JP2006274271A - 冷凍機油組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】潤滑性能に優れ、特にアルミニウム材/鋼材との間の潤滑性を向上させ、焼付や摩耗を抑えることができ、環境汚染をもたらさないR134aなどの水素含有フロン冷媒を用いた冷凍機油組成物の提供。
【解決手段】ポリアルキレングリコール,ポリビニルエーテル,ポリエステル,ポリオールエステル,カーボネート誘導体,ポリエーテルケトン,フッ素化油等の含酸素化合物を基油に、有機リン酸のアンモニア又はモノ,ジあるいはトリヒドロカルビルアミンの塩を配合した冷凍機油組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は冷凍機油組成物に関し、詳しくは、優れた潤滑性能を有し、特にアルミニウム材と鋼材との間の潤滑性を向上させ、焼付や摩耗を抑えることができ、環境汚染をもたらさない1,1,1,2−テトラフルオロエタンなどの水素含有フロン冷媒を用いた冷凍機の潤滑油として好適な冷凍機油組成物に関するものである。
一般に、圧縮型冷凍機は圧縮機,凝縮器,膨張弁,蒸発器から構成され、冷媒と潤滑油との混合液体がこの密閉された系内を循環する構造となっている。このような圧縮型冷凍機においては、冷媒として、従来ジクロロジフルオロメタン(R12)やクロロジフルオロメタン(R22)などが多く用いられ、また潤滑油として種々の鉱油や合成油が用いられてきた。
しかしながら、上記R12やR22などのクロロフルオロカーボンは、オゾン層を破壊するなど環境汚染をもたらすおそれがあることから、最近、世界的にその規制が厳しくなりつつある。そのため、新しい冷媒としてハイドロフルオロカーボンやハイドロクロロフルオロカーボンなどの水素含有フロン化合物が注目されるようになってきた。この水素含有フロン化合物、特に1,1,1,2−テトラフルオロエタン(R134a)で代表されるハイドロフルオロカーボンは、オゾン層を破壊するおそれがない上、従来の冷凍機の構造をほとんど変更することなく、R12などと代替が可能であるなど、圧縮型冷凍機用冷媒として好ましいものである。
この新しい代替フロン系冷媒は、従来のフロン系冷媒とは性質を異にし、それと併用される冷凍機油としては、例えば特定の構造を有するポリアルキレングリコール,ポリエステル,ポリオールエステル,ポリカーボネート,ポリビニルエーテルなどを基油とし、これに酸化防止剤,極圧剤,消泡剤,加水分解抑制剤などの各種添加剤を配合したものが有用であることが知られている。
しかしながら、これらの冷凍機油は、上記の冷媒雰囲気下では潤滑性能に劣り、特にカーエアコンや電気冷蔵庫などの冷凍機のアルミニウム材と鋼材との間の摩耗を増大させ、実用上大きな問題となっている。このアルミニウム材と鋼材との摩擦部分は、レシプロタイプの圧縮機(特に斜板式)では、ピストンとピストンシュー、斜板とシュー部分など、ロータリータイプの圧縮機では、ベーンとハウジング部分などに使用されており、潤滑上重要な要素である。
一方、耐摩耗性向上剤は種々のものが知られているが、フロン雰囲気という特殊条件下で、アルミニウム材と鋼材との摩耗を安定性を害することなく、効果的に防止できる手段はこれまで知られていないのが実状である。
本発明は、このような状況下で、優れた潤滑性能を有し、特にアルミニウム材と鋼材との間の潤滑性を向上させ、焼付や摩耗を抑えることができ、環境汚染をもたらさないR134aなどの水素含有フロン冷媒を用いた冷凍機の潤滑油として好適な冷凍機油組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者は、前記の好ましい性質を有する冷凍機油組成物を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、鉱油や合成油からなる基油に、特定の金属塩あるいはアミン塩を配合することにより、その目的を達成しうることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、鉱油及び合成油から選ばれる少なくとも一種からなる基油に、無機リン酸の金属塩,無機リン酸のアミン塩,有機リン酸の金属塩,有機リン酸のアミン塩,有機ホスホン酸の金属塩,有機ホスホン酸のアミン塩,有機亜リン酸の金属塩及び有機亜リン酸のアミン塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を配合してなる冷凍機油組成物を提供するものである。
本発明の冷凍機油組成物は、優れた潤滑性能を有し、特にアルミニウム材と鋼材との間の潤滑性を向上させ、焼付や摩耗を抑えることができ、環境汚染をもたらさないR134aなどの水素含有フロン冷媒を用いた冷凍機の潤滑油として好適である。
本発明の冷凍機油組成物においては、基油として鉱油及び/又は合成油が用いられる。この鉱油や合成油については、一般に冷凍機油の基油として用いられているものであればよく、特に制限はないが、100℃における動粘度が1〜100cSt、更に2〜60cSt、特に3〜40cStの範囲にあるものが好適である。動粘度が上記範囲の値より低い場合は潤滑性及びシール性に劣り、高い場合は相溶性及び低温流動性に劣る。また、この基油の低温流動性の指標である流動点については特に制限はないが、−10℃以下であるのが望ましい。
このような鉱油,合成油は各種のものがあり、用途などに応じて適宜選定すればよい。鉱油としては、例えばパラフィン系鉱油,ナフテン系鉱油,中間基系鉱油などが挙げられ、一方合成油としては、含酸素有機化合物及び炭化水素系合成油などが挙げられる。
合成油の中で、上記含酸素有機化合物としては、分子中にエーテル基,ケトン基,エステル基,カーボネート基,ヒドロキシル基などを含有する合成油、さらにはこれらの基とともにヘテロ原子(S,P,F,Cl,Si,Nなど)を含有する合成油が挙げられ、具体的には(a)ポリアルキレングリコール,(b)ポリビニルエーテル,(c)ポリエステル,(d)ポリオールエステル,(e)カーボネート誘導体,(f)ポリエーテルケトン,(g)フッ素化油などである。
上記(a)のポリアルキレングリコールとしては、例えば一般式(I)
1−〔(OR2m−OR3n ・・・(I)
(式中、R1は水素原子,炭素数1〜10のアルキル基,炭素数2〜10のアシル基又は結合部2〜6個を有する炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、R2は炭素数2〜4のアルキレン基、R3は水素原子,炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアシル基、nは1〜6の整数、mはm×nの平均値が6〜80となる数を示す。)
で表される化合物が挙げられる。
上記一般式(I)において、R1,R3におけるアルキル基は直鎖状,分岐鎖状,環状のいずれであってもよい。該アルキル基の具体例としては、メチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,各種ブチル基,各種ペンチル基,各種ヘキシル基,各種ヘプチル基,各種オクチル基,各種ノニル基,各種デシル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル基などを挙げることができる。このアルキル基の炭素数が10を超えるとフロン冷媒との相溶性が低下し、相分離を生じる場合がある。好ましいアルキル基の炭素数は1〜6である。
また、R1,R3における該アシル基のアルキル基部分は直鎖状,分岐鎖状,環状のいずれであってもよい。該アシル基のアルキル基部分の具体例としては、上記アルキル基の具体例として挙げた炭素数1〜9の種々の基を同様に挙げることができる。該アシル基の炭素数が10を超えるとフロン冷媒との相溶性が低下し、相分離を生じる場合がある。好ましいアシル基の炭素数は2〜6である。
1及びR3が、いずれもアルキル基又はアシル基である場合には、R1とR3は同一であってもよいし、たがいに異なっていてもよい。
さらにnが2以上の場合は、1分子中の複数のR3は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
1が結合部位2〜6個を有する炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基である場合、この脂肪族炭化水素基は鎖状のものであってもよいし、環状のものであってもよい。結合部位2個を有する脂肪族炭化水素基としては、例えばエチレン基,プロピレン基,ブチレン基,ペンチレン基,ヘキシレン基,ヘプチレン基,オクチレン基,ノニレン基,デシレン基,シクロペンチレン基,シクロヘキシレン基などが挙げられる。また、結合部位3〜6個を有する脂肪族炭化水素基としては、例えばトリメチロールプロパン,グリセリン,ペンタエリスリトール,ソルビトール;1,2,3−トリヒドロキシシクロヘキサン;1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサンなどの多価アルコールから水酸基を除いた残基を挙げることができる。
この脂肪族炭化水素基の炭素数が10を超えるとフロン冷媒との相溶性が低下し、相分離が生じる場合がある。好ましい炭素数は2〜6である。
前記一般式(I)中のR2は炭素数2〜4のアルキレン基であり、繰り返し単位のオキシアルキレン基としては、オキシエチレン基,オキシプロピレン基,オキシブチレン基が挙げられる。1分子中のオキシアルキレン基は同一であってもよいし、2種以上のオキシアルキレン基が含まれていてもよいが、1分子中に少なくともオキシプロピレン単位を含むものが好ましく、特にオキシアルキレン単位中に50モル%以上のオキシプロピレン単位を含むものが好適である。
前記一般式(I)中のnは1〜6の整数で、R1の結合部位の数に応じて定められる。例えばR1がアルキル基やアシル基の場合、nは1であり、R1が結合部位2,3,4,5及び6個を有する脂肪族炭化水素基である場合、nはそれぞれ2,3,4,5及び6となる。また、mはm×nの平均値が6〜80となる数であり、m×nの平均値が前記範囲を逸脱すると本発明の目的は十分に達せられない。
前記一般式(I)で表されるポリアルキレングリコールは、末端に水酸基を有するポリアルキレングリコールを包含するものであり、該水酸基の含有量が全末端基に対して、50モル%以下になるような割合であれば、含有していても好適に使用することができる。この水酸基の含有量が50モル%を超えると吸湿性が増大し、粘度指数が低下するので好ましくない。
一般式(I)で表されるポリアルキレングリコールとしては、ポリオキシプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールジメチルエーテル及びポリオキシプロピレングリコールモノブチルエーテル、さらにはポリオキシプロピレングリコールジアセテートなどが、経済性及び効果の点で好適である。
なお、上記一般式(I)で表されるポリアルキレングリコールについては、特開平2−305893号公報に詳細に記載されたものをいずれも使用することができる。
前記(b)のポリビニルエーテルとしては、例えば一般式(II)
Figure 2006274271
(式中、R4,R5及びR6はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、R7は炭素数1〜10の二価の炭化水素基又は炭素数2〜20の二価のエーテル結合酸素含有炭化水素基、R8は炭素数1〜20の炭化水素基、kはその平均値が0〜10の数を示し、R4〜R8は構成単位毎に同一であってもそれぞれ異なっていてもよく、またR7Oが複数ある場合には、複数のR7Oは同一でも異なっていてもよい。)
で表される構成単位を有するポリビニルエーテル系化合物が挙げられる。
また、上記一般式(II)で表される構成単位と、一般式(III)
Figure 2006274271
(式中、R9〜R12は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、またR9〜R12は構成単位毎に同一であってもそれぞれ異なっていてもよい。)
で表される構成単位とを有するブロック又はランダム共重合体からなるポリビニルエーテル系化合物も使用することができる。
上記一般式(II)におけるR4,R5及びR6はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜8、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい。ここで炭化水素基とは、具体的にはメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,sec−ブチル基,tert−ブチル基,各種ペンチル基,各種ヘキシル基,各種ヘプチル基,各種オクチル基のアルキル基、シクロペンチル基,シクロヘキシル基,各種メチルシクロヘキシル基,各種エチルシクロヘキシル基,各種ジメチルシクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基,各種メチルフェニル基,各種エチルフェニル基,各種ジメチルフェニル基のアリール基、ベンジル基,各種フェニルエチル基,各種メチルベンジル基のアリールアルキル基を示す。なお、これらのR4,R5,R6としては、特に水素原子が好ましい。
一方、一般式(II)中のR7は、炭素数1〜10、好ましくは2〜10の二価の炭化水素基又は炭素数2〜20の二価のエーテル結合酸素含有炭化水素基を示すが、ここで炭素数1〜10の二価の炭化水素基とは、具体的にはメチレン基;エチレン基;フェニルエチレン基;1,2−プロピレン基;2−フェニル−1,2−プロピレン基;1,3−プロピレン基;各種ブチレン基;各種ペンチレン基;各種ヘキシレン基;各種ヘプチレン基;各種オクチレン基;各種ノニレン基;各種デシレン基の二価の脂肪族基、シクロヘキサン;メチルシクロヘキサン;エチルシクロヘキサン;ジメチルシクロヘキサン;プロピルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素に2個の結合部位を有する脂環式基、各種フェニレン基;各種メチルフェニレン基;各種エチルフェニレン基;各種ジメチルフェニレン基;各種ナフチレン基などの二価の芳香族炭化水素基、トルエン;キシレン;エチルベンゼンなどのアルキル芳香族炭化水素のアルキル基部分と芳香族部分にそれぞれ一価の結合部位を有するアルキル芳香族基、キシレン;ジエチルベンゼンなどのポリアルキル芳香族炭化水素のアルキル基部分に結合部位を有するアルキル芳香族基などがある。これらの中で炭素数2から4の脂肪族基が特に好ましい。
また、炭素数2〜20の二価のエーテル結合酸素含有炭化水素基の具体例としては、メトキシメチレン基;メトキシエチレン基;メトキシメチルエチレン基;1,1−ビスメトキシメチルエチレン基;1,2−ビスメトキシメチルエチレン基;エトキシメチルエチレン基;(2−メトキシエトキシ)メチルエチレン基;(1−メチル−2−メトキシ)メチルエチレン基などを好ましく挙げることができる。なお、一般式(II)におけるkはR7Oの繰り返し数を示し、その平均値が0〜10、好ましくは0〜5の範囲の数である。R7Oが複数ある場合には、複数のR7Oは同一でも異なっていてもよい。
さらに、一般式(II)におけるR8は炭素数1〜20、好ましくは1〜10の炭化水素基を示すが、この炭化水素基とは、具体的にはメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,sec−ブチル基,tert−ブチル基,各種ペンチル基,各種ヘキシル基,各種ヘプチル基,各種オクチル基,各種ノニル基,各種デシル基のアルキル基、シクロペンチル基,シクロヘキシル基,各種メチルシクロヘキシル基,各種エチルシクロヘキシル基,各種プロピルシクロヘキシル基,各種ジメチルシクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基,各種メチルフェニル基,各種エチルフェニル基,各種ジメチルフェニル基,各種プロピルフェニル基,各種トリメチルフェニル基,各種ブチルフェニル基,各種ナフチル基などのアリール基、ベンジル基,各種フェニルエチル基,各種メチルベンジル基,各種フェニルプロピル基,各種フェニルブチル基のアリールアルキル基などを示す。
なお、該R4〜R8は構成単位毎に同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(II)で表されるポリビニルエーテル系化合物(1)は、その炭素/酸素モル比が4.2〜7.0の範囲にあるものが好ましい。このモル比が4.2未満では、吸湿性が高く、また7.0を超えると、フロンとの相溶性が低下する場合がある。
上記一般式(III)において、R9〜R12は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい。ここで、炭素数1〜20の炭化水素基としては、上記一般式(II)におけるR8の説明において例示したものと同じものを挙げることができる。なお、R9〜R12は構成単位毎に同一であってもそれぞれ異なっていてもよい。
該一般式(II)で表される構成単位と一般式(III)で表される構成単位とを有するブロック又はランダム共重合体からなるポリビニルエーテル系化合物(2)は、その炭素/酸素モル比が4.2〜7.0の範囲にあるものが好ましく用いられる。このモル比が4.2未満では、吸湿性が高く、7.0を超えると、フロンとの相溶性が低下する場合がある。
さらに本発明においては、上記ポリビニルエーテル系化合物(1)と上記ポリビニルエーテル系化合物(2)との混合物も使用することができる。
本発明に用いられるポリビニルエーテル系化合物(1)及び(2)は、それぞれ対応するビニルエーテル系モノマーの重合、及び対応するオレフィン性二重結合を有する炭化水素モノマーと対応するビニルエーテル系モノマーとの共重合により製造することができる。
本発明に用いられるポリビニルエーテル系化合物としては、次の末端構造を有するもの、すなわちその一つの末端が、一般式(IV)又は(V)
Figure 2006274271
(式中、R13,R14及びR15は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を示し、R13,R14及びR15はたがいに同一でも異なっていてもよく、R18,R19,R20及びR21は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、R18,R19,R20及びR21はたがいに同一でも異なっていてもよい。R16は炭素数1〜10の二価の炭化水素基又は炭素数2〜20の二価のエーテル結合酸素含有炭化水素基、R17は炭素数1〜20の炭化水素基、pはその平均値が0〜10の数を示し、R16Oが複数ある場合には、複数のR16Oは同一でも異なっていてもよい。)
で表され、かつ残りの末端が一般式(VI)又は(VII)
Figure 2006274271
(式中、R22,R23及びR24は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を示し、R22,R23及びR24はたがいに同一でも異なっていてもよく、R27,R28,R29及びR30は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、R27,R28,R29及びR30はたがいに同一でも異なっていてもよい。R25は炭素数1〜10の二価の炭化水素基又は炭素数2〜20の二価のエーテル結合酸素含有炭化水素基、R26は炭素数1〜20の炭化水素基、qはその平均値が0〜10の数を示し、R25Oが複数ある場合には、複数のR25Oは同一でも異なっていてもよい。)
で表される構造を有するもの、及びその一つの末端が、上記一般式(VI)又は(VII)で表され、かつ残りの末端が一般式(VIII)
Figure 2006274271
(式中、R31,R32及びR33は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい。)
で表される構造を有するものが好ましい。
このようなポリビニルエーテル系化合物の中で、特に次に挙げるものが本発明の冷凍機油組成物の主成分として好適である。
(1)その一つの末端が一般式(IV)又は(V)で表され、かつ残りの末端が一般式(VI)又は(VII)で表される構造を有し、一般式(II)におけるR4,R5及びR6が共に水素原子、kが0〜4の数、R7 が炭素数2〜4の二価の炭化水素基及びR8 が炭素数1〜20の炭化水素基であるもの。
(2)一般式(II)で表される構成単位のみを有するものであって、その一つの末端が一般式(IV)で表され、かつ残りの末端が一般式(VI)で表される構造を有し、一般式(II)におけるR4,R5及びR6が共に水素原子、kが0〜4の数、R7 が炭素数2〜4の二価の炭化水素基及びR8が炭素数1〜20の炭化水素基であるもの。
(3)その一つの末端が一般式(IV)又は(V)で表され、かつ残りの末端が一般式(VIII)で表される構造を有し、一般式(II)におけるR4,R5及びR6が共に水素原子、kが0〜4の数、R7が炭素数2〜4の二価の炭化水素基及びR8が炭素数1〜20の炭化水素基であるもの。
(4)一般式(II)で表される構成単位のみを有するものであって、その一つの末端が一般式(IV)で表され、かつ残りの末端が一般式(VII)で表される構造を有し、一般式(II)におけるR4,R5及びR6が共に水素原子、kが0〜4の数、R7が炭素数2〜4の二価の炭化水素基及びR8が炭素数1〜20の二価の炭化水素基及びR8が炭素数1〜20の炭化水素基であるもの。
また本発明においては、前記一般式(II)で表される構成単位を有し、その一つの末端が一般式(IV)で表され、かつ残りの末端が一般式(IX)
Figure 2006274271
(式中、R34,R35及びR36は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を示し、それらはたがいに同一であっても異なっていてもよく、R37及びR39はそれぞれ炭素数2〜10の二価の炭化水素基を示し、それらは互いに同一であっても異なっていてもよく、R38及びR40はそれぞれ炭素数1〜10の炭化水素基を示し、それらは互いに同一であっても異なっていてもよく、c及びdはそれぞれその平均値が0〜10の数を示し、それらは互いに同一であっても異なっていてもよく、また複数のR37Oがある場合には複数のR37Oは同一であっても異なっていてもよいし、複数のR39Oがある場合には複数のR39Oは同一であっても異なっていてもよい。)
で表される構造を有するポリビニルエーテル系化合物も使用することができる。さらに、本発明においては、一般式(X)又は(XI)
Figure 2006274271
(式中、R41は炭素数1〜8の炭化水素基を示す。)
で表される構成単位からなり、かつ重量平均分子量が300〜1,200であって、片末端が一般式(XII)又は(XIII)
Figure 2006274271
(式中、R42は炭素数1〜3のアルキル基、R43は炭素数1〜8の炭化水素基を示す。)
で表される構造を有するアルキルビニルエーテルの単独重合物又は共重合物からなるポリビニルエーテル系化合物も使用することができる。
なお、上記のポリビニルエーテルについては、特開平6−128578号公報,特開平6−234814号,特開平6−234815号又は特願平6−283349号各明細書のそれぞれに詳細に記載されているものをいずれも使用することができる。
前記(c)のポリエステルとしては、例えば一般式(XIV)
Figure 2006274271
(式中、R44は炭素数1〜10のアルキレン基,R45は炭素数2〜10のアルキレン基又は炭素数4〜20のオキサアルキレン基を示す。)
で表される構成単位を有し、かつ分子量が300〜2,000である脂肪族ポリエステル誘導体を挙げることができる。
この一般式(XIV)中のR44は炭素数1〜10のアルキレン基を示すが、具体的にはメチレン基,エチレン基,プロピレン基,エチルメチレン基,1,1−ジメチルエチレン基,1,2−ジメチルエチレン基,n−ブチルエチレン基,イソブチルエチレン基,1−エチル−2−メチルエチレン基,1−エチル−1−メチルエチレン基,トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基などが挙げられるが、好ましくは炭素数6以下のアルキレン基である。また、R45は炭素数2〜10のアルキレン基または炭素数4〜20のオキサアルキレン基を示す。アルキレン基は、具体的には上記R44の具体例(ただし、メチレン基を除く)と同様であり、好ましくは炭素数2〜6のアルキレン基であり、オキサアルキレン基は具体的には、3−オキサ−1,5−ペンチレン基;3,6−ジオキサ−1,8−オクチレン基;3,6,9−トリオキサ−1,11−ウンデシレン基;3−オキサ−1,4−ジメチル−1,5−ペンチレン基;3,6−ジオキサ−1,4,7−トリメチル−1,8−オクチレン基;3,6,9−トリオキサ−1,4,7,10−テトラメチル−1,11−ウンデシレン基;3−オキサ−1,4−ジエチル−1,5−ペンチレン基;3,6−ジオキサ−1,4,7−トリエチル−1,8−オクチレン基;3,6,9−トリオキサ−1,4,7,10−テトラエチル−1,11−ウンデシレン基;3−オキサ−1,1,4,4−テトラメチル−1,5−ペンチレン基;3,6−ジオキサ−1,1,4,4,7,7−ヘキサメチル−1,8−オクチレン基;3,6,9−トリオキサ−1,1,4,4,7,7、10,10−オクタメチル−1,1,1−ウンデシレン基;3−オキサ−1,2,4,5−テトラメチル−1,5−ペンチレン基;3,6−ジオキサ−1,2,4,5,7,8−ヘキサメチル−1,8−オクチレン基;3,6,9−トリオキサ−1,2,4,5,7,8,10,11−オクタメチル−1,1,1−ウンデシレン基;3−オキサ−1−メチル−1,5−ペンチレン基;3−オキサ−1−エチル−1,5−ペンチレン基;3−オキサ−1,2−ジメチル−1,5−ペンチレン基;3−オキサ−1−メチル−4−エチル−1,5−ペンチレン基;4−オキサ−2,2,6,6−テトラメチル−1,7−ヘプチレン基;4,8−ジオキサ−2,2,6,6,10,10−ヘキサメチル−1,11−ウンデシレン基などである。なお、R44,R45は構成単位毎に同じであってもよく、異なっていてもよい。
さらに、上記一般式(XIV)で表される脂肪族ポリエステル誘導体は、分子量(ゲルパーミェーションクロマトグラフィー(GPC)により測定)が300〜2000であることが望ましい。ここで分子量が300未満のものでは、動粘度が小さすぎ、また2000を超えるものではワックス状となり、いずれも冷凍機油として好ましくない。
このようなポリエステルについては、国際公開公報WO91/07479号公報に詳細に記載されたものをいずれも使用することができる。
前記(d)のポリオールエステルとしては、少なくとも2個の水酸基を含む多価ヒドロキシ化合物のカルボン酸エステルが挙げられ、例えば一般式(XV)
46〔OCOR47e ・・・(XV)
(式中、R46は炭化水素基、R47は水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基、eは2〜6の整数を示し、複数の−OCOR47は同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるものを用いることができる。
上記一般式(XV)において、R46は炭化水素基を示し、直鎖状,分岐鎖状のいずれでもよく、好ましくは炭素数2〜10のアルキル基である。R48は水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基であり、好ましくは炭素数2〜16のアルキル基である。eは2〜6の整数を示す。また、複数の−OCOR47は同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(XV)で表されるポリオールエステルは、一般式(XVI)
46(OH)e ・・・(XVI)
(式中、R46及びeは一般式(XV)におけるものと同じである。)で表される多価アルコールと、一般式(XVII)
47COOH ・・・(XVII)
(式中、R47は一般式(XV)におけるものと同じである。)
で表されるカルボン酸又はそのエステルや酸ハライドなどの反応性誘導体とを反応させることにより得られる。
上記一般式(XVI)で表される多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール,プロピレングリコール,ブチレングリコール,ネオペンチルグリコール,トリメチロールエタン,トリメチロールプロパン,グリセリン,ペンタエリスリトール,ジペンタエリスリトール,ソルビトールなどが挙げられる。一方、(XVII)で表されるカルボン酸としては、例えばプロピオン酸,酪酸,ピバリン酸,吉草酸,カプロン酸,ヘプタン酸,3−メチルヘキサン酸,2−エチルヘキシル酸,カプリル酸,デカン酸,ラウリル酸,ミリスチン酸,パルミチン酸などが挙げられる。
前記(e)のカーボネート誘導体としては、例えば一般式(XVIII)
Figure 2006274271
(式中、R48及びR50は、それぞれ炭素数30以下の炭化水素基又は炭素数2〜30のエーテル結合を有する炭化水素基を示し、それらはたがいに同一であっても異なっていてもよく、R49は炭素数2〜24のアルキレン基、fは1〜100の整数、gは1〜10の整数を示す。)
で表されるポリカーボネートが挙げられる。
上記一般式(XVIII)において、R48及びR50は、それぞれ炭素数30以下の炭化水素基又は炭素数2〜30のエーテル結合を有する炭化水素基であって、炭素数30以下の炭化水素基の具体例としては、メチル基;エチル基;n−プロピル基;イソプロピル基;n−ブチル基;イソブチル基;s−ブチル基;t−ブチル基;ペンチル基;イソペンチル基;ネオペンチル基;n−ヘキシル基;1,3−ジメチルブチル基;2,3−ジメチルブチル基;イソヘキシル基;n−ヘプチル基;イソヘプチル基;3−メチルヘキシル基;n−オクチル基;2−エチルヘキシル基;イソオクチル基;n−ノニル基;イソノニル基;n−デシル基;イソデシル基;n−ウンデシル基;イソウンデシル基;n−ドデシル基;イソドデシル基;n−トリデシル基;イソトリデシル基;n−テトラデシル基;イソテトラデシル基;n−ペンタデシル基;イソペンタデシル基;n−ヘキサデシル基;イソヘキサデシル基;n−ヘプタデシル基;イソヘプタデシル基;n−オクタデシル基;イソオクタデシル基;n−ノナデシル基;イソノナデシル基;n−エイコシル基;イソエイコシル基;2−(4−メチルペンチル)基などの脂肪族炭化水素基、シクロヘキシル基;1−シクロヘキセニル基;メチルシクロヘキシル基;ジメチルシクロヘキシル基;デカヒドロナフチル基;トリシクロデカニル基などの脂環式炭化水素基、フェニル基;o−トリル基;p−トリル基;m−トリル基;2,4−キシリル基;メシチル基;1−ナフチル基などの芳香族炭化水素基、ベンジル基;メチルベンジル基;β−フェニルエチル基(フェネチル基);1−フェニルエチル基;1−メチル−1−フェニルエチル基;p−メチルベンジル基;スチリル基;シンナミル基などの芳香脂肪族炭化水素基などが挙げられる。
また、炭素数2〜30のエーテル結合を有する炭化水素基としては、例えば一般式(XIX)
−(R51−O)h−R52 ・・・(XIX)
〔式中、R51は炭素数2又は3のアルキレン基(エチレン基,プロピレン基,トリメチレン基)、R52は炭素数28以下の脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素基(R48及びR50の具体例として挙げた基と同様のもの)、hは1〜20の整数を示す。〕
で表されるグリコールエーテル基、具体的にはエチレングリコールモノメチルエーテル基,エチレングリコールモノブチルエーテル基,ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル基,トリエチレングリコールモノエチルエーテル基,プロピレングリコールモノメチルエーテル基,プロピレングリコールモノブチルエーテル基,ジプロピレングリコールモノエチルエーテル基,トリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル基などが挙げられる。これらの中では、n−ブチル基;イソブチル基;イソアミル基;シクロヘキシル基;イソヘプチル基;3−メチルヘキシル基;1,3−ジメチルブチル基;ヘキシル基;オクチル基;2−エチルヘキシル基などのアルキル基、エチレングリコールモノメチルエーテル基,エチレングリコールモノブチルエーテル基,ジエチレングリコールモノメチルエーテル基,トリエチレングリコールモノメチルエーテル基,プロピレングリコールモノメチルエーテル基,プロピレングリコールモノブチルエーテル基,ジプロピレングリコールモノエチルエーテル基,トリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル基などのアルキレングリコールモノアルキルエーテル基などが好ましい。
上記R48及びR50は、たがいに同一であっても異なっていてもよい。
また、上記一般式(XVIII)において、R49は炭素数2〜24のアルキレン基であり、具体例としてはエチレン基,プロピレン基,ブチレン基,アミレン基,メチルアミレン基,エチルアミレン基,ヘキシレン基,メチルヘキシレン基,エチルヘキシレン基,オクタメチレン基,ノナメチレン基,デカメチレン基,ドデカメチレン基,テトラデカメチレン基などが挙げられる。fは1〜100の整数、gは1〜10の整数を示し、R49Oが複数ある場合は、複数のR49Oは同じでも異なっていてもよい。
この一般式(XVIII)で表されるポリカーボネートは、分子量(重量平均分子量)が300〜3000、好ましくは400〜1500のものが好適である。分子量が300未満のものでは、動粘度が小さすぎて潤滑油に不適当であり、逆に3000を超えるものでは、ワックス状となり潤滑油としての使用が困難となる。
このポリカーボネートは、各種の方法により製造することができるが、通常は炭酸ジエステルあるいはホスゲンなどの炭酸エステル形成性誘導体と脂肪族二価アルコールを原料として製造される。
これらを用いてポリカーボネートを製造するには、通常のポリカーボネートの製造法に従えばよく、一般にはエステル交換法やホスゲン法によればよい。
上記ポリカーボネートは特開平3−217495号公報に詳細に記載されるものをいずれも使用することができる。
さらに、カーボネート誘導体として、一般式(XX)
53−O−(R55O)i−CO−(OR56j−O−R54
・・・(XX)
(式中、R53及びR54は、それぞれ炭素数1〜20の脂肪族,脂環式,芳香族又は芳香脂肪族炭化水素基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、R55及びR56は、それぞれエチレン基又はイソプロピレン基を示し、それらはたがいに同一であっても異なっていてもよく、i及びjは、それぞれ1〜100の数を示す。)
で表されるグリコールエーテルカーボネートを使用することもできる。
上記一般式(XX)において、R53及びR54における脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチル基,エチル基,プロピル基,イソプロピル基,イソブチル基,s−ブチル基,t−ブチル基,ペンチル基,イソペンチル基,ネオペンチル基,n−ヘキシル基,イソヘキシル基,n−ヘプチル基,イソヘプチル基,n−オクチル基,イソオクチル基,n−ノニル基,イソノニル基,n−デシル基,イソデシル基,n−ウンデシル基,イソウンデシル基,n−ドデシル基,イソドデシル基,n−トリデシル基,イソトリデシル基,n−テトラデシル基,イソテトラデシル基,n−ペンタデシル基,イソペンタデシル基,n−ヘキサデシル基,イソヘキサデシル基,n−ヘプタデシル基,イソヘプタデシル基,n−オクタデシル基,イソオクタデシル基,n−ノニルデシル基,イソノニルデシル基,n−エイコシル基,イソエイコシル基などを挙げることができる。脂環式炭化水素基の具体例としては、シクロヘキシル基,1−シクロヘキセニル基,メチルシクロヘキシル基,ジメチルシクロヘキシル基,デカヒドロナフチル基,トリシクロデカニル基などを挙げることができる。芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基,o−トリル基,p−トリル基,m−トリル基,2,4−キシリル基,メシチル基,1−ナフチル基などを挙げることができる。芳香脂肪族炭化水素基の具体例としては、ベンジル基,メチルベンジル基,フェニルエチル基,スチリル基,シンナミル基などを挙げることができる。
上記一般式(XX)で表されるグリコールエーテルカーボネートは、例えばポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルを、比較的低沸点のアルコールの炭酸エステルの過剰存在下でエステル交換させることによって製造することができる。
上記のグリコールエーテルカーボネートについては、特開平3−149295号公報に詳細に記載されているものをいずれも使用することができる。
さらに、カーボネート誘導体として、一般式(XXI)
Figure 2006274271
(式中、R57及びR58は、それぞれ炭素数1〜15のアルキル基又は炭素数2〜12の二価のアルコール残基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、R59は炭素数2〜12のアルキレン基を示し、rは0〜30の整数を示す。)
で表される炭酸エステルを使用することもできる。
上記一般式(XXI)において、R57及びR58は、それぞれ炭素数1〜15、好ましくは炭素数2〜9のアルキル基又は炭素数2〜12、好ましくは2〜9の二価アルコール残基を示し、R59は炭素数2〜12、好ましくは2〜9のアルキレン基を示し、rは0〜30、好ましくは1〜30の整数を示す。上記条件を満たさない炭酸エステルを使用すると、フロン冷媒との相溶性などの各種性能が劣るため好ましくない。R57及びR58における炭素数1〜15のアルキル基としては、具体的にはメチル基,エチル基,n−プロピル基,n−ブチル基,n−ペンチル基,n−ヘキシル基,n−ヘプチル基,n−オクチル基,n−ノニル基,n−デシル基,n−ウンデシル基,n−ドデシル基,n−トリデシル基,n−テトラデシル基,n−ペンタデシル基,イソプロピル基,イソブチル基,tert−ブチル基,イソペンチル基,イソヘキシル基,イソヘプチル基,イソオクチル基,イソノニル基,イソデシル基,イソウンデシル基,イソドデシル基,イソトリデシル基,イソテトラデシル基,イソペンタ
デシル基などが例示される。
また、炭素数2〜12の二価のアルコール残基としては、具体的には、エチレングリコール;1,3−プロパンジオール;プロピレングリコール;1,4−ブタンジオール;1,2−ブタンジオール;8−メチル−1,3−プロパンジオール;1,5−ペンタンジオール;ネオペンチルグリコール;1,6−ヘキサンジオール;2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール;1,7−ヘプタンジオール;2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール;2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール;1,8−オクタンジオール;1,9−ノナンジオール;1,10−デカンジオール;1,11−ウンデカンジオール;1,12−ドデカンジオール
などの残基が例示される。
さらに、R59で表される炭素数2〜12のアルキレン基としては、具体的には、エチレン基;トリメチレン基;プロピレン基;テトラメチレン基;ブチレン基;2−メチルトリメチレン基;ペンタメチレン基、2,2−ジメチルトリメチレン基;ヘキサメチレン基;2−エチル−2−メチルトリメチレン基;ヘプタメチレン基;2−メチル−2−プロピルトリメチレン基;2,2−ジエチルトリメチレン基;オクタメチレン基;ノナメチレン基;デカメチレン基;ウンデカメチレン基;ドデカメチレン基などの直鎖構造や分岐構造を有するものが例示される。
上記炭酸エステルの分子量は特に限定されるものではないが、圧縮機の密封性をより向上させるなどの点から、数平均分子量が200〜3000のものが好ましく使用され、数平均分子量が300〜2000のものがより好ましく使用される。
上記炭酸エステルについては、特開平4−63893号公報に詳細に記載されているものをいずれも使用することができる。
前記(f)のポリエーテルケトンとしては、例えば一般式(XXII)
Figure 2006274271
(式中、Qは1〜8価のアルコール残基、R60は炭素数2〜4のアルキレン基、R61はメチル基又はエチル基、R62及びR64は、それぞれ水素原子、炭素数20以下の脂肪族、芳香族又は芳香脂肪族炭化水素基で、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、R63は炭素数20以下の脂肪族、芳香族又は芳香脂肪族炭化水素基を示し、s及びtは0〜30の数、vは1〜8の数、wは0〜7の数で、かつv+wは1〜8を満たし、uは0又は1を示す。)
で表される化合物を挙げることができる。
上記一般式(XXII)において、Qは1〜8価のアルコール残基であり、Qを残基とするアルコールとしては、一価アルコールとして、例えばメチルアルコール,エチルアルコール,直鎖又は分岐のプロピルアルコール,直鎖又は分岐のブチルアルコール,直鎖又は分岐のペンチルアルコール,直鎖又は分岐のヘキシルアルコール,直鎖又は分岐のヘプチルアルコール,直鎖又は分岐のオクチルアルコール,直鎖又は分岐のノニルアルコール,直鎖又は分岐のデシルアルコール,直鎖又は分岐のウンデシルアルコール,直鎖又は分岐のドデシルアルコール,直鎖又は分岐のトリデシルアルコール,直鎖又は分岐のテトラデシルアルコール,直鎖又は分岐のペンタデシルアルコール,直鎖又は分岐のヘキサデシルアルコール,直鎖又は分岐のヘプタデシルアルコール,直鎖又は分岐のオクタデシルアルコール,直鎖又は分岐のノナデシルアルコール,直鎖又は分岐のエイコシルアルコールなどの脂肪族一価アルコール,フェノール,メチルフェノール,ノニルフェノール,オクチルフェノール,ナフトールなどの芳香族アルコール,ベンジルアルコール,フェニルエチルアルコールなどの芳香族脂肪族アルコール、及びこれらの部分エーテル化物などを、二価アルコールとして、例えばエチレングリコール,プロピレングリコール,ブチレングリコール,ネオペンチルグリコール,テトラメチレングリコールなどの直鎖又は分岐の脂肪族アルコール,カテコール,レゾルシノール,ビスフェノールA,ビスフェニルジオールなどの芳香族アルコール、及びこれらの部分エーテル化物などを、三価アルコールとして、例えばグリセリン;トリメチロールプロパン;トリメチロールエタン;トリメチロールブタン;1,3,5−ペンタントリオールなどの直鎖又は分岐の脂肪族アルコール,ピロガロール,メチルピロガロール,5−sec−ブチルピロガロールなどの芳香族アルコール及びこれらの部分エーテル化物などを、四価〜八価のアルコールとして、例えばペンタエリスリトール,ジグリセリン,ソルビタン,トリグリセリン,ソルビトール,ジペンタエリスリトール,テトラグリセリン,ペンタグリセリン,ヘキサグリセリン,トリペンタエリスリトールなどの脂肪族アルコール及びこれらの部分エーテル化物などを挙げることができる。
また、上記一般式(XXII)において、R60で示される炭素数2〜4のアルキレン基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、具体例としてはエチレン基;プロピレン基;エチルエチレン基;1,1−ジメチルエチレン基;1,2−ジメチルエチレン基などが挙げられる。また、R62〜R64で示される炭素数20以下の脂肪族、芳香族又は芳香脂肪族炭化水素基としては、例えばメチル;エチル基;プロピル基;ブチル基;ペンチル基;ヘプチル基;オクチル基;ノニル基;デシル基;ウンデシル基;ラウリル基;ミリスチル基;パルミチル基;ステアリル基などの直鎖アルキル基、イソプロピル基;イソブチル基;イソアミル基;2−エチルヘキシル基;イソステアリル基;2−ヘプチルウンデシル基などの分岐鎖アルキル基、フェニル基、メチルフェニル基などのアリール基、ベンジル基などのアリールアルキル基などが挙げられる。
一般式(XXII)において、s及びtは各々0〜30の数を示し、s、tが30を超えると分子内におけるエーテル基の寄与が増し、フロン冷媒との相溶性,電気絶縁性,吸湿性の面で好ましくない。また、vは1〜8の数、wは0〜7の数であって、v+wが1〜8の関係を満たし、これらの数は平均値を示し、整数には限られない。uは0又は1である。また、s×v個のR60はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、t×v個のR61はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。vが2以上の場合、v個のs,t,u,R62及びR63はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、さらにwが2以上の場合、w個のR64はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(XXII)で表されるポリエーテルケトンを製造する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、2級のアルキルオキシアルコールを次亜塩素酸塩と酢酸によって酸化する方法(特開平4−126716号公報)、あるいは水酸化ジルコニウムとケトンを用いて酸化する方法(特開平3−167149号公報
)を用いることができる。
前記(g)のフッ素化油としては、例えばフッ化シリコーン油、パーフルオロポリエーテル、アルカンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの反応化物などが挙げられる。アルカンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの反応化物の例としては、一般式(XXIII)
n2n+2 ・・・(XXIII)
(式中、nは6〜20の整数を示す。)
で表されるアルカンに、一般式(XXIV)
CF2=CFOCm2m+1 ・・・(XXIV)
(式中、mは1〜4の整数を示す。)
で表されるパーフルオロアルキルビニルエーテルを反応させて得られた一般式(XXV)
n(2n+2-Z)(CF2−CFHOCm2m+1z
・・・(XXV)
(式中、zは1〜4の整数を示し、n及びmは前記と同じである。)
で表される化合物を挙げることができる。
上記一般式(XXIII)で表されるアルカンは直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、その具体例としては、n−オクタン;n−デカン;n−ドデカン;シクロオクタン;シクロドデカン;2,2,4−トリメチルペンタンなどが挙げられ、一方、一般式(XXIV)で表されるパーフルオロアルキルビニルエーテルの具体例としては、パーフルオロメチルビニルエーテル,パーフルオロエチルビニルエーテル,パーフルオロ−n−プロピルビニルエーテル,パーフルオロ−n−ブチルビニルエーテルなどが挙げられる。
一方、炭化水素系合成油としては、例えばポリ−α−オレフィンなどのオレフィン系重合物、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンなどが挙げられる。
本発明の冷凍機油組成物においては、基油として前記鉱油を一種用いても二種以上を組み合わせて用いてもよく、また前記合成油を一種用いても二種以上を組み合わせて用いてもよく、あるいは鉱油一種以上と合成油一種以上とを組み合わせて用いてもよいが、特に含酸素有機化合物がR−134aなどのフロン冷媒との相溶性がよく、かつ潤滑性能に優れ好適である。
本発明の冷凍機油組成物においては、基油に対し、無機リン酸の金属塩、無機リン酸のアミン塩、有機リン酸の金属塩、有機リン酸のアミン塩、有機ホスホン酸の金属塩、有機ホスホン酸のアミン塩、有機亜リン酸の金属塩及び有機亜リン酸のアミン塩の中から選ばれた少なくとも一種が配合される。尚、本発明にいうアミン塩はアンモニウム塩も包含するものである。
上記無機リン酸の金属塩における金属の種類については特に制限はなく、例えばリチウム,カリウム,ナトリウム,マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,ニッケル,アルミニウムなどが挙げられるが、これらの中で、潤滑性能向上性の点から、アルカリ金属及びアルカリ土類金属が好ましく、特にアルカリ金属が好適である。該無機リン酸の金属塩の好ましいものとしては、例えばリン酸カリウム,リン酸ナトリウム,リン酸一水素カリウム,リン酸一水素ナトリウム,リン酸二水素カリウム,リン酸二水素ナトリウム,二リン酸カリウム,二リン酸ナトリウムなどを挙げることができる。
また、無機リン酸のアミン塩におけるアミンの種類については特に制限はなく、例えばアンモニア,モノヒドロカルビルアミン,ジヒドロカルビルアミン,トリヒドロカルビルアミンなどが挙げられる。上記ヒドロカルビルアミンのヒドロカルビル基としては、飽和アルキル基,不飽和アルキル基(例えば、アルケニル基)あるいは芳香族炭化水素基などがあり、それぞれ炭素数1〜40、好ましくは1〜20のものを挙げることができる。特に上記炭素数を有する飽和あるいは不飽和アルキル基が潤滑性向上の点から好ましい。該無機リン酸のアミン塩の具体例としてはリン酸オクチルアミン,リン酸ビス(モノオクチルアミン),リン酸トリス(モノオクチルアミン),リン酸モノ(トリオクチルアミン),リン酸ビス(ジオクチルアミン)などを挙げることができる。
有機リン酸の金属塩における金属の種類については特に制限はないが、上記無機リン酸の金属塩の場合と同様にアルカリ金属及びアルカリ土類金属が好ましく、特にアルカリ金属が好適である。
該有機リン酸の金属塩としては、例えば一般式(XXVI)
Figure 2006274271
(式中、R65は脂肪族,脂環式,芳香族又は芳香脂肪族炭化水素基
を示し、nは1又は2を示す。)
一般式(XXVII)
Figure 2006274271
(式中、R66及びR67は、それぞれ水素原子或いは脂肪族,脂環式,芳香族又は芳香脂肪族炭化水素基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよいが、その中の少なくとも一つは炭化水素基であり、mは1〜4の整数を示す。)
又は一般式(XXVIII)
Figure 2006274271
(式中、R68は脂肪族,脂環式,芳香族又は芳香脂肪族炭化水素基、R69は炭素数2〜4のアルキレン基、pは1〜10の数を示し、nは1又は2を示す。)
で表される有機リン酸の金属塩が挙げられる。
上記一般式(XXVI),(XXVII),(XXVIII)で表される有機リン酸において、R65〜R68で示される炭化水素基の中で、脂肪族炭化水素基は、炭素数1〜40、好ましくは4〜20のアルキル基若しくはアルケニル基であり、具体例としてはメチル基,エチル基,プロピル基,イソプロピル基,イソブチル基,s−ブチル基,t−ブチル基,ペンチル基,イソペンチル基,ネオペンチル基,n−ヘキシル基,イソヘキシル基,n−ヘプチル基,イソヘプチル基,n−オクチル基,イソオクチル基,n−ノニル基,イソノニル基,n−デシル基,イソデシル基,n−ウンデシル基,イソウンデシル基,n−ドデシル基,イソドデシル基,n−トリデシル基,イソトリデシル基,n−テトラデシル基,イソテトラデシル基,n−ペンタデシル基,イソペンタデシル基,n−ヘキサデシル基,イソヘキサデシル基,n−ヘプタデシル基,イソヘプタデシル基,n−オクタデシル基,イソオクタデシル基,n−ノニルデシル基,イソノニルデシル基,n−エイコシル基,イソエイコシル基,オレイル基などが挙げられる。脂環式炭化水素基は炭素数5〜40、好ましくは5〜20のシクロアルキル基若しくはシクロアルケニル基であり、具体例としてはシクロペンチル基,シクロヘキシル基,1−シクロヘキセニル基,メチルシクロヘキシル基,シクロオクチル基,デカヒドロナフチル基などが挙げられる。芳香族炭化水素基は炭素数6〜40、好ましくは6〜20のアリール基であり、具体例としては、フェニル基,トリル基,キシリル基,ナフチル基などが挙げられる。芳香脂肪族炭化水素基は炭素数7〜40、好ましくは7〜20のアリールアルキル基若しくは炭素数8〜20のアリールアルケニル基であり、具体例としてはベンジル基,フェネチル基,スチリル基,シンナミル基などが挙げられる。上記R65〜R68で示される炭化水素基としては、潤滑性向上の点からアルキル基若しくはアルケニル基が好ましい。
上記一般式(XXVI)において、nは1又は2であり、nが2の場合は、2つのR65はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。一般式(XXVII)において、mは1〜4の整数であり、R66及びR67はたがいに同一でも異なっていてもよく、また2つのR66はそれぞれ同一でも異なっていてもよいが、R66及びR67の中の少なくとも一つは炭化水素基である。さらに、一般式(XXVIII)において、R69は炭素数2〜4のアルキレン基であり、具体例としてはエチレン基,プロピレン基,トリメチレン基,ブチレン基,テトラメチレン基が挙げられる。pは1〜10の数で、アルキレンオキシドの平均付加モル数を示す。
このような有機リン酸の金属塩の具体例としては、メチルリン酸二カリウム,メチルリン酸二ナトリウム,ブチルリン酸二カリウム,ブチルリン酸二ナトリウム,ラウリルリン酸二カリウム,ラウリルリン酸二ナトリウム,オレイルリン酸二カリウム,オレイルリン酸二ナトリウム,ジラウリルリン酸一カリウム,ジラウリルリン酸一ナトリウム,ジオレイルリン酸一カリウム,ジオレイルリン酸一ナトリウム,ラウリルエーテル(エチレンオキシド4モル付加)リン酸二カリウム,ラウリルエーテル(エチレンオキシド4モル付加)リン酸二ナトリウム,オレイルエーテル(エチレンオキシド8モル付加)リン酸二カリウム,オレイルエーテル(エチレンオキシド8モル付加)リン酸二ナトリウムなどを挙げることができる。
前記有機リン酸のアミン塩における有機リン酸としては、上記有機リン酸の金属塩の場合と同様の有機リン酸を使用することができ、同様にR65〜R68で示される炭化水素基としては、潤滑性向上の点からアルキル基若しくはアルケニル基が好ましく挙げられる。また、アミンとしては上記無機リン酸のアミン塩の場合と同様のアミンが用いられ、潤滑性向上の点からヒドロカルビル基としてアルキル基または不飽和アルキル基が好ましく挙げられる。
このような有機リン酸のアミン塩の具体例としては、オレイルリン酸アンモニウム,ジオレイルリン酸モノオクチルアミン,オレイルリン酸ビスデシルアミン,ジオレイルリン酸モノ(トリオクチルアミン),ラウリルリン酸ビス(ジオクチルアミン)などが挙げられる。
一方、有機ホスホン酸の金属塩における金属の種類についても特に制限はなく、前記無機リン酸の金属塩の場合と同様にアルカリ金属及びアルカリ土類金属が好ましく、特にアルカリ金属が好適である。
該有機ホスホン酸の金属塩としては、例えば一般式(XXIX)
Figure 2006274271
(式中、R70は脂肪族,脂環式,芳香族又は芳香脂肪族炭化水素基、R71は水素原子或いは脂肪族,脂環式,芳香族又は芳香脂肪族炭化水素基を示す。)
で表される有機ホスホン酸の金属塩が挙げられる。
上記一般式(XXIX)で表される有機ホスホン酸において、R70及びR71で示される炭化水素基の中で、脂肪族炭化水素基は炭素数1〜40、好ましくは4〜20のアルキル基若しくはアルケニル基、脂環式炭化水素基又は炭素数5〜40、好ましくは5〜20のシクロアルキル基若しくはシクロアルケニル基、芳香族炭化水素基は炭素数6〜40、好ましくは6〜20のアリール基、芳香脂肪族炭化水素基は炭素数7〜40、好ましくは7〜20のアリールアルキル基若しくは炭素数8〜20のアリールアルケニル基である。これらの炭化水素基の具体例としては、前記一般式(XXVI)(XXVII), (XXVIII)において、R65〜R68で示される炭化水素基の説明で例示したものと同じものを挙げることができる。
このような有機ホスホン酸の金属塩の具体例としては、メチルホスホン酸二カリウム,メチルホスホン酸二ナトリウム,ブチルホスホン酸二カリウム,ブチルホスホン酸二ナトリウム,ラウリルホスホン酸二カリウム,ラウリルホスホン酸二ナトリウム,オレイルホスホン酸二カリウム,オレイルホスホン酸二ナトリウムなどが挙げ
られる。
また、有機ホスホン酸のアミン塩における有機ホスホン酸としては、モノあるいはジヒドロカルビルホスホン酸が使用できる。ここにおいてヒドロカルビル基としては、飽和アルキル基,不飽和アルキル基(例えば、アルケニル基)あるいは芳香族炭化水素基などが挙げられ、特に、飽和アルキル基あるいはアルケニル基などの不飽和アルキル基が潤滑性向上の点から好ましい。特に本発明においては有機ホスホン酸として、上記有機ホスホン酸の金属塩の場合と同様の有機ホスホン酸を使用することができる。上記有機ホスホン酸のアミン塩におけるアミンとしては前記無機リン酸のアミン塩の場合と同様のアミンが挙げられ、潤滑性向上の点からヒドロカルビル
基としてアルキル基または不飽和アルキル基が好ましく挙げられる。
このような有機ホスホン酸のアミン塩の具体例としては、ジオレイルホスホン酸オクチルアミン,ジラウリルホスホン酸オクチルアミンなどが挙げられる。
有機亜リン酸の金属塩における金属の種類については特に制限はないが、前記無機リン酸の金属塩の場合と同様にアルカリ金属及びアルカリ土類金属が好ましく、特にアルカリ金属が好適である。該有機亜リン酸の金属塩としては、例えば前記一般式(XXVI)〜(XXIX)の各々においてPに結合する=Oを除いた各式で表される有機亜リン酸の金属塩が使用可能である。このような有機亜リン酸の金属塩の具体例としては、ジオレイル亜リン酸ナトリウム,ジラウリル亜リン酸カリウム,オレイル亜リン酸二カリウム,ラウリル亜リン酸二ナトリウムなどが挙げられる。
有機亜リン酸のアミン塩における有機亜リン酸としては、上記有機亜リン酸塩の金属塩の場合と同様の亜リン酸を使用することができる。また、アミンとしては前記無機リン酸のアミン塩の場合と同様のアミンが挙げられ、潤滑性向上の点からヒドロカルビル基としてアルキル基または不飽和アルキル基が好ましく挙げられる。このような有機亜リン酸のアミン塩の具体例としては、ジオレイル亜リン酸オクチルアミン,ジラウリル亜リン酸オクチルアミン,オレイル亜リン酸ビスオクチルアミン,ラウリル亜リン酸ビスオクチルアミンなどが挙げられる。
本発明においては、アルミニウム−鋼間の潤滑性向上などの点から、上記金属塩及びアミン塩のうち、特にアルカリ金属塩及びアミン塩が好ましい。また、基油への溶解性などの点から、有機リン酸,有機ホスホン酸及び有機亜リン酸の各々の塩を好ましく使用することができる。
本発明の冷凍機油組成物においては、前記のリンを含有する酸の金属塩あるいはアミン塩は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その配合量は、組成物全重量に基づき、0.001〜10重量%の範囲にあるのが望ましい。この配合割合が0.001重量%未満では潤滑性を向上させる効果が充分に発揮されず、10重量%を超えるとその量の割には効果の向上がみられず、また基油に対する溶解性が低下する。潤滑性の向上効果及び溶解性などの点から、好ましい配合量は0.01〜5重量%の範囲であり、特に0.03〜3重量%の範囲が好適である。
本発明の冷凍機油組成物には、必要に応じ溶解助剤を添加することができる。この溶解助剤としては、例えば一価アルコール,グリコール類,多価アルコール,包接化合物などが用いられる。ここで、一価アルコールとしては、例えばラウリルアルコール,パルミチルアルコール,オレイルアルコールなどが挙げられ、グリコール類としては、例えばエチレングリコール,プロピレングリコールなどのアルキレングリコール、ジエチレングリコール,トリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、ブチルセロソルブなどのポリアルキレングリコールのエーテル誘導体、さらにはネオペンチルグリコールなどが挙げられる。また、多価アルコールとしては、例えばグリセリン,ソルビトール,トリメチロールプロパン,ペンタエリスリトールなどが挙げられ、包接化合物としては、例えばクラウンエーテル類,クリプタンド類,カリックスアーレン類などが挙げられる。
これらの溶解助剤はそれぞれ単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その配合量は、リンを含有する酸の金属塩やアミン塩の種類により大きく異なるが、通常、組成物全重量に基づき30重量%以下、好ましくは0.1〜15重量%の範囲で選ばれる。
本発明の冷凍機油組成物には、必要に応じ公知の各種添加剤、例えばリン酸エステルや亜リン酸エステルなどの極圧剤;フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、さらにはフェニルグリシジルエーテル,シクロヘキセンオキシド,エポキシ化大豆油などのエポキシ化合物などの安定剤;ベンゾトリアゾール,ベンゾトリアゾール誘導体などの銅不活性化剤;シリコーン油やフッ化シリコーン油などの消泡剤などを適宜配合することができる。
本発明の冷凍機油組成物が適用される冷凍機に用いられる冷媒としては特に制限はなく、例えば1,1,1,2−テトラフルオロエタン(R134a);ジクロロジフルオロメタン(R12);クロロジフルオロメタン(R22);クロロジフルオロメタンと1−クロロ−1,1,2,2,2−ペンタフルオロエタンの混合物(R502);1,1−ジフルオロエタン(R152a);ペンタフルオロエタン(R125);1,1,1−トリフルオロエタン(R143a);ジフルオロメタン(R32);ジフルオロメタン(R32)とペンタフルオロエタン(R125)の混合物(R410a,R410b);ペンタフルオロエタン(R125)と1,1,1−トリフルオロエタン(R143a)の混合物(R507);ペンタフルオロエタン(R125)と1,1,1−トリフルオロエタン(R143a)と1,1,1,2−テトラフルオロエタン(R134a)の混合物(R404a);1,1,1,2−テトラフルオロエタン(R134a)とジフルオロメタン(R32)とペンタフルオロエタン(R125)の混合物(R407c);トリフルオロメタン(R23);1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(R225cb);3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(R225ca);1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(R141b);1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン(R−123);1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン(R−142b);2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロエタン(R124)などが挙げられるが、これらの中でR134aをはじめとするハイドロフルオロカーボン及
びその混合物が好適である。
本発明の冷凍機油組成物は、優れた潤滑性能を有し、特にアルミニウム材と鋼材との間の潤滑性を向上させ、焼付や摩耗を抑えることができ、環境汚染をもたらさないR134aなどの水素含有フロン冷媒を用いた冷凍機の潤滑油として好適である。
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1〜47及び比較例1,2
第1表に示す種類の基油に、第1表に示す種類の添加剤A及び添加剤B(溶解助剤)を、組成物全重量に基づき第1表に示す量で配合し、冷凍機油組成物を調製した。この組成物について、外観を目視観察するとともに、焼付試験、摩耗試験及びシールドチューブ試験を以下に示す要領を行い、性能を評価した。その結果を第2表に示す。但し、実施例45〜47の各々については、R134aに代えて、R410aを用いて下記試験を行った。
(1)焼付試験
ファレックス試験機を用い、ピン/ブロック材料をA4032/AISI−C−1137とした。ピン/ブロックをセットし、ピンに試料の油を4マイクロリットル塗布した。試験容器内をR134a雰囲気にしたのち、室温で、荷重150Lbs,回転数1,200rpmの条件で焼付に至る時間(焼付時間)を測定した。
(2)摩耗試験
ファレックス試験機を用い、ピン/ブロック材料をA4032/AISI−C−1137とした。ピン/ブロックをセットし、試験容器内に試料の油200g及びR134aを200g充填したのち、回転数290rpm、油温50℃、荷重400Lbs,試験時間60分の条件で摩耗試験を行い、ピン摩耗量を測定した。
(3)シールドチューブ試験
ガラス管に触媒Fe/Cu/Alを入れ、R134a/試料油/空気=1g/4ミリリットル/40torrの割合で充填し、封管した。175℃で10日間保持したのち、油外観、触媒外観、全酸価及びスラッジ有無を求めた。
Figure 2006274271
Figure 2006274271
Figure 2006274271
Figure 2006274271
Figure 2006274271
Figure 2006274271
〔注〕基油の種類
1:ポリオキシプロピレングリコールジメチルエーテル
動粘度9.3cSt(100℃),分子量1150
2:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールジメチルエーテル
動粘度20.5cSt(100℃),分子量1590
3:ポリオキシプロピレングリコールモノブチルエーテル
動粘度10.8cSt(100℃),分子量1000,商品名ユニルーブMB11
4:ポリオキシプロピレングリコールジアセテート
動粘度10.2cSt(100℃),分子量980
5:ポリオキシプロピレングリコールジメチルカーボネート
動粘度9.6cSt(100℃),分子量850
6:エーテルケトン化合物
動粘度15.4cSt(100℃), 分子量1250
7:エステル化合物
動粘度10.2cSt(100℃),ICI製エムカレートRL68Se
8:フッ素化油
動粘度11.1cSt(100℃),日本モンテジソン製 Fomblin Y−25
9:フッ化シリコーン油
動粘度35.6cSt(100℃),信越シリコーン製 FL−100−450
10:アルキルベンゼン
動粘度4.6cSt(100℃),三菱油化製IM200
11:鉱油
動粘度5.5cSt(100℃),硫黄分 0.1重量%以下
EO:エチレンオキサイド
本発明の冷凍機油組成物は、優れた潤滑性能を有し、特にアルミニウム材と鋼材との間の潤滑性を向上させ、焼付や摩耗を抑えることができ、環境汚染をもたらさないR134aなどの水素含有フロン冷媒を用いた冷凍機の潤滑油として好適である。したがって、本発明の冷凍機油組成物は、カーエアコン,ルームエアコン,冷蔵庫などに使用する際に特に効果的であり、その工業的利用価値は極めて高いものである。

Claims (10)

  1. 含酸素有機化合物から選ばれる少なくとも一種からなる基油に、有機リン酸のアミン塩を配合してなる冷凍機油組成物であって、該有機リン酸のアミン塩における有機リン酸が、一般式(XXVI)
    Figure 2006274271
    (式中、R65は炭素数1〜40のアルケニル基を示し、nは1又は2を示す。)
    一般式(XXVII)
    Figure 2006274271
    (式中、R66及びR67は、それぞれ水素原子或いは脂肪族,脂環式,芳香族又は芳香脂肪族炭化水素基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよいが、その中の少なくとも一つは炭化水素基であり、mは1〜4の整数を示す。)
    又は一般式(XXVIII)
    Figure 2006274271
    (式中、R68は脂肪族,脂環式,芳香族又は芳香脂肪族炭化水素基、R69は炭素数2〜4のアルキレン基、pは1〜10の数を示し、nは1又は2を示す。)
    で表される有機リン酸から選ばれる少なくとも一種である冷凍機油組成物。
  2. 有機リン酸のアミン塩がアンモニア又はモノ,ジあるいはトリヒドロカルビルアミンの塩である請求の範囲第1項記載の冷凍機油組成物。
  3. モノ,ジあるいはトリヒドロカルビルアミンのヒドロカルビル基が炭素数1〜40のアルキル基あるいは炭素数1〜40の不飽和アルキル基である請求の範囲第2項記載の冷凍機油組成物。
  4. 有機リン酸のアミン塩が、オレイルリン酸アンモニウム,ジオレイルリン酸モノオクチルアミン,オレイルリン酸ビスデシルアミン,ジオレイルリン酸モノ(トリオクチルアミン)及びラウリルリン酸ビス(ジオクチルアミン)からなる群から選ばれる請求の範囲第1項記載の冷凍機油組成物。
  5. 有機リン酸のアミン塩の配合量が、組成物全重量に基づき0.001〜10重量%である請求の範囲第1項記載の冷凍機油組成物。
  6. 有機リン酸のアミン塩の配合量が、組成物全重量に基づき0.01〜5重量%である請求の範囲第1項記載の冷凍機油組成物。
  7. 含酸素有機化合物が、ポリアルキレングリコール,ポリビニルエーテル,ポリエステル,ポリオールエステル,カーボネート誘導体,ポリエーテルケトン及びフッ素化油から選ばれる請求の範囲第15項記載の冷凍機油組成物。
  8. 基油が、100℃で1〜100cStの動粘度を有する請求の範囲第1項記載の冷凍機油組成物。
  9. 更に、溶解助剤を配合してなる請求の範囲第1項記載の冷凍機油組成物。
  10. 冷凍機に使用する冷媒がハイドロフルオロカーボン類又はその混合物である請求の範囲第1項記載の冷凍機油組成物。
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