JP2006273924A - 接着剤組成物及び情報担体シート - Google Patents

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Abstract

【課題】 一時的に接着するが、必要時に容易に剥離できる見開き面を有する情報担体シートに用いる、樹脂接着剤組成物において、塗布基材への浸透が抑制され、低塗工量でも充分な厚さの接着剤層を形成し、充分な接着力が得られる接着剤組成物を提供すること。
【解決手段】 一時的に接着するが、必要時に容易に剥離できる見開き面を有する情報担体シートに用いる樹脂接着剤組成物において、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点を超える温度領域では疎水性を示す高分子化合物(A)を含有する高分子エマルジョンを含んでなることを特徴とする接着剤組成物および該接着剤組成物を用いて得られた接着剤層を設けてなることを特徴とする情報担体シート。
【選択図】 なし

Description

本発明は、接着剤組成物およびそれを塗布してなる、一時的に接着するが必要時に容易に剥離できる見開き面を有する情報担体用シートに関する。さらに詳しくは、折りたたみカード、重ね合わせシート、情報隠ぺいシート等の親展性を持つ情報担体シート用に好適な接着剤組成物およびこれを塗布してなる情報担体シートに関する。
従来、接着剤基材とその接着剤基材に対して非親和性を示す微粒状充填剤とからなる接着剤組成物の層を設けた情報担体シートが提案されている(例えば特許文献1等)。しかしながら、接着剤組成物のコート量が、固形分換算で0.3g/m2 以下であると、接着力が不足するため、コート量をそれよりも多くすることが必要であるという問題があった。これは接着剤が塗布基材(紙など)に過剰に浸透してしまう(沈み込み)ためであると考えられる。この問題を解決するために、例えば、特許文献2には、加熱によって増粘する性質を塗工液に付与することによって、塗工液の基材中への浸透を抑制する方法が提案されているが、塗工直後の塗工液は水分を多く含んでおり、この水分が乾燥する際に必要な潜熱を奪うため、瞬時の塗工液の加熱は困難であり、塗工液の増粘現象の前に塗工液は基材へ浸透することを十分抑制することは困難であった。
そこで、低塗工量で充分な厚さの接着剤層を形成して、充分な接着力が得られ、かつ、剥離が容易である情報担体シートに用いられる接着剤組成物の開発が望まれていた。
特開平05−069687号公報 特開平09−221645号公報
本発明の課題は、一時的に接着するが、必要時に容易に剥離できる見開き面を有する情報担体シートに用いる、接着剤組成物において、塗布基材への浸透が抑制され、低塗工量でも充分な厚さの接着剤層を形成し、これによって、充分な接着力が得られる接着剤組成物を提供することである。
本発明者は、上記問題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点を超える温度領域では疎水性を示す高分子化合物(A)を含有する高分子エマルジョンを用いた接着剤組成物は該感温点を超える温度では、比較的低粘度であるが、該接着剤組成物を該感温点以下の温度に冷却することによって急激に増粘する(該増粘は高分子化合物(A)が疎水性から親水性に変化することによって生じる)、即ち上記接着剤組成物を高分子化合物(A)の感温点を超える温度で基材上に塗工後、速やかに感温点以下の温度まで冷却することによって、比較的低粘度の塗工液によって形成される極めて平滑かつ均質な塗工膜を、その後の増粘によってそのまま固定することが可能で、乾燥工程においても良好な表面状態と塗膜の均質性を保持でき、基材(紙など)への浸透が少なく、均一な塗工膜を与えることを見出し、本発明をなすに至った。すなわち、本発明は以下の通りである。
1)一時的に接着するが、必要時に容易に剥離できる見開き面を有する情報担体シートに用いる樹脂接着剤組成物において、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点を超える温度領域では疎水性を示す高分子化合物(A)を含有する高分子エマルジョンを含んでなることを特徴とする接着剤組成物。
2)基材シート面の少なくとも一部に、発明の1に記載の接着剤組成物を、前記高分子化合物(A)を含有する高分子エマルジョンの感温点を超える温度で基材上に塗工後、感温点以下の温度まで冷却した後、加熱乾燥して得られた接着剤層を設けてなることを特徴とする情報担体シート。
本発明の接着剤組成物は、高分子化合物(A)の感温点を超える温度で基材上に塗工後、速やかに感温点以下の温度まで冷却することによって、比較的低粘度の塗工液によって形成される極めて平滑かつ均質な塗工層を、その後の増粘によってそのまま固定することが可能で、乾燥工程においても良好な表面状態と塗膜の均質性を保持でき、基材(紙など)への浸透が少なく、均一な塗工膜を与える。このため、少ない接着剤塗布量でも充分な接着強度を示すと共に、耐摩耗性にも優れたものとなる。また、この情報担体シートの接着剤層は嵩高であるため、印刷適正にも優れるという利点もある。
本発明について、以下に具体的に説明する。
本発明に用いる、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点を超える温度領域では疎水性を示す高分子化合物(A)は、単独重合することによって温度応答性(温度の変化による親水性−疎水性の変化)を呈する高分子化合物が得られるモノマー(主モノマー(M))の単独重合高分子化合物、または二種類以上の主モノマー(M)の共重合高分子化合物、さらには、該主モノマー(M)と反応して高分子化合物を作ることができかつ単独重合によっては該温度応答性を呈する高分子化合物が得られないモノマー(副モノマー(N))と主モノマー(M)との共重合高分子化合物である。主モノマー(M)と副モノマー(N)は各々1種または2種以上のものを組み合わせて用いることも出来る。
主モノマー(M)の単独重合により高い温度応答性を有する高分子化合物が得られるが、主モノマー(M)と副モノマー(N)とを共重合することによって、主モノマー(M)の単独重合高分子化合物とは異なる感温点を持つ高分子化合物(A)が得られたり、モノマー(M)の単独重合高分子化合物とは異なる成膜性を有する高分子化合物(A)を得ることができる。
主モノマー(M)としてはN−アルキルまたはN−アルキレン置換(メタ)アクリルアミド誘導体(ここで、(メタ)アクリルとはメタアクリル(またはメタクリル)またはアクリルを簡便に表記したものである)、ビニルメチルエーテルなどが挙げられ、具体的には例えば、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−シクロプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロポキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(2,2−ジメトキシエチル)−N−メチルアクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリンなどが挙げられる。成膜性の観点から、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−アクリロイルモルホリンが好ましい。
副モノマー(N)としては親油性ビニル化合物、親水性ビニル化合物、イオン性ビニル化合物などが挙げられ、具体的には、親油性ビニル化合物としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、エチレン、イソプレン、ブタジエン、酢酸ビニル、塩化ビニルなどが挙げられ、親水性ビニル化合物としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、2−メチル−5−ビニルピリジン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−アクリロイルピロリジン、アクリロニトリル、などが挙げられ、イオン性ビニル化合物としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、ブテントリカルボン酸、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノメチル等のカルボン酸基含有モノマー、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマーなどが挙げられる。特に、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、メタアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミドが好ましく用いられる。
主モノマー(M)と副モノマー(N)の共重合割合は、得られる共重合高分子化合物が一定の温度を境界にして親水性と疎水性が変化する温度応答性を呈する範囲の中で決められる。つまり、副モノマー(N)の割合が多すぎれば得られる共重合高分子化合物が該温度応答性を示さなくなる。
即ち、主モノマー(M)と副モノマー(N)の共重合割合は用いるモノマー種の組み合わせに依存するが、生成する高分子化合物中における副モノマー(N)の割合は50質量%以下が好ましい。更に好ましくは、30質量%以下である。また、副モノマー(N)の添加効果がより良く発現されるためには0.01質量%以上が好ましい。
本発明において、高分子化合物(A)の「感温点」とは、その親水性−疎水性が変化する温度であり、「温度応答性」とは、該親水性−疎水性の変化を示す性質を意味する。また、本発明において、「親水性」とは高分子化合物(A)と水とが共存する系において高分子化合物(A)は水と相溶した状態の方が、相分離した状態よりも安定であることを意味し、「疎水性」とは高分子化合物(A)と水とが共存する系において高分子化合物(A)は水と相分離した状態の方が、相溶した状態よりも安定であることを意味する。該親水性−疎水性の変化は例えば、高分子化合物(A)と水とが共存する系の温度変化に伴う急激な粘度変化、または高分子化合物(A)と水とが共存する系の透明性の急激な変化、高分子化合物(A)の水に対する溶解性の急激な変化として現れる。本発明においては、高分子化合物(A)と水とが共存する系の温度を、高分子化合物(A)が疎水性を示す温度領域(感温点を超える温度)から徐々に低下させたときの粘度を測定して得られる温度−粘度曲線が急激に変化する転移点として高分子化合物(A)の感温点を求める。
本発明の高分子化合物(A)は、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性の何れであっても良い。
カチオン性の高分子化合物(A)は例えば、重合に使用する副モノマー(N)として、カチオン基を持つエチレン性不飽和モノマーを含めることによって得ることができる。該カチオン基を持つエチレン性不飽和モノマーは各々1種または2種以上のものを組み合わせて用いることも出来る。
カチオン基を持つエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、ビニロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2,3−ジメチル−1−ビニルイミダゾリニウムクロライド、トリメチル−(3−(メタ)アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミドおよびその4級アンモニウム塩、トリメチル−(3−(メタ)アクリルアミド)アンモニウムクロライド、1−ビニル−2−メチル−イミダゾール、1−ビニル−2−エチル−イミダゾール、1−ビニル−2−フェニル−イミダゾール、1−ビニル−2、4,5−トリメチル−イミダゾール、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートおよびその4級アンモニウム塩、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびその4級アンモニウム塩、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびその4級アンモニウム塩、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびその4級アンモニウム塩、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミドおよびその4級アンモニウム塩、N−(3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミドおよびその4級アンモニウム塩、N−(3−ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミドおよびその4級アンモニウム塩、N−(3−ジエチルアミノプロピル)アクリルアミドおよびその4級アンモニウム塩、o−,m−,p−アミノスチレンおよびその4級アンモニウム塩、o−,m−,p−ビニルベンジルアミンおよびその4級アンモニウム塩、N−(ビニルベンジル)ピロリドン、N−(ビニルベンジル)ピペリジン、N−ビニルイミダゾールおよびその4級アンモニウム塩、2−メチル−1−ビニルイミダゾールおよびその4級アンモニウム塩、N−ビニルピロリドンおよびその4級アンモニウム塩、N,N’−ジビニルエチレン尿素およびその4級アンモニウム塩、α−,またはβ−ビニルピリジンおよびその4級アンモニウム塩、α−,またはβ−ビニルピペリジンおよびその4級アンモニウム塩、2−,または4−ビニルキノリンおよびその4級アンモニウム塩等が例示される。特に、得られる塗工紙の表面光沢の観点から、例えばN,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(3−ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミド、N−(3−ジエチルアミノプロピル)アクリルアミドが好ましく用いられる。
主モノマー(M)と前記カチオン基を持つエチレン性不飽和モノマーを含む副モノマー(N)の共重合割合は、得られる共重合高分子化合物が感温点を境にして親水性と疎水性が可逆的に変化する温度応答性を呈する範囲の中で決められる。
本発明に用いる、高分子化合物(A)中のカチオン基を持つエチレン性不飽和モノマー単位の含有率は、用いるモノマーの種類や組み合わせによって好ましい範囲が異なるが、概して、塗工液調整の容易さの観点から0.01質量%以上が好ましく、成膜性の観点から50質量%以下が好ましい。更に好ましくは0.1〜30質量%である。
本発明に用いる、高分子化合物(A)のガラス転移点は、剥離性の観点から50〜150℃が好ましく、より好ましくは80〜150℃である。
本発明に用いる高分子化合物(A)を含有する高分子エマルジョンは、高分子化合物(A)の温度変化による親水性−疎水性の変化の影響によって急激に粘度変化を生じる感温点を有する。即ち、該感温点を超える温度領域において、高分子化合物(A)を含む高分子エマルジョンは水系溶媒中において安定なエマルジョンを形成し、該高分子エマルジョンを含有する塗工液は比較的低い粘度を保つことができるが、該感温点以下の温度領域では高分子化合物(A)が親水性を示すために、前記高分子エマルジョンが膨潤あるいは一部溶解し、前述の塗工液粘度が高くなり、あるいは経時的に該粘度が増加する。よって、本発明の塗工液は、本発明の高分子化合物(A)の感温点以上の温度に保たれていることが好ましい。
高分子化合物(A)を製造するに際しては、高分子化合物(A)の感温点を超える温度領域において水性溶媒中で重合反応を行うことが好ましい。該温度領域において高分子化合物(A)は疎水性を示しエマルジョンを形成することから、該温度領域において、広く知られている高分子エマルジョンの製造技術を用いることができる。具体的には、水に界面活性剤を溶解し、前記主モノマー(M)、副モノマー(N)等共重合モノマー成分を加えて乳化させ、ラジカル重合開始剤を加えて一括仕込みによる反応により乳化重合を行う方法のほか、連続滴下、分割添加などの方法により反応系に上記共重合成分や、ラジカル重合開始剤を供給する方法が挙げられる。
本発明に用いる高分子化合物(A)を含有する高分子エマルジョンを製造するにおいては、界面活性剤を利用することが好ましい。
本発明に用いる高分子化合物(A)を含有する高分子エマルジョンは、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性の何れであっても良い。
高分子化合物(A)を含有する高分子エマルジョンがカチオン性の場合には、カチオン性界面活性剤および/または非イオン性界面活性剤を使用する。例えば、カチオン性界面活性剤としては、ラウリルアミン塩酸塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルアンモニウムヒドロキシド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられ、非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
また高分子化合物(A)を含有する高分子エマルジョンがアニオン性の場合には、アニオン性界面活性剤および/または非イオン性界面活性剤を使用する。例えば、脂肪酸石鹸、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸塩、p−スチレンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ホルマリン重縮合物、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、ナフテン酸塩等、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン、アルキルエーテル硫酸塩、第二級高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート、アルキルエーテル燐酸エステル塩、アルキル燐酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
高分子化合物(A)を含有する高分子エマルジョンが非イオン性である場合には、非イオン性界面活性剤を使用する。非イオン性界面活性剤としては、例えば上記したポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
高分子化合物(A)を含有する高分子エマルジョンが両性の場合には、両性界面活性剤を使用することが高分子化合物(A)を含有する高分子エマルジョンのpHの変化に対する安定性の観点から好ましい。両性界面活性剤としては、例えばカルボキシベタイン型、アミノカルボン酸塩、レシチン等が挙げられる。
これらの界面活性剤の使用量としては、高分子化合物(A)を含有する高分子エマルジョンの樹脂固形分100質量部に対して0.05〜50質量部であることが好ましく、さらに好ましくは1〜30質量部である。
本発明においては、前記界面活性剤を1種単独で使用することもできるし、またその2種以上を併用することもできる。
本発明に用いる高分子化合物を含有する高分子エマルジョン重合時に「反応性基を有する界面活性剤」を使用するとによって非反応性の界面活性剤の使用量を減らすことは、得られる塗工層の耐水性の観点から好ましい。反応性基を有する界面活性剤は、一般に反応性界面活性剤と称され、分子中に疎水基、親水基および反応性基を有する化合物を挙げることができる。該反応性基としては、例えば、(メタ)アリル基、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、イソプロペニル基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等の炭素- 炭素二重結合を有する官能基が挙げられる。
アニオン性を有する反応性界面活性剤としては、例えばスルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、カルボン酸塩基、燐酸塩基等の構造を含有するものが挙げられ、スルホン酸塩基を有するビニルモノマーとして、例えばアリルスルホン酸、2−メチルアリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、4−ビニルベンゼンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の各種のスルホン酸基含有ビニルモノマー類を各種の塩基性化合物により中和することにより得られるもの等が挙げられる。該塩基性化合物としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジエタノールアミン、2−ジメチルアミノエチルアルコール、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムハイドロキサイド等が挙げられる。硫酸エステル塩基を含有するビニルモノマーとして、例えばアリルアルコールの硫酸エステル等の硫酸エステル基を含有するビニルモノマー類を、前記各種塩基性化合物により中和することにより得られるもの等が挙げられる。燐酸塩基を含有するビニルモノマーとして、例えばモノ{2−(メタ)アクリロイルオキシエチル}アシッドホスフェート等の燐酸基含有ビニルモノマー類を、前記各種塩基性化合物により中和することにより得られるものなどが挙げられる。アリル基(CH=C(−R)−CH−)(ただしRはアルキル基)を含有するアニオン性を有する反応性界面活性剤としては例えば、ポリオキシエチレンアリルグリシジルノニルフェニルエーテルの硫酸エステル塩等が挙げられ、市販品としては、「アデカリアソープSE−10N」シリーズ(商標:旭電化工業(株)製)、「エレミノールJS−2」(商標:三洋化成工業(株)製)、「ラテムルS−180もしくはS−180A」(商標:花王(株)製)、「H3390A」および「H3390B」(商標:第一工業製薬(株)製)等がある。(メタ)アクリロイル基(CH=C(−R)−C(=O)−O−)(ただしRはアルキル基)を含有するアニオン性を有する反応性界面活性剤としては例えば、市販品として、「エレミノールRS−30」シリーズ(商標:三洋化成工業(株)製)、「Antox MS−60」シリーズ(商標:日本乳化剤(株)製)等が挙げられる。プロペニル基(CH3 -CH=CH−)を含有するアニオン性を有する反応性界面活性剤としては例えば、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテルの硫酸エステルアンモニウム塩等が挙げられ、市販品としては「アクアロンHS−10」シリーズおよび「アクアロンBC」シリーズ(商標:第一工業製薬(株)製)等がある。
カチオン性を有する反応性界面活性剤としては、アミン塩基等カチオン性を有する構造を含有するカチオン性ビニルモノマー類等が挙げられる。アミン塩基を有するビニルモノマーとしては、例えばアリルアミン、N,N−ジメチルアリルアミン、N,N−ジエチルアリルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルビニルエーテルのアミノ基含有ビニルモノマー類を、各種酸性化合物により中和することによりえられるもの等が挙げられる。該酸性化合物としては、例えば塩酸、蟻酸、酢酸、ラウリル酸等が挙げられる。カチオン性を有する反応性界面活性剤の市販品として、「RF−751」(商標:日本乳化剤(株)製)や「ブレンマーQA」(商標:日本油脂(株)製)等が挙げられる。
非イオン性の反応性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン- ポリオキシプロピレンブロック共重合体ような各種のポリエーテル鎖を側鎖に有するビニルエーテル類、アリルエーテル類もしくは(メタ)アクリル酸エステル類のモノマー類などが挙げられる。アリル基(CH=C(−R)−CH−)(ただしRはアルキル基)を含有する非イオン性の反応性界面活性剤としては例えば、ポリオキシエチレンアリルグリシジルノニルフェニルエーテルが挙げられ、市販品としては、「アデカリアソープNE」シリーズ(旭電化工業(株)製)等がある。(メタ)アクリロイル基(CH=C(−R)−C(=O)−O−)(ただしRはアルキル基)を含有する非イオン性の反応性界面活性剤としては市販品として、「RMA−560」シリーズ(日本乳化剤( 株) 製)、「ブレンマーPE」シリーズ(日本油脂(株)製)等が挙げられる。プロペニル基(CH−CH=CH−)を含有する非イオン性の反応性界面活性剤としては例えば、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテルが挙げられ、市販品としては、「アクアロンRNシリーズ」(第一工業製薬( 株) 製)等がある。
これらの反応性界面活性剤の使用量としては、高分子化合物(A)を含む高分子エマルジョン樹脂固形分100質量部に対して0.05〜100質量部であることが好ましく、さらに好ましくは1〜50質量部である。
本発明においては、前記反応性界面活性剤を1種単独で使用することもできるし、またその2種以上を併用することもでき、さらには、前記反応性を有しない界面活性剤と併用することもできる。
本発明の高分子化合物(A)を含有する高分子エマルジョンを製造するに際しては、公知のラジカル重合開始剤が使用される。重合開始剤としては、有機系重合開始剤[パーオキシド類(クメンハイドロパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキシド、パラメンタンハイドロパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等)、アゾ化合物類(アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等)]、無機系重合開始剤[過硫酸塩(過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等)、過酸化水素等]等が挙げられる。ラジカル重合開始剤の使用量は、モノマー混合物全量に対して、0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%である。
また、高分子の分子量、ラテックスのゲル含有率等を調整する目的で、公知の連鎖移動剤を用いることが出来る。連鎖移動剤としては、α−メチルスチレンダイマー(2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン等)、ターピノーレン、テルピネン、ジペンテン、炭素数8〜18のアルキルメルカプタン、炭素数8〜18のアルキレンジチオール、チオグリコール酸アルキル、ジアルキルキサントゲンジスルフィド、テトラアルキルチウラムジスルフィド、クロロホルム、四塩化炭素等が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を組み合わせて使用できる。連鎖移動剤の使用量は、モノマー混合物全量に対して、0〜15質量%、好ましくは0〜5質量%である。
さらに必要により、還元剤[ピロ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、グルコース、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート、L−アスコルビン酸(塩)]、キレート剤(グリシン、アラニン、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム等)pH緩衝剤(トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸カリウム等)等の添加剤を併用してもよい。これら添加剤の使用量は、モノマー混合物全量に対して、0〜5質量%、好ましくは0〜3質量%である。
本発明に用いる高分子化合物(A)を含有する高分子エマルジョン粒子の平均粒子径は、塗工層の成膜性と高分子化合物(A)を含有する高分子エマルジョンの製造効率などの観点から、10〜600nmのものが好ましく、さらに好ましくは10〜300nm、最も好ましくは20〜100nmである。ここで言う平均粒子径とは、高分子化合物(A)が疎水性を示す温度領域において動的光散乱法により測定される高分子化合物(A)を含有する高分子エマルジョンの数平均粒子径である。
本発明の接着剤組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、例えばアルキルフェノール−ホルマリン樹脂、テルペン樹脂等に代表される粘着付与剤、更に、例えばクレー、焼成クレー、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、サチンホワイト、酸化チタン、酸化アルミニウム、含水ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、アルミノケイ酸ソーダ、アルミノケイ酸マグネシウム、ケイソウ土、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、硫酸カルシウム、タルク等に代表される微細粒子、さらには、例えば、スチレン系、スチレン/ブタジエン系、スチレン/アクリル系、アクリル系、尿素−ホルマリン樹脂等の樹脂の密実状、中空状、コアシェル状などのビーズ等に代表されるプラスチックピグメント、また、例えばポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、可溶化澱粉、変性ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸共重合体またはそのアルカリ塩、エチレン−無水マレイン酸共重合体またはそのアルカリ塩、ポリアクリル酸ソーダ、アクリルアミド−アクリル酸エステル共重合体などに代表される水溶性樹脂、酸化防止剤、紫外線防止剤、染料、滑剤、発泡剤、難燃剤などを添加できる。
本発明の情報担体シートを製造する方法について記述する。
基材基材としては特に制限は無く、紙、塗工紙、合成紙、プラスティックフィルム等の各種シート状のものが使用できるが、紙などの多孔質基材に本発明の接着剤組成物を、本発明に用いる高分子化合物(A)の感温点超える温度に加熱または維持した状態で塗工後、感温点以下の温度まで塗工した層を冷却する工程を含むことが好ましい。本発明の接着剤組成物は、高分子化合物(A)の感温点を超える温度においては低粘度化する性質があり、比較的低い粘度の塗工液を塗工したときに得られる均質かつ平滑な状態のまま塗工層を保持することが出来る。本発明の接着剤組成物を用いた場合、冷却による著しい増粘性(良好なセット性)と、引き続き行う温風による乾燥工程においても、粘度が低下しにくい(セット戻りしにくい)性質とにより、極めて高い生産効率で、目的とする接着剤層を製造することが出来る。
本発明における接着剤組成物の塗布方法としては、エアナイフコーター、バーコーター、ロールコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、チャンプレックスコーター、グラビアコーター等の塗工機を用いることが出来る。
塗工層を冷却させる手段としては、冷風機、送風機、冷凍機などの公知の手段を用いることが出来る。冷風機が好ましく用いられ、冷風の温度は本発明の高分子化合物(A)を含む高分子エマルジョンの感温点によって様々に変化し、該感温点以下の温度が好ましく、感温点よりも5℃以上低い温度がより好ましく、感温点よりも10℃以上低い温度がさらに好ましい。
本発明の接着剤組成物の塗工層を乾燥させる手段としては、熱風乾燥機、蒸気加熱乾燥機、遠赤外線乾燥機等の公知の乾燥手段を用いることができる。熱風乾燥機が好ましく用いられ、ドラムドライヤー、エアキャップドライヤー、エアホイルドライヤー、エアコンベアドライヤー及びこれらの組み合わせが挙げられる。乾燥温度はドライヤーの種類によって様々に変化するが、ドライヤー内部の温度は50〜200℃、好ましくは70〜150℃である。
本発明の接着剤組成物の塗工量は、固形分重量として、剥離強度の観点から0.1g/m2 以上が好ましく、カール抑制の観点から20g/m2 以下が好ましい。より好ましくは0.2〜5g/m2 である。
このようにして得られる情報担体シートは、三つ折葉書、二つ折り葉書、一部折り畳みタイプの葉書および重ね合わせタイプの葉書などの親展性を持つ葉書や、寸法拡大可能な整理シート、印刷用紙、複写用紙等として用いられるが、特に該接着剤組成物による層の少なくとも一部が隠ぺい用情報記載面となっているものが好適である。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
以下の実施例及び比較例において、「部」および「%」は、「質量部」および「質量%」を表わす。また、諸物性は以下のように測定した。
数平均粒子径;動的光散乱法により、大塚電子(株)製ELS−800を用い測定した
。高分子エマルジョンの粒子径を測定する場合においては、感温点以上の温度で測定し
た。
本発明に用いる高分子化合物(A)エマルジョンの感温点;重合温度以上の温度を保ちながら水溶媒にて高分子化合物(A)の濃度を5質量%に調整した高分子エマルジョン温度を、徐々に低下さてエマルジョンの粘度測定を行い、温度−粘度曲線が急激に変化する転移点を高分子化合物(A)エマルジョンの感温点として求めた。
接着力−1:シートを180℃で2秒間加熱した後、ドライシーラーによって50kg/cm2 の圧力で加圧接着した。これを幅25mmに裁断し、オートグラフで剥離強度を測定した。剥離強度のレベルに応じて、以下の評価基準に基づき評価した。
×: 0〜30g/25mm
○:31〜90g/25mm
×:91g超/25mm以上
接着力−2:シートを180℃で2秒間加熱した後、RI印刷機でシリコーンオイルを0.5g/m2 塗布し、ドライシーラーによって100kg/cm2 の圧力で加圧接着した。これを、幅25mmに裁断し、オートグラフで剥離強度を測定した。剥離強度のレベルに応じて、以下の評価基準に基づき評価した。
×: 0〜30g/25mm
○:31〜90g/25mm
×:91g超/25mm以上
剥離面の故障:シートを180℃で2秒間加熱した後、ドライシーラーによって50kg/cm2 の圧力で加圧接着した後、剥離させ、剥離面の剥離不良による接着剤の剥がれ、紙面の剥げなどの故障状態を観察し、以下のように官能的に評価した。
×:剥離表面の故障あり
○:剥離表面の故障なし
(調製例1)
攪拌器、還流冷却器、滴下槽および温度計を取りつけた反応容器に、水360部を投入し反応容器内を80℃にした。次に「コータミン86W」(花王(株)製、カチオン性界面活性剤:商品名)の25%水溶液25部、「エマルゲン1135S−70」(花王(株)製、非イオン性界面活性剤:商品名)の70%水溶液7.5部およびN−(3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミドをメタンスルホン酸で中和した固形分70%の水溶液4部を該反応器内に添加した。さらに該反応器内に2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ニ塩基酸塩の5%水溶液8部を投入し、その5分後に、メタクリル酸メチル9部、アクリル酸ブチル9部、スチレン9部、ダイアセトンアクリルアミド2部および2−ヒドロキシメタクリル酸エチル2部を混合した液を該反応器内に30分かけて連続的に添加した。添加は反応容器内を80℃に保ちながら行った。この段階でのエマルジョンの数平均粒子径は11nmであった。引き続き、水1254部にN−イソプロピルアクリルアミド290部、ダイアセトンアクリルアミド10部、メチレンビスアクリルアミド0.5部、N−(3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミドをメタンスルホン酸で中和した固形分70%の水溶液5部、「コータミン86W」の25%水溶液10部、「ブレンマーQA」(日本油脂(株)製、カチオン性反応型界面活性剤:商品名)の25%水溶液15部および2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ニ塩基酸塩の5%水溶液11部を溶解した液を該反応容器内に添加開始し、5時間かけて添加を終了させた。添加中および添加終了後1時間、反応容器内液温を80℃に保った後、50℃まで冷却し、数平均粒子径が100nmの高分子エマルジョン1を得た。その感温点を測定したところ30℃であった。
(調製例2)
攪拌器、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取りつけた反応容器に、水360部を投入し反応容器内を80℃にした。次に「コータミン86W」(花王(株)製、カチオン性界面活性剤:商品名)の25%水溶液25部、「エマルゲン1135S−70」(花王(株)製、非イオン性界面活性剤:商品名)の70%水溶液7.5部及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミドをメタンスルホン酸で中和した固形分70%の水溶液4部を該反応器内に添加した。さらに該反応器内に2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ニ塩基酸塩の5%水溶液8部を投入し、その5分後に、メタクリル酸メチル9部、アクリル酸ブチル9部、スチレン9部、ダイアセトンアクリルアミド2部及び2−ヒドロキシメタクリル酸エチル2部を混合した液を該反応器内に30分かけて連続的に添加した。添加は反応容器内を80℃に保ちながら行った。この段階でのエマルジョンの数平均粒子径は11nmであった。引き続き、水1254部にN−イソプロピルアクリルアミド220部、ダイアセトンアクリルアミド10部、メチレンビスアクリルアミド0.5部、N−(3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミドをメタンスルホン酸で中和した固形分70%の水溶液5部、「コータミン86W」の25%水溶液10部、「ブレンマーQA」(日本油脂(株)製、カチオン性反応型界面活性剤:商品名)の25%水溶液15部及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ニ塩基酸塩の5%水溶液11部を溶解した液とメタクリル酸メチル70部とを各々該反応容器内に添加開始し、4時間かけて添加を終了させた。添加中及び添加終了後1時間、反応容器内液温を80℃に保った後、50℃まで冷却し、数平均粒子径が80nmの高分子エマルジョン2を得た。その感温点を測定したところ19℃であった。
(調製例3)
攪拌機、還流冷却器、滴下槽および温度計を取りつけた反応容器に、水360部を投入し反応容器内を80℃にした。次に「エレミノールJS−2」の38%水溶液21部、「アデカリアソープSE−1025N」(25%水溶液)12部を該反応器内に添加した。さらに該反応器内に過硫酸アンモニウムの2%水溶液8部を投入し、その5分後に、メタクリル酸メチル9部、アクリル酸ブチル9部、スチレン9部、ダイアセトンアクリルアミド2部およびアクリル酸2部を混合した液を該反応器内に30分かけて連続的に添加した。添加は反応容器内を80℃に保ちながら行った。この段階でのエマルジョンの数平均粒子径は11nmであった。引き続き、水1254部にN−イソプロピルアクリルアミド290部、ダイアセトンアクリルアミド10部、メチレンビスアクリルアミド0.5部、アクリル酸0.5部、「エレミノールJS−2」の38%水溶液3部、「アデカリアソープSE−1025N」(25%水溶液)11部および過硫酸アンモニウムの2%水溶液46部を溶解した液を該反応容器内に添加開始し、5時間かけて添加を終了させた。添加中および添加終了後1時間、反応容器内液温を80℃に保った後、50℃まで冷却し、数平均粒子径が100nmの高分子エマルジョン3を得た。その感温点を測定したところ30℃であった。
(調製例4)
攪拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取りつけた反応容器に、水600部及び「エレミノールJS−2」(三洋化成工業(株)製、アニオン性界面活性剤:商品名)の38%水溶液15部、「アデカリアソープSE−1025N」(25%水溶液)9部を投入し、反応容器内を80℃とした。次に、ダイアセトンアクリルアミド4部、スチレン128部、メタクリル酸メチル80部、メタクリル酸ブチル66部を混合した添加液(1)と、水100部に「エレミノールJS−2」の38%水溶液2部、「アデカリアソープSE−1025N」(25%水溶液)8部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液40部、を溶解した添加液(2)とを各々滴下槽より反応容器中へ4時間かけて添加した。添加中及び添加が終了してからさらに1時間、反応容器中の温度を80℃に保った後、室温まで冷却した。その後、5%アンモニア水でエマルジョンのpHを9に調整することによって樹脂固形分30%、数平均粒子径40nmの高分子エマルジョン4を得た。その感温点の測定を試みたが、感温点と判断される変化は生じなかった。
〔実施例1〕
調製例1で得た高分子エマルジョン1(固形分100部相当量)を50℃に保ちながら、湿式シリカ(平均粒径4μ)50部および小麦デンプン(平均粒径15μ)25部を配合して本発明の接着剤組成物1を得た。
この接着剤組成物1を、坪量58g/m2 の上質紙に乾燥塗工量0.3g/m2 (固形分換算)となるようにブレードコーターを用いて片面に塗工し、得られた塗工層表面に送風を10秒間行った後に、熱風乾燥機(熱風温度130℃)中で1分間乾燥して、情報担体シート1を得た。
そのシートの接着力−1、接着力−2、剥離面の故障を評価した結果を表1に示す。
〔実施例2〕
実施例1における高分子エマルジョン1に代えて、調製例2の高分子エマルジョン2を同量用いた以外は同様にして、本発明の接着剤組成物2を得た。この接着剤組成物2を用いて実施例1と同様にして情報担体シート2を作成した。
そのシートの接着力−1、接着力−2、剥離面の故障を評価した結果を表1に示す。
〔実施例3〕
実施例1における高分子エマルジョン1に代えて、調製例3の高分子エマルジョン3を同量用いた以外は同様にして、本発明の接着剤組成物3を得た。この接着剤組成物3を用いて実施例1と同様にして情報担体シート3を作成した。
そのシートの接着力−1、接着力−2、剥離面の故障を評価した結果を表1に示す。
〔比較例1〕
実施例1における高分子エマルジョン1に代えて、調製例4の高分子エマルジョン4を同量用いた以外は同様にして、接着剤組成物4を得た。この接着剤組成物4を用いて実施例1と同様にして情報担体シート4を作成した。
そのシートの接着力−1、接着力−2、剥離面の故障を評価した結果を表1に示す。
Figure 2006273924
本発明によれば、一時的に接着するが、必要時に容易に剥離できる見開き面を有する情報担体シートに用いる樹脂接着剤組成物が得られ、該接着剤組成物を用いて得られた情報担体シートは、三つ折葉書、二つ折り葉書、一部折り畳みタイプの葉書および重ね合わせタイプの葉書などの親展性をもつ葉書や、寸法拡大可能な整理シート、印刷用紙、複写紙などにも用いられ、産業上の利用価値は甚だ大きなものである。

Claims (2)

  1. 一時的に接着するが、必要時に容易に剥離できる見開き面を有する情報担体シートに用いる樹脂接着剤組成物において、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点を超える温度領域では疎水性を示す高分子化合物(A)を含有する高分子エマルジョンを含んでなることを特徴とする接着剤組成物。
  2. 基材シート面の少なくとも一部に、請求項1に記載の接着剤組成物を、前記高分子化合物(A)の感温点を超える温度で基材上に塗工後、感温点以下の温度まで冷却した後、加熱乾燥して得られた接着剤層を設けてなることを特徴とする情報担体シート。
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