JP2006282973A - 接着フィルム、接着フィルム付きリードフレーム及びこれらを用いた半導体装置 - Google Patents

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秀一 松浦
Seishu Tateoka
聖秀 楯岡
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友宏 名児耶
Yoshiyuki Tanabe
義行 田辺
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Abstract

【課題】 低温接着性とワイヤボンディング性を兼ね備えた接着フィルムを提供すること。
【解決手段】 半導体素子を被着体に接着するために用いる接着フィルムであって、前記接着フィルムは、耐熱フィルムの片面又は両面に接着剤層が形成されてなり、前記接着剤層は樹脂A及び樹脂Bを含有し、前記樹脂Aのガラス転移温度は、上記樹脂Bのガラス転移温度より低く、前記接着剤層は、樹脂Aが海相、樹脂Bが島相となる海島構造を有する接着フィルム。
【選択図】 図1

Description

本発明は、接着フィルム、接着フィルム付きリードフレーム及びこれらを用いた半導体装置に関する。
近年、半導体チップは高機能大容量化によって大型化が進んでいる。これに対し、それを収納するパッケージの大きさは、プリント回路基板の設計上の制約、電子機器小型化の要求などから、小さな外形が要求されている。この傾向に対応して、半導体チップの高密度化と高密度実装に対応した新しい実装方式がいくつか提案されている。例えば、メモリー素子に提案されているチップの上にリードを接着するLOC構造や、リードフレームの代わりにフィルムや有機基板を用いるμ−BGA,FBGA,BOCなどのCSPや、チップ積層構造のスタック型パッケージが知られている。これらによると、チップ内配線やワイヤボンディングの合理化、配線短縮による信号高速化、パッケージサイズの小型化を図ることができる。
この新しい実装形態では、半導体チップとリードフレームといった異種材料の接着界面が存在し、その接着信頼性が半導体パッケージの信頼性に非常に大きな影響を与える。パッケージ組立作業時の工程温度に耐える信頼性、接着作業性は勿論のこと、ワイヤボンドによって半導体チップとリードフレームとを良好に接続できることも重要な項目である。
従来、これらの接着にはペースト状の接着剤や、耐熱性基材上に塗布した接着剤が使用されてきた。その例としてポリイミド樹脂を用いたホットメルト型の接着剤フィルムがあげられる(例えば、特許文献1〜3参照。)。しかしながら、ホットメルト型の接着剤フィルムは、接着剤樹脂のTgが高いために接着に要する温度が非常に高くなる。したがって、ホットメルト型接着剤フィルムを用いた場合には、近年さらに高密度化した半導体チップや銅製リードフレームのような被着体に熱損傷を与える可能性がある。
また、低温接着性を満足するためにガラス転移温度の低い樹脂を用いた接着剤が知られている。しかしながら、ワイヤボンド温度において樹脂が柔らかくなるため、半導体パッケージ製造工程のワイヤボンド時に半導体チップとリードフレームの電気的接合ができなくなるといった問題がある。
特開平5−105850号公報 特開平5−112760号公報 特開平5−112761号公報
本発明の目的は、低温接着性とワイヤボンディング性を兼ね備えた接着フィルムを提供することである。
また、本発明の目的は、接着フィルム付きリードフレームを提供することである。
また、本発明の目的は、上記接着フィルムを介してリードフレームと半導体素子とを接着させてなる半導体装置を提供することである。
本発明の発明者らは、低温接着性とワイヤボンド性を両立できる接着フィルムの開発を進めた結果、フィルムとした状態で相分離する特定の2種類の樹脂を使用した接着フィルムが上記課題を解決できることを見いだした。
すなわち本発明は、半導体素子を被着体に接着するために用いる接着フィルムであって、前記接着フィルムは、耐熱フィルムの片面又は両面に接着剤層が形成されてなり、上記接着剤層は樹脂A及び樹脂Bを含有し、上記樹脂Aのガラス転移温度は、上記樹脂Bのガラス転移温度より低く、上記接着剤層は、樹脂Aが海相、樹脂Bが島相となる海島構造を有する接着フィルムに関する。
また本発明は、樹脂A又は樹脂Bのいずれか一方が、ポリアミドイミド、ポリアミド、芳香族ポリエステル(ポリアリレート)、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、又はこれらの2種以上の混合樹脂である上記接着フィルムに関する。
また本発明は、樹脂A及び樹脂Bの両方が、ポリアミドイミド、ポリアミド、芳香族ポリエステル(ポリアリレート)、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、又はこれらの2種以上の混合樹脂である上記接着フィルムに関する。
また本発明は、樹脂A又は樹脂Bの少なくともいずれか一方が、ポリアミドイミド、ポリアミド又はこれらの混合樹脂である上記接着フィルムに関する。
また本発明は、樹脂Aが、ポリアミドイミド、ポリアミド、又はこれらの混合樹脂である上記接着フィルムに関する。
また本発明は、樹脂Aが、シリコーン構造を有するモノマーを10重量%以上80重量%以下含むモノマー成分を重合して得たポリマーである上記接着フィルムに関する。
また本発明は、樹脂Bが、シリコーン構造を有するモノマーを0重量%以上10重量%未満含むモノマー成分を重合して得たポリマーである上記接着フィルムに関する。
また本発明は、樹脂Aのガラス転移温度が30℃以上200℃未満であり、樹脂Bのガラス転移温度が200℃以上400℃以下である上記接着フィルムに関する。
また本発明は、樹脂Aと樹脂Bのガラス転移温度の差が20℃以上300℃以下である上記接着フィルムに関する。
また本発明は、接着剤層の貯蔵弾性率が150℃以上のいずれかの温度において3MPa以上10GPa以下である上記接着フィルムに関する。
また本発明は、接着剤層がカップリング剤を含む上記接着フィルムに関する。
また本発明は、カップリング剤がシランカップリング剤である上記接着フィルムに関する。
また本発明は、リードフレーム、及びリードフレーム上に貼り付けた上記接着フィルムを有する接着フィルム付きリードフレームに関する。
さらに本発明は、上記接着フィルムを用いて、リードフレームと半導体素子とを接着させた構造を有する半導体装置に関する。
本発明の接着フィルムは、樹脂Aのガラス転移温度が樹脂Bのガラス転移温度より低い樹脂A及び樹脂Bを含み、樹脂Aが海相、樹脂Bが島相となる海島構造をとる接着剤層を耐熱フィルムの片面または両面に形成させてなる。これにより、本発明の接着フィルムは、低温接着が可能であり、かつワイヤボンド性、信頼性、接着性、接着作業性等に優れる。
また、本発明の接着フィルムは、さらに樹脂の種類を特定することによって、接着性により優れる。
また、本発明の接着フィルムは、樹脂としてポリアミド又はポリアミドイミド等のアミド基含有樹脂を使用することによって、接着性、信頼性により優れる。
また、本発明の接着フィルムは、それぞれの樹脂のTgを制御することによって低温接着性とワイヤボンド性の両立により優れる。
また、本発明の接着フィルムは、樹脂のシリコーン成分の量を制御することにより海島構造の制御が容易になり、低温接着性とワイヤボンド性の両立に優れる。
また、上記接着フィルムを用いることにより、低温接着性、ワイヤボンド性、信頼性、接着性、接着作業性等に優れた接着フィルム付きリードフレームを提供することができる。
さらに、上記接着フィルム又は接着フィルム付きリードフレームを用いることにより、信頼性に優れた半導体装置を提供することができる。
本発明の接着フィルムは、半導体素子を被着体に接着するために用いる接着フィルムであって、一実施態様として図1(a)または(b)に示す構成を取る。図1(a)または(b)において1は耐熱フィルム、2は接着剤層である。半導体素子を接着させる被着体としては、特に限定されず、リードフレーム、フィルム、有機基板、半導体素子等が挙げられる。
本発明において、耐熱フィルムの片面または両面に形成される接着剤層は、樹脂A及び樹脂Bを含み、樹脂Aのガラス転移温度が樹脂Bのガラス転移温度より低く、樹脂Aが海相、樹脂Bが島相となる海島構造をとる接着剤層である。以下、具体的な実施態様を例示しながら本発明の接着フィルムを詳細に説明する。
本発明の接着フィルムにおいて、接着剤層は、樹脂Aが海相、樹脂Bが島相となる海島構造を有してなり、樹脂Aのガラス転移温度は、樹脂Bのガラス転移温度より低い。すなわち、海島構造において島相は海相よりもガラス転移温度が高く設定されている。このようにすることによって、本発明の接着フィルムは、低温接着性とワイヤボンド性の両立が可能となる。
本発明において、樹脂A及び樹脂Bは、耐熱性の熱可塑性樹脂から選択することが好ましい。耐熱性の熱可塑性樹脂としては例えば、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリエステル(ポリアリレート)、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、等のいわゆるエンジニアリングプラスチック類などを挙げることができる。
上記樹脂Aと樹脂Bとは、接着フィルムとなった状態で相分離していればよい。また、例えば、樹脂Aや樹脂Bが2種類以上の樹脂の混合樹脂であってもかまわない。
樹脂A及び樹脂Bとしては、接着性や溶解性の観点から、ポリイミドよりもポリアミドイミド、ポリアミド、芳香族ポリエステル(ポリアリレート)、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン等の樹脂を使用することが好ましい。
本発明の一実施態様として、樹脂A又は樹脂Bのいずれか一方が、ポリアミドイミド、ポリアミド、芳香族ポリエステル(ポリアリレート)、ポリサルフォン、及びポリエーテルサルフォンからなる群より選ばれる樹脂、又はこれらより選ばれる2種以上の樹脂を含む混合樹脂であることが接着性の点で好ましい。また、本発明の他の実施態様として、樹脂A及び樹脂Bの両方が、ポリアミドイミド、ポリアミド、芳香族ポリエステル(ポリアリレート)、ポリサルフォン、及びポリエーテルサルフォンからなる群より選ばれる樹脂、又はこれらより選ばれる2種以上の樹脂を含む混合樹脂であることが接着性の点で好ましい。
さらに、本発明の他の実施態様として、樹脂A及び樹脂Bの少なくとも一方が、ポリアミドイミド、ポリアミド、又はこれらの混合樹脂等のアミド基含有樹脂であることが、接着性、パッケージ信頼性の点で好ましい。その理由は、アミド基は極性の大きい基であるため極性基の相互作用により被着体との接着力が強くなり、また樹脂Aと樹脂Bの界面の接着力も強くなるためである。さらにアミド基は反応性も有するため、カップリング剤による微架橋によって樹脂を強化する作用も期待できる。
従って、本発明において、さらに接着力の向上を図るためには、樹脂A及び樹脂Bの少なくともいずれか一方が、ポリアミドイミド、ポリアミド、又はこれらの混合樹脂等のアミド基含有樹脂であることが好ましい。
樹脂A及び樹脂Bのいずれか一方にアミド基含有樹脂を使用する場合、海相となる樹脂Aにアミド基含有樹脂を使用することが接着性の点でより好ましい。アミド基の極性が期待できるからである。また、樹脂A及び樹脂Bの両方にアミド基含有樹脂を使用すると、樹脂Aと樹脂Bの相互作用も強くなり、界面剥離が起きにくくなるためより好ましい。
本発明で用いる樹脂A及び樹脂Bは、ガラス転移温度30℃以上400℃以下の耐熱性樹脂であることが好ましく、ガラス転移温度50℃以上350℃未満の耐熱性樹脂であることがより好ましい。また、樹脂Aは、ガラス転移温度30℃以上200℃未満、樹脂Bは、ガラス転移温度200℃以上400℃以下であることが好ましい。さらに、樹脂Aは、ワイヤボンド温度における動的粘弾性測定による貯蔵弾性率が0.1MPa以上であることがより好ましく、樹脂Bは、ワイヤボンド温度における動的粘弾性測定による貯蔵弾性率が10MPa以上であることがより好ましい。これらの観点からも、樹脂A及び樹脂Bのいずれか一方にアミド基含有樹脂を用いることが好ましい。
なお、本発明においてワイヤボンド温度とは、通常150℃以上のいずれかの温度をいう。
樹脂Aのガラス転移温度が200℃以上であると低温接着性が低下し、30℃未満であると室温で粘着性が生じ取り扱いにくく、またワイヤボンド性、信頼性が低下することがある。樹脂Aの貯蔵弾性率が0.1MPaより低くなると、ワイヤボンド性が低下することがある。
樹脂Aのガラス転移温度は、より好ましくは60〜180℃、さらに好ましくは70℃〜150℃である。樹脂Aの貯蔵弾性率は、より好ましくは3〜3000MPa、さらに好ましくは5〜3000MPaである。
また、樹脂Bのガラス転移温度が200℃未満である場合、また、貯蔵弾性率が10MPaより低くなる場合には、ワイヤボンド性が低下することがある。
樹脂Bのガラス転移温度は、より好ましくは220〜330℃、さらに好ましくは250℃〜300℃である。樹脂Bの貯蔵弾性率は、より好ましくは20〜3000MPa、さらに好ましくは50〜3000MPaである。
樹脂Aと樹脂Bのガラス転移温度の差は20℃以上300℃以下が好ましい。20℃未満であると低温接着性とワイヤボンド性の両立が難しく、300℃より高いとワイヤボンド性、信頼性が低下することがある。
また、本発明に使用される樹脂A及び樹脂Bを含む接着剤層の室温以上で最も低いガラス転移温度は、好ましくは50〜190℃、より好ましくは80〜190℃、さらに好ましくは100℃〜185℃である。ワイヤボンド温度における接着剤層の動的粘弾性測定による貯蔵弾性率は、好ましくは3MPa以上10GPa以下、より好ましくは3〜3000MPa、さらに好ましくは5〜3000MPaである。
なお、本発明において樹脂A及び樹脂Bを含む接着剤層のガラス転移温度は、接着剤単層の動的粘弾性測定によって得られる貯蔵弾性率曲線の2つ変曲点におけるそれぞれの接線の交点から求めることができる。
フィルムとした状態で、樹脂Aが海、樹脂Bが島となる海島構造をとる接着剤組成物は、事前に予備検討を行うことによって選択する。接着剤組成物は、樹脂Aと樹脂Bそれぞれのワニスを混合した場合に相分離して濁りが生じるか、耐熱フィルム上に塗工した際に相分離構造となって不透明な接着剤組成物層が得られるかを観察することによって決定できる。
樹脂A及び樹脂Bのワニスを混合する際の樹脂濃度や製膜条件の調整によって海島構造、島相の大きさ等を制御することもできる。
海相となる樹脂A、及び樹脂Aと相分離して島相となる樹脂Bの組合せの選択については、一般に化学的性質、化学構造が大きく異なる成分を含む樹脂の組合せから選択することができる。このような成分として、例えば、極性基(極性構造)と非極性基(非極性構造)、または親水性基(親水性構造)と疎水性基(疎水性構造)等の組合せがある。アルキル基、芳香族炭化水素基、フッ素置換アルキル基、フッ素置換芳香族炭化水素基等のフッ素置換構造、シリコーン構造等は非極性、疎水性成分であり、スルホニル基、カルボニル基、アミド基、エーテル結合、エステル結合等は極性、親水性成分である。従って、これらの化学的性質、化学構造の異なるモノマーにより製造された樹脂の組合せを選択することによって、樹脂Aと樹脂Bの組合せを得ることができる。
例えば、シリコーン構造を多く含むポリマーと、シリコーン構造を含まないポリマーとは相分離を起こしやすい。シリコーン構造を多く含むポリマーとしては、例えば、シリコーン構造を有するモノマーが全モノマー中の10重量%以上、好ましくは10重量%以上80重量%以下であるモノマー成分を重合して得たポリマーが挙げられる。シリコーン構造を含まないポリマーとしては、例えば、シリコーン構造を全く含まないポリマー、シリコーン構造を含んでいてもシリコーン構造を有するモノマーが全モノマー中の10重量%未満、好ましくは5重量%未満であるモノマー成分を重合して得たポリマーが挙げられ、これらのポリマーは、極性の強いスルホン基やエーテル基を多く含んでいてもよい。
樹脂Aを得るために用いられるシリコーン構造を有するモノマーの全モノマー中の割合は、10重量%以上80重量%以下が好ましい。80重量%より多いと接着力が低下する場合がある。
また、非極性、疎水性成分を主成分とするポリマー同士を用いる場合であっても、構造が大きく異なる場合には相分離を起こしやすい。例えばシリコーン構造を多く含むポリマーとかさ高いアルキル置換基を有するポリマーの場合には相分離を起こしやすい。従って、本発明においては、極性と非極性、または親水性と疎水性等の組合せに限定されることなく、互いに構造が異なる様々な組合せの樹脂Aと樹脂Bを用いることができる。
樹脂A及び樹脂Bの組合せを選択する際には、樹脂Aのガラス転移温度が樹脂Bのガラス転移温度よりも低くなるように、上記構造を含むモノマーにより製造された樹脂の剛直性等、ガラス転移温度に与える影響についても考慮するものとする。
また、本発明においては、樹脂A及び樹脂Bの合計重量に対し、樹脂Aを50〜95重量%、樹脂Bを5〜50重量%用いることが好ましく、樹脂Aを50〜90重量%、樹脂Bを10〜50重量%用いることがより好ましく、樹脂Aを50〜85重量%、樹脂Bを15〜50重量%用いることがさらに好ましい。
接着剤層中の樹脂B、つまり島相の平均的な大きさは、5μm以下であることが好ましく、1〜0.01μmであることがより好ましい。フィルムの特性均一性の点からは島相の大きさはできるだけ小さく、かつ均一に分散していることが好ましい。なお、海島構造の確認、さらに島の大きさの測定は、接着剤層の断面を研磨し、走査型電子顕微鏡などを使用して観察することにより平均的な大きさを算出することによって行うことができる。またフィルムの動的粘弾性測定における貯蔵弾性率曲線に樹脂Aおよび樹脂Bのそれぞれに由来する変曲点が存在していることによっても確認できる。
前記の樹脂A、及び樹脂Bとして好ましく用いられるポリアミドイミド又はポリアミドは、基本的に、ジアミン(A)及び/またはジイソシアネート(A’)と、酸成分とから合成される。酸成分としては、トリカルボン酸、テトラカルボン酸またはこれらの反応性誘導体(B)、ジカルボン酸またはこの反応性誘導体(C)などを用いることができ、これらは複数種を併用することも可能である。本発明においては、上記所定の各種特性を得られるよう、これらの反応成分の組合せ、その反応比、反応条件、分子量、接着剤への添加剤の有無とその種類、エポキシ樹脂等の添加樹脂などの調整を行う。
上記ジアミン(A)としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン等のアルキレンジアミン;パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、メタトルイレンジアミン等のアリーレンジアミン;、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DDE)、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンズアニリド等のジアミノジフェニル誘導体;1,4−ビス(4−アミノクミル)ベンゼン(BAP)、1,3−ビス(4−アミノクミル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(m−APPS)、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、及び下記一般式 化1で表されるジアミン、一般式 化2で表されるシロキサンジアミン等が挙げられる。これらのジアミンは単独で、または複数種を組み合わせて用いられる。
一般式 化1:
〔化1においてZはアミノ基を示し、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素もしくは炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基であってこれらのうち少なくとも2個以上はアルキル基またはアルコキシ基であり、Xは、−CH−、−C(CH−、−O−、−SO−、−CO−または−NHCO−で表される基である。〕
化1で表されるジアミンとしては、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラn−プロピルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトライソプロピルジフェニルメタン(IPDDM)、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラブチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−5,5’−ジイソプロピルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジイソプロピルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,5−ジメチル−3’,5’−ジエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,5−ジメチル−3’,5’−ジイソプロピルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,5−ジエチル−3’,5’−ジイソプロピルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,5−ジエチル−3’,5’−ジブチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,5−ジイソプロピル−3’,5’−ジブチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジイソプロピル−5,5’−ジブチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−5,5’−ジブチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジブチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジn−プロピルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジイソプロピルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジブチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5−トリメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5−トリエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5−トリn−プロピルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5−トリイソプロピルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5−トリブチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3−メチル−3’−エチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3−メチル−3’−イソプロピルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3−エチル−3’−イソプロピルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3−エチル−3’−ブチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3−イソプロピル−3’−ブチルジフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3,5−ジn−プロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3,5−ジイソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3,5−ジブチルフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラエチルジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラn−プロピルジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトライソプロピルジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラブチルジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラエチルジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラn−プロピルジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトライソプロピルジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラブチルジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルケトン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラエチルジフェニルケトン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラn−プロピルジフェニルケトン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトライソプロピルジフェニルケトン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラブチルジフェニルケトン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラメチルベンズアニリド、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラエチルベンズアニリド、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラn−プロピルジベンズアニリド、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトライソプロピルベンズアニリド、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラブチルベンズアニリド等がある。
一般式 化2:
〔化2においてR及びRは2価の有機基、R及びRは1価の有機基であり、mは1〜100の整数である。〕
化2中のR及びRとしては、それぞれ独立にトリメチレン基、テトラメチレン基、フェニレン基、トルイレン基等があり、R及びRとしては、それぞれ独立にメチル基、エチル基、フェニル基等があり、複数個のR及び複数個のRはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。
化2のシロキサンジアミンにおいて、R及びRがどちらもトリメチレン基であり、R及びRがどちらもメチル基である場合に、mが1のもの、平均10前後のもの、平均20前後のもの、平均30前後のもの、平均50前後のもの、平均100前後のものは、それぞれ、LP−7100、X−22−161AS、X−22−161A、X−22−161B、X−22−161C、X−22−161E(いずれも信越化学工業株式会社商品名)として市販されている。
上記ジイソシアネート(A’)としては、上記に例示したジアミンにおいて、アミノ基をイソシアネート基に換えたものを好ましく用いることができ、これらを単独で、または複数種を組み合わせて用いられる。また必要ならば前記ジアミンまたはジイソシアネートの混合物を用いることができる。
ポリアミドイミド、又はポリアミドの合成に用いられる酸成分としては、トリカルボン酸、テトラカルボン酸またはこれらの反応性誘導体(B)、ジカルボン酸またはこの反応性誘導体(C)などを用いることができる。(B)成分としては、芳香族トリカルボン酸、芳香族テトラカルボン酸またはこれらの反応性誘導体が好ましく用いられ、例えば、無水トリメリット酸等の単環芳香族トリカルボン酸無水物、無水トリメリット酸クロライド等の無水トリメリット酸の反応性誘導体、ピロメリット酸二無水物等の単環芳香族テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビスフェノールAビストリメリテート二無水物等の多環芳香族テトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。また(C)成分としては、芳香族ジカルボン酸またはこの反応性誘導体が好ましく用いられ、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、テレフタル酸クロライド、イソフタル酸クロライド等のフタル酸の反応性誘導体などが挙げられる。これらを単独で、または複数種を組み合わせて用いられる。
以下、酸成分として好適に用いられる芳香族ジカルボン酸、芳香族トリカルボン酸、芳香族テトラカルボン酸等についてさらに例示する。これは単独で、または複数種を組み合わせて用いることができる。
芳香族ジカルボン酸は、芳香環に2つのカルボキシル基が結合しているものである。もちろん、この芳香環はヘテロ環の導入されたものでもよく、また、芳香環同士がアルキレン、酸素、カルボニル基などと結合されていてもよい。更に芳香環に、たとえば、アルコキシ、アリルオキシ、ハロゲン等の縮合反応に関与しない置換基が導入されていてもよい。前記芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、及び1,5−ナフタレンジカルボン酸等を挙げることができるが、テレフタル酸及びイソフタル酸が入手容易であり好ましい。
また、前記芳香族ジカルボン酸の反応性誘導体としては、前記芳香族ジカルボン酸のジクロライド、ジブロマイド及びジエステル等を挙げることができるが、これらの中でもテレフタル酸ジクロライド及びイソフタル酸ジクロライドが好ましい。
芳香族トリカルボン酸は、芳香環に結合している3つのカルボキシル基の内の2つが隣接炭素原子に結合しているものである。もちろん、この芳香環はヘテロ環の導入されたものでもよく、また、芳香環同士がアルキレン、酸素、カルボニル基などを介し結合されていてもよい。更に芳香環に、たとえば、アルコキシ、アリルオキシ、ハロゲン等の縮合反応に関与しない置換基が導入されていてもよい。前記芳香族トリカルボン酸としては、トリメリット酸、3,3,4’−ベンゾフェノントリカルボン酸、2,3,4’−ジフェニルトリカルボン酸、2,3,6−ピリジントリカルボン酸、3,4,4’−ベンズアニリドトリカルボン酸、1,4,5−ナフタレントリカルボン酸、2’−メトキシ−3,4,4’−ジフェニルエーテルトリカルボン酸、2’−クロロベンズアニリド−3,4,4’トリカルボン酸等を挙げることができる。
また、前記芳香族トリカルボン酸の反応性誘導体としては、前記芳香族トリカルボン酸の酸無水物、ハライド、エステル、アミド、アンモニウム塩等があり、これらの例としては、トリメリット酸無水物、トリメリット酸無水物モノクロライド、1,4−ジカルボキシ−3−N,N−ジメチルカルバモイルベンゼン、1,4−ジカルボメトキシ−3−カルボキシベンゼン、1,4−ジカルボキシ−3−カルボフェノキシベンゼン、2,6−ジカルボキシ−3−カルボメトキシピリジン、1,6−ジカルボキシ−5−カルバモイルナフタレン、前記芳香族トリカルボン酸とアンモニア、ジメチルアミン、トリエチルアミン等からなるアンモニウム塩類等を挙げることができるが、これらの中でもトリメリット酸無水物及びトリメリット酸無水物モノクロライドが好ましい。
芳香族テトラカルボン酸としては、芳香環に4つのカルボキシル基が結合しているものである。もちろん、この芳香環はヘテロ環の導入されたものでもよく、また、芳香環同士がアルキレン、酸素、カルボニル基などを介し結合されていてもよい。更に芳香環に、たとえば、アルコキシ、アリルオキシ、ハロゲン等の縮合反応に関与しない置換基が導入されていてもよい。前記芳香族テトラカルボン酸としては、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸等を挙げることができる。
また、前記芳香族テトラカルボン酸の反応性誘導体としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、2,2−ビスフタル酸ヘキサフルオロイソプロピリデン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、ビスフェノールAビストリメリテート二無水物、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸二無水物、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェニルビストリメリテート二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、デカメチレングリコールビストリメリテート二無水物等が挙げられる。
本発明における合成に際しては、ジアミン成分と酸成分との反応に用いられている公知の方法をそのまま採用することができ、諸条件についても特に制限されるものではなく、公知の方法が利用できる。
本発明において用いられる樹脂A及び樹脂Bの重量平均分子量は、それぞれ30000〜130000であることが好ましい。さらに好ましくは、35000〜100000、より好ましくは、40000〜70000である。重量平均分子量が30000未満となると接着時の濡れ性が高すぎて接着剤の厚み減りが大きくなる問題が発生する場合がある。また、耐熱性、機械的強度が低下し、使用される半導体装置の耐リフロークラック性が低下する場合がある。130000を超えると、濡れ性、接着性が低下し、半導体装置製造時の作業性に劣る場合がある。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)で標準ポリスチレンによる検量線を用いたポリスチレン換算値である。
本発明において用いられる耐熱フィルムとしてはポリイミド、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリカーボネート等の絶縁性耐熱性樹脂フィルムが好ましく用いられる。耐熱フィルムの厚さは、特に限定するものではないが、通常5〜200μmが好ましく、20〜75μmが更に好ましい。
耐熱フィルムのガラス転移温度は、本発明で用いられる接着剤層のガラス転移温度より高いものが使用され、好ましくは250℃以上、より好ましくは300℃以上のものが使用される。耐熱フィルムの吸水率は、好ましくは3重量%以下、より好ましくは2重量%以下のものが使用される。
本発明に用いられる耐熱フィルムとしては、ガラス転移温度が250℃以上、吸水率が2重量%以下、熱膨張係数が3×10−5/℃以下の物性を備えた絶縁性耐熱性樹脂フィルムが好ましく、以上の点からポリイミドフィルムが特に好ましい。
耐熱フィルムは表面が処理されていることが好ましい。これは、接着剤層との接着力を高くし、耐熱フィルムと接着剤層間の剥離を防ぐためである。
耐熱フィルムの表面処理方法としては、アルカリ処理、シランカップリング処理等の化学処理、サンドマット処理等の物理的処理、プラズマ処理、コロナ処理等のいずれの処理も使用可能であるが、接着剤層の種類に応じて最も適した処理を用いればよい。本発明の接着剤層については、化学処理又はプラズマ処理が特に適している。
耐熱フィルム上に接着剤層を形成する方法としては、特に制限はないが、接着剤層となる樹脂を有機溶剤に溶解して作製した接着剤ワニス(接着剤組成物)を耐熱フィルム上に塗工した後、加熱処理して溶剤の除去をすることで、片面または両面に接着剤層を形成した接着フィルムにすることができる。
上記有機溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、m−クレゾール、ピリジン、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチルセロソルブアセテート、トルエン等が挙げられ、これらは単独または、2種類以上組み合わせて使用することができる。
樹脂を有機溶剤に溶解する時の配合量に特に制限はないが、樹脂分は接着剤層の表面状態及び作業性の観点から15〜50重量%とするのが好ましい。なお、選択した樹脂の組合せによっては樹脂分の調整によって、接着剤層の相分離構造を制御することも可能である。
接着剤組成物は、前記樹脂A及び樹脂Bのみを含むものでも良いし、エポキシ樹脂や硬化剤、硬化促進剤等を添加しても良い。また、セラミックス粉、ガラス粉、銀粉、銅粉、樹脂粒子、ゴム粒子等のフィラーやカップリング剤を添加しても良い。
パッケージ信頼性の点からはカップリング剤を添加することが望ましく、また、カップリング剤の効果の点から樹脂は主鎖中に反応性基を含むことが好ましく、特にアミド基を含むことが好ましい。
フィラーを添加する場合、その添加量は、樹脂A及び樹脂Bの合計量100重量部に対して1〜30重量部が好ましく、5〜15重量部がより好ましい。
カップリング剤としては、ビニルシラン、エポキシシラン、アミノシラン、メルカプトシラン、チタネート、アルミキレート、ジルコアルミネート等のカップリング剤が使用できるが、シランカップリング剤が好ましい。シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の末端に有機反応基を有するシランカップリング剤で、これらの内、エポキシ基を有するエポキシシランカップリング剤が好ましく用いられる。なお、ここで有機反応性基とは、エポキシ基、ビニル基、アミノ基、メルカプト基等の官能基である。シランカップリング剤の添加は、接着剤層の耐熱フィルムに対する密着性を向上させ、100〜300℃の温度で引き剥がした際に、接着剤層と耐熱フィルムの界面で剥離が生じにくくするためであり、また樹脂間に微架橋を行って接着剤層を強化する効果もある。カップリング剤の添加量は、樹脂A及び樹脂Bの合計量100重量部に対して、1〜15重量部が好ましく、2〜10重量部がより好ましい。
接着剤ワニスを塗工した耐熱フィルムを溶剤除去のために加熱処理する場合の処理温度は、溶剤が除去できる温度であれば良い。
塗工方法は特に制限はないが、例えば、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、バーコート、コンマコート等が挙げられる。また、接着剤ワニス中に耐熱フィルムを通して塗工しても良いが、厚みの制御が困難となる傾向がある。
耐熱フィルム上に形成される接着剤層の厚さとしては、1〜75μmが好ましく、10〜30μmが更に好ましい。接着剤層の厚さが1μm未満では、接着性、生産性に劣り、75μmを超えるものでは、コスト高となる傾向がある。
本発明の接着フィルムを用いると、信頼性に優れた接着フィルム付きのリードフレームを作業性、歩留まり良く簡便に製造することができる。例えば、本発明の接着フィルムを所定の大きさに切断したフィルム片をリードフレームに接着する方法がある。接着フィルムの切断方法は、フィルムを所定の形状に正確に切断する方法ならいずれの方法でも良いが、作業性を考えると、打ち抜き金型を用いて接着フィルムを切断し、打ち抜かれたフィルム片をそのままリードフレームに接着するのが好ましい。この時の接着温度としては、150〜350℃、好ましくは200〜300℃である。接着温度が150℃未満では、十分な接着力を得ることができず、350℃を超えると、接着剤層の熱劣化が問題となる場合がある。接着圧力は0.1〜20MPa、好ましくは、0.3〜10MPa、接着圧力が0.1MPa未満では、十分な接着力を得ることができず、20MPaを超えると、接着剤が所定の位置以外にはみ出し寸法精度が悪くなる場合がある。加圧時間は、前記接着温度、接着圧力で接着できる時間なら良いが、作業性を考えると0.3〜60秒が好ましく、0.5〜10秒が更に好ましい。
また、本発明の接着フィルムを用いると、信頼性に優れた半導体装置を作業性、歩留まり良く簡便に製造することができる。
例えば、前記のようにして作製した接着フィルム付きリードフレームを用いて、接着剤層のリードフレームが接着されていない面に半導体チップを接着した後、リードフレームと半導体チップを金線等で接合し、エポキシ樹脂等の成形材料でトランスファ成形して封止することによりLOC構造の半導体装置を製造することができる。
半導体チップの接着温度としては、150〜300℃、好ましくは150〜250℃、より好ましくは150〜200℃である。接着温度が150℃未満では、十分な接着力を得ることができず、300℃を超えると、半導体チップ及び接着剤層の熱劣化が問題となる場合がある。接着圧力は0.1〜20MPa、好ましくは、0.3〜10MPa、接着圧力が0.1MPa未満では、十分な接着力を得ることができず、20MPaを超えると、接着剤が所定の位置以外にはみ出し寸法精度が悪くなる場合がある。また、半導体チップが破壊する問題が生じることもある。
加圧時間は、前記接着温度、接着圧力で接着できる時間なら良いが、作業性を考えると0.3〜60秒が好ましく、0.5〜10秒が更に好ましい。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。
[製造例1]
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、塩化カルシウム管を備えた四つ口フラスコに4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトライソプロピルジフェニルメタン(IPDDM) 1.83g(5ミリモル)、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP) 2.05g(5ミリモル)、及びN−メチル−2−ピロリドン(NMP) 28.3gを入れ溶解した。次に20℃を超えないように冷却しながらトリメリット酸無水物モノクロライド(TAC) 2.08g(9.9ミリモル)を加えた。
室温で1時間撹拌した後、20℃を超えないように冷却しながらトリエチルアミン 1.11g(11ミリモル)を加え、室温で3時間反応させてポリアミド酸を合成した。得られたポリアミド酸ワニスを更に190℃で6時間反応させてポリアミドイミドを合成した。得られたポリアミドイミドのワニスを水に注いで得られる沈殿を分離、粉砕、乾燥してポリアミドイミド共重合体粉末を得た。
このポリアミドイミド粉末をGPCにて測定したポリスチレン換算での重量平均分子量は60000であった。
更に、このポリアミドイミド粉末をNMPに溶解し、得られたワニスをガラス板上に流延した。100℃で10分乾燥した後、はく離し、鉄枠に固定して250℃で1時間乾燥してフィルムを得た。
このようにして得られたフィルムを用いて熱機械測定(TMA)により加重10g、昇温速度10℃/分の条件でポリアミドイミドのガラス転移温度(Tg)を測定したところ265℃であった。
[製造例2]
温度計、撹拌機、窒素導入管及び分留塔をとりつけた5リットルの4つ口フラスコに窒素雰囲気下、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)175.2g(0.60モル)、シリコーンジアミン(信越化学工業株式会社製、商品名:X−22−161AS)352g(0.40モル)を入れ、ジエチレングリコールジメチルエーテル2400gに溶解した。さらにこの溶液を−10℃に冷却し、この温度でトリメリット酸無水物モノクロライド(TAC) 213g(1.00モル)を添加した。室温で1時間撹拌した後、20℃を超えないように冷却しながらトリエチルアミン 115gを加え、室温で3時間反応させてポリアミド酸を合成した。得られたポリアミド酸ワニスを更に190℃で6時間反応させてポリアミドイミドを合成した。得られた反応液をメタノール中に投入してポリアミドイミドを単離させた。これを乾燥した後、ジメチルホルムアミドに溶解しメタノール中に投入して再度ポリアミドイミドを単離した。その後、減圧乾燥して精製されたポリシロキサンポリアミドイミド共重合体粉末を得た。
このポリアミドイミド粉末の重量平均分子量は47000,Tgは82℃であった。
[製造例3]
温度計、撹拌機、窒素導入管及び分留塔をとりつけた5リットルの4つ口フラスコに窒素雰囲気下、APB 233.6g(0.80モル)、シリコーンジアミン(信越化学工業株式会社製、商品名:X−22−161AS) 176g(0.20モル)を入れ、ジエチレングリコールジメチルエーテル 2000gに溶解した。さらにこの溶液を−10℃に冷却し、この温度でトリメリット酸無水物モノクロライド(TAC) 213g(1.00モル)を添加した。室温で1時間撹拌した後、20℃を超えないように冷却しながらトリエチルアミン 115gを加え、室温で3時間反応させてポリアミド酸を合成した。得られたポリアミド酸ワニスを更に190℃で6時間反応させてポリアミドイミドを合成した。得られた反応液をメタノール中に投入してポリアミドイミドを単離させた。これを乾燥した後、ジメチルホルムアミドに溶解しメタノール中に投入して再度ポリアミドイミドを単離した。その後、減圧乾燥して精製されたポリシロキサンポリアミドイミド共重合体粉末を得た。
このポリアミドイミド粉末の重量平均分子量は46000,Tgは132℃であった。
[製造例4]
温度計、撹拌機、窒素導入管及び分留塔をとりつけた5リットルの4つ口フラスコに窒素雰囲気下、BAPP 389.5g(0.95モル)、シリコーンジアミン(信越化学工業株式会社製、商品名:LP−7100) 12.5g(0.05モル)を入れ、NMP 2400gに溶解した。さらにこの溶液を−10℃に冷却し、この温度でトリメリット酸無水物モノクロライド(TAC) 213g(1.00モル)を添加した。室温で1時間撹拌した後、20℃を超えないように冷却しながらトリエチルアミン 115gを加え、室温で3時間反応させてポリアミド酸を合成した。得られたポリアミド酸ワニスを更に190℃で6時間反応させてポリアミドイミドを合成した。得られた反応液をメタノール中に投入してポリアミドイミドを単離させた。これを乾燥した後、ジメチルホルムアミドに溶解しメタノール中に投入して再度ポリアミドイミドを単離した。その後、減圧乾燥して精製されたポリシロキサンポリアミドイミド共重合体粉末を得た。
このポリアミドイミド粉末の重量平均分子量は68000,Tgは225℃であった。
[製造例5]
TAC 2.13g(10ミリモル)とビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(m−APPS) 4.32g(10ミリモル)を用いる以外は製造例1と同様にしてポリアミドイミド共重合体粉末を得た。
このポリアミドイミド粉末重量平均分子量は62000,Tgは222℃であった。
[製造例6]
TAC 213g(1.00モル)とAPB 204.4g(0.70モル)、LP−7100 75g(0.30モル)を用いる以外は製造例2と同様にしてポリシロキサンポリアミドイミド共重合体粉末を得た。
このポリアミドイミド粉末の重量平均分子量は54000,Tgは145℃であった。
[製造例7]
TAC 213g(1.00モル)とBAPP 287g(0.70モル)、LP−7100 75g(0.30モル)を用いる以外は製造例2と同様にしてポリシロキサンポリアミドイミド共重合体粉末を得た。
このポリアミドイミド粉末重量平均分子量は58000,Tgは175℃であった。
[製造例8]
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、塩化カルシウム管を備えた四つ口フラスコに4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DDE) 0.2g(1ミリモル)、BAPP 3.69g(9ミリモル)、及びNMP 28.3gを入れ溶解した。次に20℃を超えないように冷却しながらイソフタル酸ジクロライド(IPC) 1.02g(5ミリモル)とテレフタル酸ジクロライド(TPC) 1.02g(5ミリモル)の混合物を加えた。室温で1時間撹拌した後、20℃を超えないように冷却しながらトリエチルアミン 1.11g(11ミリモル)を加え、室温で6時間反応させてポリアミドを合成した。得られたポリアミドのワニスを水に注いで得られる沈殿を分離、粉砕、乾燥してポリアミド共重合体粉末を得た。
このポリアミド粉末の重量平均分子量は59000,Tgは225℃であった。
[製造例9]
IPC 2.03g(10ミリモル)と4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(DDS) 2.48g(10ミリモル)を用いる以外は製造例8と同様にしてポリアミド共重合体粉末を得た。
このポリアミド粉末重量平均分子量は45000,Tgは318℃であった。
[製造例10]
IPC 2.03g(10ミリモル)とAPB2.92g(10ミリモル)を用いる以外は製造例8と同様にしてポリアミド共重合体粉末を得た。
このポリアミド粉末重量平均分子量は53000,Tgは183℃であった。
[実施例1]
製造例1のポリアミドイミド粉末30gをNMPに溶解したワニスと製造例2のポリアミドイミド粉末70gをNMPに溶解したワニスとを混合し、さらにシランカップリング剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製 商品名:SH6040)を樹脂に対して5重量%添加して作製したワニス(樹脂分28重量%)を化学処理したポリイミドフィルム(宇部興産(株)製 商品名:ユーピレックスS)の両面に塗布した後、100℃で10分、更に200℃で10分乾燥して厚さ25μmの接着剤層を両面に有する接着フィルムを得た。このフィルムの外観は濁っていた。接着剤層のTgは105℃、150℃における貯蔵弾性率は8MPaであった。
得られた接着剤層の断面を、走査型電子顕微鏡で観察することにより、製造例1のポリアミドイミドを島、製造例2のポリアミドイミドを海とする海島構造を有しており、島相の平均的大きさは3μmであった。
なお、本発明において、貯蔵弾性率の測定は、(株)レオロジ製DVEレオスペクトラーを用い、周波数10Hz、振幅10μm、引張加重は自動制御の条件で行った。
さらに、この接着フィルムを打ち抜き金型を用いて短冊状に打ち抜き、厚さ0.2mmの鉄−ニッケル合金製のリードフレームの上に、0.2mm間隔、0.2mm幅のインナーリードと接するように乗せて230℃で3MPaの圧力で3秒間加圧して圧着し、接着フィルム付きリードフレームを作製した。
次いで、この接着フィルム付きリードフレームの接着剤層面に半導体素子を200℃の温度で3MPaの圧力で3秒間加圧して圧着し、その後、リードフレームと半導体素子を160℃で金線を用いてワイヤボンドしたが、ワイヤの不圧着は生じなかった。さらにビフェニル系エポキシ樹脂成形材料(日立化成工業(株)製 商品名:CEL−9200)でトランスファ成形により封止し、図2に示すような半導体装置(パッケージ)を得た。
このパッケージを85℃,85%RH,48h吸湿処理した後、245℃の半田リフロー炉を通したが、パッケージクラックは発生しなかった。
図2において、3は接着フィルム、4は半導体素子、5はリードフレーム、6は封止材、7はボンディングワイヤ、8はバスバーである。
[比較例1]
製造例2の樹脂のみを用いる以外は実施例1と同様にして接着フィルムを得た。
このフィルムの外観は透明であった。接着剤層のTgは82℃、150℃における貯蔵弾性率は0.8MPaであった。
この接着フィルムを用いて実施例1と同様にして半導体装置を作製したが、ワイヤボンド工程においてワイヤ不圧着が多数発生した。
[比較例2]
製造例1の樹脂のみを用いる以外は実施例1と同様にして接着フィルムを得た。
このフィルムの外観は透明であった。接着剤層のTgは265℃、150℃における貯蔵弾性率は2.1GPaであった。この接着フィルムを用いて実施例1と同様にして半導体装置を作製したが、ダイボンド工程において接着温度200℃ではチップとリードフレームの接着ができなかった。
[実施例2]
製造例1のポリアミドイミド粉末30g、製造例3のポリアミドイミド粉末70gを用い、樹脂分を20重量%とする以外は実施例1と同様にして接着フィルムを得た。このフィルムの外観は濁っていた。接着剤層のTgは145℃、150℃における貯蔵弾性率は800MPaであった。外観写真(接着剤層の表面を光学顕微鏡を用いて観察した。)及び粘弾性チャートを図3,4に示す。外観写真においては、接着剤層の海相及び島相が確認できる。粘弾性チャートには混合前の樹脂それぞれに由来する変曲点が現れていることが分かる。
得られた接着剤層の断面を、走査型電子顕微鏡で観察することにより、製造例1のポリアミドイミドを島、製造例3のポリアミドイミドを海とする海島構造を有することを確認した。
さらに、この接着フィルムを打ち抜き金型を用いて短冊状に打ち抜き、厚さ0.2mmの鉄−ニッケル合金製のリードフレームの上に、0.2mm間隔、0.2mm幅のインナーリードが接するように乗せて230℃で3MPaの圧力で3秒間加圧して圧着し、接着フィルム付きリードフレームを作製した。
次いで、この接着フィルム付きリードフレームの接着剤層面に半導体素子を200℃の温度で3MPaの圧力で3秒間加圧して圧着し、その後、リードフレームと半導体素子を160℃で金線を用いてワイヤボンドしたが、ワイヤの不圧着は生じなかった。さらにビフェニル系エポキシ樹脂成形材料(日立化成工業(株)製 商品名:CEL−9200)でトランスファ成形により封止し、図2に示すような半導体装置(パッケージ)を得た。
このパッケージを85℃,85%RH,48h吸湿処理した後、245℃の半田リフロー炉を通したが、パッケージクラックは発生しなかった。
[実施例3]
製造例4のポリアミドイミド粉末30g、製造例3のポリアミドイミド粉末70gを用いる以外は実施例1と同様にして接着フィルムを得た。このフィルムの外観は濁っていた。外観写真(接着剤層の表面を光学顕微鏡を用いて観察した。)を図5に示す。接着剤層のTgは138℃、150℃における貯蔵弾性率は750MPaであった。
得られた接着剤層の断面を、走査型電子顕微鏡で観察することにより、製造例4のポリアミドイミドを島、製造例3のポリアミドイミドを海とする海島構造を有することを確認した。
さらに、この接着フィルムを打ち抜き金型を用いて短冊状に打ち抜き、厚さ0.2mmの鉄−ニッケル合金製のリードフレームの上に0.2mm間隔、0.2mm幅のインナーリードが接するように乗せて230℃で3MPaの圧力で3秒間加圧して圧着し、接着フィルム付きリードフレームを作製した。
次いで、この接着フィルム付きリードフレームの接着剤層面に半導体素子を200℃の温度で3MPaの圧力で3秒間加圧して圧着し、その後、リードフレームと半導体素子を160℃で金線を用いてワイヤボンドしたが、ワイヤの不圧着は生じなかった。さらにビフェニル系エポキシ樹脂成形材料(日立化成工業(株)製 商品名:CEL−9200)でトランスファ成形により封止し、図2に示すような半導体装置(パッケージ)を得た。
このパッケージを85℃,85%RH,48h吸湿処理した後、245℃の半田リフロー炉を通したが、パッケージクラックは発生しなかった。
[実施例4]
製造例1のポリアミドイミド粉末15g、製造例3のポリアミドイミド粉末85gを用い、樹脂分を33重量%とする以外は実施例1と同様にして接着フィルムを得た。このフィルムの外観は濁っていた。接着剤層のTgは136℃、150℃における貯蔵弾性率は740MPaであった。
得られた接着剤層の断面を、走査型電子顕微鏡で観察することにより、製造例1のポリアミドイミドを島、製造例3のポリアミドイミドを海とする海島構造を有することを確認した。
さらに、この接着フィルムを打ち抜き金型を用いて短冊状に打ち抜き、厚さ0.2mmの鉄−ニッケル合金製のリードフレームの上に0.2mm間隔、0.2mm幅のインナーリードが接するように乗せて230℃で3MPaの圧力で3秒間加圧して圧着し、接着フィルム付きリードフレームを作製した。
次いで、この接着フィルム付きリードフレームの接着剤層面に半導体素子を200℃の温度で3MPaの圧力で3秒間加圧して圧着し、その後、リードフレームと半導体素子を160℃で金線を用いてワイヤボンドしたが、ワイヤの不圧着は生じなかった。さらにビフェニル系エポキシ樹脂成形材料(日立化成工業(株)製 商品名:CEL−9200)でトランスファ成形により封止し、図2に示すような半導体装置(パッケージ)を得た。
このパッケージを85℃,85%RH,48h吸湿処理した後、245℃の半田リフロー炉を通したが、パッケージクラックは発生しなかった。
[比較例3]
製造例1のポリアミドイミド粉末70g、製造例2のポリアミドイミド粉末30gを用いる以外は実施例1と同様にして接着フィルムを得た。このフィルムの外観は濁っていた。接着剤層のTgは235℃、150℃における貯蔵弾性率は1.2GPaであった。
得られた接着剤層の断面を、走査型電子顕微鏡で観察することにより、製造例2のポリアミドイミドを島、製造例1のポリアミドイミドを海とする海島構造を有することを確認した。
この接着フィルムを用いて実施例1と同様にして半導体装置を作製したが、ダイボンド工程において接着温度200℃ではチップとリードフレームの接着ができなかった。
[実施例5]
製造例8のポリアミド粉末30g、製造例2のポリアミドイミド粉末70gを用いる以外は実施例1と同様にして混合ワニス及び接着フィルムを得た。混合ワニスの段階でかなりの相分離を起こしており、作製したフィルムの外観も大きく相分離を起こしていた。
[実施例6]
製造例9のポリアミド粉末30g、製造例2のポリアミドイミド粉末70gを用いる以外は実施例1と同様にして混合ワニス及び接着フィルムを得た。混合ワニスの段階でかなりの相分離を起こしており、作製したフィルムの外観も大きく相分離を起こしていた。
[実施例7]
製造例1のポリアミドイミド粉末30g、製造例6のポリアミドイミド粉末70gを用いる以外は実施例1と同様にして接着フィルムを得た。このフィルムの外観は濁っていた。接着剤層のTgは146℃、150℃における貯蔵弾性率は1.0GPaであった。
得られたフィルムの粘弾性チャート及び熱機械試験機(TMA)による引張モードでのチャートを図6,7に示す。粘弾性チャートには、混合前の樹脂それぞれに由来する変曲点が現れていることが分かる。接着剤層の断面を、走査型電子顕微鏡で観察することにより、製造例1のポリアミドイミドを島、製造例6のポリアミドイミドを海とする海島構造を有することを確認した。
さらに、この接着フィルムを打ち抜き金型を用いて短冊状に打ち抜き、厚さ0.2mmの鉄−ニッケル合金製のリードフレームの上に0.2mm間隔、0.2mm幅のインナーリードが当たるように乗せて250℃で3MPaの圧力で3秒間加圧して圧着し、接着フィルム付きリードフレームを作製した。
次いで、この接着フィルム付きリードフレームの接着剤層面に半導体素子を230℃の温度で3MPaの圧力で3秒間加圧して圧着し、その後、リードフレームと半導体素子を160℃で金線を用いてワイヤボンドしたが、ワイヤの不圧着は生じなかった。さらにビフェニル系エポキシ樹脂成形材料(日立化成工業(株)製 商品名:CEL−9200)でトランスファ成形により封止し、図2に示すような半導体装置(パッケージ)を得た。
このパッケージを85℃,85%RH,48h吸湿処理した後、245℃の半田リフロー炉を通したが、パッケージクラックは発生しなかった。
[実施例8]
製造例1のポリアミドイミド粉末40g、製造例6のポリアミドイミド粉末60gを用いる以外は実施例1と同様にして接着フィルムを得た。このフィルムの外観は濁っていた。接着剤層のTgは146℃、150℃における貯蔵弾性率は1.05GPaであった。
得られたフィルムの粘弾性チャートを図6に示す。混合前の樹脂それぞれに由来する変曲点が現れていることが分かる。接着剤層の断面を、走査型電子顕微鏡で観察することにより、製造例1のポリアミドイミドを島、製造例6のポリアミドイミドを海とする海島構造を有することを確認した。走査型電子顕微鏡写真を図8に示す。
得られた接着フィルムは非常にすべりがよく静電気の発生がほとんどなかった。
さらに、この接着フィルムを打ち抜き金型を用いて短冊状に打ち抜き、厚さ0.2mmの鉄−ニッケル合金製のリードフレームの上に0.2mm間隔、0.2mm幅のインナーリードが当たるように乗せて250℃で3MPaの圧力で3秒間加圧して圧着し、接着フィルム付きリードフレームを作製した。
次いで、この接着フィルム付きリードフレームの接着剤層面に半導体素子を230℃の温度で3MPaの圧力で3秒間加圧して圧着し、その後、リードフレームと半導体素子を160℃で金線を用いてワイヤボンドしたが、ワイヤの不圧着は生じなかった。さらにビフェニル系エポキシ樹脂成形材料(日立化成工業(株)製 商品名:CEL−9200)でトランスファ成形により封止し、図2に示すような半導体装置(パッケージ)を得た。
このパッケージを85℃,85%RH,48h吸湿処理した後、245℃の半田リフロー炉を通したが、パッケージクラックは発生しなかった。
[実施例9]
製造例5のポリアミドイミド粉末15g、製造例7のポリアミドイミド粉末85gを用いる以外は実施例1と同様にして接着フィルムを得た。このフィルムの外観は濁っていた。接着剤層のTgは177℃であった。
得られた接着剤層の断面を、走査型電子顕微鏡で観察することにより、製造例5のポリアミドイミドを島、製造例7のポリアミドイミドを海とする海島構造を有することを確認した。
[実施例10]
製造例10のポリアミド粉末20g、製造例6のポリアミドイミド粉末80gを用いる以外は実施例1と同様にして接着フィルムを得た。このフィルムの外観は濁っていた。接着剤層のTgは146℃であった。
得られた接着剤層の断面を、走査型電子顕微鏡で観察することにより、製造例10のポリアミドを島、製造例6のポリアミドイミドを海とする海島構造を有することを確認した。
なお下記表1は、上記の実施例を一覧表に纏めたものである。
本発明の接着フィルムの実施態様を示す断面図である。(a)は、耐熱フィルムの片面に接着剤層を積層した例、(b)は、耐熱フィルムの両面に接着剤層を積層した例である。 本発明の接着フィルムを用いた半導体装置の実施態様を示す断面図である。 実施例2における接着剤層の外観写真である。 実施例2における接着剤層の粘弾性チャートである。 実施例3における接着剤層の外観写真である。 実施例7及び8における接着剤層の粘弾性チャートである。 実施例7における接着剤層のTMAチャートである。 実施例8における接着剤層の断面の走査型電子顕微鏡写真である。
符号の説明
1 耐熱フィルム
2 接着剤層
3 接着フィルム
4 半導体素子
5 リードフレーム
6 封止材
7 ボンディングワイヤ
8 バスバー

Claims (14)

  1. 半導体素子を被着体に接着するために用いる接着フィルムであって、
    前記接着フィルムは、耐熱フィルムの片面又は両面に接着剤層が形成されてなり、
    前記接着剤層は樹脂A及び樹脂Bを含有し、
    前記樹脂Aのガラス転移温度は、上記樹脂Bのガラス転移温度より低く、
    前記接着剤層は、樹脂Aが海相、樹脂Bが島相となる海島構造を有する接着フィルム。
  2. 樹脂A又は樹脂Bのいずれか一方が、ポリアミドイミド、ポリアミド、芳香族ポリエステル、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、又はこれらの2種以上の混合樹脂である請求項1記載の接着フィルム。
  3. 樹脂A及び樹脂Bの両方が、ポリアミドイミド、ポリアミド、芳香族ポリエステル、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、又はこれらの2種以上の混合樹脂である請求項1記載の接着フィルム。
  4. 樹脂A又は樹脂Bの少なくともいずれか一方が、ポリアミドイミド、ポリアミド、又はこれらの混合樹脂である請求項1〜3のいずれか記載の接着フィルム。
  5. 樹脂Aが、ポリアミドイミド、ポリアミド、又はこれらの混合樹脂である請求項1〜4のいずれか記載の接着フィルム。
  6. 樹脂Aが、シリコーン構造を有するモノマーを10重量%以上80重量%以下含むモノマー成分を重合して得たポリマーである請求項1〜5のいずれか記載の接着フィルム。
  7. 樹脂Bが、シリコーン構造を有するモノマーを0重量%以上10重量%未満含むモノマー成分を重合して得たポリマーである請求項6記載の接着フィルム。
  8. 樹脂Aのガラス転移温度が30℃以上200℃未満であり、樹脂Bのガラス転移温度が200℃以上400℃以下である請求項1〜7のいずれか記載の接着フィルム。
  9. 樹脂Aと樹脂Bのガラス転移温度の差が20℃以上300℃以下である請求項8記載の接着フィルム。
  10. 接着剤層の貯蔵弾性率が150℃以上のいずれかの温度において3MPa以上10GPa以下である請求項1〜9のいずれか記載の接着フィルム。
  11. 接着剤層がカップリング剤を含む請求項1〜10のいずれか記載の接着フィルム。
  12. カップリング剤がシランカップリング剤である請求項11記載の接着フィルム。
  13. リードフレーム、及びリードフレーム上に貼り付けた請求項1〜12のいずれか記載の接着フィルムを有する接着フィルム付きリードフレーム。
  14. 請求項1〜12のいずれか記載の接着フィルムを用いて、リードフレームと半導体素子とを接着させた構造を有する半導体装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022163547A1 (ja) * 2021-01-29 2022-08-04 日東電工株式会社 表面改質シート、積層体、表面改質部材、塗装物、表面改質部材の製造方法、及び塗装物の製造方法

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