JP2007098424A - 磁場中成形装置、金型、希土類焼結磁石の製造方法 - Google Patents
磁場中成形装置、金型、希土類焼結磁石の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】作業性を向上して段取り替え作業の効率化を図るとともに、より均等な磁場環境下で成形を行って、磁気特性、寸法精度を低下させることなくリング状の磁石を複数個取りで得ることのできる磁場中成形装置、金型、希土類焼結磁石の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】複数の同心円上にキャビティ100を配することで、リング状の磁石の複数個取りを可能とする。また、複数のキャビティ100のそれぞれに設けられる中棒80を、中棒ホルダ41によって臼型本体70に一体化しておくことで、形成する成形体の形状や寸法が変わり、段取り替えを行わなければならないときに、作業性を向上する。
さらに、リング状の磁性体90を、磁場中心に近い同心円上のキャビティ100よりも磁場中心から遠い同心円上のキャビティ100に近い位置に設け、磁場中心からの距離が異なる複数の同心円上でキャビティ100に作用する磁場強度との均等化を図る。
【選択図】図2
Description
近年の各種電気部品の小型化の要求、およびこれに対応した磁石の特性向上に伴い、磁石の小型化、薄形化、薄肉化が進んでいる。
通常、上記のような所定形状の磁石の成形を行う磁場中成形装置は、形成すべき磁石に応じ、その形状に対応した金型5を磁場中成形装置にセットして成形を行う。すなわち、成形すべき磁石の形状、寸法が変わる毎に、金型5を交換する作業、いわゆる段取り替え作業が必要となる。
このとき、個々の製品を形成するためのキャビティ6の数が増えると、中棒2、上パンチ3、下パンチ4の本数が増えるため、その交換作業や金型5の組立作業に手間がかかることになる。上パンチホルダ7や下パンチホルダ8に保持された上パンチ3、下パンチ4については、臼型1に対する位置調整を行うが、上パンチ3、下パンチ4の本数が増えれば増えるほど、位置調整の難易度が増す。
さらに、中棒2は、上パンチ3、下パンチ4と同様に位置調整を行わなければならないうえ、一本ずつが、磁場中成形装置のベース(図示無し)上に設けられたコアロッド10に取り付けられているため、位置調整の難易度はさらに高く、要する手間も増大する。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、作業性を向上して段取り替え作業の効率化を図るとともに、より均等な磁場環境下で成形を行って、磁気特性、寸法精度を低下させることなくリング状の磁石を複数個取りで得ることのできる磁場中成形装置、金型、希土類焼結磁石の製造方法を提供することを目的とする。
なお、第一の孔群、第二の孔群を構成する複数の孔は、第一の距離、第二の距離を半径とした同心円上に、等間隔に配置するのが好ましい。
なお、上記のような孔群は、第一の距離、第二の距離からなる二重の同心円に限らず、三重以上の同心円に配置しても良い。その場合であっても、三重以上の同心円のうち、互いに磁界の中心からの距離が異なる任意の二つの同心円について、本発明を適用することができる。
また、第一の孔群を構成する複数の孔と、第二の孔群を構成する複数の孔は、磁界の中心を基準として互いに周方向にオフセットして配置し、第一の孔群を構成する孔と第二の孔群を構成する孔とが、磁界の中心を通る同一直線上に並ばないようにするのが好ましい。
これにより、成形する製品が変更される際に必要な段取り替え作業時に、中棒を一本一本位置調整しながら取り付ける必要がなくなる。
このとき、中棒の基端部に、外周側に拡径した拡径部を形成するのが好ましい。そして、中棒支持部材を、臼型に固定されるホルダープレートと、中棒の拡径部に対応した形状の保持孔を有した押さえ部材とから構成し、ホルダープレートと、押さえ部材の保持孔とで拡径部を挟み込むことで、複数の中棒を支持するのが良い。
同様に、下パンチ、上パンチについても拡径部を形成し、磁場成形装置に取り付けられる下パンチホルダ、上パンチホルダに対し、下パンチホルダと下パンチ押さえ部材の保持孔、上パンチホルダと上パンチ押さえ部材の保持孔とで、それぞれ拡径部を挟み込むことで、複数の下パンチ、上パンチを保持することができる。
このような構造により、押え部材、下パンチ押さえ部材の保持孔、上パンチ押さえ部材の保持孔と、拡径部の加工精度により、中棒、下パンチ、上パンチの位置精度を保障することができる。
さらに、拡径部と保持孔を、それぞれ互いに係合するテーパ形状とすれば、より高精度に中棒、下パンチ、上パンチを位置決めすることができる。
このとき、複数のキャビティを有する金型は、成形体の外形形状に応じた孔を複数有した臼型と、臼型の内方に設けられ、孔のそれぞれの中心軸に沿って位置する中棒と、臼型と中棒の間に位置し、臼型および中棒の少なくとも一方に対し孔の中心軸方向に沿って相対移動可能とされた下パンチと、臼型の孔に上側から挿入可能とされ、孔内で下パンチと対向するよう昇降可能に設けられた上パンチと、を備え、臼型と、臼型の複数の孔に対応して設けられた複数の中棒は、臼型に設けられた中棒支持部材によって複数の中棒が支持されることで予め一体化されたものとするのが好ましい。
そして、また、複数本の中棒を臼型に一体化しておくことで、形成する成形体の形状や寸法が変わり、段取り替えを行わなければならない場合にも、個々の中棒について位置調整および取り付け作業を行う必要がなく、段取り替え作業の作業性を向上して大幅な効率化を図ることができ、生産性についても向上させることが可能となる。
図1は、本実施の形態における磁場中成形装置20の構成を説明するための図である。
この図1に示すように、磁場中成形装置20は、リング状の磁石を形成するためのもので、金型30によって形成されるキャビティ100内に合金粉末(磁性粉末)を充填し、磁場を印加しつつキャビティ100内の合金粉末を加圧することで磁場中成形を行い、成形体を形成するものである。
支持プレート21は、磁場中成形装置20のベース(図示無し)に対し油圧シリンダやボールねじ、カム等の駆動機構によって昇降駆動可能とされた下ラム24に、支柱25を介して支持され、これによって昇降可能となっている。そして、支持プレート21上の外周部に、コイル27が設けられている。このコイル27により、金型30が設けられる領域には、図1における縦方向の磁界が発生するようになっている。なお、コイル27以外に、磁場強度分布改善等のために他のコイルやヨークを設けても良い。
下パンチベース22は、磁場中成形装置20のベース(図示無し)に、支柱26を介して固定支持されている。
上パンチベース23は、下パンチベース22の上方に対向するよう設けられ、磁場中成形装置20のベース(図示無し)に、油圧シリンダやボールねじ、カム等の駆動機構により昇降駆動可能とされている。
臼型本体70には、成形すべき成形体の形状に対応した形状の孔71が、所定数形成されている。これらの孔71は、図3に示すように、臼型本体70の中心に対し、半径r1、r2となる同心円C1、C2上に配置されている。同心円C1、C2のそれぞれにおいては、孔71が周方向に等間隔となるように配置するのが好ましい。また、第一の孔群として内周側の同心円C1上に位置した孔71に対し、第二の孔群として外周側の同心円C2上に位置した孔71は、臼型本体70の中心に対し一直線上に並ばないよう、周方向に角度をずらしてオフセットさせ、千鳥状に配置するのが好ましい。
なお、ここでは、半径r1、r2となる同心円C1、C2のみの内外2段階に孔71を形成するようにしたが、もちろん径方向3段階以上に孔71を形成するようにしても良い。
そして、中棒ホルダ41の底板41a上には、臼型本体70のそれぞれの孔71に対応する位置に、中棒80が設けられている。これらの中棒80は、中棒ホルダ41の底板41aにボルト等で固定される中棒クランパ(押さえ部材)42により、下端部(拡径部)80aが保持・固定されるようになっている。各中棒80の下端部80aは、フランジ状に拡径しており、中棒クランパ42には、それぞれの中棒80に対応した位置に、中棒80の下端部80aに対応した形状の保持孔42aが形成されており、この保持孔42aによって、中棒80の下端部80aを保持・固定するのである。
このとき、中棒クランパ42に形成された保持孔42aの精度により、中棒80の位置精度を確保し、中棒80の位置決め・固定を行う。このため、例えば、拡径した下端部80aおよび保持孔42aを、例えばテーパ状にかみ合う構造として、中棒クランパ42で中棒80を中棒ホルダ41に取り付けるのみで、その位置決めを行える構成とすること等が有効である。
そして、臼型本体70を支持プレート21に取り付けることで、臼型ユニット40が磁場中成形装置20にセットされるようになっている。
この場合も、クランパ53に形成された保持孔53aの精度により、下パンチ50の位置決め・固定を行う。このため、例えば、拡径した下端部50aおよび保持孔53aを、例えばテーパ状にかみ合う構造として、クランパ53で下パンチ50を下パンチホルダ51に取り付けるのみで、その位置決めを行える構成とするのも好ましい。
この場合も、クランパ61に形成された保持孔61aの精度により、上パンチ60の位置決め・固定を行う。このため、例えば、拡径した上端部60aおよび保持孔61aを、例えばテーパ状にかみ合う構造として、クランパ61で上パンチ60を上パンチベース23に取り付けるのみで、その位置決めを行える構成とするのも好ましい。
そして、臼型本体70に形成されたそれぞれの孔71内には、下パンチ50および中棒80が配置され、その上方に上パンチ60が位置した状態となっており、これによって筒状のキャビティ100が形成されている。
このとき、同心円C1上に位置するキャビティ100と、同心円C2上に位置するキャビティ100とでは、磁場中心からの距離が異なってしまうため、これを補うため、リング状の磁性体90を近傍に設置するのが好ましい。リング状の磁性体90を設置する好ましい位置としては、同心円C1上のキャビティ100よりも同心円C2上のキャビティ100に近い位置、すなわち同心円C2上のキャビティ100よりもさらに外周側である。例えば、臼型本体70の下面の外周部に磁性体90を設けるのが好ましい。この磁性体90は、鉄板とするのが好ましい。
磁性体90により、同心円C2上のキャビティ100に作用する磁場強度が高まり、同心円C1上のキャビティ100に作用する磁場強度との均等化を図るのである。
ここでまず、本発明の適用対象の磁石について説明する。
本発明はR−T−B(Rは希土類元素の1種又は2種以上、TはFe又はFe及びCo)で示されるネオジム系焼結磁石について適用することが望ましい。
R−T−B系焼結磁石は、希土類元素(R)を25〜37wt%含有する。ここで、RはYを含む概念を有しており、したがってY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuの1種又は2種以上から選択される。Rの量が25wt%未満であると、R−T−B系焼結磁石の主相となるR2T14B相の生成が十分ではなく軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rが37wt%を超えると主相であるR2T14B相の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。またRが酸素と反応し、含有する酸素量が増え、これに伴い保磁力発生に有効なRリッチ相が減少し、保磁力の低下を招く。したがって、Rの量は25〜37wt%とする。望ましいRの量は28〜35wt%である。
本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、Coを5.0wt%以下(0を含まず)、望ましくは0.1〜3.0wt%含有することができる。CoはFeと同様の相を形成するが、キュリー温度の向上、粒界相の耐食性向上などに効果がある。
以下、各工程の内容を説明する。なお、以下では希土類焼結磁石としてネオジム系焼結磁石であるR−T−B系焼結磁石を例にして説明するが、本発明はこれ以外のSmCo系の希土類焼結磁石に適用できることは言うまでもない。
<原料合金調整>
R−T−B系焼結磁石の原料合金は、真空又は不活性ガス、望ましくはAr雰囲気中でストリップキャスト法、その他公知の溶解法により作製することができる。ストリップキャスト法は、原料金属をArガス雰囲気などの非酸化性雰囲気中で溶解して得た溶湯を回転するロールの表面に噴出させる。ロールで急冷された溶湯は、薄板または薄片(鱗片)状に急冷凝固される。この急冷凝固された合金は、結晶粒径が1〜50μmの均質な組織を有している。原料合金は、ストリップキャスト法に限らず、高周波誘導溶解等の溶解法によって得ることができる。なお、溶解後の偏析を防止するため、例えば水冷銅板に傾注して凝固させることができる。また、還元拡散法によって得られた合金を原料合金として用いることもできる。
原料合金は粉砕工程に供される。粉砕工程には、粗粉砕工程と微粉砕工程とがある。まず、原料合金を、粒径数百μm程度になるまで粗粉砕する。粗粉砕は、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等を用い、不活性ガス雰囲気中にて行うことが望ましい。粗粉砕に先立って、原料合金に水素を吸蔵させた後に放出させることにより粉砕を行うことが効果的である。水素放出処理は、希土類焼結磁石として不純物となる水素を減少させることを目的として行われる。水素放出のための加熱保持の温度は、200℃以上、望ましくは350℃以上とする。保持時間は、保持温度との関係、原料合金の厚さ等によって変わるが、少なくとも30分以上、望ましくは1時間以上とする。水素放出処理は、真空中又はArガスフローにて行う。なお、水素吸蔵処理、水素放出処理は必須の処理ではない。この水素粉砕を粗粉砕と位置付けて、機械的な粗粉砕を省略することもできる。
以上のようにして得られた微粉砕粉(磁性粉末)を、磁場中成形し、成形体を得る。本実施の形態では、加圧方向と印加する磁界の方向が平行な成形法である平行磁界成形法を用いる。
磁場中成形における成形圧力は30〜300MPa(0.3〜3ton/cm2)の範囲とすればよい。成形圧力が低いほど配向性は良好となるが、成形圧力が低すぎると成形体の強度が不足して成形体の加工時に問題が生じるので、この点を考慮して上記範囲から成形圧力を選択する。磁場中成形で得られる成形体の最終的な相対密度は、50〜65%が好ましい。
本発明において印加する磁場は、800〜1600kA/m(10〜20kOe)程度とすればよい。印加する磁場は静磁界に限定されず、パルス状の磁界とすることもできる。また、静磁界とパルス状磁界を併用することもできる。パルス状の磁界を用いる場合は、2400kA/m(30kOe)程度の高い磁界を使用することが可能である。
磁場中成形によって得られた成形体を真空又は不活性ガス雰囲気中で焼結し、R−T−B系焼結磁石を得る。焼結温度は、組成、粉砕方法、平均粒径と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、1000〜1200℃で1〜10時間程度焼結すればよい。
焼結後、得られた焼結体に時効処理を施すことができる。この工程は、保磁力を制御する重要な工程である。時効処理を2段に分けて行う場合には、800℃近傍、600℃近傍での所定時間の保持が有効である。800℃近傍での熱処理を焼結後に行うと、保磁力が増大するため特に有効である。また、600℃近傍の熱処理で保磁力が大きく増加するため、時効処理を1段で行う場合には、600℃近傍の時効処理を施すとよい。
以上のようにして得られた希土類焼結磁石、特にR−T−B系焼結磁石は、その表面に電解めっきによる保護膜を形成することができる。保護膜の材質としては、Ni、Ni−P、Cu、Zn、Cr、Sn、Alのいずれかを用いることができるし、他の材質を用いることもできる。また、これらの材質を複層として被覆することもできる。
電解めっきによる保護膜は本発明の典型的な形態であるが、他の手法による保護膜を設けることもできる。他の手法による保護膜としては、無電解めっき、クロメート処理をはじめとする化成処理及び樹脂塗装膜のいずれか又は組み合せが実用的である。特に清浄性の要求から、VCM用磁石は、表面硬度の高いNiめっきが好んで用いられる。
保護膜の厚さは、磁石素体のサイズ、要求される耐食性のレベル等によって変動させる必要があるが、1〜100μmの範囲で適宜設定すればよい。望ましい保護膜の厚さは1〜50μmである。
磁場中成形工程では、図1に示した磁場中成形装置20を用いる。
まず、図1に示したように、上パンチ60を上昇させて下パンチ50から離した状態で、臼型本体70と下パンチ50とによって形成されるキャビティ100に、図示しない原料供給機構により、微粉砕粉を供給する。このとき、コイル27で所定強度の磁界を発生させながらキャビティ100内に微粉砕粉を磁力により吸引するのが好ましい。
また、キャビティ100の深さが大きいとき、微粉砕粉の供給開始時には、図5(a)に示すように、臼型ユニット40を下降させてキャビティ100の深さを抑えておき、この後、図5(b)に示すように、徐々に臼型ユニット40を上昇させてキャビティ100の深さを大きくするようにしても良い。
微粉砕粉の供給後、コイル27で所定強度の磁界を発生し、キャビティ100内の微粉砕粉に対し磁場を印加し、微粉砕粉を所定の方向に配向させながら、上パンチ60を下降させてキャビティ100内の微粉砕粉を下パンチ50との間で挟み込み、所定の加圧力で加圧する。
加圧の完了後、臼型ユニット40を下降させるとともに、上パンチ60を上昇させて退避させ、成形体を取り出す。
さらに、リング状の磁性体90を、磁場中心に近い同心円C1上のキャビティ100よりも磁場中心から遠い同心円C2上のキャビティ100に近い位置に設けたので、磁場中心からの距離が異なる同心円C1上と同心円C2上とで、キャビティ100に作用する磁場強度との均等化を図ることができる。
これによって、複数個取りした場合においても、キャビティ100間で、印加される磁場強度に差が出るのを抑え、得られる磁石の磁気特性のばらつきを抑え、量産性を高めることができる。また、微粉砕粉のキャビティ100への供給に磁場吸引を用いる場合、キャビティ100に供給される微粉砕粉の量にばらつきが出るのを抑え、磁石の寸法、重量のばらつきを抑えることもできる。
したがって、段取り替え作業の作業性を向上して大幅な効率化を図ることができ、生産性についても向上させることが可能となる。
29.5wt%Nd−3.0wt%Dy−1.0wt%B−0.5wt%Co−残部Feの組成の合金をストリップキャスト法で作製し、水素吸排出により粗粉化させた後、ジェットミルで窒素ガスを用いて粉砕して平均粒径4μmの微粉砕粉末を得た。
この微粉砕粉末を、図1に示したような構成の磁場中成形装置20のキャビティ100に供給し、加圧成形して成形体を作製した。このとき、キャビティ100は、外径7.6mm、内径2.6mm、厚さ2.0mmのリング状を有するものとした。キャビティ100の配置、設置個数は表1の通りとした。また、比較のため、キャビティ100を一つの同心円上に配置した場合についても、同様に成形体を形成した(比較例1)。なお、表1において、キャビティの設置間隔とは、同一円周上に位置する孔71どうしの、孔71の中心基準での間隔である。
さらに、図6に示すように、臼型本体70に、孔71を4列×4列のマトリックス状に配置した場合についても、同様に成形体を形成した。このとき、互いに隣接する孔71同士の間隔は、孔71の中心基準で14mmとなるようにした。
そして、得られたR−T−B系焼結磁石について、重量を計測し、そのばらつきを求めた。また、外径、内径を計測した。それらの結果を表1に示す。
また、実施例1と実施例3、実施例2と実施例4の比較により、内周側のキャビティ間隔と外周側のキャビティ間隔の差が少ない実施例3、4の方が重量のばらつきが小さいことがわかる。これにより、キャビティ間隔は、より等間隔に近くなるようにするのが好ましい。
ただし、全体が等間隔に配置されている比較例2と、実施例3を比較すると、同一円周上に孔71が配置されていない比較例2よりも、同一円周上に孔71が配置された実施例3の方が、ばらつきが遥かに小さくなっていることが確認できた。これにより、孔71は、同一円周上に配置することが重要である、と言える。
また、実施例1と実施例3、実施例2と実施例4の比較により、複数の同心円の径の差が小さいほど、重量のばらつきが小さくなっていることもわかる。
Claims (12)
- 成形すべきリング状の成形体の外形形状に応じた孔を複数有した臼型と、
前記臼型の内方に設けられ、前記孔のそれぞれの中心軸に沿って位置する中棒と、
前記臼型と前記中棒の間に位置し、前記臼型および前記中棒の少なくとも一方に対し前記孔の中心軸方向に沿って相対移動可能とされた下パンチと、
前記臼型の前記孔に上側から挿入可能とされ、前記孔内で前記下パンチと対向するよう昇降可能に設けられた上パンチと、
前記臼型の外周部に設けられ、前記臼型、前記中棒、前記下パンチおよび前記上パンチに囲まれたキャビティに、前記孔の中心軸に平行な方向の磁界を印加するコイルと、を備え、
前記臼型に形成された複数の前記孔は、前記コイルによって印加される磁界の中心に対し、第一の距離を隔てて位置する複数の前記孔からなる第一の孔群と、前記磁界の中心に対し前記第一の距離とは異なる第二の距離を隔てて位置する複数の前記孔からなる第二の孔群とを有することを特徴とする磁場中成形装置。 - 前記第一の孔群、前記第二の孔群を構成する複数の前記孔は、それぞれ、前記磁界の中心を基準とし、前記第一の距離、前記第二の距離を半径とした同心円上に等間隔に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の磁場中成形装置。
- 前記第一の孔群を構成する複数の前記孔と、前記第二の孔群を構成する複数の前記孔は、前記磁界の中心を基準として互いに周方向にオフセットして配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の磁場中成形装置。
- 前記臼型と、前記臼型の複数の前記孔に対応して設けられた複数の前記中棒は、前記臼型に設けられた中棒支持部材によって複数の前記中棒が支持されることで一体化されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の磁場中成形装置。
- キャビティに磁性粉末を充填し、前記キャビティに磁場を印加しつつ加圧することでリング状の成形体を得る磁場中成形装置に用いられる金型であって、
前記成形体の外形形状に応じた孔を複数有した臼型と、
前記臼型の内方に設けられ、前記孔のそれぞれの中心軸に沿って位置する中棒と、
前記臼型と前記中棒の間に位置し、前記臼型および前記中棒の少なくとも一方に対し前記孔の中心軸方向に沿って相対移動可能とされた下パンチと、
前記臼型の前記孔に上側から挿入可能とされ、前記孔内で前記下パンチと対向するよう昇降可能に設けられた上パンチと、を備え、
前記臼型と、前記臼型の複数の前記孔に対応して設けられた複数の前記中棒は、前記臼型に設けられた中棒支持部材によって複数の前記中棒が支持されることで一体化されていることを特徴とする金型。 - 前記中棒の基端部に、外周側に拡径した拡径部が形成され、
前記中棒支持部材は、前記臼型に固定されるホルダープレートと、前記中棒の前記拡径部に対応した形状の保持孔を有した押さえ部材とからなり、前記ホルダープレートと、前記押さえ部材の前記保持孔とで前記拡径部を挟み込むことで、複数の前記中棒を支持することを特徴とする請求項5に記載の金型。 - 前記下パンチの下端部に、外周側に拡径した拡径部が形成され、
それぞれの前記下パンチの前記拡径部に対応した形状の複数の保持孔を有した下パンチ押さえ部材の前記保持孔と、前記磁場成形装置に取り付けられる下パンチホルダとで前記拡径部を挟み込むことで、複数の前記下パンチを保持することを特徴とする請求項5または6に記載の金型。 - 前記上パンチの上端部に、外周側に拡径した拡径部が形成され、
それぞれの前記上パンチの前記拡径部に対応した形状の複数の保持孔を有した上パンチ押さえ部材の前記保持孔と、前記磁場成形装置に取り付けられる上パンチホルダとで前記拡径部を挟み込むことで、複数の前記上パンチを保持することを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の金型。 - 前記拡径部と前記保持孔は、それぞれ互いに係合するテーパ形状とされていることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の金型。
- 前記臼型に形成された複数の前記孔は、前記磁場中成形装置のコイルによって印加される磁界の中心に対し、第一の距離を隔てて位置する複数の前記孔からなる第一の孔群と、前記磁界の中心に対し前記第一の距離とは異なる第二の距離を隔てて位置する複数の前記孔からなる第二の孔群とを有することを特徴とする請求項5から9のいずれかに記載の金型。
- リング状の希土類焼結磁石の製造方法であって、
コイルで印加する磁界の中心を基準とした複数の同心円上にそれぞれ配置された複数のキャビティに磁性粉末を充填する工程と、
前記キャビティ内の前記磁性粉末に前記コイルで磁場を印加しつつ、磁場の印加方向に平行な方向に加圧することでリング状の成形体を形成する工程と、
を含むことを特徴とする希土類焼結磁石の製造方法。 - 複数の前記キャビティを有する金型は、
前記成形体の外形形状に応じた孔を複数有した臼型と、
前記臼型の内方に設けられ、前記孔のそれぞれの中心軸に沿って位置する中棒と、
前記臼型と前記中棒の間に位置し、前記臼型および前記中棒の少なくとも一方に対し前記孔の中心軸方向に沿って相対移動可能とされた下パンチと、
前記臼型の前記孔に上側から挿入可能とされ、前記孔内で前記下パンチと対向するよう昇降可能に設けられた上パンチと、を備え、
前記臼型と、前記臼型の複数の前記孔に対応して設けられた複数の前記中棒は、前記臼型に設けられた中棒支持部材によって複数の前記中棒が支持されることで予め一体化されていることを特徴とする請求項11に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2005
- 2005-10-03 JP JP2005290362A patent/JP2007098424A/ja active Pending
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