ところで、従来の送出装置の多くは上皿パネルに配設されている。送出装置は装置の性格上、整備や修理・交換等の作業を比較的頻繁に行わなければならないが、上皿パネルに送出装置を配設しておけば、上皿パネルの開放によって送出装置を前方に引き出せるため、かかる作業を簡易化できるためである。
ここで、上述のように、遊技球用スロットマシンの上皿パネル等はパチンコ機の構成を採用している。具体的には、上皿パネルは横長矩形状の板片からなると共に、前枠の取付板部も上皿パネルと略同じ大きさの横長矩形状をなしており、上皿パネルの閉止状態で、上方の上皿パネルと下方の取付板部とが殆ど隙間なく上下に隣接する。このため、送出装置全体を上皿パネルに装着する場合、送出装置の縦寸法を上皿パネルの縦寸法の範囲内に収めなければならない。送出装置の下部を上皿パネルの下方に突出させて、取付板部の高さ位置にまで配置すると、送出装置の下部が取付板部や下皿部材に引っかかり、上皿パネルを開放できなくなるためである。
しかし、一時停留部を備える送出装置にあっては、取込通路や取込機構部の下方に一時停留部が設けられ、さらにその下方に排出機構部が設けられるため、装置の縦幅は必然的に上皿パネルの縦幅より大きくなる。ここで、かかる送出装置の上部は、投入用貯留部の遊技球を受け入れるため、投入用貯留部の高さ位置に配置しなければならず、その結果として、送出装置の下部を取付板部の高さ位置まで突出させざるを得ない。上記特許文献4の送出装置では、送出装置を上下二つのユニットに分割し、上部を上皿パネルに、下部を取付板部に装着するようにしている。しかし、かかる構成では、上皿パネルを開放しても、送出装置の下部については、前方に引き出せないため、整備等の作業が煩雑となるといった欠点がある。
また、一時停留部を具備しない、単純な構成の送出装置にあっても、その下部を、既存の上皿パネルの下方に配置することが求められている。というのは、既に提案されている送出装置の殆どは、投入用貯留部から遊技球を取込通路に沿って流下可能とすると共に、取込通路の下部で、スプロケット等の取込部材を備えた送出機構部によって遊技球の流れを機械的に制御することにより、所要個数の遊技球のみを機体背面側に送出し得るようにしている。かかる送出装置にあっては、送出機構部をより下方に配置できれば、投入用貯留部と送出機構部とを結ぶ取込用通路の高低差を大きくし、取込部材に向けて流下する遊技球の圧力を強くすることによって、所要数の遊技球をより短時間で送出可能となるためである。
このように、遊技球用スロットマシンでは、送出装置の下部を、既存の上皿パネルよりも下方に配置すると共に、その送出装置全体を、上皿パネルの開閉の障害とならない形で上皿パネルに装着することが求められている。かかる要求に対して、上皿パネルの縦幅を既存形状よりも大きくすることが考えられる。しかし、上皿パネルを既存形状よりも下方に拡張すると、その分だけ、下方に隣接する取付板部を縮小せざるを得ず、余剰用貯留部等を設置する十分なスペースを確保することができない。一方、上皿パネルを既存形状より上方に拡張すると、上皿部材の設置位置が従来構成よりも高くなり、投入用貯留部の遊技球を扱い難くなってしまう。また、何よりも、上皿パネルや取付板部を従来形状から変更すると、部材の形状・配置をパチンコ機と共通化することによるメリットが失われてしまう。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、上皿パネルや取付板部の従来形状を変更することなく、且つ、上皿パネルの開閉にも支障を生じることなく、上皿パネルに装着した送出装置を取付板部の高さ位置まで突出させ得るスロットマシンの提供を目的とする。
本発明は、パチンコ機用の遊技島に固定するための外枠と、該外枠に枢支される前枠と、該前枠の前面下部に形成される取付板部と、片開き可能となるように前枠の一側縁に枢支され、その閉止状態において、取付板部の上方で、該取付板部と上下に隣接する上皿パネルと、上皿パネルの前面に配設され、遊技球を貯留する投入用貯留部を有する上皿部材と、取付板部の前面に配設され、遊技球を貯留する余剰用貯留部を有する下皿部材と、投入用貯留部の遊技球を機体背面側へ送出する送出装置とを備えてなるパチンコ機用の遊技球を遊技媒体とするスロットマシンにおいて、送出装置は、上皿パネルの背面側に装着され、且つ、少なくともその下部が、支軸を介して上皿パネルに対して前後に傾動可能に保持されて、送出装置の下部を垂下させて取付板部の高さ位置まで突出させる通常状態と、送出装置の下部を上皿パネルの背面側上方に傾動させて取付板部より上方に位置させる退避状態とに変換するものであって、上皿パネルの閉止状態では、送出装置は通常状態となって、その下部を取付板部の背面側に位置させており、上皿パネルを開放する際に、送出装置が通常状態から退避状態に変換して、その下部を取付板部より上方に位置させることを特徴とするスロットマシンである(請求項1)。
かかる構成によれば、通常状態にあっては、送出装置の下部が、取付板部の背面側に突出するが、上皿パネルを開放する際には、送出装置が退避状態に変換することにより、送出装置の下部を取付板部や下皿部材に引っ掛けることなく、上皿パネルを開放して送出装置を取付板部の前方に引き出すことができる。ここで、本発明では送出装置の下部を前後に傾動可能に保持しているため、上皿パネルを開放すべく前方に回動させた場合に、送出装置の下部は、前方に固定される取付板部等の部材に押し付けられることによって、上皿パネルの背面側後方に自然に傾動することとなる。従って、本発明にあっては、上皿パネルの開放動作に伴って、送出装置は半自動的に通常位置から退避状態に変換して、取付板部等を乗り越えることとなり、送出装置を退避状態に変換させるための操作を要することなく、上皿パネルを容易に開放することが可能となっている。一方、上皿パネルの開放状態では送出装置が前方に引き出されているため、上皿パネルを閉止する際には、作業者等が自らの手によって送出装置を退避状態に変換し、保持すれば、送出装置を取付板部や下皿部材とぶつけることなく、上皿パネルを閉止することができる。このように、本発明によれば、上皿パネルや取付板部を既存の構成から変更することなく、且つ、上皿パネルの開閉にも支障を生じさせずに、上皿パネルに装着した送出装置を取付板部の高さ位置まで突出させることができる。
上記構成にあっては、上皿パネルの開放中に、送出装置を退避状態に保持する退避状態維持手段を備える構成が提案される(請求項2)。かかる構成にあっては、上皿パネルの開放時に退避状態に変換した送出装置を、パネルが開放している間、退避状態維持手段によって退避状態に保持しておくことによって、上皿パネルを閉止する際に、送出装置を手ずから退避状態に変換することなく、上皿パネルを閉止可能となる。
具体的には、退避状態維持手段は、前記支軸に介装される軸受部材であって、該軸受部材は支軸との摩擦力により、送出装置の下部が重力のみによって垂下するのを規制するものである構成が挙げられる(請求項3)。ここで、送出装置の下部が重力のみで垂下するとは、軸支された部分の重みや送出装置に収容された遊技球の重みによって、送出装置の下部が、他から力を加えられることなく、自然に垂下することをいう。すなわち、かかる構成では、軸受部材によって支軸の自由な回転を規制することで、送出装置の下部が重力のみによって傾動するのを防ぎ、所定量以上の外力が加えた場合にのみ、送出装置の下部を傾動させ得るようにする。従って、本構成では、上皿パネルの開放時に退避状態に変換した送出装置を、重力以外の力が別途加わらない限り、退避状態に保持し続けることができる。なお、かかる構成とした場合には、送出装置は重力のみでは通常状態に復帰しないため、後述のように、上皿パネルの閉止時に、送出装置を通常状態に復帰させる復帰手段を設けることが望ましい。また、退避状態維持手段は、支軸に介装されて、送出装置の下部が重力のみによって垂下するのを規制する節度手段や、支軸に介装されて送出装置の下部を上皿パネルの背面側上方に付勢する付勢手段によっても実現され得る。
また、退避状態維持手段が、上皿パネルの開放時に、上皿パネルの下部から、上皿パネル背面側に突出して、上皿パネルの背面側上方に傾動した送出装置の下部を、下方から支持する可動支持体により構成されることも提案される(請求項4)。かかる構成にあっては、上皿パネルの開放時に、送出装置の下部を下方から直接支持するものである。具体的には、可動支持体は、上皿パネルや上皿部材の下部に移動可能に保持されて、上皿パネルの開放時に、送出装置の下部の下方側に移動する板片等によって実現され得る。なお、可動支持体は、取付板部側に配設したり、上皿パネルと取付板部の間に架設したりすることも可能であるが、上皿パネル側に配設することが好ましい。取付板部側に配設する場合には、上皿パネルを大きく開放した際に、可動支持体を送出装置に向けて大きく突出させなければならず、また、上皿パネルと取付板部の間に架設する場合には、可動支持体によって、上皿パネルの開放角度が制限されないように配慮しなければならないからである。
一方、上皿パネルを閉止する際に送出装置の下部と当接し、送出装置の下部を下方へ傾動させるように案内する復帰用案内部材が、取付板部の背面側に配設されている構成が提案される(請求項5)。かかる構成にあっては、上皿パネルを閉止する際に、退避状態となって取付板部や下皿部材を乗り越えた送出装置は、復帰用案内部材に当接することにより、その下部を円滑に下方傾動させて通常状態に復帰することとなる。従って、本構成にあっては、上記のように送出装置の下部が重力のみでは垂下しない構成であっても、上皿パネルを閉止する際に、送出装置を通常状態に復帰させることが可能となる。なお、送出装置の下部を自然に垂下可能とする場合には、復帰用案内部材なしでも送出装置を通常状態に復帰させることが可能であるが、かかる構成にあっても、復帰用案内部材を用いて、送出装置の下部を下方に案内するようにすれば、送出装置を確実かつ円滑に通常状態に復帰させることができる。
本発明に係る送出装置は、取込通路と送出機構部とからなる単純なものであってもよいし、一時停留部等を具備する複雑なものであってもよい。また、送出装置は、その全てを上皿パネルの背面側に配置する必要はない。例えば、取込通路の一部をパネルの前面側に配置してもよい。また、送出装置の下部は、傾動可能に軸支されるものであるから、送出装置の下部を構成する各部材は、ケースに収容したり板部材に固定したりしてユニット化し、一体の部分として傾動するよう軸支することが好ましい。なお、送出装置は、装置全体が上皿パネルに対して傾動可能となるようにしてもよい。また、上皿パネルに対して固定され、送出装置の上部を構成する固定部と、上皿パネルに対して前後に傾動可能に軸支されて、送出装置の下部を構成する傾動部とで構成してもよい。この傾動部は、送出装置の固定部に軸支してもよいし、上皿パネルに直接軸支してもよい。
送出装置が、取込通路と、取込通路から機体背面側へ遊技球を送出する送出機構部とからなる単純なものであって、本発明によって、取込通路の高低差を大きくして遊技球の送出時間を短縮しようとする場合、取込通路の下部は、必然的に送出装置の下部に位置するため、前後に傾動可能に軸支されていなくてはならない。そこで、送出装置を、投入用貯留部から遊技球を流下させる上部取込通路を備え、上皿パネルに対して固定的に配設される固定部と、上部取込通路から遊技球をさらに流下させる下部取込通路と、下部取込通路から機体背面側に遊技球を送出する送出機構部とを備え、固定部の下方で上皿パネルに対して前後に傾動可能となるように軸支される傾動部と構成することが提案される。かかる構成にあっては、送出装置の通常状態では、上部取込通路の出口と下部取込通路の入口とを接続させることによって一続きの取込通路として機能させる。他方、送出装置の退避状態では、傾動部が上皿パネルの背面側上方に傾動することにより、上部取込通路の出口と下部取込通路の入口は分離することとなる。ここで、取込通路には、通常、投入用貯留部から遊技球が流入して停留するため、かかる構成では、送出装置の退避状態で、分離した上部取込通路の出口と下部取込通路の入口から、取込通路内の遊技球が零れ落ちる懸念がある。そこで、上記構成にあっては、傾動部は、送出装置の通常状態で、下部取込通路の入口を上部取込通路の出口に接続させると共に、送出装置の退避状態で、下部取込通路の入口を上部取込通路の出口と分離させるものであり、さらに、傾動部には、送出装置の退避状態で、上部取込通路の出口近傍で、該出口から遊技球が流出しないように遊技球を係止する球止部と、下部取込通路の入口近傍で、該入口から遊技球が零れ落ちないように遊技球を支持する球受部とを備える構成が提案される(請求項6)。かかる球止部と球受部の具体的な構成としては、傾動部の、下部取込通路の入口近傍部位に配設されて、傾動部の傾動に伴って、上部取込通路の出口と下部取込通路の入口を開閉するよう移動する可動部材等が挙げられる。なお、かかる送出装置は、取込通路の下部から遊技球を余剰用貯留部へ送出する機構も備えたものも含める。
また、送出装置が、取込機構部や一時停留部、排出機構部等を備えてなる場合、一時停留部や排出機構部は、その機能上、送出装置の比較的下部に配置される。従って、これらの一時停留部や排出機構部を傾動可能とすることが求められる。そこで、送出装置が、投入用貯留部から遊技球を流下させる取込通路と、該取込通路の下部から遊技球を送出する取込機構部とを備え、上皿パネルに対して固定的に配設される固定部と、取込機構部が送出する遊技球を一時的に停留させる一時停留部と、一時停留部に停留する遊技球を機体背面側と余剰用貯留部とに選択的に送出する排出機構部とを備え、固定部の下方で上皿パネルに対して前後に傾動可能となるように軸支される傾動部とを具備してなるものである構成が提案される(請求項7)。かかる構成にあっては、送出装置の通常状態では、取込通路の出口と一時停留部の入口とを接続させて、取込通路から一時停留部へ遊技球を送出可能とする。他方、送出装置の退避状態にあっては、傾動部が上皿パネルの背面側上方に傾動することにより、取込通路と一時停留部とが分離することとなる。ここで、本構成にあっては、取込通路からの遊技球の流出は、取込機構部によって規制できるため、上述したような球止部を設けなくとも、退避状態において、取込通路の出口から遊技球が零れ落ちる懸念はない。
以上に述べたように、本発明は、送出装置が、上皿パネルの背面側に装着され、且つ、少なくともその下部が、支軸を介して上皿パネルに対して前後に傾動可能に保持されて、送出装置の下部を垂下させて取付板部の高さ位置まで突出させる通常状態と、送出装置の下部を上皿パネルの背面側上方に傾動させて取付板部より上方に位置させる退避状態とに変換するものであって、上皿パネルの閉止状態では、送出装置は通常状態となって、その下部を取付板部の背面側に位置させており、上皿パネルを開放する際に、送出装置が通常状態から退避状態に変換して、その下部を取付板部より上方に位置させることを特徴とするスロットマシンであるから(請求項1)、上皿パネルや取付板部の従来形状を変更することなく、且つ、上皿パネルの開閉にも支障を生じることなく、上皿パネルに装着した送出装置を取付板部の高さ位置まで好適に突出させることができる。従って、本発明のスロットマシンは、上皿パネルや取付板部の形状・配置をパチンコ機と共通化し得るという利点と、上皿パネルと共に回動可能とすることによって整備等を簡単に行えるという利点を損なうことなく、送出装置の縦幅を上皿パネルの下方に拡張したいといった要求を適切に満足することができる。特に、本発明の構成にあっては、上皿パネルの開放動作に伴って、送出装置を半自動的に退避状態に変換させることができるため、送出装置を変換させる手間を要せずに、上皿パネルを開放することができる。
また、上皿パネルの開放中に、送出装置を退避状態に保持する退避状態維持手段を備えた場合には(請求項2)、作業者等が送出装置を直接退避状態に保持することなく、上皿パネルを簡単に閉止することができる。
ここで、退避状態維持手段が、前記支軸に介装される軸受部材であって、該軸受部材は支軸との摩擦力により、送出装置の下部が重力のみによって垂下するのを規制するものである場合には(請求項3)、退避状態維持手段を単純でコンパクトな機構により実現できる。
また、退避状態維持手段が、上皿パネルの開放時に、上皿パネルの下部から、上皿パネル背面側に突出して、上皿パネルの背面側上方に傾動した送出装置の下部を、下方から支持する可動支持体により構成される場合には(請求項4)、送出装置の下部を下方から直接支持することによって、送出装置を退避状態に確実に保持することができる。また、退避状態維持手段を軸受部材で構成したものと比べて、送出装置の下部を少ない力で傾動させ得ると共に、上皿パネルを閉止する際に、送出装置の自重を利用して、送出装置を退避状態から通常状態に復帰させることができるといった利点がある。
さらに、上皿パネルを閉止する際に、送出装置の下部と当接し、送出装置の下部を下方へ傾動させるように案内する復帰用案内部材が、取付板部の背面側に配設されている場合には(請求項5)。上皿パネルを閉止する際に、送出装置を確実に通常状態に復帰させることができる。
また、送出装置は、上部取込通路を備え、上皿パネルに対して固定的に配設される固定部と、下部取込通路と送出機構部とを備え、固定部の下方で上皿パネルに対して前後に傾動可能となるように軸支される傾動部とを具備してなるものであって、傾動部は、送出装置の通常状態で、下部取込通路の入口を上部取込通路の出口に接続させると共に、送出装置の退避状態で、下部取込通路の入口を上部取込通路の出口と分離させるものであり、さらに、傾動部には、送出装置の退避状態で、上部取込通路の出口近傍で、該出口から遊技球が流出しないように遊技球を係止する球止部と、下部取込通路の入口近傍で、該入口から遊技球が零れ落ちないように遊技球を支持する球受部とを備える場合には(請求項6)、送出装置の退避状態において、取込通路に停留する遊技球が、傾動部と固定部の間から零れ落ちるのを防止できる。このため、取込通路内に遊技球が停留している場合でも、遊技球を取込通路から零すことなく、上皿パネルを開放して送出装置を前方に引き出すことができる。
また、送出装置は、取込通路と取込機構部とを備え、上皿パネルに対して固定的に配設される固定部と、一時停留部と排出機構部とを備え、固定部の下方で上皿パネルに対して前後に傾動可能となるように軸支される傾動部とを具備してなるものである場合には(請求項7)、送出装置が、必然的に縦幅を大きくせざるを得ない構成のものであっても、かかる送出装置を上皿パネルに無理なく装着できる。
本発明の実施形態を、以下の実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明の第一実施例にかかるスロットマシン1の斜視図である。このスロットマシン1は、パチンコ機用の遊技球を遊技媒体として遊技を行うものであって、通常はパチンコ機用の遊技島に対してパチンコ機同様に取り付けられる。すなわち、このスロットマシン1は、図1〜3に示すように、遊技島に固定されるパチンコ機と同形状の外枠2と、回転リール11a〜11cを備え、ヒンジ部材12を介して外枠2に開閉可能に枢着する遊技機本体3とからなる。
遊技機本体3は、図1〜3に示すように、ヒンジ部材12を介して外枠2に直接枢着する前枠4と、該前枠4の前面側上半分に開閉可能に取り付けられる前扉6と、前面に上皿部材31が設けられ、前扉6の下方に開閉可能に取り付けられる上皿パネル30と、前枠4の背面側に開閉可能に取り付けられる裏機構板5等により構成される。
前枠4の背面上部には、3つの回転リール11a〜11cが設けられる。これらの回転リール11a〜11cは、これらを個別に駆動するリールモータおよび該モータを支持する支持部材と一体のリールユニット10を構成している。
前枠4の前面下部には、前枠4の幅方向に亘る取付板部20が形成され、この取付板部20の前面に下皿部材21が配設される。下皿部材21は、その内部に遊技球を貯留する余剰用貯留部22を有する。取付板部20の、余剰用貯留部22を臨む位置には球放出口24が開口しており、該球放出口24から余剰用貯留部22に遊技球が流入する。また、図4に示すように、下皿部材21の下部には、余剰用貯留部22の底面に形成される球抜孔23を開閉する球抜スライダ19が設けられており、遊技者がこの球抜スライダ19を移動操作することにより球抜孔23が開放し、余剰用貯留部22の遊技球が下方に排出される。
前扉6は、前面に装飾が配された矩形状をなし、その左縁に設けられたヒンジ部材(図示省略)を介して前枠4に開閉可能に取り付けられる。図1に示すように、前扉6の中央位置には、前枠4に設けられる各回転リール11a〜11cを前方から視認可能とする表示窓8a〜8cが形成される。また、表示窓8a〜8cの下方には、遊技者に遊技状態を報知する各種の表示器7が設けられる。また、前扉6の下部前面には、貸球の要求やプリペイドカードの返却要求を機外のカードユニット(図示省略)へ行うためのカード操作部9が設けられている。
矩形の金属板よりなる上皿パネル30は、図3に示すように、前枠4の下部にヒンジ部材29を介して片開き可能に取り付けられており、取付板部20と上下に隣接する閉止状態(図5参照)から前方へ開放して背面を露出可能となっている。また、図1,3,5に示すように、上皿パネル30の前面には、樹脂製の上皿部材31が固定されており、上皿部材31の上部に、投入用の遊技球を貯留する投入用貯留部32が設けられる。この投入用貯留部32は、上方の開放部分を介して遊技者が投入用の遊技球を直接補給可能となっており、また、その左側後部に開口する球供給口34から賞球等の遊技球が流入するようになっている。投入用貯留部32の右奥には、遊技球を左右一列に整列させる整流路39が形成される。投入用貯留部32に貯留される遊技球は、図6に示すように、その底面の案内作用によって、整流路39に順次流入して整列し、整流路39の右奥に形成される取込口35から1個ずつ流出するようになっている。取込口35は、上皿パネル30を貫通し、パネル背面側へ通じるものであり、取込口35から流出した遊技球は、上皿パネル30の背面側に装着された送出装置40へ供給されることとなる。なお、本実施例の上皿パネル30と取付板部20は、既存のパチンコ機の上皿パネルと取付板部と略同じ外形をなし、且つ、略同じ位置に配設されるものであり、これにより、機体の設計作業の簡略化や、部材の製造コストの低減を可能としている。
上皿部材31は、上部の投入用貯留部32の他に、該投入用貯留部32の前面、底面及び両側面の全てを被覆するカバー部33を具備する。図1に示すように、このカバー部33の前面には、スタートスイッチ56や停止スイッチ58a〜58c,キャンセルスイッチ59が設けられており、また投入用貯留部32の右側方にあたる位置にはMAXBETスイッチ57aと1BETスイッチ57bが設けられている。スロットマシン1の遊技は、これらのレバー型やボタン型のスイッチの操作により行われる。MAXBETスイッチ57aと1BETスイッチ57bは、賭数の設定操作を行うためのものであり、これらの押圧操作によって所要個数の遊技球が、投入用貯留部32から機体背面側へ送出される。そして、かかる状態において、スタートスイッチ56を押し下げると、各回転リール11a〜11cが回転してゲームが開始される。停止スイッチ58a〜58cは回転リール11a〜11cの停止操作に用いるものであり、回転リール11a〜11cの回転中にこれらのスイッチを押圧操作すると、その操作タイミングに基づいて各停止スイッチ58a〜58cに対応する回転リール11a〜11cが停止する。また、キャンセルスイッチ59は、設定した賭数を取り消すキャンセル操作を行うためのものであり、賭数が設定された状態でキャンセルスイッチ59が押圧操作されると、賭数設定によって機体背面側に送出された遊技球と同数の遊技球が、投入用貯留部32に払い出される。
また、図2に示すように、前枠4の背面側には、一側縁が枢結された裏機構板5が開閉可能に取り付けられている。この裏機構板5の背面には、基板ユニット13が装着される。基板ユニット13には、電子回路が組み込まれた複数の基板(図示省略)が内蔵されている。これらの基板は、相互に電気的に接続されると共に、スロットマシン1が備える各種センサ、スイッチ、モータ、ランプ等と接続されるものであり、スロットマシン1の遊技制御手段はこれらの基板により構成される。裏機構板5の上部には、遊技島の球供給装置(図示省略)から遊技球の供給を受ける球タンク14が設けられる。この球タンク14は、裏機構板5の側部に形成される球供給通路17を介して、上皿部材31の投入用貯留部32を臨む球供給口34や、余剰用貯留部22を臨む球放出口24と連通しており、該球供給通路17の中途位置に設けられた払出装置15が作動すると、球タンク14側に位置する所定数の遊技球が、投入用貯留部32や余剰用貯留部22へ払い出される。この払出装置15から送出された遊技球は、通常は、前記球供給口34から投入用貯留部32へと放出されるが、投入用貯留部32が満杯である場合は、球放出口24から余剰用貯留部22へと放出される。
次に、送出装置40の構成について説明する。
本実施例の送出装置40は、投入用貯留部32の取込口35から流出した遊技球を機体背面側へ送出するものであり、図7〜9に示すように、上皿パネル30の背面右側部に配設され、その下部を上皿パネル30の下方に突き出して、取付板部20の高さ位置に配置させている。送出装置40の背面下部には、取り込んだ遊技球を機体背面側へ送出するための取込球排出口46が開口する。前枠4には、図8,9に示すように、該取込球排出口46に接続する取込球排出路47が固定されており、取込球排出口46から排出される遊技球は、取込球排出路47を通って機体背面側へ送出されて機外に排出されることとなる。送出装置40の内部には、図10に示すように、投入用貯留部32の取込口35から遊技球xを流下させる取込通路41と、取込通路41の下部から機体背面側に遊技球xを送出する送出機構部42とが設けられており、取込口35から送出装置40に流入した遊技球は、送出機構部42の作動によって機体背面側へ1個ずつ送出される。
図9,10に示すように、取込通路41は、投入用貯留部32の取込口35から遊技球xを下方に流下させる長尺な流路である。取込通路41の下流側には、取込球排出口46へと通じる送出路43が形成される。ここで、取込通路41の下部には、スプロケット64の歯部が突出する。このスプロケット64は取込部材を構成するものであり、該スプロケット64により、取込通路41から送出路43への遊技球xの流れが制限される。
送出機構部42は、上記スプロケット64と、該スプロケット64の回転を規制するストッパ63と、該ストッパ63を傾動させる取込用ソレノイド62とを備えてなる。取込用ソレノイド62の停止する通常状態では、スプロケット64はストッパ63により回転を規制されており、図11(イ)に示すように、投入用貯留部32から取込通路41に流入した遊技球xは、取込通路41の下部においてスプロケット64に係止される。この通常状態において、上記BETスイッチ57a,57bが操作されると、これを契機として取込用ソレノイド62が所要回数往復駆動する。そして、この往復駆動に従ってストッパ63が傾動する度に、スプロケット64が所定角度回転して、遊技球が1個ずつ送出路43へ送出される(図11(ロ),(ハ)参照)。そして、送出された遊技球xは、送出路43を流下して、送出路43に配設された取込球検出用スイッチ65によって検出された後で、取込球排出口46から取込球排出路47へ排出されることとなる。
次に、本発明の要部に係る構成について説明する。送出装置40は、上皿パネル30に対して固定的に配設される固定部50と、該固定部50の下方に軸支されて、前後に傾動可能となるように軸支される傾動部51とで構成される。すなわち、本発明にあっては、送出装置40の下部は傾動部51によって構成される。
固定部50は樹脂製の樋状部材であって、上記取込通路41の上側部分にあたる上部取込通路41aを構成するものである。この固定部50は、図9,12,13に示すように、上部取込通路41aの入口を取込口35と接続するようにして、上皿パネル30の背面に固定される。
傾動部51は、送出装置40の主要部をケース体52に収容して一体化したものである。図10,12に示すように、ケース体52の内部には、取込通路41の下側部分にあたる下部取込通路41bや、送出機構部42、送出路43等が設けられ、ケース体52の背面下部に取込球排出口46が開口する。ケース体52の上部には、図12〜14に示すように、左右方向に伸びるの杆状の支軸53が形成される。傾動部51は、この支軸53を、上皿パネル30の背面に配設される支持体54に内嵌することにより、固定部50の下方で、上皿パネル30に対して前後に傾動可能に保持される。
また、図12,14に示すように、支軸53と支持体54の間には、円筒形状をなすゴム製の軸受部材55が介装される。この軸受部材55は、支軸53との間に摩擦力を生じることによって、傾動部51が重力のみによって傾動しないよう規制する。すなわち、
軸受部材55は、支軸53の自由な回転を規制することによって、傾動部51及び傾動部51に収容される遊技球xの重みによって、傾動部51が自然に垂下するのを防止するものであり、本発明に係る退避状態維持手段は、この軸受部材55によって構成される。
また、ケース体52の背面下部には、図8,14に示すように、背面側に突出する衝突部66が設けられている。この衝突部66は、上皿パネル30の閉止時に、取付板部20の背面側に固定される復帰用案内部材25と当接する。復帰用案内部材25は、前枠4に固定されるものであって、衝突部66と当接する前面側には円滑な曲面が形成される。この復帰用案内部材25は、後述するように、上皿パネル30を閉止する際に、衝突部66と当接することによって傾動部51を下方に案内して、送出装置40を通常状態に復帰させる働きをする。
送出装置40は、図9,14に示すように、傾動部51が垂下して、傾動部51の下半分が取付板部20の高さ位置に突出している状態を通常状態とする。かかる通常状態では、上部取込通路41aの下端の出口と下部取込通路41bの上端の入口とが接続して、一続きの取込通路41を構成する。
一方、送出装置40は、図15に示すように、傾動部51を、上皿パネル30の背面側上方に傾動させて、取付板部20より上方に位置させた状態を退避状態とする。かかる状態では、下部取込通路41bが傾くことにより、上部取込通路41aの出口と下部取込通路41bの入口が分離して、取込通路41は途中で分断された状態となる。
ここで、図15に示すように、傾動部51の、下部取込通路41bの入口部分を形成する筒状部位の背面側は、送出装置40の退避状態で、上部取込通路41aの出口から遊技球xが流出しないよう係止する球止部48を構成する。すなわち、この球止部48は、図9に示すように、送出装置40の通常状態では、遊技球xの流下を阻むことなく、取込通路41を形成するが、送出装置40が退避状態に変換すると、図15に示すように、傾動部51の傾動に伴って、球止部48は上部取込通路41aの出口の下方に進出して、上部取込通路41aの出口から遊技球xが流出しないように係止する。なお、上部取込通路41a内の遊技球xに抗して、球止部48を通路の出口下方にスムーズに進出させるために、球止部48の、遊技球を係止する部分には、曲面やテーパーを形成しておくことが望ましい。
また、図15に示すように、傾動部51の、下部取込通路41bの入口部分を形成する筒状部位の前面側は、送出装置40の退避状態で、下部取込通路41bの入口から遊技球xが流出しないよう支持する球受部49を構成する。すなわち、この球受部49は、図9に示すように、送出装置40の通常状態では、遊技球xの流下を阻むことなく、取込通路41を形成するが、送出装置40が退避状態に変換すると、図15に示すように、下部取込通路41bの入口の前上方へ突出して、該入口から遊技球xが零れ落ちないように支持する働きをする。
次に、上皿パネル30の開閉に伴う送出装置40の変換態様について説明する。
まず、上皿パネル30の閉止状態では、送出装置40は、図5,9,14に示すように、傾動部51を垂下させた通常状態となっており、傾動部51の略下半分を取付板部20の背面側に位置させている。かかる状態にあっては、送出装置40の取込通路41が一続きとなって、遊技球xが通路内を流下可能となると共に、取込球排出口46が取込球排出路47と接続し、取込球排出口46から排出する遊技球を機体背面側に送出可能となり、送出装置40よって、投入用貯留部32から機体背面側へ所要数の遊技球を送出することができる。
そして、上記閉止状態から上皿パネル30を開放すべく、上皿パネル30を前方に回動させると、図16(イ),(ロ)に示すように、傾動部51の下部が、取付板部20の背面に押し付けられることによって、傾動部51が上皿パネル30の背面側上方に傾動することとなる。そして、傾動部51が、上皿パネル30の開放動作に従って傾動していき、取付板部20の上方まで傾動することにより、送出装置40が退避状態に変換する(図17(ハ))。また、傾動部51は、かかる位置まで傾動すると、取付板部20との押圧作用がなくなり傾動停止する。そして、上皿パネル30を引き続き前方に回動させると、送出装置40は退避状態となっているため、送出装置40は取付板部20に引っ掛かることなく、装置全体が取付板部20の前方に引き出されることとなる(図17(ニ))。
このように、本実施例のスロットマシン1では、送出装置40は取付板部20の高さ位置まで突出しているが、上皿パネル30の開放によって送出装置40全体を前方に引き出すことができ、送出装置40の点検等の作業を、取付板部20の前方で行うことができる。ここで、上述したように、傾動部51は、支軸53に介装した軸受部材55によって、重力のみでは傾動不能となっている。従って、上皿パネル30の開放動作によって退避状態に変換した送出装置40は、図17(ニ)に示すように、上皿パネル30の開放中は、他から力が加わらない限り、退避状態に保持されることとなる。また、上述したように、送出装置40の退避状態では、取込通路41は上下に分断されるが、下部取込通路41bの入口部分に設けられた球止部48と球受部49によって、取込通路41の遊技球xが分断部分から零れ落ちないように阻止される。
一方、開放した上皿パネル30を閉止する際には、まず、送出装置40が下皿部材21や取付板部20とぶつからないよう、図18(イ)に示すように、送出装置40を退避状態に変換する。上述のように、送出装置40は、軸受部材55の働きにより、退避状態に保持されるため、通常は送出装置40を変換させる必要はない。そして、上皿パネル30を閉止すべく後方に回動させると、送出装置40は取付板部20の背面側まで回動し、送出装置40の衝突部66が復帰用案内部材25に当接する(図18(ロ))。引き続き上皿パネル30を閉止していくと、送出装置40は復帰用案内部材25に押し付けられ、復帰用案内部材25の前面の案内作用によって傾動部51が下方に傾動していく(図19)(ハ))。そして、上皿パネル30を完全に閉止するまで回動させると、傾動部51が完全に垂下して送出装置40が通常状態に変換し、上皿パネル30開放前の状態に復帰することとなる(図19(ニ))。
このように、本実施例のスロットマシン1では、取込通路41と送出機構部42とからなる単純な送出装置40が、その下部を取付板部20の高さ位置に突出させており、これによって、送出機構部41が従来構成よりも下方に配置されて、取込通路41の高低差が従来構成よりも大きくなっている。このため、送出機構部41のスプロケット64に向けて流下する遊技球の圧力が従来よりも強くなっており、スプロケット64を回転させた際に、遊技球が迅速かつ円滑に送出路43に送出されるようになっている。また、本実施例にあっては、送出装置40を取付板部20の高さ位置に突出させているにも拘わらず、送出装置40は上皿パネル30の開閉の障害となっておらず、上皿パネル30の開放によって送出装置40全体を取付板部20の前方に引き出して、送出装置40の点検作業等を簡単に行うこともできる。さらに、本実施例に係る上皿パネル30や取付板部20、下皿部材21は、従来一般のパチンコ機における形状・配置を採用したものであり、これにより機体の設計作業の簡略化や、部材の製造コストの低減も可能となっている。
また、本実施例では、支軸53に介装される軸受部材55が、支軸53との間に発生させる摩擦力によって、傾動部51が重力のみによって垂下するのを規制し、上皿パネル30の開放中に、送出装置40を退避状態に保持するようにしている。このため、作業者等が送出装置40を退避状態に手動で変換・保持することなく、上皿パネル30を簡単に閉止することができる。
また、取付板部20の背面側には復帰用案内部材25が配設されており、該復帰用案内部材25が、上皿パネル30を閉止する際に傾動部51と当接し、傾動部51が下方へ傾動するよう案内している。これにより、傾動部51が重力のみでは傾動不能となっていても、上皿パネル30の閉止動作に伴って、送出装置40を通常状態に確実に復帰させることができる。
さらに、傾動部51には、送出装置40の退避状態で、上部取込通路41aの出口から遊技球が流出しないように係止する球止部48と、下部取込通路41bの入口から遊技球が零れ落ちないように支持する球受部49とが設けられている。これにより、退避状態で、取込通路41が上下に分離しても、取込通路41内の遊技球が分離した部分から零れ落ちないように保持しておくことができる。
なお、上記第一実施例では、傾動部51を樹脂製のケース体52で覆っているが、上皿パネル30の開放時にケース体52は取付板部20に押し付けられるため、ケース体52は磨耗する恐れがある。従って、ケース体52の、取付板部20と当接する部分には、破損や摩耗を防止するための補強板を取り付けておくと良い。
また、第一実施例では、上皿パネル30の開放中に、送出装置40は退避状態に保持されているが、振動や軽微な接触等によって、送出装置40が僅かに下方傾動してしまうことも考えられる。そこで、図19,20に示すように、取付板部20の上部前面側にガイド部69a,69bを形成して、送出装置40の傾動部51が取付板部20に前方から衝突した場合に、ガイド部69a,69bによって傾動部51が取付板部20の上方へ傾動するように案内することが提案される。また、かかるガイド部69a,69bを配設する場合には、傾動部51の、ガイド部69a,69bと当接し得る位置に、ガイド部69a,69bとの当接により案内作用を発揮する案内面70を形成することが望ましい。
次に、上記実施例から退避状態維持手段を変更した第二実施例について、図22〜24を参照して説明する。なお、退避状態維持手段以外の構成については、第一実施例と同様であるため、図中で符号を共通させて説明を省略する。本実施例にあっては、傾動部51の支軸には軸受部材が介装されず、上皿パネル30の開閉に伴って傾動する杆状の可動支持体72によって退避状態維持手段が構成される。可動支持体72は、一側の保持端75に形成された軸孔74を上皿部材31の底面に軸支されて、他側の傾動端76を水平方向に回動するようになっている。また、図22に示すように、可動支持体72の保持端75には、コイルバネ73が連結されており、その傾動端76を、上皿パネル30の背面側に、且つ、パネルと直交する方向に突出するように付勢される。
可動支持体72は、取付板部20の上縁と同じ高さ位置に形成されており、図23(イ),24(イ)に示すように、上皿パネル30の閉止状態では、可動支持体72は取付板部20に押圧されて、傾動端76を、上皿パネル30の前面側で、左方に向けている。また、送出装置40は第一実施例同様、通常状態となっており、傾動部51の下半分を取付板部20の背面側に位置させている。
上皿パネル30を閉止状態から開放していくと、図23(ロ),24(ロ)に示すように、傾動部51が取付板部20に押し付けられて、上皿パネル30の背面側上方に傾動すると共に、上皿パネル30の前方回動に伴って、取付板部20に押え付けられていた可動支持体72が、その傾動端76を上皿パネル30の背面側に回動させていく。そして、傾動部51が取付板部20の上方まで傾動して、送出装置40が退避状態に変換すると、可動支持体72は、その傾動端76を、上皿パネル30と直交する方向に突出させ、傾動部51の下方位置で停止させる。これにより、傾動部51は、取付板部20の前方に引き出されると、可動支持体72によって下方から支持されることとなり、上皿パネル30の開放中は、送出装置40は退避状態に保持される(図23(ハ),24(ハ))。
そして、開放した上皿パネル30を閉止する際には、図23,24の(ハ)〜(イ)に示すように、可動支持体72と傾動部51とが、開放作動とは、逆向きに変位して、上皿パネル30と送出装置40が元の状態に復帰する。すなわち、可動支持体72の傾動端76が取付板部20と当接して左方に回動していくと共に、傾動部51は、可動支持体72の支持がなくなり、取付板部20の背面側で下方に傾動していく。そして、上皿パネル30が完全に閉止すると、送出装置40は通常状態に復帰し、また、可動支持体72は傾動端76を左方に向けた状態に復帰することとなる。
このように、第二実施例では、上皿部材31の底部に軸支される可動支持体72が、上皿パネル30の開放時に上皿パネル30の下部からパネル背面側に突出して、送出装置40の傾動部51を下方から支持して、送出装置40を退避状態に保持するようにしている。従って、かかる第二実施例の構成によっても、上皿パネル30を閉止する際に、送出装置40を手ずから退避状態に変換・保持することなく、上皿パネル30を簡単に閉止できる。また、本実施例にあっては、可動支持体72を、上皿部材31の底部に軸支することにより、可動支持体72を取付板部20の高さ位置で傾動させて、その傾動端76を取付板部20に押し付け得るようにしている。かかる構成によれば、可動支持体72を、取付板部20との押圧作用により、上皿パネル30の開閉作動に合わせて適切に位置変換させることができる。
なお、第二実施例の可動支持体72は、上皿パネル30の閉止状態では、送出装置40が通常状態に変換し得るように、パネルの前面側に退避しているが、他の部材と干渉しない位置であれば、上皿パネル30の前面側以外の場所に退避させても構わない。また、第二実施例では、杆状部材により可動支持体を構成しているが、これに限らず、上皿パネル30と取付板部20の間に巻取式のケーブルやゴム紐等を架設することによっても構成可能である。なお、かかる構成の場合には、ケーブルやゴム紐の上皿パネル側の連結部分を着脱可能にしておけば、送出装置を点検する際に、作業の邪魔とならないようケーブルやゴム紐を取り外しておくことができる。
次に、上記第二実施例から送出装置の構造を変更した第三実施例について、図25〜32を参照して説明する。なお、送出装置以外は、上記実施例と殆どの構成が同じであるため、図中で符号を共通させて説明を省略する。
本実施例の送出装置40aは、投入用貯留部32の取込口35から遊技球を取り込んで、機体背面側又は余剰用貯留部22へ送出するものであり、図25に示すように、上皿パネル30の背面右側部(図中左側)に配設されて、その下部を取付板部20の高さ位置に突出させている。図25,28に示すように、送出装置40aの底部中央には、取り込んだ遊技球を機体背面側へ送出するための取込球排出口46aが開口する。前枠4には、該取込球排出口46aと接続して、遊技球を機体背面側へ流下させる取込球排出路47aが固定される。一方、図25,26に示すように、送出装置40aの底部左側(図中右側)には、取り込んだ遊技球を余剰用貯留部22側へ送出するための返却球排出口45が開口する。この返却球排出口45から排出される遊技球は、取付板部20の背面側に設けられた返却球案内部26を通って球放出口24から余剰用貯留部22へ送出される。送出装置40の内部には、図29に示すように、投入用貯留部32の取込口35から遊技球を流下させる取込通路79と、遊技球xを一時的に停留させる一時停留部81と、取込通路79の下部から一時停留部81へ遊技球xを送出する取込機構部80と、一時停留部81に停留する遊技球を機体背面側と余剰用貯留部22とに選択的に送出する排出機構部82等が設けられている。取込口35から送出装置40aへ流入した遊技球xは、取込機構部80によって一時停留部81へ取り込まれて一時停留した後、排出機構部82によって取込球排出口46aか返却球排出口45のいずれかへ送出される。
図29に示すように、取込通路79は、投入用貯留部32の取込口35から遊技球を下方の一時停留部81へ流下させる短尺な流路である。この取込通路79の下部には、スプロケット86の歯部が突出しており、該スプロケット86により、取込通路79から一時停留部81への遊技球xの流入が規制される。また、取込通路79の出口には、一時停留部81に流入する遊技球xを計数するための取込球検出スイッチ87が配設される。取込機構部80は、上記スプロケット86と、該スプロケット86の回転を規制するストッパ85と、該ストッパ85を傾動させる取込用ソレノイド84とを備えてなる。
一時停留部81は、屈曲した長尺通路状をなすものであり、その内部に最大15個の遊技球を一列に整列した状態で停留可能とする。この停留させ得る遊技球15個は、一回のゲームで設定し得る最大賭数に相当する遊技球数である。一時停留部81の下流側は、返却球排出口45へと通じる返却球排出路44と連通している。一時停留部81と返却球排出路44の接続部は、返却用ソレノイド88に連結されたストッパ89により開閉される。また、図28、29に示すように、一時停留部81の下流側は、取込球排出口46aへと通じる送出路43aとも連通している。一時停留部81と送出路43の接続部は、取込球排出用ソレノイド90に連結されたストッパ91により開閉される。本実施例の送出装置40aの排出機構部82は、これらのストッパ89,91と、ソレノイド88,90とを備えてなるものである。
送出装置40の作動を、図30,31を参照して簡単に説明する。まず、BETスイッチ57a,57b操作前の停止状態にあっては、図30(イ)に示すように、投入用貯留部32から流入した遊技球xは、取込通路79の下部でスプロケット86に係止されている。また、かかる停止状態では、一時停留部81内には遊技球は停留していない。この停止状態において、BETスイッチ57a,57bが操作されると、これを契機として取込用ソレノイド84が所要回数往復駆動し、往復駆動の度にスプロケット86が所定角度回転して、遊技球xが1個ずつ一時停留部81へ送出される(図30(ロ),(ハ)参照)。ここで、かかる状態にあっては、一時停留部81の下部は、ストッパ89,90によって閉鎖されている。従って、かかる操作によって、一時停留部81に流入した遊技球xは、図31(イ)に示すように、一時停留部81に留められることとなる。そして、かかる状態において、スタートスイッチ56が操作されると、図31(ロ)に示すように、取込球排出用ソレノイド90がストッパ91を退避させることによって、送出路43aとの接続部が開放されて、一時停留部81の遊技球xが機体背面側へ送出される(図28参照)。一方、キャンセルスイッチ59が操作された場合には、図31(ハ)に示すように、返却用ソレノイド88がストッパ89を退避させることによって、返却球排出路44との接続部が開放され、一時停留部81の遊技球xは余剰用貯留部22へと送出されることとなる。
本実施例の送出装置40aは、図32に示すように、上皿パネル30に対して固定される固定部50aと、該固定部50aに支軸を介して傾動可能に保持されて、固定部50aの下方で前後に傾動可能となるように軸支される傾動部51aとからなる。すなわち、送出装置の下部は、傾動部51aによって構成される。
図29に示すように、固定部50aは、上部ケース体92によってユニット化されたものであり、その内部には、取込通路79や取込機構部80が収容される。この固定部50aは、取込通路79の入口を、上皿パネル30に開口する取込口35と接続するようにして、パネル背面側に固定される。
一方、傾動部51aは、下部ケース体93によってユニット化されており、その内部には、一時停留部81や排出機構部82が収容される。下部ケース体93の上部には、左右方向に伸びる支軸95が設けられており、上部ケース体92の背面に設けられた円筒状の支持部94に該支軸95を内嵌することによって、傾動部51aは、前後に傾動可能に保持されている。
送出装置40aは、傾動部51aが垂下して、傾動部51aの下半分が取付板部20の高さ位置に突出している状態を通常状態とし(図33(イ),34(イ))、また、傾動部51aを上皿パネル30の背面側上方に傾動させて、取付板部20より上方に位置させた状態を退避状態(図33(ロ),図34(ロ))とする。
図34(イ)に示すように、上皿パネル30の閉止状態では、送出装置40aは通常状態に保持される。かかる状態にあっては、図27に示すように、取込通路79の出口と一時停留部81の入口とが接続し、取込通路79から一時停留部81に遊技球を送出可能となると共に、
返却球排出口45が返却球案内部26と、取込球排出口46aが取込球排出路47aと夫々接続し、送出装置40aによって、投入用貯留部32から機体背面側や余剰用貯留部22へ所要数の遊技球を送出可能となる。
そして、かかる閉止状態から上皿パネル30を開放すると、傾動部51aは、取付板部20に背面側から当接し、取付板部20との押圧作用によって、傾動部51aが上皿パネル30の背面側上方に傾動して、送出装置40aが退避状態に変換する。これにより、送出装置40a全体を取付板部20の前方に引き出すことが可能となる(図34(ロ)参照)。ここで、本実施例の取付板部20には、傾動部51aと当接する上端背面側に、曲面状のガイド部96が形成されており、パネル開放時に送出装置40aが円滑に退避状態に変換されるようにしている。
なお、この退避状態にあっては、取込通路79と一時停留部81とが分離することとなるが、取込通路79からの遊技球の流出は、取込機構部80によって規制することができるため、分離した部分から遊技球が零れ落ちる懸念はない。また、本実施例の上皿部材31には、第二実施例と同じ可動支持体72が配設されており、退避状態に変換した送出装置40aは、上皿パネル30の開放中は可動支持体72によって退避状態に保持されることとなる。
このように、第三実施例では、送出装置が、一時停留部等を備える複雑な構成であり、その縦幅を大きくせざるを得ないものであるが、かかる送出装置にあっても、送出装置の下部を傾動可能とすることによって、上皿パネル30や取付板部20の従来の形状・配置を変更することなく、上皿パネルに送出装置を無理なく装着できる。
なお、本発明のスロットマシンは、上述した実施例の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、実施例の送出装置における、送出機構部や取込機構部等の構成は例示に過ぎず、既存の構成のものと適宜置換することが可能である。また、送出装置は、取込通路等の一部の構成を上皿パネルの前面側に配設することもできる。
また、上記実施例の送出装置は、上皿パネルに固定される固定部と、パネルに対して傾動する下方の傾動部とで構成されているが、装置全体を上皿パネルに対して傾動させても構わない。また、傾動部は一体である必要はなく、複数の傾動部を別々に軸支することもできる。また、実施例では、傾動部を、杆状の支軸を介して前後に傾動可能となるように保持しているが、傾動部を前後に傾動可能とするものならば、傾動部を軸支する機構は特に限定されるものではなく、支軸の形態も自由に変更できる。
また、上記実施例のスロットマシンは、上皿パネルの開放状態で送出装置が退避状態に維持されるようにしているが、必ずしも、送出装置は退避状態に維持する必要はない。例えば、上皿パネルの開放時に、送出装置が取付板部や下皿部材を乗り越えさせた後は、通常状態に復帰させて、上皿パネルを閉止する際に、作業者が直接送出装置を退避状態に変換して、取付板部の背面側に復帰させても構わない。
さらに、実施例では、上皿パネルと、上皿パネル上方の前扉は、前枠4に対して別々に枢支されているが、本発明に係る上皿パネルは、上方の前扉と一体形成されて前枠に枢支されるものであっても構わない。