JP2006278847A - 等長配線構造、該等長配線構造を備えた記録装置及び電子機器 - Google Patents

等長配線構造、該等長配線構造を備えた記録装置及び電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】 複数の信号の送受信により等長配線から輻射されるノイズを低減させることができる等長配線構造、その等長配線構造を備えた記録装置及び電子機器を提供することにある。
【解決手段】主制御基板11上に形成されたCPU10と、主制御基板11上にCPU10と離間して形成されたRAM13とを、主制御基板11上に形成された複数の等長配線12にて接続し、信号の送受信を行った。更に、複数の等長配線12のうち、所定の一の配線12a以外の配線12b及び12cの迂回延長配線部14b及び14cを渦巻状に形成した。 これにより、複数の信号を送受信しても、反射が発生し難くなり、上記等長配線12から輻射されるノイズを低減させることができる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、記録装置等の電子機器に用いられる基板等に形成される等長配線の配線構造に関する。
従来から記録装置等の電子機器にはプリント配線基板が内蔵されている。プリント配線基板には、同期した複数の信号を送信する回路と上記信号を受信する他の回路とが実装されている。上記の同期した複数の信号は、略同時に他の回路に受信される必要がある。略同時に受信されない場合、プリント配線基板に形成された回路の誤動作又は誤不動作が発生する可能性を否定できない。そこで、上記の各信号が、上記の回路から他の回路に伝送される間にかかる時間、すなわち、信号伝搬遅延時間を同じにしている。具体的には、上記の回路間を等長配線で接続している。
しかし、プリント配線基板のレイアウトによっては、単に上記回路間を接続しただけでは、等長配線の配線長を等しくできない場合もある。そこで、従来から、長さ調整のため、等長配線に迂回延長配線部を形成している。具体的には、各回路間を接続した場合に最も配線長が長くなる等長配線の配線長に合わせて、長さ調整した迂回延長配線部を他の等長配線にそれぞれ形成している。この迂回延長配線部には、等長配線に対して、いわゆる、ミアンダ形状で迂回延長させているものがある。(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−152290号公報
上述した従来の等長配線構造では、迂回延長配線部が、いわゆる、ミアンダ形状で迂回延長しているため、多数の折り返し部が存在し、これら折り返し部では、迂回延長配線部を通過する信号による反射が発生し易く、輻射ノイズの原因となっていた。発生した輻射ノイズは、記録装置等の電子機器の筐体に伝播して、外部に放出される。しかし、規格上、記録装置等の電子機器全体から輻射される電磁波について、最大許容値が規定されていることから、輻射ノイズの値が大きいと外部に放出される電磁波も大きくなり、上記の最大許容値以下にならないといった問題があった。また、反射が発生すると、上記信号の波形に乱れが生じ、複数の信号の伝送に影響を与える虞れも否定できない。
また、上述したミアンダ形状の迂回延長配線部を形成する等長配線構造では、ミアンダ形状の迂回延長配線部が、全体としてある程度の長さと幅を有することから、基板上比較的大きなスペースを必要としていた。このため、基板上の他の回路のレイアウト等に制約を与える場合があった。
本発明は、上記のような種々の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、複数の信号を送受信しても、等長配線を反射の発生し難い形状にすることで、等長配線から輻射されるノイズを低減させることができる等長配線構造、その等長配線構造を備えた記録装置及び電子機器を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、等長配線の形状を変更することで、等長配線から輻射されるノイズを低減させつつ、基板上の等長配線のスペースを削減することができる等長配線構造、その等長配線構造を備えた記録装置及び電子機器を提供することにある。
上記目的達成のため、本発明の等長配線構造では、基板上に形成された第1の回路と、前記基板上に前記第1の回路と離間して形成された第2の回路とを、前記基板上に形成された複数の等長配線にて接続し、信号の送受信を行う等長配線構造において、前記複数の等長配線のうち、所定の一の配線以外の配線の一部を渦巻状に形成したことを特徴としている。ここに、「所定の一の配線」とは、「第1の回路」と「第2の回路」とを接続する複数の等長配線のうち、迂回延長配線部を形成しない一の配線である。「所定の一の配線以外の配線」とは、「第1の回路」と「第2の回路」とを接続する複数の等長配線のうち、迂回延長配線部を形成する1以上の配線である。本発明は、この迂回延長配線部を形成する一以上のそれぞれの配線の一部、すなわち、迂回延長配線部を渦巻状に形成する。
これにより、複数の信号を送受信しても、ミアンダ形状の迂回延長配線部と異なり、反射が発生し難くなるので、上記等長配線から輻射されるノイズを低減させることができる。また、渦巻状の迂回延長配線部は、全体として、それほどのスペースを必要としないので、基板上に形成された複数の等長配線のスペースを削減することもできる。
また、本発明の等長配線構造では、前記渦巻状に形成した配線の一部は、各配線の長手方向において略同じ箇所に形成されたことを特徴としている。これにより、等長配線が形成されていない基板上のスペースに他の回路を容易に配置することができ、上記の基板上のスペースを有効活用することができる。
また、本発明の等長配線構造では、前記基板は、主制御基板であることを特徴としている。主制御基板上には、複数の信号を送受信する回路が多数形成されており、輻射ノイズが発生し易かったが、これにより、主制御基板上の輻射ノイズを効率良く低減することができる。
また、本発明の記録装置では、記録媒体に記録する記録装置であって、上記の等長配線構造を備えたことを特徴としている。これにより、複数の信号を送受信しても、反射が発生し難くなり、上記等長配線から輻射されるノイズを低減させることができる等長配線構造を備えた記録装置を提供することができる。
また、本発明の電子機器では、上記の等長配線構造を備えたことを特徴としている。これにより、複数の信号を送受信しても、反射が発生し難くなり、上記等長配線から輻射されるノイズを低減させることができる等長配線構造を備えた電子機器を提供することができる。
本発明に係る「電子機器」の一例として、記録装置1を取り上げて、本発明の第1の実施形態について、図1乃至図5を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また、本実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本発明の実施形態に係る記録装置1の外観を示す斜視図である。図1に示す記録装置1は、上部カバー2、上部ハウジング3及び下部ハウジング4を有し、前面には、開口した挿入口5が設けられている。この挿入口5へ被記録物8が挿入されると、記録装置1により被記録物8に記録が行われ、被記録物8が挿入口5から排出される。
図2は、記録装置1に内蔵された主制御基板11と電源基板9及びその周辺付近を示す斜視図である。図2の中央右付近には、パワー系部品やロジック系部品が実装され、記録装置1に内蔵されている各装置を制御する主制御基板11が配設されている。更に、主制御基板11の左隣りには、電源の1次側部品群51が実装される電源基板9が水平方向に配設されている。
主制御基板11は、各種コネクタが配設されるコネクタ領域41、パワー系部品が実装されるパワー系部品実装領域42、ロジック系部品が実装されるロジック系部品実装領域43を含む。
パワー系部品実装領域42には、例えば、図示しないモータードライバ、ヘッドドライバ等のパワー系部品、これらより発生する熱を放出させるためのヒートシンク42a、42bが実装されている。
ロジック系部品実装領域43には、CPU10、RAM13等のロジック系部品が実装され、記録装置1の背面に配設されたインターフェイス部44とアクセスが容易な位置にロジック系部品実装領域43は設けられている。
コネクタ領域41、パワー系部品実装領域42、ロジック系部品実装領域43に実装された各種部品は、主制御基板11に設けられた図示しない回路パターンを介して接続されている。
図3は、本発明の特徴部分である渦巻状の等長配線構造を適用した主制御基板11のCPU10周辺の拡大平面図である。図3に示すように、第1の実施形態に係る主制御基板11は、電子部品(回路)として、CPU10及びRAM13を面実装している。更に、主制御基板11上には、CPU10及びRAM13を接続する3本の等長配線12(12a、12b及び12c)が形成されている。ここで、CPU10は同期式制御により論理演算処理を実施し、出力として、クロック信号に同期したデータ信号及びアドレス信号を送信している。RAM13は、CPU10から送信された上記信号(クロック信号、データ信号及びアドレス信号)を受信し、所定のアドレスにデータを格納する。そのため、上記信号が、CPU10からRAM13に伝送される時間、すなわち、信号伝搬遅延時間を同じにする必要がある。そこで、配線長が等しい等長配線でCPU10及びRAM13を接続している。
しかし、主制御基板11のレイアウトの都合上、図3に示すように、CPU10をRAM13の直線状に配置できない場合がある。この場合、等長配線12の途中で曲がり角部15を形成することになる。しかし、上記曲がり角部15があると、曲がり角部15の最内側の等長配線12cと最外側の等長配線12aの配線長が異なり、配線長を等しくできない。そこで、配線長が最も長い等長配線12aの配線長に合わせて、等長配線12b及び12cの配線長を調整している。
具体的には、CPU10及びRAM13間を接続した場合に最も配線長が長くなる等長配線12aの配線長に合わせて、長さ調整した迂回延長配線部14(14b及び14c)を等長配線12b及び12cにそれぞれ形成している。図3では、迂回延長配線部14を、本発明の特徴部分である渦巻状に形成している。ここで、迂回延長配線部14bは、迂回延長配線部14cに比べて巻数が少なくなっている。巻数を変えることで、曲がり角部15の最内側を曲がる等長配線12cと、中央を曲がる等長配線12bとの配線長の差を調整している。なお、後述するが、迂回延長配線部14を本発明の特徴部分である渦巻状に形成することで、反射が発生し難くなり、輻射ノイズを低減させることができる。
また、図3には、スペース18(点線)及び迂回延長配線部14d、14e及び14f(点線)が示されている。スペース18は、等長配線12が形成されていない主制御基板11のスペースである。スペース18には、主制御基板11の他の回路(実装部品及び配線)が形成される。また、後述するが、迂回延長配線部14d、14e及び14fは、等長配線12の本数を増加した場合に形成される迂回延長配線部である。第1の実施形態では、迂回延長配線部14は、各等長配線12の長手方向において、略同じ箇所に形成されている。すなわち、図3に示したように、迂回延長配線部14b及び14cは縦方向に一列に並んで形成される。これから、スペース18は略長方形の形状を有するスペース18aと18bに分離される。よって、スペース18aと18bに、主制御基板11の他の回路を容易に配置することができる。これから、上記のスペース18を有効に活用することができる。
なお、仮に、等長配線12の本数を増加した場合、迂回延長配線部14d、14e及び14fが図3に示したように形成されるが、この場合でも、迂回延長配線部14b乃至14fは縦方向に一列に並んで形成される。よって、上記のスペース18a及び18bも、等長配線12に合わせて縮小されるものの、形状は変化しないので、スペース18a及び18bに、他の回路を容易に配置することができる。
図4は、図3に示す主制御基板11の矢視AAから見た断面図である。図4に示すように、主制御基板11の表面に、配線幅w、配線厚さrの等長配線12a、12b及び12cが形成されている。更に、等長配線12a及び12b、並びに等長配線12b及び12cは、配線間のクリアランスdを隔てて形成されている。また、主制御基板11は誘電率Er、厚さhの絶縁材に銅箔を印刷して形成される。主制御基板11の等長配線12が形成されていない面には、グラウンドパターン16が形成されている。更に、図4には示していないが、等長配線12b及び12cには、配線長の調整のため、迂回延長配線部14(図3参照)が形成されている。
次に、本発明の特徴部分である渦巻状の迂回延長配線部14について説明する前に、従来のミアンダ形状の迂回延長配線部63について、図7を参照して説明する。図7は、従来の迂回延長配線部63の周辺付近を示す平面図である。図7に示すように、等長配線65は、迂回延長配線部63及び非迂回延長部64から構成されていた。なお、非迂回延長部64は、等長配線65の迂回延長配線部63以外の配線を示す。従来の迂回延長配線部63は、ミアンダ形状に形成されていた。更に、迂回延長配線部63の周囲を囲むように、グラウンドパターン62が形成されていた。また、迂回延長配線部63は、複数の折り返し部60及び複数の直線部61から構成され、複数の折り返し部60及び複数の直線部61を繰り返し組合せることで、等長配線65の配線長を調整していた。
迂回延長配線部63は、上述したように、等長配線65の配線長の調整のために形成されているが、一方、グラウンドパターン62は、折り返し部60で発生する反射を原因として発生する輻射ノイズを吸収して、記録装置1内にある図示しないシールドプレートに輻射ノイズを伝送するために形成されていた。図示しないシールドプレートに伝送された輻射ノイズは、図示しないシールドプレートを通過する間に他の輻射ノイズと合成して収束するか、又は、図示しないシールドプレートの抵抗分で消費されていた。しかし、発生する輻射ノイズが多い場合、上記のグラウンドパターン62を形成して、輻射ノイズを図示しないシールドプレートに伝送しても、輻射ノイズの全てを収束又は消費させることができない。残りの輻射ノイズは記録装置1の図示しない筐体に伝播して、外部に放出されていた。規格上、記録装置1全体から輻射される電磁波について、最大許容値が規定されていることから、輻射ノイズの値が大きいと外部に放出される電磁波も大きくなり、上記の最大許容値以下にならないといった問題があった。このため、主制御基板11上の他の回路のレイアウト等に制約を与える場合もあった。
また、上記のグラウンドパターン62を形成した場合、折り返し部60で接続された2本の直線部61の間、例えば、直線部61a及び61bの間にグラウンドパターン62を形成する必要があるため、直線部61a及び61bの間隔が広くなるといった問題があった。直線部61の間隔が広くなると、迂回延長配線部63のスペースも広くなった。更に、迂回延長配線部63は、上記の輻射ノイズを低減させるため、可能な限り、折り返し部60を少なくする形状で形成されていた。すなわち、直線部61の長さを長くすることで、折り返し部60を少なくしつつ、他の等長配線の配線長との差を迂回させていた。しかし、直線部61の長さを長くしていたため、迂回延長配線部63の外形寸法Q3が広くなり、等長配線65の近くに他の等長配線を形成できないといった問題もあった。すなわち、配線間のクリアランスdが増大していた。
そこで、本発明の特徴部分である渦巻状の迂回延長配線部14が発案されている。図5を参照して、渦巻状の迂回延長配線部14について説明する。図5は、第1の実施形態に係る渦巻状の迂回延長配線部14の周辺付近を示す平面図である。図5に示すように、等長配線12は、迂回延長配線部14及び非迂回延長部17から構成されている。なお、非迂回延長部17は、等長配線12の迂回延長配線部14以外の配線を示している。ここで、渦巻状の迂回延長配線部14は、2個の折り返し部20及び曲線部21から形成されている。折り返し部20を2個に減少させることで、反射箇所を削減して、反射を発生し難くしている。また、2個の折り返し部20を渦巻状の中心部に設けることで、後述するが、迂回延長配線部14のインピーダンスをより均一にして、反射を更に発生し難くしている。これから、輻射ノイズも発生しにくくなり、輻射ノイズを低減させることができる。このため、図5に示した迂回延長配線部14では、図7に示した従来の迂回延長配線部63のように、グラウンドパターン62を必要とせず、迂回延長配線部14の周囲にグラウンドパターンを形成していない。よって、曲線部21の間隔、例えば、曲線部21a及び21bの間隔を従来に比べて、狭くすることができる。これから、従来と比較して、スペースを削減することができる。更に、グラウンドパターン62を必要としないため、同じ条件の場合、渦巻状の迂回延長配線部14の外形寸法Q1を、従来のミアンダ形状の迂回延長配線部63の外形寸法Q3(図7参照)よりも、狭くすることができる。よって、例えば、等長配線12cを従来よりも、他の等長配線12bに近づけて形成することができ、配線間のクリアランスdを、従来よりも削減させることができる。
また、従来の迂回延長配線部63を形成する工程と同じ工程で、渦巻状の迂回延長配線部14を主制御基板11に形成することができる。そのため、渦巻状の迂回延長配線部14を形成することで、工程を追加することなく、上述した効果を獲得することができる。
ここで、従来のミアンダ形状の配線では反射が発生し易く、本発明の渦巻状では反射が発生し難くなるメカニズムについて、図4乃至図8を参照して説明する。一般に、同期した複数の信号が通過する配線において、当該配線のインピーダンスが不均一になると、反射が発生し易くなることが知られている。そこで、まず、配線のインピーダンスについて、図4を振り返りながら説明する。上述したように、主制御基板11は誘電率Er、厚さhの絶縁材及び銅箔から構成されており、絶縁材の表面に配線幅w、配線厚さrの銅箔、すなわち、等長配線12を印刷して形成される。ここで、等長配線12のインピーダンスは、配線幅w、配線厚さr、絶縁材の厚みh及び主制御基板11の絶縁材の誘電率Erから一義的に決定される。
しかし、例えば、等長配線12cのインピーダンスは、等長配線12c及び隣接する他の等長配線12bを通過する信号の影響を受け、上記で一義的に決定された値から変化する場合がある。等長配線12cのインピーダンスが、等長配線12c及び12bを通過する信号で変化するメカニズムについて、図8を参照して説明する。
図8は、隣接する2本の配線L1及びL2を通過する信号P1及びP2によって変化する2本の配線L1及びL2のインピーダンスを簡易的に示した図である。図8では、2本の配線L1及びL2、配線L1を通過する信号P1並びに配線L2を通過する信号P2が示されている。2本の配線L1及びL2は、互いに配線間のクリアランスdだけ離れて形成されている。一般に、隣接した2本の配線L1及びL2を信号P1及びP2が通過すると、互いに干渉してインピーダンスに変化をもたらすことが知られている。図8では、図8(a)、(b)及び(c)の3種類の場合を想定して、各インピーダンスを比較している。図8に示さない他の条件は全て同じとしている。
図8(a)は、信号P1と信号P2が逆方向に伝送されている場合のインピーダンスZ1を示す簡易図、図8(b)は、配線L1の周囲に隣接する他の配線がない場合のインピーダンスZ2を示す簡易図、図8(c)は、信号P1と信号P2が同方向に伝送されている場合のインピーダンスZ3を示す簡易図である。上記の3種類の場合、インピーダンスは、Z1、Z2、Z3の順に大きくなる。これから、隣接する複数本の配線を通過する信号の伝送方向によってインピーダンスが変化することがわかる。なお、配線間のクリアランスdが小さい程、すなわち、配線間が近い程、上記の変化は大きく現れる。
ここで、図7に示した迂回延長配線部63及び図5に示した迂回延長配線部14のインピーダンスの変化について説明する。図7において、迂回延長配線部63の矢印は信号が伝送される方向を示している。そのため、例えば、直線部61aを通過する信号と直線部61bを通過する信号は逆方向になっている。これから、直線部61a及び直線部61bのインピーダンスは非迂回延長部64のインピーダンスより小さくなる。一方、折り返し部60aを通過する信号と、隣接する折り返し部60bを通過する信号は同方向になるので、これから、折り返し部60a及び折り返し部60bのインピーダンスは非迂回延長部64のインピーダンスより大きい。よって、直線部61のインピーダンスと折り返し部60のインピーダンスが不均一になっているので、直線部61と折り返し部60の間で反射が発生し易い。また、迂回延長配線部63は、複数の折り返し部60で形成されているので、更に反射が発生し易い構造になっている。
一方、図5に示した迂回延長配線部14において、迂回延長配線部14は2個の折り返し部20及び、曲線部21で構成されているので、反射箇所が少なく、反射が発生し難い。また、図5において、渦巻状の迂回延長配線部14の矢印は信号が伝送される方向を示している。曲線部21aを通過する信号と隣接する曲線部21bを通過する信号は逆方向になる。よって、曲線部21a及び曲線部21bのインピーダンスは非迂回延長部17のインピーダンスより小さい。一方、折り返し部20は渦巻状の迂回延長配線部14の中心にあるため、折り返し部20を通過する信号と隣接する曲線部21a又は21bを通過する信号は逆方向になっている。よって、折り返し部20のインピーダンスも、非迂回延長部17のインピーダンスより小さくなる。これから、渦巻状の迂回延長配線部14内のインピーダンスを従来の迂回延長配線部63より均一にすることができる。よって、渦巻状の迂回延長配線部14は、反射が発生し難い構造になっている。
次に、本発明の第2の実施形態について、図6を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また、本実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。更に、第1の実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、詳しい説明は省略する。
本発明の第2の実施形態に係る図示しない主制御基板は、第1の実施形態同様、図1に示した記録装置1に含まれている。更に、図示しない主制御基板の左隣りには、図2に示した電源基板9が配設されている。更に、図示しない主制御基板には、第2の実施形態に係る渦巻状の迂回延長配線部35を含む等長配線36が形成されている。
図6は、第2の実施形態に係る渦巻状の迂回延長配線部35の周辺付近を示す平面図である。図6に示すように、渦巻状の迂回延長配線部35は、2個の折り返し部30、直線部31及び曲線部32から形成されている。第1の実施形態同様、折り返し部30を2個に減少させることで、反射箇所を削減して、反射を発生し難くしている。また、第1の実施形態同様、2個の折り返し部30を迂回延長配線部35の中心部に設けることで、迂回延長配線部35のインピーダンスをより均一にして、反射を更に発生し難くしている。これから、輻射ノイズも発生しにくくなり、輻射ノイズを低減させることができる。このことから、図6に示した渦巻状の迂回延長配線部35も、図7に示した従来の迂回延長配線部63のように、グラウンドパターン62を必要としない。よって、直線部31の間隔、例えば、直線部31a及び31bの間隔を従来に比べて、狭くすることができる。同様に、曲線部32の間隔、例えば、曲線部32a及び32bの間隔を従来に比べて、狭くすることができる。これから、従来と比較して、スペースを削減することができる。
更に、第2の実施形態に係る渦巻状の迂回延長配線部35では、直線部31を備えていることから、第1の実施形態に係る迂回延長配線部14(図5参照)を押し潰した形状になっている。そのため、渦巻状の迂回延長配線部35の外形寸法Q2が、第1の実施形態の外形寸法Q1(図5参照)よりも狭くなっている。これにより、第2の実施形態に係る渦巻状の迂回延長配線部35を適用することで、迂回延長配線部14(図5参照)を適用した場合に比べて、等長配線36と他の等長配線をより近づけて形成することができる。すなわち、配線間のクリアランスdを更に削減することができる。
以上のように、第1の実施形態に係る等長配線構造によれば、主制御基板11上に形成された第1の回路であるCPU10と、主制御基板11上にCPU10と離間して形成された第2の回路であるRAM13とを、主制御基板11上に形成された複数の等長配線12にて接続し、信号の送受信を行っている。更に、複数の等長配線12のうち、所定の一の配線12a以外の配線12b及び12cの一部である迂回延長配線部14b及び14cを渦巻状に形成している。
これにより、複数の信号を送受信しても、ミアンダ形状の迂回延長配線部63と異なり、反射が発生し難くなるので、上記等長配線12から輻射されるノイズを低減させることができる。また、渦巻状の迂回延長配線部14は、全体として、それほどのスペースを必要としないので、主制御基板11上に形成された複数の等長配線12のスペースを削減することもできる。
また、第1の実施形態に係る等長配線構造によれば、渦巻状に形成した配線の一部である迂回延長配線部14は、各等長配線12の長手方向において略同じ箇所に形成されている。これにより、等長配線12が形成されていない主制御基板11上のスペース18に他の回路を容易に配置することができ、上記の主制御基板11上のスペース18を有効活用することができる。
また、第1の実施形態に係る等長配線構造によれば、基板は、主制御基板11であるので、これにより、主制御基板11上の輻射ノイズを効率良く低減することができる。
なお、本発明の範囲は上述した実施形態に限られず、特許請求の範囲の記載に反しない限り、他の様々な実施形態に適用可能である。例えば、本発明の第1の実施形態では、CPU10は同期式制御により論理演算処理を実施し、クロック信号に同期したデータ信号及びアドレス信号をRAM13に送信しているが、特にこれに限定されるものでなく、同期した複数の信号であれば、CPU10から送信される他の信号でも適用可能である。また、同期した複数の信号を送信できれば、CPU10でなく、他の電子部品(回路)でも良い。
また、第1の実施形態では、同期した複数の信号をRAM13で受信しているが、特にこれに限定されるものでなく、他の電子部品(回路)でも良いのは言うまでも無い。
また、第1の実施形態では、迂回延長配線部14cは時計回りに2回巻回され、迂回延長配線部14bは、時計回りに1回巻回されているが、特にこれに限定されるものでなく、等長配線の配線長の差を調整できれば、何回巻回しても良い。また、反時計回りに巻回しても良い。
また、第1の実施形態では、迂回延長配線部14b及び14cを、長手方向において略同じ箇所に形成しているが、特にこれに限定されるものでなく、長手方向において異なる箇所に形成しても良い。しかし、この様にすれば、迂回延長配線部14b、14cが縦方向に一列に並んで形成されるので、等長配線12が形成されていない主制御基板11のスペース18a及び18bは、略長方形の形状となり、スペース18aと18bに、主制御基板11の他の回路を容易に配置することができる。これから、上記のスペース18を有効に活用することができる。更に、仮に、等長配線12の本数を増加した場合でも、迂回延長配線部14b、14c並びに、等長配線12の本数の増加に伴って形成される迂回延長配線部14d、14e及び14fが縦方向に一列に並んで形成されるので、スペース18a及び18bは略長方形の形状となり、スペース18aと18bに主制御基板11の他の回路を容易に配置することができる。
また、第2の実施形態では、迂回延長配線部35を折り返し部30、直線部31及び曲線部32で構成しているが、特にこれに限定されるものでなく、曲線部32がなくても適用可能である。しかし、曲線部32を形成した方が、反射が発生し難くなり、発生する輻射ノイズをより低減させることができる。
同期した複数の信号を送信する回路と、上記の信号を受信する他の回路と、の間に設けられた複数の等長配線の途中に迂回延長配線部を形成した基板等を備える記録装置等であれば、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、コピー装置等であっても適用可能である。
本発明の実施形態に係る記録装置の外観を示す斜視図である。 記録装置に内蔵された主制御基板と電源基板及びその周辺付近を示す斜視図である。 本発明の特徴部分である渦巻状の等長配線構造を適用した主制御基板のCPU周辺の拡大平面図である。 図3に示す主制御基板の矢視AAから見た断面図である。 第1の実施形態に係る渦巻状の迂回延長配線部の周辺付近を示す平面図である。 第2の実施形態に係る渦巻状の迂回延長配線部の周辺付近を示す平面図である。 従来の迂回延長配線部の周辺付近を示す平面図である。 隣接する2本の配線を通過する信号によって変化する上記2本の配線のインピーダンスを簡易的に示した図である。
符号の説明
1 記録装置、2 上部カバー、3 上部ハウジング、4 下部ハウジング、
5 挿入口、8 被記録物、9 電源基板、10 CPU、11 主制御基板、
12、12a、12b、12c 等長配線、13 RAM、
14 14b、14c、14d、14e、14f 迂回延長配線部、15 曲がり角部、
16 グラウンドパターン、17 非迂回延長部、18、18a、18b スペース、
20 折り返し部、21、21a、21b 曲線部、
30 折り返し部、31、31a、31b 直線部、32、32a、32b 曲線部、
35 迂回延長配線部、36 等長配線、
41 コネクタ領域、42 パワー系部品実装領域、42a、42b ヒートシンク、
43 ロジック系部品実装領域、44 インターフェイス部、51 1次側部品群、
60、60a、60b 折り返し部、61、61a、61b 直線部、
62 グラウンドパターン、63 迂回延長配線部、64 非迂回延長部、
65 等長配線、
d 配線間のクリアランス、h 厚さ、w 配線幅、Er 誘電率、r 配線厚さ、
P1、P2 信号,L1,L2 配線、Z1、Z2,Z3 インピーダンス、
Q1、Q2、渦巻状の迂回延長配線部の外形寸法、
Q3 ミアンダ形状の迂回延長配線部の外形寸法

Claims (5)

  1. 基板上に形成された第1の回路と、前記基板上に前記第1の回路と離間して形成された第2の回路とを、前記基板上に形成された複数の等長配線にて接続し、信号の送受信を行う等長配線構造において、前記複数の等長配線のうち、所定の一の配線以外の配線の一部を渦巻状に形成したことを特徴とする等長配線構造。
  2. 前記渦巻状に形成した配線の一部は、各配線の長手方向において略同じ箇所に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の等長配線構造。
  3. 請求項1又は2記載の等長配線構造において、前記基板は、主制御基板であることを特徴とする等長配線構造。
  4. 記録媒体に記録する記録装置であって、請求項1乃至3記載の等長配線構造を備えたことを特徴とする記録装置。
  5. 請求項1乃至3記載の等長配線構造を備えたことを特徴とする電子機器。
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