JP4220822B2 - プラスチックレンズの製造方法、プラスチックレンズ成形用ガスケットおよびモノマー注入治具 - Google Patents

プラスチックレンズの製造方法、プラスチックレンズ成形用ガスケットおよびモノマー注入治具 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イソシアネート末端プレポリマーである成分(A)と芳香族ジアミン成分(B)との混合液を注型重合するプラスチックレンズの製造方法に関する。
この製造方法により得られるプラスチックレンズは、他のウレタン化合物と比較して高強度であることから耐衝撃性を要求される部材、例えば自動車、航空機用窓ガラス、眼鏡レンズ、保護眼鏡等への利用が有望である。
更に、本発明は、プラスチックレンズ成形用ガスケット、このガスケットを利用した成形型、および、この成形型への原料モノマーの注入治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチックレンズを成形する方法として、注型重合方法が知られている。例えば、非特許文献1には、ジエチレングリコールビスアリルカーボネイト製レンズ(CR−39レンズ)の製造工程が開示されている。このレンズの製造工程では、ガラス母型の上型モールド及び下型モールドを、円筒形状のガスケットに間隔をおいて保持してキャビティを形成した鋳型が示されている。そしてこのキャビティにレンズ原料液(以下モノマーという)を注入し、注入後電気炉に入れ加熱重合し、重合が完了したレンズを型からはずすという製造工程が示されている。
【0003】
キャビティへのモノマーの注入方法としては、ガスケットに注入口を設けてそこからモノマーを注入する方法がある。例えば、特許文献1にそのようなガスケットが開示されている。ここで示されているガスケットでは、円筒形状をしたガスケット本体の内壁面にその円周方向に沿ってリング状の突起帯が設けられ、この突起帯の一部は切り欠かれ切り欠き部が形成されている。この切り欠き部に隣接するガスケット本体の外周面側に注入口が形成され、前記切り欠き部と注入口とはガスケット本体に形成された注入孔を介して連通している。
このガスケットに、上型モールドおよび下型モールドを前記突起帯と当接した状態で保持し、キャビティが形成される。
このガスケットは弾性を有する樹脂からなり、一体的に成形されている。
このガスケットを使用した鋳型へモノマー混合液を注入するには、注入口部の注入口が上に向くようにガスケットを傾斜させて配置した状態で、モノマーを注入口部から自重による流動作用によって注入する。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたガスケットでは、ガスケット本体に外壁面から内壁面に貫通する孔が注入孔として形成されており、鋳型製造のコストが高くなるという問題があった。これは、一般的に孔を有するプラスチック成形体を、例えば射出成形などで一体的に成形する場合、鋳型の構造が複雑になるためである。
【0005】
また、このガスケットのように、上からモノマーを注入するような場合は、注入条件や材料によって注入時に泡を巻き込みやすい場合がある。モノマーの粘度が低い場合には泡は比較的容易に取り除けるため問題は少ないが、粘度が高いモノマーや初期重合速度が速いモノマーを使用する場合、泡を取り除くことは困難であり、そのような原料を使う場合にはこのような構造のガスケットは利用できなかった。
【0006】
粘度が高く初期重合速度が速い重合原料としては特許文献2に開示されたものがある。この原料は、ウレタン結合を分子内に有するイソシアネート末端プレポリマーと芳香族ジアミンとからなる。前者のプレポリマーは分子量が大きく高粘度である上、両者は混合後すぐに速い速度で重合反応が進むという特性を有する。この特許文献2に開示された方法により成型された成形体はポリカーボネートに匹敵する高い強度を有する。
【0007】
上記特許文献2に示された材料を使ってレンズを成形するには、反応射出成形の技術を利用し、短時間で急速に混合し、混合後すぐに鋳型に注入することが好ましい。
この公報に開示された材料のうち、前記プレポリマーは粘度が高いため、キャビティ内に気泡が生じてしまうと気泡を取り除くことが難しい。つまり、混合液を成形型の上側から注ぎ込む場合には、混合液に空気が巻き込まれ泡が発生するが、粘度が高いため発生した泡が上方へ浮上しにくく、気泡がそのまま成形体中に残りやすい。しかもこの開示された材料は混合後すぐに重合を開始し重合速度も速いため注入以後さらに粘度が高くなることから、なおさら気泡を取り除くのは困難である。
【0008】
また、この開示された材料は、混合後すぐに重合を開始し重合速度も速いことから、成形されたレンズに光学的欠損が生じやすい。つまり、混合液を成形型の上側から注ぎ込む場合、キャビティ内に先に注入されている混合液と新たに注入される混合液との流動が比較的活発なため、その時の流れのような痕や重合ムラから生じる痕などが発生しやすくそれが光学的欠損となる場合がある。また、注入からあまり時間がたたないうちに成形型へ振動や衝撃を加えると重合途中の混合液がキャビティ内を流動するためその痕が光学的欠損となる場合もある。
こうしたことから、成形体に気泡や光学的欠損が生じにくい成形方法が求められている。
【0009】
また、特許文献1に示されたガスケットを使用した成形方法においては、原料を充填した成形型は重合後ガスケットを除去するが、その際、モノマー注入口内で重合した部分を注入孔付近で分断し成形体から取り除く必要がある。特許文献1に記載されているようなガスケットを使用する場合、通常注入口を折り曲げることにより注入孔付近で重合部分が破壊され、ガスケットが除去される。
しかしながら、特許文献2に示された材料を使用した場合、前記した通り高強度であるため破壊が容易にできない。しかも、粘度が高いことから注入孔を広くして注入を容易にした場合はさらに強度が高くなり破壊がさらに困難になる。このため、ガスケットの除去が容易にできる成形方法が求められている。
【0010】
一方、特許文献3には、反応射出成形において、鋳型内での空気の巻き込みのない成形方法が開示されている。この方法では、反応液混合物の注入口を鋳型の下方部に設け、鋳型の最後に充満される部分に排気口を設けている。そして下側から反応液混合物を注入することにより、外観が良く気泡のない成形品を得ることができることが示されている。
【0011】
しかしながら、上記のような比較的高い粘度及び反応性を有するモノマーを下側から注入してプラスチックレンズを注型成形するのに適したガスケットはこれまでなかった。さらに、上記モノマーは、急速に反応してすぐに固まることから、鋳型から外側にこぼれ出ると作業上不都合が生じる場合があった。
【0012】
【非特許文献1】
1986年5月22日発行、メディカル葵出版「眼鏡」
【特許文献1】
実公平6-39951号公報
【特許文献2】
米国特許6127505号明細書
【特許文献3】
特公平7-29320号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の第一の目的は、分子中に環状構造を有する脂肪族ジイソシアネートと300〜2500の平均分子量を有するジオールとの反応生成物であるイソシアネート末端プレポリマー成分(A)と芳香族ジアミン成分(B)の混合液からプラスチックレンズを成形するための好適な成形方法を提供することにあり、特に、この混合液の成形型への注入方法を改善することにより、成形体に気泡や光学的欠損を有さない重合成形体を製造する方法を提供し、また、成形方法を改善することにより、成形後のガスケットの除去を容易にする方法を提供することにある。
【0014】
本発明の第二の目的は、上記のような粘度及び反応性を有するモノマーを下側から注入してプラスチックレンズを注型成形するのに適したガスケットであって、原料モノマーを鋳型の外側にこぼしにくく、注入口の構造が容易に形成可能な孔以外の構造であるガスケットを提供すること、更に、上記ガスケットを用いた成形型、及びこの成形型に原料モノマーを注入するに適したモノマー注入治具を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、以下の通りである。
[請求項1] 下記成分(A)と下記成分(B)とを混合し、混合後直ちに混合液を成形型に注入し、重合して成形体を得る、プラスチックレンズの製造方法であって、
下記成分(A)と下記成分(B)との混合は、前記成分(A)を加温して粘度を低下させた後に行い、
前記成形型は、レンズの一方の面を形成するためのモールドと他方の面を形成するためのモールドとが所定の間隔で対向して配置され、かつ前記2つのモールドの周囲に環状のガスケットが配置されて、前記モールド及びガスケットによってキャビティが形成され、前記ガスケットは、前記成分(A)と前記成分(B)との混合液を前記キャビティ内に注入するための注入孔と、前記キャビティ内の気体または前記混合液を成形型外部に排出するための排出孔とを、直径方向に対向する位置に有しており、
前記成形型への混合液の注入は、前記成形型を水平面から傾斜した状態または垂直にした状態で、かつ前記排出孔が頂上になるようにして行う前記製造方法。
成分(A):分子中に環状構造を有する脂肪族ジイソシアネートと300〜2500の平均分子量を有するジオールとの反応生成物であるイソシアネート末端プレポリマー
成分(B):一般式(I)で表される1種または2種以上の芳香族ジアミン(一般式(I)中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して、メチル基、エチル基、チオメチル基の何れかである)
【化2】
Figure 0004220822
[請求項2] 前記成形型は、前記混合液が注入される前に予め加温されていることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
[請求項3] 前記混合液の前記成形型への注入を、下記成分(A)と下記成分(B)との混合が行われる混合室に設けられた吐出口に一端を脱着可能に取り付け、他端を前記成形型の注入孔につながれたチューブを通して行う請求項1または2に記載の製造方法。
[請求項4] 前記ガスケットには、前記キャビティと前記注入孔を介して連通する凹部を有する注入口と、前記キャビティと前記排出孔を介して連通する凹部を有する排出口とが設けられており、
前記混合液を注入した成形型を低温雰囲気中に放置して、前記混合液を重合させ、その後キャビティ内の重合部分と注入口内の重合部分及び排出口内の重合部分とを注入孔及び排出孔付近でそれぞれ分断し、次いで成形型を高温雰囲気中に放置して、さらに重合を進めることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項の記載の製造方法。
[請求項5] 前記ガスケットは弾性を有する樹脂からなり、前記注入口及び前記排出口は前記ガスケットの外周に設けられ、前記注入孔及び排出孔付近での分断は、前記注入口内の重合部分及び前記排出口内の重合部分を、この注入口及び排出口ごと折り曲げることにより行なうことを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
[請求項6] プラスチックレンズが眼鏡レンズである請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
[請求項7] プラスチックレンズの光学機能面を形成するための成形面をもつ第1モールドと第2モールドとをそれぞれ嵌挿するための開口を有する円筒体からなるプラスチックレンズ成形用ガスケットであって、
前記円筒体は、
内壁面に、少なくとも上記第1モールドの成形面の周縁部に当接して上記第1モールドを位置決め保持するための保持部を有し、
開口端面から深さ方向に切り欠き状の注入溝と排気溝とを円筒体同一開口の対向する位置に有し、
外壁面に、前記注入溝と連通し、該注入溝の切り欠きと同一方向に開口した凹部を有する注入口と、前記排気溝と連通し、該排気溝の切り欠きと同一方向に開口した凹部を有する排気口とを有することを特徴とする
前記ガスケット。
[請求項8] 前記注入口の外側に、その周囲を囲み注入口と同一方向に開口した凹部を有する注入受け部を設けたことを特徴とする請求項7記載のガスケット。
[請求項9] 前記注入溝の開口端部両側の筒状体開口端部に、筒状体開口端部より一段低い注入溝両側部が設けられている請求項7または8に記載のガスケット。
[請求項10] 前記注入溝両側部の上端、及び前記注入口開口端が、前記筒状体開口に前記注入溝を筒状体の内壁側から塞ぐように第1モールドが嵌合された際に、該第1モールドの周縁部上端と同一平面状に位置するように、前記注入溝両側部の上端及び前記注入口開口端の高さを設定したことを特徴とする請求項9に記載のガスケット。
[請求項11] 前記保持部は、前記第2モールドの成形面の周縁部に当接して該第2モールドを位置決め保持するためのものでもある請求項7〜10のいずれか1項に記載のガスケット。
[請求項12] 請求項7〜11のいずれか1項に記載のガスケットの前記開口に、第1モールドの成形面及び第2モールドの成形面が所定の間隔をおいて対向し、筒状体内部にレンズ形状に相当するキャビティが形成されるように、第1モールド及び第2モールドがそれぞれ脱着可能に保持されてなる、プラスチックレンズ成形用成形型。
[請求項13] 請求項12に記載の成形型に、プラスチックレンズの原料モノマーを注入するためのノズルを備えたモノマー注入治具であって、
前記ノズルの周囲に注入口密閉部が設けられ、
該注入口密閉部は、前記成形型の前記注入口開口端、前記注入溝両側部上端、及び前記第1モールド(但し、第1モールドは、前記注入溝を筒状体の内壁側から塞ぐように前記筒状体開口に嵌合されている)の周縁の上端に当接させるための平面部を有することを特徴とする
前記注入治具。
[請求項14] 前記注入口密閉部に、前記筒状体の段差部と嵌合する嵌合部を設けたことを特徴とする請求項13記載の注入治具。
【0016】
【発明の実施の形態】
第一の態様(製造方法)
本発明の第一の態様は、分子中に環状構造を有する脂肪族ジイソシアネートと300〜2500の平均分子量を有するジオールとの反応生成物であるイソシアネート末端プレポリマー成分(A)と芳香族ジアミン成分(B)とを混合し、混合後直ちに混合液を成形型に注入し、重合して成形体を得る、プラスチックレンズの製造方法である。
【0017】
[イソシアネート末端プレポリマー成分(A)]
成分(A)は、分子中に環状構造を有する脂肪族ジイソシアネートと300〜2500の平均分子量を有するジオールとの反応生成物であるイソシアネート末端プレポリマーである。上記イソシアネート末端プレポリマーの一方の原料であるジイソシアネートが、分子中に環状構造を有する脂肪族ジイソシアネートであることで、プレポリマー製造時、または重合時の反応コントロールが容易になり、かつ最終的に得られる成形体に適度な弾性を付与することができる。さらに、得られる成形体に高耐熱性と良好な機械特性を与えることもできる。
【0018】
分子中に環状構造を有する脂肪族ジイソシアネートとは、主鎖又は側鎖に環状構造を有する脂肪族ジイソシアネートであり、環状構造は、脂環、芳香環、または複素環のいずれであっても良い。但し、分子中に環状構造を有する脂肪族ジイソシアネートは、黄変を防止すると共に十分な弾性や硬度を保持するという観点から脂環式ジイソシアネートであることが好ましい。脂環式ジイソシアネートに比べ、芳香環を有するイソシアネートでは得られた成形体の黄変が進みやすく、脂肪族鎖状のイソシアネートでは得られた成形体が柔らかくなり、形状保持性が低下する傾向がある。
【0019】
さらに、脂環式ジイソシアネートは、例えば、4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、1,2-ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,2-ジイソシアナートシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナートシクロヘキサン、1,4-ジイソシアナートシクロヘキサン等を挙げることができる。また、芳香環を有するジイソシアネートとしては、例えば、m−キシリレンジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。特に、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート及び1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0020】
上記成分Aのイソシアネート末端プレポリマーのもう一方の原料であるジオールの平均分子量は300〜2500である。ジオールの平均分子量が300より小さいと得られる成形体に靭性を付与することができず、2500より大きいと得られた成形体が柔らかくなり形状を保持できなくなる。ジオールの平均分子量は、好ましくは、400〜1000である。300〜2500の平均分子量を有するジオールは、例えば、ポリエーテル系ジオールまたはポリエステル系ジオールであることができる。これらのジオールは、他成分との相溶性が良いことから好ましい。相溶性が良くないジオールの場合、得られる成形体の透明性を維持するために相溶化剤などの別成分を添加する必要が出てきたり、透明性が損なわれる可能性がある。
【0021】
このようなジオールとしては、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、エチレングリコールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、プロピレングリコールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、ジエチレングリコールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、1,4-ブタンジオールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、ネオペンチルグリコールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、1,6-ヘキサンジオールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、1,10-デカンジオールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、1,4-ブタンジオールとセバシン酸からなるポリエステルジオール、エチレングリコールとε-カプロラクトンからなるポリカプロラクトンジオール、プロピレングリコールとε-カプロラクトンからなるポリカプロラクトンジオール、ジエチレングリコールとε-カプロラクトンからなるポリカプロラクトンジオール、1,4-ブタンジオールとε-カプロラクトンからなるポリカプロラクトンジオール、ネオペンチルグリコールとε-カプロラクトンからなるポリカプロラクトンジオール、1,6-ヘキサンジオールとε-カプロラクトンからなるポリカプロラクトンジオール、1,10-デカンジオールとε-カプロラクトンからなるポリカプロラクトンジオール、ポリカーボネートグリコール等が挙げられ、好ましくはポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、1,4-ブタンジオールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、ネオペンチルグリコールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、1,6-ヘキサンジオールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、1,10-デカンジオールとアジピン酸からなるポリエステルジオール等が挙げられる。
【0022】
成分(A)であるイソシアネート末端プレポリマーのイソシアネート基含有率は、10〜20重量%の範囲であることが好ましい。上記イソシアネート基含有率が上記範囲より小さいと得られる成形体の硬度が低くなる傾向があり、上記範囲より高くなると得られる成形体の靭性(十分な強度)が得られにくくなる傾向がある。さらに、上記イソシアネート基含有率は、より好ましくは11〜15重量%の範囲である。
【0023】
[芳香族ジアミン成分(B)]
芳香族ジアミン成分(B)は、前記一般式(I)で表される1種または2種以上の芳香族ジアミンであることができる。
一般式(I)中のR1、R2及びR3はそれぞれ独立して、メチル基、エチル基、チオメチル基の何れかである。R1、R2及びR3が上記置換基であることで、結晶性を抑制しかつ他成分との相溶性を高めることができる。また、これらの置換基がないか、あるいは数が少ないと結晶性が高く取り扱いにくくなり、他の置換基だと他の成分との相溶性が悪くなり得られる材料の透明性が低下する恐れがある。
【0024】
前記芳香族ジアミンは、より具体的には、例えば、以下の化合物である。
1,3,5-トリメチル-2,4-ジアミノベンゼン、1,3,5-トリメチル-2,6-ジアミノベンゼン、1,3,5-トリエチル-2,4-ジアミノベンゼン、1,3,5-トリエチル-2,6-ジアミノベンゼン、1,3,5-トリチオメチル-2,4-ジアミノベンゼン、1,3,5-トリチオメチル-2,6-ジアミノベンゼン、3,5-ジエチル-2,4-ジアミノトルエン、3,5-ジエチル-2,6-ジアミノトルエン、3,5-ジチオメチル-2,4-ジアミノトルエン、3,5-ジチオメチル-2,6-ジアミノトルエン、1-エチル-3,5-ジメチル-2,4-ジアミノベンゼン、1-エチル-3,5-ジメチル-2,6-ジアミノベンゼン、1-エチル-3,5-ジチオメチル-2,4-ジアミノベンゼン、1-エチル-3,5-ジチオメチル-2,6-ジアミノベンゼン、1-チオメチル-3,5-ジメチル-2,4-ジアミノベンゼン、1-チオメチル-3,5-ジメチル-2,6-ジアミノベンゼン、1-チオメチル-3,5-ジエチル-2,4-ジアミノベンゼン、1-チオメチル-3,5-ジエチル-2,6-ジアミノベンゼン、3-エチル-5-チオメチル-2,4-ジアミノトルエン、3-エチル-5-チオメチル-2,6-ジアミノトルエン、3-チオメチル-5-エチル-2,4-ジアミノトルエン等。
【0025】
上記芳香族ジアミンは、R1がメチル基であり、R2及びR3がそれぞれエチル基またはチオメチル基の何れかであることが、得られる成形体が白濁しにくく、かつ得られる成形体に十分な靭性を付与できるという観点から好ましい。
前記芳香族ジアミンとしては、より具体的には、例えば、3,5-ジエチル-2,4-ジアミノトルエン、3,5-ジエチル-2,6-ジアミノトルエン、3,5-ジチオメチル-2,4-ジアミノトルエン、3,5-ジチオメチル-2,6-ジアミノトルエン等を挙げることができる。
【0026】
成分(A)と成分(B)との混合割合は、成分(B)のアミノ基に対する、成分(A)のイソシアネート基のモル比が1.00〜1.15の範囲であることが、十分な靭性(強度)が得られるという観点から好ましい。上記モル比は、より好ましくは1.02〜1.12の範囲である。
【0027】
本発明の製造方法では、前記成分(A)及び成分(B)を混合し、混合後直ちに混合液を成形型に注入し、重合して成形体を得る。
重合反応の条件等は、例えば、米国特許6127505号公報第5欄に記載の条件等を適宜参照することができ、また、後述の実施例でも詳述する。
また、本発明の成形体は、必要により、離型剤、抗酸化剤、紫外線安定化剤、着色防止剤等の添加成分を本発明の成形体の透明性と強度を損なわない程度に添加することはできる。添加成分の例は、例えば、米国特許6127505号公報第6〜7欄の記載のものを挙げることかできるが、それらに限られない。
【0028】
本発明の製造方法では、成分(A)と成分(B)との混合は、成分(A)を加温して粘度を低下させた後に行うことが、泡不良を回避するという観点から好ましい。
成分(A)は一般に粘度が高いため、成分(B)との混合前に加温して、ある程度の流動性を付与することにより、成分(B)との混合を容易にするという観点から、8000CPS以下になるように加温しておくことが好ましい。またこの粘度以下であれば、後述するRIM成形機を用いた時に混合前の脱泡も容易に行える。成分(A)の加熱温度は、好ましくは6000CPS以下になる温度であり、さらに好ましくは4000CPS以下である。
【0029】
成分(A)と成分(B)との混合には、反応射出成形機(以下、RIM(Reaction Injection Molding)成形機)を使用することが好ましい。
次にRIM成形機の構造および動作を図18に基づいて説明する。
RIM成形機は、成分(A)を保管する材料タンク11Aと、成分(B)を保管する材料タンク11Bと、成分(A)と成分(B)混合し吐出する混合吐出部15と、前記材料タンク11Aと前記混合吐出部15をつなぐ材料流路13Aと、前記材料タンク11Bと前記混合吐出部15をつなぐ材料流路13Bとからなる。材料流路13A、13Bのそれぞれの途中には、成分中の異物をろ過するためのフィルター14A、14Bが設けられている。混合吐出部15には材料流路13A、13Bを通って送られてきた成分(A)、(B)を混合するための高速で回転する回転軸もしくはスタティックミキサーが設けられている。
【0030】
成分(A)及び成分(B)は前記それぞれの材料タンク中で減圧下におかれ十分に脱気されるとともに所定の温度で保管される。脱気が不十分であると成形品中に泡が混入し、製品としての性能や外観を損ねる場合や、成形品の機械的強度の低下を招く場合がある。十分に脱気され温度も均一化された各成分はポンプ2A、2Bにより材料タンク11A、11Bから材料流路13A、13B中に押し出されフィルター14A、14Bを通過し混合吐出部15へ送られる。混合吐出部15で短時間に均一に混合された混合液は吐出口16より吐出される。
【0031】
次に、本発明の第一の態様の製造方法の詳細を説明する。
本発明の第一の態様の製造方法において用いられる成形型は、レンズの一方の面を形成するためのモールドと他方の面を形成するためのモールドとが所定の間隔で対向して配置され、かつ前記2つのモールドの周囲に環状のガスケットが配置されて、前記モールド及びガスケットによってキャビティが形成され、前記ガスケットは、前記成分(A)と前記成分(B)との混合液を前記キャビティ内に注入するための注入孔と、前記キャビティ内の気体または前記混合液を成形型外部に排出するための排出孔とを、直径方向に対向する位置に有している。このような成形型としては、後述の本発明の第二の態様のガスケットを有する成形型を用いることができる。
【0032】
本発明の第一の態様の製造方法において、成形型への混合液の注入は、成形型を水平面から傾斜した状態もしくは垂直にした状態で、かつ排出孔86が頂上になるようにして行なう。傾斜した場合の状態を図9に示す。この場合、成形型1を水平面から傾斜させ、注入口73に注入用治具100から混合液Mを注入する。成形型を傾斜もしくは垂直にした状態で、成形型の下側から混合液の注入を行なうことにより、混合液は既に注ぎ込まれた混合液の液面の下側から注入されるため、成形型内の空気を巻き込まず気泡が発生しにくい。また、混合液の液面が下側から徐々に上昇するため、従来の上側から注入する場合のようなキャビティ内での活発な対流がおきないので、流れのような痕や重合ムラから生じる痕などが発生しにくく光学的欠損が生じにくい。
【0033】
また、本発明の製造方法では高粘度の混合液を使用しているため、キャビティ内において混合液の液面の上昇速度がその位置により異なると、上昇速度が遅い液面付近の空気がキャビティ内部に取り残されるという問題が生じる場合がある。成形型の傾斜角度を大きくするほど、液面の上昇速度の位置による差が小さくなるのでそのような問題が生じにくくなりより好ましい。特に近視矯正用レンズを成形する場合、その成形型のキャビティは、中央付近の隙間が狭く、周縁側の隙間が広いため、中央付近より周縁側の方に混合液が流れ込みやすい。このため、傾斜角度が小さいと、両側の周辺部の液面が、中央付近の液面より速く上昇し中央付近の空気の周囲を取り囲むようにして排出孔に到達してしまい、中央付近の空気がキャビティ内に取り残されるという問題が生じる場合が有る。このような場合、傾斜角度を大きくするほど、周辺側と中央付近の液面上昇速度の差が小さくなるため、中央付近の空気が取り残されるという問題が生じにくくなりより好ましい。
【0034】
成形型への混合液の注入は、図9(b)に示すように、キャビティ4が混合液Mで満たされて注入が完了するまで、所定の傾斜状態で行うことができるが、前記したような水平に載置したときに上方に開口した注入口を有するガスケットを使用する場合は、注入治具を注入口に接続するまでの間は、成形型の傾斜を緩くしておき、接続直後所定の傾斜状態にして注入を継続してもよい。
【0035】
混合液Mの成形型1への注入は、成分(A)と成分(B)との混合が行われる混合室に設けられた吐出口に一端を脱着可能に取り付け、他端を成形型1の注入孔73につながれたチューブ110を通して行うことが好ましい。成分(A)と成分(B)は重合速度が速いため、注入中混合液がチューブ内壁に徐々に付着し、チューブの混合液の通りが悪くなっていくので、脱着可能に取り付けることにより、チューブの交換が容易になる。
【0036】
本発明の製造方法では、成形型は、混合液の注入前に加温されていることが好ましい。
成分(A)及び成分(B)の混合液を成形型1の注入口より注入する時、混合液の温度より成形型の温度がある一定の温度以上低いと、混合液がモールド表面を伝わるときに、モールド表面に薄い空気膜が形成し、これが原因で泡不良となることがある。成形型を加温すると濡れ性が高くなり上記のような問題は改善される。
【0037】
混合液注入直前の成形型の温度は、混合液の注入時の温度と近い温度かそれ以上であることが濡れ性の改善という点で好ましい。具体的には、成形型を電気炉や遠赤炉に入れ所定の温度に加温し、炉から取り出した成形型に混合液を注入することが適当である。
【0038】
こうして混合液が充填された成形型は、混合液がこぼれないように水平もしくは若干傾斜させた状態で、主に自己発熱により重合反応が進むような比較的低温の雰囲気中(例えば室温中)で所定時間静かに放置し重合させる。その後、重合が完全に進まない状態の内に、注入孔付近の重合部分及び排出孔付近の重合部分を破壊し、キャビティ内で重合したレンズ成形体部分と、注入口内及び排出口内で重合した部分とを一度分断することが好ましい。この分断作業を行なった後、成形型は、あらかじめ所定の温度まで上昇させ高温雰囲気にしてある炉内に入れ、内部歪みを緩和させながら、前記低温雰囲気中での重合で反応しなかった官能基の反応を進行させる。そして、重合完了後、温度を徐々に下げた後、成形型を炉から取り出す。この高温雰囲気中の加熱は例えば110〜150℃で15〜24時間程度である。炉から取り出した成形型は、はじめにガスケットを取り除き、続いて第1及び第2のモールドも取り除いてプラスチックレンズ成形体が完成する。
【0039】
上記低温雰囲気中で放置している間は、混合液は重合反応による反応熱により自己発熱しさらに重合が促進されるが、ある程度重合が進行してしまうと発熱量が少なくなり、徐々に重合反応が収まっていく。そのまま放置し続けると、重合反応が進むにつれ重合収縮が大きくなるため、内部歪が大きくなりレンズ成形体が割れたり、モールドから分離したりする。
【0040】
このため低温雰囲気中での放置時間は、注入口内及び排出口内で重合した部分をキャビティ内で重合した部分から分断できる程度に重合が進むまでの時間以上で、重合収縮による内部歪が大きくなり成形に支障が生じてしまう時間未満に設定することが適当である。例えば、この放置時間は、5〜20分間の範囲内にすることが好ましい。
【0041】
この低温雰囲気中での放置の間は、ガスケットを揺らさないよう静かに置いておくことが好ましく、特に分断作業を行なう前は静置しておくことが好ましい。こうすることにより重合途中の混合液がキャビティ内を流動するのを防ぐことができるため、レンズ成形体の光学的欠損を低減できる。
【0042】
低温雰囲気中での自己発熱による重合では、重合は完全には行なわれず未反応の官能基が残った状態で固まっているため、完成した成形体のようには強度が高くない。このため低温雰囲気放置中の重合であれば注入孔付近及び排出孔付近の重合部分の破壊を容易に行なうことができる。この注入孔付近及び排出孔付近の重合部分の破壊は、注入口及び排出口内の重合部分を折り曲げることにより容易に行なうことができる。こうすると注入孔及び排出孔付近に位置する最も細い重合部分に応力が集中するためである。なおガスケットを、弾性を有する樹脂から構成すると注入口及び排出口ごと折り曲げることができるので、破壊作業がより容易になり好ましい。
炉から取り出した後のガスケットの除去は、炉に入れる前に一度注入孔部及び排出孔部で分断しているため容易に行なうことができる。
【0043】
本発明の第一の態様の製造方法により得られるプラスチックレンズは、例えば、眼鏡レンズや光学レンズ等のレンズに用いることができる。特に好ましくは、本発明の第一の態様の製造方法で得られるプラスチックレンズは、眼鏡レンズに用いることができる。
【0044】
第二の態様(ガスケット)
次に、本発明の第二の態様のガスケットを、図面を参照して説明する。なお、本発明の第一の態様の製造方法では、以下に詳細に説明する本発明のガスケットを用いることができる。
[第一の実施例(図1〜4)]
図1は本発明の第一の実施例に係るプラスチックレンズ成形用ガスケットを示す平面図、図2は図1のII-II線における断面図、図3は図1および図2に示すガスケットにレンズ母型を装着した時の状態を示す断面図、図4は図1のIII-III線における断面図である。
本発明の第一の実施例のガスケット1は、図3に示すように、第1モールド2Aと第2モールド2Bとからなるレンズ母型2を装着することにより、内部にキャビティ4が形成されて、レンズ成形型3となる。
【0045】
ガスケット1は、両端が開口した円筒状の筒状体5と、この筒状体5の内壁面に少なくとも前記第1モールド2Aの周縁部を保持するために突設された保持部6と、前記筒状体5の外周に設けられ前記キャビティ4にモノマーを注入するための注入部7と、同じく前記筒状体の外壁面に設けられ注入中のキャビティの気体の排気と余剰のモノマーを排出するための排気部8とからなる。
ガスケット1の材料は、弾性を有する樹脂からなり、例えばエチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリエチルアクリレート、シリコンゴム等を挙げることができる。
また、ポリプロピレンとエチレンプロピレンゴムの混合品(例えば、アドバンスト・エラストマー・システムズ社製 商品名サントプレーン)も挙げることができる。この材料は耐熱性が高いという点で好ましい。
【0046】
筒状体5、保持部6、注入部7、および排気部8は射出成形により一体的に成形することができる。
レンズ母型2を構成する第1モールド2Aおよび第2モールド2Bはガラス等からなり、正面視形状が円形である。この第1モールドおよび第2モールドの周縁は、ガスケット1の筒状体5の内壁面に隙間なく接触した状態を保持できる形状を有することが好ましい。
【0047】
第1モールド2Aは、例えば、プラスチックレンズの後面(凹面)を形成すべく凸面側に成形面を有する凸面型であり、第2モールド2Bは、プラスチックレンズの前面(凸面)を形成すべく凹面側に成形面を有する凹面型であることができるが、これらに限定されない。
尚、第1モールド2Aが凸面型であり、第2モールド2Bが凹面型であることで、モノマー注入の際にキャビティ内に空気が残りにくいと言う利点が有る。
ガスケット1の筒状体5の内径は、前記第1モールド2Aおよび第2モールド2Bの外径と実質的に同一かまたは若干小さくすることができる。但し、前述のように、筒状体5の内壁面に隙間なく接触した状態を保持できる寸法とすることが適当である。
尚、ガスケットに装着されたモールドは、必要により、その両側から筒状体5の内部に押し込む方向にバネ等で挟持して、ガスケットに固定してもよい。
【0048】
筒状体5の高さは、成形しようとするレンズの周縁部の厚み(キャビティ4の周縁部の厚み)と第1モールド2Aおよび第2モールド2Bの周縁部の保持に必要な厚みとを確保できる寸法であれば良い。但し、図3に示すように筒状体5の開口上端が第1モールド2Aの周縁部上端より上に出ていることが、後述するようにモノマー注入の際に、モノマーが成形型外にこぼれにくくなるため好ましい。
また、第2モールドが筒状体の開口に向かって凸面状である場合、筒状体の高さを筒状体下側が第2モールドの凸面の頂点より下側になるように筒状体の高さを設定することで、レンズ成形型3を図3に示すように置いた時に第2モールド2Bの凸面が筒状体の開口から飛び出した状態になって下にぶつかることが無いので好ましい。
【0049】
ガスケット1の保持部6は、筒状体5の内壁面に、周方向に間隔を置いて3箇所以上設けることが好ましく、図1〜3においては、4箇所に突設されている。各保持部6の形状は、例えば、半円筒形状であることができ、その軸方向は筒状体の軸線方向と平行であることが適当である。この保持部の上面および下面は、第1モールド2Aの成形面周縁部および第2モールド2Bの成形面周縁部と当接する部分であり、この当接部の高さ位置は、モールド成形面周縁部の形状に合わせて適宜設定される。図1〜3においては、第1モールド2A及び第2モールド2Bの成形面は球面であり、この4つの保持部の上面の位置(高さ)および下面の位置(高さ)はそれぞれ同じになるように形成される。
【0050】
また、保持部6は、第1モールド2Aを保持するための突起と第2モールド2Bを保持するための突起として別々に設けることもできる。あるいは、保持部6は、筒状体5の内壁面を周回するように帯状に設けることもできる。帯状の保持部6は、第1モールド2Aを保持するための帯状突起と第2モールド2Bを保持するための帯状突起が一体に形成されていても、独立に形成されていてもよい。
また、保持部6は、第1モールド2Aを保持するためだけに設けることもでき、第2モールド2Bを保持するための突起は設けないこともできる。この場合、第2モールド2Bはガスケットの所定位置まで押し込まれ、ガスケットの弾力により保持される。
【0051】
なお、この保持部6の構造は、モールド成形面周縁部と当接させることができる部分を持った突起であれば良く上記に限定されない。例えば、その形状や数も任意に変更可能であり、また、上部と下部の当接部を別々の突起に設けても良いし、円周方向に形成された帯状の突起帯であってもよい。この点については、後述の第三の実施例において詳細に説明する。
【0052】
ガスケット1の注入部7は、筒状体5上端から下側に向かって切り欠かれた溝からなる注入溝71と、筒状体5外壁面に設けられ、注入溝71とつながり、かつ注入溝71と同一方向に開口した凹部を有する注入口73と、その注入口の周囲を注入溝71と同一方向に開口した凹部で囲む注入受け部74とからなる。
【0053】
注入溝71の切り欠きは、注入溝71に隣接する位置にある保持部の第1モールドの成形面周縁部との当接部を超える位置まで設けられる。即ち、注入溝71の深さは、ガスケット1が第1モールド及び第2モールドとともに形成するキャビティ4に達し、かつキャビティ4を突き抜けない程度の深さとする。このような構成とすることで、注入口73から注入溝71を経てキャビティ4に原料モノマーを流入させることができる。
注入溝71の幅は上端が狭く下側が広くなるように構成すること(図4)がより好ましい。上端の溝の幅を狭くすることで注入治具による密閉が容易になる。また、下端の溝の幅を広くすることで、注入孔が大きくなり、キャビティ内へのモノマーの流入が容易になる。
【0054】
注入溝71の開口端部両側の筒状体5の開口端部に、筒状体5開口端部より一段低い段差が設けられている(図4)。この一段低い部分は、注入溝両側部72と呼ぶ。注入溝両側部72の高さは、第1モールド2Aをこの注型ガスケット1に装着したときに、その周縁部の開口側の端部と同じ高さになるように設定されることが、モノマー注入時に注入部7から溢れたモノマーが第1モールド上に流れ込み、成形型外に流れだすことを防止できるという観点から好ましい。
【0055】
注入口73の壁部は注入溝両側部72につながり、この注入口73の開口端の高さは注入溝両側部72上端の高さと同じに形成される(図2)。このような構造を取ることで、注入溝両側部上端と注入口開口端とが同一平面上に位置することができるため、注入治具に設ける注入溝と注入口の開口を密閉するための接触部分は平面に形成すればよく、簡易な構造で密閉できるのでより好ましい。
さらに第1モールド2Aの周縁部上端も注入溝両側部上端及び注入口開口端と同じ高さになるようにすると、注入治具に設ける開口を密閉するためのモールド周縁、注入口上端、注入溝両側部上端との接触部分は平面に形成すればよく、さらに簡易な構造で密閉できまた密閉も容易になるためより好ましい。
【0056】
[第二の実施例(図5)]
図5は、本発明の第二の実施例に係るプラスチックレンズ成形用ガスケットにレンズ母型を装着した時の状態を示す断面図である。ただし、図5に示す断面図では、注入口73の凹部の底75は凹曲面状である。底が角張っているとその角に気泡が残りやすく、その気泡が注入中にキャビティの中に入る場合があるが、底を凹曲面状にすることにより注入口73内に気泡が残りにくくなり、成形されるプラスチックレンズへの気泡の混入も防止できる。従って、本発明では、図5に示すように、注入口73の凹部の底75は凹曲面状であることが好ましい。
また、図5に示されている第1モールド2Aの周縁部上端は、注入溝両側部72上端と注入溝71の開口端とが同一の高さになるようにすることが好ましい。特に、第1モールド2Aの周縁部上端に、上面と側面をつなぐ上向きの平面部を周縁に沿って形成することで、この平面部と注入溝両側部72上端と注入溝71の開口端とを同一の高さにすることができ、注入治具との間に隙間ができず、注入時の密閉をより容易に、かつ確実に行えるため好ましい。
【0057】
以下、第一および第二の実施例に共通する点について説明する。
注入受け部74の壁部は筒状体5の外壁面とつながり、この壁部上端の高さは筒状体の高さと同じに構成されることが適当である。これにより、注入受け部74壁部上端の方が注入溝71の開口端より高くなり、次の3つ利点がある。(1)注入口73から溢れたモノマーをためておける量が多くなる。(2)注入後成形型を水平にしたときに、注入受け部74から溢れるモノマーが注入口73に戻るためモノマーの無駄を減らすことができる。さらに注入口73から溢れたモノマーは注入溝両側部72上端を通って第1モールド上面に流れるため下にこぼれにくい。(3)注入部73を下にして傾けて注入している際にこぼれるモノマーを捕捉しやすい。
【0058】
排気部8は、注入部7の注入溝71と直径方向上に対向する位置に筒状体5上端から下側に向かって切り欠かれた溝からなる排気溝81と、筒状体5の外壁面に設けられ排気溝81につながる凹部を有する排気口83とからなる。
排気溝81の切り欠きは、排気溝81に隣接する位置にある保持部の第1モールドの成形面周縁部との当接部を超える位置まで設けられる。即ち、排気溝81の深さは、注入溝71と同様、キャビティに達する深さに形成される。排気溝81を設ける位置を注入溝71と直径方向上に相対する位置にすることで、注入部7を下側にして原料モノマーを注入した時に、最後まで排気が妨げられることなく行われるという利点が有る。
【0059】
排気口83の壁部は筒状体5の外壁面につながり、その開口端の高さは筒状体5の高さと同じにすることが適当である。排気口の開口端の高さは次の2点を考慮して決定することが適当である。即ち、成形型を水平にしたときに排気口に溜まった液の上面は、排気孔より上に位置していることが好ましい。これは、モノマーが重合し収縮したときに排気口から空気が入り込む代わりに、モノマーが補充されるためである。さらに、排気口から溢れたモノマーを下にこぼさずに第1モールド上に流すためには、第1モールド周縁上端より開口端を高くすることが好ましい。
【0060】
ガスケット1に第1モールド2Aを装着した時、第1モールド周縁上端と注入溝両側部72上端とがそろった状態でガスケット内壁面と第1モールド周縁が接しているため、注入溝71の筒状体内壁面側上側は第1モールドの周縁によって塞がれ、注入溝71の下側にキャビティと注入口とをつなぐ注入孔76が形成される。また、同様に排気溝81の筒状体内壁面側も第1モールドの周縁により塞がれるため、排気溝81の下側にキャビティ4と排気口83とをつなぐ排気孔86が形成され、排気溝81の上側には、第1モールド2Aの上面と筒状体5とにより形成される凹部と排気口81とをつなぐ流出溝87が形成される。
【0061】
上記のように本発明のガスケット1の注入溝71を有する側の開口に、第1モールド2Aを取り付けることで、注入溝71は、上側が第1モールド2A周縁により塞がれ、下側に注入孔が形成される。同様に、排気溝81は、中間部が第1モールド2A周縁により塞がれ下側に排気孔、上側に流出溝が形成される。その結果、注入中、注入口73からあふれたモノマーは、注入口73の周りを囲む注入受け部74にたまるため下にこぼれない。また排気口81からあふれたモノマーは、前記流出溝87を通って第1モールド2Aと筒状体5によって形成される凹部に流れるため、成形型の外にこぼれない。
【0062】
[第三の実施例(図13〜16)]
図13は本発明の第三の実施例に係るプラスチックレンズ成形用ガスケットを示す平面図、図14は図13のII-II線における断面図、図15は図13および図14に示すガスケットにレンズ母型を装着した時の状態を示す断面図、図16は図13のIII-III線における断面図である。
第三の実施例は、保持部6を筒状体5の内壁面を周回するように帯状に設けた例であり、その他の構成は、第一の実施例と同様である。この保持部6は、筒状体5の内壁面に、この内壁面を周回するように帯状に突出して設けられた帯状突起からなる。この保持部6の上面および下面は、第一モールド2Aの成形面周縁部および第二モールド2Bの周縁部と当接する部分であり、保持部、第一モールド成形面、および第二モールド成形面によりキャビティを形成する。
【0063】
保持部と第一モールド成形面周縁部、第二モールド成形面周縁部とは、保持部上面または下面の内端角部分で接するようにすることが好ましく、モールド成形面周縁部の形状に合わせて、保持部上面および下面の形状を適宜設定することが好ましい。本実施例では、第一モールドの成形面は下側に凸であり、第二モールドの成形面は上側に凹であるため、保持部上面の傾斜角度は、第一モールド成形面周縁部の傾斜角度より小さくし(図15では水平に図示されている)、保持部下面の傾斜角度は、第二モールド成形面周縁部の傾斜角度より大きくすることにより、モールド成形面と保持部とを内端角部で接するようにしている。
【0064】
保持部の上面の高さ位置、および下面の高さ位置は、全周に渡って同じである。そして、保持部上面の高さ位置は、注入溝および排気溝の底より高い位置にあり、保持部下面の高さ位置は、注入溝、排気溝の底より下に位置している。このような構成にすることにより、注入溝および排気溝の深さを、キャビティに到達し、かつキャビティを突き抜けない深さにすることができる。
また、注入溝キャビティ側開口近傍91および排気溝キャビティ側開口近傍92では、保持部の角をとって滑らかな曲面にし、徐々に開口が広がるようにしているので、キャビティ内へのモノマーの流入、キャビティ外への流出が容易になり、より好ましい。
【0065】
[第四の実施例(図17)]
図17は、本発明の第四の実施例に係るプラスチックレンズ成形用ガスケットにレンズ母型を装着した時の状態を示す断面図である。
図17に示すガスケットは、注入部と筒状体との接続部、および排気部と筒状体との接続部に、くびれ部を設けたことを特徴とし、それ以外の構成は、第一の実施例と同様である。
図17に示すような構成とすることにより、注入部および排気部を接続部付近を支点に下側に屈曲させやすくなるため、注入口または排気口内で重合したレンズ原料を、注入部または排気部ごと下側に屈曲させることにより、注入口や排気口内の重合部分とキャビティ内の重合部分とを、注入溝部付近で容易に破壊分断できる。これにより、ガスケットを取り除く作業が容易になる。また、重合途中に分断作業を行う場合も、その分断作業を容易にすることができる。
【0066】
第三の態様(モノマー注入治具)
次に本発明の第三の態様である、注入治具の一実施例について説明する。
図6及び7は注入治具の正面図及び側面図、図8はそのIV-IV方向断面図である。この注入治具100は、前記ガスケット1を使用した成形型3にモノマーを注入する際に使用する注入治具であり、図9に示すように、モノマー供給元につながっているチューブ110の先端にとりつけ使用する。
注入治具の材質は特に限定しないが、例えば金属や樹脂などであることができる。
【0067】
この注入治具100は原料モノマーが通るための貫通孔106が設けられた筒部102を有し、この筒部102はその先端側にノズル部101、後端側にチューブ接続部103を有し、ノズル部101の周囲には注入口密閉部104が設けられている。
原料モノマー注入の際、ノズル部101をガスケット1の注入口73に押し当てて注入する(図9)ことから、ノズル部101外径は、ガスケットの注入口73の開口部径より小さいことが適当である。
【0068】
注入口密閉部104は平面部を有し、ノズル部101をガスケットの注入口73の開口部に合わせ押し当てた時に、この平面部が注入口73の開口と、注入溝両側部72上端と、注入溝に相対する位置の第1モールド2A周縁上端とに接触し注入部の開口を塞ぐことができる構造になっている(図9)。
また注入口密閉部104には、前記ガスケット1の注入溝両側部72上端とそこに隣接する筒状体5上端の間の段差部分に嵌合させるための切り欠きからなる嵌合部105が2箇所設けられている。
嵌合部105を設けることにより、注入治具の位置合わせが容易になり、確実に開口部を閉じることができるようになるためより好ましい。
【0069】
図6〜8に示した注入治具100においては、ノズル部101の先端は注入口密閉部104より突出している。ノズル部101が注入口密閉部より突出していることにより注入治具の位置合わせが容易になるという利点が有る。ノズル部101の先端部にテーパーが設けられているとさらに位置合わせしやすく好ましい。
但し、ノズル部101は必ずしも注入口密閉部104から突出している必要はなく、例えば、図10〜図12に示した変形例のように注入口密閉部104から全く突出していない構造にすることもできる。
【0070】
チューブ接続部103は、チューブ110の孔の径よりも少し大きい外径を有し、この接続部103をチューブ110の先端の孔から挿入し、チューブ110の孔と注入治具の貫通孔106とをつなげた状態で、チューブ110の弾力を利用してチューブ110と注入治具100とを接続する。
なお、接続部103の構造は、接続部からモノマーがもれないように接続される構造であれば良く、特に限定しない。
【0071】
チューブ110の材料は特に限定しないが、注入治具とチューブとをチューブの弾力を利用して固定でき、また注入治具を自由に動かすことができるという点から、柔軟性および弾力性を有する樹脂製であることが好ましい。
また、モノマーによってはチューブ内で固まる場合もあるので、チューブは交換可能なものが良い。
【0072】
次に上記構成からなるガスケットと注入治具を用いてプラスチックレンズを製造する手順を説明する。
まず第2モールド2Bをガスケット1の下方開口から挿入し、第2モールド2Bの上面周縁側がガスケット保持部下部に当接するまで押し込む。同様に、第1モールド2Aをガスケットの上方開口から挿入し、第1モールド2Aの下面周縁側がガスケット保持部の上部に当接するまで押し込む。このようにして構成した成形型3にモノマーを注入する。注入されるモノマーは特に制限はされないが、高粘度のモノマーに特に適する。以下、モノマーとして、上記で説明したウレタン結合を分子内に有するイソシアネート末端プレポリマーと芳香族ジアミンとからなる原料を用いる場合について説明する。
この原料モノマーは初期重合反応速度が速いため混合後すぐに成形型に注入する必要がある。このため混合には、例えば、図18に示すような反応射出成形機RIM機を使用し、RIM機混合部のノズルにチューブ110をつなぎ、そのチューブの先端に前記注入治具100を接続する。
【0073】
成形型3を、注入口を下側にした状態で傾け、注入治具100のノズル部101を注入口73に合わせ押し当て、注入を開始する。
原料モノマーMはRIM機混合部からチューブ110を通って注入治具100に達し、注入治具100のノズル101を出てガスケット注入口73の注入孔76を通ってキャビティ4に注入される。このキャビティ4に注入された原料は、キャビティ4の空気を押し上げ排気孔から排気しながら、原料モノマーの界面を徐々に押し上げていく。(図9(a))原料モノマーMはやがてキャビティ4の上端に達し、排気孔86を通って排気口83にたまりだす。(図9(b))このたまり出したところで注入をやめ、成形型3を水平に置く。
【0074】
注入中、注入口73から原料モノマーMがあふれた場合には注入受け部74の溝にたまるため下にこぼれにくい。特に注入口73壁部の上端より注入受け部74壁部の上端のほうが高く構成されていると成形型を斜めにしていてもこぼれにくく好ましい。
また、排気口83が原料モノマーMでいっぱいになると流出溝87を通って第1モールド上面側に流れるため、成形型3からこぼれにくい。
この第1モールド上面側に流れた原料モノマーが注入部の方に流れてきても、注入治具の注入口密閉部104と注入溝両側部72上端がしっかり嵌合している場合はそこで止まり、嵌合していない場合であっても注入受け部74に流れ込むため、成形型3からこぼれにくい。
【0075】
この原料モノマーMが充填された成形型3は、硬化を完全に行なうことや内部応力を取ることを目的に所定時間電気炉に入れられる。そして電気炉から取り出し、成形型を取り除き、レンズが完成する。
このようにしてできたレンズは、高粘度で、初期重合速度が速い原料モノマーにもかかわらず、下側から注入することにより泡が巻き込まれることが少ない。
【0076】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例及び比較例で得られたプラスチックレンズの評価は、下記の評価方法に従って行った。
【0077】
[評価方法]
(1)成形型の温度
混合液を成形型に注入する直前のモールド中心部の温度を指す。
【0078】
(2)混合時、充填完了時の液温
混合液の混合中の液温は、混合直前の成分Bの温度が成分Aに比べ低いため、混合すると一瞬温度が下がるがすぐに重合反応熱により温度が上昇すると考えられる。本実施例の場合、室温(25℃)の成分Bと加温した成分AをRIM機で混合した直後吐出口から出てきた時の混合液の温度を測定したところ、混合直前の成分Aの温度が約50℃の場合で約55℃であった。
吐出口から出て成形型に注入され充填される間の液温も、反応熱により上昇を続ける。吐出口を出てからの液温の推移を測定したところ、20秒後に約20℃上昇し、約2後に最大ピーク(約100℃)に達し、その後、徐々に温度は低下し、5分後に約70〜80℃であった。
【0079】
(3)泡の発生状況
作製したプラスチックレンズの外観製品検査を行い、良品が7割以上得られる場合をA、良品が5割以上得られる場合をB、良品が3割以上得られる場合をCとし、3割未満の場合をDとする。ここで良品とは作成したプラスチックレンズ中に全く泡が見受けられない状態、もしくは泡が見受けられるが目視レベルでは判断できない状態のものをいう。なお、泡の発生数が複数である場合は最大のものにて判定を行う。また、あきらかに注入時の治具の接触不良にて発生した泡に関しては評価対象から除外する。
【0080】
(4)光学的欠損
作製したプラスチックレンズをジルコン投影にて面ダレ、脈理の有無を確認する。ジルコン投影製品検査により良品が8割以上得られる場合をA、良品が6割以上得られる場合をB、良品が6割未満の場合をCとする。ここで良品とはレンズの幾何中間中心から半径30mm以内に面ダレ、脈理が発生していないものをいう。
【0081】
(5)面ダレ
面ダレとは成形型に前記成分(A)及び前記成分(B)の混合液を注入したときの流れあとのような模様がレンズ表面に発生した状態を指す。
【0082】
(6)脈理
脈理とは成形型に成分(A)及び成分(B)の混合液を注入したときに温度ムラ、重合ムラ等から生じる痕のことを差す。脈理に関しては一般に注入時のみならず、重合時の熱履歴によっても起こることが知られている。
【0083】
Figure 0004220822
【0084】
実施例1
平均分子量400のポリテトラメチレングリコールと4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)からなるイソシアネート基含有率が13%であるイソシアネート末端プレポリマー100重量部に、あらかじめモノブトキシエチルアシッドホスフェート0.024重量部およびジ(ブトキシエチル)アシッドホスフェート0.036重量部を添加し、均一に溶解させ、脱泡した[成分(A)]。
3,5-ジエチル-2,4-トルエンジアミンと3,5-ジエチル-2,6-トルエンジアミンの混合物25.5重量部を成分(B)として用いた。
【0085】
成分(A)と成分(B)の混合直後の液温を55℃、成形型の注入直前の温度を70℃、成形型の傾斜角度30度として、RIM機吐出口に治具付きチューブを接続し、成分(A)及び成分(B)の混合液を治具を介して注入口より注入する。
注入終了後、成形型を室温で10分間静置し、その後同じく室温中で注入口及び排出口内の重合部分をガスケットの注入口及び排出口ごと折り曲げ、注入孔及び排出孔付近で分断した。この分断作業を行なった成形型は、注入終了後15分以内にあらかじめ120℃まで昇温してある電気炉に入れ15時間加熱重合させた。その後成形型を電気炉から取り出しガスケットを除去し第1及び第2のモールドを除去しプラスチックレンズ成形体を得た。
次に、得られたプラスチックレンズの洗浄を行い、その後、泡の発生状況、光学欠損を上記評価方法により確認した。その結果を表1に示す。
【0086】
実施例2
実施例1と同様の成分(A)及び成分(B)を用い、成形型を垂直にした状態で注入した以外は実施例1と同様の操作を行った。これにより得られたプラスチックレンズの泡の発生状況、光学的欠損の評価結果について表1に示す。
【0087】
実施例3
実施例1と同様の成分(A)と成分(B)を用い、成形型の注入直前の温度が40℃になるように加温した以外は実施例1と同様の操作を行った。これにより得られたプラスチックレンズの泡の発生状況、光学的欠損についての評価結果を表1に示す。成形型を加温しない場合にはモールド、ガスケットの濡れ性に起因すると思われる泡不良が見られた。
【0088】
比較例1
実施例1と同様の成分(A)と成分(B)を用い、成形型の設置角度を0度とした以外は実施例1と同様の操作を行った。これにより得られたプラスチックレンズの泡の発生状況、光学的欠損についての評価を行ったところ、流れ痕が原因と考えられる面ダレ不良が多数発生した。また、混合液注入中、成形型内の空気が混合液に巻き込まれ、泡不良が多数発生した。
【0089】
比較例2
実施例3と同様の成分(A)と成分(B)を用い、成形型の上側から注入する以外は実施例3と同様の操作を行なった。注入にあたっては、排出孔を塞ぎ、注入口が最も高くなるように傾斜角度30度で保持した状態で注入口から注入を行なった。このとき治具先端は注入口に密着させずに間隔をおいた状態で流し込んだ。これにより、得られたプラスチックレンズの泡の発生状況を調べたところ注入中に巻き込まれた泡による泡不良が多数発生した。
【0090】
【表1】
Figure 0004220822
【0091】
【発明の効果】
本発明の第一の態様の製造方法によれば、分子中に環状構造を有する脂肪族ジイソシアネートと300〜2500の平均分子量を有するジオールとの反応生成物であるイソシアネート末端プレポリマー成分(A)と芳香族ジアミン成分(B)とから、光学的欠陥及び泡不良を回避したプラスチックレンズの製造方法を提供することができる。
また、成形後のガスケットの除去を容易にしたプラスチックレンズの製造方法を提供することができる。
更に、前述のように、本発明の第二の態様のプラスチックレンズ成形用ガスケットおよび第三の態様の注入治具は高粘度のモノマーや反応射出成形用の原料モノマーを注型成形する場合に適したものである。
本発明の第二の態様のガスケットは、ガスケットに孔を設けることなく注入孔と排気孔を形成できるため、ガスケットの製造を容易にし、その製造費用を安くすることができる。
また、注入口からあふれたモノマーは注入受け部に流し、排気口からあふれたモノマーは上型ガスケット上面側に流すことにより、モノマーがガスケットからこぼれるのを防止できる。
さらに、注入口の底を丸くすることにより、注入中に注入口内に泡が残りにくい。
本発明の第三の態様の注入治具は、本発明のガスケットの注入部開口部を容易に密閉できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプラスチックレンズ成形用ガスケットの一実施例を示す平面図。
【図2】図1のII-II線断面図。
【図3】図1のガスケットにモールドを装着した状態の断面図。
【図4】図1のIII-III線断面図。
【図5】本発明に係る別の実施例のガスケットにモールドを装着した状態の断面図。
【図6】本発明に係る注入治具の一実施例を示す平面図。
【図7】図6の側面図。
【図8】図6のIV-IV線断面図。
【図9】本発明の注型ガスケットを使用した成形型に、本発明の注入治具を使ってキャビティに原料モノマーを注入している状態を示す図。
【図10】本発明に係る注入治具の別の実施例を示す平面図。
【図11】図9の側面図。
【図12】図10のV-V線断面図。
【図13】本発明に係るプラスチックレンズ成形用ガスケットの別の実施例を示す平面図。
【図14】図13のII-II線断面図。
【図15】図13のガスケットにモールドを装着した状態の断面図。
【図16】図13のIII-III線断面図。
【図17】本発明に係る別の実施例のガスケットにモールドを装着した状態の断面図。
【図18】RIM成形機の構造を示す説明図。
【符号の説明】
1:ガスケット、2A:第1モールド、2B:第2モールド、3:成形型、4:キャビティ、5:筒状体、6:保持部、7:注入部、8:排気部、91:注入溝キャビティ側開口近傍、92:排気溝キャビティ側開口近傍、100:注入治具、101:ノズル、102:筒部、103:チューブ接続部、104:注入口密閉部、105:嵌合部、106:貫通孔、110:チューブ、M:原料モノマー

Claims (14)

  1. 下記成分(A)と下記成分(B)とを混合し、混合後直ちに混合液を成形型に注入し、重合して成形体を得る、プラスチックレンズの製造方法であって、
    下記成分(A)と下記成分(B)との混合は、前記成分(A)を加温して粘度を低下させた後に行い、
    前記成形型は、レンズの一方の面を形成するためのモールドと他方の面を形成するためのモールドとが所定の間隔で対向して配置され、かつ前記2つのモールドの周囲に環状のガスケットが配置されて、前記モールド及びガスケットによってキャビティが形成され、前記ガスケットは、前記成分(A)と前記成分(B)との混合液を前記キャビティ内に注入するための注入孔と、前記キャビティ内の気体または前記混合液を成形型外部に排出するための排出孔とを、直径方向に対向する位置に有しており、
    前記成形型への混合液の注入は、前記成形型を水平面から傾斜した状態または垂直にした状態で、かつ前記排出孔が頂上になるようにして行う前記製造方法。
    成分(A):分子中に環状構造を有する脂肪族ジイソシアネートと300〜2500の平均分子量を有するジオールとの反応生成物であるイソシアネート末端プレポリマー
    成分(B):一般式(I)で表される1種または2種以上の芳香族ジアミン(一般式(I)中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して、メチル基、エチル基、チオメチル基の何れかである)
    Figure 0004220822
  2. 前記成形型は、前記混合液が注入される前に予め加温されていることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記混合液の前記成形型への注入を、下記成分(A)と下記成分(B)との混合が行われる混合室に設けられた吐出口に一端を脱着可能に取り付け、他端を前記成形型の注入孔につながれたチューブを通して行う請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記ガスケットには、前記キャビティと前記注入孔を介して連通する凹部を有する注入口と、前記キャビティと前記排出孔を介して連通する凹部を有する排出口とが設けられており、
    前記混合液を注入した成形型を低温雰囲気中に放置して、前記混合液を重合させ、その後キャビティ内の重合部分と注入口内の重合部分及び排出口内の重合部分とを注入孔及び排出孔付近でそれぞれ分断し、次いで成形型を高温雰囲気中に放置して、さらに重合を進めることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項の記載の製造方法。
  5. 前記ガスケットは弾性を有する樹脂からなり、前記注入口及び前記排出口は前記ガスケットの外周に設けられ、前記注入孔及び排出孔付近での分断は、前記注入口内の重合部分及び前記排出口内の重合部分を、この注入口及び排出口ごと折り曲げることにより行なうことを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
  6. プラスチックレンズが眼鏡レンズである請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. プラスチックレンズの光学機能面を形成するための成形面をもつ第1モールドと第2モールドとをそれぞれ嵌挿するための開口を有する円筒体からなるプラスチックレンズ成形用ガスケットであって、
    前記円筒体は、
    内壁面に、少なくとも上記第1モールドの成形面の周縁部に当接して上記第1モールドを位置決め保持するための保持部を有し、
    開口端面から深さ方向に切り欠き状の注入溝と排気溝とを円筒体同一開口の対向する位置に有し、
    外壁面に、前記注入溝と連通し、該注入溝の切り欠きと同一方向に開口した凹部を有する注入口と、前記排気溝と連通し、該排気溝の切り欠きと同一方向に開口した凹部を有する排気口とを有することを特徴とする
    前記ガスケット。
  8. 前記注入口の外側に、その周囲を囲み注入口と同一方向に開口した凹部を有する注入受け部を設けたことを特徴とする請求項7記載のガスケット。
  9. 前記注入溝の開口端部両側の筒状体開口端部に、筒状体開口端部より一段低い注入溝両側部が設けられている請求項7または8に記載のガスケット。
  10. 前記注入溝両側部の上端、及び前記注入口開口端が、前記筒状体開口に前記注入溝を筒状体の内壁側から塞ぐように第1モールドが嵌合された際に、該第1モールドの周縁部上端と同一平面状に位置するように、前記注入溝両側部の上端及び前記注入口開口端の高さを設定したことを特徴とする請求項9に記載のガスケット。
  11. 前記保持部は、前記第2モールドの成形面の周縁部に当接して該第2モールドを位置決め保持するためのものでもある請求項7〜10のいずれか1項に記載のガスケット。
  12. 請求項7〜11のいずれか1項に記載のガスケットの前記開口に、第1モールドの成形面及び第2モールドの成形面が所定の間隔をおいて対向し、筒状体内部にレンズ形状に相当するキャビティが形成されるように、第1モールド及び第2モールドがそれぞれ脱着可能に保持されてなる、プラスチックレンズ成形用成形型。
  13. 請求項12に記載の成形型に、プラスチックレンズの原料モノマーを注入するためのノズルを備えたモノマー注入治具であって、
    前記ノズルの周囲に注入口密閉部が設けられ、
    該注入口密閉部は、前記成形型の前記注入口開口端、前記注入溝両側部上端、及び前記第1モールド(但し、第1モールドは、前記注入溝を筒状体の内壁側から塞ぐように前記筒状体開口に嵌合されている)の周縁の上端に当接させるための平面部を有することを特徴とする
    前記注入治具。
  14. 前記注入口密閉部に、前記筒状体の段差部と嵌合する嵌合部を設けたことを特徴とする請求項13記載の注入治具。
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