JP2006280230A - 冷菓製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷却シリンダ内で製造した冷菓の全量取出を確実に実施できる冷菓取出機構を備えている冷菓製造装置を提供すること。
【解決手段】冷却シリンダ11内のミックスを空気とともに撹拌・混合しながら冷却して冷菓を製造する冷菓製造装置が、ミックスを空気とともに収容する筒状の冷却シリンダ11と、冷却シリンダ11内のミックスを所望の温度に冷却して固化させる冷却装置と、冷却シリンダ11内のミックス及び空気を冷却しながら撹拌し、順次固化するミックスの固形分とミックス及び空気とを混合して練り上げる撹拌ユニット40と、冷却シリンダ11内の軸方向に配設されて所定位置で回動する外ネジが形成されたピストン軸61のボールネジ部61aとの螺合により内周面11aに沿って軸方向へ移動し、冷却シリンダ11内で練り上げられた冷菓を押し出すピストン装置60とを具備して構成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、ソフトクリーム等の冷菓を製造する際に用いられる冷菓製造装置に関するものである。
従来より、たとえばソフトクリームやシェーク等の冷菓を製造する冷菓製造装置が広く普及している。この冷菓製造装置は、たとえばソフトクリームを製造する場合、一般的には牛乳ベースの液体原料(以下では「ミックス」と呼ぶ)を適量の空気とともに冷却シリンダ内に入れ、これを撹拌しながら所定温度に冷却して製造する。また、従来の冷菓製造装置は、比較的大きな容量(概ね冷菓20〜30個分)の冷却シリンダを備えた装置で開店時に予めシリンダ内に冷菓を作り置きし、冷菓の販売により減少した分については、冷却シリンダ内にミックスを追加供給して順次冷菓を補充するように構成されている。
このような冷菓製造装置においては、ミックスの撹拌及び冷菓の取り出しを行うため、冷却シリンダ内で回転する螺旋状のブレードが設けられている。(たとえば特許文献1参照)
また、冷却シリンダ内に嵌挿した摺動自在のピストンを用いて冷菓を取り出す装置において、冷菓を収納したパックの交換時期を適正に知るため、ピストン動作用のブラインを貯蔵しているタンク内のブライン液面を検出するフロートスイッチを設けておき、この検出信号でピストンの後退動作を自動的に、かつ適正なタイミングで行う技術が開示されている。(たとえば、特許文献2参照)
実開昭55−164985号公報 特開2003−174846号公報
ところで、上述した従来の冷菓製造装置は、予め作り置きした冷菓を順次取り出して販売する方式であったが、近年においては、注文を受けてから短時間で冷菓を製造して販売する方式の装置が望まれている。このような受注生産方式の装置では、急速冷却により短時間で製造したできたての冷菓を販売することになるため、少量(たとえば1個分から数個分程度)の冷菓を製造して全量を取り出すことが必要となる。
これに対し、上述した螺旋状のブレードを回転させる方式の従来技術では、冷菓を取り出すたびにミックスを補充するため、冷却シリンダ内には常に十分な冷菓が存在して1個分程度の少量を取り出すような状況になることはない。このため、螺旋状ブレードを回転させて冷菓を取り出すことについて、通常は特に問題となることはない。
しかし、まんがいちミックスを補充することなく冷菓を取り出すような状況になった場合には、冷却シリンダ内の冷菓が少量の状態になると螺旋状ブレードによる推進力を得ることができず、結果として冷菓の取り出しは困難になる。すなわち、螺旋状ブレードを回転させて冷菓を取り出す方式では、冷却シリンダ内の冷菓を全量取り出すことができないという問題を有している。
このような背景から、急速冷却を行って受注生産を行う冷菓製造装置においては、従来の螺旋状ブレードに代わり、冷却シリンダ内で製造した冷菓の全量を確実に取り出すことができ、しかも、衛生面にも配慮した冷菓取出機構の開発が必要となる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、冷却シリンダ内で製造した冷菓の全量取出を確実に実施できる冷菓取出機構を備えている冷菓製造装置を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明に係る冷菓製造装置は、容器内の液体原料を空気とともに撹拌・混合しながら冷却して冷菓を製造する冷菓製造装置であって、
各々が開閉手段を有する前記液体原料の入口開口部及び前記冷菓の出口開口部を備え、前記液体原料を空気とともに収容する筒状の容器と、
前記容器内の液体原料を所望の温度に冷却して固化させる冷却手段と、前記容器内の液体原料及び空気を冷却しながら撹拌し、順次固化する前記液体原料の固形分と前記液体原料及び空気とを混合して練り上げる撹拌・混合手段と、前記容器内の軸方向に配設されて所定位置で回動する外ネジが形成された回動軸との螺合により前記容器の内周面に沿って軸方向へ移動し、前記容器内で練り上げられた冷菓を開状態とした前記出口開口部から容器外へ向けて押し出す冷菓取出手段とを具備して構成したことを特徴とするものである。
このような冷菓製造装置によれば、冷菓取出手段が、容器内の軸方向に配設されて所定位置で回動する外ネジが形成された回動軸との螺合により、容器の内周面に沿って軸方向へ移動し、容器内で練り上げられた冷菓を開状態とした前記出口開口部から容器外へ向けて押し出すピストンとして作用するので、容器内にある略全量の冷菓を確実に取り出すことができる。また、冷菓取出手段が螺合して移動する回動軸は低温の容器内で回動する構成であるから、液体原料と接触する部品は外気に晒されることがなく衛生的である。
上記の冷菓製造装置において、前記冷菓取出手段は、独自の駆動源に連結されて回転する前記撹拌・混合手段と連れ回りし、前記回動軸が前記撹拌・混合手段の回転軸とクラッチ機構を介して接続されていることが好ましく、これにより、クラッチ機構を操作することにより、回動軸を単独で回動させて冷菓取出手段を所望の方向へ移動させることができる。
この場合、前記クラッチ機構を解放状態とし、前記回動軸と前記回転軸との間に回転数差を設けて前記冷菓取出手段を移動させることにより、駆動源として一方向にのみ回転する安価な電動機を使用した往復移動が可能となる。
なお、前記クラッチ機構を解放状態とし、前記回動軸と前記回転軸の回転方向を異なる向きとして前記冷菓取出手段を移動させることにより、往復移動の即応性や高速性を向上させる構成も採用し得る。
また、上記の冷菓製造装置において、前記容器は、前記冷菓取出手段が移動する方向の前後に吸排気孔を備えていることが好ましく、これにより、冷菓取出手段のスムーズな移動が可能になる。
上述した本発明の冷菓製造装置によれば、冷菓取出手段が容器内の軸方向に配設した回動軸との螺合により容器の内周面に沿って軸方向へ移動し、容器内で練り上げられた冷菓を開状態とした出口開口部から容器外へ向けて押し出すピストンとして作用するので、容器内にある略全量の冷菓を確実に取り出すことができる。また、冷菓取出手段及び回動軸は低温の容器内から外に出ることのない構成であるから、液体原料と接触する部品が外気に晒されることはなく、従って、雑菌の繁殖等を防止して衛生的な冷菓製造装置を提供することができる。
以下、本発明に係る冷菓製造装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図2の概略構成図において、冷菓製造装置10は、容器内のミックス(液体原料)を撹拌しながら冷却してソフトクリームやシェーク等の冷菓を製造する装置である。この冷菓製造装置10は、ミックスを空気とともに収容する円筒形状の筒状容器(以下、「冷却シリンダ」と呼ぶ)11と、冷却シリンダ11内のミックスを所望の温度に冷却して固化させるヒートポンプ式の冷却装置30と、冷却シリンダ11内のミックス及び空気を冷却しながら撹拌し、順次固化されるミックスの固形分とミックス及び空気とを混合して練り上げる撹拌ユニット(撹拌・混合手段)40と、冷却シリンダ11の内周面に沿って軸方向へ移動することでシリンダ11内に練り上げられた(できあがった)冷菓をピストン本体62が押し出して取り出すピストン装置(冷菓取出手段)60とを具備して構成される。なお、図示の冷菓製造装置10は、各種の設定及び運転制御を行う制御部(不図示)を備えている。
冷却シリンダ11は、適量の空気とともにミックスを収容するが、たとえば図1に示すように、円筒形状の上端部に設けたミックス注入用の入口開口部12と、円筒形状の一端部側開口を利用した冷菓取出用の出口開口部13とを備えている。入口開口部12は、手動または自動により所望のミックスをシリンダ11内に供給するミックス供給系14に連結されている。なお、入口開口部12及び出口開口部13には、それぞれに後述する開閉手段が設けられている。
また、冷却シリンダ11の軸方向両端部近傍には、シリンダ11内に外部の空気を吸入したり、シリンダ11内の空気を外部へ排気したりするため、吸排気口15,16が設けられている。これらの吸排気口15,16は、適所にバルブ17を配設した配管18で連結され、配管18の先端にはエアフィルタ19が取り付けられている。なお、冷却シリンダ11の外側には、ピストン装置60の位置を検出する近接スイッチ等の位置検出手段20が設けられており、図1に示す例では、たとえば基準位置、冷菓製造位置及び冷菓取出完了位置の3箇所に設置されている。
冷却シリンダ11の外周面には、冷却シリンダ11内のミックスを所望の温度に冷却して固化させるため、図2に示すように、冷却装置30の構成要素となる銅チューブ31aが冷却能力を増すため密に巻き付けられている。この銅チューブ31a内は、冷菓製造時に液冷媒が流れるので、この液冷媒が気化することにより冷却シリンダ11内のミックスを冷却することができる。
ここで、冷却装置30の構成例を図2に基づいて簡単に説明する。
この冷却装置30は、ガス冷媒を圧縮して閉回路の冷凍サイクルに送出する電動の圧縮機32と、圧縮機32の下流で冷媒の循環方向を切り替える四方弁33と、冷媒と外気との間で熱交換を行う第1熱交換器34と、冷媒を減圧する絞り機構35と、銅チューブ31a内を流れる冷媒と冷却シリンダ11内のミックスとの間で熱交換を行う第2熱交換器36と、これらの各機器を連結することで冷媒が循環する閉回路を形成する銅チューブ31とを具備して構成される。なお、図2において、図中の符号37はレシーバ、38は電動ファンである。
上述した冷却装置30は、四方弁33の操作により、冷媒の循環方向の選択切替が可能となる。
すなわち、第1熱交換器34に圧縮機32から高温高圧のガス冷媒を供給するとともに、第2熱交換器36に液冷媒を供給する冷菓製造時の冷媒循環方向と、これとは逆方向に循環して第2熱交換器36に高温高圧のガス冷媒を供給するとともに、第1熱交換器34に液冷媒を供給する加熱殺菌時の冷媒循環方向とがあり、運転に応じていずれか一方を選択することができる。従って、図中に矢印で示す冷菓製造時の冷媒循環方向では、第1熱交換器34が凝縮器として機能し、第2熱交換器36が蒸発器として機能するが、加熱殺菌時の冷媒循環方向では、第2熱交換器36が凝縮器として機能し、第1熱交換器34が蒸発器として機能する。
撹拌ユニット40は、冷却シリンダ11内のミックス及び空気を冷却しながら撹拌し、順次固化していくミックスの固形分と、ミックス及び空気とを混合して練り上げる機能を有するものである。この撹拌ユニット40は、図3ないし図5に示すように、冷却シリンダ11の内周面11aに沿って回転する板状部材の撹拌羽根(撹拌板)41と、同内周面11aから所定の距離をもって回転する棒状部材の混合棒42とが撹拌用回転軸43に固定支持されて一体に回転する撹拌回転体44を備えている。
なお、撹拌用回転軸43は、たとえば図2に示すように、出口開口部13の反対側で冷却シリンダ11の外側に突出し、同回転軸43に固着されたプーリ45が撹拌用電動機46の出力軸46aに固着されたプーリ47とベルト48を介して連結されている。
撹拌羽根41は、冷却シリンダ11内の軸方向において、2枚の細長い板状部材が略全長をカバーするように設けられている。この撹拌羽根41は、板状部材の外周側端部が内周面11aとの間に微小隙間を形成するようにして、両端部を円形支持部材49,50に固定支持されている。
混合棒42は、冷却シリンダ11の軸方向において撹拌羽根41と同様の範囲をカバーする長さを有し、内周面11aとの間に形成される距離は、上述した撹拌羽根41の微小隙間より大きな値に設定される。この混合棒42は、たとえば円形断面、三角形及び四角形等の多角形断面とした中実または中空の棒材であり、その両端部は円形支持部材49,50に固定支持されている。
また、図示の撹拌ユニット40は、冷却シリンダ11の軸方向と平行な2枚の撹拌羽根41及び2本の混合棒42を備えており、各々が冷却シリンダ11の円周方向に90度ピッチで交互に配設されている。このようにして一体化された撹拌回転体44は、一方の円形支持部材50に撹拌用回転軸43を固定した構成とされる。なお、撹拌ユニット40を構成する撹拌羽根41及び混合棒42の数については、複数であれば特に限定されることはない。
また、撹拌用回転軸43及び円形支持板49,50の軸中心部には、後述するピストン装置60を配設するため、貫通孔51,52,53が設けられている。なお、貫通孔52には、後述するピストン装置60のピストン軸61を回動自在に支持する軸受54が収納設置されてもよい。
ピストン装置60は、ピストン本体62が冷却シリンダ11の内周面11aに沿って軸方向へ移動し、同シリンダ11内で練り上げられて完成した冷菓を開状態とした出口開閉部13からシリンダ外へ押し出して取り出す機能を有している。このピストン装置60において、ピストン本体62は、たとえば図1に示すように、ピストン軸61の出口開口部13側に形成されたボールネジ部61aと螺合している。ボールネジ部61aは、冷却シリンダ11内の軸方向に配設され、所定位置での回動が自在に支持されたピストン軸61の外周面に外ネジを形成した部分である。なお、ピストン軸61は、ボールネジ部61aの他端側に設けた回動軸部61bが、ボールネジ回動用の駆動機構63に連結された構成とされる。
また、ピストン装置60のピストン本体62は、冷菓製造時に所望の冷菓製造位置まで移動することにより、冷却シリンダ11内の冷菓製造領域を外部から遮断して閉じる入口開口部12の開閉手段としても機能する。なお、図1に実線で示すピストン本体62は、最も後退した基準位置にある。
ピストン本体62は、ボールネジ部61aと螺合する内ネジが形成されたナット側の部材となるので、ボールネジ部61aが同一位置で回動することにより、ボールネジ部61aをガイドとして冷却シリンダ11内を軸方向に往復移動する。
ピストン本体62の先端面には、円形支持板49の貫通孔53に嵌合して略平坦な先端面を形成する凸部62aを備えている。また、図1に示したように、必要に応じ、ピストン本体62の外周側には、冷却シリンダ11の内周面11aに密着するように、たとえば柔軟なシリコンゴム製等のパッキン68を取り付ける構成としても良い。
そして、ピストン本体62には、上述した撹拌羽根41及び混合棒42を貫通させる切欠溝62b及び貫通孔62cが円周方向へ90度ピッチで交互に設けられている。このため、撹拌羽根41及び混合棒42は、ピストン本体62のスムーズな摺動を助けるガイド部材としても機能する。なお、撹拌羽根41と切欠溝62bとの間、及び混合棒42と貫通孔62cとの間については、ピストン本体62が軸方向へ摺動する動作を妨げない最小隙間となるよう寸法設定され、冷菓がピストン後方へ漏出しないようにしてある。
駆動機構63は、ピストン軸61を回動させてピストン本体62を軸方向へ往復移動させる機能を有しており、たとえば図1及び図2に示すように、ピストン軸61と連結されたプーリ64が電動機65の駆動軸65aに固定されたプーリ66とベルト67を介して連結され、ピストン軸61がベルト駆動されるようになっている。
また、ピストン軸61と撹拌用回転軸43との間は、電磁クラッチ70を介して接続されている。このため、電磁クラッチ70が接続状態にあれば、ピストン軸61及び撹拌用回転軸43が一体に回転し、電磁クラッチ70が解放された状態では、ピストン軸61及び撹拌用回転軸43が各々独立して回転可能となる。
冷却シリンダ11には、出口開口部13を塞ぐようにしてプランジャ装置80が設けられている。
このプランジャ装置80は出口開口部13の開閉手段であり、冷却シリンダ11内で冷菓を製造して取り出す製造工程において、筒状としたケーシング81内の軸方向にプランジャ本体82がスライドすることにより、実線で示した冷菓製造位置及び想像線で示した冷菓取出位置の2段階にわたって移動する切替弁機構である。また、出口開口部13を塞ぐケーシング81の側壁には、出口開口部13と連通する位置に冷菓取出開口83が設けられている。この冷菓取出開口83は、プランジャ本体82が冷菓製造位置にある時閉じられ、プランジャ本体82が冷菓取出位置ある時開かれる。
また、図示の例では、電動シリンダ84及びリンク機構85を介してプランジャ本体82が動作する構成とされ、ケーシング81の軸方向が鉛直方向となるよう配置して上下両端部を開口させているので、プランジャ本体82のスライド方向は、水平方向とした冷却シリンダ11の軸方向と直交するようになっている。なお、上述したプランジャ本体82のスライド動作は、電動シリンダ84を駆動源とする自動操作に限定されることはなく、他と駆動源を用いたり、あるいは手動としてもよい。
また、上述したプランジャ装置80は、ケーシング81の下端出口81aに、必要に応じて図示省略の出口型部材を設けることができる。この出口型部材を設けることにより、たとえば星形など所望の断面形状にして冷菓を取り出すことができる。
続いて、上述した構成の冷菓製造装置について、冷菓製造の手順とともに動作を説明する。
最初に、電源投入により電磁クラッチ70を解放し、電動機65を駆動させることにより、ピストン軸61を回動させてピストン本体62を移動させ、冷却シリンダ11内の基準位置に位置合わせするゼロ点調整を実施する。このとき、プランジャ装置80は、冷菓製造位置に設定されている。また、電動機65は回転方向を正逆両方向に選択切換可能とされ、その回転方向に応じてピストン本体62の移動方向を変えることができる。なお、ピストン本体62のゼロ点調整は、基準位置を検出する位置検出手段20の信号が図示省略の制御部に入力されることで完了する。
ゼロ点調整が完了した後には、電磁クラッチ70を接続してピストン軸61と撹拌用回転軸43とを連結する。
この後、冷却装置30を運転し、冷却シリンダ11内を所定の低温に冷却して維持する予冷却運転を実施する。この予冷却運転では、撹拌用電動機46を駆動して撹拌回転体44を低速で回転させる。この結果、ピストン軸61と撹拌用回転軸43とが同一回転数で回転するため、ピストン本体62は撹拌回転体44と一体に回転して軸方向に移動することはない。
この予冷却運転中に冷菓製造のスイッチが操作されると、ミックス供給系14から冷菓製造個数に対応する所定量のミックスが注入される。
ミックスの注入が完了すると、冷却シリンダ11の冷菓製造容積を冷菓製造個数に対応する最適値とするため、換言すれば、冷菓製造個数に最適なミックス及び空気の混合割合にして所望のオーバーラン(冷菓中の空気容積比率)とするため、ピストン本体62を移動させる。このため、撹拌用電動機46を停止するとともに、電磁クラッチ70を解放して電動機65を回転させると、撹拌回転体44とともに回転を停止した状態のピストン本体62に対してピストン軸61と一体にボールネジ部61aが回転するので、ピストン本体62はボールネジ部61aに沿って冷却シリンダ11の軸方向へ移動を開始する。
こうしてピストン本体20が冷菓製造個数に対応した冷菓製造位置に到達すると、好ましくは位置検出手段20により冷菓製造位置に到達したことを確認した時点で電動機65の運転を停止する。このようなピストン本体62の移動時には、バルブ17を開いて冷却シリンダ11の内外で空気の流通を可能とし、ピストン本体62の移動をスムーズにするとともに、冷却シリンダ11内の空気量を調整する。
こうして冷菓製造容積が規定されると、入口開口部12がピストン本体62により閉じられ、かつ、バルブ17も閉じられるため、冷却シリンダ11の冷菓製造容積内は密閉状態となり、冷菓製造の準備が完了する。
この後、電磁クラッチ70を接続し、撹拌用電動機46を駆動して撹拌回転体44を回転させるとともに、冷却シリンダ11内の冷却能力を予冷運転時より増して冷菓製造を開始する。この結果、ピストン本体62は、ボールネジ部61aと同一回転数で撹拌回転体44とともに回転するため、軸方向に移動することはない。そして、撹拌回転体44の回転により、内周面11aに付着したミックスの固形分が掻き取られ、さらに、この固形分がミックス及び空気とともに撹拌混合されるため、冷菓製造容積内の内容物が練り上げられて冷菓の製造が行われる。
このような冷菓製造の運転は、たとえば冷菓の完成により撹拌回転体44の負荷が所定値まで上昇したことを検出するなどして停止される。すなわち、撹拌回転体44の運転が停止され、さらに、ピストン本体62及びピストン軸61も一体の回転を停止する。
冷菓が完成した後には、冷却装置30を予冷運転時の冷却能力に下げ、かつ、電磁クラッチ70を解放して冷菓取出運転に移行する。
冷菓取出運転では、プランジャ装置80のプランジャ本体82を冷菓取出位置に移動させて冷菓取出開口83を開とし、完成した冷菓をピストン本体62により押し出して取り出す。このとき、電動機65を駆動してピストン軸61を回転させると、一体のボールネジ部61aが単独で回転して螺合するピストン本体62を冷菓取出開口83の方向へ移動させる。すなわち、ピストン本体62は撹拌回転体44とともに停止して摺動可能な状態にあるため、回転するボールネジ部61aとの螺合により、ピストン本体62は撹拌羽根41及び混合棒42をガイドとし、冷菓シリンダ11内をボールネジ部61aに沿って軸方向へ直線移動して冷菓を押し出す。なお、冷菓取出中、撹拌装置や押出装置の凍結を防ぐため、電動機46を駆動して撹拌器やピストンを回転させておいてもよい。
具体的には、クラッチ70を開放し撹拌用電動機46を駆動して撹拌回転体44を回転させた状態で、電動機65を停止してピストン軸61を回転させない運転パターンや、電動機65を正転または逆転させてピストン本体62を移動させる運転パターンなどによる制御を取出中に行ってもよい。
ピストン本体62は、凸部62aの先端面がプランジャ装置80に当接する冷菓取出完了位置まで移動可能であり、この冷菓取出完了位置は、位置検出手段20がピストン本体62を検出した信号により認識される。そして、ピストン本体62が冷菓取出完了位置に到達すると、位置検出手段20の検出信号を受けて電動機65の駆動を停止する。この結果、ボールネジ部61aの回転及びピストン本体62の移動が停止し、冷却シリンダ11内の冷菓は、冷却シリンダ11内を軸方向に移動したピストン本体62により全量が押し出される。
こうして冷菓の取出運転が終了すると、プランジャ装置80のプランジャ本体82を冷菓製造位置に移動させて冷菓取出開口83を閉じ、次の冷菓製造に備えてピストン本体62を基準位置に戻してゼロ点調整を実施する。このゼロ点調整では、電磁クラッチ70を解放した状態で電動機65を逆転させ、ボールネジ部61aと螺合するピストン本体62を後退させる。このようなゼロ点調整は、冷菓製造容積により変化するオーバーランを所望の値に保つため必要となる操作であり、この場合も基準位置に設けた位置検出手段20の検出信号を使用して電動機65の駆動を停止する。
なお、ゼロ点調整が終了した後には、電磁クラッチ70を接続し、撹拌用電動機46を駆動して撹拌回転体44を低速で回転させながら、上述した予冷却運転を行って次の注文を待つ。
ところで、上述した実施形態の説明では、ピストン本体62を移動させる場合、電磁クラッチ70を解放して電動機65のみを駆動する方式を採用したが、この他にも下記に説明する変形例の方式が可能である。
第1の変形例では、電磁クラッチ70を解放して撹拌用電動機46のみを駆動することにより、ピストン本体62が撹拌回転体44とともに回転して停止状態のボールネジ部61aに沿って軸方向の移動をする。この場合、撹拌用電動機46の回転方向を切換可能とすれば、ピストン軸61を回転させるプーリ64,66、電動機65及びベルト67が不要となって部品点数の低減が可能となる。なお、冷菓製造運転時には、電磁クラッチ70を接続することにより、ピストン本体62及び撹拌回転体44とともにボールネジ部61aも同じ回転数で回転することになるので、ピストン本体62は所望の位置から移動することなく撹拌混合して冷菓を製造することができる。
第2の変形例では、電磁クラッチ70を解放し、撹拌用電動機46及び電動機65に回転数差を設けて両方を駆動する。この結果、両電動機の回転数差に応じて、ピストン本体62とボールネジ部61aとの間にも同様の回転数差が生じるので、ピストン本体62は回転数差の正負に応じて軸方向のいずれか一方に移動する。この場合、撹拌用電動機46及び電動機65には回転方向が一方向の安価な電動機を使用できるから、回転方向の切換が可能な電動機と比較してコストを低減することができる。
また、他の変形例としては、電磁クラッチ70を解放し、撹拌用電動機46及び電動機65の回転向きを異なる向きとして両方を駆動する構成も採用し得る。この構成を採用した装置においては、正転逆転の双方において、ピストン移動速度を大きくでき、即応性のある冷菓押出装置を提供できる。
このように、上述した本発明の冷菓製造装置10によれば、冷菓の取り出しを行うピストン本体62が冷却シリンダ11内の軸方向に配設したピストン軸61のボールネジ部31aとの螺合により、冷却シリンダ11の内周面11aに沿って軸方向へ移動し、冷却シリンダ11内で練り上げられた冷菓を開状態とした出口開口部13から冷菓取出開口83を通って冷却シリンダ11外へ押し出すピストンとして作用するので、冷却シリンダ11内にある略全量の冷菓を確実に押し出して取り出すことができる。
また、ミックスと接触するピストン本体62及びピストン軸61のボールネジ部61aは、何れも低温の冷却シリンダ11内で動作するので、外部に露出して外気に晒されるようなことはなく、従って、雑菌の繁殖等を防止して衛生的な冷菓製造装置を提供することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
本発明に係る冷菓製造装置の一実施形態として、要部の構成例を示す断面図である。 本発明に係る冷菓製造装置の概略構成例を示す図である。 図1のA−A断面図である。 図1のB−B断面図である。 図1の主要構成部品形状例を示す図で、(a)は撹拌回転体を示す正面図、(b)はピストン軸及びピストン本体を示す正面図である。
符号の説明
10 冷菓製造装置
11 冷却シリンダ
12 入口開口部
13 出口開口部
30 冷却装置(冷却手段)
40 撹拌ユニット(撹拌・混合手段)
41 撹拌羽根
42 混合棒
43 撹拌用回転軸
44 撹拌回転体
60 ピストン装置(冷菓取出手段)
61 ピストン軸
61a ボールネジ部
61b 回動軸部
62 ピストン本体
62a 凸部
62b 切欠溝
62c 貫通孔
63 駆動機構
70 電磁クラッチ
80 プランジャ装置
81 ケーシング
82 プランジャ本体
83 冷菓取出開口

Claims (5)

  1. 容器内の液体原料を空気とともに撹拌・混合しながら冷却して冷菓を製造する冷菓製造装置であって、
    各々が開閉手段を有する前記液体原料の入口開口部及び前記冷菓の出口開口部を備え、前記液体原料を空気とともに収容する筒状の容器と、
    前記容器内の液体原料を所望の温度に冷却して固化させる冷却手段と、
    前記容器内の液体原料及び空気を冷却しながら撹拌し、順次固化する前記液体原料の固形分と前記液体原料及び空気とを混合して練り上げる撹拌・混合手段と、
    前記容器内の軸方向に配設されて所定位置で回動する外ネジが形成された回動軸との螺合により前記容器の内周面に沿って軸方向へ移動し、前記容器内で練り上げられた冷菓を開状態とした前記出口開口部から容器外へ向けて押し出す冷菓取出手段とを具備して構成したことを特徴とする冷菓製造装置。
  2. 前記冷菓取出手段は、独自の駆動源に連結されて回転する前記撹拌・混合手段と連れ回りし、前記回動軸が前記撹拌・混合手段の回転軸とクラッチ機構を介して接続されていることを特徴とする請求項1に記載の冷菓製造装置。
  3. 前記クラッチ機構を解放状態とし、前記回動軸と前記回転軸との間に回転数差を設けて前記冷菓取出手段を移動させることを特徴とする請求項2に記載の冷菓製造装置。
  4. 前記クラッチ機構を解放状態とし、前記回動軸と前記回転軸の回転方向を異なる向きとして前記冷菓取出手段を移動させることを特徴とする請求項2に記載の冷菓製造装置。
  5. 前記容器が、前記冷菓取出手段が移動する方向の前後に吸排気孔を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の冷菓製造装置。
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