JP2006281617A - プラスチック原料注入方法、プラスチック原料注入装置及びプラスチック原料注入ノズル並びにプラスチックレンズ - Google Patents

プラスチック原料注入方法、プラスチック原料注入装置及びプラスチック原料注入ノズル並びにプラスチックレンズ Download PDF

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Abstract

【課題】プラスチックレンズ成型鋳型の原料注入口に原料注入ノズルを挿入してプラスチック原料を注入するに際し、原料の注入流量を大きくし、同時にガラス成形型内部を傷つけることを防止可能にする原料注入ノズルおよび原料注入装置を提供する。
【解決手段】 前記原料注入ノズル7として、成形鋳型8内に挿入される先端部が扁平な中空形状をなしたものを用い、プラスチックレンズ成形鋳型8として、その原料注入口85が原料注入ノズル7を挿入可能な細長いスリット形状をなしているものを用い、注入ノズル先端部を原料注入口に挿入して原料を注入するようにした。
【選択図】図9

Description

本発明は、眼鏡レンズその他のプラスチックレンズを成形する場合に用いられるプラスチック原料注入方法、プラスチック原料注入装置及びプラスチック原料注入ノズル並びにプラスチックレンズに関する。
例えば、眼鏡レンズ等として用いられるプラスチックレンズは、一般に、プラスチックレンズ成形鋳型を用いた成形によって製造される。この成形はプラスチックレンズ成形鋳型内に原料の熱硬化性モノマー等を注入し、鋳型内の原料を加熱重合させ、硬化させて成形するものである(注型重合)。成型用鋳型内への原料の注入は、プラスチック原料を貯蔵する原料タンクから原料搬送流路を通じて成形鋳型にプラスチック原料を搬送し、この原料搬送路の先端部に設けられた注入ノズルを成形鋳型の注入口に挿入して主として重力を利用して鋳型内に滴下させることで注入が行なわれる(特許文献1、特許文献2参照)。
ところで、眼鏡レンズをタイプ別に分けると入射光を発散させるマイナスレンズ、及び集光させるプラスレンズがある。マイナスレンズの断面形状はレンズ中心部が薄く、レンズ外周部が厚い。一方プラスレンズはレンズ中心部が厚く、レンズ周辺部が薄くなる特性がある。注型重合によるレンズの製造ではプラスレンズの周辺部厚みが薄く、成形型の間隔が狭い。従って原材料の充填には外形の細い注入管(ノズル)を用いたり、成形型に切り欠けを設けて注入管の挿入位置とするなどが行われている(特許文献3参照)。
特開2002-18866 特開2004-142429 特開平4-247913
ここで、プラスチックレンズ成型鋳型は一対のガラス成形型がレンズ形成用光学面を所定の間隔をもって互いに対向し、樹脂製ガスケットがガラス成形型の周面に配置されている。一対のガラス型の間隔には複数種類がある。例えば正の屈折力を有するレンズでは、レンズ外周部での端面の厚みは1.5mm以下である。したがってレンズ成型鋳型の外周部でのガラス成形型の間隔も同程度となり、極めて小さい間隙を形成している。原材料の注入は前記間隙から行われる。
一般的に注入は注射針の様に極めて細い金属の注入管が用いられる。しかしながらこのような間隙では十分な断面積を持つ注入ノズルを使用することがでないため流量が小さく注入には長い時間が必要となる。一方プラスチックレンズ原料液は時間が経つにつれて化学反応が進行する。従って速やかに注入を行うことが要求される。速やかに注入を行い生産性を上げるためには注入管の内径を大きくして流量を大きくする事が有効であるが、ガラス成形型の間隔が狭いため、注入管の径も1.5mmが最大値となる。注入管の径が前記成形型の間隙に対して大きいと、注入管挿入時に成形型の内部と接触、または挿入できなどの問題が生ずる。
また、外径の小さい注入管は樹脂で形成することは難しく、コストも大きい。従って外径の小さい注入管は一般に金属で形成されている。ところが金属製の注入管はガラスと接触するとガラス成形型の光学面を傷つけてしまい、レンズ成型品に転写されて問題である。そして注入ノズルと金属が接触した場合に剥離するガラス片が鋳型内部に混入すると、ガラス片の除去は難しく問題である。
本発明は、このような背景のもとでなされたものであり、原材料の注入流量を大きくする事ができ、ガラス成形型内部を傷つけることを防止可能にするプラスチック原料注入方法、プラスチック原料注入方装置及びプラスチック原料注入ノズル並びにそれらの装置若しくは方法を用いて製造されるプラスチックレンズを提供することを目的とする。
上述の課題を解決するための手段として、第1の手段は、
プラスチックレンズ成形鋳型の原料注入口に原料注入ノズルを挿入してこのプラスチックレンズ成形鋳型内にプラスチック原料を注入するプラスチック原料注入方法であって、
前記原料注入ノズルとして、成形鋳型内に挿入される先端部が扁平な中空形状をなしたものを用い、
前記プラスチックレンズ成形鋳型として、その原料注入口が前記原料注入ノズルを挿入可能な細長いスリット形状をなしているものを用い、
前記注入ノズル先端部を前記原料注入口に挿入して原料を注入するようにしたことを特徴とするプラスチック原料注入方法である。
第2の手段は、
前記原料注入ノズルが、プラスチック原料が供給される基端部側がほぼ円管に近い形状をなし、この基端部側から、鋳型内に挿入される先端部側にいくにしたがって次第に扁平な中空形状をなしたノズル本体と、前記ノズル本体の少なくとも先端部を覆うと共に、さらにこの先端部から所定距離はみ出た領域も覆うようにした樹脂被覆体とを有するものであって、この樹脂被覆体の先端部を前記原料注入口に挿入して注入することを特徴とする第1の手段にかかるプラスチック原料注入方法である。
第3の手段は、
プラスチックレンズ成形鋳型の原料注入口に原料注入ノズルを挿入してこのプラスチックレンズ成形鋳型内にプラスチック原料を注入するプラスチック原料注入装置であって、
前記原料注入ノズルが、プラスチック原料が供給される基端部側がほぼ円管に近い形状をなし、この基端部側から、鋳型内に挿入される先端部側にいくにしたがって次第に扁平な中空形状をなしたノズル本体と、前記ノズル本体の少なくとも先端部を覆うと共に、さらにこの先端部から所定距離はみ出た領域も覆うようにした樹脂被覆体とを有するものであることを特徴とするプラスチック原料注入装置である。
第4の手段は、
前記樹脂被覆体の先端部は、前記ノズル本体先端部の扁平中空形状とほぼ等しい扁平中空形状をなしており、その先端が常時開口されて、その開口部から原料が吐出されるようになっていることを特徴とする第3の手段にかかるプラスチック原料注入装置である。
第5の手段は、
前記樹脂被覆体の先端部は、前記ノズル本体先端部の扁平中空形状とほぼ等しい扁平中空形状をなしているが、その先端は常時は閉鎖されており、前記ノズル本体から原料が送られてきたときだけ開口されて原料が吐出されるようになっていることを特徴とする第3の手段にかかるプラスチック原料注入装置である。
第6の手段は、
前記ノズル本体は金属材料で構成され、前記樹脂被覆体は、厚さ0.3mm以下のフッ素系樹脂で構成されていることを特徴とする第3〜第5のいずれかの手段にかかるプラスチック原料注入装置である。
第7の手段は、
プラスチックレンズ成形鋳型の原料注入口に挿入してこのプラスチックレンズ成形鋳型内にプラスチック原料を注入するプラスチック原料注入ノズルであって、
プラスチック原料が供給される基端部側がほぼ円管に近い状をなし、この基端部側から、鋳型内に挿入される先端部側にいくにしたがって次第に扁平な中空形状をなしたノズル本体と、前記ノズル本体の少なくとも先端部を覆うと共に、さらにこの先端部から所定距離はみ出た領域も覆うようにした樹脂被覆体とを有するものであることを特徴とするプラスチック原料注入ノズルである。
第8の手段は、
プラスチック原料を成形鋳型に注入して成形することによってレンズ形状に形成されたプラスチックレンズであって、前記成形工程の際に第1〜第3のいずれかの手段にかかるプラスチック原料注入方法が用いられて製造されたものであることを特徴とするプラスチックレンズである。
第9の手段は、
プラスチック原料を成形鋳型に注入して成形することによってレンズ形状に形成されたプラスチックレンズであって、前記成形工程の際に第4〜第6のいずれかの手段にかかるプラスチック原料注入装置が用いられて製造されたものであることを特徴とするプラスチックレンズである。
上述の手段によれば、扁平で厚みの小さいノズルを用いるため、円形の注入管に比較して注入のノズルの断面積が大きく、原材料の注入流量を大きくする事ができる。さらに注入ノズルの先端部は樹脂被覆体で構成しているため、金属等で構成されるノズル本体が鋳型内部の成形型光学面に直接接触することがなくガラス成形型内部を傷つけることがない。
図1は本発明の実施の形態にかかるプラスチック原料注入装置の全体構成を示すブロック図、図2は図1に示されるプラスチック原料注入装置の原料搬送経路及び制御接続状態の説明図、図3は図1に示されるプラスチック原料注入装置の部分斜視図、図4はローラーポンプを示す図、図5は注入ノズルを示す図であって図aは平面図であり図bはa−a線断面図、図6はプラスチックレンズ成形鋳型を示す図、図7はプラスチックレンズの製造工程を示すフローチャート図、図8はプラスチック原料の注入状態を示す説明図、図9はプラスチック原料の注入状態を示す説明図、図10はプラスチック原料の注入時における気泡の発生状態の説明図である。以下、本発明を実施するための最良の形態を、これらの図面に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1に示されるプラスチック原料注入装置は、原料タンクから同時に多数の成形鋳型にプラスチック原料を注入することを可能にした装置である。図1において、符号1は、調合されたプラスチック原料を貯蔵する原料タンクである。この原料タンク1は、その内部の圧力が加圧装置2によって適宜加圧できるようになっている。また、原料タンク1には原料搬送流路を構成する管体101が接続され、この管体101は、第一分岐部102に接続されて複数の分岐管103、103、・・・に分岐される。各分岐管103は、複数設けられた第二分岐管部104にそれぞれ接続されるが、その途中にそれぞれ第1フィルター3が介在される。
第二分岐管部104は複数の分岐管105に分岐され、各々の分岐管105の先にはそれぞれローラーポンプ4が接続される。このローラーポンプ4は開閉バルブ5を介して第2フィルター6に接続される。第2フィルター6の出口には接続管107が接続され、その先端部に注入ノズル7が接続される。そして、この注入ノズル7からプラスチックレンズ成形鋳型8内にプラスチック原料が注入されるようになっている。なお、図2に示されるように、加圧装置2、ローラーポンプ4、開閉バルブ5は、制御回路9によって、適宜動作制御がなされる。また、図3にその一部斜視図を示したように、ローラーポンプ4、開閉バルブ5、第2フィルター6、注入ノズル7は、種々の取り付け部材及び必要な駆動機構等を介して基台1000に取り付けられて固定されている。
また、成形鋳型8は、移送装置803(図9参照)等によって移送され、位置決め固定装置801や802によって位置決めできるようになっており、また、注入ノズル7は、水平移動装置701や上下駆動装置702によって上下・水平位置を移動でき、さらに、傾斜調整機構703によって傾斜角度を調整できるようになっている。
(原料タンク)
原料タンク1は、攪拌装置と冷却装置とを備えた密閉式タンクである。攪拌装置は、磁性棒を外部磁場で回転させる周知のものを用いることができる。また、冷却装置としては、周囲をジャケットで包み、そのジャケットを冷却水で冷却するものを用いることができる。内部の圧力は、加圧装置2によって任意に変えられるようになっている。本実施の形態では、大気圧よりも大きく設定され、プラスチック原料の搬送流路内の圧力が大気圧に対して陽圧になるようにされ,それによる特有の効果を得ている。しかし、原料の種類,その他の条件しだいでは、必ずしも加圧しなくても良い場合がある。
(原料搬送流路)
管体101、複数の分岐管103、複数の分岐管105、接続管107等の搬送流路は、管状弾性体で構成される。管状弾性体としては、プラスチック原料の特性と対薬品性、弾性機能、経済性、簡略配管性を考慮して選定される。この実施の形態では、汎用のシリコンチューブを使用している。シリコンチューブの内径は6mm,外径は8mm、シリコンチューブの管状部分を形成する厚みは1mmである。なお、内径、外径、厚み等は、プラスチック原料に応じて選定されるが、好ましい範囲は、内径が4〜8mm、外径が6〜14mm、厚みが1〜3mmである。他の材料としては、ポリオレフィン系チューブ、ナイロン系チューブ、ウレタン系チューブ、フッ素系チューブ、ゴム系チューブ等が考えられる。
(第1、第2フィルター)
第1フィルター3は、主として小さい粒子を含むプラスチック原料中の不純物、異物の濾過を目的とする。それゆえ、第1フィルター3として、ろ過面積が大きく、かつ所定の大きさの不純物を除去できる濾過機能の高いものが用いられる。一方、バルブ5の先に設けられる第2フィルター6は、この第1のフィルターに比較して、濾過性能が低く、目詰まりのしにくい、かつ圧力損失の少ない、目の粗いフィルターを配置する。すなわち、この実施の形態のフィルター配置は、常識的配置と全く逆の配置である。これは、本願発明者がはじめて提案したもので、プラスチック原料自体に含まれる不純物や異物等は、濾過性能の高い第1フィルターで十分に取り除き、第2フィルターでは、原料自体に含まれる不純物ではなく、ローラーポンプ等で発生する可能性のある比較的大きな異物等を取り除く役割と同時に、ローラーポンプの脈動を抑える役割を担わせるようにしたものである。これによって、異物が含まれないことは勿論、脈動が極めて少なく、極めて安定した注入を可能にしているものである。
ここで、一般的には、フィルターは、原材料中の不純物を除去し、成型品に異物が混入することを防ぐ目的で配置される。フィルターの配置は一般に原材料の供給部である供給タンクの直後、または、排出部である注入ノズルの手前に配置される。その場合、フィルターは、除去を対象とする不純物の大きさに合わせて選択されるが、小さい粒子を除去するフィルターは不純物が詰まり、濾過機能が低下しやすい。このため、2種類以上のフィルタを直列設置して、最初のフィルターで大きな粒子を除去、順次小さい粒子を濾過することで目詰まりを回避する事が一般的である。その意味で、本実施の形態のフィルター配置は常識的配置と逆である。
さらに、説明すると、注入ノズル側に第2フィルター6を配置したのには、2つの目的がある。一つには、ローラーポンプ4やバルブ5の開閉で発生する配管内部の発塵物を濾過して除去するためである。これらからの発塵物はもともと原料に含まれる微細な異物に比較すると大きいものである。二つにはローラーポンプによる脈動を解消して、安定した流量を維持する事でである。すなわち第2フィルター6は、濾過機能、及びポンプの脈動を抑える目的を兼ねて配置される。ここで、第2フィルター6を第1フィルター3と同じように濾過機能を優先したものとすると、注入量の制御精度の低下を招く。第2フィルター6の濾過機能が高い場合、ポンプからの送液を一定の圧力になるまで保持し、一定の圧力を越えた場合に排出する。従って濾過機能の高いフィルターがポンプと注入ノズルの間に介在すると、ポンプが液送開始した直後は注入が開始されず、またポンプが停止しても注入は完了しない。さらに濾過機能の高いフィルターは目詰まりしやすく、圧力損失が大きく変化し、ポンプの稼働時間と実際の注入時間との時間差は定性的にとらえることができない。そしてこの時間差は注入量の制御精度を低下させるため、ローラーポンプによる流量制御ができない。
このように、本実施の形態では、濾過に関しては、濾過性能の高い第1フィルター3で十分に行い、第2フィルター6では脈動を抑える事を主たる目的とし、濾過性能は副次的な目的とした。そして、第2フィルター6は濾過性能の低く目詰まりのしにくい、かつ圧力損失の少ない目の粗いフィルターを配置したものである。本実施の形態では、12個の成形鋳型へ同時に注入する構成される注入装置において、スフィルド樹脂系を濾過するための第1フィルター3としては、濾過機能が0.1〜10ミクロン、圧力損失が5〜100KPa(at 10L/min)を、第2フィルター6として、濾過機能が1〜25ミクロン、圧力損失が0.1〜5KPa(at 10L/min)のものとしている。
また、上記と異なるプラスチック原料の場合、例えば、ポリチオウレタン系では、第1フィルター3の濾過機能が1〜10ミクロン、圧力損失が5〜50KPa(at 10L/min)を、第2フィルター6としては、濾過機能が3〜25ミクロン、圧力損失が0.1〜2KPa(at 10L/min)のものとしている。
(ローラーポンプ)
ローラーポンプ4は、管状弾性体の一部を回転するローラーで押しつぶしながらローラーを移動して押しつぶす位置を移動することによって、管状弾性体内の搬送物を搬送するものである。換言すると、弾性を持つポンプ用管をローラーを回転させながらしごくことで、原料に一定方向の流れを与えるポンプである。ローラーポンプ4は、一般的にはローラーで圧閉された弾性管がその形状をもとの形に復元するときの陰圧により次に送る原料を吸引する。図4は実施の形態にかかるローラーポンプ4の断面図である。ローラーポンプ4は、間隙をおいて対向して設けられた2枚の円板体40,40の外周端部の周囲に等間隔で掛け渡されて固定された6本のローラー軸44aに、それぞれ6個のローラー44が回転可能に支持され、さらにこれら一体に固定された円板体40,40が、軸41によって回転可能に支持されたものである。また、6個のローラー44のうち、下側に配置される3個のローラーを包み込むように、略半円筒形形状のカバー部材43配置固定され、これら3個のローラー44とカバー部材43との間に管状弾性体42が挟み込まれるように介在される。
ローラーポンプ4による原料の搬送は、次のようにしてなされる。まず、原料タンク1から供給されたプラスチック原料が管状弾性体43内に充填され、充填された状態でローラーポンプ全体が中心軸41を中心に回転する。この回転に伴い、2枚の円板体40に支持されたローラー44が管状弾性体42の一部を圧迫して封止する。さらにローラーポンプが回転するとローラー44も管状弾性体42の一部を封止し、ローラー44とその隣のローラー44との間に管状弾性体内の原材料を保持する空間を形成する。この空間を保持したままローラー44が移動し、これにより、原料の搬送が行われる。ローラー44間に封止された空間は常に一定量となるため、ローラーポンプ4の回転数に応じて原料の搬送量を制御できる。すなわち、ローラーポンプ4は、一定の間隔で配置された複数のローラー44が、管状弾性体42を圧着しながら移動して所定量を送出する。
(開閉バルブ)
開閉バルブ5は、プラスチック原料が、第2フィルター6を通過する手前に配置されている。この開閉バルブ5は、プラスチック原料の注入の開始及び停止を行うためのものである。なお、バルブ5の開閉弁構造がプラスチック原料の固形化を促進し、不純物の発生源となることがあるが、この開閉バルブ5で発生した固形物は第2フィルター6で除去され、原料と共に成型鋳型に注入されることはない。
(注入ノズル)
図5(a)は注入ノズル7の平面図であり図5(b)は図5(a)のa−a線断面図である。図に示されるように、注入ノズル7は、金属で形成されたノズル本体71と、このノズル本体71の大部分を覆うと共に、ノズル本体71の先端部712から所定距離はみ出た領域も覆うようにした樹脂被覆体72とで構成されたものである。ノズル本体71は、その基端部711は円管状をなし、先端部712にいくに従って段階的に平らにつぶれていく中空構造をなしている。すなわち、基端部711に続く領域713でやや急激に平らにつぶれていき、次の領域714では、緩やかに平らにつぶれていくようになっている。
ノズル本体71の先端部712の開口部外側厚みは1.1mm、開口部内側厚みは0.5mm、幅は9mm程度である。なお、先端部712の開口部外側厚みの好ましい寸法範囲は0.5〜5mm、開口部内側厚みの好ましい寸法範囲は0.3〜4.6 mm、幅の好ましい寸法範囲は2〜25mm程度である。本実施の形態の注入ノズル7は、従来の円形の注射管タイプのものと比較して幅が広く、注入ノズルの開口部断面積を大きく確保している。従って十分な流量及び注入速度を確保することができる。
また、樹脂被覆体72は、ノズル本体71の基端部711の一部を除いてノズル本体71のほぼ全体を覆っており、内部が中空で両端が開口部となる管形状を外形が金属の注入ノズルの相似形になるように金属に密着した扁平な形状をしている。さらに樹脂被膜体72は、ノズル本体71の先端部712よりさらに先端方向に突出している。さらに、樹脂被覆体の突出部分は、ノズル本体71の先端部712の扁平な管状形状を延長する中空形状で、先端部は開口している。樹脂製被膜の突出部分は挿入する成型鋳型によって所定の長さとなるが、本願の場合例えば3〜7mm程度である。そして樹脂先端部の外側厚みは0.6〜0.9mm、樹脂先端部の内側厚みは0〜0.6、幅は9.6mmである。なお、樹脂被覆体72の先端部を、原料が液送されない待機状態では常に閉じており、原料が内部を通過する際だけ対向する樹脂が離れて内部に断面積を有する管形状とすることもできる。このようにすれば、先端部によって自動開閉弁の役割を兼ねることができる。
樹脂被覆体72の材料として使用する樹脂は、成形鋳型の光学面に傷をつけにくい材質を用いる。例えば、フッ素系樹脂、ポロオレフィン系樹脂、合成ゴムなどが適しており、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合樹脂が好適である。4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合樹脂は収縮温度120℃で熱種縮を起こす特徴がある。本実施の形態では、この熱収縮の性質を利用して、金属製のノズル本体71に樹脂被覆体を形成する。
本実施の形態の樹脂被覆体の製造方法は、両端が開口し、所定の長さに切断された管状の4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合樹脂を原型となる金属製のノズル本体71の先端部にかぶせる。管状熱種縮樹脂を金属製ノズル本体71にかぶせた状態で、電気炉にて120℃以上で熱処理する。熱収縮樹脂は、金属製ノズル本体71の形状まで収縮し、金属製ノズル本体71と密着安定する。また金属製ノズル本体71の開口部に薄い板を挿入して熱処理を行うと、樹脂被覆体72の突出した先端部の対向する面をあわせて閉じた状態に加工することもできる。また管状熱4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合樹脂は他耐溶剤性に優れ、柔軟性が高いことが特徴である。
眼鏡レンズの種類によっては成形型の間隔が極めて小さく、成型鋳型の注入口が1mm程度の間隙となることがある。鋳型への注入は注射針のような注入管によって行われる事が一般的であり、外側厚みや外径が1mm程度である注入管の製作は金属が適している。しかしながら、金属が成形型であるガラスと接触するとガラス成形型は容易に傷つく。傷は成形型から転写して成型品にも発生する。さらに傷の生成にあわせてガラスの破片が成型鋳型内に混入し、成型品の任意の位置にガラス片が浮遊して異物と認識される。これらの問題を回避するためには金属以外の柔らかい樹脂製注入ノズルが好適である。しかし、外径1mm程度の中空構造を有する樹脂製の注入管の製作は困難であり、コストも増大する。さらに本願の注入ノズルのように厚みが薄く、かつ幅が厚みに対して10倍程度ある中空構造を有する樹脂製注入管の製作はさらに困難である。
(プラスチックレンズ成形鋳型)
図6はプラスチックレンズ成形鋳型を示す断面図である。図に示されるように、このプラスチックレンズ成形鋳型8は、プラスチック製の眼鏡レンズを、注型法と呼ばれる製法によって成形するための鋳型であり、物体側の光学面を形成する成形型81(以降上型モールドともいう)、眼球側の光学面を形成する成形型82(以降下型モールドともいう)及びガスケット83を有して構成される。上記上型モールド81及び下型モールド82はレンズ母型と総称される。
ガスケット83は、弾性を有する樹脂にて円筒形状に形成され、内周面に上型モールド81と下型モールド82を所定距離離間して液密に保持する。これらの上型モールド81、下型モールド82及びガスケット83に囲まれて成型鋳型(以降キャビティともいう)84が構成される。ガスケット83には、このキャビティ84内へ、光学レンズの原料を注入するための注入部85が一体に設けられている。また、ガスケット83の高さは、成形品である光学レンズの周縁部の厚みを確保できる寸法に設定される。
上型モールド81及び下型モールド82はガラスなどで構成される。本実施の形態が主に対象とする成形レンズはメニスカス形状をしている。そして上型モールド81は、光学レンズの曲面(凸面)を形成すべく凹面型に形成される。また、下型モールド82は、光学レンズの曲面(凹面)を形成すべく凸面型に形成される。これらの上型モールド81及び下型モールド82においては、図6にも示すように、光学レンズのレンズ曲面を形成する面を使用面86と称し、上記レンズ曲面を形成しない面を非使用面87と称する。そして、ガスケット84の一部には材料を注入するための注入口85が設けられている。注入口は後述する注入ノズル7に対して十分な大きさとなっている。また注入ノズル7が確実に注入口85に挿入されるように、注入ノズル7を注入口85に導くためのホッパー状のテーパー構造をなした受け口85aが設けられている。
(プラスチックレンズの製造)
次に、図7〜図10を参照しながら、上述のプラスチックレンズ原料注入装置を用いて眼鏡用のプラスチックレンズを製造する手順を説明する。まず、プラスチックレンズの原料を用意する。本実施例で原料は熱硬化樹脂であり、この樹脂に触媒と紫外線吸収剤などを加えて調合し、フィルタで濾過する。調合は、まず、攪拌装置と冷却装置を備えた密閉式タンクである原料タンク1で行う。原料タンク1のジャケットに5℃の冷水を通して原料タンク1を冷却する。
次に、5℃に冷却した1,3-ジイソシアネートメチル-シクロヘキサン4.000kgを計り取り、これに紫外線吸収剤として2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(シプロ化成製シーソーブ709)18.0g、離型剤としてブトキシエチルアシッドフォスフェート(城北化学工業製JP−506H)29.0g、重合触媒としてジメチルチンジクロリド81.0gを加えて20分間攪拌する。この攪拌により各添加剤は1,3-ジイソシアネートメチル-シクロヘキサンに溶解し、均一な溶液となる。
次に、1,3-ジイソシアネートメチル-シクロヘキサン4.557kgを追加する。ここにそれぞれ5℃に冷却したペンタエリスリトールテトラキス-(2−メルカプトアセテート)4.764kg、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン4.679kgを加え、タンクを密閉して10分間攪拌する。いったん攪拌を止め、原料タンク1を真空ポンプに接続し、減圧脱泡を開始する。内部のモノマー組成物の発泡状態を確認しながら攪拌を開始し、徐々に攪拌速度を上げたところ、減圧度は40Paで安定した。このまま30分間保って減圧脱泡を行ってから常圧に戻し、モノマー組成物の調合工程を終える。
その後、直ちに原料タンク1内を、加圧装置2によって乾燥窒素0.3kgfで加圧する。調合を完了した原料タンク1は、例えば、内部圧力が0.5〜1.0kg/Cm程度、温度は5℃〜10℃程度の状態で保持する。なお、本実施の形態で製造するプラスチックレンズ及びその原料としては、上記のほかにも、例えば、メチルメタクリレートと一種以上の他のモノマーとの共重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートと一種以上の他のモノマーとの共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリチオウレタン、エンーチオール反応を利用したスフィルド樹脂、硫黄を含むビニル重合体等が上げられるが、これらにも限定されるものではない。
次に、ガスケット83に上型モールド81及び下型モールド82を組み付けてプラスチックレンズ成形鋳型8を組み立てる。次に、この成形鋳型8のキャビティ84内に、上述の如く調合されたプラスチック原料を注入する。この注入工程は、図7及び図8に示した通りである。まず、成型鋳型8は、移送装置803により注入装置の所定の位置に搬送される(図8a)。そして、成型鋳型8は、位置決め部801,802に狭持されて注入位置に保持される(図8b)。さらに、注入ノズル7及び液面センサー7aが下がり、成型鋳型8の所定の位置で停止する(図8c)。
注入受け口85aは,ホッパー状のテーパー構造になっており、注入ノズル7が正確に注入口85に誘導される。そして、バルブ5が開くと同時にローラーポンプ4が回転し、注入装置は所定のスピードで注入を行う。一方、成型鋳型8の種類によっては成型鋳型8及び注入装置を傾斜させて注入を行う(図8d)。液面が注入口まで達し、液面センサー7aが感知するとローラーポンプ4を停止して注入を終了する。注入装置が傾いていた場合は元の垂直姿勢に戻り、注入ノズル7と液面センサー7aが注入口受け口85aの中央付近まで少し上昇し、注入口受け口85aへの追加注入を適量行う(図8e)。
追加注入は原料の重合過程で材料自体の収縮により空気の吸引を防止するためである。そのためには成型鋳型8の内部の充填された原料に加えて、成型鋳型8の外部の注入口受け口85aに原料を充填する。追加注入が完了すると、注入ノズル7と液面センサー7aは上昇して待機位置に復帰する(図8f)。注入が完了すると、成型鋳型8を狭持していた位置決め装置801,802が開放され、移送装置803によって次工程へ移送され、同時に空の成型鋳型8が移送され、図8aの状態になる。以後、図8a〜8fを自動で繰りし連続的に注入を行う。
ここで、上述の注入工程において、成型鋳型8及び注入装置を傾斜させて注入を行う場合について、図9を参照にしながら説明する。成型鋳型8中の泡800は第1には、原料が成形型またはガスケットに接触したときに発生する。第2には液面が上昇していく過程で空気が取り残されてしまう。第3には上方から原材料が注入されると液面の上に原料が落ち、滝つぼのような乱流のために発生する(図9(a)参照)。泡の発生を抑制する効果的な方法は公知の技術として注入速度を小さくする等の方法があるが、生産性の低下を招きコストの上昇要因となる。
そこで、本実施の形態では、注入時の成形鋳型8の保持姿勢を傾けることで上記課題を解決した。すなわち、ガラス成形型どうしの間隔が小さい形状に関しては、立てたままの状態でも下型に沿わせて注入することができるが、図9に示したような半完成品レンズの場合には、成形型の間隔が大きく、垂直のまま注入を行うと原材料が液面をたたいて泡が発生する(図9(a)参照)。そこで、成形鋳型8の姿勢を傾けることで眼球側成形型82の表面に沿わして原料を注入することで泡の発生を抑制している(図9(b)参照)。
また、図9に示した場合のように、ガラス成形型の間隔が大きい成形鋳型はガスケット側面中央部がへこんだ形状に変形する。これはガスケットがガラス成形型との密閉性を向上させるためにガラス成形型の外径はガスケット内径よりも大きくしているためである。図9(a)の状態で注入した場合、液面は水平に上がっていくため、最上部の眼球側成形型端部810(○印部分)に空気が残ってしまう。そこで、図9(b)に示したように、注入口85を、物体側の成形型81の極近傍に位置するように形成し、かつ、成形鋳型8を傾けたときに、注入口85がキャビテイ84内で最も上に位置することになるようにする。これによって、成形鋳型8内の空気は注入が完了するまでに、最上方に設置した注入口85から全て排出され、成形鋳型8内には残らない。
傾斜角度は、鉛直方向より30度程度に設定した。この傾斜角度は、本実施の形態の成形鋳型8の形状の場合において、注入完了時に原料が漏れないようにする条件を満たすことから規定されている。従って成形鋳型8の形状が異なると、傾斜角度の大きさも所定の大きさに変更される。また、傾斜を付けて注入する対象の鋳型形状は、特に限定されないが、素材または形状によっては傾斜を付ける場合が好適である場合がある。特に注入口とその鉛直方向がオープンとなる形状の場合、成型鋳型に傾斜を付けることは有効である。
例えば、完成品であるプラスレンズ、及びマイナスレンズ用成型鋳型の一部は傾斜を付ける必用はない。但し、一般的な透過屈折力が−2.00Dより小さいレンズ、及び半完成品等の中心肉厚が厚いレンズは傾斜を付けることで注入速度を増加させながら泡の発生を抑制するのに有効である。
(泡の大きさ制御について)
注入が完了したときには、成形鋳型内部は全てレンズ原料で充填されることが望ましい。しかし、注入を完了時でも微量の空気の泡はどうしても残留してしまい、しかも、この微小な泡が1mm程度であると、自らの表面張力と、原材料の粘性のため成型鋳型付近に付着して簡単には除去できない。注入後の重合工程は鋳型を密封して重合が行われる。そして泡が成型鋳型内部に残留すると重合後も成形品に存在することとなる。さらに泡は重合中に移動してレンズ光学面の重要な位置で固定され、光学的に欠陥となる事もある。
本発明者は、注入速度を小さくするなどして残留泡が発生しない方法を種々試みたが残留泡の完全な除去はできなかった。そこで、試行錯誤の結果、残留泡を大きくすれば、注入口からの除去が容易であることを見いだした。これは十分に大きい泡は表面張力よりも、浮力が大きくなるため、上方に容易に移動できるためであると考えられる。さらに発明者は残留泡を大きくする方法として、成形鋳型内部への注入ノズルの挿入量と注入ノズルの引き上げ速度によって制御することを見いだした。
従来、成形鋳型内部の光学面を傷つけるなどの理由で注入ノズルは鋳型内部にはあまり挿入しないか、又は鋳型内部に挿入する場合でもその挿入量は微量であった。図10は成型鋳型8への注入後に残留泡が形成される事象を示している。図10(a)は、注入ノズル7が成形鋳型8の内部に距離dだけ挿入されて注入を行っている状態である。図では注入ノズル7の先端部が距離d=5mm程度鋳型内部に差し込まれている。図10(b)は、注入が完了した状態を示す。
注入ノズル7付近には、0.5〜4mmの残留泡820が発生している。残留泡の大きさは注入ノズル先端部の挿入量で制御する。本願では注入ノズル先端部の挿入量dを3〜7mm程度として,残留泡を2〜4mm程度に制御している。この程度の大きさの泡は自らの浮力で浮上し、注入後に注入口から除去することが容易である。従って本実施の形態では、注入ノズル7の成形鋳型8内部への挿入量を大きくして注入を行う。注入後は注入ノズル7を引き出すと泡が自らの浮力で上昇し泡の除去が完了する。また、泡が自然に除去されないときでも、鋳型に軽い衝撃を与えると泡は注入口から排出する事ができる。注入ノズルを引き出す速度は1〜10mm/secであるが、5mm/secが好適である。
注入及び泡抜きが終了したら、図示しない電気炉内で加熱重合させて硬化させる。成形鋳型8内で原料の重合が完了することでプラスチックレンズが成形されるので、このプラスチックレンズを成形鋳型8から離型して製品を得る。光学レンズの離型後に、重合より生じたレンズ内部の歪みを除去すべく、アニールと呼ばれる加熱処理を実施する。その後、中間検査として外観検査及び投影検査を光学レンズに対し実施する。光学レンズは、この段階で完成品と半製品(セミ品)に区分けされ、半製品に対しては処方に応じて第2面を研磨する。完成品に対しては、その後、カラー製品を得るための染色工程、傷に対し強化する強化コート工程、反射防止用の反射防止コート工程を実施し、最終検査を実施する。完成品は、この最終検査後に製品となる。
上述の実施の形態によれば、以下の利点がある。すなわち、まず、原料タンク1から同時に多数の成形鋳型8に注入するようにしたことにより、生産性と品質向上を図ることができる。つまり、調合された原材料は調合された瞬間より重合が始まっており、調合後長時間を経ている原材料を使用すると粘性の変化から注入に支障をきたすと同時に出来上がったレンズの光学的性能が低下する(以降部分的な重合不均一ともいう)。このため、調合された原材料はできるだけ早く、使用することが望ましい。しかし貯蔵タンクの容量が小さいと、頻繁に調合を繰り返さなければならず生産性が低くなる。従って本願では、大量に調合された原材料供給タンクから複数の注入装置へ原材料を供給する。さらに個々の注入装置は複数の注入軸にて原材料を同時注入することで短時間に大量の注入を行い、生産性の向上と品質の維持を同時に実現している。
また、原料タンクを加圧しつつ同時にローラーポンプを用いて注入するようにしたことにより、以下の利点を得ている。すなわち、原材料供給タンクからの原材料の送出方法としては圧縮空気(気体)を用いた圧送手段が一般に用いられる。しかし、この方法では特に注入装置の注入軸が多軸構成となった場合、各注入軸毎に異なる配管内部の抵抗や各装置・軸に配置されているフィルターの目詰まりが発生する。そして、各注入軸毎の送出量にばらつきが発生し、各軸の流量を一定にすることが困難になる。また成型鋳型の容量の誤差、特に各注入軸よって異なるアイテムを注入した場合など、多軸同時に注入を開始しても同時に注入を完了することができない。例えば、0.1Mpaのタンク圧で12軸に供給した場合、前述の理由による注入速度のバラツキのため、成形鋳型への注入が同時ではなく順番に終了し、各軸のバルブが順次閉じていく。供給タンクの圧力は一定であるため、残された注入軸の流量が増加し、適切な流量速度での注入ができなくなる。すると注入速度が大きくなるため、注入時の泡の発生が起きやすくなる。
すなわち、供給タンクからタンク内圧力によって送出される原材料は、他の注入軸軸が注入を停止した場合、残った注入軸に圧力が集中して、瞬間的に多量に吐出することがある。多量に吐出した原材料は成型鋳型内部の液面に衝突して泡を巻き込むことがある。そのため本願は各注入軸に独立した流量制御をしており、その方法としてローラーポンプによる流量制御をおこなっている。従って本願発明によると供給側からの圧力変化に左右されず安定した原料の供給を行う事ができる。
また、一般的に原料が駆動部分と接触すると液状原料の一部が固形化し発塵する。さらにポンプと原料が接触するため定期的な洗浄が必要となる。洗浄には有機溶剤や洗浄機が必要となるためコストが高く、作業性も低下する。しかしながらローラーポンプは他のポンプと構造が異なり、原材料がポンプの駆動部分と直接接触しないため発塵することはまれである。また原材料と唯一接触する管状弾性体は、安価であり交換が可能であり洗浄の必要はない。
さらには、プラスチック原料は、重合硬化時の気泡の発生を抑制するために事前に脱気利処理を行うが、長時間プラスチックレンズ原材料を圧縮空気で加圧すると、空気が原材料内にとけ込み、重合硬化時に気泡が発生し、歩留まり低下の原因となることがある。長時間経過した場合は再度脱気処理を行うことが必要となる。従って定量ポンプによる原材料の供給手段がある場合加圧による液送を行う必然性は考えられない。従って、ローラーポンプと加圧の組み合わせが最適な手段として選択される必然性は従来の常識的では考えられない。
本実施の形態では、ローラーポンプと原料タンクの加圧の組み合わせを実施している。上記課題に対して本実施の形態は、第一には同一の原料タンクから原料を分流させて、複数の注入を並行して行い短時間に大量の注入を行うことで対応している。第2にはローラーポンプによる送液をメインとし、加圧は管状弾性体の形状復元に必要な最小圧力とすることで、原料への単位時間あたりの気体のとけ込み量を削減している。なお,本実施の形態では、ローラーポンプを用いることでそれによる特有の効果を得ているが、原料の種類等によっては、ローラーポンプのかわりに定量ポンプその他のポンプを用いても一定の効果が得られる場合がある。
本発明は、眼鏡用プラスチックレンズ、その他のプラスチックレンズ製品を量産製造する技術として利用することができる。
本発明の実施の形態にかかるプラスチックレンズ原料注入装置の全体構成を示すブロック図である。 図1に示されるプラスチックレンズ原料注入装置の原料搬送経路及び制御接続状態の説明図である。 図1に示されるプラスチックレンズ原料注入装置の部分斜視図である。 ローラーポンプを示す図である。 注入ノズルを示す図であって図aは平面図であり図bはa−a線断面図である。 プラスチックレンズ成形鋳型を示す図である。 プラスチックレンズの製造工程を示すフローチャート図である。 プラスチック原料の注入状態を示す説明図である。 プラスチック原料の注入状態を示す説明図である。 プラスチック原料の注入時における気泡の発生状態の説明図である。
符号の説明
1 原料タンク
2 加圧装置
3 第1フィルター
4 ローラーポンプ
5 開閉バルブ
6 第2フィルター
7 注入ノズル
8 プラスチックレンズ成形鋳型

Claims (9)

  1. プラスチックレンズ成形鋳型の原料注入口に原料注入ノズルを挿入してこのプラスチックレンズ成形鋳型内にプラスチック原料を注入するプラスチック原料注入方法であって、
    前記原料注入ノズルとして、成形鋳型内に挿入される先端部が扁平な中空形状をなしたものを用い、
    前記プラスチックレンズ成形鋳型として、その原料注入口が前記原料注入ノズルを挿入可能な細長いスリット形状をなしているものを用い、
    前記注入ノズル先端部を前記原料注入口に挿入して原料を注入するようにしたことを特徴とするプラスチック原料注入方法。
  2. 前記原料注入ノズルが、プラスチック原料が供給される基端部側がほぼ円管に近い形状をなし、この基端部側から、鋳型内に挿入される先端部側にいくにしたがって次第に扁平な中空形状をなしたノズル本体と、前記ノズル本体の少なくとも先端部を覆うと共に、さらにこの先端部から所定距離はみ出た領域も覆うようにした樹脂被覆体とを有するものであって、この樹脂被覆体の先端部を前記原料注入口に挿入して注入することを特徴とする請求項1記載のプラスチック原料注入方法。
  3. プラスチックレンズ成形鋳型の原料注入口に原料注入ノズルを挿入してこのプラスチックレンズ成形鋳型内にプラスチック原料を注入するプラスチック原料注入装置であって、
    前記原料注入ノズルが、プラスチック原料が供給される基端部側がほぼ円管に近い形状をなし、この基端部側から、鋳型内に挿入される先端部側にいくにしたがって次第に扁平な中空形状をなしたノズル本体と、前記ノズル本体の少なくとも先端部を覆うと共に、さらにこの先端部から所定距離はみ出た領域も覆うようにした樹脂被覆体とを有するものであることを特徴とするプラスチック原料注入装置。
  4. 前記樹脂被覆体の先端部は、前記ノズル本体先端部の扁平中空形状とほぼ等しい扁平中空形状をなしており、その先端が常時開口されて、その開口部から原料が吐出されるようになっていることを特徴とする請求項3記載のプラスチック原料注入装置。
  5. 前記樹脂被覆体の先端部は、前記ノズル本体先端部の扁平中空形状とほぼ等しい扁平中空形状をなしているが、その先端は常時は閉鎖されており、前記ノズル本体から原料が送られてきたときだけ開口されて原料が吐出されるようになっていることを特徴とする請求項3記載のプラスチック原料注入装置。
  6. 前記ノズル本体は金属材料で構成され、前記樹脂被覆体は、厚さ0.3mm以下のフッ素系樹脂で構成されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のプラスチック原料注入装置。
  7. プラスチックレンズ成形鋳型の原料注入口に挿入してこのプラスチックレンズ成形鋳型内にプラスチック原料を注入するプラスチック原料注入ノズルであって、
    プラスチック原料が供給される基端部側がほぼ円管に近い形状をなし、この基端部側から、鋳型内に挿入される先端部側にいくにしたがって次第に扁平な中空形状をなしたノズル本体と、前記ノズル本体の少なくとも先端部を覆うと共に、さらにこの先端部から所定距離はみ出た領域も覆うようにした樹脂被覆体とを有するものであることを特徴とするプラスチック原料注入ノズル。
  8. プラスチック原料を成形鋳型に注入して成形することによってレンズ形状に形成されたプラスチックレンズであって、前記成形工程の際に請求項1〜3に記載のプラスチック原料注入方法が用いられて製造されたものであることを特徴とするプラスチックレンズ。
  9. プラスチック原料を成形鋳型に注入して成形することによってレンズ形状に形成されたプラスチックレンズであって、前記成形工程の際に請求項4〜6のいずれかに記載のプラスチック原料注入装置が用いられて製造されたものであることを特徴とするプラスチックレンズ。
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