JP2006274320A - 亜鉛原料の処理方法 - Google Patents
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Abstract
湿式亜鉛製錬における亜鉛原料の処理において、前記亜鉛原料を硫酸酸性溶液で処理する際に、当該硫酸酸性溶液へ溶出したシリカ等を、迅速かつ固液分離容易な形態で析出沈殿させる。
【解決方法】
亜鉛原料から亜鉛を抽出する湿式亜鉛製錬工程において、焙焼した亜鉛原料を、硫酸酸性溶液を用いて浸出する際、当該硫酸酸性溶液中のMn濃度、Mg濃度、Fe濃度のいずれか1つ以上を、Mn濃度であれば予め3g/L以下、Mg濃度であれば予め10g/L以下、Fe濃度であれば予め1g/L以下とした後に、前記亜鉛原料を浸出する。
【選択図】 図1
Description
例えば、前記亜鉛原料に不純物としてFeやSiが多く含有されていると、焙焼物の浸出後に生成する亜鉛浸出残渣の沈降性が悪化する。特に、不純物がSi化合物であるシリカであると、その含有量が多くなるに従い当該シリカがゲル化し、前記亜鉛浸出残渣と絡み合うため、前記固液分離工程の沈降性・ろ過性が著しく悪くなる。そこで、前記固液分離工程における沈降性・ろ過性を向上させるため、特許文献1を始めとする提案がされている。
亜鉛原料から亜鉛を抽出する湿式亜鉛製錬工程において、
焙焼した亜鉛原料を、硫酸酸性溶液を用いて浸出する際、
当該硫酸酸性溶液中のMn濃度を予め3g/L以下とした後に、前記亜鉛原料を浸出することを特徴とする亜鉛原料の処理方法である。
亜鉛原料から亜鉛を抽出する湿式亜鉛製錬工程において、
焙焼した亜鉛原料を、硫酸酸性溶液を用いて浸出する際、
当該硫酸酸性溶液中のMn濃度を予め2g/L以上、3g/L以下とした後に、前記亜鉛原料を浸出することを特徴とする亜鉛原料の処理方法である。
亜鉛原料から亜鉛を抽出する湿式亜鉛製錬工程において、
焙焼した亜鉛原料を、硫酸酸性溶液を用いて浸出する際、
当該硫酸酸性溶液中のMg濃度を予め10g/L以下とした後に、前記亜鉛原料を浸出することを特徴とする亜鉛原料の処理方法である。
亜鉛原料から亜鉛を抽出する湿式亜鉛製錬工程において、
焙焼した亜鉛原料を、硫酸酸性溶液を用いて浸出する際、
当該硫酸酸性溶液中のFe濃度を予め1g/L以下とした後に、前記亜鉛原料を浸出することを特徴とする亜鉛原料の処理方法である。
亜鉛原料から亜鉛を抽出する湿式亜鉛製錬工程において、
焙焼した亜鉛原料を、硫酸酸性溶液を用いて浸出する際、
当該硫酸酸性溶液中のMn濃度を予め3g/L以下とし、Mg濃度を予め10g/L以下とし、Fe濃度を予め1g/L以下とした後に、前記亜鉛原料を浸出することを特徴とする亜鉛原料の処理方法である。
前記硫酸酸性溶液の初期pHを1.5未満とすることを特徴とする第1から第5の手段のいずれかに記載の亜鉛の処理方法である。
前記亜鉛原料を浸出するときの浸出時間を10分間以上5時間以下とすることを特徴とする第1から第6の手段のいずれかに記載の亜鉛の処理方法である。
図1において、亜鉛原料1を焙焼2した後、粉砕し粉砕物3を得る。この粉砕物3を、硫酸酸性の浸出液4に加え、浸出操作5の後、固液分離6を行って浸出后液7と亜鉛浸出残査8とを得る。次に、当該浸出后液7を浄液9の後に電解10し、電気亜鉛11と電解尾液12とを得る。電気亜鉛11は亜鉛製錬の次工程へと送られる。電解尾液12は固液分離13され、固体部分は、Mn澱物14として再び浸出液4へ添加されるが、液体部分は、一部が浸出液4として循環使用され、他部は排水処理工程15へ送られ(ブリードオフ)て酸化亜鉛16が回収され、残りのMgを含有する排水17は系外へ排出される。回収された酸化亜鉛16は、焙焼2の工程、浸出操作5の工程に戻されるか、後述する炭酸カルシウム32の代替物として1段中和液26、2段中和33にて用いられる。
循環使用される浸出液4におけるMnの過剰量を除去し、適正量に保つには、浸出液4に添加するMn澱物14の添加量を制御するか、または2次浸出工程において、Mn澱物を添加することとし、当該添加量を調整することでMn濃度を制御することで実現することができる。
そもそもMnは、亜鉛原料1である亜鉛鉱石中に存在していたものであるが、浸出操作5により浸出されて浸出液7へ移行したものである。この浸出液7が、電解10を受けた際、アノードにおいてMnと同時に生成する酸素により酸化作用を受け、MnO2となって析出しアノード板にスケールとなって付着する。当該MnO2のスケールは、当該アノード板を保護する効果があるために、当該Mn澱物14を再び浸出液4へ添加することで、浸出液4または2次浸出液22へMn2+として補給していたものである。
ところが、浸出液4におけるMn濃度が3g/Lを超えると固液分離工程6においてSiO2の沈降性、ろ過性が低下することを見出したものである。従って、浸出液中のMn濃度が3g/L以下の範囲に入るように制御すれば良い。さらに好ましくは、Mn2+に、上述したアノード板を保護する効果を発揮させるためには、Mn濃度が2g/L以上あれば良いので、浸出液4中のMn濃度を2g/L以上、3g/L以下の範囲に制御すれば良い。
具体的には、浸出液4中のMn濃度をモニターし、当該モニター結果におけるMn濃度を3g/L以下の範囲、さらに好ましくは、2g/L以上、3g/L以下の範囲に入るように、浸出液4に対するMn澱物14の添加量を制御することで実現することができる。
循環使用される浸出液4において、亜鉛鉱石中に存在していたMgが蓄積していくことが、浸出液4におけるMgの生成理由である。そこで、当該Mgを除去し、10g/L以下に保つには、電解尾液12から固液分離13され、さらにブリードオフされて系外へ排出されるMgを含有する排水17の量を制御することで行うことができる。
循環使用される浸出液4において、亜鉛鉱石中に存在していたFeが蓄積していくことが、浸出液4における過剰のFeの生成理由である。そこで、当該Feの過剰量を除去し、適正量に保つには、2段中和液34へO2・蒸気36を加えて行う脱鉄37により、α-Fe2O3を析出させヘマタイト39として取り除いた後、焙焼2の工程で亜鉛精鉱をリパルプしスラリーチャージするための補加水として添加すれば良い。Feは亜鉛精鉱と反応してZnフェライトとなり、2次浸出21の工程で浸出されるからである。当該操作により、硫酸酸性溶液中のFe濃度を予め1g/L以下に制御することができる。
実施例1においては、Mn濃度が、浸出工程の後工程である固液分離工程において、沈降性・ろ過性を向上させる効果について確認した。
まず、浸出液のモデル液試料(1〜4)を調製した。当該モデル液は、蒸留水とH2SO4、MnSO4、ZnSO4・7H2O、Fe2(SO4)3・nH2O(Fe品位22%)とを混合した溶液である。
調製した浸出液のモデル液の組成(分析結果)を表1に示す。
ここで、pHを4.2に保持する為、微調整の浸出液を若干添加し、加温しながら30分撹拌を継続し浸出を行った。
用いた亜鉛焼鉱の組成を表2に示す。
尚、凝集剤は、サンポリーA511(三洋化成(株)製)1gを1Lの純水に希釈し、その希釈液を注射器で9ml計量し添加した。添加濃度は15ppmである。沈降性の評価は目視とストップウォッチでおこなった。
沈降性評価を30分間で終了し、沈降したスラリーを、直径116mm、3ミクロンPTFEろ紙の加圧ろ過器に入れて4kgf/cm2でろ過し、全量排出となる時間を計測してろ過速度を算定した。このとき、液は若干冷めており60℃から45℃となっていた。
このときのスラリーの沈降状況およびろ過速度を表4および図2、3に示す。ここで、図2は、縦軸にスラリーの沈降距離をとり、横軸に時間をとったグラフで、試料1〜4の時間毎の沈降距離を、試料1は○、試料2は△、試料3は□、試料4は◇でプロットし、試料1は細実線、試料2は破線、試料3は実線、試料4は太実線で結んだものである。図3は、縦軸にスラリーのろ過速度をとり、横軸に試料のMn濃度をとったグラフである。
実施例2においては、Mg濃度が、浸出工程の後工程である固液分離工程において、沈降性・ろ過性を向上させる効果について確認した。
まず、実施例1と同様だが、Mg濃度を調整した浸出液のモデル液試料(5〜8)を調製した。
当該モデル液は、蒸留水とH2SO4、MgSO4、MnSO4、ZnSO4・7H2O、Fe2(SO4)3・nH2O(Fe品位22%)とを混合した溶液である。
ここで、Mg添加量は0〜12g/Lとし、試薬のMgSO4の添加量を、調整することで実施した。H2SO4添加量は160g/L、MnSO4添加量は11g/L、ZnSO4・7H2O添加量は285.7g/L、Fe2(SO4)3・nH2O添加量は6.65g/Lとした。
調製した浸出液のモデル液の組成(分析結果)を表5に示す。
ここで、pHを4.2に保持する為、微調整の浸出液を若干添加し、加温しながら30分撹拌を継続し浸出を行った。尚、亜鉛焼鉱は実施例1と同様のものを用いた。
浸出完了時、浸出液のモデル液の液温は80℃に制御され、pH=4.2、ORP=250mV前後であった。このときのモデル液の分析結果を表6に示す。
このときのスラリーの沈降状況およびろ過速度を表7および図4、5に示す。
実施例3においては、Fe濃度が、浸出工程の後工程である固液分離工程において、沈降性・ろ過性を向上させる効果について確認した。
実施例3においては、脱鉄后液をモデル化した、蒸留水とH2SO4、MgSO4、MnSO4、ZnSO4・7H2O、Fe2(SO4)3・nH2O(Fe品位22%)で調製した液を作成した。
ここで、Fe添加量は0〜1.5g/Lとし、Fe2(SO4)3・nH2Oの添加量を調整することで実施した。そして、当該各脱鉄后液モデル液試料214mLと、実際の電解尾液340mLとを混合して、Fe濃度を調整した浸出液のモデル液試料(9〜14)を調製した。
使用した電解尾液の組成(分析結果)を表8に示し、調製した浸出液のモデル液の組成(分析結果)を表9に示す。
浸出完了時、浸出液のモデル液の液温は80℃に制御され、pH=4.2、ORP=250mV前後であった。このときのモデル液の分析結果を表10に示す。
このときのスラリーの沈降状況およびろ過速度を表11および図6、7に示す。
Claims (7)
- 亜鉛原料から亜鉛を抽出する湿式亜鉛製錬工程において、
焙焼した亜鉛原料を、硫酸酸性溶液を用いて浸出する際、
当該硫酸酸性溶液中のMn濃度を予め3g/L以下とした後に、前記亜鉛原料を浸出することを特徴とする亜鉛原料の処理方法。 - 亜鉛原料から亜鉛を抽出する湿式亜鉛製錬工程において、
焙焼した亜鉛原料を、硫酸酸性溶液を用いて浸出する際、
当該硫酸酸性溶液中のMn濃度を予め2g/L以上、3g/L以下とした後に、前記亜鉛原料を浸出することを特徴とする亜鉛原料の処理方法。 - 亜鉛原料から亜鉛を抽出する湿式亜鉛製錬工程において、
焙焼した亜鉛原料を、硫酸酸性溶液を用いて浸出する際、
当該硫酸酸性溶液中のMg濃度を予め10g/L以下とした後に、前記亜鉛原料を浸出することを特徴とする亜鉛原料の処理方法。 - 亜鉛原料から亜鉛を抽出する湿式亜鉛製錬工程において、
焙焼した亜鉛原料を、硫酸酸性溶液を用いて浸出する際、
当該硫酸酸性溶液中のFe濃度を予め1g/L以下とした後に、前記亜鉛原料を浸出することを特徴とする亜鉛原料の処理方法。 - 亜鉛原料から亜鉛を抽出する湿式亜鉛製錬工程において、
焙焼した亜鉛原料を、硫酸酸性溶液を用いて浸出する際、
当該硫酸酸性溶液中のMn濃度を予め3g/L以下とし、Mg濃度を予め10g/L以下とし、Fe濃度を予め1g/L以下とした後に、前記亜鉛原料を浸出することを特徴とする亜鉛原料の処理方法。 - 前記硫酸酸性溶液の初期pHを1.5未満とすることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の亜鉛の処理方法。
- 前記亜鉛原料を浸出するときの浸出時間を10分間以上5時間以下とすることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の亜鉛の処理方法。
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JPS5249928A (en) * | 1975-10-18 | 1977-04-21 | Mitsui Mining & Smelting Co Ltd | Proces for extraction of zinc silicate ore |
JPS62146226A (ja) * | 1985-12-20 | 1987-06-30 | ノルシンク アクチエセルスカプ | 湿式製練による亜鉛の製造方法 |
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