JP2006278455A - 焼結磁石の製造方法及び磁場中成形装置 - Google Patents

焼結磁石の製造方法及び磁場中成形装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 厚みの薄い成形体を多数個取りする磁場中成形を行う場合に、クラックの発生を抑制する。
【解決手段】 弱磁性体又は非磁性体からなる臼型20に形成される複数の金型キャビティCに磁性粉末Pを充填する工程と、金型キャビティC内の磁性粉末Pに、所定方向の磁場を印加し、かつ所定方向の圧力を加えることで成形体を作製する工程と、成形体を焼結する工程と、を含み、成形体を作製する工程において、臼型20の鉛直方向に、強磁性体からなるヨーク60を配置した状態で、磁性粉末Pに磁場を印加する。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の成形空間に磁性粉末を供給し、当該磁性粉末に磁場を印加しつつ加圧成形する磁場中成形方法に関するものであり、特に厚みの薄い複数の成形体を磁場中成形する方法に関するものである。
異方性焼結磁石を製造する場合、磁性粉末を金型の成形空間(以下、キャビティ)に供給し、所定方向の磁場を印加し、次いで加圧成形することにより成形体を作製し、その後当該成形体を焼結する。生産効率を向上するために、金型に複数のキャビティを設け、一度の磁場印加、成形工程で複数の成形体を作製することが行われている。このように複数の成形体を作製することを、多数個取りと呼んでいる。多数個取りを可能にする磁場中成形装置は、例えば特許文献1に開示されている。
多数個取りの磁場中成形を行う場合に、各キャビティにて作製される成形体が均一な密度を有することが望まれる。最終的に得られる異方性焼結磁石が、均一な品質を有するためである。ところが、各キャビティに供給される磁性粉末の量を正確に同一量にすることが困難なため、各キャビティにおいて均一な圧力で成形することは困難であった。このような問題に対して、特許文献2及び特許文献3に開示される発明が提案されている。
実開平6−79134号公報 特開2000−24799号公報 特開2003−181695号公報
特許文献2及び特許文献3に開示された発明により、各キャビティにて作製される成形体の密度を均一にすることが可能となった。ところが、多数個取りの磁場中成形においては、成形体の密度に関して他の問題が存在する。特に、磁場の印加方向と加圧方向とが平行な縦磁場成形によって、厚みが5mm以下程度の薄い成形体を作製する場合である。この場合、1つのキャビティに磁性粉末を均一に供給したとしても、磁場を印加することにより、供給された粉末の密度の均一性が崩れてしまい、その状態で加圧成形すると、成形体にクラックが発生してしまうという問題である。1つのキャビティで縦磁場成形により成形体を作製する場合には、印加する磁場の中心と成形体の中心を一致させることができるので、供給された粉末の密度の均一性を保つことができる。したがって、多数個取り固有の問題ということができる。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、縦磁場成形によって厚みの薄い成形体を多数個取りする場合に、クラックの発生を抑制することのできる磁場中成形方法を提供することを目的とする。本発明は、そのような磁場中成形方法を実行することのできる磁場中成形装置を提供することを目的とする。
図5は、縦磁場成形にて多数個取りを実施している様子を示す断面図である。図5に示すように、磁場中成形装置110は、臼型120と下パンチ130とによって形成される金型キャビティC内に磁性粉末Pを供給し、コイル150で図中白抜き矢印方向に磁場を印加しつつ、上パンチ140と下パンチ130で磁性粉末Pを加圧することで磁場中成形を行い、成形体を形成するものである。ここで、臼型120は弱磁性体又は非磁性体で構成され、下パンチ130及び上パンチ140は、強磁性体で構成される。したがって、コイル150にて磁場を印加したときの、臼型120の水平方向の磁場の分布は、図5に点線で示すようになる。このとき、磁場のピークは、2つの金型キャビティCの水平方向の中心よりも偏心した位置に存在する。したがって、加圧成形に先立って磁場を印加すると、金型キャビティC内に供給された磁性粉末Pは臼型120の中心に向かって移動する傾向がある。得たい成形体の厚みが厚い場合には、磁性粉末Pが移動しても加圧成形時に移動が解消されるが、例えば厚みが5mm以下の成形体の場合には加圧しても磁性粉末Pの移動を十分に解消することができない。したがって、得られる成形体には、密度のばらつきが生じ、クラックが発生してしまう。
本発明は、臼型120の水平方向における磁場の分布を平坦にすることにより、金型キャビティC内に供給された磁性粉末Pの移動を規制し、厚みの薄い成形体でも多数個取りできるようにしたものであり、磁場の平坦化を行うために、下パンチ130及び上パンチ140以外の領域にも強磁性体からなるヨークを配置することにした。すなわち本発明は、弱磁性体又は非磁性体からなる臼型に形成される複数の金型キャビティに磁性粉末を供給する工程と、金型キャビティ内の磁性粉末に、所定方向の磁場を印加し、かつ所定方向の圧力を加えることで成形体を作製する工程と、成形体を焼結する工程と、を含み、成形体を作製する工程において、臼型の鉛直方向に、強磁性体からなるヨークを配置した状態で、磁性粉末に磁場を印加することを特徴とする焼結磁石の製造方法である。
本発明は、臼型の鉛直方向に、強磁性体からなるヨークを配置することにより、それまで下パンチ及び上パンチに集束していた磁場が臼型の水平方向に分散することにより、磁場の分布が平坦化する。したがって、厚みが5mm以下の成形体を多数個取りする場合であっても、金型キャビティ内に略均等に磁場が印加されることにより、加圧成形に先立つ金型キャビティ内の磁性粉末の移動が規制される。
本発明によるヨークがその効果を十分に発揮するためには、所定の大きさを有していることが好ましい。1つの基準として本発明は、複数の金型キャビティが水平方向で内接する円の面積をA1、ヨークの横断面積をA2とすると、A2/A1≧1.5であることが好ましい。
磁場中成形装置において、一般的に、少なくとも1つの磁場印加用のコイルは、臼型の周囲、換言すれば下パンチの周囲に配置されている。そしてこの場合、ヨーク配置による本発明の効果を最大限発揮するためには、下パンチの周囲にヨークを配置した状態で、磁性粉末に磁場を印加することが好ましい。特に、成形体を作製する工程では、下パンチの上面とヨークの上面が略同じ高さとなるように配置することが磁場の分布の平坦化にとってより好ましい。
なお、本発明は複数の金型キャビティを有することを前提としており、この場合、複数の金型キャビティは、磁場の中心から偏心した位置にその中心が配置されることになる。そのために、本発明のヨークを設けることが必要になるのである。
本発明は以上の成形体を作製する工程を実現する磁場中成形装置を提供する。この磁場中成形装置は、成形すべき成形体の形状に応じた複数の孔を有し、弱磁性体又は非磁性体からなる臼型と、臼型の複数の孔内に位置し、強磁性体からなる下パンチと、臼型の複数の孔に上側から挿入され、孔内で下パンチに対して相対的に昇降可能に設けられた上パンチと、臼型の鉛直方向に設けられる強磁性体からなるヨークと、臼型、下パンチ及び上パンチから構成されるキャビティに対して、昇降の方向の磁場を印加するコイルと、を備えることを特徴としている。
この磁場中成形装置において、複数の孔が水平方向で内接する円の面積をA1、ヨークの横断面積をA2とすると、A2/A1≧1.5であることが好ましいことは前述の通りである。
以上説明したように、縦磁場成形により、厚みの薄い成形体を多数個取りする場合に、クラックの発生を抑制することができる。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態における磁場中成形装置10の構成を説明するための図である。
この図1に示すように、磁場中成形装置10は、臼型20と下パンチ30とによって形成される金型キャビティC内に磁性粉末Pを供給し、コイル50で図中白抜き矢印方向の磁場を印加しつつ、上パンチ40と下パンチ30で磁性粉末Pを加圧することで磁場中成形を行い、成形体を形成するものである。磁場中成形装置10は、2つの金型キャビティCを備えている多数個取りができる装置である。
臼型20には、その中央部に、成形すべき成形体の形状に対応した形状の孔21が形成されている。また臼型20の下面には、ヨーク60が設けられている。このヨーク60は、臼型20と一体に設けられており、臼型20の孔21に連続して、同形状の孔61が形成されている。
このヨーク60は、図3に示すように金型キャビティCが水平方向で内接する円の面積をA1とし、ヨーク60の横断面積をA2とすると、A2/A1が1.5以上、好ましくは2.0以上、さらに好ましくは2.5以上とすべきである。ヨーク60の横断面積が小さすぎると、ヨーク60による効果が低くなり、またヨーク60の横断面積が大きすぎると、磁場中成形装置10のサイズが大きくなり、省スペース化の妨げとなる。したがって、A2/A1は20以下、好ましくは10以下、さらに好ましくは7以下とすべきである。
下パンチ30は、臼型20およびヨーク60の下方から、孔61、21に挿入されるような形態で設けられている。この下パンチ30の上端部には、金型キャビティC内に供給される磁性粉末Pを下部側で受ける例えば超硬合金から構成される先端部材32が取り付けられている。この先端部材32は、全体として孔21に対応した外周形状を有している。
そして、下パンチ30は、磁場中成形時に、その上面がヨーク60の上面と略同一レベルとなるように設けられている。そうすることにより、磁場中成形時に、金型キャビティCに印加される磁場の分布の均一性をより一層高めることができる。このとき、先端部材32が弱磁性体又は非磁性体で構成される場合には、先端部材32は、ヨーク60の上面と同一レベルとなるか否かについて考慮されない。
一方、上パンチ40は、図示しない油圧または空圧の駆動シリンダまたはカムによって昇降可能に設けられた上ラム15の下面に設けられている。上パンチ40の下端部には、金型キャビティC内に供給される磁性粉末Pを上方から押圧するための先端部材41が取り付けられている。
また、上ラム15の外周部には、コイル50を構成する上部コイル50Bを設けることもできる。
上パンチ40および上部コイル50Bは、駆動シリンダ(図示無し)またはカムを駆動させることで昇降し、上パンチ40の先端部材41が、臼型20および下パンチ30によって形成される金型キャビティCに、接近・離間できるようになっている。
ここで、臼型20は、非磁性のステンレス等の鉄合金や超硬合金の組み合わせからなることが好ましいが、飽和磁化が0.5T以下の若干の磁性を有するものでも良い。臼型20が強磁性体であると、配向時に磁束が臼型20を流れ、成形すべき金型キャビティCでの配向磁場が減少するからである。
上パンチ40、下パンチ30、ヨーク60は、強磁性体である鉄やダイス鋼からなり、これらの磁化により、金型キャビティCにより多くの配向磁場を得る。上パンチ40、下パンチ30は、超硬合金または強磁性体である鉄やダイス鋼等、あるいはそれらの組み合わせによって形成することもできる。この場合、その超硬合金は、必要な強度の範囲で、なるべく磁性の強い材質が選ばれるのは言うまでもない。
下パンチ30の先端部材32、上パンチ40の先端部材41は、下パンチ30、上パンチ40と同材料で形成することもできるが、非磁性のステンレス等の鉄合金や超硬合金の組み合わせからなることが好ましい。あるいは、飽和磁化が0.5T以下の若干の磁性を有するものでも良い。
このような磁場中成形装置10は、さらに、金型キャビティCに磁性粉末Pを供給する原料供給機構を備える。原料供給機構では、金型キャビティCに、所定量の磁性粉末Pを供給する。その供給量管理には、供給する磁性粉末Pの重量を用いることもできるが、金型キャビティCへの磁性粉末Pの供給高さ(レベル)を用いるのが好ましい。そして、磁性粉末Pを金型キャビティCに供給し、原料供給機構に備えたすり切り機構により、供給した磁性粉末Pを臼型20の上面レベルですり切るようにするのが好ましい。
磁場中成形装置10において、前記の臼型20、下パンチ30、上パンチ40によって、所定形状の成形体を形成するための金型が構成される。この金型は、形成する成形体の形状に応じ、適宜交換して磁場中成形装置10に取り付けることができる。
次に、上記したような構成を有する磁場中成形装置10を用いた、希土類焼結磁石の製造方法について説明する。
ここでまず、本発明の適用対象の磁石について説明する。
本発明はR−T−B(Rは希土類元素の1種又は2種以上、TはFe又はFe及びCo)で示されるネオジム系焼結磁石について適用することができる。
R−T−B系焼結磁石は、希土類元素(R)を25〜37wt%含有する。ここで、RはYを含む概念を有しており、したがってY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuの1種又は2種以上から選択される。Rの量が25wt%未満であると、R−T−B系焼結磁石の主相となるR214B相の生成が十分ではなく軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rが37wt%を超えると主相であるR214B相の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。またRが酸素と反応し、含有する酸素量が増え、これに伴い保磁力発生に有効なRリッチ相が減少し、保磁力の低下を招く。したがって、Rの量は25〜37wt%とする。望ましいRの量は28〜35wt%である。
また、本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、ホウ素(B)を0.5〜4.5wt%含有する。Bが0.5wt%未満の場合には高い保磁力を得ることができない。一方で、Bが4.5wt%を超えると残留磁束密度が低下する傾向がある。したがって、Bの上限を4.5wt%とする。望ましいBの量は0.5〜1.5wt%、さらに望ましいBの量は0.8〜1.2wt%である。
本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、Coを5.0wt%以下(0を含まず)、望ましくは0.1〜3.0wt%含有することができる。CoはFeと同様の相を形成するが、キュリー温度の向上、粒界相の耐食性向上などに効果がある。
本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、他の元素の含有を許容する。例えば、Al、Cu、Zr、Ti、Bi、Sn、Ga、Nb、Ta、Si、V、Ag、Ge等の元素を適宜含有させることができる。一方で、酸素、窒素、炭素等の不純物元素を極力低減することが望ましい。特に磁気特性を害する酸素は、その量を7000ppm以下、さらには5000ppm以下とすることが望ましい。酸素量が多いと非磁性成分である希土類酸化物相が増大して、磁気特性を低下させるからである。
このようなR−T−B系焼結磁石は、以下のような工程を経ることで製造される。
以下、各工程の内容を説明する。なお、以下では希土類焼結磁石としてネオジム系焼結磁石であるR−T−B系焼結磁石を例にして説明するが、本発明はこれ以外のSmCo系の希土類焼結磁石に適用できることは言うまでもない。
<原料合金調整>
R−T−B系焼結磁石の原料合金は、真空又は不活性ガス、望ましくはAr雰囲気中でストリップキャスト法、その他公知の溶解法により作製することができる。ストリップキャスト法は、原料金属をArガス雰囲気などの非酸化性雰囲気中で溶解して得た溶湯を回転するロールの表面に噴出させる。ロールで急冷された溶湯は、薄板または薄片(鱗片)状に急冷凝固される。この急冷凝固された合金は、結晶粒径が1〜50μmの均質な組織を有している。原料合金は、ストリップキャスト法に限らず、高周波誘導溶解等の溶解法によって得ることができる。また、還元拡散法によって得られた合金を原料合金として用いることもできる。
<粉砕>
原料合金は粉砕工程に供される。粉砕工程には、粗粉砕工程と微粉砕工程とがある。まず、原料合金を、粒径数百μm程度になるまで粗粉砕する。粗粉砕は、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等を用い、不活性ガス雰囲気中にて行うことが望ましい。粗粉砕に先立って、原料合金に水素を吸蔵させた後に放出させることにより粉砕を行うことが効果的である。水素放出処理は、希土類焼結磁石として不純物となる水素を減少させることを目的として行われる。水素放出のための加熱保持の温度は、200℃以上、望ましくは350℃以上とする。保持時間は、保持温度との関係、原料合金の厚み等によって変わるが、少なくとも30分以上、望ましくは1時間以上とする。水素放出処理は、真空中又はArガスフローにて行う。なお、水素吸蔵処理、水素放出処理は必須の処理ではない。この水素粉砕を粗粉砕と位置付けて、機械的な粗粉砕を省略することもできる。
粗粉砕工程後、微粉砕工程に移る。微粉砕には主にジェットミルが用いられ、粒径数百μm程度の粗粉砕粉末を、平均粒径2.5〜6μm、望ましくは3〜5μmとする。ジェットミルは、高圧の不活性ガスを狭いノズルより開放して高速のガス流を発生させ、この高速のガス流により粗粉砕粉末を加速し、粗粉砕粉末同士の衝突やターゲットあるいは容器壁との衝突を発生させて粉砕する方法である。微粉砕前の粗紛末に潤滑剤を添加混合しても良く、微粉砕後あるいはその両方で潤滑剤を添加混合しても良い。
<磁場中成形>
以上のようにして得られた微粉砕粉(磁性粉末)を、磁場中成形し、成形体を得る。本実施の形態では、加圧方向と印加する磁場の方向が平行な成形法である縦磁場成形法(または平行磁場成形法)を用いる。
磁場中成形における成形圧力は30〜300MPaの範囲とすればよい。成形圧力が低いほど配向性は良好となるが、成形圧力が低すぎると成形体の強度が不足して成形体の加工時に問題が生じるので、この点を考慮して上記範囲から成形圧力を選択する。磁場中成形で得られる成形体の最終的な相対密度は、50〜65%が好ましい。
本発明において印加する磁場は、800〜1600kA/m程度とすればよい。
<焼結>
磁場中成形によって得られた成形体を真空又は不活性ガス雰囲気中で焼結し、R−T−B系焼結磁石を得る。焼結温度は、組成、粉砕方法、平均粒径と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、1000〜1200℃で1〜10時間程度焼結すればよい。
焼結後、得られた焼結体に時効処理を施すことができる。この工程は、保磁力を制御する重要な工程である。時効処理を2段に分けて行う場合には、800℃近傍、600℃近傍での所定時間の保持が有効である。800℃近傍での熱処理を焼結後に行うと、保磁力が増大するため特に有効である。また、600℃近傍の熱処理で保磁力が大きく増加するため、時効処理を1段で行う場合には、600℃近傍の時効処理を施すとよい。
<保護膜形成>
以上のようにして得られた希土類焼結磁石、特にR−T−B系焼結磁石は、その表面に電解めっきによる保護膜を形成することができる。保護膜の材質としては、Ni、Ni−P、Cu、Zn、Cr、Sn、Alのいずれかを用いることができるし、他の材質を用いることもできる。また、これらの材質を複層として被覆することもできる。
電解めっきによる保護膜は本発明の典型的な形態であるが、他の手法による保護膜を設けることもできる。他の手法による保護膜としては、無電解めっき、クロメート処理をはじめとする化成処理及び樹脂塗装膜のいずれか又は組み合せが実用的である。特に清浄性の要求から、VCM用磁石は、表面硬度の高いNiめっきが好んで用いられる。
保護膜の厚みは、磁石素体のサイズ、要求される耐食性のレベル等によって変動させる必要があるが、1〜100μmの範囲で適宜設定すればよい。望ましい保護膜の厚みは1〜50μmである。
さて、上記したような工程を経ることで、R−T−B系焼結磁石が製造されるわけであるが、ここで、本発明の特徴である磁場中成形工程について詳述する。
磁場中成形工程では、図1に示した磁場中成形装置10を用いる。
まず、図1に示したように、上パンチ40を上昇させて下パンチ30から離した状態で、臼型20と下パンチ30とによって形成される金型キャビティCに、図示しない原料供給機構により、磁性粉末Pとしての微粉砕粉Pを供給する。
このようにして微粉砕粉Pを所定量供給した後、供給を停止する。そして、原料供給機構に備えたすり切り機構により、金型キャビティCに供給した微粉砕粉Pを臼型20の上面レベルですり切る。
微粉砕粉Pの供給後、下部コイル50Aおよび上部コイル50Bでは所定強度の磁場を発生し、金型キャビティC内の微粉砕粉Pに対し磁場を印加し、微粉砕粉Pを所定の方向に配向させながら、上パンチ40を下降させて金型キャビティC内の微粉砕粉Pを下パンチ30との間で挟み込み、所定の加圧力で加圧する。
磁場中成形装置10は、下パンチ30の周囲に強磁性体からなるヨーク60を設けていることから、磁場印加による臼型20の水平方向の磁場の分布が、図1に点線で示すように、平坦化される。したがって、加圧成形に先立つ金型キャビティCにおける磁場はほぼ均等となり、クラックや欠けの発生を低減できる。よって、図5に示す従来の磁場中成形装置110で生じていた微粉砕粉Pの移動という問題は抑制される。
以上のようにして金型キャビティC内の微粉砕粉Pに対し磁場を印加しつつ加圧することで、所定形状、サイズを有した成形体が形成される。
さて、上記実施の形態においては、下パンチ30の周囲にのみヨーク60を設けたが、図2に示すように、上パンチ40の側にも、ヨーク70を設ける構成とすることができる。
このようにすることで、図1に示した磁場中成形装置10よりもさらに磁場分布が均一になり、金型キャビティC内における磁場分布の均一性が向上する。
このヨーク70は、上パンチ40の側に、着脱可能に設けるのが好ましい。金型のセット換え等の作業性が低下するのを防ぐためである。また、下パンチ30の周囲にヨーク60を設けることなく、上パンチ40の周囲にのみヨーク70をもうけることもできる。
さて、ここで、上記構成を有する磁場中成形装置10を用いることによる効果を確認したので、その結果を以下に示す。
29.5wt%Nd−3.0wt%Dy−1.0wt%B−0.5wt%Co−残部Feの組成の合金をストリップキャスト法で作製し、水素吸排出により粗粉化させた後、ジェットミルで窒素ガスを用いて粉砕して平均粒径4μmの原料合金粉を得た。
この原料合金粉を、図1に示したような構成の磁場中成形装置10を用い、成形体を作製した。このとき、金型キャビティCは、30mm×12mmの開口面積を有するものとし、この金型キャビティCに供給した原料合金粉を加圧成形することで、表1に示す種々の厚みの成形体を作製した。
また、ヨーク60は、外周形状が円形又は矩形のものを使用した。その直径及び縦×横の寸法を表1に示している。ここで、図3に示すように2つの金型キャビティCが内接する円を基準とし、ヨーク60はその円の面積(A1=19.6cm2)の1.4〜4.0倍の横断面積(A2)を有している。
磁場中成形時には、下部コイル50A、上部コイル50Bにより1200kA/mの磁場を印加しながら、150MPaの圧力で原料合金粉を加圧成形した。
磁場中成形で得られた成形体に発生したクラックの発生を目視にて確認した。なお、各磁場中成形の条件について20個の成形体を作製した。また、磁場中成形で得られた成形体を図4に示すように9等分し、各々の成形体密度を測定することにより、1つの成形体内における密度差を求めた。以上の結果を表1に示す。
Figure 2006278455
表1において、試料a〜gは成形体厚みが2mm、h〜lは成形体厚みが3.5mm、m〜oは成形体厚みが5mm、pは成形体厚みが7mmの結果を示している。
キャビティ数が1つの場合、成形体厚みが薄くても成形体に発生するクラック数は少ない。しかし、キャビティ数が2つになると、クラックの発生が顕著となる。例えば、本発明によるヨークを設けることなく得られた厚みが2mmの成形体(試料b)はそのほとんどにクラックが発生している。これに対して、本発明によるヨークを設けることにより、クラック数を50%以下に低減することができる(試料c〜g)。特に、ヨークの横断面積A2が内接円面積A1の1.5倍以上(試料d〜g)になるとクラック低減効果が大きい。成形体の密度差を見ると、クラック数が多いと密度差が大きくなっており、磁場印加によりに磁性粉末が金型キャビティ内で移動することによって、成形体に密度差が生じ、クラックの発生に至っているものと解される。
成形体厚みが3.5mm(試料j〜l)、5mm(試料o)の場合も、本発明によるヨークを設けることにより、成形体のクラック発生を著しく低減できることがわかる。ただし、成形体厚みが7mmになると、本発明によるヨークを用いなくても、クラックの発生は極めて少ない。以上より、本発明は、成形体厚みが5mm以下の場合に顕著な効果を有することがわかる。
本実施の形態における成形装置の構成を示す図である。 本実施の形態における他の成形装置の構成を示す図である。 本発明のヨークの断面積の規定を説明するための図である。 実施例における成形体の分割の仕方を説明する図である。 従来の成形装置により多数個取りを行っている様子を示す図である。
符号の説明
10…磁場中成形装置、20…臼型、21…孔、30…下パンチ、32…先端部材、40…上パンチ、41…先端部材、50…コイル、50A…下部コイル、50B…上部コイル、60…ヨーク、70…ヨーク、P…磁性粉末,微粉砕粉、C…金型キャビティ

Claims (8)

  1. 弱磁性体又は非磁性体からなる臼型に形成される複数の金型キャビティに磁性粉末を供給する工程と、
    前記金型キャビティ内の前記磁性粉末に、所定方向の磁場を印加し、かつ前記所定方向の圧力を加えることで成形体を作製する工程と、
    前記成形体を焼結する工程と、を含み、
    前記成形体を作製する工程において、前記臼型の鉛直方向に、強磁性体からなるヨークを配置した状態で、前記磁性粉末に前記磁場を印加することを特徴とする焼結磁石の製造方法。
  2. 前記成形体の厚みが5mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の焼結磁石の製造方法。
  3. 複数の前記金型キャビティが水平方向で内接する円の面積をA1、
    前記ヨークの横断面積をA2とすると、
    A2/A1≧1.5であることを特徴とする請求項1又は2に記載の焼結磁石の製造方法。
  4. 前記所定方向の圧力を加える下パンチ及び上パンチを備え、前記下パンチの周囲に前記ヨークを配置した状態で、前記磁性粉末に前記磁場を印加することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の焼結磁石の製造方法。
  5. 前記成形体を作製する工程では、前記下パンチの上面と前記ヨークの上面が略同じ高さとなるように配置することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の焼結磁石の製造方法。
  6. 複数の前記金型キャビティは、前記磁場の中心から偏心した位置にその中心が配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の焼結磁石の製造方法。
  7. 成形すべき成形体の形状に応じた複数の孔を有し、弱磁性体又は非磁性体からなる臼型と、
    前記臼型の複数の前記孔内に位置し、強磁性体からなる下パンチと、
    前記臼型の複数の前記孔に上側から挿入され、前記孔内で前記下パンチに対して相対的に昇降可能に設けられた上パンチと、
    前記臼型の鉛直方向に設けられる強磁性体からなるヨークと、
    前記臼型、前記下パンチ及び前記上パンチから構成されるキャビティに対して、前記昇降の方向の磁場を印加するコイルと、
    を備えることを特徴とする磁場中成形装置。
  8. 複数の前記孔が平面方向で内接する円の面積をA1、
    前記ヨークの横断面積をA2とすると、
    A2/A1≧1.5であることを特徴とする請求項7に記載の磁場中成形装置。
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