JP4728659B2 - プラスチック原料液注入装置およびプラスチックレンズの製造方法 - Google Patents

プラスチック原料液注入装置およびプラスチックレンズの製造方法 Download PDF

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本発明は、高粘度で初期重合速度の速いプラスチックレンズ原料液を注型重合するために適したプラスチックレンズ原料液注入装置およびプラスチックレンズの製造方法に関する。
プラスチックレンズを成形する方法としては、注型成形法が知られている。例えば、特許文献1には、高粘度で初期重合速度の速いレンズ原料液、具体的には、混合すると急速に反応が進む、分子中に環状構造を有する脂肪族ジイソシアネートと300〜2500の平均分子量を有するジオールとの反応生成物であるイソシアネート末端プレポリマー成分(A)と芳香族ジアミン成分(B)を用いて、注型成形法によりプラスチックレンズを製造する方法が開示されている。このように混合後の初期重合速度の速い原料液を、原料モノマー混合室から成形型へ注入管(チューブ)を介して注入する場合には、チューブ内を原料液が流動するときも重合が進むため、原料液が注入管内で徐々に固まり内壁に付着し、原料液の流動性が徐々に悪化する。このため、特許文献1には、原料液混合室に設けられた吐出口に注入管を脱着可能に取り付けることにより、注入管の交換を容易にする方法が示されている。
国際公開WO 03/084728号パンフレット
しかし、装置を長時間停止して注入管を交換することは、作業効率の点では好ましくない。また、装置を停止している間も、混合室中の混合液の反応は進行するため、光学的欠損が生じたり、装置のメンテナンスが必要になる。また、装置を停止せずに原料液を吐出口から流し続けながら注入管を交換することは、作業者や装置に原料液が付着するため作業環境上好ましくなかった。
そこで、本発明は、注入管の交換を容易にかつ短時間に行うことができる手段を提供することを目的とする。
更に、本発明は、高粘度で初期重合速度の速い原料液から、泡の発生や光学的欠損が低減されたプラスチックレンズを製造することができる手段を提供することを目的とする。
上記本発明の目的を達成する手段は、以下の通りである。

[請求項1]プラスチックレンズを成形するための成形型にプラスチックレンズ原料液を注入するための注入装置において、
前記注入装置は、
複数のモノマーを含むプラスチックレンズ原料液を混合して吐出口より流出する原料液混合吐出部と、
前記原料液を一端から他端へ流すための貫通孔を有する複数の注入管と、
一端が前記吐出口に連結された注入管(以下、「吐出口連結注入管」という)を前記吐出口連結注入管と交換するための注入管(以下、「交換用注入管」という)に交換するための交換手段と
を含み、
前記交換手段は、
前記交換用注入管の端部を保持する待機保持部と、
前記吐出口連結注入管の端部を、前記吐出口と連結された状態で保持する連結保持部と、
前記待機保持部に保持された交換用注入管端部を移動させ前記吐出口に連結するとともに、吐出口に連結されていた吐出口連結注入管の吐出口との連結を解除する移動手段と
を備えることを特徴とするプラスチックレンズ原料液注入装置。
[請求項2]前記注入装置は、前記プラスチックレンズ原料液に対して溶解度が高い気体を気体供給口より流出する気体供給手段を備え、
前記交換手段は、前記待機保持部に保持されている交換用注入管端部と前記気体供給口とを連結し、前記交換用注入管に前記プラスチックレンズ原料液に対して溶解度が高い気体を供給する機能を有することを特徴とする、請求項1に記載のプラスチックレンズ原料液注入装置。
[請求項3]前記注入装置は、加熱された気体を気体供給口より流出する気体供給手段を備え、
前記交換手段は、前記待機保持部に保持されている交換用注入管端部と前記気体供給口とを連結し、前記交換用注入管に前記加熱された気体を供給する機能を有することを特徴とする、請求項1に記載のプラスチックレンズ原料液注入装置。
[請求項4]前記気体は、二酸化炭素であることを特徴とする、請求項2または3に記載のプラスチックレンズ原料液注入装置。
[請求項5]前記移動手段は前記待機保持部に保持されている前記交換用注入管を連結保持部で保持される位置まで押し出す機能を有し、
前記吐出口連結注入管は、前記移動手段によって押し出された前記交換用注入管に押し出されることによって移動し、吐出口との連結を解除されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプラスチックレンズ原料液注入装置。
[請求項6]前記吐出口と連結される注入管端部(以下、「吐出口側端部」という)は、前記吐出口に連結される貫通孔の開口の周囲に前記吐出口の周囲と接触する面を有する部材と、該部材に脱着可能に取り付けられる注入管端部保持具とを備え、
前記連結保持部は、前記注入管端部保持具を押圧することにより前記貫通孔の周囲と前記吐出口の周囲を密着させることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプラスチックレンズ原料液注入装置。
[請求項7]前記吐出口側端部の前記吐出口の周囲と接触する面を有する部材は樹脂からなり、前記注入管端部保持具は金属からなることを特徴とする、請求項6に記載のプラスチックレンズ原料液注入装置。
[請求項8]前記注入管は、前記吐出口側端部に接続される柔軟性を有するチューブと、前記チューブの先端に接続され、原料液が流出する注入ノズルとを備えることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のプラスチックレンズ原料液注入装置。
[請求項9]眼鏡用プラスチックレンズ原料液注入装置である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のプラスチックレンズ原料液注入装置。
[請求項10]プラスチックレンズ原料液を成形型に注入して、前記原料液を硬化させて成形体を得る、プラスチックレンズの製造方法であって、
複数のモノマーを含むプラスチックレンズ原料液を混合して吐出口より流出する原料液混合吐出部にて、複数のモノマー成分の供給、混合、吐出口からの流出を連続して行う混合吐出工程と、
吐出口連結注入管に、前記混合された原料液を供給する注入工程と
前記混合吐出工程中に前記吐出口連結注入管の前記吐出口の連結の解除を行うと同時に交換用注入管を前記吐出口に連結する交換工程とを含むことを特徴とするプラスチックレンズの製造方法。
[請求項11]前記交換工程前に、前記交換用注入管に、二酸化炭素を供給する工程を含む、請求項10に記載のプラスチックレンズの製造方法。
[請求項12]前記交換工程前に、前記交換用注入管に、加熱された気体を供給する工程を含む、請求項10に記載のプラスチックレンズの製造方法。
[請求項13]前記原料液の複数のモノマー成分は、混合後直ちに重合を開始し10分以内に硬化することを特徴とする、請求項10〜12のいずれか1項に記載のプラスチックレンズの製造方法。
[請求項14]前記原料液は、下記成分(A)と成分(B)とからなることを特徴とする、請求項10〜13のいずれか1項に記載のプラスチックレンズの製造方法。
成分(A):分子中に環状構造を有する脂肪族ジイソシアネートと300〜2500の平均分子量を有するジオールとの反応生成物であるイソシアネート末端プレポリマー
成分(B):一般式(I)で表される1種または2種以上の芳香族ジアミン(一般式(I)中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立して、メチル基、エチル基、チオメチル基の何れかである)
Figure 0004728659
[請求項15]眼鏡用プラスチックレンズの製造方法である、請求項10〜14のいずれか1項に記載のプラスチックレンズの製造方法。
本発明によれば、高粘度で初期重合速度が速いプラスチックレンズ原料液、特にイソシアネート末端プレポリマー成分(A)と芳香族ジアミン成分(B)とから、光学的欠損および泡不良が低減されたプラスチックレンズを製造することができる。
以下、本発明について更に詳細に説明する。

[プラスチックレンズ原料液注入装置]
本発明のプラスチックレンズ原料液注入装置は、
プラスチックレンズを成形するための成形型にプラスチックレンズ原料液を注入するための注入装置において、
前記注入装置は、
複数のモノマーを含むプラスチックレンズ原料液を混合して吐出口より流出する原料液混合吐出部と、
前記原料液を一端から他端へ流すための貫通孔を有する複数の注入管と、
一端が前記吐出口に連結された注入管(以下、「吐出口連結注入管」という)を前記吐出口連結注入管と交換するための注入管(以下、「交換用注入管」という)に交換するための交換手段と
を含み、
前記交換手段は、
前記交換用注入管の端部を保持する待機保持部と、
前記吐出口連結注入管の端部を、前記吐出口と連結された状態で保持する連結保持部と、
前記待機保持部に保持された交換用注入管端部を移動させ前記吐出口に連結するとともに、吐出口に連結されていた吐出口連結注入管の吐出口との連結を解除する移動手段と
を備えることを特徴とするプラスチックレンズ原料液注入装置(以下、「注入装置」ともいう)である。
高粘度で初期重合速度の速いプラスチックレンズ原料液を用いてプラスチックレンズを注型成形する方法としては、注入管を介して、原料液混合吐出部から成形型へ原料液を注入するという方法がある。この場合、注入管内を原料液が流動するときも重合が進むため、原料液が注入管内で徐々に固まり内壁に付着し、原料液の流動性が徐々に悪化する。そのため、プラスチックレンズを量産するためには、注入管を定期的に交換する必要があるが、注入管を交換するために装置を長時間停止することは、作業効率の点で好ましくない。また、装置を停止している間も、混合吐出部中の混合液の反応は進行するため、重合が進んだ原料液が成形型に注入されることによりレンズに光学的欠損が生じるおそれがある。更に、装置停止中も混合吐出部内で重合が進み原料液が硬化するため、装置を長時間停止して注入管の交換を行うと、装置のメンテナンスが必要になる。
それに対し、本発明によれば、吐出口連結注入管を交換用注入管に交換する交換手段を有するプラスチック原料液注入装置において、前記交換手段に交換用の注入管を保持する部分(待機保持部)と、注入管を吐出口に連結した状態で保持する部分(連結保持部)とを設け、交換手段が有する移動手段により、交換用注入管の吐出口への連結と吐出口連結注入管の吐出口との連結の解除を行うことにより、注入管の交換を瞬時に行うことができる。これにより、原料液の混合、吐出を行う装置を長時間止めることなく注入管の交換が可能になり、高粘度で初期重合速度の速いプラスチックレンズ原料液から、光学的欠損の低減されたプラスチックレンズを製造することができる。
また、前記注入装置は、前記プラスチックレンズ原料液に対して溶解度が高い気体を気体供給口より流出する気体供給手段を備え、前記交換手段は、前記待機保持部に保持されている交換用注入管端部と前記気体供給口とを連結し、前記交換用注入管に前記プラスチックレンズ原料液に対して溶解度が高い気体を供給する機能を有することが好ましい。
交換された注入管に原料液が注入され始めた直後は、泡が巻き込まれやすく、特に、高粘度の原料液を使用した場合には泡が発生しやすい。更に、注入管内で生じた泡が成形型に混入して泡不良を引き起こすおそれもあるが、原料液の粘度が高いほど、成形型内の泡の除去は困難となる。ここで、プラスチックレンズ原料液に対して溶解度の高い気体を交換前の注入管に充填すれば、原料液の注入時に注入管内に泡が発生した場合でも、その泡は前記の気体からなるものであるため、原料液への気体の溶解により、注入管内の泡を小さくしたり消滅させたりすることができる。特に、後述の成分(A)および成分(B)への二酸化炭素の溶解度は空気に比べて非常に高いため、特に、成分(A)および(B)を用いる場合には、前記気体として二酸化炭素を用いることが好ましい。
また、前記注入装置は、加熱された気体を気体供給口より排出する気体供給手段を備え、前記交換手段は、交換用注入管端部と前記気体供給口とを連結し、前記交換用注入管に加熱された気体を供給する機能を有することが好ましい。供給する気体としては空気や二酸化炭素などを用いることができる。このように注入管を吐出口に連結する前に、注入管に加熱した気体を通すことにより、注入管の貫通孔の内壁が温められ濡れ性が向上することから注入管に原料液が注入されるときに泡が巻きこまれにくくなり、注入管内で生じた泡が成形型に混入して泡不良を引き起こすおそれが低減する。
なお、本発明では、吐出口から排出された原料液を注入管内部へ導入し得る程度に、吐出口と注入管端部が当接していれば、原料液混合部の吐出口と吐出口注入管端部とは連結しているとみなすものとする。また、気体供給口から排出された気体により、交換用注入管内部を十分置換し得る程度に、気体供給口と交換用注入管端部が当接していれば、気体供給口と交換用注入管端部は連結しているとみなすものとする。
以下に、本発明のプラスチックレンズ原料液注入装置の具体的態様について、図面を参照しながら説明する。但し、本発明はこの態様に限定されるものではない。
図1−1に本発明のプラスチックレンズ原料液注入装置の概略図(注入管が連結された状態での側面部分断面図)、図1-2に図1−1におけるVI−VI線断面図、図2に注入装置の側面図、図3に注入装置の正面図を示す。
図1〜3に示す注入装置は、原料液を混合し吐出口4141より吐出する原料液混合吐出部415と、前記吐出口4141に連結された注入管を交換するための交換手段301を含む。なお、図1−1では、原料液注入に使用中の注入管(吐出口連結注入管)510が原料液混合吐出部415の吐出口4141と連結し、交換前の注入管(交換用注入管)520が気体供給口と連結した状態を示している。以下に、各部について、図面に基づいて説明する。
原料液混合吐出部415は、内蔵する攪拌部材(図示せず)を高速に軸回転させることによって供給される複数の原料モノマーを混合する円筒状の混合部417と、前記混合部417によって混合された原料液を流出させる吐出口4141を有する吐出部416とからなる。
吐出部416の構造を、図4に基づいて説明する。
図4(a)は吐出部416の背面図(混合室側)、図4(b)は吐出部416のIII−III線断面図、図4(c)は吐出部416の正面図(注入管側)、図4(d)は吐出部416の平面図である。
吐出部416は、ステンレスなどの金属からなり、混合部417の前面を密閉する円形のキャップ部4120と、吐出口4141を有する吐出口プレート部4140と、前記キャップ部4120と前記吐出プレート部4140とを連結する連結部4130とからなり、それらが一体に形成されている。
吐出部416には、混合部417で混合された原料液を外部へ導き出す通路となる吐出孔4170が、キャップ部4120、連結部4130、吐出プレート部4140を、それぞれを直線方向に貫通しており、この吐出孔4170の一方は前記キャップ部4120の中央に開口し、他方が前記吐出口プレート部4140の前面に開口している。この吐出口プレート側の開口が吐出口4141となり、ここから原料液が吐出される。
吐出口プレート部4140の前面は、前記吐出孔4170の軸方向に対して略垂直な平面からなり、注入管をスライド可能に保持する際に注入管端部と接触する面である注入管接触面4144を有している。注入管接触面4144には、注入管端部と隙間なく接触し、また、移動手段302による注入管端部の摺動が滑らかに行われるように、例えば鏡面加工により表面平滑性を出すことが好ましい。
さらに注入時の吐出圧による液の漏洩を防止するために、注入管接触面4144上の吐出口4141の周囲にはOリング溝4143を設け、これに弾性樹脂からなるOリング4145を装着することにより、シール性を向上させることができる。
また、吐出口プレート部4140には、その前後に貫通する気体供給孔4147が形成されており、この気体供給孔4147の吐出口プレート部4140前面側の開口が気体供給口4146となり、後面側の開口には気体供給継手4148が取り付けられている。気体供給継手4148には二酸化炭素を供給する手段が接続され、供給された二酸化炭素は気体供給孔4147を通り、気体供給口4146より排気される。なお、図4では気体供給継手4148が原料液混合吐出部415と干渉しないように気体供給孔4147をクランク状に形成している。
気体供給口4146は、その開口径Dが吐出口4141の開口径Cとほぼ同じに形成されており、吐出口4141と所定の間隔を置いて注入管の移動方向手前側(図4では垂直方向上側に)設けられている。気体供給口4146の中心と吐出口4141の中心との間隔Aは、交換用注入管520が吐出口連結注入管と並んで保持されている状態で気体供給口4146と連結するような位置に設けると良い(例えば注入管端部の移動方向における幅と同程度にすると良い)。
なお、吐出口4141と気体供給口4146の内側間隔Bを吐出口の開口径未満になるようにし、注入管端部の移動方向幅もそれに合わせるようにしてもよい。この場合、注入管交換中に吐出口4141が注入管によって完全にふさがれることがないという点で好ましい。
吐出口4141の下側(注入管移動方向後ろ側)には切欠4142を設け注入管接触面4144のない部分を形成している。これは吐出口との連結が解除された注入管(以下交換済注入管ともいう)の端部に付着した原料液や連結解除直後注入管から逆流した原料液が注入管接触面4144に付着することにより注入管の移動を阻害することを防ぐために設けている。
吐出口プレート部4140の四隅にはネジ穴4149が設けられており、後述するガイド部306の側面案内部3061がネジで固定される。
注入管接触面4144上には、図1−1に示すように、吐出口連結注入管510と交換用注入管520が装着される。交換前の交換用注入管520には、所定時間、所定量の二酸化炭素を、気体供給継手4148から供給することができ、交換用注入管内を二酸化炭素で置換することができる。これにより、交換時に注入管内で発生する巻き込み泡を抑制することができる。
この態様では注入管接触面4144上には、吐出口に連結されている注入管の他に交換用の注入管1本を装着することができるが、注入管接触面4144の大きさを変更することにより、任意数、任意形状の注入管の装着が可能である。
図4に示す吐出部416の接続部4130は、吐出孔4170の軸と垂直方向の断面が、キャップ部4120や吐出口プレート部4140より小さい円形をしており括れを形成している。吐出部416を混合部417に固定するには、前記接続部の括れ部分にそれが挿入可能な溝を有する吐出部固定具4180(図4点線部分)を配置して、キャップ部4120をこの吐出部固定具4180と混合部417(図1−1、図1−2参照)の前端で挟むように、吐出部固定具4180の左右に設けられているボルト通し孔に吐出部固定ボルト4181を通し、原料液混合吐出部415に設けられている吐出部固定ナット4182に締め付けて固定している(図1−2参照)。
なお、前記吐出口プレート部4140の両側面に設けられている溝4151は、吐出部416を固定する際に吐出部固定ボルト4181(図1−2参照)が干渉せずかつその締め付け取り外しを容易にするためのものである。
交換手段301は、注入管の端部を押し出して移動させる機能を有する移動手段302と、前記移動手段302によって移動される注入管の端部をスライド自在に保持し、前記吐出口4141に注入管を連結させる機能を有するガイド部306とを含む。
次に、図1−1、図2および図3に基づき移動手段302について説明する。
移動手段302は、エアーシリンダー3021と、このエアーシリンダー3021によって直線方向に往復運動する押し出しピン3031と、エアーシリンダー3021を所定の位置に固定するためにガイド部306に接続する固定部材であるエアーシリンダー固定プレート3041とを有する。また、メンテナンス等でガイド部306との接続を解除しているときに移動手段302を支持するための移動手段支持具3051も有している。
エアーシリンダー3021には、空気圧注入排出継手3026、3027が設けられており、図示しない空気圧源装置から供給される空気を、移動させたい方向に応じて前記空気圧注入排出継手3026、3027の一方から供給することにより、エアーシリンダー3021の内部にある図示しないピストンが上下方向に移動するため、このピストンに連結されている押出しピン3031を上下に可動させることができる。
また、エアーシリンダー3021の下端にはエアーシリンダー固定プレート3041が取り付けられており、このエアーシリンダー固定プレート3041と後述するガイド部306のジョイントプレート3065とがネジ3045によって接続される。後述するようにガイド部306が原料液混合吐出部415に固定されていると移動手段302は固定されることになる。
押し出しピン3031は、エアーシリンダー3021内のピストンにつながる棒状のロッド部3032と、このロッド部先端に設けられた押し出しヘッド部3033とからなる。押し出しヘッド部3033はその下端に注入管の端部を押し出すための平坦面を有している。
押し出しピン3031の移動距離は、エアーシリンダー3021により定距離移動するように制御されているが、押し出しピン3031のロッド部3032をスクリュー式にして伸縮調整可能にすることにより、スクリューの締め具合により押し出しヘッド部3033の到達位置の微調整を行うことができる。
エアーシリンダー固定プレート3041の一端には、図3に示すように移動手段支持具3051が取り付けられており、別途固定(例えば成形機に接続)されている固定バー3053に連結されている。移動手段支持具3051とエアーシリンダー固定プレート3041とはフリージョイント3052で接続されており、エアーシリンダー固定プレート3041は多少の傾きの自由度を有しながら水平方向に回動自在に移動手段支持具3051に支持されている。
このように移動手段支持具3051によって移動手段302を支持することにより、移動手段302とガイド部306の取り付け取り外しが容易になり、メンテナンス性が向上する。
次に、ガイド部306の構造を、図5に基づいて説明する。
図5(a)はガイド部306の背面図(混合室側)、図5(b)はガイド部306のIV−IV線断面図、図5(c)はガイド部306の正面図(注入管側)、図5(d)はV−V線断面図である。
ガイド部306は、側面案内部3061と、側面案内固定部3063と、圧接ピン固定部3075と、圧接ピン3071と、ジョイントプレート3065を有する。
左右の側面案内部3061は、1対の細長い板状の部材からなり、その両内側側面の間隔が注入管の端部の左右方向の幅と同じか僅かに広い間隔で平行に保持されている。この保持は、下側は側面案内固定部3063によって、上側はジョイントプレート3065によって固定されることにより行われている。左右の側面案内部3061の両内側側面は、注入管端部の側面と接触してスライド可能に保持する部分となる(この左右の側面案内部3061の両内側側面に挟まれた空間を、以下案内空間と呼ぶ)。
ジョイントプレート3065は、図3に示すようにエアーシリンダー固定プレート3041とネジ3045によって接続される。ジョイントプレート3065の前記案内空間の上に位置する部分には押し出しピン3031の移動を妨げないように凹部が形成されている。
側面案内固定部3063は、コの字状に形成されその両端部が左右の側面案内部3061に接続されている。これにより、前記案内空間の下に位置する部分に空間があるため交換済の注入管を取りはず際に邪魔にならず、また原料液が付着しにくい。
左右の側面案内部3061の正面には、圧接ピン固定部3075がそれぞれ対向する位置に取り付けられている。左右の圧接ピン固定部3075の対向する部分は、それぞれ前記側面案内部3061の内側側面より内側に飛び出しており、その飛び出した部分の背面に、圧接ピン3071が固定されている。
圧接ピン3071は、円柱状の棒からなり、その上下端側は、その中間の円柱形状部分より外径が小さい円柱形状をしており、これらが同軸上に一体に形成されている。この圧接ピン3071は圧接ピン固定部3075に、その背面より一部突出した状態で埋め込まれるように固定されている。これにより、圧接ピン3071は圧接ピン固定部3075の背面に突出したレール状になり、その中間部分がその上下部分より突出した状態になる。この圧接ピン3071の突出した部分が注入管の端部と接触し注入管接触面4144(図4等参照)に押圧することにより注入管端部を保持する部分となる。そして中間に位置する上下部分より突出した部分(以下、強圧接部3072という)は、吐出口4141(図4等参照)の正面側に配置され、吐出口連結注入管を保持する部分となる。また、前記強圧接部3072の上下部分(以下、弱圧接部3073という)は、強圧接部3072より注入管端部を弱く押圧する部分となり、上側は交換用注入管を保持する部分、下側は交換済注入管を保持する部分となる。
圧接ピン3071による注入管端部の押圧は、後述する注入管連結具502(図6−1参照)に取り付けられた注入管端部保持具503の圧接ピン接触部5035と接することにより、注入管連結具502を吐出部プレート部4140方向に押し当て、吐出口プレート部4140の注入管接触面4144と後述する注入管連結具502の接触面5022とを隙間なく接触させるようにすることができる。
圧接ピン固定部3075の吐出口プレート部4140からの距離を調整したり、圧接ピン3071の圧接ピン固定部3075から突出する距離を調整したりすることにより、圧接ピン3071からの押し圧をコントロールすることができる。なお、図5中、3062は吐出部416とガイド部306を接続するためのボルトを通す取付孔、3077は圧接ピン固定部3075を側面案内部3061に接続するための取付ネジである。
次に、図6−1および図6−2に基づいて、注入管について説明する。
注入管は、原料液が通る貫通孔を有する管であるチューブ501と、前記チューブ501の先端に取り付ける注入ノズル30(図17および後述参照)と、前記チューブ501の後端に取り付ける注入管連結具502と、この注入管連結具502に取り付ける注入管端部保持具503とからなる。
チューブ501は、樹脂などの柔軟性を有する材料(例えばシリコン等)から作製することができる。その長さは使用環境に合わせて任意に設定できる。
注入管連結具502については、図6−1を参照して説明する。
図6−1(a)は注入管連結具502の平面図、図6−1(b)は注入管連結具502の正面図、図6−1(c)は注入管連結具502の側面図、図6−1(d)は注入管連結具502の背面図、図6−1(e)は注入管連結具502の底面図である。
注入管連結具502は、前記チューブ501の貫通孔と連結する貫通孔5028を有する筒部5026と、この筒部の端部に設けられている連結端部5021とからなる。
筒部5026は、先端側にチューブ501に挿入して接続する部分(図では竹の子型の接続部分)であるチューブ接続部5027を有しており、そこにチューブ501の端部が接続される。貫通孔5028は、先に説明した吐出部416の吐出口4141(図3および図4参照)とほぼ同じ内径に形成されている。
連結端部5021は、筒部5026の端部に接続され、貫通孔5028の軸方向に対して略垂直な面である接触面5022を有する略長方形のプレート状に形成されている。接触面5022の中央には、貫通孔5028が開口している。接触面5022は、先に説明した吐出口プレート部4140の注入管接触面4144と接触する平面であり、貫通孔5028の開口と吐出口4141とが合わさる位置に連結端部5021が移動し、吐出口4141の周囲と前記接触面5022が接触して、吐出孔4150と貫通孔5028が連結された状態となる。
連結端部5021の正面側(接触面5022と反対側)には、その左右側縁に沿って上下に延びる突条である外側突条部5024と、筒部5026を挟んで中央上下に延びる突条である中央突条部5023が形成されている。これら外側突条部5024と中央突条部5023は、この連結端部5021の正面側に注入管端部保持具503(図6−2参照)を取り付ける際に、前記注入管保持具の背面側に設けられた溝と係合して注入管端部保持具503を位置決めする部分である。
次に、注入管端部保持具503について図6−2を参照して説明する。
図6−2(a)は注入管端部保持具503の平面図、図6−2(b)は注入管端部保持具503の正面図、図6−2(c)は注入管端部保持具503の側面図、図6−2(d)は注入管端部保持具503の背面図、図6−2(e)は注入管端部保持具503の底面図である。この図では、注入管端部保持具503が取り付けられた状態の注入管連結具502を点線で示している。
注入管端部保持具503は、略長方形の板状をしており、下側の縁から中央まで窪む筒部導入溝5036が形成されている。この筒部導入溝5036の幅は注入管連結具502の筒部5026の外径とほぼ同程度の大きさに形成され、筒部導入溝5036の底は半円形に形成されている。注入管端部保持具503の背面の左右側縁には、先に説明した注入管連結具502の外側突条部5024と係合する上下方向に延びる溝である外側溝部5033が形成されており、背面の中央には、注入管連結具502の中央突条部5023と係合する上下方向に延びる溝である中央溝部5032が形成されている。外側溝部5033と中央溝部5032の間の部分には、背面側に突出した突条部分である係合突条部5031が形成されており、前記注入管連結502の外側突条部5024と中央突条部5023の間の凹部と係合する。
注入管端部保持具503の二股先端部分には斜めの切欠5037が設けられ、ガイド部への挿入、移動が容易になるようにしている。
注入管端部保持具503の注入管連結具502への取り付けは、外側溝部5033と中央溝部5032をそれぞれ外側突条部5024と中央突条部5023に係合させながら、筒部5026を筒部導入溝5036の底に接するまで挿入することにより行う。注入管端部保持具503の正面には、正面側に突出した案内突部5034が形成されている。案内突部5034の左右方向の幅は、ガイド部306(図5参照)の左右の圧接ピン固定部3075の両内側側面の間隔と同じか僅かに小さく形成されており、注入管の端部が移動手段302によって移動させられる際に、左右の圧接ピン固定部3075の内側側面の間を案内突部5034の側面が摺りながら動くことにより、注入管端部を所定の方向へ移動するようにガイドする。案内突部5034の両外側には上下に延びる平面である圧接ピン接触部5035が形成されており、この部分が、ガイド部306の圧接ピン3071と接触し押圧されることにより、注入管端部保持具503の背面が注入管連結具502の前面を押圧し、接触面5022が注入管接触面4144と接触する。図1−2に示された状態は、注入管端部が吐出口4141に接続されている状態である。この図では圧接ピン固定部3075と側面案内部3061と吐出口プレート部4140とで構成される隙間に注入管端部が納まっており、圧接ピン3071の強圧接部3072が注入管端部保持具503の圧接ピン接触部5035を吐出口プレート部4140の方向に押圧するとともに注入管連結具502の接触面5022が吐出口の周囲と隙間なく接触している。
注入管連結具502は、吐出口プレート部4140より柔らかい材質で作製することが好ましい。また、注入管端部保持具503は、注入管連結具502よりも硬い材質で作製することが好ましい。より好ましくは、注入管連結具502を樹脂で構成し、吐出口プレート部4140と注入管端部保持具503は金属(例えばステンレス)で構成する。このようにすると、吐出口プレート部4140の注入管接触面4144と注入管連結具502の接触面5022が接触する際に注入管端部保持具503に押圧されることにより、注入管連結具502が変形しシール性が高まるとともに、注入管端部保持具503は圧接ピン3071との接触、摺動に対して耐久性が高くなる。
また注入管連結具502の貫通孔5028や接触面5022には原料液が付着し硬化するが、注入管端部保持具503は注入管連結具502の前面側に取り付けられているので原料液が付着しにくく、注入管から取り外して再利用することが容易である。
次に、図7に基づき、注入管の交換方法の一態様について説明する。
図7(a)は交換手段301に、注入管の端部が吐出口4141と連結した状態で保持され、原料液が吐出口4141から注入管に注入されている状態(注入工程)である。そして、ガイド部306の上側から交換用の注入管が装着されようとしている。原料液混合吐出部415では、複数のモノマー成分の供給、混合、吐出口からの流出が連続して行われる(混合吐出工程)。
交換用注入管520は、チューブ501の端部に注入管連結具502が取り付けられ、この注入管連結具502の正面側に注入管端部保持具503が取り付けられる。
吐出口連結注入管510も上記交換用注入管520と同じ構成からなり、既に注入管端部保持具503が装着された状態で吐出口4141に連結されている。注入管端部保持具503が取り付けられた交換用注入管520の注入管端部は、側面案内部3061と圧接ピン固定部3075と吐出口プレート部4140によって形成された上下方向に延びる隙間の上側から挿入される。
交換用注入管520が待機保持部に保持された状態を図7(b)に示す。
この状態は、交換用注入管520の注入管端部保持具503の圧接ピン接触部5035が、圧接ピン3071の弱圧接部3073(図5参照)によって押圧され吐出口プレート部4140の注入管接触面4144に挟まれて保持されている状態であり、注入管連結具502の貫通孔5028の接触面5022側の開口(図6−1参照)と気体供給口4146とが合わさり、接触面5022と気体供給口4146の周囲の注入管接触面4144とが密着し、注入管の貫通孔と、気体供給孔4147が連結している。そして二酸化炭素が気体供給継手4148(以上の各部については図4参照)から供給され、注入管の貫通孔に流れ込み、注入管の貫通孔空気が二酸化炭素に置換される。
交換用注入管520の貫通孔内の空気が二酸化炭素によって十分置換された後、移動手段302の押し出しピン3031によって、交換用注入管520の端部の上面が下方に押し込まれると、この交換用注入管520の端部の下面によって、吐出口連結注入管510の上面が下方に押し込められることにより、図7(c)に示すように、吐出口連結注入管510の吐出口4141との連結が解除され、交換済注入管待機位置に移動し交換済注入管530となるとともに、交換用注入管520が吐出口4141に連結され、吐出口連結注入管510となる(交換工程)。なお、上記交換工程は、成形型への原料液の注入を行っていないときに実施することが好ましい。
吐出口連結注入管510は圧接ピン3071の強圧接部3072に押圧されて保持され、交換済注入管530は圧接ピン3071の下側の弱圧接部3073に押圧されて保持されている。
注入管交換直後、交換済注入管530からは原料液が一部逆流したり、接触面502に付着した原料液が垂れたりする場合があるが、吐出口4141下側の注入管接触面4144は切り欠かれているので、それら原料液は下方に流下する。
新たな吐出口連結注入管510には、交換と同時に吐出口4141より注入が開始され注入管内の二酸化炭素を押し出しながら原料液が注入されていく。
交換済注入管は、図7(d)に示すように、ガイド部306から取り外され、注入管の端部から注入管端部保持具503が取り外される。注入管端部保持具は、再利用され、新たな交換用注入管に取り付けられる。注入管連結具502とチューブ501には原料液が付着して硬化するため処分され、樹脂材料としての再利用などにまわされる。
次に、新たな交換用注入管を前述と同様に上部から付け(図7 (a)、(b))、同様の操作を繰り返す。このように、本発明によれば、例えばエアーシリンダーの瞬時の動きにより、成形機からの吐出を一旦停止することなく、注入管の交換を行うことができる。
なお、上記実施の形態では注入管は上から下に移動するように構成しているが、例えば、横方向に移動するようにしても良い。
また、気体供給口から加熱した二酸化炭素を供給するようにしても良い。この場合、チューブが加熱されて原料液のチューブ内壁面に対する濡れ性が向上しさらに泡の巻き込みを低減することができるという点で好ましい。また、交換用注入管を保持する本数は2本以上でも良い。また、2本以上の交換済注入管を保持しても良い。
また、交換手段により交換用注入管の吐出口への連結と、吐出口連結注入管の吐出口との連結解除が行われる瞬間に合わせて、吐出口からの原料液の吐出量を瞬間的に減らしたり、吐出を瞬間的に止めてもよい。このようにすると、注入管交換の際に瞬間的に吐出圧力が高くなることを回避することができ、吐出口と注入管の接触部から原料液が漏れるおそれを低減できる。本発明では、上記の吐出口からの吐出量を減らしたり吐出を止める操作は瞬間的に行われるため、作業性等に影響を与えることなくそれら操作を行うことができる。
図26は他の実施の形態を示す。
図26に示す態様は、吐出部に二つの気体供給口を設け、圧接ピン固定部を延長して交換用注入管を2本、吐出口連結注入管を1本、交換済み注入管を1本保持するようにした例である。上から、加熱空気供給口4146、二酸化炭素供給口4156、吐出口4141の順に並んでいる。図26中、4157は二酸化炭素供給孔、4158は二酸化炭素供給継手、4167は加熱空気供給孔、4168は加熱空気供給継手である。
図26に示す態様では、圧接ピンの吐出口部に対向する部分に強圧接部を設け、加熱空気供給口4146、二酸化炭素供給口4156に対向する部分に、弱圧接部を設けている。また交換済み注入管待機部にも弱圧接部を設けている。この態様では、吐出口連結注入管を保持している部分の上側(加熱空気供給口4146や二酸化炭素供給口4156と連結して保持する部分)が待機保持部となる。
加熱空気供給口4146からは加熱された空気が流出し、二酸化炭素供給口4156からは二酸化炭素が流出する。交換用注入管をセットすると、加熱された空気が供給される。この状態で、押し出しピンによって下方に押し出されると二酸化炭素供給口4156と連結する位置に移動し、交換用注入管は二酸化炭素供給口4156に連結され、二酸化炭素が供給される(ここで、二酸化炭素供給口4156に連結されていた交換用注入管は、加熱空気供給口4146に連結された交換用注入管の端部によって押されて吐出口連結保持部に移動し、吐出口連結注入管は、二酸化炭素供給口4156に連結されていた交換用注入管の端部に押されて交換済注入管保持部に移動する)。
次に押し出しピンによって下方に押し出されると、二酸化炭素供給口4156に連結された注入管は吐出口4141に連結される。
続いて押し出しピン3031によって押し出されると、吐出口連結管は吐出口4141との連結が解除され交換済注入管保持部に移動する。
この実施の形態では、最初に加熱空気を供給することによりチューブの温度が高くなり濡れ性が向上した後、二酸化炭素が注入され、その後、原料液が注入されるため、濡れ性が向上するとともに二酸化炭素が注入されているために泡が生じにくい。
[プラスチックレンズの製造方法]
本発明のプラスチックレンズの製造方法は、
プラスチックレンズ原料液を成形型に注入して、前記原料液を硬化させて成形体を得る、プラスチックレンズの製造方法であって、
複数のモノマーを含むプラスチックレンズ原料液を混合して吐出口より流出する原料液混合吐出部にて、複数のモノマー成分の供給、混合、吐出口からの流出を連続して行う混合吐出工程と、
吐出口連結注入管に、前記混合された原料液を供給する注入工程と
前記混合吐出工程中に前記吐出口連結注入管の前記吐出口の連結の解除を行うと同時に交換用注入管を前記吐出口に連結する交換工程とを含むことを特徴とするプラスチックレンズの製造方法である。前記方法を実施するためには、先に説明した本発明の注入装置を使用することができ、好ましい態様については、先に記載した通りである。なお、本発明のプラスチックレンズの製造方法の具体的態様については後述する。
次に、本発明において使用されるプラスチックレンズ原料液について説明する。
本発明のプラスチックレンズの製造方法は、特に、注入時に生じた気泡を除去しにくい高粘度で初期重合速度の速いプラスチックレンズ原料液からプラスチックレンズを製造するために好適である。そのようなプラスチックレンズ原料液としては、複数のモノマー成分を含み、該複数のモノマー成分が、混合後直ちに重合を開始し10分以内に硬化するものを挙げることができる。
具体的には、本発明において使用される、高粘度で初期重合速度の速いプラスチックレンズ原料液としては、下記成分(A)と成分(B)とからなるものを挙げることができる。
成分(A):分子中に環状構造を有する脂肪族ジイソシアネートと300〜2500の平均分子量を有するジオールとの反応生成物であるイソシアネート末端プレポリマー
成分(B):一般式(I)で表される1種または2種以上の芳香族ジアミン(一般式(I)中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立して、メチル基、エチル基、チオメチル基の何れかである)
Figure 0004728659
以下、上記成分(A)および成分(B)について説明する。

成分(A)
成分(A)は、分子中に環状構造を有する脂肪族ジイソシアネートと300〜2500の平均分子量を有するジオールとの反応生成物であるイソシアネート末端プレポリマーである。上記イソシアネート末端プレポリマーの一方の原料であるジイソシアネートが、分子中に環状構造を有する脂肪族ジイソシアネートであることで、プレポリマー製造時、または重合時の反応コントロールが容易になり、かつ最終的に得られる成形体に適度な弾性を付与することができる。さらに、得られる成形体に高耐熱性と良好な機械特性を与えることもできる。
分子中に環状構造を有する脂肪族ジイソシアネートとは、主鎖または側鎖に環状構造を有する脂肪族ジイソシアネートであり、環状構造は、脂環、芳香環、または複素環のいずれであっても良い。但し、分子中に環状構造を有する脂肪族ジイソシアネートは、黄変を防止すると共に十分弾性や硬度を保持するという観点から、脂環式ジイソシアネートであることが好ましい。脂環式ジイソシアネートに比べ、芳香環を有するイソシアネートでは得られた成形体の黄変が進みやすく、脂肪族鎖状のイソシアネートでは得られた成形体が柔らかくなり、形状保持性が低下する傾向がある。
さらに、脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、1,2−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,2−ジイソシアナートシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナートシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナートシクロヘキサン等を挙げることができる。また、芳香環を有するジイソシアネートとしては、例えば、m−キシリレンジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。特に、前記脂環式ジイソシアネートは、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネートおよび1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
上記成分(A)のイソシアネート末端プレポリマーのもう一方の原料であるジオールの平均分子量は300〜2500である。本発明において、平均分子量とは、数平均分子量をいうものとする。
ジオールの平均分子量が300より小さいと得られる成形体に靭性を付与することができず、2500より大きいと得られた成形体が柔らかくなり形状を保持できなくなる。上記平均分子量は、好ましくは、400〜1000である。
300〜2500の平均分子量を有するジオールは、例えば、ポリエーテル系ジオールまたはポリエステル系ジオールであることができる。これらのジオールは、他成分との相溶性が良いことから好ましい。他成分との相溶性が良くないジオールの場合、得られる成形体の透明性を維持するために相溶化剤などの別成分を添加する必要が出てきたり、透明性が損なわれる可能性がある。
このようなジオールとしては、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、エチレングリコールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、プロピレングリコールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、ジエチレングリコールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、1,4−ブタンジオールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、ネオペンチルグリコールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、1,10−デカンジオールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、1,4−ブタンジオールとセバシン酸からなるポリエステルジオール、エチレングリコールとε−カプロラクトンからなるポリカプロラクトンジオール、プロピレングリコールとε−カプロラクトンからなるポリカプロラクトンジオール、ジエチレングリコールとε−カプロラクトンからなるポリカプロラクトンジオール、1,4−ブタンジオールとε−カプロラクトンからなるポリカプロラクトンジオール、ネオペンチルグリールとε−カプロラクトンからなるポリカプロラクトンジオール、1,6−ヘキサンジオールとε−カプロラクトンからなるポリカプロラクトンジオール、1,10−デカンジオールとε−カプロラクトンからなるポリカプロラクトンジオール、ポリカーボネートグリコール等が挙げられ、好ましくはポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、1,4−ブタンジオールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、ネオペンチルグリコールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、1,10−デカンジオールとアジピン酸からなるポリエステルジオール等が挙げられる。
本発明では、成分(A)のイソシアネート末端プレポリマーの原料として、分子中に硫黄原子を含みかつ300〜2500の平均分子量を有するジオールを用いることができる。ジオールの分子中に硫黄原子を導入すると、アッベ数の低下を抑制しながら屈折率を向上させることが可能となる。また、分子中での硫黄の存在状態は特に限定されるものではないが、スルフィド結合、ジスルフィド結合、チオエステル結合、ジチオエステル結合、チオカーボネート結合、ジチオカーボネート結合のうちの少なくとも1種の結合様式により分子中に取り込まれていることが望ましい。上記の結合様式で硫黄原子が分子中に取り込まれていれば、成分(A)と他成分との相溶性が良好であり、さらに、着色もなく、透明性に優れた成形体を得ることができる。一方、上記以外の結合様式で硫黄原子が分子中に取り込まれている場合は、例えば、成分(A)と他成分との相溶性が悪くなる傾向があり、得られる成形体の透明性を維持するために相溶化剤などの別成分を添加する必要が出てきたり、顕著な着色を示す可能性がある。以上の点からも、本発明では、成分(A)のイソシアネート末端プレポリマーのもう一方の原料であるジオールは、スルフィド結合、ジスルフィド結合、チオエステル結合、ジチオエステル結合、チオカーボネート結合、又はジチオカーボネート結合のうちの少なくとも1種の結合様式により分子中に硫黄を含むことが好ましい。
成分(A)であるイソシアネート末端プレポリマーのイソシアネート基含有率は、10〜20重量%の範囲であることが好ましい。上記イソシアネート基含有率が10重量%以上であれば、高硬度の成形体を得ることができ、20重量%以下であれば、高い靭性(十分な強度)を有する成形体を得ることができる。上記イソシアネート基含有率は、より好ましくは11〜15重量%の範囲である。
成分(B)
成分(B)は、前記一般式(I)で表される1種または2種以上の芳香族ジアミンである。一般式(I)中のR1、R2およびR3はそれぞれ独立して、メチル基、エチル基、チオメチル基の何れかである。R1、R2およびR3が上記置換基であることで、結晶性を抑制しかつ他成分との相溶性を高めることができる。また、これらの置換基がないか、あるいは数が少ないと結晶性が高く取り扱いにくくなり、他の置換基の場合には、他の成分との相溶性が悪くなり得られる材料の透明性が低下する恐れがある。
前記芳香族ジアミンは、より具体的には、例えば、以下の化合物である。1,3,5−トリメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリエチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリチオメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリチオメチル−2,6−ジアミノベンゼン、3,5−ジエチル−2,4−ジアミノトルエン、3,5−ジエチル−2,6−ジアミノトルエン、3,5−ジチオメチル−2,4−ジアミノトルエン、3,5−ジチオメチル−2,6−ジアミノトルエン、1−エチル−3,5−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−エチル−3,5−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1−エチル−3,5−ジチオメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−エチル−3,5−ジチオメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1−チオメチル−3,5−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−チオメチル−3,5−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1−チオメチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−チオメチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、3−エチル−5−チオメチル−2,4−ジアミノトルエン、3−エチル−5−チオメチル−2,6−ジアミノトルエン、3−チオメチル−5−エチル−2,4−ジアミノトルエン等。
上記芳香族ジアミンは、R1がメチル基であり、R2およびR3がそれぞれエチル基またはチオメチル基の何れかであることが、得られる成形体が白濁しにくく、かつ得られる成形体に十分な靭性を付与できるという観点から好ましい。前記芳香族ジアミンとしては、より具体的には、例えば、3,5−ジエチル−2,4−ジアミノトルエン、3,5−ジエチル−2,6−ジアミノトルエン、3,5−ジチオメチル−2,4−ジアミノトルエン、3,5−ジチオメチル−2,6−ジアミノトルエン等を挙げることができる。
成分(A)と成分(B)との混合割合は、成分(B)のアミノ基に対する、成分(A)のイソシアネート基のモル比が1.00〜1.15の範囲であることが、十分な靭性(強度)が得られるという観点から好ましい。上記モル比は、より好ましくは1.02〜1.12の範囲である。
本発明の製造方法は、特に、高粘度で初期重合速度が速いプラスチックレンズ原料液を用いてプラスチックレンズを製造するために好適である。本発明の製造方法では、原料液混合吐出部への複数のモノマー成分の供給、供給されたモノマー成分の混合、混合されたモノマー成分の吐出口からの流出を連続して行うことが好ましい。このように複数のモノマー成分の供給、混合、流出を連続して行うことにより、混合後の反応速度が速い原料液を使用する場合でも、混合から所定の時間内に効率よく吐出口からの流出、成形型への供給を行うことができ、光学欠損の低減されたレンズを製造することができる。
原料液混合部における複数のモノマー成分の混合は、高速で回転する回転軸を用いるか、またはスタティックミキサーを用いて均一な混合液が得られるように行うことができる。特に、モノマー成分の混合には、反応射出成形機(以下、RIM(Reaction Injection Molding)成形機)を使用することが好ましい。
次に、前述の成分(A)および成分(B)を用いる場合を例に取り、RIM成形機の構造および動作を図8に基づいて説明する。
RIM成形機は、成分(A)を保管する材料タンク11Aと、成分(B)を保管する材料タンク11Bと、成分(A)と成分(B)混合し吐出する原料液混合部15と、前記材料タンク11Aと前記混合吐出部15をつなぐ材料流路13Aと、前記材料タンク11Bと前記混合吐出部15をつなぐ材料流路13Bとからなる。材料流路13A、13Bのそれぞれの途中には、成分中の異物をろ過するためのフィルター14A、14Bが設けられている。原料液混合部15には材料流路13A、13Bを通って送られてきた成分(A)、(B)を混合するための高速で回転する回転軸もしくはスタティックミキサーが設けられている。
成分(A)および成分(B)は前記それぞれの材料タンク中で減圧下におかれ十分に脱気されるとともに所定の温度で保管される。脱気が不十分であると成形品中に泡が混入し、製品としての性能や外観を損ねる場合や、成形品の機械的強度の低下を招く場合がある。十分に脱気され温度も均一化された各成分はポンプ12A、12Bにより材料タンク11A、11Bから材料流路13A、13B中に押し出されフィルター14A、14Bを通過し原料液混合部15へ送られる。原料液混合部15で短時間に均一に混合された混合液は吐出口16より吐出される。吐出された原料液の成形型の注入については、先に説明した通りである。
本発明の製造方法において、前述の成分(A)と成分(B)を用いる場合、成分(A)と成分(B)との混合は、成分(A)を加温して粘度を低下させた後に行うことが、泡不良を回避するという観点から好ましい。成分(A)は一般に粘度が高いため、成分(B)との混合前に加温して、ある程度の流動性を付与することにより、成分(B)との混合を容易にするという観点から、8000CPS以下になるように加温しておくことが好ましい。またこの粘度以下であれば、後述するRIM成形機を用いた時に混合前の脱泡を容易に行うこともできる。成分(A)の加熱温度は、好ましくは6000CPS以下になる温度であり、さらに好ましくは4000CPS以下である。
得られた混合液は、直ちに成形型に注入することが好ましい。ここで、「直ちに」とは、混合液においてモノマー成分の重合が進みきらない間という意味であり、使用するモノマー成分の種類により変化するが、例えば、0.5〜5秒間程度の間に成形型への注入を開始することができる。重合反応の条件等は、例えば、米国特許6127505号公報第5欄に記載の条件等を適宜参照することができる。また、本発明の製造方法によって得られるプラスチックレンズには、必要により、離型剤、抗酸化剤、紫外線安定化剤、着色防止剤等の添加成分をプラスチックレンズの透明性と強度を損なわない程度に添加することはできる。添加成分の例は、例えば、米国特許6127505号公報第6〜7欄の記載のものを挙げることかできるが、それらに限られない。
成形型
本発明において使用される成形型は、例えば、レンズの一方の面を形成するためのモールドと他方の面を形成するためのモールドとが所定の間隔で対向して配置され、かつ前記2つのモールドの周囲に環状のガスケットが配置されて、前記モールドおよびガスケットによってキャビティが形成されているものであることができる。但し、本発明はこの態様に限定されるものではない。
前記ガスケットとしては、
プラスチックレンズの光学機能面を形成するための成形面をもつ第1モールドと第2モールドとをそれぞれ嵌挿するための開口を有する円筒体からなるプラスチックレンズ成形用ガスケットであって、
前記円筒体は、外壁面に、注入口部および排出口部を有し、
前記注入口部は、内部に貫通孔(注入孔)を有する注入管部と該注入管部の端部に設けられた注入口先端部とを有し、かつ、前記注入孔により、前記円筒体内部と外部とが連通され、
前記排出口部は、前記円筒体内部と外部とを連通する排出孔を有し、
前記ガスケットは、前記注入孔と排出孔とを、直径方向に対向する位置に有し、
前記注入口先端部は、前記注入孔の開口を有し、その開口周囲に傾斜した面を有することを特徴とするプラスチックレンズ成形用ガスケット
を挙げることができる。本発明において使用されるプラスチックレンズ成形型は、前記ガスケットの前記開口に、第1モールドの成形面および第2モールドの成形面が所定の間隔をおいて対向し、前記筒状体内部にレンズ形状に相当するキャビティが形成されるように、第1モールドおよび第2モールドがそれぞれ脱着可能に保持されてなるものであることができる。そのような成形型について、図面に基づいて説明する。
図9はプラスチックレンズ成形用ガスケットを示す平面図、図10は図9に示すガスケットにレンズ母型を装着したときの状態を示す断面図である。ガスケット1は、図10に示すように、第1モールド2Aと第2モールド2Bとからなるレンズ母型2を装着することにより、内部にキャビティ4が形成される。
ガスケット1は、第1モールド2Aと第2モールド2Bとをそれぞれ嵌挿するための開口を有する円筒状の筒状体5と、この筒状体5の内壁面に少なくとも前記第1モールド2Aの周縁部に当接して前記第1モールド2Aを位置決め保持するために突設された保持部6と、前記筒状体5の外壁面に設けられ、前記キャビティ4にモノマーを注入するための注入口部7と、同じく前記筒状体5の外壁面に設けられ注入中のキャビティの気体の排気と余剰のモノマーを排出するための排出口部8とからなる。ガスケット1の材料は、弾性を有する樹脂であることができ、例えばエチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリエチルアクリレート、シリコンゴム等を挙げることができる。また、ポリプロピレンとエチレンプロピレンゴムの混合品(例えば、アドバンスト・エラストマー・システムズ社製 商品名サントプレーン)も挙げることができる。この材料は耐熱性が高いという点で好ましい。
筒状体5、保持部6、注入口部7、および排出口部8は、射出成形により一体的に成形することができる。レンズ母型2を構成する第1モールド2Aおよび第2モールド2Bはガラス等からなり、正面視形状が円形である。この第1モールドおよび第2モールドの周縁は、ガスケット1の筒状体5の内壁面に隙間なく接触した状態を保持できる形状を有することが好ましい。
第1モールド2Aおよび第2モールド2Bは、プラスチックレンズの光学機能面を形成するための成形面を持つ。第1モールド2Aは、例えば、プラスチックレンズの後面(凹面)を形成すべく凸面側に成形面を有する凸面型(以下、下型とも記す)であることができ、第2モールド2Bは、プラスチックレンズの前面(凸面)を形成すべく凹面側に成形面を有する凹面型(以下、上型とも記す)であることができるが、これらに限定されない。ガスケット1の筒状体5の内径は、前記第1モールド2Aおよび第2モールド2Bの外径と実質的に同一かまたは若干小さくすることができる。但し、前述のように、筒状体5の内壁面に隙間なく接触した状態を保持できる形状とすることが適当である。尚、ガスケットに装着されたモールドは、必要により、その両側から筒状体5の内部に押し込む方向にバネ等で挟持して、ガスケットに固定してもよい。なお、後述の図11に示す態様では、成形型保持具に備えられたバネ機構により両側から挟持して、モールドをガスケットに固定している。
筒状体5は、成形しようとするレンズの周縁部の厚み(キャビティ4の周縁部の厚み)と第1モールド2Aおよび第2モールド2Bの周縁部の保持に必要な厚みとを確保できる高さを有すればよい。また、第2モールド2Bが筒状体5の開口に向かって凸面状である場合、成形型を真横から観察した際に、第2モールド2Bの凸面の頂点が筒状体の外壁面より外側に飛び出ないように、筒状体5の高さを設定することが好ましい。
保持部は、少なくとも、第1モールド2Aを位置決め保持するためのものであることができ、第2モールド2Bを保持するための保持部を設けないこともできる。この場合、第2モールド2Bはガスケットの所定位置まで押し込まれ、ガスケットの弾力により保持される。また、保持部として、第1モールド2Aを保持するための突起と、第2モールド2Bを保持するための突起とを別々に設けることもできる。また、保持部は、第1モールド2Aの周縁部に当接して第1モールドを位置決め保持するものであり、同時に、第2モールド2Bの周縁部に当接して第2モールド2Bを位置決め保持するためのものであることもできる。そのような保持部としては、図9に示すような帯状の保持部を挙げることができる。
図9および図10に示す態様では、ガスケット1の保持部6は、筒状体5の内壁面に、円周方向に形成された帯状の突起帯である。この保持部6の上面および下面は、第1モールド2Aの成形面周縁部および第2モールド2Bの成形面周縁部と当接する部分であり、この当接部の高さ位置は、モールド成形面周縁部の形状に合わせて適宜設定することができる。図10では、図9に示すガスケットに、球面の成形面を有する第1モールド2Aおよび第2モールド2Bを装着している。帯状の保持部6の円周方向の上面の位置(高さ)および下面の位置(高さ)はそれぞれ同じであることができ、また、第1モールド2Aの形状により、帯状の保持部6の円周方向の上面の位置(高さ)と下面の位置(高さ)は同じでない場合もある。なお、ガスケットの保持部が帯状である場合、第1モールド2Aを保持するための帯状突起と、第2モールド2Bを保持するための帯状突起とが一体に形成されていてもよく、独立に形成されていてもよい。
なお、この保持部6の構造は、上記の態様に限定されず、モールド成形面周縁部と当接させることができる部分を持った突起であれば良い。例えば、図20(a)に示すように、突起状のピンを複数備えた形状にすることもできる。この突起状のピンの位置、本数は任意に変更することができる。また、上部と下部の当接部を別々の突起に設けてもよい。また、例えば、図20(b)に示すように、注入孔のキャビティ側の開口付近において、保持部6が切り欠き構造になっていてもよく、図20(c)に示すように、排出孔と注入孔に向かってテーパー状に、保持部6の肉厚が変化するような形状でもよい。
ガスケット1の注入口部7は、注入口先端部25と、この注入口先端部25とガスケット壁面とをつなぐ注入管部24と、これら注入口先端部25と注入管部24の内部を通り前記円筒体内部と外部とを連通する注入孔(貫通孔)20とからなる(図10参照)。注入口先端部25は、後述する注入ノズル30のノズル先端面部31との接触面である注入口先端面部21を有し、そのほぼ中心部に、前記注入孔20の開口である注入口開口22が設けられている。
注入口開口22からキャビティ4へとつながるモノマー流路(注入孔20)の軸方向に垂直な断面形状は、特定の形状に限定されるものではなく、例えば、円形であることができ、楕円形、三角形、四角形などの多角形状でもよい。但し、角部分があると、そこにモノマーが滞留しやすくなるため、円形や楕円形がより好ましい。注入孔20とキャビティ4との連結部は、図21に示すように、テーパー状に開口した形状でもよい。また、図21では、注入孔20の内径は、注入口開口22からキャビティ4に向かって一定の形状を有しているが、これに限らず、例えば徐々に大きくなる形状でもよく、徐々に小さくなる形状でもよい。また、注入管部24の中央部において内径が最小になり、注入口開口22およびキャビティ4に向かって、それぞれ内径が徐々に大きくなる形状でもよい。流速が一定になり、泡の巻き込みやモノマーの滞留が生じにくいという点では、注入孔20の断面形状は、内部に凹凸がなく、注入孔20の全体にわたって一定形状であることが好ましい。また、キャビティ側の開口部付近の断面積を徐々に広げ、モノマーがキャビティ内に滑らかに入るようにしてもよい。また、注入孔20の内径が、注入口開口22からキャビティ4に向かって徐々に小さくなる形状の場合は、成形するレンズの外周面の幅が狭い場合にも対応できるという点で好ましい。
また、注入口開口22の大きさは、後述の注入管開口の大きさとほぼ同じか、または注入管開口の大きさよりも小さいことが好ましい。なお、「開口の大きさ」とは、注入管、注入口の外部へ向かって開口した部分の面積をいう。本発明において、注入口開口の形は特に限定されるものではなく、例えば円形や楕円形、三角形や四角形などの多角形でもよいが、角部がない円形や楕円形が、モノマーの滞留が生じにくいという点でより好ましい。また、後述する注入ノズル30からモノマーが滑らかに注入孔20に流れ、滞留が生じにくいという点では、ノズル先端開口32と注入口開口22との接続の際に生じる段差を小さくできるように、両者がほぼ同形状であるか、注入口開口22の方がノズル先端開口32よりわずかに小さい形状であることが好ましい。
前記注入口開口22の全周囲には、面(以下、「注入口先端面部」という)が形成されていることが好ましい。図10に示す態様では、注入孔20は断面形状が円形で、全流路に渡って一定の形状にしており、注入口先端面部21が注入孔20の軸に対して傾斜しているため、注入口開口22は楕円形に形成されている。また、後述する注入ノズル30のノズル孔33は、例えば、断面形状が円形で、前記注入孔20よりわずかに大きい内径を有する。
注入口先端面部を水平にすると、成形型の下方から原料液の注入を行うためには、注入管を成形型の真下から徐々に近づけなければならず、注入管開口から原料液を流出させた状態では、オーバーフローする原料液によって、注入口開口周囲が著しく汚れてしまう。また、注入口先端面部が水平である場合には、成形型下方から原料液の注入を行うためには、注入孔を屈曲させるべきであるが、この場合には、泡の巻き込みが懸念される。そのため、本発明では、注入口部の先端(注入口先端面部)は、傾斜平面からなることが好ましい。後述する図17に示す注入ノズル30のノズル先端面部31は、ノズル孔33の軸に対して傾斜した平面からなっているため、注入ノズル30のノズル先端開口32も楕円形をしている。そして、前記注入口先端面部21とノズル先端面部31の傾斜角度は、それぞれの孔の軸方向に対してほぼ同じ角度(図10および後述の図17では、いずれも約45度)であり、注入口開口22の形状はノズル先端開口32よりわずかに小さい相似した楕円形状であることができる。
注入口先端面部21は、図10に示す態様では、外形状が略正方形の平面を有しており、そのほぼ中央に注入口開口22が位置している。なお、この注入口先端面部21の形状はこれに限定されず、注入口先端面部21とノズル先端面部31とを、注入口開口22またはノズル先端開口32の全周囲で密着させて注入孔20とノズル孔33とを連結できる形状であればよく、例えば、円形や楕円形、四角形や三角形などの多角形であることもできる。
注入管部24は、内部に注入孔20を有し、一方の端部がガスケットの側壁に接続され、他方の端部が注入口先端部25に連結されている。図22は、図9に示すガスケットのI−I線断面図(注入孔側)である。注入孔20のキャビティ4側の開口は、例えば、図22(a)に示すように、帯状保持部6の中心に設けることもでき、また、図22(b)に示すように、一方のモールド側に寄った位置に設けることもできる。
注入管部24の側面には、後述する注入孔封止部55により、注入管部24を外側から挟み込んで注入孔20を封止することが容易にできるように、肉厚を薄くした薄肉部23を設け、変形を容易にすることもできる。また、本発明では、後述するように、製造工程において注入孔内で重合した樹脂を分断破壊するために、注入管部24を折り曲げ可能なように形成することもできる。
注入口部7には、位置決めのための構造を設けることができる。この位置決めのための構造により成形型上下方向および左右方向の位置決め、特に注入口部の上下方向および左右方向の位置決めをして、ガスケットを保持具に固定することができる。図10に示す態様では、注入口部7の注入管部24に、その軸方向に対して垂直方向に突出した鍔状の部分である上下位置決め部26が形成され、その下方に前記上下位置決め部26より内側に凹んでいる左右位置決め部27が形成されている。保持具50(図11参照)にはこの上下位置決め部26および左右位置決め部27と嵌り合う二股部分を有する位置決め支持部56が設けられており、この位置決め支持部56の二股の間に、前記左右位置決め部27が挟まり左右の位置を決めるとともに、この二股部分の上面に前記上下位置決め部26の下面が接するようにして保持されることにより上下の位置を決めている。そして、前述の薄肉部23は、左右位置決め部27の中間に、この左右位置決め部27よりさらに内側に凹ませて形成されている。但し、上下位置決め部26および左右位置決め部27の形状はこの態様に限定されない。例えば注入管部24上に凹凸からなる位置決め部を形成し、保持具にこの凹凸と嵌合する突条や溝を有する位置決め支持部を形成し、上下左右を位置決めするようにしてもよい。また、上下位置決め部の上下に左右位置決め部を設けてもよい。なお、図10に示したような構成の上下位置決め部と左右位置決め部は、左右位置決め部を含む注入管部の管壁の厚さを薄く形成でき、上下位置決め部の注入管部軸方向における厚さも薄くできるため、注入孔内で硬化したレンズ原料を注入管部ごと折り曲げやすいという点でより好ましい。
排出口部8は、キャビティ4と外部とを連結する排出孔(貫通孔)40と、前記排出孔40を介して前記キャビティと連通する凹部を有する液溜め部42と、前記液留め部42とガスケット壁面を連結するくびれ部43とからなり、液溜め部42の上端部に、排出口開口41が設けられている。排出孔40は、前述の注入孔20と直径方向に対向する位置に設けられている。排出孔40を設ける位置を、注入孔20と直径方向上に相対する位置にすることで、注入口部7を下側にして原料モノマーを注入した時に、最後まで排気が妨げられることなく行われるという利点がある。
排出孔40の軸方向に垂直な断面形状は、長方形であることができるが、この形状に限定されるものではない。また、前記くびれ部43は、前記液溜め部42より細くなっているので、この部分を折り曲げることにより、排出孔40内で重合した樹脂を分断破壊しやすいようにすることもできる。くびれ部43の形状は、特に限定されない。但し、くびれ部43の断面形状が過度に大きいと、重合後の樹脂の分断作業が困難となるため、くびれ部43の形状は、この点を考慮して決定することが好ましい。
本発明では、後述するように、好ましくは、成形型を水平面に対して略垂直にした状態で、かつ、排出孔が頂上になるようにした状態で、モノマーを下から(注入孔から)注入するため、ガスケット1において、排出孔40は、凸面型側に寄った位置(図10では第一モールド2Aに寄った位置)に設けられていることが好ましい。以下の説明において、凸面型を、下型という。
注入時にキャビティ4内に混入した泡は、上端へ移動し、排出孔40を通って、キャビティ4から出て行く。しかし、キャビティ4内ではほぼ水平状態にて液面が上昇していくため、通常、排出孔40のキャビティ側開口周辺のガスケットの内壁部分、特に、この内壁部分とモールド成形面周縁部とからなる角部分に泡が残ることが多い。特に強度のマイナスレンズを製造する場合や下型のカーブがきついレンズを成形する場合、ガスケット内壁と下型モールド成形面とのなす角度が鋭角になるため、下型側の角部分にたまった泡は上型側に比べより泡が取り除きにくい。そのため、泡が取り除きにくい下型側の泡を取り除きやすくするため、下型寄りに排出孔を形成することが好ましい。また、キャビティ内上端に気泡が発生した場合、発生した泡が小さいと、特に、高粘度の原料液では気泡が動きにくく、結果的に気泡の除去が困難となる。それに対し、一方の成形型側に排出孔を寄せることにより、一方に大きな泡が生じやすく、もう一方に泡が生じにくい(あるいは小さな泡が生じる)ようになる。これにより、大きな泡の方は動きやすく傾けることにより容易に取り除くことができる。特にセミフィニッシュレンズブランク(一方の面だけが光学的に仕上げられたレンズブランク)を成型する場合は、通常、下型で成形される面が研削、研磨して仕上げる面となるため、排出孔を下型寄りに設けることにより、上型側に大きな気泡が生じやすく、下型側には泡が生じにくい(あるいは小さな泡が生じる)ようになる。上型側に生じた大きな気泡は、高粘度の混合液中でも動きやすいため、容易に除去することができる。また、下型で成形される面は研削、研磨する際に取り除かれるため、小さな気泡が残っていても問題はない。また、後述するように、気泡は二酸化炭素からなっているため、小さな気泡であれば原料液に吸収されやすい。
なお、排出孔40のキャビティ側開口がコバ面上端の厚さ方向全てに設けられていることが、泡が残りにくいという点でより好ましいが、そのようなガスケットを成型するには、それぞれの排出孔の大きさに合わせて多数の治具が必要になる。また、治具の交換により製造能力が低下することを考慮すると、上記方法は、コストをかけずに泡に対処できるという点でも好ましい。
注入管
次に、本発明において使用される注入管について説明する。
前述のように、本発明で使用される注入管の原料液混合部の吐出口と連結される側の端部には、好ましくはノズル先端具が備えられており、その他方の端部には、プラスチックレンズ成形用成形型に、プラスチックレンズ原料液を注入するためのノズルが備えられ得る。前記ノズルの材質は特に限定されず、例えば金属や樹脂などであることができる。そのようなノズルの具体例を、図23に示す。図23(a)はノズルの側面図、図23(b)はノズルの正面図、図23(c)はノズルを上部から見た平面図、図23(d)は、そのII−II線断面図である。図23に示すノズルは、注入管のチューブの先端に取り付けて使用することができる。
図23に示すように、注入ノズル30は、一方の先端部に筒状部34を有し、他方の先端部にチューブ接続部36を有し、中央部に注入管固定部35を有する。また、注入ノズル30には、プラスチックレンズ原料液が通るための貫通孔であるノズル孔33が設けられている。
ノズル孔33の軸方向に垂直な断面形状は、特定の形状に限定されるものではなく、例えば、円形であることができ、楕円形、三角形、四角形などの多角形状でもよい。但し、角部分があると、そこにモノマーが滞留しやすくなるため、円形や楕円形がより好ましい。ノズル孔33の内径は、ノズル孔全体にわたって一定であることができ、または、一端から他端に向かって段階的に大きくなってもよい。流速が一定になり、泡の巻き込みや原料液の滞留が生じにくいという点では、ノズル孔33の断面形状は、内部に凹凸がなく、ノズル孔33の全体にわたって一定形状であることが好ましい。
注入ノズル30は、その先端部に、前述の注入口先端面部21との接触面であるノズル先端面部31を有し、そのほぼ中心部に、前記ノズル孔33の開口であるノズル先端開口32が設けられている。
先に説明したように、成形型の注入口開口22(図10参照)の大きさは、注入管開口、即ち、ノズル先端開口32の大きさとほぼ同じ大きさか、またはノズル先端開口32の大きさよりも小さいことが好ましい。本発明において、ノズル孔先端開口32の形は特に限定されるものではなく、例えば円形や楕円形、三角形や四角形などの多角形でもよいが、角部がない円形や楕円形が、モノマーの滞留が生じにくいという点でより好ましい。また、前述のように、原料液が、注入ノズル30から注入孔20に滑らかに流れ、滞留が生じにくいという点では、ノズル先端開口32と注入口開口22との接続の際に生じる段差を小さくできるように、両者がほぼ同形状であるか、注入口開口22の方がノズル先端開口32よりわずかに小さい形状であることが好ましい。
ノズル先端面部31の形状は、注入口先端面部21とノズル先端面部31とを、注入口開口22またはノズル先端開口32の全周囲で密着させて注入孔20とノズル孔33とを連結できる形状であればよく、例えば、楕円形、四角形や三角形などの多角形であることもできる。なお、注入ノズル30の先端に付着した混合液が注入中にキャビティに入り込み光学的欠損の原因になる場合があるので、注入ノズルの先端付近、特に、ノズル先端面部31への混合液の付着を低減するために、注入ノズル30の先端の肉厚を薄くし、ノズル先端面部31の面積を極力小さくすることが好ましい。以上の観点から、注入ノズル30の先端部は筒状であることが好ましい。但し、このように、注入ノズル30の先端部を肉薄にした場合は、注入ノズル30の先端部と注入口先端部25とを密着させるときに位置がずれて、ノズル先端面部31が、注入口開口22にかかったり、注入口先端面部21からはみ出したりすると、ノズル開口の全周囲で密着できない場合が生じる可能性がある。このため、注入口先端面部21の外形は、ノズル先端面部31の外形より大きくし、ノズル先端開口32と注入口開口22とを合わせた状態でノズル先端開口32の全周囲においてノズル先端面部31と注入口先端面部21とが密着できるようにするとより好ましい。また、図9、10に示す態様では、注入ノズル30を注入口先端部25に押し当てたときに注入管部24が押された方向に曲がりやすいため、注入口先端部25の裏側に押さえ具をあてておくことができる。このような押さえ具にモノマーが付着しないようにするために注入口先端部の裏側にモノマーが回りこみにくくするという点でも、ノズル先端面部31の外形は、注入口先端面部21の外形よりも小さくすることが好ましい。
注入ノズル30において、筒状部34の長さは、1cm以上であることが好ましい。筒状部34の長さが過度に短いと、注入時に原料液がオーバーフローして筒状部34をつたい注入管固定部35まで達して、注入管が汚れて交換時に不具合が生じるおそれがある。
チューブ接続部36は、使用するチューブの孔の径よりも少し大きい外径を有することが好ましい。このチューブ接続部36をチューブの先端の孔から挿入し、チューブの孔とノズル孔33をつなげた状態で、チューブの弾力を利用してチューブと注入ノズル30とを接続することができる。チューブ接続部36の構造は、接続部から原料液がもれないように接続できる構造であればよく、特に限定されない。
注入ノズル30と接続するチューブの材質は、特に限定されないが、チューブと注入ノズルとを、チューブの弾力を利用して固定でき、また注入ノズルを自由に動かすことができるという点から、柔軟性および弾力性を有する樹脂性であることが好ましく、また、耐熱性が高い材料を用いることが好ましい。また、モノマーによってはチューブ内で固まる場合もあるので、チューブは交換可能なものが好ましい。
成形型保持具、搬送用パレット
次に、本発明において使用可能な成形型固定用保持具とそれを装着したパレットの一例を、図面に基づいて説明する。図11(a)は、保持具を上方から見た図、図11(b)は、保持具を横方向から見た図、図11(c)は、保持具を下方から見た図である。図14は、保持具装着前のパレットを示す。パレットは、保持具接続部62を有し、図12のように保持具が接続される。図13は図12に示す搬送用パレットに成形型を装着した状態を示す。
図11に示す保持具50は、成形型を保持する機能と、中心肉厚を制御するため、例えばバネを用いて上型および下型を両外側から内側へ挟み込んで固定する機能を有する。成形型は、バネが内蔵されたキャップ51と、ストッパー53とバネ52を外部に有するキャップ54に挟み込まれる(図11(a)参照)。但し、中心肉厚の制御、成形型の保持方法は、上記の構造に限定されることはなく、例えば一方のみにバネ機構を用いてもよい。
本発明では、後述するように、好ましくは、注入終了後に注入孔20を封止して、混合液の注入孔からの流出を防止する。そのために、保持具50には、注入孔20を封止するための注入孔封止部55が設けられている(図11(c)参照)。注入孔封止部55は、細長い溝を有した、例えば、スライド式の押さえ具であることができ、注入終了後に保持具50の外部から加えられる力により注入孔封止部55をスライドさせて注入管部24の一部を前記溝の間に挟み込むことにより、注入孔を封止することができる。なお、図10に示すガスケットを使用する場合は、注入管部24に設けられた薄肉部23を、前記溝で挟むようにすることにより、注入孔を容易に封止することができる。また、前述のように、保持具50は、成形型を位置決め保持するための位置決め支持部56を有する。
保持具50は、図12に示すように搬送用パレット60に取り付けられている。搬送用パレット60は、保持具50を一つまたは複数固定する部分を有し、また、後述する自動注入システムの搬送手段に接続する部分(搬送手段接続部61)も有する。そして、搬送用パレット60は、図13に示すように成形型を保持具に装着した後に(搬送用パレット70)、前記自動注入システムの搬送手段により、各製造工程を行う装置に搬送される。
製造方法
本発明のプラスチックレンズの製造方法では、成形型を水平面に対して傾斜または垂直にした状態で、かつ前記排出孔が頂上になるようにして、前記注入孔を通して、プラスチックレンズ原料液を成形型へ注入することが好ましい。このように、成形型の下側から原料液の注入を行うと、原料液は、すでに注ぎ込まれた原料液の液面の下側から注入されるため、注入中に成形型内の空気を巻き込みにくく、気泡が発生しにくいという利点がある。
成形型の傾斜角度は、例えば70〜110°とすることができる。特に、本発明では、成形型を水平面に対して略垂直にした状態で、原料液の注入を行うことが好ましい。高粘度の原料液を成形型へ注入する場合、成形型のキャビティ内において原料液の液面の上昇速度が位置により異なると、上昇速度が遅い液面付近の空気がキャビティ内部に取り残されるという問題が生じる場合がある。それに対し、成形型を水平面に対して略垂直にした状態で注入を行うと、位置による液面の上昇速度の差が小さくなるので、そのような問題が生じにくい。特に近視矯正用レンズを成形する場合、その成形型のキャビティは、中央付近の隙間が狭く、周縁側の隙間が広いため、中央付近より周縁側の方に混合液が流れ込みやすい。このため、傾斜角度が低い場合、両側の周辺部の液面が、中央付近の液面より速く上昇し中央付近の空気の周囲を取り囲むようにして排出孔に到達してしまい、中央付近の空気がキャビティ内に取り残されるという問題が生じる場合がある。それに対し、成形型を水平面に対して略垂直にすれば、周辺側と中央付近の液面上昇速度の差が小さくなるため、中央付近の空気が取り残されるという問題が生じにくくなり好ましい。
混合液の注入初期、特に混合液の液面が注入孔を上昇している間は、空気を巻き込みやすいため、混合液の液面の上昇スピードを抑えるように注入量を少なくすることが好ましい。しかしながら、初期重合速度が速い樹脂の場合、注入ノズルから流出するレンズ原料の流速を変えるとノズルから出たときの混合液の重合の度合いも変化してしまうため、光学的欠損の原因となってしまう場合がある。また、RIM機を利用してモノマー成分を混合する場合は、途中で流出速度を変更することは、困難な場合がある。そこで、本発明では、注入口開口と前記注入管開口との連通開始から該連通が完了するまでの間に、前記注入管開口から流出する原料液の一部が前記注入孔へ流入し、残りの一部が前記注入孔へ流入せずに流下する期間を設けることが好ましい。本発明において、「注入口開口と前記注入管開口との連通」とは、注入管開口から流出する原料液の少なくとも一部が、前記注入口開口へ流入している状態をいう。本発明の製造方法では、注入開始時には、注入管開口から流出する原料液すべてを注入孔へ注入せず、その一部を注入孔へ流入させ、残りの一部は流入孔へ流入させずに下方へ流下させ、その後、注入孔へ流入する原料液の量を段階的に増加させることにより、注入ノズルから流出する原料液の流速を変えることなく、成形型への原料液の注入流量を調整することができる。これにより、泡を巻き込みやすい注入初期に、注入流量を少なくすることができ、気泡の発生を低減することができる。
また、注入管開口から流出する原料液の一部を注入孔へ流入させ、残りの一部を流下させることにより、注入口開口周囲の面に原料液がかかり、この面上の空気を押しのけて、面を原料液で濡らすことができる。これにより、面上に残った空気が注入孔に入り込むことを低減でき、泡の巻き込みを減らすことができる。また、原料液が注入孔開口周囲の面に当たり跳ね返って注入管開口端付近に当たるため、注入管の開口端付近に付着していた泡や固化しはじめていた原料液が洗い流され、これら泡や固化し始めた原料がキャビティへ流入するのを防ぐことができる。これにより、泡の巻き込みや脈利を低減できる。
本発明では、前記期間中に、注入管開口と注入口開口との間に隙間を生じさせ、その隙間から、注入管開口から流出する原料液の一部を流下させることができる。この点を、図面に基づいて説明する。
図18は、レンズ原料液注入工程の流れの一例である。図18(a)は、注入開始前の状態、図18(b)は、原料液を注入するために注入ノズルと成形型の注入口先端面部21とを接触させる途中の状態、図18(c)、(d)は、ノズル先端開口32と成形型の注入口開口22との隙間が徐々に狭くなり、原料液の注入が開始された状態、図18(e)は、注入ノズル30のノズル先端面部31を成形型の注入口先端面部21に密着させ、前記隙間を無くして原料液の注入が行われている状態、図18(f)は、センサーが液面上昇を検知して、センサーと連動した注入孔封止部55により注入孔が封止された状態、図18(g)は、成形型を排出孔を頂上にした状態で傾斜させて泡抜きを行っている状態、図18(h)は、泡抜き終了後に成形型を放置している状態を示す。
まず、図18(a)に示すように、注入ノズル30のノズル先端開口32からプラスチックレンズ原料液を流出させる。特に、重合速度が速い原料液を用いる場合には、一度流出を停止すると、重合が急速に進行してチューブや注入ノズルが詰まったり、チューブや注入ノズル内で既に重合した成分が成形型へ混入するおそれがある。そのため、本発明では、製造工程中、注入ノズルから原料液を流出させ続けることが好ましい。複数の成形型を使用してレンズを連続的に製造する場合、原料液の注入に使用されるチューブは、所定時間経過後に交換することもできる。
図18(a)に示すように原料液を注入ノズル30のノズル先端開口32から流出させながら、成形型の前方下部から、注入ノズル30を注入口開口22へゆっくり近づけ、図18(b)に示すように、最初に注入ノズル30のノズル先端面部31の上端が、成形型の注入口先端面部21の上端に接するように注入ノズルを動かす。その後、ノズル先端面部31の上端を、注入口先端面部21と当接させた状態で、注入ノズル30を回転させてノズル先端面部31の下端側を注入口先端面部に近づけ、ノズル先端面部31と注入口先端面部21との間の隙間を徐々に狭める。このとき、その隙間から注入管開口から流出する原料液が流下するとともに、一部の原料液が注入孔へ流入を開始し、やがて原料液がキャビティに達する(図18(c)から(d))。そして最終的に図18(e)に示すようにノズル先端面部31が注入口先端面部21と密着し、前記隙間をなくした状態で注入が行われる。
少なくとも、原料液のキャビティ内への流入が開始するまでの間は、注入管開口と注入口開口との間に隙間が生じていることが好ましい。原料液は注入口開口22から注入管部24(図10参照)を経てキャビティへ流入する。この注入管部24を原料液が通過するとき、上昇速度が著しく速い場合、その上昇速度に注入管部24の内壁面の濡れがついて行けず、この経路内にて泡を生じるおそれがある。また、RIM機と原料液の特性上、注入ノズルからの流出量をコントロールすることは難しいが、前述のように隙間を生じさせて原料液の一部を流下させれば、隙間の間隔を調節することにより、注入ノズルからの流出量を一定に保ちつつ、注入管部に流入する液量を調節できる。また、隙間を生じさせて原料液を流下させることにより、原料液が注入口先端面部21に付着するときに生じる泡を流下させることができ、また、その隙間を狭めることにより、原料液が注入口先端面部21から跳ね返り、ノズル先端面部31に付着していた泡や固化しはじめた原料液を洗い流すことができるなどの効果を得ることもできる。
前記隙間は、注入管の先端部を、注入口先端部と密着させることによって無くすことができる。本発明では、例えば、先端部が筒状に形成された注入管の先端部端面を、成形型の注入口開口全周囲に形成された面(注入口先端面部)に密着させることにより、前記隙間を無くすことができる。この場合、前述のように、注入管先端部端面の外形の大きさは、注入口先端面部の外形よりも小さいことが好ましい。
前記注入口先端面部21は、注入孔の軸に対して傾斜した平面であることが好ましい。注入ノズル30のノズル先端面部31(注入管先端部端面)も、ノズル孔の軸に対して傾斜していることが好ましく、注入口先端面部に密着させたときに、成形型の注入孔の軸と注入管の軸とが交わるように形成されていることが好ましい。特に、図24に示すように、注入孔の軸と注入管の軸とが略垂直に交わるように、ノズル先端面部31が形成されていることが好ましい。これにより、原料液の成形型への注入を円滑に行うことができる。
注入管開口と注入口開口との間に設けられた隙間の間隔は、注入管先端部端面の上端を、注入口先端面部と当接させた状態で、該当接した部分を軸として注入管を回転させて調整することが好ましい。このように、当接部分を軸として注入管を移動させれば、隙間の間隔の調整を安定に行うことができる。
注入ノズル30から流出される原料液は、注入孔20を通してキャビティ4へと流入する。その後、キャビティ4が満たされて排出孔40を経て液溜め部42に達する。排出口部8内の所定の高さまで混合液の液面が達すると、図18(f)に示すように、排出口部8の上方に設置されているセンサー100が作動し、注入口部7の注入管部24が注入孔封止部55の溝に挟み込まれ、注入孔20が封止され、注入が完了する。なお、注入ノズル30からの原料液の流出が止まらないように、注入孔20が封止された直後に、注入管開口を、注入口開口から離すことが好ましい。上記のとおり、センサー100で排出口部8内の液面高さを検知することにより、排出口開口41に液面が達する前の所定の高さで液面上昇が終了し、注入が完了するため、排出口開口41から混合液がこぼれることがない。なお、好ましくは、後の工程で、成形型を傾けて泡抜きを行うため、傾けたときに混合液がこぼれないようにセンサーで検知する高さを調整することが、より好ましい。また、注入孔20を封止すれば、注入ノズル30を注入口部7から離しても、成形型の外部に混合液がこぼれることはない。また、前述のように、注入管部24の一部に薄肉部を設け、その薄肉部を注入孔封止部55により封止することもできる。本発明において使用される液面感知センサーとしては、接触式や非接触式のものが使用できる。但し、センサーにモノマーが付着する問題がないため、非接触式センサーを用いることが好ましい。非接触式センサーとしては、例えば、超音波センサー、光センサー、差圧センサー、熱センサー、静電容量センサー、画像センサーを挙げることができる。
図25は、レンズ原料液注入工程の流れの他の例である。図18には、ノズル先端面部31と注入口先端面部21との隙間の間隔を、ノズル先端面部31の上端を、注入口先端面部21の上端に当接させた後に注入ノズルを回転させることによって調整する例を示したが、図25の例は、注入ノズル先端面部31と注入口先端面部21との間において、ノズル先端開口32および注入口開口22の全周囲に隙間を有した状態で、前記隙間の間隔を調整する例、即ち、全周囲において隙間を保ちながら、注入ノズル30を成形型の注入口先端面部21に近づけることにより、隙間の間隔を調整する例である。図19(a)は、注入開始前の状態、図25(b)は、原料液を注入するために注入ノズル30を成形型の注入口先端面部21に近づける途中の状態、図25(c)、(d)は、ノズル先端開口32と成形型の注入口開口22との隙間が徐々に狭くなり、原料液の注入が開始された状態、図25(e)は、注入ノズル30のノズル先端面部31を成形型の注入口先端面部21に密着させ、前記隙間を無くして原料液の注入が行われている状態、図25(f)は、センサーが液面上昇を検知して、センサーと連動した注入孔封止部55により注入孔が封止された状態、図25(g)は、成形型を排出孔を頂上にした状態で傾斜させて泡抜きを行っている状態、図25(h)は、泡抜き終了後に成形型を放置している状態を示す。なお以下の説明では、図18に示したレンズ原料液注入工程と相違する点を中心に説明し、図18と同様の部分については説明を省略する。
まず、図25(a)は、注入ノズル30のノズル先端開口32からプラスチックレンズ原料液を流出させている状態であり、図18(a)と同じである。図25(a)に示すように原料液を注入ノズル30のノズル先端開口32から流出させながら、図25(b)に示すように、注入ノズル30のノズル先端面部31が注入口先端面部21と平行な状態になるようにし、その平行な状態を維持しながらノズル先端面部31を注入口先端面部21へ近づける。このとき、ノズル先端面部31と注入口先端面部21との間には、ノズル先端開口32および注入口開口22の全周囲において隙間が生じており、この隙間から、ノズル先端開口32から流出する原料液が流下している(図25(b))。隙間を徐々に狭めると原料液が注入口先端面部21に当たるようになる。このとき、注入口先端面部21は原料液で濡れるとともに、注入口先端面部21に付着した泡は流し落とされる。さらに、ノズル先端開口32および注入口開口22の全周囲に隙間を有した状態で、隙間を徐々に狭めると、注入ノズル30のノズル先端面部31と注入口先端面部21との間にモノマーが介在し、モノマーの一部が注入孔に流入を開始し(図25(c))、やがて原料液がキャビティ4に達する(図25(d))。このとき、原料液は注入口先端面部21に当たるとともに、跳ね返ったモノマーが注入ノズル30のノズル先端面部31に当たり、付着していた泡や固化しはじめていた原料液を流し落としながら流下していく。そして最終的に、図25(e)に示すように、ノズル先端面部31が注入口先端面部21と密着し、前記隙間を無くした状態で注入が行われる。
このようにノズル先端面部31と注入口先端面部21との間において、ノズル先端開口32および注入口開口22の全周囲において隙間を確保しながらその隙間を狭めると、原料液は前記隙間から全方向へ流れ出ることが可能である。これにより、注入口先端面部21やノズル先端面部31の広範な範囲に原料液が当たり、付着した泡や固化しはじめていた原料液を、図18に示す例よりも効率的に流し落とすことができる。この点から、図25に示す例は、図18に示す例よりも好ましい。
ノズル先端面部31と注入口先端面部21との間に設けられた隙間の間隔は、ノズル先端面部31と注入口先端面部21とを略平行に保ちながら、一方または両方を平行移動させて調整することが好ましい。このようにすると全周囲にわたって隙間の間隔が一定になるとともに、全周囲に隙間を確保した状態で隙間を狭めることができる。この隙間の間隔は、モータ等で駆動制御して調整することが好ましい。
キャビティがレンズ原料で満たされた後の工程(図25(f)〜(h))は、図10の場合(図10(f)〜(h))と同じなので説明は省略する。
次に、本発明の製造方法の各工程について説明する。図19は、レンズ製造工程の全体の流れ図である。
はじめにガスケット1に第1のモールド2Aと第2のモールド2Bを取り付け成形型3を組み立てる(図19のS1)。
本発明において、成形型3は、原料液の注入前に予め加温することが好ましい(図19のS2)。プラスチックレンズ原料液を成形型3の注入口部7より注入する時、原料液の温度より成形型の温度がある一定の温度以上低いと、原料液がモールド表面を移動する際に、モールド表面に薄い空気膜が形成され、これが原因で泡不良となることがある。それに対し、原料液の注入前に成形型を加温すると、濡れ性が高くなり上記のような問題は改善される。原料液注入直前の成形型の温度は、原料液の注入時の温度と近い温度かそれ以上であることが、濡れ性の改善という点で好ましい。具体的には、成形型を電気炉や遠赤炉に入れ所定の温度に加温し、炉から取り出した成形型に原料液を注入することが適当である。
本発明では、成形型に原料液が注入される前に、成形型のキャビティに二酸化炭素を充填することが好ましい(図19のS3)。前述の成分(A)および成分(B)への二酸化炭素の溶解度は空気に比べて非常に高い。そのため、キャビティ内が二酸化炭素で充填されていれば、成分(A)と成分(B)を混合した原料液の注入時に、原料液の流入速度が速く、キャビティ内に泡が発生した場合でも、その泡は二酸化炭素からなるものであるため、原料液への二酸化炭素の溶解により、泡を消滅させることができる。
成形型3のキャビティ4への二酸化炭素の充填は、加温された二酸化炭素を充填することにより行うことができる。加温された二酸化炭素を充填すれば、加温された成形型を二酸化炭素注入時に冷やしてしまうことがないため好ましい。加温された二酸化炭素を充填する方法としては、例えば二酸化炭素の流路の途中にヒータを設けて加熱してもよいし、成形型を加温する炉内を二酸化炭素で置換しておいてもよい。また、二酸化炭素を充填した後に注入口部7と排出口部8を封止して成形型を加温してもよい。
好ましくは、成形型のキャビティに二酸化炭素を充填した後、原料液の注入を行う(図19のS4)。原料液の注入の詳細は、先に説明した通りである。先に説明した図11に示すような保持具に成形型を装着して、成形型を水平面に対して垂直に、かつ、排出孔が頂上になるような状態に保つことができる。本発明では、成形型の下側から原料液の注入を行うため、原料液は、既に注ぎ込まれた原料液の液面の下側から注入される。そのため、注入中に成形型内の空気を巻き込みにくく、気泡が発生しにくい。
注入中にキャビティ4内に気泡が発生した場合には、キャビティ4内に生じた気泡を、排出孔40を通して除去することが好ましい。キャビティ上端に生じた泡は、成形型を排出孔40が頂上になるようにした状態で、所定の角度に傾斜させて所定時間保持することにより除去することができる(図19のS6)。この角度、時間はアイテムに応じて適宜設定される。但し、製造するプラスチックレンズの種類によっては泡抜き工程を必要としない場合もある。
成形型の傾斜は片側だけ行ってもよいし、片側ずつ交互に行ってもよい。排出孔40のキャビティ側開口の位置に応じて、傾斜の方法は適宜設定するとよい。例えば、排出孔40のキャビティ側開口を上型または下型のどちら側かに寄せている場合は、その寄せている側が最も高くなるように傾斜させるとよい。具体的には、上型側に寄せている場合は、上型が上になるように傾斜させることが好ましい。下型側に寄せている場合は、下型側が上になるように傾斜させることが好ましい。また、排出孔40のキャビティ側開口が中間に位置している場合は、両側に傾斜させるとよい。なお、原料液は傾斜させている間も重合が進行し、粘度もしだいに高くなり、また、重合途中に成形型を動かすことにより、重合中の樹脂が流動することで光学的欠損を生じさせる可能性もあることから、片側だけに傾斜させて所定時間保持することが好ましい。
図10に示すガスケットでは、前述の理由から下型側に排出孔のキャビティ側開口を寄せているので、下型側が上になるように傾斜させ、例えば、10〜15秒程度保持することにより、泡抜きを行うことができる。
必要に応じて泡抜き工程を行った後、成形型を排出孔が頂上になるようにした状態で放置して、さらに原料液を重合させることができる。成形型を放置する工程では、排出孔40を頂上にして原料液がこぼれないように成形型を保ち、低温雰囲気中に所定時間静かに放置し重合させ(図19のS7)、その後、重合が完全に進まない状態の内に、注入孔20内の重合部分および排出孔40内の重合部分を破壊し、キャビティ4内で重合したレンズ成形体部分と、注入孔20内および排出孔40内で重合した部分とを分断し(図19のS8)、次いで成形型を高温雰囲気中に放置して、さらに重合を進める(図19のS9)ことが好ましい。高温雰囲気中に放置する前に、注入孔内の重合部分と排出孔内の重合部分を破壊しておくことで、高温雰囲気中で放置した後に、ガスケットの除去を容易に行うことができる。
前記低温雰囲気は、主に自己発熱により重合反応が進むような比較的低温の雰囲気であり、例えば−10〜50℃であることができる。低温雰囲気中で放置している間は、原料液は重合反応による反応熱により自己発熱しさらに重合が促進されるが、ある程度重合が進行してしまうと発熱量が少なくなり、徐々に重合反応が収まっていく。そのまま放置し続けると、重合反応が進むにつれ重合収縮が大きくなるため、内部歪が大きくなりレンズ成形体が割れたり、モールドから分離したりするおそれがある。このため、低温雰囲気中での放置時間は、注入孔20内および排出孔40内で重合した部分をキャビティ内で重合した部分から分断できる程度に重合が進むまでの時間以上で、重合収縮による内部歪が大きくなり成形に支障が生じてしまう時間未満に設定することが適当である。例えば、この放置時間は、5〜20分間の範囲内にすることが好ましい。
この低温雰囲気中での放置の間、特に分断作業を行う前は、ガスケットをあまり揺らさないようにすることが好ましい。こうすることにより重合途中の原料液がキャビティ内を流動するのを防ぐことができるため、レンズ成形体の光学的欠損を低減できる。
低温雰囲気中での自己発熱による重合では、重合は完全には行われず未反応の官能基が残った状態で固まっているため、完成した成形体はさほど強度が高くない。このため低温雰囲気放置中であれば、注入孔20内および排出孔40内の重合部分の破壊を容易に行うことができる。この注入孔20内および排出孔40内の重合部分の破壊は、注入管部24およびくびれ部43を折り曲げることにより容易に行うことができる。なおガスケットを、弾性を有する樹脂から構成することにより、注入口部7および排出口部8ごと折り曲げることができるので、破壊作業を容易に行うことができる。
高温雰囲気中に放置する工程は、前述の分断作業を行った後、成形型を、あらかじめ所定の温度まで上昇させ高温雰囲気にしてある炉内に入れることにより行うことができる。高温雰囲気中に放置することにより、成形体の内部歪みを緩和させながら、前記低温雰囲気中での重合で反応しなかった官能基の反応を進行させることができる。そして、重合完了後、温度を徐々に下げた後に、成形型を炉から取り出す。この高温雰囲気中の加熱は、例えば110〜150℃で15〜24時間程度行うことができる。炉から取り出した成形型から、まずガスケットを取り除き、続いて第1および第2のモールドを取り除いて(図19のS10)、プラスチックレンズ成形体が完成する(図19のS11)。
以上説明した本発明の製造方法を実施するための自動注入機の一例を、図面に基づいて説明する。但し、本発明はこの態様に限定されるものではない。
図15は自動注入機の全体図面、図16は図15に示す自動注入機の充填部82の詳細図面、図17は成形型への原料液の注入時におけるノズルの動作状態を示す図面である。
図15に示される自動注入機において、まず、図15に示される成形型取り付け部81において、所定の温度まで加温された成形型を、搬送用パレットの保持具に装着する。ここで、成形型は、図13に示す搬送用パレット70(成形型が装着された搬送用パレット)の状態となる。成形型の取り付けは、手動で行うこともでき、自動化することもできる。
次いで、搬送用パレットは、搬送手段であるフリーフローコンベアーによって充填部82に移送される。充填部82は、3つの工程を有する。これらの工程を、図16に基づいて説明する。
図15の充填部82では、図16に示すように、第一に、二酸化炭素注入工程91、第二に、一端が反応射出成形機の混合室に設けられた吐出口と繋がれ、他端に注入ノズル30を装着した注入管を用いて原料液を注入する原料液注入工程92、第三に、成形型を所定の角度に傾斜して所定時間保持することにより、泡の浮力で泡をキャビティ内から除去する泡抜き工程93が行われる。
二酸化炭素注入工程91では、搬送用パレット70が到着すると、二酸化炭素注入盤94がシリンダー101により下降し成形型の排出口開口41を覆う。次いで、二酸化炭素導入部95より二酸化炭素を成形型に導入する。二酸化炭素の導入量は成形型のキャビティの容量に合わせて調整を行う。また、二酸化炭素の導入は、次工程である注入工程92にて行われている成形型への注入が完了するまで行うことが好ましい。
注入工程92では、搬送用パレット70の到着後、保持具の位置決めを行い、反応射出成形機の混合室に設けられた吐出口とチューブを通して繋がれた注入ノズル30のノズル先端面部31を、図8に示すような動作軌道により、ガスケットの注入口先端面部21と、その中心付近にある注入口開口22(図10参照)の周りで密着させて、注入孔20とノズル孔33を連結させる。
注入工程92では、まず、注入ノズル30を、図17(a)に示すように、成形型の前方下部からゆっくり近づける。次に、図17(b)に示すように、最初に注入ノズル30のノズル先端面部31の上端が、ガスケットの注入口先端面部21に当接するように注入ノズル30を動かす。その後、該当接触部を軸として、注入ノズル30を回転させて、注入ノズル30のノズル先端面部31を上部から徐々に注入口先端面部21に接合させ、最終的に、図17(c)に示すように、完全に接合させる。注入ノズルのノズル先端面部31を上部から徐々に注入口先端面部21近づけることにより、隙間から漏れていた原料液が徐々に注入孔に注入され、隙間から漏れていた原料液が徐々に減り、完全に接合された状態では、原料液は漏れることなく、注入孔20からキャビティ4へ注入される。成形型3のキャビティ4が原料液で満たされ、原料液が排出口部8の所定の高さまで達すると、液溜め部42の上部に設置されている、排出口部8内で液面が所定の高さになったことを検知するセンサー100が作動し、前述の注入孔封止部55(図11参照)がカム96によって移動し、注入孔20が封止され、注入ノズル30が元の位置に戻り、注入が完了する。上記注入工程は、図18で示した注入工程に従った方法であるが、図25で示した注入工程を採用してもよい。
次に、搬送用パレット70は泡抜き工程93に移動する。泡抜き工程93では、パレットの位置決めが終了すると同時に、エアーシリンダーにより搬送用パレット70と共に、成形型を、排出孔が頂上になるようにした状態で、所定角度で所定時間傾斜させたまま保持し、泡抜きを行う。この角度、時間はアイテムに応じて適宜設定される。但し、製造するプラスチックレンズの種類によっては必要としない場合もある。
泡抜き工程終了後、エアーシリンダーを下げて搬送用パレット70を元の位置に戻し、図15に示すユータン搬送エリア83〜85へ移動させる。ユータン搬送エリア83〜85において、搬送用パレット70の進行方向を変えた後、搬送用パレット70を排出待機エリア86へ移送する。その後、搬送用パレット70を排出待機エリア86において、所定時間、低温雰囲気で放置する。所定時間経過後、搬送用パレット70を、ユータン排出エリア87へ移送し、ユータン排出エリア87〜89において、搬送用パレット70の進行方向を変える。排出待機エリア86では、例えばフリーフローコンベアーの所定の地点にエスケーパーを設けることにより、所定時間経過後、ユータン排出エリア87へ搬送用パレットが到達する時間をコントロールすることもできる。例えば、ユータン排出エリア88において、搬送用パレット70から成形型を取り外す。成形型の取り外しは、手動で行うこともでき、自動化することもできる。
その後、搬送用パレットはユータン排出エリア89を経て、成形型取り付け部81へ移送され、新たな成形型が取り付けられ、原料液の注入が行われる。以上説明した工程では、原料液を充填した成形型は、原料液の流動を防ぐために静かに搬送することが好ましい。
その後、搬送用パレット70から取り外された成形型において、ガスケットのくびれ部43と注入管部24を折り曲げることにより、排出孔と注入孔に充填されて硬化した樹脂が分断、破壊される。その後、成形型を高温雰囲気内に運び所定時間放置する。この放置工程については、先に説明した通りである。
本発明のプラスチックレンズ原料液注入装置およびプラスチックレンズの製造方法は、例えば、眼鏡レンズや光学レンズ等のレンズ、特に好ましくは眼鏡レンズの製造のために好適に用いることができる。
本発明のプラスチックレンズ原料液注入装置の概略図である。 図1−1におけるVI−VI線断面図である。 注入装置の側面図である。 注入装置の正面図である。 図4(a)は吐出部416の背面図(混合室側)、図4(b)は吐出部416のIII−III線断面図、図4(c)は吐出部416の正面図(注入管側)、図4(d)は吐出部416の平面図である。 図5(a)はガイド部306の背面図(混合室側)、図5(b)はガイド部306のIV−IV線断面図、図5(c)はガイド部306の正面図(注入管側)、図5(d)はV−V線断面図である。 図6−1(a)は注入管連結具502の平面図、図6−1(b)は注入管連結具502の正面図、図6−1(c)は注入管連結具502の側面図、図6−1(d)は注入管連結具502の背面図、図6−1(e)は注入管連結具502の底面図である。 図6−2(a)は注入管端部保持具503の平面図、図6−2(b)は注入管端部保持具503の正面図、図6−2(c)は注入管端部保持具503の側面図、図6−2(d)は注入管端部保持具503の背面図、図6−2(e)は注入管端部保持具503の底面図である。 注入管の交換方法の一態様を示す。 RIM成形機の構造を示す説明図である。 プラスチックレンズ成形用ガスケットを示す平面図であり、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は側面図である。 図9に示すガスケットにレンズ母型を装着したときの状態を示す断面図である。 本発明において使用可能な成形型固定用保持具の一例である。 図11に示す保持具を装着した搬送用パレットを示す図である。 図12に示す搬送用パレットに成形型を装着した状態を示す。 保持具接続前の搬送用パレットを示す。 自動注入機の全体図である。 図15に示す自動注入機の充填部の詳細を示す図である。 成形型への混合液の注入時におけるノズルの動作状態を示す図である。 レンズ原料注入工程の流れの一例である。 レンズ製造工程の全体の流れ図である。 保持部を有するプラスチックレンズ成形用ガスケットの一例である。 注入孔とキャビティとの連結部がテーパー状に開口した、プラスチックレンズ成形用ガスケットの断面図である。 図9に示すガスケットのI−I線断面図(注入孔側)である。 本発明で使用されるノズルの一例であり、(a)はノズルの側面図、(b)はノズルの正面図、(c)はノズルを上部から見た平面図、(d)は、そのII−II線断面図である。 注入孔の軸と注入治具の軸とが略垂直に交わるように形成されたノズル先端面部の説明図である。 レンズ原料注入工程の流れの一例である。 注入管の交換方法の一態様を示す。
符号の説明
301:交換手段
302:移動手段
306:ガイド部
415:原料液混合吐出部
416:吐出部
417:混合部
502:注入管連結具
501:チューブ
502:注入管連結具
503:注入管端部保持具
510:吐出口連結注入管
520:交換用注入管
3021:エアーシリンダー
3026:空気圧注入排出継手
3027:空気圧注入排出継手
3031:押し出しピン
3032:ロッド部
3033:押し出しヘッド部
3041:エアーシリンダー固定プレート
3045:ネジ
3051:移動手段支持具
3052:フリージョイント
3053:固定バー
3061:側面案内部
3062:取付孔
3063:側面案内固定部
3065:ジョイントプレート
3071:圧接ピン
3072:強圧接部
3073:弱圧接部
3075:圧接ピン固定部
3077:取付ネジ
4120:キャップ部
4130:接続部
4140:吐出口プレート部
4141:吐出口
4142:切欠
4143:Oリング溝
4144:注入管接触面
4145:Oリング
4146:加熱空気供給口
4147:気体供給孔
4148:気体供給継手
4149:ネジ穴
4151:溝
4157:二酸化炭素供給孔
4158:二酸化炭素供給継手
4167:加熱空気供給孔
4168:加熱空気供給継手
4170:吐出孔
4180:吐出部固定具
4181:吐出部固定ボルト
4182:吐出部固定ナット
5021:連結端部
5022:接触面
5023:中央突条部
5024:外側突条部
5026:筒部
5027:チューブ接続部
5028:貫通孔
5031:係合突条部
5032:中央溝部
5033:外側溝部
5034:案内突部
5035:圧接ピン接触部
5036:筒部導入溝
5037:切欠

Claims (15)

  1. プラスチックレンズを成形するための成形型にプラスチックレンズ原料液を注入するための注入装置において、
    前記注入装置は、
    複数のモノマーを含むプラスチックレンズ原料液を混合して吐出口より流出する原料液混合吐出部と、
    前記原料液を一端から他端へ流すための貫通孔を有する複数の注入管と、
    一端が前記吐出口に連結された注入管(以下、「吐出口連結注入管」という)を前記吐出口連結注入管と交換するための注入管(以下、「交換用注入管」という)に交換するための交換手段と
    を含み、
    前記交換手段は、
    前記交換用注入管の端部を保持する待機保持部と、
    前記吐出口連結注入管の端部を、前記吐出口と連結された状態で保持する連結保持部と、
    前記待機保持部に保持された交換用注入管端部を移動させ前記吐出口に連結するとともに、吐出口に連結されていた吐出口連結注入管の吐出口との連結を解除する移動手段と
    を備えることを特徴とするプラスチックレンズ原料液注入装置。
  2. 前記注入装置は、前記プラスチックレンズ原料液に対して溶解度が高い気体を気体供給口より流出する気体供給手段を備え、
    前記交換手段は、前記待機保持部に保持されている交換用注入管端部と前記気体供給口とを連結し、前記交換用注入管に前記プラスチックレンズ原料液に対して溶解度が高い気体を供給する機能を有することを特徴とする、請求項1に記載のプラスチックレンズ原料液注入装置。
  3. 前記注入装置は、加熱された気体を気体供給口より流出する気体供給手段を備え、
    前記交換手段は、前記待機保持部に保持されている交換用注入管端部と前記気体供給口とを連結し、前記交換用注入管に前記加熱された気体を供給する機能を有することを特徴とする、請求項1に記載のプラスチックレンズ原料液注入装置。
  4. 前記気体は、二酸化炭素であることを特徴とする、請求項2または3に記載のプラスチックレンズ原料液注入装置。
  5. 前記移動手段は前記待機保持部に保持されている前記交換用注入管を連結保持部で保持される位置まで押し出す機能を有し、
    前記吐出口連結注入管は、前記移動手段によって押し出された前記交換用注入管に押し出されることによって移動し、吐出口との連結を解除されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプラスチックレンズ原料液注入装置。
  6. 前記吐出口と連結される注入管端部(以下、「吐出口側端部」という)は、前記吐出口に連結される貫通孔の開口の周囲に前記吐出口の周囲と接触する面を有する部材と、該部材に脱着可能に取り付けられる注入管端部保持具とを備え、
    前記連結保持部は、前記注入管端部保持具を押圧することにより前記貫通孔の周囲と前記吐出口の周囲を密着させることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプラスチックレンズ原料液注入装置。
  7. 前記吐出口側端部の前記吐出口の周囲と接触する面を有する部材は樹脂からなり、前記注入管端部保持具は金属からなることを特徴とする、請求項6に記載のプラスチックレンズ原料液注入装置。
  8. 前記注入管は、前記吐出口側端部に接続される柔軟性を有するチューブと、前記チューブの先端に接続され、原料液が流出する注入ノズルとを備えることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のプラスチックレンズ原料液注入装置。
  9. 眼鏡用プラスチックレンズ原料液注入装置である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のプラスチックレンズ原料液注入装置。
  10. プラスチックレンズ原料液を成形型に注入して、前記原料液を硬化させて成形体を得る、プラスチックレンズの製造方法であって、
    複数のモノマーを含むプラスチックレンズ原料液を混合して吐出口より流出する原料液混合吐出部にて、複数のモノマー成分の供給、混合、吐出口からの流出を連続して行う混合吐出工程と、
    吐出口連結注入管に、前記混合された原料液を供給する注入工程と
    前記混合吐出工程中に前記吐出口連結注入管の前記吐出口の連結の解除を行うと同時に交換用注入管を前記吐出口に連結する交換工程とを含むことを特徴とするプラスチックレンズの製造方法。
  11. 前記交換工程前に、前記交換用注入管に、二酸化炭素を供給する工程を含む、請求項10に記載のプラスチックレンズの製造方法。
  12. 前記交換工程前に、前記交換用注入管に、加熱された気体を供給する工程を含む、請求項10に記載のプラスチックレンズの製造方法。
  13. 前記原料液の複数のモノマー成分は、混合後直ちに重合を開始し10分以内に硬化することを特徴とする、請求項10〜12のいずれか1項に記載のプラスチックレンズの製造方法。
  14. 前記原料液は、下記成分(A)と成分(B)とからなることを特徴とする、請求項10〜13のいずれか1項に記載のプラスチックレンズの製造方法。
    成分(A):分子中に環状構造を有する脂肪族ジイソシアネートと300〜2500の平均分子量を有するジオールとの反応生成物であるイソシアネート末端プレポリマー
    成分(B):一般式(I)で表される1種または2種以上の芳香族ジアミン(一般式(I)中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立して、メチル基、エチル基、チオメチル基の何れかである)
    Figure 0004728659
  15. 眼鏡用プラスチックレンズの製造方法である、請求項10〜14のいずれか1項に記載のプラスチックレンズの製造方法。
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