナミン化合物、アルコキシアルキル基含有ウレア化合物、アルコキシアルキル基含有グリコールウリル化合物、アルコキシアルキル基含有フェノール化合物等のアルコキシアルキル基含有化合物;
(iii)カルボキシメチル基含有メラミン化合物、カルボキシメチル基含有ベンゾグアナミン化合物、カルボキシメチル基含有ウレア化合物、カルボキシメチル基含有グリコールウリル化合物、カルボキシメチル基含有フェノール化合物等のカルボキシメチル基含有化合物;
(iv)ビスフェノールA系エポキシ化合物、ビスフェノールF系エポキシ化合物、ビスフェノールS系エポキシ化合物、ノボラック樹脂系エポキシ化合物、レゾール樹脂系エポキシ化合物、ポリ(ヒドロキシスチレン)系エポキシ化合物等のエポキシ化合物;等を挙げることができる。
上記の架橋剤の中でも、アルコキシメチル化ウレア化合物又はその樹脂、アルコキシメチル化グリコールウリル化合物又はその樹脂が好ましい。
特に好ましい架橋剤として、下記一般式(47)で表されるアルコキシメチル化ウレア化合物、又は下記一般式(48)で表されるアルコキシメチル化グリコールウリル化合物を挙げることができる。
Figure 2006284947
前記一般式(47)中のR3は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。
Figure 2006284947
前記一般式(47)中のR4は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。
前記一般式(47)、(48)において、R3又はR4で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等を挙げることができる。
上記のアルコキシメチル化ウレア化合物、アルコキシメチル化グリコールウリル化合物は、例えば、尿素化合物やグリコールウリル化合物とホルマリンとを縮合反応させてメチロール基を導入した後、更にメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等の低級アルコール類でエーテル化し、次いで反応液を冷却して析出する化合物又はその樹脂を回収することで得られる。また、CYMEL(商品名;三井サイアナミッド社製)、ニカラッド(三和ケミカル社製)等の市販品として入手することもできる。
架橋剤としては、メラミン、ベンゾグアナミン、グリコールウリル、又は尿素にホルムアルデヒドを作用させた化合物、又はそれらのアルキル変性化合物、エポキシ化合物、レゾール化合物等が有効であり、その具体例には以下のものが挙げられる。
具体的な例として、三井サイアナミド社製のサイメル(登録商標)300、同301、同303、同350、同736、同738、同370、同771、同325、同327、同703、同701、同266、同267、同285、同232、同235、同238、同1141、同272、同254、同202、同1156、同1158は、メラミンにホルムアルデヒドを作用させた化合物又はそのアルキル変性物の例である。また、サイメル(登録商標)1123、同1125、同1128は、ベンゾグアナミンにホルムアルデヒドを作用させた化合物又はそのアルキル変性物の例である。また、サイメル(登録商標)1170、同1171、同1174、同1172は、グリコールウリルにホルムアルデヒドを作用させた化合物又はそのアルキル変性物の例である。更に、尿素にホルムアルデヒドを作用させた化合物又はそのアルキル変性物の例として、三井サイアナミド社製のUFR(登録商標)65、同300を挙げることができる。
また、前記エポキシ化合物の例としては、ノボラックエポキシ樹脂(東都化成社製のVDPN−638、同701、同702、同703、同704等)、アミンエポキシ樹脂(東都化成社製のYH−434等)、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ソルビトール(ポリ)グリシジルエーテル、(ポリ)グリセロール(ポリ)グリシジルエーテル、ペンタエリスリトール(ポリ)グリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、アリルグリシジルエーテル、エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノールグリシジルエーテル、ラウリルアルコールグリシジルエーテル、アジピン酸グリシジルエーテル、フタル酸グリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリシジルフタルイミド、(ポリ)エチレングリコールグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、等を挙げることができる。
特に好ましい化合物として、分子中に−N(CH2OR)2基を有する化合物(Rは水素原子又はアルキル基を表す。)が挙げられる。詳しくは、尿素あるいはメラミンにホルムアルデヒドを作用させた化合物又はそのアルキル変性物が特に好ましい。
また、前記レゾール化合物の例としては、群栄化学社製のPP−3000s、PP−3000A、RP−2978、SP−1974、SP−1975、SP−1976、SP−1977、RP−3973等が挙げられる。
架橋剤の遮光膜用感光性樹脂組成物中における含有量としては、前記バインダー樹脂の量に対して、5〜70質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。
−金属粒子及び/又は金属化合物粒子−
本発明の遮光膜用感光性樹脂組成物は、金属粒子及び金属化合物粒子よりなる群より選択される少なくとも1種(以下、「本発明に係る金属粒子」ともいう。)を含有する。遮光用の黒色材料として本発明に係る金属粒子を選択的に用いるので、高い黒濃度が得られ、薄い形態で高度の遮光性が得られると共に、薄い形態に構成されるので、PAGによる場合の加熱時の酸の拡散に伴なうパターンの線太りを防止することができ、加熱拡散による硬化時間の短縮も図れる。
なお、本発明に係る金属粒子には、後述の複合粒子、コア・シェル複合粒子が含まれる。
〈金属粒子〉
金属粒子としては、長周期周期表(IUPAC 1991)の例えば、元素周期表の第3周期、第4周期、第5周期、及び第6周期からなる群から選ばれる金属を主成分として含むことが好ましく、また、第2族、第8族、第9族、第10族、第11族、第12族、第13族、及び第14族からなる群から選ばれる金属を主成分として含むことが好ましい。これらの金属のうち、本発明に係る金属粒子としては第4周期、第5周期、又は第6周期の金属であって、第2族、第10族、第11族、第12族、又は第14族の金属がさらに好ましい。
本発明における金属粒子は、球状、立方体を含む正側面体状などのほか、縦、横、高さの比の少なくとも1つが異なる形状異方性の形(例えば、形状異方性を有する球状、あんパン状、ジャガイモ状、棒状(針状、円柱形、直方体等の角柱形、ラグビーボール型等)、平板状(鱗片状、楕円板状、板状)、繊維状、金平糖状、コイル状等)のいずれであってもよい。
また、後述する金属化合物粒子、複合粒子、コアシエル複合粒子の場合も同様である。
前記金属粒子として好ましい例は、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、カルシウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンテル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、又はこれらの合金、から選ばれる少なくとも一種を挙げることができる。さらに好ましい金属は、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム又はこれらの合金、より好ましい金属は、銅、銀、金、白金、錫又はこれらの合金から選ばれる少なくとも一種である。これらのうち、金、銀、銅、錫が好ましく、とりわけ銀が好ましい。銀としては、棒状をした銀やコロイド銀も好適である。金属粒子の製造には、前記金属を2種以上組合せてもよく、合金として用いることも可能である。

また、金属化合物と金属との複合微粒子として用いることもできる。
〈金属化合物粒子〉
金属化合物粒子は、前記金属と金属以外の他の元素との化合物の粒子であり、「金属と他の元素との化合物」としては、金属の酸化物、硫化物、硫酸塩、炭酸塩などがある。このうち、硫化物が色調や微粒子形成のしやすさから特に好ましい。これら金属化合物の例としては、酸化銅(II)、硫化鉄、硫化銀、硫化銅(II)、チタンブラックなどが挙げられるが、硫化銀は色調、微粒子形成のしやすさや安定性の観点から特に好ましい。
〈複合粒子〉
本発明においては、前記金属粒子と前記金属化合物粒子とを用い、これらが結合して1つの粒子になった複合粒子も用いることができる。複合粒子の形状には特に制限はない。例えば、粒子の内部と表面で組成の異なるもの、2種類の粒子が合一したもの等を挙げることができる。また、金属化合物と金属は、それぞれ1種でも2種以上であってもよい。金属化合物と金属との複合粒子の具体例としては、銀と硫化銀との複合粒子、銀と酸化銅(II)との複合粒子などがある。
〈コア・シェル複合粒子〉
本発明においては、コア・シェル型の複合粒子(コア・シェル複合粒子)も用いることができる。コア・シェル型の複合粒子とは、コア材料の表面をシェル材料でコートしたものである。
前記コア材料をコートするシェル材料としては、例えば、Si、Ge、AlSb、InP、Ga、As、GaP、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、PbS、PbSe、PbTe、Se、Te、CuCl、CuBr、CuI、TlCl、TlBr、TlI、及びこれらの固溶体、又はこれらを90mol%以上含む固溶体から選ばれる少なくとも一種の半導体、あるいは銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンテル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、又はこれらの合金から選ばれる少なくとも一種の金属を用いることができる。
好ましいシェル材料としては、銅、銀、金、パラジウム、ニッケル、錫、ビスマス、アンモチン、鉛、又はこれらの合金から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
前記シェル材料は、反射率を低下させる目的で屈折率の調整剤としても好適に用いられる。
また、コア・シェル複合粒子を構成するコア材料としては、例えば、銅、銀、金、パラジウム、又はこれらの合金から選ばれる少なくとも一種の金属を用いることができる。
コアシェル構造を有するコア・シェル複合粒子の作製方法には、特に制限はなく、代表的な方法として以下の方法が挙げられる。
(1)公知の方法で作製した金属粒子の表面に、酸化、硫化などにより、金属化合物のシェルを形成する方法であり、例えば、金属粒子を水などの分散媒に分散させて、硫化ナトリウムや硫化アンモニウムなどの硫化物を添加する方法がある。この方法により粒子の表面が硫化されてコアシェル複合粒子が形成される。
この場合、用いる金属粒子は、気相法、液相法などの公知の方法で作製することができる。金属粒子の作製方法については、例えば「超微粒子の技術と応用における最新動向II」(住ベテクノリサーチ(株)、2002年発行)に記載されている。
(2)金属粒子を作製する過程で連続的に表面に金属化合物のシェルを形成する方法であり、例えば、金属塩溶液に還元剤を添加して、金属イオンの一部を還元して金属粒子を作製し、次いで硫化物を添加して、作製した金属粒子の周囲に金属硫化物を形成する方法がある。
〜金属粒子の作製〜
金属粒子は市販のものを用いることができる他、金属イオンの化学的還元法、無電解メッキ法、金属の蒸発法等により調製することが可能である。
形状異方性の形に構成された粒子の場合、特に棒状の銀粒子(銀ロッド)の場合は、球形銀粒子を種粒子としてその後、銀塩をさらに添加し、CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロマイド)等の界面活性剤存在下、アスコルビン酸など比較的還元力の弱い還元剤を用いることにより銀ロッドやワイヤーが得られる。これは、Adv.Mater.2002,14,80−82に記載がある。また、同様の記載がMater.Chem.Phys.2004,84,197−204、Adv.Funct.Mater.2004,14,183−189にもなされている。また、電気分解を用いた方法として、Mater.Lett.2001,49,91−95に記載の方法、マイクロ波を照射することにより銀ロッドを生成する方法として、J.Mater.Res.2004,19,469−473に記載の方法がある。逆ミセルと超音波の併用した例として、J.Phys.Chem.B,2003,107,3679−3683が挙げられる。
金に関しても同様に、J.Phys.Chem.B 1999,103、3073−3077及びLangmuir1999,15,701−709、J.Am.Chem.Soc.2002,124,14316−14317に記載されている。
ロッド状の粒子の形成方法は上記の方法を改良(添加量調整、PH制御)しても調製できる。
〜粒子径〜
本発明に係る金属粒子(複合粒子、コア・シェル複合粒子を含む。)が真球もしくは球形である場合、その粒子径としては、2〜600nmが好ましく、10〜300nmがより好ましい。
また、形状異方性の粒子である場合、粒子径は三軸径とする。すなわち、1個の金属粒子がちょうど(きっちりと)収まる箱(直方体)を考え、この箱の長さL、幅b、高さ又は厚みtをもってこの金属粒子の寸法と定義する仕方である。金属粒子を箱に収める場合、いくつかの仕方があるが、本発明では以下の方法を採用する。
まず、平面上に金属粒子を、最も重心が低くて安定に静止するように置く。次に、平面に対し直角に立てた2枚の平行な平板により金属粒子を挟み、その平板間隔が最も短くなる位置の平板間隔を「幅b」とする。次に、前記幅bを決する2枚の平板に対し直角で前記平面に対しても直角の2枚の平行な平板により金属粒子を挟み、この2枚の平板間隔を「長さL」とする。最後に金属粒子の最も高い位置に接触するように天板を前記平面に平行に載せ、天板と平面との間隔を高さ又は厚みtとする(この方法により平面、各2枚の平板及び天板によって画される直方体が形成される。)。また、金属粒子の三軸径b、L及びtの最も長いものに該当する軸を「長軸」と定義し、長軸方向における長さを「長軸長」と、また、長軸に平行な光を金属粒子に照射して得られる投影面積を真円換算した場合の直径を「短軸長」と定義する。
〜アスペクト比〜
本発明に係る金属粒子(複合粒子、コア・シェル複合粒子を含む。)のアスペクト比とは、金属粒子又は金属化合物粒子の、上記のように定義した長軸長を短軸長で割った値を意味し、100個の金属粒子について測定した値の平均値と定義する。なお、粒子の投影面積は電子顕微鏡写真上での面積を測定し、撮影倍率を補正することにより得られる。
粒子のアスペクト比(粒子の長軸長/粒子の短軸長の比)は、2以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましい。アスペクト比の上限は、100程度である。この範囲では、黒色粒子が得られ易く、大きすぎて可視光域の吸収が小さくなることもなく、高解像化に効果的である。さらに好ましくは、4〜80であり、最も好ましくは10〜60である。粒子の短軸長は、4〜50nmが好ましく、15〜50nmがより好ましく、15〜30nmが最も好ましい。粒子の長軸長(最大長)は、10〜1000nmが好ましく、100〜1000nmがより好ましく、400〜800nmが更に好ましく、可視光波長より短いことが最も好ましい。
また、粒子径と形状の異なる粒子を混合することによって、吸収スペクトル制御でき、色相を無彩色に近づけることもできる。
〜粒度分布〜
粒度分布は、長軸長の平均粒径の、粒度分布幅D90/D10が2以上20未満であることが好ましい。ここで、D90は粒子の90%が見出される最大直径であり、D10は粒子の10%が見出される最大直径である。粒度分布は、色調の観点から、より好ましくは2以上15以下であり、さらに好ましくは4以上10以下である。粒度分布が前記範囲であると、粗大粒子による散乱による濁りが生じるのを防止できる。
「金属粒子及び/又は金属化合物粒子」の遮光膜用感光性樹脂組成物中における含有量としては、用いる粒子の種類や性状により異なるが、2〜40体積%が好ましく、5〜30体積%がより好ましい。
−着色剤−
本発明の遮光膜用感光性樹脂組成物は、前記金属粒子及び/又は金属化合物粒子と共に、さらに顔料及び/又は染料を併用して好適に構成することができる。
前記顔料としては、例えば、硫酸バリウム、硫酸鉛、酸化チタン、黄色鉛、ベンガラ、酸化クロム、カーボンブラック等の無機顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ジスアゾ顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリン顔料、ジオキサジン顔料、キナクリドン顔料、ペリノン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、チオインジゴ顔料等の有機顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記顔料の中でも、アントラキノン系顔料、フタロシアニン顔料、ジオキサジン顔料、カーボンブラックが特に好ましい。
以下、具体的にカラーインデックス(C.I.)ナンバーで示す。
C.I.赤:9,97,122,123,149,168,177,180,192,215,216,217,220,223,224,226,227,228,240;
C.I.青:15、15:6、22、60、64;
C.I.緑:7,36;
C.I.黒:7;
C.I.黄色:12,20,24,86,93,109,110,117,125,137,138,147,148,153,154,166,168;
C.I.オレンジ:36,43,51,55,59,61;
C.I.バイオレット:19,23,29,30,37,40,50;
C.I.茶:23,25,26;
顔料の平均粒径は0.005〜3μmの範囲にあるのが好ましい。より好ましくは0.01〜1μmである。この範囲の粒径にするには、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、3本ロール、ペイントシェーカー、超音波などの分散処理が有効である。
前記染料としては、例えば、クリスタルバイオレット、メチルバイオレット、エチルバイオレット、オイルブルー#603、ビクトリアピュアーブルーBOH、マラカイトグリーン、ダイモンドグリーン等が挙げられる。
上記以外に、黒鉛も好適に用いることができる。
なお、用途等に応じて、前記顔料及び染料は併用してもよく、また、顔料及び/又は染料は必ずしも含有する必要はない。
本発明においては、カーボンブラック及び/又は黒鉛を既述の本発明に係る金属粒子と共に併用する態様が最も好ましい。
上記において、カーボンブラック等の炭素系の黒色顔料は、窒素ガス吸着法で測定した比表面積が50m2/g以下のものが好ましい。中でも、50〜10m2/gの範囲内が好ましく、更に好ましくは30〜15m2/gの範囲内である。比表面積が前記範囲内であると、良好な遮光性能が得られると共に、分散時の分散安定性が良好である。
着色剤(特にカーボンブラック、黒鉛)を併用する場合、着色剤の量としては、本発明に係る金属粒子の総量に対して、10〜90体積%が好ましく、より好ましくは20〜50体積%である。本発明に係る金属粒子と共に着色剤を併用することで、形成された遮光膜の反射率等をコントロールするのに有効であり、特に着色剤の量を前記範囲内とすると、薄膜で高い遮光性を有すると同時に、光リークがなく表面の平坦性に優れた遮光膜を形成するのに効果的である。また、基板単独でも、また両面から偏光板で挟んでこの2枚の偏光板の偏光軸を直交したときにも光漏れがなく高い遮光性が得られ、高性能のカラーフィルタを得ることができ、高画質画像の表示が可能な液晶表示素子の製造に寄与する。また、工業的に有利な電着法によるカラーフィルタの製造において、遮光膜を背面露光法で形成する場合にも充分な増膜性、遮光性を得ることができる。
−その他の成分−
本発明の遮光膜用感光性樹脂組成物には、種々の目的や用途に応じて、各種添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、界面活性剤、密着促進剤、可塑剤等が挙げられる。
前記界面活性剤は、遮光膜用感光性樹脂組成物を塗布液として用いる場合の塗布性、得られる塗膜の平滑性を向上させる目的で用いることができ、具体例として、BM−1000(BM Chemie社製)、メガファックスF142D、同F172、同F173、同F183、同F176PF、同F177PF(いずれも大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC−135、同FC−170C、フロラードFC−430、同FC−431(いずれも住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145(いずれも旭硝子(株)製)、SH−28PA、SH−190、SH−193、SZ−6032、SF−8428、DC−57、DC−190(いずれも東レ・シリコーン(株)製)の商品名で市販されている、フッ素系又はシリコン系界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤を含有する場合の含有量としては、遮光膜用感光性樹脂組成物の全固形分に対して、0.05〜10質量%が好ましい。この範囲で含有すると、特に基板へのパターン密着性の点で有効である。更には、0.08〜5質量%の範囲が好ましく、0.1〜3質量%の範囲が特に好ましい。
本発明の遮光膜用感光性樹脂組成物は、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン等のケトン、各種エーテル、エステルなどの有機溶剤を用いて塗布液として調製することができる。この塗布液は、塗布により被塗物となる仮支持体(シート等)や液晶表示素子などの表面に感光性樹脂層を形成するために好適に用いることができる(以下、この塗布液を「感光性樹脂層用塗布液」ということがある。)。この感光性樹脂層の厚みには特に制限はなく、適宜選択することができるが、0.2〜1.3μmが好適であり、0.3〜0.8μmがより好適である。この範囲の薄膜に構成しても高い黒濃度が得られる。
すなわち、本発明の遮光膜用感光性樹脂組成物は、上記のような塗布による塗膜など、膜厚1.0μmの遮光膜を形成した際に該遮光膜の光学濃度が4.0以上となるように構成された態様が好適である。カラーフィルタを構成する遮光膜(ブラックマトリクスなど)をはじめプルーフなどの印刷材料や、PDP(Plasma Display Panel)用の隔壁材料、インクジェットインク、レジストインクなど、高度の遮光性能と薄膜形成性とが要求される用途においては、薄膜にしつつ高い黒濃度が得られることが重要であり、かかる場合に本発明の遮光膜用感光性樹脂組成物を好適に用いることができる。本発明の遮光膜用感光性樹脂組成物は、液晶表示装置等を構成するカラーフィルタの遮光膜(ブラックマトリクスなど)の形成に特に好適であり、ブラックマトリクスの形成に最適である。
本発明の遮光膜用感光性樹脂組成物は、上記した塗布液の塗布による方法以外に、下記方法を適用して遮光膜を形成するようにすることもできる。
〜インクジェット法〜
インクジェット法を利用して、本発明の遮光膜用感光性樹脂組成物を吐出して遮光膜を形成することができる。これは、コストダウンの点で好ましい。このインクジェット法としては、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いたバブルジェット(登録商標)タイプ、あるいは圧電素子を用いたピエゾジェットタイプ等が使用可能であり、着色面積及び着色パターンは任意に設定することができる。インクジェット法には、インクが充分に拡散しにくい傾向があり、白抜けを生じて色ムラやコントラスト低下を招来する原因となりやすいが、この場合には有機溶剤に顔料を組成物(インク)全体の質量に対して少なくとも10質量%以上の濃度で分散させたものに調製することが好ましい。詳細については、特開2004−325736号公報の記載を参照できる。
また、遮光膜用感光性樹脂組成物を吐出した際の濡れ広がりを制御し、濃度均一性に優れた遮光膜を作製するには、用いる溶剤種としてはインクジェット印刷における適性の表面張力が35mN/m以下で、かつ沸点が130℃以上のものが好ましい。表面張力が35mN/m以下であると吐出時のドット形状の安定性が良好であり、沸点が130℃以上であるとノズル近傍での乾燥性が抑えられ、ノズル詰まり等の吐出不良を回避することができる。濡れ広がりを制御することにより、着色画素を形成した際の混色、遮光膜中の白抜け等の欠陥のない、均一な高濃度で、膜形状が鮮明でエッヂのシャープな遮光膜が得られる。
さらに、特開2002−372615号公報に記載されているような、インキが瞬時に硬化し、顔料の分散安定性の確保や基材との密着性の確保も併せて向上させる手段を適用することによって、遮光膜を作製する際の生産性を向上させることも可能である。
〜印刷法〜
印刷法を利用して、遮光膜を短時間に作製するようにすることができる。印刷法として、版胴と圧胴との間に透明基材を通して該透明基材に遮光パターンを印刷形成するにあたり、前記版胴は前記遮光パターンに対応する凸版の版面を備え、前記版面を構成する凸版部に、光膜用感光性樹脂組成物(転写インキ)を備えた転写シートから、前記凸版部に相対して遮光パターンとした凸版を備えた凸版体により遮光パターンで転写インキを転写して、前記版胴の版面に転写インキを遮光パターンに設け、遮光パターンに設けられた前記転写インキを、版胴の版面から前記透明基板に転写する方法がある。版胴の版面は撥インキ性を備えていることが良好である。版面における転写開始位置と転写終了位置とに粘着剤を塗布することが良好である。転写インキが版胴の版面で遮光パターンに設けられ、この転写インキを一度に透明基材に転写するため、印刷による遮光膜の作製に要する時間が短縮されると共に、透明基材に形成される遮光膜を形成する転写インキの見当ズレがなく、転写シートを用いた印刷手法により適正な遮光膜が得られる。そして、版胴の版面における凸版部の凸版が撥インキ性を備えれば、版面から透明基材への転写インキの転写が良好になると共に、版面の洗浄も容易になる。
前記印刷方法のほか、版胴と圧胴との間に透明基材を通して該透明基材に遮光パターンを印刷形成するにあたり、前記版胴は前記遮光パターンに対応する凸版の版面を備え、前記版面を構成するセルに遮光膜用感光性樹脂組成物(黒インキ)をインキジェット供給手段にて充填し、前記版胴の版面に黒インキを遮光パターンにて設け、これを乾燥させた後、版胴の版面から前記透明基板に転写する印刷方法がある。この場合、版胴は凹版の版面を備え、版面を構成するセルに遮光膜用感光性樹脂組成物(黒インキ)をインキジェット供給手段にて充填し、前記版面に黒インキを遮光パターンにて設け、これを乾燥させた後、版胴の版面から前記透明基板に転写する構成とするので、工程時間が更に大幅に短縮されると共に見当ズレがなく、セル中でインキ形状が安定し、セル形状に透明基材側に転写できることから、遮光膜を精度よく形成できる。
<転写材料及びその製造方法>
〜転写材料〜
本発明の転写材料は、仮支持体上に少なくとも1層の感光性樹脂層を設けて構成したものであり、更に必要に応じて中間層や熱可塑性樹脂層、保護フィルム等の他の層を設けて構成することもできる。
前記感光性樹脂層は、バインダー樹脂と、光を吸収して酸を発生する光酸発生剤と、前記光酸発生剤の作用により架橋する架橋剤と、金属粒子及び/又は金属化合物粒子とを含んでなる層であり、これら各成分を含む態様で公知の方法により形成することができ、既述の本発明の遮光膜用感光性樹脂組成物を用いて(好ましくは塗布液の塗布により仮支持体(シート等)の表面に塗設することにより)最も好適に形成することができる。バインダー樹脂等の各成分の詳細については既述の通りである。
本発明の転写材料を構成する感光性樹脂層の層厚は、用途や目的に応じて選択することができるが、ブラックマトリクス等の遮光膜などの薄膜が要求される用途では薄い程よく、0.2〜1.3μmの範囲とするのが好ましく、0.3〜0.8μmの範囲とするのがより好ましい。この感光性樹脂層は被転写体に転写されて黒色画像(例えばブラックマトリクス)を構成するものであり、前記範囲の薄い層に構成しても高い黒濃度、遮光性を満足することができる。
次に、本発明の転写材料を構成する仮支持体並びに他の層について述べる。
−仮支持体−
仮支持体には、プラスチックスフィルムが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン等のフィルムを挙げることができる。中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく、特に2軸延伸、熱固定されたポリエチレンテレフタレートフィルムが、安定性、強靭さなどの点から特に好ましい。
仮支持体の厚さには特に制限はないが、5〜200μmの範囲が一般的であり、特に10〜150μの範囲が取扱い易さ、汎用性などの点で好ましい。
−熱可塑性樹脂層−
熱可塑性樹脂層は、アルカリ可溶性の熱可塑性樹脂層であって、この層を構成する樹脂は、実質的な軟化点が80℃以下であることが好ましい。
軟化点が80℃以下のアルカリ可溶性の熱可塑性樹脂としては、エチレンとアクリル酸エステル共重合体とのケン化物、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体とのケン化物、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体とのケン化物、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、及び(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体などとのケン化物、(メタ)アクリル酸とエチレン不飽和基含有モノマーとの共重合体から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。さらに、「プラスチック性能便覧」(日本プラスチック工業連盟、全日本プラスチック成形工業連合会編著、工業調査会、1968年10月25日発行)による、軟化点が約80℃以下の有機高分子のうちアルカリ水溶液に可溶なものを使用することができる。
また、軟化点が80℃以上の有機高分子物質を、その有機高分子物質中に該有機高分子物質と相溶性のある各種可塑剤を添加することで実質的な軟化点を80℃以下に下げて用いることも可能である。また、仮支持体との接着力を調節するために、有機高分子物質中に実質的な軟化点が80℃を越えない範囲で各種のポリマーや過冷却物質、密着改良剤あるいは界面活性剤、離型剤等を加えることも可能である。
特に特開平7−28232号公報に記載の、(A)重量平均分子量5万〜50万かつガラス転移温度Tg=0〜140℃のアルカリ可溶な熱可塑性樹脂と、(B)重量平均分子量3千〜3万かつTg=30〜170℃のアルカリ可溶な熱可塑性樹脂とを、(A)/(B)比=5/95〜95/5[質量比]の範囲で混合したものが好適である。前記(A)の特に好ましい例は、メタクリル酸/2−エチルヘキシルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体(共重合モル比:5/10/30/55、質量平均分子量:10万、Tg:約70℃)である。前記(B)の特に好ましい例は、スチレン/アクリル酸共重合体(共重合組成モル比:65/35、質量平均分子量:1万、Tg:約100℃)である。また、前記(A)/(B)比の特に好ましい範囲は、30/70〜60/40である。
前記可塑剤の好ましい具体例としては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂とポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、有機ジイソシアナートとポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、有機ジイソシアナートとポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、ビスフェノールA−ポリエチレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
可塑剤の量は、熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂の量(好ましくは前記熱可塑性樹脂(A)及び(B)の合計量)に対して、好ましくは0〜200%[質量比]であり、より好ましくは20〜100%[質量比]である。
また、可塑剤の特に好ましい例は、ビスフェノールA、1モルにエチレンオキシドを合計で10モル付加し、両末端アルコールをメタクリルエステル化した化合物である。可塑剤の特に好ましい添加量は、熱可塑性樹脂の量(好ましくは前記熱可塑性樹脂(A)及び(B)の合計量)の30〜60質量%である。
熱可塑性樹脂層は、上記の各成分を溶剤に均一に溶解してなる塗布液の塗布、乾燥により塗設できる。前記溶剤の好ましい例は、メトキシプロピレングリコールアセテート、2−ヒドロキシプロピン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等の高沸点溶剤及びこれら高沸点溶剤の混合物、メチルエチルケトンやアセトン等の低沸点溶剤及びこれら低沸点溶剤の混合物である。高沸点溶剤と低沸点溶剤との質量組成比は、塗布乾燥速度が良好で乾燥ムラ防止の点で、1/99〜99/1から好適に選択できる。好ましくは高沸点溶剤/低沸点溶剤の質量比が90/10〜10/90の範囲であり、80/20〜20/80の範囲が最も好ましい。
熱可塑性樹脂層は、仮支持体上に、一般に知られた塗布方法、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、スリットコート法などにより、前記熱可塑性樹脂等を含む塗布液(以下、「熱可塑性樹脂層用塗布液」ということがある。)を塗布し、乾燥させることにより形成することができる。
熱可塑性樹脂層の層厚は、感光性樹脂層を転写する際に被転写面に存在する0.5μm以上の凹凸を完全に吸収する観点から、1μm以上が好ましい。また、上限については、塗布製造適性の制限から約100μm以下が一般的であり、約50μm以下が好ましく、約20μm以下が特に好ましい。
−中間層−
中間層(分離層ともいう。)としては、熱可塑性樹脂層と感光性樹脂層との間で互いに成分が混じり合うのを防止する目的で設けられる。
中間層は、水またはアルカリ水溶液に分散または溶解し、中間層と接して設けられる熱可塑性樹脂層用塗布液中の有機溶剤に不溶もしくは難溶であればよく、公知のもので構成できる。
例えば、特開昭46−2121号公報や特公昭56−40824号公報に記載のポリビニルエーテル/無水マレイン酸重合体、カルボキシアルキルセルロースの水溶性塩、水溶性セルロースエーテル類、カルボキシアルキル澱粉の塩、水塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、各種のポリアクリルアミド類、各種の水溶性ポリアミド、ポリアクリル酸の水溶性塩、ゼラチン、エチレンオキサイド重合体、各種の澱粉およびその類似物からなる群の水溶性塩、スチレン/マレイン酸の共重合体、及びマレイネート樹脂、並びにこれら2種以上を組合せたものを挙げることができる。
特に、1)水溶性ポリビニルブチラール単独や、2)ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの組合せが好ましい。
ポリビニルアルコールは、鹸化率が80モル%以上であるものが好ましく、ポリビニルピロリドンの含有率は中間層固形分の1〜75質量%が一般的であり、1〜60質量%が好ましく、特に好ましくは10〜50質量%である。この範囲とすると、感光性樹脂層との接着性が充分に得られ、感光性樹脂層用塗布液に対する耐溶剤性を損なうこともない。
中間層の層厚は、約0.1〜5μmが好適であり、特に0.5〜2μmが好ましい。この範囲とすると、感光性樹脂層用塗布液に対する耐溶剤性を有し、塗布速度の任意選択と乾燥を制限なく行なうことができる。
中間層用塗布液の溶媒は水単独か、水と混和性の有機溶剤と水との混合物から選ばれる。下層となる熱可塑性樹脂層との接着性を高めるために、熱可塑性樹脂層を若干膨潤させ得るように選択するのが好ましい。好ましい溶媒の例としては水/メタノール、水/エタノール、水/プロパノール、水/メトキシエタノール、水/メトキシプロパノール、水/アセトンなどを挙げることができる。水とこれらの有機溶剤の組成比は質量比で99/1〜50/50の範囲から選択できる。この範囲とすることで、溶剤の添加効果が得られると共に、水溶性樹脂の充分な溶解性を得ることができる。
中間層は、熱可塑性樹脂層上に一般に知られた塗布方法、例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、スリットコート法などにより、中間層用塗布液を塗布することによって形成することができる。
−保護フィルム−
保護フィルムは、転写材料を保存する際の、感光性樹脂層への不純物の付着や損傷を避けるために設けることが好ましく、薄い保護フィルムが好ましい。
保護フィルムは、仮支持体と同一か又は類似の材料からなるものでもよいが、使用時には感光性樹脂層から容易に分離可能なもので構成する必要がある。
また、保護フィルムは、感光性樹脂層と接触する面の平滑性が重要であり、約0.01μm程度の突起があると感光性樹脂層への損傷となるので問題になりやすい。そのため、保護フィルムとする材料としては、例えば、シリコン紙、ポリオレフィンもしくはポリテトラフルオルエチレンシートが好ましい。特に好ましくは、ポリプロピレンフィルムまたはポリエチレンフィルムである。
保護フィルムの厚みは、1〜100μmが好適であり、3〜50μmが好ましく、特に好ましくは5〜20μmである。この範囲であると、強度を維持でき、感光性樹脂層との間の接着性も維持できる。
〜転写材料の製造方法〜
本発明の転写材料は、例えば、好ましくは帯電防止層と接着性表面とを有する仮支持体の前記接着性表面上に、熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布し、乾燥させることにより、アルカリ可溶性の熱可塑性樹脂層を塗設し、その後この熱可塑性樹脂層上に該層を溶解しないがある程度膨潤させる溶媒を用いてなる中間層用塗布液を塗布し、乾燥させて中間層を積層した後、更に該中間層を溶解しない溶剤を用いて調製された感光性樹脂層用塗布液を塗布し、乾燥させて感光性樹脂層を積層する。その後、保護フィルムを感光性樹脂層上にラミネートして作製できる。
上記の各層を形成するための塗布液は、既述のように一般に知られた塗布方法により塗布することができる。
上記のうち、本発明の転写材料の製造方法は、既述の本発明の転写材料を作製するものであって、仮支持体上への感光性樹脂層の塗設をスリット状ノズルを有する塗布装置を用いた塗布により行なうことを特徴するものである。すなわち、感光性樹脂層は、液を吐出する部分にスリット状の穴を有するスリット状ノズルを用いて行なうスリットコート法により形成される。スリット状ノズルを用いることによって、より均一厚の層形成が可能である。
具体的には、特開2004−89851号公報、特開2004−17043号公報、特開2003−170098号公報、特開2003−164787号公報、特開2003−10767号公報、特開2002−79163号公報、特開2001−310147号公報等に記載のスリット状ノズル、及びスリットコーターが好適に用いられる。
上記による以外に、仮支持体上に該仮支持体側から順に熱可塑性樹脂層及び中間層を設けた第1シートと、保護フィルム上に感光性樹脂層を設けた第2シートとを用意し、第1シートの中間層表面と感光性樹脂層の表面とが接するように貼り合せることによって作製することもできる。また更に、仮支持体上に熱可塑性樹脂層を設けた第1シートと、保護フィルム上に該保護フィルム側から順に感光性樹脂層及び中間層を設けた第2シートとを用意し、第1シートの中間層表面と第2シートの熱可塑性樹脂層の表面とが接するように貼り合せることによって作製することもできる。
本発明の転写材料は、既述したように、金属粒子及び/又は金属化合物粒子を含有して薄膜で高い黒濃度を有し、遮光性に優れた感光性樹脂層を設けてなるものであるため、高度の遮光性が要求される用途に好適であり、特にブラックマトリクスなどに代表される遮光膜の形成に好適である。
<遮光膜の作製方法>
本発明の遮光膜の作製方法は、既述の本発明の遮光膜用感光性樹脂組成物を基板上に直に塗布する方法(塗布法)、又は一旦既述の本発明の遮光膜用感光性樹脂組成物を用いて構成された転写材料の感光性樹脂層を基板上に転写する方法(転写法)により遮光膜を作製するものである。
本発明の遮光膜の作製方法により作製される遮光膜は、本発明の遮光膜用感光性樹脂組成物を用いてなるので、薄膜で黒濃度が高く遮光性に優れる。そのため、ブラックマトリクスなど薄膜が求められる用途に好適であり、その場合には、0.2〜1.3μmの範囲が好適であり、0.3〜0.8μmの範囲がより好適である。
本発明の第1の遮光膜の作製方法は、塗布法によるものである。すなわち、基板上に、既述の本発明の遮光膜用感光性樹脂組成物を塗布し、乾燥させて感光性樹脂層を形成する工程(塗布工程)と、塗布工程で形成された感光性樹脂層をパターン状に露光する工程(パターン露光工程)と、塗布工程で形成された感光性樹脂層を加熱する工程(加熱工程)と、少なくとも露光後の感光性樹脂層を現像して未露光部を除去する工程(現像工程)とで構成したものである。
また、本発明の第2の遮光膜の作製方法は、転写法によるものである。すなわち、既述の本発明の転写材料を用いて、仮支持体上の少なくとも1層の感光性樹脂層を基板に転写する工程(転写工程)と、転写工程で転写された感光性樹脂層をパターン状に露光する工程(パターン露光工程)と、転写工程で転写された感光性樹脂層を加熱する工程(加熱工程)と、少なくとも露光後の感光性樹脂層を現像して未露光部を除去する工程(現像工程)とで構成したものである。
転写法におけるパターン露光工程、加熱工程、及び現像工程は、前記塗布法の場合と同様にして行なえる。
塗布工程又は転写工程の後、パターン露光工程と加熱工程とはいずれが前工程であってもよいし、同時工程であってもよく、また、加熱工程と現像工程とはいずれが前工程であってもよいし、同時工程であってもよい。
以下、各工程について説明する。
−塗布工程−
塗布法における塗布工程では、被塗物である基板上に、既述の本発明の遮光膜用感光性樹脂組成物を塗布し、乾燥させて感光性樹脂層を形成する。塗布には、一般に知られた塗布方法、例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、スリットコート法などを適用することができる。
中でも、液を吐出する部分にスリット状の穴を有するスリット状ノズルを用いて行なうスリットコート法が好ましく、スリット状ノズルを有する塗布装置(スリットコーター)を用いて好適に塗布することができる。
塗布厚は、最終的に得られる遮光膜の膜厚が前記範囲となる範囲で適宜選択すればよい。
前記基板には、透明基板が好適であり、例えば、表面に酸化ケイ素皮膜を有するソーダガラス板、低膨張ガラス、ノンアルカリガラス、石英ガラス板等の公知のガラス板、あるいはプラスチックスフィルム等を挙げることができる。また、基板は、予めカップリング処理を施しておくことにより、本発明の組成物、又は本発明の転写材料の感光性樹脂層との間の密着を良好にすることができる。カップリング処理としては、特開2000−39033記載の方法が好適に用いられる。
−転写工程−
転写法における転写工程では、既述の本発明の転写材料を用いて、仮支持体上に設けられている少なくとも1層の感光性樹脂層を基板に転写する。
基板への感光性樹脂層の転写は、基板の被転写面(先行パターンや薄膜が既に形成されているときはその形成面)を洗浄後、転写材料から保護フィルムを剥離除去し、基板の洗浄面と転写材料の露出した感光性樹脂層の表面とを、ラミネーターのヒートローラーにより加熱加圧下で貼り合せて積層体とし、この積層体から仮支持体を剥離して基板上に転写する。ラミネーターは、市販のラミネーターを適宜選択することができる。
転写時のヒートローラーの温度は、50℃〜150℃が好ましく、圧着時の線圧は、5Kg/cm〜25Kg/cmが好ましい。また、ラミネート速度は、搬送速度で0.2〜4m/分が好ましい。
特に好ましい条件としては、加圧と共に加熱可能な加熱圧着ロールを用い、加熱圧着ロール温度130〜140℃、圧着時の線圧10〜15Kg/cm、搬送速度1〜3m/分である。
−パターン露光工程−
パターン露光工程では、塗布工程又は転写工程で形成された感光性樹脂層をパターン状に露光する。本工程は、後述の加熱工程の前工程として行なってもよいし、加熱工程の後工程として行なってもよく、また、加熱工程と同時に行なうようにすることもできる。
露光は、形成された感光性樹脂層に、所定のパターンのマスクを介して光を照射することによって行なえ、後述の現像工程を経た際に所望のパターンが得られるように潜像を形成する。すなわち、露光領域では、光酸発生剤から酸(H+)が生成され、酸の触媒作用によりバインダー樹脂と架橋剤との間で架橋反応して架橋体を形成し、パターン状に重合硬化する。
光源としては、例えば、g線(波長436nm)、i線(波長365nm)、超高圧水銀灯、キセノン灯、カーボンアーク灯、アルゴンレーザー等の公知の光源からの連続状及び/又は輝線状の紫外線、KrFエキシマレーザー等の遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線等の荷電粒子線などが挙げられる。中でも、g線、i線、及びこれらを含む300〜440nmの波長領域の紫外線が好ましい。特開平6−59119号公報に記載のように、400nm以上の波長の光透過率が2%以下である光学フィルター等を併用してもよい。
−加熱工程−
加熱工程では、前記パターン露光工程でのパターン露光後あるいはパターン露光時に、加熱(ベーク)処理を行なう。パターン露光時に発生した酸の存在下で架橋反応が開始後、更にパターン露光された露光領域を加熱することによって酸の拡散を促進し、感光性樹脂層の表面近傍から厚み方向に向かって架橋反応が促され、膜深部まで感光性樹脂層の重合硬化を良好に行なう。本発明においては、形成された感光性樹脂層は薄膜に構成されるため、酸の不要な拡散(例えば厚み方向である縦方向に対する横方向などへの拡散)が抑えられ、パターンの線太りを防止して高解像度の細線を得ることができる。
本工程は、上記のパターン露光工程の前工程として行なうことができ、パターン露光工程の後工程として行なうこともでき、パターン露光工程と同時(パターン露光前から加熱することを含む。)に行なうようにすることもできる。また、本工程は、後述の現像工程の前工程として行なってもよいし、現像工程の後工程として行なってもよく、また、現像工程と同時に行なうようにすることもできる。なお、感光性樹脂層は、現像後には感光性を消失しているが、本明細書中では説明の簡易化の観点から感光性樹脂層と記載することがある。
ベーク処理の条件は、光酸発生剤、架橋剤等により異なるが、80〜140℃、好ましくは100〜120℃にて15秒〜3分、好ましくは15秒〜1分が公的である。
−現像工程−
現像工程では、露光後及び、前工程に加熱工程を設けた場合には加熱後の感光性樹脂層を現像処理して未露光部を現像除去し、パターンを顕在化させる。現像は、弱アルカリ現像液を用い、温度26〜40℃、pH9〜11の条件下で行なうのが好ましい。
この現像工程は、主に感光性樹脂層の現像によるパターン化を施すために設けられるが、転写法における転写工程により感光性樹脂層を形成した場合には、感光性樹脂層と共に熱可塑性樹脂層及び中間層が積層された状態にあるため、熱可塑性樹脂層及び中間層を除去するための第1のアルカリ現像と、感光性樹脂層の未露光部を除去するための第2のアルカリ現像とで構成されるのが望ましい。
この場合、第1のアルカリ現像は、弱アルカリ現像液を用い、温度26〜40℃、pH9〜11の条件下で行ない、第2のアルカリ現像は、上記同様に弱アルカリ現像液を用いて温度26〜40℃、pH9〜11の条件下で行なうのが好ましい。
感光性樹脂層現像用の現像液としては、アルカリ性物質の希薄水溶液を用いることができ、これに更に水と混和性の有機溶剤を少量添加したものを用いてもよい。
適当なアルカリ性物質としては、アルカリ金属水酸化物類(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、アルカリ金属炭酸塩類(例、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)、アルカリ金属重炭酸塩類(例、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)、アルカリ金属ケイ酸塩類(例、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム)、アルカリ金属メタケイ酸塩類(例、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム)、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、テトラアルキルアンモンニウムヒドロキシド類(例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド)、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ〔4,3,0〕−5−ノナン、又は燐酸三ナトリウム等を挙げることができる。
水と混和性の有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等を好適に挙げることができる。水と混和性の有機溶剤の濃度は、0.1〜30質量%が一般的である。
また、現像液には、さらに公知のアニオン型もしくはノニオン型の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の濃度は、0.01〜10質量%が好ましい。現像液は、浴液として、あるいは噴霧液として用いることができ、現像方法については、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法、スプレイ法等を利用することができる。
本工程は、前記加熱工程の前工程として行なってもよいし、加熱工程の後工程として行なってもよく、また、加熱工程と同時に行なってもよい。
既述のように、本発明の遮光膜用感光性樹脂組成物を用いることによって、薄膜で高濃度を有し、かつ高解像度の遮光膜を得ることができる。特に、表示装置を構成する液晶表示素子(特にカラーフィルタ)のブラックマトリクス(ここでいうブラックマトリクスは、画素間に配置される黒色部であり、ストライプ状や格子状にものなどがある。)を得るのに有用である。また、本発明の転写材料及び遮光膜の作製方法による場合も同様である。
ブラックマトリックスは、液晶表示を行なう液晶セルに対して着色された各画素毎に電圧印加を行なう必要から、遮光性のみならず、電気絶縁性を兼ね備える必要がある。具体的には、ブラックマトリックスの体積抵抗値は、1×108Ω・cm以上に保持することが好ましい。IPS方式では電界が液晶層面内方向にかかるが、対向基板のブラックマトリックスの電気抵抗が前記範囲にあると電界を正常に印加し得、液晶配向に乱れや表示ムラのない表示が可能となる。したがって、IPS方式の液晶表示装置に用いるブラックマトリックスは、高い遮光性を有するだけでなく高い抵抗値を示す必要がある。体積抵抗値を前記範囲とするには、ブラックマトリックスを体積抵抗値1Ω・cm以上の粒子とポリマーとからなり、該ブラックマトリックスの表面粗度を100オングストローム以下にすることが好ましい。
ここで、体積抵抗値は、単位面積、単位長さ当たりの抵抗値を示し、ポリマー体積抵抗率の測定と同様に、ガードリング付きの三端子法でブラックマトリックスをなす遮光膜用感光性樹脂組成物の塗布膜の上下に設けられた電極面に所定の電圧を印加したときの電流値から求められる。また、基板上に形成された互いに対向する対向電極を遮光膜用感光性樹脂組成物で覆い、この対向電極間に所定の電圧を印加して電流値及び電極形状をもとに求めてもよい。
また、ブラックマトリクスの電圧保持率は80%以上が好ましく、より好ましくは90%以上である。電圧保持率が前記範囲内であると、イオン性物質等の不純物が液晶中に溶出して液晶層へのイオン性物質が混入する等に伴なう白ムラ等の発生がなく、良好な表示画像が得られる。電圧保持率を80%以上とするには、ブラックマトリクスの形成時に用いる光酸発生剤の量、加熱条件等を調整して架橋度を高めることが好ましい。電圧保持率を80%以上とすることにより、特に高温高湿等の厳しい表示条件下での長時間表示であっても、焼付きや白ムラ等の表示不良の発生が防止され、表示品質に優れた液晶表示装置が可能となる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は質量基準である。
(実施例1)
(1)感光性転写シートの作製
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET仮支持体)を用意し、このPET仮支持体上に、下記組成よりなる塗布液を塗布し、乾燥させて、乾燥層厚が20μmの熱可塑性樹脂層を形成した。
〈熱可塑性樹脂層溶塗布液の組成〉
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=55/11.7/4.5/28.8[モル比])共重合体 …15部
(重量平均分子量90000)
・ポリプロピレングリコールジアクリレート
(平均分子量822) … 6.5部
・テトラエチレングリコールジメタクリレート … 1.5部
・p−トルエンスルホンアミド … 0.5部
・ベンゾフェノン … 1.0部
・メチルエチルケトン …30部
次いで、上記より形成された熱可塑性樹脂層の上に、下記組成よりなる塗布液を塗布し、乾燥させて、乾燥層厚が1.6μmの中間層を形成した。
〈中間層用塗布液の組成〉
・ポリビニルアルコール
(PVA−205、鹸化率80%、(株)クラレ製)… 130部
・ポリビニルピロリドン … 60部
(GAFコーポレション製 PVP K−90)
・フッ素系界面活性剤
(サーフロンS−131、旭硝子(株)製) … 10部
・蒸留水 …3350部
次いで、下記組成よりなる黒色感光性樹脂層用塗布液を調製し、この黒色感光性樹脂層用塗布液を中間層の上に更に塗布し、乾燥させて、乾燥層厚が0.60μmのAg粒子含有の黒色感光性樹脂層を形成した。その後、黒色感光性樹脂層の表面に保護フィルムとしてポリプロピレンフィルムを貼り付けた。得られた黒色感光性樹脂層の透過光学濃度は4.0であり、単位層厚(1μm)当りの透過光学濃度(透過光学濃度/黒色感光性樹脂層の層厚)は6.7であった。
以上のようにして、PET仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/黒色感光性樹脂層/保護フィルムの積層構造に構成された本発明の感光性転写シートを作製した。
本実施例では、透過光学濃度を以下のようにして求めた。
分光光度計UV−2100(島津製作所(株)製)を用いて、感光性転写シート(保護フィルムなし)の透過光学濃度(OD)を波長555nmで測定すると共に、さらに黒色感光性樹脂層形成前の、熱可塑性樹脂層及び中間層が形成されたPET仮支持体の透過光学濃度(OD0)を同様の方法で測定し、得られたODからOD0を差し引いた値(透過OD;=OD−OD0)を透過光学濃度とした。
〈黒色感光性樹脂層用塗布液の組成〉
・メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体 … 19.98部
(モル比:28/72、重量平均分子量:30000)
・架橋剤(MW−30M、三和ケミカル(株)製) … 4.76部
・Ag粒子(平均粒子径80nm) … 51.3部
・界面活性剤 … 0.17部
(大日本インキ化学工業(株)製、F177P)
・光酸発生剤 … 2.38部
(2,4−ビス(トリクロロ)−6,4−[4−N,N−ジエトキシカルボメチル)−3−ブロモフェニル−s−トリアジン)
・メチルエチルケトン …106.80部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
… 44.70部
(2)転写法による画像形成
上記より得た感光性転写シートから保護フィルムを剥がし、露出した黒色感光性樹脂層の表面を、厚さ1.1mmのガラス基板の表面と接するようにラミネータ(LamicII型、(株)日立インダストリイズ製)を用いて130℃、0.2m/min、10Kg/cmの条件で貼り合せ、PET仮支持体を剥離して黒色感光性樹脂層を熱可塑性樹脂層及び中間層と共に転写し、光学濃度4.0の黒色感光性樹脂層が転写形成されたガラス基板を得た。
続いて、この黒色感光性樹脂層の表面に、フォトマスクを介して400mj/cm2にてパターン状に露光を行ない、露光を修了して1分経過した後、140℃に加熱されたホットプレート上にガラス基板面で接するようにして載置して12秒間加熱処理(露光後ベーク)を行なった。
露光後ベークの後、熱可塑性樹脂層及び中間層の除去用のアルカリ現像液T−PD2(富士写真フイルム(株)製)の10倍希釈液(33℃、pH=10.7)を用いて熱可塑性樹脂層及び中間層を現像除去し、さらに水洗処理した後、続けて黒色感光性樹脂層の未露光部を、アルカリ現像液T−CD(富士写真フイルム(株)製)の5倍希釈液(33℃、pH=9.9)を用いて現像し、水洗処理を行なって、ガラス基板上に遮光性の黒色画像を形成した。
(3)評価
下記のようにして測定、評価を行ない、測定、評価の結果を下記表1に示す。
−1.解像度−
上記より得た感光性転写シートを用い、前記同様にしてガラス基板上に黒色感光性樹脂層を転写形成し、形成された黒色感光性樹脂層を、50μm〜4μmまで2μm間隔毎に狭くなるライン状のパターンを有するマスクを用いて、パターン露光した。その後、前記同様に現像処理を行ない、ラインが残っている部分のライン幅(μm)を光学顕微鏡を用いて計測し、これを解像度とした。値の小さい方が解像度に優れることを示す。
−2.表示ムラ−
黒色画像が形成されたガラス基板に対し、下記のようにして着色画素を形成してカラーフィルタとし、レーザー顕微鏡等を用いた膜厚測定により突起の有無を評価した。ここでの突起は、画像表示した際に表示ムラを起こす一因となるものであり、着色画素を設けたときの着色画素と黒色画像との重なり部分が角状の突起となって起きるものである。
〈カラーフィルタの作製〉
−感光性樹脂転写材料の作製−
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体(PET仮支持体)の上に、スリット状ノズルを用いて、下記処方H1からなるクッション層用塗布液を塗布、乾燥させてクッション層を形成した。次に、このクッション層上に下記処方P1からなる中間層用塗布液を塗布、乾燥させて中間層(酸素遮断膜)を積層した。この中間層上に更に、下記表1に記載の組成よりなる着色感光性樹脂組成物R2を塗布、乾燥させて感光性樹脂層を積層した。このようにして、PET仮支持体の上に、乾燥膜厚が14.6μmの熱可塑性樹脂層と乾燥膜厚が1.6μmの中間層と乾燥膜厚が2.4μmの感光性樹脂層を設け、感光性樹脂層上には保護フィルム(厚さ12μmポリプロピレンフィルム)を圧着した。
Figure 2006284947
上記のようにして、仮支持体と熱可塑性樹脂層と中間層(酸素遮断膜)と赤色の感光性樹脂層とが積層されて積層体に構成された感光性樹脂転写材料を作製した(以下、感光性樹脂転写材料R2と称する)。
〔クッション層用塗布液の処方H1〕
・メタノール …11.1部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート … 6.4部
・メチルエチルケトン …52.4部
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 … 5.83部
〔共重合比(モル比)=55/11.7/4.5/28.8、重量平均分子量=10万、Tg≒70℃〕
・スチレン/アクリル酸共重合体 …13.6部
〔共重合比(モル比)=63/37、重量平均分子量=1万、Tg≒100℃〕
・ビスフェノールAにペンタエチレングリコールモノメタクリートを2当量脱水縮合した化合物(新中村化学工業(株)製、2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン) … 9.1部
・界面活性剤1 … 0.54部
*界面活性剤1:
メガファックF−780−F(大日本インキ化学工業(株)製)
〔組成〕
・C613CH2CH2OCOCH=CH2(40部)とH(O(CH3)CHCH27OCOCH=CH2(55部)とH(OCH2CH27OCOCH=CH2(5部)との共重合体(重量平均分子量3万)…30部
・メチルイソブチルケトン…70部
〔中間層用塗布液の処方P1〕
・ポリビニルアルコール … 2.1部
(PVA−205(鹸化率=88%)、(株)クラレ製)
・ポリビニルピロリドン … 0.95部
(PVP、K−30;GAFコーポレーション社製)
・メタノール …44部
・蒸留水 …53部
次に、得られた感光性樹脂転写材料R2の作製において用いた前記着色感光性樹脂組成物R2を、前記表1に記載の組成よりなる着色感光性樹脂組成物G2及びB2に代えたこと以外は、上記と同様の方法により、感光性樹脂転写材料G2及びB2を作製した。
着色感光性樹脂組成物R2、G2及びB2の調製方法は、それぞれ前記表1中の着色感光性樹脂組成物R1、G1及びB1の調製方法に準ずるものとし、着色感光性樹脂組成物R1、G1及びB1の調製方法は後記する。なお、着色感光性樹脂組成物R2の調製は、着色感光性樹脂組成物R1の調製方法において、フェノチアジン等の添加後、界面活性剤1の添加前に、前記表1に記載の量の添加剤1をはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150r.p.m.で20分間攪拌するようにした。
*添加剤1:燐酸エステル系特殊活性剤(HIPLAAD ED152、楠本化成(株)製)
−レッド(R)画素の形成−
前記感光性樹脂転写材料R2の保護フィルムを剥離後、露出した感光性樹脂層が、上記より遮光膜(遮光性の黒色画像)が形成されたガラス基板の表面と接するように重ね合わせ、ラミネータLamicII型〔(株)日立インダストリイズ製〕を用いて、ゴムローラ温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分の条件にてラミネートした。次いで、PET仮支持体を剥離してガラス基板上に転写した。
次に、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立電子エンジニアリング(株)製)を用い、マスク(画像パターンを有する石英露光マスク)と、該マスクと熱可塑性樹脂層とが向き合うように配置したガラス基板とを略平行に垂直に立てた状態で、マスク面と感光性樹脂層の中間層に接する側の表面との間の距離を200μmに設定し、マスクを介して熱可塑性樹脂層側から露光量40mJ/cm2でパターン露光した。
次に、トリエタノールアミン系現像液(2.5%のトリエタノールアミン、ノニオン界面活性剤、及びポリプロピレン系消泡剤含有;商品名:T−PD1、富士写真フイルム(株)製)にて30℃で50秒間、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像し、熱可塑性樹脂層と酸素遮断膜とを除去した。
次に、炭酸Na系現像液(0.06モル/リットルの炭酸水素ナトリウム、同濃度の炭酸ナトリウム、1%のジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アニオン界面活性剤、消泡剤、及び安定剤を含有;商品名:T−CD1、富士写真フイルム(株)製)を用いて、35℃で35秒間、コーン型ノズル圧力0.15MPaでシャワー現像し、パターン画素を得た。
次に、洗浄剤(燐酸塩、珪酸塩、ノニオン界面活性剤、消泡剤、及び安定剤含有;商品名:T−SD1、富士写真フイルム(株)製)を用いて、33℃で20秒間、コーン型ノズル圧力0.02MPaでシャワーとナイロン毛を有す回転ブラシを用いて残渣除去を行なうことにより、レッド(R)画素を形成した。その後さらに、この基板に対し、K画像が形成されている側から超高圧水銀灯により500mJ/cm2の光でポスト露光した後、220℃で15分間熱処理した。
R画素の厚みは2.0μmであり、C.I.ピグメント・レッド(C.I.P.R.)254、C.I.P.R.177の塗布量はそれぞれ0.88g/m2、0.22g/m2であった。
その後、R画素が形成されたガラス基板を再び、上記のように洗浄剤を用いてブラシ洗浄し、純水でシャワー洗浄した後、シランカップリング液は使用せずに、基板予備加熱装置により100℃で2分間加熱した。
−グリーン(G)画素の形成−
次に、上記より得た感光性樹脂転写材料G2を用い、前記R画素の形成と同様の工程を行ない、ガラス基板の遮光膜及びR画素が形成されている側にグリーン画素(G画素)を形成した。但し、露光工程での露光量は40mJ/cm2、炭酸Na系現像液によるシャワー現像は34℃で45秒間とし、熱処理は220℃で15分間とした。
G画素の厚みは2.0μmであり、C.I.ピグメント・グリーン(C.I.P.G.)36、C.I.ピグメント・イエロー(C.I.P.Y.)150の塗布量はそれぞれ1.12g/m2、0.48g/m2であった。
その後、R画素及びG画素が形成されたガラス基板を再び、上記のように洗浄剤を用いてブラシ洗浄し、純水でシャワー洗浄した後、シランカップリング液は使用せずに、基板予備加熱装置により100℃で2分間加熱した。
−ブルー(B)画素の形成−
次に、上記より得た感光性樹脂転写材料B2を用い、前記R画素の形成と同様の工程を行ない、ガラス基板の遮光膜並びにR画素及びG画素が形成されている側にブルー画素(B画素)を形成した。但し、露光工程での露光量は30mJ/cm2、炭酸Na系現像液によるシャワー現像は36℃で40秒間とした。
B画素の厚みは2.0μmであり、C.I.ピグメント・ブルー(C.I.P.B.)15:6、C.I.ピグメント・バイオレット(C.I.P.V.)23の塗布量はそれぞれ0.63g/m2、0.07g/m2であった。
その後、R、G,Bの各画素が形成されたガラス基板を240℃で50分間ベークし、カラーフィルタを得た。
(実施例2)
実施例1と同様にして、黒色感光性樹脂層用塗布液を調製した。次に、厚さ1.1mmのガラス基板を用意し、このガラス基板上に、得られた黒色感光性樹脂層用塗布液を乾燥膜厚が0.60μmになるように、スリット&スピンコーターを用いて塗布し、乾燥させて、黒色感光性樹脂層を塗設した。
ここで、黒色感光性樹脂層の実施例1と同様にして測定した透過光学濃度は4.0であり、単位層厚(1μm)当りの透過光学濃度(透過光学濃度/黒色感光性樹脂層の層厚)は6.7であった。
続いて、塗設した黒色感光性樹脂層の表面に、フォトマスクを介して400mj/cm2にてパターン状に露光を行ない、露光を修了して1分経過した後、140℃に加熱されたホットプレート上にガラス基板面で接するようにして載置して12秒間加熱処理(露光後ベーク)を行なった。
露光後ベークの後、熱可塑性樹脂層及び中間層の除去用のアルカリ現像液T−PD2(富士写真フイルム(株)製)の10倍希釈液(33℃、pH=10.7)を用いて熱可塑性樹脂層及び中間層を現像除去し、さらに水洗処理し、続けて黒色感光性樹脂層の未露光部を、アルカリ現像液T−CD(富士写真フイルム(株)製)の5倍希釈液(33℃、pH=9.9)を用いて現像し、水洗処理を行なって、ガラス基板上に遮光性の黒色画像を形成した。その後、実施例1と同様の評価を行なった。但し、カラーフィルタの形成は以下のようにして行なった。
〈カラーフィルタの作製(スリット&スピンコーターによる塗布)〉
−レッド(R)画素の形成−
上記のように遮光膜(遮光性の黒色画像)が形成されたガラス基板の遮光膜形成面側に、スリット&スピンコーターにて、前記表1に記載の組成よりなる着色感光性樹脂組成物R1を塗布した。引き続き、真空乾燥機VCD(東京応化社製)を用いて30秒間溶媒の一部を乾燥させて塗布膜の流動性をなくした後、EBR(エッジ・ビード・リムーバー)にて基板周囲の不要な塗布液を除去し、120℃で3分間プリベークして膜厚2.4μmの感光性樹脂層R1を形成した。
次に、超高圧水銀灯を備えたプロキシミティー型露光機(日立電子エンジニアリング社製)を用い、マスク(画像パターンを有する石英露光マスク)と感光性樹脂層R1が設けられたガラス基板とを垂直に立てた状態で、マスク面と感光性樹脂層R1の表面との間の距離を200μmとし、露光量150mJ/cm 2 でパターン露光した。
次に、純粋をシャワーノズルから噴霧し、感光性樹脂層R1の表面を均一に湿らせた後、KOH系現像液CDK−1(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製;KOH及びノニオン界面活性剤含有アルカリ現像液)を、フラットノズルから23℃、ノズル圧力0.04MPaにて60秒間噴射してシャワー現像し、レッドパターンを得た。続いて、ガラス基板のレッドパターンが形成された側に超純水を超高圧洗浄ノズルにより9.8MPaの圧力で噴射して残渣を除去し、ガラス基板上にレッド(R)画素を形成した。その後、220℃で30分間熱処理(ベーク)した。
R画素の厚みは1.6μmであり、C.I.ピグメント・レッド(C.I.P.R.)254、C.I.P.R.177の塗布量はそれぞれ0.88g/m2、0.22g/m2であった。
−グリーン(G)画像の形成−
次に、前記遮光膜及びR画素が形成されたガラス基板に、前記表1に示す組成よりなる着色感光性樹脂組成物G1を用い、前記R画素の形成と同様にして塗布、露光、現像、及びベークを行ない、ガラス基板の遮光膜及びR画素が形成されている側にグリーン画素(G画素)を形成した。但し、露光工程での露光量は150mJ/cm 2 とし、現像工程でのシャワー現像は23℃で60秒間とし、熱処理は220℃で30分間とした。
G画素の厚みは1.6μmであり、C.I.ピグメント・グリーン(C.I.P.G.)36、C.I.ピグメント・イエロー(C.I.P.Y.)150の塗布量はそれぞれ1.12g/m2、0.48g/m2であった。
−ブルー(B)画像の形成−
次に、前記遮光膜並びにR画素及びG画素が形成されたガラス基板に、前記表1に示す組成よりなる着色感光性樹脂組成物B1を用い、前記R画素の形成と同様にして塗布、露光、現像、及びベークを行ない、ガラス基板の遮光膜並びにR画素及びG画素が形成されている側にブルー画素(B画素)を形成した。但し、露光工程での露光量は150mJ/cm 2 とし、現像工程でのシャワー現像は23℃で60秒間とし、熱処理は220℃で30分間とした。
B画素の厚みは1.6μmであり、C.I.ピグメント・ブルー(C.I.P.B.)15:6及びC.I.ピグメント・バイオレット(C.I.P.V.)23の塗布量はそれぞれ0.63g/m2、0.07g/m2であった。
その後、R、G,Bの各画素が形成されたガラス基板を240℃で50分間ベークし、カラーフィルタを得た。
ここで、前記表1に記載の着色感光性樹脂組成物R1、G1及びB1の調製について説明する。
〈着色感光性樹脂組成物R1の調製〉
着色感光性樹脂組成物R1は、前記表1に記載の量のR顔料分散物1、R顔料分散物2、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150r.p.m.で10分間攪拌し、次いで、前記表1に記載の量のメチルエチルケトン、バインダー2、DPHA液、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルメチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボニルメチル)−3−ブロモフェニル]−s−トリアジン、及びフェノチアジンをはかり取り、温度24℃(±2℃)でこの順に添加して150r.p.m.で30分間攪拌し、更に、前記表1に記載の量の界面活性剤1をはかり取り、温度24℃(±2℃)で添加して30r.p.m.で30分間攪拌し、ナイロンメッシュ#200で濾過することによって得た。
なお、前記表1に記載の組成物R1中の各組成の詳細は以下の通りである。また、界面活性剤1の組成は既述の通りである。
*R顔料分散物1の組成
・C.I.ピグメント・レッド254…8.0部
・5−[3−オキソ−2−[4−[3,5-ビス(3−ジエチルアミノプロピルアミノカルボニル)フェニル]アミノカルボニル]フェニルアゾ]−ブチロイルアミノベンズイミダゾロン…0.8部
・ポリマー〔ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=72/28[モル比])のランダム共重合物(重量平均分子量37,000)〕…8.0部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート…83.2部
*R顔料分散物2の組成
・C.I.ピグメント・レッド177…18部
・ポリマー〔ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=72/28[モル比])のランダム共重合物(重量平均分子量37,000)〕…12部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート…70部
*バインダー2の組成
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メチルメタクリレート(=38/25/37[モル比])のランダム共重合物(重量平均分子量30,000)…27部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート…73部
*添加剤1:燐酸エステル系特殊活性剤(HIPLAAD ED152、楠本化成(株)製)
*DPHA液の組成
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名:KAYARAD DPHA、日本化薬(株)製)…76部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル…24部
〈着色感光性樹脂組成物G1の調製〉
着色感光性樹脂組成物G1は、前記表1に記載の量のG顔料分散物1、Y顔料分散物1、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150r.p.m.で10分間攪拌し、次いで、前記表1に記載の量のメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、バインダー1、DPHA液、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルメチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボニルメチル)−3−ブロモフェニル]−s−トリアジン、及びフェノチアジンをはかり取り、温度24℃(±2℃)でこの順に添加して150r.p.m.で30分間攪拌し、更に、前記表1に記載の量の界面活性剤1をはかり取り、温度24℃(±2℃)で添加して30r.p.m.で5分間攪拌し、ナイロンメッシュ#200で濾過することによって得た。
なお、前記表1に記載の組成物G1中の各組成の詳細は以下の通りである。また、DPHA液及び界面活性剤1の組成については既述の通りである。
*G顔料分散物1の組成
・C.I.ピグメント・グリーン36…18部
・ポリマー〔ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=72/28[モル比])のランダム共重合物(重量平均分子量37,000)〕…12部
・シクロヘキサノン…35部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート…35部
*Y顔料分散物1
商品名:CFエローEX3393(御国色素社製)
*バインダー1
・ポリマー〔ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=78/22[モル比])のランダム共重合物(分子量40,000)〕…27部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート…73部
〈着色感光性樹脂組成物B1の調製〉
着色感光性樹脂組成物B1は、前記表1に記載の量のB顔料分散物1、B顔料分散物2、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150r.p.m.で10分間攪拌し、次いで、前記表1に記載の量のメチルエチルケトン、バインダー3、DPHA液、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルメチル)−1,3,4−オキサジアゾール、及びフェノチアジンをはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150r.p.m.で30分間攪拌し、更に、前記表1に記載の量の界面活性剤1をはかり取り、温度24℃(±2℃)で添加して30r.p.m.で5分間攪拌し、ナイロンメッシュ#200で濾過することによって得た。
なお、前記表1に記載の組成物B1中の各組成の詳細は以下の通りである。また、DPHA液及び界面活性剤1の組成については既述の通りである。
*B顔料分散物1
商品名:CFブルーEX3357(御国色素社製)
*B顔料分散物2
商品名:CFブルーEX3383(御国色素社製)
*バインダー3の組成
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メチルメタクリレート(=36/22/42[モル比])のランダム共重合物(重量平均分子量30,000)…27部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート…73部
(実施例3)
実施例2において、スリット&スピンコーターを、スリット状ノズルを備えたガラス基板用コーターMH−1600(エフ・エー・エス・ジャパン社製)に代えたこと以外、実施例2と同様にして、ガラス基板上に遮光性の黒色画像を形成した。
黒色感光性樹脂層の実施例1と同様にして測定した透過光学濃度は4.0であり、単位層厚あたりの透過光学濃度(透過光学濃度/黒色感光性樹脂層の層厚)は6.7であった。また、実施例1と同様の評価を行なった。但し、カラーフィルタの形成は以下のようにして行なった。
〈カラーフィルターの作製(スリット状ノズルを用いた塗布による作製)〉
実施例2のカラーフィルタの作製において、スリット&スピンコーターをスリット状ノズルを備えたガラス基板用コーターMH−1600(エフ・エー・エス・ジャパン社製)に代えたこと以外、実施例2と同様にして、上記より得た遮光膜(遮光性の黒色画像)が形成されたガラス基板に、カラーフィルタを形成した。
(実施例4)
実施例1において、〈黒色感光性樹脂層用塗布液の組成〉中のAg粒子51.3部を、Ag粒子(平均粒子径80nm)41部及びカーボンブラック(CB)1.76部(添加体積比(Ag/CB)=80/20)に代えると共に、形成した黒色感光性樹脂層の乾燥層厚を0.70μmとしたこと以外、実施例1と同様にして、ガラス基板上に遮光性の黒色画像を形成した。
黒色感光性樹脂層の実施例1と同様にして測定した透過光学濃度は4.0であり、単位層厚あたりの透過光学濃度(透過光学濃度/黒色感光性樹脂層の層厚)は5.7であった。また、実施例1と同様の評価を行なった。
(実施例5)
実施例1において、〈黒色感光性樹脂層用塗布液の組成〉中のAg粒子51.3部を、Ag粒子(平均粒子径80nm)25.7部及びカーボンブラック(CB)4.4部(添加体積比(Ag/CB)=50/50)に代えると共に、形成した黒色感光性樹脂層の乾燥層厚を0.90μmとしたこと以外、実施例1と同様にして、ガラス基板上に遮光性の黒色画像を形成した。
黒色感光性樹脂層の実施例1と同様にして測定した透過光学濃度は4.0であり、単位層厚あたりの透過光学濃度(透過光学濃度/黒色感光性樹脂層の層厚)は4.4であった。また、実施例1と同様の評価を行なった。
(実施例6)
実施例1において、〈黒色感光性樹脂層用塗布液の組成〉中のAg粒子51.3部を、Ag粒子(平均粒子径80nm)10.3部及びカーボンブラック(CB)7.04部(添加体積比(Ag/CB)=20/80)に代えると共に、形成した黒色感光性樹脂層の乾燥層厚を1.00μmとしたこと以外、実施例1と同様にして、ガラス基板上に遮光性の黒色画像を形成した。
黒色感光性樹脂層の実施例1と同様にして測定した透過光学濃度は4.0であり、単位層厚あたりの透過光学濃度(透過光学濃度/黒色感光性樹脂層の層厚)は4.0であった。また、実施例1と同様の評価を行なった。
(実施例7)
実施例1において、〈黒色感光性樹脂層用塗布液の組成〉中のAg粒子51.3部を、下記より得た銀/硫化銀コアシェル粒子(平均粒子径90nm)51.3部に代えると共に、形成した黒色感光性樹脂層の乾燥層厚を0.80μmとしたこと以外、実施例1と同様にして、ガラス基板上に遮光性の黒色画像を形成した。
黒色感光性樹脂層の実施例1と同様にして測定した透過光学濃度は3.9であり、単位層厚(1μm)当りの透過光学濃度(透過光学濃度/黒色感光性樹脂層の層厚)は4.9であった。また、実施例1と同様の評価を行なった。
〈銀/硫化銀コアシェル粒子の作製〉
銀粒子のアセトン分散物(平均粒径30nm、濃度2.5質量%)200gにビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(=60/40[質量比]、重量平均分子量5000)を0.95g添加して、30分間攪拌した。次いで、これに濃度7.2質量%の硫化ナトリウム水溶液(23℃)を、攪拌しながら金属の硫化率が30%になるように添加し、添加終了後そのまま30分間攪拌を行なって、硫化銀のシェルを持つ銀/硫化銀コアシェル粒子を得た。
ここで、硫化率とは、金属粒子が硫化されている割合で、硫化率0%は全く硫化されていない状態を、100%は粒子全体が完全に硫化物になっている状態を表す。
(実施例8)
実施例1において、〈黒色感光性樹脂層用塗布液の組成〉中のAg粒子51.3部を、Sn粒子(平均粒子径36nm、短軸20nm、長軸50nm)51.3部に代えると共に、形成した黒色感光性樹脂層の乾燥層厚を0.90μmとしたこと以外、実施例1と同様にして、ガラス基板上に遮光性の黒色画像を形成した。
黒色感光性樹脂層の実施例1と同様にして測定した透過光学濃度は4.0であり、単位層厚(1μm)当りの透過光学濃度(透過光学濃度/黒色感光性樹脂層の層厚)は4.4であった。また、実施例1と同様の評価を行なった。
(実施例9)
実施例1において、〈黒色感光性樹脂層用塗布液の組成〉中のAg粒子51.3部を、Ag粒子(平均粒子径117nm、短軸60nm、長軸180nm)51.3部に代えると共に、形成した黒色感光性樹脂層の乾燥層厚を0.80μmとしたこと以外、実施例1と同様にして、ガラス基板上に遮光性の黒色画像を形成した。
黒色感光性樹脂層の実施例1と同様にして測定した透過光学濃度は4.0であり、単位層厚(1μm)当りの透過光学濃度(透過光学濃度/黒色感光性樹脂層の層厚)は5.0であった。また、実施例1と同様の評価を行なった。
(比較例1)
実施例1において、〈黒色感光性樹脂層用塗布液の組成〉中のAg粒子(51.3部)をカーボンブラック(21.17部)に代え、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体をアクリル樹脂に代えると共に、形成した黒色感光性樹脂層の乾燥層厚を1.50μmとしたこと以外、実施例1と同様にして、ガラス基板上に遮光性の黒色画像を形成した。
黒色感光性樹脂層の実施例1と同様にして測定した透過光学濃度は3.5であり、単位層厚(1μm)当りの透過光学濃度(透過光学濃度/黒色感光性樹脂層の層厚)は2.3であった。また、実施例1と同様の評価を行なった。
Figure 2006284947
前記表2に示すように、実施例では、露光後ベークを短時間で行ないながら、高解像度の黒色画像を形成することができ、形成された黒色画像は4.0の高濃度を有し、単位体積あたりの濃度も高めることができた。また、表示ムラもなく、良好な表示画像が得られた。
これに対し、金属粒子を用いずカーボンブラックのみ構成した比較例1では、黒色画像の濃度が低いばかりか、該濃度を得るのに厚膜となって、露光後ベークに長時間を要し、形成された黒色画像の解像度、表示ムラにも劣っていた。
上記の実施例以外に、露光前に加熱(ベーク)を行なうようにした場合も同様であり、露光後現像した後に加熱(ベーク)を行なうようにした場合も同様である。

Claims (12)

  1. バインダー樹脂と、光を吸収して酸を発生する光酸発生剤と、前記光酸発生剤の作用により架橋する架橋剤と、金属粒子及び/又は金属化合物粒子とを含有することを特徴とする遮光膜用感光性樹脂組成物。
  2. 顔料を更に含む請求項1に記載の遮光膜用感光性樹脂組成物。
  3. 前記顔料がカーボンブラック又は黒鉛である請求項2に記載の遮光膜用感光性樹脂組成物。
  4. 膜厚1.0μmの遮光膜を形成した際の光学濃度が4.0以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の遮光膜用感光性樹脂組成物。
  5. 表示装置を構成する遮光膜の形成に用いられる請求項1〜4のいずれか1項に記載の遮光膜用感光性樹脂組成物。
  6. 仮支持体上に、少なくとも1層の、バインダー樹脂と、光を吸収して酸を発生する光酸発生剤と、前記光酸発生剤の作用により架橋する架橋剤と、金属粒子及び/又は金属化合物粒子とを含有する感光性樹脂層を有することを特徴とする転写材料。
  7. 遮光膜の形成に用いられる請求項6に記載の転写材料。
  8. 表示装置を構成する遮光膜の形成に用いられる請求項6又は7に記載の転写材料。
  9. 基板上に、請求項1〜5のいずれか1項に記載の遮光膜用感光性樹脂組成物を塗布し、乾燥させて感光性樹脂層を形成する工程と、
    形成された前記感光性樹脂層をパターン状に露光する工程と、
    形成された前記感光性樹脂層を加熱する工程と、
    少なくとも前記露光後の前記感光性樹脂層を現像して未露光部を除去する工程と、
    を含むことを特徴とする遮光膜の作製方法。
  10. 前記塗布は、スリット状ノズルを有する塗布装置を用いて行なう請求項9に記載の遮光膜の作製方法。
  11. 請求項6〜8のいずれか1項に記載の転写材料を用いて、仮支持体上の少なくとも1層の感光性樹脂層を基板に転写する工程と、
    転写された前記感光性樹脂層をパターン状に露光する工程と、
    転写された前記感光性樹脂層を加熱する工程と、
    少なくとも前記露光後の前記感光性樹脂層を現像して未露光部を除去する工程と、
    を含むことを特徴とする遮光膜の作製方法。
  12. 請求項6〜8のいずれか1項に記載の転写材料の製造方法であって、
    仮支持体上に、スリット状ノズルを有する塗布装置を用いた塗布により感光性樹脂層を塗設することを特徴とする転写材料の製造方法。
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