以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。また実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
図1は、本発明の実施の第1の形態のねじりコイルばね1を備えるディスプレイ駆動装置2を示す斜視図である。図2は、ねじりコイルばね1がディスプレイ3から離脱させる手順を示す斜視図であり、図2(a)は、ねじりコイルばね1の係止片4が係止されている状態の要部を示す斜視図、図2(b)は、ねじりコイルばね1の係止片4が外れた状態の要部を示す斜視図、図2(c)は、ねじりコイルばね1がトレイ5に当接する状態の要部を示す斜視図である。図3は、ねじりコイルばね1の係止片4をディスプレイ3から離脱させる手順を示す側面図であり、図3(a)は、ねじりコイルばね1の係止片4が係止されている状態を示す側面図、図3(b)は、ねじりコイルばね1の係止片4が外れた状態を示す側面図、図3(c)は、ねじりコイルばね1がトレイ5に当接する状態を示す側面図である。図4は、ねじりコイルばね1を簡略して示す底面図である。ディスプレイ駆動装置2は、たとえば車載用ナビゲーションシステムに設けられ、ディスプレイ3を傾動可能に構成される。ねじりコイルばね1は、ディスプレイ3の傾動を補助するためにディスプレイ駆動装置2に設けられる。ディスプレイ駆動装置2は、枠体6と、ディスプレイ3と、トレイ5と、ねじりコイルばね1とを備える。本実施形態に係るディスプレイ駆動装置2は、その長手方向一方側の構造と長手方向他方側の構造とが同一構成でかつ対称に構成されるので、以下では、前記長手方向一方側の構造についてのみ説明し、長手方向他方側の構造については、長手方向一方側の構造のものと同一の符号を付してその説明を省略する。
枠体6は、枡形に形成され、その内方にディスプレイ3を収納可能に形成される。ディスプレイ3は、ディスプレイ本体7と、一対の案内軸8と、一対の回動軸9とを備える。ディスプレイ本体7は直方体状に形成される。ここでディスプレイ本体7の長手方向をX方向と定義し、ディスプレイ本体7の厚み方向をZ方向と定義する。これらXおよびZ方向に直交するディスプレイ本体7の幅方向をY方向と定義する。図1および図2において、X,Y,Z方向をそれぞれ矢符X,Y,Zにて表記する。XおよびY方向に平行な仮想平面をXY平面と称し、XおよびZ方向に平行な仮想平面をXZ平面と称し、YおよびZ方向に平行な仮想平面をYZ平面と称する。
ディスプレイ本体7は、その厚み方向一表面部に画像を表示可能な表示部が形成される。ディスプレイ本体7の長手方向一端部は段状に形成される。具体的にディスプレイ本体7の長手方向一端部には、第1側面10、支持面11および第2側面12が連続して形成される。第1側面10は、厚み方向他表面部からその厚み方向に所定小距離伸びるYZ平面に沿って形成される。支持面11は、第1側面10の基端からX方向に伸びるXY平面に沿って形成される。第2側面12は、支持面11の外縁から前記厚み方向に所定小距離伸びるYZ平面に沿って形成され、かつ厚み方向一表面部に連なるように形成される。
ディスプレイ本体7の長手方向一端部において、Y方向一端部に案内軸8が形成され、Y方向他端部に回動軸9が形成される。案内軸8は前記第2側面12からX方向にやや突出し、回動軸9は前記第1側面10からX方向にやや突出するようにそれぞれ形成される。案内軸8は円柱状に形成される。枠体6の内壁面部に、この案内軸8が回動可能に支持され、かつ該案内軸8が枠体6の幅方向に沿って摺動可能に支持される。回動軸9は円柱状に形成される。回動軸9の軸線方向一端部がディスプレイ本体7に一体に連なり、回動軸9の軸線方向中間部にねじりコイルばね1が外装されている。回動軸9の軸線方向他端部には、トレイ5が回動可能に設けられる。
ねじりコイルばね1は、円形断面のばね部材によって形成され、コイル部13と、第1腕部14と、第2腕部15とを備える。コイル部13は、回動軸9に外装されて、該コイル部13の軸線が回動軸9の軸線に平行に配設される。コイル部13は、その一端部分に第1腕部14が連なり、その他端部分に第2腕部15が連なる。
第1腕部14は、第1腕部本体16と係止片4とを含む。第1腕部本体16は、その基端部がコイル部13の一端部分に連なる。第1腕部本体16は、前記一端部分から一端部分における接線方向(以下、「A1方向」と称する)一方に伸び、中間部でコイル部13を巻き込む方向(以下、「B1方向」と称する)に屈曲する。第1腕部本体16は、その遊端部に係止片4が形成される。係止片4は、第1腕部本体16の遊端部からコイル部13の軸線方向一方、すなわちX方向一方に伸びる。X方向一方は、回動軸9が第1側面から突出する方向と反対方向と同義である。
第2腕部15は、基部17と、第1傾斜部18と、係止解除部19と、第2傾斜部20と、支持部21と、固着部22とを含む。基部17は、コイル部13の他端部分から前記他端部分における接線方向(以下、「A2方向」と称する)一方に伸び、第1傾斜部18に連なる。基部17は、ディスプレイ本体7の支持面11に当接されて支持される。ただし基部17全体が支持面11に必ずしも当接していなくてもよい。たとえば基部17の一部が支持面11に当接され、該基部17がこの支持面11つまりXY平面に対して傾斜するように設けてもよい。本実施の形態において、基部17は、コイル部13の他端部分からY方向一方に伸びる。Y方向一方は、ディスプレイ本体7のY方向一端部からY方向他端部に向かう方向と同義である。
第1傾斜部18は、基部17からコイル部13のX方向他方に向かうにつれて支持面11に対して離反する方向に向かって傾斜し、係止解除部19に連なる。第1傾斜部18は、支持面11つまりXY平面に対して角度θ傾斜する。本実施の形態において角度θは、たとえば10度である。ただし角度θは10度に限定されない。
係止解除部19は、第1傾斜部18からA2方向一方に伸び、第2傾斜部20に連なる。係止解除部19は、支持面11に対して平行かつ離隔して配設され、コイル部13に対して離隔して配設される。第2傾斜部20は、係止解除部19からX方向一方に向かうにつれて支持面11に対して近接する方向に向かって傾斜し、支持部21に連なる。支持部21は、第2傾斜部20からA2方向一方に伸びて、半円状に湾曲し、さらにA2方向他方に伸びて、固着部22に連なる。固着部22は、支持部21の先端からX方向一方に伸びる。固着部22の長手方向一端部が支持部21に連なり、固着部22の長手方向他端部がディスプレイ本体7の第1側面10に固着される。支持部21および固着部22は、支持面11に当接された状態で支持される。ただし支持部21および固着部22は、支持面11に当接されない場合もあり得る。
ディスプレイ本体7には、係止片4の先端部23を係合して係止可能な被係止溝部24が形成される。被係止対象である被係止溝部24は、第1側面10からX方向に凹設されている。ねじりコイルばね1は、B1方向に第1腕部14を変位させて、係止片4の先端部23を被係止溝部24に係止させる。係止片4は、係止解除部19を支持面11に近接する方向に押圧し変位させると、前記被係止溝部24から離脱可能に形成される。具体的には、コイル部13の軸線方向の長さを長さL1、係止片4の支持面11からの距離をL2、係止片4の基端部からの突出量をL3とすると、係止片4は、被係止溝部24に係止される先端部23のX方向の長さLが
L<(L1+L3)・(1−cosθ)+L2cosθ …(1)
に形成される。係止片4は、先端部23の長さLが式(1)を満足するように形成される。つまりコイル部13の長さL1に係止片4の突出量L3を加えた値に、「1」から第1傾斜部18の角度θの余弦値を減じた値を乗じ、さらに第1傾斜部18の角度θの余弦値に係止片4の距離L2を乗じた値を加えた値(式1の右辺)よりも、先端部23の長さLが小さくなるように規定される。
トレイ5は、一対の支持体25と、板状体26とを備える。各支持体25は、長板状に形成され、その長手方向一端部が案内軸8に回動可能に設けられる。一対の支持体25は、回動軸9から枠体6の奥行き方向一方に伸び、前記X方向に離隔して平行に配設される。これら一対の支持体25は、板状に形成される板状体26によって一体に連結される。トレイ5は、図示外の駆動源、たとえばモータによって、枠体6の内方を通過して前記奥行き方向に往復動可能に構成され、奥行き方向に往復運動することによって、案内軸8と協働してディスプレイ2を傾動可能に構成される。具体的には、トレイ5は、枠体6にディスプレイ2が収納されかつディスプレイ本体7の幅方向と枠体6の奥行き方向とが一致する閉状態と、ディスプレイ本体7の厚み方向と前記奥行き方向とが一致、すなわち前記閉状態のディスプレイ本体7を案内軸8の軸線周りに90度回動させた開状態とにわたってディスプレイ2を傾動可能に構成される。
支持体25の長手方向一端付近部において、支持体25の縁部から幅方向に突出つまり板状体26から離隔する方向に突出する突起片27が該支持体25に一体形成される。突起片27は、ディスプレイ2が閉状態から開状態にわたって傾動する際、係止解除部19に当接して支持面11に近接する方向の荷重を印加可能に形成される。第1腕部14は、係止片4が被係止溝部24から離脱すると、コイル部13に対してコイル部13を巻き戻す方向(以下「B2方向」と称する)に変位し、その一部が板状体26に当接しねじりモーメントを与える。
このようにして構成されるディスプレイ駆動装置2において、第1腕部14は、組立てる際、係止片4が被係止溝部24に係止され、組立て後、係止片4を被係止溝部24から離脱させてトレイ5に当接させる。以下では、閉状態に配置され係止片4が被係止溝部24に係止される(図2(a))ディスプレイ3において、係止片4を被係止溝部24から離脱させる方法について説明する。駆動源を駆動してトレイ5を枠体の奥行き方向他方に変位させる。トレイ5を奥行き方向他方に変位させると、案内軸8が枠体をその高さ方向一方に摺動し、ディスプレイ3が閉状態(図3(a))から傾動する。
ディスプレイ3を閉状態から開状態(図3(b))にわたって変位させると、突起片27が係止解除部19に当接し、係止解除部19を押圧する。突起片27によって係止解除部19を押圧して支持面11に対して近接する方向に変位させると、基部17がその軸線周りに回転する。これによって基部17に連なるコイル部13が、その他端部分を基点に支持面11に対して傾動する。第1腕部14は、コイル部13の傾動に連動して傾動する。この傾動によって、係止片4が被係止溝部24から離脱する(図2(b))。
具体的には、係止解除部19が突起片27に押圧されて基部17の軸線周りに角度θ1回動させると、基部17は、その軸線周りに角度θ1回動する。この回動にともなってコイル部13は、傾動し、支持面11に対して基部17の軸線周りに角度θ1傾斜する。このコイル部13の傾動に連動し、第1腕部14も傾動する。それ故、係止解除部19を変位させて基部17をその軸線周りに角度θ1回動させると、係止片4の先端のX方向の変位量Δx1は、前述のL1、L2、L3およびθを用いて、次式(2)のように表される。
Δx1=(L1+L3)・(1−cosθ1)+L2cosθ1 …(2)
係止片4の前記変位量Δx1は、式(2)を満足するように規定される。つまりコイル部13の長さL1に係止片4の突出量L3を加えた値に、「1」から第1傾斜部18の角度θの余弦値を減じた値を乗じ、さらに角度θ1の余弦値に係止片4の余弦値L2を乗じた値を加えることで、変位量Δx1が求められる。この式(2)に基づいて、係止片4の先端のX方向の変位量Δx1を求め、当該ねじりコイルばね1および被係止溝部24の設計を迅速かつ正確に行うことが可能となる。
係止片4の先端部23の長さLは、数式(1)で定められるので、係止解除部19を角度θ回動させると、係止片4は、被係止溝部24を離脱させることができる。
係止片4が被係止溝部23から離脱すると、第1腕部14は、コイル部13に対してB2方向に変位して、その一部がトレイ5に当接する(図2(c))。第1腕部14は、トレイ5に当接して、ディスプレイ本体7とトレイ5とにねじりモーメントを与える。1腕部14は、ディスプレイ本体7とトレイ5とにばね力を付勢し、トレイ5によるディスプレイ3の傾動動作を補助する(図3(c))。具体的には、ディスプレイ3が閉状態から開状態に傾動する際、ねじりモーメントを与え、ディスプレイ3の急激な傾動動作を抑制する。ディスプレイ3が開状態から閉状態に傾動する際、ねじりモーメントを与え、ディスプレイ3を立ち上げる傾動動作を補助する。
以下では、このようにして構成されるねじりコイルばね1およびディスプレイ駆動装置2が奏する効果について説明する。本実施の形態のねじりコイルばね1によれば、ねじりコイルばね1の第2腕部15の係止解除部19を押圧して変位させると、この変位に連動してコイル部13の一端部分を支持面11に対して離隔させて、前記第1腕部14の係止片4をディスプレイ本体7の被係止溝部24から離脱させる。これによって利用者は、係止解除部19を押圧するだけで、係止片4を被係止溝部24から離脱させることができる。第1腕部14は、ディスプレイ本体7に係止される故、第2腕部15よりも狭所に配置される場合が必然的に多い。逆に言えば、利用者にとって第2腕部15は、第1腕部14よりも操作容易な箇所に配置されることになる。このような第2腕部15に形成される係止解除部19を押圧することによって、従来の技術のねじりコイルばね1のように、仮に第1腕部14が挟所に配置されている場合であっても、係止片4を被係止溝部24から容易に離脱させることができる。また係止解除部19を押圧するだけで第1腕部14が離脱するので、従来の技術のコイルばねのように複数の工程を経ることなく、第1腕部14を迅速に離脱させることができる。
本実施の形態のねじりコイルばね1によれば、係止解除部19がコイル部13に対して離隔しているので、この係止解除部19を押圧すると、コイル部13の一端部分を支持面11に対して離隔しコイル部13を傾動させて、係止片4を被係止溝部24から離脱させることができる。したがって係止解除部19を設けることによって、これを押圧するだけで係止片4を被係止溝部24から離脱させることを実現できる。
本実施の形態のねじりコイルばね1によれば、被係止溝部24に係止される係止片4の先端部23の長さLが数式(1)で規定される長さに形成されるので、係止解除部19を角度θ回動変位させると、確実に係止片4を被係止溝部24から離脱させることを実現できる。また支持部21が第2傾斜部20からA2方向に伸びているので、第2傾斜部20が支持部21に対して揺動が容易になり、係止解除部19の基部17の軸線回りの回動が容易である。したがって係止解除部19を押圧して、コイル部13を傾動させることが容易であり、係止片4を被係止溝部24から容易に離脱させることができる。
本実施の形態のディスプレイ3によれば、ねじりコイルばね1は、係止片4をディスプレイ3の被係止溝部24に係止させることができる。ねじりコイルばね1は、係止解除部19を押圧することによって、係止片4を被係止溝部24から離脱させる。これによって従来の技術のねじりコイルばね1のように第1腕部14がディスプレイ3の挟所に仮に配置された場合であっても、係止解除部19を押圧することによって、係止片4を被係止溝部24から容易に離脱させることができる。また被係止溝部24を押圧するだけで係止片4が離脱するので、従来の技術のコイルばねのように複数の工程を経ることなく、第1腕部14を迅速に離脱させることができる。
本実施の形態のディスプレイ駆動装置2によれば、係止片4を被係止溝部24に係止させることができる。ディスプレイ駆動装置2は、係止解除部19を押圧されると、係止片4を被係止溝部24から離脱させる。これによって従来の技術のねじりコイルばね1のように第1腕部14がディスプレイ駆動装置2の挟所に配置されても、係止解除部19を押圧することによって、係止片4を被係止溝部24から容易に離脱させることができる。また係止解除部19を押圧するだけで係止片4が離脱するので、従来の技術のコイルばねのように複数の工程を経ることなく、第1腕部14を迅速に離脱させることができる。
本発明によれば、突起片27は、係止解除部19を押圧して、係止片4を離脱させることができる。これによって利用者が係止解除部19を押圧することなく、係止片4を離脱させることができ、係止片4を被係止溝部24から離脱させることをさらに容易にすることができる。
図5は、本発明の実施の第2形態のねじりコイルばね1Aが設けられるディスプレイ駆動装置2の一部を拡大して示す斜視図である。図6は、ねじりコイルばね1Aを簡略して示す底面図である。以下では、ねじりコイルばね1Aは、実施の第1の形態のねじりコイルばね1と構成が類似している。したがって本第2の実施の形態においては、第1の実施の形態のねじりコイルばね1とは異なる点だけを説明し、同一の構成のものについては同一の符号を付してその説明を省略する。第1腕部14Aは、第1腕部本体16の基端部から凸状に形成される係止凸部30を備える。係止凸部30は、その一部が被係止溝部24に係止可能に形成される。具体的には、係止凸部30は、係止片4と係止端部31とを備える。係止端部31は、係止片4から屈曲し、係止片4の先端部23から離反するにつれてX方向他方に向かって傾斜する。係止端部31は、その一部が被係止溝部24に嵌合可能に形成される。係止端部31は、係止凸部30を被係止溝部24に押戻す際、ディスプレイ本体7に当接して、係止片4をX方向他方に変位させて係止片4の先端部23を被係止溝部24に案内可能な形状に形成される。具体的には、係止凸部30は、係止片4および係止端部31の軸線に垂直な方向から見るとV字状に形成される。係止片4と係止端部31とは、これらの成す角が角度θ2に形成される。角度θ2は、たとえば5度である。
第2腕部15Aは、さらに第1連結部32と第2連結部33を備える。第1連結部32は、基部17からX方向他方に伸び、第1傾斜部18Aに連なる。第1連結部32は、支持面11上に形成される。第1傾斜部18Aは、第1連結部32からZ方向一方に向かうにつれ、第2側面12から離反する方向に傾斜し、係止解除部19Aに連なる。Z方向一方とは、ディスプレイ本体7の厚み方向他表面から厚み方向一表面に向かう方向と同義である。係止解除部19Aは、第1傾斜部18AからA2方向に伸び、第2傾斜部20に連なる。係止解除部19Aは、第2側面12に対して離隔して配設される。第2傾斜部20は、係止解除部19AからZ方向他方に向かうにつれ、第2側面12に近接する方向に傾斜し、第2連結部33に連なる。第2連結部33は、第2傾斜部20からX方向一方に伸び、支持部21に連なる。第2連結部33は、支持面11上に形成される。第1傾斜部18Aおよび第2傾斜部20は、支持面11に対して角度θだけ傾斜させて形成される。ただし第1および連結部32,33は、支持面11に当接されない場合もあり得る。
このようにして構成されるねじりコイルばね1Aにおいて、係止解除部19Aを押圧して変位させて第2側面12に当接させると、ねじりコイルばね1Aが傾動する。この傾動の際の係止片4の変位量Δx2は、第1連結部32の基部17からのX方向の長さをL4とすると、前述のL1、L2、L3およびθを用いて、次式(2)のように表される。
Δx2=(L1+L3+L4)(1−cosθ)−L2sinθ …(3)
係止片4の前記変位量Δx2は、式(3)を満足するように規定される。つまりコイル部13の長さL1に係止片4の突出量L3と第1連結部32の基部17からのX方向の長さをL4を加えた値に、「1」から第1傾斜部18の角度θの余弦値を減じた値を乗じ、さらに角度θ1の余弦値に係止片4の余弦値L2を乗じた値を加えることで、変位量Δx2が求められる。この式(3)に基づいて、係止片4の先端のX方向の変位量Δx2を求め、当該ねじりコイルばね1および被係止溝部24の設計を迅速かつ正確に行うことが可能となる。したがって被係止溝部24に係止される係止片4の先端部23の長さLは、
L<(L1+L3+L4)(1−cosθ)−L2sinθ …(4)
に形成される。係止片4は、先端部23の長さLが式(4)を満足するように形成される。つまりコイル部13の長さL1に係止片4の突出量L3と第1連結部32の基部17からのX方向の長さをL4とを加えた値に、「1」から第1傾斜部18の角度θの余弦値を減じた値を乗じ、さらに第1傾斜部18の角度θの余弦値に係止片4の距離L2を乗じた値を加えた値(式1の右辺)よりも、先端部23の長さLが小さくなるように規定される。これによって係止解除部19Aを支持面11に当接させると、係合凸部が被係合溝部から離脱するねじりコイルばね1Aが構成される。
このようにして構成されるねじりコイルばね1Aにおいて、係止凸部30を、再度被係止溝部24に係止する際の方法について説明する。被係止溝部24から離脱する第1腕部14AをB1方向に変位させて、係止端部31をディスプレイ本体7に当接させる。さらにB1方向に変位させると、係止端部31がディスプレイ本体7に当接しつつ、係止凸部30をX方向他方に変位させる。係止凸部30を変位させ続けると、係止片4の先端部23が被係止溝部24に乗り上げた後、その先端部23が被係止溝部24に嵌合される。これによって係止凸部30を、再度被係止溝部24に係止することができる。また係止解除部19Aを押圧して変位させて第2側面12に当接させることによって、コイル部13を支持面11に対して傾動させ、実施の第1の形態と同様にして、係止片4を被係止溝部24から離脱させる、すなわち係止凸部30を被係止溝部24から離脱させることができる。
本実施の形態のねじりコイルばね1Aによれば、係止凸部30を被係止溝部24に係止させることができる。係止凸部30を被係止溝部24に係止させることを実現できる。また第1腕部14AをB2方向に押戻すだけで、係止凸部30をX方向他方に変位させて、被係止溝部24に係合させることができる。したがって、誤まって係止凸部30が被係止溝部24から離脱した場合であっても、係止凸部30を再度被係止溝部24に係合させることが容易である。
本実施の形態のねじりコイルばね1Aによれば、第1傾斜部18Aおよび第2傾斜部20が第2側面12に対して角度θ傾斜させて形成される。これによって係止解除部19AをX方向に押圧しても、係止片4、すなわち係止凸部30を被係止溝部24から離脱可能なねじりコイルばね1Aを実現することができる。
図7は、本発明の実施の他の形態のディスプレイ駆動装置2Aの一部を拡大して示す背面図である。図8は、ディスプレイ駆動装置2Aの一部を拡大して示す側面図である。以下では、ディスプレイ駆動装置2Aは、ディスプレイ駆動装置2と構成が類似している。したがって、ディスプレイ駆動装置2Aにおいては、ディスプレイ駆動装置2Aとは異なる点だけを説明し、同一の構成のものについては同一の符号を付してその説明を省略する。ディスプレイ駆動装置2Aには、実施の第1の形態のねじりコイルばね1が設けられる。ディスプレイ本体7Aの長手方向一他部には、第1側面10、支持面11、第2側面12、第1壁面34、第3側面35、第2壁面36および第4側面37が連続して形成される。第1壁面34は、第1側面10からX方向に所定小距離伸びるXY平面に沿って形成され、支持面11に対向する。第3側面35は、第1壁面34の外縁からZ方向一方に所定小距離伸びるYZ平面に沿って形成される。第2壁面36は、第3側面35の基端からX方向に所定小距離伸びるXY平面に沿って形成され、支持面11に対向する。第4側面37は、第2壁面36の外縁からZ方向一方に所定小距離伸びるYZ平面に沿って形成され、ディスプレイ本体7の厚み方向他表面部に連なる。
第1側面10、第3側面35および第4側面37には、第1被係止溝部38、第2被係止溝部39、第3被係止溝部40がそれぞれ形成される。第1〜第3被係止溝部38,39,40は、X方向に凹み、係止片4の変位の軌跡上にそれぞれ形成される。第1〜第3被係止溝部38,39,40は、係止片4を係合して係止可能に形成される。係止片4は、係止解除部19を押圧することによって、第1〜第3被係止溝部38,39,40から離脱可能に形成される。第2および第3被係止溝部39,40は、支持面11に向かって開口する。
このようにして複数の被係止溝部38,39,40が形成されるディスプレイ駆動装置2Aにおいて、第1被係止溝部38に係止される係止片4を、第2または第3被係止溝部39,40に係止させる方法について説明する。係止解除部19を押圧して、第1被係止溝部38に係止される係止片4を離脱させる。離脱すると、係止片4は、B1方向に変位する。第2被係止溝部39が支持面11に向かって開口しているので、係止片4は、第1被係止溝部38から離脱しB2方向に変位すると、第2被係止溝部39に係合され係止される。同様にして係止解除部19を押圧して、係止片4を第2被係止溝部39から離脱させると、第3被係止溝部40が支持面11に向かってに開口しているので、係止片4は、第3被係止溝部40に係合されて係止される。
本実施の形態のディスプレイ駆動装置2Aによれば、第1腕部14は、ディスプレイ本体7に相互に異なる複数の位置で係止することができる。これによって係止される際の第2腕部15に対する第1腕部14の相対位置を変えることができる。
図9は、挟持装置41が備える第3の実施の形態のねじりコイルばね1Bを示す斜視図である。図10は、ねじりコイルばね1Bによって、挟持対象物42を挟持した状態を示す図である。挟持装置41は、挟持対象物42を挟持するため装置である。挟持装置41は、支持板43とねじりコイルばね1Bとを含む。支持板43は、長板状に形成される。以下では、支持板43の長手方向をX方向とし、幅方向をY方向とし、厚み方向をZ方向とする。支持板43には、厚み方向一表面である支持面44にねじりコイルばね1Bが配設される。
ねじりコイルばね1Bは、円形断面のばね部材によって形成され、コイル部13Bと第1腕部14Bと第2腕部15Bとを備える。コイル部13Bは、その軸線がY方向に平行に配設される。コイル部13Bは、その一端部分に第1腕部14Bが連なり、その他端部分に第2腕部15Bが連なる。第1腕部14Bは、第1腕部本体16Bと係止片4Bとを含む。第1腕部本体16Bは、前記一端部分から一端部分における接線方向(以下、「A3方向」と称する)一方に伸び、中間部でコイル部13Bを巻き戻す方向(以下、「B3方向」と称する)に屈曲する。第1腕部本体16Bは、その遊端部に係止片4Bが形成される。係止片4Bは、第1腕部本体16Bの遊端部からY方向一方に伸びる。Y方向一方は、Y方向のうちコイル部13Bの一端部分から離反する方向と同義である。
第2腕部15Bは、基部17Bと、第1傾斜部18Bと、係止解除部19Bと、第2傾斜部20Bと、支持部21Bと、被係止部45と固着部22Bとを含む。基部17Bは、コイル部13Bの他端部分から前記他端部分における接線方向(以下、「A4方向」と称する)一方に伸び、第1傾斜部18Bに連なる。A4方向は、X方向に一致する。
第1傾斜部18Bは、基部17BからY方向他方に向かうにつれてZ方向一方に向かって傾斜し、係止解除部19Bに連なる。Z方向一方は、Z方向のうち支持面44から離反する方向と同義である。第1傾斜部18Bは、支持面44に対して角度θ傾斜する。本実施の形態において角度θは、たとえば10度である。ただし角度θは、10度に限定されない。係止解除部19Bは、第1傾斜部18BからX方向一方に伸び、第2傾斜部20Bに連なる。係止解除部19Bは、支持面44に対して平行かつ離隔して配設され、コイル部13Bに対して離隔させて配設される。第2傾斜部20Bは、係止解除部19BからY方向一方に向かうにつれてZ方向他方に向かって傾斜し、支持部21Bに連なる。
支持部21Bは、第2傾斜部20BからX方向一方に伸びて、屈曲してY方向一方に伸びて、被係止部45に連なる。被係止部45は、支持部21BからX方向他方に伸びて、固着部22Bに連なる。被支持部21Bは、支持面44に固着される。被係止部45の中間部には、Z方向一方に突出して湾曲する被係止部分46が形成される。被係止部分46は、係止片4Bの先端部23Bを係合して係止可能に形成される。固着部22Bは、被支持部21BからY方向一方に伸びて、支持面44に固着される。基部17B、支持部21B、被支持部21Bおよび固着部22Bは、支持面44上に形成される。ただしこれら全てが支持面44上に形成されるものに限定されない。
第1腕部14Bは、挟持状態と、係止状態とにわたってコイル部13Bに対して相対的に変位可能に形成される。挟持状態は、係止片4Bが支持板43の支持面44の背面である当接面47に当接し、支持板43と協働して被挟持対象を挟持する状態である。係止状態は、係止片4Bの先端部23Bが被係止部分46に係止される状態である。支持板43には、部第1腕部14Bが挟持状態と係止状態とにわたる変位を許容するために変位許容溝部51が形成される。変位許容溝部51は、支持板43のY方向中間部に形成され、X方向に伸び、X方向一端が開口する。
係止片4Bは、係止解除部19をZ方向他方に押圧し変位させると、被係止部分46から離脱可能に形成される。具体的には、係止解除部19をZ方向他方に押圧して支持面44に当接すると、係止片4Bの先端が被係止部分46から離脱可能に形成される。係止片4Bの先端のY方向の変位量Δx3は、コイル部13Bの軸線方向の長さを長さL5、係止片4Bの遊端部からの突出量をL6とすると、次式(5)のように表される。
Δx3=(L5+L6)(1−cosθ) …(5)
係止片4の前記変位量Δx3は、式(3)を満足するように規定される。つまりコイル部13Bの長さL5に係止片4の突出量L6を加えた値に、「1」から第1傾斜部18の角度θの余弦値を減じた値を乗じることで、変位量Δx3が求められる。この式(3)に基づいて、係止片4の先端のX方向の変位量Δx3を求め、当該ねじりコイルばね1および被係止溝部24の設計を迅速かつ正確に行うことが可能となる。
このようにして構成される挟持装置41において、被挟持対象42である紙42を挟持する方法について説明する。係止状態で、係止解除部19をZ方向一方に押圧すると、コイル部13Bがその他端部分を基点に支持面44に対して傾動する。第1腕部14Bは、コイル部13Bの傾動に連動して傾動する。第1腕部14Bの傾動によって、係止片4Bが被係止部分46から離脱する。
具体的には、係止解除部19を押圧して支持面44に当接させると、コイル部13Bが傾動し、支持面44に対して基部17Bの軸線周りに角度θ1傾斜する。このコイル部13Bの傾動に連動し、第1腕部14Bも変位する。それ故、係止解除部19を押圧して支持面44に当接させると、係止片4Bの先端のX方向の変位量Δx3変位して、係止片4Bが被係止部分46から離脱して、第1腕部14Bが係止状態から挟持状態にわたって変位する。当接面47に紙42を当接させると、第1腕部14Bと支持板43とによって紙42を挟持できる(図10)。
本実施の形態のねじりコイルばね1Bによれば、第1腕部14Bは、係止片4Bが被係止部分46から離脱すると、コイル部13Bによって付勢されるねじりモーメントによって変位して、支持板43と協働して紙を挟持できる。このようにねじりコイルばね1Bだけの簡単な構造で、被挟持対象42を挟持可能な挟持機構を実現できる。したがって挟持機構の部品点数を低減することができ、製造コストを低減することができる。
図11は、把持装置48が備える実施の第4の形態のねじりコイルばね1Cを示す斜視図である。ねじりコイルばね1Cは、実施の第3の形態のねじりコイルばね1Bに構成が類似しており、把持装置48は、挟持装置41に構成が類似している。したがってねじりコイルばね1Cおよび把持装置48においては、実施の第3の形態のねじりコイルばね1Bおよび挟持装置41とは異なる点だけ説明し、同一の構成のものについては同一の符号を付してその説明を省略する。支持板43には、そのX方向一端部からX方向に伸びる一対の支持体が形成される。一対の支持片49は、互いにX方向に並設される。各支持片49は、そのX方向一端部が支持板43に連なり、X方向他端部に第1鉤部分50が形成される。第1鉤部分50は、Z方向他方に突出して湾曲し、銅線およびワイヤなどの線状部材52を支持可能に形成される。
第1腕部14Cは、第1腕部本体16Cと係止片4Bとを含む。第1腕部本体16Cは、コイル部13Cの一端部分からA3方向に伸び、係止片4Bに連なる。第1腕部本体16Cは、その中間部遊端部寄りの部分に突出して湾曲する第2鉤部分53が形成される。第2鉤部分53は、第1鉤部分50に架かる線状部材52に係合可能に形成され、第1鉤部分50と協働して線状部材52を把持可能に形成される。このように第1鉤部分50と第2鉤部分53とが協働して線状部材52を把持する状態を把持状態と称する。第1腕部14Cは、係止状態から把持状態にわたって変位可能に構成される。変位許容溝部51は、第1腕部14Cの係止状態から把持状態にわたる変位を許容可能に形成される。第1腕部14Cは、把持状態において、2つの第1鉤部分50に架かる線状部材52の前記各第1鉤部分50に支持される部分の間の部分を第2鉤部分53によって把持可能に配設される。
このようにして構成される把持装置48において、被把持対象であるワイヤおよび導線などの線状部材52を把持する方法について説明する。被係止部分46に係止片4Bが係止される状態で、2つの第1鉤部分50に線状部材52を架ける。係止解除部19をZ方向一方に押圧して支持面44に当接させると、コイル部13Cがその他端部分を基点に支持面44に対して傾動する。第1腕部14Cは、コイル部13Cの傾動に連動して傾動する。第1腕部14Cの傾動によって、係止片4Bが被係止部分46から離脱する。第1腕部14Cは、係止状態から把持状態に変位する。これによって把持装置48は、第1腕部14Cと支持片49と協働させて線状部材52を把持する(図11の1点鎖線)。
本実施の形態のねじりコイルばね1Cによれば、係止解除部19Bを押圧するだけで、銅線などの線状部材52を把持させることができる。したがって容易な操作で、把持させることができる。このようにねじりコイルばね1Cだけの簡単な構造で、線状部材52を把持可能な挟持装置41を実現できる。したがって挟持機構の部品点数を低減することができ、製造コストを低減することができる。またコイルばねだけの簡単な構造であるので、把持装置48の小型化が可能である。したがって挟所における作業で使用可能な把持装置48を実現することができる。
本実施の形態では、把持装置48は、一対の支持片49に線状部材52が架かっているけれども、第2腕部15Cを線状部材52を載架可能に形成してもよい。これによって第2腕部15Cと第1腕部14Cとが協働して、線状部材52を把持することができる。
図12は、切断装置54が備える実施の第5の形態のねじりコイルばね1Dを示す斜視図である。図13は、切断部55を拡大して示す図である。ねじりコイルばね1Dは、実施の第4の形態のねじりコイルばね1Cに構成が類似しており、切断装置54は、把持装置48に構成が類似している。ねじりコイルばね1Dおよび切断装置54において、実施の第4の形態のねじりコイルばね1Cおよび把持装置48とは異なる点だけ説明し、同一の構成のものについては同一の符号を付してその説明を省略する。第1腕部14Dは、第1腕部本体16Cと、係止片4Bと、切断部55とを備える。
第1腕部本体16Cは、その中間部遊端部寄りの部分に切断部55が設けられる。切断部55は、切断部本体56と刃57とが含まれる。切断部本体56は、大略的に、長手状の直方体に形成される。切断部本体56は、高さ方向一側面部に高さ方向に湾曲して凹み幅方向に貫通する溝部58が形成される。溝部58は、ワイヤおよび導線などの線状部材52およびこれらを拘束する拘束具などの被切断対象59を係合可能であって、指を係合不可能な形状に形成されている。具体的には、溝部58の半円状に形成され、内径が指が係合しない径に形成される。この溝部58には、刃57が形成される。刃57は、溝部58に嵌合する被切断対象59を切断可能に溝部58に配設される。
切断部55は、一対の支持片49の第1鉤部分50に架かる被切断対象59を切断可能に第1腕部14Dに配設される。このように第1鉤部分50に支持される被切断対象59を切断部55が切断する状態を切断状態と称する。第1腕部14Dは、係止状態から把持状態にわたって変位可能に構成される。変位許容溝部51は、第1腕部14Dの係止状態から把持状態にわたる変位を許容可能に形成される。第1腕部14Dは、2つの第1鉤部分50に架かる線状部材52の各第1鉤部分50に支持される部分の間の部分を切断部55によって切断可能に配設される。
このようにして構成される切断装置54において、被切断対象59を切断する方法について説明する。被係止部分46に係止片4Bが係止される状態で、一対の支持片49の第1鉤部分50に線状部材52を架ける。係止解除部19をZ方向一方に押圧して支持面44に当接させると、コイル部13Dがその他端部分を基点に支持面44に対して傾動する。第1腕部14Dは、コイル部13Dの傾動に連動して傾動する。第1腕部14Dの傾動によって、係止片4Bが被係止部分46から離脱する。第1腕部14Dは、係止状態から切断状態に変位する。切断装置54は、切断部55の刃57によって第1鉤部分50に架かる被切断対象59を切断することができる(図12の1点鎖線)。
本実施の形態のねじりコイルばね1Dによれば、係止片4Bを離脱させると、切断部55が変位する。これによって切断部55は、被切断対象59を切断することができる。したがってねじりコイルばね1Dに切断部55を設けるだけの簡単な構造で、被切断対象59を切断可能な切断機構を実現できる。したがって狭所における切断作業を簡単化することができるので、作業工数の低減を図ることができ、よって製造コストを低減することができる。またコイルばねだけの簡単な構造であるので、把持装置48の小型化が可能である。したがって挟所における作業で使用可能な把持装置48を実現することができる。
本実施の形態のねじりコイルばね1Dによれば、コイル部13Dによって付勢されるねじりモーメントによって切断するので、利用者がはさみなどを用いて切断する場合に比べて、大きな切断力を付与可能である。したがって容易に切断できるうえ、より硬い線状部材52を切断することができる。また切断部55に形成される溝部58が指が係合不能に形成される。したがって的確に被切断対象59を切断することができる。
図14は、第6の実施の形態のねじりコイルばね1Eが設けられる携帯電話機60の一部を切断して見た部分断面斜視図である。携帯情報端末である携帯電話機60(以下、単に「携帯60」と称する場合がある)は、折り畳み可能に形成される。携帯60に設けられるねじりコイルばね1Eは、携帯60の開閉動作を保持するために設けられる。携帯60は、第1筐体61と、第2筐体62と、ヒンジ軸63と、ねじりコイルばね1Eとを含む。
第1筐体61は、長手状の直方体に形成される。第1筐体61の長手方向一端部には、第1および第2円筒部64,65が軸線方向に互いに離隔して形成される。第2筐体62は直方体状に形成される。第2筐体62の長手方向一端部のうち幅方向中間部には、第3円筒部66が形成される。第3円筒部66は第1および第2円筒部64,65の間に介在される。第1〜第3円筒部64,65,66は、これらを連通するヒンジ軸63によって連結される。ヒンジ軸63は、円柱状に形成され、その軸線方向一端部が第1円筒部64に固着され、軸線方向他端部が第2円筒部65に固着される。第3円筒部66は、ヒンジ軸63に対して回動可能にヒンジ軸63の軸線方向中間部に設けられる。第1〜第3円筒部64,65,66およびヒンジ軸63は、これらの軸線が一致する。
第3円筒部66が第1および第2円筒部64,65に対し、ヒンジ軸63を中心に相対的に回動可能に構成されることで、第1筐体61の厚み方向一表面部と第2筐体62の厚み方向一表面部とが対向可能に配設される。第1筐体61の厚み方向一表面部には、入力操作可能な操作部67が配設される。第2筐体62の厚み方向一表面部には、画像を表示可能な画像表示部68が配設される。第1筐体61と第2筐体62とは、これらの厚み方向一表面部とが互いに対向する閉状態と、これらの厚み方向一表面部とが互いに離反する開状態とにわたって回動変位可能に構成される。
第1円筒部64の内方には、ヒンジ軸63にねじりコイルばね1Eが外装される。ねじりコイルばね1Eは、第1筐体61と第2筐体62とを閉状態から開状態に回動させるねじりモーメントを与える。ねじりコイルばね1Eは、円形断面のばね部材によって形成され、コイル部13Eと第1腕部14Eと第2腕部15Eとを備える。コイル部13Eは、その軸線がヒンジ軸63の軸線に平行に配設される。コイル部13Eは、その一端部分に第1腕部14Eが連なり、その他端部分に第2腕部15Eが連なる。
第1腕部14Eは、第1腕部本体16Eと係止片4Eとを含む。第1腕部本体16Eは、前記一端部分から一端部分における接線方向一方に伸びる。第1腕部本体16Eは、第1円筒部64を貫通し、第2筐体62に挿通されて、その大部分が第2筐体62の内方に配設される。第1腕部本体16Eは、第2筐体62の長手方向に平行に配設される。第1腕部本体16Eは、その遊端部に係止片4Eが形成される。係止片4Eは、第1腕部本体16Eの遊端部から第1筐体61の厚み方向に立設し、第1筐体61の厚み方向一表面部から突出している。
第2腕部15Eは、基部17Eと、第1傾斜部18Eと、係止解除部19Eと、第2傾斜部20Eと、固着部22Eとを含む。基部17Eは、コイル部13Eの他端部分から前記他端部分における接線方向(以下「A5方向」と称する)一方に伸び、第1傾斜部18Eに連なる。基部17Eは、第1筐体61の内方に配設され、第1筐体61の内壁面に支持される。前記A5方向は、第1筐体61の長手方向に一致する。
第1傾斜部18Eは、基部17Eから幅方向方向一方に向かうにつれて第1筐体61の内壁面69から離反して傾斜し、係止解除部19Eに連なる。幅方向一方は、幅方向のうち第3筐体から第1筐体61に向かう方向と同義である。第1傾斜部18Eは、内壁面69に対して角度θ4傾斜する。本実施の形態において角度θ4は、たとえば10度である。ただし角度θ4は、10度に限定されない。係止解除部19Eは、第1傾斜部18EからA5方向一方に伸び、第2傾斜部20Eに連なる。係止解除部19Eは、内壁面69に対して平行かつ離隔して配設され、コイル部13Eに対して離隔させて配設される。第2傾斜部20Eは、幅方向方向一方に向かうにつれて第2筐体62の内壁面から離反して傾斜し、固着部22Eに連なる。固着部22Eは、第2傾斜部20EからA5方向一方に伸びて、内壁面69上に固着される。基部17Eおよび固着部22Eは、内壁面69上に形成される。
係止解除部19Eには、押圧部70が設けられる。押圧部70は、板状に形成され、その幅方向一端部が第1筐体61から幅方向一方に突出し、幅方向他端部が係止解除部19Eに固着される。押圧部70は、第1筐体61の厚み方向に変位可能に第1筐体61に支持される。押圧部70は、第1筐体61の厚み方向一方に押圧されると、係止解除部19Eを内壁面69に向かって変位させる。
第1筐体61の厚み方向表面部には、係止片4Eを係合して係止可能な被係止凹部71が形成される。係止片4Eは、携帯60を開状態から閉状態に回動させると、被係止凹部71に係止可能に形成される。係止片4Eは、係止解除部19Eを押圧し変位させると、被係止凹部71から離脱可能に形成される。具体的には、係止解除部19Eを押圧して内壁面69に当接させると、コイル部13Eが傾動し、第1腕部14Eが変位する。この第1腕部14Eの変位に連動して係止片4Eが変位し、係止片4Eが被係止凹部71から離脱可能に形成される。
このようにして構成される携帯60において、閉状態から開ける方法について説明する。携帯60を閉状態にすると、被係止凹部71に係止片4Eが係止される。閉状態において、押圧部70を第1筐体61の厚み方向に押圧すると、係止解除部19Eが内壁面69に向かって変位する。この変位に連動して、コイル部13Eは、その他端部分を基点に内壁面69に対して傾動する。第1腕部14Eは、コイル部13Eの傾動に連動して変位する。第1腕部14Eの変位によって、係止片4Eが被係止凹部71から離脱する。第1腕部14Eは、係止片4Eが被係止凹部71から離脱すると、コイル部13Eによって付勢されるねじりモーメントを第1筐体61と第2筐体62とに与える。ねじりコイルばね1Eは、第1筐体61と第2筐体62とにねじりモーメントを与えることによって、携帯60に閉状態から開状態への回動動作をさせる。
本発明によれば、第1筐体61に形成される被係止凹部71に係止片4Eを係止することによって、第1筐体61に対する第2筐体62の相対的な回動動作を阻止することができる。ねじりコイルばね1Eは、押圧部70を押圧し、係止解除部19Eを変位させることによって、係止片4Eを被係止対象から離脱させることができる。したがって係止解除部19Eを変位させることによって、係止片4Eを離脱させて、第1筐体61に対する第2筐体62の相対的な回動動作を許容することができる。このような簡単な構成で、容易に回動動作の阻止および許容を行うことができる。これによって携帯60情報端末の部品点数を低減することができ、製造コストを削減することができる。
本実施の各形態において、ねじりコイルばね1は、係止解除部19を変位させることによってコイル部13の他端部を基点に傾動させているけれども、係止解除部19を引っ張るなどしてコイル部13の一端部分を基点にコイル部13を傾動させてもよい。また解除操作は、係止解除部19を変位に限定されず、基部17を回動させる操作であればよい。たとえば、基部17を回動することによって実現できる。