この発明は可搬型簡易トイレ、特に室内で使用できるようになされた可搬型簡易トイレに関する。詳しくは、便器本体内に排便を粉砕処理(攪拌処理)すると共に、粉砕した汚物を圧送する手段と、汚物の飛散防止用及び圧送を効率的に行うための開閉蓋を備えることで、汚物の飛散を防止しながら汚物などを確実に処理できるようにしたものである。
介護を必要とする老人や、身体が不自由で室内の既設トイレまで出向くことが困難な人のために、可搬型の簡易トイレが開発されている(例えば特許文献1)。
この可搬型簡易トイレは、室内に設置できるように椅子型に構成され、この椅子に座って用を足すことができる。可搬型簡易トイレには便器に洗浄水を流すための給水ホースと、汚物を排出する排出用の排出ホースが設けられ、そして汚物を圧送する手段が設けられている。
ところで、この特許文献1に開示された技術は汚物を圧送することで、便器内の汚物を排出させるものであるが、汚物はそのままの状態で圧送するものであるから、圧送する圧力が充分でないと排出ホースの途中で滞留してしまい、不衛生となる。
そこで、この発明はこのような従来の課題を解決したものであって、特に汚物を粉砕処理し、汚物の飛散防止用の開閉蓋を備えることで、汚物の飛散を防止しながら汚物などを確実に処理できるようにした手段を設けることで、排出処理を簡易に行えるようにして小径の排出ホースを使用できるようにした、室内で使用できる可搬型簡易トイレを提案するものである。
上述の課題を解決するため、請求項1に記載したこの発明に係る可搬型簡易トイレは、便器本体の上部に設けられた給水用連結管の給水口と、
上記便器本体の溜まり部と連通する排出部側に設けられ、排出ホースに連結できるようになされた排出口と、
上記便器本体の溜まり部に取り付けられた汚物の粉砕手段と、
上記溜まり部の上部に設けられた上記汚物の粉砕物を圧送する粉砕物圧送手段と、
この粉砕物圧送手段の上部であって、上記溜まり部を密閉する開閉蓋と、
で構成されてなることを特徴とする。
この発明では、便器本体の溜まり部に連通する排出部側に排出ホースが連結される。また、便器本体の上部には洗浄水を供給するための給水用連結管と連通する給水口が設けられる。
便器本体の溜まり部には汚物の粉砕手段が設けられる。粉砕手段をモータと粉砕羽根とで構成する場合には、粉砕羽根は溜まり部内のトラップ水の水面下に羽根の全部又は一部が水面下に没するようにその取り付け高さ関係が選定される。溜まり部の上部には粉砕物の圧送手段と、この圧送手段の上部であって溜まり部を密閉する開閉蓋がそれぞれ設けられる。
排便後の汚物処理時には開閉蓋を閉め、溜まり部を密閉する。これと同時に粉砕手段を駆動して汚物を粉砕する。汚物の粉砕処理後は圧縮空気の送給より若干遅れたタイミングに洗浄水を送って、粉砕した流状物を圧送する処理を行う。その後、開閉蓋を開け、溜まり部に給水する。これによって、溜まり部には次回使用するときのトラップ水を所定量トラップできる。
溜まり部は開閉蓋によって密閉されているので、圧縮空気は溜まり部側に効果的に作用する。粉砕された汚物は流状物となっているため、圧縮空気を溜まり部に作用させれば、流状物を容易に洗浄水と共に排出ホースを通して排出できる。
したがって排出ホース内に流状物が滞留することはない。溜まり部内を密閉した状態で流状物を圧送するものであるから、圧送手段として使用されるエアコンプレッサとしては比較的小型のコンプレッサも使用できる。開閉蓋を用いているため、汚物の粉砕時、汚物が便器本体内に飛散するのを防止できるから、便器本体が不衛生状態となることはない。
粉砕手段は、汚物を粉砕して流体状とすることで流れやすくなる。したがって排出ホースも小径のホース(ビニルホースなど)を使用できる。
この発明では、便器本体溜まり部に汚物の粉砕手段を設け、溜まり部の上部に粉砕物の圧送手段と、開閉蓋をそれぞれ設けたものである。
これによれば、粉砕により汚物は流状体となるため流れやすくなっており、流状物の排出時には開閉蓋が閉じて溜まり部内が密閉され、その状態で圧縮空気が溜まり部に送り込まれるので、溜まり部内の流状物を排出ホースを通して確実に下水道側に捨て去ることができる。排出ホース内に流状物が滞留(残留)するおそれはない。
溜まり部内を密閉した状態で流状物を圧送するものであるから、圧送手段として使用されるエアコンプレッサとしては比較的小型のコンプレッサも使用できる。開閉蓋を用いているため、汚物の粉砕時、汚物が便器本体内に飛散するのを防止できるから、便器本体が不衛生状態となることはない。
続いて、この発明に係る可搬型簡易トイレの好ましい実施例を図面を参照して詳細に説明する。この発明に係る可搬型簡易トイレは特にお尻洗浄機能の付いたいわゆる温水洗浄便座の設備が付いた簡易トイレが好適である。以下の説明はこの温水洗浄便座の設備についての説明は省いてある。可搬型簡易トイレは洋式トイレタイプのものに適用した場合である。
図10はこの発明の適用例である。この例は家屋1の廊下2に面してトイレ3が設置された例である。トイレ3内には便器4と注水タンク5が設置されている。廊下2に沿ってこの例では寝室としての部屋6が位置し、部屋6内には例えばベッド7が置かれている。
この発明に係る可搬型簡易トイレ10には、給水手段と排出手段が設けられ、給水手段は上水道に連結され、排出手段は下水道に連結される。通常では給水手段(給水ホース12)と排出手段(排出ホース14)の連結は、それぞれ既設便器4の給水管と排出管が利用される。
図1はこの発明に係る可搬型簡易トイレ10の一例を示す要部断面図である。この可搬型簡易トイレ10は便器本体20を有する。便器本体20は通常の水洗式トイレ(洋式トイレ)とほぼ同じ漏斗状の断面形状をなすが、その全体形状は箱型として構成される。なお、近年はインテリア要素も強く必ずしも箱形だけではなく、例えば肘掛けのある椅子型のものも利用されている。便器本体20を軽量化するため、この例では便器本体20はプラスチックによる成型品であるが他の素材を使用して成形してもよい。便器本体20の上部開口部側には便座21が位置すると共に、この便座21および上部開口部を閉塞するような便蓋23が設けられている。
便器本体20の底部がトラップ水(溜まり水)や汚物の溜まり部18となる。
溜まり部18に連通して断面が「へ」の字状」をなす排出部22が設けられ、排出口27に排出ホース14が連結される。そのため、この例では便器本体20の背面部20bに連結部26が設けられると共に、便器本体20の内部であって、開閉弁として機能する電磁弁24が連結部26に近接して設けられている。溜まり部18に連通する排出部22への形状は、図示の形状の他にP型、U型、椀型などが考えられる。これらの形状はいずれも同様な作用効果が得られる。
電磁弁24は、溜まり部18内のトラップ水(汚物を含んだ水)を便器外に排出するときだけ開くように制御され、トイレを使用していないときは閉じられている。漏水を防止するためである。また、同時にエアコンプレッサの圧力により効果的に汚物を排出するためである。
便器本体20の上部近辺で、排出部側の壁面18aには洗浄水の給水口28が設けられている。本体背面部20bに設けられた連結部34とこの給水口28との間には連結管30が配されると共に、連結部34の近傍には電磁弁32が取り付けられている。連結部34に連結される給水ホース12からの給水をこの電磁弁32によって制御できるようにするためである。
なお、給水口28と壁面18aとの間にはゴム状の漏水防止管29が介挿され、便器本体20の背面空間部20a側に漏水しないようにしている。
溜まり部18の底部には粉砕手段40が設けられる。粉砕手段40は溜まり部18内に溜まった汚物やトイレットペーパ(以下汚物と総称する)を砕くためのもので、粉砕した流状物をトラップ水と混合して排出するようにしている。
粉砕手段40はモータ42と粉砕羽根44とで構成することができ、図1ではそのうち粉砕羽根44のみ溜まり部18内に臨むように取り付けられる。そのため、モータ42は溜まり部18の底部外壁19側に配置され、ボルトやナットによる支持具46によって便器本体20に取り付け固定される。モータ42の回転軸は溜まり部18の底部と水密的に係合されている。モータ42は溜まり部18の底部外壁側ではなく、便器本体20の底面板20cに固定するようにしてもよい。
この底面板20cにはCPUなどで構成された制御部50が配される。上述した排出用電磁弁24、給水用電磁弁32、モータ42などの各駆動が、制御部50によって所定のタイミングで所定の時間だけ制御される。制御部50用の電源スイッチ52は本体背面部20bに設けられ、本体上面部であって、便蓋23の下面には開閉スイッチ55(後述する)が設けられている。
図2は給水ホース12の一例を、図3は排出ホース14の一例を示す。給水ホース12の一端部12aを上水道管側に接続される端部とし、他端部12bを可搬型簡易トイレ10に接続される端部としたとき、一端部12a及び他端部12bに各々逆止弁付きの連結部60A,60Bが取り付けられている。
排出ホース14にも同様に一端部14a及び他端部14bに逆止弁付きの連結部62A,62Bが設けられている。この場合の一端部14aは可搬型簡易トイレ10側に連結される端部であり、他端部14bは下水道管側などに接続される端部である。
給水ホース12は便器本体20に供給される洗浄水用として使用されるものであるから、小径のビニルホースなどを使用することができる。これに対して、排出ホース14は、その管内を汚物などを粉砕した流状物(粒状物)が流れるものであるから、給水ホース12と同径か僅かに太い径のビニルホースなどを使用することができる。これは固まった汚物ではなく、洗浄水と混合した流状物が取り扱うためである。図3は、給水ホース12よりも大径の排出ホース14を使用した場合である。
給水ホース12と排出ホース14の管径を、例えば上述したような管径に選定すると、元々太さが違うために、給水ホース12を排出ホースとして使用したり、排出ホース14を給水ホースと間違って連結したりする、初歩的な誤連結作業を確実に防止できる。もちろん、異なる管径のものを使用する場合に限らず、同じ管径のものを使用する場合でも、図2および図3に示すように、目印となる名称例えば「給水ホース」や「排出ホース」という名称をホースの表面に刻印することで、誤連結を確実に防止できる。また、連結部の接合金具形状を非共通化すことで誤連結防止を行うこともできる。更に、給水ホースと排出ホースとの色を変え色別により誤連結を防止することもできる。
逆止弁付きの連結部60(62)は、例えば図4のように本体63の中空内部に断面矩形状の弁作動室64が設けられ、ここに弁作用をなす球体65とそれに対する押圧バネ66とが設けられ、水圧が矢印a方向に作用することで弁が開くようになっている。これにより可搬型簡易トイレ側と上下水道管側からの双方の逆流防止を行っている。
一方、連結部60(62)のうちの他方の連結部60B(62B)にあっては、これを可搬型簡易トイレ側と例えば既設便器の下水道管側に連結したとき、逆止弁の球体65が押圧バネ66に抗して後退する凸部(図示せず)を、可搬型簡易トイレ側と下水道管側の夫々に設けることで、連結部60(62)を連結したときには内部の弁が開放されて連通状態となり、連結を外したときには内部の弁が閉じ、ホース内の液体が外部に漏れ出さないように構成されている。
したがって、上水道管に給水ホース12の連結部60Aを取り付け、便器本体20側に連結部60Bを取り付けた状態で、連結部60Aを取り外しても管内部の水は流れ出ず、他方の連結部60Bを外しても管内部の水が流れ出すことはない。同じように使用状態の排出ホース14を外しても、管内部の汚水が外部に流れ出るようなことはない。
この発明に係る可搬型簡易トイレ10はさらに以下の構造を有する。図1に示すように、便器本体20における溜まり部18の背面上部であって、給水口28よりも下側の所定位置には、溜まり部18に所定の圧縮空気を送給するための粉砕物の圧送手段200と、溜まり部18を密閉する開閉蓋機構210が設けられる。
圧送手段200はエアコンプレッサで構成することができ、このエアコンプレッサ200の送給管204が取り付け手段206を介して壁面18aより溜まり部18側に導出される。取り付け手段206は溜まり部18のトラップ水の水面より上部に設けられる。エアコンプレッサ200は便器本体20の背面空間部20a内に設けられた取り付け板202に固定される。また同様に、溜まり部18に所定の圧縮空気を給送するための圧送手段200と同機能を発揮させるために可搬型簡易トイレ本体の外部より圧縮空気を取り入れ、同様の作用を行わせることもできる。
開閉蓋機構210はこの圧送手段200よりもさらに上部であるが、圧送手段200と少許の間隔を隔てて配置される。開閉蓋機構210は溜まり部18を密閉する蓋本体212と、この蓋本体212を進退させるなどして溜まり部18を開閉する開閉駆動部213とで構成される。
蓋本体212の開閉方法としては、スライド式と90°以上上下に回転させる回転式とが考えられ、スライド式とするか、回転式とするかによって開閉駆動部213の構成が相違する。
図1に示す実施例は、スライド式に構成した場合である。この例では開閉駆動部213として電磁ソレノイド218を使用した場合で、電磁ソレノイド218内を進退するピストン216の先端部が連結部214に取り付けられる。連結部214は上述した蓋本体212の一部をなす。
蓋本体212は図5にその一例を示すように、溜まり部18の内周形状に沿った平板状の形体であって、この例ではほぼ茄子状若しくは苺状のような形体となっている。この例では、抗菌剤がコーティングされたプラスチック成型品が使用されている。
蓋本体212の一部が連結部214となるように、この例では両者が一体成形されている。連結部214は矩形状をなす。この連結部214の反対側には上述したピストン216の先端部が圧入などによって嵌合固定される。ピストン216は電磁ソレノイド218に通電することによって電磁ソレノイド218内を進退する柱状をなす作動桿である。このほかに、エアシリンダーやギアの組み合わせ等々により同様な開閉進退動作をさせることができる。
図1は開閉蓋としての蓋本体212を閉じた状態を示し、この蓋本体212によって溜まり部18の内部が密閉される。これに対して図6は蓋本体212を退かせて溜まり部18を開放した状態を示す。
このような蓋本体212に対する進退動作は電磁ソレノイド218への通電およびその解除によって行い、そのストロークは電磁ソレノイド218の蓋本体212側に設けられた第1のスイッチ222と、便器本体20の壁面18a側に設けられた第2のスイッチ224によって検出される。第1および第2のスイッチ222,224への連結部214の当接によって、蓋本体212のストローク終了が検出される。
蓋本体212の溜まり部18上面への摺接によって、溜まり部18内が密閉状態となる。完全な密閉は必要ではない。この閉蓋状態でエアコンプレッサ200を作動させるとその圧縮空気が溜まり部18内に送給され、トラップ水に対して押圧力が作用するので、溜まり部18内の粉砕物が排出ホース14側に圧送される。ここに、粉砕物は、粉砕された汚物とトラップ水を混合した流状物を指す。
このように溜まり部18は蓋本体212によって密閉されているので、圧縮空気は溜まり部18側に効果的に作用する。粉砕された汚物は流状物となっているため、圧縮空気を溜まり部18に作用させれば、流状物を容易に洗浄水と共に排出ホースを通して排出できる。
したがって排出ホース14内に流状物が滞留することはない。溜まり部18内を密閉した状態で流状物を圧送するものであるから、圧送手段200として使用されるエアコンプレッサとしては比較的小型のコンプレッサを使用できる。開閉蓋機構210を用いているため、汚物の粉砕時、汚物が便器本体20内に飛散するのを防止できるから、便器本体20が不衛生状態となることはない。
図7は可搬型簡易トイレ10の制御系の一例を示す。上述した電源スイッチ52の他に、開閉スイッチ55、第1および第2のスイッチ222,224が設けられ、それらのオンオフ信号が制御部50に供給される。
電源スイッチ52は可搬型簡易トイレ10を設置するときにスイッチが投入される。これに対し、開閉スイッチ55は便座21の上部を閉蓋するための便蓋23の開閉に関連してオンオフするスイッチである。したがって、図1に示すようにこの例では便蓋23と対向するように便蓋23の下面に開閉スイッチ55(開閉検知センサースイッチなど)が取り付けられる。第1および第2のスイッチ222,224は蓋本体212のストロークによってオンオフするスイッチである。
CPUで構成されたこの制御部50からの制御信号によって上述した排出用電磁弁24、給水用電磁弁32、粉砕用モータ42、エアコンプレッサ200および電磁ソレノイド218の各駆動状態が制御される。
図8はその制御タイミング例を示す。この可搬型簡易トイレ10の場合には、トイレが使用されていないときは開閉蓋である蓋本体212は閉じられた状態にあるものとする。
可搬型簡易トイレ10は便蓋23を開けて使用する。便蓋23の開操作は開閉スイッチ55(開閉検知センサースイッチなど)によって検出される(図8A,B)。便蓋23が開けられると、電磁ソレノイド218への通電によって蓋本体212が開く(図8C)。蓋本体212のストロークTxは第1のスイッチ222によって検出され、第1のスイッチ222がオンすることで電磁ソレノイド218への通電解除となる(図8D)。
蓋本体212が開けられることで、トイレが使用できるようになり、排便・排尿が済み、便蓋23を閉じると、開閉スイッチ55がこれを検知して蓋本体212を閉じる。または、手動スイッチによる電気的信号により排便・排尿の終了を制御部50に伝達することにより蓋本体212を閉じる。蓋本体212の閉じる方向のストロークTxは第2のスイッチ224によって検出される(図8E)。
蓋本体212が閉じて溜まり部18内が密閉された状態になると、今度は粉砕用のモータ42が駆動されて、溜まり部18内での粉砕処理が開始される(図8F)。粉砕処理時間Taは、汚物やトイレットペーパを充分粉砕できる時間に選定される。その時間としては20秒以下例えば、20秒以下に選定される。
所定時間Taだけ粉砕処理が行われると、次にはエアコンプレッサ200が通電されて圧縮空気が溜まり部18内に送給され、このエアコンプレッサ200の通電より少し遅れて(ΔTb)排出用の電磁弁24が開いて排出路が形成される(図8H,I)。このように電磁弁24の通電をエアコンプレッサ200の通電よりも若干遅らせることにより、溜まり部18内の圧力を高めることができる。溜まり部18内の圧力を高めた状態で電磁弁24を開ければ、この圧縮空気の送給と洗浄水の供給とによって溜まり部18内の流状物が排出ホース14側に圧送される。圧送処理は所定時間Tbに亘って行われる。
この所定時間Tbとしては、排出ホース14の設置長によっても相違するが、排出ホース14内に流状物が残留しないようにするため、通常の場合には比較的長めの時間、例えば10〜30秒程度に設定することができる。
所定時間Tbが経過すると、今度は蓋本体212の開動作に遷移する(図8C)。この開動作を行い、第1のスイッチ222によって蓋本体212の開位置が検知されると、溜まり部18の上部がオープンになる。溜まり部18の上部をオープンにした後で、今度は給水用の電磁弁32を作動させて溜まり部18への洗浄水の注水が所定時間Tcに亘って行われる(図8G)。所定時間Tcは溜まり部18内のトラップ水が所定量となる注水時間に設定される。ここに、所定量とはトラップ水の水面が排出部22の屈曲部を超えるまでの貯水量を言う。
溜まり部18への注水が完了すると、蓋本体212が閉じて、初期状態に戻る(図8C、D)。以上のような各部の動作タイミングが複数のスイッチからのオンオフ信号と、制御部50の内部でソフト的に設定された時間とに基づいてコントロールされる。また、給水と排出を繰り返すことでよりきれいに洗浄することもできる。
このような動作タイミングに設定することで、汚物の粉砕から排出処理およびトラップ水のトラップ処理までを実現できる。なお、可搬型簡易トイレ10を持ち運ぶときなどのために、図示はしないが排出スイッチを設け、これを手動操作することで電磁弁24を開けてトラップ水を排出することができる。
上述した電磁弁などの開閉タイミングなどはあくまでも一例である。適宜変更することができる。
図9は粉砕手段40の他の取り付け例を示す。この例では、溜まり部18の底部側に所定の深さと大きさの取り付け凹部67が、この溜まり部18と一体に設けられている。粉砕用モータ42は防振ゴム材69などを介してこの取り付け凹部67内に挿着固定される。そして、ゴム材やプラスチック材等で構成された閉塞板68によってこの取り付け凹部67が閉塞されて取り付け凹部67が水密的に閉塞される。
取り付け凹部67に対する水密化を達成するため、閉塞板68と接触する溜まり部18の底部は多少凹ませてあると共に、閉塞板68はネジ70などによって溜まり部18の底部に固定される。このようにして粉砕手段40を取り付けることもできる。なお、本例では粉砕手段40としてモータ42と粉砕羽根44との構成を説明したが、粉砕羽根に替わりスクリューやブレードあるいは外周に突起を有する円筒状のローラーなどの構成であってもよく、更にモータ回転軸を水平に配置した構成でもよい。
続いて、図11以下を参照してこの発明に係る可搬型簡易トイレ10の他の実施例を説明する。
図11は老齢化社会を考慮したときの配管例である。数年後には65歳以上の老人は人口の相当数の割合となる。そうすると、介護施設を利用する人が増えると予想される。介護する人の負担を少なくするには、介護室94内に複数のベッド96を用意することが予想される。その場合には、その介護室94内で用を足せるように工夫せざるを得ない。
このような場合で、例えば6人部屋を想定するとベッド96を図11のように配置する。その中央部に簡易トイレ用の給水本管98aと排出本管98bを床面に配管する。
そして、図11は可搬型簡易トイレ10を共用するのではなく、1台のベッド96には1台の可搬型簡易トイレ10が設置されている例である。そのため可搬型簡易トイレ10はベッド96の近くにセットされる。可搬型簡易トイレ10が設置されている場所に近い本管98a、98bのそれぞれに連結部100と102が設けられる。そして、連結部100には各可搬型簡易トイレ10に接続された給水ホース12が連結され、可搬型簡易トイレ10に接続された排出ホース14が連結部102に連結される。
こうすることで、複数の利用者にも対処できる。なお、この場合でも排出ホース14の管径は小径のホースを使用できることは言うまでもない。
図12は可搬型簡易トイレ10に接続された排出ホース14を既設便器4に連結するときの連結例である。この例では、既設便器4を改良することでその連結を達成したものである。
この場合には既設便器4の便器本体108を改良する。図12において、便器本体108には排出管110が連結されているが、この便器本体108であって、その溜まり部よりも上部側に排出導出口112を設け、その背面側に設けられた連結部114に排出ホース14の連結部62Bが連結される。排出口は下方のトラップ部に接続してもよい。
なお、このように既設便器4を改良する場合、可搬型簡易トイレ10とこの既設便器4には高低差があり、既設便器4の方が高いときには、排出ホース14内に流状物が滞留するおそれがある。しかし、上述したエアコンプレッサ200を設け、その圧縮空気によって流状物を圧送すれば、この流状物が排出ホース14内に残留することない。
図13は図12の変形例である。図13では図12の構成に加えてさらに溜まり部の上部を閉塞する閉塞蓋116を設け、可搬型簡易トイレ10の排出処理に関連してこの閉塞蓋116を閉じるように構成した場合である。
そのため、この閉塞蓋116は電動式による閉塞操作が好ましく、可搬型簡易トイレ10の排出用電磁弁24の作動に連動して開閉するように制御される。閉塞蓋116を図13のようにスライド式に構成するときは、この閉塞蓋116は電磁ソレノイド117で開閉させることができる。電磁ソレノイド117の変わりにギアによって開閉させる機構を利用することもできる。排出用の電磁弁24ではなく、給水用の電磁弁32に連動して閉塞蓋116を閉塞制御(開閉制御)してもよい。
閉塞板116としてスライドではなく、90°以上開閉させる方式を採用する場合には閉塞板116の回転軸部に軸駆動機構が設けられ、電磁弁24に連動してその回動が制御される。電磁弁24との連動方式ではなく、便器本体108に設けられた便蓋(便座を閉塞する外蓋)の開閉に連動して開閉するような機構を採用することもできる。
閉塞蓋116は既設便器4が使用される場合でも、その開閉を行う必要があるので、この既設便器4に温水洗浄便座が装備されているときは、この温水洗浄便座に開閉スイッチ(図示はしない)を設け、そのスイッチ操作に基づく制御信号を利用して閉塞蓋116を制御するように構成することもできる。
図14以下も排出ホース14を既設便器4に連結する具体例である。図14は既設便器4に設置されている便座118を改良して、排出ホース14を便器本体108内に導けるようにしたものである。
図14では便座118のうち左側の便座118aの一部に上下に貫通する排出ホース握持用の貫通孔119が設けられ、ここに排出ホース14の先端部を挿通させることで既設便器4との連結を図るようにしたものである。
この場合には、排出ホース14に設けられる連結部62Bと連結される連結部が貫通孔119に設けられる。また、既設便器4を使用するときは、排出ホース14を外す必要がある。
図15は図14の変形例である。図15の例では左側の便座118aの下面側に、排出ホース14に対する取り付け固定部120を一体的に設けたもので、便器本体108と便座118との隙間を利用して取り付け固定する場合である。
排出ホース14の先端部は溜まり部まで届くようにして配管してもよければ、便座108より僅かに突出するだけの長さとなるように配管してもよい。排出ホース14そのものの径が小さいため、便器本体108と便座118との隙間を利用して取り付け固定することができる。
この場合には、その取り付け固定部120は図16に示すように、下端部が開放された断面中空の握持部(挟着部)構成となる。この構成では、既設便器4と可搬型簡易トイレ10の同時使用が可能になる。
図17は図15の変形例である。この例では排出ホース14用の取り付け固定部120は便座118とは別体構成であり、図18に示すように便座118に取り付けられる挟持部122と、この挟持部122に対して下面側に突出する握持部124が設けられ、この握持部124で排出ホース14を握持するようにした例である。この構成でも図15と同様な作用効果を奏する。
図19は図15および図17の変形例である。この例では排出ホース14用の取り付け固定部120は便座118とは別体構成であり、しかも図19に示すように便器本体108に固定するようにした例である。そのため、図20に示すように便座本体108に取り付けられる挟持部122と、この挟持部122に対して上面側に突出する中空握持部124が設けられ、この握持部124で排出ホース14を握持するようにした例である。したがってこの構成によれば、図15および図17と同様な作用効果を奏する。
図21は排出ホース14の取り付けのさらに他の例を示す。この例は排出ホース14の取り付け固定部120として、図22に示すように漏斗を変形したような形状として構成された弾性体が使用される。その外面は溜まり部の外面に沿う形状となされている。そして、弾性を持たせるため、漏斗状の開口端部(溜まり部側とは反対側)には複数の割溝132が形成され、この開口端部を抑えながら溜まり部側に差し込むことで、この溜まり部の周囲に密着した状態で、この取り付け固定部120を挿着できる。
取り付け固定部120のうち、挿着時排出部110側となる部分には排出ホース14の取り付け片128が一体成形され、その先端部に90°以上折れ曲がった取り付け部128aが設けられたものである。取り付け部128aには一端が開口した握持部(挟持部)134が設けられている。排出部110と対峙する面は大きな透孔130となされている。
このように構成された取り付け固定部120は、透孔130が排出部110側を向くように便器本体の溜まり部に挿着される。この挿着によって、取り付け固定部120は溜まり部と密着した状態で固定される。その後、図21に示すように排出ホース14の先端部を取り付け部128aの握持部134に取り付け固定することで、排出ホース14を溜まり部に臨ませるようにセッティングできる。
なお、取り付け固定部120の弾性が充分でないときは、取り付け固定部120の内空部を拡張するような拡張用の筒状体を使用すればよい。筒状体をこの内空部に挿着することで、内空部が拡張されて取り付け固定部120のほぼ全体を溜まり部の内周面に密着固定できる。
図23は既設トイレが和式トイレの場合における排出ホース14の取り付け例である。この場合には、取り付け固定部120として、図24に示すように和式便器180に挿着できるように、その両端が多少湾曲した挟持部136が設けられると共に、この挟持部136の中央部に排出ホース14の取り付け部138が設けられる。取り付け部138は中空握持部構成である。
取り付け固定部120は、その挟持部136の両端を押し広げ(拡幅し)、その弾性力を利用して和式便器180に挿着固定される。このような取り付け固定部120を使用しても排出ホース14が溜まり部を向くように取り付け固定することができる。
排出ホース14の取り付け部138は、挟持部136の中央部ではなく、左右いずれかにシフトさせた挟持部136の端部側に設けてもよい。
図25は衛生的な可搬型簡易トイレ10を提供するものである。この場合には、便器本体20の壁面18aであって、溜まり部18よりも上部の位置に消毒液を満たしたタンク142が設けられる。
溜まり部18の上部には図1に示すようにエアコンプレッサ200が設けられているので、図25の場合にはこのエアコンプレッサ200と並置するように構成した場合である。そのため、エアコンプレッサ200に隣接した壁面18aに消毒液の注入口140が設けられている。
タンク142にはトイレ使用時、具体的には流状物の排出タイミングに連動して押圧手段(図示はしない)を所定時間Tbに亘って動作させる。これでトイレ使用時のみタンク142を押圧して所定の消毒液を溜まり部18に送り出すことができる。
こうすれば、便器本体20のうち溜まり部18付近は常に消毒液によって消毒されるので、衛生的である。この消毒液を滴下することで、排出ホース14も同時に消毒されることになるので、一層衛生的な可搬型簡易トイレを提供できる。
図26は消臭機能を備えた可搬型簡易トイレ10の具体例である。この場合も図25と同様にエアコンプレッサ200に並置させて消臭手段が設置される。そのため、エアコンプレッサ200と隣り合うように便器本体20の壁面18aであって、溜まり部18よりも上部の位置に吸入口150が設けられ、ここにケース153内に設けられた消臭手段として機能する換気用ファン152が取り付けられる。さらにこの吸入口150の背面側に排気パイプ154が接続され、屋外に排気される。
そして、少なくともトイレ使用時に、換気用ファン152を回転駆動する。そうすれば、便器本体20内の空気が吸い込まれて屋外に排気されるから、汚物の臭いを効率よく屋外に排気できる。したがって、室内に汚物の臭いが漂うことがなく、快適な環境を作ることができる。
図27はこの発明に係る可搬型簡易トイレ10をベッドに装備した場合の一例を示す。そのため、図28に示すように、ベッド160の架台162の上面にはマットレス164が敷かれている。このマットレス164の中央部には所定の大きさの開口部164aが設けられ、ここを覆うように開閉蓋166が用意されている。したがって開閉蓋166はマットレス164の一部となる。
一方、開口部164aに対向する架台162にも、この開口部164aよりも小さめの穴168が形成され、この穴を塞ぐように連動して動作する開閉シャッタ170が設けられている。
さらに、この穴168をさらに塞ぐように架台162の下面側には上述した可搬型簡易トイレ10が取り付け固定されている。
ベッド160に寝たままでこの可搬型簡易トイレ10を使用するときは、マットレスで構成された開閉蓋166を開き、さらに開閉シャッタ(電動シャッタ)170を開く。これで可搬型簡易トイレ10を使用できる状態となる。好ましくは、架台162の傾斜角が電動で可変できるものであれば、架台162を傾かせることで、可搬型簡易トイレ10を使用し易くなる。
開閉シャッタ170は図示のように前後に開閉する一対のシャッタ板を使用し、これらを連動して開閉するように構成されている。この他に1枚のシャッタ板を使用しこれを架台162と同一平面内を90°以上回転させて開閉(開蓋および閉蓋)するように構成することもできる。
この発明では、介護施設や在宅介護などの介護補助装置として使用することができる。
この発明に係る可搬型簡易トイレの一例を示す要部の断面図である。
給水ホースの構成例を示す図である。
排出ホースの構成例を示す図である。
逆止弁の一例を示す要部断面図である。
開閉蓋を構成する蓋本体の一例を示す平面図である。
蓋本体が開いた状態を示す断面図である。
この発明に係る可搬型簡易トイレの制御系の一例を示す系統図である。
その動作説明に供する波形図である。
この発明に使用される粉砕手段の他の取り付け例を示す要部断面図である。
この発明に係る可搬型簡易トイレの適用例を示す見取り図である。
看護施設に取り付けられた給水ホースと排出ホースの取り付け手段の一例を示す要部構成図である。
排出ホース取り付け手段の一例を示す要部構成図である(その1)。
排出ホース取り付け手段の他の例を示す要部構成図である(その2)。
排出ホース取り付け手段の他の例を示す要部構成図である(その3)。
排出ホース取り付け手段の他の例を示す要部構成図である(その4)。
その排出ホース取り付け状態の要部断面図である。
排出ホース取り付け手段の他の例を示す要部構成図である(その5)。
その排出ホース取り付け具の一例を示す斜視図である。
排出ホース取り付け手段の他の例を示す要部の断面図である(その6)。
その排出ホース取り付け具の一例を示す斜視図である。
排出ホース取り付け手段の他の例を示す要部の断面図である(その7)。
排出ホース取り付け手段の一例を示す斜視図である。
この発明を和式トイレに適用したときの排出ホース取り付け例を示す要部の斜視図である。
そのときに使用される取り付け手段の一例を示す斜視図である。
この発明に係る可搬型簡易トイレのさらに他の例を示す要部の横断面図である。
この発明に係る可搬型簡易トイレのさらに他の例を示す要部の横断面図である。
この発明をベッドに取り付けた状態の一例を示す平面図である。
その要部断面図である。
符号の説明
10・・・可搬型簡易トイレ
12・・・給水ホース
14・・・排出ホース
18・・・溜まり部
19・・・外壁
20・・・便器本体
24,32・・・電磁弁
26,34・・・連結部
22・・・排出部
28・・・給水口
40・・・粉砕手段
42・・・モータ
44・・・粉砕羽根
60(60A、60B)、62(62A、62B)・・・連結部
84・・・分岐管
90・・・逆止弁
95・・・消毒液用タンク
98a・・・給水本管
98b・・・排出本管
120・・・取り付け固定部
152・・・換気ファン
200・・・粉砕物圧送手段
210・・・開閉蓋機構
212・・・蓋本体
218・・・電磁ソレノイド
222,224・・・第1および第2のスイッチ